CNR 中四国放射線医療技術第 7 号 113 低管電圧を使用した腹部造影検査の基礎検討目的当院では X 線 CT の撮影で使用管電圧を 12kV に設定している 12kV に比べ低電圧 8k V ではヨード吸収端に実効エネルギーが近いため造影コントラストがよくなるといわれる低コントラスト領

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しほこかいて
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1 ヨード投与量 (gi) 中四国放射線医療技術第 7 号 112 肝造影 CT における至適ヨード投与量の検討 ( 体重法と体表面積法の比較 ) 背景目的造影 CT 検査時のヨード投与量は患者さんの体重によって決定する ( 以下体重法 ) のが主流となっており当院でも体重法によって造影剤の使用量を決定しているしかし体重法では高体重群において造影剤の過剰投与が懸念される体重法とヨード投与量を体表面積によって決定する方法 ( 以下体表面積法 ) を当院で行った肝造影 CT 検査症例を用いて比較した撮影条件調査方法造影剤投与量 :6mgI/kg, 注入時間 :3 秒, 撮影開始時間 : 造影剤注入開始 45 秒後,7 秒後単純 CT と造影剤注入開始 7 秒後の肝実質の CT 値の差を造影効果 ( 以下 ΔHU) としたそして ΔHU が 5 以上を至適な肝実質濃染の基準とした体重法に関しては当院で行った肝造影 CT 症例の体重当りのヨード投与量と造影効果を調べた体表面積法に関しては体重法で行った結果を元に体表面積あたりのヨード投与量を算出し, 体重法と同様に造影効果を調べたまた, 体表面積あたりのヨード投与量が 22gI/ m2の時,δhu が 5 以上となる件数が最も多かったので体表面積あたりのヨード投与量を 22gI/ m2と仮に規定した結果体表面積法 (22gI/ m2 ) と体重法 (6mgI/kg) の体表面積および体重と造影効果の関係を比較した体重が 5kg~65kg の範囲ではどちらも同等の造影効果が得られているようだったまた, 体表面積法と体重法で必要となるヨード投与量を比較した ( 図 1) 図 1: 体重とヨード投与量 55 6mgI/kg 5 24gI/ m gI/ m2 4 2gI/ m 体重 (kg) 高知大学医学部附属病院放射線部松下めぐみ沖野和弘西川望下司博之体重が 5kg 以下のとき体表面積法の方が必要となるヨード投与量が多くなり,65kg 以上では体重法の方が多くなるそこで当院で行った肝造影 CT の症例を以下のように分類した ( 表 1,2) 表 1: 体重 5kg 以下のときのヨード投与量と造影効果体重が 5kg 以下の症例数 53 件ヨード投与量 <22gI/ m2 41 件 ΔHU 5 (77.4%) ( 過投与の可能性あり ) ヨード投与量 6mgI/kg 7 件 ΔHU<5 (16.7%) ( 過少投与の可能性あり ) 表 2: 体重 65kg 以上のときのヨード投与量と造影効果体重が 65kg 以上の症例数 42 件ヨード投与量 22gI/ m2 11 件 ΔHU<5 (26.2%) ( 過少投与の可能性あり ) ヨード投与量 <6mgI/kg 14 件 ΔHU 5 (33.3%) ( 過投与の可能性あり ) まとめ体重が 5kgから 65kgまでの場合では体重法, 体表面積法のどちらも同様な造影効果が得られる体表面積法ではヨード投与量が 22gI/ m2の時体重が 5kg 以下の場合体重法と比べてヨード投与量が多くなり過投与となる可能性がある体表面積法は適応できる体重の範囲が限られる 173

CNR 中四国放射線医療技術第 7 号 113 低管電圧を使用した腹部造影検査の基礎検討目的当院では X 線 CT の撮影で使用管電圧を 12kV に設定している 12kV に比べ低電圧 8k V ではヨード吸収端に実効エネルギーが近いため造影コントラストがよくなるといわれる低コントラスト領域でも改善がみられ当院における肝造影検査においても有用かどうか低電圧撮影について

