<4D F736F F D2091E682528FCD81408D8291CF97CD434C5491CF97CD95C782CC8D5C91A290AB945C955D89BF82C98AD682B782E989F090CD93498C9F93A22E646
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- やすもり さかわ
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1 第 章高耐力 CLT 耐力壁の構造性能評価 に関する解析的検討
2 . 検討概要本章では 章で提案した高耐力接合部を用いた CLT 耐力壁について数値解析的に評価を行う方法として 以下の検討を行う. 節では 文献 を参考にドリフトピン及びボルトを 本毎に単軸ばね又は線材 ( マルチせん断バネモデル ) で精緻にモデル化を行った 詳細モデル と実務設計に用いることを想定して単軸ばね及び回転ばねで構成される 簡易モデル の 種類の数値解析モデル化を作成する これら 種類の解析モデルを用いた解析結果と. 節で行った構面実験結果を比較してモデル化の妥当性を検証する. 節では 章で提案した高耐力接合部を用いた 層建築物の耐震性能を数値解析を用いて試算する. 高耐力 CLT 耐力壁の構成及びモデル化.. マルチせん断バネモデルを用いた詳細モデルドリフトピン及びボルト 本毎に精緻にモデル化を行った 詳細モデル を図 --. に示す CLT と壁 - 垂れ壁接合金物のうち挿入鋼板部分 ( 以下 大型鋼板と呼ぶ ) 及びドリフトピンは線材置換とした 壁 - 垂れ壁間周辺のモデル化について 線材置換した CLT と大型鋼板は ドリフトピンで接合した このとき CLT の材端は柱頭及び垂れ壁に打たれたドリフトピンの剛心位置に ドリフトピンは実際の試験体と同じ座標に設定し それらを剛と見なせる断面性能を有した線材で接合した 大型鋼板とドリフトピンの接合については ドリフトピン端部から鉛直方向に剛域を設けて大型鋼板の線材と接合した なお ドリフトピンについては X と Y 方向に対してせん断降伏曲面がほぼ楕円形となるような完全弾塑性挙動となる 分割のマルチせん断バネ ( 以下 MSS と呼ぶ ) モデルを採用した 大型鋼板の先行降伏による靭性確保のために設けた大型鋼板の欠損部分については 壁 - 垂れ壁境界の位置の線材の両端部に残存断面性能を有する弾塑性回転バネでモデル化を行った その他の線材については 弾性体とした 柱脚部のモデル化について 柱頭のモデル化と同様に ドリフトピンの剛心位置にある CLT の材端と実際の位置と同じ座標に設けたドリフトピンを剛な線材で接合した 引張金物は剛な線材でモデル化し 水平方向に剛域を設けてドリフトピン端部と接合した 引張金物の端部にはボルトの引張性能を有する単軸バネで 階柱脚の場合は固定端と 階柱脚の場合は大型鋼板とそれぞれ接合した 階柱脚のせん断金物は CLT と接合されていない側のドリフトピンの端部の節点を固定端としてドリフトピンの任意方向のせん断挙動を表現した 階柱脚のせん断金物は ベースプレートに相当する剛な線材とドリフトピン端部を剛な線材で接合し ベースプレートと大型鋼板を GIR 接合部のせん断性能を有する単軸バネで接合した 圧縮については 年版 CLT を用いた建築物の設計施工マニュアル で示されているエの字モデルと同様に CLT の端部 ) から逆 T 字の剛域を設けて 両端部を圧縮のみに抵抗する単軸バネで 階柱脚の場合は固定端と接合した 階柱脚の場合は 鋼棒でめり込み補強した床の圧縮性能を有するバネと直列バネの関係となるようにしたうえで大型鋼板と接合した 各接合部のバネ性状については.. 節で後述する --
3 鉛直力 Z 水平力 Q 上階 CLT 壁柱幅 mm CLT 垂れ壁断面 : mm Z Z 9 8 大型鋼板断面 : 7mm 9 8 下階 CLT 壁柱幅 mm Z 9 X X X X X (a) モデル化の概要 図 --. 詳細数値解析モデル --
