Microsoft Word - 2 【茨城県】詳細報告書案_調査概要-9.docx

Similar documents
2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

<4D F736F F D208DB289EA8CA7926E88E696688DD08C7689E E D E906B814592C A8F4390B38CE32E646F6378>

茨城県地震想定の見直しのデータ訂正について

Microsoft Word - 茨城県 概要版-35-3.docx

Microsoft Word - 09安城中部.docx

目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が


<4D F736F F D2095F18D908F91967B91CC81698E7392AC91BA90E096BE89EF A2E646F63>

南海トラフ巨大地震における被害想定 ( 上水道 ) 上水道の被害想定は 津波 停電 揺れによる被害の合計であり 被災直後の断水人口は最大で 34 百万人 被害の大きい地域では最大 8 週間の復旧予測日数 (95% 復旧 ) と想定されている 上水道の被害想定 施設種類被害状況 ( 被災直後 ) 復旧

Microsoft Word - 概要版(案)_ docx


防災情報のページ

<4D F736F F D2090C389AA8CA78BE688E64D508DF492E895FB906A5F3195D22E646F63>

Microsoft Word - 茨城県 概要版-35-3.docx

Microsoft Word - 資料2 第二次報告の想定結果(概要)  最終(確定).doc

建築物等震災対策事業について

Taro-地震防災マップQ&A集.jtd

素早い避難の確保を後押しする対策として位置付けるべきものであることとされているところである 国及び関係公共団体等は 最大クラスの地震 津波に対して被害を減ずるため これらの報告で示された地震 津波対策を速やかに具体化し 推進する必要がある 主な津波対策を以下に示す (1) 強い揺れや弱くても長い揺れ

<4D F736F F D D325F91E693F18E9F95F18D E7B90DD939982CC94ED8A51817C92E897CA934982C894ED8A5197CA816A D E646F6378>

<4D F736F F F696E74202D AD482C682E882DC82C682DF90E096BE8E9197BF C C C816A2E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

Microsoft Word - 茨城県 概要版-35-3.docx

H19年度

家族みんなの防災ハンドブック 保存版

第1章 災害予防計画

山県市地域防災計画【 改訂版】

Microsoft Word - 茨城県 概要版-35-3.docx

<4D F736F F D2091E E8FDB C588ECE926E816A2E646F63>

5

地区概況 7-6 ( 旧 ) 平三小学校 大字 平蔵 米原 小草畑 概要市の南東部に位置し 長南町 大多喜町に接している 丘陵地と平蔵川沿いの低地からなり 丘陵地にはゴルフ場が複数立地し 低地では 民家や農地が分布する 地区を南北に国道 297 号が通り 国道 297 号沿いには小規模な造成宅地があ

基本

ハザードマップポータルサイト広報用資料

報告書_表紙.indd

( 各被害想定結果の数値に関する留意点 ) 今回の被害想定は マクロの被害を把握する目的で実施しており 都県別の数値はある程度幅をもって見る必要がある また 四捨五入の関係で合計が合わない場合がある なお - の表記は わずか を意味する

<4D F736F F D CF68A4A312D33817A8AEE967B94ED8A518E518D6C CEB8B4C8F4390B3816A2E646F63>

<4D F736F F D E9197BF31817A975C91AA907D C4816A82C982C282A282C491CE8FDB926E906B82CC90E096BE2E646F63>

Ⅳ-2 神奈川県の被害想定 図表 神奈川県の表層地盤のゆれやすさマップ 表層地盤のゆれやすさ全国マップ について平 成 17 年 10 月 19 日内閣府政策統括官 ( 防災担当 ) 地震による地表でのゆれの強さは 主に 地震の規模 ( マグニチュード ) 震源からの距離 表層地盤 の3

1. 想定地震 津波日本海沿岸の津波浸水想定を設定する上で, 最大クラスの津波を発生させると想定した以下の3 断層モデルを対象とする 想定断層 1: 見島付近西部断層 想定断層 2: 見島北方沖西部断層 想定断層 3: 2. 発災季節と発災時刻想定するシーンは, 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキング

<8BA68B6389EF8E9197BF2E786477>

Microsoft PowerPoint - 【確定】資料3-1_110527(避難者外し).pptx

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF A957A8E9197BF816A205B8CDD8AB B83685D>

