統計リテラシー自己効力感尺度日本語版の作成

Similar documents
Exploring the Art of Vocabulary Learning Strategies: A Closer Look at Japanese EFL University Students A Dissertation Submitted t

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

Microsoft Word - 209J4009.doc

(Microsoft Word

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名小山内秀和 論文題目 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 読者が物語世界に没入する体験を明らかにする測定ツールを開発し, 読解における役割を実証的に解明した認知心理学的研究である 8

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)のポイント

The Japanese Journal of Health Psychology, 29(S): (2017)

過去の習慣が現在の習慣に与える影響 インターネットの利用習慣の持ち越し 松岡大暉 ( 東北大学教育学部 ) 1 問題関心本研究の目的は, インターネットの利用の習慣について, 過去のインターネットの利用習慣が現在のインターネットの利用の習慣に影響を与えるかを検証することである. まず, 本研究の中心

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

研究報告用MS-Wordテンプレートファイル

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

Microsoft Word - 博士論文概要.docx

46

コーチング心理学におけるメソッド開発の試み 東北大学大学院 徳吉陽河

Water Sunshine

ICTを軸にした小中連携

2 251 Barrera, 1986; Barrera, e.g., Gottlieb, 1985 Wethington & Kessler 1986 r Cohen & Wills,

THE JAPANESE JOURNAL OF PERSONALITY 2007, Vol. 15 No. 2, 217–227

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

doi: /jjsnr 研究報告 - 2 Reality Shock in Nurses in their Second Year after Graduation Yoko Suzuki Yoshiko Kawatsu Key Words nurse, r

修士論文 ( 要旨 ) 2017 年 1 月 攻撃行動に対する表出形態を考慮した心理的ストレッサーと攻撃性の関連 指導小関俊祐先生 心理学研究科臨床心理学専攻 215J4010 立花美紀

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

発達研究第 25 巻 問題と目的 一般に, 授業の中でよく手を挙げるなどの授業に積極的に参加している児童は授業への動機づけが高いと考えられている ( 江村 大久保,2011) したがって, 教師は授業に積極的に参加している児童の行動を児童の関心 意欲の現われと考えるのである 授業場面における児童の積

スポーツ教育学研究(2013. Vol.33, No1, pp.1-13)

表紙.indd

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

IPSJ SIG Technical Report Vol.2014-CE-123 No /2/8 Bebras 1,a) Bebras,,, Evaluation and Possibility of the Questions for Bebras Contest Abs

スポーツ教育学研究(2017. Vol.37, No1 pp.19-31)

< F C18D E93788EF38D7590B B CC8F578C76834F E786C73>

回答結果については 回答校 36 校の過去 3 年間の卒業生に占める大学 短大進学者率 現役 浪人含む 及び就職希望者率の平均値をもとに 進学校 中堅校 就職多数校 それぞれ 12 校ずつに分類し 全体の結果とともにまとめた ここでは 生徒対象質問紙のうち 授業外の学習時間 に関連する回答結果のみ掲

The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol 12, No 1, pp 49 59, 2008 資料 看護師におけるメンタリングとキャリア結果の関連 Relationship between M


論文内容の要旨

教職研究科紀要_第9号_06実践報告_田中先生ほか04.indd

.A...ren

11号02/百々瀬.indd

272 11) 12) 1 Barrera 13) 1fl social embeddedness 2fl perceived support 3fl enacted support 3 14) 15) 3 2fl 13) 16;17) 1 14;15;18 21) 2 22;23) 4 24;25

4.2 リスクリテラシーの修得 と受容との関 ( ) リスクリテラシーと 当該の科学技術に対する基礎知識と共に 科学技術のリスクやベネフィット あるいは受容の判断を適切に行う上で基本的に必要な思考方法を獲得している程度のこと GMOのリスクリテラシーは GMOの技術に関する基礎知識およびGMOのリス

幼児教育の文化的意味の変化と一貫性

学生による授業評価のCS分析

報告書9(資料6)

<4D F736F F D AAE90AC94C5817A E7793B188C481698D5D E7397A791E58A A778D5A814094F68FE3816A2E646F63>

Microsoft PowerPoint - AR1(理科森田) [互換モード]

成績評価を「学習のための評価」に

H30全国HP

Taro-① 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果の概要について

簿記教育における習熟度別クラス編成 簿記教育における習熟度別クラス編成 濱田峰子 要旨 近年 学生の多様化に伴い きめ細やかな個別対応や対話型授業が可能な少人数の習熟度別クラス編成の重要性が増している そのため 本学では入学時にプレイスメントテストを実施し 国語 数学 英語の 3 教科については習熟

(2) あなたは選挙権年齢が 18 歳以上 に引き下げられたことに 賛成ですか 反対ですか 年齢ごとにバラツキはあるものの概ね 4 割超の人は好意的に受け止めている ここでも 18 歳の選択率が最も高く 5 割を超えている (52.4%) ただ 全体の 1/3 は わからない と答えている 選択肢や

早期教育の効果に関する調査(II)-親子の意識と学習状況の分析を中心に-

Microsoft Word - 医療学科AP(0613修正マスタ).docx

療養病床に勤務する看護職の職務関与の構造分析


<4D F736F F F696E74202D B835E89F090CD89898F4B81408F6489F18B4195AA90CD A E707074>

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

03-猿田.ec7

早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月


平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

理科教育学研究

3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

Microsoft PowerPoint - 中学校学習評価.pptx

e.g., Mahoney, Vandell, Simpkins, & Zarrett, Bohnert, Fredricks, & Randall2010 breadth intensitydurationengagement e.g., Mahone

Microsoft Word - manuscript_kiire_summary.docx

越智59.qxd

( 別刷 ) 中年期女性のジェネラティヴィティと達成動機 相良順子伊藤裕子 生涯学習研究 聖徳大学生涯学習研究所紀要 第 16 号別冊 2018 年 3 月

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

小学生の英語学習に関する調査

1. 緒言 p 問題の所在 ) p

2. 自己効力感と学力 学習力との関係本稿では 子どもの自己効力感を示す変数として やる気になれば何でもできる という質問項目に対する回答を用いることとする まずは子どもの自己効力感の実態を確認してみる 自己効力感を感じている子ども ( とてもあてはあまる+まああてはまる ) は小学 4~6 年生で

教育工学会研究会原稿見本


定義 より, クロス集計表 C ij から, 類似係数 s ij と関連係数 t ij が得られる. 定義 t ij = s ij = a + d [0,1] a + d (a + c) + (c + d) [0,1] ただし, a = c = d = 0 のときは, t ij = 1 とする. 3

