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study のデータベースを使用した このデータベースには 2010 年 1 月から 2011 年 12 月に PCI を施行された 1918 人が登録された 研究の目的から考えて PCI 中にショックとなった症例は除外した 複数回 PCI を施行された場合は初回の PCI のみをデータとして用いた

3 病型別 初発再発別登録状況病型別の登録状況では 脳梗塞の診断が最も多く 2,524 件 (65.3%) 次いで脳内出血 868 件 (22.5%) くも膜下出血 275 件 (7.1%) であった 初発再発別の登録状況では 初発の診断が 2,476 件 (64.0%) 再発が 854 件 (22

データの取り扱いについて (原則)

164 SDD & SOD SDD E100 mg 80 mg B500 mg 2 E 2 B 48 /59 81 SDD SOD 10 /63 16 RCT RCT 1992 Gastinne 15 ICU 445 SDD E100 mg 80 mg B 10

背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離 Stanford A 型は発症後の致死率が高く, それ故診断後に緊急手術を施行することが一般的であり, 方針として確立されている. 一方上行大動脈に解離を伴わない急性大動脈解離 Stanford B 型の治療方法

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3 病型別 初発再発別登録状況病型別の登録状況では 脳梗塞合計が最も多く 3,200 件 ( 66.7%) 次いで脳内出血 1,035 件 (21.6%) くも膜下出血 317 件 ( 6.6%) であった 初発再発別の登録状況では 初発の診断が 3,360 件 (70.1%) 再発が 1,100

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<4D F736F F D D94738C8C8FC782A982E782CC89F1959C82CC8EBF82F08CFC8FE382B382B982E9>

Acute Ischemic Stroke とは 脳血流量組織 100g あたりの血流量が 1 分間に ゼロ 4 10 分で脳組織は壊死 16-18ml 未満 1 時間以内に壊死 20ml 未満 数時間から数日で壊死 多くの脳細胞死がおこる前に脳虚血が回復すれば患者は一過性の症状だけですむ ( 一過

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ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

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日経メディカルの和訳の図を見ても 以下の表を見ても CHA2DS2-VASc スコアが 2 点以上で 抗凝固療法が推奨され 1 点以上で抗凝固療法を考慮することになっている ( 参考文献 1 より引用 ) まあ 素直に CHA2DS2-VASc スコアに従ってもいいのだが 最も大事なのは脳梗塞リスク

<4D F736F F D D8ACC8D6495CF8AB38ED282CC88E397C38AD698418AB490F58FC782C982A882A282C48D4C88E E B8

脳卒中の医療連携体制を担う医療機関等における実績調査 調査内容 平成 28 年度の実績 ( 調査内容は別紙様式のとおり ) 別紙 1: 急性期の医療機能を有する医療機関用別紙 2: 急性期及び回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 3: 回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 4: 維持期の医療機能

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CCU で扱っている疾患としては 心筋梗塞を含む冠動脈疾患 重症心不全 致死性不整脈 大動脈疾患 肺血栓塞栓症 劇症型心筋炎など あらゆる循環器救急疾患に 24 時間対応できる体制を整えており 内訳としては ( 図 2) に示すように心筋梗塞を含む冠動脈疾患 急性大動脈解離を含む血管疾患 心不全など

医師主導治験 急性脊髄損傷患者に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いたランダム化 プラセボ対照 二重盲検並行群間比較試験第 III 相試験 千葉大学大学院医学研究院整形外科 千葉大学医学部附属病院臨床試験部 1

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Effects of Immediate Blood Pressure Reduction on Death and Major Disability in patients With Acute Ischemic Stroke The CATIS Randomized Clinical Trial JAMA;2014:311:479-489

