各論(3)視床下部-下垂体副腎総論、副腎糖質ステロイド

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副腎皮質・性腺におけるステロイドホルモン合成経路

各論 心血管内分泌

ホルモンの合成と作用(1)

ゴナドトロピン分泌異常症 性腺刺激ホルモン ( ゴナドトロピン ) である LH と FSH の 2 種類のホルモンの分泌が亢進あるいは低下することにより 下位の性腺ホルモンであるエストロゲンやテストステロンが分泌異常をきたす疾患 年齢 性別により種々の異なった病像を示す 14,000 人 3. 原

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2 はじめに 自分のことをよく知ること 晩期障害のこと 成人後のこと 終わりに

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8 内分泌系のしくみと働き

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4) ホルモンの化学構造からみた種類にはホルモンの種類分泌器官とホルモン名視床下部放出ホルモン 下垂体前葉ホルモン 1 ペプチドホルモン上皮小体ホルモン インスリン グルカゴンなど卵巣ホルモン 精巣ホルモン 副腎皮質コルチコイド 2 ステロイドホルモン活性型ビタミン D 1) カテコ ルアミン 3

ホルモンの合成と作用(1)

偽性低アルドステロン症 1. 概要体液量の維持 電解質代謝に重要なアルドステロン作用に不応性を示す疾患で I III 型に分類される I 型は古典的 PHA ともいわれ 大多数が生後約 6 ヶ月以内に発症し 散発例もあるが多くは家族発症例で常染色体優性と常染色体劣性遺伝とがあり それぞれ責任遺伝子が

05ホルモンと病気15

ホルモンの合成と作用(1)

解剖・栄養生理学

問 21 細胞膜について正しい記述はどれか 問 31 発汗について誤っている記述はどれか A 糖脂質分 が規則正しく配列している A 体温の上昇を防ぐ B イオンに対して選択的な透過性をもつ B 汗腺には交感神経が分布する C タンパク質分 の 重層膜からなる C 温熱性発汗には 脳 質が関与する

生理学 1章 生理学の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 按マ指 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 鍼灸 (1734) E L 1-3. 細胞膜につ

補正する必要がありますが 急速に あるいは過剰に補正を行うと橋中心髄鞘崩壊に代表される重篤な中枢神経の脱髄性病変を発生することがあり 補正速度など成書等を参照し慎重に行うことが重要です


第6回 糖新生とグリコーゲン分解

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脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

偽性低アルドステロン症 1. 概要体液量の維持 電解質代謝に重要なアルドステロン作用に不応性を示す疾患で I III 型に分類される I 型は古典的 PHA ともいわれ 大多数が生後約 6 ヶ月以内に発症し 散発例もあるが多くは家族発症例で常染色体優性と常染色体劣性遺伝とがあり それぞれ責任遺伝子が

第6回 糖新生とグリコーゲン分解

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肥満 腹部下垂 腹囲膨満 筋肉萎縮元気減退 消失 倦怠 沈鬱 傾眠 虚脱食欲増進 ~ 不振 多飲多尿軟便 下痢 嘔気 嘔吐 腹部不快 2) 血液一般検査 : 随伴疾患に影響を受ける 多血 好酸球減少 3) 血液化学検査 : 肝酵素上昇 脂質異常 高血糖 BUN/Cre 低下 高リン ALP 高値 T

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, 2008 * Measurements of Sleep-Related Hormones * 1. * 1 2.

臨床調査個人票 新規 更新 075 クッシング病 行政記載欄 受給者番号判定結果 認定 不認定 基本情報 姓 ( かな ) 名 ( かな ) 姓 ( 漢字 ) 名 ( 漢字 ) 郵便番号 住所 生年月日西暦年月日 * 以降 数字は右詰めで 記入 性別 1. 男 2. 女 出生市区町村 出生時氏名 (

児に対する母体の甲状腺機能低下症の影響を小さくするためにも 甲状腺機能低下症を甲状腺ホル モン薬の補充でしっかりとコントロールしておくのが無難と考えられます 3) 胎児 新生児の甲状腺機能低下症 胎児の甲状腺が生まれながらに ( 先天的に ) 欠損してしまう病気があります 通常 妊娠 8-10 週頃

