第 13 回近畿分析試薬研究会 クロスコンタミについて 協和メデックス ( 株 )

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CRP 男性基準値女性基準値試料 -1 試料 -2 施設番号測定装置試薬名単位下限上限下限上限測定値 SDI 測定値 SDI 1 TBA-200FR, 200FR NEO, TBA-2000FR 東芝ラテックス比濁法 汎用機 N-アッセイ LA CRP-T ニットーボーニットーボーメディカル 0 0

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TC TG HDL-C LDL-C GLU HbA1c 慶應義塾大学病院早川富夫

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CRP 施設番号 測定装置 試薬名 1 TBA-200FR, 200FR NEO, TBA-2000FR 東芝 ラテックス比濁法 汎用機 N-アッセイ LA CRP-T ニットーボー ニットーボーメディカル mg/dl 2 AU400, AU480, AU

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2 Vol. 17, No.1, 2009

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本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因

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JAB RM300:2014 JAB RM300: /

2 129-B*-006P 129-B*-007P C*-004P 129-D*-001P ADH B*-006P B*-007P C*-004P D*-001P Na

パナテスト ラットβ2マイクログロブリン

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血糖高いのは朝食後のため検査項目 下限値上限値 単位名称 9 月 3 日 9 月 6 日 9 月 15 日 9 月 18 日 9 月 21 日 9 月 24 日 9 月 28 日 10 月 1 日 10 月 3 日 10 月 5 日 10 月 9 日 10 月 12 日 10 月 15 日 10 月

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

(1) ) ) (2) (3) (4) (5) (1) (2) b (3)..

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[ はじめに ] 本医師会臨床検査精度管理調査が例年通り実施されますが 本医師会より 報告の誤記 を防ぐため に検査薬メーカーにも協 が求められていますので 参考として弊社試薬の回答記 例を作成しました サーベイ調査票の 回答票 への記 に際しては 本医師会発 の調査票の参考としてご使 下さい また

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第43号(2013.5)

/12/28 UP 3+, TP 4.2g/dl, Alb 1.9g/dl PSL 50mg/day 1/17 PSL 45mg/day PSL 2006/4/4 PSL 30mg/day mpsl mpsl1000mg 3 2 5/ :90 / :114/64 mmhg

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Ⅱ. 参加番号および参加費 参加コースは 1~13 に分かれています 1~13 までの参加番号より 申し込みを希望する番号を選択してください ただし 実施項目が重複する参加番号の組み合わせは選択できません ( 例 :1 番と 11 番 2 番と 3 番 4 番と 5 番 6 番と 7 番 等 ) 参

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品目 1 四アルキル鉛及びこれを含有する製剤 (1) 酸化隔離法多量の次亜塩素酸塩水溶液を加えて分解させたのち 消石灰 ソーダ灰等を加えて処理し 沈殿濾過し更にセメントを加えて固化し 溶出試験を行い 溶出量が判定基準以下であることを確認して埋立処分する (2) 燃焼隔離法アフターバーナー及びスクラバ

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オキサゾリジノン系合成抗菌剤リネゾリド点滴静注液 リネゾリド注射液 配合変化表リネゾリド点滴静注液 組成 性状 1. 組成 本剤は 1 バッグ中 (300mL) に次の成分を含有 有効成分 添加物 リネゾリド 600mg ブドウ糖 g クエン酸ナトリウム水和物 クエン酸水和物 ph 調節

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巻 頭 言

Transcription:

第 13 回近畿分析試薬研究会 2009.11.11 クロスコンタミについて 協和メデックス ( 株 )

クロスコンタミとは? コンタミネーション (contamination): 汚染のこと 略してコンタミと呼ばれることが多い コンタミネーションの分類 : 二つのパターン 1 環境中の異物が実験系に混入する 混入したものの影響によって実験失敗につながる 2 環境から隔離されて封じ込められていた実験材料が生活環境に漏れ出す 生化学検査においてはデータの誤報告につながり 大きな問題となる

クロスコンタミを生じる要因 (1) 試薬の要因 1. 試薬組成 反応生成物 2. 試薬の変化 コンタミ (2) 装置の要因 1. セル プローブ 攪拌棒汚染 キズ 2. 装置の老朽化 洗浄不足 (3) 運用方法の要因 1. メンテナンス不足 2. 試薬の継ぎ足し 3. 人 ( 操作 ) 3

