前回は パート賃金を正社員の賃金制度と関連付けて組み立ててみました 正社員に適用していたランク型賃金表 ( 1) の金額範囲を広げ 金額を時給に換算することによって 非正規社員の代表格であるパートタイマーの処遇を正社員と同じ軸で比較できるようになりましたね 1: ランク型賃金表 は株式会社プライムコンサルタントの登録商標です 今回は 非正規のもう一つの代表格である契約社員について考えます 一口に契約社員と言っても細部は会社によって異なりますので ここでは 典型的な例として次のような働き方を想定することにします 雇用期間の定めがあること 月給制のフルタイムであること(1 日の所定労働時間および 1 週間の所定労働日数が正社員と同じ ) 職種や勤務地が限定されていることなお これと異なる形態であっても 今 回の基本を押さえれば応用は可能ですのでぜひ参考にしてください 中身に入る前に もう一つ重要な前提として 契約社員にも勤務成績を評価し 年 1 回の賃金改定を行うという条件を置きます 現在 契約社員の評価があるかどうかは会社によって違うでしょうが 今後は契約社員に対しても評価 賃金改定は確実に広がるでしょうし 筆者もそれが望ましいと考えています 理由は 連載第 20 回でパートタイマーについて述べたことと同じですが 簡単に確認しておきます 一つ目は 労働者が数年にわたってヤル気をもって働いていくうえで 評価や賃金改定は大きな張り合いになるからです 特に 2018 年 4 月以降は 労働契約法の 5 年超の有期雇用は無期雇用に転換できる 規定に基づく無期転換社員が発生しますので 有期契約社員の多くはいずれ 無期契約社員 になっていきます それを見越す 32
と 働きぶりの評価と処遇への反映は欠かせないでしょう もう一つの理由は 昨年 12 月 20 日に政府が発表した 同一労働同一賃金ガイドライン案 の中の次の項目です 2 -⑴-4 昇給について 勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合昇給について 勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合 無期雇用フルタイム労働者と同様に勤続により職業能力が向上した有期雇用労働者又はパートタイム労働者に 勤続による職業能力の向上に応じた部分につき 同一の昇給を行わなければならない また 勤続による職業能力の向上に一定の違いがある場合においては その相違に応じた昇給を行わなければならない 簡単に言うと 正社員に勤続による能力向上に基づく昇給があるなら 有期契約労働者やパートタイマーも同じ考え方で昇給しなければならない ということです 今年度中に国会提出が予定されている関連法の改正案はガイドライン案に沿った内容になるでしょうから これは重く受けとめねばなりません では 契約社員の取り扱いをどのように整理するかというと 前回のパートタイマーと同じ考え方で次のように進めるとすっきりします ⑴ 契約社員の役割責任を整理する ⑵ 契約社員の人材活用の仕組みを整理する ⑶ 契約社員の適用ランクを決め 契約社員の賃金をカバーするランク型賃金表をつ 2017.4.25 先見労務管理 くる ⑷ 契約社員の賃金改定基準を設定する話を具体的にするために 前回想定した X 社 に次のような契約社員がいると仮定して進めることにします 役割責任は 正社員はⅠ 等級からⅤ 等級の 5 段階 パートタイマーは P1 等級 ( アシスタント ) と P2 等級 ( 一般 ) の 2 段階に分かれており Ⅰ 等級と P2 等級の役割責任の内容は同じである 正社員のⅠ 等級からⅢ 等級には勤務地限定社員の制度がある 賃金の支払いは 正社員は月給制 パートタイマーは時給制を採っている 基本給は 正社員( 全国社員と勤務地限定社員 ) とパートタイマーの全てをカバーするランク型賃金表で運用している ランク型賃金表は 17 ランク 136 号という構造で 各就労形態の適用ランクは図表 1のとおりである 契約社員の役割責任は 2 段階に分けることができ それぞれ正社員のⅠ 等級 Ⅱ 等級に相当する 契約社員の所定労働時間 所定労働日数は正社員と同じで 1 日 8 時間 週 5 日勤務が基本である なお 業務の繁忙に応じて残業させることがある 契約社員には職種や勤務地の変更はない 契約社員の賃金は 正社員と同じく月給制で支払われている 1 契約社員の役割責任を整理するはじめに 契約社員の役割責任を明確にします X 社の契約社員の役割責任は 2 段階に分けられますから 低いほうから K1 等級 K2 等級と呼ぶことにします 役割責 33
