損金算入できる税金 1. 概要消費税の計算を税抜経理処理して決算時点で課税売上割合が 95% 未満になった場合 控除対象外消費税が出てきます この仮受消費税と仮払消費税の差額と 確定納付額のずれは 損金算入できます 課税売上割合が 80% 以上 95% 未満の場合は 全額を租税公課として損金計上でき

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法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

役員の債務保証料 1. 概要オーナー社長の場合は 自社の銀行借入金に代表者個人が連帯債務保証をしている場合があります このような場合は 法人からオーナー個人に債務保証料 ( 信用保証料 ) を支払うことが出来ます 当然 会社では法人税の計算上で損金計上することが出来ます 2. 注意点 (1) 債務保

自己株式の消却の会計 税務処理 1. 会社法上の取り扱い取得した自己株式を消却するには 取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります ( 会 178) 取締役会決議では 消却する自己株式数を 種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要があります 自己株式を消却しても 会

粉飾決算と過年度損益修正 1. 概要 経営上の諸般の事情により やむを得ず粉飾して架空売上や架空在庫を計上する場合があります 前期以前の 過年度の決算が間違っていた場合は 会計上は当期の期首で修正できます ただし 過年度の損失を当期に損金算入すれば その事業年度に損金計上すべきであり 過年度の損失は

収用等の特例 1. 収用特例の利用方法 個人が収用や土地区画整理事業で公共事業に不動産を収用された場合は 以下の 2 つの課税の特例があります 法人の場合も ほぼ同様の特例が措置法 64 条と 65 条の 2 に用意されています 類型個人法人 1 収用等の代替資産取得の特例措置法 33 措置法 64

完全子会社同士の無対価合併 1. 会社法の規制 100% 子会社同士が合併する場合は 兄弟合併とも言われます 実務上は新設合併はマイナーで 法律上の許認可の関係で一方が存続する吸収合併が一般的です また 同一企業グループ内での組織再編成の場合は 無対価合併が一般的です 簡易合併に該当する場合は 存続

ゴルフ会員権の売却と損益通算 1. 概要 個人で所有する預託金方式のゴルフ会員権の場合 総合課税の譲渡所得として その売却損は損益通算できま す ( 所基通 33-6 の 2) ゴルフ会員権やレジャークラブ会員権は優先的プレー権と預託金返還請求権の 2 要素があり 売却した場合は譲渡所得になります

平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 無対価での会社分割 バックナンバーは 当事務所のホームページで参照できます 1

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

平成23年度税制改正の主要項目

自己株式とみなし配当 1. 自己株式取得の法務自己株式は 会計上は資本取引として認識し 純資産の部から取得価額を控除する形式で表示します ( 自己株式会計基準 7) 一方税務上では 発行法人の貸借対照表と自社株式の取引価額次第で みなし配当課税と所得税の源泉徴収が必要な場合があります 自己株式の取得

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

債務控除できるもの できないもの 1. 概要相続税の申告で 債務控除できるものや葬式費用には 被相続人名義の銀行借入金や未納の所得税等の公租公課 未払医療費等のいわゆる債務の金額 葬式費用が挙げられます ( 相法 13) 斎場へのタクシー代や式後の飲食代なども含みますが 通常必要とされる範囲内とされ

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

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消費税関係の届出書の解説 消費税関係の届出書について 具体的に踏み込んだ利用の仕方を解説します マークが付されているものは 届出後 2 年間は継続適用が義務付けられているものです 1 消費税課税事業者選択届出書 ( 第 1 号様式 消法 94) 提出期限 : 課税期間の開始する日前 ( 新設法人は設

(1) 理由付記等

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

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( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ 特定資産の部 1. 流動負債 366,211,036 1 年内返済予定 1. 流動資産 580,621,275 特定社債 302,000,000 信託預金 580,621,275 事業未払金 2,363, 固定資産 6,029,788,716 未払

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

【表紙】

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

2019 年度版 2019 年度版 CPE カリキュラム一覧表 4. 税務 学習成果 税務に関連する理論及び諸規定を適用する 大分類 40 総論 必須 税務 小分類 ( 研修コード ) 01 租税法概論 ( 4001 ) 租税法入門 税法総論 1. 租税の意義 種類とその役割 2. 租税法の法体系及

はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H27 課税期間の基準期間における課税売上高を確 の判定 014 認したか H27 事業年度を変更している場合等 前々事業年 015 度が1 年未満の場合の基準期間を確認したか ( 法人の場合 ) H27 基準期間が1 年でない場合

(消費税)確定申告書作成(一般課税)編

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step.2 課税売上高の合計を計算する します step.21 欄の内容を転記します 表ロ 1~3 欄にそれぞれ記入します step.22 を転記します 表ロ 4~6 欄にそれぞれ記入します step.23 容を転記します 表ロ 7~9 欄にそれぞれ記入します step.24 その他の所得に係る収

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

40 総論 01 租税法概 租税制度総論 必須 税務 論 1. 公認会計士と税務業務 ( 4001 ) 2. 税理士制度 3. 税務官庁の組織 4. 不服申立て 税務訴訟 5. 税務調査と否認の処理 6. 処罰法 7. その他 02 税制の動 向 ( 4002 ) 税制改正一般改正税法の研究 将来税

なぜ法人化するのか? 所得税 住民税 事業税 社会保険 医療費が高い! それは 所得 (= 収入 - 経費 ) が高いからです すべてにかかわります 特に所得税は超過累進税率です 住民税 :10% 事業税 ( 不動産 ):5% どういう場合に法人化するのか? 相続税対策が終わった場合 相続税が発生し

2 その他 H26 中間申告義務のない事業者が 届出 012 書を提出した場合には 自主的に中間申告 納付することができる旨を 検討したか ( 平成 26 年 4 月 1 日以 後開始課税期間より適用 ) 本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H26 課税期間の基準期間

相続税の改正 -平成23年度税制改正大綱

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e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

税金の時効 税務では 時効のことを更正 決定処分の期間制限 = 除斥期間 といいます その概要は 以下の通りです 1. 国税側の除斥期間 ( 通則法 70) 1 期限内申告書を提出している場合の所得税 相続税 消費税 税額の増額更正 決定処分の可能期間 : 法定申告期限から 3 年 2 無申告の場合

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(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

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外国税額控除 この取り扱いは 平成 21 年度税制改正の 海外子会社の配当の益金不算入制度 ( 法法 23 条の 2) により廃止されました 原則として 平成 21 年 4 月 1 日以降に開始する親会社の事業年度から適用されます ( 附則 6) ただし 租税負担率 25% 以下の軽課税国に所在する

スライド 1

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

消費税申告資料

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

3 減免の期間及び割合 下表の左欄の期間に終了する事業年度又は課税期間に応じて右欄の減免割合を適用します H27.6.1~H 減免割合 5/6 納付割合 1/6 H28.6.1~H 減免割合 4/6 納付割合 2/6 H29.6.1~H 減免割合 3/6 納

消費税申告資料

ことも認められています 施行日前 ( 平成 26 年 3 月 31 日以前 ) にリース契約を締結し リース資産の引渡しを行ったリース取引についてこの特例により賃貸借処理を行っている場合には 旧税率の 5% が適用されます 3. 資産の貸付け に関する経過措置指定日の前日 ( 平成 25 年 9 月

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

(消費税)確定申告書作成(簡易課税)編

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

⑵ 過誤納金還付金が各税法の定めに基づいて発生するのに対して 過誤納金は 法律上 国税として納付すべき原因がないのに納付された金額で 国の一種の不当利得に係る返還金である なお この過誤納金は 次の二つに分かれる イ過納金過納金は 納付時には納付すべき確定した国税があったが 減額更正や不服審査の裁決

わくわく青色申告3-消費税申告及び資料

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税務調査      業種別・狙われるポイント

2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

(消費税)確定申告書作成(簡易課税)編

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

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Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

Microsoft Word - zeisyou6記載の手引.doc

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

 

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

平成 30 年度改正版 平成 30 年 6 月 1 日から平成 31(2019) 年 5 月 31 日までの間に終了する事業年度に ついては 減免割合が 2/6 に変更となりましたので 30 年度改正版をご使用くださ 1 減免の対象 ( 変更はありません ) 詳細は次ページをご覧ください 1 資本金

