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QCWS 参考プロトコル DNA 抽出 QCWS 参考プロトコル DNA 抽出 平成 29 年度版 作成者 日本組織適合性学会認定制度委員会 QCWS 部会 HLA タイピングワーキンググループ

QCWS 参考プロトコル DNA 抽出 改訂履歴 版数 改訂日 施行日 改訂理由 改訂内容 改訂責任者 2

QCWS 参考プロトコル DNA 抽出 目 次 1.QIAamp DNA Blood Mini Kit... 1 1.1 検査機器の準備... 1 1.2 試薬の準備... 1 1.3 DNA 抽出... 2 2.LETFLEX Genomic DNA Purification kit 100... 4 2.1 検査機器の準備... 4 2.2 試薬の準備... 5 2.3 DNA 抽出... 5 3.QuickGene DNA whole blood kit S(DB-S)... 8 3.1 検査機器の準備... 8 3.2 試薬の準備... 8 3.3 DNA 抽出... 9 3.4 トラブルシューティング... 11

1.QIAamp DNA Blood Mini kit 1.1 検査機器の準備機器 遠心分離器 (1.5mlTube 用 ) ウォーターバスまたはヒートブロック ボルテックスミキサー 分光光度計試薬 器具 QIAamp DNA Blood Mini Kit (QIAGEN/Cat No. 51104 または 51106) エタノール (96 100%) 1.5ml マイクロチューブ マイクロピペット ピペットチップ (1) ウォーターバスまたはヒートブロックを 56 に加熱する (2) 遠心分離器を 15 25 に設定する 1.2 試薬の準備 1.2.1 キット名 QIAamp DNA Blood Mini Kit (QIAGEN/Cat No. 51104 または 51106) 1.2.2 キット内容 内容 51104 (50 反応 ) 51106 (250 反応 ) Buffer AL 12 ml 54 ml Buffer AW1 19 ml 95 ml Buffer AW2 13 ml 66 ml Buffer AE 12 ml 60 ml QIAGEN Protease 1 vial 1 vial Protease Solvent 1.2 ml 5.5 ml QIAamp Spin Columns 50 個 250 個 Collection tubes (2 ml) 150 個 750 個 (1) Buffer AW1 のボトルに 125 ml のエタノール (96 100%) を添加し 全量 220 ml に調整する ボトルキャップのチェックボックスにチェックを入れ 調整日を記載する 1/13

(2) Buffer AW2 のボトルに 160 ml のエタノール (96 100%) を添加し 全量 226 ml に調整する ボトルキャップのチェックボックスにチェックを入れ 調整日を記載する (3) QIAGEN Protease( 茶瓶 乾燥タブレット ) の中に protease solvent を全量 (1.2 ml または 5.5 ml) 加える QIAamp DNA Blood Mini Kit (50)(51104) には 1.2 ml protease solvent QIAamp DNA Blood Mini Kit (250)(51106) には 5.5 ml protease solvent が付属している (4) Buffer AL 中に沈殿物がある場合には 56 で溶解する 1.3 DNA 抽出 1.3.1 全血から DNA 抽出 (1) 1.5 ml マイクロチューブの底に調整した QIAGEN Protease20μL を加える (2) 良く転倒混和した全血 200μL を添加する サンプル量が 200μL 以下の場合には PBS で 200 μl に調製する クエン酸 EDTA のような一般的な抗凝固剤で処理した新鮮なヒト全血を使用する ( ヘパリンは PCR を阻害することがあるため使用を避ける ) 血液を扱う際は グローブを使用するなど扱いに注意する (3) Buffer AL200μL を添加する QIAGEN Protease を Buffer AL に直接添加しない事 (4) ボルテックスミキサーで 15 秒間混和する (5) 56 で 10 分間インキュベートし 数秒スピンダウンする (6) エタノール (96 ~ 100%)200μL を添加し 15 秒間ボルテックス スピンダウンする (7) QIAamp Mini Spin Column(2 ml チューブ中 ) に (6) の混合液をアプライする (8) 6,000 x g(8,000 rpm) 1 分間遠心する 2/13

