食品安全委員会の構成 食品安全委員会は 7 人の委員から構成されています 食品安全委員会委員 12 の専門調査会と 5 つの WG 企画等 : 企画 緊急時対応 リスクコミュニケ - ション 企画等 ( 企画 リスクコミュニケーション 緊急時対応 ) 化学物質系 : 農薬 添加物など 生物系 : 微

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平成 30 年東京都食中毒発生状況 ( 速報値 ) 平成 30 年 8 月 31 日現在 8 月末までの都内の食中毒の発生状況が 東京都から公表されました 昨年と比較すると 件数では 30% 増 患者数では 46% 減となっています 最近 10 年間の平均と比較すると 患者数はほぼ同じですが発生件数

生食用鮮魚介類等の加工時における殺菌料等の使用について 平成 25 年 3 月食品安全部 1. 経緯食品への添加物の使用については 食品衛生法第 11 条第 1 項に基づく 食品 添加物等の規格基準 ( 昭和 34 年厚生省告示第 370 号 以下 規格基準 という ) の第 2 添加物の部において

菌名原因食品及び感染したときの症状特徴 黄色ブドウ球菌 原因食品 : 弁当 おにぎりなど潜伏期間 :1~5 時間症状 : 吐き気 おう吐 下痢 腹痛などの症状が現れます ヒトや動物の化膿した傷口やおできなどに存在し 食品に付着し増殖するときに毒素を作ります 毒素は熱や乾燥に強い性質があります ウエル

2 食中毒ってなんですか? 飲食物を摂取することによって起きる 急性の胃腸障害を主症状とする健康障害のこと 大部分の食中毒事例は ある種の微生物により発生 ただし 原因 ( 病因物質 ) によっては 主症状が胃腸障害以外のものもある 昔は 食あたり とも呼ばれていた

年次別 主な病原体別の食中毒事件数の推移 * 腸管出血性大腸菌を含む

スライド タイトルなし

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4. 加熱食肉製品 ( 乾燥食肉製品 非加熱食肉製品及び特定加熱食肉製品以外の食肉製品をいう 以下同じ ) のうち 容器包装に入れた後加熱殺菌したものは 次の規格に適合するものでなければならない a 大腸菌群陰性でなければならない b クロストリジウム属菌が 検体 1gにつき 1,000 以下でなけ

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平成 27 年 3 月 4 日農林水産省消費 安全局 平成 27 年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス モニタリング年次計画 1. 基本的な考え方食品安全行政にリスクアナリシスが導入され 科学に基づいた行政の推進が必要となっています このため 農林水産省は 食品の安全性

設問 4 ノロウイルスに関する次の記述のうち 誤っているものを 1 つ選べ 1 ノロウイルスは 冬季を中心に年間を通して胃腸炎を起こし 特に 保育園 学校 福祉施設などでは 集団発生になりやすい傾向がある 2 ノロウイルスは ヒトの腸管内で増殖し ノロウイルスの感染者のふん便 1g 中には 100

!YAK Sample 教材! 問題 2 セレウス菌 27 セレウス菌は 短い潜伏期間で嘔吐を主徴とするタイプと より長い潜伏期間で下痢を主徴とするタイプの2 つの型があり それらの発症にはいずれも毒素が関与している (94 70) 黄色ブドウ球菌 28 Staphylococcus aureus

目について以下の結果を得た 各社の加熱製品の自主基準は 衛生規範 と同じ一般生菌数 /g 以下 大腸菌 黄色ブドウ球菌はともに陰性 未加熱製品等の一般生菌数は /g 以下であった また 大腸菌群は大手スーパーの加熱製品については陰性 刺身などの未加熱製品については

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~ 目次 ~ 1. 手洗いマニュアル 2. 原材料の保管管理マニュアル 3. 加熱調理食品の中心温度及び加熱時間の記録マニュアル 4. 調理器具等の洗浄 殺菌マニュアル 5. 厨房設備等の衛生管理マニュアル

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

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HACCPの概要と一般的衛生管理

衛生管理マニュアル 記載例

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はじめに 食中毒とは 食中毒を起こす微生物が付着して増殖した飲食物や 有毒又は有毒な化学物質 ( 自然毒 ) が含まれている飲食物を摂取することによって起こる健康障害です 東京都では 毎年 100 件程度発生する食中毒ですが 食中毒の大部分を占めるのは微生物による食中毒です このたび 食品衛生に関わ