任の内容は K1 等級は正社員のⅠ 等級 K2 等級は同 Ⅱ 等級に相当するので 正社員の内容をそのまま適用できます 図表 2-1は X 社の正社員 ( 全国社員と勤務地限定社員 ) と契約社員 パート社員の役割責任を一覧にした例です このように対応付けることで契約社員の位置づけを正社員やパート社員と対比して確認するこ とができます また 契約社員に期待している具体的な役割責任は 定型業務を 業務マニュアルや経験者の指示 指導にしたがって進めて スピーディに正しい成果を出す一般職 (K1 等級 ) 応用動作が必要な定常業務を 自分の主体的な判断を中心に置きつつ 状況に応じて上司の判断を仰ぎながら進めて 顧客や組織の期待に応え 図表 1:X 社の基本給表の全体構成 基本給表号数ランク月額時給 136 1 17 526,270 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 165,000 2 1 130,760 1,409 1,032 818 P1 等級 [ アシスタント ] P2 等級 [ 一般 ] Ⅰ 等級 [ 一般 ] 役割責任 Ⅱ 等級 [ 担当 ] Ⅲ 等級 [ 主任 ] Ⅳ 等級 [ 課長 ] Ⅴ 等級 [ 部長 ] S=17 点 A=16 点 S=15 点 B=15 点 A=14 点 C=14 点 S=13 点 B=13 点 D=13 点 S=12 点 A=12 点 C=12 点 S=11 点 A=11 点 B=11 点 D=11 点 S=10 点 A=10 点 B=10 点 C=10 点 S=9 点 A=9 点 B=9 点 C=9 点 D=9 点 S=8 点 A=8 点 B=8 点 C=8 点 D=8 点 S=7 点 A=7 点 B=7 点 C=7 点 D=7 点 A=6 点 B=6 点 C=6 点 D=6 点 S=5 点 B=5 点 C=5 点 D=5 点 A=4 点 C=4 点 D=4 点全国社員 B=3 点 D=3 点 C=2 点 D=1 点 勤務地限定社員 ( 注 ) 表中の点数 (1 点 17 点 ) は対応する評価レートを表す Ⅰ 等級 Ⅴ 等級のランクは 全国社員にはグレーの範囲 勤務地限定社員には白地の範囲を適用する 34
階層等級役割責任 [ 職位 ( 例 )]/ 役割責任の定義就労形態管理階層続的に高めていく 実務階層務地限定社員 複数の定常的な業務を含む計画的 応用的な業務を担当する 応用動作をともなう比較的定常的な業務を担当する 約社員 比較的短い期間で習得できる定型業務を担当する ト社員る成果を出す担当職 (K2 等級 ) のいずれかであることがはっきりわかります 2 契約社員の人材活用の仕組みを整理する次に 契約社員の人材活用の仕組みを明 らかにするために人事異動等の有無と範囲を整理します 図表 2-2は 契約社員の人材活用の仕組みを 他の就労形態と比較して表示したものです 図表 2:X 社の役割等級説明書と人事活用の仕組み ( パートタイマーを含めて一覧にした例 ) 1 役割等級説明書 2 人材活用の仕組み 部門経営責任職 [ 部長 ] Ⅴ 会社の中枢機能の責任者として経営首脳の意思決定を補佐する 全社的な視点を踏まえて担当部門の経営方針 事業計画を立案し 効率的な実行体制を整備して中長期的な業績と成長性を確保する 業務管理責任職業務統括専門職 業務管理スタッフ [ 課長 ] [ スペシャリスト ] 担当業務の責任者として上司を補佐しな 特定分野の専門職の責任者として 専門 Ⅳがら 最適な組織目標を設定 実行する ノウハウに関する開発や意思決定を統括 部下 チームに最適な役割 目標を与えし 専門的立場から上司を補佐する て動機づけしながら 必要な制度環境を整 担当分野の技術水準と生産性を保証し 備して期間業績を確保する 組織的な問題解決能力と目標遂行能力を継推進 指導職 [ 主任 ] Ⅲ 幅広い裁量や創意工夫を駆使して 顧客の期待に応え 業績に貢献する独自の成果を出す 全 所属部門の任務を明確に理解し 上司をサポートしながら 効果的な目標を設定国社し 同僚や後輩に対し自ら模範となって実行を指導する 員 主体的に新しい技術やノウハウを試みながら自分や組織の能力水準を高めていく 担当職 [ 担当 ] 勤Ⅱ/K2 Ⅰ / K1 / P2 自分の担当範囲に責任を持ち さまざまな応用動作を用いて自分の判断で主体的に処理しながら 顧客や組織の期待に応える成果を出す 自分の専門領域については新しい技術やノウハウにチャレンジしながら 後輩を指 導 育成する 直接担当する業務以外でも積極的に改善策を提案し 他のメンバーと協力して所属部署の生産性の向上に積極的に貢献する 組織の基本的なルールを理解し 仕事の目的に照らして自分で判断すべきことと上司や先輩に判断を仰ぐべきことを使い分ける 一般職 [ 一般 ] 業務マニュアルや経験者の指示 指導にしたがい 仲間と協力して与えられた任務を忠実に実行し スピーディに正しい成果を出す 顧客の要望や職場の問題点を正確に上司に報告し 判断を仰ぎながら 作業能率と品質の向上 顧客の信頼 円滑な人間関係を保つ 補助職 [ アシスタント ] 短期間で習得できる反復的な定型作業を担当する P1 監督者や所定の手順にしたがって正確に作業を行い 目的とする品質を確実に実現する 作業中の不具合や気づきを上司に報告して判断を仰ぎ 作業品質や円滑な人間関係を保つ 契パー勤務地の変更の有無 職種の変更の有無 2017.4.25 先見労務管理 35