津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

災害時の住宅応急対策

重ねるハザードマップ 大雨が降ったときに危険な場所を知る 浸水のおそれがある場所 土砂災害の危険がある場所 通行止めになるおそれがある道路 が 1 つの地図上で 分かります 土石流による道路寸断のイメージ 事前通行規制区間のイメージ 道路冠水想定箇所のイメージ 浸水のイメージ 洪水時に浸水のおそれが


第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

1 はじめに今回の被害想定は平成 23 年 (2011) 東北地方太平洋沖地震 津波による大災害の発生を踏まえ 青森県に将来大きな被害を与えると想定される最大規模の地震と津波を対象としています 最新の知見をもとに想定した最大規模の地震ですが この通りのものが起こるとは限りません 特に 内陸直下型地震

Microsoft Word - 概要版報告書170127(H29.2.2・10時コメント入り)170201奥付つき docx

3. 水供給システム ( 図 7~ 図 8) 3.1 根拠データ 断水戸数: 厚生労働省 平成 年 (2 年 ) 東北地方太平洋沖地震の被害状況及び対応について の中に記載された ( 別紙 ) 水道における被害情報 の市町村別集計データおよび都県別集計データ 2/3/ :3( 報番号不明 水道産業新

関東周辺のプレート境界と南関東地域で発生する地震のタイプ 関東周辺のプレート境界 南関東地域で発生する地震のタイプ 2 フィリピン 3 海プレート 北米プレート 4 太 太 平 平 洋 ート 6 6 レプーレトプ洋 1 地殻内の浅い地震 2 フィリピン海プレートと北米プレートの境界の地震

id5-通信局.indd

Taro 地震通達.jtd

基本方針

Microsoft PowerPoint - 平成23年度ANET取組2

北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

(3) 土砂災害土砂災害の想定は 急傾斜地崩壊危険箇所 地すべり危険箇所 山腹崩壊危険地区のうち 保全人家 ( 公共施設を含む ) を有し かつ 対策工事の実施されていない箇所などを対象に 各危険箇所などの耐震ランクと震度から危険度ランク (A B C) を判定した ここでいう危険度は 相対的なラン

地区概況 5-1 湿津小学校 大字 久々津 潤井戸 うるいど南 1 丁目 ~7 丁目 下野 喜多 犬成 大作 滝口 勝間 葉木 小田部 荻作 神崎 概要地区北部は村田川沿いの低地 その他の地域は台地からなる 地区の東側を支川村田川が 西側を神崎川が南北に流れる これらの河川に沿って地区の中央部を主要

Microsoft Word - 茨城県 概要版-35-3.docx

PowerPoint プレゼンテーション

2. 首都直下地震等の被害想定 わが地区の災害時の危険性を 鳥の目 で把握するために 最新の被害想定等のデータや地図を学習し 災害時の被害をイメージしましょう (1) 東京都の被害想定 東京湾北部地震による東京都の被害想定 ( 平成 24 年 4 月 18 日 東京都公表 ) 首都直下地震 東京湾北

Microsoft Word - 第Ⅰ編.doc

三郷市地震ハザードマップ

<GK クルマの保険 ( 車両保険 )> ( 自動車によるあて逃げに限ります ) お客さまのおクルマは 車両保険 に加入していますか? 自動車保険の車両保険では 一般車両 もしくは 10 補償限定 のいずれでも 台風や集中豪雨による洪水の事故が対象となります 地震 噴火またはこれらによる津波 によっ

地震動推計の考え方 最新の科学的知見や過去の被害地震を踏まえ 5 つの想定地震を設定し 検証 首都圏に甚大な被害が想定される東京湾北部地震について 震源深さが従来の想定より浅いという最新の知見を反映した再検証の実施 1703 年に発生した巨大地震 ( 元禄型関東地震 ) を想定し 本県への影響を新た

東北地方太平洋沖地震への 気象庁の対応について ( 報告 ) 気象業務の評価に関する懇談会 平成 23 年 5 月 31 日 気象庁 1

南海トラフの巨大地震 建物被害・人的被害の被害想定項目及び手法の概要(案)

