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自己免疫疾患の治療ハンドブック 他の医療機関を受診される場合は本剤を服用中である旨を必ず医師にお伝えください 主治医または薬剤師の連絡先 川崎医科大学リウマチ 膠原病学 ( 17 年 3 月印刷 )IS-NK PRG23011A01 教授守田吉孝先生

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イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ


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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

がん登録実務について

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SLE に伴う腎疾患と ANCA 関連 および IgG4 関連疾患について (Ⅰ)SLE 腎疾患 (1)SLE の診断 (2) ループス腎炎の新分類と予後 (3) 抗リン脂質抗体症候群と腎病変 (4)SLE に伴う TTP (Ⅱ)ANCA 関連疾患 (Ⅲ)IgG4 関連疾患 講義公開ブログ位置 :http://ryo1m.cocolog-nifty.com/kuzuryu/

SLE 分類のための 1997 年診断基準 ( 米国リウマチ学会 ) 1. 頬部紅斑 2. ディスコイド疹 3. 光線過敏症 4. 口腔潰瘍 5. 非びらん性関節炎 6. 漿膜炎 a) 胸膜炎または b) 心膜炎 7. 腎障害 a) 0.5g/ 日以上のまたは 3+ 以上の持続性蛋白尿または b) 細胞性円柱 8. 精神障害 a) 痙攣または b) 精神障害 9. 血液異常 a) 溶血性貧血 b) 白血球減少症 <4,000μ/L c) リンパ球減少症 <1,500μ/L または d) 血小板減少症 <100,000μ/L 10. 免疫異常 a) 抗二本鎖 DNA 抗体陽性 b) 抗 Sm 抗体陽性 c) 抗リン脂質抗体陽性 1) IgG または IgM 抗カルジオリピン抗体陽性 2) ループス抗凝固因子陽性 3) 梅毒血清反応生物学的偽陽性のいずれかによる 11. 抗核抗体陽性 診断の決定 上記の 11 項目のうち 4 項目以上を満たす場合 SLE と診断する

ISN/RPS による 2003 年ループス腎炎分類 Ⅰ 型 : 微小メサンギウムループス腎炎 Ⅱ 型 : メサンギウム増殖性腎炎 Ⅲ 型 : 巣状ループス腎炎 Ⅳ 型 : び漫性ループス腎炎 Ⅳ-S 型 : び漫性分節性ループス腎炎 Ⅳ-G 型 : び漫性全節性ループス腎炎 Ⅴ 型 : 膜性ループス腎炎 Ⅵ 型 : 進行した硬化性ループス腎炎

ループス腎炎分類と腎機能予後 Kidney Int 66:2382-2388, 2004

抗リン脂質抗体症候群 (APS) の診断基準案 ( サッポロ基準のシドニー改変 2006 年 ) 臨床所見 1. 血栓症画像診断 ドプラー検査または病理学的に確認されたもので 血管炎による閉塞を除く 2. 妊娠合併症 a. 妊娠 10 週以降で 他に原因のない正常形態胎児の死亡 または b. 妊娠中毒症 子癇または胎盤機能不全による妊娠 34 週以前の形態学的異常のない胎児の 1 回異常の早産 または c. 妊娠 10 週以前の 3 回以上つづけての形態学的 内分泌学的および染色体異常のない流産検査基準 1. 標準化された ELISA 法による IgG または IgM 型抗カルジオリピン抗体 ( 中等度以上の力価または健常人の 99%-tile 以上 ) 2. IgG または IgM 型抗 β2- グリコプロティン I 抗体陽性 ( 健常人の 99%-tile 以上 ) 3. 国際血栓止血学会のループスアンチコアグラント ガイドラインに沿った測定法で ループスアンチコアグラントが陽性 診断の決定 臨床所見の 1 項目以上が存在し かつ検査項目のうち 1 項目以上が 12 週の間隔をあけて 2 回以上証明されるとき抗リン脂質抗体症候群と分類する

血栓性微小血管障害 (TMA) を示す疾患 1. APS( 抗リン脂質症候群 ) 2. HUS( 溶血性尿毒症症候群 ) 1 下痢を伴う典型例 2 下痢を伴わない非典型例 3. TTP( 血栓性血小板減少性紫斑病 ) 1 SLEなどの膠原病に伴うTTP 2 特発性のTTP