背景 ACCESS study Stroke. 2003;34(7):1699-703 カンデサルタン vs プラセボ 血圧 死亡率 心血管イベント (1 年 ): SCAST 研究 Lancet 2011; 377: 741-750 カンデサルタン vs. プラセボ 血圧 心血管イベント (6か月後): 機能予後 : ( プラセボでややよい傾向 ) 梗塞急性期 : 圧治療は脳機能アウトカムを改善するか不明

研究デザイン PICO 多施設,RCT, ITT, single-blind, blinded end-points P I 脳梗塞発症 48 時間以内 SBP 140-220mmHg 降圧療法あり 1st ACEI 2nd CCB 3rd 利尿薬 C O 降圧療法なし 14 日後 or 退院時の 死亡率 or 重度後遺症 (mrs 3)

血圧推移 SBP コントロール 介入 コントロール 時間 介入 日

14 日 or 退院時 70% 60% 50% 40% 30% 20% 66.4% 降圧療法あり 66.4% 32.4% 降圧療法なし 32.6% 10% 0% 1.2% 1.2% mrs 0-2 mrs 3-5 mrs 6( 死亡 )

3 か月後 降圧療法あり 降圧療法なし 80% 70% 60% 50% 40% 74.9% 74.7% 30% 20% 21.7% 22.5% P=0.06 10% 0% 3.4% 2.7% 1.4% 2.2% mrs 0-2 mrs 3-5 mrs 6( 死亡 ) 脳梗塞再発

結語 脳梗塞急性期の積極的降圧は 死亡や身体障害の改善に寄与しなかった

Endovascular therapy after Intravenous t-pa versus t-pa Alone for Stroke NEJM 2013: 368: 893-903

背景 : 再開通治療 ランダム化トライアルで有効性あり t-paの全身投与 ( 発症後 4.5 時間以内 ) 血栓溶解剤の局所動脈内投与 (6 時間, MCA M1 or M2)PROACT II: JAMA 1999;282:2003-2011 まだ十分なランダム化トライアルがない 機械的に血栓破壊 回収 血管形成術やステント留置

研究デザイン PICO 多施設 RCT, ITT, Open label, Concealed P 中等度以上の脳梗塞 (NIHSSスコア >10 点など ) 発症後 3 時間以内にt-PA 投与 I C O 血管内治療追加血管内治療なし 90 日でのmodified Rankin scale<2 ( 自立生活 )

mrs 0-2 点の患者 ( 自立した生活 ) 全患者 NIHSS 8-19 NIHSS>20 P=0.25 P=0.83 P=0.06 50 40 30 40.8 38.7 60 40 51.2 51.8 25 20 15 23.8 16.8 20 10 20 10 5 0 0 0

30 25 20 15 10 5 0 血管内治療あり 有害転帰 血管内治療なし P=0.01 P=0.52 P=0.02 P=0.83 P=0.40

再灌流率は血管内治療群の方が良好であったが 良好な転帰には寄与しなかった 今回の研究では先行研究より 血管内治療の開始が 32 分遅れている事が関与して いる可能性がある

結語 血管内治療追加は t-pa 単独と比較し 予後を改善しなかった

Clopidogrel with Aspirin in Acute Minor Stroke or Transient Ischemic Attack NEJM:2013:369:1:11-19

背景 1. TIA or 脳梗塞二次予防 ASA+ クロピドグレル VS クロピドグレル 長期 : 再発率差なし 出血 : 増加 MATCH trial Lancet 2004; 364: 331-7 2. 発症急性期 再発率 : 約 10-20% (3 か月以内 ) 特に 2 日以内の発症が多い Storke2005 Apr;36(4):720-3 短期間のみ 2 剤は有効か?

