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目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

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従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

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れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

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介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

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( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 ( 事業所情報欄 ) 1 事業主名 ( - ) 2 事業所住所 3 電話番号 ( ) 5 雇用保険適用 - 事業所番号 4 事業所の 担当者 - 都道府県所掌管轄基幹番号枝番号 6 労働保険番号 - ( 代理人 社会保険労務士による提出代行者または事務代

周知 啓発方法 ハローワークや 障害者就労支援センター 障害者就業 生活支援センターといった地域福祉の支援体制と連携し 病気やけがなどで重度の障害を負った人でも働くことができる という意義を常に強調して就業機会を提供している 人事 労務管理の整備 在宅勤務の社員は 前月 25 日までに翌月分の勤務予

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

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ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)  レベル診断チェックシート

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)各 職場復帰前 受入方針の検討 () 主治医等による 職場復帰可能 との判断 主治医又はにより 職員の職場復帰が可能となる時期が近いとの判断がなされる ( 職員本人に職場復帰医師があることが前提 ) 職員は健康管理に対して 主治医からの診断書を提出する 健康管理は 職員の職場復帰の時期 勤務内容

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

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平成29年度     地域経済動向調査      調査報告書

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調査結果 1. 働き方改革 と聞いてイメージすること 男女とも 有休取得 残業減 が 2 トップに 次いで 育児と仕事の両立 女性活躍 生産性向上 が上位に 働き方改革 と聞いてイメージすることを聞いたところ 全体では 有給休暇が取りやすくなる (37.6%) が最も多く 次いで 残業が減る (36

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地域包括支援センターにおける運営形態による労働職場ストレス度等の調査 2015年6月

1. 民間での障害者雇用における現状 1 民間企業における障害者の雇用状況 2 企業規模別実雇用率 3 企業規模別雇用率達成割合 2. 障害者の就労の現状について 1 中小企業で障害者雇用が進まない理由また 大企業での課題 2 特例子会社で障害者雇用が進む理由 3 事業共同組合等算定特例について 4

男女共同参画に関する意識調査

1 環境 教育 文化 医療 福祉 子育て支援 まちづくり等の地域の社会的な課題に 地域住民や地域組織が主体的に参画したり NPO 等を組織して その解決に向けて取り組むものであるか 特例子会社制度を乗り越えた 地域企業グループ ( 特例 ) の中心となる事業主として 大阪府豊中市と兵庫県伊丹市で活躍

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第 3 章 雇用管理の動向と勤労者生活 ては 50 歳台まで上昇する賃金カーブを描いており 他の国々に比して その上昇テンポも大きい また 第 3 (3) 2 図により勤続年数階級別に賃金カーブをみても 男女ともに 上昇カーブを描いており 男性において特に その傾きは大きくなっている なお 女性につ

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条件画面報告対象期間報告年月日 (6 月 1 日現在 ) 得意先 NO 部門出勤区分ファンクションキーヘルプ (F1) プレビュー (F8) 印刷 (F9) 終了 (F12) 年度報告する期間の開始年月日と終了年月日を指定します システム日付の年とシステム固定で持つ決算年月日の日付により 初期値をセ

Transcription:

