(Microsoft Word - \224\216\216m\230_\225\266\201i\217\254\227\321\212C\201j.doc)
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- もえり かくはり
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1 課程内 早稲田大学審査学位論文 博士 ( スポーツ科学 ) 競技レベルの高い陸上短距離選手における 走速度の決定因子 : 短距離走の加速局面を対象として Factors influencing performance of elite sprinters: focusing on the acceleration phase of running 2011 年 1 月 早稲田大学大学院スポーツ科学研究科 小林海 Kobayashi, Kai 研究指導教員 : 川上泰雄教授
2 目次 第 1 章緒論 2 第 2 章 加速局面における競技レベルの高い短距離選手の走加速度と 走速度の決定因子 22 第 3 章 加速局面における競技レベルの高い短距離選手の地面反力と その力積の特徴 36 第 4 章加速局面における競技レベルの高い短距離選手の下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクの特徴 55 第 5 章競技レベルの高い短距離選手の下肢筋腱複合体の機能特性 69 第 6 章総括論議 86 第 7 章結論 101 参考文献 102 謝辞 110 1
3 第 1 章 緒論 1-1. 序走運動は, ヒトの身体運動の中で最も基本的な運動の 1 つであり, また, 様々なスポーツ種目において必要とされる運動でもある. 陸上競技の 100 m 走に代表される短距離走では, 競技レベルの高い短距離選手ほど最高走速度が高いことが報告されている ( 阿江ら 1994 など ). この最高走速度は, 加速局面における走加速度の大きさとその継続時間により決定づけられる ( 渋川 1988) ため, スタートから最高走速度に至るまでの加速局面のスプリントが, 短距離走におけるスプリントタイムを決定する重要な要因の 1 つであるといえる. さらに, 加速局面における走加速度や, 走加速度を規定する地面から受ける力の大きさ, およびそれを生み出す走動作を明らかにすることは, 様々なスポーツ種目におけるスプリント能力の向上につながると考えられる. これまでに, 短距離走の加速局面については, 主に陸上短距離選手や陸上競技の短距離選手以外を対象に, 下肢関節の角度や角速度変化 (Dillman 1975 など ), 地面反力や関節トルク (Munro et al など ), 下肢の筋活動 (Jacobs and Van Ingen Schenau 1992 など ) の観点から検討がなされてきた. しかし, 競技レベルの高い短距離選手を対象として, 加速局面における走加速度や, 地面から受ける力の大きさ, 走動作について検討した例は少ない. 加速局面におけるスプリントレベルの向上を目的としたトレーニングを立案するうえでは, 競技レベルの高い短距離選手におけるそれらの特性を明らかにすることは非常に有用であると考えられる. また, 競技レベルの高い短距離選手の腱の力学的特性や発揮筋力を検討することで, 筋腱複合体の機能特性が加速局面のスプリントに果たす役割を理解することができると考えられる. しかしながら, これまでに, 国際大会出場に出場するレベルにある競技レベルの高い短距離選手における下肢の筋腱複合体の機能特性を明らかにした報告はなく, 疾走時の関節キネティクスとの関連から下肢の筋腱複合体の機能特性を検討した報告もない. 2
4 本学位論文は, 競技レベルの高い短距離選手と低い選手の走加速度や接地期において地面から受ける力の大きさ, 走動作, 下肢の筋腱複合体の機能特性の比較を通じて, 競技レベルの高い短距離選手のそれらの特徴を検討し, 短距離走における走速度の決定因子を明らかにすることを目的とする. 3
5 1-2. 本研究で用いる用語の説明 加速局面短距離走の加速局面は研究によりその定義が異なる.Delecluse et al.(1995) は,1 ステップの平均走速度が増え続けるまでを加速局面と定義している. 一方で, 羽田ら (3) はスタートから 25 m 地点までの走速度が急激に増加する局面を第 1 加速局面,25 m から 45 m までの緩やかに走速度が増加する局面を第 2 加速局面と定義している. また, 短距離選手の走速度はスタートから 40 m 地点で, 最高走速度の約 95% に達するという報告 ( 阿江ら 1994) も考慮し, 本論文では, スタートから 40 m までを分析の対象とした. 競技レベルの高い短距離選手本論文では, オリンピックあるいは世界選手権の 100 m 走に出場経験のある選手, および日本選手権あるいは全日本大学選手権 ( 全日本インカレ ) の 100 m 走で入賞経験のある選手を競技レベルの高い短距離選手とした. 短距離走とスプリントスプリントとは広義に短距離を全力で走るという意味を有し, 先行研究では, 陸上競技の短距離種目に限らず, スポーツ競技における全力疾走に対して スプリント という言葉が用いられてきた (Harrison and Bourke 9 など ). 一方, 陸上競技における短距離走は, 陸上競技連盟が定めた種目においてそのタイムを競う競技である. そこで本論文では, 陸上競技連盟の定める陸上競技の短距離種目を 短距離走 とし, 陸上競技に限らず, 全力での走運動を スプリント と定義した. 関節トルクと発揮筋力 本論文では,2 種類の関節モーメント ( 外力の影響によって回転させられる回転力に対抗し ようとする生体内部にはたらく正味の抵抗力 ) を測定している.1 つは, 身体を剛体リンクモ 4
6 デル ( リンクセグメントモデル ) によりモデリングし, 身体を各セグメントに分割し ( 図 1-1), 地面反力計測装置より得られた反力を用いて, セグメントに関する並進運動およびセグメントの重心回りの回転運動の運動方程式を立てて算出した関節モーメントである (Winter 1990 など ). もう 1 つは, 筋力測定装置を用いて等尺性の筋力発揮を行なわせた際に, 筋の収縮力により発揮されたものである. そこで, 前者のスプリント中の関節モーメントを 関節トルク, 後者の筋力測定装置を用いて測定した関節モーメントを 発揮筋力 と定義した. 5
7 1-2 研究小史ヒトの走運動に関する研究は, 古くは 1920 年代から, 疾走中に経時的に変化する走速度を測定することを中心に行われてきた (Furusawa et al. 1927).1960 年代に入ると, 走動作をフィルムに撮影することで, 走動作を分析する方法や (Deshon and Nelson 1960), 光電管を用いて走速度を測定する試みがなされてきた ( 猪飼ら 1963). その後, スプリント中の地面反力や関節トルクが検討されるようになった (Mann and Sprague 1980). また,1980 年代以降, 短距離選手の下肢の筋力を測定する試みがなされ (Williams 1985),0 年代に入ると, 超音波法を用いて, 短距離選手における筋腱複合体の力学的特性を測定することで, スプリントタイムと筋腱複合体の特性との関係が検討されてきた (Kubo et al. 0). 陸上競技の 100 m 走における世界記録は最近 20 年で約 0.3 s 短縮された (9.86 秒 [1991 年世界陸上東京大会 ] から 9.58 s [9 年世界陸上ベルリン大会 ]). その間, 日本記録は 0.2 s 短縮された (10.20 s から s). その際の, 日本人選手のスタートから 20 m までのスプリットタイムは 2.98 s から 2.96 s に短縮し ( 阿江ら 1994, 松尾ら 2010),20 m から 40 m のスプリットタイムは 1.91 s から 1.86 s に短縮した. つまり, 日本記録が 0.20 s 短縮した中で, スタートから 40 m のタイムは 0.07s 短縮したことになる. スタート時, 走速度は 0 m/s であることを考慮すると, 加速局面における走速度の増加率が 100 m のスプリントタイムを決める重要な要素であることがわかる. 本項では, これまでに報告されてきた走運動, 特にスプリントに関する研究を 1. 走速度の決定因子に関する研究 2. 短距離走の加速局面における地面反力とその力積に関する研究 3. 短距離走の加速局面における走動作と下肢三関節の関節トルクに関する研究 4. スプリンターにおける下肢の筋腱複合体の機能特性に関する研究の 4 つに分類し, これまでの主な知見を概説する 走速度の決定因子に関する研究 走速度は, ピッチ ( 単位時間あたりの歩数 ) とストライド ( 歩幅 ) の積によって決まる 6
8 ため, 走速度を増加させるには, ピッチかストライド, あるいはその両方を増加させる必要がある. これまでの走速度を変えて, 等速度でランニングやスプリントを行った際のピッチとストライドに関する報告によると, 低い走速度下ではストライドの増加により走速度は増加し, 高い走速度下ではピッチの増加により走速度が増加することが明らかにされている (Hay 1993,Hay 2, 松尾と福永 1981,Mero 1992,Mero et al. 1981,Wood 1987, Yanai and Hay 4).Yanai and Hay(4) は, 接地期における股関節の可動域の解剖学的な制限があるため, 接地脚が地面に対して力を加え続けることができる範囲には限界があり, 結果的に, 高い走速度での疾走時はストライドが低下することを報告している. 一方, 被検者間のピッチとストライドの差異を観察した報告によると, 最高走速度の違いはストライドの差 (Armstrong 1984), あるいはピッチとストライドの両方の差 (Kunz and Kaufmann 1981,Hunter et al. 4a) に起因することが明らかにされている. ピッチとストライドを検討する上では, ピッチとストライドの決定因子を知る必要がある.Hay(1993) は決定因子モデル (deterministic model) をもとに, ピッチとストライドの決定因子を示した. 図.1-2 に,Hay(1993) の決定因子モデルを改変した Hunter et al.(4a) のモデルを示す. このモデルによると, ピッチとストライドの決定因子は多岐に亘り,1 つの要因からではピッチあるいはストライドの大きさを説明し得ないことがわかる. また, Hunter et al.(4a) は, ピッチとストライドの決定要因には, 負の相互作用 (negative interaction) が存在することを報告している. 例えば, 図.1-2 のモデルにおいて, ストライドを構成する遊脚期の重心水平移動距離 (flight distance) には, 力積の水平成分 (relative horizontal GRI) と鉛直成分 (relative vertical GRI) が影響することが示されている. 力積は力を時間について積分した値であるため, 地面に対して加える力が小さくても, 地面に接地する時間を増加させれば力積は増加し, 結果的にストライドは増加する. 一方, ピッチの大きさは接地時間 (stance time) と遊脚時間 (flight time) の和によって決まるため, ピッチを高めるためには, 接地時間と遊脚時間を短縮させる必要がある. つまり, 接地時間の増加はストライドの増加には有利にはたらくが, 同時にピッチの増加には不利にはたらく 7
9 ことになる. したがって, 高いピッチと大きなストライドの最適な組み合わせで疾走することが, 高い走速度の獲得には必要不可欠となる (Kunz and Kaufmann 1981). これらの知見から, 加速局面において, ピッチとストライドのどちらか, あるいは両方を変化させることが走速度の増加に寄与すると考えられる. 短距離走の加速局面におけるピッチとストライドの変化を観察した研究によると, 選手間にばらつきはあるが, スタート後, 主にストライドを増加させることで走速度は増加し, ピッチはスタートからほぼ一定であった ( 阿江ら 1994, 土江ら 5). しかし, これまでに, 競技レベルの異なる短距離選手の 100 m スプリントタイムの違いにより, 加速局面におけるピッチおよびストライドの変化にどのような差異が生じるかを検討した報告はなく, 加速局面におけるピッチとストライドの変化パターンにみられる競技レベルの影響については明らかにされていない. また, 陸上競技の 100 m 走では 50 m 付近で最高走速度に達し, 競技レベルの高い選手ほど最高走速度が高く, 最高走速度が 100 m スプリントタイムを決定する重要な要因の 1 つであることが報告されている ( 阿江ら 1994, 杉田 3, 渡木 0). この最高走速度は, 加速局面における走加速度の大きさとその継続時間により決定づけられるため, 加速局面における走加速度が最高走速度に大きな影響を与えることになるが, これまでにスプリント中の走加速度を検討した報告は少ない ( 猪飼ら 1963). 猪飼ら (1963) は, 発育期において, 加齢に伴い最高走加速度が増加することを報告している. しかしながら, 猪飼ら (1963) の報告においても, 走加速度の決定因子については言及されておらず, 短距離選手の加速局面における走加速度の決定因子については不明な点が多い 短距離走の加速局面における地面反力とその力積に関する研究陸上競技の短距離走は, クラウチング方式 ( 腰をかがめて, 地面に両手をついた姿勢からスタートする方式 ) で, スタートの合図を聞いてからスタートする.Mero(1988) は, スタートから 10 m までの平均走速度と地面反力の正の水平成分との間に有意な正の相関関 8
10 係が認められたことから, 筋の力発揮能力がスタート直後の走速度に影響を及ぼすと結論づけている. 短距離走の加速局面では, 走速度の増加に伴い, 接地時における力積の負の水平成分 ( ブレーキ方向 ) と正の水平成分 ( 推進方向 ) が増加し,1 ステップ内の重心水平速度の減速と加速が増加する (Munro et al. 1987). 福田と伊藤 (4) は, 走速度が高い選手ほど, スタートから最高走速度局面に至るまでの間に, 地面反力の負の水平成分および正の水平成分が増加したことから, 走速度の増加は地面反力の負の水平成分の増加を伴いながらも, それを上回る正の水平成分を獲得することが特徴であると報告している. また, Slawinski et al.(2010) はスタート直後の 2 ステップまでに獲得する力積の水平成分がエリート選手の方がサブエリート選手よりも有意に大きいことを明らかにしている. さらに, 小松ら (1995) は, 最も走速度の高い選手 (100 m ベストタイム :10.73 s) が, スタートから 8-11 ステップまでの間に, 最も大きな地面反力の水平成分を獲得していることを報告にしている. これらの報告から, 加速局面に高い走速度を獲得する選手ほど, 力積あるいは地面反力の水平成分が大きいことが理解できる. また, 走速度を変えながら一定速度で疾走させた条件のもとでも, 走速度の増加に伴い地面反力の負の水平成分, 正の水平成分および鉛直成分 (Mero and Komi 1986,Mero et al. 1992,Nilsson and Thorstensson 1989), あるいは, 力積の負の水平成分および正の水平成分が増加し (Hunter et al. 5,Munro 1987), 最高走速度局面では, 力積の負の水平成分がはたらく局面は接地時間の 43% 以上を占める (Mero and Komi 1986) ことが報告されている. 一方, 走運動は接地期と遊脚期を繰り返し, 身体重心が上下にバウンドしながら前方に進む運動である (Cavagna and Kaneko 1977). そのため, 常に鉛直下方にはたらく重力に抗して身体重心の鉛直方向の周期的な上下運動を維持させるためには, 接地期において重心の下向きの速度を減速させ, 上向きの速度を生じさせる鉛直上向きの力積を獲得する必要があるが, 短距離走の加速局面における地面反力の鉛直成分に着目した研究は少ない ( 土江ら 5). 土江ら (5) は, 一流短距離選手において, 加速局面の 50 m までの各ステップの走速度と地面反力の鉛直成分の最大値との間に有意な正の相関関係が認められたこ 9
11 とを報告している. しかしながら, 加速局面の各ステップにおける, 力積や地面反力の鉛直成分が加速局面においてどのような変化パターンを示すか, また, それらの変化パターンは競技レベルの異なる被検者間でどのような違いがみられるかについては明らかにされていない 短距離走の加速局面における走動作と下肢三関節の関節トルクに関する研究 a) 股関節加速局面において, 股関節は接地期全体を通して伸展動作がみられる ( 伊藤ら 1994, 宮下ら 1986). 伊藤ら (1994) は, 加速局面において増加する各ステップの走速度と股関節最大伸展速度との間には有意な正の相関関係を示したことから, 股関節伸展速度の大きさが走速度の増加に寄与することを報告している. 股関節は接地直前から接地期前半にかけて伸展トルクを発揮し, 股関節伸展トルクの最大値は, 接地期における膝関節伸展トルクの約 1.5 倍にあたる (Johnson and Buckley 1). このことから, 大きな股関節伸展トルク発揮が加速局面の走速度の増加に影響を及ぼすことが示唆されてきた ( 馬場ら0, 伊藤ら 1997,Johnson and Buckley 1). 最高走速度局面においても, 遊脚期後半から接地期中盤にかけての股関節伸展トルクの大きさが最高走速度局面における走速度の維持に重要な役割を果していることが報告されている ( 阿江ら 1986,Bezodis et al. 8, 羽田ら 3,Hunter et al. 4b,Mann 1981,Mann and Sprague 1980).Dietz et al.(1979) は接地前 100 msから大殿筋の筋放電がみられることを報告しており, 最高走速度での疾走中の筋放電を観察した他の研究においても, 同時期に大腿二頭筋にも大きな筋放電がみられることから, 両筋が股関節伸展筋としての役割を担っていることを報告している ( 馬場ら 0,Jacobs and Van Ingen Schenau 1992,Mann et al. 1980, 松下ら 1974,Mero and Komi 1987,Nummela et al. 1994, Simonsen et al. 1985). これらの報告から, 短距離走では, スタートから最高走速度局面に至るまで, 大きな股関節伸展筋群の筋活動による, 股関節伸展トルク発揮能力が重要であるとされている. 10
12 これまでに, 加速局面の接地期後半では, 股関節の屈曲トルクがみられることが報告されている ( 馬場ら 0,Jacobs and Van Ingen Schenau 1992,Simonsen et al. 1985). 接地期後半から股関節屈曲トルクが発揮されることで, 接地期全体を通して伸展する股関節を, 直後の遊脚期前半にすばやく屈曲させることを可能にしており (Johnson and Buckley 1, Jacobs and Van Ingen Schenau 1992),100 m タイムが短い選手ほど, この股関節屈曲動作が速いことが明らかにされている (Kunz and Kaufmann 1981). 離地後の遊脚期前半では, 股関節が屈曲することで, 脚は振り子のように動き ( 伊藤ら 1994, 宮下ら 1986), 遊脚の振り戻しの後半には上向きの速度が生じる. その反作用で接地脚には下向きの速度が生じるため, 接地脚の地面反力を増やす効果をもつ. 接地期前半に大きな股関節伸展トルク発揮がみられる ( 馬場ら 0, 伊藤ら 1997,Johnson and Buckley 1) ことを考慮すると, 遊脚をすばやく振り戻すことで, 接地脚の股関節伸展トルク発揮時に接地脚に下向きの速度を加えることができる. したがって, 短い接地時間に大きな地面反力を獲得するためには, 接地期後半に股関節屈曲トルクを発揮し, 離地後すぐに脚を振り戻す必要があると考えられる. b) 膝関節加速局面において, 膝関節は接地期前半で屈曲し, 後半で伸展する ( 伊藤ら 1994,Hunter et al. 4b). スタートから15 mまでの接地中における膝関節屈曲角度変化は, 最高走速度局面の膝関節屈曲角度変化よりも小さい ( 高木と田口 1994). 一方で, スタートからの走速度の増加に伴い接地期後半の膝関節伸展角度および角速度は低下することが報告されている ( 伊藤ら 1994). 筋活動に関する研究によると, 遊脚期後半から接地期中盤にかけて外側広筋あるいは内側広筋の筋放電がみられるが, 接地期後半にそれらの筋放電はみられず ( 馬場ら 0,Jacobs and Van Ingen Schenau 1992, 松下ら 1974), これは最高走速度局面においても同様である ( 馬場ら 0,Mann et al. 1980, 松下ら 1974,Mero and Komi 1987, Nummela et al. 1994,Simonsen et al. 1985). また,Delecluse(1997) は, 加速局面の初期 (0 11
13 mから10 m) において, 膝関節伸展筋が身体を加速させる重要な役割を担っているが, スタートから10 m 以降では, 膝関節は周期的な重心の上下運動を維持するために, 接地期における重心高を維持する役割を担っているとしている. 伊藤ら (1998) は,1991 年当時の男子 100 m 世界記録保持者と日本の女子短距離選手との走動作を比較した結果, 男子 100 m 世界記録保持者の方が, 接地期後半の膝関節伸展角度が小さいことをモデルにより表している ( 図. 1-3). 図. 1-3のように, 股関節が同一角度だけ伸展した際に, 膝関節角度変化が小さい方が, 水平後方への足部の移動距離が長くなる. すなわち, 膝関節角度変化を小さくすることで, 身体の大きな前方への移動を可能にしていることが示されている. 逆に, 接地期後半の膝関節伸展角度を小さくし, 遊脚期前半に膝関節をすばやく屈曲させることで, 遊脚中の下肢の回転半径を小さくし, 下肢の慣性モーメントの減少させることも可能になる ( 湯と豊島 1998) と考えられる. この膝関節角度変化を小さく保つという見解は, 加速局面の膝関節トルクを検討した研究においても示されている ( 馬場ら 0, 伊藤ら 1997, Johnson and Buckley 1). さらに,Johnson and Buckley(1) やJacobs and Van Ingen Schenau (1992) は, 加速局面後半における膝関節伸展トルクが重心高の維持に加えて, 股関節伸展パワーを足関節に伝達させる役割を担うことを示唆している. 最高走速度局面においても, 接地期前半において伸展トルクが発揮されることが報告されており ( 阿江ら 1986,Bezodis et al. 8, 羽田ら 3,Mann 1981,Mann and Sprague 1980), 阿江ら (1986) やMann(1981) は, 接地期前半に伸展トルクを発揮することで, 膝関節は主に着地時の衝撃を受け止めて重心高を維持させる役割を果していると考察している. これらの報告から, スタート直後は膝関節伸展トルク発揮が身体の加速に貢献し, 加速局面後半から最高走速度局面にかけては, 膝関節伸展トルク発揮が着地時の衝撃を受け止めて重心高を維持させる役割を果していると考えられる. c) 足関節 加速局面の接地期において, 足関節は接地期全体を通して底屈動作を行っているが, 走 12