生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 食肉販売業用 ) 導入手引書 本ガイダンスでは まず メニュー調査表 と 調理工程表 によりそれぞれの施設の 危害要因分析 を行い 次にこの手引書の 衛生管理点検表 を HACCP の考え方を取り入れた 衛生管理計画 とし それを用いて モニタリング 記録の

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(3) 食中毒 ( 感染症 ) の症状 セレウス菌食中毒は その臨床症状から嘔吐型と下痢型の二つに分けられます それぞれ の特徴は 表のとおりです 1), 2) 嘔吐型食中毒 下痢型食中毒 発症菌量 10 5 ~10 8 /g 10 5 ~10 8 /g 毒素産生場所 食品 小腸 潜伏期間 0.5~

1 施設設備の衛生管理 1-1 食品取扱室の清掃及び保守点検 < 認証基準 > 床 内壁 天井 窓 照明器具 換気扇 手洗い設備及び排水溝の清掃手順 保守点検方法が定められていること 床及び排水溝の清掃は1 日に1 回以上 その他の清掃はそれぞれ清掃の頻度の記載があること 保守点検頻度の記載があるこ

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HACCPの概要と一般的衛生管理

平成 29 年度食品安全モニター課題報告 食品の安全性に関する意識等について I. 食品の安全性に係る危害要因等について 問 1 A~G に掲げる事項についてリスクの観点からあなたはどう思いますか それぞれ の事項について 選択肢 1~6 の中から 1 つずつ選んでください 事項 A 環境問題 B

最近の食中毒の話題

2. トイレの後には必ず手洗いをしましょう! 調査から 15.4% の方がトイレの後に手を洗わないことがあるという結果が得られました ( 小便後又は大便後に手を洗うのどちらかを選択しなかった方 どちらも選択しなかった方 トイレで手を洗わないを選択した方 の合計 ) Q10 特にこれからの季節に流行す

東京都内の保健所 ( 都内自治体数 :23 区 26 市 5 町 8 村 ) 西多摩保健所 秋川地域センター 多摩立川保健所 多摩小平保健所 特別区 (23 区 ) 八王子市保健所 町田市保健所 保健所数 :23 区 2 市 6 都 (2 地区センター ) 南多摩保健所 武蔵野三鷹地域センター 多摩

生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 旅館業用 ) 導入手引書 旅館業用衛生管理点検表 1 個人衛生管理点検記録個人衛生管理は 従事者の感染症対策を中心に基準条例 8 の従事者に係る衛生管理の項目を始業時点検として次の項目を確認する (1) 従事者は 下痢 嘔吐等の体調不良がないことを確認し 症

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(4) 薬剤耐性菌の特性解析に関する研究薬剤耐性菌の特性解析に関する知見を収集するため 以下の研究を実施する 1 家畜への抗菌性物質の使用と耐性菌の出現に明確な関連性がない家畜集団における薬剤耐性菌の出現又はこれが維持されるメカニズムについての研究 2 食品中における薬剤耐性菌の生残性や増殖性等の生

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食品には たんぱく質や脂質 炭水化物などの栄養成分が含まれています 私たちが健康な生活を送ることができるのは 食品から必要な栄養を必要な量とっているからです 食材を加熱すると 食材に天然に含まれている成分から新たな成分ができることがあります それによって 例えばパンを焼いたときの美味しそうな色 コー

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(案)

HACCP-tohu

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目 次 1. はじめに 1 2. 組成および性状 2 3. 効能 効果 2 4. 特徴 2 5. 使用方法 2 6. 即時効果 持続効果および累積効果 3 7. 抗菌スペクトル 5 サラヤ株式会社スクラビイン S4% 液製品情報 2/ PDF

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家族の健康を脅かす 食中毒予防ガイド 一般

ファクトシート 作成日 : 平成 23 年 11 月 24 日 エルシニア症 (Yersiniosis) 1 エルシニア症とは エルシニア症は Yersinia 属菌の中で一般的に食中毒菌として知られる Yersinia enterocolitica と仮性結核菌として知られる Yersinia p

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「葛根湯医者」はヤブ医者?