血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) (Ⅰ) 5 主徴 1. 血小板減少 2. 微小血管性溶血性貧血 (MAHA) 3. 精神症状 ( 変動性 ) 4. 腎機能障害 (TMA) 5. 熱発 (Ⅱ) 分類 1. 原発性 2. 続発性 (SLE, 妊娠に伴うもの, 薬剤性など )

SLE 及びその近縁疾患の治療 1. SLEの治療 1 ステロイド治療が主体 重症例はステロイドパスル療法 2 難治例やステロイドの副作用出現例では免疫抑制剤の併用特にサイクロフォスファマイド大量点滴間欠投与 ( エンドキサンパスル ) 3 さらに重症例は血漿交換 免疫吸着 大量ガンマグロブリン投与やモノクローナル抗体 ( 抗 CD20など ) 療法 2. APSの治療 1 ワーファリン投与が原則 2 軽症例やワーファリン禁忌例ではアスピリンの投与 3 重要例では血漿交換や免疫吸着 3. TTPの治療 1 単純血漿交換または血漿輸注 2 抗 CD20( リツキサン TM ) の投与

SLE 及び近縁疾患のまとめ SLEでは高頻度に障害が認められる ループス腎炎に対するISN/RPS2003 年の新分類では末期像のⅥ 型を除くとⅣ 型が最も腎予後が不良であり 強力な治療が必要である SLEに伴うことが多い抗リン脂質抗体症候群 (APS) の腎病変は血栓性微小血管障害 (TMA) の像を示す APSは非定型的 SLEに認められることが多く かならずしもSLEの活動性と一致しない APSの治療としては一般的にはワーファリンが使用されるが軽症例ではアスピリンが代用されることもある

ANCA 関連疾患について (Ⅰ)ANCA とその対応抗原 (Ⅱ)ANCA と疾患 1.Wegener 肉芽腫症 2. 顕微鏡的血管炎 3. 半月体形成性腎炎 (Ⅲ)ANCA 最近の話題 1. 肺疾患と ANCA 2. 抗糸球体基底膜腎炎と ANCA 3. 全身性強皮症と ANCA 4. 抗甲状腺薬と ANCA (Ⅳ)ANCA の病因論 (Ⅴ)ANCA 関連疾患の予後と治療

抗好中球細胞質抗体 ANCA:Anti-neutorophil cytoplasmic autoantibody 蛍光抗体染色像 ANCA 対応抗原 関連する疾患 c-anca PR3 Wegener 肉芽腫症 ( 細胞質が均一に染色 ) p-anca MPO 顕微鏡的血管炎 ( 核の周辺のみ線状に染色 ) 半月体形成性腎炎アレルギー性肉芽腫性血管炎 (CSS) PR3:Protenase 3, MPO:Myeloperoxydase CSS:Churg-Strauss syndrome 炎症と免疫 17:32, 1999, 一部改変

Double negative ANCA 蛍光抗体法で ANCA 陽性の血清のうちで ELISA で PR3-ANCA および MPO-ANCA がともに陰性のもの が約 10% の症例で認められこれを Double negative ANCA と呼ぶ この ANCA は血管炎以外に 炎症性腸疾患 自己免疫性肝炎 感染症などで検出される 対応抗原としては BPI, elastase, cathepsin-g などがある

PR3-ANCA と Wegener 肉芽腫症 PR3-ANCAは Wegener 肉芽腫症で80-90% の陽性率を示し 他の疾患での出現率は低く Wegener 肉芽腫症のマーカー抗体である 活動期のWegener 肉芽腫症で特に抗体価が高く 抗体価の推移で治療効果の判定が可能である 臨床的に再発の前に抗体価が上昇するので 再発の予測としても有用である

MPO-ANCA と顕微鏡的血管炎半月体形成性腎炎 近年報告例が急増している 高齢者に多い 半月体形成性腎炎は糸球体という毛細血管の血管炎と考えられる 他の自己抗体陽性例が多い ( 抗核抗体 抗甲状腺抗体など ) 抗体価と疾患活動性が一致しない例もある

ANCA 関連血管炎における肺病変 p-anca (n=14) C-ANCA (n=13) 合計 (n=27) 肺胞出血 11(79%) 8(62%) 19(70%) 血管病変 11(79%) 10(77%) 21(78%) 肺毛細血管炎 9(64%) 8(62%) 17(63%) 気道病変 3(21%) 8(62%) 11(41%) 間質性病変 8(57%) 13(100%) 21(78%) びまん性肺胞障害 9(64%) 7(54%) 16(59%) 胸膜病変 2(21%) 5(38%) 7(26%) Am J Clin Pathol 104:7-16, 1995

