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よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

Transcription:

資料 1 C 型慢性肝疾患 ( ゲノタイプ 1 型 2 型 ) に対する治療フローチャート ダクラタスビル + アスナプレビル併用療法 ソホスブビル + リバビリン併用療法 ソホスブビル / レジパスビル併用療法 オムビタスビル / パリタプレビル / リトナビル併用療法 (± リバビリン ) エルバスビル + グラゾプレビル併用療法 ダクラタスビル / アスナプレビル / ベクラブビル 3 剤併用療法による抗ウイルス治療に当たっては 以下の4 点に留意すること 経口薬による抗ウイルス治療は ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識 経験をもつ医師により 適切な適応判断がなされた上で行う 非代償性肝硬変を対象とした臨床試験は行われておらず 安全性も確認されていない 非代償性肝硬変症例では投与を行うべきではない ダクラタスビル + アスナプレビル治療の非著効例で 既に Y93/L31 変異が惹起されている症例への対応には 難易度が高い総合的な判断を要するため このような症例の適応判断ならびに治療方針は ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識 経験を持つ医師によって検討される必要があ る このような症例へのソホスブビル / レジパスビル治療の適応判断ならびに治療方針は 発癌リスクならびに変異例に対してソホスブビル / レジパスビル治療を行う場合の著効率とさらなる複雑な多剤耐性獲得のリスクを十分に勘案して方針を決定する 1. 慢性肝炎 / ゲノタイプ 1 型 (DAA 治療歴なし ) *1 131

高齢者 線維化進展例などの高発癌リスク群は早期に抗ウイルス療法を行う. RBV 併用をしない Peg-IFN(IFN) 単独の既治療例は初回治療に含む. SOF/LDV EBR+GZR ならびに BEC/DCV/ASV 使用前の Y93 変異測定については 現時点で 同変異が及ぼす治療効果への影響が明らかでないことから推奨されていないが 今後 市販後の治療成績が十分に検討される必要がある. Genotype1a に対する OBV/PTV/r の有効性は確立していない. 原則としてカルシウムチャネル拮抗薬の併用は推奨されない.CYP3A P-gp BCRP OATP1B1/1B3 を基質とする薬剤との併用にあたっては用量調節を考慮する ( 資料 3 参照 ).OBV/PTV/r 治療前には 極力 Y93 変異を測定し 変異がないことを確認する.OBV/PTV/r 治療が非著効となった場合に惹起される多剤耐性ウイルスに対しては 現時点で確立された有効な治療法はないことを考慮に入れる. BEC/DCV/ASV 国内第 3 相試験において 腹水 高度黄疸をともなう重度の肝機能障害に至り 血漿交換を要した症例がみられたため BEC/DCV/ASV 投与中は毎週必ず肝機能検査を実施し 肝機能の悪化を認めた場合にはより頻回の検査を行い 投与中止を検討する. Genotype1b は DCV+ASV も選択肢となる. ただし DCV+ASV 治療前には 極力 Y93/L31 変異を測定し 変異がないことを確認する. また DCV+ASV 治療が非著効となった場合に惹起される多剤耐性ウイルスに対しては 現時点で確立された有効な治療法はないことを考慮に入れる. IFN 未治療の低ウイルス量例は適応外である. 8 Peg-IFN(IFN) 単独療法ならびに RBV 併用療法の再燃例. 2. 慢性肝炎 / ゲノタイプ 1 型 2 型 ( プロテアーゼ阻害剤 +Peg-IFN+RBV 前治療の非著効例 ) 132

