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Microsoft Word - 3.No._別紙.docx

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

糸球体で濾過されたブドウ糖の約 90% を再吸収するトランスポータである SGLT2 阻害薬は 尿糖排泄を促進し インスリン作用とは独立した血糖降下及び体重減少作用を有する これまでに ストレプトゾトシンによりインスリン分泌能を低下させた糖尿病モデルマウスで SGLT2 阻害薬の脂肪肝改善効果が報告

第12回 代謝統合の破綻 (糖尿病と肥満)

スライド 1

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

研究成果報告書

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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エネルギー代謝に関する調査研究

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

PowerPoint プレゼンテーション

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

2011年度版アンチエイジング01.ppt

平成14年度研究報告

Untitled

32 小野啓, 他 は変化を認めなかった (LacZ: 5.1 ± 0.1% vs. LKB1: 5.1 ± 0.1)( 図 6). また, 糖新生の律速酵素である PEPCK, G6Pase, PGC1 α の mrna 量が LKB1 群で有意に減少しており ( それぞれ 0.5 倍,0.8 倍

2015 年度 SFC 研究所プロジェクト補助 和食に特徴的な植物性 動物性蛋白質の健康予防効果 研究成果報告書 平成 28 年 2 月 29 日 研究代表者 : 渡辺光博 ( 政策 メディア研究科教授 ) 1

研究背景 糖尿病は 現在世界で4 億 2 千万人以上にものぼる患者がいますが その約 90% は 代表的な生活習慣病のひとつでもある 2 型糖尿病です 2 型糖尿病の治療薬の中でも 世界で最もよく処方されている経口投与薬メトホルミン ( 図 1) は 筋肉や脂肪組織への糖 ( グルコース ) の取り

インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

神緑会学術誌 平成24年度 第29巻 2013年 神緑会研究事業年間報告書 糖尿病発症におけるインクレチン効果の疫学的研究 第2報 ー妊娠糖尿病のスクリーニングからのアプローチー 研究代表者 社会医療法人愛仁会 研究協力者 社会医療法人愛仁会 社会医療法人愛仁会 社会医療法人愛仁会 産婦人科 概 要

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

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スライド 1

News Release 報道関係各位 2015 年 6 月 22 日 アストラゼネカ株式会社 40 代 ~70 代の経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんと 2 型糖尿病治療に従事する医師の意識調査結果 経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんは目標血糖値が達成できていなくても 6 割が治療

犬の糖尿病は治療に一生涯のインスリン投与を必要とする ヒトでは 1 型に分類されている糖尿病である しかし ヒトでは肥満が原因となり 相対的にインスリン作用が不足する 2 型糖尿病が主体であり 犬とヒトとでは糖尿病発症メカニズムが大きく異なっていると考えられている そこで 本研究ではインスリン抵抗性

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

( 様式甲 5) 氏 名 忌部 尚 ( ふりがな ) ( いんべひさし ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲第 号 学位審査年月日 平成 29 年 1 月 11 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Benifuuki green tea, containin

ン投与を組み合わせた膵島移植手術法を新たに樹立しました 移植後の膵島に十分な栄養血管が構築されるまでの間 移植膵島をしっかりと休めることで 生着率が改善することが明らかとなりました ( 図 1) この新規の膵島移植手術法は 極めてシンプルかつ現実的な治療法であり 臨床現場での今後の普及が期待されます

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Peroxisome Proliferator-Activated Receptor a (PPARa)アゴニストの薬理作用メカニズムの解明

0724

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

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H29_第40集_大和証券_研究業績_C本文_p indd

スライド 1

53巻6号/TNB06‐10(委員会報告)

Microsoft Word - プレスリリース最終版

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

表紙69-5,6_v10.eps

糖尿病予備群は症状がないから からだはなんともないの 糖尿病予備群と言われた事のある方のなかには まだ糖尿病になったわけじゃないから 今は食生活を改善したり 運動をしたりする必要はない と思っている人がいるかもしれません 糖尿病予備群の段階ではなんの症状もないので そう考えるのも無理はないです しか

Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

Microsoft Word - 44-第4編頭紙.doc

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グルコースは膵 β 細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれて代謝され A T P が産生される その結果 A T P 感受性 K チャンネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 Caチャンネルの開口 細胞内 Ca 2+ 濃度の上昇が起こり インスリンが分泌される これをインスリン分泌の惹起経路と呼ぶ イ

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

Microsoft Word _脂質異常症リリースドラフトv11_SHv2 final.docx

Q2 はどのような構造ですか? A2 LDL の主要構造蛋白はアポ B であり LDL1 粒子につき1 分子存在します 一方 (sd LDL) の構造上の特徴はコレステロール含有量の減少です 粒子径を規定する脂質のコレステロールが少ないため小さく また1 分子のアポ B に対してコレステロールが相対

