Ⅲ 生活習慣を改善するために 1 生活習慣改善の取組の在り方 これまでの全国体力 運動能力 運動習慣等調査 以下 全国体力調査 の結果から 運動実施頻度 毎日する者と全くしない者 が体力に大きな影響を及ぼしていることが示 されている 図3-Ⅲ-1 そのため 体力向上にとって日常的な運動時間の確保が重要であ ると言える そして 運動を生活の中に取り入れていく 日常化する ためには 生活習 慣全般を見直していく必要があると言える 小学校 点 60 57.0 47.6.7 ほとんど毎日 時々 ときたま 週に3日以上 週に1 2日 月に1 3日 図3-Ⅲ-1 しない 51.3 58.6 点 60 53.9 51.0.0 ほとんど毎日 時々 ときたま 週に3日以上 週に1 2日 月に1 3日 しない 運動やスポーツの実施頻度ととの関連 平成22年度 また これまでの全国体力調査の結果などから示された生活習慣と体力の関連性は 朝 食摂取 睡眠時間 テレビ等視聴時間のそれぞれを改善すれば体力が向上するという直接 的なものではなく 規則正しい生活習慣が体調の良い健康的な体を育み 日常の学校を中 心とした活動に意欲的に参加することができることにより 結果として体力の向上に結び付 いていることが考えられる 体を動かすこと 朝食を摂取すること 睡眠時間を確保すること テレビ等 テレビ ビデオゲーム 携帯電話 パソコン の視聴時間を適切なものにすること などのそれぞ れの生活行動の改善は 相互の生活行動に影響を及ぼす 例えば テレビ等の視聴時間が 短くなれば就寝時刻が早まり睡眠時間の確保につながる可能性があることも考えられ 起 床時刻が早まれば朝食を摂取する時間を確保できることも推察される また 体を動かす ことによる適度な身体的疲労感は食欲や睡眠時間に影響することとなる 睡眠 朝食 テ レビ等視聴時間の改善が体調の良い健康的な生活を送ることを可能にし 体調が良いから こそ よく体を動かす ことができ 結果として子どもの体力の向上につながると言える 体力向上の観点からは 運動習慣の確立による日常的な運動時間の増加が最も重要であ るが 運動が苦手で体力の低い児童生徒に対して運動習慣を身に付けさせることは容易な ことではない しかし 生活習慣の一部である朝食摂取 睡眠時間 テレビ等視聴時間に ついては 工夫次第で児童生徒全員が改善している事例が見られる そして そうした生 活習慣の改善を通して体力の向上につなげている事例がある そのため 運動が苦手で体 力の低い児童生徒に対しては 生活習慣の改善に関する取組が初期段階の取組として有効 である ここでは はじめに生活習慣と体力の関わりについて 全国体力調査の結果に基づいて 解説し 生活習慣改善に取り組んでいる学校の事例を紹介する 86/ 第 3 章 Ⅲ 生活習慣を改善するために
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朝食の摂取状況 朝食摂取率 を見ると 朝食を毎日食べる児童生徒の割合が 小学校 では90 95%以上 中学校では70 75%以上の学校のは それ未満の学校と比 べて高い傾向にある 図3-Ⅲ-5 そこで 児童生徒が朝食を 毎日食べる ようになること を目標とする生活習慣の改善の取組を行うことが 子どもの体力向上の観点から有効であ ることが分かる 小学校 点 60 90 以上の学校 54.2 54.0 53.7.1 点 60 中学校 54.7 53.8 95 以上の学校 95 未満の学校 95 未満 睡眠時間 者 5 以上の学校 95 未満 睡眠時間 者5 以上 朝食を全く食べない者 1 以上の学校 41.6 39.9 38.8 35 点 点 30.1 90 未満 3時間以上 90 未満 3時間以上 テレビ テレビゲーム含む テレビ テレビゲーム含む 視聴者25 以上の学校 視聴者25 以上 睡眠時間者 5 以上の学校 90 未満の学校 56.8 48.7.9 44.0 35 75 以上の学校 75 未満の学校 図3-Ⅲ-5 75 未満 3 時間以上テレビ テレビゲーム含む 視聴者 以上の学校 30 70 以上の学校 70 未満の学校 70 未満 睡眠時間 8 時間以上者 20 以上の学校 生活習慣の要因ととの関連 平成20年度 決定木分析の結果によるグラフ 25ページ参照 2 テレビ等の視聴時間が 3 時間を超えると体力が低下傾向 テレビ等の視聴時間の影響については テレビやパソコンの視聴時間が肥満度や身体活 動量と関連しているということがこれまでの全国体力調査により示されている 例えば 平 成22年度全国体力調査を再分析すると テレビ等の視聴時間が3時間以上の児童生徒は他 の児童生徒と比べて1週間の総運動時間が短いことが分かる さらに 肥満傾向にある児童 生徒は他の児童生徒と比べてテレビ等の視聴時間が3時間以上である割合が多い また 1日のテレビ等の視聴時間が3時間以上である群のが他の群と比べて低 いことが示されている 図3-Ⅲ-6 したがって テレビ等の視聴時間を適切な時間とすることは運動時間の増加や適正体重 の維持と関連して体力に影響していることが考えられる 88/ 第 3 章 Ⅲ 生活習慣を改善するために
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3 睡眠時間が小学生 8 時間以上 中学生 6 8 時間は体力が高い傾向 睡眠時間と体力との関係については 全国体力調査の結果から小学生は睡眠時間が8時間 以上 中学生は6 8時間の睡眠時間を確保している者のが最も高いことが分か る 図3-Ⅲ-8 したがって 睡眠時間については 運動時間と関連して体力に影響してい ることが考えられる 小学校 60 点 60 点 54.0 54.9 51.5 54.8.1 6 8時間未満 52.2 6 8時間未満 中学校 点 点 41.8.7 41.3 35 47.2 48.3 47.3 6 8 時間未満 8 時間以上 35 30 6 時間未満 6 8 時間未満 図3-Ⅲ-8 30 8 時間以上 6 時間未満 1日の睡眠時間ととの関連 平成22年度 朝食の摂取状況と睡眠時間を組み合わせて1週間の総運動時間との関連を分析した結果 からは 小学生においては 朝食を毎日食べてかつ睡眠時間が 中学生におい ては 朝食を毎日食べてかつ睡眠時間が6 8時間 男子は の児童生徒は そ うでない児童生徒と比べて 1週間の総運動時間が長いことが分かる 図3-Ⅲ-9 以上の結 果から 睡眠時間を十分確保し 朝食を摂取して登校する児童生徒は日常の運動時間が多く その結果として体力が高く維持されていると考えられる 小学校 睡眠時間 800 600 600 674 760 566 607 621 8 568 428 0 200 0 毎日食べる 時々食べない Ⅲ 生活習慣を改善するために 睡眠時間 毎日食べない 1 週間の総運動時間 分 1 週間の総運動時間 分 90/ 第 3 章 6-8時間 6時間以上8時間未満 6-8時間 6時間以上8時間未満 800 600 0 375 307 343 320 307 344 毎日食べる 時々食べない 314 2 310 200 0 毎日食べない
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