02[ ]小山・池田(責)岩.indd

Microsoft Word - 210J4061.docx

CONTENTS Part Part

language anxiety :, language-skill-specific anxiety Cheng, Horwitz, & Schallert, Horwitz et al. Foreign Language Classroom Anxiety ScaleFLCAS Young, ;

第 2 問問題のねらい青年期と自己の形成の課題について, アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論等を活用して, 進路決定や日常生活の葛藤について考察する力を問うとともに, 日本及び世界の宗教や文化をとらえる上で大切な知識や考え方についての理解を問う ( 夏休みの課題として複数のテーマについて調

パーソナリティ研究 2005 第13巻 第2号 170–182

Microsoft PowerPoint - syogaku [互換モード]

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

山梨大学教職大学院専攻長 堀哲夫教授提出資料

パーソナリティ研究2006 第14巻 第2号 214–226

H

Newgarten, BL., Havighrst, RJ., & Tobin, S.Life Satisfaction Index-A LSIDiener. E.,Emmons,R.A.,Larsen,R.J.,&Griffin,S. The Satisfaction With Life Scal

17.indd

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

07-内田 fm

蝨ー蝓溯・豐サ縺ィ繧ウ繝溘Η繝九ユ繧」蠖「謌舌↓髢「縺吶k螳滓・隱ソ譟サ・域擲莠ャ迚茨シ峨€仙悸邵ョ縺ェ縺励€・indd

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 内田遼介 ) 論文題名 スポーツ集団内における集合的効力感の評価形成過程に関する研究 論文内容の要旨 第 1 章研究の理論的背景集団として 自信 に満ちた状態で目前の競技場面に臨むことができれば, 成功への可能性が一段と高まる これは, 競技スポーツを経験してきた

CMCの社会的ネットワークを介した社会的スキルと孤独感との関連性

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

(Microsoft Word \227F\210\344\226\203\227R\216q\227v\216|9\214\216\221\262.doc)

Japanese Journal of Applied Psychology

37_02_三田・栗田・マウラー02.indd

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

表 回答科目数と回答数 前期 後期 通年 ( 合計 ) 科目数 回答数 科目数 回答数 科目数 回答数 外国語 ( 英語 ) 120 / 133 3,263 / 4, / 152 3,051 / 4, / 285 6,314 / 8,426 外国語 ( 英語以

Transcription:

2020 91 2 pp. 133 141 Methodological Advancement 統計リテラシー自己効力感尺度日本語版の作成 統計教育の効果測定 1 伊川美保 2 楠見孝京都大学 Development of a Japanese version of the Self-efficacy for Statistical Literacy Scale: Measuring the effect of statistics education Miho Ikawa and Takashi Kusumi (Kyoto University) A Japanese version of the Self-efficacy for Statistical Literacy Scale was developed. In a preliminary study with college students (N = 110), a Japanese translation was developed based on the English version of this scale. In Study 1, the resulting Japanese version was verified in terms of validity and reliability with high school and college students (N = 275). Results from Study 1 showed that self-efficacy for statistical literacy is positively correlated with subjective numeracy and critical thinking disposition. The mathematical score positively predicted self-efficacy for statistical literacy. In Study 2, we considered the extent to which self-efficacy for statistical literacy would change between before and after statistics education among high school students (N = 167). Results from Study 2 suggested that self-efficacy for statistical literacy is enhanced by statistics education. Free-text descriptions provided by the participants revealed that they could accurately interpret numerical values and had higher interest in the study of psychology and their future career options. Potential contributions to education and study limitations are discussed. Key words: statistical literacy, self-efficacy, scale development, statistics education, critical thinking. The Japanese Journal of Psychology J-STAGE 2020, Vol. Advanced 91, No. 2, published pp. 133-141 date: March 10, 2020 J-STAGE Advanced published date: March 10, 2020, https://doi.org/10.4992/jjpsy.91.18238 複雑で変化の激しい現代社会では, 将来の不確実性に適切に対処するため, 様々な統計情報が利活用されている 日常生活では, テレビや新聞, インターネット等で, 基礎的な統計用語や統計グラフを目にすることが多い その中には恣意的に作成されたものも多く, 統計情報を批判的に吟味する重要性が指摘されている (Gal, 2002; 中山,2015) 以上の社会的背景から, メディアに頻出する統計情報を批判的に読み解く力や, 身の回りの不確実性を伴 Correspondence concerning this article should be sent to: c/o Takashi Kusumi, Graduate School of Education, Kyoto University, Yoshidahonmachi, Sakyo-ku, Kyoto 606-8501, Japan. (E-mail: miho.ikawa@ gmail.com) 1 本研究は,JSPS 科研費 16J09891 の助成を受けた 2 本研究の実施にあたり, 綾部宏明さん, 松岡真由子さん, 平岡大樹さん, 西山慧さん, 高野了太さん ( いずれも京都大学 大学院教育学研究科 ) から貴重なご意見をいただいた ここに 記して感謝する うリスクに対して自律的にリスク管理ができる力を育むことが大切である ( 渡辺,2007) これらの基礎をなす力が, 統計情報を理解して批判的に読み解く統計リテラシーである (Gal, 2002; Wallman, 1993) 義務教育から統計リテラシーを育むことが重要であるとされ, 世界の各国で データの収集, 分析と表示, 確率, 統計的推測 に関する教育が行われている ( 日本学術会議統計学研究連絡委員会,2005) わが国でも, 平成 20 年 21 年告示の小学校, 中学校, 高等学校の学習指導要領で, 約 30 年ぶりに統計教育が拡充し, 様々な教育活動が行われている ( 文部科学省,2016; 総務省,2017; 渡辺,2017) これらの教育活動が功を奏し,OECD 生徒の学習到達度調査 (PISA)2012 年調査における数学的リテラシー ( 不確実性とデータ ) では, わが国の高校 1 年生がトップレベルの成績を収めた ( 国立教育政策研究所, 2013) その一方で, 統計に対して苦手意識を持つ学生 生徒は少なくない 統計学は, 勉強しても習得でき

