第 12 号 公益社団法人日本経済研究センター Japan Center for Economic Research 218 年 11 月 22 日公表 将来不安が貯蓄率を押し上げ 労働参加の高まりは消費に結びつかず 短期経済予測班 : 堂本健太 山田祐太郎 < 監修 > 短期経済予測主査 : 西岡慎一総括 : 宮﨑孝史 ポイント 今回の景気回復局面では 雇用者報酬の伸びに比べて 個人消費の伸びが低く 貯蓄率が上昇している 雇用者報酬の増加は 1シニア層 (6 歳以上男女 ) 2 共働き女性 (3-64 歳 ) 3 外国人の雇用者増加が主因である これらの層の労働参加は 貯蓄や海外送金を主な目的としており 所得の増加が消費の増加に結びつきにくい 1 シニア層では これまで貯蓄を十分に蓄積してこなかった者の労働参加が多い 長寿リスクが高まっていることも所得を貯蓄に振り向ける動機となっている可能性がある 2 共働き女性では 団塊ジュニア世代の労働参加が多い この世代は 男性の賃金が伸び悩んでおり 貯蓄の蓄積ペースが遅い 配偶者の所得補填が動機となっている 3 外国人労働者の多くは 母国への送金を就業の動機としており 所得が国内の消費に波及しにくい いずれの層も消費を控える背後には将来不安がある 労働参加を内需の活性化に結びつけるためにも 雇用制度改革や社会保障改革など将来不安の解消に向けた取り組みが重要である はじめに 所得増加が消費に結びつかず 今回の景気回復局面では 個人消費が緩やかな伸びにとどまっている 民間消費支出の伸びは 雇用者報酬の伸びを下回っており 貯蓄率が上昇している ( 図表 1 2) 最近の消費額は簡単な消費関数による推計値を大きく下回っている点からも 最近の消費の伸びは 過去のパターンに比べて過小であるといえる 1 ( 図表 3) 以下では 消費の伸びが所得の伸びを下回る背景について述べる 1 内閣府 (218) の消費関数を参考に 以下の通り推計した なお Engle-Granger 検定の結果 これらの変数間に共和分関係が存在することを確認している ln.73 ln.24 ln.4 (34.4) (13.2) (2.37).89,DW.2 推計期間 :1998 年 1-3 月期 ~218 年 7-9 月期 カッコ内の値は t 値 は内閣府 国民経済計算 の実質民間最終消費支出 ( 季節調整値 ) は内閣府 国民経済計算 の実質雇用者報酬 ( 季節調整値 ) は日本銀行 資金循環統計 の家計金融資産残高 ( 内閣府 国民経済計算 の家計最終消費支出デフレーター < 除く持家の帰属家賃 > を用いて実質化 ) は 214 年 1-3 月期に 1 をとるダミー変数 (214 年 4 月の消費増税による駆け込み需要 ) -1-
図表 1 民間最終消費支出と雇用者報酬 11 (22 年第 1 四半期 ~218 年第 3 四半期 =1) 18 実質民間最終消費支出実質雇用者報酬 16 14 12 1 98 96 94 92 ( 四半期 ) 2:1 4:1 6:1 8:1 1:1 12:1 14:1 16:1 18:3 18:1 ( 資料 ) 内閣府 国民経済計算 32 31 3 ( 兆円 ) 実績値 - -1-1 (%) 図表 2 貯蓄率 ( 四半期 ) -2 94:1 97:1 :1 3:1 6:1 9:1 12:1 1:1 18:3 18:1 ( 注 ) 貯蓄率 =1- 消費性向 ( 名目民間最終消費支出 / 名目雇用者報酬 ) ( 資料 ) 内閣府 国民経済計算 図表 3 民間最終消費支出の実績 推計値 ( 左 ) と両者の乖離 ( 右 ) ( 兆円 ) 2 推計値乖離 ( 実績値 - 推計値 ) 1 1 29 28 27 ( 四半期 ) 26 2:1 4:1 6:1 8:1 1:1 12:1 14:1 16:1 18:1 18:3 ( 資料 ) 内閣府 国民経済計算 日本銀行 資金循環統計 より推計 - -1-1 ( 四半期 ) -2 2:1 4:1 6:1 8:1 1:1 12:1 14:1 16:1 18:1 18:3 雇用増が所得を押し上げ 最近の家計所得の増加は 雇用者数の増加を主因としている 今回の回復局面を世界金融危機前の いざなみ景気 (22 年 2 月 -28 年 2 月 ) の時期と比較すると 賃金の伸びによる所得の増加幅は限定的である一方 雇用者数の伸びが大きい ( 図表 4) 雇用者数の増加は 1 シニア層 (6 歳以上男女 ) 2 ミドルエイジ女性 (3-64 歳女性 ) 3 外国人によるものである 2 ( 図表 ) それぞれの層の所得増加が消費の伸びに結びついてないことが 最近の貯蓄率上昇の背景として考えられる (12 ( 初年次からの累積寄与度 年第 4 四半期からの累積寄与度 % ポイント %) 8. ポイント ) 1 いざなみ景気今次景気拡張局面 6. 