熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター 臨床薬理分野平田純生
鎮痛薬 NSAIDs COX-2 選択的阻害薬 アセトアミノフェン オピオイド トラマドールモルヒネ 腎機能に影響される薬物 神経障害性疼痛に いられる薬物 ガバペンチン プレガバリン 急性腎障害 生涯数 kg の合剤服用で透析導入 尿中排泄 15% なのに血中濃度 2 倍活性代謝物蓄積による昏睡 尿中排泄率 90% 以上 デュロキセチン 尿中排泄率 0% なのに血中濃度上昇 オキシコドン フェンタニル ブプレノルフィン ノルトリプチリン アミトリプチリン イミプラミンは腎の影響を受けない
腎不全患者の特殊な薬物動態
リリカ R により呂律困難になった透析患者 76 歳の女性透析患者 150cm 体重 46.3kg 帯状疱疹後痛によりリリカ R を添付文書に記載されている透析患者の推奨用量 ( 初期用量 :25 又は 50mg 維持量 :50 又は 75mg 最高投与量 :100 又は 150mg ) に則り 1 日 25mg が投与されたが 投与開始 3 日後に呂律困難 構語障害が発症し投与中止となった 成末まさみ, 他 : 透析会誌 38:155 161, 2015
40 報告件数(件CKD 患者における副作 経験薬と経験数和泉智, 他 : 日本病院薬剤師会雑誌. 2010; 46(8) : 989-992. 35 30 25 20 15 )10 5 0
CKD ステージ別有害事象発症率 (%) 有害反応発症率N=19 N=54 N=28 N=3 N=4 N=12 50 透析患者 9 名中 5 名 (55.6%) 6 人 40 30 非 CKD 患者 4.1% 3/73 CKD 患者 22% 11/47 1 人 20 4 人 10 3 人 0 1 2 3a 3b 4 5 CKD ステージ分類 成末まさみ, 他 : 透析会誌 38:155 161, 2015
プレガバリンの副作 発 群と 発 群の 較 発生群 (n=14) 非発生群 (n=109) P 値 年齢 77.0±9.1 68.4±13.9 0.0052 男 / 女比 5/9 60/49 0.28 BW(kg) 47.84±10.69 57.81±12.75 0.006 維持用量 ( mg ) 64.29±37.61 108.72±67.13 0.00099 S Cr(mg/dL) 4.30±4.62 1.26±1.92 0.029 egfr(ml/min/1.73m 2 ) 32.64±27.95 68.0±25.3 0.00037 DM/non DM 5/9 38/71 0.95 高齢者で体重の軽い症例で腎機能が低ければ低いほど添付文書よりさらに減量が必要! 成末まさみ, 平田純生, 他 : 透析会誌 38:155 161, 2015
クレアチニンクリアランス (ml/min): 60 軽度腎機能低下 1 日投与量 :150~600mg 初期用量 :1 回 75mg1 日 2 回維持量 :1 回 150mg1 日 2 回最高投与量 :1 回 300mg1 日 2 回クレアチニンクリアランス (ml/min): 30-<60 中等度腎機能低下 1 日投与量 :75~300mg 初期用量 :1 回 25mg1 日 3 回又は1 回 75mg1 日 1 回維持量 :1 回 50mg1 日 3 回又は1 回 75mg1 日 2 回最高投与量 :1 回 100mg1 日 3 回又は1 回 150mg1 日 2 回クレアチニンクリアランス (ml/min): 15-<30 高度機能低下 1 日投与量 :25~150mg 初期用量 :1 回 25mg1 日 1 回もしくは2 回又は1 回 50mg1 日 1 回維持量 :1 回 75mg1 日 1 回最高投与量 :1 回 75mg1 日 2 回又は1 回 150mg1 日 1 回 クレアチニンクリアランス (ml/min):<15 1 日投与量 :25~75mg 初期用量 :1 回 25mg1 日 1 回維持量 :1 回 25 又は50mg1 日 1 回最高投与量 :1 回 75mg1 日 1 回血液透析後の補充用量 * 初期用量 :25 又は50mg 維持量 :50 又は75mg 最高投与量 :100 又は150mg 末期腎不全 注 :2 日に 1 回 本剤投与 6 時間後から 4 時間血液透析を実施した場合のシミュレーション結果に基づく