平成23年東北地方太平洋沖地震の概要について

<4D F736F F D A81798AEB8B408AC7979D8AAF2088D38CA994BD89668CE3817A817995CA8E86817A8C8B89CA82CC837C E646F63>

Microsoft PowerPoint HirataP


Hazard_ pptx

1 想定地震の概要南海トラフで発生する地震は 多様な地震発生のパターンが考えられることから 次の地震の震源域の広がりを正確に予測することは 現時点の科学的知見では困難です そのため 本市では 南海トラフで発生する地震として 次の2つの地震を想定して被害予測調査を行いました (1) 過去の地震を考慮し

PowerPoint プレゼンテーション

熊本市耐震改修促進計画 骨子(案)

1. はじめに 1) 地震被害想定の目的 滋賀県では 平成 年に 当時高い発生確率が示された琵琶湖西岸断層帯等による地震について被害想定を行い 地震防災対策の基礎資料としてきた 東日本大震災の教訓や社会構造の変化を踏まえて 災害対策基本法 が大幅に改正されたところであり また 今世紀前半

Microsoft Word - 15_第5_各種被害等の予測 doc


<4D F736F F D20967B95B681698DC58F498D D8E968C888DD A2E646F63>


H19年度

地震の概要 検知時刻 : 1 月 3 日 18 時分 10 発生時刻 : 1 月 3 日 18 時 10 分 マグニチュード: 5.1( 暫定値 ; 速報値 5.0から更新 ) 場所および深さ: 熊本県熊本地方 深さ10km( 暫定値 ) 発震機構 : 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型 ( 速報

目次 1 降雨時に土砂災害の危険性を知りたい 土砂災害危険度メッシュ図を見る 5 スネークライン図を見る 6 土砂災害危険度判定図を見る 7 雨量解析値を見る 8 土砂災害警戒情報の発表状況を見る 9 2 土砂災害のおそれが高い地域 ( 土砂災害危険箇所 ) を調べたい 土砂災害危険箇所情報を見る

Microsoft Word - RM最前線 docx

<30325F8A C55F91E D22E786477>

Microsoft PowerPoint _FPCJ_hirata?v3.pptx

<4D F736F F D2091E682528CB48D6581A A1917A92E882B782E9926E906B814592C A E646F63>

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

<4D F736F F D B4C8ED294AD955C8E9197BF E894A8AFA8B7982D191E495978AFA82C982A882AF82E996688DD091D490A882CC8BAD89BB82C982C282A282C4816A48502E646F63>

1 首都直下地震の概要想定震度分布 (23 区を中心として震度 6 強の想定 ) 首都直下地震 想定震度分布 出典 : 中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ 首都直下地震の被害想定と対策について ( 最終報告 ) ( 平成 25 年 12 月 ) 2

促進計画(案)最終  :促進計画/実施計画/3.5

01.eps

<4D F736F F F696E74202D E9197BF C A8B9091E5926E906B82D682CC91CE899E82CC95FB8CFC90AB2E B8CDD8AB B83685D>

<4D F736F F D F977091A390698C7689E E88F4390B3816A2E646F63>


地震災害、正しい知識と備え

<4D F736F F F696E74202D208E518D6C8E9197BF325F94F093EF8AA98D CC94AD97DF82CC94BB92668AEE8F8082C98AD682B782E992B28DB88C8B89CA2E B8CDD8AB B83685D>


利用規程

Microsoft Word - 耐震改修促進計画【概要版】(第2期計画)(H28.3)施行

<302D C8E8696DA8E9F202E786477>

Transcription:

1 調査の目的本県では 平成 4 年度から9 年度にかけて 茨城県南西部を震源とする地震及び塩屋崎沖を震源とする地震に関し 県内全市町村の被害想定調査 ( 以下 前回調査 という ) を実施した その後 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震によって本県も含め 各地で想定を大きく超える甚大な被害が発生した このときの教訓を踏まえて 同年 6 月に中央防災会議 東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震 津波対策に関する専門調査会 では 今後の地震 津波の想定にあたり あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震 津波を検討していくべきであること 一度想定した地震 津波についても 最新の科学的知見を取り入れて適宜見直すこと そして地域ごとに地震 津波の想定を早急に検討すべきであることを提言として示した そして 近年 内閣府でも南海トラフの巨大地震や首都直下地震を対象として 最大クラスの巨大地震モデルの検討や これらの巨大地震が発生した際の被害について検討が重ねられてきた また 前回調査から約 20 年が経過し 本県の人口分布や建物分布状況 インフラの整備状況が変わってきている 特に つくばエクスプレス沿線では変化が著しい こうした状況を背景に 本県において 今後 より実態に即した効果的な地震対策を実施していくため 最新の人口分布や建物分布状況 インフラの整備状況などを反映した 本県における首都直下地震等のきめ細かな被害想定について 国の被害想定と整合を図りながら実施するとともに 東日本大震災後に本県において検討した津波浸水想定に基づく被害を想定することにより 本県の地震被害想定を見直すものである 2 調査の期間 平成 28 年 9 月 ~ 平成 30 年 12 月 2

