目 次 1 目指すべき方向の策定に当たって 背景 目的 2 山梨県内の公共交通の現状と課題 本県を取り巻く環境 本県のバス交通の現状等 観光客と利用する交通手段等 3 山梨県のバス交通の目指すべき方向 背景と課題 基本的な考え方 基本理念 実現する将来像 基本目標 4 広域的な路線 5 地域内路線

Similar documents
目 次 1 計画策定の基本的な考え方....1 (1) 策定の背景....1 (2) 計画の趣旨....1 (3) 計画の期間....2 (4) 計画の位置付け 本県の現状と課題....7 (1) 本県を取り巻く環境....7 (2) 本県公共交通の現状 (3) バス利用に

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

NITAS の基本機能 1. 経路探索条件の設定 (1) 交通モードの設定 交通モードの設定 とは どのような交通手段のネットワークを用いて経路探索を行うかを設定するものです NITASの交通モードは 大きく 人流 ( 旅客移動 ) 物流( 貨物移動 ) に分かれ それぞれのネットワークを用いた経路

の復旧状況に関する長期的な見通しを可能な限り明らかにしながら 復旧の段階に 応じた役割の分析を行う 5) 交通事業者ヒアリング調査沿線地域に関係する交通事業者 ( 鉄道事業者 2 社 バス事業者 2 社 タクシー事業者 2 社その他 ) に聞き取り調査を行い 定性的な利用特性や地域の公共交通の問題点

2 おもてなしの推進 本県を訪れた旅行者がやすらぎと感動を覚え 再び訪れたくなる魅力ある地域づくりを進めるため 地域への誇りと愛着に基づくおもてなしを県民総参加により推進します 1 満足度 ( アンケート調査で非常に満足と答えた観光客の割合 ) 45% 以上 2 リピーター率 67% 以上 おもてな

<4D F736F F D20345F8E9197BF345F A835E838A F92B28DB88C8B89CA E646F63>

計画の目的 多様化する生活交通ニーズへの対応 効率的 効果的な生活交通サービスの構築 山陽小野田市では 生活交通バス路線維持 通学児童定期補助 福祉タクシー券の発行等 上記の施策が行われており 生活交通の確保を図っている 行政負担 サービスの地域間格差 交通活性化計画 生活交通の現状と問題点の把握

2. 本市の上期観光入込客数について平成 27 年度上期観光入込客数は 総数 377,300 人で 前年の 351,600 人より 25,700 人 7.3% の増となった その内訳として 道内客が 84,900 人で 前年の 94,200 人より 9,300 人 9.9% の減 道外客が 292,

<4D F736F F D DC58F49817A B836782DC82C682DF5F CF68BA48CF092CA89EF8B A2E646F6378>

調査結果の概要 1 人口 (1) 本県の人口 平成 30(2018) 年 10 月 1 日現在の本県の総人口は 1,952,926 人 ( 男 973,794 人 女 979,132 人 ) で 平成 29(2017) 年 10 月 1 日現在に比べ9,037 人の減少 ( 男 3,309 人減少

総合交通計画 ( 仮称 ) の策定について 背景 人口減少と超高齢化が同時に進行する中 自動車を使えない県民の移動手段を確保しなければ 経済活動の低迷 人口の流出 財政支出の増加などの問題が深刻化し 持続可能なまちづくりが困難になる恐れがある 平成 年度に実施したパーソントリップ調査の結

2

01_表紙

<4D F736F F D B836792B28DB8955B817A8DC58F498C8892E8>

Ⅰ 観光振興計画制定の背景 1 観光による地域振興 観光立国推進基本法 に基づき策定された 観光立国推進基本計画 の中で 観光立国の実現は地域経済の活性化 雇用機会の増大 国民の健康の増進 潤いのある豊かな生活環境の創造 国際相互理解の増進等の意義を有するものである と位置づけられています また 東

Microsoft PowerPoint - 【資料3】運転免許証の自主返納に関するアンケート調査結果

目次(案)