14 速度の増加に伴い底屈角度変化量は減少し, 足関節底屈角速度はスタートから 2-3 ステップまでは増加するが, その後, 角速度は大きく変化しない ( 伊藤ら 1994). また, 筋電図に関する報告では, 加速局面と最高走速度局面に共通して, 接地期全体を通じて下腿三頭筋に筋放電がみられるが ( 馬場ら 0,Jacobs and Van Ingen Schenau 1992, Mann and Sprague 1980,Mann et al. 1986, 松下ら 1974,Mero and Komi 1987, Nummera et al. 1994,Simonsen et al. 1985), 筋放電量はスタートから最高走速度局面 (50 m 付近 ) まで大きな差異はみられない ( 馬場ら 0,Jacobs and Van Ingen Schenau 1992, 松下ら 1974) ことが明らかにされている. 加速局面では, 接地期全体を通じて足関節底屈トルクが観察され ( 伊藤ら 1997,Johnson and Buckley 1), 走速度の増加に伴い底屈トルクの最大値は増加することが明らかにされている ( 伊藤ら 1997). 走速度の増加に伴い底屈トルクの最大値は増加するにも関わらず, 足関節底屈角速度は変化しないが, 走速度の増加に応じて地面反力の最大値が増加する (Mero and Komi 1986,Mero et al. 1992,Nilsson and Thorstensson 1989) ため, 足関節底屈角速度は変化せずに, 底屈トルクが増加すると考えられる. さらに, 伊藤ら (1997) は, 特にスタート直後に非常に高い足関節底屈パワーがみたれたことから, 足関節底屈パワーがスタート直後の走速度の増加に貢献することを報告している. 最高走速度局面では, 接地期において足関節は一峰性の底屈トルクおよびパワーが観察される ( 阿江ら 1986,Bezodis et al. 8, 羽田ら 3,Hunter et al. 4b,Mann 1981).Mann and Sprague(1980) や松下ら (1974) は, 接地期後半には両筋の活動が低下することから, 最高走速度局面において, 足関節は接地期前半における重心の鉛直方向の低下を抑えるためにはたらく可能性を示唆している. これまでの加速局面における走動作と下肢三関節の関節トルクに関する報告をまとめる と, 加速局面では, 下肢三関節の伸展あるいは底屈トルク発揮により, 走速度が増加する ことが明らかにされている. また, 上体が徐々に起き上がる加速局面中盤から最高走速度 13
15 局面では, 膝関節伸展および足関節底屈トルク発揮が, 着地時の衝撃を受け止めて重心高を維持させる役割を果していると考えられる. しかし, これまでに, 競技レベルの高い短距離選手と競技レベルの低い短距離選手の加速局面における走動作と下肢三関節の関節トルクの差異について詳細に検討した報告はなく, それらの違いが加速局面の走速度に及ぼす影響については明らかにされていない スプリンターにおける下肢の筋腱複合体の機能特性に関する研究これまでに, 等尺性あるいは等速性股関節屈曲および伸展発揮筋力とスプリントタイムや走速度との関係を検討した研究によると, 等速性股関節屈曲発揮筋力は 100 m スプリントタイムとの間には有意な負の相関関係が認められること (Alexander 1989),100 m スプリントの最高走速度との間には有意な正の相関関係が認められること ( 渡邉ら 3) が報告されている. また, スプリントトレーニングを行っている被検者は, ウェイトトレーニングを行っている被検者よりも, 高速度 (270 deg/s) での等尺性股関節屈曲および伸展発揮筋力が有意に高値を示す (Blazevich and Jenkins 1997) ことが明らかにされている. さらに, Deane et al.(5) によると,8 週間の股関節屈曲トレーニングにより,10 yd および 40 yd スプリントタイムは有意に短縮し, 等尺性股関節屈曲発揮筋力は有意に増加することが報告されている.Mann and Sprague(1980) は, スプリントの遊脚期におけるすばやい股関節屈曲の重要性を示唆しており, これまでの等速性股関節発揮筋力とスプリントタイムや走速度との関係を検討した報告は,Mann and Sprague(1980) のスプリントにおける報告を裏付けるものであるといえる. 等尺性あるいは等速性膝関節発揮筋力とスプリントタイムや走速度との関係を検討した報告によると, 競技レベルが高い短距離選手は, 競技レベルが低い短距離選手よりも高速度 (180 および 300deg/s) での膝関節屈曲発揮筋力が有意に高く ( 山本ら 1992), 等速性膝関節伸展発揮筋力とスプリントタイムとの間には有意な負の相関関係が (Alexander 1989, Dowson et al. 1998), 等速性膝関節伸展および屈曲発揮筋力と 100 m スプリントの最高走速 14
16 度との間には有意な正の相関関係が ( 杉田ら 1991, 渡邉ら 3) 認められている. これらの結果から, 等速性での膝関節伸展筋力の発揮能力がスプリントタイムを決定する要因の 1 つになる (Thorstensson et al. 1977) と考えられている. 一方, 等尺性での膝関節伸展発揮筋力と 30 m スプリントタイム (Kukolj et al. 1999) や 100 m スプリントの最高走速度 ( 杉田ら 1991) との間には有意な相関関係は認められないことが報告されている. ランニングやスプリント, ジャンプといった反動動作を伴う身体運動では, 筋が一度引き伸ばされる伸張性収縮時に, 筋腱複合体に蓄積される弾性エネルギーを短縮性収縮時に再利用することにより, 短縮性収縮のみによる運動時よりも高いパワーが発揮される ( 伸張 - 短縮サイクル )(Komi 1992). 筋腱複合体内の弾性要素の大部分は腱にあり, 伸長された腱に弾性エネルギーが蓄積される (Alexander and Bennet-Clark 1977). ドロップジャンプにおける伸張 - 短縮サイクル運動では, 接地期前半に外側広筋の腱に蓄積される弾性エネルギーを接地期後半に放出することで短縮時の正のパワーが増加し, 最大跳躍高が増加することが報告されている (Finni et al. 3, Ishikawa et al. 3, Ishikawa and Komi 4). ランニングやスプリントに関する研究においても, 走速度の増加 (6-7 m/s 以上 ) に伴い, 伸張 - 短縮サイクル運動により接地期前半の伸張性収縮時に筋腱複合体に弾性エネルギーが蓄積され, 接地期後半に弾性エネルギーが放出されることで, 発揮される正のパワーが増加することが報告されている (Cavagna et al. 1971,Cavagna 1977). これらの知見から, 短時間に高いパワー発揮を要求されるスプリントにおいて, 弾性エネルギーの蓄積と放出を担う腱の力学的特性がパフォーマンスに影響すると推察される. また, シミュレーションにより腱の力学的特性がスクワットジャンプにおける最大跳躍高に及ぼす影響を検討した Bobbert(1) の研究においても, 最大等尺性収縮時の下腿三頭筋腱の伸長率を 1-10% に変化させたとき, 伸長率が大きいほど最大跳躍高が増加することが明らかにされた. 近年では, 超音波法を用いてスプリンターの腱や筋束の長さ変化を推定することにより, 筋腱複合体の力学的特性とスプリントパフォーマンスとの関係が検討されてきた.Kubo et al.(0) は, スプリンターの外側広筋の腱は, スプリントトレーニングを行っていない 15
17 コントロール群よりも最大随意収縮の 10 から 20% の発揮張力に対する腱の伸長性が高く, スプリンターの外側広筋腱の伸長性は,100 m スプリントタイムと有意な負の相関関係にあるとしている. また,Stafilidis and Arampatzis(7) によると, 優れたスプリンターの外側広筋腱の伸長性は, 最大腱張力の 30% 以上の腱張力において 100 m スプリントタイムの劣るスプリンターよりも高く,100 m スプリントタイムと外側広筋腱の最大伸長との間に有意な負の相関関係があるとしている. しかし,Kubo et al.(0) や Stafilidis and Arampatzis (7) の報告では,100 m スプリントタイムと腓腹筋腱の伸長性との間に有意な相関関係は認められておらず, 腓腹筋腱の伸長性が 100 m スプリントタイムには影響を及ぼさないと結論づけている. また, 馬場ら (0) は, 加速局面のスプリント中の足関節および膝関節の関節角度変化から, 屍体の筋腱複合体長を実測した Grieve et al.(1978) 値を用いて, 腓腹筋およびヒラメ筋の筋腱複合体長を算出した結果, 腓腹筋およびヒラメ筋は接地期前半では筋腱複合体は伸長し, 接地期中盤以降は短縮することを確認している. しかし, 馬場ら (0) は, 下腿三頭筋の筋腱複合体の接地期後半における短縮速度変化はスタートから最高走速度に至るまでほぼ一定であることから, 下腿三頭筋が果す伸張 - 短縮サイクルとしての役割は加速局面において一定であり, 走速度の増加に伴い弾性エネルギーの貢献度が高まると報告している Cavagna(1971) とは異なる見解を示している. これまでに筋腱複合体の力学的特性とスプリントパフォーマンスとの関係を検討した Kubo et al.(0) や Stafilidis and Arampatzis(7) の研究では, 対象とした被検者の 100 m タイムは 10 秒台後半から 11 秒台であり,10 秒台前半の一流短距離選手を含めた被検者を対象とした 100 m タイムと腱の力学的特性との関係は不明である. また,Wilson and Murphy(1996) は, 等尺性発揮筋力が動的な運動を評価する指標になり得るとしているが, これまでのスプリントタイムや最高走速度と発揮筋力との関係を検討した報告の多くは, 等速性での発揮筋力によるものであり, これまでに, 競技レベルの異なる短距離選手の等尺性発揮筋力を検討した報告はみられない.Kukolj et al.(1999) で対象とした被検者には短距離選手は含まれていないため, 競技レベルの異なる短距離選手の等尺性発揮筋力の差 16
18 異を検討する必要があると考えられる 本論文の目的短距離走における最高走速度は, 加速局面における走加速度の大きさとその継続時間によって決まり, 走加速度には力積が直接的な影響を及ぼす. また, 大きな力積の獲得に必要な下肢関節のはたらきや, 競技レベルの高い短距離選手が有している筋腱複合体の機能特性, また, その機能特性が下肢のどの関節に所在するかを明らかにすることができれば, 競技レベルの高い短距離選手の走りを理解することができると考えられる. そこで本学位論文では, 競技レベルの高い短距離選手と競技レベルが低い短距離選手の走加速度や接地期における地面反力, 走動作, 下肢の筋腱複合体の比較を通じて, 競技レベルの高い短距離選手の走加速度や地面反力, 走動作, 下肢の筋腱複合体の特徴を検討し, 短距離走における競技レベルの高い短距離選手の走速度の決定因子を明らかにすることを目的とした. 目的を達成するために, 以下の実験を行った. 第 2 章加速局面における競技レベルの高い短距離選手の走加速度と走速度の決定因子競技レベルの高い短距離選手と競技レベルの低い短距離選手を対象として, 加速局面における走加速度やピッチ, ストライドの変化を観察することで, 競技レベルの高い短距離選手の走加速度の特徴を明らかにすることを目的とした. 第 3 章加速局面における競技レベルの高い短距離選手の地面反力とその力積の特徴 加速局面における競技レベルの高い短距離選手の地面反力とその力積の変化パターンを 観察するとともに, 走速度やピッチ, ストライドとの関係を検討することを目的とした. 第 4 章加速局面における競技レベルの高い短距離選手の下肢関節の角度, 角速度, 関節 トルクの特徴 17
19 加速局面における競技レベルの高い短距離選手および競技レベルの低い短距離選手の下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクの変化パターンを明らかにすることで, 競技レベルの高い短距離選手の下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクの特徴を検討することを目的とした. 第 5 章競技レベルの高い短距離選手の下肢筋腱複合体の機能特性短距離選手の下肢関節の等尺性最大発揮筋力や腱の力学的特性を観察し, 競技レベルの高い短距離選手の下肢の筋腱複合体の機能特性の特徴を明らかにすることを目的として実験を行った. 第 6 章総括論議 総括論議では,1. 競技レベルの高い短距離選手の走加速度の決定因子について,2. 同一走 速度時の走加速度や地面反力の群間比較について検討した. 18
20 Rpx Rpy Mp m g ay α ax Dpy Ddy Rdx Md Rdy Dpx Ddx 図 1-1. 二次元剛体リンクモデルを用いた関節トルクの算出 ここで,Rdx および Rdy はセグメント重心から遠位端までの距離を,Rpx および Rpy は近位端からセグメント重心までの距離を,Rdx および Rdy は遠位の反力を,Md は遠位端のモーメントを,αはセグメントの各課速度を,ax および ay はセグメントの加速度を,m はセグメント質量を,I 0 は慣性モーメントを,g は重力加速度を,Mp は近位端のモーメントを,Rpx および Rpy は近位の反力をそれぞれ示す. 19
21 図 1-2. Hunter et al.(4a) の示したピッチ ( 上図 ) とストライド ( 下図 ) の決定因子モデ ル (deterministic model) 20
22 図 1-3. キックフォームのモデル ( 伊藤ら 1998) 股関節伸展角速度が同じであっても, 膝関節を固定した脚の後方伸展動作 (A) の方 が膝関節伸展を伴う脚の後方伸展動作 (B) より足が大きく後方へ移動する ( Fa> Fb). 21
23 第 2 章加速局面におけるにおける競技競技レベルレベルの高い短距離選手短距離選手の走加速度走加速度と走速度走速度の決定因子 2-1. 緒言これまでの短距離走の走速度やピッチ, ストライドに関する研究によると, 加速局面ではスタートから 40 m で最高走速度の約 95% に達し, ストライドも走速度と同様の増加パターンを示すが, ピッチはスタート後 10 m でほぼ最大に達し, その後は大きく変化しないことが報告されている ( 阿江ら 1994,Kersting 1999). 最高走速度は加速局面における走加速度の大きさと加速の継続時間により決定されるため, 加速局面における走加速度の高低は加速局面におけるスプリント能力を評価するうえで重要な要因である. しかしながら, 競技レベルの高い短距離選手と競技レベルの低い短距離選手の加速局面における走加速度やピッチ, ストライドの変化を比較し, 競技レベルの高い短距離選手の走動作の特徴を検討した報告はない. 競技レベルの高い選手の走加速度や走速度の決定因子の特徴を知ることは, 加速能力の向上に必要な知見を得ることにつながると考えられる. そこで本章では, 競技レベルの異なる短距離選手を対象として, 加速局面における走加速度やピッチ, ストライドの変化を観察することで, 競技レベルの高い短距離選手の走加速度や走速度の特徴を明らかにすることを目的とした 方法 被検者被検者は, 大学の陸上部に所属する短距離選手 19 名であった. 被検者は 100 m ベストタイムにより Fast 群 (n = 9) と Slow 群 (n = 10) の 2 群に分類した. 各群の被検者の身長, 体重および 100 m ベストタイムを表 2-1 に示した. 身長および体重には群間で有意差は認められなかったが,100 m 走のベストタイムは Fast 群が有意に短く,Fast 群の平均走速度は Slow 群よりも有意に高かった. 実験に先立ち, 各被検者には実験の目的, 内容, 測定中に 22
24 起こりうる危険性に関して十分な説明を行った後に, 書面による同意を得た. 本実験は早 稲田大学スポーツ科学学術院倫理委員会の承認を得た後に行った 実験方法被検者に, 十分なウォーミングアップを行わせた後, スターティングブロックを用いて, クラウチングスタートからの最大努力での 40 m 走を行なわせた. 実験には 4 台のハイスピードデジタルビデオカメラ (EXILIM EX-F1,CASIO,Japan) を用いて, フレームレート 300 Hz, シャッター速度 1/1000 s でスタートからの走動作を撮影した.4 台の各カメラはそれぞれ 5 m,15 m,25 m,35 m の各地点の走路側方に配置し ( 図 2-1),0 m から 40 m までの各 10 m 区間の走動作が撮影できるように配慮した 分析方法本研究ではスタート後, スターティングブロックから両脚が離地し, 次に接地した脚を 1 ステップとし,1-20 ステップまでを分析の対象とした. 得られた画像から, 接地時間と遊脚時間を算出した. 接地時間 (t con ) は支持脚が地面に接してから離地するまでの時間, 遊脚時間 (t air ) は各ステップの接地前後の遊脚に要した時間の平均値とした. ピッチ (SF) は算出された接地時間と遊脚時間の和の逆数として求めた. また, 動作分析ソフト (Frame-DIASⅡ V4,DKH,Japan) を用いて各ステップの接地時のつま先をデジタイズし, 対象とするステップの前後のつま先の移動距離の平均値からストライド (SL) を算出した. 各ステップの走速度 (V) はピッチとストライドの積から求めた. 動作分析ソフトを用いて走動作中の右肩と右上前腸骨棘をそれぞれデジタイズし, 重心の近似点として両デジタイズポイントの中点を定義した後, 以下の式を用いて重心の近似点の水平速度を算出した. V = (l / t air ) 23
25 ここで,V は遊脚期の平均走速度を,l は遊脚期における右肩と右上前腸骨棘の中点の水平 移動距離を,t air は遊脚時間をそれぞれ表す. 算出された平均走速度とステップの関係は 5 次の多項式により近似し ( 阿江ら 1994), 近似式により得られた各ステップの遊脚期にお ける走速度を算出した. 得られた遊脚期の走速度と接地時間 (t con ) から, 以下の式を用い て, 接地期の平均加速度 (a r ) を算出した. a r = (V n - V n-1) / t con ここで,V n は n ステップ目の遊脚期の平均走速度を,V n-1 は n ステップ目の 1 ステップ手前の遊脚期の平均走速度を,t con は V n と V n-1 との間の接地期における接地時間をそれぞれ表す. 上記の式により算出した走加速度が走者の重心加速度を表す値として妥当かどうかを検証するために,1 名の被検者を対象として, スタートから 8 ステップまでの二次元動作解析により算出した走加速度と上記の式により推定した走加速度とを比較した. 二次元動作解析は動作解析ソフト (Frame-DIASⅡ V4,DKH,Japan) を用いて, 身体分析点 ( 頭部 3 点, 上肢 9 点, 下肢 10 点 ) をデジタイズした後,3 点移動平均法により平滑化した. デジタイズにより得られた身体各部位の座標から, 阿江ら (1992) の質量部分慣性係数を用いて, 身体の各セグメントおよび全身の重心座標を算出した. デジタイズは同一試技で 2 回行い, 2 回の分析により求められた各ステップの走加速度の変動係数は 3.7 ± 4.9 % であった. その結果, 二次元動作解析により算出した走加速度と上記の式により推定した走加速度との各ステップにおける変動係数は平均で 4.0 ± 1.9 % であった 統計処理 24
26 本研究では,1 から 19 ステップまでの奇数ステップを分析の対象とした.Fast 群および Slow 群の群間差の検定には, 二元配置の反復測定 ( 群 ステップ ) による分散分析を用いた. 交互作用が認められた際には, 対応のない一元配置の分散分析により群間の差の検定を行った. 一元配置の分散分析の結果,F 値が有意と認められた場合, 平均値の差の検定には Tukey の多重比較検定を用いた. すべての検定は危険率 5% 未満 (p < 0.05) を有意とした. 統計量の算出は,SPSS(12.0J for Windows, Japan) を用いて行った 結果各ステップの走加速度は,1-7 ステップにおいて Fast 群の方が Slow 群よりも有意に大きかった ( 図 2-2).Fast 群の走速度は 7 ステップ以降すべてのステップで Slow 群よりも有意に高かった ( 図 2-3).Fast 群と Slow 群との間のピッチに交互作用は認められなかったが, 群に主効果が認められ,Fast 群が有意に高値を示した. ストライドは ステップにおいて,Fast 群の方が Slow 群よりも有意に大きかった. 接地時間は Fast 群と Slow 群との間に交互作用は認められなかったが, 群に主効果が認められ,Fast 群が有意に短かった. 遊脚時間はすべてのステップで群間差はみられなかった ( 図 2-4) 考察本章では,7 ステップ以降の走速度に群間差が認められ,Fast 群が有意に高い走速度で疾走していた. また. 加速局面前半における Fast 群の走加速度は,Slow 群よりも高値を示し, 1-7 ステップにおいて群間に有意差が認められた. これらの結果から, 加速局面後半の走速度の群間差は, 加速局面前半の走加速度の有意差が影響したと考えられる. つまり, 加速局面におけるスプリントでは, 加速局面前半, 特にスタート直後の走加速度の大きさが, 加速局面後半以降の走速度を決める重要な因子であることを示唆するものである. さらに, 本章では,7 ステップ以降の Fast 群の走速度は,Slow 群のそれよりも有意に高かったにもかかわらず,Fast 群の接地時間は, 加速局面全体を通して Slow 群よりも有意に短かったこ 25
27 とから,Fast 群は短い接地時間に Slow 群と同等の地面反力を獲得していたと推察される. 本研究から, 走加速度を定量することで, 走速度からのみでは説明できない加速局面における Fast 群の特徴が明らかとなった. 接地中に走者が獲得する地面反力の水平成分は遊脚時間および遊脚距離を決める要素となり, 地面反力の鉛直成分は遊脚期における鉛直方向の移動距離を決める要素となる. 福田と伊藤 (4) は加速局面においてスプリントパフォーマンスが高い選手の方が大きな地面反力の水平成分を獲得することを報告している. このことは, 加速局面における高い走速度の獲得にはことを示唆している ( 福田と伊藤 4,Slawinski et al. 2010). 本研究における走加速度の結果を踏まえると,Fast 群は短い接地時間に大きな走加速度を獲得することで, 大きな地面反力の水平成分を獲得していたと推察される. 大きな力積の水平成分の獲得と接地時間の短縮との間には trade-off が存在するが,Fast 群は 1 ステップから 7 ステップにおいて, 高い走加速度を獲得することで, 大きな力積の水平成分を獲得しているといえる. 9 ステップ以降は,Fast 群が Slow 群よりも有意に高い走速度で疾走していたにも関わらず, 両群の獲得した走加速度には有意差が認められなかった. 走速度と走加速度の相関関係をみると ( 図 2-5), 回帰直線の傾きには両群間で有意差は認められなかったが,Fast 群の回帰直線の y 切片は Slow 群のそれよりも有意に高値を示した. これらの結果は, 加速局面において, 同一走速度に対して獲得できる走加速度に両群間差があることを示している. 本研究では算出した走加速度と体重との積から, 各被検者の身体が発揮した平均の力の水平成分を算出した ( 図 2-6). 図 2-6 に示した力 - 走速度関係は, 走運動中の走速度 - 力関係について報告している先行研究 (Jaskólska et al. 1999,Tsuchie et al. 8) と同様に直線的な関係にあり, 両群ともに, 走速度の増加に伴い平均の力の水平成分は減少した. 一方, 競技レベルとは無関係に, 走速度 - 力関係の傾きはほぼ一定であったにも関わらず,Fast 群と Slow 群との回帰式の y 切片には群間差が認められたことから,Fast 群の被検者の多くは,Slow 群の被検者と同一走速度に対して Slow 群の被検者よりも大きな平均の力の水平成分を獲得していることが 26