3 茨城県減災対策検討会議 茨城県の地震防災対策の基礎資料とするため 本県に大規模な被害をもたらすおそれのある 地震が発生した場合の人的 物的被害等を想定するとともに 当該被害想定に基づき 茨城県 が実施すべき防災 減災対策について検討するために 茨城県減災対策検討会議を設置し 検 討会議からの指導 助言をいただきながら検討を進めた 表 3-1 に検討会議名簿を示す 表 3-1 茨城県減災対策検討会議名簿 氏 名 所 属 糸井川 栄一 筑波大学 システム情報系 教授 浦野 愛 NPO 法人レスキューストックヤード 常務理事 小林 薫 茨城大学 工学部 教授 境 有紀 筑波大学 システム情報系 教授 阪本 真由美 兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 准教授 庄司 学 筑波大学 システム情報系 准教授 林 春男 防災科学技術研究所 理事長 藤原 広行 防災科学技術研究所 社会防災システム研究部門 部門長 安田 貢 水戸医療センター 救命救急センター センター長 矢野 裕児 流通経済大学 流通情報学部 教授 ( 五十音順 : 議長 : 副議長 ) 4 基本的な考え方本調査の流れを図 4-1 に示した 本調査の基本的な考え方は以下に述べる 科学的知見に基づき 茨城県に影響を与える可能性のある地震を設定するとともに 客観的なデータや科学的根拠に基づいた最新の被害予測手法を用いて被害予測を実施した ( 表 4-1 に前回調査との違いを記載した 予測手法の詳細は第 Ⅲ 編に記載した ) 茨城県内の地盤について ボーリングデータ 地質 地形だけでなく 微動探査や地震観測記録等との整合もとれた地盤のモデル化を行ったものを採用した データの更新性を考慮し 公開されているデータを中心にデータを作成した 県民の自助力 共助力の向上を目的に わかりやすく活用しやすい啓発資料も合わせて作成した 3

前提条件 想定地震 : 茨城県に大きな被害をもたらす恐れのある7 地震 想定ケース : 季節 時間帯 3ケース 想定単位 :250m メッシュ 路線 地点 市町村 ( 調査項目による ) 自然条件の調査 震源断層 3 次元地盤構造 土砂災害警戒区域等自然災害の予測 地震動 液状化 急傾斜崩壊危険度 津波浸水域 社会条件の調査 建物人口消防力ライフライン施設 ( 電力 都市ガス LP ガス 上水道 下水道 通信 ) 交通輸送施設 ( 緊急輸送道路 鉄道 港湾 ) その他の施設 被害予測 建物被害 火災被害 人的被害 ライフライン被害 交通被害 避難者 災害廃棄物 経済被害 その他の被害 被害シナリオの作成 減災効果の想定 図 4-1 調査の流れ 4