研究デザイン PICO 多施設 RCT, ITT, double-blind, placebo-controlled P 発症 24 時間以内 軽症脳梗塞 (NIHSS 3 点 ) 中等度以上 TIA (ABCD2 score 4 ) I C クロピドグレル + アスピリン アスピリン O 90 日以内の新規脳卒中 ( 出血 + 梗塞 )

介入群 1 日 300 mg 2-90 日 75 mg クロピドグレル アスピリン コントロール群 アスピリン 1 日 75-300mg 2-21 日 75mg 1 日 75-300mg 2-90 日 75mg

患者特性 アスピリン単独 N=2586 クロピドグレル + アスピリン N=2584 年齢平均 62 (54-71) 63 (55-72) 脳梗塞既往 517 (20.0%) 516 (20.0%) 診断 TIA 728 (28.2%) 717 (27.7%) 軽症脳梗塞 1858(71.8%) 1867(72.3%) ABCD2スコア 平均 4 (4-5) 4 (4-5)

クロピドグレル + アスピリン アスピリン 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% P<.001 P<0.01 11.7% 11.4% 8.2% 7.9% P=0.09 2.3% 1.6% 脳卒中脳梗塞出血イベント ハザード比 0.68 0.67 1.01 NNT 29 29

脳卒中なし生存 (90 日 ) クロピドグレル + アスピリン アスピリン 日

脳卒中なし生存 (90 日 ) クロピドグレル + アスピリン アスピリン 日

中等度以上 TIA 軽度脳梗塞 クロピドグレル 300 mg + アスピリン ク ロピドグレル単剤 アスピリン単独 発症早期に同時投与する事で 90 以内の再発を予防

Association Between Influenza Vaccination and Cardiovascular Outcomes in High-risk Patients A Meta-analysis JAMA 2013:310:1711-20

背景 : インフルエンザワクチン インフルエンザ感染 心血管 脳血管イベントのリスクの可能性 NEJM.2004;351(25):2611-18 インフルエンザワクチン 心血管イベントと負の相関 CMAJ.2010;182(15):1617-23

インフルエンザワクチンと心血管 脳血管イベントの関連 RCT のみのメタアナリシス 研究検索 I C O インフルエンザワクチン接種非接種 or プラセボ接種複合心血管イベント心血管死全死因死亡心血管イベント ( 病気別 )

複合心血管イベント 全患者 ワクチンあり ワクチンなし p= 0.03 RR 0.64 NNT 58

複合心血管イベント 最近の急性冠症候群既往患者 ワクチンあり ワクチンなし p <0.01 RR 0.45 NNT 8

批判的吟味 Primary endpoint が複合エンドポイント エンドポイントで 1 次 2 次予防が混合

結語 インフルエンザワクチン接種と心血管イベントの低下には関連性がある 特に活動性の心血管疾患を持つ高リ スク患者には強い治療効果がみられる

A New Strategy for Healthcare-Associated Pneumonia Prospective Multicenter Cohort Study Clinical Infectious Disease 2013; 57: 1373-1383

背景 :ATS/IDSA guideline 2005: HCAP 医療ケア関連肺炎 定義 過去 90 日以内に2 日以上入院したことがある患者 介護施設や長期療養型施設に住んでいる患者 最近 抗菌薬を投与された患者 化学療法中の患者 30 日以内にけがの治療をしている患者 現在 病院や透析施設に通院中の患者

背景 :ATS/IDSA guideline 2005: HCAP の経験的治療 CAP+MDR( 緑膿菌へ 2 剤 +MRSA) をカバーせよ! 例 メロペネム + シプロ + バンコマイシン MDR= 多剤耐性菌 ( 緑膿菌 MRSA ESBL など )

背景 :ATS/IDSA guideline 2005: ヨーロッパ HCAP はかならずしも MDR ではない! Arch Intern Med 2007; 167: 1393-1397 Ann Intern Med 2009; 150: 19-26 CID 2011; 53: 107-113 そこで日本においてHCAPを MDRカバーすべき群 MDRカバーしなくていい群にわけて治療