28 明らかになった. 特に, 本研究で対象とした被検者の中で, 最も 100 m ベストタイムが短かった (10.07 s) 被検者の走速度 - 力関係 ( 図 2-6 の太線 ) は, すべての被検者の走速度 - 力関係の中で最も右上に位置していた. これらのことは, 加速局面全体を通じて同一走速度のもとでより大きな力を地面に対して発揮することができる被検者がより高い加速を可能にし, その結果として, より高い走速度で疾走することができることを意味する. Fast 群のストライドは, すべてのステップで Slow 群のそれよりも大きい傾向にあり,15 から 19 ステップで群間差が認められた. さらに,Fast 群の走速度は 7 ステップ以降すべてのステップで群間差が認められた. 走速度を変えて, 等速でランニングあるいはスプリントを行わせた際のピッチとストライドの変化を検討した先行研究 (Hay 2, 松尾と福永 1981,Mero et al. 1981,Wood 1987,Yanai and Hay 4) によると, 低い走速度域では走速度の段階的な増加に伴いストライドの増加がみられ, 高い走速度域ではピッチが増加することが報告されている. 本研究の加速局面においても, 走速度の増加に伴いストライドが増加したことから, 加速局面後半の走速度の群間差には, ストライドの群間差が影響するといえる. また, 本研究における加速局面のピッチとストライドの変化パターンは, 国際大会の 100 m 走を対象とした先行研究 ( 阿江ら 1994) と同様の傾向を示した. 本研究や先行研究の結果も考慮すると, 加速局面における短距離選手のピッチやストライドの変化パターンは, 競技レベルに関係なく一定であり, 大きなストライドで疾走することが走速度に影響することが明らかとなった. 本研究では, 加速局面後半の走速度とストライドには群間差が認められたが, ステップとは無関係に,Fast 群のピッチは Slow 群よりも有意に高値を示した. これらの結果は,Fast 群は, 加速局面においてストライドを増加させるだけでなく, スタートから高いピッチを維持することが, 高い走速度を獲得につながるといえる. 接地中は遊脚期における重心の水平移動距離を伸ばすための力積を獲得しなければならないため (Hunter 4a), 力積を獲得するために必要な接地時間を保持しなくてはならない. 本研究では, 接地時間はすべてのステップで Fast 群の方が短かったことから,Fast 群は短い接地時間に地面に対して大 27
29 きな力を発揮する能力が Slow 群よりも優れていることが, 結果的に,Slow 群よりも高いピ ッチで疾走することも可能にしていたと考えられる 要約本章では,Fast 群と Slow 群の加速局面における走加速度やピッチ, ストライドの変化を観察することで, 競技レベルの高い短距離選手の走加速度や走速度の特徴を検討した. その結果, 競技レベルの高い短距離選手は加速局面の前半 (1-7 ステップ ) において, 競技レベルの低い短距離選手よりも有意に高い走加速度を獲得していた. 競技レベルの高い短距離選手は競技レベルの低い短距離選手よりも有意に高い走速度で疾走している加速局面中盤以降 (7-19 ステップ ) においても, 競技レベルの低い短距離選手と同等の走加速度を獲得していた. 結果的に,Fast 群は同一走速度に対して Slow 群よりも高い走速度の獲得を可能にしていた. これらの結果から, 加速局面全体を通じてより大きな力を地面に対して発揮することができる被検者が, より高い加速を可能にし, 加速局面後半において高い走速度で疾走できることが明らかになった. 28
30 表 2-1. 被検者の身体特性,100 m ベストタイム group height [m] body mass [kg] 100 m best time [s] Fast 1.71 ± ± ± 0.28 Slow 1.71 ± ± ± 0.17 * * は Fast 群と Slow 群の有意差を示す (p<0.05). 29
31 start 20m 40m running direction cam1 cam2 cam3 cam4 図 2-1. 実験装置の概略図実験は屋外の全天候型トラックの直線走路で行った. 実験には 4 台のハイスピードデジタルビデオカメラを用い,4 台のカメラをそれぞれ 5 m,15 m,25 m,35 m 地点の走路側方に配置し,0 m から 40 m までの各 10 m 区間の走動作が十分に撮影できるように配置した. 30
32 acceleration [m/s/s] * * * * step 図 2-2. 加速局面における走加速度の変化 は Fast 群を, は Slow 群を示す. *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. 31
33 velocity [m/s] * * * * * * * 4 stride length [m] stride frequency [step/s] * * * # step 図 2-3. 加速局面における走速度 ( 上図 ), ピッチ ( 中図 ), ストライド ( 下図 ) の変化 は Fast 群を, は Slow 群を示す. *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. #:Fast 群と Slow 群とのピッチには交互作用は認められなかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 32
34 0.25 contact time [s] # flight time [s] step 図 2-4. 加速局面における接地時間 ( 上図 ), 遊脚時間 ( 下図 ) の変化 は Fast 群を, は Slow 群を示す. #:Fast 群と Slow 群との接地時間には交互作用は認められなかったが, 群に主効果 (Fast < Slow) が認められた. 33
35 10 acceleration [m/s 2 ] * Slow group y = -1.23x Fast group y = -1.27x velocity [m/s] 図 2-5. 加速局面における走速度と走加速度の走加速度の相関関係 と実線は Fast 群を, と点線は Slow 群をそれぞれ表す. * は両群の y 切片の有意差を示す (p < 0.05). 34
36 Fastest sprinter force [N] velocity [m/s] 図 2-6. 加速局面における各被検者の走速度と力の相関関係 実線は Fast 群の被検者, 点線は Slow 群の被検者をそれぞれ表す. 太線は 100 m ベストタイムが最も短い被検者の回帰直線を表す. 35
37 第 3 章加速局面におけるにおける競技競技レベルレベルの高い短距離選手短距離選手の地面反力地面反力とそとその力積力積の特徴 3-1. 緒言第 2 章では,Fast 群は高いピッチを維持しながら, 高い走加速度を獲得しており, それらが結果的に加速局面後半の高い走速度やストライドの獲得につながることが明らかになった. ストライドは接地中の力積の水平成分および鉛直成分の影響を大きく受けるため, 加速局面の走速度やピッチ, ストライドの変化を理解する上で, 加速局面における各ステップの地面反力やその力積の変化を検討する必要がある. これまでに, 走速度が 3 m/s から 5 m/s に増加した際には, 地面反力の負の水平成分 ( ブレーキ方向 ) と正の水平成分 ( 推進方向 ) の両成分が増加する (Munro et al. 1987) ことや, 走速度の高い選手ほど, 加速局面において, 短い接地時間に大きな地面反力を受ける ( 福田と伊藤 4) ことが明らかにされている. 一方, ヒトの走運動は接地期と滞空期を繰り返し, バウンドしながら前方に進む運動であるため (Cavagna and Kaneko 1977), 地面反力の水平成分の力積だけでなく, 常に鉛直の下方にはたらく重力に抗して身体重心の鉛直方向の周期的な上下運動を維持させるためには, 接地期において重心の下向きの速度を減速させ, 上向きの速度を生じさせる鉛直上向きの力積を獲得する必要がある. しかしながら, 実際の短距離走中の加速局面における地面反力の鉛直成分に着目した研究は少なく ( 土江ら 5), 加速局面の各ステップにおける, 地面反力や力積の鉛直成分の変化については不明な点が多い. また, 第 2 章と同様に, 競技レベルが高い競技レベルの高い短距離選手と競技レベルの低い短距離選手の加速局面における地面反力やその力積の変化を比較し, 競技レベルの高い短距離選手の走速度の決定因子の特徴を検討した報告はない. そこで本章では, 加速局面における競技レベルの高い短距離選手の地面反力とその力積の変化パターンを観察するとともに, 走速度やピッチ, ストライドとの関係を検討することを目的とした. 36
38 3-2. 方法 被検者被検者は, オリンピック出場経験者 3 名を含む国内の競技レベルの高い短距離選手 5 名 (Fast 群 ) と, 大学陸上競技同好会に所属する短距離選手 5 名 (Slow 群 ) であった. 各群の被検者の身長, 体重および 100 m ベストタイムを表 3-1 に示した. 身長および体重および 100 m 走のベストタイムに両群間差が認められた. 各被検者には実験の目的, 内容, 測定中に起こりうる危険性に関する説明を行った後に, 書面による同意を得た. 本実験は早稲田大学スポーツ科学学術院倫理委員会の承認を得た後に行った 実験方法実験は屋内の直線 100m の陸上競技走路で実施した. 被検者には反射マーカを貼付し ( 頭部 :4 点, 上肢 :11 点, 体幹 :9 点, 下肢 :12 点 ), スターティングブロックを用いたクラウチングスタートから 50 m までのスタートダッシュを行わせた. 本章では, 直線走路の中間付近に分析区間 ( 約 5.4 m) を設定した. 加速局面における各ステップのデータを分析区間内で取得するために, 被検者には分析区間の後方 0 m から 50 m まで 5 m ごとにスタート位置をずらし, それぞれの位置から全力で分析区間を走り抜けるスタートダッシュを合計 11 試行行わせた. 各試行間の休息は 2 分以上とし, 疲労の影響を排除するように配慮した. 実験には 12 台の 3 次元光学式位置測定装置 (VICON,VICON Motion Systems,UK) を用いて, サンプリング周波数 120 Hz で分析区間内の疾走動作を撮影した. また, 走路に直列に埋設した 6 枚の地面反力計測装置 (90 cm 60 cm;kistler-9287a,kistler,switzerland) より, サンプリング周波数 600 Hz で接地期の地面反力を測定した. 疾走中の身体座標および地面反力のデータは,VICON システム内で同期信号により同期させた 分析方法 VICON システムによって得られた身体マーカの位置より, 各関節および重心の座標を求 37
39 めた. それらの座標, 地面反力および圧力中心を矢状面上に投影し,2 次元データとして分析を行った.120 Hz の座標データは,4 次のデジタルローパスフィルタ (Winter 1990) により, 遮断周波数 8 Hz(Arampatizis et al. 1999) で平滑化した後,600 Hz( 土江ら 5) にスプライン補間した. 分析は, 滞空期における重心の鉛直方向の最高点から, 接地後の次の滞空期の重心最高点までとし,1 ステップごとに分析した. その際に床反力計測装置から外れて接地したステップ, あるいは 2 枚の床反力計測装置にまたがって接地したステップは分析対象から除外した 分析項目 走速度はピッチ (SF) とストライド (SL) の積により算出した. ピッチ, ストライドは 以下の式を用いて算出した. SF = {1/( t air 1 + T con + t air 2 )} SL = AL 1 +CL+AL 2 ここで,t air1 は滞空期に重心が最高点に達してから接地するまでの時間,t con は接地時間, t air 2 は離地から滞空期に重心が最高点に達するまでの時間,AL 1 は滞空期に重心が最高点に達してから接地するまでの重心水平移動距離,CL は接地期の重心水平移動距離,AL 2 は離地から滞空期に重心が最高点に達するまでの重心水平移動距離をそれぞれ表す. また, 各ステップの走速度とその前のステップの走速度の差分から走速度の変化量を算出した. 同様に, 各ステップのピッチ, ストライドとその前のステップのピッチ, ストライドの差分からピッチ, ストライドそれぞれの変化量を算出した. 測定した地面反力から, 以下の式を用いて地面反力の力積 (Impulse) とその水平成分 (Impulse x ), 鉛直成分 (Impulse y ) をそれぞれ算出した. 38
40 t Impulse = con Fdt t Impulse x = con F x dt t Impulse y = con F y dt 接地開始の時刻をゼロ, 接地の終了時刻を t con とした. ここで,F x は接地期に身体に作用した地面反力の水平成分を,F y は地面反力の鉛直成分をそれぞれ表す. また, 地面反力の力積を接地時間で除すことで, 接地時の平均地面反力を算出した. さらに, 図 3-1 の通り, 逆正接関数を用いて接地開始時の地面反力の作用角度 (θ) を算出した. 各分析項目は 3 ステップごとに平均値を求め, それらを代表値とした. 例えば 1 から 3 ステップまでは 1-3 ステップとし,16-18 ステップ目までを分析対象とした 統計処理 Fast 群と Slow 群の群間差の検定には, 二元配置の反復測定 (Fast 群,Slow 群 各ステップ ) による分散分析を用いた. 交互作用が認められた際の各ステップにおける両群間の平均値の差の検定は, 対応のない t 検定を行った. 各群のステップ間の差の検定は対応のある一元配置の分散分析を行った. 一元配置の分散分析の結果,F 値が有意と認められた場合, 平均値の差の検定には Tukey の多重比較検定を用いた.2 変数間の相関関係の算出にはピアソンの積率相関分析を用いた. すべての検定は危険率 5% 未満 (p < 0.05) を有意とした. 統計量の算出は,SPSS(12.0J for Windows, Japan) を用いて行った 結果 身長, 体重および 100m ベストタイムにはそれぞれ両群間に有意差がみられた. 走速度, ピッチ, およびストライドの結果を図 3-2 に示した.Fast 群の走速度は 7-9 ステップまで有 39
41 意に増加し,Slow 群の走速度は ステップまで有意に増加した. 両群の走速度を比較すると,10-12 ステップ以降で Fast 群が有意に高値を示した. ピッチは両群ともにステップの増加に伴う有意な変化はみられず, 両群間のピッチに有意差はなかった. ストライドは両群ともに 7-9 ステップまで有意な増加を示した.Fast 群のストライドは および ステップにおいて, それぞれ Slow 群よりも有意に大きかった. 走速度の変化量は両群ともに 1-3 ステップが最も大きく, ステップの増加に伴い減少した ( 図 3-3). ピッチの変化量は両群ともに 1-3 ステップが最大で, その後の変化量はほぼゼロであった. ストライドの変化量は走速度と同様で, 両群ともに 1-3 ステップが最も大きく, ステップの増加に伴い減少した. 両群ともに, 群内の地面反力の力積および力積の鉛直成分にはステップによる有意な変化はなく, 力積の鉛直成分および地面反力の力積には, 交互作用は認められなかったが, 群に主効果が認められた ( 図 3-4, 3-5). 一方で, 力積の水平成分は両群ともに 7-9 ステップまで有意に減少し,1-3 および 4-6 ステップにおいて Fast 群の方が Slow 群よりも有意に大きかった ( 図 3-5). 地面反力の平均値は両群ともに連続するステップ間での有意な変化がなく, 地面反力の平均値に交互作用は認められなかったが, 群に主効果が認められた ( 図 3-7). 接地時間は Fast 群では 7-9 ステップまで,Slow 群では 4-6 ステップまで有意に減少し,16-18 ステップにおいて, 両群間に有意差が認められた ( 図 3-8). 地面反力の作用角度は, 両群ともに 7-9 ステップまで有意に大きく,4-6 ステップにおいて Fast 群の方が Slow 群よりも有意に角度は大きかった ( 図 3-9) 考察加速局面において, 走速度とストライドは両群ともに有意に増加したが, ピッチには変化がみられなかった. また, ストライドの変化量は走速度と同様の減少傾向を示したが, ピッチの変化量は 1-3 ステップ以降ではほぼゼロであった. これらの加速局面のピッチとストライドの変化パターンは, 本論文の第 2 章の結果と同様の傾向であった. 一方, 各群に 40
42 おける 3 ステップごとの走速度の変化量とストライドおよびピッチの変化量をそれぞれ平均した値との関係をみると, 走速度の変化量とストライドの変化量との間には Fast 群で正の相関傾向があり,Slow 群で有意な正の相関関係が認められたが, ピッチの変化量との間には両群ともに有意な相関関係はなかった ( 図 3-10). これらの結果から, スプリント走の加速局面における走速度の増加の説明要因の 1 つとして, ストライドの増加があると考えられる. ストライドを規定する要因の 1 つは地面反力の力積の大きさである (Hunter et al. 4a). 本章では, 加速局面前半において Fast 群が獲得した力積の水平成分は Slow 群のそれよりも有意に大きかった. また, 各群における 3 ステップごとの力積の水平成分およびストライドの変化量をそれぞれ平均した値との関係をみると,Fast 群では正の相関傾向,Slow 群で有意な正の相関関係を示したことから ( 図 3-11), 力積の水平成分が大きいステップほどストライドの変化量が大きかったといえる. これらの関係から, 力積の水平成分の大きさは結果的に加速局面の走速度変化における被検者間の違いを説明する変数となることが確認された. スプリント走の加速局面における地面反力の水平成分の重要性については, 福田と伊藤 (4) が, 最高走速度の高い選手ほど, 加速局面において短縮する接地時間により大きな推進力 ( 地面反力の水平成分 ) を獲得していたことを報告している. また, 本章において, 地面反力の作用角度は加速局面全体を通じて Fast 群の方が Slow 群よりも進行方向に傾いていた. つまり, 加速局面後半において,Slow 群は力積の水平成分を獲得することができなくなるが,Fast 群はそれを可能にすることで Slow 群よりも有意に高い走速度で疾走していたといえる. 一方, 常に鉛直の下方にはたらく重力に抗して身体重心の鉛直方向の周期的な上下運動を維持させるためには, 接地期において重心の下向きの速度を減速させ, 上向きの速度を生じさせる鉛直上向きの力積を獲得する必要がある. 選手が獲得しなければならない力積の鉛直成分は, 重力と 1 ステップに要する時間の積によって決定される (Hay 1993). よって, 一定のピッチを保とうとした場合,1 ステップあたりに獲得しなければならない力積の 41
43 鉛直成分は一定である. しかしながら, 接地期における股関節の可動域の解剖学的な制限があるため, 接地脚が地面に対して力を加え続けることが可能な重心の水平移動距離には限界がある (Yanai and Hay 4). また, 走速度が増加すると, 力を加え続けることができる重心の水平移動距離に要する時間は短縮するため, 結果的に接地時間は短縮する. つまり, 加速局面において選手が加速を続けるためには, 短縮する接地時間内に必要な力積の鉛直成分を獲得することが必要不可欠といえる. 本章において,Fast 群の接地時間は Slow 群のそれよりも短かったが, 接地期の重心水平移動距離は, 各群内のステップ間および両群間に有意差はなかった (1-18 ステップにおける接地期の重心水平移動距離の平均値 ;Fast 群 :0.77 ± 0.05 m と Slow 群 :0.72 ± 0.06 m). このような結果と上述の接地時間と鉛直成分の力積との関係を考え合わせると,Fast 群は, 加速局面後半の高い走速度下においても, 限られた接地時間内に大きな力積の鉛直成分を獲得することが可能な走動作を行っており, これが加速し続けることができる要因になっていると考えられる 要約本章では, 加速局面における Fast 群と Slow 群の地面反力とその力積の変化パターンを観察するとともに, 走速度やピッチ, ストライドとの関係を検討することを目的とした. その結果, 走速度の増加に伴い, ストライドが有意な増加を示したことから, 加速局面における走速度の増加は, ストライドの増加に起因すると考えられる. また,Fast 群は Slow 群よりも短い接地時間に大きな力積を加えていたことから,Fast 群は加速局面において短縮する接地時間の中で, 地面に対してより大きな力を発揮する能力を有しており, それが Slow 群よりも走速度の増加を可能にする要因の 1 つだと考えられる. 42
44 表 3-1. 被検者の身体特性,100 m ベストタイム group height [m] body mass [kg] 100 m best time [s] Fast 1.75 ± ± ± 0.14 Slow 1.69 ± 0.03 * 60.4 ± 3.2 * ± 0.19 * * は Fast 群と Slow 群の有意差を示す (p<0.05). 43
45 θ 図 3-1. 接地時の地面反力の作用角度 θ は鉛直軸に対する地面反力のベクトルの成す角度を示す. 44
46 velocity [m/s] * * * 4 stride length [m] * n.s * stride frequency [step/s] step 図 3-2. 加速局面における走速度 ( 上図 ), ピッチ ( 中図 ), ストライド ( 下図 ) の変化 は Fast 群を, は Slow 群を示す. *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. :Fast 群および Slow 群内における直前のステップに対する有意差を示す. 45
47 5.0 Δvelocity [m/s] Δstride frequency [step/s] Δstride length [m] step 図 3-3. 加速局面における走速度, ピッチ, ストライドそれぞれの直前の 3 ステップに対 する変化量 は Fast 群を, は Slow 群を示す. 46
48 250 Impulse [Ns] # step 図 3-4. 加速局面における力積の変化 は Fast 群を, は Slow 群を示す. #:Fast 群と Slow 群との力積には交互作用は認められなかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 47