Pregabalin Renal Impairment Dosing CrCl (ml/minute) Total Pregabalin Daily Dose (mg/day) Dosing Frequency 60 (normal renal function) 150 300 450 600 2-3 divided doses 30-60 75 150 225 300 15-30 25-50 75 100-150 150 2-3 divided doses 1-2 divided doses <15 25 25-50 50-75 75 Single daily dose Posthemodialysis supplementary dosage (as a single additional dose): 25 mg/day schedule: Single supplementary dose of 25 mg or 50 mg 25-50 mg/day schedule: Single supplementary dose of 50 mg or 75 mg 50-75 mg/day schedule: Single supplementary dose of 75 mg or 100 mg 75 mg/day schedule: Single supplementary dose of 100 mg or 150 mg Up to Date より引用
リリカ R により呂律困難になった透析患者 76 歳の女性透析患者 150cm 体重 46.3kg 帯状疱疹後痛によりリリカ R を添付文書に記載されている透析患者の推奨用量 ( 初期用量 :25 又は50mg 維持量:50 又は75mg 最高投与量 :100 又は150mg ) に則り 1 日 25mgが投与されたが 投与開始 3 日後に呂律困難 構語障害が発症し投与中止となった 成末まさみ, 他 : 透析会誌 38:155 161, 2015 ポイント 添付文書に記載された投与量に従っても 理由は不明だが腎機能が低下すればするほどめまい 傾眠などの副作用発症率が高くなる 体重が軽めの症例が多い傾向にあった 米国の LYRICA の腎機能別用量設定がわが国のリリカ の添付文書の神経障害性疼痛の腎機能別用量設定と全く同じことが原因かもしれない 尿中排泄率 90%
薬物の排泄経路 極性高 極性低 水溶性薬物 脂溶性薬物 第 2 相反応 1 相反応体第 ( 肝 ) ( 主に肝 ) 酸化 還元 加水分解 R 代謝物 R OH 抱合抱合体 R O-Glu X X X 11 尿中排泄
モルヒネの代謝 腸肝循環 45% 不活性代謝物? 強力な中枢興奮作用? 5% ノルモルヒネ 1~5% モルヒネとして腸肝循環 モルヒネ以上の鎮痛作用 鎮静作用により意識障害 傾眠や呼吸抑制
モルヒネの代謝 腸肝循環 45% 不活性代謝物? 強力な中枢興奮作用? 親水性のグルクロン酸抱合体のM-6G, M-3G モルヒネとしての血中濃度は腎不全で 5% 3~40 倍高くなり腸肝循環するため 遷延性の意識障害 昏睡をきたしやすい 腎機能低下症例にはオキシコドン フェンタニルが推奨される ノルモルヒネ 1~5% モルヒネ以上の鎮痛作用 鎮静作用により意識障害 傾眠や呼吸抑制
デュロキセチンは 度腎障害には禁忌高度の腎障害のある患者では血中濃度が上昇することがあるため投与禁忌 尿中未変化体排泄率 0% なのに Cmax, AUC が高度腎障害で 2 倍になる サインバルタ R インタビューフォームより
デュロキセチンは 度腎障害には禁忌高度の腎障害のある患者では血中濃度が上昇することがあるため投与禁忌 尿中未変化体排泄率 0% なのに Cmax, AUC が高度腎障害で 2 倍になる 尿毒素の蓄積 CYP トランスポータなどの機能性タンパク質の翻訳語修飾の阻害 代謝 排泄の遅延? 血中濃度の上昇 サインバルタ R インタビューフォームより
NSAIDs の副作 について考えてみよう
薬物の副作 はこんなに多い!! 心臓病 74.3 万人 悪性腫瘍 53 万人 肺悪性腫瘍心臓病 35.7 万人 19.5 万人 血管疾68.7 万人脳炎Lazarou, J et al: JAMA 279: 1200-1205, 1998 ~1994 年の推計 ~ 副作用患米国における年間死亡者数 10.6 万人 ( 総死亡者数 221.6 万人中 6.7%) 15 万人 血管疾患34.4 万人脳死不慮の事故12.5 万人 12.4 万人 老衰日本の年間死亡者数 ~2011 年 ~ その他 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態 保健統計課 人口動態統計 その他
NSAIDs による死亡者 米国では人口の 1/3 の約 1 億人が慢性疼痛を抱えていると推定されており 2,500 万人は QOL の低下する中等度 ~ 重度の疼痛を有する [2015 年 1 月 16 日 ] MT Pro より 米国では NSAIDs による上部消化管出血などの副作用で 年に 10 万 3 千人が入院し 変形性膝関節症に限っても 1 年に 1 万 6 千人以上が死亡している (Singh G: Am J Ther 7: 115-121, 2000) リウマチに関しては少なくとも 2,000 人以上が NSAIDs 服用に関連して死亡している (Fries JF: Gasteroentenology 96: 647-655, 1989) 米国ではアセトアミノフェンによる過量服用死は年に 400 人以上 18 th Feb, 2014, American Gastrornterological Association
