JapaneseSociety Society of Psychosomatic Medicine Shinshin-Igaku en:629-6ss,1994 Original Development and Validation of a New Mood Inventory YujiSakan

Size: px

Start display at page:

Download "JapaneseSociety Society of Psychosomatic Medicine Shinshin-Igaku en:629-6ss,1994 Original Development and Validation of a New Mood Inventory YujiSakan"

ちとらかたづ
4 years ago
Views:

1 JapaneseSociety Society of Psychosomatic Medicine Shinshin-Igaku en629-6ss,1994 Original Development and Validation of a New Mood Inventory YujiSakano,PhD* Tomomi Fukui,MA HiroakiKumano, MI)'* Harumi Horie,MD Kenshi Kawahara, MD"* Haruyoshi Yamamoto, MD Shinobu Nomura, MD** Hiroyuki Suematsu,MD Abstraet The purpose of this study was to developand validate an instrument to rneasure the individual's rnood state. Aiterthe selection of items which state the individual'stempoary mood, ancl their factor analysis with 404 male and femalesubjects. scale develepmentresulted in a 4e-items Mood Inventory with fivefactorstenslen and excitement, mood, and anxious mood. refreshing rnood, fatigue,depressive Psychornetric evaluation by test-retest method, odd-even method, and parallel test method suggested that the Mood Inventoryis internallyconsistent and has well eneugh high reliability and validity. A comparative study among patients with psychesornatic diseases, patients with physical illness,and healthysubjects, revealed that patients with psychosomatic diseases showed significantly higherscores of tension and excitement, fatigue,deptessive mood, and anxious mood than healthysubjects, and that the healthy subjects showed significantly bigherrefreshing mood score than other clinical subjects. It was suggested that tbe Mood Inventoryhasconsiderably high discriminant validity and eneugh potential forthe clinical and research application, -'LREIdel'v'edseptember -'- 2o,lgg3- * Schooloi Hurnan Sciences,Waseda University. ** Department of Psychosomatic Medicine, Faeuly of Medieine, The University of Tokyo. **' Department ef Psychesomatic Medicine,Yokohama RosaiHospital. Address Yuji Sakano School of Human Sciences,Waseda University, ,Mikajima, Tokerozawa City,Saitarna359,Japan.,asfiX.1994 ff 12 A,ss 34 ig ut 8 e NII-Electronic NII-Electionic Libiaiy Library Service

