Hara-statistics

Similar documents
Microsoft PowerPoint - Inoue-statistics [互換モード]

データ解析

Microsoft PowerPoint - 測量学.ppt [互換モード]

スライド 1

スライド 1

パソコンシミュレータの現状

測量試補 重要事項

数値計算法

工業数学F2-04(ウェブ用).pptx

Microsoft PowerPoint - H21生物計算化学2.ppt

講義「○○○○」

測量士補 重要事項「標準偏差」

Microsoft PowerPoint - 4.pptx

Microsoft PowerPoint - 基礎・経済統計6.ppt

Microsoft PowerPoint slide2forWeb.ppt [互換モード]

カイ二乗フィット検定、パラメータの誤差

Microsoft Word - 微分入門.doc

<4D F736F F D208EC08CB18C7689E68A E F AA957A82C682948C9F92E82E646F63>

数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュ

スライド 1

数学 ⅡB < 公理 > 公理を論拠に定義を用いて定理を証明する 1 大小関係の公理 順序 (a > b, a = b, a > b 1 つ成立 a > b, b > c a > c 成立 ) 順序と演算 (a > b a + c > b + c (a > b, c > 0 ac > bc) 2 図

様々なミクロ計量モデル†

14 化学実験法 II( 吉村 ( 洋 mmol/l の半分だったから さんの測定値は くんの測定値の 4 倍の重みがあり 推定値 としては 0.68 mmol/l その標準偏差は mmol/l 程度ということになる 測定値を 特徴づけるパラメータ t を推定するこの手

Microsoft Word - 5章摂動法.doc

線積分.indd

_KyoukaNaiyou_No.4

基礎統計

Probit , Mixed logit

Microsoft Word - Stattext07.doc

Microsoft Word - 1B2011.doc

<4D F736F F D208D A778D5A8A778F4B8E7793B CC A7795D2816A2E646F6378>

微分方程式による現象記述と解きかた

Microsoft Word - Time Series Basic - Modeling.doc

ギリシャ文字の読み方を教えてください

Microsoft PowerPoint saitama2.ppt [互換モード]

If(A) Vx(V) 1 最小 2 乗法で実験式のパラメータが導出できる測定で得られたデータをよく近似する式を実験式という. その利点は (M1) 多量のデータの特徴を一つの式で簡潔に表現できること. また (M2) y = f ( x ) の関係から, 任意の x のときの y が求まるので,

Microsoft PowerPoint - stat-2014-[9] pptx

ギリシャ文字の読み方を教えてください

1 対 1 対応の演習例題を解いてみた 微分法とその応用 例題 1 極限 微分係数の定義 (2) 関数 f ( x) は任意の実数 x について微分可能なのは明らか f ( 1, f ( 1) ) と ( 1 + h, f ( 1 + h)

Microsoft Word - å“Ÿåłžå¸°173.docx

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint Presentation

Microsoft PowerPoint - e-stat(OLS).pptx

不偏推定量

Microsoft Word - thesis.doc

切片 ( 定数項 ) ダミー 以下の単回帰モデルを考えよう これは賃金と就業年数の関係を分析している : ( 賃金関数 ) ここで Y i = α + β X i + u i, i =1,, n, u i ~ i.i.d. N(0, σ 2 ) Y i : 賃金の対数値, X i : 就業年数. (

68 A mm 1/10 A. (a) (b) A.: (a) A.3 A.4 1 1

Microsoft PowerPoint - 第5回電磁気学I 

ii 3.,. 4. F. (), ,,. 8.,. 1. (75% ) (25% ) =9 7, =9 8 (. ). 1.,, (). 3.,. 1. ( ).,.,.,.,.,. ( ) (1 2 )., ( ), 0. 2., 1., 0,.