NSAIDs による死亡者 米国では人口の 1/3 の約 1 億人が慢性疼痛を抱えていると推定されており 2,500 万人は QOL の低下する中等度 ~ 重度の疼痛を有する [2015 年 1 月 16 日 ] MT Pro より 米国では NSAIDs による上部消化管出血などの副作用で 年に 10 万 3 千人が入院し 変形性膝関節症に限っても 1 年に 1 万 6 千人以上が死亡している (Singh G: Am J Ther 7: 115-121, 2000) リウマチに関しては少なくとも2,000 人以上がNSAIDs 服用米疾病対策センターによると 医者が処方した鎮痛剤のに関連して死亡している 過剰投与による死亡が米女性の間で急増しており (Fries JF: Gasteroentenology 96: 647-655, 1989) 2010 年の死者数は計約 1 万 5300 人と 1999 年の5 倍になって米国ではアセトアミノフェンによる過量服用死は年にいることが明らかになった 男性の死者数は約 2 万 3000 400 人人で 依然女性を上回っている 2013 年 7 月 5 日共同通信 以上 18 th Feb, 2014, American Gastrornterological Association
緊急 院の 2/3 を抗 栓薬 糖尿病薬が占める 通常使用される薬剤 ハ不イ適リ切ス使ク用薬薬 ワルファリン インスリン 抗血小板薬 血糖降下薬 麻薬 ジゴキシン HEDIS Beers criteria ジゴキシン除く Beers criteria 米国では年間推定 10 万人の高齢者が薬剤有害反応のために入院する 緊急入院の原因のほとんどが 4 つの一般的な製剤による 有害事象の 48% が 80 歳以上でその 2/3 が過剰服用による 0 5 10 15 20 25 30 35 10,000 人の外来患者あたりの緊急入院者数 Budnitz DS, et al: N Engl J Med 365: 2002-2012, 2011
ワルファリンと NSAIDs を併 した症例 75 歳男性のうっ血性心不全 Af のためワルファリンを服用中 腎障害は指摘されていない 変形性膝関節症のため 2 ヶ月前より 整形外科でロルカム R 4mg 3 錠 / 日を処方される ロルカム R 投与前は通常 INR が 2.0 前後で安定していたため 1 ヵ月後の INR 検査は行われていなかった 食事内容に著変はなかったが 2 ヶ月後突然消化管出血を起こし 入院精査すると血清 Cr 値は 7.2mg/dL に上昇し 透析が必要となった
本症例の出 腎機能悪化原因は? ワルファリン投与による消化管出血のリスクが NSAID 投与による胃障害 抗血小板作用により激症化した 高齢でうっ血性心不全という腎障害悪化因子があるにも関わらず NSAID が漫然と投与されていた ロルノキシカムは CYP2C9 阻害薬であり S- ワルファリン濃度 (AUC) を 1.58 倍上昇させる ( ラセミ体で 1.32 倍 ;Kohl C, Steinkellner M: Drug Metab Dispos 28:161-168, 2000 ) イブプロフェン インドメタシン メフェナム酸 ピロキシカム テノキシカム セレコキシブも CYP2C9 を阻害する
NSAIDs による腎障害について考えてみよう
薬剤性腎障害の原因薬物 その他 11% 抗リウマチ薬 6% 造影剤 6% 抗腫瘍薬 15% NSAIDs 25% NSAIDs 抗菌薬 37% 厚生省特定疾患進行性腎障害調査研究班 平成 3 年度研究業績集 p71-74
齢者における薬剤性腎障害の起因薬物 高齢者の ARF194 名中 39 名 (20%) が薬剤性腎障害 NSAIDs 服用者のうち 5 名 抗菌薬投与者のうち 2 名が死亡高齢者ほど腎障害を起こしやすい ACE-I 20.5% 造影剤 5.1% 抗菌薬 12.8% NSAIDs 61.5% Baraldi A, et al: Nephrol Dial Transplant 13:(S7): 25-29, 1998 より引用
NSAIDs 投与による急性腎不全発症リスク 心不全の有無 RR[95%CI] 非投与 非投与 + 心不全 NSAIDs のみ NSAIDs+ 心不全 0 2.0 4.0 6.0 8.0 2.82 3.34 7.63 10.0 12.0 高血圧の有無 非投与 非投与 + 高血圧 NSAIDs のみ NSAIDs+ 高血圧 2.09 3.69 6.18 Huerta C, et al: Am J Kidney Dis 45: 531-539, 2005 より引用