核内受容体遺伝子の分子生物学

作成要領・記載例

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シトリン欠損症説明簡単患者用

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

Microsoft Word CREST中山(確定版)

平成24年7月x日

-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数

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1. 背景 NAFLD は非飲酒者 ( エタノール換算で男性一日 30g 女性で 20g 以下 ) で肝炎ウイルス感染など他の要因がなく 肝臓に脂肪が蓄積する病気の総称であり 国内に約 1,000~1,500 万人の患者が存在すると推定されています NAFLD には良性の経過をたどる単純性脂肪肝と

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(検8)05資料4 門脇構成員 随時血糖値の判定基準について

女性健康科学研究会誌 (J Soc Wom Health Sci Res) 第 2 巻第 1 号 213 年 5 月 regression analysis using age, BMI, Body-fat, WC/BMI, WC/Body-fat, LDL-cholesterol (LDL-C),

上原記念生命科学財団研究報告集, 28 (2014)

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

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Microsoft Word - 【最終】Sirt7 プレス原稿

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2. 看護に必要な栄養と代謝について説明できる 栄養素としての糖質 脂質 蛋白質 核酸 ビタミンなどの性質と役割 およびこれらの栄養素に関連する生命活動について具体例を挙げて説明できる 生体内では常に物質が交代していることを説明できる 代謝とは エネルギーを生み出し 生体成分を作り出す反応であること

プロジェクト概要 ー ヒト全遺伝子 データベース(H-InvDB)の概要と進展

2006 PKDFCJ


図 1 マイクロ RNA の標的遺伝 への結合の仕 antimir はマイクロ RNA に対するデコイ! antimirとは マイクロRNAと相補的なオリゴヌクレオチドである マイクロRNAに対するデコイとして働くことにより 標的遺伝 とマイクロRNAの結合を競合的に阻害する このためには 標的遺伝

日本標準商品分類番号 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制す

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

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No146三浦.indd

Microsoft Word _nakata_prev_med.doc


Microsoft Word - 03亀井.doc

Mincle は死細胞由来の内因性リガンドを認識し 炎症応答を誘導することが報告されているが 非感染性炎症における Mincle の意義は全く不明である 最近 肥満の脂肪組織で生じる線維化により 脂肪組織の脂肪蓄積量が制限され 肝臓などの非脂肪組織に脂肪が沈着し ( 異所性脂肪蓄積 ) 全身のインス

11 月 16 日午前 9 時 ( 米国東部時間 ) にオンライン版で発表されます なお 本研究開発領域は 平成 27 年 4 月の日本医療研究開発機構の発足に伴い 国立研究開発法人科学 技術振興機構 (JST) より移管されたものです 研究の背景 近年 わが国においても NASH が急増しています

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糖尿病境界型を放置できない理由は 糖尿病への進展リスクが高いこと および動脈硬化性病変が発症する例が多いことー 食後のインスリン分泌が生来低い かつ遅延している という特質を有している例 具体的には両親のいずれかが2 型糖尿病を有している例では 発症前にはむしろインスリンの働きが supernorm

統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

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上原記念生命科学財団研究報告集, 30 (2016)

研究の背景 ヒトは他の動物に比べて脳が発達していることが特徴であり, 脳の発達のおかげでヒトは特有の能力の獲得が可能になったと考えられています この脳の発達に大きく関わりがあると考えられているのが, 本研究で扱っている大脳皮質の表面に存在するシワ = 脳回 です 大脳皮質は脳の中でも高次脳機能に関わ

説明書

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細胞 THE CELL 2011年5月号 (立ち読み)

Transcription:

2008 年 7 月 15 日 ( 火 ) 金沢大学新技術説明会 肝臓由来分泌タンパク質を標的とした 2 型糖尿病等の治療 篁俊成 (TAKAMURA Toshinari) 金沢大学医薬保健研究域医学系准教授 Tel 076-265-2233, Fax 076-234-4250 ttakamura@m-kanazawa.jp

40 30 20 10 0 (%) 30.9 米国肥満比率の国際比較 24.2 22.0 21.7 メキシコ-BMI 30 kg/m2 以上の人の割合 - 14.9 12.6 11.5 10.4 10.0 9.4 8.6 英オカスドスオフイ国ーナペイウララタスダイツェンンリトンーダスアラデリンア3.6 日本3.2 韓国Organisation for Economic Co-operation and Development (OECD) Health Data 2004

