センサー工学 2012 年 11 月 28 日 ( 水 ) 第 8 回 知能情報工学科横田孝義 1
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前々回から振動センサーを学習しています 今回が最終回の予定 3
振動の測定教科書 計測工学 の 194 ページ 二つのケースがある (1) 空間に基準となる不動点 ( 床面など ) が得られる場合 (2) 基準となる不動点が得られない場合 センサを振動体に取り付けて測定する場合 地震 航空機 車両などの振動測定 : 不動点が得られない このセンサを古い言い方であるが サイズモ式ピックアップと呼ぶ 4
サイズモ式ピックアップとは? Seismic System 微分方程式 ばね k おもり m x 2 ばねの反発 ダンパの抵抗 ダンパ B 検出器 振動体 x 1 5
サイズモ式ピックアップとは? x 1 と x 2 で整理して ラプラス変換 6
サイズモ式ピックアップとは? X 2 vs X 1 の伝達関数 検出器では x 2 -x 1 を見ていることになるので X 2 - X 1 vs X 1 の伝達関数は 7
サイズモ式ピックアップとは? 伝達関数 ここで 減衰係数 固有角周波数 この系の周波数応答は? として伝達関数の振幅と位相を調べればよい 8
サイズモ式ピックアップとは? 周波数応答 振幅は 9
サイズモ式ピックアップとは? 位相は? 実部虚部なので 位相 10
サイズモ式ピックアップとは? 周波数特性の考察 固有角周波数 減衰係数 振動の周波数が固有振動数よりも十分に高ければ検出系の gain は 1 になる 11
サイズモ式ピックアップとは? 周波数特性の考察 位相 実部 2 虚部 すなわち 位相は π に収束 12
サイズモ式ピックアップとは? 13
サイズモ式ピックアップとは? 加速度ピックアップ 伝達関数 を書き換える Seismic System ばね k おもり ダンパ B m x 2 検出器 α 1 (s) は すなわち 床の振動の加速度 振動体 x 1 14
サイズモ式ピックアップとは? 加速度ピックアップ α 1 (s) は すなわち 床の振動の加速度 Seismic System 周波数特性は ばね k おもり ダンパ B m x 2 検出器 振動体 x 1 15
サイズモ式ピックアップとは? 加速度ピックアップ 周波数特性 振幅特性 位相特性 16
サイズモ式ピックアップとは? 加速度ピックアップ 周波数特性の考察 : 固有角振動数であれば 振幅特性 Seismic System ばね k 加速度の定数倍を計測できる おもり m x 2 ダンパ B 検出器 位相特性 振動体 x 1 17
サイズモ式ピックアップとは? 加速度ピックアップ 18
サイズモ式ピックアップとは? : 固有角振動数であれば 振動 x 1 を計測 : 固有角振動数であれば 振動 x 1 の加速度の定数倍を計測 Seismic System ばね k おもり ダンパ B m x 2 検出器 振動体 x 1 振動センサの原理をサイズモピックアップの動作から学んだ 19
サイズモ式ピックアップ 例題 4-1 変位ピックアップで振幅が 2% 以下の誤差で測定できる の範囲を求めよ ただし =0.6 とする >3.51 20
サイズモ式ピックアップ 例題 4-2 固有振動数 fn=100hz, =0.7 の加速度ピックアップで 加速度の振幅の誤差を1% 以内で測定するには 振動数の最大値をいくらに押さえるべきか また この加速度ピックアップに用いている変位検出器の測定範囲を ±0.1mmとすれば 測定できる最大加速度はいくらか < 0.40 =0.99 f=0.40x100=40h 以下 であるので 21
振動変換器 動電形変換器磁界が一定で, 導体が磁界中を移動する場合に誘導起電力が発生する 磁束密度 B の一様な磁界中に, 長さ l の導線 PQ が 2 本の平行な導線 ab,cd と両端を接して置かれている この導線 PQ を一定の速さ v で磁界と垂直の方向に横切って運動させる 誘導起電力の大きさは, 微小時間 t 間に棒 PQ は l=v t だけ移動するから, t の間の磁束変化 φ は φ=b S=B(l v t)=blv t よって生じる誘導起電力の大きさ V は 22
振動変換器 23
振動変換器 24
振動変換器 サーボ式変換器 25
振動変換器 サーボ式変換器 加速度 α 重りの等価質量 力 + - 重りの力学系 変位電圧平衡用電流 変位検出系 サーボアンプ i 抵抗 R 出力 e o =Ri 力 力平衡用コイル 平衡用電流 ( 出力電圧 ) は加速度に比例する 26
振動変換器 非接着型ひずみゲージ形変換器 力が右に働くと B,D は伸ばされ ( 抵抗が増え ) A,C は縮められる ( 抵抗が減る ) 27
振動変換器 接着型ひずみゲージ形変換器 28
振動変換器 接着型ひずみゲージ形変換器 29
振動変換器 接着型ひずみゲージ形変換器 GF ひずみゲージの Gain Factor 30
参考 : ホィートストンブリッジ AB 間の電圧 e=0 すなわち 平衡が取れていると R 1 R 2 E A i 1 i 2 B i 4,i 3 を消去 i 4 i 3 R 4 R 3 両辺 R 4 両辺 R 1 e あるいは 31
参考 : ホィートストンブリッジ R 1 + R R 2 E A i 1 i 2 i 4 i 3 B R 1 が R 1 + R に変化したとする R 2 を調整して再び平衡にしたときの R 2 の値が R 1 + R の値 R 4 R 3 零位法 e 32
参考 : ホィートストンブリッジ 偏位法ではどうなるか? R 1 + R R 2 E A i 1 i 2 B R 4 R 3 e 微小電圧計 ( 入力インピーダンスは十分に大きい ) 33