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2001年(平成13年)10月1日創刊  2007年(平成19年) 1月1日発行

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衛生管理マニュアル 記載例

( 参考資料 Ⅰ) 1 調理室等の汚染防止について大量調理施設衛生管理マニュアル ( 以下 マニュアル という )Ⅱ 3 (3) のとおり汚染作業区域 ( 検収場 原材料の保管場 下処理場 ) と非汚染作業区域 ( さらに準清潔作業区域 ( 調理場 ) と清潔作業区域 ( 放冷 調製場 製品の保菅場

日本トイレ協会メンテナンス研究会報告レポート〔第139回〕

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(*) ノロウイルス : 冬期に流行する人の感染性胃腸炎の原因ウィルスで 調理従事者がノロウイルスに感染していた場合に その人を介してノロウイルスに汚染された食品を食べたり または汚染されていた二枚貝を 生あるいは十分に加熱調理しないで食べることにより食中毒を起こす ( イ ) サルモネラ * 食中

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食中毒の原因となる主な細菌やウイルス 食中毒とは 有害な微生物や物質に汚染された食品を食べることで起きる健康被害のことです 多くの場合 嘔吐 腹痛 下痢 発熱などの急性胃腸炎症状を起こします カンピロバクター 原因食品特徴潜伏期間 症状予防法 加熱不十分な食肉など 熱 乾燥に弱い 通常の加熱調理で死

食中毒予防と 食品の安全確保

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

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近年患者数が多く公衆衛生上の重要性が増しているノロウイルスについて ヒトへの 感染経路における食品 ( カキを中心とした二枚貝とその他の食品別 ) の寄与率やヒトの 症状の有無による食品への汚染の程度を明らかにする研を実施する 2 調査事業 (1) 食品用器具 容器包装に用いられる化学物質のリスク評

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(2) 平成 29 年食中毒発生状況 / 速報値 ( 千葉市 船橋市 柏市含む ) 1 月別発生状況 年 月 計 件数 患者数

主な内容 腸管出血性大腸菌とは 2 肉用牛農場における全国的な保有状況調査 3 継続的な保有状況調査 4 乳用牛農場における STEC O7 及び O26 保有状況調査 5 消化管内容物 肝臓 胆汁調査 2

食品衛生法施行条例等の一部を改正する条例

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表 1-2. コーデックスガイドライン (Codex Guidelines)2018 年 2 月現在 78 ガイドライン コーデックスガイドラインは 食品の安全性 品質 取込み可能性を確実にするために 証拠に基づいて 情報と助言を推奨手順と同時に提供するものである ガイドラインタイトル策定 部会 最

DNA/RNA調製法 実験ガイド


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1.9.1 管理基準の遵守状況を連続的又は相当の頻度で確認をするためのモニタリングの方法を設定し その文書を作成すること 十分なモニタリング頻度を設定することまた 設定した理由を整理しておくこと モニタリングに関する全ての文書と記録は モニタリングを行う担当者及び責任者による

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豚丹毒 ( アジュバント加 ) 不活化ワクチン ( シード ) 平成 23 年 2 月 8 日 ( 告示第 358 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した豚丹毒菌の培養菌液を不活化し アルミニウムゲルアジュバントを添加したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株 名称豚丹

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品質管理初級者1

Q&A(各自治体宛)

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食品添加物のリスク評価

黄色ブドウ球菌 人や動物に常在し 手指等に傷があると感染して化膿巣を作るため 食品取扱者を介した食品汚染が極めて高い菌です 食品中で食中毒を発症させる毒素 ( エンテロトキシン ) を産生します 塩濃度が高い環境でも増殖し毒素が産生されるので 原因食品は多岐にわたります 潜伏期間は平均 3 時間と短

Taro-入所マニュアル.jtd


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原因食品 事件数 (%) 患者数 (%) 食肉 鶏肉 482 うち 生食 鶏刺し,鶏たたき等 306 (16.2) 食品の77 4 鶏肉の 64 (3.1) 牛肉の 98% (0.1) 43 その他* 不明** (1.5) 696 (3.7) 7 (0.2) 281 (1.5) 2,343 (78.