実質賃金要因 8 ( 世界金融危機前 ) 雇用者数要因 4. 6 実質雇用者報酬 2. 4. 2-2. 図表 4 実質雇用者報酬の変動要因 時間当たり実質賃金要因一人当たり労働時間要因 -4. -2 雇用者数要因実質雇用者報酬 -6. -4 12:4 2 3 13:4 4 14:4 6 7 1:4 12 13 16:4 14 1 17:4 16 18:2 17 ( 資料 ) 内閣府 国民経済計算 厚生労働省 毎月勤労統計 総務省 労働力調査 (213 年から17 年の変動 万人 ) 3 日本人 2 外国人 2 1 1 - 図表 雇用者数の属性別変動 総計 1-34 3-64 6 歳以上 1-34 3-64 6 歳以上 男性 女性 ( 資料 ) 総務省 労働力調査 人口推計 国勢調査 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況について より推計 2 外国人労働者の年齢階級別内訳は 総務省 人口推計 国勢調査 から得られる定住外国人の人口構成と年齢階級別の就業率に基づき 男女別の外国人労働者数を推計した -2-
1 余生に備えるシニア層シニア層の雇用者数は 213-17 年で約 1 万人増加しており なかでも 6-69 歳の伸びが大きい ( 図表 6) 6-69 歳の労働力率も上昇している ( 図表 7) これには 老齢厚生年金の支給開始年齢が 213 年から順次引き上げられていることが背景にある 高年齢者雇用安定法 の改正により 定年引き上げが促進されるほか 継続雇用制度が拡充されていることもシニア層の就業意欲を高めている 6 4 3 2 1 ( 万人 ) 7 歳以上 7-74 歳 6-69 歳 ( 出所 ) 総務省 労働力調査 図表 6 シニア層の雇用者数 213 年 217 年 図表 7 シニア層の労働力率 (%) 6-69 歳 4 7 歳以上 4 3 3 2 2 1 1 21 3 7 9 11 13 1 17 ( 出所 ) 総務省 労働力調査 シニア層の所得増加の一部は貯蓄にまわっている 6-69 歳の勤労者世帯の可処分所得は 稼働所得 ( 働いて得られる所得 ) がある分 無職世帯の 2 倍に上る これに対して 勤労者世帯の消費支出は無職世帯と大差ない ( 図表 8) 無職世帯が貯蓄を取り崩して消費する一方 勤労者世帯は貯蓄を増やしている こうした勤労者世帯が増加していることが マクロでみた貯蓄率の上昇につながっている 6-69 歳の勤労者世帯は 無職世帯と比べて貯蓄が少ない傾向にある 金融広報中央委員会によると 年金支給時に最低準備しておく金融資産残高 は 28 万円とされている 勤労者世帯では この金融資産残高に満たない世帯の割合が 6 割を超えている ( 図表 9) 6-69 歳の層では 余生のための貯蓄を準備する必要がある世帯が多く 所得を稼いでも消費を増やしづらい状況にある 図表 8 6-69 歳の一人当たり家計収支 (21-17 年平均 ) ( 万円 / 月 ) 14 12 1 8 6 4 2-2 -4 勤労者世帯 無職世帯 可処分所得消費支出貯蓄純増 ( 注 ) 二人以上世帯の計数を世帯人員で除して算出 ( 資料 ) 総務省 家計調査 図表 9 6-69 歳の貯蓄高階級分布 (217 年 ) (%) 3 勤労者世帯 3 年金支給時に無職世帯など 2 最低準備しておく 2 金融資産残高 28 万円 1 1 ( 注 ) 二人以上世帯を対象とし 無職世帯など には 世帯主が会社役員等の世帯 を含む ( 資料 ) 総務省 家計調査 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査 -3-