FOV による均一性をみるため楕円形水ファントムを 8kV,1mAs FOV:M,L で撮影した 2.mAs 値による均一性をみるため 8kV FOV:L 1mAs,15mAs で撮影する 3. 円形水ファントムをガントリ中心から 5cm ずつ上下左右にずらして位置依存性をみる 4. 水ファントムの CT 値と SD の関係をみる 5. 水ファントムの mas 値と SD の関係をみる 6.

2 CNR 中四国放射線医療技術第 7 号 113 低管電圧を使用した腹部造影検査の基礎検討目的当院では X 線 CT の撮影で使用管電圧を 12kV に設定している 12kV に比べ低電圧 8k V ではヨード吸収端に実効エネルギーが近いため造影コントラストがよくなるといわれる低コントラスト領域でも改善がみられ当院における肝造影検査においても有用かどうか低電圧撮影についての可能性を探る使用機器及び造影剤 CT 装置 : Aquilion16(TOSHIBA) 造影剤 : イオヘリン 3mgI/ml ファントム : 楕円形 (2 3cm) 円形 (186mmφ) 撮影条件管電圧 : 12kV 8kV 検出器 : 2.mm 16 列 HP15 スライス厚 5mm 撮影 FOV:M(32mm) L(4mm) 方法 1.FOV による均一性をみるため楕円形水ファントムを 8kV,1mAs FOV:M,L で撮影した 2.mAs 値による均一性をみるため 8kV FOV:L 1mAs,15mAs で撮影する 3. 円形水ファントムをガントリ中心から 5cm ずつ上下左右にずらして位置依存性をみる 4. 水ファントムの CT 値と SD の関係をみる 5. 水ファントムの mas 値と SD の関係をみる 6. 低ヨード (1.5,2.mgI/ml) を含む自作ファントムを 12kV,8kV で mas 値を変化させ撮影し mas 値と CNR(Contrast Noise Ratio) の関係を示す mas mas 値と CNR の関係高知大学医学部附属病院放射線部西川望山田陽子松下めぐみ原隆史沖野和弘下司博之 12kV 1.5mgI 12kV 2.mgI 8kV 1.5mgI 8kV 2.mgI 結果 1.FOV:M が均一であるのに対し FOV:L は辺縁部で CT 値が低下し中心部で上昇する辺縁部ではアーチファクトも強く表れている 2. 低線量である 1mAs のほうが辺縁部のアーチファクトはより強く現れている 3. ガントリ中心から距離が離れる程 CT 値の低下が強く表れている 4.8kV では水の SD が上昇するとともに CT 値が上昇する 5.8kV では低線量域において特に SD が高く 12kV と同程度の SD を得るには 12kV の約 5 倍の mas 値が必要となる 6. どの濃度においても 12kV の方が 8kV よりも CNR がよくなったこれは CNR を求める式からわかるように 8kV では分母にくる BASE の SD が増加するため CNR が改善されなかった考察 8kV においては均一性が悪く位置依存性も悪いことから被写体のおおきさに合った FOV を設定し正確なポジショニングを行うことが求められる 8kV は 12kV と同一 SD を得るために 12kV より 5 倍程度の mas 値を必要とし X 線管の負荷が増大し X 線管の寿命にも影響を与える実際には当院の装置の定格により線量不足が発生し肝造影検査に適応できない 174

3 Smart Prep GE MDCT Light speed VCT Extream injecter CT 45mgI 21 3 Light kg 6sec CT speed VCT 1.3 DUAL SHOT GX 64.2sec 45mgI kg 1sec 1.5 Extream injector 112.9sec 6mgI kg 3sec sec Extream injector Extream injector Extream injecter CT ( Smart Prep) C Extream injecter T CT MDCT Light speed VCT GE Healthcare, DUAL SHOT GX Interface Extream injector GE Healthcare Dose Report Injection Report Extream injector CT CT Extream injecter Injection Report CT IC RIS Dose Report Injection Report Extream injector CT (Smart Prep) CTA / CTA/ CTA/ Extream injector 175