施設までの距離は 地区中心付近からのおおよその距離 大原台 回答者の年齢構成 3 5 主な (2 箇所の行き先 ) 10% 1 70% 主な行き先 フレスタ沼田店 ( 約 0.7km) ビッグハウス沼田店 ( 約 1km) 買物目的 :7 :1 : 最寄り駅 大原 ( 約 0.7km) 駅 :88

コンパクトシティ構想 2つの柱 ( 郊外の開発抑制 + 中心市街地の活性化 ) まちなか住み替え事業 や 家賃補助制度 を行っているが 借りたい人はいるが 貸したい人がいない という状況 コンパクトシティという構想だけでは 民間資本は動かない (= 補助金などのインセンティブが必要 ) 中心市街地活

スライド 1

(Microsoft Word - \201\2403-1\223y\222n\227\230\227p\201i\215\317\201j.doc)

<4D F736F F F696E74202D208F E7382C982A882AF82E98CF68BA48CF092CA90AD8DF482CC8EE C982C282A282C42E B8CDD8AB7838

平成29年版高齢社会白書(全体版)

交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

1 はじめに

2. 各学区のまちづくりの方向性と将来ビジョン 第 3 章で整理した各学区の現状 課題等を踏まえ 学区ごとにまちづくりの方向性 ( 基本方針の 3 つの柱の何に該当するのか ) を整理します 方向性を踏まえ 施策の柱ごとに具体的なビジョンを検討します (1) 常盤学区 1 まちづくりの方向性 1-1


地域公共交通確保維持改善事業 事業評価 ( 生活交通ネットワーク計画に基づく事業 ) ( 別紙 1) 資料 3 平成 23 年度 平成 24 年 4 月 23 日 協議会 構成員 上田市公共交通活性化協議会 上田市 上田バス 千曲バス 事業名 補助対象事業者等 事業概要 1 事業実施の適切性 2 目

第 20 回熊谷市地域公共交通会議会議録 平成 29 年 1 月 26 日 ( 木 )13:30~14:45 熊谷市役所議会棟第 1 委員会室 1. 開会 2. 会長挨拶 3. 議題 (1) ゆうゆうバスのルート変更 ( 要望箇所 ) について 1ゆうゆうバス運行ルート ( 全体図資料 1の1) 事

沼津港の景観の現況と課題

平成 25 年 2013 年 2013 加賀市観光 加賀市観光統計 統計 長期推移 大聖寺川 流し舟 舟 片山津温泉 花火大会 山中温泉 鶴仙渓川床 川床 加佐の岬 岬 山代温泉 大田楽 =========================== 目 次 ========================

共通基準による観光入込客統計 ~ 共通基準に基づき 平成 22 年 月期調査を実施した 39 都府県分がまとまりました~ 平成 23 年 10 月 31 日観光庁 各都道府県では 平成 22 年 4 月より順次 観光入込客統計に関する共通基準 を導入し 信頼 性の高い観光入込客統計調査を

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

( ウ ) 年齢 区分別人口割合の推移と予測 平成 年に, 老年人口の割合が年少人口の割合を上回るとともに, 生産年齢人口の割合も減少に転じている 平成 年以降は, 老年人口の割合のみが増加しており, 平成 年には 人に 人以上が高齢者となることが予測されている % 年齢 区分別人口割合の推移と予測

Microsoft PowerPoint - 潟上市地域公共交通網形成計画(最終)

山梨県地域医療再生計画 ( 峡南医療圏 : 救急 在宅医療に重点化 ) 現状 社保鰍沢病院 (158 床 ) 常勤医 9 名 実施後 社保鰍沢病院 峡南病院 (40 床 ) 3 名 市川三郷町立病院 (100 床 ) 7 名 峡南病院 救急の重点化 県下で最も過疎 高齢化が進行 飯富病院 (87 床

221yusou

平成 31 年地価公示の概要 1 根拠法令地価公示法 2 実施機関国土交通省土地鑑定委員会 3 目的土地鑑定委員会が毎年 1 回標準地の正常な価格を公示し 一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに 公共事業用地の取得価格算定の規準とされ また 国土利用計画法に基づく土地取引の規制における土地