2 630 新しい気分調査票の開発とその信頼性妥当性の検討坂野雄二 * * ** 川原健資福井知美山本晴義熊野宏昭野村忍 * * * * 堀江はるみ末松弘行 1. 問題と目的個人がどのような心理的状態にあるかを調べる方法は, 大きく 2 つに分けることができるその 1 つは生理学的指標や生化学的指標を用いる方法であり, これまで様々な指標が用いられてきた 1 ) 一方, 個人の心理的状態を測定する方法としては, これまで, 抑うつ感や不安感などの特定の心理的反応を測定する評定尺度を用いることが一般的であった 2 3 ) 確かに, 個人にある程度一貫して認められる特性として個人の心理学的特徴を理解することは重要であり, それによって個人の心理学的特徴を考慮した介入を考えることが可能となるところが, 患者が訴える心理的反応は, いらいらやだるさ, 落ち込みといった主観的な気分の変調であることが多く, こうした気分の変調についてはこれまで, 治療者が自らの経験に基づいて理解することが一般的であった個人の心理的状態を理解するためには, 個人の特性としての心理学的特徴だけではなく, 状況との関わりの中で刻々と変動している心理的反応である気分状態を客観的に査定することが必要であるが, 個人のおかれている主観的な気分状態を多面的に評価できる査定用具は少ないのが現状であり, 本邦ではわずかに POMS の日本版が開発されているのみである 4 ) * * * * * * 1993 年 9 月 20 日受稿ユ, 994 年 1 月受理早稲田大学人間科学部 ( 359 所沢市三ケ島 , 康科学科 ) 東京大学医学部心療内科横浜労災病院心療内科早稲田大学人間科学部人間健そこで本研究では, 気分の変化を短時間のうちに, しかも客観的, かつ多面的に測定することのできる尺度 ( 気分調査票 ) を作成し, 心理測定学的な立場から信頼性と妥当性を検討することにってその標準化を行うことを目的とした 1. 気分調査票の作成 II. 方法 a. 項目の準備個人の特性や気分状態を査定するためにこれまでしばしば使用されてきた尺度のうち,POMS, SDS,STAI, および, 敵意的攻撃的感情を測定する HAI5 ), 身体的リラクセーション感を測定する Relaxationlnventory6 ) の 5 尺度を参考としながら, よ気分状態を測定するために適していると思われる項目を選択し,43 項目の第 1 次項目プールを作成したなお, 項目の選択は本研究の目的を熟知しない臨床心理学専攻の大学院生, および学部生 2 名が行い, その両者の判断が一致した項目を第 1 次項目プールに含み入れた次に, 第 1 次項目プールに含まれる質問に対して, それらがどれだけ自分に当てはまるかについて, 首都圏の私立大学に在籍する心身ともに健康な男女大学生 100 名に 4 段階評定を求め, その因子分析結果から因子負荷量の小さい 11 項目を除外したさらに, 臨床心理学を専門領域とする心理学者, 心身医学を専門領域とする医師, および Key words Mo d 工 nventory ( 気分調査票 ),de pressive moqd ( 抑うつ感 ),anxious 皿 Qod ( 不安感 ),reliability ( 信頼性 ),validity ( 妥当性心身医 1994 年 12 月第 34 巻第 8 号