134 2020 91 2 ない, 実生活で必要性を感じない, 面白くない というイメージから敬遠されやすい科目であると言われている ( 柄本 冨永 三溝 向後,2013) 先述の国立教育政策研究所 (2013) の調査からは, 数学に対する 自己効力感, 興味 関心や楽しみ, 道具的動機づけ などが OECD 平均よりも低いことが示されている そこで, 統計リテラシーの知識要素だけではなく, 情意的要素を育むことが重要である (Gal, 2002) 本研究では, 情意的要素の 1 つとして, 統計リテラシーに関する自己効力感に着目する 統計リテラシーの自己効力感を測定する日本語版尺度を作成し, 他の関連指標とあわせて測定することで, 尺度の妥当性や信頼性を検討する さらに, 統計リテラシーの自己効力感に関わる教育的介入の具体案を提示し, 授業前後の尺度値の変化について検討する 統計リテラシーの測定法 Gal (2002) の統計リテラシーの区分に基づくと, 統計リテラシーの測定法は, 知識要素を測る尺度と情意的要素を測る尺度に大別される 前者の能力測定は, 統計的推論を測る多肢選択肢式のテスト (Garfield, 2003) や, 批判的思考能力の一環として統計的推論を測るテスト (Royalty, 1995), 統計リテラシーに関する自由記述に基づくルーブリック評価 ( 青山,2011; Watson & Callingham, 2003) などが挙げられる これらの能力テストでは, 研究者が開発したテストにおいて, 統計リテラシーを遂行することがあらかじめ要請されている しかし, 日常生活で統計リテラシーを発揮するには, 物事を統計的に判断する態度も重要である (Gal, 2002) そこで, 必要に応じて統計リテラシーを遂行することへの 自己効力感 を検討することが重要と考えられる 自己効力感は, 社会的学習理論の中核をなす概念であり, 個人がある状況において必要な行動を効果的に遂行できる可能性の認知を指す (Bandura, 1977; 伊藤, 1996) 学業場面における自己効力感尺度は, 国語 ( 伊藤,1996), 算数 数学 (Fagerlin et al., 2007; 松沼, 2004), 理科 (Pintrich & De Groot, 1990; 鈴木,1999) など, 様々な科目で検討されている 統計を題材にした自己効力感も, 僅かながら研究が行われている (Carmichael & Hay, 2009; Carmichael, Hay, & Watson, 2010; 川上,2015) このうち, 中高生に対する統計リテラシーの自己効力感尺度が,Self-efficacy for Statistical Literacy Scale(Carmichael & Hay, 2009) である 統計リテラシー自己効力感尺度 (Carmichael & Hay, 2009) は, 基礎的な統計リテラシー ( 平均, 確率, グラフ, 推論, サンプリング ) にどの程度自信があるかを 1: 自信がない から 5: 自信がある までの 5 件法で評定する尺度である この尺度は, 中高生の統 計教育で重要とされているトピックを幅広く測定する, 一般的 汎用的な尺度である 中高生を対象にした Carmichael & Hay (2009) や Carmichael et al. (2010) の回答データでは,α 係数は.93 で信頼性が高いことや, 理論的に関連の強い尺度 ( 数学への自己効力感, 統計への興味 ) との相関が高いことが示されている また, 構成概念妥当性の指標として, 数学成績が統計への興味に及ぼす影響は, 統計リテラシー自己効力感によって完全に媒介されることが報告されている このように, 統計リテラシー自己効力感尺度 (Carmichael & Hay, 2009) は高い信頼性や妥当性を持つ しかし, わが国での活用事例は示されていない 原因の 1 つとして, 統計リテラシーの自己効力感を研究するための尺度が十分に整えられていないことが考えられる そこで本研究では,Carmichael & Hay (2009) の英語版を日本語訳し, わが国の統計リテラシー教育を評価するための統計リテラシー自己効力感尺度を作成する 統計リテラシー自己効力感と関連する概念 統計リテラシー自己効力感を直接扱った研究は少ない しかし, 統計リテラシー自己効力感と理論的に関連する心理学的構成概念は検討されてきた 代表的なものとして, 基礎的な計算能力に対する自己効力感に関する, 主観的ニューメラシー (Fagerlin et al., 2007) が挙げられる 統計リテラシーはニューメラシーを発展させたスキルであるため, 統計リテラシー自己効力感は主観的ニューメラシーと強く関連することが予想される 実際に,Carmichael & Hay(2009) の研究では両者の間に強い相関が見出されている しかし, 統計リテラシー自己効力感と主観的ニューメラシーは同義ではない 両者の違いは, 批判的思考態度の程度にあると考えられる 批判的思考態度とは, 証拠に基づく論理的で偏りのない思考を行おうとする態度である ( 平山 楠見,2004; 楠見,2013b) 統計リテラシー自己効力感は主観的ニューメラシーに比べて, 批判的思考態度の要素を多く含むと考えられる 統計リテラシーは統計情報を批判的に評価する能力と言われているため (Gal, 2002; Wallman, 1993), 統計リテラシー自己効力感と批判的思考態度の間には強い関連が予想される 統計リテラシーの理論 (Gal, 2002) においても, 統計リテラシーの情意的要素の中に批判的思考態度が含まれている 一方, ニューメラシーは基本的な計算能力であり, 必ずしも批判的思考が求められる訳ではない 読み書き計算という基礎的な能力の中には, 批判的思考の要素が十分に含まれないことが報告されている ( 楠見,2015) 以上より,(a) 統計リテラシー自己効力感が主観的ニューメラシーと正の相関を持つ可能性や,(b) 統計リテラシー自己効力感が批判的思考態度と正に相関す