参考 : ホィートストンブリッジ R 1 + R R 2 E A i 1 i 2 B R 1 =R 2 =R 3 =R 4 =R と選べば R 4 R 3 e 微小電圧計 ( 入力インピーダンスは十分に大きい ) 従って,R と E の値から R を知ることが出来る 34
振動変換器 非接触式変換器 (1) 可変容量形 (2) うず電流形 (3) 電子光学形 35
振動変換器 非接触式変換器 静電容量式 面積 S 静電容量 C=ε S/d d 誘電体誘電率 ε 距離 d によって静電容量が変化 発信回路に用いれば発信周波数が振動によって変化 ( 周波数変調 ) 36
振動変換器 非接触式変換器 うず電流式 37
インピーダンスの測定 電流 I F 力 L R C m V 速度 ~ E 電圧 ばね k B ダンパ 電気系 機械系 38
インピーダンスの測定 電流 I L R C ラプラス変換 ~ E 電圧 電気系 インピーダンス 39
インピーダンスの測定 F 力 m V 速度 ラプラス変換 ばね k B ダンパ 機械系 機械インピーダンス 40
インピーダンスの測定 機械インピーダンス F 力 m V 速度 周波数特性 を代入 ばね k B ダンパ 機械系 振幅 位相 41
インピーダンスの測定 F 力 m V 速度 ばね k B ダンパ 機械系 42
今週は つりあい試験 を学びます 43
つりあい試験 重りにかかる遠心力 ω を不釣り合いと呼ぶ 振動の元 つり合っている円盤に重りをつける 例 10mm に 10g U=100 g mm 20mm に 5g U=100 g mm 不釣り合い具合は同じ 44
つりあい試験 例題 4-3 円板の全質量が 1kg, 円板の重心が回転中心より 0.1mm 偏っているとする 不釣り合いはいくらか? また 中心から 20mm の位置に重りをつけて不釣り合いを取り除きたい 重りの質量はいくらにしたら良いか? 不釣り合い ω 取り付ける重りの質量を m (g) とすれば 45
つりあい試験 U 2 U 1 U i U n 円筒状のローターを多数の円板状ローターの集まりと考える ω x i l l U L L 集約 R U R l 46
つりあい試験 U L L 集約 R U R 修正面 L と R の選び方は任意 出来るだけ離れている方が良い U L と U R がそれぞれ 0 になるようにする l 2 面釣り合わせ 47
つりあい試験 例題 4-4 不釣り合いを持った 3 枚の円板 A,B,C からなるロータを A,C を修正面として 2 面釣り合わせをする場合の修正不釣り合いを求めよ 1 g mm 0 A 0.8 g mm B 90 C 1.2 g mm 修正面 Cでの不釣り合い ( 合成ベクトル ) は円板 B 円板 C 1.2 (200/200) =1.2 g mm 0.8 (80/200)=0.32 g mm l 80 mm ベクトルの絶対値は 200mm 方向は 48
つりあい試験 例題 4-4 不釣り合いを持った 3 枚の円板 A,B,C からなるロータを A,C を修正面として 2 面釣り合わせをする場合の修正不釣り合いを求めよ 1 g mm 0 A 0.8 g mm B 90 C 1.2 g mm 修正面 A での不釣り合い ( 合成ベクトル ) は 円板 A 1 (200/200) =1 g mm 円板 B 0.8 (120/200)=0.48 g mm l 80 mm ベクトルの絶対値は 200mm 方向は 49
つりあい試験 不釣り合いを測定によって求め これを除去して釣り合いをとる作業を釣り合い試験という 1 面釣り合わせ静釣り合い試験 (static balancing) 2 面釣り合わせ動釣り合い試験 (dynamic balancing) ローターを回転させる必要がある 50
つりあい試験 1 面釣り合わせ静釣り合い試験 (static balancing) 薄いロ タで 特に高精度を釣り合いを必要としない場合に実施する 51
つりあい試験 2 面釣り合わせ動釣り合い試験 (dynamic balancing) ローターを回転させる必要がある L R 支持ばね 軸受 ロータ 自在継手 角度目盛板 ベルト プ リ 不釣り合い 軸受の振動 ピックアップ 測定回路 指示計 角度検出装置 モータ 横形 2 面釣り合い試験機 52
つりあい試験 L 面上の不釣り合い A L ロータ R B R 面上の不釣り合い軸受 Aのピックアップ出力軸受 Bのピックアップ出力 e A ピックアップ e B k A e A k B e B はスカラの定数 e O 53
つりあい試験 L ロータ R メ タ出力 A B e A ピックアップ e B k A e A k B e B と出来れば e 0 は U R に比例する これを e OR とすると e O と出来れば e 0 は U L に比例 これを e OL とすると 54
つりあい試験 L ロータ R A B e A ピックアップ e B k A e A k B e B e O ただし にしたい を実際に求めることは困難 55
つりあい試験 試し重り A L 完全なロータ R B 完全に釣り合いのとれた重りの L 面に任意の試し重りを付ける (U R =0,U L 0) この場合にメーター出力が 0 になるように k A,k B を調整すれば U R を求める回路が得られる e A ピックアップ e B メ タ出力 k A e A k B e B e O これが 0 になるように k A,k B を調整すると を得る 56
つりあい試験 A L 完全なロータ R 試し重り B 完全に釣り合いのとれた重りの R 面に任意の試し重りを付ける (U R 0,U L =0) この場合にメーター出力が 0 になるように k A,k B を調整すれば U L を求める回路が得られる e A ピックアップ e B メ タ出力 k A e A k B e B e O これが 0 になるように k A,k B を調整すると を得る 57
今週はいわゆる 釣り合い試験 と呼ばれるローターの振動と検出方法 修正の方法ついて学んだ 58