BO 血液型の基礎と問題解決 2016 年 9 月 15 日株式会社イムコア技術サポート部
BO 抗原 型 B 型 B 型 O 型 抗原 B 抗原 2 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 抗原 H 抗原 凡例 赤血球 N- アセチルガラクトサミン フコース N- アセチルグルコサミンガラクトース BO blood group diagram By InvictaHOG (Own work) [Public domain], via Wikimedia Commons 3 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 自然抗体 ヒトは環境中の細菌やウイルスなどの 型抗原および B 型抗原様因子に反応して抗 または / および抗 B を自然に産生する 4 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 血液型システム Karl Landsteiner ランドシュタイナーの法則 : 赤血球には 抗原または / および B 抗原が存在し 血清 ( 血漿 ) 中には赤血球に存在しない抗原に対する自然抗体が存在する 5 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 血液型ランドシュタイナーの法則 血液型 抗原 ( 赤血球表面 ) 抗体 ( 血漿 ) 抗 B B B 抗 B, B - O - 抗, 抗 B 抗,B 6 ll Content 2016 Immucor, Inc.
日本人の BO 血液型頻度 B 型 約 10% B 型 約 20% 型 約 40% O 型 約 30% 7 ll Content 2016 Immucor, Inc.
溶血性輸血副作用 急性溶血性輸血副作用 (HTR) 大部分は BO 不適合輸血が原因であるが 稀に補体結合性の不規則抗体で認められる ( おもに血管内溶血 ) 遅発性輸血副作用 (DHTR) 多くは二次免疫応答により増加した不規則抗体が原因であり 一次免疫応答によるものは極めて稀である ( おもに血管外溶血 ) 輸血 移植検査技術教本 より, 一部改変 8 ll Content 2016 Immucor, Inc.
B 型の患者に 型の血液製剤を輸血したら 抗原 型血液輸血 溶血 抗 B 抗原 抗体抗原反応 ( イメージ図 ) 副作用 9 ll Content 2016 Immucor, Inc.
血型検査 / ガイドライン 規則抗体の抗, 抗 B, 抗,Bは いかなる場合でも 臨床的意義のある抗体である ( 赤血球型検査 ( 赤血球系検査 ) ガイドライン, 日本輸血 細胞治療学会 ) BO 同型血液の輸血が原則 10 ll Content 2016 Immucor, Inc.
抗原抗体反応の検出 輸血検査では一般的に抗原抗体反応の有無を赤血球凝集の有無で判断する 抗原 抗 遠心 赤血球表面の抗原に抗体が結合 そのままでは肉眼で判定できない 赤血球に結合した抗体を介した赤血球間の橋渡し 肉眼で確認できる集合体 ( 凝集 ) 11 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 血液型検査用製品 BO 血液型検査は血球凝集法を用いて室温で行われる 抗体試薬 赤血球試薬 12 ll Content 2016 Immucor, Inc.
赤血球型検査 - オモテ検査 赤血球 抗 および抗 B 試薬 赤血球検体の検査は および B 抗原を直接検査する これを オモテ検査 とよぶ 13 ll Content 2016 Immucor, Inc.
血漿検査 - ウラ検査 血漿 1 および B 赤血球試薬 血漿検体の検査は 血漿中の抗 および抗 B 抗体を検査する これを ウラ検査 とよぶ 14 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 血液型検査手順 ( 試験管法 ) 抗 試薬 抗 B 試薬 1 滴 患者血清または血漿 2 滴 3~5% 患者赤血球浮遊液 1 滴 1 赤血球 B 赤血球 1 滴 抗 抗 B 1 血球 B 血球 オモテ検査 ウラ検査 混和 遠心 900~1,000G(3,400rpm)15 秒または 100~125G(1,000rpm)1 分 判定 凝集や溶血の有無を観察判定結果を記録 15 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 血液型判定 オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 判定 1 血球 B 血球判定 総合判定 + 0 型 0 + 型 型 0 + B 型 + 0 B 型 B 型 + + B 型 0 0 B 型 B 型 0 0 O 型 + + O 型 O 型 16 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 血液型検査の判定 オモテ検査ウラ検査結果 抗 抗 B 1 赤血球 B 赤血球 + - - + オモテ検査ウラ検査結果 抗 抗 B 1 赤血球 B 赤血球 - + + - B オモテ検査ウラ検査結果 抗 抗 B 1 赤血球 B 赤血球 - - + + O 17 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 血液型検査の判定 オモテ検査ウラ検査結果 抗 抗 B 1 赤血球 B 赤血球 + + - - B オモテ検査ウラ検査結果 抗 抗 B 1 赤血球 B 赤血球 + - + + 判定保留 18 ll Content 2016 Immucor, Inc.
