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遡及調査にて77日前の献血時のHBVウイルス血症が確認できた急性B型肝炎の一例

平成 22 年第 2 四半期エイズ発生動向 ( 平成 22(2010) 年 3 月 29 日 ~ 平成 22(2010) 年 6 月 27 日 ) 平成 22 年 8 月 13 日 厚生労働省エイズ動向委員会

Transfusion-Transmitted Hepatitis Verified from Haemovigilance and Look-back Study

平成29年度事業報告及び歳入歳出決算の概要(血液)

平成 27(2015) 年エイズ発生動向 概要 厚生労働省エイズ動向委員会エイズ動向委員会は 3 ヶ月ごとに委員会を開催し 都道府県等からの報告に基づき日本国内の患者発生動向を把握し公表している 本稿では 平成 27(2015) 年 1 年間の発生動向の概要を報告する 2015 年に報告された HI

図 3. 新規 HIV 感染者報告数の国籍別 性別年次推移 図 4. 新規 AIDS 患者報告数の国籍別 性別年次推移 (2) 感染経路 1 HIV 感染者 2016 年の HIV 感染者報告例の感染経路で 異性間の性的接触による感染が 170 件 (16.8%) 同性間の性的接触による感染が 73

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 参考 11 慢性貧血患者における代償反応 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 赤血球液 RBC 赤血球液

( 図 1 アンケート用紙を送付しなかった理由 (n=248)) その他 4 % 住所又は両親の名前不明 1 7 % 他科にてフォロー中 3 % 音信あり 1 6% 他院にてフォロー中 28 % 3. 方法まず患者の保護者に対して郵送によるアンケート形式で病院より今後コンタクトをとることについての可

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

針刺し切創発生時の対応

2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

2 受入施設別献血量 ( 推計値 ) ブロ都ック道府県 合計 全国血液センター献血者数速報 (Ⅰ) 血液センター 平成 30 年 12 月分 L % L % 日 L L % 日 L L % 台 L L % 台 L 8, ,768

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

イ プエルトリコ サモア スリナム トンガ ベネズエラ 米領 ( バージン諸島及びサ モア ) フランス領 ( グアドループ サン マルタン ギアナ マルティニーク ) において ジカウイルス感染症の感染例が報告されています 3. ジカウイルス感染症と小頭症等との関連 2015 年 11 月 28

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

B型肝炎ウイルスのキャリアで免疫抑制・化学療法を受ける患者さんへ

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ミニカ共和国 エクアドル エルサルバドル グアテマラ ガイアナ ハイチ ホンジュラス ジャマイカ メキシコ ニカラグア パナマ パラグアイ サモア スリナム トンガ ベネズエラ フランス領 ( グアドループ サン マルタン ギアナ マルティニーク ) オランダ領 ( アルバ キュラソー島及びボネール


中小医療機関における輸血 療法委員会の設置に向けて 長崎県合同輸血療法委員会平成 31 年 1 月 16 日

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はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

地域別世界のエアコン需要の推定について 年 月 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 日本冷凍空調工業会ではこのほど 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果を まとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行 なっているもので 今回は 年から 年までの過去 ヵ年について主


岡山県血液製剤使用適正化普及委員会 事業目的 背景 我が国の医療に使用されている血液製剤のうち 全血製剤及び血漿製剤は全て献血で確保されているが 血漿分画製剤は外国からの輸血に依存している 本邦の血液製剤の使用量が諸外国に比べて多い 感染症発症の危険性を完全には排除できない 血液製剤を適正に使用する

輸血療法の作業の流れ 輸血療法必要性の判断 患者への説明と同意 輸血準備 輸血前検査 輸血開始 輸血終了 輸血療法の効果評価 輸血後感染症検査 (3 ヶ月後 ) 輸血の実際に関しては 日本赤十字社から発行された 輸血用血液製剤取り扱いマニュアル を ご参照下さい カラー印刷で 大変わかりやすくなって

アジア地域で感染が拡大している国を追加 ( 以下 2(1)) ブラジルにおける小頭症例の報告数の更新 ( 以下 1(3)) 厚生労働省のホームページにおいても関連情報が提供されていますので, こちらも併せ てご確認ください

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

世界保健機関 (WHO) による緊急事態宣言 WHOは 2016 年 2 月 1 日に開催された ジカウイルス感染症に関する国際保健規則 (IHR) 緊急委員会 ( 第 1 回 ) 会合の勧告を踏まえ 最近のブラジルにおける小頭症やその他神経障害の急増について 国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事