Microsoft PowerPoint - statistics pptx

統計的データ解析

<4D F736F F D208EC08CB18C7689E68A E F1939D8C E82E646F63>

Microsoft PowerPoint - zairiki_3

ÿþŸb8bn0irt

喨微勃挹稉弑

DVIOUT-SS_Ma

第 3 回講義の項目と概要 統計的手法入門 : 品質のばらつきを解析する 平均と標準偏差 (P30) a) データは平均を見ただけではわからない 平均が同じだからといって 同一視してはいけない b) データのばらつきを示す 標準偏差 にも注目しよう c) 平均

学習指導要領

θ T [N] φ T os φ mg T sin φ mg tn φ T sin φ mg tn φ θ 0 sin θ tn θ θ sin φ tn φ φ θ φ mg θ f J mg f π J mg π J J 4π f mg 4π f () () /8

統計学 - 社会統計の基礎 - 正規分布 標準正規分布累積分布関数の逆関数 t 分布正規分布に従うサンプルの平均の信頼区間 担当 : 岸 康人 資料ページ :

<4D F736F F D FCD B90DB93AE96402E646F63>

森林水文 水資源学 2 2. 水文統計 豪雨があった時, 新聞やテレビのニュースで 50 年に一度の大雨だった などと報告されることがある. 今争点となっている川辺川ダムは,80 年に 1 回の洪水を想定して治水計画が立てられている. 畑地かんがいでは,10 年に 1 回の渇水を対象として計画が立て

統計学的画像再構成法である

スライド 1

2011年度 大阪大・理系数学

Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷

Microsoft Word - Chap17

公式集 数学 Ⅱ B 頭に入っていますか? 8 和積の公式 A + B A B si A + si B si os A + B A B si A si B os si A + B A B os A + os B os os A + B A B os A os B si si 9 三角関数の合成 si

Problem P5

材料の力学解答集

Microsoft Word - ㅎ㇤ㇺå®ı璃ㆨAIã†®æŁ°ç’ƒ.docx

Chap3.key

. 角の二等分線と調和平均 平面上に点 を端点とする線分 と を重ならないようにとる, とし とする の二等分線が線分 と交わる点を とし 点 から に垂直に引いた直線が線分 と交わる点 とする 線分 の長さを求めてみよう 点 から に垂直な直線と および との交点をそれぞれ, Dとする つの直角三

解析力学B - 第11回: 正準変換

OCW-iダランベールの原理

講義「○○○○」

Microsoft PowerPoint - 熱力学Ⅱ2FreeEnergy2012HP.ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint - statistics pptx

産業組織論(企業経済論)

NLMIXED プロシジャを用いた生存時間解析 伊藤要二アストラゼネカ株式会社臨床統計 プログラミング グループグルプ Survival analysis using PROC NLMIXED Yohji Itoh Clinical Statistics & Programming Group, A

学習指導要領

2014年度 信州大・医系数学

気体の性質-理想気体と状態方程式 

多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典

Microsoft PowerPoint - Statistics[B]

<4D F736F F D2094F795AA95FB92F68EAE82CC89F082AB95FB E646F63>

Microsoft Word - mathtext8.doc

I-2 (100 ) (1) y(x) y dy dx y d2 y dx 2 (a) y + 2y 3y = 9e 2x (b) x 2 y 6y = 5x 4 (2) Bernoulli B n (n = 0, 1, 2,...) x e x 1 = n=0 B 0 B 1 B 2 (3) co

Microsoft PowerPoint - 1章 [互換モード]

Microsoft PowerPoint - NA03-09black.ppt

情報工学概論

mt1-slides-03.pptx

木村の物理小ネタ 単振動と単振動の力学的エネルギー 1. 弾性力と単振動 弾性力も単振動も力は F = -Kx の形で表されるが, x = 0 の位置は, 弾性力の場合, 弾性体の自然状態の位置 単振動の場合, 振動する物体に働く力のつり合

Microsoft PowerPoint - H17-5時限(パターン認識).ppt

統計学の基礎から学ぶ実験計画法ー1

2017年度 長崎大・医系数学

誤差とは? 真の値からの測定値のズレ 真の値 とは何かが問題 測定値から どのような値を求めたいと考えているのか? ちなみに測定値や推定値からどの範囲に真の値があるかの指標は 不確かさ

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D20824F B CC92E8979D814696CA90CF95AA82C691CC90CF95AA2E646F63>

モジュール1のまとめ

Transcription:

全学共通授業科目 物理学実験平成 3 年度前期測定値の扱い方と誤差論 講義 神戸大学大学院理学研究科物理学専攻原俊雄

測定値を他人に提示するとき なぜ 誤差を考えなければならないのか? なぜ 誤差を測定値に付けなければならないのか? そもそも 誤差とは何か?

