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技術報告 Development of CVD/ALD Combined System 博士 ( 工学 ) 寅丸雅光 Dr. Masamitsu Toramaru 石田祐大 Yuta Ishida 松本竜弥 Tatsuya Matsumoto 中田真生 Masao Nakata 田中博也 Hiroya Tanaka 要 旨 フラットパネルディスプレイ (Flat Panel Display : FPD) 分野において 近年 有機 EL(Organic Light Emitting Diode : OLED) ディスプレイの研究開発が FPD メーカ各社で盛んに行なわれている しかしながら 一般的に OLED は発光材料が酸素や湿気に弱いとされており 水分等の侵入により特性が劣化してしまうことが大きな課題となっている 特に現状の技術では封止膜の性能が不十分であり F PD メーカ各社は共通してその開発に苦慮している F PD のフレキシブル化に伴い 従来のガラス封止に代わる封止膜として 無機膜と有機膜を積層する構造が検討されてきた しかし この構造は実用的な封止性能を得るためには何層にも積層せねばならず 厚膜になるとともに生産性が悪化するという問題があった 薄くて緻密な膜を成膜する手法として 近年では 原子層堆積法 (Atomic Layer Deposition : ALD) が注目を集めている 当社では開発中の CVD(Chemical Vapor Deposition : CVD) 装置に新規に ALD 装置を加えた複合装置の開発を行っており CVD 装置による SiNx 膜と ALD 装置による Al 2 O 3 膜を積層させることで 従来より薄く 且つ実用的な封止性能を得ることに成功した 本報告では CVD/ALD 複合装置による封止膜の性能について述べる Synopsis Recently, the research and development for the display using OLED (Organic Light Emitting Diode)has been actively carried out by the FPD (flat panel display)manufacturing companies. However, OLED is generally known that luminescence materials are weak in oxygen and humidity, and the degradation of luminescence property by the invasion of them is a big problem. Current technology for encapsulation performance is not enough for OLED, and the FPD companies have been facing difficulties for the development of encapsulation films. For the development of flexible display, multilayer structure of inorganic and organic film has been examined as an encapsulation layer instead of the conventional glass encapsulation. But this multi-structure needs many-layers for workable performance, and it causes problems of too thick film and too low productivity. Recently, ALD (atomic layer deposition)as a method for thinner and higher density film has been attracting attention for encapsulation. By combining the CVD (Chemical Vapor Deposition)system and the ALD system, the CVD/ALD multi-layer films archived thinner thickness than that of the conventional structure film, and the practical performance. In this report, the performance of encapsulation film with CVD/ALD combined system are described. 横浜研究所 Yokohama Research Laboratory (75)