平均余命が伸びていることも貯蓄の必要性を高めている 217 年の 6 歳時点の平均余命は約 22 年 (217 年 : 男女単純平均 ) に達しており 9 歳以上まで生きる割合も男性で 28% 女性で 3% と高い ( 図表 1) 2 年前の 1997 年で男性 18% 女性 38% 1 年前の 27 年で男性 24% 女性 48% であったことを踏まえると 長寿リスクは相応に速いテンポで高まっている こうした余生の長期化も貯蓄 消費のライフサイクルを変化させ シニア層の貯蓄性向を高める一因となっている可能性がある 3 2 2 1 1 図表 1 6 歳時点の寿命分布 ( 左 : 男性 右 : 女性 ) (%) (%) 3 1997 年 27 年 217 年 1997 年 27 年 217 年 2 2 1 1 ( 資料 ) 厚生労働省 簡易生命表 2 共働きの動機は配偶者の所得補填共働き女性が増加している 3-64 歳の女性雇用者数は 213-17 年の間で約 1 万人増加し そのうち約 3 分の 2 が配偶者を持つ女性である ( 図表 11) この年齢層の男性のうち約 9 割が就業していることを踏まえると 共働き女性が増加しているといえる この結果 共働き世帯は 22 年の 9 万世帯から 217 年には 12 万世帯へと増加し 専業主婦世帯を凌駕している ( 図表 12) 共働き世帯への転換による所得増加は消費よりも貯蓄にまわる傾向がある 家計調査によると 共働き世帯の可処分所得は専業主婦世帯よりも平均して 9 万円ほど多いが 家計支出は 3 万円ほど多いに過ぎない ( 図表 13) 収入階級別で比較しても 共働き世帯の消費性向は専業主婦世帯よりも押しなべて低い ( 図表 14) したがって 共働き世帯の増加は マクロの貯蓄率を高める方向に作用する 3 図表 11 女性雇用者の変動内訳 (213 年から17 年の変化幅 万人 ) 12 内訳 1 8 6 4 2 3-64 歳女性 配偶者あり ( 注 ) 配偶者なしは 未婚 と 死別 離縁 の合計 ( 資料 ) 総務省 労働力調査 配偶者なし 図表 12 共働き世帯と専業主婦世帯 ( 万世帯 ) 1,3 1,2 1,1 共働き世帯専業主婦世帯 1, 9 8 7 6 22 8 11 14 17 ( 注 ) 共働き世帯 = 夫婦とも非農林業雇用者の世帯 専業主婦世帯 = 夫が非農林業雇用者かつ妻が非労働力人口もしくは完全失業者の世帯 211 年は 震災の影響で一部都道府県の計数が欠落しているため省略 ( 資料 ) 総務省 労働力調査 3 三浦 東 (217) でも 共働き世帯の増加が近年の貯蓄率上昇の一因とされている -4-
図表 13 共働き世帯と専業主婦世帯の家計収支 (217 年 ) 共働き世帯 (A) ( 万円 / 世帯 ) 専業主婦 (A)-(B) 世帯 (B) 可処分所得 49.7 4. 9.2 世帯主収入 44.1 4.7-1.6 配偶者収入 13.8. 13.8 非消費支出等 -8.2 -.3-2.9 家計支出 33.6 3.4 3.2 貯蓄純増 12.8 8.3 4. ( 注 ) 共働き世帯は夫婦のみ有業者 専業主婦世帯は夫のみ有業者の世帯 ( 資料 ) 総務省 家計調査 図表 14 年間収入階級別の平均消費性向 (%) 11 共働き世帯 1 専業主婦世帯 9 8 7 6 ( 注 ) 専業主婦世帯は 二人以上勤労者世帯のうち有業者 1 人の世帯 ( 資料 ) 総務省 全国消費実態調査 (214 年 ) 共働き女性の増加は 配偶者の所得補填を目的としている面がある 共働き世帯の増加は 3-44 歳あるいは 4-4 歳で大きい ( 図表 1) これは 1972 年前後に生まれたいわゆる団塊ジュニアを中心とした世代に相当する この世代の賃金カーブは上の世代に比べて下方にシフトしており 所得が抑制されている ( 図表 16) この結果 貯蓄高も上の世代より少ない ( 図表 17) したがって 共働きを志向する女性は 配偶者の生涯所得の伸び悩みを見越した所得補填を動機としており 消費には結びつきにくい可能性がある 14 12 1 8 図表 1 共働き世帯数の変動 ( 女性の年齢階層別 ) (213 年からの変化幅 万世帯 ) 6 歳以上 -64 歳 4-4 歳 3-44 歳 1-34 歳計 6 