平成 31 年度 神戸大学大学院工学研究科博士課程前期課程入学試験 市民工学専攻 専門科目 ( 一 ): 数学 問題用紙の枚数 ページ番号 数学 2 枚 1, 2 数学 解答用紙の枚数 4 枚 ただし, 計算用紙を 1 枚配付 試験日時 : 平成 30 年 8 月 20 日 ( 月 ) 13:00 14:00
専門科目 ( 一 ) 数学 [ 数学 ] 1. 行列 A= -1 2 2 2 について以下の問に答えなさい. (1) 固有値および固有ベクトルを求めなさい. (2) A n を求めなさい. 2. 次の積分の値を求めなさい. 1 2 (1) xcos -1 xdx 0 (2) xydxdy, D (cos -1 x は arc cosx のことである ) D={ (x, y) x 2 + y 2 1, x 0, y 0 } 1
専門科目 ( 一 ) 数学 3. ある建設会社が 2 つの工事 A,B について入札を行う. 工事 B より工事 A が先に開札される事象とその逆の順で開札される事象は等確率で起こる. 工事 A を受注する確率は P(A)=0.4, 工事 B を受注する確率は P(B)=0.2 である. ただし, もしその会社が一つ目に開札される工事を受注すれば, 二つ目に開札される工事を受注する確率は元の確率の半分になるとする. この建設会社の工事の受注確率に関する以下の問に答えなさい. (1) 少なくとも一つの工事を受注する確率を求めなさい. (2) 少なくとも一つの工事を受注したとして, それに工事 A が含まれる確率を求めなさい. (3) 一つだけの工事を受注した時, それが工事 A である確率を求めなさい. 4. 次の微分方程式を解きなさい. xy =3y 5. 次の全微分方程式を解きなさい. (x 2-3y) dx - (3x - y 2 ) dy = 0 [ 数学最終ページ ] 2
平成 31 年度 神戸大学大学院工学研究科博士課程前期課程入学試験 市民工学専攻 専門科目 ( 二 ): 構造力学 問題用紙の枚数 ページ番号 構造力学 2 枚 1, 2 構造力学 解答用紙の枚数 4 枚 ただし, 計算用紙を 1 枚配付 試験日時 : 平成 30 年 8 月 20 日 ( 月 ) 9:30 10:30
専門科目 ( 二 ) 構造力学 [ 構造力学 ] 1. 図 -1 に示す構造に関する以下の問に答えなさい. ただし, 曲げ剛性は, 全ての部材で一定であるとする. (1) a 点の鉛直反力 R a( 上向きを正とする ) を求めなさい. (2) e 点の鉛直反力 R e( 上向きを正とする ) を求めなさい. (3) b 点のたわみを u b, d 点のたわみを u d とするとき, その比 u b / u d を求めなさい. (4) c 点のたわみを u c とするとき, 比 u c / u d を求めなさい. P P a b c d e l l/2 l/2 l 図 -1 問 1 の構造 1
専門科目 ( 二 ) 構造力学 2. 図 -2 に示す等分布荷重 q が作用する構造に関する以下の問に答えなさい. ただし, 部材 bd は, はり部材 ac の b 点でピン結合されている. また, はり部材 ac のヤング係数を E, 断面二次モーメントを I, 部材 bd のヤング係数を E, 断面積を A とする. (1) 部材 bd の張力 Nbd を求めなさい. ただし, 張力 Nbd は引張を正とする. (2) b 点のたわみを求めなさい. d l q a l b l c 図 -2 問 2 の構造 [ 構造力学最終ページ ] 2
平成 31 年度 神戸大学大学院工学研究科博士課程前期課程入学試験 市民工学専攻 専門科目 ( 二 ): 水理学 問題用紙の枚数 ページ番号 水理学 3 枚 1, 2, 3 水理学 解答用紙の枚数 4 枚 ただし, 計算用紙を 1 枚配付 試験日時 : 平成 30 年 8 月 20 日 ( 月 ) 11:00 12:00
