18 相続財産の評価 1 相続財産の評価額は国税庁が決めた評価の仕方 財産 評価基本通達 で行う 1 路線価方式とは 路線価とは国税庁が道路に設定する 1 当たりの土地の 相続財産の金銭価値を見積もる方法には いろいろなや 金額のことです 毎年 1 月 1 日時点で評価されている公 に公平さが保てません そこで 国税庁は相続財産の評価 線価をもとにその形状 接道状況によって決められている り方があります でも それでは多くの人の相続税の計算 の仕方を画一的に定めた評価方法 財産評価基本通達 を 公開しています 特殊な事情がなければ この評価方法で 示地価の 80 水準で算定されています 土地は この路 各種補正率と地積を乗じて評価します 相続財産の金銭的価値を見積もることが適切です 2 倍率方式とは 〇 宅地の評価はこうする 地を評価します 一定の倍率は各国税局で公表されていま 額に倍率を乗じて評価する場合があります 国税庁のホー 野等の地目別に定められています この地目は土地登記簿 宅地は路線価をもとに評価する場合と 固定資産税評価 ムページから路線価図のページを開いて 宅地の所在地を 探していくと 路線価で評価する地域か倍率方式で評価す る地域かが記載された地図が出てきます これで路線価や 倍率が手軽に調べることができます アドレスはこちら http://www.rosenka.nta.go.jp/main_h25/index.htm 路線価図 64 倍率方式 は固定資産税評価額と一定の倍率により土 す 固定資産税評価額と倍率は 宅地 田 畑 山林 原 上ではなく 現況での地目の固定資産税評価額と倍率に よって評価します
〇 有利になった二世帯住宅 従来 中で行き来できない 構造上区分 された二世帯 住宅の場合 被相続人と別々の独立部分に相続人が住んで いた場合には原則として 同居 とは認められませんでし た 平成 26 年からは 内部が構造上区分された一棟の建物 のうち被相続人 当該被相続人の配偶者又は当該親族の居 住の用に供されていた部分として政令で定める部分に住ん でいた場合 同居 と認められるようになりました た だし この一棟の建物の各住戸が区分所有登記されている 場合には 同居 とは認められないことになっています 顕著な例でいえば 同じマンションの 5 階部分と 2 階部 分に親子が住んでいるケースでは 同居 とはされないと いうことですので 注意が必要です 表1 政令で定める事由 被相続人の状況 指定された入居 入所先施設 ①認知症対応型老人共同生活援助事業 の住居 老人福祉法 5 条の 2 ② 養護 老人ホーム 老人福祉 法 20 条 の 4 ③ 特 別 養 護 老 人 ホーム 老 人 福 祉 法 介 護 保 険 法 19 条 に 規 20 条の 5 定 す る 要 介 護 認 定 ④軽 費 老人ホーム 老人福祉 法 20 条 ま た は 要 支 援 認 定 の 6 を受けていた場合 ⑤有料老人ホーム 老人福祉法 29 条 ⑥介護老人保健施設 介護保険法 8 条 ⑦サービス付き高齢 者向け住宅 高齢 者安定居住確保法 5 条 ただし④を 除く 障 害 者 総 合 支 援 法 21 ①障害者支援施設 障害者総合支援法 条 の 障 害 支 援 区 分 5 条 の認 定を受けていた場 ②共同生活援助を行う住居 障害者総 合 合支援法 5 条 要介護等の認定は 施設入所時に必要ではなく 相続開 〇 老人ホーム等への入所の場合も特例適用 始時に認定があればよいこととされています 地については小規模宅地等の評価減の特例の適用の前提と うな用途に供した場合には小規模宅地等の特例を適用でき 被相続人が老人ホーム入居後に空き家になった自宅の敷 なる 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 に 居 住の用に供することができない事由として政令で定める事 由により相続の開始直前において当該被相続人の居住の用 に供されていなかった場合 政令で定める用途に供され なお 空き家になった住宅を相続開始後新たに以下のよ ない場合があるので注意が必要です 空き家となった被相続人の自宅の用途 被相続人の居住用宅地と して特例の適用の有無 空き家のまま あり 供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用を含む こ 被相続人と生計を一にしていた親族の 居住の用 あり 居住の用に供することができない事由として政令で定め 被相続人と生計を一にしていない親族 の居住の用 なし 親族でない者の居住の用 なし 被相続人の事業の用 商売 なし 貸付事業の用 なし ている場合を除く における当該事由により居住の用に ととされました る事由は 被相続人が 次の認定を受けており 次の施設 等に入所等した場合です ただし 相続開始前から同居していた相続人がそのまま 居住する場合には 適用があるとされています 70
相続財産の評価 〇 貸家の敷地に小規模宅地等の特例を適用する場合 被相続人のアパートなどの貸付不動産の敷地は小規模宅 地等の特例により 200 まで最大 50% 減額されます たとえば アパートの建っている宅地 200 で 更地 としての評価額が 1 億円 貸家建付地としての評価額が 8,200 万円である場合 最大 50 の 4,100 万円を減額で ります このプランで減額できるのは 3,200 万円 990 万円 3,990 万円となります きます 〇 実家の敷地とアパートの敷地があった場合 実家の敷地とアパートの敷地を相続した場合 2つ以上 の用途にまたがって小規模宅地等の特例を受ける場合には 限度面積の調整が必要となります 平成 27 年 1 月 1 日以降の相続等からは 不動産貸付 の用途が入る場合に限って 限度面積を調整することにな りました 適用上限面積いっぱいまで特例を使ったので これ以 上の減額はありません 減額金額の多寡だけを考えるのであれば 居住用を 優先するほうがよい結果となります 〇 家屋の評価 家屋の相続税評価は固定資産税評価額をもとに評価しま 下記① + ② + ③の合計地積 200 ① す 自宅や商売で使っている建物の評価は 1棟の建物ご とに評価します 評価額は 固定資産税評価額そのままの 評価額となります ② 固定資産税評価額は 固定資産税の納税通知書の記載金 ③ 貸付事業用宅地等の適用面積 額などで確認できます 固定資産税評価額は 構造にもよ たとえば 次のような相続財産があった場合 自宅 相続税評価額 4,000 万円 居住用 220 賃貸住宅 りますが建築当初は建築金額の50 60 相当額で す アパート等の賃貸住宅は 貸家として評価され 建物と しての固定資産税評価額から借家権割合を差し引いた評価 となります 貸家の相続税評価 相続税評価額 6,000 万円 貸付用 200 現行制度で 居住用を優先して小規模宅地等の特 例を利用する場合には 220 4,000 万円 の 80 3,200 万円が減額できます また 220 は適用 上限面積 330 に達していないので 1 220 71