NSAIDs 投与による急性腎不全発症リスク 心不全の有無 高血圧の有無 RR[95%CI] 非投与 非投与 + 心不全 NSAIDs のみ NSAIDs+ 心不全 非投与 非投与 + 高血圧 NSAIDs+ 高血圧 0 2.0 4.0 6.0 8.0 2.82 3.34 2.09 7.63 10.0 12.0 3.69 NSAIDsのみ 6.18 NSAIDsと利尿薬の併用は相対リスクが11.6 倍 (95%CI: 4.2-32.2) に上昇する Huerta C, et al: Am J Kidney Dis 45: 531-539, 2005 より引用
NSAIDs 投与による急性腎不全発症リスク N S A I D の種類 RR[95%CI] 投与せず ジクロフェナク イブプロフェン メロキシカム ナプロキセン 0 2.0 4.0 6.0 8.0 3.12 2.64 8.05 2.98 12.0 32.0 Huerta C, et al: Am J Kidney Dis 45: 531-539, 2005 より引用
齢者への NSAIDs 投与 75 歳男性 身長 165cm 体重 60kg 加齢に伴う膝関節症で整形外科を受診 痛み止めとしてロキソニンを 1 回 1 錠 1 日 3 回毎食後服用で 30 日分投与された 50 歳代から内科医を受診し ACE 阻害薬 + 利尿薬を服用している 155/100mmHg である 血清 Cr 値 1.2mg/dL BUN 45mg/dL egfr 46.03 ml/min/1.73m 2 (44.13mL/min) と腎機能は低下していた NSAIDs 服用 2 か月後に食欲不振 全身倦怠感を訴え内科受診 血清 Cr 値 8.5mg/dL となり透析導入が必要となった 慢性糸球体腎炎 糖尿病 腎硬化症などの腎機能を悪化させる疾患の既往はなし このような腎機能悪化症例は 7 月 8 月に発症することが多い
NSAIDs による腎障害のメカニズム 腎障害の存在 RAA 系の亢進 交感神経系の亢進 腎血管収縮 腎機能低下 NSAIDs 腎における PG 産生による代償的な血管拡張 Whelton A, et al: Am J Med 106: 13S-24S, 1999 より引用
齢者へのNSAIDs 投与 75 歳男性 身長 165cm 体重 60kg 加齢に伴う膝関節症で整形外科を受診 痛み止めとしてロキソニンを1 回 1 錠 1 日 3 回毎食後服用で30 日分投与された 50 歳代から内科医を受診しACE 阻害薬 + 利尿薬を服用している155/100mmHg である 血清 Cr 値 1.2mg/dL BUN 45mg/dL egfr 46.03 ml/min/1.73m 2 (44.13mL/min) と腎機能は低下していた ポイント! BUN/Cr>20 であり脱水が疑われるため心不全がなければ水分補給が必要 NSAIDsのAKIになるリスクはeGFR<60mL/min/1.73m 2 高齢者 利尿薬などによる脱水 心不全 高血圧など本症例は 齢 圧 ACEI+ 利尿薬の投与既存の腎障害があるためNSAIDsの漫然投与は腎機能を悪化させやすい
ではどうする? 鎮痛解熱薬のアセトアミノフェン (APAP) を処方 外用 NSAIDs を活用する ± 十分量の APAP 可能な限り頓服での投与に変更してもらう 漫然と投与するなら 2 週間おきに血清 Cr 値を測定 痛くない時には飲む必要がないと指導 ±APAP 鎮痛薬腎症は急性腎障害 (AKI) ではなく乳頭壊死による慢性腎不全で原因は生涯にわたる数 kg のフェナセチンまたはアセトアミノフェンの服用 NSAIDs GFR 低下 漫然投与 ( 週 単位 ) AKI アセトアミノフェン GFR 維持 量漫然投与 ( 年単位 ) 慢性腎不全
腎 体の調節機構 輸入細動脈 腎機能正常時 輸出細動脈 腎機能低下 ( ネフロン数減少 ) 時 PG による輸入細動脈拡張 AⅡ による輸出細動脈収縮 GFR は正常 アルブミン尿はなし GFR は低下しているがネフロン 1 個あたりの濾過量は上昇 腎血流の低下を代償するため糸球体内圧を上げ 過剰濾過によって腎機能を保っている
NSAIDs の作 NSAIDs RAS 阻害薬 NSAIDs 投与 速やかに虚血による GFR 低下 漫然投与により重症な尿細管壊死 GFR 末期腎不全
NSAIDsによる腎障害のリスク因 既存の腎機能低下高齢者高血圧糖尿病心不全利尿薬 RAS 阻害薬 造影剤 夏 BUN/Cr>20
NSAIDsによる腎障害のリスク因 既存の腎機能低下高齢者高血圧糖尿病心不全 利尿薬 RAS 阻害薬 造影剤 NSAIDsの常用など薬剤投与がCKD 重症化に影響する 薬剤師に対するCKD に関する教育や啓発を行うことが 夏 BUN/Cr>20 望ましい 今後の腎疾患対策のあり方について ( 腎疾患対策検討会報告書 (H20.3))
鎮痛薬腎症とは?