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

Ⅰ. ヒトの遺伝情報に関する次の記述を読み, ~ に答えなさい 個体の形成や生命活動を営むのに必要な ( a ) は, 真核生物の細胞では主に核 の中で染色体を形成している 通常, ₁ 個の体細胞には同じ大きさと形の染色体が 一対ずつあり, この対になっている染色体を ( b ) といい, 片方の染

はじめに この冊子は レトロゾール錠 2.5mg アメル による乳がんのホルモン療法を受ける患者さんが 安心して治療に取り組めるように 乳がんのホルモン療法や薬の効果 副作用について解説しています 冊子を読んでもわからないことや 不安に感じることがありましたら 担当医師や看護師 薬剤師に遠慮なくご相

2017 年度茨城キリスト教大学入学試験問題 生物基礎 (A 日程 ) ( 解答は解答用紙に記入すること ) Ⅰ ヒトの肝臓とその働きに関する記述である 以下の設問に答えなさい 肝臓は ( ア ) という構造単位が集まってできている器官である 肝臓に入る血管には, 酸素を 運ぶ肝動脈と栄養素を運ぶ

グルコースは膵 β 細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれて代謝され A T P が産生される その結果 A T P 感受性 K チャンネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 Caチャンネルの開口 細胞内 Ca 2+ 濃度の上昇が起こり インスリンが分泌される これをインスリン分泌の惹起経路と呼ぶ イ

メディカルスタッフのための腎臓病学2版

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研修カリキュラム(全科)

2. 看護に必要な栄養と代謝について説明できる 栄養素としての糖質 脂質 蛋白質 核酸 ビタミンなどの性質と役割 およびこれらの栄養素に関連する生命活動について具体例を挙げて説明できる 生体内では常に物質が交代していることを説明できる 代謝とは エネルギーを生み出し 生体成分を作り出す反応であること

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健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

ドリル No.6 Class No. Name 6.1 タンパク質と核酸を構成するおもな元素について述べ, 比較しなさい 6.2 糖質と脂質を構成するおもな元素について, 比較しなさい 6.3 リン (P) の生体内での役割について述べなさい 6.4 生物には, 表 1 に記した微量元素の他に, ど

分泌C: 知っておくことが望ましい内A: 十分に理解しておくことが望ましい B: 概略理解しておくことが望ましい 内分泌 知識 技術 技能 Ⅰ. 知識 168 症例 1. 解剖と機能 168 1) ホルモン産生器官 A 168 2) ホルモンの種類 A 168 3) ホルモンの作用 A 168 4)

食思不振、低ナトリウム血症を呈した橋本病の1例

脂質の分解小腸 脂肪分解とカルニチン < 胆汁 > 脂肪の乳化 < 膵液 膵液リパーゼ ( ステアプシン )> 脂肪酸 グリセリン 小腸より吸収吸収された脂肪酸は エステル結合により中性脂肪として蓄積されます 脂肪酸は 体内で分解されエネルギーを産生したり 糖質や余剰のエネルギー産生物質から合成され

日本内科学会雑誌第105巻第4号

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インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

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氏名 ( 本籍 ) 鈴木桂子 学位の種類薬 A 子 博士 学位記番号用 下 E コ王 学位授与の日付昭和 54 年 3 月 6 日 学位授与の要件学位規則第 5 条第 2 項該当 学位論文題目 ラット卵巣におけるステロイドホルモン合成に関する研究 ( 主査 ) ー論文審査委員教授近, f~i 雅日

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臨床調査個人票 新規 更新 下垂体前葉機能低下症 ( 成人 GH 分泌不全症 ) 行政記載欄 受給者番号判定結果 認定 不認定 基本情報 姓 ( かな ) 名 ( かな ) 姓 ( 漢字 ) 名 ( 漢字 ) 郵便番号 住所 生年月日西暦年月日 * 以降 数字は右詰めで 記入 性別 1

アンケート 2 疾患名 :1 型糖尿病 1. 日本における有病率 成人期以降の患者数 ( 推計 ) 小児期 : 人成人以降の患者数 : 小児期発症 1 型糖尿病 3 万人程度 ( 但し 成人発症 1 型糖尿病については不明 ) 2. 小児期の主な臨床症状 治療と生活上の障害 生命維