49 Impulse x, Impulse y [Ns] * * # step 図 3-5. 加速局面における力積の水平成分 ( = Fast 群 ; = Slow 群 ) と鉛直成分 ( = Fast 群 ; = Slow 群 ) の変化 *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. :Fast 群および Slow 群内における直前のステップに対する有意差を示す. #:Fast 群と Slow 群との力積の水平成分および鉛直成分には交互作用は認められなかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 48
50 3.0 Impulse x, Impulse y [Ns/BW] step 図 3-6. 加速局面における力積の水平成分 ( = Fast 群 ; = Slow 群 ) と鉛直成分 ( = Fast 群 ; = Slow 群 ) の変化 49
51 average force [kn] # step 図 3-7. 加速局面における地面反力の平均値の変化 は Fast 群を, は Slow 群を示す. #:Fast 群と Slow 群との地面反力の平均値には交互作用は認められなかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 50
52 0.2 contact time [s] * step 図 3-8. 加速局面における接地時間の変化 は Fast 群を, は Slow 群を示す. *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. :Fast 群および Slow 群内における直前のステップに対する有意差を示す. 51
53 30 25 * force angle [deg] step 図 3-9. 加速局面における鉛直軸に対する地面反力のベクトルの成す角度の変化 は Fast 群を, は Slow 群をそれぞれ示す. *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. :Fast 群および Slow 群内における直前のステップに対する有意差を示す. 52
54 Slow group r = (n.s.) Fast group r = (n.s.) 0.5 Δvelocity [m/s] Δstride frequency [step/s] 2.5 Fast group y = 3.210x r = ( (p <0.1) Slow group y = 4.530x r = ( (p <0.01) Δstride length [m] 図 各ステップにおける走速度の変化量とピッチの変化量 ( 上図 ), 走速度の変化量 とストライド ( 下図 ) との関係 は Fast 群を, は Slow 群を示す. 53
55 0.5 Δstride length [m] Fast group y = 0.029x r = ( (p <0.1) Slow group y = 0.026x r = ( (p <0.01) Impulse x [Ns] 図 各ステップにおける力積の水平成分とストライドの変化量との関係 は Fast 群を, は Slow 群を示す. 54
56 第 4 章加速局面におけるにおける競技競技レベレベルの高い短距離選手短距離選手の下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクトルクの特徴 4-1. 緒言第 2 章では, 加速局面前半における Fast 群の走加速度が Slow 群よりも有意に高値を示した. 第 3 章では,Fast 群の地面反力や力積, それらの水平成分および鉛直成分が Slow 群よりも有意に高いことが明らかとなった. これらの群間差は, 主に下肢関節の動きや発揮トルクにより決定されると考えられる. 伊藤ら (1994) は, 股関節の最大伸展速度が加速局面における走速度と有意な正の相関関係にあるが, 膝関節の最大伸展速度や足関節の最大底屈速度は正の相関関係を示さないことを報告している. また, 加速局面において, 大きな股関節伸展トルクを発揮し, 股関節伸展速度を増加させることが, 走速度の増加に影響することが示唆されている ( 馬場ら 0, 伊藤ら 1997,Johnson and Buckley 1). しかしながら, これまでの報告から, 競技レベルの異なる被検者の下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクの差異については不明な点が多く, 第 3 章において,Fast 群と Slow 群との間に認められた地面反力や力積の差を説明する報告は見当たらない. そこで本章では, 加速局面における下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクの変化パターンを明らかにするとともに, Fast 群と Slow 群とのそれらの差異を検討することを目的とした 方法 被検者, 実験方法, および分析方法 被検者, 実験方法, 分析方法は, 第 3 章と同一であった 分析項目 身体座標データから, 接地期の股関節, 膝関節, 足関節の各関節角度 ( それぞれ θ h,θ k, 55
57 θ a ) を算出し ( 図 4-1), 股関節および膝関節は伸展, 屈曲角度の最大値, 足関節は底屈, 背屈角度の最大値をそれぞれ代表値とした ( 伊藤ら 1994). また, 関節角度を時間微分することで股関節, 膝関節, 足関節の関節角速度を算出し, 股関節, 膝関節, 足関節それぞれの伸展あるいは底屈, 屈曲あるいは背屈角速度の最大値を代表値とした. 本章では, 股関節および膝関節は完全伸展位を 180 度, 足関節は解剖学的正位を 90 度とした. すべての関節角度, 角速度において伸展および底屈方向をプラスとし, 屈曲および背屈方向をマイナスとして示した. 関節トルクは,VICON システムによって得られた身体マーカの位置より, 剛体リンクモデル ( リンクセグメントモデル ) を用いてモデリングし, 身体を各セグメントに分割した ( 図 1-1). また, キネマティクスのデータは 4 次のバターワースフィルタにより, 遮断周波数 8 Hz(Arampatzis et al. 1999) で平滑化した. そして, 地面反力計測装置より得られた反力を用いて, 末端のセグメントに関する並進運動およびセグメントの重心回りの回転運動の運動方程式を立てることで, 関節の回転に作用する力のモーメントを算出した (Winter 1990). 関節トルクの算出に必要な分節質量は, 阿江ら (1992) の身体部分慣性係数を用いた. 算出された足関節, 膝関節, 股関節の各関節トルクのうち, 股関節伸展, 屈曲トルクの最大値, 膝関節伸展, 屈曲トルクの最大値, 足関節底屈トルクの最大値をそれぞれ代表値とした. 本研究では, すべての関節トルクにおいて, 伸展および底屈方向をプラスとし, 屈曲方向をマイナスとして示した. 各分析項目は 3 ステップごとに平均値を求め, それらを代表値とした. 例えば,1 から 3 ステップまでは 1-3 ステップとし,16-18 ステップ目までを分析対象とした 統計処理すべての項目において,Fast 群と Slow 群の群間差の検定には, 二元配置の反復測定 ( 群 ステップ ) による分散分析を用いた. 交互作用が認められた際の各ステップにおける両群間の平均値の差の検定は, 対応のない t 検定を行った. すべての検定は危険率 5% 未満 (p < 56
58 0.05) を有意とした. 統計量の算出は,SPSS(12.0J for Windows, Japan) を用いて行った 結果図 4-2 および図 4-3 には Fast 群,Slow 群それぞれの 1 および 18 ステップの接地期における関節角度, 関節角速度, 関節トルク, 地面反力の水平成分と鉛直成分の典型例を示した. 股関節および膝関節の伸展, 屈曲角度の最大値, 足関節の底屈, 背屈角度の最大値はすべてのステップにおいて両群間に有意差は認められなかった ( 表 4-1). また, 股関節の伸展角速度の最大値, 膝関節の伸展および屈曲角速度の最大値, 足関節の底屈および背屈角速度の最大値も, すべてのステップにおいて両群間に有意差は認められなかった ( 表 4-2). 関節トルクにおいて, 股関節と膝関節の伸展トルクの最大値, 足関節の底屈トルクの最大値に交互作用は認められなかったが, 群に主効果が認められ Fast 群が有意に高値を示した ( 図 4-4 から図 4-6). また,Fast 群の股関節の屈曲トルクの最大値は 4-6 から ステップおよび ステップにおいてそれぞれ Slow 群よりも高値を示し,Fast 群の膝関節の屈曲トルクの最大値も 4-6,10-12,16-18 の各ステップにおいて Slow 群よりも有意に高値を示した ( 図 4-4, 図 4-5) 考察関節トルクの群間差をみると, 股関節の伸展トルクの最大値は, すべてのステップで Fast 群が Slow 群よりも高値を示し, 屈曲トルクの最大値もすべてのステップで Fast 群の方が高い傾向にあり,4-6 から ステップおよび ステップにおいて群間に有意差が認められた. 接地期の股関節伸展トルクの最大値の発現地点は接地直後にあり, その傾向は加速局面後半でも一定であり, 股関節トルクの変化パターンは Fast 群と Slow 群で同様であった. 接地直後にみられた股関節伸展トルクの最大値は, 接地脚に作用した地面反力による股関節屈曲作用に抗して, 接地脚を後方へ振り出すはたらきを持つため, 大きな股関節伸展トルクを発揮することで, 接地脚の後方への振り出しを減速させることなく行うことを 57
59 可能にしている. 加速局面において股関節伸展トルクを高めることが, 走速度の増加に影響するという報告 ( 馬場ら 0, 伊藤ら 1997,Johnson and Buckley 1) を考慮すると, Fast 群は Slow 群よりも大きな股関節伸展トルクを発揮することが, 加速局面に大きな加速度を獲得することを可能にした要因の 1 つであると考えられる. 膝関節伸展トルクの最大値は, 股関節伸展トルクと同様に接地直後に発現し, その傾向は Fast 群および Slow 群ともに同様であった. これまでの報告では, スタート後 10 m までは膝関節伸展筋が身体の加速に貢献するが (Delecluse 1997),10 m 以降は主に接地期における重心の鉛直下方への変化を抑える役割を果していることが明らかにされている ( 馬場ら 0,Delecluse 1997,Jacobs and Van Ingen Schenau 1992,Johnson and Buckley 1). さらに,Jacobs and Van Ingen Schenau(1992) は, 加速局面後半では股関節の伸展パワーを足関節に伝達するために膝関節伸展トルクがはたらくことを示唆している. これらの報告から, 膝関節角度変化が大きいスタート直後において,Fast 群は股関節伸展トルクのみならず, 大きな膝関節伸展トルクを発揮することにより, 高い走加速度を獲得していた ( 第 2 章 ) と考えられる. 加速局面中盤以降において,Fast 群は Slow 群よりも接地直後に大きな膝関節伸展トルクを発揮することで, 接地期の重心の鉛直下方への変化を抑えるはたらきをしていたと考えられる. また, 加速局面の各ステップにおける膝関節屈曲トルクの最大値は, Fast 群および Slow 群ともに接地期後半に発現し,Fast 群の膝関節屈曲トルクの最大値は Slow 群よりも有意に高値を示した. これまでの研究において, 膝関節屈曲トルクの大きさが加速局面の走速度に影響するという報告はないが,Fast 群は接地期後半から大きな膝関節屈曲トルクを発揮し, 遊脚期前半に膝関節をすばやく屈曲させることにより, 遊脚中の下肢の回転半径を小さくし, 下肢の慣性モーメントの減少させている ( 湯と豊島 1998) と考えられる. 本研究において,Fast 群の足関節最大底屈トルクは, すべてのステップで Slow 群よりも有意に高値を示した. 足関節は接地期における関節角度変化を小さくすることで足関節を固定し, 股関節伸展力を最終的に地面に伝える役割を果すことが報告されている ( 伊藤ら 58
60 1994, 伊藤ら 1998). これらの報告から,Fast 群は足関節底屈トルクを高めることで, 股関節で発揮されたトルクを, 効率よく地面に伝達させていたと推察される. 一方で, 本研究における足関節底屈トルクの最大値は, 両群ともに加速局面を通して大きな変化はなかった. 先行研究においても加速局面の走速度変化と足関節底屈角速度変化には有意な関係はないことが報告 ( 伊藤ら 1994) されていることから, 足関節底屈トルクの最大値の大きさが走速度の増加に影響を及ぼす可能性は小さいと考えられる. 第 3 章において, 加速局面における各ステップの地面反力や力積には Fast 群と Slow 群との間に有意差が認められたにも関わらず, 本章では股関節と膝関節の伸展, 屈曲角度の最大値および角速度の最大値, 足関節底屈, 背屈角度の最大値および底屈角速度の最大値には, いずれも両群間に有意差は認められなかった. 伊藤ら (1994) は, 接地期の下肢関節のうち, スタートからの走速度変化と股関節の伸展速度の最大値との間にのみ有意な正の相関関係があることを報告しており,Hunter et al.(5) も接地期の股関節伸展速度が加速局面の力積の水平成分の大きさに関連があることを報告している. これらの報告から, 股関節伸展速度の大きさが走速度の増加には重要であることが示唆されてきた. 本章の各ステップにおける股関節伸展角速度の最大値は,Fast 群の方が Slow 群よりも大きい傾向にあったが, 両群間差が認められず, 膝関節および足関節の角度, 角速度にも群間差は認められなかった. この結果を考慮すると, 個々の関節の動きが必ずしも加速局面における走速度の違いを説明する要因にはならないと考えられる 要約本章では,Fast 群と Slow 群の加速局面における下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクの最大値から,Fast 群の下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクの特徴を明らかにすることを目的した. その結果,Fast 群は Slow 群よりも, 加速局面の各ステップにおける下肢三関節 ( 足関節, 膝関節, 股関節 ) の関節トルクが有意に高値を示した. 一方, 下肢三関節の接地期における最大, 最小角度および最大, 最小角速度には両群間差はなかった. これらの結果 59
61 は, 下肢三関節の動きよりも発揮トルクの大きさが, 加速局面のスプリントにおいて重要 であることを示唆するものであり, 下肢三関節の関節角度や角速度が必ずしも加速局面に おける走加速度の違いを説明する要因にはならないことを示すものである. 60
62 θ h θ k θ a 図 4-1. 股関節, 膝関節, 足関節それぞれの関節角度の定義 ここで,θ h は股関節角度を,θ k は膝関節角度を,θ a は足関節角度をそれぞれ示す. すべての角度において, 伸展および底屈をプラス, 屈曲および背屈をマイナスとした. 61
63 250 <Fast> 250 <Slow> joint angle [deg] ankle knee hip ankle knee hip angular velocity [m/deg] joint torque [Nm] ground reaction force [N] Fx Fy contact time [s] 0 Fx 1500 Fy contact time [s] 図 4-2. Fast 群の被検者 ( 左図 ) および Slow 群の被検者 ( 右図 ) の 1 ステップ目の接地期に おける下肢三関節の関節角度, 関節角速度, 関節トルク, 地面反力の水平成分 (F x ) と鉛直 成分 (F y ) 変化の典型例 62
64 63 図 4-3. Fast 群の被検者 ( 左図 ) および Slow 群の被検者 ( 右図 ) の 18 ステップ目の接地期における下肢三関節の関節角度, 関節角速度, 関節トルク, 地面反力の水平成分 (F x ) と鉛直成分 (F y ) 変化の典型例 Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip joint angle [deg] angular velocity [m/deg] joint torque [Nm] ground reaction force [N] contact time [s] ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy contact time [s] <Fast> <Slow> Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip joint angle [deg] angular velocity [m/deg] joint torque [Nm] ground reaction force [N] contact time [s] Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip joint angle [deg] angular velocity [m/deg] joint torque [Nm] ground reaction force [N] contact time [s] Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip joint angle [deg] angular velocity [m/deg] joint torque [Nm] ground reaction force [N] contact time [s] ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy contact time [s] ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy contact time [s] ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy ankle ankle ankle ankle knee knee knee knee hip hip hip hip Fx Fx Fx Fx Fy Fy Fy Fy contact time [s] <Fast> <Slow>
65 表 4-1. 加速局面における Fast 群および Slow 群の股関節, 膝関節, 足関節それぞれの最大 伸展および底屈角度と最大屈曲および背屈速度の変化 θ h max θ h min θ k max θ k min θ a max θ a min step Fast 217 (3) 210 (2) 208 (1) 204 (2) 201 (8) 204 (3) Slow 218 (5) 212 (5) 210 (4) 204 (13) 205 (4) 205 (5) Fast 150 (5) 145 (4) 147 (4) 147 (5) 150 (3) 151 (3) Slow 148 (6) 147 (4) 146 (4) 149 (3) 150 (3) 149 (2) Fast 161 (7) 154 (4) 154 (4) 149 (5) 152 (5) 154 (6) Slow 163 (6) 157 (7) 155 (5) 154 (6) 153 (5) 151 (11) Fast 115 (7) 129 (5) 137 (7) 137 (8) 143 (7) 144 (6) Slow 117 (6) 129 (4) 133 (5) 138 (5) 140 (4) 140 (5) Fast 104 (7) 104 (6) 107 (6) 103 (5) 104 (6) 105 (4) Slow 103 (6) 100 (5) 102 (3) 100 (5) 102 (3) 103 (4) Fast 59 (4) 65 (5) 70 (5) 73 (6) 74 (6) 75 (6) Slow 56 (6) 60 (4) 65 (4) 68 (8) 71 (4) 73 (9) ここで,θ h max は股関節伸展角度の最大値を,θ h min は股関節屈曲角度の最大値を,θ k max は膝関節伸展角度の最大値を,θ k min は膝関節屈曲角度の最大値を,θ a max は足関節底屈角度の最大値を,θ a min は足関節背屈角度の最大値をそれぞれ示す. いずれの項目にも, 各ステップにおける Fast 群と Slow 群との間には有意差は認められなかった. 64
66 表 4-2. 加速局面における Fast 群および Slow 群の股関節, 膝関節, 足関節それぞれの最大 伸展および底屈角速度と最大屈曲および背屈角速度の変化 V h max V h min V k max V k min V a max V a min step Fast 564 (58) 674 (42) 721 (39) 726 (47) 702 (87) 760 (32) Slow 553 (53) 644 (52) 693 (82) 683 (85) 703 (57) 711 (60) Fast 257 (90) 392 (70) 442 (61) 446 (32) 446 (74) 488 (59) Slow 269 (94) 416 (51) 429 (33) 447 (74) 443 (75) 437 (63) Fast 508 (49) 458 (29) 405 (70) 354 (85) 303 (87) 308 (76) Slow 533 (68) 492 (65) 454 (135) 368 (109) 310 (63) 313 (74) Fast 33 (35) -53 (63) -129 (92) -203 (87) -191 (64) -197 (71) Slow 54 (60) -39 (86) -131 (108) -158 (118) -227 (154) - (178) Fast 963 (91) 980 (124) 1049 (110) 927 (57) 997 (82) 1039 (118) Slow 947 (101) 985 (83) 951 (85) 967 (82) 968 (92) 955 (101) Fast -232 (50) -310 (49) -376 (53) -332 (42) -390 (72) -412 (48) Slow -265 (83) -340 (44) -368 (69) -408 (95) -397 (114) -379 (149) ここで,V h max は股関節伸展角速度の最大値を,V h min は股関節屈曲角速度の最大値を, V k max は膝関節伸展角速度の最大値を,V k min は膝関節屈曲角速度の最大値を,V a max は足関節底屈角速度の最大値を,V a min は足関節背屈角速度の最大値をそれぞれ示す. いずれの項目にも, 各ステップにおける Fast 群と Slow 群との間には有意差は認められなかった. 65
67 1000 peak hip torque [Nm] * * * * # step 図 4-4. 加速局面における股関節トルクの最大値の変化 および は Fast 群,Slow 群それぞれの股関節伸展トルクの最大値を, および は Fast 群,Slow 群それぞれの股関節屈曲トルクの最大値を示す. *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. #:Fast 群と Slow 群との股関節伸展トルクの最大値には交互作用は認められ なかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 66
