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計測自動制御学会東北支部第 29 回研究集会 (201.6.26) 資料番号 29-7 ステレオマッチングによる物体形状の取得 Acquisition of an Object Shape Using Stereo Matching 吉田寛和, 釜谷博行 Hirokazu Yoshida, Hiroyuki Kamaya * 八戸工業高等専門学校 *National Institude of Technology, Hachinohe College キーワード : ステレオカメラ (Stereo Camera), 三角測量 (Triangulation), OpenCV(Open Source Computer Vision) 連絡先 : 039-1192 八戸市田面木字上野平 16-1 八戸工業高等専門学校産業システム工学科 1. はじめに 釜谷博行,Tel.: 0178-27-7283,E-mail: kamaya-e@hachinohe-ct.ac.jp 近年 3D プリンタや車の自動ブレーキ の普及により 三次元形状を取得する技 術が注目されている 三次元形状を計測 する手法として 2 台のカメラにより構 成されるステレオカメラが挙げられる ステレオカメラに要求される性能として 画像の歪みが少ないこと 左右カメラの 光軸のずれが小さいこと 正確に同期が とれていることなどがある このため ステレオカメラは高価になってしまう 本研究では 一般の人が入手しやすい 安価なステレオカメラを用いることで 三次元形状を計測するシステムについて 検討する 2. ステレオカメラの原理 人間は 物を見るとき 2 つの目で得ら れた視覚情報から三角測量の原理で物体 の距離を判断する ステレオカメラはこ れと同様の原理で 物体の距離を計測す ることができる ここでは 三角測量を 用いた平行ステレオカメラの原理につい て説明する Fig.1 にカメラと物体の関係 図を示す レンズの中心を通り レンズ面と直交 するようにした z 軸を光軸と呼ぶ 光軸 は画像面に垂直になるよう配置されるの で x-y 平面と画像平面が平行になる こ のような座標系をカメラ座標系と呼ぶ ステレオカメラでは カメラを 2 台使用 するのでカメラ座標も右と左の 2 つ存在 する 2 つのカメラ座標を平行に並べる ものとすると 右カメラのレンズ中心を 原点とした座標 (P xr,p yr,p zr) は 左カメラ のレンズ中心を原点とした座標 1

(P x,p y,p z ) とカメラ間隔 h を用いて P xr = P x h { P yr = P y (1) P zr = P z と表すことができる このとき レンズ を通して対象物 p をスクリーンに投影す ると 実像となるので上下が逆転し 非 常にわかりづらい そこで 仮想的に画 像面をレンズ中心の前に置くと 像が上 下逆転せずに投影されるので 扱いやす くなる 実像と大きさを等しくするため に 画像平面は焦点距離 f に置かれる 画像平面に投影された対象物 p の座標を 左は (x,y ) 右は (x r,y r) とすると 相似 三角関係より X l (a) Px x = z = f Px Pz Pz { Py y = z = f Py Pz Pz Pxr xr = zr = f Pxr Pzr Pzr { Pyr y r = z r = f Pyr Pzr Pzr (2) (3) が得られる ここで式 (1) を式 (3) に代入す ると Px h xr = f = f Px f h = x f h Pz Pz Pz Pz { (4) y r = f Py = y となり 式 (4) より P z = fh x xr Pz () が得られ 対象物までの距離が求められ る 分母 x x r は視差を表している 視差 とは 左右のカメラで見える同じ特徴点 の画像平面の x 座標の差である (b) Fig.1 The principle of stereo camera 3. 開発環境 3-1. システム構成本研究を行うにあたって 使用したシムテム構成をFig.2に示す 本システムはパソコン1 台とステレオカメラ1 台から構成される 使用したパソコンはSONY VAIO (Windows7(64bitOS),Intel CORE i-2430m, メモリ 4GB, クロック 2.4GHz) である 2