4 ドリフトピン (DP) は MSS モデルでモデル化 CLT 壁柱 剛域 DP 水平 DP 鉛直 X,Z F y δ u K o δ u δ F y T b Z 方向 ( 表層ラミナ平行 ) K =9.9kN/mm Fy=.9kN δu=.mm X 方向 ( 表層ラミナ直交 ) K =7.kN/mm Fy=7.kN δu=.mm S ep 圧縮抵抗要素 ( 引張には無抵抗 ) C (DP の面圧性能 + 支圧 ) Cs ( 床 +-φ(sr)) CLT 垂れ壁 CLT 壁柱 大型鋼板材端端部に回転バネ M M M u M y K θ M y M u K θ θ M-θ 関係 K θ=ei = ( 7 /) =. Nmm K θ=k θ/ My=Z σy=knm, Mu= Z p σy=.knm σy はミルシートより N/mm (b) 柱頭付近のモデル化 引張抵抗要素 DP の面圧性能 + アンカーボルト (-M-ABR) DP 水平 DP 鉛直 CLT 壁柱 アンカーボルト (-M,ABR) 圧縮には無抵抗 -M( 強度区分.8 相当 )+ エポキシ充填補強 プログラム機能で材端に回転バネを設定しているため表示されない DP の面圧性能 +CLT 支圧性能引張には無抵抗 T b ドリフトピンの剛心位置 剛域 C (c) 柱脚部のモデル化 図 --. 続詳細数値解析モデル --
5 .. 単軸ばねモデルを用いた簡易モデル 前節に対して 各接合部の構造性能を単軸ばね及び回転ばねで表現して簡略化を図った 簡易モデル を図 --. に示す 詳細モデル と同様に CLT と大型鋼板は線材置換とした 壁 - 垂れ壁間周辺のモデル化に ついて 線材置換した CLT と大型鋼板は ドリフトピンで接合した このとき CLT の材端は柱頭及び垂れ壁に打 たれたドリフトピンの剛心位置に配置し それらを大型鋼板とドリフトピン接合部の構造性能を有する回転バネで 接合する 大型鋼板の先行降伏による靭性確保のために設けた大型鋼板の欠損部分については 詳細モデル と同様に 壁 - 垂れ壁境界の位置の線材の両端部に残存断面性能を有する弾塑性回転バネでモデル化を行っ た その他の線材については 弾性体とした 柱脚部のモデル化について 年版 CLT を用いた建築物の 設計施工マニュアル ) で示されているエの字モデルと同様に 梁要素と剛要素で構成する 剛要素の両端には 鋼板挿入ドリフトピン接合による引張接合部の構造性能とボルトの構造性能を直列バネの関係で評価した引張の みに抵抗する単軸バネを配置した 圧縮のみに抵抗する圧縮バネについても 引張バネと同様の位置に配置し た 階柱脚のせん断抵抗用金物は 実態においては集成材ラーメンフレームの柱脚と同様に回転抵抗をする ため モデル化においてもそれらの挙動を表現する必要がある 但し 回転バネでモデル化するにあたり 壁パ ネル端部の引張バネや圧縮バネの剛性の比率及び壁パネルに作用する軸力の影響による回転中心のずれを 考慮することは難しい そこで 図 --. に示すように 本の単軸バネで前述の影響による回転中心のずれを 考慮することが可能なモデル化を行った 水平方向のバネは 階脚部の場合は柱脚せん断試験結果より得ら れた構造性能の / のバネ特性を設定し 上階脚部の場合は柱脚せん断試験結果と GIR せん断接合部の試験 結果を直列バネの関係で評価したうえで その性能の / のバネ特性を設定した 鉛直方向のバネは 柱脚引 張試験結果よりドリフトピン 本当たりの表層ラミナ平行方向のせん断性能を算出し その本数倍 ( 図 --. の 場合は. 本 ) を乗じた構造特性を有するバネを設定した 各接合部のバネ性状については.. 節で後述 する CLT 壁パネル S9--7 水平力 Q 鉛直力 Z CLT 床パネル Mx--7 C T SS M C T M PLATE Z Z Z CLT 垂れ壁パネル S CLT 壁パネル S ピン支持位置 C T SS C T Z X X X X XX X7 X8 図 --. 簡易数値解析モデル X9 --
6 CLT 壁パネル S9--7 -M (SNR) 柱脚引張金物 柱頭金物 -Mボルト ( 開き止め ) DP -φ (SS) DP -φ エポキシ充填 -M ( 強度区分.8) DP 8-φ (SS) 柱脚せん断金物 CLT 床パネル Mx--7 -φ (SC, 磨き鋼棒 ) DP-φ (SS) CLT 垂れ壁パネル S9--7 壁 剛域 T C S 水平 S 鉛直 大型鋼板 M プログラム機能で材端に回転バネを設定しているため表示されない 垂れ壁 壁 M 大型鋼板 ( 欠損考慮 ) M (a) 柱頭部周辺 CLT 壁パネル S9--7 壁 T S 水平 C S 鉛直 DP 8-φ 柱脚引張金物 -M (SNR) 柱脚せん断金物 DP -φ 剛域 -M ( 強度区分.8) (b) 柱脚部 図 --. 続簡易数値解析モデル --