図 3. 新規 HIV 感染者報告数の国籍別 性別年次推移 図 4. 新規 AIDS 患者報告数の国籍別 性別年次推移 (2) 感染経路 1 HIV 感染者 2016 年の HIV 感染者報告例の感染経路で 異性間の性的接触による感染が 170 件 (16.8%) 同性間の性的接触による感染が 73

第 2 章高齢者を取り巻く現状 1 人口の推移 ( 文章は更新予定 ) 本市の総人口は 今後 ほぼ横ばいで推移する見込みです 高齢者数は 増加基調で推移し 2025 年には 41,621 人 高齢化率は 22.0% となる見込みです 特に 平成 27 年以降は 後期高齢者数が大幅に増加する見通しです

表 3 の総人口を 100 としたときの指数でみた総人口 順位 全国 94.2 全国 沖縄県 沖縄県 東京都 東京都 神奈川県 99.6 滋賀県 愛知県 99.2 愛知県 滋賀県 神奈川

PowerPoint プレゼンテーション

<第1回> 帯広市都市計画審議会 第二次 都市計画マスタープラン検討                   専門部会

平成 25 年 3 月 27 日 国立社会保障 人口問題研究所 ( 厚生労働省所管 ) から 日本の地域別将来推計 人口 ( 平成 25 年 3 月推計 ) が公表されました これに基づく石川県関係分の概要は次のとおりです 目次 1 石川県の将来推計人口 1 2 県内市町 地域の将来推計人口 5 3

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

<4D F736F F F696E74202D E88E68AD482CC906C8CFB88DA93AE82C982C282A282C4>

PowerPoint プレゼンテーション

2 N バスで要件②を満たす系統 1 補助対象地域間幹線バス系統のフィーダー系統 N バスが接続する他市の路線の中において 補助対象地域間幹線系統の指定を受けた 路線は 下記の日進市の路線である 日進市くるりんばす 五色園線 N バスと長久手古戦場駅で接続 上記の路線に接続するN バスの中央循環線

今後のスケジュールについて 17 年 8 月 ~ 17 年 11 月 ~ 17 年 12 月 ~ NPO 等によるボランティア福祉有償運送を含む STSの普及促進 NPO 等の運行主体に対する実態調査 関係者等からのヒアリング 交通バリアフリー法の見直しの検討 ( 実態調査 ヒアリングを踏まえた )

スライド 1

1 見出し1

トピックス

<4D F736F F F696E74202D F926E88E68CF68BA48CF092CA82CC82A082E895FB C E4F8FF08E7394AD955C8E9197BF816A>

山梨県富士山世界遺産センター(仮称)整備検討委員会 資料

スライド 1

3 検討プロセス 3-1 県計画案を策定するねらい 沖縄 21 世紀ビジョン基本計画を着実に実施していくための総合的な交通体系のビジョンを示した 沖縄県総合交通体系基本計画 において 県土の均衡ある発展を支える利便性の高い公共交通ネットワークの構築が位置づけられている 同計画を踏まえ 県では 南北骨

1 見出し1

平成 27(2015) 年エイズ発生動向 概要 厚生労働省エイズ動向委員会エイズ動向委員会は 3 ヶ月ごとに委員会を開催し 都道府県等からの報告に基づき日本国内の患者発生動向を把握し公表している 本稿では 平成 27(2015) 年 1 年間の発生動向の概要を報告する 2015 年に報告された HI

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

平成21年6月26日

1 RESAS地域経済分析システム人口構成() 人口構成の表示内容 人口構成表示年で選択した年の総人口のヒートマップです 全国を表示する を選択すると 日本全国の地図が表示されます 都道府県単位で表示する を選択すると 指定地域 で選択している都道府県を中心とした縮尺で地図が拡大表示されます 市区町

スライド 1

共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(速報集計結果)からの推計-

<8E9197BF82512E786C73>

Microsoft Word _表紙.doc

Microsoft Word - 【H 現在版】■ガイドラインv8.doc

目次

第 2 章近江八幡市を取り巻く状況と今後の課題 1 データからみえる地域福祉の状況 1 人口の状況近江八幡市は 平成 22 年 3 月に旧近江八幡市と旧安土町が合併し 人口 8 万人を超える市となりました 旧市町の人口を合計した数値を見ると 平成 12 年から平成 22 年は横ばいで推移していますが

