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まえがき 材料力学の教科書を見ると 2ページ目から 微分 積分 行列の式などがずらっと並んでいます もう それを見るだけで拒絶反応を起こしてしまう方もおられるのではないでしょうか? 確かに 三次元で評価しようとするとそのような計算が必要になるかもしれませんが 一次元 二次元なら 簡単な式にまとめられ

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2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

Transcription:

第 回材の座屈 (0 章 ) p.5~ ( 復習 ) モールの定理 ( 手順 ) 座屈とは 荷重により梁に生じた曲げモーメントをで除して仮想荷重と考える 座屈荷重 偏心荷重 ( 曲げと軸力 ) 断面の核 この仮想荷重に対するある点でのせん断力 たわみ角に相当する曲げモーメント たわみに相当する ( 例 ) 単純梁の支点のたわみ角 : は 図 を仮想荷重と考えたときの 点の支点反力 B は 図 を仮想荷重と考えたときのB 点の支点反力 ( 復習 ) モールの定理 : 数学的な共通性 ( 復習 ) モールの定理における支点条件 (). 弾性曲線法 荷重と応力の関係 もとの梁の支持条件 d ( ) d Z : Z 荷重 積分 d ( ) dq( ) p( ) d d d d ( ) d C d( ) Q( ) d ( ) dd C C () 微分 共役梁の支持条件 ( ) p() の代わりにを荷重 (Z 荷重 ) として応力図を描けば, 曲げモーメントがたわみに, せん断力がたわみ角に相当する 微分方程式を解く代わりに 応力を求める作業をすればよい

( 復習 ) 分布荷重による全荷重および図心.9 定規を破壊するには!? ( 教科書より ) 分布荷重形状 : n 次式の全荷重および図心位置 ( 一般解 ) h 全荷重 : W n 図心位置 ( 大きい荷重側からの距離 ): X G n 5 7 第 回材の座屈 (0 章 ) p.5~ 身近にある座屈現象 ( 教科書より ) 座屈とは 座屈荷重 偏心荷重 ( 曲げと軸力 ) 断面の核 8

弾性座屈とは ( メモ ) 微分方程式の一般解について 力を増していくと 降伏する前に横に変形して不安定になる現象 このときの力を オイラー座屈荷重 というその特徴は 力の方向とは異なる方向に変位 一般解を示す前に sin 関数,cos 関数,p 関数の特徴を確認ここで,n 階微分を Y (n) で表現 Y sin () Y k cos () Y k sin k Y () Y k cos () Y k sin k Y Y cos () Y k sin () Y k cos k Y () Y k sin () Y k cos k Y 材料強さに無関係 細長さと境界条件で決まる 解析法 微分方程式法, マトリックス法, エネルギ- 原理による近似解法 (Ritz,Gakin) 9 () Y k Y 0 ( 方程式が異なる ) () Y k Y 0 ± が一般解 sin(), cos() が一般解 () Y k Y 0 ( 方程式が同じ ) () Y k Y 0 Y () Y k k Y ( n) n n Y k k Y ± sin(), ± cos() が一般解 座屈現象 ( 両端ピン ): 微分方程式法 () 座屈現象 ( 両端ピン ): 微分方程式法 () ここで, 力をうけて座屈を起こした状態でのつりあいを考える () 一方, の点での曲げモーメントは, ( ) たわみ は微小であると仮定すると, と の関係より d ( ) d d '' 0 '' k 0 d ( 教科書 p.) ( 力 距離 ) ここに k 0 k 0 の一般解は Ccos Csin 境界条件として 0, において 0 C 0, Csin k 0 座屈現象は C =0 以外で発生することから sin k 0 となる n k n,,.... 表 0. 参照 最小座屈荷重 (n=) n c k k c