1. 緒言フラットパネルディスプレイ (Flat Panel Display : FPD) 分野において 近年 酸化物半導体 (Indium Gallium Zinc Oxide : IGZO) を薄膜トランジスタ (Thin Film Transistor : TFT) のチャネル材料に用いた IGZO-TFT 技術や OLED ディスプレイの研究開発が FPD メーカ各社で盛んに行なわれており その市場は今後も拡大していくと予想されている (1) しかしながら OLED ディスプレイにおいては 有機発光層の水分侵入による性能劣化を防ぐために 使用環境において 水蒸気透過率 (Water Vapor Transmission Rate:WVTR )10-5 から 10-6 g/m 2 /day オーダーの非常に高いバリア性を持った封止膜が必要と言われているが 現状技術では封止膜の性能が不十分であり その開発に苦慮している 封止膜に用いられる膜として プラズマ CVD で形成される窒化シリコン (Silicon Nitride : SiNx) 膜が挙げられる 当社では プラズマ源として誘導結合プラズマ (Inductively Coupled Plasma:ICP ) を用いた ICP-CVD 装置開発を行なっており これまで 太陽電池パッシベーション用途 SiNx 膜や TFT ゲート絶縁膜用途 SiNx 膜の研究開発を進めてきた (2) 一方 OLED 封止膜として原子層堆積 (Atomic Layer Deposition : ALD) 法による酸化アルミニウム (Aluminum Oxide : Al 2 O 3 ) 薄膜が近年注目を集めている A L D 法は プロセスの低温化 正確な膜厚制御性 高い膜厚均一性などの優れた特徴を有した薄膜堆積法であり FPD 分野において今後の適応が期待される有望な技術である (3) 当社では CVD による SiNx 膜と ALD による Al 2 O 3 膜を積層することで 水蒸気バリア性に優れた封止膜の成膜に成功した さらにバリア性を維持しつつ 従来の有機 / 無機の多層化膜よりも薄膜化することにも成功しており フレキシブル化を見込んだ折り曲げ性能の向上にも取り組んでいる 本報告では CVD/ALD 複合装置による多層膜を OLED 用の封止膜に適用すべく 成膜条件や膜構造の最適化を行い 封止特性の評価を行ったのでここに報告する 2. CVD/ALD 複合装置 2-1 複合装置の概要図 1 に開発中の CVD/ALD 複合装置を示す CVD/ ALD 複合装置は 中央に真空ロボットを備えた搬送室があり ロードロック室 1 CVD プロセス室 2 ALD プロセス室 1 予備加熱室 1が接続されている 基板サイズは G2 ガラスサイズ (370 470mm) が処理可能である すべてのチャンバーは真空に保たれており 大気に (76) 暴露することなく CVD ALD のプロセスを in situ で実施できる 図 1 CVD/ALD 装置全体像ロードロック室には G2 ガラスサイズ用のグローブボックスが接続されている これにより 顧客から送られてくる OLED 基板を大気に曝すことなく 通い箱からロードロックへ搬入することができ 成膜後の基板も通い箱に戻すことができる ALD のプロセス室は搬送室と反対側にマスクモジュールを備えており 顧客が希望するマスクを載せて成膜可能である 2-2 ICP-CVD 装置表 1 に CVD 装置の仕様を示す 表 1 CVD 装置の仕様当社のプラズマ CVD 装置は 高密度 低ダメージを特徴とする ICP プラズマにより原料ガスをプラズマ化させ 膜を堆積させている CVD 装置成膜室内に設置された ICP プラズマ源 4 本に高周波電源 2 系統から それぞれプラズマ源 2 本ずつに給電し プラズマを生成させている プラズマ源は成膜室内に設置されているが 石英で覆われており プラズマには触れない ステージは可動式であり アンテナ - ステージ間距離を変えることで膜へのダメージを調整することも可能である 日本製鋼所技報 No.67(2016.11)

SiNx 膜の成膜にはモノシランガス (SiH 4 ) とアンモニアガス ( N H 3 ) を使用している ステージは 400 まで昇温可能であるが OLED 用プロセスとして PI-Film( 耐熱温度 300 ) PEN-Film( 耐熱温度 120 ) PET-Film ( 耐熱温度 8 0 ) などのフィルム基板上に成膜するため プロセス中の基板温度は 10 0 以下で行っている 当社 ICP-CVD 装置でのSiNx 膜の成膜速度は 60nm/min である 封止膜用では膜厚は 50nm 150nm 堆積させており 後述の ALD 膜と積層させて多層化している G2 ガラス基板 (370 470mm) 上での膜厚分布は ± 5.0% 屈折率分布は ± 0.3% となっている う報告が多数あり (5)(6)(7) 放電条件を変えることで膜応力の制御も可能である 100 以下の低温成膜が必要であるフレキシブルディスプレイ向けの成膜においては PEALD 法は 常に有効な手段であると言える 2-3 ALD 装置表 2 に ALD 装置の仕様を示す 