7 .. 各接合部の特性 () 引張バネの設定引張接合部の弾性剛性 k 短期許容容耐力 P a 終局耐力 P u 及び終局変位 δ u は 章の実験結果に基づき P u を折れ点としたバイリニアモデルとして引張バネを設定する なお 次剛性は 解析モデルが不安定とならないように初期剛性の / 倍とした 表表 --. 及び図 --. に引張接合部の弾性剛性及び許容耐力を示す.. 節の構面実験の比較には実験験結果の平均値を用いる. 節の 層建築物の耐震性能の試算においては 実験結果の下限値及び公称値を用いる 表 --. 引張接合部の構造性能 接合部位接合部バネ E Abe Ab lb σy 下 kb spab spub ボルト k k 種類名称 [kn/mm ] [mm] [mm] [mm] [kn/mm ] [kn/mm] [kn] [kn] 本数 [kn/mm] [kn/mm] [kn] [kn] [mm] 壁 - 基礎引張 Tb 壁 - 壁引張 Tb 壁 - 基礎引張 T 壁 - 壁引張 T 下限値 公称値 接合部位接合部バネ E Abe Ab lb F kb spab spub ボルト k k 種類名称 [mm] [mm] [mm] [mm] [N/mm ] [kn/mm] [kn] [kn] 本数 [kn/mm] [kn/mm] [kn] [kn] [mm] 壁 - 基礎引張 Tb 壁 - 壁引張 Tb 壁 - 基礎引張 T 壁 - 壁引張 T E A be A b: ボルトのヤング係数とねじ部の有効断面積と軸部部断面積 l b: ボルト長さ σ y 下 : 実験より得られた下降伏応力度 F:F 値 k b: : ボルトの弾性剛性 SP ab: ボルト 本の短期許容 耐力 SP ub: ボルト 本の終局耐力 k : 接合部の剛性 k:k b とk を直列バネで評価した時の剛性 P a: 短期許容耐力 P u: 終局耐力 sδ u: : 終局変位 ボルトはABR 平均値 k Pa Pu sδu 備考 k Pa Pu δu 備考 (a) アンカーボルト (b) 下階壁 - 上階壁間のボルト (c) 壁 - 基礎間 (T)) (d) 壁 - 壁間 (T) 図 --. 引張バネの P-δ 関係 --
8 () せん断バネの設定 せん断接合部の弾性剛性 k 短期許容耐力 P a 終局耐力 P u 及び終局変位 δ u は 章の実験結果に基づき P u を折れ点としたバイリニアモデルとしてせん断バネを設定する 表 --. 及び図 --. にせん断接合部の 弾性剛性及び許容耐力を示す 表中表中の ドリフトピン は 章の WBT- SHW- の実験結果からドリフトピン 本当たりの性能を算出したものである また S 水平 は S 水平 と S ep を直列バネの関係で評価した値である S 鉛直 について 本検討では S 鉛直 の本数及び縁距離等の実情に合わせた要素試験は実施していないが 構面試験の最終 step(r=/rad) 時に母材の損傷は軽微であったことから S 鉛直 の剛性 耐力は DP 鉛直の本 数倍 (.) で設定し 終局時の検討は省略した なお 参考値として 構面実験 ( 軸力なし ) 実験結果より得られる S 鉛直 に相当する最終 step の変位は.9mm(= 柱脚回転角 (.rad, 図 --. 参照 ) 圧縮側の柱脚金物 芯からせん断金物に打たれたドリフトピンの距離の最大値 (mm)- 圧縮側の柱脚金物芯芯の鉛直変位 (-.8mm, 図 --. 