平成 28 年 4 月 8 日 ( 金 ) 独立行政法人労働政策研究 研修機構 ( 理事長菅野和夫 ) 担当 : 総合政策部門田原孝明 ( 統括研究員 ) 鎌倉哲史直通電話 3-5991-514 URL:http://www.jil.go.jp 65 歳以降の就業率は 64 歳以下での転職経験のある人のほうが高い ( 中高年齢者の転職 再就職調査 ) 調査結果のポイント < 中高年齢者において転職経験者は約 6 割 >(P.3-4) 調査対象である 45 歳以上の回答者 5,357 名全体で 転職経験者は約 6 割であった 転職理由について 女性は 家庭の事情 の選択率が 32.7% と 男性 (9.3%) より 3 倍以上高かった < 転職の希望がありながら実際には転職しなかった人は 新しい環境に不安 が 4 割 >(P.5) 転職を希望しながら実際には転職しなかった人に理由を複数回答で尋ねたところ 男女ともに 新しい環境に不安だったから が約 4 割の選択率を示し最も多かった < 65 歳以降の就業率は 64 歳以下での転職経験がある人の方が高い >(P.6-7) 64 歳以下での転職経験のある 65 歳以上の回答者の就業率は男性 4.5% 女性 31.5% であり 64 歳以下での転職経験がない同年代の就業率 ( 男性 26.5% 女性 19.2%) よりも高かった < 男性の 5 代後半以降での転職は非正規化に伴う労働条件の変化が大きい >(P.8-13) 中高年齢で転職を経験した人に転職後の状況を尋ねたところ 男性については若年層での転職と比較して雇用形態の非正規化 および勤務日数 労働時間 賃金 労働単価の低下が大きかった 女性については男性同様に勤務日数 賃金の低下が見られたものの 雇用形態 労働時間 労働単価の変化は比較的小さかった < 中高年齢者で正社員 フルタイムでの転職志向が強かったのは 6 歳未満の男性のみ >(P.14) 45~59 歳の男性は約 6 割が今後転職するとしたら 正社員 への転職を希望していた 一方 6 歳以上の男性では希望が多様化し 最も多いのは パート アルバイト の約 3~4 割だった 女性については調査対象である 45 歳以上の全ての年齢層で パート アルバイト の希望者が約 6 割を占めていた < 6 歳以上での転職では自分の興味等に合った仕事を選ぶことが満足度を高める >(P.15-17) 全体では過半数の人が転職結果に とても満足している または 多少は満足している と回答しており 多少は不満がある とても不満がある 人は 2 割程度に留まった 満足度の規定要因としては 6 歳未満では転職に伴う賃金の低下が主要な満足度を低下させる要因であった 一方 6 歳以上での転職結果への満足度については賃金の低下による影響が見られず 自分の興味 能力 個性 資格等に合った仕事を選ぶ ことが満足度を高める要因であった
1 調査の概要 1-1 本調査の趣旨 目的急速な高齢化の中で 働く意欲と能力のある高年齢者がその能力を発揮して 希望すればいくつになっても働くことができるような環境整備が課題となっている このような中 平成 25 年 4 月より 65 歳までの継続雇用が義務化されたところであるが 離転職を行う中高年齢者の実態を把握することも重要である このため 本調査では 45~74 歳の中高年齢者を対象に 転職 再就職に関する実態 意識などについて調査機関のモニターを活用して郵送調査を実施した 1-2 調査名 中高年齢者の転職 再就職調査 1-3 実施方法 (1) 調査方法 : 郵送調査 (2) 調査機関 : 株式会社インテージリサーチ (3) 調査実施期間 :215 年 1 月 22 日から 2 月 23 日 (4) 調査対象 : 調査機関の郵送調査協力モニター ( 母数約 2 万人 ) から 45 歳 ~74 歳までを男女別 年齢 5 歳区切り (45 ~49 歳 5~54 歳 55~59 歳 6~64 歳 65~69 歳 7~74 歳 ) で各 5 人 計 6 人を選定した 具体的な選定方法としては 平成 24 年就業構造基本調査の性別 年齢階層別の雇用形態 業種の分布に合わせて 無職の人を含みサンプリングする方法を採った 1-4 回収状況等発送 / 回収数 : 発送数は 6 人回収数は 5548 票 ( 回収率 92.5%) 有効回収数は無効票を除く 5357 人 ( 有効回収率 :89.3%) なお 性別 年齢階層別の有効回答は どの年齢階層においても 9 割後で偏りは見られなかった 2