(1) 試薬の要因 1) 試薬組成 反応生成物 測定に関与するものの直接混入 ピペット 攪拌棒 セルを介した混入 2) 試薬の反応へ間接的に影響するものの混入 保冷庫内の気化ガスの試薬への混入により ph の変動等試薬が変化して測定値に影響 コンタミ防止の取り組み 試薬 : コンタミ防止技術 試薬の安定性向上運用 : 測定順番 試薬の位置 ボトルサイズ 形状の工夫 コンタミ防止操作などで軽減可能

(2) 装置の要因 1) セル ピペット 攪拌棒等装置の汚れ キズ 2) 装置の老朽化 洗浄不足 長期間使用による消耗 汚れの付着処理速度アップにより洗浄時間減少 コンタミ防止の取り組み 装置 : ピペットの材質 コーティング 超音波攪拌等で 付着防止測定順番 コンタミ回避 P インテリジェンス機能運用 : 定期的な洗浄 消耗部品交換

(3) 運用方法の要因 1) メンテナンス不良 洗浄不足 定期交換未実施 純正洗剤の未使用 2) 試薬の継ぎ足し 汚染物質の蓄積 濃縮 誤混入リスク コンタミ防止の取り組み 運用 : メーカー推奨洗剤による定期的な洗浄 消耗部品交換運用 : 試薬ポジション 測定順番の工夫運用 : 継ぎ足し方法の工夫 ( 推奨はできない )

クロスコンタミ防止策のまとめ (1) 試薬の要因試薬の改良コンタミ防止技術 複合要因 (2) 装置の要因洗浄能力の向上材質等の工夫コンタミ防止機能 (3) 運用方法の要因運用方法の工夫推奨メンテナンス 試薬と装置の一体化 ( 専用試薬化 ) 個々の問題に対するコンタミ防止効果大 / 複合すると??? コンタミを完全になくすことは不可能だが 3 者 ( 試薬メーカー 装置メーカー 施設 ) の協力により コンタミを最小限にすることは可能 7

コンタミ事例紹介

試薬を要因とするコンタミ 試薬の中に含まれる成分 ( 試薬組成 ) の影響 反応に関与するもの 生成物の影響 試薬 反応液の波長の影響

測定物が試薬に含まれる事例 ALT( 試薬組成 ) トリス緩衝液 100 mmol/l ph(30 ) 7.5 LDH 2000 U/L NADH 0.16 mmol/l L-アスパラギン酸 300 mmol/l α-ケトグルタール酸 13 mmol/l 試薬添付文書より

反応に関与するものが含まれる事例 < 第一反応 > エステル型コレステロール T-cho( 反応生成物 ) コレステロールエステラーセ FC,TG リハ ーセ 遊離型コレステロール + 脂肪酸 NEFA < 第二反応 > 遊離型コレステロール + O 2 コレステロールオキシタ ーセ コレステノン + H 2 O 2 2H 2 O 2 +4-AA+DOSE*+H 3+ O ハ ーオキシタ ーセ 青紫色キノン色素 +5H 2 O *DOSE:Sodium N-(3,5dimethoxyphenyl)-N -succinylethylenediamine

反応に関与するものが含まれる事例 < 第一反応 > 遊離ク リセロール +ATP TG( 反応生成物 ) ク リセロールキナーセ ク リセロール -3- リン酸 + ADP ク リセロール-3-リン酸オキシタ ーセ ク リセロール-3-リン酸 + O 2 シ ヒト ロキシアセトンリン酸 + H 2 O 2 カタラーセ 2H 2 O 2 H 2 O 2 + O 2 FC TG < 第二反応 > NEFA リハ ーセ リホ フ ロテインリハ ーセ 中性脂肪 + H 2 O ク リセロール + 脂肪酸 ク リセロール +ATP ク リセロールキナーセ ク リセロール -3- リン酸 + ADP ク リセロール -3- リン酸 + O 2 ク リセロール -3- リン酸オキシタ ーセ シ ヒト ロキシアセトンリン酸 + H 2 O 2 2H 2 O 2 +4-AA+DOSE*+H 3+ O ハ ーオキシタ ーセ 青紫色キノン色素 +5H 2 O *DOSE:Sodium N-(3,5dimethoxyphenyl)-N -succinylethylenediamine

