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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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福井県畜産試験場研究報告第 9 号 (26) ビタミン C 添加剤給与が黒毛和種去勢肥育牛の肉質に及ぼす影響 明間基生 吉田靖 Effect of dietary VitaminC on fleshy substance in Japanese Black fattening steers. Motoo AKEMA, Yasushi YOSHIDA 現福井県家畜保健衛生所 要 約 黒毛和種去勢肥育牛に対して肥育中期から出荷時まで 日体重 kg あたり 6mg ( 試験 ) および 3mg( 試験 2) のビタミン C 剤を給与する区と給与しない対照区を設け 発育と肉質について検討した 肥育牛の増体重 DG および肉質成績の BMS No. は 有意差は認められなかったが試験 2 ともにビタミン C 給与区の方が高かった 血液中のビタミン C 濃度は 試験 では給与区の方が高く推移したが 試験 2では逆に対照区で高くなった ビタミン C 添加剤は高価であるが ビタミンC 給与区は対照区よりも枝肉単価 販売価格とも高くなり 販売価格の両区の差額は添加剤経費を上回った Ⅰ 緒言 福井県では 県内産の高品質な和牛を 若狭牛 としてブランド化し生産拡大を推進している この 若狭牛 の一層のブランド化には 肉質特に脂肪交雑の向上が重要である 最近 脂肪交雑の蓄積過程に関して 京都大学などでビタミンCが脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化を促進することが培養試験に ) おいて確認され また 牛への給与試験においても肉質が向上したとの報告がある 2) 一方 ビタミンCは牛の体内で合成されるため 脂肪交雑の向上に必要な最低基準量も判明していない また ルーメンをバイパスするように加工処理されたビタミンCは高価であり 投与量によっては費用が過大になる可能性がある そこで 黒毛和種去勢肥育牛へのビタミン C 添加剤給与が肉質に及ぼす影響について検討した なお この試験は 先端技術を活用した農林 水産研究高度化事業 広域ニーズ シーズ対応型研究 育種情報の高度化によるおいしい牛肉の開発 の共同研究試験の一部として実施した Ⅱ 試験方法 ビタミンCの給与量これまでにビタミンCは 家畜にとって 体内で合成されるためこれまで重要視されておらず 必要量が判明していない また 肥育牛の ビタミンC 消費は個体差が著しいとの報告もある ) そこでこれまでに実施されたビタミンC 給与試験を参考にして給与量を設定した また ビタミンCは そのままではルーメン内で分解されてしまうとされているため 油脂でコーティングされた添加剤 ( 商品名コーテッドビタミンC.Fタイプ.BASF 武田ビタミン株式会社 ) を試験に供した -7-

ヒ タミン C 添加剤給与が黒毛和種肥育牛の肉質に及ぼす影響 2 試験区の構成供試牛は 黒毛和種雄子牛を福井県嶺南牧場より3ヶ月齢で導入し 当場で育成後 試験に供用した 肥育期間は両試験区とも9ヶ月間で 試験牛の血統および飼料給与内容は表 2 3のとおりとした また ビタミンC 添加剤の給与期間は 5ヶ月齢より出荷までの6ヶ月間とした 試験はビタミンCの給与量を検討するために 給与量として2 水準を設定した 試験 では 体重当り6mg/kg 日のビタミンC 量を給与した2 頭を給与区とし ビタミンC 無給与の2 頭を対照区とした 試験 2では 体重当り3mg/kg 日のビタミンC 量を給与した3 頭を給与区とし ビタミンC 無給 なお これまで他県との協定試験で実施した結果より 飼料中のビタミンAの制限給与が有効な方法と考えられるので 本試験でも血液中のビタミンA 濃度を測定しながら試験を実施した また 両区とも群管理とし 2 牛房を用いて試験を行ったが 飼料給与についてはドアフィーダーを利用して個別給与とした 与の2 頭を対照区とした ( 表 ) 表 試験区の構成 区 分 試験 試験 2 給 与 区 2 頭 3 頭 対 照 区 2 頭 2 頭 ビタミンC 給与量 6mg/kg 日 3mg/kg 日 ビタミンC 給与期間 6ヶ月間 6ヶ月間 肥 育 期 間 5 年 6 月 ~6 年 2 月 5 年 8 月 ~7 年 2 月 表 2 試験牛の血統 試験 (6mg 給与区 ) 試験 2(3mg 給与区 ) No 生年月日 父 母の父 No 生年月日 父 母の父 H4.7.25 神茂福 照長土井 5 H4.9.6 神茂福 北賢桜 2 H4.8.6 神茂福 谷福土井 6 H4.. 神茂福 乙次郎 3 H4.7.9 神茂福 照長土井 7 H4..5 神茂福 菊安土井 4 H4.8.3 神茂福 紋次郎 8 H4.9.6 神茂福 数茂波 9 H4..7 貴安福 北国 7の 8 表 3 飼料給与内容 (%/ 現物中 ) 濃厚飼料 前期 (6 ケ月間 ) 中期 (7 ケ月間 ) 後期 (6 ケ月間 ) コーン圧ペン 5 7 6~3 一般フスマ 33.3 2~3 大豆粕 6.7 2 ~ 脱皮大麦 ~4 栄養価 DM 87. 86.8 86.8 CP 8. 7.6 4.7~. 給与割合 TDN 73.7 8 76.2 9 75.7~72.9 9 粗飼料 チモシー乾草 5 5~ 給与割合 稲ワラ 5 2 5~ -8-

