第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 1 節国税の還付 学習のポイント 1 国税の還付金等とはどのようなものか 2 充当とはどのようなものか 1 還付金等の種類国税の還付には 還付金の還付と過誤納金の還付の二種類があり 還付金と過誤納金を併せて還付金等という (

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自力執行権 ( 徴 47など ) が特別に認められる点を除けば 私債権と同様に取り扱うことが妥当である ( 通 723) 国税の徴収権及び納税者の国に対する還付請求権は 私債権と同様に時効制度が採られている ( 通 ) 徴収権及び還付請求権と私債権との消滅時効における違いは 次表のとお

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

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様式第 2 号 ( 第 7 条関係 ) 住 所 ( 所在地 ) 氏 名 ( 名 称 ) 様 第 号 平成 年 月 日 広島県知事印 産業廃棄物埋立税特別徴収義務者指定通知書 広島県産業廃棄物埋立税条例第 8 条第 2 項の規定により, あなた ( 貴社 ) を平成 年 月 日から産業廃棄物埋立税特別

過納金とは 納付納入の時にはそれに対応する租税債務が存在していたが 結果的に不適法な納付納入となった場合における地方公共団体の徴収金のことであり 1 納付納入の時には一応適法であったものが その申告 更生 決定又は賦課決定が誤って過大にされていたため 後になって減額更正 減額の賦課決定又は賦課決定の

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

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(1) 理由付記等

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でに納付すればよい ロ期限後申告又は修正申告に伴う納付期限後申告又は修正申告に伴う税額は 期限後申告書又は修正申告書を提出した日を納期限として 納税者が自主納付しなければならない ( 通 352 一 ) ただし 相続税又は贈与税について延納 ( 相 3813) が認められた場合には その延納の納期限

に限る ) は その追徴すべき不足税額 ( 当該減額更正前に賦課した税額から当該減額更正に基因して変更した税額を控除した金額 ( 還付金の額に相当する税額を含む ) に達するまでの部分に相当する税額に限る 以下この項において同じ ) については 次に掲げる期間 ( 令第 4 8 条の9の9 第 4

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

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( 相続時精算課税適用者の死亡後に特定贈与者が死亡した場合 ) (6) 相続時精算課税適用者 ( 相続税法第 21 条の9 第 5 項に規定する 相続時精算課税適用者 をいう 以下 (6) において同じ ) の死亡後に当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者 ( 同条第 5 項に規定する 特定贈与者

不動産取得税においては住宅に係る控除額等を控除した額をいい したがつて端数処理はこれらの額について行う (4) 更正又は賦課決定によつて不足税額を追徴する場合 ( 修正申告により税額が増加する場合を含む ) における課税標準額については 当該追徴に係る課税標準額を含めた総体の課税標準額について端数処

議案用 12P

松戸市市税条例等の一部を改正する条例 ( 松戸市市税条例の一部改正 ) 第 1 条松戸市市税条例 ( 平成 27 年松戸市条例第 12 号 ) の一部を次のように改正する 第 11 条中 及び第 2 号 を 第 2 号及び第 5 号 に それぞれ当該各号 を 第 1 号から第 4 号まで に改め 掲

国税通則法施行令新旧対照表

別表六 ( 一 ) 所得税額の控除に関する明細書 1 この明細書の用途この明細書は 法人が当期中に支払を受ける利子及び配当等並びに懸賞金等及び償還差益について課された所得税の額について 法第 68 条第 1 項 (( 所得税額の控除 ))( 復興財源確保法第 33 条第 2 項 (( 復興特別所得税

平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税務上の措置 ( 手続 )FAQ 平成 30 年 7 月広島国税局 平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税制上の措置 ( 手続 ) 等につきまして 照会の 多い事例を取りまとめましたので 参考としてください 目次 Ⅰ 災害にあった場

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

( 督促 ) 第 6 条市長等は 市の債権について 履行期限までに履行しない者があるときは 法令 条例又は規則の定めるところにより 期限を指定してこれを督促しなければならない 2 市長等は 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 以下 法 という ) 第 2 31 条の3 第 1 項に規定す

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

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申告所得税関係 手続名 帳票名平成年分セルフメディケーション税制の明細書 ( 次葉 ) 特定証券投資信託に係る配当控除額の計算書 平成 年分給与所得の源泉徴収票 ( 平成 28 年以降用 ) 平成 年分特定口座年間取引報告書 ( 平成 28 年以降用 ) 平成 年分公的年金等の源泉徴収票 ( 平成