第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 1 節国税の還付 学習のポイント 1 国税の還付金等とはどのようなものか 2 充当とはどのようなものか 1 還付金等の種類国税の還付には 還付金の還付と過誤納金の還付の二種類があり 還付金と過誤納金を併せて還付金等という (

企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

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営業報告書

Aさん : 何ですか 課税の繰り延べ課税の繰り延べって? 減税とは違うのですか? 税理士 : はい 買換特例には 根本的には税金は減らす効果はなく あくまで納税時期を遅らせることしかできないのです 課税の繰り延べの意味 税理士 : 今お持ちの駅前にある不動産を 2 億円で売却し 郊外の賃貸用マンショ

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会社税務のてびき目次 平成 28 年度 法人税関係税制改正のポイント 1 1 法人税は何にかかるか? 3 2 収益は どの時点で計上するか? 8 3 配当金を受け取ったときは? 15 4 売上原価を求める方法 19 5 売却した有価証券の損益を求める 24 コラム 1 社長が会社にお金を貸していたら

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債務超過会社の吸収合併 1. 会社法の規制債務超過会社を消滅会社とする合併は 旧 商法では 資本充実の原則 に反するとして認められていませんでした つまり 合併登記が受理されませんでした このため実務上は 不動産や有価証券の含み益を計上するか営業権を認識して債務超過を解消する あるいは債務超過の子会

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財剎諸表 (1).xlsx

法人税 faq

投資主の皆様へ 平成 29 年 3 月 マリモ地方創生リート投資法人 第 1 期分配金の税務上の取扱いに関するご説明 拝啓平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます さて 本投資法人は 平成 29 年 2 月 14 日開催の役員会において 第 1 期 ( 平成 28 年 12 月期 ) の (A)

〇本事例集は 平成 31 年 3 月を期限とした個人の確定申告について 国税通則法関連 ( 所得税 の納税地を含む ) の 誤りやすい事例 について取りまとめています 〇本事例集は 誤りやすい事例 を載せた後に 正しい解釈 処理方法を提示しています なお 無用 な文字数 ページ数の増加を避けるため

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平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 Up Newsletter 損金算入できる税金 租税公課の損金算入時期 少額減価償却資産の特例 http://www.up-firm.com 1

損金算入できる税金 1. 概要消費税の計算を税抜経理処理して決算時点で課税売上割合が 95% 未満になった場合 控除対象外消費税が出てきます この仮受消費税と仮払消費税の差額と 確定納付額のずれは 損金算入できます 課税売上割合が 80% 以上 95% 未満の場合は 全額を租税公課として損金計上できます ( 法令 139 の 412) ただし 課税売上割合が 80% 未満の場合で固定資産に関する 20 万円以上のものは繰延消費税として 5 年償却するか資産の取得原価に含めます これらは 別表十六 ( 九 ) の明細書に記入します 上記のように法人税の実務上 損金算入で判断に迷いやすい税金は以下の通りです 損金算入できないもの ( 法法 38 55) 損金算入できるもの 1. 法人税 ( 利子税は除く ) 1. 事業税及び地方法人特別税 ( 法基通 9-5-1 2) 2. 都道府県民税 市町村民税 ( 利子割も含む ) 2. 税込経理の消費税額 控除対象外消費税 3. 税額控除を選択した所得税 外国法人税 ( 法法 41) 3. 酒税等の消費税 4. 延滞税 加算税 印紙税の過怠税 ( 国税 ) 4. 固定資産税 都市計画税 自動車税 自動車取得税 自動車重量税 5. 延滞金 過少申告加算金 重加算金 ( 地方税 ) 5. 事業所税 6. 交通違反等の罰金 科料 ( 法基通 9-5-5) 6. 利子税 7. 独占禁止法の課徴金 ( 海外の罰金等も含む ) 7. 社会保険料 労働保険料の延滞金 追徴金 8. 金融商品取引法の課徴金 外国の罰金や科料 8. 税額控除しない所得税 外国法人税 9. 還付加算金 9. 印紙税本体 ( 過怠税は損金計上不可 ) 損金不算入の税金 ( 例えば法人税や住民税 ) が還付された場合は 益金にも不算入 ( 法法 261 一 ) 損金算入の税金 例えば消費税や事業税の還付金は益金に算入されます 国税や地方税の延滞税や重加算税 過少申告加算税は損金不算入です 各種ペナルティーを損金算入するのは 悪事を奨励していることになり社会正義の観点から不適切だからです ただし 社会保険料の延滞金は損金計上できます なお 不動産の売買取引の際には 固定資産税や都市計画税相当額を月割精算する実務上の取引慣行があります 固定資産税や都市計画税は 1 月 1 日現在の不動産の所有者に課税されます これは法人税や所得税 消費税の計算において 税金ではなく取引代金の一部 = 譲渡対価として扱われます ( 消基通 10-1-6 国税不服審判所平成 14 年 8 月 29 日裁決事例 ) よって 売り手にとってはその部分も売却代金の一部として法人税や消費税が課税されます 買い手にとっての未経過固定資産税等相当額は 購入代金の一部となるので消費税で仕入税額控除できます 自動車税も 4 月 1 日現在の自動車の所有者に課税されます 中古自動車を売買する際の自動車税も 月割り額を負担したのに過ぎないため 同様の取り扱いです http://www.up-firm.com 2