0.6 0.2 日本人では正常 BMI から動脈硬化のリスクが増大する Men Women P = 0.015 21-21.99 18-18.99 20-20.99 19-19.99 18-18.99 20-20.99 19-19.99 22-22.99 23-23.99 24-24.99 25-25.99 26-26.99 27-27.99 28-28.99 21-21.99 22-22.99 23-23.99 24-24.99 25-25.99 26-26.99 27-27.99 28-28.99 1.2 1.0 P = 0.039 BMI (kg/m 2 ) Ota, Takamura, Kaneko. J Japan Soc Study Obesity 2005

予想に反して 肥満とインスリン抵抗性の関連は弱い インスリン感受性指数 (mg kg -1 min -1 ) 14 12 10 8 6 4 2 0 r=0.195 p=0.171 10 20 30 40 50 60 Non-Diabetics Diabetics Body Mass Index (kg/m 2 )

肝酵素 ALT 値のみがインスリン抵抗性と関連した インスリン感受性指数 (mg/kg/min) 14 12 10 8 6 4 2 0 0 25 50 75 100 125 150 175 200 225 ALT (IU/L) r=-0.497 p=0.0105 HOMA-R 12 10 8 6 4 2 0 0 25 50 75 100 125 150 175 200 225 ALT (IU/L) Non-Diabetics Diabetics r=0.540 p=0.0006

肝脂肪化は BMI と独立して インスリン抵抗性を予知する HOMA-IR (n=131) Coefficient t-statistic p-value 脂肪化 1.81 4.59 < 0.001 線維化 0.9 3.15 0.002 炎症 1.37 3.51 0.001 脂肪化 * 1.42 3.4 < 0.001 線維化 * 0.33 1.03 0.307 炎症 * 0.67 1.51 0.134 All models are adjusted for age, sex, and BMI by multiple linear regression. *Three histological scores are included in the same model. Sakurai, Takamura, et al. J Gastroenterol 42: 312-317, 2007

代謝異常の中心病態としての脂肪肝 高血圧 耐糖能異常 低 HDL 血症 中心性肥満 高 TG 血症 インスリン抵抗性 脂肪肝 腹部脂肪 パラダイムシフト! Ota, Takamura, Kaneko. Gastroenterology 2007 Matsuzawa, Takamura, Kaneko. Hepatology 2007 Sakurai, Takamura, Kaneko. J Gastroenterol 2007 Nagata, Takamura, Kaneko. Metabolism, in press

エネルギー代謝の恒常性を維持する臓器間ネットワーク 骨格筋 脳 脂肪組織 酸化ストレス 過栄養 肝臓 神経 液性因子 腎不全 消化管 動脈硬化 癌化

肝の脂肪化がインスリン抵抗性を作る可能性 線維芽細胞 肝細胞 筋原細胞 前脂肪細胞 脂肪化 脂肪細胞 発現遺伝子プロファイルの変化? 肥満 糖尿病の病態形成

糖尿病が肝臓発現遺伝子プロファイルに及ぼすインパクト Up-regulated in diabetic liver Down-regulated in diabetic liver Non-DM 8 Non-DM 6 Non-DM 7 Non-DM 4 Non-DM 3 Non-DM 5 Non-DM 2 Non-DM 1 Non-DM 9 DM 12 DM 4 DM 2 DM 6 DM 7 DM 8 DM 11 DM 10 DM 9 DM 5 DM 3 DM 1 DM, type 2 diabetic liver; Non-DM, non-diabetic liver Takamura T, et al. Diabetologia 47: 638, 2004

ヒト モデル動物の肝臓発現遺伝子解析 ヒト糖尿病 Diabetologia 2004 Metabolism 2006 Diabetologia 2007 ヒト肥満 Metabolism 2007 Eur J Pharmacol 2008 Obesity, in press 遺伝的肥満 糖尿病モデル動物 Gastroenterology 2007 Eur J Pharmacol, 2008 Hepatology, in press in vitro 脂肪肝システム 食餌性肥満 糖尿病モデル動物 Metabolism 2007 J Biol Chem, in revision 絶食 再摂食モデル Gastroenterology 2007 Hepatology 2007 Metabolism, in press

従来技術の問題点 脂肪細胞中心仮説では病態を説明しきれない 既知分子に着目したアプローチでは 画期的な創薬に限界? モデル動物や細胞レベル実験から機能性ホルモンを同定しても ヒトで発現変動しているとは限らない 肝臓は重要な臓器でありながら ヒトからの生検が困難で有り 解析が遅れていた ヒトの臨床サンプルでの検証が困難 提案する情報 システム 肝臓は代謝司令塔であり 最大のホルモン産生臓器 ヒトの病態で発現変動している新規ホルモン候補 ヒトから同定して 動物 細胞レベルで検証することで 臨床応用の実現性高い 世界最大級のヒト肝臓発現遺伝子情報を整備 臨床情報を伴った豊富な組織サンプル 12