68 600 peak knee torque [Nm] * * * step # 図 4-5. 加速局面における膝関節トルクの最大値の変化 および は Fast 群,Slow 群それぞれの膝関節伸展トルクの最大値を, および は Fast 群,Slow 群それぞれの膝関節屈曲トルクの最大値を示す. *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. #:Fast 群と Slow 群との膝関節伸展トルクの最大値には交互作用は認められ なかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 67
69 600 peak plantarflexion torque [Nm] # step 図 4-6. 加速局面における足関節底屈トルクの最大値の変化 は Fast 群, は Slow 群の足関節底屈トルクの最大値を示す. #:Fast 群と Slow 群との足関節底屈トルクの最大値には交互作用は認められなかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 68
70 第 5 章競技レベルレベルの高い短距離選手短距離選手の下肢筋腱複合体下肢筋腱複合体の機能特性 5-1. 緒言第 4 章では, 加速局面の各ステップにおいて,Fast 群は Slow 群よりも有意に高い下肢三関節 ( 足関節, 膝関節, 股関節 ) の関節トルクを発揮していることが明らかになった. これらの関節トルクの群間差は, 身体資源としての発揮筋力が影響すると推測される. また, 近年, 超音波法を用いて腱や筋束の長さ変化を推定することにより, スプリントパフォーマンスと腱の力学的特性との関係が検討されてきた.Kubo et al.(0) は, スプリンター (100 m ベストタイム :11.01±0.17s) の外側広筋 (vastus lateralis: 以下,VL) 腱は, スプリントトレーニングを行っていないコントロール群よりも伸長性が高いことを報告している. また,Stafilidis and Arampatzis(7) は, 競技レベルの高いスプリンター (100 m ベストタイム :Fast 群 :11.01±0.17s) は同一腱張力に対する腱の伸長が競技レベルの低いスプリンター (100 m ベストタイム :Slow 群 :11.64±0.23s) よりも大きく,100 m スプリントタイムと VL 腱の腱伸長の間に有意な負の相関があるとしている. その一方で, 腓腹筋内側頭 (medial gastrocnemius: 以下,MG) 腱の力学的特性は,100 m スプリントタイムと有意な相関を示さず (Kubo et al. 0), 短距離選手の競技レベル間で有意差はないことが報告されている (Stafilidis and Arampatzis 7). しかしながら, 競技レベルの高い被検者 ( 本章の Fast 群 :10.65 ± 0.22 s) を対象とした VL 腱や MG 腱の力学的特性を検討した報告はなく, 第 4 章において, 下肢関節の関節トルクに群間差が生じた要因が, 下肢の筋腱複合体の機能特性によるものであるかは不明である. そこで本章では, 短距離選手の下肢関節の最大筋力および腱の力学的特性を観察し, 競技レベルの高い短距離選手の下肢の筋腱複合体の機能特性の特徴を明らかにすることを目的として実験を行った 方法 69
71 被検者被検者は, 大学の陸上部に所属する短距離選手 16 名であった. 被検者は 100 m ベストタイムにより,Fast 群 (8 名 ) と Slow 群 (8 名 ) に分類した. 各群の被検者の身長, 体重および 100 m ベストタイムを表 5-1 に示した. 身長と体重に群間で有意差は認められなかったが,100 m ベストタイムは Fast 群が有意に短かった. 各被検者には実験の目的, 内容, 測定中に起こりうる危険性に関する説明を行った後に, 書面による同意を得た. また, 本実験は早稲田大学スポーツ科学学術院倫理委員会の承認を得た後に行った 実験方法 a). 試行被検者には, 等尺性最大随意収縮 (MVC) およびランプ試行として以下の 5 種類試行を行わせた. 股関節屈曲および伸展 MVC 試行 膝関節屈曲および伸展 MVC 試行 足関節底屈 MVC 試行 膝関節伸展ランプ試行 足関節底屈ランプ試行各試行の測定手順は以下の通りであった. 股関節屈曲および伸展 MVC 試行の測定には等尺性筋力測定装置 (CON-TREX, CMV AG, Switzerland) を用いた. 測定姿勢は仰臥位とした. 被検者の股関節中心が筋力測定装置の回転中心と一致するように被検者の仰臥位置を調節した. その後, ストラップを用いて被検者の大腿を筋力測定装置のアタッチメントに固定した. 測定姿勢は股関節 90 度 ( 完全伸展位 180 度 ), 膝関節 90 度 ( 完全伸展位 180 度 ) とした. 膝関節屈曲および伸展 MVC 試行の測定には等尺性膝関節筋力測定装置 (VTK-002,VINE, Japan) を用いた. 測定姿勢は座位とした. 被検者の膝関節中心が筋力測定装置の回転中心 70
72 と一致するようにシートの位置を調節した. その後, ストラップを用いて被検者の足関節を筋力測定装置のアタッチメントに固定した. 測定姿勢は,Kubo et al. (0) と同様に, 股関節 100 度 ( 完全伸展位 180 度 ), 膝関節 100 度 ( 完全伸展位 180 度 ) とした. 膝関節伸展ランプ試行の測定姿勢は膝関節伸展 MVC 試行と同一であった. 膝関節伸展ランプ試行は, 安静状態から 5 秒間で MVC に到達し,1 秒間維持するプロトコルで行なわせた. 足関節底屈筋力の測定には, 等尺性足関節筋力測定装置 (VTF-002,VINE,Japan) を用いた. 測定姿勢は座位とした. 被検者の足関節中心が, 筋力測定装置の回転中心と一致するように, シートの位置を調節した. その後, ストラップを用いて, 被検者の足部を筋力測定装置のアタッチメントに固定した. 測定姿勢は,Kubo et al. (0) と同様に, 足関節 90 度 ( 完全伸展位 180 度 ) とした. 足関節底屈ランプ試行の測定姿勢は, 足関節底屈 MVC 試行と同一であった. 足関節底屈ランプ試行は, 安静状態から 5 秒間で MVC に到達し,1 秒間維持するプロトコルで行なわせた. 実験に先立ち, すべての試行前に, 被検者にはウォームアップと筋力発揮の練習として, 最大下での力発揮を行わせ, 等尺性筋力発揮に十分に慣れさせた後に, 本試行を行わせた. 本試行は, 股関節屈曲および伸展, 膝関節屈曲および伸展, 足関節底屈それぞれの筋力発揮を, 少なくとも 2 回行なわせた.2 回の MVC トルクの最大値が 10% 以内にあるかを確認し,2 回の値が 10% を超えた場合は,10% 以内に収まるまで試行を繰り返し行わせた. 試行間には 2 分以上の十分な休息を挟み, 疲労の影響を排除するように努めた. すべての MVC 試行, 膝関節伸展ランプ試行, および足関節底屈ランプ試行では, 発揮筋力の最大値が最も高い試行を採用した. b). 発揮筋力および関節角度の測定筋力測定装置から出力された股関節屈曲および伸展筋力, 膝関節屈曲および伸展, 足関節底屈筋力のアナログ信号は, ストレインアンプ (DPM-611B,Kyowa,Japan) で増幅した後に,16 bit の A/D 変換器 (Power Lab16ch AD instruments Australia) を通じてデジタル 71
73 化し, サンプリング周波数 1000 Hz でパーソナルコンピューターに取り込んだ. ランプ試行中の関節角度変化, 膝関節伸展ランプ試行中の膝関節角度変化はパーソナルコンピューター上で時間同期したゴニオメータ (SG 100/A, Biometrics, UK) を用いて測定した. また, 足関節底屈ランプ試行では, 第 5 中足骨近位端, 外果, 下腿中央部に 3 点の反射マーカーを貼付し, 側方からビデオカメラ (NV-GS500, Panasonic, Japan) を用いて測定した. また, シンクロナイザー () により, ランプ試行中の発揮筋力と時間を同期した. 測定した映像から, 動作分析ソフト (Frame-DIASⅡ V4,DKH,Japan) を用いて 3 点の座標をそれぞれデジタイズし, 逆正接関数により足関節角度を求めた. c). ランプ試行における腱の長さ変化の測定 VL の縦断画像 ( 超音波画像の水平方向 ) の取得には超音波装置 (SSD-6500,Aloka,Japan) を用いた. 超音波プローブ (UST-5712, Aloka,Japan) は,VL の筋束と腱膜の交点がみえるように, 大腿長 50% の VL 筋腹上 (Kubo et al. 0) に, 両面テープで貼付した ( 図 5-1). プローブは力発揮中に筋厚の変化が小さく, 深部腱膜が超音波画像で水平に撮像できるように調節した ( 久保ら 1999). 超音波装置から得られた画像は, 同期タイマー (VTG-55, FOR-A, Japan) を介してデジタルビデオテープに 30 Hz で記録した. また, ランプ試行中は大腿をストラップで固定したが, 筋力発揮に伴い関節角度が変化するため, 膝関節伸展および足関節底屈筋力発揮中の筋束と腱膜の交点の移動には, 腱の伸長と関節角度変化による腱の移動が含まれる. そこで, 関節角度変化による腱の移動を補正するために, 安静時の膝関節角度変化による筋束と腱膜の交点の移動を計測した ( 以下, パッシブ試行 ). パッシブ試行では, 膝関節角度を 度まで 5 度毎に変化させたときの腱の移動量を計測した. ランプ試行時の腱伸長から, パッシブ試行で得られた安静時の関節角度変化に伴う受動的な腱伸長を引くことにより, 関節角度変化が筋束と腱膜の交点の移動に及ぼす影響の補正を行った (Bojsen-Møller et al. 3,Stafilidis and Arampatzis 7). MG の縦断画像 ( 超音波画像の水平方向 ) の取得には超音波装置 (SSD-5500,Aloka,Japan) 72
74 を用いた. 超音波プローブ (UST-5712, Aloka,Japan) は,MG の筋束と腱膜の交点がみえるように, 下腿長 30% の MG 筋腹上に両面テープで貼付した. プローブは力発揮中に筋厚の変化が小さく, 深部腱膜が超音波画像で水平に撮像できるように調節した. 超音波装置から得られた画像は, シンクロナイザー (PH-100, DKH,Japan) を介してデジタルビデオテープに 30Hz で記録した. また,VL 腱の測定と同様に, 関節角度変化による腱の移動を補正するために, ランプ試行前にパッシブ試行を行った. パッシブ試行では, 足関節角度を 度まで 10 度毎に変化させたときの腱の移動量を計測した. d). 腱張力の推定および腱スティフネスの算出方法 等尺性膝関節伸展ランプ試行および等尺性足関節底屈ランプ試行中に得られた筋力から, 以下の式を用いて VL,MG それぞれの腱張力を算出した. F = k TQ / MA ここで,k は大腿四頭筋における VL, 下腿三頭筋における MG それぞれの生理学的筋横断面積 (PCSA) の相対比を表す.k の値として,VL では 0.22(Narici et al. 1992),MG では 0.18(Fukunaga et al. 1996) を用いた.TQ は筋力測定装置から得られた膝関節伸展および足関節底屈筋力を示す.MA は大腿四頭筋および下腿三頭筋のモーメントアームを表す. MA の値は,Kubo et al.(0) と同様に VL では 43mm(Smidt 1973),MG では 50mm(Rugg et al. 1990) を用いて腱張力を算出した. 超音波装置により取得した VL,MG それぞれのランプ試行の画像から, 画像分析ソフト (Image J,National Institute of Health,USA) を用いて,MVC 試行の発揮筋力の最大値に対する 10%MVC 毎の筋束と腱膜の交点の ( 超音波画像水平方向での ) 移動を算出した. すべての被検者において, 膝関節伸展および足関節底屈ランプ試行における発揮筋力の最大値は MVC 試行におけるそれらの発揮筋力の最大値を下回ったため,VL および MG の腱伸長 73
75 ( L) は 0-90%MVC における筋束と腱膜の交点の ( 超音波画像水平方向での ) 移動から算出した ( 図 5-1). 本章では, 腱の弾性係数を示す腱スティフネスを,VL および MG のそれぞれについて算出した. 両腱スティフネスは, ランプ試行時の 50-90%MVC 時の腱張力と腱伸長の回帰直線の傾きから算出した (Kubo et al. 1999). 図 5-3 には,VL 腱の力 - 長さ関係と腱スティフネスを求めた回帰直線を示した 統計処理測定された等尺性股関節屈曲筋力の最大値, 等尺性股関節伸展筋力の最大値, 等尺性膝関節屈曲筋力の最大値, 等尺性膝関節伸展筋力の最大値, 等尺性足関節底屈筋力の最大値, VL 腱スティフネス, および MG 腱スティフネスの群間差はそれぞれ対応のない t 検定を行った.t 検定の結果は危険率 5% 未満 (p < 0.05) を有意とした. 統計量の算出は,SPSS(12.0J for Windows, Japan) を用いて行った 結果図 5-2 にランプ試行中の膝関節角度変化, 関節角度変化に伴う VL 腱伸長の変化, パッシブ補正前の測定された VL 腱伸長の変化, およびパッシブ補正を行った後の VL 腱伸長の変化を示した. 図 5-3 にランプ試行中の足関節角度変化, 関節角度変化に伴う MG 腱伸長の変化, パッシブ補正前の測定された MG 腱伸長の変化, およびパッシブ補正を行った後の MG 腱伸長の変化を示した.MG 腱および VL 腱スティフネスは両群の有意差は認められなかった ( 図 5-4). また,Fast 群と Slow 群との股関節屈曲筋力, 股関節伸展筋力, 膝関節屈曲筋力, 膝関節伸展筋力, 足関節底屈筋力にも有意な群間差は認められなかった ( 図 5-5 から図 5-7) 考察 Fast 群の VL 腱スティフネスは,Slow 群のそれと有意な群間差は認められなかった. こ 74
76 の結果は,100 m スプリントタイムと VL 腱の伸長性との間には有意な負の相関関係が認められたという先行研究 (Kubo et al. 0,Stafilidis and Arampatzis 7) とは異なるものであった. 本章で対象とした Fast 群の被検者は,100 m ベストタイムが Kubo et al.(0) や Stafilidis and Arampatzis(7) で対象とした被検者よりも短いため ( 本章の Fast 群 :10.65 ±0.22s,Kubo et al. 0:11.01±0.17s,Stafilidis and Arampatzis 7 の Fast 群 :11.01±0.17s), Fast 群の VL 腱スティフネスは Slow 群のそれよりも低くなるものと予想されたが, 本章では, 両群の VL 腱スティフネスには有意差は認められなかった.100 m ベストタイム差の大きな短距離選手を対象にした本研究において, 両群の VL 腱スティフネスに有意差が認められなかったことは,Kubo et al.(0) や Stafilidis and Arampatzis(7) が報告している 100 m スプリントタイムと VL 腱の伸長性との関係が, すべてのスプリンターに当てはまるわけではなく,VL 腱の力学的特性が 100 m スプリントタイムに影響を及ぼす要因にはならないことを示すものである. Cavagna et al.(1971) は, 走速度の増加 (6 m/s 以上 ) に伴い, 筋腱複合体の収縮要素によるパワー発揮に加えて, 弾性要素によるパワー発揮が高まる. このことから, 接地期前半に筋腱複合体の弾性要素に蓄積される力学的エネルギーが, 疾走中における発揮パワーの増加に寄与することを報告している. また, 反動を伴うジャンプ動作において,VL の伸張 - 短縮サイクル運動により最大跳躍高が増加すること (Ishikawa et al. 3, 4) や, シミュレーションによる反動動作のないスクワットジャンプにおいても, 下腿三頭筋腱の伸長性が最大跳躍高に影響すること (Bobbert 1) がこれまでに報告されている. 一方, スプリントでは, 接地期前半で VL にみられた筋放電が接地期後半では消失する ( 伊藤ら 1997,Mann 1981,Mero and Komi 1987) ことから, スプリント中は VL の筋活動は接地期前半の急速な筋活動が求められる. また,Ishikawa et al.(3) の報告したジャンプ動作における接地時間は 500 ms 以上であるのに対して, 本論文の加速局面における Fast 群の平均接地時間は 111 ms であり,Fast 群は Slow 群よりも接地時間が短かった ( 第 2 章, 第 3 章 ). さらに,Fast 群は膝関節伸展トルクの最大値も Slow 群と比較して有意に高値を示した ( 第 75
77 4 章 ). これらの結果と本章の結果を考慮に入れると, スプリントの接地期において,VL の筋腱複合体における高い筋腱複合体張力発揮に伴う大きな膝関節トルクは, 走速度の増加には影響せず, 接地期の膝関節の過度な屈曲を抑え, 接地期における重心高の維持に貢献していた (Johnson and Buckley 1,Jacobs and Van Ingen Schenau 1992) と考えられる. 一方,MG 腱スティフネスは Fast 群と Slow 群との間に有意差は認められなかった. 先行研究 (Kubo et al. 0,Stafilidis and Arampatzis 7) においても, 競技レベルの違いによる MG 腱の伸長性には差異がないことが明らかにされている.Kubo et al.(0) は, 至適な伸長性の MG 腱を有することで, 効率のよいスプリントを行える可能性を示唆している. 第 4 章では,Fast 群の足関節底屈トルクの最大値は Slow 群のそれよりも高値を示したが, MG 腱のスティフネスには両群間に有意差が認められなかったことから, 疾走中の足関節底屈筋張力が短距離走において重要である一方で,MG 腱の力学的特性が短距離走の走速度を決定する要因にはならないことが明らかとなった. 本章では,Fast 群と Slow 群の下肢三関節の等尺性発揮筋力には, いずれも有意な群間差は認められなかった. 第 4 章では,Fast 群の下肢三関節の関節トルクの最大値は, いずれも Slow 群より高値を示したことから, 下肢三関節の等尺性発揮筋力においても,Fast 群が Slow 群よりも有意に高い値を示すと予測された. 本研究において, すべての下肢三関節の等尺性発揮筋力は Fast 群の方が高い傾向にあったことから, 等尺性の発揮筋力の大きさが走速度に影響する可能性はあるが, 両群間に有意差が認められなかったことを考慮すると, 等尺性筋力発揮による発揮筋力が, 実際のスプリント中の走速度を説明する要因にはならないことが示唆される 要約本章では,Fast 群と Slow 群の下肢関節の等尺性発揮筋力や腱の力学的特性といった筋腱複合体の機能特性を観察し,Fast 群の下肢の筋腱複合体の機能特性の特徴を明らかにすることを目的とした. その結果,MG 腱および VL 腱スティフネス, 下肢三関節の等尺性発揮筋 76
78 力にはいずれも両群間に有意差は認められなかった. これらの結果から,MG 腱や VL 腱ス ティフネス, 等尺性発揮筋力の個人差が短距離走における走速度を説明する要因にはなら ないことが明らかになった. 77
79 表 5-1. 被検者の身体特性,100 m ベストタイム group height [m] body mass [kg] 100 m best time [s] Fast 1.72 ± ± ± 0.35 Slow 1.71 ± ± ± 0.36 * *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. 78
80 0%MVC fascicle aponeurosis 90%MVC ΔL 10mm proximal distal 図 5-1. ランプ試行時の外側広筋腱の超音波画像 ( 上図 ;0%MVC, 下図 ;90%MVC). L は外側広筋における筋束と深部腱膜の交点の移動距離を示す. 79
81 35 ΔL correc. ΔL meas. ΔL passive knee angle [deg] ΔL [mm] % MVC 図 5-2. 全被検者のランプ試行中における平均 VL 腱伸長 ( L)( 上図 ), および膝関節角度変化 ( 下図 ). ここで L correc. はランプ試行中の関節角度変化が筋束と腱膜の交点の移動に及ぼす影響の補正を行った VL 腱の筋束と腱膜の交点の移動を, L meas. はランプ試行中に測定された VL 腱の筋束と腱膜の交点の移動を, L passive はランプ試行中の関節角度変化に伴う VL 腱の筋束と腱膜の交点の移動をそれぞれ示す. 80
82 1600 VL tendon force [N] VL tendon length [mm] 図 5-3. ランプ試行における力 - 長さ関係 VL 腱スティフネスは 50-90%MVC 時の腱張力と腱伸長との傾きから算出した (Kubo et al. 1999). 81
83 300 tendon stiffness [N/mm] MG VL 図 5-4. VL および MG の腱スティフネスの群間差 ( = Fast 群, = Slow 群 ) 82
84 500 hip MVC [Nm] FL EX 図 5-5. 股関節屈曲 (FL) および伸展 (EX) 発揮筋力の群間差 ( = Fast 群, = Slow 群 ) 股関節発揮筋力には両群間差は認められなかった. 83
85 knee MVC [Nm] FL EX 図 5-6. 膝関節屈曲 (FL) および伸展 (EX) 発揮筋力の群間差 ( = Fast 群, = Slow 群 ) 膝関節発揮筋力には両群間差は認められなかった. 84
86 300 ankle MVC [Nm] PF 図 5-7. 足関節底屈 (PF) 発揮筋力の群間差 ( = Fast 群, = Slow 群 ) 足関節底屈発揮筋力には両群間差は認められなかった. 85
87 第 6 章総括論議 本論文は, 競技レベルの高い短距離選手 (Fast 群 ) と競技レベルの低い短距離選手 (Slow 群 ) の走加速度や接地期に地面から受ける力の大きさ, 走動作, 下肢の筋腱複合体の機能特性の比較を通じて,Fast 群の走加速度の決定因子を検討した. 各章により明らかとなった主な知見は以下の通りである. 第 2 章では,Fast 群の走加速度や走速度の決定因子の特徴を検討した結果, 加速局面全体を通じてより大きな力を地面に対して発揮することができる被検者が, より高い加速を可能にし, 加速局面後半において高い走速度で疾走できることが明らかになった. 第 3 章では, 加速局面における Fast 群の地面反力とその力積の変化パターンを観察した結果,Fast 群は加速局面において短い接地時間に, 地面に対してより大きな力を発揮する能力を有しており, それが Slow 群よりも走速度の増加を可能にする要因の 1 つだと考えられた. 第 4 章では,Fast 群と Slow 群の加速局面における下肢関節の角度, 角速度, 関節トルクの変化パターンを観察した結果, 下肢三関節の発揮トルクの大きさが, 加速局面のスプリントにおいて重要であることが示唆され, 下肢三関節の関節角度や角速度が必ずしも加速局面における走加速度の違いを説明する要因にはならないことが明らかになった. 第 5 章では,Fast 群と Slow 群の下肢関節の等尺性発揮筋力や腱の力学的特性といった筋腱複合体の機能特性を観察した結果,MG 腱および VL 腱スティフネス, 下肢三関節の等尺性発揮筋力にはいずれも両群間に有意差は認められなかった. これらの結果から,MG 腱や VL 腱スティフネス, 等尺性発揮筋力の個人差が短距離走における走速度を説明する要因にはならないことが明らかになった. 各章で得られた上記の知見から, 本章では 1. 競技レベルの高い短距離選手の走加速度の決定因子について 2. 同一走速度時の走加速度や地面反力の群間比較について考察する. 86
