液状化地盤上の地盤 構造物系の地震被害推定に関する数値解析法の研究 目次 第 章序論. はじめに.2 既往の研究 3.3 研究の目的 9.4 本論文の構成 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 3 2. 概要 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル 軸差応力下での繰返しせん断

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1 液状化地盤上の地盤 構造物系の地震被害推定に関する数値解析法の研究 23 年 2 月 小堤治

2 液状化地盤上の地盤 構造物系の地震被害推定に関する数値解析法の研究 目次 第 章序論. はじめに.2 既往の研究 3.3 研究の目的 9.4 本論文の構成 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 3 2. 概要 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 結論 59 第 3 章地盤 構造物系の数値解析法 6 3. 概要 運動方程式 応力ひずみ関係の数値積分における非線形反復計算法 改良型非線形反復計算法の適用性 地盤の非線形動的解析における減衰の役割 地盤 構造物接触面における滑り挙動に対する減衰の影響 結論 29 第 4 章地盤 構造物系の3 次元的挙動を支配する主要因とそのモデル化 3 4. 概要 杭 - 地盤系の地震被害推定に関する研究の現状 杭 - 地盤系の3 次元的挙動の分析 杭 - 地盤相互作用ばねによる3 次元的挙動のモデル化 地表面の影響および群杭効果について 結論 72

3 第 5 章砂の力学モデルと数値解析法の各種地盤 構造物系に対する適用性 概要 解析結果に影響する諸要因 矢板式岸壁 ケーソン式岸壁 盛土 桟橋式岸壁 結論 254 第 6 章結論 257 参考文献 26 謝辞 267

4 第 章 序論. はじめに 995 年 月 7 日に発生した兵庫県南部地震は多くの犠牲者を出すとともに 各種ライフラインや橋梁 高架道路 岸壁 護岸などの社会的基盤施設にも壊滅的な被害をもたらした その中で 埋立地の岸壁や護岸あるいは河川堤防などの地盤 構造物系は 基礎地盤の液状化により大きな残留変位が生じて 多数の施設がその機能を失った また その復旧には長時間を要し 復旧費用は膨大なものになった この事態を受け 以下に示す経緯により 大地震による地盤 構造物系の被害推定を精度よく行うことに対する社会的な要請が高まった 兵庫県南部地震の地震動は極めて強く 例えば神戸気象台では地表面で.8g を超える水平加速度が記録されている このような強地震動に対する設計要件として 構造物の被害を許容しない場合には 多額の建設費用がかかるような設計断面となるか あるいは設計すること自体が不可能になる 土木学会は このような事態に対して 現行の耐震基準の問題点や耐震基準の見直しの方向を示すために 第一次から第三次までの土木構造物の耐震基準等に関する提言を行った ( 土木学会, 995; 996; 22) これらの提言では これからの耐震基準のあり方が次のように示されている 構造物の建設地点において 発生確率の異なる L L2 と言う二段階の地震動を設定すること 2 これら地震動と構造物の重要度に応じて必要な耐震性能を規定し その性能を当該構造物が保有していることを照査すること ここに L 地震動は構造物の供用期間内に ~2 度発生する確率を有する地震動であり L2 地震動は その発生確率は極めて低いが 建設地点で考えられる最大級の地震動を表す また 構造物の重要度に応じて その耐震性能は 例えば L 地震では機能が維持される必要があるが L2 地震では機能は一時的に失われるとしても復旧が容易であること あるいは 復旧は困難でも崩壊しないことと言うように規定される めったに生じないような大地震に対しては 構造物の損傷の過程に踏み込んで照査し ある程度の被害を許容することにより 安全面 機能面からの要請と経済面からの要請を両立させようと言う趣旨で

5 第 章序論 ある このような耐震基準に関する考え方は国の防災基本計画 ( 内閣府, 995) の中にも盛り込まれ また 改訂された鉄道構造物等設計標準 同解説 ( 鉄道総合技術研究所, 999) などの土木構造物の耐震基準においても採用された 岸壁 護岸 盛土 杭基礎などの地盤 構造物系を対象として所定の耐震性能を保有していることを照査するためには 当該構造物の地震による残留変位や矢板 杭などの部材の損傷程度を評価する必要がある 特に L2 のような大地震を対象とする場合は 地盤の液状化や部材の塑性化を考慮した上での評価が必要になる このような評価に際して 以下に示す特徴を持つ大地震時の地盤 構造物系の挙動を適切にモデル化する必要がある 地盤と構造物の間に動的相互作用がある 2 地盤剛性が液状化などにより短時間に大きく変動する 3 地盤の液状化と地形の影響により側方流動が生じて構造物に作用する 4 矢板などの抗土圧部材や杭などの支持部材は 液状化による土圧の増加 支持する上部構造物に生じる大きな慣性力 および地盤の変形などにより塑性化する 上記諸現象は複雑であり そのメカニズムは必ずしも完全に解明されてはいない しかし 耐震性能照査を実施するために 大地震時の液状化地盤上に構築される地盤 構造物系の残留変位などを推定する手法の開発は急務である このような手法のうち 上記諸現象の解明に適した解析的手法の多くは動的相互作用や液状化現象の取扱いに優れている有限要素法に基づく動的有効応力解析法 ( 以下 有効応力解析法 ) に分類されるものである しかし この種の手法は 各種ブラインド解析などの結果 ( 例えば ( 財 ) 国土技術研究センター, 22) を見ても分かる通り いずれも推定精度に問題を抱えており 研究開発途上にある 土木学会の提言も この事情を反映してか 動的解析によって構造物の応答値を算定して耐震性を照査することが望ましいとする一方で 解決を要する課題の一つとして地盤 構造物系の地震後の残留変形量を正しく推定する方法の確立を挙げている このように 地盤 構造物系を対象とする場合 その残留変位などの推定精度向上は緊急かつ重要なテーマであると言える 地盤 構造物系に対する地震被害の推定精度向上を図るためには 先に述べた~4に示す現象のメカニズムを有効応力解析法に基づいて解明することが求められる その際 有効応力解析における数値解析精度の向上が 被害推定精度の向上にとって 必要不可欠である 有効応力解析における数値解析精度に関する課題には 後述するように 土の力学モデルの課題 地盤 構造物系の運動方程式の数値解析の課題など 種々のものがある したがって 地盤 構造物系の被害推定精度の向上のためには これら種々の課題の解決法を明らかにし これらの結果に基づいた総合的なアプローチが必要である 2

6 .2 既往の研究.2 既往の研究 有効応力解析法には種々のものがあるが 液状化地盤上の地盤 構造物系の被害程度の予測精度を念頭において実施された一斉解析結果などを参照することにより いずれの方法が対象とする条件での地盤 構造物系の被害程度解析に適しているかについて ある程度の見通しを得ることができる 本節では 繰り返し載荷時の砂の挙動 液状化地盤 盛土など 地盤 構造物系として最も基本的な条件を対象として実施された一斉解析結果 ( 石原,989) を参照して 各種提案されている有効応力解析法の中から土の挙動の再現性に優れている方法として 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル (Iai ら, 99a)( 以下 多重せん断機構モデル と言う) を用いた有効応力解析法 ( 井合, 989) を取り上げる.2. 有効応力解析法による一斉解析有効応力解析法には 繰り返し載荷時の砂の挙動を表す力学モデルの違いに応じて様々なものが提案されている 採用されている力学モデルの多くは 弾塑性構成則に基づくモデルであり 負荷曲面 硬化関数 流れ則などを与えるものであるが 土の力学モデルはこれらに限定されるものではない これらのモデルとは異なる視点から土の複雑な挙動を表現すべく構築されたモデルも少なくない 有効応力解析法に採用されている砂の力学モデルの違いにより 同じ実験や被災事例を対象とした再現解析を行っても それぞれの方法には個性があって 解析値の傾向はかならずしも同じにはならない ( 例えば 井合, 992) 989 年には 土質工学会に設置された地盤と土構造物の地震時の挙動に関する研究委員会が種々提案されている有効応力解析法による一斉解析を実施した ( 石原, 989) これらの解析では合計 7 種類の砂の力学モデルが用いられ このうち 4 種類が前述の通常の弾塑性構成則と同じ形式のモデルを用いたものでが 3 種類は新たな視点から土の挙動を表現することを狙って構築されたモデルであった 一斉解析では 初期圧密 ( 等方圧密と異方圧密 ) の違いの繰り返しせん断挙動への影響を見るための土要素の解析 ( 以下 要素テストという ) 964 新潟地震の際に液状化による被害を受けた水平成層地盤の 次元地震応答解析 および 盛土の動的遠心模型実験の解析が課題とされた この三種の解析の中で 解析法により応答の傾向に顕著な差が生じたのは要素テストであった 要素テストは 相対密度 4~5% の砂を対象に まず K =.5 で初期圧密した後に 非排水 側方拘束の条件下で せん断応力比 (τ/σ v ) が.2 の場合に 5 回で.4 の場合に 2 回で液状化するように各モデルのパラメータを設定し 2 次にそのパラメータを用いて K =.5 と K =. で初期圧密した後に 非排水 側方拘束の条件下で せん断応力比 (τ/σ m ) を例えば.3 として繰り返し載荷を行い 有効応力経路およびせん断応力 -せん断ひずみ関係を描くと言うものであった 実験では K が異なっていても せん断応力比を初期平均有効応力 σ m で正規化したものにすると液状化抵抗曲線は一致することが知られている ( 石原, 976) これから K に拘わらず過剰間隙水圧の応答はほぼ同じになるとされ 従って 解析結果の有効応力経路なども K に拘わらず同等になると期待された 要素テスト結果によれば K が.5 と. の場合の解析結果が一致したのは 井合 (989) 3

7 第 章序論 による多重せん断機構モデルに基づく有効応力解析法であった この方法による K が.5 と. の場合の液状化抵抗曲線の比較を図.2-に 有効応力経路とせん断応力 -せん断ひずみ関係の比較を図.2-2に示す また 弾塑性構成則に基づく砂の力学モデルによる解析結果の例として Pastor と Zienkiewicz(986) のモデルによる K =.5 と. の場合の有効応力経路の比較 ( 塩見, 989) を図.2-3に示す 同図によれば 両者で水圧の上昇の様子が明らかに異なる 多重せん断機構モデルは砂のせん断応力 -せん断ひずみ関係を多重せん断ばねモデル (Towhata ら, 985a) を用いて表す この解析法により K =.5 と. の結果が一致したのは K 圧密から単純せん断応力を載荷するフェーズに切り替わる際に主応力軸の回転を伴うが 多重せん断ばねモデルが主応力軸の回転による影響を自然に考慮できるためであった これは 土のシミュレーションを行う上で力学モデルが備えるべき重要な性質である さらに 多重せん断機構モデルは 多重せん断ばねモデルと過剰間隙水圧モデルを巧みに協調させていることから 本研究で対象とする液状化地盤上の種々の地盤 構造物系の被害程度推定を目的とした解析に適した力学モデルであると考える よって 本研究では 同モデルに基づく有効応力解析法 ( 以下 本解析法 ) を対象に解析精度に関する検討を行うこととした.2.2 多重せん断機構モデルに関する既往の研究多重せん断機構モデルは 前述の通り せん断応力 -せん断ひずみ関係を多重せん断ばねモデルで表現し 過剰間隙水圧モデルとしては Iai ら (99a) のモデルを用いている 本項では 多重せん断機構モデルに関する既往の研究について述べる () 排水条件下にある砂の挙動のモデル砂質土の繰り返し載荷時の挙動をモデル化するため Towhata ら (985a) は 平面ひずみ状態における排水条件下の砂のせん断応力 -せん断ひずみ関係について検討を加え 多重せん断ばねモデルを提案した 図.2-4に示すように このモデルは せん断応力 / せん断ひずみ空間上に定義された固定の円とその円内にある可動点とから構成される 可動点は 無数の非線形ばねにより 固定された円と結ばれている これらのばねは 種々の方向を向く仮想の単純せん断機構に対応している 各ばねの力 - 変位関係は 双曲線タイプの荷重 - 変位関係に従う 可動点の円の中心からの変位はせん断ひずみを表し 可動点に作用するばね力の合計はせん断応力を表す このモデルは 主応力軸の回転により引き起こされる土の異方性を自動的に考慮に入れることができる 地震の際には 土は繰り返し載荷され 土のせん断応力 -せん断ひずみ関係は 履歴ループを描く ループが囲む面積は 履歴減衰の大きさに関係する 土の挙動を模擬するためには 除荷および載荷の過程に対応するせん断応力 -せん断ひずみ関係を確立する必要がある 排水状態にある土のこのような挙動を表すために しばしば Masing 則 (Masing, 926) が適用される 双曲線モデルに対して Masing 則が適用された場合 その除荷 載荷曲線が描く履歴ループによる減衰定数は 大きなひずみレベルにおいては 実験により測定される減衰定数より大きくなることが知られている Ishihara ら (985) は 広く用いられている 次元の単純せん断モデルに対して Masing 則を修正することにより減衰定数を 4