(9) QIAamp Mini Spin Column を新しい 2 ml チューブ ( 付属品 ) に移す (10) Buffer AW1 の 500μL を (9) の Column に加える (11) 6,000 x g(8,000 rpm) 1 分間遠心する (12) QIAamp Mini Spin Column を新しい 2 ml チューブ ( 付属品 ) に移す (13) Buffer AW2500μL を Column に加える (14) 最高速度 20,000 x g(14,000 rpm) 3 分間遠心する (15) QIAamp Mini Spin Column を新しい 2 ml チューブ ( 付属品 ) に移す (16) 最高速度 20,000 x g(14,000 rpm) 1 分間遠心する ( カラムに残った Buffer を完全に除く為 ) (17) QIAamp Mini Spin Column を新しい 1.5 ml マイクロチューブに移す (18) 200μL の Buffer AE あるいは精製水を加える (19) 室温 (15 ~25 ) で 5 分間インキュベートする (20) 6,000 x g(8,000 rpm) 1 分間遠心し DNA を溶出する (21) 1.5 ml チューブに回収された DNA の濃度を分光光度計で測定する ヒト全血 200μL( 約 5 x 106 白血球 /ml) のサンプルから 200μL の水で溶出した場合 通常 DNA 6 μg(30 ng/μl) が得られる DNA 純度 (OD260/280) は 1.7~1.8 が望ましい (22) Buffer AE あるいは精製水を用いて 20 ng/μl の DNA 溶液を必要量調整する クラス I タイピングは 20ng/μL を 4μL クラス II は 2μL 使用する 3/13

2.JETFLEX Genomic DNA Purification Kit 100 2.1 検査機器の準備 2.1.1 機器. 器具の準備 機器 ボルテックスミキサー ヒートブロックまたはウーターバス 遠心器 2000g 以上または 12000g 以上遠心出来るもの 分光光度計 (260nm と 280nm) 器具無菌チューブ ( ヌクレアーゼフリー ) 300μL 以下のサンプル :1.5mL チューブ 300μL 以上のサンプル :15mL,50mL ピペットディスポチップ 2.2 試薬の準備 2.2.1 キット名 品名 梱包単位 保存温度 JETFLEX Genomic DNA Purification Kit 100 100 テスト 室温と冷蔵 2.2.2 Kit 内容内容溶血バッファー (RBC) 細胞溶解バッファー (CLB) タンパク質沈殿バッファー (PPT) Pellet Compactor DNA 溶解バッファー (TE) Proteinase K( 凍結乾燥粉末 *) RNase(4 mg/ml) 100 テスト 33 ml 33 ml 17 ml 8 ml 22 ml 2 x 21 mg 1 ml *Proteinase K の凍結乾燥粉末は 21mg あたり滅菌蒸留水 1.05 ml で溶かし (20 mg/ml) 小分け冷凍保存 (-20 ) する 凍結融解は繰り返さない *RNase は冷蔵で保存する それ以外のバッファー類は全て常温で保管する 2.2.3 Kit 以外に必要な試薬 試薬名 備考 イソプロパノールまたは無水エタノール メーカー不問 70% エタノール メーカー不問 4/13