88 6-1. 競技レベルの高い短距離選手の走加速度の決定因子について各章において,Fast 群と Slow 群との比較により,Fast 群の走加速度の決定因子を地面反力, 走動作, ならびに下肢の筋腱複合体における機能特性の観点から検討した. 各章で明らかになった結果から考えられる走加速度の決定因子を図 6-1 に示す. 第 2 章では, 加速局面中盤以降 (7 ステップ以降 ) の走速度は Fast 群の方が Slow 群よりも有意に高く, 走加速度は 1 から 7 ステップにおいて Fast 群の方が Slow 群よりも有意に大きかった. 加えて,Fast 群は Slow 群よりも有意に高い走速度で疾走している加速局面中盤以降 (7 から 19 ステップ ) においても, 競技レベルの低い短距離選手と同等の走加速度を獲得していた. 結果的に,Fast 群は同一走速度に対して Slow 群よりも高い走速度の獲得を可能にしていた. つまり, 加速局面全体を通じてより大きな力を地面に対して発揮することができる選手が, より高い加速を可能にし, 加速局面後半において高い走速度で疾走できることが示された. また, 第 3 章では, 加速局面前半における Fast 群の力積の水平成分は Slow 群のそれよりも有意に高値を示したことに加えて, 力積の鉛直成分も Fast 群の方が有意に高値を示したことから, 加速局面で短縮する接地時間内に,Fast 群は Slow 群よりも大きな地面反力の力積を獲得する能力を有することで,Fast 群は大きな走加速度を獲得していたと考えられる. 第 2 章と第 3 章の結果を踏まえると, 大きな力積を獲得するために短い接地時間で大きな地面反力を得ることが,Fast 群の特徴であることが明らかとなった. 第 4 章では, スプリント中の走動作や関節トルクの差異から検討した結果, 加速局面の各ステップにおける下肢三関節の関節角度や角速度の最大値には両群間差は認められなかったが,Fast 群の下肢三関節の関節トルクは Slow 群のそれらよりも有意に高値を示した. 伊藤ら (1994) は, 加速局面の走速度と股関節最大伸展角速度との間に有意な正の相関関係が認められたことを報告していることから, 第 2 章の両群の走加速度や走速度の有意差は, 股関節最大伸展角速度の影響を大きく受けると考えられた. 股関節最大伸展角速度は ステップを除いて,Fast 群の方が高い傾向にあったが ( 第 4 章 ), 両群間差が認めら 87
89 れなかったことから, 股関節最大伸展角速度の差が走加速度や走速度の両群間差を説明する要因にはならないと結論づけられる. 一方, 下肢三関節トルクはすべてのステップで Fast 群が有意に高値を示したことから, 接地期における下肢三関節の発揮トルクの発揮能力が, 加速局面において大きな力積の獲得につながるといえる. つまり,Fast 群は, 加速局面全体を通して高い下肢三関節トルクを発揮することで, 大きな力積の水平成分および鉛直成分を獲得することを可能にしていたと考えられる. 第 5 章では, 膝関節伸展発揮筋力は Fast 群と Slow 群との間に有意差は認められず,MG 腱および VL 腱スティフネスにも両群間差は認められなかった. 同一の張力が腱に作用する際, 腱スティフネスが低ければ腱伸長は大きくなり, 腱スティフネスが高ければ腱伸長は小さくなる. 短距離走では, 短い接地時間 (100 ms 前後 ) に大きな関節トルクを発揮することが求められる ( 第 2 章, 第 3 章,Ciacci et al. 2010). そのため, 伸長性の低い腱を有することがあるいは加速局面のスプリントにおいて有利にはたらくのかもしれない. しかしながら, 第 5 章の結果では, 両群の MG 腱および VL 腱スティフネスには有意差が認められなかったことから, 筋腱複合体の力学的特性の個人差が走速度の大きさに影響しないと考えられる. 一方, 下肢三関節トルクはすべてのステップで Fast 群が有意に高値を示した ( 第 4 章 ) ことから, 下肢三関節のトルク発揮特性が走速度の増加に大きく影響するといえる. そこで, 下肢三関節のトルク発揮特性を検討するために, 第 4 章の接地期における下肢三関節の伸展および底屈トルクの最大値を最大値に至るまでの時間で除すことで, 最大トルクの立ち上がり速度 (rate of torque development:rtd) を算出した. 算出した RTD は,SPSS(12.0J for Windows, Japan) を用いて, 二元配置の分散分析を行った (p < 0.05). その結果, 股関節伸展と膝関節伸展の最大 RTD には, 交互作用は認められなかったが, 群に主効果が認められた ( 図 6-2, 図 6-3). 一方, 足関節の最大 RTD には両群間に有意差は認められなかった ( 図 6-4). ジャンプ動作時において,RTD と VL 腱スティフネスとの間に有意な正の相関関係が認められるという報告 (Bojsen-Møller et al. 5) では, 伸長性の低い VL 腱を有す 88
90 ることで, 筋腱複合体の弾性要素から骨へと力を効率よく伝えることが可能であると述べられている. 本論文の第 5 章では,VL 腱スティフネスには両群間の有意差は認められなかったことから, ジャンプ動作とは異なり,VL 腱の力学的特性がスプリントにおける走速度の増加には影響しないといえる. むしろ, 膝関節の角度変化が小さいスプリント動作では, RTD を高めることで, 接地期における重心の鉛直下方への変化を抑え ( 馬場ら 0, Delecluse 1997,Jacobs and Van Ingen Schenau 1992,Johnson and Buckley 1), 股関節の伸展パワーを足関節に伝達するために (Jacobs and Van Ingen Schenau 1992) すばやい膝関節伸展トルク発揮が求められると結論づけられる. 今後,100 ms 前後の短い接地時間 ( 第 2 章, 第 3 章 ) に, 急速な筋活動を行う速度特異的な筋の収縮特性が要求される短距離選手の発揮筋力を評価するためには, 今後は, 例えば, 筋力の立ち上がりの速さ (rate of force development:rfd) といった測定が必要であろう 同一走速度時の走加速度や地面反力の群間比較本論文では, 加速局面後半の Fast 群の走速度は Slow 群のそれよりも有意に高く ( 第 2 章 ), 走速度の違いは各ステップにおける地面反力や走動作, 関節トルクの結果に影響を受けることが明らかになった ( 第 3 章, 第 4 章 ). しかしながら, 第 2 章から第 4 章までの結果は, 同一ステップにおける群間差を検討したものであり, 対象としたステップの Fast 群および Slow 群の走速度は一定ではない. 走運動のような多関節運動では, 力 - 速度関係は直線的になる (Jaskolska et al. 1999,Tsuchie et al. 8) ことを考慮すると, 走速度の増加に伴い地面反力は減少するが, 加速局面後半においても走加速度を獲得するためには, 高い走速度域であっても力積の水平成分を獲得する必要があると考えられる. そこで本項では, 第 3 章で両群ともにほぼ同一速度であった Fast 群の ステップ (8.97 ± 0.20 s) と Slow 群の ステップ (8.95±0.56 s) における, 地面反力や走動作, 関節トルクを比較することで, 同一走速度時の走加速度や地面反力の群間差を検討した. Fast 群の ステップと Slow 群の ステップの接地期における地面反力の力積, 89
91 力積の水平成分および鉛直成分, 地面反力の作用角度, 下肢三関節の最大伸展 ( 底屈 ) および屈曲 ( 背屈 ) 角度, 角速度, 関節トルクそれぞれについて,SPSS(12.0J for Windows, Japan) を用いて, 対応のない t 検定を行い, 群間差 (p < 0.05) を検討した. その結果, 同一走速度時に,Fast 群の地面反力の力積, 力積の水平成分および鉛直成分はそれぞれ Slow 群よりも有意に高値を示し ( 図 6-5), 接地期における地面反力の作用角度も有意に高値を示した ( 図 6-6). これらの結果から, 同一走速度時に,Fast 群は身体重心の鉛直方向の周期的な上下運動を維持するために必要な力積の鉛直成分を獲得することに加えて,Slow 群よりも大きな力積の水平成分を獲得していたといえる.Slow 群が最高走速度に達する走速度においても,Fast 群は身体の加速に必要な大きな力積の水平成分を獲得していた可能性が示唆される. 特に, Fast 群は同一走速度時の力積の負の水平成分 ( ブレーキ方向 ) は Slow 群よりも有意に低く, 正の水平成分 ( 推進方向 ) は Slow 群よりも有意に高値を示した ( 図 6-7). また, 同一走速度時の地面反力の作用角度も Slow 群より進行方向に傾いていたことから,Slow 群が加速できない高い走速度域においても,Fast 群は大きな力積の水平成分を獲得することにより, 高い走速度での疾走を可能にしており, 加速局面後半において両群間の走速度に有意差が認められた要因の 1 つであったと考えられる. これらのことから, 第 3 章や第 4 章における地面反力の群間差は, 両群の走速度の差異により生じたものではなく,Fast 群はスタート直後から大きな走加速度を獲得すること ( 第 2 章 ) に加えて, スタートから 10 ステップ以降の加速局面後半の高い走速度域おいても, 走加速度を獲得する能力を有することで, より高い走速度での疾走を可能にしていることが示唆される. また, 同一走速度時における下肢三関節の最大伸展および底屈, 屈曲および背屈角度と角速度には両群間差は認められなかったが ( 表 6-1), 股関節伸展および屈曲トルク, 膝関節伸展および屈曲トルクは Fast 群の方が有意に高値を示した ( 図 6-8).Fast 群は高い走速度域においても,Slow 群よりも高い股関節伸展トルクを発揮し, 走加速度を獲得することで, 走速度を高めるとともに ( 馬場ら 0, 伊藤ら 1997,Johnson and Buckley 1), 膝 90
92 関節伸展トルク発揮により, 重心の過度な下方変位を抑えることを可能にしていたと考え られる. 91
93 92 図 6-1. 加速局面における走加速度の決定因子モデル加速局面加速局面加速局面加速局面地面反力地面反力地面反力地面反力の力積力積力積力積膝関節膝関節膝関節膝関節トルクトルクトルクトルクによる貢献腱スティフネス筋張力最高走速度加速時間身体質量接地時間接地時間接地時間接地時間足関節足関節足関節足関節トルクトルクトルクトルクによる貢献股関節股関節股関節股関節トルクトルクトルクトルクによる貢献走加速度走加速度走加速度走加速度筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力加速局面加速局面加速局面加速局面地面反力地面反力地面反力地面反力の力積力積力積力積膝関節膝関節膝関節膝関節トルクトルクトルクトルクによる貢献腱スティフネス筋張力最高走速度加速時間身体質量接地時間接地時間接地時間接地時間足関節足関節足関節足関節トルクトルクトルクトルクによる貢献股関節股関節股関節股関節トルクトルクトルクトルクによる貢献走加速度走加速度走加速度走加速度筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力地面反力地面反力地面反力地面反力の力積力積力積力積膝関節膝関節膝関節膝関節トルクトルクトルクトルクによる貢献腱スティフネス筋張力最高走速度加速時間身体質量接地時間接地時間接地時間接地時間足関節足関節足関節足関節トルクトルクトルクトルクによる貢献股関節股関節股関節股関節トルクトルクトルクトルクによる貢献走加速度走加速度走加速度走加速度筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力筋腱複合体張力
94 80 max RTD h [Nm/s] # step 図 6-2. 加速局面における股関節伸展の最大 RTD は Fast 群, は Slow 群の股関節伸展の最大 RTD を示す. #:Fast 群と Slow 群との股関節伸展の最大 RTD には交互作用は認められなかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 93
95 60 max RTD k [Nm/s] # step 図 6-3. 加速局面における膝関節伸展の最大 RTD は Fast 群, は Slow 群の膝関節伸展の最大 RTD を示す. #:Fast 群と Slow 群との膝関節伸展の最大 RTD には交互作用は認められなかったが, 群に主効果 (Fast > Slow) が認められた. 94
96 10 max RTD a [Nm/s] n.s step 図 6-4. 加速局面における足関節底屈の最大 RTD は Fast 群, は Slow 群の足関節底屈の最大 RTD を示す. 両群のステップ間には有意差は認められなかった. 95
97 * * 150 Impulse [Ns] * 0 I x I y I 図 6-5. Fast 群の ステップと Slow 群の ステップにおける力積 (I), 力積の水平 成分 (I x ), および力積の鉛直成分 (I y ) の群間差 ( = Fast 群, = Slow 群 ) *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. 96
98 12 * 10 force angle [deg] 図 6-6. Fast 群の ステップと Slow 群の ステップにおける地面反力の作用角度の群間差 ( = Fast 群, = Slow 群 ) *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. 97
99 30 * 20 Impulse x [Ns] * I xb I xp 図 6-7. Fast 群の ステップと Slow 群の ステップにおける力積の負の水平成分 ( ブレーキ方向 )(I xb ), および正の水平成分 ( 推進方向 )(I xp ) の群間差 ( = Fast 群, = Slow 群 ) *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. 98
100 表 6-1. Fast 群の ステップと Slow 群の ステップにおける股関節伸展 (peak hip EX) および屈曲 (peak hip FL), 膝関節伸展 (peak knee EX) および屈曲 (peak knee FL), 足関節底屈 (peak ankle PF) および背屈 (peak ankle DF) の角度, 角速度の群間差 peak hip EX peak hip FL peak knee EX peak knee FL peak ankle PF peak ankle DF joint angle [deg] joint angular velocity [deg/s] 204 (2) 726 (47) 205 (5) 711 (60) 147 (5) 446 (32) 149 (2) 437 (63) 149 (5) 354 (85) 149 (12) 313 (74) 137 (8) -203 (87) 140 (6) - (178) 103 (5) 927 (57) 103 (4) 955 (101) 73 (6) -332 (42) 74 (11) -379 (149) 股関節伸展および屈曲, 膝関節伸展および屈曲, 足関節底屈および背屈の角度, 角速度には, いずれも両群間に有意差は認められなかった. 99
101 * * joint torque [Nm] * * HE KE PF HF KF 図 6-8. Fast 群の ステップと Slow 群の ステップにおける股関節伸展 (HE) および屈曲 (HF), 膝関節伸展 (KE) および屈曲 (KF), 足関節底屈 (PF) それぞれの関節トルクの最大値の群間差 ( = Fast 群, = Slow 群 ) *:Fast 群と Slow 群の群間差が有意であることを示す. 100
102 第 7 章結論 本学位論文は, 競技レベルの高い短距離選手と競技レベルの低い短距離選手の走加速度や接地期において地面から受ける力の大きさ, 走動作, 下肢の筋腱複合体の機能特性の比較を通じて, 競技レベルの高い短距離選手の走加速度の決定因子を検討した. その結果, 以下の知見が明らかになった. 1 加速局面前半に大きな走加速度を獲得することが, 加速局面中盤以降の走速度の有意差につながることが示された ( 第 2 章 ). また, 加速局面で短縮する接地時間内に, 競技レベルの高い短距離選手は競技レベルの低い短距離選手よりも大きな地面反力を獲得していたことから,2 身体の加速に必要な力積を得るために大きな地面反力を獲得していたと考えられる ( 第 3 章 ). 下肢三関節トルクはすべてのステップで競技レベルの高い短距離選手が有意に高値を示したことから,3 接地期における下肢三関節トルクの発揮能力が, 加速局面の大きな力積の獲得につながると考えられる ( 第 4 章 ). さらに, 腓腹筋腱や外側広筋腱のスティフネスには競技レベルの高い短距離選手と低い短距離選手との間に有意差は認められなかったことから ( 第 5 章 ),4 下肢筋腱複合体の力学的特性の違いが加速局面の走速度の増加に影響を及ぼすわけではなく,5 加速局面のスプリント中の関節トルクの大きさや, 接地期前半のすばやい下肢関節トルクを発揮することが重要である ( 総括論議 ) ことが明らかになった. これらの結果から, 短距離走の加速局面において, 大きな下肢三関節トルクを発揮することで, 大きな力積の水平成分を獲得し, 加速局面全体を通して走加速度を高めることで, 高い走速度での疾走を可能にしていることが明らかになった. 101
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109 Nummela A., Rusko H., Mero A. EMG activities and ground reaction forces during fatigued and nonfatigued sprinting. Med. Sci. Sports Exerc. 26(5): Rugg S.G., Gregor R.J., Mandelbaum B.R., Chiu L. In vivo moment arm calculations at the ankle using magnetic resonance imaging (MRI). J. Biomech., 23: 渋川侃二. 運動力学, 大修館書店, 東京. pp Simonsen E.B., Thomsen L., Klausen K. Activity of mono- and biarticular leg muscles during sprint running. Eur. J. Appl. Physiol. Occup. Physiol., 54(5): Smidt G.L. Biomechanical analysis of knee flexion and extension. J. Biomech., 6: Stafilidis S., Arampatzis A. Muscle-tendon unit mechanical and morphological properties and sprint performance. J. Sports Sci., 25(9): Slawinski J., Bonnefoy A., Levêque J., Ontanon G., Riquet A., Dumas R., Chèze L. Kinematic and kinetic comparisons of elite and well-trained sprinters during sprint start. J. Strength Cond. Res., 24(4): 杉田正明. 陸上競技 トラックレースの分析について. バイオメカニクス研究, 7(1): 杉田正明, 八木規夫, 並木洋子, 脇田裕久. 一般男子学生の動的脚筋力と 100 m 疾走. 東海 保健体育科学, 高木浩信, 田口正公. 短距離走の加速局面と全走局面における膝関節の動きと下肢筋力に ついて. 陸上競技研究, 4(19): Thorstensson A., Larsson L., Tesch P., Karlsson J. Muscle strength and fiber composition in athletes and sedentary men. Med. Sci. Sports, 9(1): 湯海鵬, 豊島進太郎. 慣性モーメントから見たランニングのフォーム. バイオメカニクス研 究, 2(2): 92-98, 1998 Tsuchie H., Kobayashi K., Kanehisa H., Kawakami Y., Iso Y., Fukunaga T. Assessment of sprint 108
110 running abilities using a resisted self-driven treadmill. Int. J. Sports Sci. Health, 6: 土江寛裕, 松尾彰文, 礒繁雄, 福永哲夫. 陸上競技短距離選手にみられる加速走中の下肢ス ティフネスの変化. 東京体育学研究 5 年度報告, 渡木正光, 秋田真介, 金高宏文. 100 m 走における疾走速度曲線の縦断的分析 最大疾走 速度に影響する加速区間はどこか? 日本スプリント学会第 11 回大会発表資料, 0 渡邉信晃, 榎本靖士, 大山下圭悟, 宮下憲, 尾縣貢, 勝田茂. スプリント走時の疾走動作お よび関節トルクと等速性最大筋力との関係. 体育学研究, 48: Williams K.R. Biomechanics of running. Exerc. Sports Sci. Rev., 13: Wilson G.J., Murphy A.J. The use of Isometric tests of muscular function on athletic assessment. Sports Med., 22(1): Winter D.A. Biomechanics And Motor Control of Human Movement. 2rd Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, pp Wood G.A. Biomechanical limitations to sprint running. Med. Sport Sci., 25: 山本利春, 山本正嘉, 金久博昭. 陸上競技における一流および二流選手の下肢筋出力の比較 -100 m 走 走幅跳 三段跳選手を対象として -. J. J. Sports Sci., 11(1): Yanai T., Hay J.G. Combinations of cycle rate and length for minimizing the muscle power requirement in human running. J. Appl. Biomech., 20(1):