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平成23年度税制改正の主要項目

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【⑨】固定資産税の税額更正に伴う山口市国民健康保険料等過誤納返還金支払事務要領(26_4_1)

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〇本事例集は 平成 31 年 3 月を期限とした個人の確定申告について 国税通則法関連 ( 所得税 の納税地を含む ) の 誤りやすい事例 について取りまとめています 〇本事例集は 誤りやすい事例 を載せた後に 正しい解釈 処理方法を提示しています なお 無用 な文字数 ページ数の増加を避けるため

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131 納付税額の計算 2( 従量税品 ) 1. 課税標準の端数計算 ( 端数処理 ) 次の貨物 ( 従量税品 ) を輸入する場合において 納付すべき関税額 消費税額及び地方消費税額を計算しなさい 貨物 正味数量 申告価格 (CIF) 関税率 消費税率 地方消費税率 B 292,941 枚 878,

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平成 24 年 3 月改正 れないときは 連帯納付義務者に対し その相続税が完納されていない旨その他の事項を通知することとされています ( 旧相法 346) 3 税務署長は 相続税を連帯納付義務者から徴収しようとするときは その連帯納付義務者に対し 納付すべき金額 納付場所その他必要な事項を記載した

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

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東京都地域のデジタル発信力強化支援事業費補助金交付要綱 29 産労観振第 1066 号 平成 3 0 年 4 月 1 日 ( 通則 ) 第 1 条東京都地域のデジタル発信力強化支援事業費補助金 ( 以下 補助金 という ) の交付については 東京都補助金等交付規則 ( 昭和 37 年東京都規則第 1

第 5 章 N

Z 67 H 第一問 国税徴収法解答速報 問 2(35 点 ) (1) イ. 差押えの始期 : 平成 28 年 2 月 1 日ロ. 差押えの要件 : 保全差押納税義務があると認められる者が不正に国税を免れたこと 又は国税の還付を受けたことの嫌疑に基づき 国税犯則取締法の規定により差押若しくは領置 又

(4) 今月下旬に所得税法施行令を改正するとともに 法令解釈通達を発遣し 上記のとおり 保険年金 に係る所得税の取扱いを変更いたします 取扱い変更後 所得税の還付の手続きが可能となります なお 納税者の方々には 次の点にご注意いただく必要があります 所得税が納めすぎとなっていた場合の還付手続きには

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step.2 課税標準額を計算する ( 申告書 1) step.2-1 課税売上高の合計 ( 表イ 16 欄 ) に 100/108 を掛けます 課税売上高 ( 税込み ) = 1 課税標準額 表イ 17 欄を使用します step.2-2 step.2-1 の計算結果 ( 表イ 17

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「公的年金からの特別徴収《Q&A

二いて 同法第二十八条の規定により記録した事項の訂正がなされた上でこの法律の施行の日(以下 施行日 という )以後に当該保険給付を受ける権利に係る裁定が行われた場合においては その裁定による当該記録した事項の訂正に係る保険給付を受ける権利に基づき支払うものとされる保険給付(当該裁定前に生じた保険給付

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

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「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

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た後に その賦課した税額が増加したときに限る ) は その追徴すべき不足税額 ( 当該減額更正前に賦課した税額から当該減額更正に基因して変更した税額を控除した金額 ( 還付金の額に相当する税額を含む ) に達するまでの部分に相当する税額に限る 以下この項において同じ ) については 次に掲げる期間

Taro-土地売買契約書(延納払).j

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186C008地方法人税法案

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Microsoft Word - 資料6-1 個人住民税の特別徴収に係るQ&A(事業者向け)

納税証明書を請求される方へ

- 2 - り 又は知り得る状態であったと認められる場合には この限りでない 2~7 略 (保険料を控除した事実に係る判断)第一条の二前条第一項に規定する機関は 厚生年金保険制度及び国民年金制度により生活の安定が図られる国民の立場に立って同項に規定する事実がある者が不利益を被ることがないようにする観

げる期間 ( 令第 48 条の9の9 第 4 項各号に掲げる市民税にあつては 第 1 号に掲げる期間に限る ) を延滞金の計算の基礎となる期間から控除する 第 40 条の各納期限の翌日から当該減額更正に基因して変更した税額に係る納税通知書が発せられた日までの期間当該減額更正に基因して変更した税額に係

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 9 市税等に関する賦課徴収事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 奈良市は 市税等に関する賦課徴収事務における特定個人情報ファイルを取り扱うにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利

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step.2 課税売上高の合計を計算する します step.21 欄の内容を転記します 表ロ 1~3 欄にそれぞれ記入します step.22 を転記します 表ロ 4~6 欄にそれぞれ記入します step.23 容を転記します 表ロ 7~9 欄にそれぞれ記入します step.24 その他の所得に係る収