3 631 心理臨床経験のある臨床心理学専攻の大学院生の 3 名が, 患者が気分を表現する言葉, および気分の変調を訴える際にしばしば用いられる表現をリストァップし, その 3 者の判断が一致した項目を新たに 27 項目追加し, 合計 59 項目の第 2 次項目プールを作成した b. 被検査者首都圏の国私立 4 大学に在籍する心身ともに健康な大学生 286 名 ( 男子 165 名, 女子 121 名 ), および首都圏に在住する一般成人 118 名 ( 男子 57 名, 女子 61 名 ) の計 404 名年齢は, 学生群は歳 (20.3 ± L7 歳 ) であり, 一般成人群は歳 (39.5 ± 12,5 歳 ) であった c. 教示次の項目をよく読んで, 今のあなたの状態に最もよく当てはまると思う番号に丸印をつけて下さいとの教示の後に記入例が示され, 前述の 59 項目が示された各項目への回答は 1 ( 全く当てはまらない ) から 4 ( 非常に当てはまる ) までの 4 件法で行われた 2. 心理測定学的検討 a. 平行検査の実施 ; (1 ) 被検査者心身ともに健康な男女大学生 286 名, および一般成人 118 名で, 上記の被検査者と同一である (2 ) 平行検査 ; 平行検査として STAI S,SDS. POMS を使用した気分調査票の緊張と興奮因子の得点には POMS の不安緊張因子と STAI S の得点を, 爽快感因子の得点には POMS の活気因子の得点を, また, 疲労感因子の得点には POMS の疲労因子の得点を, 抑うつ感因子の得点には SDS の得点を, さらに不安感因子の得点には STAI S の得点を対応させることによって検討を行った b. 再検査の実施 (1 ) 被検査者 ; 気分調査票作成時の被検査者の中から任意に抽出された大学生 44 名 ( 男子 17 名, 女子 27 名 ) である (2 ) 実施時期第 i 回目の回答から 1 カ月後に第 2 回目の回答を求めた. C. 臨床的妥当性の検討二臨床的妥当性を検討するために, 以下の 4 群の被検査者が設定された一般外来群首都圏近郊にある個人病院 ( 内科皮膚科胃腸科泌尿器科 ) の外来患者 77 名 ( 男子 36 名, 女子 41 名 ) 年齢は歳 (52.1 ± 19.2 歳 ) 心療内科群首都圏近郊にある総合病院心療内科の外来患者 81 名 ( 男子 30 名, 女子 51 名 ) 年齢は歳 (36.8 ± 14.4 歳 ) 一般成人群および学生群前記の一般成入群, および学生群のデータを使用した 1. 因子分析結果 IIL 結果主因子解を求めた後バリマックス回転を行い, 5 因子を抽出したそれぞれの因子を特微づけると判断された項目は, 各因子ともに 8 項目であったなお,Table 1 に本研究の結果作成された気分調査票の全項目を示すまた, 得点を 5 段階評定値に換算したものが Table 2 である. 第 1 因子に負荷量の高い項目は, 興奮している, 気分が高ぶってじっとしておれないなどの項目であり, これは子であると解釈することができる緊張と興奮に関する因第 2 因子には心静かな気分だ, 頭の中がすっきりしているなどの項目が含まれ, これは爽快感を表す因子, また, 第 3 因子では何もしたくない, 物事に気乗りがしないなどの項目に負荷が高く, 疲労感を表す因子であると考えられるさらに第 4 因子は気持ちがめいっている, 気分が沈んで憂うつであるといった項目を含み, これは抑うつ感を表す因子であると考えられるまた, 第 5 因子には将来のことをあれこれ考えてしまう, なんとなく不安だといった項目が含まれ, 主観的な不安感を表す因子であると解釈される寄与率は, 第 1 因子から第 5 因子までそれぞれ 9.57 %, 10.34%,10.75%,10.74 %,6,87% であった累積寄与率は第 5 因子までで % となり, 5 因子で分散のほぼ半分が説明されている以上のような手続きによって選択された 5 因子各 8 項目, 合計 40 項目を最終的な項目として気分調査票が作成された 2. 信頼性の検討 Table 3 は, 再検査法, および折半法を用いて信頼性係数を求めた結果をまとめたものであるまず, 再検査法によって信頼性を検討するために, 検査再検査間の得点について因子ごとの得心身医 1994 年 12 月第 34 巻第 8 号

4 Japanese Japar ユ Society of Psychosomatic Medicir Medicine ユe 632 Table l Results of factoranalysis of the Mood InventoryFactors Items 1 1 皿 IV V 1.Tension and excitement ( =.70) α 3 興膏している 24 気分が高ぶってじっとしていられない 33 緊張している 4 そわそわしている 31 怒っている 40 焦っている 13 いてもたってもいられない 1 いらいらしている一〇 , 皿.Refreshing mood (α=.87) 36 心静かな気分だ 39 頭の中がすっきりしている 29 くっろいだ気分だ 23 物事を楽にやることができる 17 生き生きしている 28 元気いっぱいである 14 気持ちが引き締まっている 38 充実している一 23 一〇 7 一 o ユ.13. ユ 1 一一 56 一 55 一一.Ol.18 一〇 5.13 一一 35 一.03 一 ,34 一ユ一一〇 3,07 一〇 2 一 12 皿.Fatigue(α =.84) 15 何もしたくない 21 面倒くさいユ 1 物事に気乗りがしない 16 しらけている 30 わけもなく疲れたような感じがする 35 集中できない 22 ぐったりしている 37 誰にも話しかけられたくない. ユ 0. ユユ 0. ユ , , ,05 IV.Depressive mood (α=.91> 5 気持ちがめいっているユ8 気分が沈んで憂うつである 2 みじめだ 20 がっかりしている 12 気が重い 10 つらい 27 むなしい 26 一人きりのようでさみしい, ユ ,2 ユ. ユ 3.39, V.Anxious mood ( α =.82) 8 将来のことをあれこれ考えてしまう 19 なんとなく不安だ 25 いろんな思いが心をよぎる 7 自分のことが気になる 32 とまどいを感じている 9 自分の考えがまとまらない 6 何か具合の悪いことが起 ζ りはしないか心配だ 34 何か物足りない一〇 3.37,14.14 一〇 , 一 SS of FactorLoadings Centribution(%) Cum,Contribution (% ユ ,66 4, ,27 心身医 1994 年ユ 2 月第別巻第 8 号 NII-Electronic N 工工一 Library Service