当社の ALD 装置はプラズマアシスト型の ALD 装置 (PEALD) である 表 2 ALD 装置の仕様 図 2 ALD の成膜メカニズム 3. ALD+CVD 複合膜の特性 ALD 法は フィンランドの T. Suntola により発明されたもので 薄膜を原子層単位で形成する技術である (4) 図 2 に ALD 法の成膜メカニズムを示す 2 種類の反応物を原料として膜を成膜する場合には 1 形成しようとする薄膜の構成元素を含有する第一反応物を基板へ供給し 化学吸着させ 2 過剰な第一反応物及び副生成物を排気し 3 第二反応物を供給し 基板に吸着した第一反応物と反応させた後 4 過剰な第二反応物及び副生成物を排気する 以上の一連の動作を 1 サイクルとし サイクル数を制御することで所望の膜厚を得る Al 2 O 3 膜の成膜においては TMA(trimethylaluminum) が第一反応物 O 2 が第二反応物である 反応過程において 表面反応の自己停止機構が作用するため 膜厚均一性 膜厚制御性 段差被覆性に優れた膜を成膜することが可能である ALD プロセスは 反応の活性化手段の面から 熱 ALD 法と PEALD 法の二つに大別することができる 熱 ALD 法は 装置の簡略化 低コスト化などが可能であるが 使用する反応ガスによってはその反応活性に乏しく 成膜速度が遅いことや 緻密な膜ができにくいなどの問題がある PEALD 法は 熱 ALD 法と比較して 成膜速度 プロセスの低温化 膜の緻密化などを向上させるとい 3-1 ALD による優れた欠陥補修作用 OLED 上に成膜するために 成膜時の温度は 100 以下の低温にせざるを得ない 低温で成膜した SiNx 膜は細かな欠陥が発生してしまうため 当社 CVD 装置による SiNx 膜の単膜での水蒸気透過率は 10-3 10-4 g/m 2 /day オーダーである そこで SiNx 膜の上層に ALD 装置により Al 2 O 3 膜を成膜する ALD 法には 低温で緻密な膜を形成できること さらには 図 3 に示すような優れた段差被覆性によって欠陥を修復できるという利点がある 図 3 Al 2 O 3 段差被膜性 ( プラズマ A L D @ 8 0 ) (77)

この 2 つの成膜方法を組み合わせることで 低温で形成された SiNx 膜の欠陥を Al 2 O 3 膜にて修復することができ バリア性能に優れた有機 EL 封止膜が形成できると考えられる 図 4 に PEN 基板の上に CVD/ALD を積層した膜と それとは逆に ALD/CVD と積層した膜をそれぞれ封止膜としたサンプルを作製し OLED 発光試験を行った結果を示す サンプル保持の条件は 60-90%RH である ALD/CVD/PEN 構造のサンプルは 186h までダークスポットがほとんど観察されなかったのに対して CVD/ALD/ PEN 構造のサンプルの方はわずか 39h で多くのダークスポットが観察され 時間を追うごとに激しく劣化した これは前述したように ALD 膜が CVD 膜の欠陥を修復することで封止性を向上させていることを示す証拠である CVD 膜と ALD 膜がそれぞれ単独で封止性を発揮するならば どちらの場合でも同様の封止性能を示すと考えられるが 膜構造によって違いが られた つまりそれぞれ単独では 分な性能を発揮できないことを示している これは封止性能の点では CVD 膜と ALD 膜の順番が重要であると言える 図 4 ALD/CVD/PEN 構造 ( 上 ) と CVD/ALD/PEN 構造 ( 下 ) 図 5 に CVD による SiNx 膜と ALD によるAl 2 O 3 膜の 4 種類の膜構造を示す 条件 1と3は SiNx 単膜の条件であり 膜厚が 150nm と 1000nm である 条件 2 と4は Al 2 O 3 膜 (ALD) との複合膜となっており SiNx の膜厚は 150nm と 1000nm である ここで Al 2 O 3 の膜厚は 20nm で一定とし SiNx 膜 1000nm の条件においては 中間に Al 2 O 3 層を挟む膜構造となっている ALD 装置による Al 2 O 3 膜の成膜条件は次の通りである RF Power=800W 成膜圧力 =100Pa ステージ設定温度 =80 予備加熱 =2min サイクル数 : 120cycle (1cycle=3.8sec) 表 3 には 図 5 で示した 4 種類の膜構造の膜特性と WVTR 測定の測定結果を示す SiNx 膜が厚いものは 成膜時間が長くなっているため 成膜温度は高めになっている 図 5 SiNx 膜と Al 2 O 3 膜の膜構造表 3 測定用成膜条件の膜特性 WVTR 測定の結果は 条件 2 4のAl 2 O 3 膜 (ALD) との複合膜が SiNx 単膜よりも良く SiNx 膜の膜厚によらず 測定限界値である 1. 