BO 血液型の判定 BO 血液型はオモテ検査とウラ検査の結果が一致してはじめて決定される オモテ検査とウラ検査の結果が不一致の場合は判定保留とし 原因を追及する 19 ll Content 2016 Immucor, Inc.
オモテ検査 ウラ検査不一致 異常反応の原因オモテ検査側の要因 異常反応 考えられる要因または病態 反応がない弱い 部分凝集 異常な凝集 亜型疾患による一時的な抗原量の低下型物質の異常増加による試薬の抗体中和 亜型キメラ モザイク異型輸血後異型造血幹細胞移植後胎児母体間輸血症候群 (FMT) 汎凝集反応後天性 B (acquired B) 寒冷凝集素による感作 輸血 移植検査技術教本 より抜粋 20 ll Content 2016 Immucor, Inc.
オモテ検査 ウラ検査不一致 異常反応の原因ウラ検査側の要因 異常反応 反応がない弱い 異常な凝集 (IT) 新生児, 高齢者低 無ガンマグロブリン血症異型輸血後異型造血幹細胞移植後 考えられる要因または病態 亜型冷式不規則抗体寒冷凝集素症連銭形成高分子製剤輸注後試薬に含まれる添加物に反応する抗体 新生児の母親由来 IgG 型抗, または抗 B 免疫グロブリン製剤由来 IgG 型抗 または抗 B 異型造血移植後の PLS 輸血 移植検査技術教本 より抜粋 21 ll Content 2016 Immucor, Inc.
オモテ ウラ不一致のときの対応 1. 手技, 試薬の確認 2. 再検査 3. 患者情報の収集 年齢, 性別, 疾患名, 輸血歴, 妊娠歴, 異型輸血, 異型造血幹細胞移植の有無, 臨床検査データ, 家族歴など 4. 異常反応の原因を推測し 精査 輸血 移植検査技術教本 より抜粋 22 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ検査の偽陽性が疑われるケース 23 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陽性 ) オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 4+ 0 2+ 4+ 24 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陽性 ) オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 4+ 0 2+ 4+ 考えられる原因冷式不規則抗体の保有寒冷凝集素価 ( 寒冷自己抗体 ) 高値連銭形成 亜型 等 25 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陽性 ) 患者情報の確認連銭形成の可能性生理食塩液法による不規則抗体スクリーニング抗 Le a, 抗 P 1, 抗 M 等自己対照の陽性の場合 寒冷自己抗体が疑われる抗 Hレクチン 抗 1 レクチン 2 血球との反応性亜型試薬成分による非特異反応試薬とは陽性 自己対照陰性 26 ll Content 2016 Immucor, Inc.
連銭形成が疑われる場合 顕微鏡で観察することで 連銭形成が確認できる 生理食塩液の滴下で凝集が消失することがある 生理食塩液置換法で確認可能 1. ウラ検査用の試験管を遠心 2. 患者血漿または血清を除去する 3. 生理食塩液を2 滴滴下する 4. セルボタンを再浮遊させ 凝集の有無を確認 27 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陽性 ) 生理食塩液法による不規則抗体スクリーニングの実施 抗 Le a, 抗 P 1, 抗 M 等が検出 28 ll Content 2016 Immucor, Inc.