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わかりやすい検査案内

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

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8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

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告 番号 4 内分泌疾患 昭和現在の. kg の 年 年 平成発病年 頃初診 年 該当するものに をつけ 必要な場合 ( 1. 臨床所 ) に記載 男 年 ( 満歳 ) 分類病名 1 下垂体機能低下症細分類病名 2 後天性下垂体機能低下症 出 週数在胎週 体重の測定 ( 年 ) 低ゴナドトロピン性性

症例にあてはめて考えると 体重減少が見られていることからクッシング症候群ではなく異所性副腎皮質刺激ホルモン産生肺腫瘍 ( おそらくは胸部画像所見から肺炎と誤診されている ) の可能性が挙げられる 患者の持参薬にクロベタゾールシャンプーと外用のグルココルチコイドがある 外用のグルココルチコイドによるク

日本内分泌学会認定

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細胞の構造

に ACTH 刺激試験を実施します これは 合成 ACTH 製剤であるテトラコサクチド ( コートロシン 0.25mg 第一三共 ) を1アンプル (5kg 未満の犬では 1/2 アンプル ) 筋肉内投与し 投与前と投与後 1 時間の血中コルチゾール濃度を測定する検査です ACTH 刺激後のコルチゾ

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解糖系でへ 解糖系でへ - リン酸 - リン酸 1,-2 リン酸 ジヒドロキシアセトンリン酸 - リン酸 - リン酸 1,-2 リン酸 ジヒドロキシアセトンリン酸 AT AT リン酸化で細胞外に AT 出られなくなる 異性化して炭素数 AT の分子に分解される AT 2 ホスホエノール AT 2 1

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プレスリリース 2018 年 10 月 23 日報道関係者各位慶應義塾大学医学部 新しい分子イメージング法により高血圧症の原因ステロイドホルモン産生細胞を 患者由来組織で同定 - 原発性アルドステロン症患者のバイオマーカー探索に期待 - 慶應義塾大学医学部医化学教室の杉浦悠毅専任講師 西本紘嗣郎講師

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精神科領域 0.88%(150 例 /17010 例 ) 消化器領域 0.30%(18 例 /6078 例 ) 発現機序スルピリドは間脳 - 下垂体系に作用してプロラクチン分泌を促進し 高プロラクチン血症をもたらすことによって乳汁漏出や月経異常等を惹起するといわれている 抗精神病薬は ドパミン受容体

本書の読み方 使い方 ~ 各項目の基本構成 ~ * 本書は主に外来の日常診療で頻用される治療薬を取り上げています ❶ 特徴 01 HMG-CoA 代表的薬剤ピタバスタチン同種同効薬アトルバスタチン, ロスバスタチン HMG-CoA 還元酵素阻害薬は主に高 LDL コレステロール血症の治療目的で使 用

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図 1 マイクロ RNA の標的遺伝 への結合の仕 antimir はマイクロ RNA に対するデコイ! antimirとは マイクロRNAと相補的なオリゴヌクレオチドである マイクロRNAに対するデコイとして働くことにより 標的遺伝 とマイクロRNAの結合を競合的に阻害する このためには 標的遺伝

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相模女子大学 2016 年度 AO 入学試験 適性試験問題 栄養科学部 2015 年 8 月 29 日 ( 土 )10 時 00 分 ~10 時 50 分 注意事項 1. 監督の指示があるまで 問題冊子を開いてはいけません 2. これは 適性試験の問題冊子です 問題の本文は 1ページから 5 ページ

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第12回 代謝統合の破綻 (糖尿病と肥満)

負荷試験 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時 )

平成13年度研究報告

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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Transcription:

視床下部 ( 間脳 ) ー下垂体ー末梢内分泌系 視床下部 視床下部ホルモン産生細胞 ( 視床下部の特定のニューロンで合成されて下垂体ホルモンの合成分泌を調節するホルモン ) 後葉ホルモン産生神経細胞 # 放出ホルモン : 抑制ホルモン : CRH TRH GnRH GHRH (=LHRH) GHIH (Somatostatin) (PRF) PIH 下垂体 ACTH 産生細胞 TSH 産生細胞 LH/FSH 産生細胞 GH 産生細胞 PRL 産生細胞 ADH OT # 視床下部ホルモンには含まない 下位内分泌腺 副腎皮質甲状腺 性腺 肝臓 全身 乳房 cortisol T 3,T 4 sex hormones IGF-1 永山追加スライド

各論 (3) 視床下部 下垂体 副腎総論 副腎糖質ステロイド A 副腎の構造と発生 B 副腎皮質ホルモンの合成 分泌 作用 C 副腎皮質の疾患 D 性腺ホルモンの合成 20110011 石橋信弘 20110025 小笹宗一郎 20110056 竹内弘之

A 副腎の構造と発生 p.544

副腎の肉眼構造 腎臓と同じく 後腹膜にある器官 重さ :5~7g 栄養血管 : 上副腎動脈 下横隔動脈中副腎動脈 腹大動脈下副腎動脈 腎動脈 単位重量あたりの血流量が最も多い臓器

副腎の発生 副腎皮質 : 中胚葉由来 胎生 5 週頃 尿生殖堤と腸管膜根の間にある中胚葉細胞が増殖 肥厚して その原基が作られる 副腎髄質 : 外胚葉由来胎生 7 週頃 神経堤から遊走してきた交感神経系の細胞が皮質原基に進入することで形成される

p.545

副腎皮質の構造 1 球状帯 : 電解質コルチコイド ( アルドステロン ) を産生皮膜直下の薄い層皮質細胞が球状の塊を形成 2 束状帯 : 糖質コルチコイド ( コルチゾール ) を産生最も厚い層細胞は縦に並び 細胞索を形成 その間を洞様毛細血管が髄質に向かって走行 3 網状帯 : アンドロゲンを産生皮質の最深部網状をなす細胞索からなる

B 副腎皮質ホルモンの 合成 分泌とその作用

ホルモンの分泌様式 CRH:ACTH 放出ホルモン 視床下部の室傍核で産生される ペプチドホルモン 概日リズムやストレスの影響を受ける 糖質コルチコイドによる負のフィードバックを受ける

CRH の分泌 p.529 p530

各ホルモン作用の流れ 視床下部 ( 室傍核 ) 副腎皮質 球状層 下垂体前葉 束状層 網状層

POMC ACTH は POMC のプロセシングにより生じるペプチドホルモンの 1 つ MSH: melanocyte stimulating hormone メラニン細胞刺激作用 脂肪分解作用 βlph: lipotropin メラニン細胞刺激作用 脂肪分解作用

メラノフォア永山追加スライド

副腎皮質ホルモンの生成 ステロイドホルモンはすべてコレステロールから合成される コレステロールは 一部は副腎皮質細胞内で酢酸から合成されるが 多くは特異受容体を介して細胞内に取り込まれた LDL から供給される p.551

副腎皮質ホルモン生合成の主要経路 コレステロール 3-β- ヒドロキシステロイド脱水素酵素 コレステロール側鎖切断酵素 O 21-β- ヒドロキシラーゼ O 11-β- ヒドロキシラーゼ O コルチコステロイドメチルオキシダーゼ 永山追加スライド O HO OHC CH 3 C=O プレグネノロン CH 3 C=O プロゲステロン CH 2 OH C=O 17-α- ヒドロキシラーゼ 11-デオキシコルチコステロン CH 2 OH C=O コルチコステロン CH 2 OH C=O アルドステロン O O O HO CH 3 C=O OH 17-ヒドロキシプレグネノロン CH 3 C=O OH 17-ヒドロキシプロゲステロン CH 2 OH C=O OH 17,20- リアーゼ O 11-デオキシコルチゾール CH 2 OH C=O OH コルチゾール 17-OHCS O デヒドロエピアンドロステロン O 17-KS アンドロステンジオン *C21 ステロイド *C19 ステロイド