乳頭壊死って? 腎乳頭
住民千人あたりの購入箱透析患者中の鎮痛薬腎症発症率と 鎮痛薬購 量の関係 400 ベルギー 26 区の調査 鎮痛薬単剤 ( アスピリン ) 300 200 数100 (1983 年 ) 0 0 10 20 30 40 50 R=-0.56 P<0.01 7 年後の透析患者中の鎮痛薬腎症の発症率 Elseviers MM, De Broe ME:Am J Kidney Dis 1996, 28: S48-55.
住民千人あたりの購入箱数透析患者中の鎮痛薬腎症発症率と 鎮痛薬購 量の関係 400 300 200 100 ベルギー 26 区の調査 鎮痛薬はフェナセチンのみの複合剤 (1983 年 ) 0 0 10 20 30 40 50 R=-0.05 n.s. 7 年後の透析患者中の鎮痛薬腎症の発症率 Elseviers MM, De Broe ME:Am J Kidney Dis 1996, 28: S48-55.
住民千人あたりの購入箱数透析患者中の鎮痛薬腎症発症率と 鎮痛薬購 量の関係 3000 2000 1000 ベルギー 26 区の調査 鎮痛薬を 2 種含む複合剤 (1983 年 ) 0 0 10 20 30 40 50 R=0.86 P<0.001 7 年後の透析患者中の鎮痛薬腎症の発症率 Elseviers MM, De Broe ME:Am J Kidney Dis 1996, 28: S48-55.
図. 単剤ではなくフェナセチンかアセトアミノフェンまたはピリン系 2 剤を含む鎮痛薬の合剤が鎮痛薬腎症の原因 鎮痛薬腎症 226 名中 219 名 (97%) が鎮痛薬 2 剤 + カフェインなどの複合剤を服用でフェナセチンが最多 ( 鎮痛薬単剤 + カフェイン N=6 鎮痛薬単剤のみ N=1 を除く ) 2 種の鎮痛薬を含む複合剤 + カフェインなど N=219(97%) 1 ブランドのみの鎮痛薬複合剤服用者 N=179(79%) 複数ブランドの鎮痛薬服用者 N=40 フェナセチンを除いた N=46 (20.3%) 成分 フェナセチン含有製剤 N=133 鎮痛薬組成 アスピリン アセトアミノフェン ピリン系 18 4 2 22 Elseviers MM, De Broe ME:Am J Kidney Dis 1996, 28: S48-55 を改変.