福井県畜産試験場研究報告第 9 号 (26) 3 調査項目発育性 血液検査 ( 血中ビタミンC ビタミンA 濃度 血中コレステロール値 血中尿素態窒素 ) 飼料摂取量等について調査した また試験 については 出荷時に日本格付協会による枝肉格付成績と販売価格により ビタミン C 添加剤の肉質への影響と経済性について調査した Ⅲ 試験結果 発育性日増体量および出荷時体重は 試験 の給与区 (6mg/kg 日) が.75 7kgであったのに対し 対照区は.67 66kgであった 同じく試験 2では給与区 (3mg/kg 日) が.8 737kgであったのに対し 対照区は.78 7 7kgであり 試験 2ともビタミンC 添加剤を給与した区の方が良い傾向にあった しかし 試験 2の対照区の出荷体重および日増体量が試験 の給与区の成績を上回る結果となった そこで ビタミンCの給与水準にかかわりなく 給与と無給与での比較を試みたところ ビタミンC 添加剤を給与した方が 出荷体重 日増体量ともに優れていた ( 表 5) 表 4 体重および日増体重 (kg) 区 分 開始体重 出荷体重 全期間増体重 DG 試験 6mg 試験区 269 7 432.75 6mg 対照区 277 66 384.67 試験 2 3mg 試験区 27 737 466.8 3mg 対照区 269 77 449.78 平均 ビタミン C 添加区 27 79 449.78 対照区 273 689 46.72 2 血液検査結果血中ビタミンA 濃度は 4ヶ月令より飼料中のビタミンA 量を制限をしたところ 両試験とも出荷までコントロールすることができた ( 図 ) 試験 (6mg/kg 日 ) 試験 2(3mg/kg 日 ) 血中 V.A 濃度 (IU/dl) 2 5 5 ビタミン A 制限開始 ビタミン A 投与 給与区対照区 血中 V.A 濃度 (IU/dl) 2 5 5 ビタミン A 制限開始 給与区対照区 2 7 22 27 5 2 25 図 血中ビタミンC 濃度は 試験 の試験区で 給与開始後から高く 出荷までその傾向が続いたが 試験 2では逆に対照区の方が高い傾向と 血中ビタミン A 濃度 なった ( 図 2 ) -9-

ヒ タミン C 添加剤給与が黒毛和種肥育牛の肉質に及ぼす影響 4 試験 (6mg/kg 日 ) 試験 2(3mg/kg 日 ) 4 血中 V.C 濃度 (mg/l) 3 2 ビタミン C 給与開始 給与区対照区 4 6 8 2 22 24 26 28 血中 V.C 濃度 (mg/l) 3 2 図 2 血中ビタミン C 濃度 また 血中尿素体窒素値 血中コレステロール値については 両区で若干のひらきがあるも ビタミン C 給与開始 給与区 対照区 2 4 6 8 2 22 24 26 月齢 ( 月 ) のの 特に著変は 認められなかった ( 図 3 4 ) BUN(mg/dl) 25 2 5 5 試験 (6mg/kg 日 ) 投与区対照区 BUN(mg/dl) 25 2 5 5 試験 2(3mg/kg 日 ) 投与区対照区 2 5 8 2 24 27 3 2 5 8 2 24 27 図 3 血中尿素態窒素濃度 3 試験 (6mg/kg 日 ) 3 試験 2(3mg/kg 日 ) 25 25 TCHO(mg/dl) 2 5 TCHO(mg/dl) 給与区 5 対照区 2 5 8 2 24 27 3 2 5 給与区 5 対照区 2 5 8 2 24 27 図 4 血中コレステロール濃度 3 枝肉成績枝肉重量およびBMS 値は 試験 の試験区 (6 mg/kg 投与区 ) が45kg No 8.であったのに 対し 対照区では49kg No 6.5であった 同じく試験 2では試験区 (3mg/kg 投与区 ) が47 kg No 8.であったのに対し 対照区は467kg --