2. 不動産取得税 登録免許税の取り扱い 購入者用途不動産取得税の取り扱い関連法令 個人 事業用必要経費に算入する所基通 37-5 自家用取得価額に算入する所基通 38-9 法人 在庫 固定資産 取得価額に算入しないことができる ( 損金計上するか棚卸資産計上するかは任意 ) 取得価額に算入しないことができる ( 損金計上するか固定資産計上するかは任意 ) 法基通 5-1-1 の 2 法基通 7-3-3 の 2 例えば不動産賃貸業を開始するために収益物件 ( 賃貸ビル マンション等 ) を個人で購入すると 不動産取得税等 は不動産所得の必要経費になります しかし 法人を設立して購入すればそれを資産計上するか損金計上するか 収支状況により選択できます http://www.up-firm.com 3

租税公課の損金算入時期 法人の支払う租税公課で損金算入が認められるものの損金算入時期は 次の区分に応じて定められています ( 法 基通 9-5-1) 区分 時期 ( 原則 ) 申告書提出日の属する事業年度 1 申告納税方式 ( 例外 ) 消費税等の場合 経理処理が税込経理処理で その事業年度に損金経理で未払金計上した場合には その未 払計上した事業年度 具体例 ) 消費税 地方消費税 事業税 事業所税 酒税 ( 原則 ) 賦課決定日の属する事業年度 ( 例外 ) 2 賦課課税方式 その納付すべき税額につき 下記に掲げる日の属する事業年度において損金経理をした場合には その事業年度 1 納期の開始の日 ( 納期が分割されているときは それぞれの納期の開始の日 ) 2 実際納付日 具体例 ) 3 特別徴収方式 具体例 ) 固定資産税 都市計画税 不動産取得税 自動車税等 申告日の属する事業年度 特別地方消費税 ゴルフ場利用税 軽油引取税 通行税等 ( 原則 ) 納付日の属する事業年度 4 その他 ( 例外 ) 発生した事業年度に損金経理により未払金計上した場合にはその計上事業年度 具体例 ) 利子税 延滞税 ( 道府県民税等の納期限の延長分 ) 例えば固定資産税や都市計画税は 通常は納税通知書が 5 月頃に届きます その納期は 年 4 回です (6 9 12 2 月 ) 3 月決算であれば 損金計上時期は問題になりません しかし 12 月決算会社の場合は 2 月分を支払っていなくても 決算で未払計上すれば損金計上することが出来ます 6 月決算会社の場合は 9 12 2 月分を支払っていなくても 決算で未払計上すれば同様に損金計上することが出来ます 税込経理方式の消費税を租税公課として損金計上出来るのは 原則的には実際に納付した事業年度です しかし 未払計上した場合はその事業年度での損金計上も認められます ( 消費税法等の施行に伴う法人税の取り扱いについて 7) これは 継続適用が条件とされていません このため 赤字決算の場合は翌期に損金経理して 黒字決算の場合は当期に未払い計上して所得圧縮をすることが出来ます http://www.up-firm.com 4

