大卒 高卒 資料出所 : リクルートワークス研究所 大卒求人倍率調査 文部科学省 学校基本調査 厚生労働省 新規学卒者の労働市場 2 生まれ年の不運 の影響 図 2 生まれ年度別新規学卒就職率と正規比率 - 長く引きずる 生まれ年の不運 % 10 男性 25~29 歳の正規比率の変化

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参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

1 非正規雇用者用 働き方 に関するアンケート あなた自身についてお答えください F1. 性別 ( ひとつだけ ) 1. 男性 2. 女性 F2. 生年月日 ( 西暦 )19 年月 ( 生まれ ) F3. 最終学歴 ( ひとつだけ ) 在学中の場合は在学中の学校を 中途退学の場合はその前の学歴を選ん

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業能力の獲得 発揮の状況とキャリア形成との関係を検討する 以下の各節では まず 対象者の離学 (= 学校卒業または中途退学 ) 時点の状況について就業を中心に確認し さらにその後の離転職等の就業行動および 2008 年初めの調査時点における就業状況を整理して これまでの職業キャリアを類型化する つい

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目立ち 最も低い 1980 年前後生まれの世代では およそ 60% まで下がっている この世代の学校卒業は 1990 年代末から 2000 年代初めにかけての景気後退期であり 学校卒業のタイミングで十分な求人がなかったことが主な原因だと考えられる その後の世代については 世界同時不況の影響を一時的に


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自動的に反映させないのは133 社 ( 支払原資を社内で準備している189 社の70.4%) で そのうち算定基礎は賃金改定とは連動しないのが123 社 (133 社の92.5%) となっている 製造業では 改定結果を算定基礎に自動的に反映させるのは26 社 ( 支払原資を社内で準備している103

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C 労働 (1) 総数 ( 単位人 ) 年齢 (5 歳階級 ) 総 総数主に仕事 C-1 労働力状態 (8 区分 ), 年齢 家事のほか仕事 通勤のかたわら仕事 休業者 98,762 59,160 56,303 45,585 8,703 1, ~19 歳 6,689 1,108 9

労働法制の動向

図表 29 非正規労働者の転職状況 前職が非正規労働者であった者のうち 現在約 4 分の 1 が正規の雇用者となっている 非正規労働者の転職希望理由としては 収入が少ない 一時的についた仕事だから が多くなっている 前職が非正規で過去 5 年以内に転職した者の現職の雇用形態別割合 (07 年 現職役

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

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若者の暮らしにおける変化働き方の変化第2 章第 1 節 第 2 章 若者の暮らしにおける変化 第 1 節 働き方の変化 若者の雇用環境については 我が国の経済の低迷を受け 前述のとおり若者の失業率が上昇するな ど厳しい状況が続いている 本節では 若者の雇用環境の変化について詳細に分析するため 高学歴

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Ⅰ 調査目的 中小企業で外国人労働者を雇用する例が広くみられるようになっている 背景には生産年齢人口の減少だけではなく 海外展開や訪日観光客の受け入れといった中小企業経営の国際化もある 人手不足への対応として導入が進んだ外国人労働者であるが しだいに企業の成長や事業展開に欠かせなくなってきていると考

Ⅰ 調査の目的と実施要領 1 調査目的 日本政策金融公庫総合研究所では 新規開業企業の実態を把握するため 1991 年度から毎年 新規開業実態調査 を実施しており 開業者の属性や開業費用など時系列で比較可能なデータを中心に蓄積してきた そこで 今年度実施した 217 年度新規開業実態調査 の結果とと

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第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

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1 はじめに

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第 2 節キャリア コンサルティングの理解 (4) キャリア コンサルタントの能力 Ⅰ キャリア コンサルティングの社会的意義に対する理解 1 社会 経済的動向とキャリア形成支援の必要性の認識 2 キャリア コンサルティングの役割の理解 3 キャリア コンサルティングを担う者の活動範囲と義務 ( 活

