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参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 参考 11 慢性貧血患者における代償反応 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 赤血球液 RBC 赤血球液

中小医療機関における輸血 療法委員会の設置に向けて 長崎県合同輸血療法委員会平成 31 年 1 月 16 日

平成29年度事業報告及び歳入歳出決算の概要(血液)

輸血療法の作業の流れ 輸血療法必要性の判断 患者への説明と同意 輸血準備 輸血前検査 輸血開始 輸血終了 輸血療法の効果評価 輸血後感染症検査 (3 ヶ月後 ) 輸血の実際に関しては 日本赤十字社から発行された 輸血用血液製剤取り扱いマニュアル を ご参照下さい カラー印刷で 大変わかりやすくなって

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遡及調査にて77日前の献血時のHBVウイルス血症が確認できた急性B型肝炎の一例

一について第一に 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号 以下 感染症法 という )第十二条の規定に基づき 後天性免疫不全症候群(以下 エイズという )の患者及びその病原体を保有している者であって無症状のもの(以下 HIV感染者 という )(以下 エイズの患者等

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2 参考 検体投入部遠心機開栓機感染症検査装置 感染症検査装置 (CL4800)

血液製剤使用量等アンケート調査報告 平成 26 年度 ~28 年度 :3 年間の推移 滋賀県輸血療法委員会 平成 30 年 3 月

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岡山県血液製剤使用適正化普及委員会 事業目的 背景 我が国の医療に使用されている血液製剤のうち 全血製剤及び血漿製剤は全て献血で確保されているが 血漿分画製剤は外国からの輸血に依存している 本邦の血液製剤の使用量が諸外国に比べて多い 感染症発症の危険性を完全には排除できない 血液製剤を適正に使用する

資料5 感染性因子低減化技術―海外導入状況

輸血とは

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輸血とは

平成20 年9月平成 20 年 ₉ 月 15 日発行広島市医師会だより ( 第 509 号付録 ) その結果がまとめられたことから 同月 17 日付けで 輸血療法の実施に関する指針 の一 部改正を行い通知しています 輸血前後の感染症マーカー検査の必要性 ( 指針改正箇所を抜粋 ) 本症は早ければ輸血

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針刺し切創発生時の対応

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

献血推進提案 (米谷)

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血液事業本部のこの一年 ( 平成 22 年度 ) の取組みについて 1. 献血者の確保平成 22 年度の献血者数は約 533 万人で 前年度より約 3 万人の増加となった 献血量については 400mL 血小板は増加したものの 平成 22 年度の血漿分画製剤用原料血漿の確保目標量が平成 21 年度の

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2 受入施設別献血量 ( 推計値 ) ブロ都ック道府県 合計 全国血液センター献血者数速報 (Ⅰ) 血液センター 平成 30 年 12 月分 L % L % 日 L L % 日 L L % 台 L L % 台 L 8, ,768

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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エンボスカード


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2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

厚生労働省告示第 210 号 平成 15 年 5 月 20 日 薬事法 ( 昭和三十五年法律第百四十五号 ) 第四十二条第一項 ( 同法第六十八条の五において準用する場合を含む ) 及び第二項の規定に基づき 生物由来原料基準を次のように定め 平成十五年七月三十日から ( 生物由来原料基準中の生物由来

免疫リンパ球療法とは はじめに あなたは免疫細胞 ( 以下免疫と言います ) の役割を知っていますか 免疫という言葉はよく耳にしますね では 身体で免疫は何をしているのでしょう? 免疫の大きな役割は 外から身体に侵入してくる病原菌や異物からあなたの身体を守る ことです あなたの身体には自分を守る 病

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2. 検討 ~ 医療に関する事故の特殊性など (1) 医師等による医療行為における事故 医師等が患者に対してどのような医療行為を施すべきかという判断は 医師等の医学的な専門知識 技能に加え 医師等の経験 患者の体質 その時の患者の容態 使用可能な医療機器等の設備等に基づきなされるものである ( 個別

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

資料 2-4 イソプロピルアンチピリン製剤の安全対策について 平成 23 年 6 月 23 日平成 23 年度薬事 食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 ( 第 2 回 ) 1. イソプロピルアンチピリン製剤の安全性に係る調査結果報告書 ( 別紙 ) 1 ページ