肺疾患と ANCA 関連腎炎 肺出血 間質性肺炎の合併例が多い ANCA 関連腎炎の死因の約 50% が上記の合併症による 肺病変先行例が 37.0% 同時例が 40.7% 腎病変先行例が 18.5%

Goodpasture 症候群 Goodpasture が 1919 年に血痰 貧血 急速に進行する腎炎を合併した症例を報告したことにはじまる肺腎症候群

Goodpasture 症候群のまとめ 腎糸球体基底膜 (GBM) および共通する抗原性持つと考えられる肺胞上皮に対する自己抗体によってひき起こされる疾患 臨床的には急速進行性腎炎 肺胞出血を示し ANCA 関連疾患と同様肺腎症候群を呈し 特に予後不良の疾患である 肺胞出血を伴わない例は抗 GBM 型急速進行性腎炎症候群といわれており 腎の予後は不良である 糸球体では IgG が linear pattern を示し沈着 治療法は血漿交換 + ステロイドパルス治療が初期治療として推奨されている

抗糸球体基底膜抗体と ANCA 抗糸球体基底膜腎炎の 20~30% の例で ANCA 陽性である ANCA による糸球体障害で新しい基底膜抗原が露出し 抗糸球体基底膜抗体が産成される可能性がある ANCA と抗糸球体基底膜抗体同時陽性症例は抗糸球体基底膜抗体単独陽性例に比し高年齢であるが 予後はやや 良好という報告がある

全身性強皮症と ANCA 関連腎炎 全身性強皮症で正常血圧腎クリーゼを示す MPO-ANCA 陽性で腎組織は半月体形成性腎炎を示す 治療法は高血圧性腎クリーゼの際の ACE 阻害剤ではなく ステロイドなどの免疫抑制治療が必要である

抗甲状腺薬と ANCA 関連腎炎 抗甲状腺薬特にPTU(Propyluracil) 投与時に発生 MPO-ANCA 陽性で 肺出血 半月体形成性腎炎を示す 発生機序として modified self 仮説がある modified self 仮説 :PTUが白血球のMPOと結合し その構造が変化し 非自己と見なし (modified self) それに対し MPO-ANCAが産生される

ANCA 関連疾患の治療 ステロイド剤経口剤 パルス療法 ( 大量点滴静注法 ) 免疫抑制剤エンドキサンの経口 パルス療法イムラン ブレディニン シクロスポリンの経口 血漿交換 免疫グロブリン大量投与 モノクローナル抗体

ANCA 関連疾患のまとめ c-anca(pr3-anca) はWegener 肉芽腫症のマーカー抗体で その抗体価は疾患活動性と相関する p-anca(mpo-anca) は顕微鏡的血管炎 半月体形成性腎炎で高率に陽性である 肺疾患 抗糸球体基底膜腎炎 全身性強皮症に伴う あるいは抗甲状腺薬投与時のMPO-ANCA 関連血管炎 腎炎が最近注目されている ANCA 関連疾患は高齢者に多く その予後は必ずしも良好ではなく 早期の診断および適切な治療が必要である

IgG4 関連疾患について 1. 血中 IgG4 が高値を示し 全身に IgG4 陽性の形質細胞を中心とした浸潤を認める疾患 2. 浸潤した組織では 腫瘤を形成したり著明な線維化を認め 臓器障害を来す 3. しばしば悪性腫瘍と間違えられ手術療法や化学療法が行われることがあり要注意である 4. 成因は不明で自己免疫疾患またはアレルギー疾患と考えられている 5. 治療法としては少量のステロイドが著効することが多い

全身性疾患としての IgG4 関連疾患 札幌医科大学 HP より :http://web.sapmed.ac.jp/im1/subpage/04_kenkyu/kaisetsu03.html

IgG4 関連疾患のまとめ IgG4 関連疾患では血中 IgG4が高値 (135mg/dl 以上 ) を示すことが多い 侵された臓器では多数のIgG4 陽性細胞の浸潤を認める 関連する疾患としては 自己免疫性膵炎 ミクリッツ病 後腹膜線維症 間質性肺炎 リーデル甲状腺炎 下垂体炎前立腺炎などで 腎臓では間質性腎炎を示すことが多い 治療としては 少量のステロイドが著効することが多いが診断が遅れると 重篤な臓器障害を来すので早期診断 早期治療が必要である