4 2-2 213 14 1 16 17 ( 注 ) 夫婦とも非農林業雇用者の世帯 ( 資料 ) 総務省 労働力調査 図表 16 賃金カーブ ( 男性 所定内給与 ) ( 調査年における2-24 歳男性の所定内給与 =1) 22 2 18 16 2, 2, 1, 図表 17 年齢階級別の貯蓄高 ( 万円 / 世帯 ) 194-4 年生まれ 19-64 年生まれ 196-74 年生まれ 197-84 年生まれ 14 12 1 8 ( 資料 ) 厚生労働省 賃金構造基本統計調査 194-49 年生まれ 19-9 年生まれ 196-69 年生まれ 197-74 年生まれ 197-79 年生まれ 1, 3 歳未満 3-39 歳 4-49 歳 -9 歳 6-69 歳 ( 注 ) 二人以上の世帯 ( 資料 ) 総務省 全国消費実態調査 --
3 外国人労働者の賃金は国内へ還流せず外国人労働者も増加している 213-17 年の間に外国人労働者は約 6 万人増加し 雇用者に占める外国人労働者の割合は 2% へと上昇している ( 図表 18) 外国人労働者の所得も 経済全体の雇用者報酬の押し上げに寄与している 4 近年増加した外国人労働者は 技能実習 や 資格外活動 ( 留学生のアルバイト ) など 就労以外の目的による在留者が半分を占める ( 図表 19 2) 外国人留学生のアルバイト人数は 留学ビザの取得件数を大幅に上回るペースで増えており 外国人留学生の多くが就労している ( 図表 21) 14 12 1 ( 万人 ) 図表 18 外国人労働者数 図表 19 増加した外国人労働者の在留資格別内訳 資格外活動 31.2% その他 3.3% 専門的 技術的分野 18.9% 8 6 4 213 年 17 年約 6 万人増加 2 21 3 7 9 11 13 1 17 ( 注 )8 年以降 外国人雇用状況の届出が義務化 ( 資料 ) 厚生労働省 外国人雇用状況報告 (6 年まで ) 外国人雇用状況の届出状況について (8 年から ) 技能実習 21.6% ( 注 ) その他 は 特定活動 分類不明 を含む ( 資料 ) 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況について 身分に基づく在留資格 2.% 分類 専門的 技術的分野 身分に基づく在留資格 ( 永住者 定住者 日本人 永住者の配偶者など ) 技能実習 資格外活動 ( 留学生のアルバイトなど ) 特定活動 図表 2 外国人労働者の内訳 ( 資料 ) 厚生労働省 内閣府公表資料より作成 定義 就労目的での在留が認められており 在留資格の範囲内で報酬を受ける活動が可能 活動制限がないため 就労が可能 国際貢献を目的に 開発途上国などの外国人を受け入れ OJT を通じて技能を移転する制度 労働関係法令などの適用下で就労が可能 17 年 11 月より 受入期間が最長 年 ( 従来 3 年 ) に延長され 対象職種が拡大された ( 介護 など ) 在留資格の本来の目的を阻害しない範囲内 (1 週間当たり 28 時間以内 ) で 就労が可能 経済連携協定 (EPA) に基づく外国人看護師 介護福祉士候補者 ワーキングホリデーなど ( 万人 ) 3 留学ビザでの在留人数 3 留学生のアルバイト数 2 2 1 1 図表 21 外国人留学生とアルバイト状況 213 14 1 16 17 ( 注 ) 在留人数は各年 6 月末と12 月末の平均 アルバイトは1 月末の人数 ( 資料 ) 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況について 法務省 在留外国人統計 4 雇用者報酬は国民概念であるため 外国人労働者が居住者であればその賃金が計上される 内閣府の定義では 居住者たる個人とは 主として当該領土内に 6 ヵ月以上の期間居住しているすべての個人をいい 国籍のいかんを問わない とされている 日本で就労ビザを獲得するには一定期間の滞在を前提とした在留資格が必要であり 大多数は居住者と定義されると考えられる したがって 外国人労働者の賃金の多くは雇用者報酬に計上されていると推察される 国民経済計算や国際収支統計では 外国人留学生は滞在期間にかかわらず非居住者 ( 母国の居住者 ) と定義される