11 12 13 18 20-17 16 2 1 19 10 9 8 14 15 3 5 7 4 6 永山追加スライド コレステロール核

コレステロールの合成

コルチゾールの代謝 HO CH 2 OH C=O OH 肝 HO CH 2 OH C=O OH HO CH 2 OH C=O OH O O HO コルチゾール ジヒドロコルチゾール テトラヒドロコルチゾール HO CH 2 OH C=O OH 5 % HO CH 2 OH C=O OH O コルチゾン 尿中または糞便中に排泄 グルクロン酸 -O テトラヒドロコルチゾールグルクロナイド 17-KS 永山追加スライド 尿中遊離コルチゾール (1 日コルチゾール産生量を反映 )

各種ステロイドホルモン ( 作用と分泌機序 ) 1 電解質コルチコイド ( アルドステロン ) @ 主細胞腎集合管 唾液腺 汗腺に作用して Na イオンの再吸収と K イオンの排出を促進 体液量の調節 @ 間在細胞腎集合管で H+ の排出を促進 p.937( 標準生理 )

電解質コルチコイドの分泌機序 p.555

各種ステロイドホルモン 2 糖質コルチコイド ( コルチゾール ) 主な作用 1) 血糖値上昇 @ 肝細胞 : 糖新生促進 @ 筋細胞 : 蛋白質の合成抑制 分解促進 @ 脂肪組織 : 血中への脂肪酸 & グリセロール放出を増加 2) 抗ストレス作用 3) カテコールアミン グルカゴンに対する許容作用 4) 抗炎症作用 5) 認知機能や情動を修飾 6) 骨 Ca 代謝 7) リン脂質の合成に深く関与

負のフィードバック糖質コルチコイドの分泌機序 糖質コルチコイド受容体

腎集合管細胞と受容体 @ 腎集合管細胞 Ⅰ 型受容体 : アルドステロンに高い親和性 Ⅱ 型受容体 : 糖質コルチコイドに高い親和性 糖質コルチコイドもアルドステロンと同程度に Ⅰ 型に結合 糖質コルチコイドの血中濃度は高いため アルドステロンの結合が阻害される 11β-HSD が糖質コルチコイドをコルチゾンに変える

腎集合管細胞でのステロイド受容体 コルチゾール 試験官の中では アルドステロン I 型受容体 II 型受容体 高親和性 11β-hydroxysteroid dehydrogenase 低親和性 コルチゾン 永山追加スライド 酵素異常症酵素阻害剤服用 (licorice) 過剰な電解質作用疑似アルドステロン過剰 (apparent mineralocorticoid excess)

各種ステロイドホルモン 3 アンドロゲン 副腎アンドロゲンは 末梢でテストステロンやエストロゲンに変換されて 性ホルモンとして作用 卵巣機能が低下した女性 副腎が主たるテストステロンの供給源

先天性副腎過形成合成酵素の 3β HSD と P450c21 や P450c11 が欠損している P450c21 欠損 ( 女児の場合 ) 女性仮性半陰陽 ( 男性化現象 ) 糖質コルチコイド ( コルチゾル ) の合成阻害 負のフィードバック ループが切れる ACTH 分泌 アンドロゲン p.938( 標準生理 )

C 副腎皮質の疾患 1 副腎皮質機能亢進症 1 Cushing 症候群 2 アルドステロン症(Conn 症候群 ) - 原発性アルドステロン症 - 続発性アルドステロン症 3 副腎腫瘍 男性化副腎腫瘍 - 女性化副腎腫瘍

C 副腎皮質の疾患 2 副腎皮質機能低下症 1 Addison 病 ( 慢性原発性副腎皮質機能低下症 ) 2 続発性副腎皮質機能低下症

C 副腎皮質の疾患 3 混在型 ( 副腎皮質酵素欠損症 ) 1 21 水酸化酵素欠損症 2 17α 水酸化酵素欠損症 3 3β 水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症 4 11β 水酸化酵素欠損症

1-1 Cushing 症候群 原因 ⅰ. 下垂体腫瘍 ⅱ. 異所性腫瘍 ⅲ. 副腎皮質腫瘍 症状 高血圧 骨粗鬆症 免疫抵抗性の低下 内出血しやすくなるなど 中心性肥満 満月様顔貌