115 Single Head Injector を 2 台利用した造影効果の評価 ( 財 ) 倉敷成人病センター放射線技術科木下琢実 [ 目的 ] Dual Head Injector を使用し生食後押しをすることで血管の CT 値を上げる方法がよく用いられる当院では Single Head Injector を 2 台使用した場合の生食後押しについて肝転移目的の撮影条件下で動脈門脈

51kg~8kg の患者さんは 35mgI を全量注入それぞれ造影剤 1ml 全量を秒 2ml で注入し造影剤を入れ終わったと同時に三方活栓の向きをもう一方のインジェクターに切り替え生食 2ml を秒 2ml の 1 秒間で注入するよう作動させた撮影は造影をしてから 6s 後 18s 後に行った造影注入 6s 後に撮影を行った門脈相での腹腔動脈分岐レベルの動脈門脈本幹門脈分枝は左右

5 より小さいものとした [ 結果 ] 3 mg I 全量注入の生食後押しの有無では CT 値に有意差は認めなかった 35 mg I 全量注入の生食後押しの有無では動脈で有意差を認めたがその他の部位では有意差は認めなかった 35 mg I の動脈の CT 値は 5.

4 115 Single Head Injector を 2 台利用した造影効果の評価 ( 財 ) 倉敷成人病センター放射線技術科木下琢実 [ 目的 ] Dual Head Injector を使用し生食後押しをすることで血管の CT 値を上げる方法がよく用いられる当院では Single Head Injector を 2 台使用した場合の生食後押しについて肝転移目的の撮影条件下で動脈門脈臓器の造影能が向上するか検討を行った [ 対象 ] 21 年 1 月 ~211 年 5 月までに肝機能障害や明らかな門脈圧亢進症腎機能障害 (egfr6 未満 ) を認めない症例を対象とした 3 mg I の使用は 5 名 35 mg I の使用は 1 名年齢体重男女構成比に有意差は認めなかった [ 方法 ] 患者さんを 41kg~5kg の患者さんは造影剤 3mgI を全量注入 51kg~8kg の患者さんは 35mgI を全量注入それぞれ造影剤 1ml 全量を秒 2ml で注入し造影剤を入れ終わったと同時に三方活栓の向きをもう一方のインジェクターに切り替え生食 2ml を秒 2ml の 1 秒間で注入するよう作動させた撮影は造影をしてから 6s 後 18s 後に行った造影注入 6s 後に撮影を行った門脈相での腹腔動脈分岐レベルの動脈門脈本幹門脈分枝は左右 2 点の平均肝臓は右葉左葉の 2 点の平均 CT 値の測定を行い生食の後押しの有無で CT 値に有意差が認められるか students t- 検定にて対比した総計的有意差は P が.5 より小さいものとした [ 結果 ] 3 mg I 全量注入の生食後押しの有無では CT 値に有意差は認めなかった 35 mg I 全量注入の生食後押しの有無では動脈で有意差を認めたがその他の部位では有意差は認めなかった 35 mg I の動脈の CT 値は 5.7% の上昇が見られたまたヨード量が一定のため体重が上がるにつれて CT 値が下がっていた [Fig1] [ 考察 ] 造影剤注入後から撮影までの間の 1s 間に生理食塩水を 2ml 注入することで停滞したヨードがゆっくりと循環しているいわゆるデッドスペースに残った造影効果にあまり寄与しないヨードを利用することで造影能の効果を上げようとしたが影響は 35 mg I の動脈までだった 35 mg I の方だけ動脈で有意差を認めた要因は体重が大きいためわずかな量の造影剤でもプッシュアウトすることで CT 値のピーク時間が延長されたと考えられる門脈系さらには肝臓の CT 値が上がらなかった要因は門脈や肝実質の造影ピーク値に達する時間は造影剤の注入速度に影響すると考えられ単に生食後押しだけでは造影能は上昇しないと考える Fig1 176