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採用者数の記載にあたっては 機械的に採用日の属する年度とするのではなく 一括 採用を行っている場合等において 次年度新規採用者を一定期間前倒しして雇い入れた 場合は 次年度の採用者数に含めることとしてください 5 新卒者等以外 (35 歳未満 ) の採用実績及び定着状況採用者数は認定申請日の直近の3

関東地方の者が約半数を占める (45.3%) 続いて近畿地方 (17.4%) 中部地方 (15.0%) となっている 図表 2-5 地域構成 北海道 東北関東中部近畿中国四国九州 沖縄総数 (%) 100.0% 8.9% 45.3%

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3 調査項目一覧 分類問調査項目 属性 1 男女平等意識 F 基本属性 ( 性別 年齢 雇用形態 未既婚 配偶者の雇用形態 家族構成 居住地 ) 12 年調査 比較分析 17 年調査 22 年調査 (1) 男女の平等感 (2) 男女平等になるために重要なこと (3) 男女の役割分担意

Ⅰ 調査目的 総合研究所では 新規開業企業の実態を把握するために 1991 年から毎年 新規開業実態調査 を実施し 開業時の年齢や開業費用など時系列で比較可能なデータを蓄積すると同時に 様々なテーマで分析を行ってきた 今年度は 高齢化が進展するなか開業の担い手として注目を集めているシニア起業家 (

職場環境 回答者数 654 人員構成タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % % 質問 1_ 採用 回答 /654 中途採用 % 新卒採用 % タ

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ふくい経済トピックス ( 就業編 ) 共働き率日本一の福井県 平成 2 2 年 1 0 月の国勢調査結果によると 福井県の共働き率は % と全国の % を 1 1 ポイント上回り 今回も福井県が 共働き率日本一 となりました しかし 2 0 年前の平成 2 年の共働き率は

第 表性別 年齢階層別にみた就業形態別推計実数 H6 H11 H15 H19 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 正社員契約社員嘱託社員出向社員 常用雇用型派遣労働者 登録型派遣労働者 臨時的雇用者 パートタイム労働者 歳 83,790 0

都道府県別有効求人倍率 ( 季節調整値 ) 令和元年 5 月 広島 東京 岡山 福井 岐阜 愛知 富山 石川 香川 大阪 鳥取 群馬 三重 長野 新潟 島根 宮城 愛媛 京都 茨城 山口 熊本 福岡 大分 静岡 徳島 山形 福島 宮崎 秋田 奈良 栃木 和歌山 兵庫 岩手 山梨 千葉 鹿児島 埼玉

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1 15 歳以上人口の就業状態 富山県の 15 歳以上人口 人のうち 有業者は 人 ( 全国 6621 万 3 千人 ) と 平成 24 年と比べると 人減少しています 有業率 (15 歳以上人口に占める有業者の割合 ) についてみると 59.5%( 全国 5

Ⅲ 働く女性に関する対策の概況(平成15年1月~12月)

6 市町村と連携した就職促進セミナー ( 総括 コーディネート ) 就職活動の進め方 履歴書の書き方 面接対策 等をテーマにしたセミナーを市町村等実施地区の関係者と協力 連携して実施 ( 県内 15 地区 ) 7 新入社員向け職場定着促進セミナー ( 総括 コーディネート ) 概ね入社後 1 年の若

求人サイト利用についての自主調査 雇用形態や制度の変化が急激に進む中 求人産業が大きく成長し 求人サイトの利用が高まっています 正社員 派遣 アルバイトといった雇用形態によって 求人サイトの利用状況や サイトに期待される機能は異なっているのでしょうか また 求職者はモバイルサイトと PC サイトをど

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2 東京都産業労働局雇用就業部調 平成 26 年労働組合基礎調査結果 ( 東京都分 ) 発表 労働組合数 組合員数とも減少 労働組合推定組織率は 23.9% ( 組合 ) 1, 8, 6, 4, 2, ( 万人 ) 組合員数

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派遣社員の業務 < 業務の区分 > 現在従事している主な業務 について 下記の通り オフィス系 営業 販売 サービス系 IT 技術 通信系 クリエイティブ系 製造 軽作業系 その他 の 6 つのカテゴリーに分類して集計しています オフィス系 ОA 事務 英文事務 PC オペレーター データ入力 通訳