2.2.4 不適切検体ヘパリン血は PCR を阻害する可能性があるので避ける 2.2.5 操作上の注意点 1DNA を扱う操作は無菌状態の環境で行い DNase 等のコンタミネーションを避ける 2 ピペット チューブ等 DNA に触れる器具は全て無菌状態のものを使用する 3DNA の分解を最小限にするために 溶解操作のステップは素早く行う 4 抽出した DNA は 凍結融解を繰り返さない 5 遠心操作の全て室温で行う 2.3 DNA 抽出 2.3.1 溶血 ~ 細胞溶解 (1) 全血に対して 等量の RBC バッファーを加える 全血量 RBC 量 チューブ容量 全血 300 ul 300 ul 1.5 ml チューブ 全血 2 ml 2 ml 15 ml チューブ (2) 溶液が均一になるまで転倒混和する (3) 室温で遠心し 白血球をチューブそこにパックする 溶血上清をデカンテーションで除去する チューブを逆さにした状態でキムタオルに押し付け上清を確実に除去する 遠心 g 遠心時間 2000 g 10 分 12000 g 30 秒 (4) チューブの底にパックされた白血球をボルテックスでほぐす (5) 全血量と等量の CBL バッファーを加える 細胞塊がなくなり均一な溶液になるまでピペッティングを行う 細胞溶解を確実にするため室温で 5~10 分インキュベーションする * 塊が無くならない場合は 室温または 37 で暫くインキュベーションする * 血液が一部 または完全に凝固している場合は Protainase K(20mg/mL) を加え 58 で 1 時間 ~ 一晩インキュベーションする *RNA を除去したい場合は RNase を加え 37 で 5 分間インキュベーションする 2.3.2 蛋白質除去 ~DNA 抽出 (1) PPTBattfa バッファーを全血の半量を加え 20 秒間しっかりとボルテックスする 全血 PPT バッファー 300 ul 150 μl 2 ml 1 ml 5/13

(2) 室温で遠心する 遠心 g 遠心時間 2000 g 10 分 12000 g 3 分 * 遠心後 蛋白質は小さいペレット状になり 上清は透明になる ペレットが緩い場合は 下記のどちらかのオプション処理を行う 1 Pellet Compactor 処理 1 50μL の Pellet Compactor を加え ボルテックスする 2 室温で上記条件で遠心する 2 氷冷処理 1 5 分間氷中でインキュベーションする 2 室温で上記条件で遠心する (3) 上清を別の無菌チューブに移す 上清はペレットぎりぎりまで回収する 全血と同量のイソプロパノールまたは 全血の 3 倍量の無水エタノールを加える 溶液が均一になるまで しっかり転倒混和する 全血無水エタノール 300 ul 900 ul 2 ml 6 ml * 通常 白い DNA がもやもやとした状態で出現する *DNA が断片化する恐れがあるのでボルテックスは絶対にあてない * イソプロパノール 無水エタノールは使用直前まで冷蔵庫でよく冷やす (4) 室温で遠心する チューブの底に白いペレットが確認できる 遠心 g 遠心時間 2000 g 10 分 12000 g 3 分 (5) 上清をデカンテーションで除去し チューブを逆さにした状態でキムタオルに押し付け上清を確実に除去する (6) 70% エタノールを加え転倒混和し DNA ペレットを洗浄する 全血 70% エタノール 300 ul 1 ml 2 ml 6 ml (7) 室温で遠心する 遠心 g 遠心時間 2000 g 5 分 12000 g 1 分 6/13

(8) 上清を慎重にデカンテーションで除去し キムタオル上にチューブを逆さに置き 室温でエタノールを乾燥させ 余分な残存液を除去する (9) DNA ペレットが乾き エタノール臭が消えている事を確認する 目的の DNA 濃度に 応じて TE バッファーに溶解させる DNA が溶けない場合は 室温で一晩インキュ ベーションして DNA を完全に溶解させる 全血量 TE buffer DNA 濃度目安 * 300 μl 150 μl 20 ~70 ng/ul 2 ml 400 μl 50 ~175 ng/ul *DNA 濃度はサンプルに依存するので サンプル毎の分光光度計で測定する ** 沈殿が生じている場合や 純度 (A260/A280) が 1.7 以下の場合などは DNA の再生成を行う DNA 再精製方法 1 100μL の DNA 溶液あたり 500μL の CLB バッファーを加える 2 ピペッティングをしっかり行い良く混和する 3 300μL の PPT バッファーを加えて 激しく 20 秒間ボルテックスする 4 その後 2.2.3. 以降を行う 7/13