福井県畜産試験場研究報告第 9 号 (26) No 7.であった ビタミンC 給与による脂肪交雑やきめ しまり等の肉質改善が認められたとの報告があるが 本試験においてもビタミンC 添加剤給与によるBMS 値の向上効果が示唆された ( 表 5) 表 5 枝肉成績 ビタミンC 添加剤を利用した場合の経済性を試算すると 試験 では試験区が対照区に対し飼料費 ( 添加剤費含む ) で平均 75 千円高くなったものの 販売価格では平均 227 千円高く取引された ( 表 6) 区分歩留肉質 枝 ロ ば 皮 歩 B 脂 B 光 肉 締 き 締 B 光 脂 ー肉 ら 下 留 M 肪 C の ま め り F 沢 肪 重 ス 厚 脂 基 S 交 S 沢 色 り き S と 色 量 面 さ 肪 準 雑 沢 め 質 沢 積 厚 値 等 等 等 等 級 級 級 級 試験 給与区 45 65 7.4 2. 75.3 8. 4.5 3. 4.5 4.5 5. 4.5 4.5 3 5 5 6mg/ 日 対照区 49 59 6.9 2. 74.7 6.5 4. 3.5 4.5 4.5 4. 4.5 4. 3 5 5 試験 2 給与区 47 65 7.4 2.6 74.6 8. 4.5 3.5 4.5 4.5 4.5 4.5 4.5 3 5 5 3mg/ 日 対照区 467 63 8.2 3. 74.7 7. 4.5 3.5 4.5 4.5 4.5 4.5 4.5 3 5 5 表 6 経済性試算 ( 千円 ) 販売価飼料費差額 (VC 費 ) 区分格 (A) (B) (A-B) 6mg 試験区 (a),72 39 (7) 753 試験 6mg 対照区 (b) 845 244 6 差額 (a-b) 227 75 52 3mg 試験区 (a),23 299 (39) 94 試験 2 3mg 対照区 (b),32 258 874 差額 (a-b) 7 4 3 Ⅳ 考察今回の試験の目的に対し試験 の結果は 給与区の方が肉質が良く ビタミンC 添加剤給与の影響が示唆された また枝肉単価 販売価格においても給与区の方が対照区に比べ良く 経済性についても有効である事が示唆された また出荷体重や枝肉総重量については 両区とも十分な結果が得られ 特に問題は認められなかった しかし ビタミンC 添加剤は高価であり 過剰に給与しても体外に排出されるため 適量も判明していない 本試験においても 試験 では 血中ビタミンC 濃度は給与区で高く推移したが 試験 2では逆に対照区の方が高い結果となり その原因については不明である また 本試験では肥育期間の大半で添加剤を給与したが 例えば脂肪前駆細胞が一番発達する 肥育中期のみの給与での有効性等給与期間の検討が課題として残る 今後は これまでの結果を参考にして ビタミンCの有効性を検討していく予定である また次回の試験では ビタミンC 添加剤を利用した早期肥育 出荷について 肥育農家での活用を考慮したさらに有効な利用方法を検討する --

ヒ タミン C 添加剤給与が黒毛和種肥育牛の肉質に及ぼす影響 Ⅴ 謝辞 本試験を行うにあたり 試験設計から血液中のビタミンC 濃度の測定等にご支援やご協力をいただいた京都大学大学院農学研究科動物栄養科学研究室の矢野秀雄教授を始め松井徹助教授ならびに研究室の皆様に厚く御礼申し上げます 参考文献 ) 高橋栄三 松井徹 若松繁 岼紀男 塩尻泰一 松山隆次 村上弘明 田中真哉 鳥居伸一郎 矢野秀雄. 肥育牛における血清中ビタミンC 濃度. 日本畜産学会報. 7:J9-J22. 999 2) 鳥居伸一郎 松田恭子 大山路代 松井徹 矢野秀雄.995. 黒毛和種から単離した脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化におけ るビタミン及び脂肪酸の影響. 肉用牛研究会報.6:27-28. 3) 大橋秀一 瀧澤秀明 松井誠.2. 和牛の肉質向上に対するビタミンCの効果. 愛知県農業総合試験場研究報告.32 4) 矢野秀雄.25. 肥育牛の肉質および増体に及ぼすビタミンCと亜鉛の影響. 科学飼料.5(5):3-39. 5) 柏木敏孝 谷口俊仁 野口浩和 山本喜彦. 2. 高級牛肉の合理的生産技術の確立 ( ビタミンCが肉質等に及ぼす影響 ). 和歌山県農林水産総合技術センター畜産試験場研究報告.3:7-8. -2-