X 社の契約社員の役割責任は K1 等級と K2 等級がありますので 一般職から担当職の範囲での等級異動があり得ます 職種や働く場所については X 社の契約社員は職種や勤務地の変更がありませんので 職種限定 勤務地限定 となります なお 会社によっては 契約社員であっても職種変更や勤務先の変更もあるでしょうから 必ず自社の実態に合わせて整理してください 3 契約社員の適用ランクを決め 契約社員の基本給をカバーするランク型賃金表をつくる図表 2-1と2で整理した内容が 賃金を決める根拠となる 職務の内容 と 人材活用の仕組み に相当します では これらを全国社員と比較しながら契約社員の適用ランクを決めていきましょう 1 役割責任の高さとの整合性をとる契約社員が担う K1 等級 K2 等級の役割責任は それぞれ全国社員のⅠ 等級 Ⅱ 等級と同じですから 役割責任の観点でいうと K1は5ランクから9ランク K2は7 ランクから 11 ランクに相当します 2 人材活用の仕組みとの整合性をとる次に 人材活用の仕組みを反映させます X 社の契約社員には 勤務地限定 と 職種限定 という 2 つの制約があります 2 つの面で制約があるという意味では 前回検討したパートタイマーと同じですね パート社員の P2 等級には 2 つの制約を根拠にして Ⅰ 等級の全国社員よりも 2 ランク低いランクを適用しましたので 契約社員についても同じように考えてバランスをとる必要があります したがって K1 は 3 ラ ンクから 7 ランク K2 は 5 ランクから 9 ランクを適用することになります ( 2) 2:X 社では勤務地や職種の制約を根拠に適用ランクを変えましたが 正社員でも勤務地や職種の変更がごくまれにしかない会社は格差を設ける根拠は薄くなります この点は 雇用契約や就業規則などのルール上の違いだけでなく 運用実態を十分に確認したうえで各社の実情に即して格差を設けることが肝心です さて 賃金表については 前回 パート社員をカバーするために延伸した 17 ランクの範囲に収まりましたので すでに持っているものをそのまま使うことができます ( 仮に パート社員の設定がなく 元の賃金表の範囲が狭い場合は 契約社員をカバーするために賃金表の延伸が必要なこともあります ) 図表 3 は 正社員 ( 全国社員 勤務地限定社員 ) 契約社員 パート社員の適用ランクを模式的に示しています また 図表 4 は 実際の賃金表 ( 図表 4-1) の横に 就労形態別 等級別の適用ランクを併記したものです これらを見ると 役割責任が 1 段階違うと 2 ランクの格差があり 人材活用上の制約一つにつき 1 ランクの格差があることを視覚的に確認できますね 4 契約社員の賃金改定基準を整理する最後にランク型賃金表を使って基本給を運用するための賃金改定基準を整備します これについても正社員と同じように 等級と評価 (SABCD) に応じた上限額を定め 毎年の評価と現在の賃金ランクの兼ね合いで改定号数を決める 段階接近法 ( 3) をお奨めします 36
3: 段階接近法 は株式会社プライムコンサルタントの登録商標です 評価の SABCD に対応する評価レートは賃金表の適用ランクと同じ数字になりますので K1 は 3 点から 7 点 K2 は 5 点から 9 点です 図表 5 は 契約社員の評価レートを 他の就労形態のものと並べて表したものです 賃金改定基準は図表 6 のようなマトリックス表になります これまで同様 縦軸 の賃金ランクと横軸の評価レートの交点から 改定号数を読み取ります 例えば K1 等級で 3 ランクにいる人が B 評価で改定される場合 B 評価は 5 点ですから 3 ランクとの交点から+ 3 号の昇給となります この人が 毎年 K1 の B 評価を取り続けた場合 5T まで昇給して据え置きとなります また C 評価 (4 点 ) を取り続けた場合は 4T A 評価 (6 点 ) を取り続けた場合は 6T で昇給停止になるわけですね なお 図表 6 の上部の丸印で示したように K1 と P2 図表 3:X 社の新しい基本給表の全体構成 ( 契約社員を含めた適用ランクの設定例 ) 基本給表 号数ランク月額時給 136 17 526,270 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1 165,000 130,760 1,409 役割責任 P1 等級 [ アシスタント ] P2 等級 [ 一般 ] K1 等級 [ 一般 ] K2 等級 Ⅰ 等級 Ⅱ 等級 Ⅲ 等級 [ 担当 ] [ 一般 ] [ 担当 ] [ 主任 ] パート社員契約社員正社員 S=12 点 A=12 点 S=11 点 A=11 点 B=11 点 S=10 点 A=10 点 B=10 点 Ⅳ 等級 [ 課長 ] Ⅴ 等級 [ 部長 ] S=17 点 A=16 点 S=15 点 B=15 点 A=14 点 S=13 点 B=13 点 C=10 点 S=9 点 S=9 点 A=9 点 B=9 点 C=9 点 D=9 点 A=8 点 S=8 点 A=8 点 B=8 点 C=8 点 D=8 点 S=7 点 S=7 点 B=7 点 A=7 点 B=7 点 C=7 点 D=7 点 A=6 点 A=6 点 C=6 点 B=6 点 C=6 点 D=6 点 S=5 点 B=5 点 B=5 点 D=5 点 C=5 点 D=5 点 A=4 点 C=4 点 C=4 点 D=4 点全国社員 B=3 点 D=3 点 D=3 点 1,032 C=2 点 818 D=1 点 勤務地限定社員 ( 注 ) 表中の点数 (1 点 17 点 ) は対応する評価レートを表す Ⅰ 等級 Ⅴ 等級のランクは 全国社員にはグレーの範囲 勤務地限定社員には白地の範囲を適用する C=12 点 D=11 点 C=14 点 D=13 点 2017.4.25 先見労務管理 37