鎮痛薬腎症の成因 腎髄質における鎮痛薬の相乗的な毒性 フェナセチン酸化的脱エチル化アセトアミノフェン腎乳頭での濃縮プロスタグランジン合成 アスピリンサリチル酸腎乳頭での濃縮グルタチオンの枯渇 コデイン ± 10~30mg カフェイン 50mg N アセチル p ベンゾキノンイミン (NAPQI) 腎乳頭タンパク質のアリル化 + 酸化ストレス 腎乳頭壊死 鎮痛薬腎症 Elsevier MM, De Broe ME: Drug Safety 20: 15-24, 1999 を改変
鎮痛薬腎症とは? 元来 フェナセチン含有鎮痛薬の過剰服用による乳頭壊死を起こし透析導入に至る疾患と考えられていた フェナセチン製造中止後も発症しておりアセトアミノフェンを含む 2 種類の鎮痛薬 ( アスピリン ピリン系 ) の配合剤が原因と考えられている 米国腎臓財団 ヨーロッパ科学者グループは鎮痛薬腎症は 2 つの鎮痛薬を含み ほとんどがカフェイン ± コデインからなる鎮痛薬製剤の過剰服 によって腎乳頭壊死と慢性間質性腎炎を起こす進 性の腎不全であると定義した アスピリン アセトアミノフェンの単独長期大量使用では発症しないが 配合剤の長期服用で鎮痛薬腎症が発症する 頭痛を持つ女性に多く ( オーストラリアの女性透析患者の 22% を占めたことがある ) 消化性潰瘍を含む上部消化管障害を併発しやすい 5~55 年間 鎮痛薬を連用し 50~60 歳で発症しやすいが 高度腎障害になるまで症状が出ない
AAC 処 ACE 処 連 量 服 が鎮痛薬腎症の原因? AAC 処方 ( アスピリン アセトアミノフェン カフェイン ) ACE 処方 ( アセトアミノフェン カフェイン エテンザミド )?
AAC 処 ACE 処 連 量 服 が鎮痛薬腎症の原因? AAC 処方 ( アスピリン アセトアミノフェン カフェイン ) ACE 処方 ( アセトアミノフェン カフェイン エテンザミド )? アセトアミノフェン 250mg アスピリン 250mg カフェイン 65mg 1 回 2 錠 1 2 錠を超えて飲まない
重篤な腎障害のある患者には NSAIDs もアセトアミノフェンも投与禁忌
国では 米国腎臓財団が 1996 年に腎臓病患者への鎮痛薬はアセトアミノフェンを推奨 腎臓病のある患者や脱水患者で NSAIDs を使用せざるを得ない場合には腎機能を注意深くモニターすること 2009 年 米国老年医学学会の鎮痛療法ガイドラインで高齢者の持続的な痛みに対する初期および持続的薬物療法 特に筋 関節痛に対してはアセトアミノフェンを推奨 わが国では CKD 患者の腎機能障害の進行に関しては 安全性が確立された消炎鎮痛薬はなく いずれの薬剤も出来るだけ少量短期間の投与とする ( グレード B) エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン 2009 日本腎臓学会
緩和医療でのアセトアミノフェンの処 の 実例 ( 国 ) Medication Order Start Stop PRN Orders PRN: pro re nata: as you needed
緩和医療でのアセトアミノフェンの処 の 実例 ( 国 ) Medication Order Start Stop PRN Orders 米国では乳児や TPN 症例の解熱目的に鼻腔 からアセトアミノフェン懸濁液を投与している PRN: pro re nata: as you needed
アセトアミノフェンの添付 書の問題 アセトアミノフェンには NSAIDs の 4 大副作用である腎障害の悪化 消化性潰瘍 易出血性 アスピリン喘息がないにもかかわらず 本邦のカロナール R の添付文書はこれらの症状のある患者に対して NSAIDs とアセトアミノフェンの記載内容はほぼ同一であり 消化性潰瘍のある患者重篤な血液の異常がある患者重篤な腎障害のある患者重篤な心機能不全のある患者アスピリン喘息のある患者にはいずれも禁忌となっている
添付 書改善案 NSAIDs の添付文書 ( ロキソニンなど ) 禁忌 : 重篤な腎障害のある患者 [ 急性腎不全 ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある ] * ただし 無尿の透析患者を除く アセトアミノフェンの添付文書 ( カロナール ) 禁忌 : 重篤な腎障害のある患者 [ 急性腎不全 ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある ] 腎障害患者の鎮痛 発熱には急性腎障害の原因薬物ではないアセトアミノフェンを使いましょう!!! * アセトアミノフェンの使用において肝障害が発現するので注意する必要がある