みがあると マッチングに失敗する ま た 式 () より距離を計算するためには USB Fig.2 System configuration 3-2. ハードウェアステレオカメラには 安価な Ovrvision1 [1] を使用した このカメラの性能を以下に示す カメラの焦点距離を求める必要がある そこで カメラキャリブレーションを行う キャリブレーションとは カメラの特性を表す内部パラメータと 外部の世界に基づいた座標系 ( ワールド座標系 ) とカメラ座標系の関係を表す外部パラメータを求める手法である 具体的なパラメータの内容をTable 1に示す [3] 画素数 :1280 480ピクセル (640 480ピクセル 2) 最大フレームレート :60fps インターフェース :USB2.0 カメラ間距離 :0mm 大きさ :86 36 画角 ( 対角 ):13 3-3. ソフトウェアソフトウェアの開発にはMicrosoft Visual C++ 2010 Expressを使用した コンピュータービジョンライブラリには OpenCV2.4.9を使用した カメラキャリブレーションや色の識別 座標の取得には OpenCVの関数を使用した [2] ステレオカメラからの画像の取得には Ovrvision SDK Version 2.1 [1] を使用した 内部パラメータ 外部パラメータ Table 1 Parameter カメラ自体の特性 焦点距離 f レンズ歪み係数 k 1 k 2 p 1 p 2 k 3 画像中心 (u 0,v 0) カメラの位置と姿勢 回転 R 平行移動 t キャリブレーションには ワールド座 標の三次元空間中の物体を二次元画像に マッピングするモデルが必要である 本 研究ではキャリブレーション用の物体と して Fig.3 に示す 6 9 のチェスボード ( 白黒の正方形が交互に並んだパターン ) を使用した 4. 前処理 前処理としてキャリブレーションと画 像の平行化について説明する 4-1. キャリブレーション ステレオマッチングを行うにあたって Y 軸上のずれやレンズによる特徴点の歪 Fig.3 Chessboard 3

4-2. 画像補正キャリブレーションより得られたパラメータを用いて レンズによる画像の歪み補正と左右画像の平行化を行った Fig.4に補正前の画像 Fig.に補正後の画像を示す 右カメラのカメラ座標 f x 0 u 0 312.0 0 309.6 [ 0 f y v 0 ] = [ 0 312.2 29.1 ] 0 0 1 0 0 1 平行化より得られた新しいカメラ座標 f x 0 u 0 381. 0 278.6 [ 0 f y v 0 ] = [ 0 381. 229.3 ] 0 0 1 0 0 1 Fig.4 Before paralleled Fig. After paralleled. 実験内容 -1. 準備実験を行うにあたって 以下の準備を行った まず OpenCVの関数を用いてステレオカメラのキャリブレーションを行い 左右のカメラのパラメータを取得した [4] 取得したパラメータより レンズによる画像の歪み補正 左右画像の平行化を行った キャリブレーションにより取得した内部パラメータの結果は 左カメラのカメラ座標 f x 0 u 0 309.8 0 319.9 [ 0 f y v 0 ] = [ 0 313.4 276.7 ] 0 0 1 0 0 1 となった 次に 対象物体をカメラの前に置き カメラからの距離を変化させて画像を取得した カメラからの距離は10mm~ 40mmを0mm 間隔で行った 対象物体にはあらかじめカラーマーカーを取り付けておき 画像上におけるマーカーの座標を取得することでカメラからマーカーまでの距離を計測する 対象物体 ( 一辺 100[mm] の立方体 ) とマーカーをFig.6に示す Fig.6 Target object and marker -2. 人間による対応点の指定初めに 左右画像の対応点を人間がそれぞれマウスで指定することで距離を計測する実験を行った 実験手順は以下の通りである 1. 取得画像の読み込み 4

Error rate[%] Distance[mm] Ditance[mm] Error rate[%] 2. 画像の補正 3. 左画像における対応点の選択 ( マウスでのクリックにより指定 ) 4. 右画像における対応点の選択 ( マウスでのクリックにより指定 ). 各対応点のx 座標 y 座標を表示 6. 手順 で得たx 座標より式 () を用いて距離を計算 7. 結果の表示 10 0 10-20 30 40-10 Fig.8 Error rate(red marker) 今回は 赤色と黄色のマーカーを使用し 対応点としてマーカーの左端を選択した 実験結果をFig.7からFig.10に示す 誤差率のFig.8とFig.10には 読み取り誤差を考慮して ±1ピクセルのずれがあった場合についてエラーバーで示した 誤差率の平均は 赤色 1.6% 黄色 1.3% となった 00 400 300 200 00 400 300 200 100 Theoretical value Experimental value Fig.9 Comparison result (yellow marker) 100 Theoretical value Experimental value Fig.7 Comparison result (red marker) 10 0 - -10 Fig.10 Error rate (yellow marker)