8 .2 既往の研究 調節する方法を提案した Iai ら (99b) は この方法に基づき 多重せん断ばねモデルに対して 任意の最大減衰定数の双曲線型せん断ひずみ- 減衰定数関係を導入した Ozutsumi ら (2) は さらに任意形状のせん断ひずみ- 減衰定数関係を多重せん断ばねモデルに導入する方法を提案した (2) 液状化特性のモデル Towhata ら (985b) は 豊浦砂を用いて 等方圧密後の主応力軸の回転を含む各種応力経路による非排水繰り返しせん断挙動について 室内試験を通じた検討を行った その結果 土に作用しているせん断応力の状態に応じて その時の過剰間隙水圧は単位体積の土になされたせん断仕事の累積値と密接な関係にあり この関係は載荷経路に依存しないこと および 平均有効応力と最大せん断応力で規定される応力空間においては 累積せん断仕事の等高線を描くことができると言うことが明らかにされた ( 図.2-5 参照 ) Iai ら (99a) は この実験結果に基づき 非排水条件下の砂に対して 単位体積の土になされた塑性せん断仕事に応じて応力経路を与えるモデルを提案した このモデルの概念図を図.2-6に示す 図の縦軸 r は最大せん断応力 τを初期平均有効応力 σ m で正規化したものであり 図の横軸は状態変数 S で これは準静的 非排水かつ全拘束圧力一定と言う実験の条件下においては σ m /σ m に一致する (σ m は平均有効応力 ) そして 単位体積の土になされた塑性せん断仕事の累積値に基づき 図.2-6に示す液状化フロントパラメータ S の位置が決定される この状態において可能な応力経路は 図中に液状化フロントとして示されている なお 図中のφ f ' はせん断破壊角を φ p ' は変相角を表す このモデルでは 液状化フロントの位置が決まれば せん断応力比 rに応じて状態変数 S が定まり この S に応じて 砂のせん断剛性とせん断強度を調節している また 平均有効応力の算定に必要な塑性体積ひずみも S に応じて評価するとしている 調節された砂のせん断剛性とせん断強度は 多重せん断ばねモデルに反映されて 非排水条件下で繰り返しせん断される砂の挙動を表現する 変相線より下の応力空間でなされた塑性せん断仕事と 変相線を超えて破壊線に至るまでの領域においてなされた塑性せん断仕事は それらが同じ量であっても 負のダイレタンシーへの寄与程度 すなわち 液状化フロント S の進行に対する寄与程度は異なると予想される 従って 両者の寄与程度の差異を知る必要がある しかしながら 上述の Towhata ら (985b) の実験では その応力経路は概ね変相線以下の領域を辿っているので この実験結果からこの問題に対する指針を得ることは困難であった そこで 塑性せん断仕事の負のダイレタンシーへの寄与程度を 応力状態に応じて次のように仮定した すなわち 変相線の 2/3 以下の領域での寄与係数を とし 変相線の 2/3 から破壊線に至るまでの領域では 寄与係数を線形に低減させ 破壊線でちょうど となるように設定した 塑性せん断仕事は その時の応力状態に応じて この寄与係数を乗じて累積される 5

9 第 章序論 図.2- 種々の応力条件下での液状化抵抗 ( 井合, 989) Case-(K =.) と Case-2(K =.5) の比較 Case-, K =.,τ d /σ m =.27 Case-2, K =.5, 側方拘束, τ d /σ m =.27 図.2-2 要素試験の有効応力経路とせん断応力 -せん断ひずみ関係( 井合, 989) Case-(K =.) と Case-2(K =.5) の比較 6

10 .2 既往の研究 Case-, K =.,τ d /σ m =.3 Case-2, K =.5, 側方拘束, τ d /σ m =.3 図.2-3 弾塑性モデルによる解析結果の例 : 要素試験の有効応力経路 ( 塩見, 989) Case-(K =.) と Case-2(K =.5) の比較 7

11 第 章序論 図.2-4 多重せん断ばねモデル (Towhata ら, 985a) 図.2-5 応力空間上の累積せん断仕事の等高線 (Towhata ら, 985b) 図.2-6 過剰間隙水圧モデルの概念図 (Iai ら, 99a) 8

12 .3 研究の目的.3 研究の目的 液状化地盤上の地盤 構造物系の地震被害推定に適した有効応力解析に基づく数値解析の精度向上のためには 以下の~5に示すモデルや数値解析法の精度を向上し それらの結果を総合的に用いる必要がある 砂の力学モデル 2 二相系の運動方程式とその数値解析法 3 境界条件 接触条件 杭 - 地盤系相互作用の各モデル 4 初期状態の設定法 5 砂以外の土や材料あるいは各種部材に関する力学モデル 解析精度に影響する要因は 上記 の範疇のみならず2~5の範疇にもあって 全体を見渡さないと解析精度の向上は望めない 以下にそのような要因を例示する 前述のように液状化現象は複雑であり の砂の力学モデルは 必ずしもあらゆる条件下で砂の挙動を完璧に模擬出来るとは限らない また 地盤剛性が液状化などにより短時間に大きく変動することから 2の範疇に入る応力 -ひずみ関係を対象とする非線形反復計算においては その変動に追随できるような数値解析法を用いないと誤差を生む可能性がある また 一般に地盤の減衰機構に関しては未解明である部分が多いが 特に液状化した地盤の減衰機構について未解明な点が多い しかし 2の範疇の数値解析の安定性の確保の観点から導入される減衰の与え方により 応答値が大きく影響されるのも事実である 3の杭 - 地盤系の相互作用の機構についても未解明の点が多いが 液状化などにより水平移動している地盤と杭の相互作用についてはなおさらであり そのモデル化が解析精度の鍵を握っている可能性がある 矢板式護岸の解析では 4の範疇に入る初期応力状態の設定法の違いにより応答値が影響を受けることが知られている ( 井合ら, 2) 部材の破壊形態も未解明な点が多く 5の範疇の例えば杭の力学モデルとして 曲げモーメント - 曲率関係にバイリニアモデルなどを適用する場合が多いが その精度については明らかでない 以上見たように 地盤 構造物系の地震被害推定を行うには 複雑な現象を取り扱う必要があるため 様々な条件下での要素シミュレーションや種々の形式の地盤 構造物系の被災事例解析などを通じて その応答の傾向から精度向上が必要とされる部分を見出して その部分に対してより合理的なモデルを提案すると言う方法が適している 地盤 構造物系の地震被害推定の精度向上に著しい影響を与える要因として 本研究で対象とする有効応力解析法を構成するモデルあるいは解析手法のそれぞれについて 以下のものを挙げることができる 9

13 第 章序論 砂の力学モデル a. 変相線を超えた応力空間におけるせん断仕事の負のダイレタンシーへの寄与評価法 b. 間隙水移動の効果の考慮 2 二相系の運動方程式とその数値解析法 c. 応力 -ひずみ関係の非線形反復計算法 d. Shear Locking 現象の回避 e. 減衰の与え方 f. ジョイント要素の滑り挙動の減衰支配の解消 g. 大変形効果の考慮 3 境界条件 接触条件 杭 - 地盤系相互作用の各モデル h. 杭 - 地盤系の相互作用における3 次元効果の考慮 4 初期状態の設定法 i. 初期応力状態の評価法 5 砂以外の土や材料あるいは各種部材に関する力学モデル j. 粘性土の力学モデルなど5に分類される諸項目 本研究は 液状化地盤上の地盤 構造物系の地震被害推定の精度向上を図るため 多重せん断機構モデルに基づく有効応力解析法の解析精度の向上を図ることを目的とする この目的を達成するため 上に示す解析精度に影響する諸要因のうち アンダーラインを引いたものについて着目し これらが解析精度に与える影響を検討し 精度改善のための新たな修正モデルを提案する

14 .4 本論文の構成.4 本論文の構成 本論文では 第 2 章 ~ 第 4 章で 多重せん断機構モデルに基づく有効応力解析法を示し 解析精度を向上させるために必要な修正モデルを提案し その精度向上効果について検討する 具体的には 上述の解析精度に影響する要因 a.~j. のうち 第 2 章では 砂の力学モデル の要因 a. 第 3 章では 2 二相系の運動方程式とその数値解析法 の要因 c. e. f. 第 4 章では 3 境界条件 接触条件 杭 - 地盤系相互作用の各モデル の要因 h. についてそれぞれ検討する また 第 5 章では 第 2 章 ~ 第 4 章で提案したすべての修正モデルを同時に各種形式の構造物の被災事例解析などに適用して 修正モデルを同時に適用した場合の有効性を検証する 以下に 各章ごとにこの検討内容を示す 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデルでは まず Iai ら (99a; 99b) の多重せん断機構モデルについて詳述する 次に 同モデルに基づく有効応力解析法を基礎地盤が軸差応力の作用下で繰り返しせん断を受けるような矢板式護岸や盛土などの構造物に適用すると過大な応答になる場合があることから 多重せん断機構モデルを構成する過剰間隙水圧モデルの変相線を超えた応力空間においてなされる塑性せん断仕事の負のダイレタンシーへの寄与程度の評価法を検討し その修正モデルを提案する また 修正モデルを複数の事例解析に適用して その効果を確認する 第 3 章地盤 構造物系の数値解析法では 前章で示した砂の力学モデルを組み込むために Zienkiewicz ら (982) が示した間隙水で満たされた多孔質体の骨格の運動方程式と間隙水の収支バランス式 (u-p formulation) に基づく有限要素法による定式化を示す また 得られた離散化された運動方程式を解く際に必要となる非線形反復計算法や減衰の与え方が解析精度に与える影響について検討する 上述の定式化に対して第 2 章で示した砂の力学モデルを組み込んで液状化地盤上の各種構造物の地震応答解析を行うと 応答加速度時刻歴に不自然なスパイク状のピークが多発する場合があることから 本章では非線形反復計算法に関する定式化の検討を行い 第 2 章で示した砂の力学モデルに対応した新しい非線形反復計算法を構築する また 非線形反復計算法の違いが応答値に与える影響について検討を行う 有効応力解析法に基づく地震応答解析では 計算の安定化のために剛性比例型のレーレー減衰行列を与える場合が多い 第 2 章で示した砂の力学モデルに基づいて地震応答解析を行う場合も レーレー減衰行列を与えないと解析が不安定になり あるいは応答が過大になる傾向が見られる しかし レーレー減衰行列を与える物理的な意味が必ずしも明確にはなっていないので 砂の非排水繰返し載荷解析においてレーレー減衰を与える物理的な背景について検討し これに基づいた新たなレーレー減衰設定法を検討する レーレー減衰は 構造物と土の間の滑り挙動を模擬する目的で導入したジョイント要素の滑り挙動に著しい影響を与える すなわち ジョイント要素の初期剛性を剛性比例型のレーレー減衰行列組立の際に参照すると ジョイント要素の滑り挙動が抑制されて全体の応答を小さめに評価する傾向にある そこで 本章ではジョイント要素に対してレーレー減衰が作用する場合のジョイント要素の挙動に関する検討を行い また ジョイント要素に対するレーレー減衰指定の是非を検討する 第 4 章地盤 構造物系の3 次元的挙動を支配する主要因とそのモデル化では 杭 - 地

15 第 章序論 盤系に見られる杭間を土がすり抜けるなどの3 次元的な相互作用を分析し その特性を2 次元解析において杭間地盤の挙動を表す地盤モデルと杭モデルを結ぶ杭 - 地盤相互作用ばねで表現する方法を提案する すなわち 杭 本分の円形の水平断面と加振直交方向に隣接する杭との中間地点までの地盤からなる単位厚さの水平断面モデル ( 杭 - 地盤系を直上から眺めたモデル ) を用いて 杭に水平外力を与えた際に発生する杭の相対変位 ( 地盤モデルの変位を表すと想定した杭間位置での地盤変位に対する杭の変位 ) を解析して得られる荷重 - 相対変位関係を上述の相互作用ばねに必要な特性とする また この特性を 杭周辺の土の構成則により与えられるせん断応力 -せん断ひずみ関係を用いて表現する方法を提案する 第 5 章砂の力学モデルと数値解析法の各種地盤 構造物系に対する適用性では 前章までに液状化地盤上の地盤 構造物系の地震被害推定の精度向上のために提案した各モデル すなわち 砂の力学モデルや二相系の運動方程式とその数値解析法に係わる修正モデル および 杭 - 地盤系の相互作用における3 次元効果を表現するためのモデルをすべて同時に適用した場合に 被災事例における被害程度を説明する精度よい解析結果が得られるか否かについて検討する なお 本章では 上述の解析精度に影響する要因 a.~j. のうち 第 2 章 ~ 第 4 章で取り上げなかった すなわちアンダーラインの無い項目については 本章で行う被災事例解析において どのような取扱い方針を採用したかについて説明する このような項目のうち d. g. および i. については 既に解析精度に及ぼす影響検討がなされ また本解析法に則して解析精度向上を図るための方法が提案されていて これらは必要に応じて本章で行う被災事例解析に取り入れる また 要因 b. と j. は 解析精度に何らかの影響はあるが 影響の程度を定量的に把握していないもので これらについては 本章で行う被災事例解析においては 既往の検討に基づいて妥当と思われるモデルを用いている 第 6 章結論では 本研究で得られた知見をまとめる 2