116 256MSCT を用いた冠動脈 CT における希釈テストインジェクション法の有用性愛媛大学医学部附属病院診療放射線部門末国宏山内聡森絵美子神野仁寿吉本政弘愛媛大学医学部附属病院放射線科城戸輝仁倉田聖望月輝一背景自動注入器

バイエル ) 要であり当院では希釈造影剤を用いた希釈テス結果トインジェクション法 ( 以下希釈 TI 法 ) を用いて造影効果の最適化を行っている目的今回はテストインジェクション法の一般法である体重換算テストインジェクション法 (

値の平均値標準偏差および変動係数 (%) を算出し二つの方法を比較検討したなお石灰化の強い症例や直径 2mm 以下の冠動脈は測定対象から除外した使用機器 CT 装置 :Brilliance ict(philips)

625mm(with ZFS) 12kV ECG gating Retrospective scan 造影効果のばらつきは大動脈および冠動脈起始部のいずれにおいても希釈 TI 法のほうが少なかったまた心機能異常例など体重換算 TI

5 MSCT を用いた冠動脈 CT における希釈テストインジェクション法の有用性愛媛大学医学部附属病院診療放射線部門末国宏山内聡森絵美子神野仁寿吉本政弘愛媛大学医学部附属病院放射線科城戸輝仁倉田聖望月輝一背景自動注入器 :Stellant Dual flow (medrad) 冠動脈 CT 検査ではプラークの評価等において造影剤 : オムニパーク 35 注シリンジ ( 第一三共 ) 症例毎に変わらない均一で最適な造影効果が必イオパミロン注 37 シリンジ ( バイエル ) 要であり当院では希釈造影剤を用いた希釈テス結果トインジェクション法 ( 以下希釈 TI 法 ) を用いて造影効果の最適化を行っている目的今回はテストインジェクション法の一般法である体重換算テストインジェクション法 ( 以下体重換算 TI 法 ) と希釈 TI 法による冠動脈の造影効果の均一性について比較検討を行った造影プロトコル検討項目体重換算 TI 法と希釈 TI 法で撮影した各 5 名において大動脈冠動脈 (#1 #5 #6 #11) でのCT 値の平均値標準偏差および変動係数 (%) を算出し二つの方法を比較検討したなお石灰化の強い症例や直径 2mm 以下の冠動脈は測定対象から除外した使用機器 CT 装置 :Brilliance ict(philips) Collimation: mm(with ZFS) 12kV ECG gating Retrospective scan 造影効果のばらつきは大動脈および冠動脈起始部のいずれにおいても希釈 TI 法のほうが少なかったまた心機能異常例など体重換算 TI 法では造影効果のコントロールが困難な症例においても希釈 TI 法は良好な造影効果を得ることができた考察希釈 TI 法はテストインジェクションの結果からタイミングだけでなく必要な造影剤濃度も計算できるので体重換算 TI 法ではコントロール困難な心機能異常などの症例でも良好な造影効果を得ることが可能であると考える結語希釈 TI 法を用いた冠動脈 CT で症例毎のばらつきが少ない良好な造影効果を得ることができたまた今後は低電圧撮影を併用することにより更なる造影剤低減の可能性が期待される 177