P 1 抗原について 個人差があるため 同定では注意が必要 29 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陽性 ) 生理食塩液法による不規則抗体スクリーニングの実施 抗 Le a, 抗 P 1, 抗 M 等が検出 予備加温によるウラ検査の実施型物質による吸収 Lewis 型物質, P 1 型物質酵素試薬によるM 抗原の破壊 30 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ガンマ P 1 型物質 鳥類由来の可溶性 P 1 血液型物質 抗 P 1 の確認が可能 P 1 - 血球を選択せずに抗 P 1 と共存する他の抗体の検査が可能 31 ll Content 2016 Immucor, Inc.
使用方法 ガンマ P 1 型物質 P 1 生食 1. 1 検体につき2 本の試験管を用意し 被検血清を必要量 ( 例えば 10 滴 1mL など ) 添加する P1 型物質 P 1 生食 2. 一方の試験管には血清量の 1/10 容 ( 例えば 1 滴 0.1mL など ) のガンマ P 1 型物質を もう一方の試験管には血清量の 1/10 容の生理食塩水を添加する 注意 : 型物質は管壁に沿って添加せず 直接血清中に滴下する P 1 生食 3. 充分に混和して 室温 (23±3 ) で少なくとも 5 分間放置する 4. 再度混和し それぞれの試験管の内容物について検査を行う 32 ll Content 2016 Immucor, Inc.
注意点 ガンマ P 1 型物質 強い抗 P 1 は血清 : 型物質の比が 10:1 では部分的にしか中和されない場合がある 非常に弱い抗体は 10:1 の割合で型物質を添加した場合に希釈されて反応が検出できなくなることがある 抗 P 1 以外に抗 P k も中和する Tj(a-) の人が保有する抗 P+P 1 +P k ( 抗 Tj a ) のうち 抗 P 1 と抗 P k は中和されるが 抗 P は中和されない 33 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ガンマ Lewis 型物質 ヒト由来の可溶性 Le a および Le b 血液型物質 Lewis 抗体の確認が可能 血球の Lewis 表現型を選択せずに Lewis 抗体と共存する他の抗体の検査が可能 34 ll Content 2016 Immucor, Inc.
使用方法 ガンマ Lewis 型物質 Lewis 生食 1. 1 検体につき2 本の試験管を用意し 被検血清を必要量 ( 例えば 10 滴 1mL など ) 添加する Lewis 型物質 Lewis 生食 2. 一方の試験管には血清量の1/10 容 ( 例えば 1 滴 0.1mL など ) のガンマ Lewis 型物質を もう一方の試験管には血清量の1/10 容の生理食塩水を添加する 注意 : 型物質は管壁に沿って添加せず 直接血清中に滴下する Lewis 生食 3. 充分に混和して 室温 (23±3 ) で少なくとも 5 分間放置する 4. 再度混和し それぞれの試験管の内容物について検査を行う 35 ll Content 2016 Immucor, Inc.
注意点 ガンマ Lewis 型物質 強い Lewis 抗体は血清 : 型物質の比が 10:1 では部分的にしか中和されない場合がある 非常に弱い抗体は 10:1 の割合で型物質を添加した場合に希釈されて反応が検出できなくなることがある Lewis 抗体以外に抗 H も中和する 36 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陽性 ) 生理食塩液法の不規則抗体スクリーニング 抗 Le a, 抗 P 1, 抗 M 等が検出 予備加温によるウラ検査の実施型物質による吸収 Lewis 型物質, P 1 型物質酵素試薬によるM 抗原の破壊 37 ll Content 2016 Immucor, Inc.
寒冷自己抗体が強い場合 自己吸収が有効な場合がある ZZP 試薬を用いる場合 ZZP 処理前に37 生理食塩液での赤血球洗浄は有用 IgM, IgG, 補体が除去される酵素処理で吸収効率が上昇する 1. 自己血球 1ml + ZZP 試薬 2mlを混合 2. 自己血球をZZP 試薬で処理 (37 30 分 ) 3. 3 回洗浄 遠心 上清を除去 4. ZZP 処理した自己血球 + 自己血清 (4 30 分 ) 5. 遠心 血清を別に試験管に移す ウラ検査の実施 BB Technical manual 18 th より抜粋, 一部改変 38 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陽性 ) 患者情報の確認連銭形成の可能性生理食塩液法による不規則抗体スクリーニング抗 Le a, 抗 P 1, 抗 M 等自己対照の陽性の場合 寒冷自己抗体が疑われる抗 Hレクチン 抗 1 レクチン 2 血球との反応性亜型試薬成分による非特異反応試薬とは陽性 自己対照陰性 39 ll Content 2016 Immucor, Inc.