添付 書改善案 NSAIDs の添付文書 ( ロキソニンなど ) 禁忌 : 重篤な腎障害のある患者 [ 急性腎不全 ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある ] * ただし 無尿の透析患者を除く アセトアミノフェンの添付文書 ( カロナール ) 排除 禁忌 : 重篤な腎障害のある患者 [ 急性腎不全 ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある ] 腎障害患者の鎮痛 発熱には急性腎障害の原因薬物ではないアセトアミノフェンを使いましょう!!! * アセトアミノフェンの使用において肝障害が発現するので注意する必要がある
アセトアミノフェンの適正使
涯にわたる鎮痛薬服 量が 3001g 以上の患者のみ 他群に し 6.02 倍有意に透析患者になりやすい Michielsen P, et al: Nephrol Dial Transplant 24: 1253-1259, 2009) より引用 元データは Van der woude FJ, et al : BMC Nephrol]:15 2007 より
慢性腎不全モデルラットへのアセトアミノフェン投与は腎機能保護作 を す 100 80 60 40 20 0 腎不全 + アセトアミノフェン 750mg/kg) 腎不全 + アセトアミノフェン 150mg/kg 0 5 10 15 20 25 30 投与 数 (day) 腎不全 + 溶媒 腎不全 + インドメタシン Indomethacin 5 mg/kg NSAID のインドメタシンは 存率を低下させたが, アセトアミノフェンは 存率を低下させなかった 血清クレアチニン * * 血中尿素窒素 Kadowaki D, Sumikawa S, Arimizu K, Hirata S, et al., Life Sciences. 2012 5 4 3 2 1 0 400 * 300 200 100 0 * 投与 4 週目
慢性腎不全モデルラットへのアセトアミノフェン投与は腎機能保護作 を す 100 80 60 40 20 0 腎不全 + アセトアミノフェン 750mg/kg) 腎不全 + アセトアミノフェン 150mg/kg 0 5 10 15 20 25 30 投与 数 (day) 腎不全 + 溶媒 腎不全 + インドメタシン Indomethacin 5 mg/kg NSAID のインドメタシンは 存率を低下させたが, アセトアミノフェンは 存率を低下させなかった 血清クレアチニン * * 血中尿素窒素 Kadowaki D, Sumikawa S, Arimizu K, Hirata S, et al., Life Sciences. 2012 5 4 3 2 1 0 400 * 300 200 100 0 * 投与 4 週目
アセトアミノフェンは横紋筋融解症 誘発に伴う腎不全発症を抑制する APAP はプロスタグランジン H 合成酵素のペルオキシダーゼ活性を阻害する APAP がヘムタンパク ( ミオグロビン ) によって触媒される脂質過酸化を妨げる? グリセロールにより横紋筋融解症を誘発する 20 時間及び 2 時間前に生食または APAP を前投与 APAP はミオグロビンによって触媒されるアラキドン酸の酸化を抑制し横紋筋融解症の発症による腎機能低下を抑制する Boutaud O, et al: Proc Natl Acad Sci USA, 107: 2699-2704, 2010
第 99 回薬剤師国家試験問題 (2014 年 ) 問 185 腎機能が低下している患者において腎機能を急激に悪化させる危険性が高い処置はどれか 2 つ選べ 1 生理食塩液の点滴静脈注射 2 アセトアミノフェン錠による鎮痛 3 イオパミドール注射液を用いた胸部 CT 検査 4 プラゾシン塩酸塩錠による降圧 5 ゲンタマイシン硫酸塩注射液による感染症治療 解答 : 3, 5
第 99 回薬剤師国家試験問題 (2014 年 ) 問 208 209 61 歳男性 2 日ほど前から左側腹部に軽度の疼痛があり 皮疹が認められた 帯状疱疹と診断され 以下の薬剤が処方された なお 検査値を確認したところ AST は 31 IU/L ALT は 23 IU/L クレアチニンクリアランスは 40mL/min であった ( 処方 1) バラシクロビル塩酸塩錠 556mg ( 注 ) 1 回 2 錠 (1 日 6 錠 ) 1 日 3 回朝昼夕食後 7 日分 ( 注 : バラシクロビルとして 500mg) ( 処方 2) アセトアミノフェン錠 300mg 1 回 1 錠 (1 日 3 錠 ) 1 日 3 回朝昼夕食後 7 日分問 208( 実務 ) これらの処方について 提案すべき処方変更として最も適切なのはどれか 1 つ選べ 1 バラシクロビル塩酸塩錠 556mg の用法を 1 回 2 錠 (1 日 4 錠 ) 1 日 2 回 朝夕食後投与に変更する 2 バラシクロビル塩酸塩錠 556mg の用法を 1 回 3 錠 (1 日 9 錠 ) 1 日 3 回 朝昼夕食後投与に変更する 3 バラシクロビル塩酸塩錠 556mg をアシクロビル錠 400mg に変更し 用法はそのままとする 4 アセトアミノフェン錠 300mg をロキソプロフェンナトリウム水和物錠 60mg に変更し 用法はそのままとする 5 アセトアミノフェン錠 300mg をチアラミド塩酸塩錠 100mg に変更し 用法はそのままとする 解答 1