16 第 2 章 繰返し載荷時の砂の力学モデル 2. 概要 液状化する可能性のある地盤上に構築される構造物は地震によって著しい被害を受けることが多い この被害を推定するためには 砂の繰返し載荷時の挙動を適切にモデル化することが必要である この目的のために Iai ら (99a) は多重せん断機構モデルを提案した 本章では この力学モデルの精度向上を図ることを目的として行った研究の成果を示す 多重せん断機構モデルは平面ひずみ状態にある砂の繰り返し載荷時の挙動を表現するためのものである このモデルは 平均成分に関する構成則と偏差成分に関する構成則から成る 平均成分に関する構成則では 平均有効応力 - 体積弾性ひずみ関係が規定される 偏差成分に関する構成則では Towhata ら (985a) が提案した多重せん断ばねモデルによりせん断応力 -せん断ひずみ関係が規定される なお 多重せん断ばねモデルは 任意の最大減衰定数の双曲線型せん断ひずみ- 減衰定数関係を再現することができるよう拡張されている (Iai ら, 99b) 砂の液状化現象については 多重せん断機構モデルを構成する過剰間隙水圧モデルにより表現される この過剰間隙水圧モデルでは 単位体積の砂になされた塑性せん断仕事の累積値に応じて液状化の進行程度が評価される また 液状化の進行程度に応じた体積塑性ひずみ 平均有効応力 初期せん断剛性およびせん断強度が評価される さらに初期せん断剛性およびせん断強度と過剰間隙水圧との関係などに基づいて多重せん断ばねモデルの各ばねの挙動が液状化の進行に応じて調節される 本章では この多重せん断機構モデルを詳述した後に 同モデルの軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性を検討する 多重せん断機構モデルを構成する過剰間隙水圧モデルは 前述の通り 単位体積の砂になされた塑性せん断仕事の累積値に応じて液状化の進行程度を評価する 変相線より下の応力空間でなされた塑性せん断仕事と 変相線を超えて破壊線に至るまでの応力空間においてなされた塑性せん断仕事は それらが同じ量であっても 負のダイレタンシーへの寄与程度は異なると予想される しかし 寄与程度の違いについては不明な点が多い 既往の提案による過剰間隙水圧モデルでは 変相線を超えて破壊線に至るまでの応力空間においてなされる塑性せん断仕事の負のダイレタンシーへの寄与率は せん断応力の増加に応じて線形に低減させ 破壊線上では としている 3

17 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル この寄与率設定法によれば 破壊線にいくら近づいても非零の寄与係数が与えられることになる 同モデルを組み込んだ有限要素法に基づく2 次元動的有効応力解析コードによる矢板式岸壁などの地震応答解析においては しばしば応答が過大になる これは 矢板の受働側地盤など常に軸差応力の作用下にあって繰り返しせん断される砂の過剰間隙水圧が他の部分に比べて著しく上昇するためである このような部分で過剰間隙水圧が大きく上昇するのは 破壊線の近くで繰り返しせん断される場合になされる大きな塑性せん断仕事と前述の寄与係数設定法が調和しないためであると考えて 本章では新たな寄与率設定法を検討する 4

18 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル 本節では 多重せん断機構モデル (Iai ら, 99a; 99b) について詳述する 2.2. 平均成分に対する構成則 () 準備次式に示すように ひずみおよび有効応力を偏差成分と平均成分に分ける 平均ひずみ成分は さらに弾性成分と塑性成分に分離する ひずみは初期状態からの増分である ひずみ成分と応力成分の符号は 伸張 引張を正に 収縮 圧縮を負にとる 但し 間隙水圧は圧縮を正とする 但し {} ε { εd } + {} mε m = { εd } + {} mε me + { m} ε mp = (2.2-) ' { σ } { σ } { } ' d + m σm = (2.2-2) T {} ε, ε, ε, γ, γ, γ ) ε = ( ひずみ ) ( x y z xy yz zx T ' ' ' { '} ( σ, σ, σ, τ, τ, τ ) σ = ( 有効応力 ) T { m } = (,,,,, ) x y z xy yz ε = ε + ε + ε ) / 3 ( 平均ひずみ ) m ' m また { } d ( x y z σ = σ ' + σy ' + σ ' ) / 3 ( 平均有効応力 ) ( x z ε は偏差ひずみ { σ } zx d は偏差応力 ε me は平均弾性ひずみ ε mp は平均塑性ひずみ ε としては負のダイレタンシーによるものを取り扱う さらに である 平均塑性ひずみ mp 平均ひずみ 平均弾性ひずみおよび平均塑性ひずみの間には次の関係がある ε = ε + ε (2.2-3) m me mp ここで 平均成分と偏差成分に対し それぞれ 次のような形の構成則を仮定する ' σ m = f ( ε me ) (2.2-4) { } { g { ε })} σ = (2.2-5) d ( d 関数 f の形は本項の後半で また 関数 {g} の形は 項で示す 5

19 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル (2) 平均有効応力の評価方針 本構成則では 以下の~3に示す手順に従い 動的解析などの任意の時点における平均有効応力 σ m ' を評価する まず 平均ひずみε m を評価する 有限要素法では節点変位から直ちに求められる 2 (2.2-3) 式に示す関係を用いて 平均ひずみε m と平均塑性ひずみε mp から平均弾性ひずみε me を求める 3 σ m ' = f (ε me ) の関係 ((2.2-4) 式 ) から 平均有効応力 σ m ' を算定する 上記 2において平均塑性ひずみε mp の値が必要であるが これは その時点の累積塑性せん断仕事およびせん断応力に基づき 準静的非排水かつ全拘束圧一定と言う実験条件下において評価した塑性体積ひずみ 3ε mp の /3 として算定されたものを準用する すなわち 以下に示す手順による.2.2 項で述べたように その時点の累積塑性せん断仕事に基づき 液状化フロントパラメータ S および液状化フロントを決定する ( 図.2-6 参照 ) 2 液状化フロントとその時点のせん断応力に基づき 実験条件下ではσ m '/σ m ' に一致する状態変数 S を求める ( 図.2-6 参照 ) なお σ m ' は初期平均有効応力を表す 3 平均有効応力 σ m '( 実験条件下 ) を次式により評価する σ m '= Sσ m ' (2.2-6) 4 過剰間隙水圧 P ex ( 実験条件下 ) を有効応力の減少分として評価する P ex = (σ m '-σ m ') (2.2-7) 5 全体積ひずみの変化 3ε m ( 実験条件下 ) は 間隙水の体積変化に等しいとおく 3ε m = -(n/k f )P ex (2.2-8) なお n は間隙率 K f は間隙水の体積弾性係数を表す 6 平均有効応力 σ m ' と平均弾性ひずみε me の関係 ((2.2-4) 式 ) から平均弾性ひずみε me ( 実験条件下 ) を評価する σ m ' = f (ε me ) (2.2-9) 7 全体積ひずみ 3ε m と弾性体積ひずみ 3ε me から塑性体積ひずみ 3ε mp ( 実験条件下 ) を評価する 3ε mp = 3ε m -3ε me (2.2-) 従って 実験条件下での過剰間隙水圧 P ex は (2.2-7) 式 (2.2-9) 式 (2.2-) 式 (2.2-8) 式を用いると 次のように表すことができる P ex = f ( ε np / 3K ) f () (2.2-) mp ex f ただし 初期平均有効応力 σ m ' を f () とした 上式は 実験条件下における過剰間隙水圧 P ex と平均塑性ひずみε mp との関係を表す P ex は (2.2-6) 式 (2.2-7) 式より 状態変数 S の関数であり S は累積塑性せん断仕事とせん断応力の関数として求まる 実験条件が成り立たない場合でも 累積塑性せん断仕事とせん断応力から同じように S および P ex を求 6

20 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル め これにより ε mp を評価する (2.2-3) 式の関係を用いると 構成則 (2.2-4) 式は次のように書ける σ ' m = f ( ε ε ( P )) (2.2-2) m mp ex 上式の ε mp は (2.2-) 式を ε mp について解いて求めたものを用いる 偏差成分もまとめて 書くと次式を得る ' { σ ({} ε, P )} { m} f ( ε ε ( P )) + { g( { ε })} ex = (2.2-3) m mp ex d (3) 平均有効応力と平均弾性ひずみの関係ここで X とYを以下のようにおく ' m Y = -σ (2.2-4) X me me = -3( ε + ε ) = -3( ε + ε -ε ) (2.2-5) me m mp 但し ε me は初期平均有効応力 σ m ' に対応する初期平均弾性ひずみである また 初期状態では平均塑性ひずみは とした Y は 平均有効応力 σ m ' の符号を反転して圧縮を正としたものである X は 体積弾性ひずみの符号を反転したものであり 初期圧密前の状態 (σ m '=) を基準とした体積ひずみである ここで定義した X と Y との間に次の関係を仮定する Δ Y = KΔX (2.2-6) 但し K は増分型の体積弾性係数であり 次式により与えられるものとする m K Y K = K ma Y (m K ) (2.2-7) ma なお K ma は平均有効応力がσ ma '( 基準平均有効拘束圧 ) である時の増分型の体積弾性係数である m K は K の拘束圧依存性を表すパラメータである また Y ma は次式で与えられる Y ma - ' ma = σ (2.2-8) (2.2-6) 式を積分し 得られた式を Y について解くと次式を得る 但し X= の時 Y= とした -m K Y = BX (2.2-9) 但し -mk K ma B = (- mk ) m (2.2-2) K (Yma ) 上式から 次のように f(ε me ) の形が定まる 7

21 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル ' m f ( ε ) =σ = Y me -m K me - 3 me ) = -B (-3ε ε (2.2-2) (4) 液状化を考慮する場合の平均有効応力評価法 液状化を考慮する場合は 実験条件下の P ex は (2.2-) 式 (2.2-2) 式より 次のように表される P ex -mk -m np K ex = B X st - 3ε + + mp X st (2.2-22) K f 但し X st -3ε me = とした 上式を ε mp について解くと 次式を得る -mk -m P ex np K ex ε mp = X st X st (2.2-23) B K f 3 さらに (2.2-6) 式 (2.2-7) 式により P ex を次のように 状態変数 S で表す ex Y st なお Y st = -σ m ' とした すると (2.2-23) 式は 次のようになる mp st -m 3 K P = (- S) (2.2-24) ε = (Y S/B) - ny (- S)/K - X (2.2-25) st f 結局 S に応じてε mp ( 実験条件下 ) が定まる (2.2-25) 式 2 ε m ( 任意の条件下 ) とε mp ( 実験条件下 ) に応じて X が定まる (2.2-5) 式 3 X に応じて Y が定まる (2.2-9) 式 4 Y に応じてσ m ' が定まる (2.2-4) 式 st 過剰間隙水圧モデル () 液状化フロントパラメータ S と状態変数 S 液状化の進行程度を表す液状化フロントパラメータ S は ( 図.2-6 参照 ) 正規化したせん断仕事 w の関数として 次式により与えられる p S = -. 6 (w/w ) (if w<w ) (2.2-26) p2 S = (. 4 - S ) (w /w) + S (if w>w ) ここに w は次式で与えられる 8

22 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル w=w s /W n (2.2-27) 上式で W s は累積塑性せん断仕事であり その評価法は後述する W n は初期せん断強度 τ m と初期基準ひずみγ m を用いて 次式により与えられる W n =τ m γ m /2 (2.2-28) 初期せん断強度 τ m と初期基準ひずみγ m は次式で与えられる γ m m st = τ m ' f τ = Y sinφ / G ma Y Y st ma m G (2.2-29) ここに G ma は基準初期せん断剛性であり 平均有効拘束圧がσ ma '( 基準平均有効拘束圧 ) の場合の初期せん断剛性である また Y st = -σ m ',Y ma =-σ ma ' である m G は初期せん断剛性の有効拘束圧依存性を表すパラメータであり通常.5 とする (2.2-26) 式により液状化フロントパラメータ S を評価するためには w の他に p p 2 S を与えることが必要である ( 以下 これらのパラメータを後述のパラメータ c と合わせて液状化パラメータと称する ) w は全体的な液状化強度を規定し p p 2 は それぞれ 液状化過程の前半と後半の過剰間隙水圧の上昇特性を規定する また S は S の下限値を与える 準静的非排水かつ全拘束圧力一定の条件下においてσ m '/σ m ' に一致する状態変数 S は せん断応力比 r(=τ/σ m ') と液状化フロントパラメータ S から次式により定める ( 図 ' ' 2 参照 ) 但し τ τ + ( σ -σ ) ) ) = である xy y x /2 S = S S = S 2 + (S - S 2 ) 2 + [( r - r )/m ] 3 2 (if (if r < r ) 3 r > r ) 3 (2.2-3) ここに r = m S, 2 ただし m 2 = sinφ ', f r = m S, 3 m 2 3 S = S = sinφ ' ( φ ' は変相角 ), P 2 P - (r 2 - r 3 )/m m 3 =.67m 2 (2.2-3) (2) 累積塑性せん断仕事の評価法 まず 累積塑性せん断仕事 W s の初期値を設定する 初期のせん断応力比を r st とすると r st m 3 の場合 初期の S および W s は次式の通りとする S =, W (2.2-32) s = r st >m 3 の場合 初期の状態変数 S を とおいて (2.2-3) 式を用いて S を逆算する すなわち S=, r=r st を (2.2-3) 式に代入して整理すると 次の S に関する二次方程式を得る [(r - m S ] S ) (S - m4s ) st 3 )/m (- m = + (2.2-33) これを解いて初期の S を求める 但し m 4 =-(m 2 -m 3 )/m である 初期の S が求められたら 塑性せん断仕事 W s の初期値を求める これは (2.2-26) 式 (S と w との関係式 ) の逆 9