図表 4:X 社の新しい賃金表 ( 契約社員を含めたランク型賃金表の例 ) 1 基本給表 2 就労形態別 等級別の適用ランク (1 点 17 点は対応する評価レートを表す ) D月 額 時 給 全国社員 勤務地限定社員 契約社員 パート社員 号数ランク 基本給額 号差金額 基本給額 号差金額 ( 平均 ) Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅰ Ⅱ Ⅲ K1 K2 P1 P2 1 132,060 826 3 1 133,360 834 1 1 130,760 1,300 818 8 4 1 134,660 842 パート社員 5 1 135,960 850 初任給 6 1 137,260 858 7 1 138,560 866 8 1T 139,860 875 9 2 141,160 1,420 883 9 11 2 144,000 900 12 2 145,420 909 13 2 146,840 918 14 2 148,260 927 15 2 149,680 936 16 2T 151,100 945 K1 P2 17 3 152,520 1,560 954 10 B19 3 155,640 973 D==20 3 157,200 983 33点点21 3 158,760 993 高卒 22 3 160,320 1,002 初任給 23 3 161,880 1,012 24 3T 163,440 1,022 Ⅰ25 4 165,000 1,700 1,032 11 DCA27 4 168,400 1,053 ===28 4 170,100 1,064 444点点点29 4 171,800 1,074 30 4 173,500 1,085 31 4 175,200 1,095 Ⅰ32 4T 176,900 1,106 K2 33 5 178,600 1,860 1,117 12 DCBDS35 5 182,320 1,140 =====36 5 184,180 1,152 55555点点点点点37 5 186,040 1,163 38 5 187,900 1,175 39 5 189,760 1,186 40 Ⅱ41 5T 191,620 1,198 6 193,480 1,210 CBDAC43 6 197,560 1,235 =====44 6 199,600 1,248 66666点点点点点45 6 201,640 1,261 46 6 203,680 1,273 47 6 205,720 1,286 48 Ⅱ49 6T 207,760 1,299 7 209,800 1,312 BDACSB51 7 214,260 1,340 ======52 7 216,490 1,354 777777点点点点点点53 7 218,720 1,367 54 7 220,950 1,381 55 7 223,180 1,395 56 Ⅲ57 7T 225,410 1,409 8 227,640 ACSBD59 8 232,520 =====60 8 234,960 88888点点点点点61 8 237,400 62 8 239,840 63 8 242,280 2 =1点10 2 142,580 892 =2点18 3 154,080 963 =3点26 4 166,700 1,042 =4点34 5 180,460 1,128 =5点42 6 195,520 1,222 =6点50 7 212,030 1,326 =7点58 8 230,080 =8点38
D=9点A=9点C=9点66 9 249,840 =9点C=10 点S=10 点B=10 点74 10 271,530 D=11 点A=11 点82 11 295,250 C=12 点S=12 点90 12 321,230 S67 9 252,520 =68 9 255,200 9点69 9 257,880 70 9 260,560 71 9 263,240 72 9T 265,920 73 10 268,600 75 10 274,460 76 10 277,390 77 10 280,320 78 10 283,250 79 10 286,180 80 Ⅳ81 10T 289,110 11 292,040 3,210 =10 点SB=3,510 A=3,850 S83 11 298,460 =84 11 301,670 85 11 304,880 11 点11 点86 11 308,090 87 11 311,300 88 11T 314,510 89 12 317,720 91 12 324,740 92 12 328,250 93 12 331,760 12 点94 