地域経済分析システム () の表示内容 ヒートマップでは 表示する種類を指定する で選択している取引価格 ( 取引面積 mあたり ) が高い地域ほど濃い色で表示されます 全国を表示する を選択すると 日本全国の地図が表示されます 都道府県単位で表示する を選択すると 指定地域 で選択している都道府県

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

長岡市立地適正化計画概要版目次 1. 立地適正化計画制度の概要... 1 (1) 立地適正化計画策定の背景と目的... 1 (2) 立地適正化計画制度... 1 (3) 立地適正化計画の位置付け... 2 (4) 計画の対象区域... 2 (5) 計画期間 長岡市の現状と将来見通し.

<4D F736F F F696E74202D20288DB791D B836792B28DB88C8B89CA288CF68A4A94C529288A5497AA94C E93785F72312E >

九州新幹線 久留米駅についてのアンケート の主な結果概要 福岡県立大学人間社会学部公共社会学科 2017 年度社会調査実習 九州新幹線調査 グループ担当教員田代英美学生調査グループ一同 回答者のプロフィール 久留米市の旧久留米市域にお住いの 18 歳 ~79 歳の方から無作為で ( くじ引きのような

1 見出し1

平成 30 年度救急業務のあり方に関する検討会報告書の概要 消防庁救急企画室 はじめに 消防庁救急企画室では 高齢化を背景として救急需要が増大する中 救急車の適正利用の推進や救急業務の円滑な実施と質の向上等 救急業務を安定的かつ持続的に提供し救命率の向上を図ることを目的に 平成 30 年度救急業務の

7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環


Microsoft Word 交通渋滞(有明アーバン)_181017

<4D F736F F F696E74202D D8D878E968BC A C52E816A>

<4D F736F F D BD82C892E CF092CA93B193FC8BF38AD492B28DB895F18D908F B95D2816A5F >

(2) 金沢市の世帯数の動向 350, , ,000 ( 人 世帯 ) ( 人 / 世帯 ) 世帯数 世帯人員 , , , , ,1

栃木県高齢者居住安定確保計画 ( 二期計画 ) 概要版 1 計画の目的と背景 高齢化が急速に進行する中 平成 24 年 3 月に県土整備部と保健福祉部が連携のもと高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく 栃木県高齢者居住安定確保計画 ( 以下 現計画 という ) を策定し 高齢者が安心して快適に暮

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

渋川市都市計画マスタープラン意見シート

総合交通メールマガジンとは 総合交通メールマガジンは 交通基盤整備や地域交通に関する最新の取り組みを幅広く紹介することを目的として 月一回を目処に発行しているメールマガジンであり 主な購読者は都道府県 市町村等の交通施策担当者となっております 当メールマガジンで紹介させていただく記事は 執筆者が任意

第 7 回大阪市人口移動要因調査報告書 平成 27 年 3 月 大阪市都市計画局

平成27年版高齢社会白書(全体版)

H28秋_24地方税財源

人口 世帯に関する項目 (1) 人口増加率 0.07% 指標の説明 人口増加率 とは ある期間の始めの時点の人口総数に対する 期間中の人口増加数 ( 自然増減 + 社会増減 ) の割合で 人口の変化量を総合的に表す指標として用いられる 指標の算出根拠 基礎データの資料 人口増加率 = 期間中の人口増

<8E7392AC8FAB C8CFB E786477>

( 目次 ) 新潟県人口ビジョン 策定の考え方 1 Ⅰ 新潟県の人口の現状と将来人口の推計 1. 人口の現状 2 (1) 総人口 年齢 3 区分別人口の推移 (2) 自然増減の状況 (3) 社会増減の状況 (4) 本県人口への自然増減と社会増減の影響 2. 将来推計人口の分析 10 (1) 将来人口