プラズマクラスター技術による黄砂に付着している細菌・カビの抑制効果 およびPM2.5に含まれている有機化学物質の除去効果を実証(2014/4/3)

平成19年度

家庭でできる食品安全 - 食べ物の購入から後片付けまで - 1 買い物で気をつけること 2 食品を保存するときに気をつけること 3 調理で気をつけること 4 食事の後に気をつけること 1

性食中毒である きのこ類による食中毒や貝毒による食虫毒は 毒素型の自然毒食中毒である ウエルシュ菌や ベロ毒素陽性の大腸菌が原因の場合には 感染毒素中間型細菌性食中毒に分類 されるべきものである 学校医が知っておくべき食中毒に関連する法律は 主に食品衛生法と感染症法 それに学校保健安全法である 食品

次亜塩素酸水

日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

Transcription:

食品安全委員会 in 松山市小学校家庭科主任教諭を対象とした意見交換会 食中毒のリスクについて 内閣府食品安全委員会事務局平成 28 年 8 月 3 日 ( 水 ) 1

食品安全委員会の構成 食品安全委員会は 7 人の委員から構成されています 食品安全委員会委員 12 の専門調査会と 5 つの WG 企画等 : 企画 緊急時対応 リスクコミュニケ - ション 企画等 ( 企画 リスクコミュニケーション 緊急時対応 ) 化学物質系 : 農薬 添加物など 生物系 : 微生物 ウイルスなど 7 名 新食品系 : 遺伝子組換え食品など 専門委員 : 約 200 名 事務局 職員約 100 名 局長 次長 総務課 情報 勧告広報課 評価第 1 課 評価第 2 課 評価技術企画室 リスクコミュニケーション官 評価情報分析官 2

食品の安全を確保する仕組み 交換評価結果の通知3 食品安全委員会 リスク評価 ハザードの同定 ADI の設定 リスク管理施策の評価 情報収集 諸外国 国際機関等 リスクコミュニケーション関係者全員が意見交換し 相互に理解を深める 農林水産省 ( リスク管理 ) 厚生労働省 ( リスク管理 ) 環境汚染物質の基準の設定等 評価の要 農薬使用基準の設定 動物用医薬品使用基準の設定 検査 サーベイランス 指導請環境省等 残留基準値 (MRL) の設定 検査 サーベイランス 指導等 消費者庁 アレルギー等の表示等

4 土壌微生物 微生物が存在する場所 空中浮遊菌 野菜肉魚 海水浮遊菌 糞便細菌 主に表面に付着内部に入るものもあり 寄生虫 淡水浮遊菌

粉物の保存 ( ダニアレルギー対策 ) ダニの体長は 0.3~0.5mm 開封した袋に隙間があれば侵入し 入り込んだダニは短期間で繁殖 未開封ミックス粉及び薄力粉にダニを添加して常温で保存 札幌市保健所 対策開封した製品は食べ切る 開封後 密封容器に入れ冷蔵庫に保存 低温で繁殖不可能 東京都衛生局環境部食品保健課 5

食材の天然毒素対策 切る ( つけない ) 非加熱調理操作 ジャガイモ フグ毒など ジャガイモ 有害物質 : グリコアルカロイド 部位 グリコアルカロイド含量 (mg/kg) 皮をむいたイモ 46 皮 1430 芽 7640 葉 9080 部位 J. Agrc. Food Chem., 46, 5097 (1998) 塊茎の緑皮 塊茎の芽付根の部分 毒性 中 中 食用の可否 厚生労働省 :http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_08.html 有害な部分を取り除く フグ毒 有害物質 : テトロドトキシン毒力の強さは フグの種類および部位によって著しく異なる 一般に肝臓 卵巣 皮の毒力が強い フグの種類 部位と食用の可否種類筋肉皮精巣 トラフグ ゴマフグ クサフグ ハリセンボン 厚生労働省 :http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_01.html 6

赤味魚のヒスタミン対策 加熱調理操作 マグロ類 カツオ類 サバ類などの赤身魚にはヒスチジンが多く含まれるこれらの魚を常温に放置するなど管理が不適切だと 細菌 ( ヒスタミン生成菌 ) が増殖し ヒスチジンからヒスタミンが生成する ヒスタミン 熱に強く 加熱調理しても分解されない! ヒスタミン食中毒 : 数分後から 60 分くらいで口の周りや耳たぶが紅潮し 頭痛 じんま疹 発熱などの症状があらわれる 予防法は 衛生管理の徹底鮮度の低下したものは食べない 我が国におけるヒスタミン食中毒の届け出状況 ( 厚生労働省調べ ) 届出年 件数 患者数 2007 年 7 73 2008 年 22 462 2009 年 12 550 2010 年 6 32 2011 年 7 206 参考 : 食品安全委員会ファクトシート ヒスタミン 7