9 試験研究費の額に係る法人税額の特別控除額 2 10 還付法人税額等の控除額 3 11 退職年金等積立金に係る法人税額 4 12 課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額 の5の欄 ) リース特別控除取戻税額( 別表 1(2) の5の欄又は別表 1(3)

時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され かつ その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより 所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので この特例の適用は受けられません 2 取得費に加算される金額平成 26 年度の改正前は 相続財産である土地等の一部を譲渡し

税法I(第01回)

Ⅰ 年の中途で行う年末調整の対象となる人 年末調整は 原則として給与の支払者に 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( 以下 扶養控除等申告書 といいます ) を提出している人について その年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますので 通常は12 月に行うこととなりますが 次に掲

二頁第十一条の五中 掲げる者 を 定める者 に 次条及び第十一条の七 を 及び次条 に改める 第十一条の七中 その親族 を 生計を一にする親族 に 同族会社( を 被支配会社(当該納税者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に法人税法第六十七条第二項に規定する会社に該当する会社をいい に改

Ⅲ 納付 [Q10] 申告 納付等の期限の延長が認められた場合 延滞税 利子税はどのようになりますか また 加算税は賦課されますか 7 [Q11] 今般の北海道胆振東部地震により被害を受けましたが 納税の猶予はどのような場合に受けることができますか 8 [Q12] 納税の猶予の 相当の損失 とはどの

Ⅲ 納付 [Q6] 申告 納付等の期限の延長が認められた場合 延滞税 利子税はどのようになりますか また 加算税は賦課されますか 7 [Q7] 今般の熊本地震災害により被害を受けましたが 納税の猶予はどのような場合に受けることができますか 8 [Q8] 納税の猶予の 相当の損失 とはどの程度の損失を

東日本大震災に係る復興財源確保法関係 ( 平成 23 年 12 月 ) Ⅰ 復興特別所得税創設の趣旨 東日本大震災 ( 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいいます ) からの復興を図ることを目的として 東日本大震災復興基本法 (

相続税の改正 -平成23年度税制改正大綱

原則課税申告書本表 ( 原則計算方式 ) 税率が 3% 5% の取引がある場合 項目 金額 課税標準額 1 付表 1 の1[ 課税標準額 (D)] 消費税額 2 付表 1 の2[ 消費税額 (D)] 控除過大調整税額 3 付表 1 の3[ 控除過大調整税額 (D)] 控除税額控除対象仕入税額 4 付

準用する政令第 6 条の 25 第 1 号に定める金額 11 市町村民税の 申告書 空欄は 次のように記載します (1) 法人税の中間申告書に係る申告の場合は 中間 (2) 法人税の確定申告書 ( 退職年金等積立金に係るものを除きます ) 又は連結確定申告書に係る申告の場合は 確定 (3) (1)

定期金に関する権利の評価(定期金給付事由が発生しているもの)

3 所得税の控除限度額の算 所得税額 1 所得総額 2 国外所得総額 3 控除限度額 (1 3 2 ) 4 4 復興特別所得税の控除限度額の算 復興特別所得税額 5 所得総額 6 国外所得総額 7 7 控除限度額 (5 ) 8 6 2のF の金額がある場合には その金額を雑所得の総収入金額に算入して

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13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

世帯に付き10,000 円以内とする 2 助成金の交付の対象となる空気調和機器の稼働期間 ( 以下 交付対象期間 という ) は 7 月から10 月までとする 3 助成金の交付の申請をした者 ( 以下 申請者 という ) が 交付対象期間の一部について第 6 条に規定する資格に適合しない場合は 助成

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

2 手数料の決定 (1) 証紙徴収すべき手数料額は次により決定 し 請求書に貼付させること 一税目につき 400 円 年度数 証明書請 求枚数 ( 交付通数 ) なお 年度数については 次表の区分の 異なるごとに 1 件とする 税目区分 法人県民税 法人事業税 個人事業税 ゴルフ場利用税 軽油引取税

厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律

ワコープラネット/標準テンプレート

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第 1 節国税の還付 学習のポイント 1 国税の還付金等とはどのようなものか 2 充当とはどのようなものか 1 還付金等の種類国税の還付には 還付金の還付と過誤納金の還付の二種類があり 還付金と過誤納金を併せて還付金等という ( 通 561) ⑴ 還付金還付金は 国税に関する法律において 予定 ( 中間 ) 的に納付することが義務付けられている税額が後日確定額を超えることとなった場合などに還付するものである なお 主な還付金は次表のとおりである 区分還付金の内容根拠条文 予定的な納税義務が確定したことに基づくもの税額を通算して計算するため認められるもの所得を通算して計算するため認められるもの租税負担の適正化を図るために認められるもの主として政策的理由に基づいて認められるもの 所得税の予納税額の還付金法人税の中間納付額の還付金消費税の中間納付額の還付金所得税法における源泉徴収額などの還付金法人税法における所得税額の還付金消費税法における消費税額の控除不足の還付金所得税法における純損失の繰戻しによる還付金法人税法における欠損金の繰戻しによる還付金酒税などの課税物件が戻し入れされたことなどによる還付金災害を受けたことによる還付金仮装経理に基づく過大申告の場合の還付金たばこ税などの課税済物品の輸出などをした場合の還付金 所 13912 160123 法 7912 13412 消 531 5512 所 1381 15912 法 781 1331 消 521 541 所 1401 1411 法 801 酒 3045 揮 1734 石 15 45 地揮 91 油 1234 た1645 災 323 74 91 法 1351 た151-83-

⑵ 過誤納金還付金が各税法の定めに基づいて発生するのに対して 過誤納金は 法律上 国税として納付すべき原因がないのに納付された金額で 国の一種の不当利得に係る返還金である なお この過誤納金は 次の二つに分かれる イ過納金過納金は 納付時には納付すべき確定した国税があったが 減額更正や不服審査の裁決などにより 後になってその納付すべき国税が消滅した結果 発生するものである ロ誤納金誤納金は 国税として納付されたが それに対応する国税債務がない場合に発生するものであり 次がその例である 1 納付すべき国税の確定前に納付があった場合 2 納付すべき税額は確定しているが 納期開始前に納付があった場合 ( これらの納付金で予納要件に該当するものを除く ) 3 確定した納付すべき税額を超えて納付があった場合 2 国税の還付 ⑴ 金銭による還付還付金等があるときは 印紙納付又は物納など当初の納付手段にかかわらず 遅滞なく金銭で還付するのが原則である ( 通 561) ⑵ 還付を受ける者還付を受ける者は 原則として還付金の原因となった国税及び過誤納の国税を納付した者である 3 未納国税への充当 ⑴ 充当の意義還付金等が発生した場合 その還付を受ける者に納付すべき国税が別にあるときは 納税者の意思にかかわらず その還付をしないで その納付すべき国税に充てる これを充当といい 国税債権を消滅させる一つの行為として 民法の相殺と同様の効力がある ( 通 571 民 505) ただし 民法の相殺は 当事者の一方から他方に対する意思表示によって行われ 相殺を禁止する旨の特約があるときは相殺ができないのに対し 未納の国税への充当は 強行規定によるものであるため 当事者の反対の意思表示は許されない ⑵ 充当の効果及び充当適状充当があった場合には 充当をするのに適することとなった時 ( これを 充当適状の時 という ) に その充当をした還付金等に相当する国税の納付があったものとみなされる ( 通 572) 充当が行われた場合には 充当適状の時に遡って効力を生じ -84-

特例 充当適状の時に 充当をした還付金等とその還付金等に相当する額の納付すべき税額とが相互に同額で消滅する 充当適状の時は 原則として 充当される国税の法定納期限と還付金等が発生した日とのいずれか遅い日である ( 通 572 通令 231) ⑶ 充当の手続還付金等を未納の国税に充当する場合は その国税に本税のほか 延滞税又は利子税があるときは まず本税に優先的に充当する ( 通 571) また 納税者に対して 充当通知書により通知する ( 通 573) 参考 充当適状になった時の一覧表 区分内容 原則 納付すべき国税の法定納期限を経過する時と還付金等が生じた時とのいずれか遅い時 ( 通令 23 1 本文 ) 次に掲げる国税については 左記にかかわらず各々の期限と還付金等が生じた時とのいずれか遅い日 次に掲げる国税については それぞれ次に掲げ 1 災害などによる納期限の延長があった国る時と還付金等が生じた時とのいずれか遅い時税 ( 通 11) 延長期限 1 法定納期限後に納付すべき税額が確定した 2 災害による相当な損失の場合の納税の猶国税 ( 過怠税を含み3を除く )( 通令 231 一 予に係る国税 ( 通 461) 猶予期限四 ) 3 延納に係る国税 ( 所 131 132 相 38) ⑴ 申告があった時 延納期限 ⑵ 更正 決定通知書又は納税告知書を発した時 2 法定納期限前に繰上請求がされた国税 ( 通令 231 二 ) 繰上請求期限 3 加算税 ( 通令 231 六 ) 賦課決定通知書を発した時 4 保証人又は第二次納税義務者として納付すべき国税 ( 通令 231 七 ) 納付通知書を発した時 5 滞納処分費 ( 通令 231 八 ) その生じた時 参考法令 通達番号 通基通 ( 徴 )57-1 -2-85-