波長の影響を受ける事例 1.0 < 試薬吸収スペクトル > デタミナー L LAP テ タミナー L LAP R1 テ タミナー L LAP R2 UV 法 ( 波長 340nm) で エント ホ イントアッセイの試薬に影響 吸光度 (ABS) 0.8 2.0 0.6 1.8 1.6 0.4 1.4 1.2 0.2 1.0 0.8 0.0 0.6 200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 0.4 700 750 800 吸光度 (ABS) デタミナー ALP テ タミナー ALP R1 テ タミナー ALP R2 日立 -U3000 分光光度計 波長 (nm) 0.2 0.0 200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 750 800 日立 -U3000 分光光度計 波長 (nm)

波長の影響を受ける事例 主波長 600nm で ALB TP のスペクトルが重なる為 試薬プローブ 攪拌棒の汚れがあると ALB TP の後では正誤差を受ける ALB は試薬の粘度が高く セル プローブ 攪拌棒に残りやすい

クロスコンタミの事例まとめ 測定物を含む試薬の影響 反応に関与するものや反応生成物の影響 試薬 反応液の波長の影響 影響を与える項目影響を受ける項目原因 ChE ( リン酸 Buffer 試薬 ) CK ALP GLU HDL-C TG BUN (Mg 含有試薬 ) IP 試薬にリン酸を含有 Mg 試薬に Mg を含有 AMY Ca 試薬にCaを含有 ALT LDH 試薬にLDHを含有 HDL-C ( コール酸系界面活性剤を含む試薬 ) 胆汁酸 試薬にコール酸を含有 脂質項目 リハ ーセ FC 試薬にLPLを含有 NEFA TG HDL-C TG CRE CHODが過酸化水素生成 ビリルビン 発色剤と4AAを含む試薬 ビリルビンオキシダーゼで発色 GA 酵素系 免疫抗体 薬剤 プロテアーゼが蛋白を分解 ALP LAP IP GLU 試薬が340nmに吸収 (UV 法でエント ホ イント試薬 ) ALB TC TG etc 試薬の発色が影響

装置を要因とするコンタミ 経年変化による装置の洗浄能力の低下 セル プローブ 攪拌棒の汚れ プローブ内壁の汚れ インテリジェンス機能の影響

装置の洗浄能力の低下 機器導入時のセルコンタミテスト結果 A 社ヒ ヘ ッティンク 方式機種 ( 反応セル ) リハ ーセ 影響を与える項目 LD AST ALT ALP GGTP Mg ChE AMY CPK TP Lipase 32 33 32 33 33 31 32 31 33 32 機器導入後 1 年後時のセルコンタミテスト リハ ーセ ALB BUN GLU UA CRE IP TG TC HDL-C LDL-C 32 33 34 33 33 33 34 34 34 34 影響を与える項目 機器導入後に試薬干渉が現れる例 機器導入後半年で突然リハ ーセ の ばらつき が大きくなった LD AST ALT ALP GGTP Mg ChE AMY CPK TP Lipase 40 40 40 40 40 40 40 41 40 40 ALB BUN GLU UA CRE IP TG TC HDL-C LDL-C 40 41 40 40 40 40 50 49 45 44

プローブの汚れ ( メンテナンス前後 ) 試薬プローブ サンプルプローブ 前 前 後 後 80% エタノール拭き取り

攪拌棒の汚れ ( メンテナンス前後 ) 攪拌棒 攪拌棒 前 前 後 後 80% エタノール拭き取り

プローブ内壁の汚れ サンプルプローブ内壁の蛋白 ( 血清 ) 付着 メンテナンスによる傷 ( マント リン線 ) プローブ内径の縮小 処理能力向上による洗浄時間の短縮

インテリジェンス機能の影響 インテリシ ェンス機能 処理速度が遅くならないように測定順番を考慮する機能 洗剤洗浄が機能しない場合 洗浄フ ロク ラムを設定しても影響が回避できない項目の組み合わせもある 試薬フ ローフ 洗浄フ ロク ラム設定 TG リハ ーセ アルカリ洗剤 ( 実例日立 -7170S) 項目の組み合わせ 洗浄フ ロク ラム設定後の動作 回避 TG リハ ーセ TG 洗剤 リハ ーセ TG リハ ーセ CPK TG CPK リハ ーセ