135 る可能性,(c) 主観的ニューメラシーが批判的思考態度と無相関または弱い相関を持つ可能性が考えられる 統計リテラシー自己効力感と数学成績の関係 統計リテラシー自己効力感は, 過去の数学成績によって有意に予測されることが示されている (Carmichael et al., 2010; 川上,2015) 自己効力感の先行研究からも, 行為的情報 ( 課題を遂行して成功体験を得ること ) が自己効力感を強く規定するが指摘されている (Bandura, 1977) しかし, 成績の良し悪しはその後の自己効力感を向上しないとする報告もあり ( 和田 山本,2014), 自己効力感と学業成績の関係について見解は一致していない この理由の 1 つとして, 自己調整学習方略が介在すると考えられる 自己調整学習とは, 学習者がメタ認知や動機づけ, 行動において, 自分自身の学習過程に能動的に関与していることを指す ( 伊藤 神藤, 2003; Zimmerman, 1989) 自己調整学習方略は, 認知的方略 ( 記憶や思考などの認知過程を調整する方略 ) や, プランニング ( 自分の行動に関して計画を立てる方略 ) やモニタリング ( 自己の学習状態をチェックする方略 ) などのメタ認知的方略から構成される ( 伊藤 神藤,2003) とくに, メタ認知的方略は自己調整学習において要となり ( 藤田,2010), 統計リテラシーの知識要素を背後で支えることが指摘されている (Gal, 2002) 自己調整学習方略は, 学業の目標達成のために用いられる方略である (Zimmerman, 1989) これまで, 学業成績の高い人は自己調整学習方略におけるメタ認知的方略の使用頻度が高いこと (Pintrich & De Groot, 1990) や, 逆の因果として, 自己調整学習方略が学業成績に影響を及ぼすこと ( 松沼,2004) が示されている また, 自己調整学習方略によって学習成績が向上すると, 自己効力感も高まると言われている (Zimmerman, 1989) このことの裏付けとして, 自己調整学習方略が自己効力感に正のパスを示すこと ( 松沼,2004) や, 認知的方略やメタ認知的方略が高い人ほど自己効力感が高まること ( 伊藤,1996) が報告されている 以上より,(a) 数学成績は統計リテラシー自己効力感へ直接的に働きかける可能性 (Carmichael et al., 2010) もあれば,(b) 数学成績は自己調整学習方略を介して, 統計リテラシー自己効力感へ間接的に働きかける可能性 (Zimmerman, 1989) も考えられる 本研究の目的 本研究の目的は, 統計教育の効果を評価する手法の 1 つとして, 統計リテラシー自己効力感尺度 (Carmichael & Hay, 2009) の日本語版を作成すること である この目的に応えるため, 以下の 2 つの研究を実施する 研究 1 では, 統計リテラシー自己効力感尺度の日本語版を作成する オリジナル尺度の翻訳 逆翻訳を行って予備調査を実施した後, 本調査で妥当性や信頼性について検討する 構成概念妥当性は, 統計リテラシー自己効力感尺度と理論的に関連すると考えられている, 数学への自己効力感や, 批判的思考態度との相関係数によって検討する (Carmichael & Hay, 2009; Gal, 2002) また, 行為的情報 ( 課題を遂行して成功体験を得ること ) が自己効力感を強く規定すること (Bandura, 1977) から, 統計リテラシー自己効力感と数学成績との関連性についても明らかにする その際, 統計リテラシー自己効力感と数学成績の間に自己調整学習方略が介在する可能性があることから (Zimmerman, 1989), 自己調整学習方略についても検討する また,Cronbach の α 係数を用いて尺度の信頼性を検討する 研究 2 では, 統計リテラシー自己効力感に関わる教育的介入を行う 数値の読み解き方に関する授業を実施し, 統計リテラシー自己効力感尺度の授業前後の変化を検討する また, 授業後に 分かったこと, 分からないこと についての自己評価を求め, 統計リテラシー自己効力感の高低を推し量るための判断材料とする 教育方法は, 授業内容の理解を確実にし, 自己評価によるメタ認知の育成を促す 教えて考えさせる授業 に依拠する ( 市川 植阪,2016) 方 法 予備調査 参加者 2016 年 7 月上旬に, 心理学の講義室で質問紙を配布した 参加者は, 関西の国立大学の大学生 110 人 ( 男性 59, 女性 50, 不明 1) であった 平均年齢は 18.9 歳 (18 40 歳 ) であった なお, 予備調査は,Carmichael & Hay (2009) よりも参加者の平均年齢や学歴が高かった (Table 1) 質問項目統計リテラシー自己効力感尺度 (9 項目 ) は, 基礎的な統計概念に対する自信の程度を測定する尺度である ( 項目は Table 3 を参照 ) Self-efficacy for Statistical Literacy Scale(Carmichael & Hay, 2009) の日本語版を作成するにあたり, 第 1 著者から尺度の利用許諾を得た その後, 翻訳会社による翻訳 逆翻訳を行い, 日本語版尺度を作成した 参加者は, 以下の事柄について, あなたはどの程度自信がありますか 自信がない から 自信がある までの中から 1 つ選んでください という質問文に対し, 1: 自信がない から 5: 自信がある までの 5 件法で回答した なお,9 項目の平均評定値は3.10(SD =.71), Cronbach の α 係数は.84 であった 元尺度の信頼性係

136 2020 91 2 Table 1 英語原本, 予備調査, 研究 1 における, サンプルサイズ, 平均年齢, 国籍, 学歴,α 係数の比較 Carmichael & Hay (2009) 予備調査研究 1 サンプルサイズ 366 110 275 平均年齢 13.6 歳 18.9 歳 17.6 歳 国オーストラリア日本日本 教育段階中高生大学生高大生 Cronbach α.93.84.90 尺度 Table 2 予備調査, 研究 1 における, 統計リテラシー自己効力感尺度, 主観的ニューメラシー尺度, 批判的思考態度尺度の基礎統計量と相関 予備調査 (N = 110) 研究 1(N = 275) M SD α M SD α 1 2 3 1 統計リテラシー自己効力感 a 3.10.71.84 3.06.88.90.62 ***.51 *** 2 主観的ニューメラシー b 4.46.80.58 4.15 1.07.77.42 ***.33 *** 3 批判的思考態度 c 3.57.55.77 3.49.72.88.37 *** -.01 注 ) 下三角行列は予備調査, 上三角行列は研究 1 の結果を示す a 5 件法 ( 自信がない 自信がある ), b 6 件法 ( 理解にとても苦労する 理解はとても容易である ), c 5 件法 ( あてはまらない あて はまる ) *** p <.001 数 (.93) よりも低かったが,.80 以上であるため, 尺度の信頼性は示された (Table 1) 主観的ニューメラシー尺度 (4 項目 ) は, 基礎的な計算能力への自己評定型尺度である ( 例 : 比で表される数値 (1 万人中 2 人など ) はどれくらい理解しやすいですか ) 英語原本の Subjective Numeracy Scale (Fagerlin et al., 2007) の日本語化について原著者から許諾を得たうえで, 客観的なニューメラシー得点を予測するとされている 能力 因子 4 項目を使用した (Eklund, 2012) また, 欧米の チップ を 消費税 8% へ変更するなど, 日本の文脈にあわせて項目を一部改変した 参加者は, つぎに書かれている数値の情報はどのくらい理解しやすいですか という質問に, 1: 理解にとても苦労する から 6: 理解はとても容易である の 6 件法で評定した 4 項目の平均評定値は 4.46(SD =.80), Cronbach の α 係数は.58 であった α 係数が低かった理由として, 項目数が 4 つと少ないことや, 特定の大学の学生という特殊なサンプルを用いたことが考えられる 批判的思考態度尺度は,33 項目の尺度 ( 平山 楠見, 2004) に基づき,4 下位尺度 3 項目の合計 12 項目からなる短縮版尺度 ( 楠見 平山,2013) を使用した ( 例 : いつも偏りのない判断をしようとする ) 参加者は, あなたの経験や行動, 考えに, どのくらいあてはまりますか という質問を読み, 1: あてはまらない から 5: あてはまる の 5 件法で評定した オリジナルな尺度は 4 つの下位尺度からなるが, 本研究で用いた尺 度は短縮版であり,1 因子の尺度得点として分析されていること ( 楠見 平山,2013) から,1 因子構造が妥当であると考えた 12 項目の平均評定値は 3.57(SD =.55), Cronbach の α 係数は.77 であった 結果と考察 統計リテラシー自己効力感尺度の構成概念妥当性 3 つの尺度間の相関を Table 2 にまとめた それぞれの尺度の平均と SD, 信頼性係数も示した 統計リテラシー自己効力感尺度は, 主観的ニューメラシー尺度や批判的思考態度尺度と中程度の相関があった ( rs =.42,.37) この結果は, 統計リテラシー自己効力感と主観的ニューメラシーがともに数量的能力に関する自己効力感であることや, 統計リテラシー自己効力感の定義の中に批判的思考態度が含まれること (Wallman, 1993) を反映している 一方, 主観的ニューメラシー尺度は統計リテラシー自己効力感尺度と中程度の相関 (.42) があったが, 批判的思考態度尺度との相関は見られなかった (.01) この理由としては, ニューメラシーが基礎的な計算スキルであるため, 批判的思考のような高次リテラシーを必ずしも必要としなかった可能性が考えられる ( 楠見,2013a) 残された課題はつぎの 2 つである 1 つ目は, 特定の大学の学生という限られたサンプルを用いており, 結果の一般化が難しいことである 2 つ目は, 予備調査の質問項目の中に, 自己効力感の予測因子の 1 つと