定年無回答選 その他の将来が不安だったの内容に興味をもてなかった等収入が少なかった 個性 資格を生かせなかった満了 転籍 整理解雇退職時間 休日等が悪かったの事情(介護等)の人間関係が好ましくなかった2 調査結果の概要 図表 2-1 転職経験率 2-1 中高年齢層における転職の基本的な状況 4 6 8 1 男女ともに 45~74 歳の調査対象者の約 6 割が転職経験を持っていた ( 図表 2-1) 転職経験者内での平均転職回数は 男性が 2.4 回 女性が 2.7 回だった 転 男性 (n=2,646) 経験有り, 62.4% 経験無し, 37.6% 職の理由は男性では比較的多様性が見られる一方 女 性では 家庭の事情 ( 介護等 ) が約 3 割を占めていた ( 図表 2-2) なお 家庭の事情( 介護等 ) には介 女性 (n=2,711) 経験有り, 63.7% 経験無し, 36.3% 護だけでなく 家事 育児等も一定数含まれていると 考えられる 図表 2-2 転職経験者における転職理由 ( 複数回答 転職経験のある人を対象 n=3,378) 3 男性 (n=1,652) 女性 (n=1,726) 25% 35% 択率 15% 仕1 5% 事能力職場会社給与労働家庭期間出向倒産希望3
転職で利用した機関 サービスの複数回答では 縁故 が 4 割程度と最も多く 求人情報誌等 が 3 割強 ハローワーク が 3 割弱と続いた ( 図表 2-3) 図表 2-3 転職経験者における転職時に利用した機関 サービス ( 複数回答 n=3,378) 選択率 45% 4 35% 3 25% 15% 1 5% ハローワーク 民間就職求人情報誌 支援サービス新聞 チラシ等 の会社の斡旋 ( 転籍等含む ) 縁故 ( 知人 友人等 ) その他 無回答 転職経験者における直近の転職に要した求職期間は ヶ月 が 19.8% 1~2 ヶ月 が 23.7% 3~5 ヶ月 が 13.8% であり 合計で約 6 割が半年未満であった ( 図表 2-4) 求職活動に要した費用は約 8 割が 円 であった ( 図表 2-5) 図表 2-4 転職経験者における転職に要した期間 (n=3,378) 5 万円未満, 4.6% 1 万円未満, 4.9% 図表 2-5 転職経験者における転職に要した費用 (n=3,378) 1 万円以上, 2.7% 無回答, 4.2% 1 万円未満, 4.5% 円, 79. 4
5 転職先の選定理由の複数回答では男性と女性で選択率が変わらない項目が多かったものの 通勤が便利 と 労働時間 休日等の労働条件が良い は女性が約 4 割 男性が 2 割以下と性差が大きかった ( 図表 2-4) 図表 2-4 転職経験者における転職先の選定理由 ( 複数回答 n=2,331) 一方 転職を希望しながら転職しなかった人にその理由を尋ねたところ 男女ともに 新しい環境に不安だったから が約 4 割を占め最も多く 男性ではこれに加えて 賃金が下がるから 経験 能力を活かせないと思ったから の選択率も高かった ( 図表 2-5) 図表 2-5 転職未経験者において転職を希望しながら転職しなかった理由 ( 複数回答 n=887) 5% 1 15% 25% 3 35% 4 45% 仕事の内容に興味があった能力 個性 資格を生かせる会社の将来性が期待できる給与等収入が多い労働時間 休日等の労働条件が良い通勤が便利とにかく仕事に就きたかったの会社が斡旋したから( 出向 転籍を含む) その他無回答選択率男性 (n=1,24) 女性 (n=1,127) 5% 1 15% 25% 3 35% 4 45% スキル不足のため賃金が下がるから雇用形態が変わるから勤務地が変わるから勤務時間が変わるから経験 能力を活かせないと思ったから新しい環境に不安だったから会社から慰留されたからその他無回答選択率男性 (n=529) 女性 (n=358)