人間は 測定により真の値を知ることができるか? 人間は 真の値を知ることはできない 人間は 工夫することによって 限りなく真の値に近づくことができる 工夫 : 良い測定器具を開発する ( 技術的手法 ) 工夫 : 何回も測定して 平均をとる ( 統計的手法 ) それならば どこまで真の値に近づいたかを 明示する必要がある 誤差の明示の必要性

有効数字 : 近似計算 一般に最小目盛りの 1 目の 1/10 まで目分量で読む ( 判定する ) 1mm 目盛りの物差しで縦と横を測り その面積を求めたい 縦 a=3.6mm 横 b=18.7mm と読んだとき 3.55<a<3.65 18.65<b<18.75 面積は 439.075< a b <443.4375 441.3 差 :-.115 差 :+.1175 面積の計算値には ± 程度の ( 最大 ) 誤差がある? 故に 441.3 の 1 位の桁が少し怪しい ( 誤差が出始めた ) 0.1 位以下の桁は信頼できない どこまで信頼できるか? このとき 面積は 441mm ( 有効数字は3 桁 ) と表現する ( 誤差が出始めた桁は有効としましょう!)

有効数字 : 近似計算 第一則 : 計算結果の有効数字の桁数は 計算材料たる測定値の桁数 ( の少ない方 ) と等しくとる.34 56.78=13.865 133 または 1.33 10 ただし かけ算 割り算の場合 第二則 : 計算に使用する定数 ( 例えば π g 等 ) は 他の材料数たる測定値の桁数より一桁程度多く取る.3 45.6 π π 3.14 第三則 : 中間計算の結果の桁数は 材料数たる測定値の桁数より一桁程度多く取る ただし 同一測定を数回繰り返して行う場合は 最小二乗法で誤差を求めるが そのときは 上の 3 則で それぞれもう一桁程度多く取らねばならない

誤差の分布と平均二乗誤差 誤差の定義 εi = xi-x (i=1,,3, ) (i 番目の誤差 )=(i 番目の測定値 )-( 真の値 )

誤差 ε の確率密度関数 ε と ε+dε の間に誤差がある確率が f(ε)dε で表されるとき f(ε) を確率密度関数と呼ぶ ( 誤差 ε が出る確率が f(ε) ) 確率密度関数 f(ε) が どのような性質を持つかを考えよう ( すなわち 誤差の性質を考えよう )

確率密度関数 f(ε) の性質 ( 要請 ) 1 ε1 < ε のとき f(ε1) > f(ε) 小さい誤差の方が起こりやすい ε のとき f(ε) 0 誤差が無限大にはならない 3 f(ε) = f(-ε) プラスの誤差とマイナスの誤差は同じ確率 で起こる f (ε) は なめらか な関数 微分可能な関数

確率密度関数 f(ε) の形 ( 直観 ) f(ε) - から + まで積分すると 1 面積は 1-0 + ε

確率密度関数 f(ε) の数式化 求め方は 実験書を参照! f(ε) = exp( ) ε: 誤差 1 π σ 1 f(x) = exp( ) π σ X: 測定値 X: 真の値 ε σ 正規分布またはガウス分布 σ は何か? (x-x) σ

exp 表示とは -ε exp(-ε ) = e exp( x ) = e x e =.7188 ( 自然対数の底 )

平均二乗誤差と標準偏差 ε の平均値 ε を求める + ε = ε f(ε) d ε - ε の平均は ε にεの出現する確率 f(ε) をかけて それをεについて- から+ まで積分したもの ( 足したもの ) である