137 されている数学成績が含まれていないことである これらの課題を受けて, 本調査では以下の点に留意する 特殊なサンプル に関しては, ウェブ調査を用いて全国規模の調査を行い, 数学成績を質問項目の中に加える 方法 研究 1 参加者 2018 年 5 月中旬に, インターネット調査の全国のモニター会員に対してウェブ調査を行った 有効回答者 309 人のうち, 調査時点で 学生 と答えた 275 人を調査対象者とした ( 高校生 高専生 129 人, 専門学校生 21 人, 短大生 3 人, 大学生 118 人, その他学生 4 人 ) 対象者を学生 生徒に限定した理由は, Self-efficacy for Statistical Literacy Scale(Carmichael & Hay, 2009) が, 中学生や高校生といった学習者を対象にしているためである 275 人のうち, 男性は 75 人, 女性は 200 人, 平均年齢は 17.6 歳 (15 19 歳 ) であった 研究 1 においても,Carmichael & Hay (2009) よりも参加者の平均年齢や学歴が高かった (Table 1) 質問項目統計リテラシー自己効力感尺度は, 予備調査と同じ 9 項目 5 件法を使用した 9 項目の平均評定値は 3.06(SD =.88),Cronbach の α 係数は.90 であった 元尺度と同程度の信頼性係数が得られた (Table 1) 主観的ニューメラシー尺度は, 予備調査と同じ 4 項目 6 件法を使用した 4 項目の平均評定値は 4.15(SD = 1.07), Cronbach の α 係数は.77 であった 批判的思考態度尺度は, 予備調査と同じ 12 項目 5 件法を使用した 12 項目の平均評定値は 3.49(SD =.88), Cronbach の α 係数は.88 であった 数学成績は, 中学 高校時代の数学の成績に対する自己評定であった 質問文は, 中学生や高校生の頃, あなたの数学の成績は学年の中でどれくらいだったと思いますか ( 現在, 高校生の方は現在の成績についてお答えください まだ成績が出ていない方はイメージでお答えください ) であった 参加者は, 1: 下の方, 2: やや下の方, 3: 真ん中のあたり, 4: やや上の方, 5: 上の方, 6: 回答したくない の 6 つから 1 つを選択した 自己調整学習方略尺度は, 先行研究 ( 藤田,2010; Gal, 2002; Pintrich, & De Groot, 1990) を踏まえ, メタ認知的方略を測定する尺度 ( 梅野 太田 井元 中村, 2017) を使用した この尺度は, プランニング 6 項目 ( 例 :1 日にどのくらい学習するのか考えてから取り組む ) と, モニタリング 4 項目 ( 例 : 難しい学習に取り組む前に基礎が分かっているか確認する ) から構成された 参加者は, 以下の事柄は, あなたの日ごろの学習にどのくらいあてはまりますか という質問に対し, 1: あてはまらない から 5: あて はまる の 5 件法で評定した なお, プランニング 6 項目の平均評定値は 3.12(SD =.83,α =.76), モニタリング 4 項目の平均評定値は 3.36(SD =.88,α =.73) であった 結果と考察 尺度値に対する男女差や学歴差の検討 研究 1 では 男性 75 人, 女性 200 人であり, 女性の方が男性よりも 2 倍以上多かった 女性は理数系科目への苦手意識が強いと言われているため ( 森永,2017), 研究結果に女性の傾向が色濃く表れている可能性が考えられる そこで対応のない t 検定を行い, 統計リテラシー自己効力感尺度や主観的ニューメラシー尺度の平均評定値が男女で異なるかを検討した その結果, 統計リテラシー自己効力感尺度 (9 項目 ) の平均は男性が 3.21 (SD = 1.04), 女性が 3.01(SD =.81) で, 男女で有意差が見られなかった (t (109.10) = 1.54, p =.13, Cohen s d =.23) 主観的ニューメラシー尺度 (4 項目 ) の平均は, 男性が 4.33(SD = 1.15), 女性が 4.08(SD = 1.04) で, 同様に有意差が見られなかった (t (121.97) = 1.60, p =.11, Cohen s d =.23) また, 高校生 高専生と大学生 (ns = 129, 118) を対象に, 対応のない t 検定によって, 主観的ニューメラシーや統計リテラシー自己効力感の尺度値の学歴間比較を行った その結果, 統計リテラシー自己効力感尺度 (9 項目 ) の平均は高校生 高専生が 2.91(SD =.79), 大学生が 3.28(SD =.89) で, 大学生の方が有意に得点が高かった (t (235.54) = 3.49, p <.001, Cohen s d =.45) 主観的ニューメラシー尺度 (4 項目 ) の平均は高校生 高専生が 4.07(SD = 1.03), 大学生が 4.34(SD =.99) で, 大学生の方が有意に得点が高かった (t (244.25) = 2.09, p <.05, Cohen s d =.27) これらの結果は, 教育 学習によって主観的ニューメラシーや統計リテラシー自己効力感が向上する可能性を示唆している 統計リテラシー自己効力感尺度の構成概念妥当性予備調査と同様に, 統計リテラシー自己効力感尺度, 主観的ニューメラシー尺度, 批判的思考態度尺度の基礎統計量や相関を Table 2 にまとめた 統計リテラシー自己効力感尺度は, 主観的ニューメラシー尺度や批判的思考態度尺度と強い相関があった (rs =.62,.51) この結果は予備調査と整合しており, 統計リテラシー自己効力感尺度が十分な収束的妥当性を持つことを示している 一方, 主観的ニューメラシー尺度と批判的思考態度尺度は中程度の相関があった (r =.33) 予備調査の無相関とは異なる結果であったが, 統計リテラシー自己効力感尺度と批判的思考態度尺度の相関 (.51) よりも低かった つぎに, 統計リテラシー自己効力感と数学成績の関連性を検討した 数学成績に 6: 回答したくない