付録各ライフステージにおける就業状況 1. 就業形態 (1) 学校卒業後の本人の就業形態学校卒業後の本人の就業形態について 学歴別年齢別にみたところ 正社員 正職員 ( 以下 正社員とする ) の割合が最も高いのは短大等卒の 35~45 歳層で 90.6% であり 正社員の割合が最も低いのは 中 高

Transcription:

初期キャリア研究からみた我が国の将来 2010.4.1 労働政策研究 研修機構小杉礼子 1. 学校から職業への移行の変化 1 新規学卒求人の変動と学卒無業 フリーター 2 生まれ年の不運 の影響 3 中途退学 早期離職からのキャリア 4 学校教育と職業の関連付け ( レリバンス ) と労働市場の状況 2. 新規学卒一括採用と企業内教育訓練 1 根強い新規学卒一括採用慣行 2 企業主導の教育訓練の動向 3. 非正規雇用の現状と正社員への移行 移行経路の変容 1 伸びない賃金 = キャリアの幅の狭い職務に限定される雇用 2 未婚化 晩婚化 3 正社員への移行の障壁 4 新しい公共 の担い手にも正規との壁 5 生涯学習 職業能力開発の重要性 4. 若年者の現状からみた新年金制度での留意事項 1 移行経路の変容 ( ヨーヨー型移行 ) が前提に正社員以外の働き方 ( 短時間 有期 ) 学卒定着以外のキャリアにおける負担と給付の公平性未婚 既婚 専業主婦 共働き = 多様なあり方を前提にすると世帯単位でなく個人単位 2 社会保険制度への不信 : 正しい知識を学校在学中に 1. 学校から職業への移行の変化 1 新規学卒求人の変動と学卒無業 フリーター 図 1 新規学卒求人数 求人倍率の変化 / 学卒無業者比率 万人 新規大卒者への求人 100 3.0 倍 90 80 2.5 70 60 2.0 50 1.5 40 30 1.0 20 10 0.5 0 90 卒 92949698000204060810 卒 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 新規高卒者への求人 万人 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 3.5 倍 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 大卒求人数 大卒求人倍率 高卒求人数 高卒求人倍率 1

大卒 高卒 資料出所 : リクルートワークス研究所 大卒求人倍率調査 文部科学省 学校基本調査 厚生労働省 新規学卒者の労働市場 2 生まれ年の不運 の影響 図 2 生まれ年度別新規学卒就職率と正規比率 - 長く引きずる 生まれ年の不運 % 10 男性 25~29 歳の正規比率の変化 8 6 4 2 1997 年の男性 15~ 19 歳正規比率 新卒就職者比率 1997 年正規比率 ( 男 ) 2002 年正規比率 ( 男 ) 2007 年正規比率 ( 男 ) 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 生まれ年度 資料出所 : 文部科学省 学校基本調査 総務省統計局 就業構造基本調査 より作成 3 中途退学 早期離職からのキャリア * 非正規に長期に止まる 非正規と正規の間の行き来 2

専門卒大学短大中卒専門卒大学短大中卒高等教育中 高校中 高専卒 大学院退卒 高校中 退 高専卒卒大学院図 3 都内在住の若者 (18~29 歳 *) の初期キャリア ( 性 学歴別 ) 男性 女性 7 6 4 3 2 1 高卒8 7 6 4 3 2 1 高 高等卒教育中退正社員 ( 定着 + 転職 ) 非典型一貫他形態から正社員退* 学生と専業主婦を除く資料出所 : 労働政策研究 研修機構 (2006) 大都市の若者の就業行動と移行過程 図 4 初職の離職時期とその後のキャリア 2 4 6 8 10 % 1 年未満 正社員間 非正社員と行き来非正社員のまま 1~3 年未満 自営 家業に 現在無業 3 年以上 資料出所 : 労働政策研究 研修機構 (2009) 地方の若者の就業行動と移行過程 4 学校教育と職業の関連付けと労働市場の状況 : 変化の大きい労働力需要に対して学校教育の職業的レリバンスの確立は課題 3