再生医療の制度的な対応の検討について 薬事法等制度改正についてのとりまとめ平成 24 年 1 月 24 日厚生科学審議会医薬品制度改正部会 1 再生医療製品については 今後も 臓器機能の再生等を通じて 重篤で生命を脅かす疾患等の治療等に ますます重要な役割を果たすことが期待される 特に ips 細胞

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部を混合したものをいう 5 ドナー とは 医薬品等の原料等となる細胞又は組織を提供する人( 臓器の移植に関する法律 ( 平成 9 年法律第 104 号 ) 第 6 条第 2 項に規定する脳死した者の身体に係るものを除く ) をいう 6 ドナー動物 とは 医薬品等の原料等となる細胞又は組織を提供する人


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内容 第 1 章血漿分画製剤産業ビジョン 2017 策定の目的 3p 第 2 章血漿分画製剤に関わる法規制 4p-11p 1) 血液法 2) 輸出貿易管理令 3) 薬機法第 3 章血漿分画製剤産業の現状と課題 11p-26p 1) 血漿分画製剤産業の現状 2) 市場を構成する企業について 3) 市場

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診療情報を利用した臨床研究について 虎の門病院肝臓内科では 以下の臨床研究を実施しております この研究は 通常の診療で得られた記録をまとめるものです この案内をお読みになり ご自身がこの研究の対象者にあたると思われる方の中で ご質問がある場合 またはこの研究に 自分の診療情報を使ってほしくない とお

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移植治療による効果と危険性について説明し 書面にて移植の同意を得なければならない 意識のない患者においては代諾者の同意を得るものとする 6 レシピエントが未成年者の場合には 親権者からインフォームド コンセントを得る ただし 可能なかぎり未成年者のレシピエント本人にも分かりやすい説明を行い 可能であ

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2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

医療施設長各位輸血担当各位 2014 年 3 月吉日 石川県合同輸血療法委員会 小規模医療施設向け輸血マニュアル ( 第 1.1 版 ) の web 公開と ご意見の募集について ( お知らせ ) 輸血療法の安全性ならびに輸血用血液製剤の適正使用につきまして 平素より多大なご協力を賜りますことに 深

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要旨 平成 30 年 2 月 21 日新潟県福祉保健部 インターフェロンフリー治療に係る診断書を作成する際の注意事項 インターフェロンフリー治療の助成対象は HCV-RNA 陽性の C 型慢性肝炎又は Child-Pugh 分類 A の C 型代償性肝硬変で 肝がんの合併のない患者です 助成対象とな

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第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

今日のお話 1. 看護師さんと輸血 2. 輸血ガイドライン ( 指針 ) の位置付け 3. 血液製剤について 4. 輸血療法の考え方と方法 5. 血液型検査 6. 不規則抗体スクリーニング 7. 血液の準備 8. コンピュータクロスマッチ 9. 在宅輸血

Transcription:

平成 20 年度薬事 食品衛生審議会血液事業部会運営委員会 安全技術調査会合同委員会 (2008/5/23) 輸血用血液の病原体不活化 導入に向けての検討課題 比留間医院 院長 東京都立駒込病院 非常勤医師 輸血 細胞治療学会 理事 血液事業部会 委員 比留間 潔 輸血用血液の病原体不活化 導入に向けての検討課題 意義をどのように考えるか病原体の不活化技術の現状と課題導入に向けて考えるべきことまとめ 1

血液製剤の病原体不活化の概念 検査の限界未知の病原体 病原体 輸血 感染症 病原体不活化 献血 輸血 1 2 HAPPY! 血漿分画製剤においては 広く導入され 安全性を向上させた 輸血用血液では 血液細胞があるため 技術的な問題がある 年 1999 2000 2002 2004 2005 2006 2007 2008 最近 10 年間の血液製剤安全対策安全対策 500 プール NAT(HBV HCV HIV) 50 プール NAT(HBV HCV HIV) 血液法 改正薬事法公布 20プールNAT(HBV HCV HIV) 生物由来製品感染等被害救済制度成分 PC 保存前白血球除去 献血者の本人確認血液製剤等に関する遡及調査ガイドライン 厚労省輸血指針改定 FFP 検疫保管 HEV NAT( 北海道 ) 成分 FFP 保存前白血球除去 成分 PC 初流血除去 輸血管理料 全血由来赤血球製剤 /FFP 保存前白血球除去 全血初流血除去 病原体不活化導入の検討 成分 FFP 初流血除去 残っている未導入技術 : 1 血小板製剤 : 細菌検査 2 病原体不活化 2