138 2020 91 2 Table 3 統計リテラシー自己効力感尺度値の授業前後の変化 ( 研究 2,N = 167) 尺度 平均評定値 (SD) 授業前 授業後 t Cohen s d 1 平均を使って問題を解く 2.94(1.05) 3.28(1.06) 5.34 ***.32 2 新聞記事が平均を誤って使う場合があることを理解する 2.76(.99) 3.26(1.11) 6.21 ***.47 3 確率 ( または可能性 ) の計算方法を友達に説明する 2.58(1.12) 3.17(1.04) 7.27 ***.55 4 棒グラフを使ってデータを正確に表す 3.23(.99) 3.45(1.00) 3.05 **.22 5 新聞やインターネット上のグラフの意味を説明する 3.16(.99) 3.28(.97) 1.67.13 6 誰かがつくったグラフの間違いを見つける 2.68(.97) 3.22(1.07) 7.54 ***.53 7 調査から得た結論が誤っている場合があることを理解する 2.94(.96) 3.52(1.01) 7.93 ***.59 8 データを表の形へ正確に並べる 3.03(1.02) 3.36(.95) 4.76 ***.34 9 生徒を偏りなくサンプリングする方法について説明する 2.35(.92) 2.99(1.03) 8.48 ***.66 *** p <.001, ** p <.01, p <.10 9 項目平均 2.85(.69) 3.28(.81) 9.78 ***.57 と答えた 7 人を除く,268 人を分析対象者とした 統計ソフト HAD( 清水,2016) を用いて, 統計リテラシー自己効力感 ( 従属変数 ), 数学成績 ( 独立変数 ), 自己調整学習方略 ( 仲介変数 ) の関係について媒介分析を行った Figure 1 に示す通り, 数学成績から自己調整学習方略へのパス係数と, 自己調整学習方略から統計リテラシー自己効力感へのパス係数はいずれも有意であった (βs =.26,.19, ps <.01) 数学成績から統計リテラシー自己効力感へ及ぼすパス係数は, 自己調整学習方略が媒介しないと仮定したモデルでも, 媒介すると仮定したモデルでも有意であった (βs =.34,.39, ps <.01) ブートストラップ法 ( ブートストラップ標本数 5,000) による媒介分析の結果は有意であった (Z = 1.98, p <.05, 95%CI [.01,.07]) ただし, ブートストラップ推定値は 0 に近く, 間接効果の係数は小さかった (β =.05) よって, 自己調整学習方略の媒介効果は積極的に主張できないが, 数学成績は統計リテラシー自己効力感に影響を及ぼしている可能性を示唆している この結果は, 統計リテラシー自己効力感が数学成績と 自己調整学習方略.26 **.19 ** 関連することを意味し, 尺度の構成概念妥当性が高いことを示している 方 法 研究 2 参加者高大連携事業を通して, 第 1 著者が 3 つの高校 ( 茨城, 大阪, 鹿児島 ) で統計リテラシーの 60 分授業を行った 高校 1,2 年生 ( 平均年齢 16.2 歳 ) 167 人 ( 男性 76, 女性 90, 不明 1) が参加した この人数は, 質問紙に記入漏れが生じた 33 人を除いた数であった 3 手続き中山 (2015) を参考に, 数値の読み解き方を身につけよう という題目で授業を実施した ( 授業資料は https://researchmap.jp/mus8vg85z-1829275/#_1829275 より入手可能 ) 教えて考えさせる授業( 市川 植阪, 2016) に基づき, 授業はつぎの 4 段階で構成された 第 1 段階は 授業者による説明 である 分母無視 ( 分母を無視して分子だけに着目する現象 ) を話題に, 数値に騙されないための統計リテラシーについて説明した ( 例 : 数値の分母に着目する, 四分割表を作成する ) 第 2 段階の 理解確認 では, 学んだことを 2 人 1 3 33 人の記入漏れ回答者の内訳は, 前の授業が遅れたため事 数学成績.39 **.34 ** 注 ) 表示している係数は標準化係数 ** p <.01 統計リテラシー自己効力感 Figure 1. 数学成績が自己調整学習方略を介して統計リテラシー自己効力感に及ぼす媒介分析結果 ( 研究 1,N = 268) 前質問紙に回答する時間がなかった 9 人, 事後質問紙に回答せずすぐに教室を出た 23 人, 事前事後どちらにも回答しなかった 1 人であった 事前データに関して, 事後質問に回答しなかった 23 人と回答した 167 人の間には 9 項目中 8 項目で有意差が見られなかった 事後データに関して, 事前質問に回答しなかった 9 人と回答した 167 人の間には 9 項目中 8 項目で有意差が認められなかった よって, 欠損値となった生徒と回答した生徒との間に, 大きなデータの偏りが生じた可能性は小さいと推察される

