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今回用いる例データ lh( 小文字のエル ) ある女性の血液中の黄体ホルモンを 10 分間隔で測定した時系列データ UKgas 1960 年 ~1986 年のイギリスのガス消費量を四半期ごとに観測した時系列データ ldeaths 1974 年 ~1979 年のイギリスで喘息 気管支炎 肺気腫による死

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Ch.10 時系列データの基本 時系列データ y t = 0 + 1 x t1 +...+ k x tk + u t 1. Basic Analysis 1. 時系列データの性質 2. 時系列回帰の例 3. OLS 推定量の有限標本特性 4. 関数形 ダミー変数 指数 * 5. トレンドと季節性 入門計量経済学 1 入門計量経済学 2 10.1 時系列データの性質 時系列データの性質 観測値の時間的順序 : 任意の並べ替え不可 典型的な特徴 : 観測値の系列相関 / 非独立性 時系列データのランダム性をどう考えるべきか? 経済変数の結果 (GDPや株価等) は不確実性 したがってそれらは確率変数としてモデル化されるべき 時系列は 確率変数の連続 (= 確率過程 ) ランダム性は母集団からのサンプリングに依らない サンプル : 確率過程がとりうる多くの経路のうち 時系列の実現経路の 1 つ 10.1 時系列データの性質 例 : 米国のインフレと失業率 1948-2003 ここでは 2 つの時系列のみだが 経時的な経路が同時に観測される多くの変数の存在可能性 時系列分析は ある変数の過去の変数および他の変数の現在と過去の値への依存性をモデル化することに焦点 入門計量経済学 3 入門計量経済学 4 静学モデル Static models 静学時系列モデルでは 変数の現在値は説明変数の現在値の結果としてモデル化 静学モデルの例 同時点での失業とインフレの関係 (=Phillips curve) 現在の殺人率は 現在の有罪判決率や失業率 人口における若年男性の割合により決定 有限分布ラグモデル Finite distributed lag models 有限分布ラグモデルでは 説明変数はタイムラグを伴って被説明変数に影響を及ぼすことを許容 有限分布ラグモデルの例 出生率は子供の税額に依存しうるが 生物学的および行動上の理由から 効果には遅れが生じうる t 期の女性千人当り出産数 t 期の税控除 t - 1 期の税控除 t - 2 期の税控除 入門計量経済学 5 入門計量経済学 6 1

有限分布ラグモデルの解釈 過去のショックによる y の現在値への効果 一時的ショック transitory shock の影響 過去に 1 回のショックがあった場合 被説明変数は対応する遅れの係数によって示される量だけ一時的に変化 永続的ショック permanent shock の影響 ラグ効果 lagged effects この場合 効果は 1 期後に最大 最初のショックが一時的であった場合はその後の効果は消滅 恒久的なショックの長期効果はすべての関連するラグ効果の累積効果 最初のショックが永続的な場合は消滅しない 過去に永続的ショックがある場合 ( 例 : 説明変数が永続的に 1 単位増加 ) 従属変数への影響は関連するすべてのラグの累積効果 つまり従属変数に対する長期的な影響 入門計量経済学 7 入門計量経済学 8 OLS の不偏性 仮定 TS.1 (Linear in parameters) 関係する時系列は線形関係に従う 確率過程 y t, x t1,, x tk が観測的 誤差過程 u t は非観測的 説明変数の定義は一般的で ラグまたは他の説明変数の関数であってもよい 仮定 TS.2 (No perfect collinearity) 標本 ( したがって 基礎的な時系列過程 ) では どの説明変数も一定でも他の変数との完全な線形結合でもない 入門計量経済学 9 仮定 TS.3 (Zero conditional mean) 観測されなかった要因の平均値は すべての期間における説明変数の値と無相関 Notation 期間 t の全説明変数の値 この行列は全説明変数の完全な時間経路に関するすべての情報を収集 入門計量経済学 10 仮定 TS.3について 外生性 Exogeneity 誤差項の平均は同じ期間の説明変数と無相関 強外生性 Strict exogeneity 誤差項の平均は全期間の説明変数の値と無相関 TS.3 は被説明変数 y t ( u t ) から説明変数の将来値 x t+1 へのフィードバックを排除 被説明変数の過去の変化に対応して 説明変数を 調整 している場合には疑問 ( 例 :y- 殺人率 x- 警官数 ) 誤差項が説明変数の過去の値に相関する場合 これらの値を同時点説明変数として含める 入門計量経済学 11 定理 10.1 (Unbiasedness of OLS) 仮定 TS.4 (Homoskedasticity) 誤差項の分散は全期間の説明変数と相関してはならない TS.4の十分条件 : 誤差項の分散が説明変数と独立的であり 経時的にも一定 時系列の文脈では均一分散も容易に抵触する可能性 例 : 被説明変数を米国短期国債とすると その変動は政策レジーム変化に依存する等 入門計量経済学 12 2