5 633 Table 2 Five. point scores of the Mood Inventory Scores Mood state low rather Iow mediate rather high high Adults Tension and excitement Refreshing mood Fatigue Depressive mood Anxious mood Students Tension and excitement Refreshing mood Fatigue Depressive mood Anxious mood 一一一一 Table 3 Coeficientsof reliability of the Mood Inventory Factor8 I 皿皿 IV V *P.05 Pearson, S r between test and retest.75 * 串 *.68 * 申.79 Spearman Brown s coet 五 cient of reiiability.96.go 点の相関係数を求めたところ, Table 3 に示すように, 両検査間の相関係数は高いものであったまた, 再検査における有効回答に対して, 気分調査票を各因子 4 項目からなる部分テストに分割し, スピアマンブラウンの公式に従って各因子別に信頼性係数を算出したところ, 信頼性係数はいずれの因子においても高い値が得られた一方, 内的整合性によって信頼性を検討するために, 学生群と一般成人群の計 404 名の回答を対象として α 係数を算出したところ, 第 1 因子から第 5 因子までそれぞれ.70,.87,.84,.91,.82 という値が得られた (Table 1 参照 ) これらの結果はいずれも, 気分調査票が高い信頼性をもっていることを示している 3. 妥当性の検討 a. 内容的妥当性と因子的妥当性気分調査票の目的は, 個人の一時的な気分状態を測定することである先に述べたように, 項目の選択にあたっては, 個人の主観的な気分状態を記述した項目が準備され, 因子分析の結果に基づいて緊張と興奮爽快感疲労感抑うつ感不安感という 5 因子に含まれる合計 40 の項日が気分調査票を構成する項目として抽出された各因子の内容については上に述べたとおりであるが, これらの因子はいずれも個人の一時的な気分状態を示すものであり, 何らかの不適応的な心理的変化がみられたときの代表的な気分状態として指摘されてきたものである 7 S ) こうした気分調査票の作成過程と因子の解釈を考えると, 気分調査票は内容的妥当性と因子的妥当性をもっると判断することができるてい b. 併存的妥当性の検討 ; 第 1 因子から第 5 因子までの各因子別得点と各平行検査の得点の間で相関係数を求めたところ, 緊張と興奮因子の得点と POMS の不安緊張得点との間には.67, STA 工一 S 得点との間には.66 という値が得られたまた, 爽快感因子の得点と POMS の活気得点との間には.83, 疲労感因子の得点と POMS の疲労得点との間には.78, 抑うつ感因子の得点と SDS 得点との間には 70 という値が得られたさらに, 不安感因子の得点と STAI S 得点との問の相関は.74 という値であったいずれの因子に関しても平行検査との間にはかなり高い相関係数の値が得られていることから J 気分調査票は高い併存的妥当性をもっているということができる C 臨床的妥当性の検討各群の気分調査票各心身医 1994 年 12 月第 34 巻第 8 号

634 Table 4 Means and SDs of scores of the MQod Inventory Factors Students Adults Tension and excitement Refreshingmood FatigueDepressive AnxiOus moed mood 寧 13.18 (4.33) 18.87 (4.70) 16,66 (4,95) 15.