6 117 心電同期 CT における冠動脈プラークの CT 値の検討 ~ 心拍数の変化と画像再構成関数の影響 ~ 川崎医科大学附属病院中央放射線部村正勝池長弘幸森分良竹本理人甲谷理温柳元真一 [ 背景と目的 ] 心電同期 CTによる冠動脈検査でプラークの性状を知ることはとても重要でカラーマップや MPR 処理などによって総合的に評価されているその評価に用いられる CT 値は様々な要因により影響を受けることが知られているそこで今回我々は冠動脈の心電同期 CTにおける1 心拍数の変化がプラークのCT 値へ与える影響と,2 画像再構成関数がプラークのC T 値に及ぼす影響ついて検討を行ったので報告する [ 使用機器および方法 ] 1 拍数の変化での検討は希釈造影剤溶液 (4HU) を封入したプラークを模した模擬狭窄血管 (3 mmφ:5% 狭窄 ) を心臓動態ファントム ( フヨ ) に設置して MDCT Aquilion64( 東芝 ) にて時間分解能の異なる 7 種の心拍数 (55~115bpm) による心電同期ヘリカル撮影を各 5 回行ったついで取得した画像をワークステーション (AZE) で CurvedMPR 解析にて血管狭窄部位の直行断面を作成しその断面上にROIを設定しCT 値を計測した他方 2 画像再構成関数の検討は心拍数 55bpm の画像データに対し FC3, FC13,FC43 で再構成を行い1と同様の方法で CT 値を測定したなおこれらの測定値は Scheffe による有意差検定を行って評価した [ 撮影条件 ] Table.1 撮影条件 [ 結果 ] 1 各心拍数帯の冠動脈プラークの CT 値に有意差は認められなかった (Table2) Table2 心拍数の変化によるプラークの CT 値 *n.s 2 画像再構成関数 (FC3 FC13 FC43) の変化における冠動脈プラークのCT 値に有意差は認められなかった (Table3) Table.3 画像再構成関数の変化によるプラーク CT 値 *n.s [ 結語 ] 心電同期冠動脈 CT において心拍数及び画像再構成関数は冠動脈プラークの CT 値に影響を及ぼさないことが示唆された 178

118 頭部 3D-CTA(Angiography) における CT-AEC の基礎的検討川崎医科大学附属病院中央放射線部森分良池長弘幸村正勝竹本理人三村浩朗柳元真一 [ 目的 ] 頭部 3D-CTA では管電流値固定法 ( 従来法 ) を用いているが患者間の画像ノイズ均一化被ばく線量低減のため CT-AECを用いた撮影 (AEC 法 ) が報告されているしかし AEC 法の際当院の

Aquilion 64( 東芝社製 ) ワークステーション Virtual Place 雷神 Plus(Aze) ファントム Φ.1mm ワイヤファントム ( 自作 ) Catphan6(The Phantom Laboratory) Φ.