座屈現象 ( 一端固定 自由端の解法 ) δ.9 では は固定端から 座屈荷重の一般表示 c K ここに K (K: 有効長さ係数 ) : 有効座屈長さ ( 建築では を用いる ) ( 節点の水平移動がある場合 ) K k 微分方程式 : C cos C sin ' kc sin kc cos " k C cos k C sin 境界条件 : 0 で 0 ( '' 0), で 0 k C 0, kc cos k 0 (n ) 意味のある解 : cos k 0 k 最小座屈荷重 : c k ( ) c c () 回転拘束と固定支持 座屈荷重の一般表示 c ここに K (K: 有効長さ係数 ) : 有効座屈長さ ( 建築では を用いる ) K K K ( 節点の水平移動がない場合 ) k 演習 0. mm 0mm 断面図 プラスチック I 0 E 0 N / mm =00mm 0mm.59 注意 ( 単位を統一 ) 断面二次モーメントの小さい方に座屈する c c c 0.7 ) 両端ヒンジ ) 一端固定, 一端自由 ) 一端固定, 一端ヒンジ ) 両端固定 00mm 50mm 00mm 0mm 000 0 c. 9N 00 000 0 c. 09N 00 000 0 c 8. 95N 0 000 0 c 7. 5N 50 5 7

座屈応力度 c c ここに I E : 断面二次半径 : 有効細長比.5 注意! 建築における記号 : i 注意! 建築における記号 :λ ただし, 教科書の λ とは違う 座屈は座屈応力度が小さいほうの軸周りに生じる m 座屈荷重の例 教科書 p.75 問題 5. の 材 m kn 節点に向かう矢は節点から離れる矢は kn 応力 : 5 5 kn ( ) 0 5 kn ( ) 荷重 :kn( ) 境界条件 : 材により拘束されるので両端ピンとする k m ( 面外にも拘束されているとする ) 8 ( 参考 ) 非弾性座屈式 (Johnson 式 ) 座屈荷重の例 ( 続き ) なお, 長期許容応力度 ( 日本建築学会 ) は, 座屈応力度を λ Λ: 安全率.5~.7, λ>λ: 安全率.7 で除した応力度とする ( 教科書では /) SN00B F=5N/mm Λ=9.7 S90B F=5N/mm Λ=0.8 9 材の断面を直径 0mm の鋼棒 (SS00:F=5N/mm ) とする 707mm I 970mm 断面二次半径を求める 細長比を求める I 7.5mm 000 5 7.5 N 000 応力度 : C 5.7N / mm 707 座屈応力度 : c C 5.7 0.8.0 c 7. E..050 5 5 7.N / mm よって 荷重によって 材は座屈しない しかし 荷重が増すと降伏前に座屈する 5

柱の終局応力度 σ u [ 基準強度式 (0.)].5 偏心距離 図心に作用する と は図心から だけ離れた に置き換 えられる ( 第 回目に説明 ) ここで λ は, = 細長比 / 限界細長比 : 偏心距離 ( 細長比パラメータ ) E E = 5 軸力と曲げが作用する部材の応力度.5~ 断面の核 軸力 が図心に働く場合 (+) (-) (-) + 対称軸周りに曲げモーメント が働く場合 + I = 両方が同時に働く場合 弾性では重ね合わせられる = I 偏心距離によって断面内の垂直応力度分布は異なる 断面内に応力度しか生じないような偏心軸力の作用領域を断面の核という が生じる t しか生じない 左図の状態で, を正としてσ t を求め, 断面内でとなる条件を求めると, t 0 Zt Zt h h h

矩形断面の核 h h h B C B E C z 軸上で z 軸上で同様に Zt h h h z B 上の点 E に偏心軸力 E が作用するとすると E は 点 B 点に作用する力 B に分解できる では縁 C が応力度ゼロで他は応力 B では縁 が応力度ゼロで他は応力となるから E 点より内側の点では応力は発生しない したがって 図のひし形内部が矩形断面の核である 7 円形断面の核 円形断面の核は, 定義より以下のようになる, I, Z Z ( 参考 ) 直径で断面性能を表すと,, I, Z 8 7