1-2 立地適正化計画の役割 立地適正化計画は 都市全体の観点における居住機能や都市機能の立地 公共交通の充実に関する包括的なマスタープランであり 以下のような役割があるとされています 1 都市全体を見渡したマスタープラン 立地適正化計画は, 居住機能や医療 福祉 商業, 公共交通等のさまざまな都市

総務省 放送事業の基盤強化に関する検討分科会 資料 4-4 ラジオ受信機 聴取状況に関するアンケート調査結果 ( 速報版 ) 2019 年 3 月 27 日 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 本資料は 総務省からの ( 平成 30 年

資料 4 明石市の人口動向のポイント 平成 27 年中の人口の動きと近年の推移 参考資料 1: 人口の動き ( 平成 27 年中の人口動態 ) 参照 ⑴ 総人口 ( 参考資料 1:P.1 P.12~13) 明石市の総人口は平成 27 年 10 月 1 日現在で 293,509 人 POINT 総人口

県産材の需要拡大の推進について(枠組み)

計画の今後の方向性

5,0 00 4,0 00 3,0 00 2,0 00 1, , , , , , 000 5, 観光消費額 ( 山梨県を訪れた観光入込客の消費総額 ) をみると 近年は増加傾向で推移 しており 平成 29 年は 4,133

<4D F736F F F696E74202D B CC8EC091482E B8CDD8AB B83685D>

*05“Lfi⁄/ ”l


Transcription:

山梨県内のバス交通の目指すべき方向 ( 中間取りまとめ ) 交通政策会議バス交通ネットワーク検討専門部会

目 次 1 目指すべき方向の策定に当たって 背景 目的 2 山梨県内の公共交通の現状と課題 本県を取り巻く環境 本県のバス交通の現状等 観光客と利用する交通手段等 3 山梨県のバス交通の目指すべき方向 背景と課題 基本的な考え方 基本理念 実現する将来像 基本目標 4 広域的な路線 5 地域内路線 甲府盆地南西周辺地域 峡東地域 峡南地域 峡北地域 富士北麓地域 東部地域 6 利用促進 費用負担 利用促進のあり方 費用負担のあり方について

1 目指すべき方向の策定に当たって 1 策定の背景 本県のバス交通は 系統の数はピーク時の半数程度まで縮小しており 輸送人員についても 近年下げ止まっているものの ピーク時の 7 分の1 程度まで減少しています そうした中で 本県では高齢化が進展し 高齢者の増加が見込まれ 子どもや高齢者などの車を持たない県民の日常生活に身近な交通手段である路線バスの重要性はますます高まっています また 県民のバス利用回数は 全国の都道府県と比較すると少なく 人口減少の進行は 公共交通の利用者の減少も招き 本県のバス交通の弱体化が懸念されます 一方 観光客数は 東日本大震災の発生した 2011( 平成 23) 年度を除いて増加傾向にあり 中でも 訪日外国人宿泊者数の伸びが大きく この 5 年間で倍以上になりました このため バス交通を充実させて 本県を訪れた観光客が県内各地に円滑に移動できる移動手段を確保することが必要となっています 2027 年にはリニア中央新幹線が開業し 本県から品川まで約 25 分 名古屋まで約 40 分で接続されるなど 大都市圏との時間距離が大幅に縮小することとなります リニア中央新幹線の開業により 本県を取り巻く交通環境は大きく変化しますが 開業による効果を全県に波及させるためには リニア駅と県内各地を接続する速達性を確保した交通網の整備が必要となります このように 子どもや高齢者などの交通弱者や観光客等の移動手段を確保するとともに リニア中 央新幹線の開業を見据え リニア駅から県内各地への移動を円滑にするバス交通の利便性を高めるこ とが必要となっています 2 策定の目的このような背景を踏まえ 1 子どもや高齢者などの交通弱者や観光客等の移動手段の確保 2リニア中央新幹線の開業を見据えた リニア駅から県内各地への円滑な移動の確保を実現するため 山梨県内のバス交通の目指すべき方向 を策定します 1