食品の加熱によって生成されるもの 加熱調理操作 アクリルアミド ジャガイモなどの炭水化物が多い食材を 高温で焼く 揚げるなどした食品に わずかながら含有 IARC 1 : 人に対しおそらく発がん性があるものと分類 JECFA 2 の評価書 : 遺伝毒性 神経毒性などが確認 1: 国際癌研究機構 2:FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議参考 : 食品安全委員会ファクトシート 加工食品中のアクリルアミド 多環芳香族炭化水素 (PAHs) 肉 魚介類のくん製 網焼きなど直火で調理した肉や魚介類 植物油 穀物製品などに含まれる IARC:60 種の PAHs 中 人に対する発がん性が疑われるものがあると報告 JECFA: 食品を通じて人の体内に入る量が検討 健康への懸念は低いと結論 参考 : 食品安全委員会ファクトシート 食品に含まれる多環芳香族炭化水素 8

響大中毒影生体への影響の程度量について考えよう 塩や水も 食べる量によっては 有害にも無害にもなるどのような食品も 度を超して大量に食べると健康を害する どのくらいの量なら体に影響を与えないかを知って 食べる必要がある 安全な食品があるのではなく 安全な量があるだけ 摂取量と生体影響の関係 生体反応出現 有害反応出現 死亡 暴露量 ( 摂取量 ) 9

発症菌量には大きな幅がある常官能的感知非に少ない数で発症するものがある可能な場合が多菌数等と食中毒発症の関係 多 ( 参考 ) 一般細菌の 中毒発症菌量色食 ウイルス量小 大腸菌 セレウス菌 黄色ブドウ球菌 腸炎ビブリオ ノロウイルス エルシニアウエルシュサルモネラ下痢原性 カンピロバクター 腸管出血性大腸菌 官能的感知が不10 9 10 8 10 7 10 6 10 5 10 4 10 3 腐敗臭変 い10 2 10 10

微生物による食中毒 微生物が健康障害を起こす仕組み 感染型食中毒 毒素型食中毒 生きている微生物が消化管内で作用して 健康障害 生きている微生物を摂取しなければ 健康障害は起こらない 食品中で微生物によって産生された毒素が作用して健康障害 生きている微生物を摂取しなくとも 毒素を摂取すれば健康障害 腸管出血性大腸菌 ( 牛 ) サルモネラ属菌 ( 鶏 牛 ) カンピロバクター ( 鶏 牛 ) ノロウィルス ( 二枚貝 ) 腸炎ビブリオ ( 魚 ) ウエルシュ菌 ( 常 ) 黄色ブドウ球菌 ( 傷 ) ボツリヌス菌 ( 土 ) セレウス菌 ( 常 ) 11

調理器具を介した二次汚染について 腸管出血性大腸菌に汚染された牛肉 1 10 5 cfu 処理 1/120~ 1/1800 焼肉調味料漬込 1 時間 焼肉用牛肉最大値 1 10 5 cfu 漬け込み肉最大値 1 10 5 cfu 調理 最大値 最大値 1/4~ 1/170 最大値 1 10 2 1/1100~ 1/37000 最大値 2 10 2 1/400~ 1/23000 最大値 1 10 4 1/10~ 1/3900 食品衛生学雑誌 VOL.55 No.2 79-87 を基に作成 12

洗う効果まな板に付着した細菌調理する人の手 鶏肉を切った後鶏肉を切った後中性洗剤で洗浄熱湯をかけた後手指に付着した細菌食品調理器具 石けんで洗浄 表面に付着した汚染物質を低減 食品安全委員会季刊誌 食品安全 23 号委員 ( 食品安全委員会委員 : 畑江敬子 ) の視点 13

食事の前や 外から帰ったら手あらいをきんきちんとして 菌をつけない 持ちこまない 生のとり肉をさわった後 水だけであらうと せっけんであらったあと 大人の方へ : 特に調理前などは時計や指輪もはずして 手洗いをしてください 消毒まですると 14

15 まな板の洗浄実験 腸管出血性大腸菌 O157( 菌数 3.7 10 5 ) まな板に貼付 処理方法 処理後の菌数 水道水 5.0 10~2.0 10 2 70 の湯 0 70% アルコール 0( 万遍なく噴霧した場合 ) 100ppm 次亜塩素酸ナトリウム 0 0.01% 塩化ベンザルコニウム ( 逆性石鹸 ) 0~20 10 2 日本調理科学会誌 Vol.38 No.1 83-88 を基に作成