23 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 算による 塑性せん断仕事 W s は 次式に示すように 塑性せん断仕事増分 ΔW s に寄与係数 R を乗じたものを累積して求める なお 寄与係数 R については後述する W = RΔ (2.2-34) s W s ここに 塑性せん断仕事増分 ΔW s は 全せん断仕事増分 ΔW st から弾性せん断仕事増分 ΔW se にパラメータ c ( 液状化パラメータの一つ ) を乗じたものを差し引いて求める ( 次式 ) c は 理論上は. だが これを調節することにより 液状化を引き起こすせん断応力比の下限値を制御することができる Δ W = ΔW - c ΔW ( 負であれば ΔW s = とする ) (2.2-35) s st se なお 平面ひずみ状態を対象とする場合は ΔW st と ΔW se は次式で与えられる ΔW ΔW st se ' ' σ y -σ x = Δε ( y -ε x ) + τxy Δγxy 2 τ = τδ G τ= ' ' σ y -σ x xy + τ (2.2-36) ここに G は初期せん断剛性を表す 寄与係数 R は塑性せん断仕事のうち負のダイレタンシーへ寄与する割合を与える補正係数であり 以下のように定める まず S w を以下のように設定する S w =.4 ( 初期 S.4 の場合 ) S w =.4+( 初期 S -.4) S / 初期 S ( 初期 S <.4 の場合 ) S w (=.4 など ) は 寄与係数の設定法を切り替える状態変数 S の境界値である この S w に基づき 寄与係数 R を以下のように定める ( 図 2.3- 参照 ) S S w の場合 R= (r Sm 3 の場合 ) R=(m - r /S)/(m - m 3 ) (r>sm 3 の場合 ) S<S w の場合 (2.2-37) R= (r S w m 3 の場合 ) R=( m - r /S w )/(m - m 3 ) (r>s w m 3 の場合 ) (3) 初期せん断剛性とせん断強度過剰間隙水圧モデルの状態変数 S および液状化フロントパラメータ S の値に応じて せん断強度 τ f およびせん断剛性 G を定める まず S b を以下のように設定する 2

24 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル = min( 初期 S,.4 ) (2.2-38) Sb S b はせん断強度などの算定法を切り替える液状化フロントパラメータ S の境界値である この S b に基づき せん断強度と初期せん断剛性を以下のように算定する S S の時 f b τ = τ S, G m = τ f γ m (2.2-39) S < S の時 ここに b τ = τ S + Δτ, G f m f = τ f γ m (2.2-4) f m ' m Δτ = Δr σ (2.2-4).4 Δ r m = (m - m2 ) (Sb - S ) (2.2-42) S b γ = S S ) (2.2-43) m γ m ( b 応力 -ひずみ関係と接線勾配 (2.2-3) 式に示した構成則および後述する接線剛性行列の組立に必要となる σ'/ εの具体的な形を以下に示す なお σ'/ εを表す式については 3.3 節で修正する 平均成分に対する構成則の具体的な形は 既に2.2. 項で得られている ここでは平面ひずみ状態を対象とするので 当該構成則におけるσ m ' として (σ x '+σ y ')/2 を また体積ひずみ 3ε m としてε x +ε y を用いる 次に偏差成分であるが ここでは (σ y '-σ x ')/2 およびτ xy を応力成分として選び これらと ひずみ成分 (ε y -ε x ) およびγ xy との間の関係を多重せん断ばねモデル (Towhata ら, 985a) として与える なお 面外方向の応力 σ z ' は次式で評価する ' z ' x ' y σ = νσ ( + σ ) (2.2-44) ここに ν はポアソン比である () 応力 -ひずみ関係前述の通り せん断応力 -せん断ひずみ関係は 平面ひずみを対象とする多重せん断ばねモデルで表現する ( 図.2-4 参照 ) 同モデルは無数のばねから構成されるが プログラムへの実装を考慮して離散化する すなわち /4 円当たり n 本のばねで近似する また 互いに 8 度の位置にある 2 本のばねに対しては 本のばねを考えて そのばね力を 2 倍することにより 2 本分のばねの効果を考慮する 結局 応力 -ひずみ関係は 以下に示す 平均成分一つ 偏差成分二つの 計三式で与えられる 2

25 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル ' x ' y σ + σ = -Y = -BX 2 = -m K (X> ) (X ) (2.2-45) 但し ' y σ -σ τ xy 2 ' x 2n = 2 F( γθ + ( γ ) st ) cos i (X ) i θ θ Δθ > i i= (2.2-46) = (X ) 2n = 2 F( γθ + ( γθ ) ) sinθ Δθ (X> ) i i st i i= (2.2-47) = (X ) X = -( ε + ε (2.2-48) x + εy ) - ( εx + εy ) st p -mk p (Yst S B ) - nyst ( - S) K f + ( εx εy ) st ε = + (2.2-49) -mk K ma B = (- mk ) m (2.2-5) K (Yma ) であり X は引張り破壊を表す その他の諸記号の意味は以下の通りである (ε x +ε y ) st : 初期状態における体積ひずみ F (γ): ばね変位 γに応じた ラジアン当たりのばね力で 双曲線タイプの関数 Δθ=π/2n: ばねの配置間隔 ( ラジアン ) γ θ = cosθ ( ε -ε ) + sinθγ :i 番目のばねのばね変位 (2.2-5) i i y x i xy θ i =(i-)δθ:i 番目のばねの角度初期応力は X st (= - (ε x +ε y ) st )> であれば 次式で与えられる ' ' σx +σ y 2 st = -BX -m K st (2.2-52) ' ' σ -σ y x 2 st 2n = 2 F (( γ ) i= θ st i ) cosθ Δθ i (2.2-53) 2n ( τxy ) st θ i i= st i = 2 F (( γ ) ) sinθ Δθ (2.2-54) 但し 初期状態においてはε p = とした また ( γ θ i ) st は初期状態におけるばね変位を表 す 個々のスプリングの変位 - 力関係を表す関数 F (γ) の具体的な形は次項で示す 22

26 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル (2) 接線勾配 σ'/ ε (2.2-45) 式 ~(2.2-47) 式から ひずみ増分とそれに対する応力増分の関係を以下のように表すことができる ' ' K σx + σ y Y Δ = K ma ( Δεx + Δεy -Δεp ) 2 Y ma m (2.2-55) ' ' σ -σ 2n Δ y x df = 2 ( γθ + ( γθ ) i i 2 i= dγ st ) Δγ cosθ Δθ θ i i (2.2-56) 2n df Δτxy = 2 ( γθ ( γ ) st ) sin i θ Δγ θ i θi i Δθ i dγ + (2.2-57) = ただし 平均有効応力相当の Y の変化と 拘束圧の変化によるばね力 F の上限値などの変化は無視した なお Δγ θ = cosθ Δε ( -ε ) + sinθ Δγ (2.2-58) i 上式より 次式を得る なお Δσ x Δσy = Δτ xy [ D ] t = K ma i y x Δε x [ Dt ] Δεy - K ma p Y Y ma Δγxy + G m t2 + G - + G - K i t t3 xy Y Y ma - - ここに G t G t2 G t3 は次式で与えられる G G G t t2 t3 2n df = 2 ( γθ + ( γθ ) i i i= dγ 2n df = 2 ( γθ + ( γθ ) i i i= dγ 2n = 2 i= st st df ( γθ + ( γθ ) i i dγ このようにして得られた [ ] t は 次項で示す st 2 ) cos θ Δθ i m K ) cosθ sinθ Δθ ) sin 2 i θ Δθ ' D を { σ } { ε} i i Δε (2.2-59) (2.2-6) (2.2-6) (2.2-62) (2.2-63) として用いる なお df/dγ の具体的な形 23

27 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 多重せん断ばねによるモデル化 () せん断強度と初期せん断剛性多重せん断ばねのばね変位 γからばね力を算定する関数 F(γ) を 次式により定義する x = γ/ γ (2.2-64) m 但し y = F( γ) / (2.2-65) F m F m = τf (2.2-66) 4 Fm γ m = π G (2.2-67) xと y は正規化されたばね変位とばね力である 両者の関係は双曲線型であり その具体的な形は後述する τ f はせん断強度であり また G は初期せん断剛性であって 過剰間隙水圧モデルを適用する場合には 過剰間隙水圧モデルにより決まる値を用いる ((2.2-39) 式, (2.2-4) 式参照 ) 過剰間隙水圧モデルを適用しない場合は それぞれ以下に示すように与える ' f τ f = Y sinφ (2.2-68) なお G m G Y = Gma Y (2.2-69) ma Y ' m = -σ (2.2-7) Y ma - ' ma = σ (2.2-7) ここに σ ma ' は基準平均有効応力 G ma はこの有効応力に対応する初期せん断剛性である m G は G の拘束圧依存性を表すパラメータである (2) 正規化されたばね力とばね変位の関係 (2.2-64)~(2.2-65) 式における正規化されたばね変位 x とばね力 y の関係 ( 図 2.2- 参照 ) を以下に示す 24

28 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル Back Bone 上 ( 骨格曲線上 ) x y = (2.2-72) + x 2 Back Bone 上の (x, y ) で反転後骨格曲線に相以であり かつその原点を最後に反転した点 (x r, y r )( 図 2.2-の 2 または 3 の点 ) におき さらに 骨格曲線からの反転を第 回目とすると 奇数回目の反転で (-x, -y ) 偶数回目の反転で(x, y ) を目指す曲線を用いて x と y の間の関係を表す すなわち ' ' y - yr 2δ ' ' x - xr = 2δ (2.2-73) ' ' x - xr + 2δ 但し 減衰を調節するため 次のような変換を行ったので 上式は x - y 平面においては骨格曲線と相以にはならない ' x = x ξ(x ) ' y = y η(x ) (2.2-74) x y ' r ' r = xr = y r ξ(x η(x ) ) (2.2-75) ξ(x ) の定め方は次項に示す また δは (2.2-73) 式が表す曲線が (-x ', -y ') または (x ', y ') を通るという条件から 次のように定まる ' ± x - xr ± y - yr δ = (2.2-76) 2 ' ' ' ' ( ± x - x ) - ( ± y - y ) ' r ' ' r 式中の複号は 奇数回目の反転をしたら- 偶数回目の反転をしたら+とする 第 回目の反転では Masing 則 (Masing, 926) に従い δ= としたい この条件から η(x ) が次のように定まる (x ) + x η (x ) = ξ (2.2-77) + x 3 Back Bone にもどった場合 x と y との関係は 再び (2.2-72) 式による 25

29 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル y (x, y ) (x r, y r ) x (-x, -y ) 図 2.2- 正規化されたばね変位 - ばね力空間での除荷 / 載荷曲線の模式図 (Iai ら, 99b) 26

30 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル (3) ばね力 - ばね変位関係の勾配 次に df(γ)/dγを求める まず 骨格曲線上でない場合は (2.2-73) 式の関係を用い 次式を得る F η(x ) ' m dy ' γ = γm ξ(x ) dx (2.2-78) df d なお dy'/dx' は次式のように表される dy dx ' ' ' ' y - yr - 2δ = (2.2-79) ' ' x - xr + 2δ 骨格曲線上である場合は 上式において η(x )= ξ(x )= δ=.5 x r '=y r '= とした特別の場合である すなわち df F m dy dγ = γ dx (2.2-8) m ここで dy/dx は次式のように表される dy dx - y = (2.2-8) + x 減衰定数のモデル化各ばねの除荷時に 当該ばねの変位 xに応ずる減衰定数をh(x) と置く 減衰を調節するために (2.2-74) 式と (2.2-75) 式で導入したξ(x) は h(x) に基づき 次式を数値的に解いて求める (Ishihara ら, 985) D( xξ ) = h(x) (2.2-82) 但し 4 2 D(x) = + - ln ( + x ) - (2.2-83) π x x π 減衰定数 h(x) の具体的な表示を以下に示す 等方圧密された状態からせん断力 τ xy を加えて せん断ひずみγ xy (=xγ m ) を得たものとする この状態で除荷し 反対側で骨格曲線到達後に荷重を反転させ 再びもとの状態にもどるようなループを考える 除荷開始時点における各ばねの変位は 27

31 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル x sinθ γ (2.2-84) i m であり また各ばね力は すべてのばねが骨格曲線上にあることから y (x sinθ i ) Fm Δθ (2.2-85) で与えられる 但し y (x) = x ( + x ) (2.2-86) である これらを用い 各ばねのひずみエネルギーを次式により定める ei (x) γ m Fm Δθ (2.2-87) 但し e (x) i 2 2 x sin θi = y(x sinθi ) x sinθi = (2.2-88) x sinθi 各ばねのループ 回当りの減衰エネルギーは ei (x) γm Fm Δθ h(x sinθi ) 4π (2.2-89) で与えられ したがって全ばねの減衰定数 H(x) は 次式で表示される 2n 2 e (x) F h (x sin ) 4 e (x) h (x sin ) i γm mδθ θi π i θi i= i= H(x) = = 2n 2n 4π 2 e (x) γ F Δθ e (x) i= i m m 2n i= i (2.2-9) ここで個々のばねの減衰定数を与える式 h(x) が次の形に表されるものとする (Ozutsumi ら, 2) x τk h (x) = Ek (2.2-9) k + x τ k すなわち 各ばねの減衰定数 h (x) は双曲線型関数 (E k ( x /τ k ) / (+ x /τ k )) の重ね合わせとして表現する この関数は x が概ねτ k /~τ k の範囲で値が から E k に変化するので 立ち上がりのタイミングτ k をずらして関数を重ね合わせれば 任意の単調増加関数が近似出来る E k の値は以下に示す方法により決定する (2.2-9) 式を用いると 全ばねの減衰定数 H(x) は次式により表される 但し とおいた H(x) = ζ (x) E (2.2-92) k k k x sinθi τk ei(x) i + x sinθi τk ζ k (x) = (2.2-93) e (x) i i 28