111 謝辞本学位論文は, 早稲田大学スポーツ科学学術院川上泰雄教授の御指導のもとに行われました. 川上泰雄教授には, 論文作成のみならず, 研究者としてあるべき姿を御教示頂きました. ここに深く御礼を申し上げます. また, 同学術院矢内利政教授には, 万物に存在する原理 原則を最後まで懇切に御指導頂きました. 矢内利政教授に御指導頂きましたことを生かせるよう, 今後の研究活動に精進いたします. 厚く御礼申し上げます. 同学術院彼末一之教授には, 本学位論文作成のみならず, わたくしの進路まで御面倒をみて頂きました. 今後, どこまで彼末一之教授のお役に立てるかはわかりませんが, わたくしのでき得る範囲で頂戴した御恩をお返ししたいと思います. 誠にありがとうございました. 本学位論文作成にあたり, 数多くの先生方の御助力を賜りました. 鹿屋体育大学金久博昭教授には, 厳しくも暖かい御指摘を幾度となく頂戴しました. 最後まで見捨てずに御指導下さいましたことに, 心から御礼申し上げます. その他にも, 早稲田大学スポーツ科学学術院礒繁雄教授, 同学術院矢島忠明教授, 鹿屋体育大学福永哲夫教授, 国立スポーツ科学センター科学研究部松尾彰文副主任研究員には多大なる御意見や御協力を頂戴いたしました. ここに厚く御礼申し上げます. そして, 城西大学経営学部土江寛裕講師には, わたくしの研究のすべてにおきましてお世話になりました. 現段階では, 何一つとして土江さんに勝るものはありませんが, わたくしの生涯の目標として, 一歩でも土江さんに追いつけるように尽力いたします. 土江さん, これからもよろしく御願い致します. すべての実験ならびに論文の作成にあたり, バイオメカニクス研究チームの早稲田大学スポーツ科学学術院宮本直和次席研究員, 同学術院若原卓助手, 同学術院杉崎範英助手, 同学術院勝亦陽一助手, 兵庫教育大学小田俊明准教授, 同志社大学栗原俊之助手, 東京大学千野謙太郎助教をはじめとする, 諸先輩方ならびに後輩の方々, 彼末研究室の方々には多大なる御支援や御助言を賜りました. そして, 同期の光川眞寿氏, 三好裕介氏をはじめとする数多くの同期の支えがあり, ここまで辿り着くことができました. 皆様には, 本当に感謝しております. ありがとうございました. 最後に, ここまでのわがままを許し, 暖かく見守ってくれた両親, わたしの大学院生活のすべてを支えてくれた妻の知恵に御礼申し上げます. お父さん, お母さん, そして知恵, ありがとう 年 1 月 6 日 110
短距離疾走中における バネ の役割 ~ 一流スプリンターのバネの特徴解明を目指して ~ 宮本直和 ( 早稲田大学 )* 小林海 ( 早稲田大学 ) 若原卓 ( 早稲田大学 ) 川上泰雄 ( 早稲田大学 ) 要約これまでに下肢のバネ要素について様々な観点から検討がなされてきたが, これらのバネ特性を包
短距離疾走中における バネ の役割 ~ 一流スプリンターのバネの特徴解明を目指して ~ 研究代表者 : 宮本直和 ( 早稲田大学 ) 目 次 要約 1 緒言 2 方法 4 結果 11 考察 12 まとめ 14 謝辞 15 参考文献 15 図表 18 短距離疾走中における バネ の役割 ~ 一流スプリンターのバネの特徴解明を目指して ~ 宮本直和 ( 早稲田大学 )* 小林海 ( 早稲田大学 ) 若原卓
中京大学体育研究所紀要 Vol 研究報告 ソフトボールのバッティングにおけるストライド長と外力モーメントの関係 堀内元 1) 平川穂波 2) 2) 桜井伸二 Relationship between stride length and external moment in softb
中京大学体育研究所紀要 Vol.31 2017 研究報告 ソフトボールのバッティングにおけるストライド長と外力モーメントの関係 堀内元 1) 平川穂波 2) 2) 桜井伸二 Relationship between stride length and external moment in softball batting Gen HORIUCHI, Honami HIRAKAWA, Shinji SAKURAI
2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
PT OT ビジュアルテキスト 姿勢 動作 歩行分析 contents 序ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー畠中泰彦 3 本書の使い方ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
体幹トレーニングが体幹の安定性とジャンプパフォーマンスに与える影響の検討 体幹トレーニングとしては レジスタンスツイスト ( 以下 RT) を採用した RT とは 図 1 ( 上段 ) のように 仰臥位で四肢を上に挙げ四つ這いする体勢を保持している実施者に対して 体幹が捻られるように補助者が力を加え
中京大学体育研究所紀要 Vol.32 218 研究報告 体幹トレーニングが体幹の安定性とジャンプパフォーマンスに与える影響の検討 鈴木雄貴 1) 2) 桜井伸二 Effect of Trunk Stabilization Exercises on Jump performance and Trunk Stability Yuki SUZUKI, Shinji SAKURAI Ⅰ はじめに近年 活躍するアスリートの多くが
歩行およびランニングからのストップ動作に関する バイオメカニクス的研究
学位論文要旨 歩行およびランニングからのストップ動作に関する バイオメカニクス的研究 広島大学大学院教育学研究科 文化教育開発専攻 冨永亮 目次 第 1 章諸言 (1) 第 1 節研究の背景と意義 第 2 節バイオメカニクス的手法を用いたストップ動作の分析 第 3 節本研究の目的 第 2 章速度の変化がストップ動作の地面反力に及ぼす影響 (3) 第 1 節目的第 2 節方法第 3 節結果第 4 節考察
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原著論文 原著論文 アテネオリンピックに向けての 走りの改革 の取り組み Development of running techniques making approach to Olympic game in Athens 土江寛裕 Hiroyasu Tsuchie 富士通 陸上競技部, 早稲田大学大学院人間科学研究科 Graduate School of Human Sciences, Waseda
SICE東北支部研究集会資料(2011年)
269 (2011.12.12) 269-10 Basic analysis of coaching in sprint motion using three dimensional motion capture data Masahiro Nagayama,Takayuki Takahashi *, ** *Graduate School Fukushima University,**Fukushima
Taro-解答例NO3放物運動H16
放物運動 解答のポイント 初速度, 水平との角度 θ で 高さ の所から投げあげるとき 秒後の速度 =θ =θ - 秒後の位置 =θ 3 ( 水平飛行距離 ) =θ - + 4 ( 高さ ) ~4 の導出は 基本問題 参照 ( 地上から投げた場合の図 : 教科書参照 ) 最高点の 高さ 最高点では において = 水平到達距離 より 最高点に到達する時刻 を求め 4に代入すると最高点の高さH 地上では
数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュ
数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュレーションによって計算してみる 4.1 放物運動一様な重力場における放物運動を考える 一般に質量の物体に作用する力をとすると運動方程式は
Gatlin(8) 図 1 ガトリン選手のランニングフォーム Gatlin(7) 解析の特殊な事情このビデオ画像からフレームごとの静止画像を取り出して保存してあるハードディスクから 今回解析するための小画像を切り出し ランニングフォーム解析ソフト runa.exe に取り込んで 座標を読み込み この
短距離ランニングフォーム解析 (20) 2005 年ガトリン選手の詳細重心解析 黒月樹人 (KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS) 2005 年 9 月のガトリン選手 2005 年の 9 月に日本で行われた 100m レースにガトリン選手は出場しています 記録は 10 秒 2 くらいだったでしょうか もちろん優勝しています このときのレースがテレビ放映されたので その画面をビデオで撮影しました
Microsoft PowerPoint - 1章 [互換モード]
1. 直線運動 キーワード 速さ ( 等速直線運動, 変位 ) 加速度 ( 等加速度直線運動 ) 重力加速度 ( 自由落下 ) 力学 I 内容 1. 直線運動 2. ベクトル 3. 平面運動 4. 運動の法則 5. 摩擦力と抵抗 6. 振動 7. 仕事とエネルギー 8. 運動量と力積, 衝突 9. 角運動量 3 章以降は, 運動の向きを考えなければならない 1. 直線運動 キーワード 速さ ( 等速直線運動,
Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷
熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI プロジェクト @ 宮崎県美郷町 熊本大学副島慶人川村諒 1 実験の目的 従来 信号の受信電波強度 (RSSI:RecevedSgnal StrengthIndcator) により 対象の位置を推定する手法として 無線 LAN の AP(AccessPont) から受信する信号の減衰量をもとに位置を推定する手法が多く検討されている
横浜市環境科学研究所
周期時系列の統計解析 単回帰分析 io 8 年 3 日 周期時系列に季節調整を行わないで単回帰分析を適用すると, 回帰係数には周期成分の影響が加わる. ここでは, 周期時系列をコサイン関数モデルで近似し単回帰分析によりモデルの回帰係数を求め, 周期成分の影響を検討した. また, その結果を気温時系列に当てはめ, 課題等について考察した. 気温時系列とコサイン関数モデル第 報の結果を利用するので, その一部を再掲する.
膝関節運動制限による下肢の関節運動と筋活動への影響
膝関節運動制限による下肢の関節運動と筋活動への影響 支持面の前後傾斜刺激による検討 山岸祐太 < 要約 > 本研究の目的は, 膝関節装具により膝関節運動を制限し, 支持面の前後回転傾斜刺激を与えた場合の下肢関節や姿勢筋への影響を調べ, 膝関節運動の働きを明確にすること, および股 足関節運動が膝関節運動をどのように補償しているのかを明確にすることである. 被験者は健常若年者 10 名とした. 傾斜刺激は周波数
線積分.indd
線積分 線積分 ( n, n, n ) (ξ n, η n, ζ n ) ( n-, n-, n- ) (ξ k, η k, ζ k ) ( k, k, k ) ( k-, k-, k- ) 物体に力 を作用させて位置ベクトル A の点 A から位置ベクトル の点 まで曲線 に沿って物体を移動させたときの仕事 W は 次式で計算された A, A, W : d 6 d+ d+ d@,,, d+ d+
物理演習問題
< 物理 > =0 問 ビルの高さを, ある速さ ( 初速 をとおく,において等加速度運動の公式より (- : -= t - t : -=- t - t (-, 式よりを消去すると t - t =- t - t ( + - ( + ( - =0 0 t t t t t t ( t + t - ( t - =0 t=t t=t t - 地面 ( t - t t +t 0 より, = 3 図 問 が最高点では速度が
木村の物理小ネタ 単振動と単振動の力学的エネルギー 1. 弾性力と単振動 弾性力も単振動も力は F = -Kx の形で表されるが, x = 0 の位置は, 弾性力の場合, 弾性体の自然状態の位置 単振動の場合, 振動する物体に働く力のつり合
単振動と単振動の力学的エネルギー. 弾性力と単振動 弾性力も単振動も力は F = -x の形で表されるが, x = の位置は, 弾性力の場合, 弾性体の自然状態の位置 単振動の場合, 振動する物体に働く力のつり合いの位置 である たとえば, おもりをつるしたばねについて, ばねの弾性力を考えるときは, ばねの自然長を x = とし, おもりの単振動で考える場合は, おもりに働く力がつり合った位置を
木村の物理小ネタ ケプラーの第 2 法則と角運動量保存則 A. 面積速度面積速度とは平面内に定点 O と動点 P があるとき, 定点 O と動点 P を結ぶ線分 OP( 動径 OP という) が単位時間に描く面積を 動点 P の定点 O に
ケプラーの第 法則と角運動量保存則 A. 面積速度面積速度とは平面内に定点 O と動点 P があるとき, 定点 O と動点 P を結ぶ線分 OP( 動径 OP という が単位時間に描く面積を 動点 P の定点 O に関する面積速度の大きさ という 定点 O まわりを回る面積速度の導き方導き方 A ( x( + D, y( + D v ( q r ( A ( x (, y( 動点 P が xy 座標平面上を時刻
ギリシャ文字の読み方を教えてください
埼玉工業大学機械工学学習支援セミナー ( 小西克享 ) 慣性モーメント -1/6 テーマ 01: 慣性モーメント (Momet of ietia) コマ回しをすると, 長い時間回転させるには重くて大きなコマを選ぶことや, ひもを早く引くことが重要であることが経験的にわかります. 遊びを通して, 回転の運動エネルギーを増やせば, 回転の勢いが増すことを学習できるので, 機械系の学生にとってコマ回しも大切な体験学習のひとつと言えます.
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[ 博士論文概要 ] 平成 25 年度 金多賢 筑波大学大学院人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻 1. 背景と目的映像メディアは, 情報伝達における効果的なメディアの一つでありながら, 容易に感情喚起が可能な媒体である. 誰でも簡単に映像を配信できるメディア社会への変化にともない, 見る人の状態が配慮されていない映像が氾濫することで見る人の不快な感情を生起させる問題が生じている. したがって,
短距離走スタート時に歩隔を長くすることで疾走加速度を高めた選手の地面 反力および下肢三関節伸展トルクの特徴 大塚光雄 目次 要約 2 1. 緒言 3 2. 方法 4 3. 結果 7 4. 考察 13 謝辞 15 引用文献 15 1
短距離走スタート時に歩隔を長くすることで疾走加速度を高めた選手の地面 反力および下肢三関節伸展トルクの特徴 大塚光雄 目次 要約 2 1. 緒言 3 2. 方法 4 3. 結果 7 4. 考察 13 謝辞 15 引用文献 15 1 短距離走スタート時に歩隔を長くすることで疾走加速度を高めた選手の地面 反力および下肢三関節伸展トルクの特徴 研究代表者大塚光雄 ( 立命館大学 ) 共同研究者伊坂忠夫 (
選考会実施種目 強化指定標準記録 ( 女子 / 肢体不自由 視覚障がい ) 選考会実施種目 ( 選考会参加標準記録あり ) トラック 100m 200m 400m 800m 1500m T T T T33/34 24
選考会実施種目 強化指定標準記録 ( 男子 / 肢体不自由 視覚障がい ) 選考会実施種目 ( 選考会参加標準記録あり ) トラック T11 11.66 11.79 T12 11.38 11.48 T13 11.38 11.50 T33 24.93 27.44 T34 17.98 18.96 T35 14.74 15.53 T36 13.47 14.04 100m T37 12.41 12.81 T38
国士舘大学体育研究所報第29巻(平成22年度)
THE ANNUAL REPORTS OF HEALTH, PHYSICAL EDUCATION AND SPORT SCIENCE VOL.29, 1-6, 2010 1 原 著 男子新体操選手の膝関節伸展 屈曲運動における両側性機能低下 Bilateral deficit during isometric knee extension and flexion movement on male rhythmic
Matlab講習会
Matlab 講習会 目的 Matlab を用いて VICONや Winanalyze の座標データー 地面反力の分析必要な項目について習得する 本やヘルプに掲載されている情報を 実際に使用できる形で整理する 講習会 1 回目 (4 時間 ) 1. 行列操作について理解する 2. 時間軸を作る 3. エクセルデーターを取り込む 4. テキストデーターを取り込む 5. グラフの作成 6.1つのグラフに複数のグラフを出す
0 21 カラー反射率 slope aspect 図 2.9: 復元結果例 2.4 画像生成技術としての計算フォトグラフィ 3 次元情報を復元することにより, 画像生成 ( レンダリング ) に応用することが可能である. 近年, コンピュータにより, カメラで直接得られない画像を生成する技術分野が生
0 21 カラー反射率 slope aspect 図 2.9: 復元結果例 2.4 画像生成技術としての計算フォトグラフィ 3 次元情報を復元することにより, 画像生成 ( レンダリング ) に応用することが可能である. 近年, コンピュータにより, カメラで直接得られない画像を生成する技術分野が生まれ, コンピューテーショナルフォトグラフィ ( 計算フォトグラフィ ) と呼ばれている.3 次元画像認識技術の計算フォトグラフィへの応用として,
方向の3 成分を全て合成したもので 対象の体重で除して標準化 (% 体重 ) した 表 1を見ると 体格指数 BMI では変形無しと初期では差はなく 中高等度で高かった しかし 体脂肪率では変形の度合が増加するにつれて高くなっていた この結果から身長と体重だけで評価できる体格指数 BMI では膝 O
新潟県健康づくり スポーツ医科学センター 動作分析事業の分析例 診療及び健康運動指導 研究編 1 変形性膝関節症患者の歩行分析 ~ 床反力の検討 ~ 変形性膝関節症 ( 膝 OA) は 膝関節面上の軟骨がすり減り 関節面が変形する疾患である 関節面の変形が進行するにつれて痛みが強まり 立ち座りや歩行等の生活動作に支障が生じる 日本国内における膝 OA の人口はX 線による診断でも 1,700 万人
早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月
早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月 本研究は ネパール人日本語学習者 ( 以下 NPLS) のリズム生成の特徴を明らかにし NPLS に対する発音学習支援 リズム習得研究に示唆を与えるものである 以下 本論文 の流れに沿って 概要を記述する 第一章序論 第一章では 本研究の問題意識 意義 目的 本論文の構成を記した
ダンゴムシの 交替性転向反応に 関する研究 3A15 今野直輝
ダンゴムシの 交替性転向反応に 関する研究 3A15 今野直輝 1. 研究の動機 ダンゴムシには 右に曲がった後は左に 左に曲がった後は右に曲がる という交替性転向反応という習性がある 数多くの生物において この習性は見受けられるのだが なかでもダンゴムシやその仲間のワラジムシは その行動が特に顕著であるとして有名である そのため図 1のような道をダンゴムシに歩かせると 前の突き当りでどちらの方向に曲がったかを見ることによって
高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に
高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に関節疾患 5 位が骨折 転倒であり 4,5 位はいずれも運動器が関係している 骨粗しょう症のメカニズムの解明
博士論文 一流 110m ハードル走選手のインターバル走およびハードリング動作に関する バイオメカニクス的研究 平成 26 年度 筑波大学大学院人間総合科学研究科体育科学専攻 柴山一仁
博士論文 一流 110m ハードル走選手のインターバル走およびハードリング動作に関する バイオメカニクス的研究 平成 26 年度 筑波大学大学院人間総合科学研究科体育科学専攻 柴山一仁 目次 博士論文に関連する業績一覧 表のタイトル一覧 図のタイトル一覧 ⅵ ⅷ ⅸ 第 1 章 緒言 1 1.1 研究の背景 1 1.1.1 ハードル走について 1 1.1.2 日本における 110mH 走の現状と課題
高齢者の椅子からの立ち上がり動作における上体の動作と下肢関節動態との関係 The relationship between upper body posture and motion and dynamics of lower extremity during sit-to-stand in eld
高齢者の椅子からの立ち上がり動作における上体の動作と下肢関節動態との関係 The relationship between upper body posture and motion and dynamics of lower extremity during sit-to-stand in elderly person 08M40062 佐藤妙 Tae Sato 指導教員 : 丸山剛生准教授 審査員
博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文
博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 目次 はじめに第一章診断横断的なメタ認知モデルに関する研究動向 1. 診断横断的な観点から心理的症状のメカニズムを検討する重要性 2 2. 反復思考 (RNT) 研究の歴史的経緯 4 3. RNT の高まりを予測することが期待されるメタ認知モデル
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ランニングの腕動作のタイム変化による下肢の流れの抑制と接地時間の短縮を目指した試み 田村孝洋 1), 松田亮 2) 1) 中村学園大学教育学部 2) 広島経済大学経済学部 キーワード : ランニング 腕動作 接地時間 下肢の流れ 要旨 本研究の目的は ランニングにおける協調的動作である腕と脚の動作タイムについて変化を測定して 疾走速度を高める上で重要となる動作ポイントに対する知見を得ることであった
フィードバック ~ 様々な電子回路の性質 ~ 実験 (1) 目的実験 (1) では 非反転増幅器の増幅率や位相差が 回路を構成する抵抗値や入力信号の周波数によってどのように変わるのかを調べる 実験方法 図 1 のような自由振動回路を組み オペアンプの + 入力端子を接地したときの出力電圧 が 0 と
フィードバック ~ 様々な電子回路の性質 ~ 実験 (1) 目的実験 (1) では 非反転増幅器の増幅率や位相差が 回路を構成する抵抗値や入力信号の周波数によってどのように変わるのかを調べる 実験方法 図 1 のような自由振動回路を組み オペアンプの + 入力端子を接地したときの出力電圧 が 0 となるように半固定抵抗器を調整する ( ゼロ点調整のため ) 図 1 非反転増幅器 2010 年度版物理工学実験法
を0%,2 枚目の初期接地 (IC2) を 100% として歩行周期を算出した. 初期接地 (IC1) は垂直 9) 分力 (Fz) が 20Nを超えた時点, 荷重応答期 (LR) は Fz の第 1ピーク時, および遊脚後期 (Tsw) は IC1 から 10% 前の時点とした 10). 本研究の
歩行における随意的足関節背屈運動が大腿四頭筋の筋活動に及ぼす影響について 畑山将時郎 < 要約 > 本研究の目的は, 歩行の初期接地時に随意的に背屈運動を行わせて前脛骨筋の筋活動を高めることで大腿四頭筋の筋活動が変化するのか, また, もし大腿四頭筋の筋活動が変化すればそれが荷重応答期にも持続するのかを検証することだった. 対象は, 若年健常者 10 名だった. 歩行路の中に床反力計を設置し, 歩行周期を算出した.