12 335,270 95 12 338,780 96 12T Ⅴ97 342,290 13 345,800 B=4,210 A=4,610 S=5,050 A99 13 353,500 =100 13 357,350 101 13 361,200 13 点13 点102 13 365,050 103 13 368,900 104 13T 372,750 105 14 376,600 107 14 385,020 108 14 389,230 109 14 393,440 14 点110 14 397,650 111 14 401,860 112 14T 406,070 113 15 410,280 115 15 419,500 116 15 424,110 117 15 428,720 15 点118 15 433,330 119 15 437,940 120 15T 442,550 121 16 447,160 122 16 =16 点S123 16 457,260 124 16 462,310 452,210 125 16 467,360 126 16 472,410 127 16 477,460 128 16T 482,510 129 17 487,560 5,530 130 17 =17 点131 17 498,620 132 17 504,150 493,090 133 17 509,680 134 17 515,210 135 17 520,740 136 17T 526,270 ( 注 ) 各ランクの T は 上限金額 (Top) の位置を示す 2017.4.25 先見労務管理 D=13 点98 13 349,650 C=14 点106 14 380,810 B=15 点114 15 414,890 39
本給ラン図表 5:X 社の新しい等級別 SABCD と評価レートの対応 ( 契約社員を含めた評価レートの設定例 ) 1 全国社員 2 勤務地限定社員 3 契約社員 4パート社員 等級 等級 等級 等級 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅰ Ⅱ Ⅲ K1 K2 P1 P2 S 9 点 11 点 13 点 15 点 17 点 S 8 点 10 点 12 点 S 7 点 9 点 S 5 点 7 点 A 8 点 10 点 12 点 14 点 16 点 A 7 点 9 点 11 点 A 6 点 8 点 A 4 点 6 点 B 7 点 9 点 11 点 13 点 15 点 B 6 点 8 点 10 点 B 5 点 7 点 B 3 点 5 点 C 6 点 8 点 10 点 12 点 14 点 C 5 点 7 点 9 点 C 4 点 6 点 C 2 点 4 点 D 5 点 7 点 9 点 11 点 13 点 D 4 点 6 点 8 点 D 3 点 5 点 D 1 点 3 点 図表 6:X 社の新しい基本給改定基準 ( 段階接近法 ) ( パートタイマーを含めた改定基準の設定例 ) 就労形態ごとの SABCD と評価レートの対応 全国社員 勤務地限定社員 契約社員 パート社員 Ⅴ D C B A S Ⅳ D C B A S Ⅲ D C B A S Ⅱ D C B A S Ⅰ D C B A S Ⅲ D C B A S Ⅱ D C B A S Ⅰ D C B A S K2 D C B A S K1 D C B A S P2 D C B A S P1 D C B A S 評価レート ク10-9 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 +14 +15 +16 +17 1T +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 +14 +15 +16 2-1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 +14 +15 +16 2T -1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 +14 +15 3-2 -1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 +14 +15 3T -2-1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 +14 4-3 -2-1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 +14 4T -3-2 -1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 5-4 -3-2 -1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 +13 5T -4-3 -2-1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 6-5 -4-3 -2-1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 +12 6T -5-4 -3-2 -1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 7 点基-6-5 -4-3 -2-1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11 7T -6-5 -4-3 -2-1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 1 点 2 点 3 点 4 点 5 点 6 点 7 点 8 点 9 点 10 点 11 点 12 点 13 点 14 点 15 点 16 点 17 8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 8T -7-6 -5-4 -3-2 -1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 9T -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 10T -9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 11-10 -9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 11T -10-9 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 12-11 -10-9 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +1 +2 +3 +4 +5 +6 12T -11-10 -9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +0 +1 +2 +3 +4 +5 13-12 -11-10 -9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +1 +2 +3 +4 +5 13T -12-11 -10-9 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +0 +1 +2 +3 +4 14-13 -12-11 -10-9 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +1 +2 +3 +4 14T -13-12 -11-10 -9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +0 +1 +2 +3 15-14 -13-12 -11-10 -9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +1 +2 +3 15T -14-13 -12-11 -10-9 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +0 +1 +2 16-15 -14-13 -12-11 -10-9 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +1 +2 16T -15-14 -13-12 -11-10 -9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +0 +1 17-16 -15-14 -13-12 -11-10 -9-8 -7-6 -5-4 -3-2 -1 +1 17T -16-15 -14-13 -12-11 -10-9 -8-7 -6-5 -4-3 -2-1 +0 40
は 役割責任も人材活用上の制約も同じなので 評価レートは互いに等しくなります 図表 7 は 就労形態ごとに等級と評価に応じた上限額の一覧です これにより 全 ての社員に対して賃金の絶対額管理を行っていることを示すことができます また 同図表の2 勤務地限定社員 3 契約社員 4パート社員の金額の下の百分率 図表 7:X 社の就労形態別 等級 評価別の基本給の上限額および全国社員に対する比率 1 全国社員 ( 月額 ) ( 単位 : 円 ) 等級 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Sの上限 9T 265,920 11T 314,510 13T 372,750 15T 442,550 17T 526,270 Aの上限 8T 244,720 10T 289,110 12T 342,290 14T 406,070 16T 482,510 Bの上限 7T 225,410 9T 265,920 11T 314,510 13T 372,750 15T 442,550 Cの上限 6T 207,760 8T 244,720 10T 289,110 12T 342,290 14T 406,070 Dの上限 5T 191,620 7T 225,410 9T 265,920 11T 314,510 13T 372,750 2 勤務地限定社員 ( 月額 ) ( 単位 : 円 ) 等級 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Sの上限 8T 244,720 92.0% 10T 289,110 91.9% 12T 342,290 91.8% Aの上限 7T 225,410 92.1% 9T 265,920 92.0% 11T 314,510 91.9% Bの上限 6T 207,760 92.2% 8T 244,720 92.0% 10T 289,110 91.9% Cの上限 5T 191,620 92.2% 7T 225,410 92.1% 9T 265,920 92.0% Dの上限 4T 176,900 92.3% 6T 207,760 92.2% 8T 244,720 92.0% 3 契約社員 ( 月額 ) ( 単位 : 円 ) 等級 K1 K2 Sの上限 7T 225,410 84.8% 10T 265,920 84.6% Aの上限 6T 207,760 84.9% 9T 244,720 84.6% Bの上限 5T 191,620 85.0% 8T 225,410 84.8% Cの上限 4T 176,900 85.1% 7T 207,760 84.9% Dの上限 3T 163,440 85.3% 6T 191,620 85.0% 4パート社員 ( 時給 ) ( 単位 : 円 ) 等級 P1 P2 S の上限 A の上限 B の上限 C の上限 D の上限 5T 4T 3T 2T 1T 1,198 85.0% 1,106 85.1% 1,022 85.3% 945 85.4% 875 85.6% 7T 6T 5T 4T 3T 1,409 84.8% 1,299 84.9% 1,198 85.0% 1,106 85.1% 1,022 85.3% ( 注 )2 3 4 の金額の下のパーセントは 同じ役割責任の全国社員の金額に対する比率を示すなお 4 は 時給額で比較しており P1 等級に対応する全国社員の上限額は 3T 7T である 2017.4.25 先見労務管理 41
(%) は 1 全国社員の金額に対する比率を 示しています これを見ると 勤務地限定社員は全国社員の約 92% 契約社員とパート社員については全国社員の約 85% の金額を設定していることがわかります 勤務地限定社員については 連載第 19 回で確認したように 現時点での勤務地限定に基づく格差の相場 (1 割から 2 割程度 ) に相当します また 契約社員とパート社員については 政府が ニッポン一億総活躍プラン の中で掲げている 正規と非正規の待遇格差を欧州並みの 2 割程度に縮める ( 日本の現状は約 4 割 ) という目標に合致した水準だと言えるでしょう このように 契約社員についてもランク型賃金表を応用して 正社員の制度と関連付けて基本給の仕組みを作ることができ 全国社員との賃金格差も適度に設定できることができました さて 前回はパートタイマー 今回は契約社員の取り扱いを整理したわけですが ここで冒頭で触れた同一労働同一賃金ガイドライン案の 5 ページにある注記との関係を確認しておきたいと思います 無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者の間に基本給や各種手当といった賃金に差がある場合において その要因として無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者の賃金の決定基準 ルールの違いがあるときは 無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため 賃金の 決定基準 ルールが異なる という主観 的 抽象的説明では足りず 賃金の決 定基準 ルールの違いについて 職務内容 職務内容 配置の変更範囲 その他の事情の客観的 具体的な実態に照らして不合理なものであってはならない ( 4) ( 同一労働同一賃金ガイドライン案 5 ページ ( 注 )1 段落目 ) 少し入り組んだ文章なので思い切って要約すると 正社員と契約社員やパート社員 の間に賃金格差を設ける場合は 将来の役 期待が異なるというような主観的 抽象 割 的な説明ではなく 職務内容 職務内容 配置の変更範囲など客観的 具体的な実態 に基づいて説明できなければならない ( 5) と解釈できます 4 5: 4 の下線 波線 二重線は筆 者が追記したものであり 5 の要約文中の用語と対応しています 皆さん これを読んでどのように感じられたでしょうか これまで何度か パートだから 非正規だから という説明では 今後は通用しないと言ってきました それならば パートや契約社員は役割期待が違うから と言えばよいのかというとそうではない 事実に基づかない説明ではダメであると警鐘が鳴らされた格好です 抽象的な表現で人々を煙に巻くのではなく 働く人が なるほど それなら差があるのも当然だ と納得できる制度設計と説明が求められています 本連載で紹介している 役割責任と人材活用の仕組みを整理したうえで一本通しのランク型賃金表で扱っていくというアプローチは この警鐘に応える説明力を兼ね備えていると考えます 42