専門短大理専門短大人文学校中退高校専門大学文系大学理工農専門短大理専門短大人文学校中退高校専門大学文系大学理工農校普通科校普通科スス 工業系 工業系 ビジネ ビジネ専門短大資格系専門短大芸術他専門短大人文専門短大人文専門短大資格系専門短大芸術他高校専門高校専門学校中退学校中退大学文系大学保健教育福祉大学文系大学保健教育福祉校普通科校普通科スス ビジネ ビジネ図 5 地方の若者 (20~34 歳 ) の学歴 専攻と初期キャリア 1 長野 男性 2 北海道 男性 9 8 7 6 4 3 2 1 高9 8 7 6 4 3 2 1 高正社員 ( 定着 + 転職 ) 他形態から正社員 非典型一貫 3 長野 女性 4 北海道 女性 7 6 4 3 2 1 高7 6 4 3 2 1 高正社員 ( 定着 + 転職 ) 他形態から正社員 非典型一貫 * 学生と専業主婦を除く資料出所 : 労働政策研究 研修機構 (2009) 地方の若者の就業行動と移行過程 2. 新規学卒一括採用と企業内教育訓練 1 根強い新規学卒一括採用慣行 新規学卒採用 就職 慣行の功罪メリット : 国際的に見て低い若年失業率企業の能力開発投資 : 一括定期採用のもと長期的視点を持つ能力開発が可能に同期集団が形成され 長期的な競争を織り込んだ人事管理のしくみ高卒就職システムは学校教育における生徒の動機付けにも貢献デメリット : 新規学卒採用から外れると職業能力開発機会が乏しく 途中参入にも壁 4

教育系 中退者 学卒未就職者 早期離職者の排除 ( 女性の再就職も同じ問題をもつ ) 景気変動により生まれ年の不運が生まれるのは避けられないが それが長引かせるしくみとなる年齢 入社年による人事管理の硬直化大卒就職活動の早期化 長期化による教育への影響教育の職業離れ ( とりわけ大学文系 ) 図 6 OECD 諸国の若年失業率の推移 (15~24 歳 ) 3 25.0 2 15.0 1 フランスドイツ日本イギリスアメリカスゥエーデン 5.0 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 * もし 新規学卒採用 の慣行が無ければ 若年失業率は欧州並みに高まる可能性もある 新卒就職 の経路とともに その外側にもキャリア形成の経路を整備する必要 資料出所 : OECD(2009) Labour Force Statistics 図 7 大学で獲得した知識 技能の仕事での活用度 0% 20% 40% 60% 80% 100% 日本 男性日本 女性欧州 男性欧州 女性 設問 : あなたの現在の仕事全体を考えた場合 在学中に獲得した知識や技能をどのくらい使っていますか 対象 : 大学卒業後 3~4 年目の者 ( 日本 3,421; 欧州 11 カ国計 34,145) 資料出所 : 日本労働研究機構 (2001) 日欧の大学と職業 高等教育と職業に関する 12 カ国比較調査結果 8 7 6 4 3 2 1 人文系頻繁に使っているかなり使っているやや使っているあまり使っていない全く使っていない現在の仕事には高等教育の学習内容は無関係 芸術系法学系他の社会科学家政系農学系理学系工学系保健医療系経済商学系男性女性 5

2 企業主導の教育訓練の動向 企業の教育訓練投資は 一方的な低下というよリ 企業業績に対応した変動 図 6 労務費用総額に占める教育訓練費割合 0.4 0.38 0.36 0.34 0.32 0.3 0.28 0.26 0.24 0.22 0.2 1975 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1988 1991 1995 1998 2002 2006 資料出所 ; 労働大臣官房政策調査部産業労働調査課 賃金労働時間制度等総合調査報告 および厚生労働省大臣官房統計情報部賃金福祉課 就労条件総合調査報告 から作成 表 1 企業がOff-JT 及び自己啓発に支出した費用 ( 労働者一人あたり ) 単位 : 万円 H19 年度 H20 年度 H21 年度 Off-JTに支出した費用 2.2 2.5 1.3 自己啓発に支出した費用 0.7 0.8 0.4 資料出所 : 厚生労働省 能力開発基本調査 各年 2. 非正規雇用の現状と正社員への移行 移行経路の変容 1 伸びない賃金アルバイト パートはキャリアの幅が薄く 勤続しても職業能力向上があまり見込めない職種 図 7 性 学歴別正社員とパート アルバイト年齢段階収入差 40 3 30 2 20 1 10 個人年収 ( 高卒 ) 男性 正社員男性パートアルバイト女性 正社員女性 パートアルバイ 50 4 40 3 30 2 20 1 10 個人年収 ( 大卒 ) 男性 正社員男性 パートアルバイト女性 正社員女性 パートアルバイ 6