専門科目 ( 二 ) 水理学 [ 水理学 ] 1. 図 -1 のように排水口を有する円筒形貯水タンクが点 P で側壁に固定されており, 排水口から大気中に放水されている. また, 時刻 t における排水口の中心から水面までの高さを H(t) とすると, 時刻 t=0 において H(0)=H0( ただし H0>>0) であった. 以下の問に答えなさい. ただし, タンクの直径を D1, 排水口の直径を D2, 水の密度を ρ, 重力加速度を g, 円周率を π とし, タンク底面に作用する摩擦力および水の粘性は無視する. (1) 時刻 t=0 における排水口からの流量 Q を求めなさい. (2) 時刻 t=0 において点 P に壁から作用する力 F を求めなさい. (3) 水面が H(t1)=H0/2 となる時刻 t1 を求めなさい. D 1 H(t) F P D 2 Q 図 -1 排水口のあるタンク 1
専門科目 ( 二 ) 水理学 2. 図 -2 および図 -3 のように水位 HA に保たれた貯水池 A とタンク B が長さ L1, 管径 D, 摩擦損失係数 f の管路によって連結され, 長さ L2, 管径 D, 摩擦損失係数 f の管路によって放流点 C から大気中に放水されている. 以下の問に答えなさい. ただし, HA=5m,L1=50m,L2=40m,D=0.2m,f=0.02 とし, 重力加速度は g=10m/s 2, 円周率は π=3.14 とする. また, 管路の摩擦損失以外の損失は無視する. (1) 図 -2 における流量 Q1 を求めなさい. (2) 図 -2 におけるタンク B の水位 HB1 を求めなさい. (3) 図 -3 のようにタンク B に一定流量 QB=0.05m 3 /s で注水する. このときの流量 Q2 を求めなさい. H A D, f H B1 D, f Q 1 貯水池 A L 1 タンク B L 2 放流点 C 図 -2 管路で連結された貯水池とタンク ( 注水無 ) Q B H A H B2 D, f D, f Q 2 貯水池 A L 1 タンク B L 2 放流点 C 図 -3 管路で連結された貯水池とタンク ( 注水有 ) 2
専門科目 ( 二 ) 水理学 3. 長方形断面を有する開水路において, 図 -4 に示されるような高さが水深に比して 1/10 以下で波長が水深の 20 倍以上の凸状の起伏が存在している. 流速を u, 水深を h, 単位幅流量を q(= u h), 水平基準面から底面までの距離を z, 重力加速度を g とする. 長波を仮定できる定常流とし, 摩擦等によるエネルギー損失は無視し, 起伏を除いた底面は水平とする. このとき以下の問に答えなさい. (1) 全水頭 E と, 比エネルギー Eh を, 流速 u, 水深 h, 水平基準面から底面までの距離 z, 重力加速度 g を用いて示しなさい. (2) 等流状態が仮定できる場合に最も効率の良い, つまり比エネルギーが最小となる状態における水深 h と比エネルギー Eh の関係を表す式を誘導しなさい. (3) 図 -4 において, 上流側 ( 図の左側 ) において常流が与えられた場合の水面形を,A,B, C の中から 1 つ選びなさい. その際, 水深 h と比エネルギー Eh の関係図を用いて選んだ理由を説明すること. なお, 水面形 B は水平である. 図 -4 長方形断面を有する開水路の縦断図 [ 水理学最終ページ ] 3
平成 31 年度 神戸大学大学院工学研究科博士課程前期課程入学試験 市民工学専攻 専門科目 ( 二 ): 土質力学 問題用紙の枚数 ページ番号 土質力学 3 枚 1, 2, 3 土質力学 解答用紙の枚数 4 枚 ただし, 計算用紙を 1 枚配付 試験日時 : 平成 30 年 8 月 20 日 ( 月 ) 14:30 15:30