2-2 転職経験の有無ごとの 65 歳以上の就業者の状況 2-2-1 男性の場合 回答時の年齢が 65 歳以上かつ 64 歳以下での転職経験がある男性についてみてみると 全体に占める 就業者の比率 ( 以下 就業率 という ) は 4.5% 自営業を除く雇用者の比率 ( 以下 雇用者 という ) は 28. であり 同年代の 64 歳以下での転職経験がない人の就業率 26.5% 雇用率 11.) より高かった ( 図表 2-6 左側 ) 次に直近の転職年齢ごとに見ると まず 54 歳以下 で転職した人は就業率が 39.9% と最も高かった ただしこの年代で転職を経験し 65 歳以上でも就業している人は半分以上が正社員から自営業主に転職し たケースであり 雇用率は 18.5% に留まる 一方 55~59 歳 6~64 歳 での転職者の場合 就業率 自体は 54 歳以下 よりもやや低いものの雇用率は直線的に増加し 6~64 歳 では 31.8% と転職経験 の無い人の 3 倍に達していた ( 図表 2-6 右側 ) 図表 2-6 現在 65 歳以上の男性の現在の就業率 雇用率 (64 歳以下での転職経験の有無および直近の転職年齢別 ) 5. 雇用者 自営業等 6 4. 5 歳以降の 3. 就業率 2. 雇用率 計 26.5% 15.5% 計 4.5% 計 39.9% 12.5% 28. 計 34. 21.4% 1.4% 23.6% 計 37.6% 5.9% 31.8% 64 歳以下での転職未経験者の就業率 ( 自営業等含む ) 26.5% ライン 1.. 11. 64 歳以下で転職経験なし全体 (n=362) 64 歳以下で転職経験あり全体 (n=521) 18.5% 54 歳以下 (n=173) 55~59 歳 (n=16) 直近の転職年齢別 6~64 歳 (n=17) 64 歳以下での転職未経験者の雇用率 11. ライン 6
2-2-2 女性の場合 回答時の年齢が 65 歳以上かつ 64 歳以下での転職経験がある女性についてみてみると 就業率は 31.5% 雇用率は 26.8% と 同年代の 64 歳以下での転職経験がない人の就業率 19.2%( 雇用率は 14.4%) よりも高 かった ( 図表 2-7 左側 ) また 全体を通して就業率に占める雇用者の割合が大きく 自営業主や会社 役員は 1 未満の水準に留まった 直近の転職年齢別に見ると まず 54 歳以下 では就業率 19.2%( 雇用率は 15.7%) と 転職経験が無 い人と同水準に留まった 一方 55~59 歳 6~64 歳 で転職を経験した女性は 65 歳以上での就業 率 雇用率が大きく増加しており 6~64 歳 の雇用率は 45.5% と 男性同様 転職経験がない人の 3 倍に達していた ( 図表 2-7 右側 ) ただし女性については専業主婦等 家庭に留まり一度も就業していない人も 転職経験なし かつ 未 就業 としてカウントされているため 転職経験の有無が 65 歳以降の就業に及ぼす影響を男性ほど正確 には解釈することが難しいと考えられる 図表 2-7 現在 65 歳以上の女性の現在の就業率 雇用率 (64 歳以下での転職経験の有無および直近の転職年齢別 ) 5. 雇用者 自営業等 計 49.1% 3.6% 6 5 歳以降の就業率 雇用率 4. 3. 2. 計 19.2% 4.9% 計 31.5% 4.7% 26.8% 計 19.2% 3.5% 計 38.5% 9. 29.5% 45.5% 64 歳以下での転職未経験者の就業率 ( 自営業等含む ) 19.2% ライン 1.. 14.4% 64 歳以下での転職経験なし (n=473) 64 歳以下での転職経験あり (n=426) 15.7% 54 歳以下 (n=255) 55~59 歳 (n=78) 直近の転職年齢別 6~64 歳 (n=55) 64 歳以下での転職未経験者の雇用率 14.4% ライン 7