想定地震 自然災害の 予測項目 主な被害予 測項目 表 4-1 前回調査との比較 前回調査 ( 平成 8,9 年度 ) 本調査 ( 平成 28,29 年度 ) 1 南関東直下の地震 (M7.0) ( モデル B: 茨城県南西部西側 ) 2 南関東直下の地震 (M7.0) ( モデル C: 茨城県南西部東側 ) 3 塩屋崎沖地震 (M7.8) 地震動 液状化 急傾斜地崩壊危険度 津波浸水域 建物被害 火災被害 人的被害 ライフライン被害 ( 電力 上水道 下水道 ガス 通 信 ) 生活支障 交通被害 ( 道路 鉄道 ) 避難者 1 茨城県南部の地震 (Mw7.3) 2 茨城 埼玉県境の地震 (Mw7.3) 3 F1 断層 北方陸域の断層 塩ノ平地 震断層の連動による地震 (Mw7.1) 4 棚倉破砕帯東縁断層 同西縁断層の連 動による地震 (Mw7.0) 5 太平洋プレート内の地震 ( 北部 ) (Mw7.5) 6 太平洋プレート内の地震 ( 南部 ) (Mw7.5) 7 茨城県沖から房総半島沖にかけての 地震 (Mw8.4) 地震動 液状化 急傾斜地崩壊危険度 津波浸水域 ( 過年度の解析結果を活用 ) 建物被害 ( 津波による被害含む ) 火災被害 人的被害 ( 津波による被害含む ) ライフライン被害 ( 電力 上水道 下水道 ガス 通信 ) 生活支障 交通被害 ( 道路 鉄道 港湾 漁港 ) 避難者 災害廃棄物 経済被害 減災効果の評価 注 1: M は マグニチュード注 2: Mw は モーメントマグニチュード注 3: 本調査における想定地震の概要は 表 Ⅰ.2.3-1(Ⅰ-30 ページ ) 参照 5

5 利用上の留意点本調査は 本県の効果的な地震対策を検討するために実施するもので 地震被害の全体像を把握するための目安として利用するものである なお 調査結果の活用に当たっては 次の点に留意する必要がある (1) 想定地震想定地震の震源位置や規模 強震動生成域 破壊開始点についてはあくまでも想定であって 必ずしも想定通りの地震が発生するとは限らない また 今回想定した地震以外にも 甚大な被害となる地震が県内又はその周辺で発生する可能性があるという認識をもつことが必要である (2) 地震動の予測結果地震動の予測は 最新の知見を元に詳細な方法で算出しているが (1) 想定地震でも述べたように 想定地震や地盤モデルの設定 さらに 計算に際してのパラメータの設定によっては 地震動結果は変わってくる 特に 地盤のモデル化は 250mメッシュ ( 以下 メッシュ という ) 内にボーリングデータがある場合はそのデータをもとに1つのモデルで代表させ ボーリングデータがないメッシュでは近くのデータをもとにモデル化を行っている メッシュの中は 地形や地質が均一ではないことから 今回震度 6 弱と予測したメッシュであっても 実際に地震が発生した場合には震度 5 弱や震度 7となる可能性がある (3) 液状化の可能性評価について前述したように メッシュの地盤モデルは1 種類とした上で 液状化の可能性の評価を行っており メッシュ内の地形 地質の変化は考慮していない 今回の評価では液状化の可能性がなしまたは評価対象外であっても 川や池 沼などを埋め立てたり 軟弱地盤に砂質土を用いて盛土を行ったりした場所がある場合 液状化が発生する可能性がある 潮来市や神栖市などの一部地域では 東北地方太平洋沖地震以降に液状化対策を実施した箇所があり これらのメッシュは液状化評価対象から外した また その他の地域で液状化対策を行っている場合は液状化発生の可能性は低くなる (4) 被害想定の基礎データ構造物データについては 入手可能な最新情報を収集して メッシュのデータを設定した なお 一部のメッシュデータの作成に当たっては 例えば市町村での合計数量を建物や道路の分布 人口分布などの割合でメッシュデータを作成している場合がある このようなデータをもとに被害想定を行っている (5) 被害想定手法日本国内で発生した被害地震の被災事例から導かれた経験式などを用いて被害数量等を算出しているが 今後の調査や研究成果によって想定手法の修正や新たな想定手法が出てくる場合がある 6