160 140 120 100 80 60 40 20 時間当たり収入 ( 高卒 ) 男性 正社員男性パートアルバイト女性 正社員女性 パートアルバイ 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 時間当たり収入 ( 大卒 ) 男性 正社員男性 パートアルバイト女性 正社員女性 パートアルバイ 資料出所 : 日本労働研究機構 (2009) 若年者の就業状況 キャリア 職業能力開発の状況 平成 19 年版 就業構造基本調査 特別集計より : 以下断りのない限り 出展は同じ 2 未婚化 晩婚化図 8 男性 (30~34 歳 ) の就業形態 個人年収別有配偶率 ( 在学中を除く ) 10 9 8 7 6 4 3 2 1 正規の職員 従業員 パート アルバイト その他非典型雇用 役員 自営 手伝い 他 無業 求職中 無業 その他 収入なし 50 万円未満 50~99 万円 100~149 万円 150~199 万円 200~249 万円 250~299 万円 300~399 万円 400~499 万円 500~599 万円 600~699 万円 700~799 万円 800~899 万円 900~999 万円 1000~1499 万円 1500 万円以上 2002 年 2007 年 7

表 2 就業形態別 性別従業期間による年収 労働時間の差正社員パート アルバイトその他非典型指数指数週労働時間当 (1 年週労働時間当 (1 年週労働年収年収年収現職従業期間時間たり収未満時間たり収未満時間 ( 万円 ) ( 万円 ) ( 万円 ) ( 時間 ) 入 ( 円 ) = ( 時間 ) 入 ( 円 ) = ( 時間 ) 100) 100) 時間当たり収入 ( 円 ) 男性 1 年未満 48.1 258.2 1,119 100 38.6 135.9 811 100 44.0 215.0 1,053 100 1-2 年未満 48.8 282.4 1,203 107 39.4 144.9 814 100 44.8 246.2 1,170 111 2-3 年未満 48.8 297.8 1,267 113 38.8 150.7 850 105 44.9 243.4 1,210 115 3-4 年未満 48.8 315.9 1,347 120 37.9 148.1 893 110 44.8 249.5 1,212 115 4-5 年未満 48.5 329.5 1,414 126 36.9 148.6 886 109 45.3 251.2 1,158 110 5-10 年未満 48.5 374.3 1,595 143 38.1 162.9 956 118 45.6 273.7 1,326 126 10-15 年未満 47.9 421.4 1,822 163 40.9 176.9 948 117 45.7 313.9 1,530 145 15-20 年未満 47.3 436.5 1,920 172 - - - 43.7 296.6 1,685 160 合計 48.4 346.5 1,486 38.6 143.7 840 44.6 240.1 1,164 女性 1 年未満 44.4 211.9 997 100 30.7 101.3 747 100 38.8 17 952 100 1-2 年未満 44.5 228.9 1,075 108 30.8 108.5 779 104 39.6 187.5 1,006 106 2-3 年未満 44.5 246.7 1,150 115 31.9 112.3 771 103 39.0 194.7 1,071 113 3-4 年未満 44.4 255.3 1,196 120 32.3 115.5 797 107 38.9 189.6 1,043 110 4-5 年未満 44.3 266.6 1,250 125 31.9 116.6 821 110 39.0 203.2 1,142 120 5-10 年未満 43.9 296.1 1,397 140 33.0 122.8 850 114 38.9 204.8 1,137 119 10-15 年未満 43.4 334.8 1,588 159 33.2 133.7 922 123 38.5 228.9 1,279 134 15-20 年未満 43.2 321.3 1,582 159 40.3 135.0 727 97 - - - 合計 44.1 268.8 1,267 31.4 108.8 778 39.0 185.1 1,023 2 正社員への移行の障壁 図 9 過去 1 年間に非正規の職を離職した者の正社員への移行率 ( 性 年齢段階別 ) % 35 指数 (1 年未満 = 100) 30 25 27.7 23.3 20 16.1 14.2 15 10 5 0 10.8 11.9 非典型離職者計 男性計 35-39 歳 40-44 歳女性計 2002 年 2007 年 35-39 歳 40-44 歳 8