2 山梨県内のバス交通の現状と課題 1 本県を取り巻く環境 1 総人口 本県の総人口は 第二次世界大戦中に急増した後 1955( 昭和 30) 年から始まる高度経済成長期の前半は減少傾向でした これは 雇用機会を求め 県外への人口流出が主な要因と考えられます その後 1970( 昭和 45) 年頃から 2000( 平成 12) 年頃まで人口増加が続き ピーク時 (2000 年 ( 平成 12) 年 9 月 ) には 89 万人台に達しました これは 本県において 1970 年 ~1980 年代に大規模工業団地が整備され 1982( 昭和 57) 年に中央自動車道が全線開通したことにより 製造業を中心に雇用環境が向上したことが主な要因と思われます 2000 年代からは 少子化や経済のグローバル化の進行など社会情勢の変化による転出超過を背景に人口は減少に転じ 2015( 平成 27) 年 8 月現在で 834,756 人となっています 国立社会保障 人口問題研究所の推計によれば 現状のまま推移した場合 2040( 平成 52) 年の総人口は約 666,000 人になると推計されており 2015( 平成 27) 年と比較して約 2 割減少すると見込まれます 大幅な人口減少の進行は 公共交通の利用者の減少を招き 生活交通の維持確保に影響をもたらすものと考えられます 出典 : 平成 27 年山梨県まち ひと しごと創生人口ビジョン 2

2 高齢化 本県の高齢者の人口は年々増加し 35 年前には 10% 程度であった高齢化率 ( 全人口に占める 65 歳以上の人口の割合 ) はいまや 25% を越え 2030( 平成 42) 年度には 34% と推計されています 車を運転できない高齢者にとっては 身近な公共交通である路線バスによる移動手段の確保は 益々重要性が増すものと考えられます 出典 : 平成 27 年山梨県ダイナミックやまなし総合計画 2 本県のバス交通の現状等 3 公共交通網 本県では 甲府駅を中心に 東西方向に東京方面 長野方面へ延びる JR 中央線 静岡方面に延びる JR 身延線 大月駅から河口湖駅の間の富士急行線といった鉄道が運行されています バス交通は 甲府盆地を中心に山梨交通グループによる路線バスが 富士北麓東部地域を中心に富士急行グループの鉄道 路線バスが運行され 住民の移動手段として利用されています また 山間地域を中心に市町村によるコミュニティバスやデマンド交通等が運行されています 東京方面などには 高速バスも重要な役割を果たしています 3

4 自動車保有台数 本県の自動車の保有台数は この 30 年間で倍以上増加しました 中でも中央自動車道が全線開通した 1982( 昭和 57) 年に約 26 万台であった県内の乗用車の所有台数は 現在約 67 万台にまで増加し 1 世帯当たり2 台近く保有するようになりました 出典 : 平成 27 年山梨県ダイナミックやまなし総合計画 5バス利用者 本県の路線バス利用者は昭和 39 年度の 6,600 万人をピークに減少を続け 平成 17 年度には 770 万人まで減少しています 平成 18 年度にからは 市町村が運行するコミュニティバス等についても路線バスの統計に含められるようになったため 路線バス利用者は増加しており 平成 25 年度は 1,014 万人となっています H25 4

6バス利用回数 2013( 平成 25) 年の本県の県民 1 人あたりの年間バス利用回数は 2012( 平成 24) 年の 6.3 回に比べ 若干増加し 6.6 回となっています 群馬県 香川県に次いで全国で下から 3 番目となっています 関東地区の平均 30.9 回 全国の平均 32.8 回と比較して 非常にバスの利用が少ない傾向にあります 出典 : 営業用バス ( 乗合 貸切 ) 都道府県別輸送量 ( 国土交通省 ) 7 県民のバスに対する不満 県政モニター 276 名を対象に実施したアンケート ( 以下 県政モニターアンケート という ) では バスを利用することのある県民は 36 名で全体の 13.1% でした バスを利用したことのある県民が バスに対して不満に思っている点としては 運行している便数が少ない が 30 名で最多 バスを利用することのある県民の 83% が便数に不満を持っています 次に多いのは 運賃が割高である で 13 名 36% となっています 運行されている便数が少ない好きな時間に出かけられない運賃が割高である渋滞で遅れるなど 運行時間が不正確である自宅や目的地からバス停が遠いバス路線や運行時刻などの情報が不十分その他特にない 0 5 10 15 20 25 30 35 出典 : 平成 26 年県政モニターアンケート 5