しかし 217 年時点で外国人留学生の賃金は 2,74 億円程度と推計され ( 下記 ) 32 億円とされる非居住者への雇用者報酬支払い ( 日本銀行 財務省 国際収支統計 ) を大幅に上回る したがって 外国人留学生の賃金も多くは雇用者報酬に計上されていると推察される 外国人留学生の賃金 = 外国人留学生のアルバイト人数 平均労働時間 平均時給 外国人留学生のアルバイト人数 : 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況について 平均労働時間 : 日本学生支援機構 平成 27 年度私費外国人留学生生活実態調査 平均時給 : 厚生労働省 賃金構造基本統計調査 -6-
こうした外国人労働者は母国に所得を送金する傾向があり 所得が国内消費に波及する度合いは限定的とみられる 6 最近では ベトナムやフィリピン国籍の外国労働者が増加しており 労働者の送金額もこれらの国に向けたものが増えている ( 図表 22 23) ベトナム国籍の労働者では 217 年の年間賃金受取総額 ( 約 4, 億円 ) のうち 母国への送金額は約 2% に相当する 7 ( 図表 24) 14 12 1 8 6 4 2 図表 22 国籍別の外国人労働者 ( 万人 ) その他ネパールブラジルフィリピンベトナム中国 図表 23 国内労働者の海外への送金額 ( 億円 ) 6, その他北米, 4, 3, 2, 1, ベトナム 中国 フィリピン 計 213 14 1 16 17 26 9 12 1 ( 資料 ) 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況 ( 資料 ) 日本銀行 財務省 国際収支統計 図表 24 ベトナム国籍労働者の賃金推計額 (217 年 ) 17 人数 ( 割合 ) 賃金受取総額 技能実習生 1.6 万人 (43.9) 1,99 億円 留学生 9.9 万人 (41.) 1,378 億円 その他 3.6 万人 (1.1) 1,11 億円 計 24. 万人 (1.) 4,483 億円 217 年のベトナム宛労働者送金は約 9 億円であり 年間賃金の約 2% を母国への仕送りに充てている計算 ( 資料 ) 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況 賃金構造基本統計調査 総務省 国勢調査 労働力調査 日本政策金融公庫総合研究所 外国人材の活用に関するアンケート より推計 将来不安の解消を 雇用者数の増加は 1 シニア層 2 共働き女性 3 外国人労働者で生じ 経済全体の家計所得の増加に寄与してきた ただし それぞれの層で所得増加が消費の押し上げには直結していない とりわけ シニア層や共働き女性が消費を控える背後には将来不安がある これらの層の労働参加の高まりは アベノミクス期の大きな成果であったが 将来不安の解消なしには 労働供給と消費需要が相乗的に成長率を押し上げるには至らないことも示された 雇用制度改革や社会保障改革など将来不安の解消に向けた取り組みを進めていくことが重要である 6 外国人留学生の消費額は 国民経済計算上 民間最終消費支出 ( 個人消費 ) ではなく 非居住者家計の国内での直接購入 に計上される 7 国際収支統計における労働者送金は 居住者から非居住者の送金を対象としており 母国の居住者と定義される留学生の送金額は対象外である このため 留学生の送金額が捕捉されれば この割合は高まる可能性がある -7-
参考文献 内閣府 用語の解説 ( 国民経済計算 ) 内閣府 (218) 日本経済 217-218- 成長力強化に向けた課題と展望 - 三浦弘 東将人 (217) 共働き世帯の増加の背景とその消費支出への影響 日銀レビュー 217 年 9 月 堂本健太 研究生 ゆうちょ銀行より派遣山田祐太郎 研究生 東海旅客鉄道より派遣 ( 本稿に関するお問い合わせ : 研究本部短期予測班 3-626-773) 本稿の無断転載を禁じます 詳細は総務本部までご照会ください 公益社団法人日本経済研究センター 1-866 東京都千代田区大手町 1-3-7 日本経済新聞社東京本社ビル 11 階 TEL:3-626-771 / FAX:3-626-7924-8-