仮定 TS.5 (No serial correlation) X の条件下で観測できない要因は経時的に相関しない 仮定 TS.5 について なぜこの仮定が横断的データにはないのか? 任意の説明変数値の下で 欠落要因が経時的に相関する場合 仮定は容易に反しうる この仮定は 横断面抽出が完全に無作為でない場合の無作為抽出仮定の代用としても役立ち得る この場合 任意の説明変数値の下で 誤差項は横断面ユニット ( 例 : 州 ) において無相関である必要 定理 10.2 (OLS sampling variances) 仮定 TS.1 - TS.5 の下で 横断面データのケースと同じ式 説明変数値 X の条件の理解は容易ではない これは主に 有限標本では説明変数の無作為性による抽出変動を無視しうることを意味 この種の抽出変動は ( 合計のため ) 通常大きくない 定理 10.3( 誤差分散の不偏推定 ) 入門計量経済学 13 入門計量経済学 14 定理 10.4 (Gauss-Markov Theorem) 仮定 TS.1-TS.5 の下で OLS 推定量はすべての線形不偏推定量のうち最小分散推定量 説明変数の条件の有無に関わらず有効仮定 TS.6 (Normality) X と独立のもとで (TS.3-TS.5 より ) 定理 10.5 (Normal sampling distributions) 仮定 TS.1-TS.6 のもとで OLS 推定量は X の条件下で正規分布を持つ F & t 検定も有効 入門計量経済学 15 例 10.1:Static Phillips curve 理論に反して 推定されたフィリップスカーブはインフレと失業のトレードオフを示していない CLM 仮定について TS.1: 誤差項は 通貨 所得 / 需要 原油価格 供給 為替の各ショック等の要因を含む 線形関係は制約的だが 良い近似である必要 TS.2: 失業率が経時的に変化する限り 完全共線性問題はない 入門計量経済学 16 CLM 仮定について ( 続き ) TS.3: 反証例 1: 過去の失業が将来需要に影響し インフレを弱める可能性 反証例 2: 原油価格変化がインフレを招き 将来の失業率上昇に影響 TS.4: 高失業率時に金融政策がより 緊張 するなら 不成立 TS.5: インフレ率の影響が経時的に持続するなら 不成立 TS.6: 仮定の妥当性は疑わしい 入門計量経済学 17 A linear relationship might be restrictive, but it should be a good approximation. Perfect collinearity will seldomly be a problem in practice. 例 10.2: インフレ & 財政赤字の国債への影響 3 ヶ月米国債金利 CLM 仮定について TS.1: 政府赤字 ( 対 GDP) 誤差項は一般に金利を決定する他の要因を表す ( 例 : ビジネスサイクル効果等 ) 線形関係は制約的だが 良い近似である必要 TS.2: 完全共線性は実際にはほぼ問題にならない 入門計量経済学 18 3

CLM 仮定について ( 続き ) TS.3: 反証例 1: 過去の財政支出が経済を浮揚させ 金利を高める可能性 反証例 2: 需要ショックが金利を上昇させ 将来のインフレ上昇に影響 TS.4: 赤字増大が財政不安と急激な金利変動を招くなら 不成立 TS.5: 景気循環の影響が続くならば 不成立 TS.6: 仮定の妥当性は疑わしい 入門計量経済学 19 10.4 関数形 ダミー変数 指数 例 10.4 時系列でのダミー変数 年 t の合計特殊出生率 解釈 年 t の税控除 第 2 次世界大戦期 (1941-45) 避妊薬導入 (1963-) 第 2 次世界大戦中 出生率は一時的に低い 1963 年避妊薬の導入以来 恒常的に低い 入門計量経済学 20 線形時間トレンドのモデル化 トレンドを持つ時系列 他の条件を一定として 従属変数は時間単位ごとに一定量だけ増加 他の解釈として 従属変数の期待値は時間の線形関数 指数時間トレンドのモデル化 線形上昇トレンドを持つ時系列 従属変数は時間単位ごとに一定の割合で増加 入門計量経済学 21 入門計量経済学 22 図 10.3 指数トレンドを持つ時系列 この時系列は一定の成長率を示す 回帰分析でのトレンド変数 独立 & 従属変数が共通トレンドから成る場合 偽の関係 spurious relationship が生じる可能性 この場合 回帰にトレンドを含めることが重要 例 10.7: 住宅投資と価格 1 人当り住宅投資 住宅価格指数 この回帰結果からは 一見 住宅投資と価格の間に 正の関係性があるように見える 入門計量経済学 23 入門計量経済学 24 4

例 10.7: 住宅投資と価格 ( 続き ) 住宅投資と価格に有意な関係はない トレンドはいつ含めるべきか? 従属変数が明らかなトレンドを示す場合 従属変数と独立変数の両方にトレンドがある場合 独立変数のいくつかだけが傾向を持っている場合 それら独立変数の従属変数への影響は トレンドが減算された後にのみ表示 時間トレンドを伴う回帰の解釈 トレンドを含む回帰における OLS 係数は 事前にトレンド除去した回帰係数と同じ これは多重回帰の一般的解釈従属変数がトレンドを持つ R 2 トレンド除去後の回帰の R 2 がより適切 トレンドにより従属変数の変動は過大になる トレンドを除去した従属変数を全独立変数 説明変数がトレンドを持つならば トレンド変数も加えて回帰 入門計量経済学 25 入門計量経済学 26 時系列での季節性のモデル化 季節ダミーの付加 12 月であれば 1 それ以外は 0 時間トレンドの場合と同様の解釈 説明変数の回帰係数は 従属変数と説明変数の季節性を除去した結果として見ることができる 従属変数の季節性を除去した回帰の R 2 は 説明変数の説明力をより反映する可能性 入門計量経済学 27 5