8バスを利用しない理由 県政モニターアンケートでバスを利用することがない県民は 239 名で全体の 86.6% でした バスを利用することがない県民が バスを利用しない理由としては バスに乗る必要がない が 121 名で最多となっています 以下 好きな時間に出かけられない 運行されている便数が少ない などとなっています 運行されている便数が少ない好きな時間に出かけられない運賃が割高である渋滞で遅れるなど 運行時間が不正確である自宅や目的地からバス停が遠いバス路線や運行時刻などの情報が不十分他の交通手段の方が便利なので バスに乗る必要がないその他 0 20 40 60 80 100 120 140 出典 : 平成 26 年県政モニターアンケート 9バスを利用するようになる方策 県政モニターアンケートで どのようにすればもっと路線バスを利用するようになるかという質問には 便数を増やす と回答した者が 121 名で最多となっています 以下 料金を安くする(89 名 ) 路線を増やし いろいろな場所に行けるようにする(81 名 ) といった希望が並ぶ一方で マイカーが便利なので バスには乗らない という回答した者も 81 名いました 便数を増やす好きな時間に利用できるようにする朝早くから夜遅くまで利用できるようにする料金を安くするバスレーンなどで マイカーより早く着けるようにする路線を増やし いろいろな場所に行けるようにするバス停を増やし 自宅の近くで乗れるようにするバス停に屋根やベンチを整備する路線図や時刻表の配布など 情報提供をしっかりする乗り換え情報を提供する広報等を通じて バスの必要性をPRするマイカーが便利なので バスには乗らないその他 0 20 40 60 80 100 120 140 出典 : 平成 26 年県政モニターアンケート 6

3 観光客と利用する交通手段等 10 観光客数 観光客数は 東日本大震災の発生した 2011( 平成 23) 年度を除いて増加傾向にあり 中でも 訪日外国人宿泊者数の伸びが大きくこの 5 年間で倍以上になりました 出典 : 平成 27 年山梨県ダイナミックやまなし総合計画 11 方面別観光客数 山梨県を訪問する観光客の訪問先は 富士 東部地域が年間 1,387 万人で全体の 46% 程度を占めています 峡東地域が 19% 程度で 峡中 峡北地域はそれぞれ 15% 前後 峡南地域がやや低い結果となっています 圏域 観光客数 ( 人 ) 峡中 4,391,174 峡東 5,619,031 峡南 2,089,857 峡北 4,046,891 富士 東部 13,869,889 年計 30,016,843 富士 東部 峡中峡東峡南峡北 出典 : 平成 26 年山梨県観光入込客統計調査報告書 7

12 観光客の利用交通手段 本県を訪れた観光客のうち 移動手段として路線バスを利用したのは 全体の 4.8% でした もっとも多く利用された移動手段である自動車の 76.5% と比較すると 非常に少ない状況です 出典 : 平成 26 年山梨県観光入込客統計調査報告書 % 13 観光客不満度 本県を訪れた観光客の不満が多い項目として 公共交通の便 が最も多くなっているなか 2 番目に不満が多い項目として おもてなし ( バス ) が挙げられており 観光客向けの公共交通に不満が集中しています 出典 : 平成 26 年山梨県観光入込客統計調査報告書 % 8