サイコロを振り 出る目の数の平均値を求める サイコロの出た目の分布 目 1 3 4 5 6 回数 6 4 5 7 3 5 ( 合計 30 回 ) 出る目の平均値 =( 1 6 + 4 + 3 5 + 4 7 + 5 3 + 6 5 ) 30 =1 (6/30)+ (4/30)+3 (5/30)+4 (7/30)+5 (3/30)+6 (5/30) =( 目の値 ) ( その目が出る確率 ) を足し合わせる ( 積分する )

平均二乗誤差と標準偏差 ε の平均値 ε を求める + ε = ε f(ε) d ε - ε の平均は ε にεの出現する確率 f(ε) をかけて それをεについて- から+ まで積分したものである

平均二乗誤差と標準偏差 ε の平均値 ε を求める ε = ε f(ε) d ε = ε 1 ε exp( )d ε= σ - π σ σ これを誤差としようか? + + - 故に ε =σ σ = ε

1 f(ε) = exp( ) の性質 π σ 面積 =1 ( 全確率 =1) σ が大 大きい誤差が多くなる σ σ が小 大きい誤差が少なくなる f (ε) ε 0 ε

+σ ( 面積 )= f(ε) d ε 0.683 -σ f(ε) 誤差が -σ から +σ の間にある確率が 68.3% である - -σ 0 +σ + ε

x±σ (x は測定値 ) と書いたとき x- σ< 真の値 <x+σ の確率が 68.3% である f(ε) この σ を ( 統計 ) 誤差 と定義する - -σ 0 +σ + ε

( 統計 ) 誤差 : 平均二乗誤差 ( 標準偏差 ) σ = ε = (x i -X) i = 1 x i : i 番目の測定値 X : 真の値 誤差の 乗の平均のルート ( 平方根 ) 真の値が分かれば誤差を計算できる

最確値 ( 一番もっともらしい値 ) を求めるには? 測定値 x i (i=1,,3,,) ; 互いに独立 真の値 X x i の測定値を得る確率は f(x i ) 1 f(xi) = exp( ) π σ (xi-x) σ

(x1, x,, X) の一組の測定値を得る確率は P= f(x1) f(x) f(x3) f(x) 1 1 =( ) exp[ {(x1-x) + π σ σ (x-x) + + (x-x) }] この確率 P を最大にする X の値が もっともらし い値 ( 最確値 ) と考える Maximum Likelihood Method (x i -X) を最小にする X がもっともらしい i = 1

P P を最大にする X の値を求めるには? X 極大値を求めるには接線の傾きがゼロ dp/dx =0

最確値を求める dp d (x i -X) i = 1 =0 または =0 dx dx x i i = 1 Xm = ( 算術 ) 平均値 これを計算すると

平均値の誤差の求め方 xi i = 1 1 1 1 Xm= = x1 + x + + x 誤差伝播の法則 ( 後で詳しく説明する ) より 1 1 1 σm= σ1 + σ + + σ ここでσ1 =σ = =σ=σとすると σ σm = : 測定回数を増やせば 算術平均値 Xm の誤差は 1/ に比例して小さくなる

( 統計 ) 誤差 : 平均二乗誤差 ( 標準偏差 ) σ = ε x i = (x i -X) i = 1 : i 番目の測定値 X : 真の値 誤差の 乗の平均のルート ( 平方根 ) 真の値は分からないのでこの誤差は計算できない

( 以前に講義した ) 平均 乗誤差 ( 標準偏差 ) は 真の値が分からなければ計算できない 真の値 X の代わりに 平均値 Xm を使う εi = xi-x= (xi-xm)+(xm-x) 両辺を 乗する εi = (xi-xm) +(Xm-X) + (xi-xm)(xm-x) 回の測定値を足し合わせて平均をとる εi (xi-xm) (Xm-X) i = 1 = + i = 1 σ の 乗 σm の 乗 i = 1 (Xm-X) (xi-xm) + i = 1 理想的には Zero

σm = σ = (xi-xm) +σm i = 1 σ 連立させて解く 個々の測定値の誤差 電卓に有り σ と σ-1 σ = 平均値の誤差 σ m = 電卓に無し (xi-xm) i = 1-1 (xi-xm) i = 1 (-1) これなら 計算 できる