参照 )) であった 表 --. せん断接合部の構造性能 接合部位接合部接合具バネ名称 k k k P a P u 種類 [kn/mm] [kn/mm] [kn/mm] [kn] [kn] ドリフトピンせん断 DPφ( 表ドリフトピンせん断 DPφ( 表壁 - 床せん断 M+ エ壁 - 基礎せん断 DPφ( 表壁 - 基礎 床せん断 DPφ( 表 壁 - 床せん断 DP+GIR(M+ エポキシ充填 ) S 水平 接合部位接合部接合具バネ名称 k k k P a P u 種類 [kn/mm] [kn/mm] [kn/mm] [kn] [kn] ドリフトピンせん断 DPφ( 表層ラミナ直交 ) DP 水平 ドリフトピンせん断 DPφ( 表層ラミナ平行 ) DP 鉛直 壁 - 床せん断 GIR(M+ エポキシ充填 ) Sep 壁 - 基礎せん断 DPφ( 表層ラミナ直交 ) S 水平 壁 - 基礎 床せん断 DPφ( 表層ラミナ平行 ) S 鉛直 壁 - 床せん断 DP+GIR(M+ エポキシ充填 ) S 水平 k : ドリフトピン接合部の弾性剛性 k :GIR( エポキシ充填 ) 接合部の弾性剛性 k:k とk を直列バネで評価した時の剛性 P a: : 平均値の表においては Pyと/Pmax( ( 共に平均値 ) のうち小さい方の値で下限値の表においては短期許容耐力 SP u: 終局耐力 sδ u: 終局変位 バネ一つ当たりの性能 検定対象外とする 平均値 表層ラミナ直交 ) DP 水平 表層ラミナ平行 ) DP 鉛直 エポキシ充填 Sep 表層ラミナ直交 ) S 水平 表層ラミナ平行 ) S 鉛直 下限値 δ u [mm] δ u [mm] 備考 備考 (a) ドリフトピン ( 本 ) (b) 壁 - 床間 (c) 壁 - 基礎間 (S)) (d) 壁 - 床間 (S) 図 --. せん断バネの P-δ 関係 --7
9 () 圧縮バネの設定圧縮接合部の弾性剛性 k 短期許容耐力 P a 終局耐力 P u 及び終局変位 δ u は 章の実験結果に基づき P u を折れ点としたバイリニアモデルとして圧縮バネを設定する Cs の構造性能は鋼棒を床に埋め込んだ WFC-sa の実験結果から得られる C は柱脚金物と CLT の接触面積 ( mm) で支圧性能を 年版 CLT を用いた建築物の設計施工マニュアル ) に準じて計算を行い 柱脚接合部のドリフトピンの面圧性能と並列バネの関係で評価できると仮定した C は C と Cs を直列バネの関係で評価した値である 表 --. 及び図 --. に圧縮接合部の弾性剛性及び許容耐力を示す 部位 表 --. 圧縮接合部の構造性能 接合部バネ名称 D t Ae Fc ke k k k k 種類 [mm] [mm] [mm] [N/mm] [kn/mm] [kn/mm] [kn/mm] [kn/mm] [kn/mm] 床圧縮 Cs 壁 - 基礎圧縮 C 柱頭 - 柱脚圧縮 C 接合部バネ名称 P y sp a sp a sp u P a P u P a P u δ u 部位種類 [kn] [kn] [kn] [kn] [kn] [kn] [kn] [kn] [mm] 床圧縮 Cs 壁 - 基礎圧縮 C 柱頭 - 柱脚 圧縮 C 下限値 部位 平均値 接合部バネ名称 D t Ae Fc ke k k k k 種類 [mm] [mm] [mm] [N/mm] [kn/mm] [kn/mm] [kn/mm] [kn/mm] [kn/mm] 床圧縮 Cs 壁 - 基礎圧縮 C 柱頭 - 柱脚圧縮 C 部位 接合部 バネ名称 P y P a P a P u P a P u P a P u δ u 種類 [kn] [kn] [kn] [kn] [kn] [kn] [kn] [kn] [mm] 床圧縮 Cs 壁 - 基礎圧縮 C 柱頭 - 柱脚圧縮 C D: 有効パネル幅 t: パネル厚さ Ae: 有効支圧面積 Fc: 壁パネルの圧縮基準強度 ke: 壁パネルの支圧剛性で.N/mm とする ) k P y P a:clt の支圧剛性と降伏耐力と短期許容耐力 k P a P u: ドリフトピン接合部の弾性剛性と 短期許容耐力と終局耐力 k P a P u: 鋼棒で補強した床の圧縮剛性と短期許容耐力と終局耐力 δ u: 終局変位 --8
10 (a) 鋼棒で圧縮補強した床 (b) 壁 - 基礎礎間 (C) (c) 壁 - 床間 (C) 図 --. 圧縮バネの P-δ 関係 --9