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地域別世界のエアコン需要の推定について 2018 年 4 月一般社団法人日本冷凍空調工業会日本冷凍空調工業会ではこのほど 2017 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果をまとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行なっているもので 今回は 2012 年から 20

不規則抗体の基礎

報告風しん

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

1. ウイルス性肝炎とは ウイルス性肝炎とは 肝炎ウイルスに感染して 肝臓の細胞が壊れていく病気です ウイルスの中で特に肝臓に感染して肝臓の病気を起こすウイルスを肝炎ウイルスとよび 主な肝炎ウイルスには A 型 B 型 C 型 D 型 E 型の 5 種類があります これらのウイルスに感染すると肝細胞

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者


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平成20 年9月平成 20 年 ₉ 月 15 日発行広島市医師会だより ( 第 509 号付録 ) その結果がまとめられたことから 同月 17 日付けで 輸血療法の実施に関する指針 の一 部改正を行い通知しています 輸血前後の感染症マーカー検査の必要性 ( 指針改正箇所を抜粋 ) 本症は早ければ輸血

企業会計審議会による海外調査を実施していない国における IFRS 適用状況についても調査するため 金融庁において IFRS 適用状況に関する調査を実施した 具体的には 一般的に 1 IFRS 適用国とされている国を参考に 122 カ国に対し 2011 年 12 月 21 日 現地の日本大使館を経由し

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

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蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

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学位論文要旨 牛白血病ウイルス感染牛における臨床免疫学的研究 - 細胞性免疫低下が及ぼす他の疾病発生について - C linical immunological studies on cows infected with bovine leukemia virus: Occurrence of ot

白血病治療の最前線

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Contents 1 Section Chapter Part Part Chapter Part1 9 Part2 12 Part3 14 Part4 16 Chapter Part1 17 Par

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白血病治療の最前線

献血前に お名前 生年月日 住所 電話番号等は正確にお答えください 献血後は 水分を補給して休憩 ( 少なくとも 10 分以上 ) をおとりください 電車でお帰りの際 転落防止のため駅のホームでは線路の近くで電車を待たないでください ( 気分不良 失神などはじっと立っている時に発生しやすいといわれて

< HTLV 1 ウイルスについて > HTLV 1 ウイルスはヒト T 細胞白血病ウイルス 1 型と呼 ばれ 成人 T 細胞白血病などの原因であることが分かっています 日本は先進国の中でHTLV 1 抗体の陽性者が最も多く 100 万人を越えています 西日本に多くみられましたが 人口の移動とともに

2章 第 2 章 日本の開発協力の具体的取組 第 2 節地域別の取組 績を上げています これらの国と日本はパートナーシップ プログラムを締結し たとえば ブラジルと共に アフリカのモザンビークにて また メキシコと共にパラグアイにて 農業開発分野の協力を進めているほか アルゼンチン ドミニカ共和国等

免疫学的検査 >> 5F. ウイルス感染症検査 >> 5F560. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時

顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

数字で見る国連WFP 2014

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別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

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始前に出生したお子さんについては できるだけ早く 1 回目の接種を開始できるように 指導をお願いします スムーズに定期接種を進めるために定期接種といっても 予防接種をスムーズに進めるためには 保護者の理解が不可欠です しかし B 型肝炎ワクチンの接種効果は一生を左右する重要なものですが 逆にすぐに効


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Ⅰ. 調査の概要. 調査目的日本の全国民を対象に健康日本 2( 第二次 ) に関連する健康意識 認知度調査を評価することで 健康意識における重点課題を把握すること 2 経年的な健康意識の推移を把握することを目的とする これにより 今後の情報発信のあり方を検討する 本年調査は昨年調査に続いて2 回目の

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094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 中谷夏織 論文審査担当者 主査神奈木真理副査鍔田武志 東田修二 論文題目 Cord blood transplantation is associated with rapid B-cell neogenesis compared with BM transpl

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調査の概要 本調査は 788 組合を対象に平成 24 年度の特定健診の 問診回答 (22 項目 ) の状況について前年度の比較から調査したものです 対象データの概要 ( 全体 ) 年度 被保険区分 加入者 ( 人 ) 健診対象者数 ( 人 ) 健診受診者数 ( 人 ) 健診受診率 (%) 評価対象者

平成28年版高齢社会白書(概要版)

報道発表資料 2007 年 10 月 22 日 独立行政法人理化学研究所 ヒト白血病の再発は ゆっくり分裂する白血病幹細胞が原因 - 抗がん剤に抵抗性を示す白血病の新しい治療戦略にむけた第一歩 - ポイント 患者の急性骨髄性白血病を再現する 白血病ヒト化マウス を開発 白血病幹細胞の抗がん剤抵抗性が