0 10-6 g/m 2 /day を下回った これは図 4 でも られたように ALD による Al 2 O 3 膜による SiNx 膜の欠陥補修効果によるものだと考えられる SiNx 単膜では 厚膜の方が良い結果が得られた この結果より ALD 装置との複合膜であるならば SiNx 膜の膜厚は 150nm 成膜温度 90 程度であっても 良好な WVTR 値を得ることが出来ると言える 一般的に単膜の封止性能は SiNx 膜のほうが Al 2 O 3 膜よりも高く むしろ Al 2 O 3 膜は水には弱い (8)(9)(10) つまり封止性能は SiNx 膜の膜質によるものが大きく ALD による Al 2 O 3 膜は CVD 膜の欠陥を補修することでクラック等からのリークを防いでいると考えられる これらの結果から当社の CVD/ALD による封止膜は 条件 4に示すような CVD/ALD/CVD の構造で 樹脂フィルム側から封止用 SiNx 膜 欠陥補修用 Al 2 O 3 膜 封止用 +Al 2 O 3 膜の保護用 SiNx 膜のサンドイッチ構造を標準構造としている 3-2 折り曲げ耐性と WVTR 値フレキシブルディスプレイ用途への適用を考えた場合 WVTR の性能だけでなく 折り曲げ耐性が重要となってくる 折り曲げ試験による複合膜の折り曲げ耐性の評価と折り曲げ試験後の WVTR 値の評価を行った PEN-Film 及び PI-Film 上に SiNx 膜 /Al 2 O 3 膜 / SiNx 膜を堆積し 複合膜を作製した 複合膜作製後 ユアサシステム機器製折り曲げ試験機 ( 型式 :DLDMLH- FU) により折り曲げ試験を実施した 図 6 に装置外観と概略図を示す 測定は国際規格 IEC 62715-6-1 に準拠した手法で行っている (78) 日本製鋼所技報 No.67(2016.11)

クラックは発生しなかった 成膜した膜厚 膜構造が同じにもかかわらず折り曲げ耐性が異なる結果が得られた これは樹脂フィルムの表面状態や形状 残留水分 厚みなどの影響が考えられる 今後樹脂フィルム基板の材質 厚み 前処理などの影響を調査する必要がある 図 7 折曲試験後の表面 SEM 像 (PEN-Film) 図 6 折り曲げ試験装置の外観と解略図 図 8 折曲試験後の表面 SEM 像 (PI-Film) 折り曲げ試験の評価は [ 試験 1 ] 曲げ半径による折り曲げ耐性 [ 試験 2 ] 折り曲げによる WVTR 値への影響の 2 種類を実施した SiNx 膜の膜厚は 表 3 に示す膜厚による成膜条件に基づき [ 試験 1 ] では膜厚 150nm に固定し 試験 2では 150nm 225nm 500nm の 3 水準とした Al 2 O 3 膜はすべて膜厚 20nm とした 折り曲げ試験条件は ステージ稼働速度 60rpm ステージ稼働距離 ± 40mm 曲げ回数 10000 回とした 屈曲半径 R は R=5mm 7mm 10mm として レーザー顕微鏡にて折り曲げ試験後の複合膜の表面観察を行い クラック発生の様子を観察した 折り曲げ試験後 レーザー顕微鏡を用いた表面状態の観察した結果を表 4 に示す 表 4 折り曲げ試験後の表面クラックの有無 表 5 には PEN-Film 上で折り曲げ試験 (R=20mm 10000 回 ) 実施前後の WVTR 測定の結果を 表 6 には PI-Film における折り曲げ試験前後の WVTR 測定の結果を示す どの条件においても折り曲げ試験前の方が封止性能はやや優れている結果である 折り曲げ試験によって WVTR 値が悪化した原因は 折り曲げの繰り返しによって膜にマイクロクラックが生じた結果だと考えられるが SEM 観察などではクラックは確認できていない 折り曲げ試験後の膜であっても 10-5 g/m 2 /day オーダーの封止性能が得られており 良好な結果が得られている 本評価の屈曲半径 R=20mm は客先要求値を反映した条件であるが 将来は一桁の曲げ半径が要求されることが予想される 基板 複合膜種 膜構成次第で WVTR 値及び曲げ耐性は変化することが本結果からもわかる より屈曲半径を厳しくした試験も順次実施しており 曲げ半径 10mm において WVTR 1E -5 g/m 2 /day を達成することが可能な複合膜の開発を進めている 表 5 折り曲げ試験による WVTR への影響 (PEN-Film) 図 7 に樹脂フィルム基板を PEN-Film(t=125μm) とした場合に屈曲半径を 10mm 5mm に変えた時の折り曲げ試験後の膜の表面のレーザー顕微鏡像 図 8 に P I - F i l m( t = 3 8 μ m ) とした場合の折り曲げ試験後の表面のレーザー顕微鏡像を示す 下地の樹脂フィルム基板が PEN-Film の場合 R=7mm まではクラックの発生はないが R=5mm ではクラックの発生を確認した PI-Film の場合は R=5mm においても 表 6 折り曲げ試験による WVTR への影響 (PI-Film) (79)