11 () 回転バネの設定 大型鋼板の回転バネ特性は 下記のように得られる K M y M θ = p E I = F Z t h I = (--.) (--.) (--.) t h Z = (--.) ミルシートによる場合 F Z p = (--.) 公称値を用いる場合. F Z p t h Z p =. (--.) ここで E I: 鋼材のヤング係数と断面 次モーメント t h: 大型鋼板の最小断面部分の厚さとせい F:F 値 Z Zp: 大型鋼板の断面係数と塑性断面係数 鋼板挿入ドリフトピン接合による柱頭及び垂れ壁端部の回転バネ特性の算定式について 木質構造基礎理 論 ) など既往の研究に基づく設計式があるが 本検討において 回転剛性は文献 に準拠して算出する K = k I + k I θ x // y ( ) I = y y n x j j ( ) I = x x n x i i (--.7) (--.8) (--.9) x x i = n n i i (--.) y y = j n n j j (--.) ここで k k // : 表層ラミナ直交方向の剛性と平行方向の剛性 I x I y :X 方向と Y 方向のドリフトピン配列 次モーメ ント x y :X 方向と Y 方向の弾性中立軸位置 x i y j : ドリフトピンの X 方向と Y 方向の座標 n i n j :x i y j 各座標上 のドリフトピンの本数 降伏モーメント M y については 大型鋼板が先行降伏することを確認できれば良いので 以下の手順で接合部の降伏モーメントを算出し 大型鋼板の降伏モーメントよりも小さいことを確認した ドリフトピンの各表層ラミナ方向の終局耐力 P u P u// は小さい方の値を終局耐力 P u とし このときの剛性を k 接合部が降伏するときの最も中立軸から離れたドリフトピンの変位をδとそれぞれ定義すると 安全側の概算値として接合部の降伏モーメント M y が式 (--.) のように得られる --
12 M y δ = δ x + δ y = + k Z x Z y (--.) M y = P u + Z x Z y (--.) Z Z x y = = I x ( y j y ) y ( x x ) i I max max ここで Z x Z y :X 方向と Y 方向のドリフトピン配列係数 (y j -y ) max (x i -x ) max :X 方向と Y 方向の弾性中立軸から端部のドリフトピンまでの距離の最大値 表 --. に回転バネの弾性剛性及び許容耐力を示す 表 --. 回転バネの構造性能 平均値接合部バネ名称 t h E I Z Zp F My Mp 部位種類 [mm] [mm] [kn/mm ] [mm ] [mm ] [mm ] [N/mm ] [knm] [knm] 壁 - 垂れ壁回転 M 部位 接合部バネ名称 k // k Ix Iy K P u// P u Zx Zy My 種類 [kn/mm] [kn/mm] [mm ] [mm ] [KNmm/rad] [kn] [kn] [mm] [mm] [knm] 壁頭回転 M 垂れ壁回転 M 下限値 公称値接合部バネ名称 t h E I Z Zp F My Mp 部位種類 [mm] [mm] [kn/mm ] [mm ] [mm ] [mm ] [N/mm ] [knm] [knm] 壁 - 垂れ壁回転 M 部位 接合部バネ名称 k// k Ix Iy K Pu// Pu Zx Zy My 種類 [kn/mm] [kn/mm] [mm ] [mm ] [KNmm/rad] [kn] [kn] [mm] [mm] [knm] 壁頭回転 M 垂れ壁回転 M
13 .. 構面試験結果との比較本節では 詳細モデル と 簡易モデル の 種類の解析モデルを用いた解析結果と. 節の構面実験結果の比較を行い モデル化の妥当性を検証する なお 数値解析モデルに用いるバネ性能は.. 節で示した 平均値 の値を採用した 図 --. に軸力なしの実験結果と解析結果の比較 図 --. に kn の軸力を作用させたときの実験結果と解析結果の比較を示す 軸力の有無に関わらず 荷重 - 変形角関係は垂れ壁の割裂による荷重低下が見られるまで点 ( 軸力なしで /8rad 程度 軸力ありで /rad 程度 ) まで比較的よく一致している 詳細モデルと簡易モデルの比較では 剛性及び耐力がわずかに簡易モデルの方が低いが 比較的よく一致している 短期許容水平耐力を算出するための各特性値の比較について 実験値及び解析値共に短期許容水平耐力は.P u /Ds で決まっている 解析値は実験値と比較して 8% 以上の相違が見られるが これは実験値の終局変形角は最大荷重後の.8P max 荷重低下域の包絡線上の変形角と定義しているのに対し 荷重低下を表現していない数値解析では終局変形角を /rad と定義していることから 解析結果の Ds が大きくなっていることに起因している その他の特性値については 軸力ありの P y のみ % の相違が見られるが P 軸力なしの P y については実験結果と解析結果の相違は % 以下であり 概ね一致している 図 --. 