(6) 被害想定結果以上のように 被害想定は 地震動などの自然災害予測結果の幅 構造物データの幅 予測手法の幅など さまざまな幅を含んだ結果である また 別の条件が加わる場合もある 今回の被害想定結果は1つの結果であって それ以上になる場合やそれ以下になる場合もあることを念頭に予測結果を見る必要がある 被害箇所数や死傷者数などの結果の数量は 計算上 0 ではないことを示すため わずかであるものについては * と表記している また 数量は計算結果そのままの実数ではなく 切り上げた概数を記載しているため 例えば 市町村ごとの数量の合計値と全県の数量は見た目上合わないことがある また 本報告書においては 被害が過小評価されないよう 数量について上から2 桁 3 桁の概数などとすることを原則として処理したため 例えば 10,521 件という計算結果が 11,000 件と表示されるなど 数字に大きな開きが生じているものもある このため 計算結果そのままの実数については 別冊資料に掲載した 表 5-1 本報告書本編における端数処理 区分 処理方法 ( 処理結果 ) 備考 0 の場合 0 1 未満の場合 わずか と表記 1 超 10 以下の場合 1 の位で切り上げ ( 例 :1.1 10,1.01 10,9.9 10) 1 の位で切り上げ 10 超 100 以下の場 1 の位が 0の場合は ( 例 :12 20,38 40,20.4 20,50.08 50, 合切り上げない 99.1 100) 1 の位で切り上げ 100 超 1,000 以下 1 の位が 0の場合は ( 例 :123 130,300.4 300,403.4 410, の場合切り上げない 990.9 990) 10 の位で切り上げ 1,000 超 10,000 以 10 の位が 0 の場合 ( 例 :1,010 1,100,2,009.99 2,000, 下の場合は切り上げない 3,805.1 3,800,9,910 10,000) 100 の位で切り上げ 10,000 超 100,000 100 の位が 0 の場 ( 例 :10,099 10,000,20,100 21,000, 以下の場合合は切り上げない 99,001 99,000) 100,000 超の場合 100 の位で切り上げ 100 の位が 0 の場 ( 例 :164,100 165,000,291,099 291,000) 合は切り上げない (7) 想定外の災害被害は 条件が少しでも変わると被害の出方や被害数量が変化する 本調査で想定していた事象が必ずしも発生するとは限らない 例えば 斜面災害においては降雨の状況は考慮しておらず 大雨が降った後に地震が発生した場合や地震が発生した後で雨が降った場合では 被害の様相は異なってくる 7

6 想定するシーン被害想定は想定される被害が異なる3 種類のシーン ( 季節 時刻 ) を設定して行った 風速は 各市町村の最寄の観測所における平均風速と最大風速を設定した 以下に 想定するシーン及び被害想定試算項目別の想定シーンを示す 季節 時刻冬 深夜夏 昼 12 時冬 夕 18 時 表 6-1 想定するシーン想定される被害の特徴 多くの人が自宅で就寝中に被災するため 家屋倒壊による死者が発生する危険性が高い オフィスや繁華街の滞留者や 鉄道 道路利用者が少ない オフィス 繁華街等に多数の滞留者が集中しており 自宅外で被災する場合が多い 木造建物内滞留人口は 1 日の中で少ない時間帯であり 老朽木造住宅の倒壊による死者数は 冬 深夜 と比較して少ない 住宅 飲食店などで火気使用が最も多い時間帯で 出火件数が最も多くなる オフィスや繁華街周辺のほか ターミナル駅にも滞留者が多数存在する 鉄道 道路もほぼ帰宅ラッシュ時に近い状況でもあり 交通被害による人的被害や交通機能支障による影響が大きい 表 6-2 被害想定試算項目別の想定シーン 項目想定シーン評価の考え方 建物被害 揺れによる被害 季節時刻によって変化しない 液状化による被害 季節時刻によって変化しない 土砂災害による被害 季節時刻によって変化しない 火災被害 出火による被害季節時刻別季節時刻による出火の違いを考慮 延焼による被害季節ごとの風速 風向季節による風速 風向の違いを考慮 建物倒壊による被害季節時刻別時刻による滞留人口の違いを考慮 土砂災害による被害季節時刻別時刻による滞留人口の違いを考慮 人的被害 火災による被害季節時刻別時刻による滞留人口の違いを考慮 ブロック塀等 ( ブロック塀 自動販売機等の転倒 屋外落下物 ) による被害 屋内収容物移動 転倒 屋内落下物による被害 ( 建物倒壊による被害の内数 ) 季節時刻別 季節時刻別 時刻による滞留人口の違いを考慮 時刻による滞留人口の違いを考慮 8