3-3 SiNx 膜の薄膜化折り曲げによって WVTR 値が低下する原因として膜へのクラックの発生が推察される 一般的に SiNx 膜は封止性能を上げる つまり膜密度を上げる方向に膜質を調整すると膜が固くなってしまう これは膜厚が厚ければ厚いほど膜の柔軟性が下がり 折り曲げた際に割れやすい膜になっていると言える この対策として 膜を薄膜化することにより クラックの発生を抑制することが出来ると考えられる これまでの開発により 低温成膜における SiNx 膜の膜質が向上してきたこともあり 現状の膜質での複合膜における SiNx 膜の膜厚の影響について Ca 法を用いた WVTR 測定による調査を行った 図 9 は ALD による Al 2 O 3 膜の膜厚を 20nm に固定して CVD による SiNx 膜の膜厚を 150nm, 100nm, 50nm に変えた時の膜構造を示している 図 9 複合膜の薄膜化膜構造表 7 には SiNx 膜 Al 2 O 3 膜の膜厚を変えた複合膜の WVTR 測定の結果を示す SiNx 膜の膜厚を 50nm まで薄くしても WVTR 値は Ca 法の測定下限値である 1.0 10-6 g/m 2 /day 以下の特性を得ることに成功した これは従来 SiNx 膜を 150nm 成膜していた時間を 1/3 に下げられることを意味しており 膜の柔軟性だけではなく スループットの改善にも貢献している 表 7 SiNx 膜と Al 2 O 3 膜の膜厚を変えた時の WVTR 値 Al 2 O 3 膜の膜厚を薄くすることで得られる時間短縮率の方がより効果が高い 封止膜の膜厚を薄くすることはフレキシブル化には重要であるが 膜厚を薄くすると パーティクルがあった場合の保護性能は落ちてしまう 膜質の改善とともに 装置のパーティクル対策も重要となる 4. 結言フレキシブル化も 据えた OLED 用の封止膜として CVD 装置による SiNx 膜と ALD 装置による Al 2 O 3 膜の複合膜について言及した SiNx 膜と Al 2 O 3 膜は それぞれ単膜では 分な封止性能を得られない CVD 膜の緻密性と ALD 膜の被覆性を生かして これらを多層化することで 8 0 程度の低温成膜であっても WVTR 値 10-6 g/m 2 /day 以下の封止性能を得ることに成功した CVD 膜とALD 膜の複合膜成膜においては CVD 膜の欠陥やクラックを ALD 膜がうまく補修してくれるように成膜することが重要であり 成膜の順序が封止特性に大きな影響を与えることが確認できた 複合膜ではこれまでの開発により封止膜厚 115nm 程度の薄膜化に成功している これは従来の数 μm 程度の有機層 / 無機層の多層膜と比べてもはるかに薄く 生産性や折り曲げ性において有利であると考えられる 現状は屈曲半径 10mm 程度で封止性能に影響が出ているが 今後はさらに実用レベルに近づけるべく曲げ半径 10mm において WVTR 1E -5 g/m 2 /day を達成することが可能な複合膜の開発を進める 参考文献 さらに 表 7 には追加試験として実施した Al 2 O 3 膜を薄くした場合の WVTR 測定結果も同時に示す SiNx 膜の膜厚を 50nm とし Al 2 O 3 膜の膜厚を 20nm から 15nm 10nm に変更した 表 7 より Al 2 O 3 膜の膜厚が 15nm では測定下限値を維持しているが 10nm まで薄くすると WVTR 値は 10-4 g/m 2 /day オーダーまで低下していることが確認された この結果より Al 2 O 3 膜は 膜厚 15nm 以上必要であることが分かった 封止膜の膜厚は SiNx 膜と Al 2 O 3 膜を合わせて 115nm まで薄膜化することができた Al 2 O 3 膜は ALD 法の特性上 一層ずつ Al 2 O 3 膜を積み重ねているため 成膜時間が 常に長い SiNx 膜の膜厚を 50nm よりも薄くしたことによる時間短縮率よりも (80) (1)N. Grossiord, et al, Org. Electron. 13(2012)p432 (2) 松本竜弥 : 電気特性評価による新旧平面アンテナの性能評価平成 25 年度業務論文 (3) 鷲尾圭亮他 : 大面積 ALD 成膜装置の開発, 三井造船技報 No.194(2008), p.7-12 (4) T. Suntola : nadbook of crystal growth, 14(1994), p.601 (5) K. Washio, et al. : Large Scaled Atomic Layer Deposition Reactor for Al2O3 in FPD Applications, IDW 07, 2 (2007), p.549 (6) J. W. Lim, et al, J. Appl. Phys., 42(2003), p.l663 (7) S. Ha, et al, Thin Solid Films, 476(2005), p.252 (8)P. F. Carcia, et al, J. Appl Phys, 106(2009), p023533 (9)A. A. Dameron, et al, J. phys. Chem. C112(2008), p4573 (10)A. P. Ghosh, et al, Appl. Phys. Lett. 86(2005), p223503 日本製鋼所技報 No.67(2016.11)