及び図 --. 中に 階壁柱脚部変位 - 変形角関係 階壁柱脚部回転 - 変形角関係 垂れ壁の回転角 - 変形角関係を示しているが これらの代表的な接合箇所の挙動についても 垂れ壁の割裂が顕著となる /rad 程度まではいずれも比較的よく一致している 大型鋼板についても 実験及び解析共に /rad 程度で降伏していることが確認でき 挙動を再現できている また 実験値の荷重低下付近で詳細モデルにおいて垂れ壁の基準強度に到達していることから 垂れ壁の破壊についても再現できている 簡易モデルでは実験結果や詳細モデルの解析結果よりも比較的早期に垂れ壁が基準強度に到達しているが 実務設計の運用という観点では安全側であり 問題ないと判断できる 以上より 詳細モデル と 簡易モデル の 種類の解析モデルはいずれも実験結果とは比較して 荷重 - 変形角関係は比較的よく適合しており 降伏メカニズムも再現できており モデル化の妥当性が確認された --
14 軸力なし 歪ゲージ : アンカー短期許容時 : 壁 垂れ壁間の鋼板 My 到達時 : 垂れ壁基準強度到達時 :/rad 到達点 実験値に対す実験値に対す解析値解析値る比る比 K [kn/rad]. 9. P [kn] Py [kn] Pu [kn] Pmax [kn] Ds Pu/Ds [kn] 短期許容水平耐力 [kn] 実験値 詳細モデル 簡易モデル 歪ゲージ 垂れ壁の回転 階壁柱脚部変位 階壁柱脚部回転 歪ゲージ 歪ゲージ 降伏歪 ε y=σ y/e=/ =78 ミルシートより σ y=n/mm /rad 程度で大型鋼板が降伏 図 --. 軸力なしの実験結果と解析結果の比較 --
15 軸力あり (kn) 歪ゲージ : アンカー短期許容時 : 壁 垂れ壁間の鋼板 My 到達時 : 垂れ壁基準強度到達時 :/rad 到達点 実験値に実験値に解析値解析値対する比対する比 K [kn/rad] P [kn] Py [kn] Pu [kn] Pmax [kn] Ds Pu/Ds [kn] 短期許容水平耐力 [kn] 実験値 詳細モデル 簡易モデル 歪ゲージ 垂れ壁の回転 階壁柱脚部変位 階壁柱脚部回転 歪ゲージ 歪ゲージ 降伏歪 ε y =σ y /E=/ =78 ミルシートより σ y =N/mm /rad 程度で大型鋼板が降伏 図 --. kn の軸力作用時の実験結果と解析結果の比較 --
16 . 高耐力 CLT 耐力壁を用いた 層建築物の詳細モデルによる耐震性能の試算 スパン及び スパンの 層建築物の耐震性能を試算するため 静的増分解析行った 各部のモデル化については. 節で示した 簡易モデル でモデル化を行った なお 数値解析モデルに用いるバネ性能は.. 節で示した 下限値 及び 下限値 公称値 の値を採用した 各階の階高は m 開口幅は m とした 長期軸力による抑え込み効果を考慮し 層の重さを kn/m 負担スパン m と想定して kn/m( 最上階は 7% の.kN/m) の鉛直力を作用させた状態で水平力を作用させた 水平力は. 節と同様に 重量分布は最上階を.7 その他の階を. として Ai 分布に基づく水平力を各階に設定した.. スパンの場合 スパンの 層建築物の耐震性能の試算結果を図 --. に示す 各部材の検定方法や Ds の算出方法については 年版 CLT を用いた建築物の設計施工マニュアル ) に準拠して行った 階耐力壁の単位長さ当りの許容水平耐力 Qa は.8kN/m で.Q u /Ds で決まっている Z.. Z Z Z Z Z Z Z Z Z.. Z Z 8 8 X X X X X X X7 X8 (a) 長期荷重 X XX X (b) 水平力 X XX7 X8 図 --. スパンの数値解析モデル --