り感染し 麻薬注射や刺青なども原因になります 輸血の安全性や医療環境の改善によって 医原性の感染は例外的な場合になりました 日本では約 100 万人の B 型肝炎ウイルスキャリアがいます その大部分は成人で, 昔の母子感染を含む小児期の感染に由来します 1986 年から B 型肝炎ウイルスキャリアの

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( 別添 ) インフルエンザに伴う異常な行動に関する報告基準 ( 報告基準 ) ( 重度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 重度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください ( 軽度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 軽度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください イン

報 告

6. 中南米地域 中南米地域は人口 6 億人 域内総生産約 6 兆ドル (2013 年 ) の巨大市場です また 民主主義が根付き 2008 年以降比較的安定した成長を続けてきいる上 鉄鉱 銅鉱 銀鉱 レアメタル ( 希少金属 ) 原油 天然ガス バイオ燃料などの鉱物 エネルギー資源や食料資源の供給

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2016 年 12 月 7 日放送 HTLV-1 母子感染予防に関する最近の話題 富山大学産科婦人科教授齋藤滋はじめにヒト T リンパ向性ウイルスⅠ 型 (Human T-lymphotropic virus type 1) いわゆる HTLV-1 は T リンパ球に感染するレトロウイルスで 感染者

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

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第 88 回日本感染症学会学術講演会第 62 回日本化学療法学会総会合同学会採択演題一覧 ( 一般演題ポスター ) 登録番号 発表形式 セッション名 日にち 時間 部屋名 NO. 発表順 一般演題 ( ポスター ) 尿路 骨盤 性器感染症 1 6 月 18 日 14:10-14:50 ア

免疫学的検査 >> 5E. 感染症 ( 非ウイルス ) 関連検査 >> 5E106. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤

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資料 2 シャーガス病の安全対策に係る現状と課題 1. シャーガス病について シャーガス病 : 原虫 Trypanosoma cruzi を病原体とする原虫感染症で 主にメキシコを含む中南米に認められる T. cruzi は 媒介昆虫サシガメの糞便中に存在し サシガメの刺創や擦創から糞便中の原虫がヒトに感染する サシガメは土壁の割れ目 草葺きの屋根 草むらに生息し 夜間這い出してきて吸血する 住環境の整備されていない農村部や貧困地域に多い 上記以外の感染経路 : 母子感染 輸血 臓器移植 サシガメの糞に汚染されたサトウキビ アサイなどのジュースによる経口感染 潜伏期 :1~2 週間 虫体は主にトリポマスチゴート ( 錐鞭毛型 ) とアマスチゴート ( 無鞭毛型 ) があり トリポマスチゴートは末梢血中に認められ これがヒトに感染し 網内系や筋組織に侵入してアマスチゴートに分化 分裂し増殖する その多くが 常在マクロファージ 心筋細胞 腸管平滑筋細胞や交感神経節細胞に侵入する 症状 : 急性期 (1 週間 ~ 数ヵ月間 主に小児 ) は 高熱 発疹 リンパ節炎 肝脾腫 片側性眼瞼浮腫 (Romaña sign) その後は無症状で慢性期(10 年 ~ 数十年後 ) に心筋炎 巨大結腸等 現在のところ 有効な薬剤は急性期のみ ( ベンズニダゾール ニフルティモックス ) 欧米 カナダの非流行地域では 中南米からの移民の増加が背景にあり シャーガス病対策が課題となっている 2. 輸血への影響について 全血製剤中の原虫は 4 で 18 日以上生存 4 の赤血球製剤中での生存は 数日 ~ 数週間であるが 赤血球製剤中の生存についての報告は全血製剤ほど十分に確認されていない 通常保管条件下での血小板製剤中の生存は最長 5 日間である 凍結血漿中の生存率は 24 時間以下である 冷凍赤血球製剤中の生存率は不明である 白血球除去フィルター又は放射線照射は リスクを減少させるが完全ではない 輸血による伝播は 米国 7 例 カナダ 2 例及びスペイン 5 例と報告されている 輸血による感染者の多くは がん 造血幹細胞移植に伴う化学療法により免疫抑制状態の患者である 原因製剤が特定された症例は すべて血小板製剤によるものである 抗体陽性の感染供血者由来の製剤による受血者への輸血感染率は 1.7% と低い ( 製剤別内訳 : 血小板製剤 13.3% 赤血球製剤 0.0% 血漿 クリオプレシピテート 0.0%) メキシコを含む中南米諸国では T. cruzi 抗体スクリーニング検査が行われており 米国 カナダ スペイン等では選択的な T. cruzi 抗体スクリーニング検査が行われている 3. 日本の現状について 現在のところ輸血によりシャーガス病に感染した事例は報告されていない 中南米からの定住者が約 30 万人 1