7 118 頭部 3D-CTA(Angiography) における CT-AEC の基礎的検討川崎医科大学附属病院中央放射線部森分良池長弘幸村正勝竹本理人三村浩朗柳元真一 [ 目的 ] 頭部 3D-CTA では管電流値固定法 ( 従来法 ) を用いているが患者間の画像ノイズ均一化被ばく線量低減のため CT-AECを用いた撮影 (AEC 法 ) が報告されているしかし AEC 法の際当院の MDCT 装置 Aquilion64( 東芝社製 ) では管電流値が 35mA を超えると管球焦点が大焦点に切り替わり空間分解能の低下による血管描出能への影響も危惧されるそこで今回頭部 3D-CTA において従来法と AEC 法の比較検討を 1 空間分解能 (X-Y 面 Z 軸 ) 2 血管描出能 3 被ばく線量の 3 項目で行ったので報告する [ 使用機器 ] MDCT 装置 Aquilion 64( 東芝社製 ) ワークステーション Virtual Place 雷神 Plus(Aze) ファントム Φ.1mm ワイヤファントム ( 自作 ) Catphan6(The Phantom Laboratory) Φ.18mm ビーズ CTP591 視覚評価ファントム (Φ2cm) Φ1mm 模擬血管ファントム [ 方法 ] 1 空間分解能の検討方法 : 小焦点 (3mA) 大焦点 (4mA) の 2 つの条件で X-Y 面はワイヤ法 (.1mmΦ) にて Z 軸はビーズ法 (.18mmΦ) にて MTF を算出した管電流値以外の撮影条件は一定とした 2 血管描出能の検討方法 : 希釈造影剤溶液 (3HU) を模擬血管 (Φ1mm) に封入し直径 2cm の円柱アクリル容器の中心より 1.5cm 上方で垂直に固定して模擬血管の周囲を水で満たしたファントムを作成このファントムを従来法 (3mA) と AEC 法 (AEC 設定値 SD:8~17) にてヘリカル撮影を行い VR 画像を作成視覚評価を行い結果に対して分散分析を行った AEC 設定値以外の撮影条件は一定とした 3 被ばく線量の検討方法 : 方法 2の撮影時に CT 装置に表示される Dose Length Product(DLP) 値を用いて被ばく線量の評価を行った [ 結果 ] 1 空間分解能の結果 :1%MTF が X-Y 面では小焦点で.76cycles/mm 大焦点で.64cycles/mm Z 軸では小焦点で.78cycles/mm 大焦点で.75cycles/mm となり X 線管球焦点が大焦点になると低下する結果となった 2 血管描出能の結果 : 従来法に比べて AEC 設定値 SD= の時に描出能に有意差がなく AEC 設定値により差異が認められる結果となった (Fig.1) Fig.1 AEC 設定値の違いによる視覚評価 3 被ばく線量の結果 : 従来法と比較して AEC 設定値 1 の時に同等の被ばく線量となりそれよりも大きい AEC 設定値にする事により被ばく線量を低減することが出来た (Fig.2) 従来法の DLP 値 Fig.2 AEC 設定値の違いによる被ばく線量 [ 結語 ] 従来法に比べて AEC 法は空間分解能血管描出能被ばく線量ともに AEC 設定値により差異がみられた 179

8 MTF 中四国放射線医療技術第 7 号 119 3D-CTAngiography(CTA) における画像再構成関数の基礎的検討背景目的近年マルチスライス CT(MDCT) の多列化とワークステーションの進歩に伴い臨床に精度の高い 3D-CTA 画像を提供できるようになった 3D-CTA において血管描出の精度を向上させるには高い造影効果高空間分解能およびノイズの少ない画像等の条件が必要となるしかし当院で 3D-CTA 検査に使用している東芝社製 MDCT 装置 Aquilion64 の画像再構成関数はこれらの条件に影響を及ぼす事が報告されているそこで今回 FC3,FC13,FC43 の 3 種類の画像再構成関数を用いて CT 値 CT 値差および X-Y 平面空間分解能について比較検討を行った方法 CT 値と CT 値差の検討では 1 種類の希釈造影剤 (5~6HU) を封入したシリンジを水で満たして容器内に固定したファントム A とそのシリンジ周辺に高吸収体 (HU1) を配置したファントム B を作成したついでこれらをヘリカル撮影し得られた画像に ROI を設定して高吸収域の CT 値とその周囲との CT 値差を算出したまた X-Y 面空間分解能の検討はワイヤ法 (.1mm 径 ) にて MTF を算出して行った結果 CT 値 CT 値差 : A B 両ファントムにおいて FC13 に対する 3HU 以上での CT 川崎医科大学付属病院中央放射線部竹本理人池長弘幸村正勝森分良柳元真一値は FC3 では最大 13% の低値となったが FC43 では若干の高値を示した CT 値差は FC3 では最大 11% の低値となったが FC43 では同等となった (Fig.1,Fig.2) X-Y 平面空間分解能 : 1%MTF 値で比較すると FC3=.81cycles/mm FC13=.8cycles/ mm FC43=.76cycles/mm とほぼ同等の結果を示した (Fig.3) ファントムA ファントムB FC 3 FC 3 5 FC 13 FC 13 FC 43 4 FC Fig.1 画像再構成関数による CT 値の変化 6 FC 3 ファントムA FC 3 ファントムB 5 FC 13 FC 13 FC 43 4 FC Fig.2 画像再構成関数による CT 値差の変化 1.8 FC 3 FC 13.6 FC 空間周波数 (cycles/mm) Fig.3 画像再構成関数による MTF の変化結語画像再構成関数 FC3 は FC13 FC43 と比較して CT 値が低下するため 3D-CTA での使用には注意が必要であると考えた 18