その他 : 気化ガスの影響 試薬設定位置における悪影響試薬庫内での蒸散 (Fe: 亜硫酸カ ス UA) UA Calib 試薬開封時 Blank 1 1 Std 771 5 Assay Assey 試薬開封時 10-4 Abs 1 日後 mg/dl 1 日後 該当スタンタ ート のタイムコース 吸 光 度 黒字 : キャリブ不良時青字 : 試薬交換時 H 2 O 2 の消費 ph 変化 Cont L 4.5 0.0 Cont H 8.1 0.0 検体 1 3.5-0.1 検体 2 4.6 0.0 R1+Sample R2 測定ホ イント ( 引用文献 : 臨床病理試薬蒸散に起因する他検査試薬へ影響とその対策 ) 試薬ポジションを離すことで改善

事例紹介 : 尿酸値が 0 になる

現象 日立 7600-110 D モジュール ルーチン検体を測定していると 尿酸の測定値が しだいに低くなり 最後には 0 になる この現象が発生した時は 攪拌棒が汚れている 攪拌棒に糸クズの様な物が付着している 攪拌棒の清掃でデータは正常になる

チャンネル 1ライン 2ライン 3ライン 4ライン UA CRE BUN GLU Ca Mg IP B2MG GOT TP HDL GPT CRP T-BIL Fe γ GTP 原因 CRP の攪拌棒からのコンタミ

試薬の添加試験 プール血清に CRP の R1 R2 を 5% 添加 対象 : プール血清に生理食塩水を 5% 添加 試料 1 試料 2 試料 3 試料 4 試料 5 生理食塩水プール血清 + 生理食塩水プール血清 +CRP R1 プール血清 +CRP R2 プール血清

結果 項目 T P G O T G P T r - G T T - B I L F e B U N C R E U A C a I P M g H D L G L U B 2 M G ベース P O O L + C R P R 1 ベース P O O L + C R P R 2 6. 4 6. 4 6. 4 6. 4 1 6 1 3 1 6 1 5 1 4 1 4 1 4 1 4 3 1 3 2 3 1 3 2 0. 3 9 0. 2 9 0. 3 9 0. 4 0 7 1 7 3 7 1 7 1 5 5 5 5 5 5 5 6 8. 4 8. 1 8. 4 8. 3 6. 4 0. 0 6. 4 6. 3 9. 3 9. 4 9. 3 9. 8 5. 9 3. 3 5. 9 5. 8 2. 5 2. 8 2. 5 2. 7 4 3. 8 3 3. 1 4 3. 8 4 4. 9 1 0 4 1 0 2 1 0 4 1 0 4 2. 3 2. 0 2. 3 2. 7

チャンネルの変更 1ライン 2ライン 3ライン 4ライン UA CRE BUN GLU Ca Mg IP B2MG GOT TP HDL GPT γ-gtp T-BIL Fe CRP 原因 4AA-POD 系に影響を与える CRP の R1 に含まれる還元性物質のコンタミ

まとめ < コンタミ回避の現状の問題点 > 新規導入機種においてクロスコンタミテストを実施して影響が無い組み合わせで機器を使用しても しばらくしてから影響が現れる項目の組み合わせがあります メーカーや機械により影響の有無 大小は異なります 市場にあるすべての項目について情報がある訳ではありません 複合コンタミやインテリジェンス機能の影響回避は困難です

まとめ コンタミをゼロにすることは困難 装置メーカー 試薬メーカーの情報の活用 ( 過去のコンタミ経験 ) 推奨する測定方法での分析 ( 指定の試薬 洗剤の使用 ) コンタミを最小限にすることは可能です!

まとめ 弊社の対応 : すべてのコンタミの組み合わせの把握は困難ですが 経験より情報を蓄積し 情報提供に努めます お客様の対応 : メーカー推奨洗剤の使用 日常 定期メンテナンスの実施 装置導入時に認められないコンタミも 可能性のある組み合わせは コンタミ回避プログラムの設定をお薦めします

試薬メーカーからのお願い 基本的に試薬の継ぎ足しはおやめ下さい やむなく試薬の継ぎ足しをする場合は 異なるロットの継ぎ足しは不可 継ぎ足しは 1 回だけ ( 継ぎ足した試薬の期限が曖昧 ) 試薬を継ぎ足した後は転倒混和 開封後の使用は期限内に使用 試薬ホ トルは新しいものを使用 ( 新しいボトルに継ぎ足し ボトルを月 1 回交換 ) 洗浄したホ トルは 試薬ごとに固定する 継ぎ足し後はキャリフ レーションを必ず実施 管理血清の値の確認をする 継ぎ足しが出来ない試薬もあるので要注意