2-3 中高年齢における転職の後での労働環境 待遇の変化 実際に中高年齢での転職を経験した人に転職後の状況を尋ねたところ まず男性に関しては基本的に転職年代が高いほど勤め先の従業員規模が小規模に移行し ( 図表 2-8) 雇用形態としては非正社員が多くなり ( 図表 2-9) 月あたりの勤務日数は少なくなり ( 図表 2-1) 1 日あたりの労働時間は短くなり ( 図表 2-11) 月あたりの賃金は低下し( 図表 2-12) 労働単価( 月の平均時給 ) は低下している ( 図表 2-15) 一方女性の中高年齢での転職に関しては 月あたりの勤務日数と月あたりの賃金は男性と同様に若年層での転職と比較して低下傾向が顕著であるものの ( 図表 2-12 図表 2-14) 従業員規模 雇用形態 1 日あたりの労働時間 および労働単価については男性よりも転職に伴う変化が小さかった ( 図表 2-1 図表 2-11 図表 2-13 図表 2-15) これは女性の場合 転職の時点で非正規のパート等が多かったためと考えられる 8
図表 2-8 回答者の直近の転職年齢ごとの転職後の勤め先の従業員規模 ( 縦軸は構成比 以下同じ ) 左列 : 男性 右列 : 女性 5 男性 :44 歳以下での転職 (n=582) 5 女性 :44 歳以下での転職 (n=497) 4 4 3 3 1 1 5 男性 :45~54 歳での転職 (n=131) 5 女性 :45~54 歳での転職 (n=181) 4 4 3 3 1 1 5 男性 :55~59 歳での転職 (n=91) 5 女性 :55~59 歳での転職 (n=61) 4 4 3 3 1 1 5 男性 :6~64 歳での転職 (n=6) 6 女性 :6~64 歳での転職 (n=2) 4 5 3 4 3 1 1 6 男性 :65~69 歳での転職 (n=19) 6 女性 :65~69 歳での転職 (n=12) 5 5 4 4 3 3 1 1 9
図表 2-9 回答者の直近の転職年齢ごとの転職後 現在の雇用形態 左列 : 男性 右列 : 女性 1.9.8.5.4.3.2 男性 :44 歳以下での転職 (n=582).5.4.3.2 女性 :44 歳以下での転職 (n=497).9.8.5.4.3.2 男性 :45~54 歳での転職 (n=131).9.8.5.4.3.2 女性 :45~54 歳での転職 (n=181).8.5.4.3.2 男性 :55~59 歳での転職 (n=91) 1.9.8.5.4.3.2 女性 :55~59 歳での転職 (n=61).9.8.5.4.3.2 男性 :6~64 歳での転職 (n=6) 1.9.8.5.4.3.2 女性 :6~64 歳での転職 (n=2) 1.9.8.5.4.3.2 男性 :65~69 歳での転職 (n=19) 1.9.8.5.4.3.2 女性 :65~69 歳での転職 (n=12) 1
図表 2-1 回答者の直近の転職年齢ごとの転職後 現在の月あたりの勤務日数 左列 : 男性 右列 : 女性 9 8 7 6 5 男性 :44 歳以下での転職 (n=582) 7 6 5 4 女性 :44 歳以下での転職 (n=497) 4 3 1 3 1 9 8 7 6 5 女性 :45~54 歳での転職 (n=181) 6 5 4 男性 :45~54 歳での転職 (n=131) 4 3 3 1 1 9 8 7 6 5 男性 :55~59 歳での転職 (n=91) 7 6 5 4 女性 :55~59 歳での転職 (n=61) 4 3 1 3 1 8 7 男性 :6~64 歳での転職 (n=6) 7 6 女性 :6~64 歳での転職 (n=2) 6 5 4 3 5 4 3 1 1 7 男性 :65~69 歳での転職 (n=19) 8 女性 :65~69 歳での転職 (n=12) 6 7 5 4 3 6 5 4 3 1 1 11