第 2 節還付加算金 学習のポイント 還付加算金とはどのようなものか 1 還付加算金の意義 国税の納付遅延に対し延滞税が課されることとの権衡等から 還付金等には一種の利 息に当たる金額を加算する この金額が還付加算金である ( 通 58) 2 還付加算金の計算還付金等には 次の表にある起算日から還付の支払決定日又は充当日 ( 充当日前に充当適状日がある場合は その充当適状日 ) までの期間の日数に応じ 年 7.3パーセントと特例基準割合 (48ページ参照) のいずれか低い割合の還付加算金が加算される ( 通 581 措 95) 参考 還付加算金の起算日一覧表 還付金等の区分 還付加算金の起算日 1 還付金及び次に掲げる過納金還付金又は過納金に係る国税の納付があった日 ⑴ 更正 決定又は賦課決定により確定した ( この日が法定納期限前である場合は法定納期税額が減額されたことにより生じた過納金限 ) の翌日 ( 通 581 一 ) ( 次の2の過納金を除く )( 通 581-イ ) ⑵ 納税の告知がされた確定手続を要しない国税が減額されたことにより生じた過納金 ( 通 581- ロ ) ( 注 ) 還付金については 上記のほか 各個別税法にも規定されている ⑶ 所得税の予定納税額が減額されたことにより生じた過納金 ( 通令 241 一 ) 2 更正の請求に基づく更正により税額が減額されたことにより生じた過納金 ( 通 581 二 ) 3 上記 1 及び 2 以外の次に掲げる過誤納金 更正の請求があった日の翌日から起算して 3 月を経過する日とその更正があった日の翌日から起算して 1 月を経過する日とのいずれか早い日の翌日 ( 通 581 二 ) ⑴ 申告により確定した税額が更正の請求によることなく更正により減額されたことにより生じた過納金 ( 通令 242 一 ) ⑵ 源泉徴収等による国税で納税の告知がされていないものの過誤納金 ( 通令 242 二 ) ⑶ その他の過誤納金 更正通知書を発した日の翌日から起算して 1 月を経過する日の翌日 ( 通 581 三 通令 242 一 ) 過誤納の事実を確認した日の翌日から起算して 1 月を経過する日の翌日 ( 通 581 三 通令 242 二 ) 過誤納金に係る国税の納付があった日 ( その日が法定納期限前であるときは法定納期限 ) の翌日から起算して 1 月を経過する日の翌日 ( 通 581 三 通令 242 五 ) -86-

( 還付加算金の算式 ) 還付すべ き金額 7.3% 又は税法に定められた日 から支払決定日又は = 還付加算金の額特例基準割合充当日まで 10,000 円未満の端数切捨て ( 通 1204) 365 100 円未満の端数切捨て 1,000 円未満切捨て ( 通 1203) 3 還付加算金などの端数処理 還付金等及び還付加算金の端数処理は 次表のとおりである ( 通 120) 区分適用金額端数処理方法 還 付 金 等還付金等の金額 計算の基礎となる還付金等の金額 還付加算金 確定金額 ( 支払うべき金額 ) 1 円未満の端数切捨て全額 1 円未満は 1 円 10,000 円未満の端数切捨て全額 10,000 円未満切捨て 100 円未満の端数切捨て全額 1,000 円未満切捨て 設例 1-1 減額更正により発生した過納金に対する還付加算金の計算 ( 原則 ) 1 更正 決定等により確定した税額 340,000 円 2 納付状況 7 月 15 日 340,000 円 3 減額更正により確定した税額 9 月 30 日 40,000 円 4 過納金 (2-3) 300,000 円 5 還付のための支払決定 10 月 15 日 答 300,000 円 7.3% 92 日 (7/16~10/15) 365 日 = 5,520 円 100 円未満の端数を切り捨てて5,500 円となる 設例 1-2 減額更正により発生した過納金に対する還付加算金の計算 ( 特例基準割合適用 ) 1~5 は 設例 1-1 と同じ 6 特例基準割合は 1.6% とする 答 300,000 円 1.6% 92 日 (7/16~10/15) 365 日 = 1,209 円 100 円未満の端数を切り捨てて 1,200 円となる -87-