17 Q aj [kn/m] Q / [kn/m] Q u [kn/m] Ds[-].Q u /Ds[kN/m] Qaj: 接合部の降伏で決まる単位長さ当たりの許容水平耐力 Q /: 最大層間変形角が /rad 時の水平耐力 Qu: 単位長さ当たりの保有水平耐力 (/rad 時 ) Ds: 構造特性係数 Qa の算出 Ds=.9 各層の Q-R 曲線 等価一自由度系の加速度 A- 代表変位 Δ 関係 部位 検定項目 C [kn] M [kn m] 検定比 T M 検定比 Q 検定比 曲げ + 圧縮 [kn] [kn m] 曲げ + 引張 [kn] せん断 壁 Qa 時.7 Qu 時 垂れ壁 Qa 時.7 Qu 時 y=.8 Qt=8.kN Qc=79.kN a=. y=.8 y=.7 Qt=78.kN y=.79 Qc=.kN a=. Qt: 引張側の負担せん断力 Qc: 圧縮側の負担せん断力 a: 負担せん断力比で Qt/Qc y: 反曲点高さ比 倍率応力図 : 倍変形図 : 倍 Qa 時の応力図及び変形形図終局 (/rad)) 時の応力図及び変形図 図 --. スパンの解析結果 --
18 .. スパンの場合 スパンの 層建築物の耐震性能の試算結果を図 --. に示す 各部材の検定方法や Ds の算出方法については 年版 CLT を用いた建築物の設計施工マニュアル に準拠して行った 階耐力壁の単位長さ ) 当りの許容水平耐力 Q a は.kN/m で.Q u /Ds で決まっている 各層の Q-R 曲線において 前節の スパンの場合よりも荷重は高いが /rad 程度で 階中柱脚部の GIR せん断接合部が終局変位に達し 変形性能を確保できていないため Dsが大きくなり Q a が スパンの場合よりも評価された 本モデルでは プログラムの都合上 柱頭 柱脚部の圧縮軸力による摩擦抵抗を考慮するモデル化が困難であったため 摩擦抵抗によるせん断耐力の向上が考慮されていない 今後 摩擦抵抗を再現できるモデル化を工夫する あるいは単純に GIR せん断接合部のボルトの径を大きくする または本数を増やすなどの補強を行えば スパンの場合の Q a (.8kN/m) 以上の耐震性能が多スパンであっても得られると期待できる Z Z Z Z Z Z Z Z Z Z... Z Z 8 8 X X X X X XX7 X8 (a) 長期荷重 X9 X X X X X X X X XX7 X8 (b) 水平力 X9 X X X 図 --. スパンの数値解析モデル --7
19 Q a [kn/m] Q / [kn/m] Q u [kn/m] Ds[-].Q u /Ds[kN/m] Qa: 接合部の降伏で決まる単位長さ当たりの許容水平耐力 Q /: 最大層間変形角が /rad 時の水平耐力 Qu: 単位長さ当たりの保有水平耐力 (GIR 接合部 δu 到達時 ) Ds: 構造特性係数 Qa の算出 Ds=. 各層の Q-R 曲線 等価一自由度系の加速度 A- 代表変位 Δ 関係 部位 検定項目 C [kn] M 検定比 T M 検定比 Q 検定比 [kn m] 曲げ + 圧縮 [kn] [kn m] 曲げ + 引張 [kn] せん断 壁 垂れ壁 Qa 時. Qu 時 788. Qa 時. Qu 時 Q: 負担せん断力 y: 反曲点高さ比 倍率応力図 : 倍 変形図 : 倍 y=.8 y=.7 y=.8 y=. y=. y=.8 Q=.7kN Q=.kN Q=.8kN Q=8.8kN Q=8.kN Q=.9kN Qa 時の応力図及び変形図 図 --. スパンの解析結果 終局 (GIR 接合部 δu 到達 ) 時の応力図及び変形図 --8
20 . まとめ 本章で得られた知見を以下に示す ) ドリフトピン及びボルトを 本毎に単軸ばね又は線材 ( マルチせん断バネモデル ) で精緻にモデル化を行った 詳細モデル と実務設計に用いることを想定して単軸ばね及び回転ばねで構成される 簡易モデル の 種類の数値解析モデル構面試験体形状に準じた形状で作成し 構面実験結果と比較してモデル化の妥当性を確認した 詳細モデル と 簡易モデル はいずれも実験結果とは比較して 荷重 - 変形角関係は比較的よく適合しており 降伏メカニズムも再現できており モデル化の妥当性が確認された ) 簡易モデル を用いて スパン 層架構及び スパン 層架構の単位長さ当たりの短期許容水平断耐力を数値解析を用いて試算した 解析結果より得られた短期許容水平耐力は スパン架構で.8kN/m スパン架構で.kN/m であり いずれも.Q u /Ds で決まっている 終局耐力 Q