専門科目 ( 二 ) 土質力学 [ 土質力学 ] 1. 道路の新設工事に伴い, 図 -1 に示すような盛土 ( 法面勾配 1:1.5, 盛土の長さ 8m) を良好な砂礫地盤上に施工することとなった. 以下の問に答えなさい. (1) 盛土施工用の土試料採取のために, 土取り場にて水置換法により湿潤密度を求めた. 試験孔の容積を測定したところ,0.420m 3 であり, 掘削土の質量は 730kg, この掘削土の含水比を調べた結果,6.5% であった. 土取り場での乾燥密度 ρd (g/cm 3 ), 間隙比 e および飽和度 Sr (%) を求めなさい. ただし, 土粒子の密度は ρs=2.65g/cm 3, 水の密度は ρw=1.00g/cm 3 とする. (2) この土試料を用いて突固めによる土の締固め試験を行ったところ, 最大乾燥密度は ρdmax=1.98g/cm 3, 最適含水比は wopt=10.6% であった. 土取り場での締固め度 Dc (%) を求めなさい. また, 土取り場から運搬してきた土試料を盛土材として撒き出したのちに, 散水して含水比が 13.5% になるように調整後, 重機を使って盛土の締固め度が 90% になるように締固める. 土取り場で採取すべき土の質量, および盛土施工時の散水量 (kg) を求めなさい. ただし, 運搬中の土試料の質量に変化はないものとする. 5m 4m 1.5 1 盛土 砂礫地盤 図 -1 計画されている道路盛土 1
専門科目 ( 二 ) 土質力学 2. 図 -2 に示すような, 上下面を砂層で挟まれた厚さ 6m の正規圧密粘土層より不攪乱試料を採取し, 円柱供試体に成形して段階載荷による圧密試験 ( 両面排水, 初期高さ 20mm) を行った. 以下の問に答えなさい. ただし, 水の単位体積重量 γw=9.81kn/m 3 とし, 粘土層中央部の初期鉛直有効応力は 78.5kN/m 2 とする. (1) 圧密試験の過程で, 鉛直応力を 78.5kN/m 2 から 157kN/m 2 に増加させて 24 時間後の供試体高さを測定したところ,18.52mm から 16.91mm に変化していた. この荷重段階での体積圧縮係数 mv (m 2 /kn) を求めなさい. ただし, 圧密試験時の供試体高さは載荷前後の供試体高さの平均とする. (2) 圧密試験において, この供試体の圧密度が 50% に達する時間を求めたところ, 荷重を 78.5kN/m 2 から 157kN/m 2 に増加させた時点から 3 分を要した. この供試体の圧縮係数 cv (m 2 /day) および透水係数 k (m/sec) を求めなさい. ただし, 圧密度 50% における時間係数を 0.197 とする. (3) 図 -2 に示す地盤に,78.5kN/m 2 の等分布荷重を鉛直下向きに与えた. このとき, 粘土層の最終沈下量の 50% に達する沈下が生じるまでの時間 (day) を求めなさい. 砂層 6m 粘土層 砂層 図 -2 試料採取を行った地盤 2
専門科目 ( 二 ) 土質力学 3. 沖積平野の飽和粘性土地盤からボーリングによって不攪乱試料を採取した. その試料から三軸試験用の供試体を成形し, 圧密非排水三軸圧縮せん断試験を行った. 供試体は, 600kPa で等方圧密され, せん断前には正規圧密状態にある. ゆっくりと軸圧を増加させていくと, 過剰間隙水圧が発生した. 軸圧が 900kPa に達したときに, 供試体は破壊状態 (critical state) に達した. その時の応力の計測値が表 -1 に示されている. 以下の問に答えなさい. (1) 有効応力に基づく, 破壊時のモールの応力円を描き, 有効内部摩擦角 φ を求めなさい. ただし, 有効粘着力 c はゼロとする. (2) この供試体の非排水せん断強度 cu を求めなさい. (3) 横軸に平均有効応力 p を, 縦軸に軸差応力 q をとった応力面 (p -q 面と称する ) 上に, 破壊に至るまでの有効応力経路の略図を示しなさい. ただし, せん断開始時および破壊時の平均有効応力と軸差応力の値, 限界応力比の値を図中に示すこと. (4) 表 -1 のような試験結果が得られる圧密非排水三軸圧縮せん断試験の代わりに, 同じ供試体に対して, 排水コックを開いたまま, 過剰間隙水圧が発生しないように十分にゆっくりとした速度で圧密排水三軸圧縮せん断試験を行うと, 破壊時の軸差応力はいくらになるか, 答えなさい. 表 -1 圧密非排水三軸圧縮せん断試験の結果 ( 単位 :kpa) 軸圧 σ a 側圧 σ r 過剰間隙水圧 u 平均有効応力 p 備考 600 650 700 750 800 850 900 600 600 600 600 600 600 600 0 47 103 170 247 333 450 600 570 530 480 420 350 250 せん断開始 せん断終了 [ 土質力学最終ページ ] 3