6 634 Table 4 Means and SDs of scores of the MQod Inventory Factors Students Adults Tension and excitement Refreshingmood FatigueDepressive AnxiOus moed mood 寧 (4.33) (4.70) 16,66 (4,95) (5,83) (4,71> (4,45 ) 2 ユ.31 (4.98) 15,00 (4.87 ) (5.04 ) (4.86) Patients with Patients with PSD physical illness (5,59) (4.31) ユ 8.41 (5.70) 18,44 (6.73) 2 ユ.32 (6.25> (4.25) (4,71) (4.80) 13,36 (5.03 ) (4,88) * Means (SDs ) 因子別平均値と標準偏差を示したものが Table 4 である各因子の得点について群を要因とする 1 要因の分散分っ析を行たところ, すべての因子において群の主効果が有意であった ( 緊張と興奮する力をもち, 高い臨床的妥当性をもっいうことができる IV. 討論ていると F = 12.29, 爽快感 F 15.67, 疲労感 F 二 9.72, 抑うっ感 F = 15.44, 不安感 ; F = 19.97, 自由度はいずれも 3 と 558,p.001 ) 心理的状態の内省として報告される認知的反応には, 時間を越えてかなり一貫した反応スタイルとして存在し, 持続的でしかも将来の経験や行為そこで, 各因子ごとにテユーキー法による多重に影響を及ぼす人格特性に相当するものと, ある比較を行ったところ, 厂緊張と興奮因子では, 心療内科群が他の 3 群に対して有意に得点が高いという結果であった (p <.01 ) この結果は, 心療内特定の状況で個入に一時的に引き起こされた内的な反応であると判断できるものという 2 つのタイプがある 9 ) 臨床場面で患者の心理的特性を理解科受診群の被検査者が緊張と興奮を高くもつことし, それを考慮した介入を行うとき, 反応スタイを示している第 2 因子の爽快感因子については, 一般成入群が他の 3 群に対して有意に得点ルとしての性格特性と, ある特定の状況で一時的に引き起こされた内的な反応の両者を理解しておが高かった (p.01 ) この結果は, 心身症あるいかなければならないというのも, 患者の訴えるは何らかの疾病によって医師を受診している者の爽快感が, 健康な状態にあると思われる一般成人よりも低いことを示しているまた, 学生群では, 授業中に調査表の記入を求めたために本因子の得点が低くなったものと考えられる一方, 疲労感因子については, 心療内科群が一般成人群一般外来群に対して有意に得点が高く, 抑うつ感因子と不安感因子については, 心療内科群が他の 3 群のいずれに対しても有意に得点が高いという結果であった ( いずれも p <.Ol ) これらの結果は, 心療内科受診群は他群にべ比疲労感と抑うつ感, および不安感が強いことを示している心理的反応が人格特性に基づくものであるか, 何らかの刺 iklc よって誘発された一時的な気分状態であるかによって介入の内容は異なてくるからっである先に指摘したように, 反応スタイルとしての特性を測定する方法はこれまで数多く開発されてきたしかし, 個人のその時々の気分状態を測定する簡便な尺度はみられなかったのが現状である本研究の目的は, そうした気分状態を測定するための尺度を作成することであった本研究の結果作成された気分調査票は, 心理測定学的な検討の結果, 高い信頼性と妥当性をもつことが明らかにされたまた, 臨床群と健常群との比較から, 抑うつ感や不安感が高いと考えられ以上の結果から, 一般に抑うつ感や不安感が強る心療内科患者群が, 一般外来を受診している患いと考えられる心療内科群では, 緊張と興奮抑うつ感疲労感不安感の 4 因子において他の 3 群よりも有意に得点が高く, 爽快感において得点が低いということがわかるこれらのことから, 気分調査票は気分の変化を十分に弁別者, および一般成人と学生の各群に比べて, 緊張と興奮疲労感抑うつ感不安感の 4 因子において有意に得点が高く, 逆に爽快感が低いという結果が得られ, 気分調査票が臨床的妥当性を備えていることも明らかにされたただ, 心身医 1994 年 12 月第 34 巻第 8 号