( 問題 1) 針金の直径を測定して以下の結果を得た 針金の直径の平均値とその誤差を求めよ ( 平均 )±( 平均値の持つ誤差 ) の形式で答えよ 針金の直径の平均値の有効桁数は何桁か 測定値 ( 単位 mm) 1.1 1.18 1.1 1.19 1. 1.17 1.19 1.0 1. 1.0

例題 : 直径 D=18.65±0.13mm, 高さ h=4.36±0.5mm の円筒の体積を求めよ D h V=π( D ) h=(π/4)(18.65) (4.36)=6654.6 このとき 体積 V の誤差はどうなるのか? 直径 D と高さ h の誤差が 体積 V にどのように伝播するのか?

誤差の伝播則 Taylor 展開を考える f(a+ε) f(a)+εf(a)+ f(a+ε) f(a) y y= f(x) ε a a+ε L=εf(a) f(a) 関数は y= f(x) L ε f(a+ε) =f(a) x

一回の測定値 X±εx,Y±εy, より計算して W=F(X±εx,Y±εy, ) を得るとき その誤差 σw Talor 展開 (1 変数から多変数の場合を推測 ) W=F(X±εx,Y±εy, ) = F(X,Y, )+(±εx)( F )+(±εy )( F )+ X Y Wの ( 一回測定の ) 誤差 εw は εw =W- F(X,Y, ) =(±εx)( F )+(±εy )( F )+ X Y 両辺を 乗する F F εw = εx ( ) + εy ( ) + X Y F F +(±εx εy)( )( ) + X Y

N 回の測定をして それらを加えて平均する εw εx F εy F = ( X )+ ( Y ) + N N N εx εy +(±) ( F )( F )+ N X Y まとめると理想的にはゼロ F F σw = σx ( ) + σy ( ) + X Y 誤差の伝播の法則

平均値とその誤差 (Xm± σmx,ym±σmy, ) が求まったとき 求めるべき Wm の最確値 ( 平均値 ) は Wm=F(Xm,Ym, ) の関係式で計算する 平均値 Wm の持つ誤差 σmw は σmw = σmx ( F ) + σmy ( F ) + X Y の偏微分をして その結果に X=Xm, Y=Ym, を代入して計算する

例題 : 直径 D=18.65±0.13mm, 高さ h=4.36±0.5mm の円筒の体積を求めよ D h V =π( D ) h =(π/4)(18.65) (4.36)=6654.6 σmv = σmd ( V ) + σmh ( V ) D h = σmd ( π/ Dh) + σmh (π/4 D ) =(0.13) (π/ 18.65 4.36) +(0.5) (π/4 18.65 ) =1370. σmv= 115. ( 平均値 )±( 平均値の誤差 ) の表現はどうする

( 平均値 )±( 平均値の誤差 ) の表現はどうする 平均値 V=6654.6 平均値の誤差 σmv= 115. 一般に 誤差の桁数は 桁とする σmv= 115. 10 1. 10 平均値は 誤差の最下位桁までを書く ±) 66.546 10 1. 10 四捨五入 四捨五入 故に V = ( 6.65±0.1 ) 10 3 mm 3

例題 : 直径 D=18.65±0.13mm, 高さ h=4.36±0.5mm の円筒の体積を求めよ D h V =π( D ) h =(π/4)(18.65) (4.36)=6654.6 σmv = σmd ( V ) + σmh ( V ) D h = σmd ( π/ Dh) + σmh (π/4 D ) =(0.13) (π/ 18.65 4.36) +(0.5) (π/4 18.65 ) =1370. σmv= 115. 故に V=(6.65±0.1) 10 mm 3 3

( 問題 3) 質量の無視できる糸の先に小さい物体がついている振り子 ( 単振り子 ) がある この振り子を測定したところ 長さは 5.75±0.5 cm 物体の質量は 1.05±0.036 kg 周期は 1.019±0.03 秒 であった この結果より 重力の加速度を求めよ