定住者の中にも T.cruzi キャリアがいる ( 日本人の中南米長期滞在者も含め ) 日本語を理解する日系人などが献血している 発症するまで長期間にわたるため キャリアの人が献血し 輸血による感染の潜在的リスクが存在する (1) 中南米居住又は滞在歴を有する献血者の状況 問診票の取り扱い : シャーガス病の既往がある場合は採血しない 渡航歴 居住歴 滞在歴 : 自由回答 (~2011 年 3 月 ) 2011 年 4 月問診票改訂 1980 年 ( 昭和 55 年 ) 以降 海外に旅行または住んでいたことはありますか 1 それはどこですか ( 国 都市名 ) 2 いつ どのくらいの期間ですか ( ) 3 1980 年 ( 昭和 55 年 )~1996 年 ( 平成 8 年 ) の間に英国に通算 1 ヵ月以上滞在しましたか ( はい いいえ ) はい いいえ 1 年以内に外国 ( ヨーロッパ 米国 カナダ以外 ) に滞在しましたか ( 国名 ) 4 年以内に外国 ( ヨーロッパ 米国 カナダ以外 ) に 1 年以上滞在しましたか ( 国名 ) はい いいえ はい いいえ 中南米居住歴を有する献血受付者及び献血者数 (2010 年 ) 国名 献血受付者数 ( 人 ) 献血者数 ( 人 ) ブラジル 4,940 4,159 メキシコ 2,448 2,095 ペルー 845 697 アルゼンチン 769 669 チリ 369 325 パラグアイ 361 313 ボリビア 345 285 コロンビア 217 184 エクアドル 180 146 ベネズエラ 195 160 パナマ 260 223 コスタリカ 180 153 グアテマラ 159 132 ニカラグア 133 112 エルサルバドル 99 77 ウルグアイ 70 58 ホンジュラス 1 1 ガイアナ 1 0 スリナム 4 4 ベリーズ 18 12 合計 11,594 (966/ 月 ) 9,805 (817/ 月 ) シャーガス病の感染リスクのある中南米諸国の居住歴を有する 2010 年の献血受付者数及び献血者数を集計した その数は 献血受付者数 11,594 人 (966 人 / 月 ) 献血者数 9,805 人 (817 人 / 月 ) であった 献血受付者の 85% が献血していた その内ブラジル居住歴を有する者が最も多く 献血者数 4,159 人であり 全体の 42% を占めた 中南米居住歴のある者の都道府県別の献血者数では 東京都 1,503 人 神奈川県 1,375 人 愛知県 1,362 人の順で多かった ブラジル居住歴のある者の都道府県別の献血者数では 愛知県が最も多く 759 人であり 以下 東京都 559 人 神奈川県 365 人 静岡県 318 人と続いた ブラジル居住歴者の男女別年代別の分布では 男女比は約 3:1 と男性の方が多く 年代別では 30 代が最も多かった 全体では 30 代以下が約 6 割 40 代以上が約 4 割であり シャーガス病の感染リスクの比較的低いと考えられる若い世代が多く献血している状況であった 献血申込 ( 受付 ) 者 1 万人当たりのブラジル居住歴を有する受付者数は 全国平均では 7.8 人であったが 頻度が高い東海四県では 愛知県 20.0 人 静岡県 19.6 人 三重県 16.7 人 岐阜県 10.3 人であった 中南米滞在歴を有する献血受付者及び献血者数 ( 問診票改訂後の状況 :2011 年 4 月 ~12 月 ) 献血受付者数 4,471 人 (497 人 / 月 ) 献血者数 3,581 人 (398 人 / 月 ) であった 国別受付者数は メキシコ 1,525 人 ブラジル 1,040 人 ペルー 626 人 アルゼンチン 376 人 チリ 228 人 ボリビア 105 人 コロンビア 91 人の順であった これは 改訂前の渡航歴と近似した分布である 氏名により日本人 外国人を分類したところ 改訂前の居住歴の 83% 改訂後の滞在歴の 96% が日本人であった 2