139 組で教え合う時間を設けた 授業者による説明 の重要用語 ( 分母, 四分割表など ) を空欄にしたワークシートに取り組んだ後, ワークシートの答えを 2 人 1 組で見せ合う形式をとった 第 3 段階の 理解深化 では, 広告の数値を批判的に読み解くクイズを出題し, 統計リテラシーを現実場面で活用できるかを調べた ( 例 : バナナダイエットが効果的か調べるには, 減量に成功した人数の他にどの人数を明らかにする必要がありますか?) 第 4 段階では, 統計リテラシーがどの程度身についたか 自己評価 を行った 授業前後の変化を調べるため, 統計リテラシー自己効力感尺度を授業前と授業後に 2 回評定するよう求めた その後, 授業を受けた後の感想を自由に記述するよう求めた 結果と考察 授業前後の尺度得点の変化統計リテラシー自己効力感尺度の平均評定値は, 授業前は 2.85(SD =.69), 授業後が 3.28(SD =.81) であった (Cronbach の α 係数はそれぞれ.86,.92) 授業前後の変化を調べるため, 各項目及び 9 項目平均の尺度得点の変化を検討した (Table 3) 対応のある t 検定の結果, 項目 5 新聞やインターネット上のグラフの意味を説明する を除き, 授業後に統計リテラシー自己効力感は有意に向上した 効果量は小から中程度であった 授業後の感想授業後に感想を書いた 90 人のテキストデータを用いて, 授業に対する具体的な声を拾い上げた 感想は以下の 4 種類に分けられた 最も多かった感想は, 数値の読み解き方に関してであった (60 件 ) 例として, 数値の読み解き方を学べて良かった, 数値をみる際に分母に注目することも必要なことが分かった, 四分割表はこれから資料やプレゼンをつくるときにとても役立つと思った などの感想が寄せられた つぎに多かったものは, 心理学に関する感想であった (28 件 ) 心理学はおもしろいと思った, 心理学は自分たちが今勉強している科目と関連づけることができると分かった, 心理学と数学をミックスすることで面白い発見があることが分かった などの感想が得られた 第三に, 授業スタイルに関する感想が見られた (21 件 ) 日常にあるような事例などでとても理解がしやすかった, アクティブラーニングもあり, とても分かりやすかった, グラフやキャラクターを用いており, またクイズなどもあり, 分かりやすかった などの感想を抱いていた 大学入学後の進路に関する感想もあった (12 件 ) 今まで心理学部が文系であるからと数学などの理系をおろそかにしがちだったが, 心理学部を目指す上でもがんばらないとなぁと思った, 将来は経済系の学 部を目指しているので, 大学に入った後も今回の四分割表などのスキルは十分に活かせると思った などであった 研究 1, 2 のまとめ 総合考察 本研究では,Self-efficacy for Statistical Literacy Scale (Carmichael & Hay, 2009) を翻訳 逆翻訳し, 統計リテラシー自己効力感尺度の日本語版を作成した 尺度の妥当性や信頼性 ( 研究 1), 統計リテラシーの自己効力感に関する教育実践の効果を検討した ( 研究 2) 研究 1 の予備調査 (N = 110) と本調査 (N = 275) の結果から, 統計リテラシー自己効力感尺度が主観的ニューメラシー尺度や批判的思考態度尺度と正の相関を持つことが確認された (Table 2) この結果は, 統計リテラシー自己効力感尺度の十分な収束的妥当性を表している 媒介分析の結果 (Figure 1) からは, 自己調整学習方略の媒介効果を積極的に主張できないが, 数学成績が統計リテラシー自己効力感尺度を正に予測した 統計リテラシー自己効力感が数学成績と関連するという結果は, 尺度の構成概念妥当性が高いことを示している Cronbach の α 係数は.80 以上で, 尺度の信頼性の高さを示すものである 研究 2 では, 教えて考えさせる授業 ( 市川 植阪, 2016) を方法論的な基礎として, 数値を批判的に読み解くための統計教育を実施した その結果, 統計リテラシー自己効力感は授業前後で有意に上昇した (Table 3) 統計リテラシー自己効力感が向上したことは, メタ認知的方略が統計リテラシー自己効力感を正に予測すること (Figure 1) や, 授業後の自己評価によってメタ認知が促進されたことなどが可能性として示唆される ところで, 統計リテラシー自己効力感の尺度項目の中には, 授業の 分母無視 とは直接関係のない項目も含まれていた 授業内容とは直接関わりのない項目の自己効力感も向上した理由としては, 自己効力感 が他の類似する活動に般化した可能性が指摘される (Bong, 2004) ただし, 自己効力感の般化は十分に論拠が確立されておらず, 本研究で明言することはできない また, 授業後の感想を記したテキストデータからは, 数値の読み解き方や授業スタイル, 心理学や進路についての記述が見られた 数値の読み解き方が理解され, 心理学や進路への関心が高まるという効果を示唆すると考える 本研究の意義と限界 本研究では, 複雑で変化の激しい社会を生きるために必要なスキルである統計リテラシーに着目した と

140 2020 91 2 くに, 統計に対して苦手意識を持つ日本人学生が多いこと ( 国立教育政策研究所,2013; 柄本他,2013) を踏まえ, 統計リテラシーに関する自己効力感を測る尺度を作成した 数学 統計に対する学生 生徒の自己効力感を高めることは, わが国の重要な教育課題である そこで, 統計リテラシーへの自己効力感に関する日本語版尺度は, 生徒の現状を把握し, わが国の統計教育の効果を評価する上で役に立つと考える また, 本研究のような自己評定型尺度は, 例えば Garfield(2003) などの客観的な能力テストよりも簡便に統計リテラシーを測定することができる Fagerlin et al. (2007) によると, 自己評定型尺度は能力テストに比べて, 参加者の心理的負担が小さいことが知られている 統計教育に対して否定的なイメージが生じやすいわが国の現状 ( 柄本他,2013) を踏まえると, ストレスや苛立ちの少ない自己評定型尺度は有益な測定ツールである 一方, 本研究で残された課題は少なくない 第一に, 研究 1 の数学成績が回答者の主観的な評定に委ねられていることである 中学生や高校生の頃, あなたの数学の成績は学年の中でどれくらいだったと思いますか という質問は, 数学成績の自己評価を尋ねるものであり, 客観的な数学成績とは異なる 今後は, 統計リテラシーを測る客観テストを開発するなどして, 客観的な測定方法を確立する必要がある 第二に, 本研究では 統計リテラシー自己効力感 と 統計リテラシー の違いについて十分に検討していない 統計リテラシーについて自己効力感が高いことは, 実際に統計リテラシーが高いことと同義ではない 確かに, 本論文では数学成績と統計リテラシー自己効力感との間に正の関連が認められた (Figure 1) しかし今後は, 統計リテラシーを測る客観テストを用いることで, 統計リテラシー自己効力感と統計テストの成績の関係について検討する必要がある 第三に, 本研究の統計リテラシー自己効力感尺度がオーストラリアの英語版尺度に依拠していることである オーストラリアでは課題解決型の統計の指導が行われており ( 渡辺,2007), 日本よりも統計教育が活発になされていると考えられる 今後は, 日本の統計教育の現状を考慮し, 日本の文脈に合わせた尺度を開発することが求められる 第四に, 研究 2 の統計リテラシー教育が準実験デザインであることが挙げられる 統計リテラシー教育の効果を厳密に検討するには統制群を設ける必要があった また, 研究 2 では授業直後の変化のみに着目しているため, 追跡調査を行い, 効果の持続性を検討することが課題である 本研究における利益相反 本研究に関して, 開示すべき利益相反関連事項はな い 引用文献 青山和裕 (2011). 知の創造 の視点からの統計的リテラシーの階層に対する再検討 批判的解釈との位置づけの明確化をねらいとして 科学教育研究,35, 101 110. Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84, 191 215. Bong, M. (2004). Academic motivation in self-efficacy, task value, achievement goal orientations, and attributional beliefs. Journal of Educational Research, 97, 287 298. Carmichael, C., & Hay, I. (2009). The development and validation of the students self-efficacy for statistical literacy scale. Proceedings of the 32nd Annual Conference of the Mathematics Education Research Group of Australasia (Palmerston North, New Zealand), 1, 89 96. Carmichael, C., Hay, I., & Watson, J. (2010). Statistical literacy in the middle school: The relationship between interest, self-efficacy and prior mathematics achievement. Australian Journal of Educational & Developmental Psychology, 10, 83 93. Eklund, J. (2012). Objective and subjective measures of numeracy: Is asking enough? (Unpublished graduation thesis). Uppsala University, Sweden. Fagerlin, A., Zikmund-Fisher, B. J., Ubel, P. A., Jankovic, A., Derry, H. A., & Smith, D. M. (2007). Measuring numeracy without a math test: Development of the subjective numeracy scale. Medical Decision Making, 27, 672 680. 藤田正 (2010). メタ認知的方略と学習課題先延ばし行動の関係奈良教育大学教育実践総合センター研究紀要,19, 81 86. Gal, I. (2002). Adults statistical literacy: Meanings, components, responsibilities. International Statistical Review, 70, 1 51. Garfield, J. B. (2003). Assessing statistical reasoning. Statistics Education Research Journal, 2, 22 38. 平山るみ 楠見孝 (2004). 批判的思考態度が結論導出プロセスに及ぼす影響 証拠評価と結論生成課題を用いての検討 教育心理学研究,52, 186 198. 市川伸一 植阪友理 (2016). 教えて考えさせる授業小学校 深い学びとメタ認知を促す授業プラン 図書文化社伊藤崇達 ( 1996). 学業達成場面における自己効力感, 原因帰属, 学習方略の関係教育心理学研究, 44, 340 349. 伊藤崇達 神藤貴昭 (2003). 自己効力感, 不安, 自己調整学習方略, 学習の持続性に関する因果モデルの検証 認知的側面と動機づけ的側面の自己調整学習方略に着目して 日本教育工学会論文誌,27, 377 385.