生食野菜の一般生菌数と洗浄効果 ( 流水のみ ) 試料 1g 当たりの一般生菌数 (cells/g) 洗浄時間 ( 秒 ) 0 30 180 万能ねぎ ( 葉先 ) 2.3 10 5 1.1 10 5 万能ねぎ ( 根元 ) 2.1 10 7 2.0 10 5 カイワレ大根 1.6 10 7 7.8 10 6 5.1 10 6 青しそ 3.2 10 5 6.7 10 4 パセリ 2.3 10 6 2.1 10 5 ミニトマト 9.5 10 2 1.0 10 2 カイワレ大根における一般生菌数と大腸菌群数と洗浄効果 洗浄時間 ( 秒 ) 0 180 一般生菌数 (8.7±6.50) 10 6 (1.26±0.02) 10 7 大腸菌数 (5.7±2.76) 10 3 (1.2±0.05) 10 3 日本調理科学会誌 Vol.32 No.2 115-119 を基に作成 洗浄しても菌は残る 試料 1g 当たりの菌数 (cells/g) 生食は料理後なるべく早く食べる 16

17 大量調理施設衛生管理マニュアル 厚生労働省 野菜及び果物を加熱せずに供する場合には 標準作業書に従い 流水で十分洗浄し 必要に応じて殺菌を行った後 十分な流水ですすぎ洗いを行うこと 標準作業書 流水で 3 回以上水洗いする 中性洗剤で洗う 流水で十分すすぎ洗いする 必要に応じて 次亜塩素酸ナトリウム等 ( ) で殺菌した後 流水で十分すすぎ洗いする 次亜塩素酸ナトリウム溶液 (200mg/l で 5 分間又は 100mg/l で 10 分間 ) 又はこれと同等の効果を有する亜塩素酸水 ( きのこ類を除く ) 亜塩素酸ナトリウム溶液 ( 生食用野菜に限る ) 次亜塩素酸水並びに食品添加物として使用できる有機酸溶液

生食野菜 生鮮野菜には微生物が存在 野菜に付着する微生物は洗ってもゼロにできない 低温保存で微生物の増殖は防げる( 例外 : リステリア等 ) 低温保存していたものの温度が急に上がると微生物増殖も急激に起こる 使用する分だけ取り出す カット野菜で微生物 0 は難しい 増殖の抑 制が重要 18

細菌やウイルスが死滅する温度 細菌 調理時の食材の中心温度と加熱時間 腸管出血性大腸菌 75 1 分 カンピロバクター 65 数分 サルモネラ菌 リステリア 75 1 分 61 15 分 65 数分 4 以下でも増殖 ノロウイルス 85~90 90 秒間以上 ウエルシュ菌セレウス菌 耐熱性芽胞の場合 100 でも死滅しない 19

ウエルシュ菌 原因食品 カレー シチュー 複合大量調理食品これらを大量加熱調理後そのまま放置することで 10 6 ~ 10 7 cfu/g まで増殖 増殖機序 1 加熱により 熱抵抗性エンテロトキシン産生ウエルシュ菌芽胞が残存 2 加熱で食品内の酸素が追い出される ( 嫌気性 ) 3 緩慢冷却で55 位から急速に芽胞の発芽が促進 セレウス菌 原因食品 日本での嘔吐毒型食中毒事例ではチャーハン ピラフなどの焼飯類や麺類が原因となる 増殖機序 一般食品で通常みられる菌数 (10~10 3/ g) では発症しない 加熱された食品でも室温放置で耐熱性芽胞の発芽増殖が促進 20

21 芽胞形成菌 ーボツリヌス菌 ウエルシュ菌 セレウス菌等ー ふやさない 芽胞は長期間生残し 加熱や乾燥などに強い 芽胞によっては 加熱では死滅しないことがあるので 要注意! 概念図 増殖に適した条件 増殖し難い条件 増殖に適した条件 芽胞形成 発芽 増殖