特例子会社を設立しようとお考えの企業の皆様特例子会社を運営している企業の皆様 へ 特例子会社の設置 運営のために 多様化する特例子会社の経営 雇用管理の現状及び課題の把握 分析に関する調査 より 高齢 障害 求職者雇用支援機構では 近年 増加している特例子会社の実態や抱えている課題を把握するため アンケート調査 ( 回答企業 194 社 ) 及びヒアリング調査 ( 対象企業 10 社 ) を実施しました このリーフレットでは その結果の概要をご紹介するとともに その結果に基づき 特例子会社を設置 運営するのにあたって参考としていただきたい事項についてご説明しています Ⅰ 特例子会社の運営について 1 親会社の関与の重要性アンケート調査に回答した特例子会社の多くは 安定的な経営がなされていました その要因は 特例子会社が独立した一会社とはいえ 親会社が継続的 積極的に子会社へ業務を委託し 支援していることがあげられます もともと特例子会社は 親会社の業務の一部を実施する会社として設立されることが多いのですが 経営状態を 良い としている特例子会社では 設立当初から行ってきた業務だけでなく それまでは親会社が自ら実施していた業務や 親会社が外部に発注していた業務を新たに受注し 業務の幅を広げているところが多くみられました 併せて 親会社からの受注の割合が高まっているところが多くみられ 親会社が積極的に特例子会社に支援していることがうかがえました また調査結果では そのような親会社の支援は 特例子会社に対してどのような方針を持っているかにより左右されることが示されました 例えば 親会社が 特例子会社で雇用する障害者をさらに増やしたい と考えている場合には 親会社がこれまで自社で行っていた業務を新たに特例子会社に受注するところが多くなっているなど 親会社の前向きな姿勢が実際の業務の委託にも反映されています ポイント 特例子会社の設立が親会社にとっての障害者雇用のゴールではありません 調査結果にもあるように 特例子会社の経営が安定 発展していくことができるよう 親会社も障害者雇用を担う当事者として不断に関与していくことが求められています 独立行政法人高齢 障害 求職者雇用支援機構 Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons with Disabilities and Job Seekers

2 特例子会社の経営努力の重要性 1 であげたような親会社からの支援は 待っていればもたらされるというものではありません ヒアリング調査では 親会社からの支援を確保するため 特例子会社自身も以下のような様々な取組みを行っていることが明らかになりました 同じ仕事を他社が受注する場合よりも単価を低く設定できるよう努力する ミスを減少させ 仕事の質を向上させるため 常に改善策を検討し 実行する 親会社の業務の中から実施できそうな業務を特例子会社が自ら見つけ出し それを受託できるよう親会社に積極的に提案する 例えば 加工業務における難易度の引上げ 清掃業務における範囲の拡大等 今まで特例子会社で行っていた業務に関連する業務 例えば データ入力 リサイクル業務等 親会社の業務のうち 特例子会社が実施できる業務 ポイント 社会情勢や景気の状況の中で 親会社からの業務が いつまでも同じように発注されるとは限りません 親会社からの支援を受けている特例子会社であっても 一般の会社と同様に常に業務を見直し 他の会社からの受託も含め 業務の増加 拡大を目指していくことが求められます 親会社からの継続的な支援を確保するためにも 経営努力を続け 常に特例子会社の存在意義をアピールしていくことが重要です Ⅱ 特例子会社における障害者の労働条件について 1 賃金制度についてアンケート調査結果によると 賃金制度について 特例子会社が考慮している事項は グラフのような状況になっています 先行する特例子会社では 勤務意欲 態度 実績 成果 職務 勤務年数 などを考慮した賃金体系を導入している会社が多くある一方 年齢 や 学歴 はあまり考慮されていません ただし 勤務意欲 態度 実績 成果 といったものを考慮する場合には 何らかの評価基準 評価制度が必要になります 勤務年数 年齢 学歴 職務 勤務態度 意欲 実績 成果 その他 無回答 17( 8.8%) 1( 0.5%) 19( 9.8%) 51(26.3%) 76(39.2%) 89(45.9%) 164(84.5%) 133(68.6%) 単位 : 社 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 障害のある社員に対しどのような賃金制度で考慮している事項 (N=194 社複数回答 ) 評価基準を設定すべきか どのような評価制度を導入すべきかお悩みの場合は 中央障害者雇用情報センターの障害者雇用エキスパート ( 最終ページをご参照ください ) にご相談ください 先行する会社の事例を踏まえ ご相談に応じます