Error rate[%] Distance[mm] -3. 対応点探索の自動化 自動で対応点を探索し 対象物体まで の距離を計測する実験を行った マーカーの色認識をすることで対応点 を決定した 色認識の手法には色の減算 処理を用いた この処理は取得画像を RGB に分割し 次の式にあてはめることによ り行った 左辺が色を減算した結果であ る R = R G B = B R { Y = G B G = G R (6) (R:red, B:blue, G:green, Y:yellow) この減算処理を行った画像を二値化す ることで色領域を抽出する このときの 閾値は 100 とした 実験手順を以下に示す 1. 取得画像の読み込み 2. 画像の補正 3. 色の減算処理 4. 画像の二値化 ( 閾値 :100). 領域面積が最大の部分のみ選択 6. 左画像における対応点の探索 7. 右画像における対応点の探索 8. 各対応点の x 座標 y 座標を表示 9. 手順 8 で得た x 座標より式 () を用いて 距離を計算 10. 結果の表示 実験結果を Fig.11 Fig.12 に示す 人 間が対応点を指定する実験と同様 赤色 マーカーと黄色マーカーを認識して対応 点の探索を行った 赤色マーカーは正し く認識することができた このときの誤差率の平均は2.2% となった 一方 黄色のマーカーは 減算処理より抽出された領域面積が小さすぎたため 正しく認識することができない場合もあった 00 400 300 200 100 Theoretical value Experimantal value Fig.11 Comparison result (red marker) 10 0 - -10 Ture Distance[mm] Fig.12 Error rate (red marker) 6. リアルタイム形状取得対応点探索の自動化により リアルタイムでの対象物体の形状取得を行った マーカーには 黄色 赤色 青色 緑色を用いた それぞれの色の検出には式 (6) を用いた この実験で得られたマーカー座標を Table 2に示す 6

Table 2 Acquisition of an Object Shape Color X[mm] Y[mm] Z[mm] Red 164.4 132.7 134.3 Yellow 7.7 134.9 140.3 Blue 1.6 180.6 238.4 Green 237.2 170.9 221.8 ユークリッド距離を計算したところ Fig.13のようになり 精度があまり良くなかった この原因として 取り付け時のマーカーの位置ずれ 緑色マーカーの x 座標取得の失敗などが考えられる なお 取得にかかった平均時間 123.9 [ms] となった Fig.13 Measured object shape 7. まとめ安価なステレオカメラを用いて 左右の画像でのマーカーの視差よりカメラから対象物体までの距離を求めた 人間により対応点を指定した場合は 誤差率が平均で1.6[%] 以内となった 対応点探索の自動化では 赤色マーカーについては 人間による対応点の指定と同程度の精度で取得することができた しかし 黄色のマーカーについては 対象物までの距離が離れるにしたがってマ ーカーの領域面積が小さくなり 対応点を取得できない問題も生じた リアルタイムでの物体形状の取得では マーカーの取り付け位置が悪いなどが原因で あまり精度が良くなかった 8. 今後の展望今回 物体形状の取得を行うために4 色のマーカーを用いて対応点を探索した 対応点として領域面積の左端を選択した 誤差率を小さくするためには 重心座標を計測すべきであると考えられる また 複数色のマーカーを使用する方法では 複雑な形状を取得する際にマーカーの種類が増えてしまい 形状の取得が困難となることが予想される そこで マーカーの色を単色にし 同じY 座標内で領域面積を比較することで対応点を探索する方法を検討している リアルタイムでの形状取得では 座標の取得はできたが 処理速度が遅く 精度もあまり良くなかった 今後は 処理速度の高速化と精度の向上について検討していきたい 参考文献 [1] しのびや.com, http://dev.ovrvision.com/doc_ja/ (201 年 6 月 ) [2] OpenCV.jp, http://opencv.jp/ (201 年 6 月 ) [3] 出口光一郎 ロボットビジョンの基礎 コロナ社 (2000) [4] Gray Bradski and Adrian Kaebler, 詳解 OpenCV コンピュータビジョンライブラリを使った画像処理 認識 (2009) 7