12 管電圧 1kV を使用した頭部 CTA の基礎的検討鳥取大学医学部附属病院放射線部坂田磨美酒匂敏雄岸本淳一津田恵実山根武史平田吉春目的近年 CT 検査における低管電圧撮影の検討及び臨床への利用がみられる造影検査でコントラストの向上が期待できるが当院では低管電圧撮影は未検討であった今回頭部 CTA における低管電圧撮影の基礎的検討を行った

9 12 管電圧 1kV を使用した頭部 CTA の基礎的検討鳥取大学医学部附属病院放射線部坂田磨美酒匂敏雄岸本淳一津田恵実山根武史平田吉春目的近年 CT 検査における低管電圧撮影の検討及び臨床への利用がみられる造影検査でコントラストの向上が期待できるが当院では低管電圧撮影は未検討であった今回頭部 CTA における低管電圧撮影の基礎的検討を行った方法模擬血管チューブの入った自作ファントム ( 図 1) を CT ガントリーのセンターに配置し管電圧 12kV 管電流時間積 225mAs で撮影した ( 以下この画像は基準画像とする ) 次に管電圧 1kV 45mAs~75mAs で撮図 1 ファントム影した視覚評価として放射線技師 6 名で基準画像と 1kV 画像の画像ノイズを同一スライスで比較し基準画像に対して視覚的に同等の画像ノイズであると判定される画像を選択したまた物理評価として基準画像の 12kV 225mAs と 1kV 45mAs~75mAs の CTDIvol の比較 CNR を以下の式で算出し比較を行ったなお CT 値の測定は血管周辺の 3 点を半径 4mm の ROI で血管は模擬血管の内径より.2mm ほど大きい半径 1.2mm の ROI で行った結果視覚評価基準画像と比較して 1kV 225mAs でノイズが同等と評価したのが 3 人 263mAs 以上では全員が許容できる画像であることが評価された CTDIvol の比較基準画像の条件である 12kV 225mAs では 87.9mGy となりこの値と同等になる 1kV での条件は 338mAs となったまた視覚評価で同等と評価された 1kV 263mAs では 68mGy となった CNR の比較図 2 CNR の比較 CNR の比較の結果を図 2 に示す 1kV 画像ではどの mas 値においても同様の傾向を示した CTDIvol が同等となった 1kV 338mAs 画像と基準とを比較すると 338mAs のほうが CNR が向上した考察管電圧 1kV 263mAs で基準画像と同等以上の CNR だったこの時の CTDIvol では基準に比べ 23% 小さい値となった 1kV では従来の 12kV より画像ノイズの増加は見られるが CT 値の上昇により CNR が向上したしたがって設定値によっては被曝線量や造影剤注入量を低減できると考えられる結語今回のファントム実験で管電圧 1kV を使用した頭部 CTA において従来と同等の CNR を得るための設定 mas 値は 263mAs であった 181

121 頭部 CTA における仮想単色 X 線画像を利用した脳動脈瘤クリップからの金属アーチファクト低減効果の検討山口大学医学部付属病院放射線部山口貴弘久冨庄平佐野裕一楢崎亜希子菊地友紀田中千弘上田克彦背景目的当院の Dual source CT には仮想的に単色 X 線による画像を作り出す monoenergetic 処理が搭載されている.