平成 31 年度 神戸大学大学院工学研究科博士課程前期課程入学試験 市民工学専攻 専門科目 ( 二 ): 土木計画学 問題用紙の枚数 ページ番号 土木計画学 2 枚 1, 2 土木計画学 解答用紙の枚数 4 枚 ただし, 計算用紙を 1 枚配付 試験日時 : 平成 30 年 8 月 20 日 ( 月 ) 16:00 17:00
専門科目 ( 二 ) 土木計画学 [ 土木計画学 ] 1. 線形計画問題 Maximize f = 2x+ 2y+ 3z x+ z 1 subject to: y + z 1 x 0, y 0, z 0 ( 問題 P) について以下の問に答えなさい.(2) と (4) については, 問題文で指示された解法または手順を用いて最適解を求め, その過程 ( 図解法においては図を含む ) を明記しなさい. (1) 問題 P の双対問題である問題 D を示しなさい. 双対変数には, 問題 P の 1 本目の不等式に相当するものについては u を,2 本目の不等式に相当するものについては v を用いなさい. (2) 問題 D の最適解を図解法で求めなさい. (3) 問題 P と問題 D の相補性条件を示しなさい. (4) (2) の解を (3) に代入することにより, 問題 P の最適解を求めなさい. 2. ( 下に凸な ) 狭義凸関数である f( xy, ) に対する, 制約条件のない最適化問題 Minimize f( xy, ) ( 問題 A) について以下の問に答えなさい.x, y はいずれも任意の実数をとる変数としなさい. また, f( xy, ) は 2 階偏微分可能であるとしなさい. (1) f( xy, ) のヘッセ行列 H を示しなさい. (2) ヘッセ行列 H の固有値 λ1, λ2を用いて, f( xy, ) が ( 下に凸な ) 狭義凸関数であることに対する必要十分条件を記述しなさい. λ 1, λ 2 の値そのものは計算しなくてよい. (3) x, y が問題 A の最適解であることに対する必要十分条件を, f( xy, ) の一階の偏導関数を用いて示しなさい. 1
専門科目 ( 二 ) 土木計画学 3. 2 つの変数に関する n 個のデータ x 1, y 1, x 2, y 2,, x n, y n がある. いま,2 変数の関係が次の非線形回帰方程式で表されるとする. y x = a + bx + cx 2 なお,y x は x が与えられた下での y の条件付き平均値であり,a, b, c は回帰係数である. 回帰係数 a, b, c が最小 2 乗推定値であるとき, n 2 e i x i = 0 が成り立つことを示しなさい. ただし,e i = y i y xi である. i=1 4. A 町は町内を巡回するコミュニティバスの導入を検討する中で, 住民を対象としてコミュニティバスへの支払意思額 ( 月額 ) に関するアンケート調査を実施することとなった. 支払意思額の母集団の平均を μ, 標準偏差を σ と表す. 次の問に答えなさい. (1) 住民 n 人を対象に調査を実施し, 支払意思額の平均 ( 標本平均 ) が X であったとき, 支払意思額に関する信頼係数 95% の信頼区間を変数を用いて表しなさい. なお, 標本サイズが十分に大きいため中心極限定理が適用可能である上, 母集団の標準偏差 σ が既知であるものとする. また, 標準正規分布 N (0, 1) に従う変数 z について, P( z 1.96) = 0.95 である. (2) いま, 母集団の標準偏差 σ が 1,200 円であると見当がつけられている. 信頼係数 95% の下で支払意思額を誤差 ± 200 円以内で推定するためには, アンケート調査の対象者を何人以上にする必要があるか答えなさい. [ 土木計画学最終ページ ] 2
専門科目 ( 二 ) 土木計画学問題訂正 2.(2)2 行目 ( 変更前 ) に対する必要十分条件を ( 変更後 ) に対する十分条件を