加重 ( 異重 ) 平均 方法が異なったり 実験グループが異なったりして 多数の結果 g1±σ1, g±σ, があるとき ( 一つにまとめた ) 最終的な g0±σ0 をどのようにして求めるか? (Ⅰ) 単純に加えて単純平均をとる g0=(g1+g+ +g)/ (Ⅱ) 誤差の小さい実験値ほど重要視して 誤差の大きい実験値ほど軽視して ( 重みをつけて ) 平均をとる 加重 ( 異重 ) 平均

加重 ( 異重 ) 平均値 g0 = ( 1 gi ) i = 1 σi 1 i = 1 σi 加重 ( 異重 ) 平均 加重 ( 異重 ) 平均値の誤差 こうなる理由は? σi の 乗の逆数で重みを付けて平均 σ0 = 1 1 i = 1 σi 誤差伝播の法則を応用して求める

確率密度関数 f(ε) の数式化求め方は 実験書を参照! f(ε) = exp( ) ε: 誤差 1 π σ 1 f(g) = exp( ) π σ g: 測定値 G: 真の値 ε σ (g-g) σ 正規分布またはガウス分布

(g1±σ1, g±σ,, g±σ ) の一組の測定値を得る確率は P= f(g1) f(g) f(g3) f(g) 1 (g1-g) (g-g) =(π ) exp[ { + i = 1 π σi σ1 σ (g-g) + + }] σ この確率 P を最大にする G の値が もっともらし い値 ( 最確値 ) と考える Maximum Likelihood Method i = 1 (gi-g) σi を最小にする G がもっともらしい

最確値を求める d { } dp i = 1 σi =0 または =0 dg dg (gi-g) これを 計算すると

加重 ( 異重 ) 平均値 g0 = ( 1 gi ) i = 1 σi 1 i = 1 σi 加重 ( 異重 ) 平均 加重 ( 異重 ) 平均値の誤差 これが求まる σi の 乗の逆数で重みを付けて平均 σ0 = 1 1 i = 1 σi 誤差伝播の法則を応用して求める

加重 ( 異重 ) 平均値 g0 = ( 1 gi ) i = 1 σi 1 i = 1 σi 加重 ( 異重 ) 平均 加重 ( 異重 ) 平均値の誤差 σi の 乗の逆数で重みを付けて平均 σ0 = 1 1 i = 1 σi こうなる理由は? 誤差伝播の法則を応用して求める

加重 ( 異重 ) 平均値 g0 = 1 ( gi ) i = 1 σi 1 i = 1 σi g0 ( ) gi σ0 = σi = i = 1 加重 ( 異重 ) 平均 これに誤差伝播 の法則を適用 ( ) σi 1 i = 1 i = 1 1 σi σi これを 計算すると

加重 ( 異重 ) 平均値 g0 = ( 1 gi ) i = 1 σi 1 i = 1 σi 加重 ( 異重 ) 平均 加重 ( 異重 ) 平均値の誤差 σi の 乗の逆数で重みを付けて平均 σ0 = 1 1 i = 1 σi これが求まる 誤差伝播の法則を応用して求める

( 問題 ) 重力の加速度の測定を 4 回行って 次の結果を得た g1=980.3 ± 0.84 g=979.18 ± 0.55 g3=978.56 ± 0.4 g4=980.16 ± 0.50 ( 単位はcm/sec ) これらの結果を平均して最終結果を求めよ

問題の解答を A4 のレポート用紙にまとめて 4 月 8 日 ( 木 ) 午後 1 時 ~1 時 0 分に提出せよ f(ε) 今日は ここまで - -σ 0 +σ + ε

二項分布 個の独立な試行を行ったとき,k 回成功する確率 p 平均値 : 標準偏差 : 1 回あたりの成功確率が p であり, その試行回数が ならば, 平均的に p 回の成功が生じる 二項分布のガウス近似 を増やした場合, 二項分布は平均 X=p, 標準偏差の正規分布に近づく. 中心極限定理 誤差論 011 年度前期火曜クラス 49

二項分布 を増やすと正規分布に近づく 中心極限定理 誤差論 011 年度前期火曜クラス 50