u は スパン架構の方が高いが 階中柱脚部の壁 - 床間の GIR せん断接合部がアンカーボルト及び大型鋼板に対して先行破壊が生じ 変形性能が スパン架構と比較して小さくなった そのため Ds が大きくなり スパン架構の Q a が スパン架構と比較して小さく評価された 本モデルでは プログラムの都合上 柱頭 柱脚部の圧縮軸力による摩擦抵抗を考慮するモデル化が困難であったため 摩擦抵抗によるせん断耐力の向上が考慮されていない 今後 摩擦抵抗を再現できるモデル化を工夫する あるいは単純に GIR せん断接合部のボルトの径を大きくする または本数を増やすなどの補強を行えば スパンの場合の Q a (.8kN/m) 以上の耐震性能が多スパンであっても得られると期待できる 以上より. 節で設定した接合方法は中層建築物の接合部として実用的な性能を有するといえる 参考文献 ) 小谷竜城 村上雅英 稲山正弘 : ドリフトピン接合によるモーメント抵抗接合部を対象とした複合応力検定式におけるべき数の決定方法に関する研究 日本建築学会構造系論文集 第 7 号 pp ) 年版 CLT を用いた建築物の設計施工マニュアル 年 月 日本住宅木材技術センター ) 木質構造基礎理論 年 月 日本建築学会 --9
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課題 軸力と曲げモーメントの相互作用図. はじめに 骨組構造を形成する梁 柱構造部材には, 一般に軸力, 曲げモーメント, せん断力が作用するが, ここでは軸力と曲げモーメントの複合断面力を受ける断面の相互作用図 (interation urve) を考える. とくに, 柱部材では, 偏心軸圧縮力や, 地震 風などの水平力を受け ( 図 -), 軸力 + 曲げ荷重下の検討は, 設計上不可欠となる.
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6CAE 材料モデルの VV 山梨大学工学部土木環境工学科吉田純司 本日話す内容 1. ゴム材料の免震構造への応用 積層ゴム支承とは ゴムと鋼板を積層状に剛結 ゴム層の体積変形を制限 水平方向 鉛直方向 柔 剛 加速度の低減 構造物の支持 土木における免震 2. 高減衰積層ゴム支承の 力学特性の概要 高減衰ゴムを用いた支承の復元力特性 荷重 [kn] 15 1 5-5 -1-15 -3-2 -1 1
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第 2 章力学的挙動と静的強度 目的 荷重が作用した際の金属材料の力学的挙動について理解する. 2.1 応力 - ひずみ曲線 2.1.1 公称応力 / ひずみと真応力 / ひずみ 2.1.2 応力 - ひずみ曲線 2.1.3 力学的性質 ( 機械的性質 ) 2.1.4 加工硬化 2.1.5 じん性 2.1.6 指標の意味 2.2 力学的性質を求める異なる方法 2.2.1 ヤング率の測定方法 2.2.2
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[8] 耐震設計 皆さんは 構造設計の手法として 許容応力度設計を学んできましたね この許容応力度設計は どこから生まれたのでしょうか また 許容応力度設計はわかりやすく 構造設計者にとっては便利な設計法ですが この設計法には欠点はないのでしょうか 許容応力度設計に欠点があるとすれば 建物の耐震設計は どのように考えるべきなのでしょうか ここでは 耐震設計の考え方と構造計画の重要性についてお話しします
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許容応力度設計の基礎 はりの断面設計 前回までは 今から建てようとする建築物の設計において 建物の各部材断面を適当に仮定しておいて 予想される荷重に対してラーメン構造を構造力学の力を借りていったん解き その仮定した断面が適切であるかどうかを 危険断面に生じる最大応力度と材料の許容応力度を比較することによって検討するという設計手法に根拠を置いたものでした 今日は 前回までとは異なり いくつかの制約条件から
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