抗 1 レクチン, 抗 H レクチンの反応性 抗 1 レクチン 1 血球と反応し 2 血球とは反応しない オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球抗 1 レクチン 4+ 0 2+ 4+ 0 40 ll Content 2016 Immucor, Inc.
抗 1 レクチン, 抗 H レクチンの反応性 抗 1 レクチン 1 血球と反応し 2 血球とは反応しない オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球抗 1 レクチン 4+ 0 2+ 4+ 0 亜型, 抗 1 の疑い 41 ll Content 2016 Immucor, Inc.
抗 1 レクチン, 抗 H レクチンの反応性 抗 Hレクチン O> 2 >B> 1 > 1 Bの順で反応するガンマ抗 Hレクチンの反応性 O 血球 2 血球 2 B 血球 B 血球 1 血球 1 B 血球 4+ 3+ 2+~1+ 2+~1+ W+~0 0 ( 社内データ ) 42 ll Content 2016 Immucor, Inc.
抗 1 レクチン, 抗 H レクチンの反応性 抗 H レクチン O> 2 >B> 1 > 1 B の順で反応する オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 抗 1 レクチン 抗 H レクチン 4+ 0 2+ 4+ 0 3+ 亜型, 抗 1 の疑い 43 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陽性 ) 患者情報の確認連銭形成の可能性生理食塩液法による不規則抗体スクリーニング抗 Le a, 抗 P 1, 抗 M 等自己対照の陽性の場合 寒冷自己抗体が疑われる抗 Hレクチン 抗 1 レクチン 2 赤血球との反応性亜型試薬成分による非特異反応試薬とは陽性 自己対照陰性 44 ll Content 2016 Immucor, Inc.
試薬成分による非特異 ウラ血球を洗浄が有効 オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 4+ 0 2+ 4+ 洗浄後 オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 4+ 0 0 4+ 45 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ検査の偽陰性が疑われるケース 46 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陰性 ) オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 4+ 0 0 0 47 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陰性 ) オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 4+ 0 0 0 考えられる原因低 無ガンマグロブリン血症新生児 / 高齢者異型輸血後造血幹細胞移植後 ( 亜型 ) 48 ll Content 2016 Immucor, Inc.
日本人の抗体価の減少 Mazda T. et al: Immunohematology 23(1):38-41,2007 49 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陰性 ) 患者情報の確認年齢病歴グロブリン値輸血歴移植歴使用薬剤等 50 ll Content 2016 Immucor, Inc.
ウラ血球の反応性について ( 偽陰性 ) 血漿量の増量 3~4 滴下 インキュベーション時間の増加 室温で 10 分 低温インキュベーション 4 で5 分 寒冷凝集素の影響を検出するためにO 型赤血球を対照に立てる 輸血 移植検査技術教本 より, 一部改変 オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 O 血球 4+ 0 0 2+ 0 51 ll Content 2016 Immucor, Inc.
B 型患者に 型ドナー移植例 移植例 患者 ドナー オモテ ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 B + 0 0 0 Medical Technology, 2011 年, Vol.39, No.13 今日から役立つ輸血検査業務ハンドブック より抜粋, 一部改変 52 ll Content 2016 Immucor, Inc.
Bm 例 オモテ検査 ウラ検査 抗 抗 B 1 血球 B 血球 4+ 0 0 0 日本で最も検出される亜型は Bm と言われている 332,002 人中, Bm:39 例 (1/8,500 人 ), Bm15 例 (1/22,000 人 ) ( 東北地域 )* 抗 B による吸着解離試験で B 抗原が検出されることで B 亜型と判明 *(BO 血液型, D 抗原判定上の問題点, 菊地正輝, 第 34 回日本血液事業学会総会, 2011, ワークショップ, ) より 53 ll Content 2016 Immucor, Inc.
54 ll Content 2016 Immucor, Inc.