図表 2-11 回答者の直近の転職年齢ごとの転職後 現在の 1 日あたりの労働時間 左列 : 男性 右列 : 女性 1 9 8 7 6 5 4 3 1 男性 :44 歳以下での転職 (n=582) 7 6 5 4 3 1 女性 :44 歳以下での転職 (n=497) 1 9 8 7 6 5 4 3 1 男性 :45~54 歳での転職 (n=131) 8 7 6 5 4 3 1 女性 :45~54 歳での転職 (n=181) 1 9 8 7 6 5 4 3 1 男性 :55~59 歳での転職 (n=91) 1 9 8 7 6 5 4 3 1 女性 :55~59 歳での転職 (n=61) 9 8 男性 :6~64 歳での転職 (n=6) 9 8 女性 :6~64 歳での転職 (n=2) 7 7 6 6 5 5 4 4 3 3 1 1 8 7 6 5 4 3 1 男性 :65~69 歳での転職 (n=19) 9 8 7 6 5 4 3 1 女性 :65~69 歳での転職 (n=12) 12
図表 2-12 回答者の直近の転職年齢ごとの転職後 現在の月あたりの賃金 左列 : 男性 右列 : 女性 7 男性 :44 歳以下での転職 (n=582) 5 女性 :44 歳以下での転職 (n=497) 6 5 4 4 3 3 1 1 6 男性 :45~54 歳での転職 (n=131) 7 女性 :45~54 歳での転職 (n=181) 5 6 4 3 5 4 3 1 1 5 4 男性 :55~59 歳での転職 (n=91) 9 8 7 女性 :55~59 歳での転職 (n=61) 3 6 5 4 3 1 1 6 5 4 3 1 男性 :6~64 歳での転職 (n=6) 1 9 8 7 6 5 4 3 1 女性 :6~64 歳での転職 (n=2) 6 5 4 3 1 男性 :65~69 歳での転職 (n=19) 1 9 8 7 6 5 4 3 1 女性 :65~69 歳での転職 (n=12) 13
図表 2-15 回答者の直近の転職年齢ごとの転職後 現在の月の平均時給 ( ヒゲは第 1 四分位数 第 3 四分位数を表す ) 14
2-4 中高年齢者の今後の転職に関する希望 要望 今後の転職で希望する雇用形態は 6 歳未満の男性は約 6 割が 正社員 を希望している一方 男性の 6 歳以降では 3~4 割程度 女性全体では 6 割程度が パート アルバイト を希望していた ( 図表 2-13) 図表 2-13 性別 年代ごとの今後の転職で希望する雇用形態 ( 男性 n=2,646, 女性 n=2,711) 15
2-5 中高年齢における転職結果への満足度 図表 2-14 転職経験者の転職結果への満足度 (n=3,378) 転職結果への満足度については 全体では とても満 足している が 23.5% 多少は満足している が 32.9% であり 過半数の人は満足していることが分かった 一方 多少は不満がある が 16. とても不満がある が 4.5% と 合計で約 2 割の人は転職結果に不満を持っていることが分かった ( 図表 2-14) 直近の転職年齢ごとに見ると とても満足している 多少は満足している の合計比率は 44 歳以下 で 6% 45~54 歳 で 53.4% 55~59 歳 で 49.3% 6 歳以上 で 55.4% であった ( 図表 2-15) 直近の転職年齢 図表 2-15 直近の転職年齢ごとの転職結果への満足度 ( 転職年齢無回答を除く n=3,374) 1 3 4 5 6 7 8 9 1 3.1% 44 歳以下 26.9% 33.7% 21.2% 13.4% (n=1,538) 1.8% 45~54 歳 (n=95) 55~59 歳 (n=416) 6 歳以上 (n=475) 2.8% 18.8% 21.7% 32.6% 3.5% 33.7% 2.2% 21.4% 21.3% 18.2% 21.2% 16.6% 5.7% 6.5% 5.3% 2.4% 1.7% 1.5% とても満足している 多少は満足している どちらともいえない 多少は不満がある とても不満がある 無回答 16