方法

院外発症肺炎 市中肺炎 (CAP) 病院関連肺炎 (HAP) 介護施設入居 最近の入院 ( 過去 90 日内に 2 日以上 ) 病院へかかった または 透析 ( 過去 30 日以内 ) 静注抗菌薬 化学療法 ( 過去 30 日以内 ) MDR リスク 最近の抗菌薬使用 (6 か月以内 ) 最近の入院 ( 過去 90 日以内 2 日以上 ) 低活動 (Barthel index 50 未満 ) 免疫抑制 重症度 重症人工呼吸器 ICU 軽症

HCAP の分類と治療方針 Group1 Group2 Group3 Group4 軽症かつリスク 0-1 軽症かつリスク >2 つ 重症かつリスク 0 重症かつリスク >1 つ CAP 治療! CAP 治療! HAP 治療! HAP 治療!

結果 :CAP として治療した群の原因菌 % CAP % 30 25 20 15 10 5 0 40 30 20 10 0 HCAP:Group 1 % 50 40 30 20 10 0 HCAP: Group 3

結果 :HAP として治療した群の原因菌 30 25 20 15 10 5 0 HCAP:Group2 40 35 30 25 20 15 10 5 0 HCAP:Group4

新たな治療指針 :HCAP の分類と治療 Group1 Group2 Group3 Group4 軽症かつリスク 0-1 軽症かつリスク >2 つ 重症かつリスク 0 重症かつリスク >1 つ CAP 治療 CAP 治療 110 名 HAP 治療 92 名 41 名 HAP 治療 78 名

結語 HCAP でも層別化すると 50% 程度が CAP として治療しうる 治療薬については原著参照ください

ACP 最新論文 30 選神経 感染症コメント 東京ベイ浦安市川医療センター平岡栄治

感染症 インフルエンザのワクチン

インフルエンザと主要心血管イベント ( 死亡 MI 入院 )

% 7 6 5 4 3 2 1 0 FLUCAD 研究 ワクチンありワクチンなし 12 か月 European Heart Journal 2008; 29: 1350-1358

ところで 冠動脈疾患において PCI をすると 心筋梗塞を減らすことができるか?

PCI に関するガイドライン ( ページ 12) 安定虚血性心疾患患者 狭心症の症状を改善する 生命予後改善はしめされていない 短期間 :MIを増加させる可能性 長期経過において急性心筋梗塞を減少させない Circulation. 2011;124:e574-e651;

インフルエンザワクチンは心血管イベントを低下させる AHA/ACC 冠動脈疾患 2 次予防ガイドライン 心血管疾患がある人は毎年インフルエンザワクチンを摂取する (Class I ) Circulation. 2011;124:2458-2473

冠動脈疾患 その他の動脈硬化疾患があれば 2 次予防目的でインフルエンザ予 防接種をしなさい Class I

安定狭心症の治療 抗狭心治療 ニトログリセリン β ブロッカー Ca ブロッカー 急性心筋梗塞予防スタチンアスピリン ACE 阻害剤インフルエンザワクチン

感染症 HCAP の治療

市中肺炎 (CAP) 院外発症の肺炎 肺炎双球菌とマイコプラズマ セフトリアキソン + ジスロマック 病院ケア関連肺炎 (HCAP) 全例 緑膿菌と MRSA をカバー vs. リスクがなければ CAP 治療だけリスクがあれば緑膿菌 +MRSA をカバー

新たな治療指針 :HCAP の分類と治療 Group1 Group2 Group3 Group4 軽症かつリスク 0-1 軽症かつリスク >2 つ 重症かつリスク 0 重症かつリスク >1 つ CAP 治療! CAP 治療! HAP 治療! HAP 治療!