32 2.2 多重せん断機構に基づく砂の力学モデル 一方 全ばねの減衰定数は 経験的に 例えば π x ~ 4 H(x) = H max π (2.2-94) + x 4 ~ H で与えられる H (x) が (x) をよく近似するよう 最小二乗法を用いてパラメータ E k を決定する すなわち残差平方和 Ⅰを 2 ~ Ⅰ = H(xm ) - H (xm ) m (2.2-95) とおき さらに Ⅰ = E k (2.2-96) なる条件を用いて E k を決定する すなわち Ⅰ = 2 H(x Ek m m ~ ) - H (x m ) ζk (x m ) ~ = 2 (x ) (x ) ζ k m ζ j m E j - H (xm ) ζ k (xm j m m ) = (2.2-97) (2.2-98) 上式を整理すると 次の連立方程式を得る a E = b (2.2-99) j kj j k 但し a kj = ζ (x ) ζ (x ) (2.2-) m k m j m b = H (x ) ζ (x ) (2.2-) k m ~ m k m 29

33 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 多重せん断機構モデルで必要なパラメータ これまでに示した多重せん断機構モデルを用いる際に指定が必要なパラメータなどをまとめて表 2.2-に示す 分類 物理試験結果 ρ t n 動的変形特性 σ ma ' 液状化特性 表 2.2- 多重せん断機構モデルで必要なパラメータの一覧 パラメータ G ma K ma m G m K φ f h max φ p w p p 2 c S 湿潤密度間隙率 G ma,k ma に対応する平均有効応力 ( 基準拘束圧 ) 基準初期せん断剛性 (σ m ' =σ ma ' における値 ) 基準体積弾性係数 ( 接線剛性 )(σ m ' =σ ma ' における値 ) 初期せん断剛性 G の有効拘束圧依存性体積弾性係数 K の有効拘束圧依存性せん断抵抗角履歴減衰定数の上限値 変相角液状化の全体の挙動を規定するパラメータ液状化の前半の挙動を規定するパラメータ液状化の後半の挙動を規定するパラメータ液状化するためのせん断応力比の下限値に関するパラメータ液状化の終局状態を規定するパラメータ 平均有効応力 σ m ' に対する初期せん断剛性 G および体積弾性係数 ( 接線剛性 )K は次式により評価される G ' ' m ( ) G ' ' m = G ma σm / σma, K ( ) K = K ma σm / σma 2 w, p, p 2, c, S を液状化パラメータと呼ぶ 3

34 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 2.3. 従来モデル前節で示した多重せん断機構モデルに基づく矢板式岸壁などの地震応答解析においては しばしば応答が過大になる傾向が見られる これは 矢板や控え矢板の受働側地盤など 常に軸差応力の作用下にあって繰り返しせん断される砂の液状化の進行が他の部分に比べて著しく速いためである 多重せん断機構モデルでは 単位体積の砂に対してなされた塑性せん断仕事 ΔW s を 負のダイレタンシーに対する寄与係数 R を乗じて累積し ((2.2-34) 式 ) その累積値 W s により液状化の進行程度を表す液状化フロントパラメータ S を設定する ((2.2-26) 式 ) W = RΔ (2.2-34: 再掲 ) s W s S = -. 6 (w/w ) S = (. 4 - S ) (w /w) p p2 + S (if (if w<w w>w ) ) (2.2-26: 再掲 ) ここに w(=w s /W n, W n =τ m γ m /2) は 累積塑性せん断仕事 W s を初期のせん断エネルギー W n で正規化したものであり w, p, p 2, S は液状化パラメータと呼ばれる液状化の進行を制御するために与えるパラメータである 寄与係数 R は応力空間内の位置によるせん断仕事の負のダイレタンシーへの寄与程度の違いを表し 破壊線に近づくほど小さくなるように設定される ((2.2-37) 式 ) S S w の場合 R= (r Sm 3 の場合 ) R=(m - r /S)/(m - m 3 ) (r>sm 3 の場合 ) S<S w の場合 (2.2-37: 再掲 ) R= (r S w m 3 の場合 ) R=( m - r /S w )/(m - m 3 ) (r>s w m 3 の場合 ) ここに r は初期平均有効応力 σ m ' で正規化した最大せん断応力 S は状態変数 S w は寄与係数の設定法を切り替える境界の S の値で通常は.4 である また m =sinφ f (φ f はせん断抵抗角 ) m 2 =sinφ p (φ p は変相角 ) m 3 =.67m 2 である 図 2.3-は 上記寄与係数 R の算定式を応力空間内の領域別に示したものである 既往の多重せん断機構モデル ( 以下 従来モデル ) では 変相線を超えて破壊線に至るまでの応力空間においてなされる塑性せん断仕事の負のダイレタンシーへの寄与係数は S S w の場合 せん断応力の増加に応じて線形に低減させ 破壊線上では としている この寄与係数設定法によれば 破壊線にいくら近づいても非零の寄与係数が与えられることにな 3

35 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル る 矢板の受働側地盤ように軸差応力の作用下にある砂の場合 応力が破壊線に近づいた状態で繰り返しせん断されるため ( 例えば 図 に示す有効応力経路図を参照 ) 大きなせん断応力の下で大きな塑性せん断ひずみが生じ 変相線以下とは比較にならないほど大きな塑性せん断仕事がなされるが 一方 寄与係数は線形でしか低減されないので 結果的に 破壊線近傍での挙動が負のダイレタンシーの発現に大きく影響する恐れがある 32

36 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 図 2.3- 従来モデルの寄与係数 R の算定法 図 修正モデル Ⅰ の寄与係数 R の算定法 図 修正モデル Ⅱ の寄与係数 R の算定法 33

37 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 軸差応力下での従来モデルの挙動と修正モデルⅠ 既往の多重せん断機構モデルの寄与係数設定法が 矢板式岸壁など基礎地盤が軸差応力の作用下で繰り返しせん断を受けるようなタイプの構造物の地震応答を過大なものにしている可能性がある このため 別に実施された異方圧密後に軸圧一定として軸差応力を作用させたまま行われた非排水繰り返しねじりせん断試験 (Matsuo ら, 2) を対象に従来モデルによる解析 ( 要素シミュレーション解析 ) を行い 軸差応力下で繰り返しせん断した場合の従来モデルの挙動を確認する また 比較対照として 従来モデルの寄与係数設定法の代わりに 新たに提案する 変相線を超えた応力空間における塑性せん断仕事は 負のダイレタンシーの発現に寄与しないと言う物理機構を想定した修正モデルⅠによる解析も実施し 寄与係数設定法がモデル挙動に与える影響を調べる ( 小堤ら, 2) () 修正モデル Ⅰ の寄与係数設定法 上述の修正モデルⅠの寄与係数設定法は以下に示す通りである また 図 2.3-2は 修正モデルⅠの寄与係数 R の算定式を応力空間内の領域別に示したものである S S w の場合 R= (r Sm 3 の場合 ) R=(m 2 - r /S)/(m 2 - m 3 ) (Sm 3 <r<sm 2 の場合 ) R= (Sm 2 r の場合 ) S<S w の場合 (2.3-) R= (r S w m 3 の場合 ) R=( m 2 - r /S w )/(m 2 - m 3 ) (S w m 3 <r<s w m 2 の場合 ) R= (S w m 2 r の場合 ) (2) 非排水繰り返しねじりせん断試験の解析 Matsuo ら (2) は 相対密度を 6% に調整した豊浦砂 (D 5 =.6mm U c =.2) の供試体を用いて 異方圧密後に軸方向変位を拘束した場合と 拘束せずに軸圧一定とした場合の両者について 非排水繰り返しねじりせん断試験を実施した 軸方向変位拘束試験では 軸圧 98kPa 側圧 49kPa で異方圧密した後 軸方向変位を拘束した状態で非排水繰り返しねじりせん断試験を実施した 試験結果である液状化抵抗曲線を図 2.3-4に また せん断応力 -せん断ひずみ関係と有効応力経路図を図 (a) に示す これらの試験結果などを参照して 解析地盤定数を表 2.3-および表 2.3-2に示すように設定した これら定数に基づき 軸方向変位拘束試験に対応する従来モデルおよび修正モデルⅠによるシミュレーション解析を実施した 解析結果である液状化抵抗曲線を図 2.3-4に せん断応力 -せん断ひずみ関係と有効応力経路図を図 2.3-5の それぞれ (b), (c) に示す これらの図によれば 従来モデルも修正モデルⅠも共によく試験結果を再現する 34

38 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 ことが出来た なお 修正モデルⅠでは せん断応力比が大きなところで負のダイレタンシーが抑えられるため 図 2.3-4に示した液状化抵抗曲線では 大きなせん断応力比に対しては 繰り返し回数 Nl が若干多くなる傾向にある 軸圧を一定とする試験では 軸圧 98kPa 側圧 49kPa で異方圧密した後 軸圧を一定として 非排水繰り返しねじりせん断試験を行った 試験結果とこの試験に対応する両モデルによる解析結果の比較を図 () と (2) に示す 解析では 軸方向変位拘束試験の要素シミュレーション解析と同一の解析地盤定数を用いた ( 表 2.3-および表 参照 ) これらの図によれば 修正モデルⅠの結果は概ね試験結果を再現したが 従来モデルの方は せん断ひずみおよび軸ひずみのレベルが 試験結果および修正モデルⅠの結果より 2 オーダー程度大きい これらの結果などから 以下のことが言える 軸差応力が速やかに解消される軸方向変位拘束試験の解析では 従来モデルは試験結果を再現することができた 従って 同じような応力状態にある通常行われる等方圧密後の非排水繰り返しせん断試験の解析や水平成層地盤を対象とする地震応答解析には 従来モデルを適用することができる 2 砂が軸差応力の作用下で繰り返しせん断される軸圧一定試験の解析では 従来モデルを適用すると試験結果の 7~ 倍程度の軸ひずみおよびせん断ひずみが生じた また 試験では ひずみの増加率は最終的に頭打ちになるのに対して 解析結果では 増加率は増大傾向にある 一方 修正モデルⅠでは これらのひずみとその増加傾向は試験結果と概ね一致した 両モデルの違いは変相線を超えた応力空間における寄与係数設定法のみであるので 従来モデルの過大なひずみは寄与係数の設定法に起因するものである 3 基礎地盤が軸差応力の作用下で繰り返しせん断されるような形式の構造物に対する地震応答解析で見られる過大な応答の一因は寄与係数設定法にある この点については 本章の最後に両モデルを矢板式岸壁などの例題解析に適用することにより確認する ただ 第 3 章ほかで示すように 寄与係数設定法が過大応答の原因のすべてではない 4 修正モデルⅠは 従来モデルの代わりに用いることができる可能性があるが K =.5 とは異なる条件下での検証が必要である 35

39 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル せん断応力比 τxy/65.3kpa 試験結果従来モデル修正モデル Ⅰ 繰り返し回数 Nl 図 軸方向変位拘束試験による液状化抵抗曲線 (Matsuo ら, 2) と要素シミュレーション結果 表 2.3- 豊浦砂 (Dr=6%): 多重せん断ばねモデルなどのパラメータ 土層名 湿潤 間隙 変形特性 密度 率 初期 体積 基準 ホ アソ 拘束圧 内部粘着 履歴 せん断剛性 弾性係数 化拘束圧 ン比 依存係数 摩擦角 力 減衰上限値 ρ t n G ma K ma σ ma ' ν m φ f c h max (t/m 3 ) (kpa) (kpa) (kpa) ( ) (kpa) 豊浦砂 (Dr=6%) m G =m K =m とする 表 豊浦砂 (Dr=6%): 過剰間隙水圧モデルのパラメータ 土層名 液状化特性 変相角 液状化パラメータ φ p w p p 2 c S ( ) 豊浦砂 (Dr=6%)

40 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 (a) 試験結果であるせん断応力 - せん断ひずみ関係 ( 左図 ) と有効応力経路図 ( 右図 ) (b) 従来モデルによるせん断応力 - せん断ひずみ関係 ( 左図 ) と有効応力経路図 ( 右図 ) Shear stress (kpa) Shear strain (%) Shear stress (kpa) Mean effective stress (kpa) (c) 修正モデル Ⅰ によるせん断応力 - せん断ひずみ関係 ( 左図 ) と有効応力経路図 ( 右図 ) Shear stress (kpa) Shear strain (%) Shear stress (kpa) Mean effective stress (kpa) 図 軸方向変位拘束試験 (Matsuo ら, 2) によるせん断応力 -せん断ひずみ関係と有効応力経路図 ( 上段 ) および対応する従来モデル ( 中段 ) と修正モデルⅠ( 下段 ) の解析結果 37