635 個人の気分が変化したと思われるとき, を気分調査票によっいその変化て検出することができるかとう点に関しては, 今回の方法論からは明らかではないこれまで, 心身症患者を対象として, 症状の変化と気分調査票の得点の対応関係をみた研究において, 気分調査票の得点の変化と症状の変化には関連のあることが示されているが 1 ), こうした観点から気分調査票の臨床的な妥当性を検証

7 635 個人の気分が変化したと思われるとき, を気分調査票によっいその変化て検出することができるかとう点に関しては, 今回の方法論からは明らかではないこれまで, 心身症患者を対象として, 症状の変化と気分調査票の得点の対応関係をみた研究において, 気分調査票の得点の変化と症状の変化には関連のあることが示されているが 1 ), こうした観点から気分調査票の臨床的な妥当性を検証することが今後さらに必要とされる課題であるところで, 本調査票で測定される気分状態は, 上に述べられた心理的状態のうち, ある特定の状況で一時的に引き起こされた心理的反応である緊張と興奮と不安感は, Spielberger i) のい行に伴う気分の変化を把握するとともに, 治療の進行に伴う気分状態の長期的な変化の査定を行っているが, 気分調査票は, 治療の進行に伴う患者の心理的状態をその時点において, あるいは継時的に把握するための査定用具として活用することができる第 2 の利用方法は, 例えば自律訓練法を指導している際, 十分な弛緩状態が得られたかどうかの判断はこれまで, 対する内的知覚自律神経系の諸反応に ( 例えば皮膚温の上昇に対する温 15 感の知覚 ) によるか, 主観的な安静感に関する内省報告によることが少なくなかった IS ) このとき, 主観的安静感は一時的な気分状態に対応していると考えられるが, 本気分調査票を用いることう状態不安に相当するものであると考えられるによって, その個人の気分状態, あるいは, リラただし, 緊張と興奮因子に含まれる反応が不安の身体的生理的反応の知覚に対応した気分状態であるのに対し, 不安感因子に含まれる反応は, 不安の認知的側面を表す気分状態であると考えられるまた抑うつ感は, これまで BDIi2 ) や SDS によって測定されてきた抑うつ状態に対応する気分状態であると考えられるこれらの因子で示される気分状態は, 不適応的な心理的変化がみられたときの代表的な気分状態であり, 気分調査票はこうした気分状態を的確に捉えることができるものと考えられるさらに疲労感も, 個人の気分状態のひとつであると指摘されてきたものである 13 ) 一方, 緊張と興奮疲労感抑うつ感不安感がいわばネガティブな方向での気分の変化であるのに対し, 状態である爽快感はポジティブな気分爽快感因子を構成する項目をみると, それはいわゆるすっきりとした覚醒状態に相当するものであり, 意欲的で活気にあふれた活動状態の準備状態にあたるものである 14 ) これらのことから, 気分調査票に合まれる 5 つの因子は, 7 個人の一時的な気分状態 8 ) を十分に反映していると考えることができるさて, 気分調査票には, 大きく 2 つがあると考えられる行っの利用方法第 1 に, 何らかの介入をている最中の患者の心理的状態を把握するために用いることができる坂野ら 10 ) は, 気分調査票を用いて 1 回の治療セッションの中で治療の進ックスに伴う心理的変化を即座に捉えることができると考えられる個人の心理的状態をよりよく理解するためには, 状況との関わりの中で, 刻々と変動している心理的反応である個人の気分状態を短時間のうちに, しかも多面的, 客観的に査定することが必要である今回作成された気分調査票は, こうした個人の一時的な気分状態を査定するために開発されたものであるが, 今後の活用が多いに期待される文 1> 石川中心身医学入門. 南山堂,1977 2) 福田一彦, 小林重雄日本版 SDS. 三京房, ユ ) SpielbergerCD,GorsuCh RL,LusheneRE ; STAI Manual for the State Trait Anxiety Inventory.ConsultingPsychologistPress, > 横山和仁, 荒記俊一, 川上憲一. 他 POMS ( 感情プロフィール検査の信頼性および妥当性の検討. 日本公衛誌 , ) 秦一士 ; 敵意的攻撃インベントリーの作成. 心理学研究 , )CristDA,Rickard HC,Prentice Dunn S,et a1 The Relaxat 三〇 n Inventory; Self report scales of relaxation training effects. JPers Assess ,1989 7)Barlow DH Anxiety and Its Disorders.Guil ford,new York,1988 8)Trower P,Casey A,Dryden W Cognitive Behavioural Cotinselingin Action.Sage Pub, London,1988 9) 坂野雄二認知とは何か. こころの科学 , ユ 993 献心身医 1994 年 12 月第 34 巻第 8 号