Serial Analysis of Gene Expression (SAGE) 肝臓は分泌タンパクの宝庫 Misu, Takamura, et al. Diabetologia, 2007

ヘパトカイン候補遺伝子の絞り込み戦略 DNA チップ情報 SAGE 情報 糖尿病肝 vs. 正常肝遺伝子 A 遺伝子 B 遺伝子 C 糖尿病肝 / 正常肝発現比 インスリン抵抗性 (HOMA) 血糖コントロール (HbA1c) etc. 病態と関連あり 候補遺伝子 Yamashita, Kaneko. BBRC 2000 Takamura, Kaneko. Diabetologia 2004 Takeshita, Takamura, Kaneko. Metabolism 2006 Shimizu, Takamura, Kaneko. Metabolism 2006 Misu, Takamura, Kaneko. Diabetologia 2007 Takeshita, Takamura, Kaneko. Eur J Pharmacol 2008 Takamura, Misu, Kaneko. Obesity, in press

BMI 肥満 HbA 1c 血糖コントロール と関連して HOMA-R, MCR インスリン抵抗性 肝臓で発現変動する分泌タンパク候補遺伝子を同定した 糖尿病の病態と関連して発現変動する遺伝子群 ( 金沢大学 篁 金子 他 特願 2005-125689)

肝臓由来生理活性物質が生活習慣病を形成する可能性 臓器間ネットワーク 肥満 過栄養 Skeletal muscle 糖尿病 酸化ストレス インスリン抵抗性 Hepatokine 腎不全 動脈硬化 癌化

インスリン感受性指数 (mg/kg/min) 12.0 8.0 4.0 0.0 肝遺伝子発現量がインスリン抵抗性 負荷後血糖値と正相関する Selenoprotein P (SeP) を同定した R 2 = 0.43 (p =0.021) 0.5 1.0 1.5 2.0 SeP 肝遺伝子発現量 glucose 120 min. (mg/dl) 350 300 250 200 150 R 2 = 0.33 (p =0.049) 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 SeP 肝遺伝子発現量 Misu, Takamura, et al., in revision

インスリン抵抗性誘導 血管新生抑制作用を有する糖尿病関連肝臓由来分泌蛋白 SeP 金沢大学 篁 金子 他 WO/2008/013324 インスリン抵抗性 AMPK 抑制 autocrine paracrine 肝糖新生亢進 筋糖取り込み抑制 アディポネクチン産生抑制 高血糖 Misu, Takamura, et al., in revision

Insulin sensitivity in Hepatokine X KO mice Glucose level (mg/dl) Glucose tolerance test ** * Serum insulin level (ng/ml) Serum insulin levels 0min 30min Data are the means±s.e. (n=5-6), * p<0.05, ** p<0.01

Serum levels of Hepatokine X in human p=0.013 r=0.401 p=0.0021 r=0.483 p=0.0013 r=-0.5

肝臓と脳をつなぐ新規 GPCR リガンドの探索 Brain Orphan GPCR expressed in liver and brain Novel peptide ligand Human obesity Human diabetes High-fat diet-fed mice Fasted-refed mice

想定されるマーケット 世界的に爆発的広がりを見せる肥満症 糖尿病患者 生活習慣病関連製薬会社肥満症糖尿病高血圧症脂質異常症循環器疾患 動脈硬化症 想定される用途 ヒトの病態で変動している新規ホルモン候補 受容体アゴニスト アンタゴニストを用いた新規の生活習慣病治療薬開発 臨床検査会社糖尿病の病態理解糖尿病の重症度 合併症糖尿病の発症予知 患者の病態にあわせたテーラーメイド治療の実現糖尿病予防に向けた生活習慣是正 22

実用化に向けた課題 企業への期待 臨床教室では 膨大な基礎実験には限界がある 遺伝子機能スクリーニング段階からの共同研究 多様なヘパトカインの機能 創薬にむけた受容体同定アゴニスト アンタゴニストの開発血中濃度アッセイ系の確立臨床試験 多彩な観点からの初期機能スクリーニング 企業の強みを生かしたコラボレーション 23

本技術に関する知的財産権 発明の名称 : 糖尿病関連肝臓由来分泌タンパク質の 2 型糖尿病または血管障害の診断または治療への利用国際公開番号 : WO/2008/013324 出願人 : 国立大学法人金沢大学発明者 : 金子周一 篁俊成 御簾博文 高倉伸幸 お問い合わせ先 ( 有 ) 金沢大学ティ エル オーライセンシング アソシエイト海野徹 TEL 076-264-6118 FAX 076-234-4018 e-mail umino@kutlo.incu.kanazawa-u.ac.jp 24