重篤な薬剤性肝傷害の WHO 報告数 (1968 2003 年 ) アセトアミノフェントログリタゾンバルプロ酸 ( 抗 HIV 薬 ) ハロタン ラミブジン ( 抗 HIV 薬 ) アミオダロン ( 抗 HIV 薬 ) ST 合剤 ( 人 ) Björnsson E, Olsson R: Dig Liver Dis 38:33-38, 2006
重篤な薬剤性肝傷害の WHO 報告数 (1968 2003 年 ) アセトアミノフェントログリタゾンバルプロ酸 ( 抗 HIV 薬 ) ハロタン ラミブジン ( 抗 HIV 薬 ) アミオダロン ( 抗 HIV 薬 ) ST 合剤 1.5g / 日では鎮痛効果は期待できない が 4g/ 日は日本人には多すぎる ( 人 ) Björnsson E, Olsson R: Dig Liver Dis 38:33-38, 2006
腎機能正常者のアセトアミノフェンの投与設計 μg/ml 25 20 15 10 5 ライフスタイルに合わせて 600mgを1 日 3 回毎食後連続投与時の t1/2β: 2.8hr F: 100% Vd: 1.0L/kg 連続投与時の t 1/2 β: 2.3hr 最終相 t 1/2 : 4.9hr 0 7 13 15 19 朝食 昼食 夕食 7 時
腎機能正常者のアセトアミノフェンの投与設計 μg/ml 25 20 15 10 500mg を 1 日 4 回 連続投与時の t1/2β: 2.8hr F: 100% Vd: 1.0L/kg 連続投与時の t 1/2 β: 2.3hr 最終相 t 1/2 : 4.9hr 5 0 7 12 17 22 7 時
腎機能正常者のアセトアミノフェンの投与設計 μg/ml 25 500mg を 1 日 4 回 20 15 10 連続投与時の t1/2β: 2.8hr F: 100% Vd: 1.0L/kg 連続投与時の t 1/2 β: 2.3hr 最終相 t 1/2 : 4.9hr 鎮痛目的 600mg を毎食後または 8 時間間隔または 1 回 500mg 5 を1 日 4 回で 単回頓服では1 回 1,000mg でもよいが 投与間隔を 8 時間以上にあけ 食後に 服用すること 解熱には 0 1 回 200~300mgの頓服で 7 12 17 22 7 時 構わない
腎薬の今までとこれから
本腎と薬剤研究会日本腎臓病薬物療法学会202015 大分日各地の 腎と薬剤研究会 の分布 ( のみ腎臓病薬物療法学会 ) 14 15 2 13 21 20 10 7 17 4 11 8 9 1 18 5 14 6 16 19 12 3 11999 関西 22002 北部九州 32005 北海道 42006 広島 52006 中部 62006 東京 72006 熊本 82006 香川 92007 徳島 102009 長崎 112010 愛媛 122011 宮城 132011 福岡 142012 群馬 152013 山口 162013 神奈川 172013 広島備北 182013 三泗鈴 192014 静岡 21 2015 佐賀
日本腎臓病薬物療法学会 The Japanese society of Nephrology and pharmacotherapy 無料配布 2016 年 1 月日腎薬誌特別号 (1,450 薬の腎機能別薬剤投与方法一覧と動態パラメータ 4 冊分を 1 冊に! ) 2016 年 4 月ポケットブック ( 日腎薬誌特別号に準拠した持ち運び可能なポケットブック!) A4 判 210mm 297mm ポケットブック 小 B6 判 112mm 174mm 対象 お問合せ 2016 年度 (2015/9/1~2016/8/31) の年会費を支払われた方 ( 学生会員は除く ) E-Mail:shnaga@kumamoto-u.ac.jp / Tel:070-5665-4572( 受付時間 : 月 ~ 金 8:30~12:30)
本腎臓病薬物療法単位履修修了 薬剤師ピンバッジ 155 +13 人に
本腎臓病薬物療法専 認定 薬剤師 ピンバッジ 101 に
平田純生のつぶやきで11/04に CHDF 時の抗菌薬投与 11/05に アセトアミノフェン単独で腎障害は起こさない 11/9から 腎機能を正しく評価するための鉄則 を連載 2015/5 月には こんな問題だしていいのか? を掲載
時代は変わった 薬剤師も変わらなくては 調剤は薬剤調製の 作業 である という 本の常識 調剤とは処 鑑査 である という国際的常識