図 10 過去 1 年間に非正規の職を離職した者が正社員雇用された産業 500 人 400 300 200 100 0 農林漁業 鉱業建設業製造業情報通信業運輸業卸売 小売業金融 保険 不動産業飲食店 宿泊業 医療 福祉教育 学習支援 複合サービス業サービス業 ( その他 ) 公務 公益業分類不能の産業 2002 年 2007 年 表 3 過去 1 年間に非正規の職を離職した者の前職と学歴非正規職正社員移離職者計構成比行率 ( 人 ) うち男性 うち女性 非典型雇用離職者計 15,424 10 16.1 27.7 11.9 前職雇用形態パート 5,708 37.0 10.8 26.1 9.6 アルバイト 4,340 28.1 18.8 27.0 13.1 労働者派遣事業所の派遣社員 2,467 16.0 16.9 24.4 13.2 契約社員 1,952 12.7 21.0 29.4 15.3 嘱託 330 2.1 27.9 44.3 22.7 その他 627 4.1 21.2 37.0 12.7 前職職業専門的 技術的職業従事者 1,189 7.7 22.0 41.3 17.2 事務従事者 4,022 26.1 13.7 29.1 12.3 販売従事者 2,232 14.5 16.7 31.6 12.3 サービス職業従事者 2,724 17.7 16.1 30.1 12.5 保安 農林漁業従事者 184 1.2 19.0 23.8 9.7 運輸 通信従事者 218 1.4 29.8 31.4 23.3 生産工程 労務作業者 4,389 28.5 15.9 24.7 8.6 分類不能の職業 466 3.0 13.1 21.3 9.0 前職継続期間 (N=15,323) 1 年未満 5,987 39.1 12.9 21.2 9.5 1 年以上 2 年未満 3,622 23.6 15.8 26.3 12.2 2 年以上 3 年未満 1,939 12.7 19.0 35.1 13.6 3 年以上 5 年未満 2,120 13.8 21.4 39.7 15.8 5 年以上 10 年未満 1,356 8.8 18.0 39.9 11.9 10 年以上 299 2.0 18.1 26.3 15.1 学歴 (N=15,240) 中学卒 1,387 9.1 11.3 18.8 6.3 高校卒 7,343 48.2 13.8 25.2 9.7 専門学校卒 2,213 14.5 20.2 33.7 15.2 短大 高専卒 2,093 13.7 13.4 22.4 12.8 大学卒 2,098 13.8 25.0 36.5 18.7 大学院卒 106 0.7 34.0 42.3 25.9 卒業年 (N=15,240) 78-88 年卒 3,162 20.7 11.3 25.0 8.9 89-93 年卒 2,692 17.7 11.5 24.1 8.5 94-98 年卒 2,971 19.5 14.6 28.0 10.2 99-05 年卒 5,266 34.6 20.1 28.9 15.3 06-07 年卒 1,149 7.5 26.5 30.2 24.0 9