3 山梨県のバス交通の目指すべき方向 1 背景と課題バス交通の目指すべき方向について検討する背景と課題は次のとおりです 子どもや高齢者などの交通弱者の移動手段の確保 本県では マイカーの普及に伴って路線バスの利用者が減少し ピーク時の約 7 分の 1 となっています 利用者の減少を受け採算が悪化したことにより バス路線の廃止や減便など運行の縮小が進み 地域の移動手段としてバス交通の持つ機能が衰退しています 郊外や山間地域にバス交通の空白地帯が生じていることや バス事業者による路線が廃止となり 市町村が運行するバスが 各市町村内の運行に留まる傾向にあることにより 利便性の高い全県的なバス交通ネットワークの構築が必要となっています これまで マイカー利用を前提に住宅の建築が進んできましたが 高齢化により自動車の運転ができない高齢者が増加しつつあります また マイカーを運転できない子どもの移動手段を確保することも必要であるため バス交通を充実させることが求められています 観光客の移動手段の確保 バス運行の縮小に伴い 広域での移動や観光地の近くまで移動する公共交通手段が十分でない地域があります 富士山の世界文化遺産登録により 県外からの観光客が増加しており 観光客の移動手段となる 利用しやすい二次交通を整備することが必要となっています リニア中央新幹線の開業を見据えたバス路線の新設 再編 11 年後の2027 年に開業するリニア中央新幹線のリニア駅から 甲府駅などの鉄道の主要な駅や県内の主要拠点に 円滑に短時間で移動できるよう 速達性を確保したバス路線を新設 再編することが必要となっています 2 基本的な考え方新たなバス交通ネットワークの構築にあたって 基本的な考え方として 次の 3 点に沿って検討を行います 1 通勤 通学 通院や買い物などの日常生活における移動の利便性を高め 子どもや高齢者にとって利便性の高いバス交通ネットワークを構築します 2 県外からの観光客等の県内各地への円滑な移動を確保するため バス交通の充実を図ります 3 リニア中央新幹線の開業を見据え リニア駅から県内各地への円滑な移動を確保するため 利便性の高いバス交通ネットワークを構築します 9

3 基本理念 新たなバス交通ネットワークの基本理念として 次のテーマを掲げます 子どもや高齢者などの交通弱者や観光客等の移動手段を確保するとともに リニア中央新幹線の開業を見据え リニア駅から県内各地への円滑な移動を 確保するため 利便性の高いバス交通ネットワークを構築する 4 実現する将来像新たなバス交通ネットワークの構築により 実現する将来像として 次の 3 点を目指します 利便性の高いバス交通ネットワークの構築 通勤 通学 通院や買い物など県民の日常生活における移動が 全県的なバス交通ネットワークの構築により 円滑にできる社会が実現する 観光客の移動手段の確保 県外からの観光客等の県内各地へのスムーズな移動手段を確保するため 鉄道駅等と観光地や観光地間を結ぶ公共交通手段を確保する リニア駅から県内各地への円滑な移動手段の確保 県内に張り巡らされたバス交通ネットワークやリニア駅と甲府駅を結ぶ新たなバス交通システムにより 県内各地へのスムーズな移動が可能となる 5 基本目標上記の将来像を実現するため 次の基本目標に沿ってバス交通ネットワークの構築を進めます (1) 利便性の高い広域的なバス路線の整備 バス路線の起終点 経路の見直しによる利便性の向上 交通空白地帯の解消 鉄道駅や病院 商業施設等の地域の主要な拠点と接続する路線の再編 新設による県民の日常生活や観光客の移動手段の確保 利便性の向上 増便による通勤 通学の利便性の向上 (2) 日常生活や観光客の移動手段となる地域内のバス路線の整備 地域の拠点である鉄道駅への接続や地域の医療機関 商業施設などを経由することによる日常生活の移動手段となるバス交通の利便性の向上 地域内の円滑な移動を確保するため 商業施設や医療機関等をきめ細かく巡るコミュニティバスや観光客の移動の円滑化を図るコミュニティバスの運行 地域の主要拠点である鉄道駅や病院 商業施設等と接続する路線の新設による 県民の日常生活や観光客の移動の円滑化 利便性の向上 10

(3) リニア駅と県内各地を結ぶバス路線の整備 リニア駅と県内各地を結ぶ速達性を確保したバス路線の新設 再編 速達性 定時性を確保した甲府駅とリニア駅を結ぶ新たなバス交通システムの整備 (4) バス交通の利用促進 実効性があり 持続可能なバス交通ネットワークを構築するため 効果的な利用促進策を 実施し 利便性の高い安定的なバス交通の確保を目指す 11