2-6 中高年齢における転職結果への満足度の規定要因 ここで 45 歳以上での転職 再就職の満足度に焦点を当て 重回帰分析で規定要因を検討したところ図表 2-16の結果を得た なお投入した説明変数のうち転職先の選定理由に関しては因子分析によって 4 因子を抽出し各因子への負荷量の高い項目の加算得点を投入した ( 図表 2-17) i 重回帰分析の結果 転職に伴う賃金減少は 45~54 歳での転職者 55~59 歳での転職者 においては満足度を低下させる主要な要因であったが 6 歳以上での転職者 においては有意ではなかった 6 歳以上での転職者 においては調整変数である 現在の年齢 を除くと ほとんど有意な説明変数が得られなかったが 転職先選定理由のうち 自己適性志向 のみ正の説明変数として有意であった すなわち 6 歳以上での転職においては 仕事の内容に興味があった り 能力 個性 資格を生かせる 仕事を選んだ人において そうでない人よりも満足度が高くなることが示唆された 図表 2-16 転職結果への満足度を説明する重回帰分析の結果 ( 強制投入法 直近の転職年齢別 ) 基礎属性 転職変化 転職先選定理由 転職コスト 転職先の状況 45~54 歳での転職者 55~59 歳での転職者 6 歳以上での転職者 (n = 531) (n = 192) (n = 222) 説明変数 標準化 β 標準化 β 標準化 β 現在の年齢.6.25 ***.26 *** 性別.12 * -.4.7 定年に伴う退職 - -.9 転職後での仕事の種類の変化 -.12 *.18 *.7 転職後での業種の変化.9 -.4.1 労働利便性志向.18 ***.12.9 優良企業志向.9 *.12.9 就業願望 -.13 ** -.11 -.12 自己適性志向.14 ***.18 *.13 * 転職に要した求職期間 ( 月換算 ) -.2.2 -.5 転職に要した費用 -.1 -.1 -.1 転職の企業規模.4.1.3 転職の雇用形態.5.11.6 転職に伴う賃金減少 -.14 *** -.19 *. *** p <.1 ** p <.1 * p <.5 調整済み調整済み調整済み R 2 =.15 *** R 2 =.15 *** R 2 =.9 ** 17
図表 2-17 転職経験者における転職先選定理由の因子分析結果 ( 無回答を除く 主因子法プロマックス回転 n=2,315) 因子 1 2 3 4 労働時間 休日等の労働条件が良い.59.4 -.8 -.7 通勤が便利.42 -.6.5.7 給与等収入が多い.1.56.2 -.5 会社の将来性が期待できる -.4.4 -.2.8 とにかく仕事に就きたかった -.3.1.59 -.6 仕事の内容に興味があった -.3 -.2 -.9.37 の会社が斡旋したから ( 出向 転籍を含む ) -.11 -.2 -.19 -.33 能力 個性 資格を生かせる -.4.5 -.14.27 因子間相関 1.16.3.6 2 -.27.23 3 -.13 因子ラベル 第 1 因子 : 労働利便性志向 楽に 快適に働きたい 第 2 因子 : 優良企業志向 優良企業で働きたい 第 3 因子 : 無志向就業願望 とにかく仕事につきたい 第 4 因子 : 自己適性志向 自分の関心 能力に合った仕事をしたい の会社が斡旋したから ( 出向 転籍を含む ) については負の負荷量であるため 逆転処理の上で加算得点とした 一部 共通性の低い項目も見られたが ここでは便宜的なグルーピングを目的としているためそのまま分析に用いた i 重回帰分析は ある現象の変動を いくつかの要因から説明しようとする分析 である たとえば 地球温暖化を 二酸化炭素排出量と森林減少によって説明する といった分析ができる また因子分析については たくさんの項目を その背景にある 共通の因子 を想定することで似たもの同士をグルーピングする分析 である たとえば 国語 数学 英語 理科 社会のテストの点数から 文系因子 ( 国語 英語 社会 ) と理系因子 ( 数学 理科 ) を抽出する といった分析ができる 18