3.QuickGene DNA whole blood kit S(DB-S) 3.1 検査機器の準備 3.1.1 検査器具 資材の準備 機器 ヒートブロックまたはウォーターバス 抽出装置ボルテックスミキサーチューブ用遠心機 DNA 濃度測定用分光光度計 (OD260/280 測定可能なもの ) 器具 資材 マイクロピペット ピペットチップ マイクロチューブ キット以外の試薬 特級エタノール (>99%) ヌクレアーゼフリー水 PBS( 滅菌済み ) 3.2 試薬の準備 3.2.1 キット試薬 (1) QuickGene DNA whole blood kit S(DB-S) 3.2.2 キット構成 試薬 保存方法 1 Protease( 凍結乾燥品 ) 2 Lysis Buffer 3 Wash Buffer 4 Elution Buffer 5 Cartridges( カートリッジ ) 6Collection Tubes ( コレクションチューブーブ ) 6 Caps( キャップ ) EDB LDB WDB CDB CA CT CAP 15~28 で保存 溶解した EDB を 4 で保存した場合 2 ヵ月間安定 溶解後の EDB を -20 で保存する場合は 少量ずつ分注し 凍結 融解の繰り返しを避ける 8/13

7 Waste Tubes( 廃液チューブ ) WT 3.2.3 準備 (1) EDB( 凍結乾燥品 ) 瓶に 3.3mL のヌクレアーゼフリー水を添加し 完全に溶解する 溶解後は 冷蔵 (4 ) 保管で 2 カ月安定 -20 保存で安定期間を長くすることが可能であるが その場合は少量ずつ分注し 凍結 解凍は避ける (2) LDB は 使用前に充分に混和する 析出物が生じている場合には 37 で溶解後 室温に戻して使用する (3) WDB は 使用前にボトルに 160mL の特級エタノール (>99%) を添加し よく混和する 添加後は ボトル蓋ラベルの ethanol added? チェックボックスにチェックを入れる エタノール添加後は揮発を防ぐために ボトルの蓋をしっかりと閉める 3.3 DNA 抽出 3.3.1 ライセート作成 (1) ヒートブロックまたはウォーターバスを 56 に設定する (2) EDB( ヌクレアーゼフリー水で溶解済み )30μL を 1.5mL マイクロチューブの底に添加する (3) 全血 200μL を添加する 1EDTA 2Na EDTA 2K などで採血した全血を使用する 2 白血球数に応じ 全血 希釈した血液あるいは Buffy coat などを検体とする 3 検体の容量が 200μL 以下の場合は PBS( 滅菌済み ) 等で希釈して 200μL になるようにする (4) LDB250μL を添加し すぐにピペッティングを 5 回行う 転倒混和も可能である EDB 全血および LDB が充分に混和するようにすること EDB 添加後に直接 LDB を添加しないこと (5) 最大回転数で 15 秒間ボルテックスをする スピンダウンしてマイクロチューブの蓋や壁に付着した液を収集する ( 推奨 :2,500rpm 以上 ) 混合は十分に行うこと (6) 56 2 分間インキュベートする 5 分までの延長は可 9/13

(7) 特級エタノール (>99%) を添加し 最大回転数でボルテックスする スピンダウンして マイクロチューブの蓋や壁に付着した液を収集する 混合は十分に行うこと 3.3.2 抽出 (QG-810/800 の場合 ) (1) 電源を入れ 抽出モードを DNA WHOLE BLOOD モードにする (2) QG-810/800 のフロントカバーを開けて CT WT をチューブホルダ ( またはコレクションチューブホルダ ) に差し込む (3) WDB および CDB を QG-810/800 にセットする (4) カートリッジの位置がずれていないことを確認する (5) フロントカバーを閉め オペレーションパネルの DISCHARGE ボタンを押す 試薬が排出されることを確認する (6) ライセート全量を CA へ添加する その際に CA の縁にライセートが付着しないようにする (7) 設定したパラメータのモードで START ボタンを押す パラメータ設定は 機器の説明書を参考に設定する (8) 抽出が終わるとピピーッと音がするので オペレーションパネルの抽出結果を確認し CT を取り出す 抽出不良 (QG-810:- QG-800:X ) の場合には 再度抽出を行う (9) WT を取り出し捨てる カートリッジホルダを取り外し CA も処分する ディスチャージトレーの廃液も捨てる 3.3.3 抽出 (QG-Mini80 の場合 ) (1) チューブホルダーに CA CT および WT をセットする (2) カートリッジホルダは W の位置にセットし 作成したライセートを CA へ添加し加 10/13