141 川上祐子 (2015). 教育課程の違いが看護学生の統計学に関する態度と動機づけに及ぼす影響日本看護研究学会雑誌,38(4), 37 45. 国立教育政策研究所 (2013). OECD 生徒の学習到達度調査 2012 年調査分析資料集 国立教育政策研究所 Retrieved from http://www.nier.go. jp/kokusai/pisa/pdf/pisa2012_reference_material.pdf (2018 年 12 月 29 日 ) 楠見孝 (2013a). 科学リテラシーとリスクリテラシー日本リスク研究学会誌,23, 29 36. 楠見孝 (2013b). 良き市民のための批判的思考心理学ワールド,No. 61, 5 8. 楠見孝 (2015). 批判的思考とリテラシー楠見孝 道田泰司 ( 編 ) 批判的思考 21 世紀を生きぬくリテラシーの基盤 (pp. 182 187) 新曜社楠見孝 平山るみ (2013). 食品リスク認知を支えるリスクリテラシーの構造 批判的思考と科学リテラシーに基づく検討 日本リスク研究学会誌,23, 165 172. 松沼光泰 (2004). テスト不安, 自己効力感, 自己調整学習及びテストパフォーマンスの関連性 小学校 4 年生と算数のテストを対象として 教育心理学研究,52, 426 436. 文部科学省 (2016). 幼稚園, 小学校, 中学校, 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について ( 答申 ) 概要文部科学省 Retrieved from http://www.mext.go.jp/ component/b_menu/shingi/toushin/ icsfiles/ afieldfile/2016/12/27/1380902_1.pdf(2019 年 1 月 7 日 ) 森永康子 (2017). 女性は数学が苦手 ステレオタイプの影響について考える 心理学評論,60, 49 61. 中山健夫 (2015). 京大医学部で教える合理的思考日本経済新聞社日本学術会議統計学研究連絡委員会 (2005). 知識創造社会に向けた統計教育の推進について日本学術会議 Retrieved from http://www.scj.go.jp/ja/info/ kohyo/pdf/kohyo-19-t1031-10.pdf(2018 年 12 月 29 日 ) Pintrich, P. R., & De Groot, E. V. (1990). Motivational and self-regulated learning components of classroom academic performance. Journal of Educational Psychology, 82, 33 40. Royalty, J. (1995). The generalizability of critical thinking: Paranormal beliefs versus statistical reasoning. Journal of Genetic Psychology, 156, 477 488. 清水裕士 (2016). フリーの統計分析ソフト HAD 機能の紹介と統計学習 教育, 研究実践における利用方法の提案 メディア 情報 コミュニケーション研究,1, 59 73. 総務省 (2017). 統計教育の場を通じた統計リテラシー等の向上に向けて総務省 Retrieved from http:// www.soumu.go.jp/main_content/000514026.pdf(2018 年 12 月 29 日 ) 鈴木誠 ( 1999). 理科の学習場面における自己効力感, 学習方略, 学業成績に関する基礎的研究理科教育学研究,40, 11 23. 柄本健太郎 冨永敦子 三溝雄史 向後千春 (2013). e ラーニングによる統計学の継続的受講が社会人学生の認知と態度に与える影響日本教育工学会研究報告集,13, 85 92. 梅野和也 太田研吾 井元淳 中村浩一 (2017). 自己調整学習方略および学習目標が定期試験の結果に与える影響 理学療法学科学生を対象とした研究 理学療法科学,32, 69 72. 和田敏江 山本洋之 (2014). 自己効力感と成績との関係 入学前を含めた 1 年生の追跡調査より 理学療法科学,29, 433 437. Wallman, K. K. (1993). Enhancing statistical literacy: Enriching our society. Journal of the American Statistical Association, 88, 1 8. 渡辺美智子 (2007). 統計教育の新しい枠組み 新しい学習指導要領で求められているもの 数学教育学会論文誌,48, 39 51. 渡辺美智子 (2017). 統計教育改善の観点から学術の動向,22, 83 86. Watson, J., & Callingham, R. (2003). Statistical literacy: A complex hierarchical construct. Statistics Education Research Journal, 2, 3 46. Zimmerman, B. J. (1989). A social cognitive view of self-regulated academic learning. Journal of Educational Psychology, 81, 329 339. 2019. 1. 18 受稿,2019. 11. 23 受理