結果 1:HAP として治療した群の原因菌 30 25 20 15 10 5 0 HCAP2 40 35 30 25 20 15 10 5 0 HCAP4 軽症リスクが 2 つ以上 重症リスクが 1 つ以上 MRSA のカバーを忘れずに

神経 脳梗塞に対する再灌流治療

Endovascular therapy after Intravenous t-pa versus t-pa Alone for Stroke NEJM 2013: 368: 893-903

血管内治療 Merci コイル血栓回収 Penumbra 血栓吸引システム Solitaire ステント血栓回収 :2014 年夏ごろ発売 f

結語 血管内治療追加は t-pa 単独と比較し 予後を改善しなかった

再開通治療 ランダム化トライアルで有効性あり t-pa の全身投与 ( 発症後 4.5 時間以内 ) 血栓溶解剤の局所動脈内投与 6 時間以内で, MCA M1 or M2 PROACT II: JAMA 1999;282:2003-2011 ランダム化トライアルで有効性が示されなかったもの 機械的に血栓破壊 回収 まだランダム化トライアルがないもの 血管形成術やステント留置

Subgroup 解析を見てみると mrs 0-2 点の患者 ( 自立した生活 ) すべての患者 NIHSS 8-19 NIHSS>20 P=0.06 50 40 30 20 10 0 60 40 20 0 25 20 15 10 5 0

NIHSS>20の患者に対しては有効の可能性がある (Stratified randomizationされているので妥当性は高い ) --> 有意差はなかったがさらなる検討が必要

AHA ガイドライン 2013 年 1.t-PA 適応症例はt-PAを 2. 発症後 6 時間以内のMCA 閉塞症例は動脈内 t-paが有効 3. 機械的血栓除去 :Merciではなく Solitaire FRやTrevoを一般的には使用する (Class I) 血栓吸引システム (Penumbra system) がMerciよりいいかどうかは不明

神経 : 脳梗塞に対する抗血小板薬 2 剤について

Chance トライアルの対象患者 高リスクTIA (ABCD2>4 点 ) Minor stroke (NIHSS score<3 点 ) 除外 : 感覚障害のみ視野障害のみめまいのみ MRI 正常 レジメンアスピリン+クロピドグレル :21 日間その後 クロピドグレル単剤を3か月まで

CHANCE trial すべての脳梗塞患者には一般化できない! しかも 一生 2 剤 ではない!

抗血小板療法 基本は アスピリン 160-300mg( 日本 ) 325mg(AHA) を48 時間以内に開始 t-paを入れたら24 時間は開始しない 2 剤を長期に使用しない クロピドグレル+ASA vs. クロピドグレル 18か月の経過 : 脳梗塞再発 : 差がない 脳出血は増加!(MATCH trial: Lancet 2004)

神経 感染症論文サマリー 神経 1. Effects of Immediate Blood Pressure Reduction on Death and Major Disability in patients With Acute Ischemic Stroke. The CATIS Randomized Clinical Trial. JAMA;2014:311:479-489 脳梗塞の急性期の降圧治療は 死亡率を改善せず 身体機能予後も改善せず 2. Endovascular therapy after Intravenous t-pa versus t-pa Alone for Stroke. NEJM 2013: 368: 893-903 再灌流率は血管内治療群の方が良好 しかし 身体機能予後改善には寄与しなかった ただし NIHSS>20 の重症群には 血管内治療を tpa に追加すると予後改善させる傾向 3. Clopidogrel with Aspirin in Acute Minor Stroke or Transient Ischemic Attack. NEJM:2013:369:1:11-19 軽症脳梗塞 (NIHSS<3) や重症 TIA(ABCD score>4) クロピドグレル +ASA21 日間でその後クロピドグレルと ASA 単剤を比較 90 日間での脳梗塞再発を減少 (NNT29), 出血は増加させない 感染症 1.Association Between Influenza Vaccination and Cardiovascular Outcomes in High-risk Patients A Meta-analysis. JAMA 2013:310:1711-20 インフルエンザワクチン接種と心血管イベントの低下には関連性がある 2.A New Strategy for Healthcare-Associated Pneumonia Prospective Multicenter Cohort Study. Clinical Infectious Disease 2013; 57: 1373-1383 日本では HCAP でも層別化すると 50% 程度が CAP として治療しうる