4 新しい公共 の担い手にも正規との壁 特に優秀な若い子たちがどんどんと逃げていっちゃって 非営利セクターに残っていかないという寂しい現象を僕らもいっぱい見てきている ( きょうと NPO センター )( 日本労働研究機構 (2010) 若者の就業への移行支援と我が国の社会的企業 ヒアリング調査による現状と課題の検討 活動の中心となる人材の確保 応募はあるが 求める人材が見つからない が 13.9% で 合わせて 42.5% の団体が人材の確保に課題を持つ ( 内閣府国民生活局 2008 平成 19 年度市民活動団体基本調査報告書 ) 5 生涯学習 生涯職業能力開発の重要性 : 知識基盤社会化が進み 労働市場以降後も能力開発が重要になっている 非正規雇用でも高学歴者は自己啓発が活発 自己啓発と正社員への移行には関係性あり 表 4 雇用形態 学歴別能力開発状況男性 正社員 パート アルバイト その他非典型 女性いずれも行なわず N( 千人 ) 勤務先が勤務先がいずれも行実施した訓自己啓発なわず N( 千人 ) 実施した訓自己啓発練練中学卒 19.4 7.3 76.6 636 22.9 12.7 71.2 101 高校卒 34.9 13.3 60.2 5,564 28.9 14.2 64.9 1,906 専門学校卒 37.9 22.1 52.5 1,948 48.2 32.1 43.4 1,405 短大 高専卒 44.6 23.7 46.7 484 44.6 27.2 45.9 1,400 大学卒 48.8 30.9 40.8 4,912 51.9 39.3 35.5 1,740 大学院卒 57.7 47.6 27.8 644 57.5 56.0 26.2 99 他 27.2 11.8 67.0 201 29.4 14.4 65.6 86 合計 40.6 22.1 51.5 14,388 42.5 27.7 48.4 6,737 中学卒 9.8 6.7 85.6 134 10.2 5.4 86.6 270 高校卒 11.7 10.8 80.2 492 13.1 9.0 81.1 2,173 専門学校卒 16.5 17.4 70.9 149 19.7 16.3 70.8 705 短大 高専卒 15.8 24.7 62.3 25 18.3 16.8 71.2 712 大学卒 17.0 33.2 57.7 154 20.2 31.1 58.0 349 大学院卒 8.9 54.0 44.9 13 27.4 55.9 36.4 14 他 6.9 10.1 84.8 23 7.6 5.9 88.8 87 合計 13.0 15.6 75.2 991 15.3 13.1 76.3 4,311 中学卒 16.0 7.9 79.8 123 19.6 10.2 73.4 65 高校卒 17.7 11.9 74.2 542 21.0 16.2 69.7 680 専門学校卒 24.9 20.3 62.3 196 26.2 24.6 59.2 294 短大 高専卒 26.9 19.4 61.8 42 28.3 24.0 57.8 432 大学卒 28.5 33.5 51.7 276 30.4 37.9 47.2 409 大学院卒 44.5 55.0 30.6 32 32.3 55.2 34.2 29 他 22.7 11.0 71.4 26 14.5 18.3 71.3 26 合計 22.2 19.0 66.3 1,237 25.4 24.2 60.3 1,935 表 5 正規への移行と過去 1 年間の職業能力開発の実施 合計 ( 人 ) 勤務先が実施した訓練 自己啓発 * 公的助成付き自己啓発 * いずれも実施しなかった 3か月以内に非典型から正社員に 390 21.0 24.6 3.8 62.3 非典型一貫 33,800 18.7 15.0 1.3 72.2 *p<01で有意差あり 4. 若年者の現状からみた新年金制度での留意事項 1 移行経路の変容 ( ヨーヨー型移行 ) が前提に * 大人への移行経路が < 卒業 就職 結婚 子ども > といった一律の経路をたどらず 個別で いきつもどりつし 時間がかかる移行のあり方 正社員以外の働き方 ( 短時間 有期 ) 学卒定着以外のキャリアにおける負担と給付の公平性 短時間 有期限雇用は 1 号被保険者? 厚生年金 雇用主負担? ポータビリティが必要 保険料払い込み期間の柔軟化職業のための 学び が重要になる保険料払い込み期間の柔軟化未婚 既婚 専業主婦 共働き = 多様なあり方を前提にすると個人単位? 10

2 社会保険制度への不信 : だから払わないというのは少数派 正しい知識 認識を学校在学中に < 年金 雇用 医療 > をセットで理解していることが多い 非正規から正規への移行を希望する理由のひとつは < 保険 > 11