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参考資料

結果 試料 1 試料 2 試料 3 試料 4 試料 5 T P GO T GPT r- GT T - B IL Fe B U N C RE 0.0 1 0-1 0.0 1 0 0-0.1 0.0 1 0-1 0.0 1 1 0 0.0 0.0 1 0-1 0.0 1 0 0 0.0 6.4 1 6 1 5 3 1 0.4 0 7 1 5 5 8.3 6.4 1 6 1 3 3 1 0.3 9 7 1 5 5 8.4 6.4 1 6 1 4 3 1 0.3 9 7 1 5 5 8.4 6.4 1 4 1 4 3 2 0.2 9 7 3 5 5 8.1 6.4 1 2 1 4 3 2 0.2 9 7 4 5 5 8.1 6.4 1 3 1 3 3 2 0.2 8 7 3 5 5 8.1 6.4 1 4 1 3 3 1 0.4 0 7 1 5 6 8.4 6.4 1 6 1 5 3 3 0.3 9 7 1 5 6 8.3 6.4 1 6 1 4 3 2 0.4 0 7 1 5 6 8.3 6.5 1 5 1 5 3 3 0.4 0 7 1 5 7 8.4 6.5 1 4 1 4 3 3 0.3 9 7 1 5 7 8.3 6.5 1 7 1 4 3 3 0.4 0 7 0 5 7 8.3

結果 試料 1 試料 2 試料 3 試料 4 試料 5 U A C a IP M g H D L C RP GLU M G 0.0 0.1 0.0 0.1 0.0 0.0-1 0 0.0 0.0 0.0 0.0-0.1 0.0-1 0 0.0 0.0 0.0 0.0-0.1 0.0-1 0 6.4 9.2 5.9 2.5 4 3.2 0.9 1 0 5 3 6.3 9.3 5.8 2.5 4 4.7 0.9 1 0 4 2 6.4 9.3 5.9 2.6 4 3.4 0.9 1 0 3 2 0.0 9.5 3.3 2.8 3 2.9 0.9 1 0 3 2 0.0 9.4 3.3 2.8 3 3.0 0.9 1 0 1 2 0.0 9.4 3.3 2.7 3 3.3 0.9 1 0 3 2 6.3 9.8 5.8 2.7 4 3.1 0.9 1 0 4 3 6.3 9.9 5.9 2.7 4 4.7 0.9 1 0 4 2 6.3 9.8 5.8 2.7 4 6.9 0.9 1 0 4 3 6.4 9.4 5.9 2.4 4 3.5 0.9 1 0 3 3 6.3 9.4 6.2 2.5 4 5.5 0.9 1 0 3 2 6.3 9.5 5.7 2.4 4 3.2 0.9 1 0 4 3

反応生成物 T-CHO 第一反応 エステル型コレステロール コレステロールエステラーセ 遊離型コレステロール + 脂肪酸 第二反応 遊離型コレステロール + O 2 コレステロールオキシタ ーセ コレステノン + H 2 O 2H 2 O+4-AA+DOSE*+H 3+ O ハ ーオキシタ ーセ 青紫色キノン色素 +5H 2 O *DOSE:Sodium N-(3,5dimethoxyphenyl)-N -succinylethylenediamine 協和メデックス株式会社 学術部

試薬メーカーからのお願い データクレームが発生したときの確認事項 キャリブレーションデータ 管理血清値のデータ 異常検体の反応タイムコース 現象の把握 試薬継ぎ足しの有無 機器チャンネル設定 機器メンテナンス情報

測定値のバラツキ要因 吸光光度分析の特性要因図 分析手技 試薬 測光計 測定者 純度 光源 マニュアル 施設特性測定環境 ph 容量光路安定化剤 波長 検出器 測定原理 測定値 共存物質均質性 容量 容量 溶媒 校正間隔 推定式 前処理 採取 安定性均質性 真度 測定回数 数理モデル 試料 標準物質 校正 ( 検量線 ) 検査と技術 Vol.34 No.7(2006.7) 39 不確かさ の概念と算出法細萱茂実先生