ご注意ください 都道府県労働局長の許可を受けることにより個別に最低賃金の減額の特例が認められる場合がありますが 調査した特例子会社の大半 ( 約 98%) は 最低賃金の減額の特例を利用していません 障害のあることのみを理由にして その労働能力を考慮せず 一律に最低賃金の減額特例を申請することは適当ではありません 2 労働時間制度についてアンケート調査結果によると 労働時間の設定に当たり 特例子会社が実施している措置 は グラフのような状況になっています 先行する特例子会社では 労働時間制度について 短間勤務制度の導入 フレックスタイム シフト勤務 半休制度等の柔軟な労働時間制度の導入 服薬や通院の時間の確保 といった配慮をしている会社が多く 見られましたが その一方で 人的な支援や職場環境の整備などにより 労働時間についての特別な配慮は必要ない 特段の措置は講じていない 人的支援や環境整備などにより 労働時間については特別な配慮は必要ない 柔軟な労働時間制度 ( フレックスタイム シフト勤務 半休制度等 ) を導入している 障害等に配慮した短時間勤務制度を導入している 短時間労働からスタートし 徐々に勤務時間を延長する 休憩時間を細かく設定する 服薬 通院等医療的配慮の時間を確保する 12( 6.2%) 41(21.1%) 41(21.1%) 62(32.0%) 34(17.5%) 72(37.1%) 52(26.8%) 単位 : 社 61(31.4%) 0 20 40 60 80 労働時間の設定に当たっての配慮事項 (N=194 社複数回答 ) 労働時間について特別の措置は講じていない という企業も多くありました 労働時間の設定に当たっての配慮が重要なことは言うまでもありませんが 通常の労働時間でも十分に働くことができる人も多くあります 様々な制度を導入した場合であっても それを一律に適用することは適当ではありません 労働時間制度の導入についても 中央障害者雇用情報センターの障害者雇用エキスパート ( 最終ページをご参照ください ) がご相談に応じております ぜひご活用ください その他 特例子会社とは 障害者雇用については 企業ごとに 常用雇用労働者の一定割合 (1.8%) 以上の障害者を雇用することが法律で義務づけられています ただし 障害者雇用に特別の配慮をし 一定数以上 (5 人以上 かつ当該子会社の全従業員数の 20% 以上 雇用される障害者のうち重度身体障害者 知的障害者及び精神障害者の割合が 30% 以上 ) の障害者を雇用するなど 一定の要件を満たした子会社を設立し 厚生労働大臣の認定を受けた場合 子会社で雇用されている障害者は親会社に雇用されているものと見なし 親会社と子会社を合わせて障害者雇用率を算出することができます このような子会社を 特例子会社 といいます

Ⅲ 特例子会社における支援体制について 1 職場において 障害のある社員が能力を発揮して働くための支援体制アンケート調査結果によると 9 割以上の特例子会社で 業務についての指導 支援を行う特別のスタッフを配置する 障害者に対する定期的な面談 相談を実施している 採用前に職場実習期間を設けたり 採用後に複数の業務を体験させたりして 適材適所の配置に努める といった取組みを行っています また 複数の就労場所がある場合は その場所ごとに人的支援体制を整えています 2 上司 同僚等による職場の支援体制を強化するための取組みアンケート調査結果によると 約 7 割の会社が 外部の支援機関に相談し アドバイスを得ている としており 多くの障害者を雇用している特例子会社においては 外部の支援機関を効果的に活用することが通常となっています また その相談先も 特別支援学校 障害者自立支援センター 職業能力開発施設 障害者就業 生活支援センター 地域障害者職業センター ハローワーク等さまざまな機関にわたっており 相談先を 1 か所に定めているというよりも 対象となる社員や相談の内容によって複数の相談先を利用していることがうかがえます 3 障害者の能力開発の取組みアンケート調査結果によると 能力開発の取組みとして 職場における OJT をあげたのは全体の約 8 割の会社である一方 社内での OFF-JT 社外での OFF-JT 社外での自己啓発に対する支援 などは 3 割未満にとどまっており 特例子会社においては より職場における OJT のウエイトが大きくなっています 4 職場定着 経営状況との関係障害のある社員が能力を発揮して働くためにさまざまな取組みを行っている会社では 仕事の内容が本人に合わなかった という理由での離職は少なく 積極的な取組みが 障害者の仕事への適応に効果があることがうかがえます また 障害のある社員が能力を発揮して働くための取組み OJT による能力開発 職場の支援体制の強化等を実施している特例子会社ほど 親会社の既存業務や親会社が外部に委託していた業務を新たに受注したり 売上高が増加したりしています ポイント 上記の取組みについては 特例子会社に対する親会社の運営方針が 障害者雇用について現状を維持することや法定障害者雇用率を達成することにとどまらず 親会社の CSR の一環として 事業をさらに発展させたい さまざまな地域貢献を進めることにより 障害者雇用を進展させたい などの積極的なものである場合は より多くの取組みが実施されており 親会社の前向きな姿勢が 特例子会社のきめ細かな取組みをバックアップしていることがうかがえます また これらの取組みが特例子会社の経営にも影響を与えていることがうかがえます