断面電子レンジによる加熱調理 加熱調理操作 電子レンジでは 熱が周辺から中心に伝わるのではなく 不均一に伝わる 角に集中して温度が上昇 鶏もも肉 塩なし表面塩をふった場合 ハンバーグ 蓋なし 蓋あり マイクロ波を照射して 食品内部の水分を発熱 内部まで熱が伝わらない 食品安全委員会 : 食中毒を防ぐ加熱 http://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku_kanetu.pdf ( 加熱時間 3.5 分 ) 22

肉の加熱調理 加熱調理操作 動物体内で 細菌やウイルスがいるのは通常 気道と消化管のみで 筋肉の内部は無菌だが 塊肉表面は ( ハンバーグ 成形肉の場合は内部も ) 汚染の可能性がある! ビーフステーキ 中心温度 ハンバーグ 通常 両面合わせて約 8 分加熱空気を含むので熱が伝わりにくい! 37.5 53.9 71.3 43.4 63.9 1 分 2 分 3 分 4 分 5 分加熱時間 65 70 75 中心温度 出典 : 食品安全委員会 食中毒を防ぐ加熱 http://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku_kanetu.pdf 23

から揚げ 親子丼の鶏肉の加熱時間と中心温度 A B C 東京都福祉保健局 親子丼とから揚げの加熱時間と概観 24

微生物の低温耐性 10 黄色ブドウ球菌の毒素産生限界温度ボツリヌス A 型 B 型菌の毒素産生限界温度 6.7 6.5 5.2 3.3 0 黄色ブドウ球菌の発育限界温度ウエルシュ菌の発育限界温度サルモネラ菌の発育限界温度 エルシニア菌の発育限界温度ボツリヌス E 型菌の毒素産生限界温度 -10-18 細菌の発育限界温度 酵素 カビの発育限界温度 最近の冷凍食品の進歩と美味しさの秘密 冷凍 Vol.79No.916 を基に作成 25

冷蔵庫開閉による温度変化 開放時間を短くし 庫内温度の上昇を防ぐ 出典 : 生活協同組合連合会コープ九州事業連合エフコープ機関誌 ふれあい 2010 年 4 月号 26

食中毒事件数の年次推移 ( 平成元年 ~ 平成 27 年 ) 27

食中毒患者数の年次推移 ( 平成元年 ~ 平成 27 年 ) 28

細菌は細胞 ウイルスは粒子 腸管出血性大腸菌 ノロウイルス直径 30 nm 前後の小球形 < 埼玉県衛生研究所提供 > 29

細菌とウイルスの増殖 ふやさない 細菌は周囲の成分を利用し 細胞分裂で増殖 ウイルスは生きている細胞内で 細胞成分を利用して増殖 30

微生物 ウイルス評価書 : 鶏肉中のカンピロバクター ジェジュニ / コリ内閣府食品安全委員会 カンピロバクターによる食中毒について 特徴 原因食品 症状 対策 家畜 家きん類の腸管内に生息 増殖 : 温度 30~46 酸素濃度 5~15% 少菌数 (100 個程度 ) で発症 冷蔵庫で生き残り 食肉 ( 特に鶏肉 ) 生野菜など 摂取 ~ 発症の期間が長く 原因食品が特定され難い 潜伏期間は平均 3 日 発熱 倦怠感 頭痛 吐き気 腹痛 下痢 血便等 食肉は十分に加熱 手指 調理器具を介した汚染を防ぐ 電子顕微鏡写真 細長いらせん状のらせん菌 < 食品安全委員会事務局資料 > 31 31

カンピロバクター汚染率 農場段階 農場ごとの陽性率 57.9% 1 汚染農場の鶏の陽性率 84.5% 1 食鳥処理場 鶏肉の汚染率 75% 1 調理 消費段階 ミンチ肉 62.5%(5/8) 2 鶏たたき 10.3%(3/29) 2 1: 微生物 ウイルス評価書 : 鶏肉中のカンピロバクター ジェジュニ / コリ ( 内閣府食品安全委員会 ) 2: 平成 25 年度食品の食中毒菌汚染実態調査 ( 厚生労働省 ) 32

腸管出血性大腸菌による食中毒について 特徴 原因食品 動物の腸管内に生息 少菌量 (10 個未満 ) で発症 ベロ毒素を産生 100 種類を超える O 血清型が知られており 特に血清型 O157 の感染が世界的に多い 牛肉 ( 特に牛ひき肉 ) 牛乳 ( 特に未殺菌乳 ) 牛レバーなど 世界的に野菜による事例も多い 症状 対策 摂取から平均 4~8 日後に発症 腹痛と新鮮血を伴う血便 重症では溶血性尿毒症症候群 脳症を併発 食肉は十分な加熱 (75 1 分間以上 ) 手指 調理器具を介した汚染を防ぐ 腸管出血性大腸菌 O157:H7 < 食品安全委員会事務局資料 > 33 33