少額減価償却資産の特例 1. 概要 PC は 通常は 4 年で減価償却します しかし 1 台 10 万円未満のものは消耗品費として即時損金算入することができます ( 法令 133) 例えば 1 台 98,000 円のデスクトップ PC10 台 =980,000 円は 全額を今期に損金算入する事が出来ます ( 法基通 7-1-11) また 1 台 198,000 円のノート PC5 台 =990,000 円があれば 3 年で一括償却することが出来ます ( 法令 133 条の 2) また 個人や法人が青色申告の中小企業者等に該当すれば 全額を今期に損金算入することもできます ( 措置法 28 条の 2 67 条の 5) この 少額減価償却資産の損金算入 特例は非常に便利ですので 決算時点での対策でよく利用されます 上限金額は 300 万円までです 2. 適用対象法人 (1) 中小企業者 (2) 農業協同組合等 中小企業者の定義 ( 措置法 42 条の 4612 五 措置令 27 条の 410) 中小企業者とは 以下の1または2に該当するものです 1 資本金または出資金が 1 億円以下の法人 個人事業主も含まれます ただし 大企業の子会社は除外されます 具体的には 発行済株式の 50% 以上を資本金 1 億円超の大規模法人に所有されている子会社等です 2 資本や出資の無い法人は 従業員数 1,000 人以下 3. 決算対策の類型対策の 4 類型 A: 免税 B: 課税繰り延べ 1 支出を伴う 1-A 1-B 2 支出が不要 2-A 2-B 1-A の具体例 : 上記の 少額減価償却資産の損金算入 特例や短期前払費用特例の利用 2-A の具体例 : 租税特別措置法上の試験研究費控除等の各種の税額控除特例の利用 1-B の具体例 : 逓増定期保険 レバレッジドリース 倒産防止共済等の利用 2-B の具体例 : 租税特別措置法上の買換え特例等の利用 上記の 4 類型では 2-A が最も有利です http://www.up-firm.com 5

UP!Consulting 4. 決算対策の選択肢比較項目 1 通常 2 一括償却 3 中小企業者等の特例 関連法令 法令 133 法令 133 条の 2 措置法 28 条の 2 67 条の 5 適用期限 なし 平成 24 年 3 月 31 日まで 2 限度額 なし 年間 300 万円まで 対象法人 全て 青色申告の中小企業等 個人の場合の取扱い 同上 ( 所令 138) 同上 ( 所令 139) 同上 ( 措置法 28 条の 2) 取得価額の金額基準 1 10 万円未満 20 万円未満 30 万円未満 損金算入額 全額 3 年で 1/3 ずつ 月数按分は不要 全額 損金経理要件 あり 明細書添付必要なし必要 ( 別表十六 ( 七 )) 必要 ( 別表十六 ( 六 )) 償却資産税の扱い課税なし ( 対象外 地令 49) 課税対象 1 取得価額は 消費税込抜処理している場合は税込価額で判断 税抜経理の場合は税抜価額で判断 2 平成 22 年度税制改正により この特例は 2 年間延長されました 資本金 1 億円以下の中小法人は上記の通り 3 通りの選択肢がありますが 大法人は 2 通りです なお 上記 1 通常のケースでその資産を廃棄した場合は 未償却残高はその除却した年に除却損として損金算入する事が出来ます しかし 2 一括償却している場合は除却した年の損金にはならず あくまでも 3 年間で規則的に償却されます ( 法基通 7-1-13) また 3 少額資産特例は償却資産税の対象となるため 出来るだけ23 年一括償却を選択した方が有利です 地方税の償却資産税の対象となるのは 取得価額 10 万円以上の固定資産です ( 地法 3411 四 地令 49) 合計 150 万円以上になれば 税率 1.4% で課税されます Reference Purpose Only 本レターに掲載している情報は 一般的なガイダンスに限定されています この文書は 個別具体的ケースに対する会計 税務のアドバイスをするものではありません 会計上の判断や税法の適用結果は 事実認定や個別事情によって大幅に異なることがありえます また 解説の前提となる会計規則や税制が変更されている可能性もあります 実際に企画 実行される場合は 当事務所の担当者にご確認ください http://www.up-firm.com 6