8 Japanese Soclety Society of Psychosomatic Psychosomatlc Medlclne Medicine ) 坂野雄二, 福井知美, 高島香代子, 他 α 波フィードバック光駆動装置による心身症患者の治療効果の検討, ヒューマンサイエンスリサーチ , ) Spielberger CD Theory and research on anx. iety. In Spielberger,CD ed.anxiety and Behavior. Academic Press,New York,pp 3 20, )Beck AT,Rush AJ,Shaw BF, et a1 Cognitive Therapy of Depression.Guilford Press, New York, )American Psychiatric Association DSM M R, APA, ) 相馬一郎, 春木豊, 野呂影勇 ; 健康感尺度の作成. 相馬一郎 ( 研究代表者 ) 健康にかかわる心理学的諸要因の分析 ( 平成元年度文部省科学研究費補助金研究成果報告書 ),pp 1 13, ) 松岡 Pt 一, 岡孝和, 三宅徳雄, 他 ; 自律訓練法と指尖容積脈波一自律訓練法の自律神経機能に及ぼす影響について, 自律訓練研究 12 ;49 56, ) 曽我祥子, 松永一郎自律訓練法 ;C よる不安低減効果, 自律訓練研究 SIII.1 lff 第 36 回日本神経学会総会会長高橋昭 ( 名古屋大学名誉教授, 東海中央病院院長 ) 日時 1995 年 5 月 17 日 ( 水 ) 19 日 ( 金 ) 会場名古屋国際会議場 (Nag ya C ngress Center, 白鳥センチュリープラザ ) 456 名古屋市熱田区熱田西町 1 1 ( 市営地下鉄名城線日比野駅から徒歩 5 分 ) プログラム ( 曾 Fax O ) 会長講演, 招待講演 1 題特別講演 1 題教育講演 3 題, シンポジウム 13 題ラウンドテーブルディスカッション 1 題, サテライトシンボジウム 3 題, 他一般演題 ( すべてポスター発表となります演題募集要項臨床神経学 34 巻 6 号に掲載 ( 演題締切 1995 年 1. 目 20 日 ) 総会事務局名古屋大学医学部神経内科学講座内 446 名古屋市昭和区鶴舞町 65 ( 蜜内線 2296Fax O > 心身医 1994 年 12 月第 34 巻第 8 号

<4D F736F F F696E74202D AAE90AC94C5817A835F C581698FE39E8A90E690B6816A2E >

<4D F736F F F696E74202D AAE90AC94C5817A835F C581698FE39E8A90E690B6816A2E > 労災疾病等 13 分野医学研究開発普及事業第 2 期 ( 平成 21 年度 ~ 平成 25 年度 ) 分野名働く女性のためのメディカルケア働く女性における介護ストレスに関する研究 - 女性介護離職者の軽減をめざして - 働く女性健康研究センター主任研究者中部労災病院女性診療科神経内科部長上條美樹子研究の目的現代社会においては女性労働力の確保は経済復興の大きな柱と考えられ育児休暇制度や勤務形態の工夫など