41 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル (a) 試験結果であるせん断応力 - せん断ひずみ関係 ( 左図 ) と有効応力経路図 ( 右図 ) (b) 従来モデルによるせん断応力 - せん断ひずみ関係 ( 左図 ) と有効応力経路図 ( 右図 ) Shear stress (kpa) Shear stress (kpa) Shear strain (%) Mean effective stress (kpa) (c) 修正モデル Ⅰ によるせん断応力 - せん断ひずみ関係 ( 左図 ) と有効応力経路図 ( 右図 ) Shear stress (kpa) Shear strain (%) Shear stress (kpa) Mean effective stress (kpa) 図 () 軸圧一定試験 (Matsuo ら, 2) によるせん断応力 -せん断ひずみ関係と有効応力経路図 ( 上段 ) および対応する従来モデル ( 中段 ) と修正モデルⅠ( 下段 ) の解析結果 38

42 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 (a) 試験結果であるせん断応力 - 軸ひずみ関係 (b) 従来モデルによるせん断応力 - 軸ひずみ関係 Shear stress (kpa) Axial strain (%) (c) 修正モデル Ⅰ によるせん断応力 - 軸ひずみ関係 Shear stress (kpa) Axial strain (%) 図 2.3-6(2) 軸圧一定試験 (Matsuo ら, 2) によるせん断応力 - 軸ひずみ関係および対応する従来モデル ( 中段 ) と修正モデルⅠ( 下段 ) の解析結果 39

43 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 軸差応力下での従来モデルの挙動 ( 続き ) と修正モデルⅡ 前項で示したように 修正モデルⅠを軸圧一定の条件下で行われた非排水繰り返しねじりせん断試験 (Matsuo ら, 2) に適用した場合には 試験結果を再現した ただ この試験は K =.5 の場合のみを対象としていたので ここでは別の K 値についても従来モデルや修正モデルⅠなどの挙動を確認する この目的のために 別に実施された非排水繰り返しねじりせん断試験結果 ( 建設省土木研究所, 992: 995) を参照する () 参照した試験の概要様々な条件下で行われた一連の非排水繰り返しねじりせん断試験 ( 建設省土木研究所, 992: 995) の中から 比較的単純な条件下でなされた複数の試験をモデル挙動確認のために選択した すなわち 本検討では 表 2.3-3に示す等方圧密後の軸方向変位拘束試験および表 2.3-4に示す軸圧一定試験の各結果を参照した これらの試験では いずれも相対密度が 6% に調整された豊浦砂が用いられた (2) 解析地盤定数 ( 液状化パラメータを除く ) 非排水繰り返しねじりせん断試験で使用された相対密度 6% の豊浦砂の解析地盤定数を以下に示す せん断抵抗角と変相角等方圧密後に非排水繰り返しねじりせん断を行う試験のいくつかについて それらの有効応力経路図 ( 縦軸 : ねじりせん断応力 横軸 : 平均有効応力 ) から せん断抵抗角および変相角を読み取り それらの平均的な値として せん断抵抗角を44 度 変相角を28 度と設定した 2 初期せん断剛性とその平均有効拘束圧依存性次式 (Iwasaki ら, 977) に 等方圧密後の平均有効応力 98kPa を代入してG を求め (=998kPa) それを基準初期せん断剛性 G ma とした 基準平均有効拘束圧 σ ma ' は 98kPa とした 剛性の拘束圧依存性は 同式にならい 平均有効応力の.4 乗に比例するものとした G = 492{(2.7-e) 2 /(+e)}σ m '.4 (2.3-2) 上式を用いるにあたり 相対密度 (Dr=6%) と最大間隙比 (e max =.983) および最小間隙比 (e min =.69) から求めた間隙率 e (=.759) を使用した 異方圧密のケースも含めたすべてのケースの解析には 上述の G ma とσ ma ' を使用した 3 間隙率相対密度 (Dr=6%) と最大間隙比 (e max =.983) および最小間隙比 (e min =.69) から 間隙率 n を.43 と算定した 4

44 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 上記のようにして設定した豊浦砂 (Dr=6%) の解析地盤定数 ( 液状化パラメータを除く ) を表 2.3-5に示す (3) 液状化パラメータ液状化パラメータは 等方圧密後に軸方向変位拘束で繰り返しねじりせん断を行う試験 ( 表 参照 ) 結果に基づく液状化抵抗曲線を目標に 試行錯誤により 表 2.3-6に示すように定めた このパラメータによる液状化抵抗曲線と試験結果との比較を図 2.3-7に示す 液状化抵抗曲線のフィッティング作業は 従来モデルを用いて実施した それにより決定した液状化パラメータを用いて修正モデルⅠで液状化抵抗曲線を計算すると 同図に示すように 大きなせん断応力比では液状化強度が若干大きくなる このことは 厳密には 最終的な解析で用いるモデルにより液状化パラメータを決定すべきであることを示している ただ ここでは 差が小さいのとモデルの挙動の違いを見ることが目的であるので 従来モデルにより定めたパラメータを修正モデルⅠなどによる解析でも用いた (4) 軸圧一定試験のシミュレーション表 2.3-4に示す軸圧一定の各試験に対するシミュレーション解析を行った 図 2.3-8には 従来モデルによる液状化抵抗曲線の試験結果との比較を 図 2.3-9には 修正モデルⅠによる液状化抵抗曲線の試験結果との比較をそれぞれ示す 従来モデル 修正モデルⅠとも K が. と.9 の場合は 解析結果である液状化強度は 試験値を説明している ただ K が.7 と.5 になると状況が一変する 試験結果に対して 従来モデルでは 液状化抵抗が弱すぎ 修正モデルⅠでは液状化抵抗が強すぎる結果となった 従って 従来モデルと修正モデルⅠの中間的なモデルがちょうど試験結果を再現する可能性がある ただし 試験では K が.7 以下の場合は ねじりせん断ひずみγ θd が液状化判定基準 (5%) に到達せず これらの図にはその情報が載っていないので 上述の結論は 軸ひずみに関してのみ言える 4

45 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 表 等方圧密後の軸方向変位拘束試験の一覧と 液状化抵抗 ( 建設省土木研究所, 992) ケース K σ a ' σ r ' σ m ' τ d /σ m ' 繰返し回数 (3D) (3D) Nc( 回 ) kgf/cm 2 kgf/cm 2 kgf/cm 2 γ θd =5% K6TX K6T2B K6T3E K6T σ a ' は軸圧 σ r ' は側圧 σ m ' は初期平均有効応力 τ d /σ m ' はせん断応力比 γ θd はねじりせん断ひずみ 表 軸圧一定の非排水繰り返しねじりせん断試験の一覧と液状化抵抗 ( 建設省土木研究所, 992: 995) 2 2 ケース K σ a ' σ r ' σ m ' (3D) τ d /σ m ' 繰返し回数 Nc( 回 ) kgf/cm kgf/cm kgf/cm 2 (3D) γ θd =5%.5ε ad =5%.5ε ad =% J6T J6T J6C J6C J6A J6A3A J6A J6B J6B σ a ' は軸圧 σ r ' は側圧 σ m ' は初期平均有効応力 τ d /σ m ' はせん断応力比 γ θd はねじりせん断ひずみ ε ad は軸ひずみ 42

46 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 表 豊浦砂 (Dr=6%): 多重せん断ばねモデルなどのパラメータ 土層名 湿潤密度 間隙率 変形特性 初期 体積 基準 ホ アソ 拘束圧 内部粘着 履歴 せん断剛性 弾性係数 化拘束圧 ン比 依存係数 摩擦角 力 減衰上限値 ρ t n G ma K ma σ ma ' ν m φ f c h max (t/m 3 ) (kpa) (kpa) (kpa) ( ) (kpa) 豊浦砂 (Dr=6%) m G =m K =m とする 表 豊浦砂 (Dr=6%): 過剰間隙水圧モデルのパラメータ 土層名 液状化特性 変相角 液状化パラメータ φ p w p p 2 c S ( ) 豊浦砂 (Dr=6%) せん断応力比 (τl/σm') 試験値 従来モデル 修正モデル Ⅰ 繰り返し回数 N l 図 軸方向変位拘束試験の液状化抵抗曲線 (K =.) 試験値は 建設省土木研究所 (992) による 43

47 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル K =..5 K =.9 K =.7 せん断応力比 せん断応力比 せん断応力比 γθd=5% γθd=5%( 従来モデル ) 繰り返し回数 (Nc).5εad=5%.5εad=% γθd=5%.5εad=5%( 従来モデル ) γθd=5%( 従来モデル ) 繰り返し回数 (Nc).5εad=5%.5εad=%.5εad=5%( 従来モデル ).5εad=%( 従来モデル ) γθd=5%( 従来モデル ) K =.5. 繰り返し回数 (Nc).5 せん断応力比 εad=5%.5εad=%.5εad=5%( 従来モデル ).5εad=%( 従来モデル ) γθd=5%( 従来モデル ) 繰り返し回数 (Nc) 図 非排水繰り返しねじりせん断試験 ( 軸圧一定 ) に基づく液状化抵抗曲線 ( 塗りつぶしたマーク ) と従来モデルによるシミュレーション結果 試験値は建設省土木研究所 (992: 995) による 2 図中のεad は軸歪を γθd はねじりせん断ひずみを表す 44

48 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 K =..5 せん断応力比 (τd/σm') γθd=5% γθd=5%( 修正モデルⅠ) 繰り返し回数 (Nc) K =.9 K =.7 せん断応力比 (τd/σm') 繰り返し回数 (Nc).5εad=5%.5εad=% γθd=5%.5εad=5%( 修正モデル Ⅰ) γθd=5%( 修正モデル Ⅰ) K =.5 せん断応力比 (τd/σm').4.3.5εad=5%.2.5εad=%.5εad=5%( 修正モデルⅠ)..5εad=%( 修正モデルⅠ) γθd=5%( 修正モデルⅠ)..5 繰り返し回数 (Nc) せん断応力比 (τd/σm') εad=5%.5εad=% 繰り返し回数 (Nc) 図 非排水繰り返しねじりせん断試験 ( 軸圧一定 ) に基づく液状化抵抗曲線 ( 塗りつぶしたマーク ) と修正モデルⅠによるシミュレーション結果 図中のεad は軸歪を γθd はねじりせん断ひずみを表す 2 試験値は 建設省土木研究所 (992: 995) による 3 修正モデルⅠは K =.5 で液状化せず 45

49 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル (5) 修正モデルⅡ 従来モデルと修正モデルⅠの中間的な状態を表現出来るように 塑性せん断仕事の負のダイレタンシーへの寄与係数を表すパラメータ R の設定法として図 2.3-の細い実線で示す方法を試した この設定法では 第 2 変相角 φ p2 および第 2 変相線における寄与係数の値が必要である すなわち 状態変数 S が S w (=.4) 以上の領域では R を次のように決定する せん断応力比 r が変相線高さの 2/3 までは R=. 2 せん断応力比 r が変相線高さの 2/3 から第 2 変相線 ( 第 2 変相角 φ p2 ) までは R は. から RRFP( 第 2 変相線上での R の値 ) まで 直線的に変化する 3 せん断応力比 r が第 2 変相線から破壊線までは R は RRFP から. まで直線的に変化する 状態変数 S が.4 以下の領域でも同様であるが せん断応力比 r は S=.4 の時の破壊線などの高さと比較する 表 2.3-4に示す試験ケースのうち J6A2 J6A3A( 以上 K =.7) J6B3 J6B4 ( 以上 K =.5) を対象に 第 2 変相角 φ p2 と第 2 変相線上での寄与係数 RRFP の値を種々に変えてシミュレーション解析を行い 試験をよく説明するパラメータセットを探した この過程で 試験結果に見られるような 軸歪が頭打ちになる傾向 ( 図 右列参照 ) を再現するには R= となる領域が必要であることが分かり RRFP=. とすることにした ( これを修正モデルⅡまたは単に修正モデルと呼ぶ ) 修正モデルⅡの寄与係数設定法は以下に示す通りである また 図 2.3-3は 修正モデルⅡの寄与係数 R の算定式を応力空間内の領域別に示したものである S S w の場合 R= (r Sm 3 の場合 ) R=(m 22 - r /S)/(m 22 - m 3 ) (Sm 3 <r <Sm 2 の場合 ) R= (Sm 22 r の場合 ) S<S w の場合 (2.3-3) R= (r S w m 3 の場合 ) R=( m 22 - r /S w )/(m 22 - m 3 ) (S w m 3 <r <S w m 22 の場合 ) R= (S w m 22 r の場合 ) ここに m 22 =sinφ p2 である この修正モデルⅡで 第 2 変相角を変相角に一致させると修正モデルⅠに 破壊角に一致させると従来モデルになる 従って 修正モデルⅡは従来モデルと修正モデルⅠを拡張したものになっている 46