圧する その際に CA 上部の縁を汚染しないように注意する (3) WDB750μL を CA へ添加し 加圧する CA 内に溶液が残っていないことを確認し 加圧スイッチを元の位置に戻す (4) チューブホルダを引き出し (3) を 2 回繰り返す (5) カートリッジを E の位置にセットし CDB を添加し加圧する コレクションチューブへ溶出されたら加圧スイッチを元の位置に戻す CDB 量は 基本 200μL とし 検体によっては減らしてもよい (6) チューブホルダを引き出し チューブホルダからカートリッジホルダを外し CA を捨てる (7) CT を取り出し 並べ CAP をしっかりと閉める (8) WT は取り出し後 適切に廃棄する 3.3.4 収量 純度測定 (1) 260nm の吸光度 260/280nm の吸光度比を測定する (2) 測定結果より 使用試薬の推奨濃度に調製する 3.4 トラブルシューティング (*:QG-810/800 **:QG-Mini80) トラブル原因解決方法 DNA 収量 純度が低い DNA が得られない 全血の保存が不適切 EDB 溶解が不十分 EDB 酵素活性が不十分添加順番が不適切全血量が不適切白血球数が多すぎる できる限り採血後 以内のものを用いる 時々撹拌しながら室温に 30 分以上置く 完全に溶解していることを確認する 保存温度および期間を守る EDB 全血 LDB の添加順を守る 全血量は 200μL になるように調製する 白血球数が 2 10 6 を超えた場合は PBS 等で希釈し 2 10 6 以下になるように調 11/13

LDB 添加後の混和が不十分 特級エタノール添加不足または添加していない CA へライセート全量を添加していない CDB 量が不適切 (**) フィルターの破損 必要以上の加圧 (**) CA 加圧後放置した (**) 溶出に CDB 以外を用いた 古い WDB を使用した (*) DNA 分解 セット試薬の不足 (*) 製する 十分に混和する 所定量を添加する ライセートに凝集物が見られた場合には 凝集物も含めて全量を添加する CDB 量は 50μL 以上で行う CA 内のフィルターにピペットチップが触れないようにする 加圧し CA 内がなくなったらすぐに加圧をやめる 途中で放置せず最後まで作業を続ける CDB を使用する QG-810/800 に 1 日以上セットした WDB は使用しない できる限り採血後 以内のものを用いる QG-810/800 にセットした試薬が十分量であることを確認する CA が詰まった全血量が多すぎる適切な量で実施する 白血球数が多すぎる 白血球数が 5 106 個を超えた場合は目詰まりを起こす可能性がある 白血球数が 2 10 6 を超えた場合は PBS 等で希釈し 2 10 6 以下になるように調製する LDB 添加後の混和が不十分 十分に混和する 特級エタノール添加後の混和が不十分 十分に混和する 試薬の析出物 低温で保存している 指定温度で保存する 析出物が生じた場 合は 37 で溶解後 室温に戻して使用 する サンプルが回収されない CDB セット量不足またはディスチャージ操作を行っていない (*) CDB 添加忘れ (**) CDB の十分量のセットとディスチャージ操作を実施する 確実に操作を実施する 12/13

CA がカートリッジホルダに保持されない カートリッジホルダの位置が違っている (**) カートリッジホルダ右のリリースレバーが左端に戻っていない (**) CDB 添加時は必ずカートリッジホルダをチューブホルダの E の位置にセットし添加する リリースバーを左端に戻し CA をセットする 13/13