参考 1 雇用管理 職場定着 経営状況等の関係についてアンケート調査の結果から 特例子会社の雇用管理のあり方 雇用している障害者の定着状況 特例子会社の経営状況が互いにどのように影響し合っているかを分析した結果 以下のような関係がみられました < その他の要因 > 親会社の属性 3 親会社が特例子会社に対し 積極的な運営方針を持っている場合は 特例子会社で能力発揮や支援体制強化の取組みを積極的に実施 雇用管理 2 能力発揮や能力開発のための取組みと 売上高や受注の開拓とが関連 1 能力発揮の取組みが仕事への適応に関連 親会社との受注関係 経営状況 4 親会社からの受注比率の増加が経営状況の改善や売上高増加に関連 明らかな関連は見られなかった 職場定着 1 社員が能力を発揮して働くための取組みを数多く実施している会社では 仕事が本人に合わなかった という理由での離職が少ない 2 社員が能力を発揮して働くための取組や OJT など能力開発の取組みを数多く実施している会社では 受注の拡大や売上高の増加がみられた 3 親会社が特例子会社に対し 親会社の CSR の一環として 事業をさらに進展させたい さまざまな地域貢献を進めることにより障害者雇用を進展させたい などの積極的な方針を持つ場合は 社員が能力を発揮して働くための取組を数多く実施している 4 親会社からの受注比率が高まっている会社では 経営が改善したり 売上高が増加したりするところが多い

参考 2 ある特例子会社の取組み ( ヒアリング調査結果から ) A 社では 食品加工 印刷 クリーニング メール業務 用度管理業務 事務代行業務等幅広い業務を実施しています 特例子会社あっても 利益を上げる ことが基本で 設立当初からそれを意識して経営にあたっており 現在 営業利益は黒字となっています 親会社と子会社全体でのトータルコストの削減が重要で 経営陣は 障害者雇用のためならトータルコストが増加しても仕方ない というのは危険だと考え 設立当時から部門ごとの損益を精査するシステムを導入し 常に特例子会社として実施する業務内容の見直しを行っています また 生産性の向上のため 社員に対しては評価制度を導入し その評価結果を実際の処遇に反映させることにより モチベーションにつながるように図っています ここ数年は 社員の高齢化に伴い これまでできていた仕事ができなくなるという問題も発生していますが 現在のところは 配置転換により業務を変えることで対応しています ただし 今後は高齢化に伴う生活支援のネットワークづくりも必要であると考え 福祉機関との連携を図っています 以上が 当機構が実施した 多様化する特例子会社の経営 雇用管理の現状及び課題の把握 分析に関する調査 の概要になります 詳細をお知りになりたい方は 当機構ホームページに報告書を掲載しておりますので こちらをご覧ください http://www.jeed.or.jp/data/disability/ex_ls/ex_research.html また 当機構では特例子会社の設立 運営等の経験を持つ障害者雇用エキスパートが 下記の中央障害者雇用センターにおいて 特例子会社の設立や障害者雇用の促進をお考えの企業の方からのさまざまなご相談に応じております ぜひご活用ください 独立行政法人高齢 障害 求職者雇用支援機構中央障害者雇用情報センター 住所 130-0022 東京都墨田区江東橋 2 丁目 19 番 12 号ハローワーク墨田 5 階 電話番号 03-5638-2792 FAX 番号 03-5638-2282 メールアドレス syougai-soudan@jeed.or.jp ご利用時間平日 9 時から17 時まで ( 祝日及び12 月 29 日から1 月 3 日までを除く ) 中央障害者雇用情報センター ( ハローワーク墨田 5 階 ) このリーフレットの内容についてのお問合せは 下記までご連絡ください 高齢 障害 求職者雇用支援機構雇用開発推進部雇用開発課 261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉 3-1-3 障害者職業総合センター内電話番号 043-297-9613 FAX 番号 043-297-9547