1-1 Cushing 症候群 下垂体腫瘍異所性腫瘍副腎皮質腫瘍 CRH ACTH コルチゾル

1-2 アルドステロン症 ⅰ. 原発性アルドステロン症 (Conn 症候群 ) 原因 : 副腎皮質球状帯からのアルドステロン過剰分泌 症状 : 低カリウム血症 代謝性アルカローシスを伴う高血圧など ⅱ. 続発性アルドステロン症 ( 多臓器の障害により続発?) 原因 : レニン過剰分泌によるアルドステロン分泌の増加症状 : 低カリウム血症 代謝性アルカローシスを伴う高血圧など

1-3 副腎腫瘍 ⅰ. 男性化副腎腫瘍原因 : 副腎皮質腫瘍化症状 : 男性は性早熟女性は男性化 2 次性徴の異常 ⅱ. 女性化副腎腫瘍原因 : エストロゲン産生腫瘍症状 : 男性は女性化女性は性早熟

2-1 Addison 病 ( 慢性原発性副腎皮質機能低下症 ) 原因 : アルドステロン コルチゾール 副腎アンドロゲンの欠乏 症状 : 全身倦怠感 低血圧 低血糖 皮膚色素沈着など

2-2 続発性副腎皮質機能低下症 原因 : 視床下部もしくは下垂体障害による ACTH 分泌の減少 症状 : 全身倦怠感 低血糖 低血圧など原発性に比べ軽度 続発性では皮膚色素沈着が起きない理由 原発性ではACTH 産生と同時にメラニン沈着作用のあるβ-リポトロピンが産生される

3-1 21 水酸化酵素欠損症 コレステロール プレグネノロン 17OH プレグネノロン DHEA プロゲステロン 17OH プロゲステロン アント ロステンシ オン DOC デオキシコルチゾール コルチコステロン コルチゾール 18OH コルチコステロン アルドステロン

3-2 17α 水酸化酵素欠損症 コレステロール プレグネノロン 17OH プレグネノロン DHEA プロゲステロン 17OH プロゲステロン アント ロステンシ オン DOC デオキシコルチゾール コルチコステロン コルチゾール 18OH コルチコステロン アルドステロン

3-3 3β 水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症 コレステロール プレグネノロン 17OH プレグネノロン DHEA プロゲステロン 17OH プロゲステロン アント ロステンシ オン DOC デオキシコルチゾール コルチコステロン コルチゾール 18OH コルチコステロン アルドステロン

3-4 11β 水酸化酵素欠損症 コレステロール プレグネノロン 17OH プレグネノロン DHEA プロゲステロン 17OH プロゲステロン アント ロステンシ オン DOC デオキシコルチゾール コルチコステロン コルチゾール 18OH コルチコステロン アルドステロン

D 1 性ホルモンの合成 性ホルモン 生殖機能をつかさどるホルモンコレステロールから合成されるステロイドホルモン 男性ホルモン : アンドロゲン ( 主に精巣から分泌 ) 女性ホルモン : エストロゲン ( 主に卵巣から分泌 ) 副腎皮質 男女ともアンドロゲンを分泌

性ホルモンの合成 ステロイドホルモン 合成経路は副腎皮質 精巣 卵巣において共通 酵素の有無で最終的に合成されるホルモンが異なるだけ副腎アンドロゲンの主体 : デヒドロエピアンドステロン ( 精巣ではテストステロン ) エストロゲン活性テストステロン > デヒドロエビアンドステロン

性ホルモンの合成 副腎アンドロゲンの律速酵素 コレステロール側鎖切断酵素 下垂体 ACTH によって活性化 p.556

抗炎症作用 1 4 5 5 25 25 0.2 0.2 10 コルチゾールプレドニゾロンメチルプレドニゾロントリアムシノロンベタメタゾンデキサメタゾンアルドステロン DOC フルドロコルチゾン同じ抗炎症作用に必要な量 (mg) 20 5 4 4 0.75 0.75 - - - ナトリウム貯蔵作用 1 0.8 0.8 0 0 0 400 20 125 作用時間短中中長長長短短短合成副腎皮質ホルモンの効力の比較永山追加スライド