感染 30 率 % 20 売血 50.9% 50 40 10 31.1% HBsAg 輸血後肝炎は克服されつつある H19 血液事業報告書 : 厚生労働省 献血 16.2% 14.3% 400mL 採血成分採血 8.7% 抗 HCV Ab (1st) 抗 HBc Ab 抗 HCV Ab ( 改良 ) 500p HBV HCV HIV NAT 2.1% 0.48% 0.001% 0 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 年 50p 我が国の輸血用血液の残存感染リスク 病原体 HBV HCV HIV CMV HEV 細菌 * WNV 検査 あり 一部 なし 発生数 ( 確認例 ) 70 / 2000 2006 年 2 / 2000 2006 年 1 / 2000 2006 年 4 / 2002 年 2005 年 5 / 2000 年 2006 年 数 / 年 10 0.29 0.2 相当数? 1 0.71 * 輸血による細菌感染は 輸血直後の死亡につながるので 臨床的により重大な問題になる 0 3

血液製剤の安全性確保 残存する危険性がある限り その危険性を限りなく排除する努力は続けるべきである 輸血用血液の病原体不活化導入の意義 1. 現在の病原体スクリーング検査の限界を補う意義 a. 検査対象病原体 : 特に HBV 免疫不全患者では CMV 等 b. 未検査病原体 : 特に血小板製剤の細菌 HEV 等 c. 未知の病原体 : 検査体制ができるまでの間の危機管理 2. 献血者の白血球を不活化する意義 a. 同種免疫原性の低下 抗同種抗体産生低下 b. 放射線未照射血による輸血後 GVHD 発生の防止 3. 血液事業にとっての意義 a. 血液センターの人的 構造的な整備 b. 改良技術開発のための基盤整備感染性輸血副作用の評価 研究体制の整備新技術開発のための体制整備 4

輸血用血液の病原体不活化 導入に向けての検討課題 意義をどのように考えるか病原体の不活化技術の現状と課題導入に向けて考えるべきことまとめ 病原体不活化技術の開発状況 赤血球製剤 会社名 Cerus/Baxter Vitex (Pall) Gambro Fresenius/NPBI Photobiochem 技術 S303 Inactine Riboflavin + 可視光 Viperin Sylsens (Tetrapyrrole) + 可視光 開発状況臨床治験 (Ⅲ 相中止 ) 臨床治験 (Ⅲ 相中止 ) 前治験前治験臨床治験 ( 中止 ) 5

病原体不活化技術の開発状況血小板製剤 会社名 Cerus/Baxter Gambro Macopharma 技術 Amotosalen (S59) + 紫外線 Riboflavin + 紫外線 UVC( 紫外線のみ ) 開発状況欧州認可 (CE Marked) 欧州認可 (CE Marked) 申請中 Photobiochem Tetrapyrrole + 可視光 ( 開発中止 ) 血小板製剤の安全対策 ( 欧州 日本 ) 国フランス英国スペインイタリアベルギーロシアスイスルクセンブルグドイツギリシア日本 細菌検査? 不活化処理導入 ( Amotosalen ) 一部 評価中 一部 一部 評価中 一部 6

病原体不活化技術の開発状況血漿製剤 会社名 Octapharma Macopharma Cerus/Baxter Gambro 技術 Solvent Detergent (SD: 溶媒界面活性剤 ) Methylene Blue + 可視光 Amotosalen (S59) + 紫外線 Riboflavin + 紫外線 開発状況認可欧州認可 (CE Marked) 欧州認可 (CE Marked) 申請中 血漿製剤の安全対策 ( 欧州 日本 ) 国 検疫保管 不活化処理 Quarantine SD MB S59 フランス 英国 スペイン イタリア ベルギー ロシア スイス ルクセンブルグ ドイツ ギリシア 日本 ( 消極的 ) 一部 一部 処理なし 7