重度の腎機能障害 (egfr<30ml/ 分 /1.73m 2 ) 又は透析を必要とする腎不全の患者に対する SOF の 投与は禁忌である. 前治療により誘導された D168 変異をもつ症例では DCV+ASV 療法の著効率が低いことが想定され また SMV+Peg-IFN+RBV 併用治療に対する D168 変異の影響についてのエビデンスがないため 原則として推奨されない. 再治療の効果についてのエビデンスがないため 推奨されない ただし テラプレビル併用療法の副 作用のため薬剤投与量が不十分であった症例では選択肢となる. 3. 慢性肝炎 / ゲノタイプ 1 型 (DCV+ASV ならびに OBV/PTV/r 前治療の非著効例 ) DCV+ASV ならびに OBV/PTV/r 治療の非著効例で 既に Y93/L31 変異が惹起されている症例への対応には 難易度が高い総合的な判断を要するため このような症例の適応判断ならびに治療方針は ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識 経験を持つ医師によって検討される必要がある IFN 投与が可能である場合には 薬剤耐性変異の存在が問題とならない IFN-based therapy を行なう SMV+Peg-IFN+RBV 治療を行う場合には D168 変異を測定し D168 変異がないことを確認する IFN が使用できない場合 SOF/LDV 治療を考慮する際には NS5A 耐性変異を詳細に測定する. DCV+ASV の治療失敗により誘導された NS5A 変異をもつ症例に対する SOF/LDV 治療の著効率は約 60~70% であるが SOF/LDV 治療失敗例における耐性変異がその後の治療に及ぼす影響については十分なエビデンスがない. 他方 現在 DCV+ASV や OBV/PTV/r の治療失敗により誘導された NS5A 耐性変異に対して高い有効性をもつ可能性がある新規治療法が臨床試験中である. したがって DCV+ASV や OBV/PTV/r の治療失敗例に対しては 肝発癌リスクを十分に評価の上 こうした変異例に対する SOF/LDV 治療の有効性とさらなる複雑な多剤耐性獲得のリスクを考慮に入れたうえで 治療待機も選択肢とする. 133

4. 慢性肝炎 / ゲノタイプ2 型 治療法の選択においては IFN-based therapy には発癌抑制のエビデンスがあることを考慮する. 高齢者 線維化進展例などの高発癌リスク群は早期に抗ウイルス療法を行う. RBV 併用をしない Peg-IFN(IFN) 単独の既治療例は初回治療に含む. 1 型と 2 型の混合感染の治療は 1 型に準じて SOF/LDV で治療する 重度の腎機能障害 (egfr<30ml/ 分 /1.73m 2 ) 又は透析を必要とする腎不全の患者に対する SOF の投与は禁忌である. Genotype2b に対する有効性が低いため OBV/PTV/r+RBV 治療前には 極力サブジェノタイプを測定し Genotype2a であることを確認する. また 併用可能なリバビリン製剤はレベトールのみである. IFN 未治療 高ウイルス量の保険適応は Peg-IFNα-2b+RBV のみである. 8 Peg-IFN(IFN) 単独療法ならびに RBV 併用療法の再燃例. 5. 代償性肝硬変 ( 初回治療 再治療 ) *1 Peg-IFN+RBV 併用も選択肢となる. 134

SOF/LDV EBR+GZR ならびに BEC/DCV/ASV 使用前の Y93 変異測定については 現時点で 同変異が及ぼす治療効果への影響が明らかでないことから推奨されていないが 今後 市販後の治療成績が十分に検討される必要がある. SOF/LDV SOF+RBV の国内第 3 相試験では Child-Pugh 分類 grade B 症例は対象となっておらず 安全性は確認されていない. Genotype1a に対する OBV/PTV/r の有効性は確立していない.Child-Pugh 分類 grade B に対する投与は禁忌である 原則としてカルシウム拮抗薬の併用は推奨されない.CYP3A P-gp BCRP OATP1B1/1B3 を基質とする薬剤との併用にあたっては用量調節を考慮する ( 資料 3 参照 ).OBV/PTV/r 治療前には 極力 Y93 変異を測定し 変異がないことを確認する.OBV/PTV/r 治療が非著効となった場合に惹起される多剤耐性ウイルスに対しては 現時点で確立された有効な治療法はないことを考慮に入れる. Child-Pugh 分類 grade B に対する EBR+GZR の投与は禁忌である. BEC/DCV/ASV 国内第 3 相試験において 腹水 高度黄疸をともなう重度の肝機能障害に至り 血漿交換を要した症例がみられたため BEC/DCV/ASV 投与中は毎週必ず肝機能検査を実施し 肝機能の悪化を認めた場合にはより頻回の検査を行い 投与中止を検討する.Child-Pugh 分類 grade B に対する BEC/DCV/ASV の投与は禁忌である. Genotype1b は DCV+ASV も選択肢となる. ただし DCV+ASV 治療前には 極力 Y93/L31 変異を測定し 変異がないことを確認する. また DCV+ASV 治療が非著効となった場合に惹起される多剤耐性ウイルスに対しては 現時点で確立された有効な治療法はないことを考慮に入れる. 135