食品健康影響評価のためのリスクプロファイル : 食品中のノロウイルス内閣府食品安全委員会 主症状 : 吐き気 おう吐 下痢 腹痛 潜伏期 : 一般に24~48 時間 治癒 :1~2 日後に治癒し, 後遺症は残らない ( 乳幼児 高齢者 体力の弱っている者等は重症となることも ) 発症率 ( 患者数 / 喫食者数 ): 約 45% 患者などからのウイルス排出 : 症状がなくなってから1 週間 ~ 1ヶ月程度ウイルスを糞便中に排出 ( 発症しない人も同様 ) ヒトの腸管上皮細胞でのみ増殖可能 = 増殖系 ( 組織培養 ) が見出されていない 特効薬 ワクチンなし! 34

ウイルス中でも小さく 直径 30~40nm 前後 10~100 個程度の少粒子数で感染 発症 消毒用アルコール 逆性せっけんは効果が少ない 不活性化には 塩素系消毒や加熱が必要 他の食中毒菌に比べ耐熱性で 感染性を失わせる条件は 85~90 で 90 秒間以上 食品媒介感染としてのノロウイルス食中毒は 冬期に多発し 主に 3 つの伝播様式で起こると考えられる 1 カキ ( 二枚貝 ): カキなど二枚貝の消化器官である中腸腺に蓄 積 濃縮 2 食品取扱者 : 調理従事者等により 食品または飲料水の汚染 3 井戸水等 : 井戸水などの給水源の汚染 35

流通 消費における要因 市販生カキのノロウイルス汚染状況 生食用 ノロウイルス陽性サンプル数 / 検査サンプル数 15 /116 (12.9%) 2001~2003 年 生カキ料理を食べる人の割合 2006 年度アンケート調査 約 70% の人が年に数回以上喫食している 調理従事者 石けんを使った手洗いの励行 (2 回繰り返すと効果的 ) 体調管理に留意 おう吐 下痢の症状がある時は調理作業を控える ( 症状消失後もノロウイルスを排出しています!) 36

調理施設等の衛生対策 特にトイレのドアノブ 冷蔵庫の取っ手など 手指の触れる場所の消毒を徹底 喫食時の対策 二枚貝の消化器官 ( 中腸腺 ) にウイルスが存在 洗浄 : ウイルスは除去されない 中心部まで85~90 で90 秒間以上加熱 感染性消失 二次汚染の防止 手洗い 調理器具の消毒 熱湯 次亜塩素酸ナトリウム 37

まとめ つけない ふやさない やっつけるために微生物の性質を知る 洗う 生野菜の洗浄を過信しない 低温保存 保存中の相互汚染 ( 接触 ドリップ等 ) に要注意 増やさないに効果的だが やっつけられない 加熱 肉や魚や卵のたんぱく質が多く含まれる食品の加熱に注意! 再加熱は念入りに! 加熱後の保存 適正な温度管理 38

リスクとつきあうには? 食品を含めどんなものにもリスクがある リスクのとらえ方は人によって差がある あるリスクを減らすと別のリスクが増す リスク間のトレードオフ リスクとベネフィット リスクを知り 妥当な判断をするためには努力が必要 科学知識を身につける努力 メディアの情報の正確性を見分ける努力 事実と意見 編集の有無 キャスターのイメージ等 情報を批判的に読み取る努力あらゆる情報を一度批判的に考える? ゼロリ?スク39

40 食品安全に関する情報は 食品安全委員会や意見交換会等の資料 様々な情報を掲載しています 大切な情報は 重要なお知らせ 又は お知らせ に掲載しています ウィークリー版 読み物版 新着情報 主な内容 各種会議の開催案内 概要 食の安全に関する解説, 委員随想 ホームページ掲載の各種会議等の開催案内 パブリックコメント募集 配信日 火曜日 毎月中 下旬 ホームページ掲載日 (19 時 ) 食品健康影響評価の解説 食品安全委員会の活動の紹介 子供向けの記事 ( キッズボックス ) 等