血漿製剤の Quarantine( 検疫保管 ) Active ( 積極的 ) 1 初回献血 検査 OK 32 回目献血 検査 OK 2 使用しない 保管 ( 数カ月 ) 4 使用 Passive ( 消極的 ) 1 初回献血 検査 OK 3 感染情報なし献血者 RC-MAP 輸血患者 2 使用しない 保管 ( 数カ月 ) 4 使用 不活化技術の課題と論点 1. 不活化技術の不完全性 (1) a. 赤血球製剤へ応用できる技術がない 周辺技術の開発を開始しなければ生まれない b. 不活化技術の能力は完全ではない現状の技術では輸血感染症を広範囲に克服できない 有用性の高い部分に応用する 他の安全技術とともに総合的に考え導入する 2. 血液製剤への影響 a. 血漿製剤 : 凝固因子活性の20 30% の低下 臨床的には概ね許容範囲と思われる b. 血小板製剤 : 血小板数 3 10% 程度の減少 臨床的には概ね許容範囲と思われる 8

不活化技術の課題と論点 (2) 3. 安全性の検証をどこまで行なうか a. 特に 核酸作用薬品の変異原性 発がん性 前臨床試験の結果をどこまで信頼するか 最終的にはどこで踏み切るかの問題 実績を通して確認して行くのが現実的な評価法 製造販売後調査によって確認する b. 一律全面導入の危険性 全面導入ではなく 部分的試験的導入 4. 血液センターの実務体制 a. 作業工程の整備 b. 人的整備 5. 医療経済に及ぼす影響 a. 血液製剤の薬価の上昇 輸血用血液の病原体不活化 導入に向けての検討課題 意義をどのように考えるか病原体の不活化技術の現状と課題導入に向けて考えるべきことまとめ 9

中央薬事審議会血液製剤特別部会 ( 山中學部会長 ) 平成 10 年 7 月 21 日議事録 1. 安全技術調査会 ( 小室勝利座長 ) 答申 FFPに対する病原体不活化技術を導入すべきである SD (solvent detergent) かメチレンブルー (MB) にする 2. FFP に対する不活化技術の早期導入を検討 SD か MB かは 日本赤十字社と国で検討して決める NAT を導入しても不活化技術は導入する 論点 1. SD はプール血漿を対象にするので 感染拡大の危険あり 2. MB は 個別処理でより安全と思われるが まだ 実績が少なく MB 除去フィルターの導入も考慮すべきである ( 当時は MB 除去フィルターが実用化されていなかった ) HIV 高感度 NAT 検査 すり抜け 問題 献血者 20 代男性 2003/5/19( 献血 1) HIV(-) 50 プール NAT 検査合格 2 Single NAT HIV+ 1 2003/11/16( 献血 2) HIV(+) FFP 3 HIV 感染 患者 対策 Quarantine: passive quarantine では防止できない active にしても不確実病原体不活化 : 予防できていた可能性高い 10

不活化技術導入へ向けて より具体的な論点 1. 新鮮凍結血漿導入を検討 (SD/MBの選択 あるいはS59 riboflavin) 現在のpassive quarantineが廃止できる 2. 血小板製剤細菌汚染の伝播防止を重視する S59 riboflavin UVC 核酸影響薬品の危険性を重視するならUVC/riboflavin 細菌検査を導入しなくてよい 3. 赤血球製剤国産新技術の開発を促進する 輸血用血液製造に関する日本の血液事業の特徴 国の指導 日本赤十字社の実施による一元体制 1. 評価すべき実績歴史的な業績献血による血液供給体制の早期完全導入 安全技術の全国均一導入 安定供給調整の一元的管理 2. 問題点があるとすれば 部分的 段階的導入がしにくい 新技術 新製品の独自の開発が試行しにくい 11

輸血用血液の病原体不活化 導入に向けての検討課題 意義をどのように考えるか病原体の不活化技術の現状と課題導入に向けて考えるべきことまとめ 輸血用血液への病原体不活化まとめ 1. 病原体不活化導入へ向けて現実的な検討を行なうべきである 2. 新鮮凍結血漿への病原体不活化導入の議論は早期に結論を出すべきである 国の委員会の決定事項であり 信義に関わる事項 検疫保管を中止することができる 3. 血小板製剤への病原体不活化は 細菌汚染の防止 安全性確保を重視し方法を選択する 4. 部分的導入を視野に入れ 製造販売後調査で安全性を検証すべきである 5. 赤血球製剤への病原体不活化技術の開発も含め国産新技術開発の促進を行なうべきである 12