50 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 (6) 修正モデルⅡの適用結果修正モデルⅡの第 2 変相角を変相角 (=28 度 : 修正モデルⅠ) から破壊角 (=44 度 : 従来モデル ) の範囲で変動させて軸非拘束の非排水繰り返しねじりせん断試験の解析を行った 解析対象ケースは J6A2 J6A3A( 以上 K =.7) J6B3 J6B4( 以上 K =.5) とした 載荷繰り返し回数 25 回目 (K =.7 の場合 ) または 3 回目 (K =.5 の場合 ) の軸ひずみおよびねじりせん断ひずみ振幅の試験値との比較を図 2.3-に示す この結果などから以下のことが言える 第 2 変相角の大きさによりひずみレベルはかなり変動する 2 従来モデルでは どのケースでも軸ひずみとねじりせん断ひずみは試験値に比べて非常に大きいが 第 2 変相角を適当に設定することにより 試験結果の大きさに近づけることができる 3 修正モデルⅡ(φ p2 =28 度 ) では ねじりせん断ひずみは試験結果と整合的であるが 軸ひずみは過小評価する この傾向は 特に K =.7 のケースにおいて顕著である 4 修正モデルⅡ(φ p2 =33 度 ) の解析結果は K =.7 のケースのねじりせん断ひずみを除き 試験結果と整合的である この場合のひずみ時刻歴の試験結果との比較を図 2.3-2および図 2.3-3に示す これらの図によれば やはり K =.7 のケースのねじりせん断ひずみを除き 解析結果は試験結果と概ね整合する 5 解析結果である軸ひずみとねじりせん断ひずみは 第 2 変相角が 36 度以下では K =.7 のケースの方が K =.5 のケースより大きい 試験結果でも軸ひずみに同様の傾向が見られる 解析結果におけるこの違いは K =.7 のケースの応力経路が塑性せん断仕事の負のダイレタンシーに対する寄与率設定法が変わる境界 (S=S w (=.4)) を超えるからである 一方 K =.5 のケースではこの境界を超えないので ダイレタンシーに影響する塑性せん断仕事の累積値が抑えられる この境界を例えば S=.3 に変更すると K =.7 のケースのみひずみレベルを抑える効果があるので 試験結果にさらに整合する解析結果が得られる可能性があるが これについては今後の課題である 結局 修正モデルⅡで第 2 変相角を適当に与えると 従来モデルの挙動を大幅に改善し 概ね試験結果に整合する結果が得られることが分かった ただ 第 2 変相角の決定法に関しては 今のところ 本節で参照したような試験結果から評価するか あるいは被災事例解析を行い 被害程度を説明するように決めるしか方法がない 47

51 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル.67sinφ p.8.6 従来モデル修正モデル Ⅰ 修正モデル Ⅱ R.4.2 第 2 変相線でのR r/s sinφ p sinφ p2 sinφ f 図 2.3- 寄与係数 R の変化の様子 (S>.4 の場合 ) 横軸は正規化された最大せん断応力 r の S に対する比 φ p2 は第 2 変相角を表す 軸ひずみ (25 回ないし 3 回目 ) ひずみ (%) 試験結果 J6A2(K=.7) J6A3A(K=.7) J6B3(K=.5) J6B4(K=.5) 改良モテ ル Ⅰ:28 度 29 度 第 2 変相角 3 度 33 度 36 度 4 度従来モテ ル :44 度 ねじりせん断ひずみ (25 回ないし 3 回目 ) ひずみ (%) 試験結果 J6A2(K=.7) J6A3A(K=.7) J6B3(K=.5) J6B4(K=.5) 改良モテ ル Ⅰ:28 度 29 度 第 2 変相角 3 度 33 度 36 度 4 度従来モテ ル :44 度 図 2.3- 軸非拘束ねじりせん断試験の載荷繰り返し回数 25 回目 (K =.7) または 3 回目 (K =.5) の軸ひずみおよびねじりせん断ひずみ振幅の試験値 ( 建設省土木研究所, 995) と解析値の比較解析値は修正モデルⅡの第 2 変相角をパラメータとして その感度を見たもの なお ケース J6B4 の従来モデルの軸ひずみは 744% ねじりせん断ひずみは 48% 48

52 ひずみ (%) ひずみ (%) ひずみ (%) ひずみ (%) J6A2 軸ひずみ 繰り返し回数 J6A3A 軸ひずみ 繰り返し回数 J6B3 軸ひずみ 繰り返し回数 J6B4 軸ひずみ 繰り返し回数 図 軸非拘束ねじりせん断試験の軸ひずみ時刻歴左列が修正モデル (φ p2 =33 度 ) の計算値 右列が試験値 ( 建設省土木研究所, 992) ケースは上から順に J6A2, J6A3A(K =.7), J6B3, J6B4(K =.5) J6A3A のみひずみ軸のスケールが異なる 49

53 ひずみ (%) ひずみ (%) ひずみ (%) ひずみ (%) J6A 繰り返し回数 J6A3A TIME (SEC.) J6B TIME (SEC.) J6B TIME (SEC.) 図 軸非拘束ねじりせん断試験のねじりせん断ひずみ時刻歴左列が修正モデル (φ p2 =33 度 ) の計算値 右列が試験値 ( 建設省土木研究所, 992) 上から順に J6A2, J6A3A(K =.7), J6B3, J6B4(K =.5) 上 2 ケースのひずみ軸スケールが異なる 5

54 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 盛土模型の動的遠心載荷実験本項と次項では 塑性せん断仕事の負のダイレタンシーに対する寄与係数設定法を見直した修正モデルを 従来モデルでは合理的な予測値を得ることができなかった盛土構造物 ( 本項 ) と矢板式岸壁 ( 次項 ) の地震応答解析に適用して その効果を確認する これらの解析では第 2 変相角を変相角に等しくとり ( 以下 修正モデルⅠあるいは単に修正モデル ) 合理的な範囲内で応答値が得られることを確認する( 小堤ら, 2) 盛土構造物では 盛土直下地盤には盛土の影響により常に軸差せん断応力が作用しているので その状態で地震動が作用すると 応力ポイントが破壊線に近づいた状態で繰り返しせん断される そのため 従来モデルと修正モデルでは応答値に差が生じることが予想される 従って ここでは 盛土構造物について修正モデルの効果を確認する 建設省土木研究所動土質研究室 ( 建設省土木研究所, 2) では 液状化する地盤上の盛土構造物に対する法先固化補強の効果を確認するために 一連の動的遠心模型実験を実施した ここでは そのシリーズの中で 無対策の断面に対して大加速度の地震波を入力するケースを取り上げる 対象断面を図 2.3-4に 入力地震動を図 2.3-5に示す これらに示す寸法などは すべて G 場に換算したものであり 解析も G 場において実施した 各土層に対して 物理試験 力学試験が実施されており 模型地盤においてはS 波速度も実測されている これらの試験結果を参照して 別途実施された多重せん断機構モデルを用いた解析のために 多重せん断ばねモデルに対するパラメータが設定されているが 本解析においてもこれらのパラメータを用いる ( 表 参照 ) 液状化パラメータは非排水繰り返し三軸試験で得られた繰り返し回数 2 回程度の液状化強度を再現するよう要素シミュレーション解析を実施して設定した 設定したパラメータを表 2.3-8に この定数に基づく液状化抵抗曲線を図 2.3-6に示す 従来モデルと修正モデルⅠの両者で 液状化抵抗は概ね等しい 動的解析においては 解析安定化のために 剛性比例係数 β=. の剛性比例型のレーレー減衰行列を与えた また 時間積分間隔 Δt を. 秒 解析継続時間は図 2.3-5に示す 4 秒間とした 実験結果および解析結果を図 表 2.3-9および図 2.3-8に示す 実験結果によれば 堤体下方の7 号珪砂層との境界付近の江戸崎砂において大きな変形が生じているが 修正モデルはその傾向をよくとらえている 過剰間隙水圧比 (=-σ m '/σ m ') の時間最大値も 修正モデルにおいては 変形の大きな7 号珪砂との境界近くで上昇している また 堤体天端の残留沈下量も実験結果と整合的であった 一方 従来モデルでは 堤体下の江戸崎砂が広範囲に剛性を失い 堤体を支えきれずに 堤体は大きく沈み込んでいる よって 修正モデルの効果が確認された なお この解析では 本来 堤体天端の沈下により堤体直下の地盤に作用する荷重が軽減されるはずが 荷重の再計算を行っていないので 沈下量は過大評価された可能性がある それ以外にも 沈下量は種々の要因に影響されることから ここでは 従来モデルの過大な応答が修正モデルでは合理的な範囲内に収めることができることを確認するに止め 応答値の絶対値の検討は 第 5 章で行うことにする 5

55 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 5m m 3m 江戸崎砂 8m GL-.8m 江戸崎砂層 ( 液状化層 ) 5m 7 号珪砂層 ( 液状化層 ) 75m 図 検討対象断面 (G 場換算 ) ( 建設省土木研究所 (2) による ) 加速度 (gal) 時刻 ( 秒 ) 図 入力地震動 (G 場換算 ) ( 建設省土木研究所 (2) による ) 52

56 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 表 盛土模型 : 多重せん断ばねモデルなどのパラメータ 土層名 湿潤 間隙 変形特性 密度 率 初期 体積 基準 ホ アソ 拘束圧 内部粘着 履歴 せん断剛性 弾性係数 化拘束圧 ン比 依存係数 摩擦角 力 減衰上限値 ρ t n G ma K ma σ ma ' ν m φ f c h max (t/m 3 ) (kpa) (kpa) (kpa) ( ) (kpa) 江戸崎砂 ( 盛土 ) 江戸崎砂 / 地下水以浅 江戸崎砂 / 地下水以深 号珪砂 ( 財 ) 国土技術研究センター (22) から引用した 2 m G =m K =m とする 表 盛土模型 : 過剰間隙水圧モデルのパラメータ 土層名 液状化特性 変相角 液状化パラメータ φ p w p p 2 c S ( ) 江戸崎砂 / 地下水以深 号珪砂

57 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル (a) 江戸崎砂 (b) 7 号珪砂 せん断応力比 繰り返し回数 試験値従来モデル修正モデル せん断応力比 試験値従来モデル修正モデル 図 江戸崎砂と7 号珪砂の液状化抵抗曲線試験値は建設省土木研究所 (2) による 繰り返し回数 (a) 実験結果 ( 建設省土木研究所 (2) による ) (b) 従来モデル (c) 修正モデル 図 余震終了時 (t=4 秒 ) における残留変形図の比較 54

58 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 表 余震終了時 (t=4 秒 ) の堤体天端沈下量 実験結果 ( 建設省土木研究所 (2) による ) 23cm 従来モデル 修正モデル 495cm 227cm (a) 従来モデル (b) 修正モデル 図 過剰間隙水圧比 (-σ m '/σ m ') の時間最大値の比較 55

59 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 矢板式岸壁のモデル断面の解析矢板式岸壁のモデル断面を対象に 従来モデルと修正モデルの比較を行った 検討対象断面を図 2.3-9に示す この断面は 前面が鋼管矢板 控え工は鋼管杭で その間をタイロッドで結ぶ構造をしている なお 控え杭は 等価な断面性能を有する矢板としてモデル化した 断面の諸元は 壁高 (H) が 3m 水平設計震度(Kh) が.2 埋土は等価 N 値 ( 有効上載圧 65kPa 換算のN 値 ) が である液状化層 海底面下の原地盤は等価 N 値が 25 の非液状化層である この構造では 控え工受働側地盤には矢板の前出しに伴い軸差せん断応力が作用することになり その状態で地震動が作用すると 応力ポイントが破壊線に近づいた状態で繰り返しせん断される そのため 従来モデルと修正モデルでは 特に控え工付近の応答に差が生じることが予想される 従って ここでは 控え工の挙動などに着目して修正モデルの効果を確認する この断面に対して 図 2.3-2に示す 968 十勝沖地震の際の八戸港での基盤での加速度波形 (NS 成分 SMAC 相当波 ) を粘性境界とした底面境界に与えた なお 最大加速度が gal となるよう 加速度波形には一律に係数を乗じた 各土層の解析地盤定数を表 2.3-および表 2.3-に示す このうち 埋土および原地盤の定数は 解析定数の簡易設定法 ( 森田ら, 997) に従って設定した 各鋼材は 線形はり要素を用いてモデル化した 前面矢板や控え杭と土の間の滑り摩擦は無いものとして取り扱った 地震応答解析では 剛性比例型のレーレー減衰行列を与え その比例係数 βは.2 とした また 時間積分間隔 Δt は. 秒 解析継続時間は図 2.3-2に示す 5 秒間とした 一般部 ( 陸側自由地盤部 ) の解析結果によれば 地表面での最大加速度は 4gal であり また 港湾の基準に従った埋土の液状化判定結果はⅣ( 液状化する可能性は無い ) であった 従って 水平設計震度.2 のこの岸壁は 上述の入力地震動に対しては 被害が無いことが期待される 両モデルによる解析結果を表 図 2.3-2および図 に示す 従来モデルは 矢板 ~ 控え工の間の埋土の過剰間隙水圧の上昇が著しく このために 控え杭の発生応力は地震時許容応力度の 2 倍を超え 前面矢板天端の水平残留変位は 37.5cmと大きくなった 一方 修正モデルの方は これらの点に関して改善が見られ 各種応答値は 概ね 許容値以内に収まった よって 修正モデルの効果が確認された ここでは 例題として取り上げた矢板式岸壁モデル断面について 従来モデルの過大な応答が修正モデルでは合理的な範囲内に収めることができることを確認するに止める 前面矢板受働側地盤が液状化層であるような場合は 従来モデルでは非常に大きな変位が生じることがあるが このような構造に対する修正モデルの効果については 第 5 章で取り上げる なお 第 5 章では 応答値に影響するその他の諸要因も総合的に考慮した場合の解析精度の検討を行う 56