外国人の滞在歴受付者数は 169 人で 国別内訳は ブラジル 125 人 メキシコ 17 人 チリ 8 人 コロンビア 7 人 ペルー 5 人 エクアドル 2 人 アルゼンチン ベネズエラ パラグアイ グアテマラ エルサルバドル各 1 人であった 滞在歴上位のメキシコ ペルー アルゼンチンの殆ど 99% は日本人であった 滞在歴のある受付者数の減少 : 震災の影響よりも問診票の改訂が大である 日系人が日本人の中に含まれている可能性はあるものの 問診票改訂後に中南米滞在歴のある外国人を捕捉できていないと推測される 中南米滞在歴のある外国人では ブラジル人が最も多いことから ブラジル人の動向を把握することが重要である (2) 東海 4 県の中南米居住歴を有する献血者における研究的 T. cruzi 抗体検査 T. cruzi 抗体検査 : 迅速法 ( イムノクロマト法 ) 及び ELISA 法 132 名全員 T. cruzi 抗体陰性 ( 未成年 2 名含む ) ブラジル 112 名 ペルー 6 名 コロンビア パラグアイ メキシコ各 1 名 日本人 11 名 日本人除く 121 名 ( 男性 83 名 女性 38 名 ) の年齢分布 ( 中央値 32 歳 ;10 代 2 名 20 代 38 名 30 代 53 名 40 代 23 名 50 代 5 名 )10~30 代が 77% を占めている 平均滞日年数 10 年 4. 欧米の対応 1) 英国 永久制限: 中南米での出生 ( 本人又は母 ) 輸血 4 週間以上農村部に居住又は就労 最終曝露から 6 カ月以上経過し 認証された T.cruzi 抗体検査が陰性ならば可 2) スペイン 流行地域で 本人が出生した 母が出生した 輸血を受けた供血者に対しスクリーニング検査 ( 義務 ) 流行地域で居住した供血者にもスクリーニング検査実施 3) 米国 シャーガス病の既往のある者 繰り返し T.cruzi 抗体検査陽性者は永久排除 スクリーニング検査の最初の 1 回が陰性であれば可 4) カナダ 中南米での 6 ヵ月以上の滞在歴がある場合 本人 母又は祖母が中南米で出生した場合には血小板製剤や凍結血漿には使用しない 上記の該当者に対して T.cruzi 抗体検査を実施する 5) オーストラリア シャーガス病の既往のある者は永久制限 流行地域で出生した 又は流行地域で新鮮な血液成分の輸血を受けた供血者からは分画原料のみ可 5. 日本の対策案 1) 中南米滞在歴の正確な把握 : 質問項目追加上記実施の上で 1~3の案 3

1 中南米滞在歴のある者の献血制限 2 中南米滞在歴のある献血者の血液の製造制限 3 中南米滞在歴のある献血者の T.cruzi 抗体スクリーニング 2) 中南米からの定住者が多い地域でのパイロットスタディの継続と対象地域の拡大 6. 課題と検討事項 日本語によるコミュニケーションを徹底するか ( 献血制限 ) 中南米滞在歴の正確な把握 当面の間は受付窓口での別紙質問票による捕捉 国籍の質問は難しい 国や地域 都市部 農村部の区別も難しい 中南米での出生地 居住歴 一定期間以上(3 カ月 6 カ月 1 年 ) の滞在歴 母子感染を考慮するならば母系既往歴? 母系出生地? ポスターなどによる事前周知の徹底 いずれは問診項目にする ( 例 ) 私は 以下のいずれかに該当します 中南米諸国で生まれました 又は育ちました 私の母が 中南米諸国で生まれました 又は育ちました ( 日本人の場合 ) 中南米諸国に3ヵ月以上滞在しました 滞在歴を把握した上で1~3の対応案 1 中南米滞在歴のある者の献血制限 : 数は多く見積もっても1 万人なので 採血 製造への影響は少ないが 一律制限することの妥当性 2 中南米滞在歴のある献血者の血液の製造制限 : ( 選択案 ) 全血製剤 血小板製剤のみ不可( ) FFP 分画原料可( ) 分画原料のみ可( ) 検査なしでFFP 可 RCC 不可の理解が得られるか 輸血用は不可 分画原料は可 は理解を得やすく 製造の流れとしては一部製剤のみ製造可の対応は 従来実施していないので工夫が必要である 3 中南米滞在歴のある献血者の T. cruzi 抗体スクリーニング : 検査件数が少ない 国内で認可されている試薬がない 研究用として使用 ( 米国での認可試薬は 2 社 ; アボット社 CLIA 法 オーソ社 ELISA 法 ) スクリーニング検査ではなく 2で制限した後 研究的 ( 疫学研究 ) に抗体検査を実施するならば まとめて検査が可能 別途同意書が必要か パイロットスタディの継続と対象地域の拡大 : 埼玉 群馬ほかブラジル人コミュニティの集住地域にも拡大し継続検討 4