方法 CT 装置は Siemens 社製の SOMATOM Definition を使用し撮影管電圧 8kVp 14kVp の Dual energy mode で撮影した. ファントムは円柱状の容器を水で満たし周りを模擬骨で包んだ. その中央付近に模擬血管としてヨード造影剤を封入したチューブを 2 本配置しその間にチタン合金製の脳動脈瘤クリップを配置した.

10 121 頭部 CTA における仮想単色 X 線画像を利用した脳動脈瘤クリップからの金属アーチファクト低減効果の検討山口大学医学部付属病院放射線部山口貴弘久冨庄平佐野裕一楢崎亜希子菊地友紀田中千弘上田克彦背景目的当院の Dual source CT には仮想的に単色 X 線による画像を作り出す monoenergetic 処理が搭載されている. この処理で作成される仮想単色 X 線画像の設定エネルギーを変化させることで造影コントラスト改善や高吸収体からのアーチファクト低減効果が期待されている. そこで仮想単色 X 線画像が脳動脈瘤クリップからの金属アーチファクトの低減に有用かファントム実験にて検討を行った. 方法 CT 装置は Siemens 社製の SOMATOM Definition を使用し撮影管電圧 8kVp 14kVp の Dual energy mode で撮影した. ファントムは円柱状の容器を水で満たし周りを模擬骨で包んだ. その中央付近に模擬血管としてヨード造影剤を封入したチューブを 2 本配置しその間にチタン合金製の脳動脈瘤クリップを配置した. ヨード造影剤は従来の 12kVp で撮像したとき CT 値が約 3HU となる濃度とした. 仮想単色 X 線画像は設定エネルギーを 4keV から 19keV まで 5keV ごとに作成した. 画像のバッググラウンド (B.G.) 信号金属アーチファクトのアンダーシュート及びオーバーシュートにそれぞれ関心領域を設定し範囲内の平均 CT 値を測定した. 診断用画像で従来の撮影管電圧 12kVp に相当する Mix 画像においても同様の関心領域を設定し両者を比較した. 結果図 1 に設定エネルギーとアーチファクトの関係を示す. 設定エネルギーを高くするとアーチファクト強度は低下し 7keV 以上で Mix 画像よりも低くなった.125keV で最も B.G. の信号値であるに近づきそれ以上の設定エネルギーではアーチファクト部の信号値の正負が逆転した. 図 2 に最もアーチファクト強度が低い 125keV の仮想単色 X 線画像と診断用の Mix 画像を示す.Mix 画像でアーチファクトによって信号の情報が欠損している部分 ( 矢印 :-7HU) が仮想単色 X 線画像では改善 ( 矢頭 :1HU) された. しかし設定エネルギーを高くすると信号の平均 CT 値が低下し水である B.G. は HU で変化しないのでコントラストが低下した. またノイズが増加し信号部の辺縁の形状に凹凸が生じた. 考察仮想単色 X 線画像を用いることで金属アーチファクトによって欠損した濃度情報が改善された. しかし造影コントラストは低下し形状も完全に修復することはできなかった. 従来の画像に新たな情報を付与する形での利用が有用であると考えられた. 図 1. 金属アーチファクト解析結果図 2. 金属アーチファクト低減画像との比較 182

3次元量子ノイズ除去フィルタ併用ヘリカルスキャンによる頭部単純ＣＴの画質向上

3次元量子ノイズ除去フィルタ併用ヘリカルスキャンによる頭部単純ＣＴの画質向上 CT 検査の部位別による撮影条件の設定の考え方決定法循環器領域岩手医科大学附属病院循環器医療センター放射線部佐々木忠司施設の特徴北日本で数少ないの循環器専門病院診療科循環器内科循環器外科循環器小児科循環器放射線科 2010 年手術症例の内訳 653 件 / 年その他 14% CABG 14% 血管疾患 36% 弁疾患 18% 先天性疾患 18% C T 装置 Aquilion