60 2.3 軸差応力下での繰返しせん断挙動に対する適用性 H 海水 鋼管矢板 裏込石 控え杭 ( 矢板から 29.5m) 埋土 :N 65 = の液状化層 +3m +m -m D -7m N 65 =25 の非液状化層 -23m acc.(gal) 図 矢板式岸壁のモデル断面 5 5 time(sec) 図 十勝沖地震の際の八戸港での基盤での加速度波形 (NS 成分 ) 表 2.3- 矢板式岸壁モデル断面 : 多重せん断ばねモデルなどのパラメータ土層名湿潤間隙変形特性密度率 初期せん断剛性 体積弾性係数 基準化拘束圧 ホ アソン比 拘束圧依存係数 内部摩擦角 粘着力 履歴減衰上限値 ρ t n G ma K ma σ ma ' ν m φ f c h max (t/m 3 ) (kpa) (kpa) (kpa) ( ) (kpa) 埋土 (N 65 =)/ 地下水面上 埋土 (N 65 =)/ 地下水面下 原地盤 (N 65 =25) 裏込石 m G =m K =m とする 表 2.3- 矢板式岸壁モデル断面 : 過剰間隙水圧モデルのパラメータ 土層名 液状化特性 変相角 液状化パラメータ φ p w p p 2 c S ( ) 埋土 (N 65 =)/ 地下水面下

61 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル 表 部材発生応力および矢板天端水平変位 ( 表頭の数値は地震時許容応力度 ) 鋼管矢板控え杭発生応力タイロッド応力矢板天端水平変位発生応力ケース名 (N/mm 2 (N/mm 2 )<279 (N/mm 2 )<264 (cm) ) <279 最大値残留値 最大値 残留値 最大値 残留値 最大値 残留値 従来モデル 修正モデル 矢板 5 控え杭 標高 (m) -5 - 標高 (m) 従来モデル 修正モデル 曲げモーメント (kn m/m) -5 従来モデル 修正モデル 曲げモーメント (kn m/m) 図 前面矢板および控え杭の残留曲げモーメント分布 (a) 従来モデル (b) 修正モデル 図 過剰間隙水圧比 (-σ m '/σ m ') の時間最大値 58

62 2.4 結論 2.4 結論 本章では Iai ら (99a, 99b) による多重せん断機構モデルについて その精度向上を図ることを目的として その定式化の分析および新たな定式化を行った このモデルは平面ひずみ状態にある砂の繰り返し載荷時の挙動を表現するためのものであり 平均有効応力 - 体積弾性ひずみ関係と多重せん断ばねモデルによるせん断応力 -せん断ひずみ関係により規定される 砂の非排水条件下での繰り返しせん断挙動を表現する場合 多重せん断機構モデルを構成する過剰間隙水圧モデルにより 単位体積の砂になされた塑性せん断仕事の累積値に応じて液状化の進行程度やそれに伴うせん断剛性の低下が評価される 本章では 砂の軸差応力下での非排水繰り返しせん断挙動に注目して 多重せん断機構モデルにおける塑性せん断仕事のダイレタンシーへの寄与に関して 従来モデルの限界を明らかにし これを拡張する新たな定式化について検討した これらの検討により 以下の結論を得た 既往の多重せん断機構モデルでは 前述の通り 変相線を超えて破壊線に至るまでの応力空間においてなされる塑性せん断仕事の負のダイレタンシーへの寄与率を せん断応力の増加に応じて線形に低減させ 破壊線上では としているので 破壊線にいくら近づいても非零の寄与係数が与えられる ( 従来モデル ) 同モデルを組み込んだ有限要素法に基づく2 次元動的有効応力解析コードによる矢板式岸壁などの地震応答解析においては しばしば応答が過大になるが これは 矢板の受働側地盤などの常に軸差応力の作用下にあって繰り返しせん断される砂の過剰間隙水圧の上昇が他の部分に比べて著しく大きいためである このような部分で過剰間隙水圧上昇が大きくなるのは 破壊線の近くで繰り返しせん断される場合になされる大きな塑性せん断仕事に対して過大な寄与係数が設定されるためであると考えて 新たな寄与係数の設定法を提案した すなわち 変相線と破壊線の間に第 2 変相線を設け 第 2 変相線を超えた応力空間においてなされる塑性せん断仕事は負のダイレタンシーに寄与しないと言う物理的な機構に基づくモデルを提案した ( 修正モデル ) 従来モデルと修正モデルを2 次元動的有効応力解析コードに組み込んで 砂の要素試験の解析や矢板式岸壁などの地震応答解析を行い 修正モデルの効果を検証した 等方圧密後の非排水繰り返しせん断試験に対する要素シミュレーション解析では 第 2 変相角の如何に関わらず両モデルの応答の差異は小さかった 一方 軸差応力が一定 (K =.5) に保たれた状態での非排水繰り返しねじりせん断試験の解析では 従来モデルでは累積軸ひずみの解析値が試験値の 倍程度になったが 修正モデルでは第 2 変相角を変相角に一致させた場合は試験結果を正しく再現した この試験とは別の やはり軸差応力を与えた状態 (K =.5,.7 など ) で実施された非排水繰り返しねじりせん断試験の解析では 軸ひずみなどの応答値は 従来法では試験結果に比べて解析結果は過大になる 一方 修正モデルで第 2 変相角を変相角と破壊角の間に設定すると 試験結果を概ね説明する解析結果が得られた このように 修正モデルで第 2 変相角を適当に設定すれば 従来モデルでは再現が困難であった軸差応力下での非排水繰り返しせん断試験を模擬することが可能になった なお これらの解析結果からは 一般的に第 2 変相角の大きさを決めるための指針を得ることはできなかった 59

63 第 2 章繰返し載荷時の砂の力学モデル また 盛土の動的遠心模型実験の解析と矢板式岸壁モデル断面の解析を行い 修正モデルの効果を確認した 両者とも 従来モデルでは極端に大きな応答値が 第 2 変相角を変相角にとった修正モデルでは 合理的な範囲に入ることを確認した 6

64 第 3 章 地盤 構造物系の数値解析法 3. 概要 液状化地盤上の地盤 構造物系の地震被害推定に関する数値解析の精度向上のためには 前章で検討した砂の力学モデルの精度向上に加えて これを組込んで定式化した地盤 構造物系の運動方程式の数値解析の精度向上が必要である これを目的として 本章では Zienkiewicz ら (982) が示した間隙水で満たされた多孔質体の骨格の運動方程式と間隙水の収支バランス式 (u-p formulation) に基づく有限要素法による定式化を示した後 それを解く際に必要となる非線形反復計算法や減衰の与え方が解析精度に与える影響について検討する 解析に当たっては 液状化現象の解析の基本となる非排水条件下での平面ひずみ状態を対象とした この定式化に対して前章で示した砂の力学モデルを組込んで液状化地盤上の各種構造物の地震応答解析を行うと 応答加速度時刻歴に不自然なスパイク状のピークが多発する場合がある これは各時間ステップで行う非線形反復計算法に起因するものであると考え 本章では非線形反復計算法に関する定式化の検討を行い 前章で示した砂の力学モデルに対応した新しい非線形反復計算法を構築する また 非線形反復計算法の違いが応答値に与える影響について検討を行う 有効応力法に基づく地震応答解析では 計算の安定化のために剛性比例型のレーレー減衰行列を与える場合が多い 前章で示した砂の力学モデルに基づいて地震応答解析を行う場合も レーレー減衰行列を与えないと解析が不安定になり あるいは応答が過大になる傾向が見られる しかし レーレー減衰行列を与える物理的な意味が必ずしも明確にはなっていないので 本章では砂の非排水繰返し載荷解析においてレーレー減衰を与える物理的な背景について検討する また レーレー減衰は 構造物と土の間の滑り挙動を模擬する目的で導入したジョイント要素の滑り挙動に著しい影響を与える すなわち ジョイント要素の初期剛性を剛性比例型のレーレー減衰行列組立の際に参照すると ジョイント要素の滑り挙動が抑制されて全体の応答を小さめに評価する傾向にある そこで 本章ではジョイント要素に対してレーレー減衰が作用する場合のジョイント要素の挙動に関する検討を行い また ジョイント要素に対するレーレー減衰指定の是非を検討する 6

65 第 3 章地盤 構造物系の数値解析法 3.2 運動方程式 3.2. 基本方程式 Zienkiewicz ら (982) に従い 間隙水で満たされた多孔質体の運動方程式および水流の収支バランスを表す式を次のようにおく (u-p formulation) σ + ρg = ρ& u& (3.2-) ij, j i i ( k ij p, j ) - & ii - ( kijρ f g j ) = -( kijρ f u&& j ) + np& /K f,i ε (3.2-2) 但し σ ij 全応力 ( 対称テンソル ) ρ 密度 ( 土と水の複合物としての密度 ) g i u i 重力加速度ベクトル土骨格の変位ベクトル k ij 透水係数 ( 対称テンソル ) p 間隙水圧 ε ij 土骨格のひずみ ( 対称テンソル ) ρ f n K f 間隙水の密度間隙率間隙水の体積弾性係数,i,i また 次の関係がある σ = σ δ p ( 有効応力原理 ) (3.2-3) ij ij - ij ( u + u ) ε ij = 2 i, j j,i ( 微小ひずみテンソル ) (3.2-4) 但し σ ij 有効応力 なお 本定式化では ひずみと応力に関しては 収縮 圧縮を負 伸張 引張を正とする ただし 間隙水圧に関しては 圧縮を正とする 境界条件と初期条件 次に示す 4 種の境界条件を考える u i = u onγ (3.2-5) i σ ij νj = T i onγ2 (3.2-6) 62

66 3.2 運動方程式 p = p onγ (3.2-7) 3 j j ij ( p,i -ρf gi + ρf u& i ) νj q on 4 - w& ν = k & = Γ (3.2-8) 但し u i : T i : p : q : Γ 境界上で規定される変位 Γ 2 境界上で規定される表面力 Γ 3 境界上で規定される間隙水圧 Γ 4 境界上で規定される間隙水流入量 w& i : 間隙水の骨格に対する相対速度 ( 断面平均 ) なお Γ 境界とΓ 2 境界をあわせたものが対象領域 Vの全表面 Γに等しい また Γ 境界とΓ 2 境界の共通部分はない Γ 3 境界とΓ 4 境界についても同様である 初期条件は領域 Vの各点で次のように与えられるものとする u = u& = u& (3.2-9) i i i = st σ = σ = σ -δ p (3.2-) ij st ij st ij ij st p = p (3.2-) p & = (3.2-2) 特に 境界上では 次のように与えられるものとする i st i u = u = onγ (3.2-3) st ij j st i σ ν = T onγ (3.2-4) st 2 p = p onγ (3.2-5) st st ( p,i - f gi ) νj q onγ4 3 kij ρ = (3.2-6) 以後 初期条件により示される系の状態を基準状態と呼ぶことにする 基準状態では (3.2-) 式は st ij, j g i = σ +ρ (3.2-7) となる (3.2-7) 式を用い (3.2-) 式から ρg i の項を消去すると 次式を得る st ( ij - σij ) ρ& u& i σ = (3.2-8), j また 基準状態では (3.2-2) 式は st ( k p ) - ( k g ) ij, j,i ij f j =,i ρ (3.2-9) となる (3.2-9) 式を用い (3.2-2) 式から重力加速度 g i を含む項を消去すると次式を得る st ( k ij ( p, j - p, j )) - & ii = -( kijρ f u&& j ) + n p& K f,i ε (3.2-2),i 以後 (3.2-8) 式および (3.2-2) 式を用いて 有限要素法に基づく定式化を行う 63

67 第 3 章地盤 構造物系の数値解析法 運動方程式の離散化 φ i を任意の関数とする時 (3.2-8) 式および境界条件は次のように表現される ここで st ( σij -σ ij ) -ρu& i ) dv + φi ( ui - ui ) dγ + φi ( Ti -σν ij j ) φ i dγ = & (3.2-2), j V Γ Γ i i u = u onγ (3.2-22) φ i = onγ (3.2-23) とすると (3.2-2) 式は st ( σ -σ ) dv + φ ( T -σν ) φ ij ij i i ij j dγ - ρφi u& idv = V i, j Γ V 2 & (3.2-24) となる (3.2-24) 式の第 項は Gauss の定理を用いると st st st φ σ -σ dv = φ σ -σ ν dγ - φ σ -σ dv (3.2-25) ( ) ( ) ( ) i ij i ij j ij ij V, j Γ と表され これを (3.2-24) 式に代入すると次式を得る V φ st st ( σ -σ ) dv - φ ( T - T ) dγ + ρφ u& dv i, j ij ij i i i i i = Γ V V i, j ij ij (3.2-26) (3.2-26) 式によれば 表面力としては 基準状態における表面力からの増加分のみを考えればよいことがわかる この増加分を T * i で表すことにする すなわち * i i st i T = T - T (3.2-27) (3.2-26) 式の第 項は σ ij σ の対称性により st ( φ )( σ -σ ) st ij φ i, j + j,i ij ij dv (3.2-28) 2 V に等しい これを用いると 結局 次式を得る st ( φ i, j + φj,i )( σij -σ ij ) dv + ρφi u& idv - * φi Ti dγ = 2 V V Γ (3.2-29) (3.2-29) 式をベクトル記号を用いて表すと次のようになる 但し T T T * ( L{ φ }) { σ} - { σst } dv + ρφ u& dv - φ t dγ = V L T x = ( ) { } { } { } { } x 2 x 3 V x2 x x3 x 2 & (3.2-3) x 3 x Γ (3.2-3) 64

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