高校電磁気学 ~ 電磁誘導編 ~ 問題演習
高校電磁気学 ~ 電磁誘導編 ~ 問題演習 問 1 磁場中を動く導体棒に関する問題 滑車 導体棒の間隔 L m a θ (1) おもりの落下速度が のとき 導体棒 a に生じる誘導起電力の 大きさを求めよ 滑車 導体棒の間隔 L m a θ 導体棒の速度 水平方向の速度 cosθ Δt の時間に回路を貫く磁束の変化 ΔΦ は ΔΦ = ΔS = LcosθΔt ΔΦ ファラデーの法則 V = N より
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1 公道走行を再現した振動試験による折り畳み自転車の破損状況 ~ 公道での繰り返し走行を再現した結果 ~ 2 公道走行を想定した試験用路面について 九州支所製品安全技術課清水寛治 目次 1. 折り畳み自転車のフレームはどのように破損するのか公道の走行振動を再現する自転車用ロードシミュレータについて繰り返し走行を想定した折り畳み自転車の破損部の特徴 ~ 公道による振動を繰り返し再現した結果 ~ 2.
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剛体の基礎理論 -. 剛体の基礎理論初めに本論文で大域的に使用する記号を定義する. 使用する記号トルク撃力力角運動量角速度姿勢対角化された慣性テンソル慣性テンソル運動量速度位置質量時間 J W f F P p .. 質点の並進運動 質点は位置 と速度 P を用いる. ニュートンの運動方程式 という状態を持つ. 但し ここでは速度ではなく運動量 F P F.... より質点の運動は既に明らかであり 質点の状態ベクトル
物体の自由落下の跳ね返りの高さ 要約 物体の自由落下に対する物体の跳ね返りの高さを測定した 自由落下させる始点を高くするにつれ 跳ね返りの高さはただ単に始点の高さに比例するわけではなく 跳ね返る直前の速度に比例することがわかった
物体の自由落下の跳ね返りの高さ 要約 物体の自由落下に対する物体の跳ね返りの高さを測定した 自由落下させる始点を高くするにつれ 跳ね返りの高さはただ単に始点の高さに比例するわけではなく 跳ね返る直前の速度に比例することがわかった (1) 目的球技において必ず発生する球の跳ね返りとはどのような規則性に基づいて発生しているのかを調べるために 4 種類の物体を用い様々な床の上で実験をして跳ね返りの規則性を測定した
ここで, 力の向きに動いた距離 とあることに注意しよう 仮にみかんを支えながら, 手を水平に 1 m 移動させる場合, 手がした仕事は 0 である 手がみかんに加える力の向きは鉛直上向き ( つまり真上 ) で, みかんが移動した向きはこれに垂直 みかんは力の向きに動いていないからである 解説 1
1 仕事と仕事の原理 仕事の原理 解説 1 エネルギー電池で明かりをともすことができる 音を出すことやモーターを動かすことにも利用できる 電池には光, 音, 物を動かすといった能力がある 車の燃料はガソリンが一般的だが, 水素を燃料とするもの, 太陽光で動くものもある ガソリン, 水素, 太陽光それぞれには, 車を動かすという能力がある 電池, ガソリン, 水素, 太陽光 には, 光, 音, 物を動かす,
Ⅰ はじめに 臨床実習において 座位での膝関節伸展筋力の測定および筋力増強訓練を行っ た際に 体幹を後方に傾ける現象を体験した Helen ら1 によると 膝関節伸展 の徒手筋力測定法は 座位で患者の両手は身体の両脇に検査台の上に置き安定を はかるか あるいは台の縁をつかませる また 膝関節屈筋群の
股関節角度の違いが膝関節屈曲 伸展の筋力に及ぼす影響 網野 友裕 板谷 一樹 大嶽 彩乃 小瀬古裕也 德永 卓也 冨田 健広 目 Ⅰ はじめに 次 Ⅱ 対象と方法 98 98 Ⅲ 結果 99 Ⅳ 考察 101 97 Ⅰ はじめに 臨床実習において 座位での膝関節伸展筋力の測定および筋力増強訓練を行っ た際に 体幹を後方に傾ける現象を体験した Helen ら1 によると 膝関節伸展 の徒手筋力測定法は
OCW-iダランベールの原理
講義名連続体力学配布資料 OCW- 第 2 回ダランベールの原理 無機材料工学科准教授安田公一 1 はじめに今回の講義では, まず, 前半でダランベールの原理について説明する これを用いると, 動力学の問題を静力学の問題として解くことができ, さらに, 前回の仮想仕事の原理を適用すると動力学問題も簡単に解くことができるようになる また, 後半では, ダランベールの原理の応用として ラグランジュ方程式の導出を示す
木村の理論化学小ネタ 理想気体と実在気体 A. 標準状態における気体 1mol の体積 標準状態における気体 1mol の体積は気体の種類に関係なく 22.4L のはずである しかし, 実際には, その体積が 22.4L より明らかに小さい
理想気体と実在気体 A. 標準状態における気体 1mol の体積 標準状態における気体 1mol の体積は気体の種類に関係なく.4L のはずである しかし, 実際には, その体積が.4L より明らかに小さい気体も存在する このような気体には, 気体分子に, 分子量が大きい, 極性が大きいなどの特徴がある そのため, 分子間力が大きく, 体積が.4L より小さくなる.4L とみなせる実在気体 H :.449
要旨 [ 目的 ] 歩行中の足部の機能は 正常歩行において重要な役割を担っている プラスチック短下肢装具 (AFO) 装着により足関節の運動が制限されてしまう 本研究は AFO 装着により歩行立脚期における下肢関節運動への衝撃吸収作用や前方への推進作用に対しどのような影響を及ぼすかを検討した [ 対
床反力計による比較 中島早稀 宝田翔吾 松場賢二 目次 はじめに 3 Ⅰ 対象 3 Ⅱ 方法 4 Ⅲ 統計解析 7 Ⅳ 結果 7 Ⅴ 考察 9 Ⅵ 課題 13 1 要旨 [ 目的 ] 歩行中の足部の機能は 正常歩行において重要な役割を担っている プラスチック短下肢装具 (AFO) 装着により足関節の運動が制限されてしまう 本研究は AFO 装着により歩行立脚期における下肢関節運動への衝撃吸収作用や前方への推進作用に対しどのような影響を及ぼすかを検討した
今週の内容 後半全体のおさらい ラグランジュの運動方程式の導出 リンク機構のラグランジュの運動方程式 慣性行列 リンク機構のエネルギー保存則 エネルギー パワー 速度 力の関係 外力が作用する場合の運動方程式 粘性 粘性によるエネルギーの消散 慣性 粘性 剛性と微分方程式 拘束条件 ラグランジュの未
力学 III GA 工業力学演習 X5 解析力学 5X 5 週目 立命館大学機械システム系 8 年度後期 今週の内容 後半全体のおさらい ラグランジュの運動方程式の導出 リンク機構のラグランジュの運動方程式 慣性行列 リンク機構のエネルギー保存則 エネルギー パワー 速度 力の関係 外力が作用する場合の運動方程式 粘性 粘性によるエネルギーの消散 慣性 粘性 剛性と微分方程式 拘束条件 ラグランジュの未定乗数法
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材料力学講義 (3) 応力と変形 Ⅲ ( 曲げモーメント, 垂直応力度, 曲率 ) 今回は, 曲げモーメントに関する, 断面力 - 応力度 - 変形 - 変位の関係について学びます 1 曲げモーメント 曲げモーメント M 静定力学で求めた曲げモーメントも, 仮想的に断面を切ることによって現れる内力です 軸方向力は断面に働く力 曲げモーメント M は断面力 曲げモーメントも, 一つのモーメントとして表しますが,
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トランポリンのストレートジャンプにおける踏切中の筋活動と着床位置との関係 松島正知, 矢野澄雄 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 キーワード : トランポリン, 踏切動作, 移動距離 抄録 本研究はトランポリンの踏切における, 下肢および体幹筋群の活動と移動距離との関係を明らかにすることを目的とした. 被験者 9 名に 10 本跳躍を行わせ, 中心位置の跳躍と後方位置の跳躍に分けた. 測定は体幹および下肢筋の筋電図,
国土技術政策総合研究所 研究資料
3. 解析モデルの作成汎用ソフトFEMAP(Ver.9.0) を用いて, ダムおよび基礎岩盤の有限要素メッシュを8 節点要素により作成した また, 貯水池の基本寸法および分割数を規定し,UNIVERSE 2) により差分メッシュを作成した 3.1 メッシュサイズと時間刻みの設定基準解析結果の精度を確保するために, 堤体 基礎岩盤 貯水池を有限要素でモデル化する際に, 要素メッシュの最大サイズならびに解析時間刻みは,
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R で統計解析入門 (12) 生存時間解析 中篇 準備 : データ DEP の読み込み 1. データ DEP を以下からダウンロードする http://www.cwk.zaq.ne.jp/fkhud708/files/dep.csv /fkh /d 2. ダウンロードした場所を把握する ここでは c:/temp とする 3. R を起動し,2. 2 の場所に移動し, データを読み込む 4. データ
構造力学Ⅰ第12回
第 回材の座屈 (0 章 ) p.5~ ( 復習 ) モールの定理 ( 手順 ) 座屈とは 荷重により梁に生じた曲げモーメントをで除して仮想荷重と考える 座屈荷重 偏心荷重 ( 曲げと軸力 ) 断面の核 この仮想荷重に対するある点でのせん断力 たわみ角に相当する曲げモーメント たわみに相当する ( 例 ) 単純梁の支点のたわみ角 : は 図 を仮想荷重と考えたときの 点の支点反力 B は 図 を仮想荷重と考えたときのB
データ解析
データ解析 ( 前期 ) 最小二乗法 向井厚志 005 年度テキスト 0 データ解析 - 最小二乗法 - 目次 第 回 Σ の計算 第 回ヒストグラム 第 3 回平均と標準偏差 6 第 回誤差の伝播 8 第 5 回正規分布 0 第 6 回最尤性原理 第 7 回正規分布の 分布の幅 第 8 回最小二乗法 6 第 9 回最小二乗法の練習 8 第 0 回最小二乗法の推定誤差 0 第 回推定誤差の計算 第
多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典
多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典 重回帰分析とは? 重回帰分析とは複数の説明変数から目的変数との関係性を予測 評価説明変数 ( 数量データ ) は目的変数を説明するのに有効であるか得られた関係性より未知のデータの妥当性を判断する これを重回帰分析という つまり どんなことをするのか? 1 最小 2 乗法により重回帰モデルを想定 2 自由度調整済寄与率を求め
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関節疾患理学療法研究会セミナー 臨床的推論に役立つ 機能解剖学 最新の知見 平成19 年 4月 28日 東京ウィメンズプラザ 主催 関節疾患理学療法研究会 http://jt-disease.hp.infoseek.co.jp/ Knee Rt 脛骨上関節面への半月周縁の固定力の違い 伸展時の半月運動制動 内側 : 半膜様筋 外側 : 膝窩筋 屈曲における半月運動と膝窩筋 膝窩筋は 半月を誘導する!?!?
剛体過去問解答例 2 1.1) 長さの棒の慣性モーメントは 公式より l I G = Ml /12 A 点のまわりは平行軸の定理より 2 2 I A = Ml /12 + M ( l / 2) = Ml 2 / 3 B y 2) 壁からの垂直抗力を R, 床からの垂直抗力と摩擦力を N,f とすると
剛体過去問解答例. 長さの棒の慣性モーメントは 公式より l G l A 点のまわりは平行軸の定理より A l l l B y 壁からの垂直抗力を R, 床からの垂直抗力と摩擦力を N,f とすると 運動方程式は 方向 : R f, y 方向 : y N l 回転 : G { N f R cos } A 静止しているとき 方向の力と 力のモーメントがつり合うので y ~ より R ' また 摩擦力が最大静止摩擦力より大きいとはしごは動き出すので
13章 回帰分析
単回帰分析 つ以上の変数についての関係を見る つの 目的 被説明 変数を その他の 説明 変数を使って 予測しようというものである 因果関係とは限らない ここで勉強すること 最小 乗法と回帰直線 決定係数とは何か? 最小 乗法と回帰直線 これまで 変数の間の関係の深さについて考えてきた 相関係数 ここでは 変数に役割を与え 一方の 説明 変数を用いて他方の 目的 被説明 変数を説明することを考える
安定性限界における指標と条件の影響 伊吹愛梨 < 要約 > 安定性限界は体重心 (COM) の可動範囲に基づいて定義づけられるが, 多くの研究では足圧中心 (COP) を測定している. 本研究は, 最大荷重移動時の COM 変位量を測定して COP 変位量と比較すること, 上肢 位置の違いが COP
安定性限界における指標と条件の影響 伊吹愛梨 < 要約 > 安定性限界は体重心 (COM) の可動範囲に基づいて定義づけられるが, 多くの研究では足圧中心 (COP) を測定している. 本研究は, 最大荷重移動時の COM 変位量を測定して COP 変位量と比較すること, 上肢 位置の違いが COP や COM の変位量に与える影響について検討することを目的とした. 対象は健常若年者 12 名とした.2
最高球速における投球動作の意識の違いについて 学籍番号 11A456 学生氏名佐藤滉治黒木貴良竹田竣太朗 Ⅰ. 目的野球は日本においてメジャーなスポーツであり 特に投手は野手以上に勝敗が成績に関わるポジションである そこで投手に着目し 投球速度が速い投手に共通した意識の部位やポイントがあるのではない
最高球速における投球動作の意識の違いについて 学籍番号 11A43 学生氏名黒木貴良佐藤滉治竹田竣太朗 Ⅰ. 目的野球は日本においてメジャーなスポーツであり 特に投手は野手以上に勝敗が成績に関わるポジションである そこで投手に着目し 投球速度が速い投手に共通した意識の部位やポイントがあるのではないかと考えた そこで 本研究では 今後の現場活動において 競技特性を取り入れたアスレティックリハビリテーションに繋がると考え
スライド 1
データ解析特論重回帰分析編 2017 年 7 月 10 日 ( 月 )~ 情報エレクトロニクスコース横田孝義 1 ( 単 ) 回帰分析 単回帰分析では一つの従属変数 ( 目的変数 ) を 一つの独立変数 ( 説明変数 ) で予測する事を考える 具体的には y = a + bx という回帰直線 ( モデル ) でデータを代表させる このためにデータからこの回帰直線の切片 (a) と傾き (b) を最小
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プロセス制御工学 6.PID 制御 京都大学 加納学 Division of Process Control & Process Systems Engineering Department of Chemical Engineering, Kyoto University [email protected] http://www-pse.cheme.kyoto-u.ac.jp/~kano/
厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)
厚生労働科学研究費補助金 ( 循環器疾患 糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 ) 分担研究報告書 健康寿命の全国推移の算定 評価に関する研究 評価方法の作成と適用の試み 研究分担者橋本修二藤田保健衛生大学医学部衛生学講座 教授 研究要旨健康寿命の推移について 平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加 ( 健康日本 21( 第二次 ) の目標 ) の達成状況の評価方法を開発 提案することを目的とした 本年度は
航空機の運動方程式
可制御性 可観測性. 可制御性システムの状態を, 適切な操作によって, 有限時間内に, 任意の状態から別の任意の状態に移動させることができるか否かという特性を可制御性という. 可制御性を有するシステムに対し, システムは可制御である, 可制御なシステム という言い方をする. 状態方程式, 出力方程式が以下で表されるn 次元 m 入力 r 出力線形時不変システム x Ax u y x Du () に対し,
H1
THE ANNUAL REPORTS OF HEALTH, PHYSICAL EDUCATION AND SPORT SCIENCE VOL.28, 1-5, 2009 1 原 著 男子新体操競技の継続的トレーニングに伴う下肢の筋形態及び筋出力発揮特性の変化 Characteristics of force output and lower limb muscle structure due to
DVIOUT
第 章 離散フーリエ変換 離散フーリエ変換 これまで 私たちは連続関数に対するフーリエ変換およびフーリエ積分 ( 逆フーリエ変換 ) について学んできました この節では フーリエ変換を離散化した離散フーリエ変換について学びましょう 自然現象 ( 音声 ) などを観測して得られる波 ( 信号値 ; 観測値 ) は 通常 電気信号による連続的な波として観測機器から出力されます しかしながら コンピュータはこの様な連続的な波を直接扱うことができないため
前方跳躍における腕振り方向の違いがパフォーマンスに及ぼす影響
Japanese Journal of Elite Sports Support, vol. 1, p21-31, 2008 *Basic Sciences/ 原著論文 * スクワットジャンプの股関節初期角度の違いがパフォーマンスに与える影響 The effect of differentiation in the initial angle of the hip joint on squat jump
平成 27 年度修士論文 長距離ランナーの下肢の動作および筋活動とランニングエコノミーとの関係 電気通信大学情報理工学研究科知能機械工学専攻 岡田研究室 1432017 栗田崇平 目次 1. 緒言 1.1. 研究背景 1.2. 先行研究 1.3. 研究目的 1 6 15 2. 方法 2.1. 研究方法 16 2.2. 実験方法 16 2.3. 計測方法 19 2.4. データ処理 24 2.5.
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数値計算入門 武尾英哉. 離散数学と数値計算 数学的解法の中には理論計算では求められないものもある. 例えば, 定積分は, まずは積分 ( 被積分関数の原始関数をみつけること できなければ値を得ることはできない. また, ある関数の所定の値における微分値を得るには, まずその関数の微分ができなければならない. さらに代数方程式の解を得るためには, 解析的に代数方程式を解く必要がある. ところが, これらは必ずしも解析的に導けるとは限らない.
行為システムとしての 歩行を治療する 認知神経リハビリテーションの観点
行為システムとしての歩行を治療する認知神経リハビリテーションの観点 人間はなぜ歩くのか? NPO 法人子どもの発達 学習を支援するリハビリテーション研究所理事長高橋昭彦 アフリカで誕生した我々の祖先は長い月日をかけて世界中に渡っていった 最先端のリハビリテーション? 我々が回復を目指すべきものは 歩行動作か行為としての歩行システムか? 人間は外部刺激によって制御される 操り人形 ではない! この問題に答えられない患者に
θ T [N] φ T os φ mg T sin φ mg tn φ T sin φ mg tn φ θ 0 sin θ tn θ θ sin φ tn φ φ θ φ mg θ f J mg f π J mg π J J 4π f mg 4π f () () /8
[N/m] m[g] mẍ x (N) x. f[hz] f π ω π m ω πf[rd/s] m ω 4π f [Nm/rd] J[gm ] J θ θ (gm ) θ. f[hz] f π ω π J J ω 4π f /8 θ T [N] φ T os φ mg T sin φ mg tn φ T sin φ mg tn φ θ 0 sin θ tn θ θ sin φ tn φ φ θ
相対性理論入門 1 Lorentz 変換 光がどのような座標系に対しても同一の速さ c で進むことから導かれる座標の一次変換である. (x, y, z, t ) の座標系が (x, y, z, t) の座標系に対して x 軸方向に w の速度で進んでいる場合, 座標系が一次変換で関係づけられるとする
相対性理論入門 Lorentz 変換 光がどのような座標系に対しても同一の速さ で進むことから導かれる座標の一次変換である. x, y, z, t ) の座標系が x, y, z, t) の座標系に対して x 軸方向に w の速度で進んでいる場合, 座標系が一次変換で関係づけられるとすると, x A x wt) y y z z t Bx + Dt 弨弱弩弨弲弩弨弳弩弨弴弩 が成立する. 図 : 相対速度