7 主な被害想定結果総括表 想定地震別の主な被害想定結果を表 7-1 に示す 大項目 建物被害 ( 全壊 ) 人的被害 ( 死者数 ) 人的被害 ( 負傷者数 ) 小項目 条件 定義 表 7-1 (1) 単位 茨城県南部 主な被害想定結果総括表 茨城 埼玉県境 F1 断層 対象地震 棚倉破砕帯 太平洋プレート ( 北部 ) 太平洋プレート ( 南部 ) 茨城県沖 ~ 房総半島沖 液状化による被害 棟 680 490 80 80 630 750 760 揺れによる被害 棟 2,400 1,800 9,700 790 610 800 1,100 土砂災害による被害 棟 20 10 30 40 10 20 10 津波による被害 棟 7,400 地震火災による被害 冬深夜 棟 490 1,200 1,600 110 540 240 250 夏 12 時 棟 240 220 720 110 240 240 240 冬 18 時 棟 5,300 1,700 3,500 140 1,100 550 1,400 建物全壊 焼失棟数 計冬深夜 棟 3,600 3,400 12,000 1,000 1,800 1,800 9,500 夏 12 時 棟 3,400 2,400 11,000 1,000 1,500 1,800 9,500 冬 18 時 棟 8,400 3,900 14,000 1,100 2,300 2,100 11,000 建物倒壊による被害 冬深夜 人 170 130 650 70 70 80 80 夏 12 時 人 90 70 320 30 30 40 40 冬 18 時 人 130 100 500 50 50 50 60 うち屋内収容物等 冬深夜 人 40 40 40 20 40 40 30 夏 12 時 人 20 20 20 10 20 20 10 冬 18 時 人 30 20 30 10 20 20 20 土砂災害による被害 冬深夜 人 10 * 10 10 * 10 * 夏 12 時 人 * * 10 10 * * * 冬 18 時 人 * * 10 10 * * * 津波による被害 冬深夜 人 20 夏 12 時 人 10 冬 18 時 人 20 火災による被害 冬深夜 人 10 10 80 * * * * 夏 12 時 人 * * 10 * * * * 冬 18 時 人 10 10 130 * 10 10 10 ブロック塀 自動販売機の転倒 屋外落下物による被害 冬深夜 人 * * * * * * * 夏 12 時 人 * * * * * * * 冬 18 時 人 10 10 10 * 10 10 10 死者数 計 冬深夜 人 180 140 730 70 70 80 100 夏 12 時 人 90 70 330 30 30 40 50 冬 18 時 人 140 100 630 50 50 60 80 建物倒壊による被害 冬深夜 人 4,400 3,400 4,400 1,300 2,400 2,300 2,300 夏 12 時 人 2,700 2,200 3,200 860 1,600 1,600 1,500 冬 18 時 人 3,100 2,500 3,400 910 1,700 1,700 1,700 うち屋内収容物等 冬深夜 人 1,400 1,200 920 500 1,300 1,200 1,100 夏 12 時 人 1,000 930 660 400 970 880 780 冬 18 時 人 970 890 660 380 930 840 750 土砂災害による被害 冬深夜 人 10 * 10 10 10 10 10 夏 12 時 人 * * 10 10 * * * 冬 18 時 人 10 * 10 10 * * * 津波による被害 冬深夜 人 10 夏 12 時 人 10 冬 18 時 人 10 火災による被害 冬深夜 人 30 60 110 10 40 20 20 夏 12 時 人 20 10 50 10 20 20 20 冬 18 時 人 270 80 220 10 60 40 80 ブロック塀 自動販売機の転倒 屋外落下物による被害 冬深夜 人 * * * * * * * 夏 12 時 人 20 10 10 10 20 20 10 冬 18 時 人 80 50 50 20 70 70 50 負傷者数 計 冬深夜 人 4,400 3,500 4,500 1,300 2,400 2,400 2,300 夏 12 時 人 2,700 2,200 3,300 870 1,600 1,600 1,500 冬 18 時 人 3,500 2,600 3,700 940 1,900 1,800 1,800 9

大項目 人的被害 ( 負傷者のうち重傷者数 ) 生活支障等 ライフライン被害 交通施設被害 小項目 条件 定義 表 7-1 (2) 単位 茨城県南部 主な被害想定結果総括表 茨城 埼玉県境 F1 断層 地震名 棚倉破砕帯 太平洋プレート ( 北部 ) 太平洋プレート ( 南部 ) 茨城県沖 ~ 房総半島沖 建物倒壊による被害 冬深夜 人 310 290 810 140 240 240 210 夏 12 時 人 240 230 510 110 190 180 160 冬 18 時 人 230 230 580 110 180 180 160 うち屋内収容物等 冬深夜 人 250 230 190 100 240 210 190 夏 12 時 人 190 180 130 80 180 160 140 冬 18 時 人 180 170 130 70 170 160 140 土砂災害による被害 冬深夜 人 * * 10 10 * * * 夏 12 時 人 * * * * * * * 冬 18 時 人 * * 10 10 * * * 津波による被害 冬深夜 人 10 夏 12 時 人 10 冬 18 時 人 10 火災による被害 冬深夜 人 10 20 30 10 10 10 10 夏 12 時 人 10 10 20 10 10 10 10 冬 18 時 人 80 20 70 10 20 10 20 ブロック塀 自動販売機の転倒 屋外落下物による被害 冬深夜 人 * * * * * * * 夏 12 時 人 10 10 10 10 10 10 10 冬 18 時 人 30 20 20 10 30 30 20 重傷者数 計 冬深夜 人 320 310 840 150 250 240 220 夏 12 時 人 250 240 520 120 190 190 170 冬 18 時 人 340 270 660 120 220 210 200 避難者 避難所 人 79,000 69,000 53,000 39,000 72,000 72,000 102,000 避難所外 冬深夜 人 53,000 46,000 35,000 26,000 48,000 48,000 64,000 避難者 計 人 132,000 114,000 88,000 65,000 119,000 120,000 165,000 避難者 避難所 人 79,000 68,000 52,000 39,000 71,000 72,000 102,000 避難所外 夏 12 時 人 53,000 45,000 35,000 26,000 48,000 48,000 64,000 避難者 計 人 132,000 113,000 86,000 65,000 119,000 120,000 165,000 避難者 避難所 人 85,000 69,000 55,000 39,000 72,000 72,000 103,000 避難所外 冬 18 時 人 57,000 46,000 37,000 26,000 48,000 48,000 64,000 避難者 計 人 142,000 115,000 91,000 66,000 120,000 120,000 167,000 災害廃棄物 トン 1,495,890 902,910 1,890,500 256,650 605,180 643,410 1,699,730 津波堆積物 トン 1,239,590 電力 停電軒数 軒 1,523,000 1,333,000 790,000 831,000 1,460,000 1,467,000 1,551,000 ( 停電率 ) (%) (84%) (74%) (44%) (46%) (81%) (81%) (86%) 上水道 断水人口 人 2,356,000 2,062,000 1,190,000 1,253,000 2,240,000 2,250,000 2,380,000 ( 断水率 ) (%) (86%) (76%) (44%) (46%) (82%) (82%) (87%) 下水道 機能支障人口 人 1,535,000 1,343,000 787,000 826,000 1,460,000 1,475,000 1,570,000 ( 機能支障率 ) (%) (85%) (75%) (44%) (46%) (81%) (82%) (87%) 都市ガス 供給停止戸数 戸 133,000 57,000 17,000 0 89,000 150,000 0 ( 供給停止率 ) (%) (64%) (27%) (8%) (0%) (42%) (71%) (0%) 通信 ( 固定電話 ) 不通回線数 回線 401,000 349,000 222,000 232,000 390,000 387,000 410,000 ( 不通回線率 ) (%) (83%) (72%) (46%) (48%) (81%) (80%) (85%) 緊急輸送道路 被害箇所数 ( 揺れ ) 箇所 27 19 11 9 23 22 24 ( 平面道路 ) 被害箇所数 ( 津波 ) 箇所 10 鉄道 ( 在来線等 ) 被害箇所数 ( 揺れ ) 箇所 465 342 196 173 457 380 461 被害箇所数 ( 津波 ) 箇所 28 * はわずかという意味である 計 と記載がある項目について 表中の数量は集計結果を切り上げているため 合計が合わない場合がある 避難者数は 最大避難者数になると想定している被災当日の人数を掲載している 災害廃棄物については 建物被害が最大となる冬 18 時の結果を掲載している 停電率とは 電灯軒数に対する停電軒数の割合を指す 断水率とは 給水人口に対する断水人口の割合を指す 機能支障率とは 下水道の処理人口に対する機能支障人口の割合を指す 供給停止率とは 都市ガスの需要家数に対する供給停止戸数の割合を指す 不通回線率とは 固定電話の回線数に対する不通回線数の割合を指す ライフライン被害 ( 電力 上水道 下水道 都市ガス 通信 ( 固定電話 )) について 被災直後の被害状況を示している 10