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日 本 ナショナルインスツルメンツ デジタイザ 計 測 の 基 本 ni.com/digitizers/ja/

目 次 第 1 章 有 効 ビット 数 有 効 ビットの 概 念... 4 アナログフロントエンド 開 発... 6 周 波 数 応 答 フラットネスの 比 較... 6 高 サンプルレートの ADC 設 計... 8 第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 計 測 の 基 礎 知 識... 10 帯 域 幅 に 関 する 注 意 事 項... 10 立 ち 上 がり 時 間... 11 サンプルレート... 12 レコード 長... 12 デジタイザのプロービングソリューション... 12 プローブチップから 始 まる 高 精 度 計 測... 13 プローブの 基 本... 13 理 想 的 なプローブ... 15 接 続 が 簡 便... 15 絶 対 的 な 信 号 忠 実 度... 15 信 号 源 負 荷 がゼロ... 16 完 全 なノイズイミュニティ... 16 プローブの 現 実... 17 帯 域 幅 と 立 ち 上 がり 時 間 の 制 約... 17 ダイナミックレンジの 制 約... 18 ソース 負 荷... 19 プローブ = センサ...20 プローブ 操 作 のヒント... 21 プローブの 補 償...21 可 能 な 限 り 適 切 なプローブチップアダプタを 使 用 する...21 グランド 線 はできる 限 り 短 く 直 接 的 に 接 続...22 まとめ...22 ニーズによってプローブを 使 い 分 け... 22 多 彩 なプローブが 存 在 する 理 由...22 様 々なプローブのタイプとメリット... 24 パッシブ 電 圧 プローブ...24 アクティブ 電 圧 プローブ...25 差 動 プローブ...25 高 電 圧 プローブ...26 電 流 プローブ...27 光 プローブ...29 浮 動 計 測... 29 プローブアクセサリ...30 第 3 章 プローブ 選 定 ガイド プローブ 選 定 ガイド... 32 適 切 なプローブを 選 ぶには...32 信 号 源 について 理 解 する...32 信 号 タイプ...33 信 号 の 周 波 数 成 分...33 信 号 源 インピーダンス...34 物 理 接 続 を 考 慮...34 デジタイザについて 理 解 する... 35 帯 域 幅 と 立 ち 上 がり 時 間...35 入 力 抵 抗 とキャパシタンス...35 感 度...36 デジタイザとプローブの 正 しい 選 択...36 プローブが 計 測 にもたらす 影 響...37 ソースインピーダンスの 影 響...37 容 量 性 負 荷...38 2

目 次 立 ち 上 がり 時 間 への 影 響...38 振 幅 と 位 相 への 影 響...39 帯 域 幅 に 関 する 注 意 事 項...40 デジタイザの 帯 域 幅...40 プローブの 帯 域 幅...41 プローブチップまでの 帯 域 幅...42 グランド 線 効 果...42 プローブの 影 響 への 対 処 法...44 PXIe-518x デジタイザファミリ 向 けの 推 奨 プローブ 製 品...45 第 4 章 プローブ 仕 様 を 理 解 する プローブ 仕 様 について 理 解 する... 46 収 差 ( 共 通 )...46 精 度 ( 共 通 )...46 アンペア 秒 積 ( 電 流 プローブ)...47 減 衰 係 数 ( 共 通 )...47 帯 域 幅 ( 共 通 )...47 キャパシタンス( 共 通 )...48 CMRR( 差 動 プローブ)...48 減 衰 時 定 数 ( 電 流 プローブ)...48 直 流 ( 電 流 プローブ)...48 周 波 数 低 下 ( 電 流 プローブ)...49 挿 入 インピーダンス( 電 流 プローブ)...49 グランド 線 問 題...50 グランド 線 の 長 さ...51 グランド 線 ノイズの 問 題...52 グランドループノイズ 注 入...52 誘 発 ノイズ...53 差 動 計 測...54 差 動 / コモンモード 信 号 について 理 解 する...54 差 動 計 測 誤 差 を 最 小 限 に 抑 える...56 微 小 信 号 計 測...57 ノイズ 低 減...57 計 測 感 度 の 向 上...58 用 語 集 参 考 文 献 用 語 集... 59 あ 行...59 か 行...59 さ 行...59 た 行...60 な 行...60 は 行...60 や 行...61 ら 行...61 A ~ Z...61 参 考 文 献... 61 入 力 キャパシタンス( 共 通 )...49 入 力 抵 抗 ( 共 通 )...49 最 大 入 力 電 流 定 格 ( 電 流 プローブ)...49 最 大 ピークパルス 電 流 定 格 ( 電 流 プローブ)...49 最 大 電 圧 定 格 ( 共 通 )...49 伝 播 遅 延 ( 共 通 )...49 立 ち 上 がり 時 間 ( 共 通 )...49 接 線 ノイズ(アクティブプローブ)...50 温 度 範 囲 ( 共 通 )...50 しきい 値 電 圧 ( 論 理 プローブ)...50 上 級 プロービングテクニック... 50 3

第 1 章 有 効 ビット 数 有 効 ビットの 概 念 デジタル 化 システムの 場 合 開 発 するにしても 購 入 するにしても 実 際 のデジタル 化 性 能 を 何 らかの 方 法 で 特 定 する 必 要 があります 任 意 の A/D コンバータ(ADC) 波 形 デジタイザ デジタルストレージオシロスコープの 出 力 は アナログ 入 力 信 号 にどれほど 近 似 している でしょうか 最 も 基 本 的 なレベルでは デジタル 化 性 能 とは 単 に 分 解 能 の 問 題 です 必 要 な 振 幅 分 解 能 の 性 能 を 満 たす ためには 必 須 ビット 数 ( 量 子 化 レベル)を 備 えたデジ タイザを 選 ぶ 必 要 があります 時 間 分 解 能 については デジタイザを 必 須 のサンプリングレートで 実 行 します このようにシンプルなことなのですが 同 時 に 誤 解 を 招 きやすいのも 事 実 です 8 ビットデジタイザは DC またはゆっくりと 変 化 する 信 号 に 対 し 8 ビットに 近 い 精 度 と 分 解 能 を 実 現 することはできるものの それは 高 速 信 号 の 場 合 で す 使 用 するデジタル 化 技 術 とシステムの 他 の 要 素 に よっては 信 号 速 度 が 上 がるに 従 って 動 的 デジタル 化 性 能 は 著 しく 低 下 する 可 能 性 があります 指 定 の 帯 域 幅 に 遠 く 及 ばないうちに 8 ビットデジタイザが 6 ビット や 4 ビット 最 悪 の 場 合 それより 低 い 有 効 ビットに 低 下 することもあります ADC デバイスやデジタル 化 機 器 テストシステムを 開 発 する 際 は デジタル 化 性 能 に 影 響 を 及 ぼす 様 々な 要 因 について 理 解 すると 同 時 に 全 体 の 性 能 を 評 価 する 方 法 を 知 っておくことが 重 要 です 有 効 ビットテストに より 動 的 デジタル 化 性 能 の 性 能 指 数 (フィギュアオブ メリット)が 特 定 されます ADC デバイスの 設 計 や 選 定 に 始 まり 様 々な 開 発 段 階 における 評 価 ツールと してだけでなく システム 全 体 の 動 的 性 能 の 仕 様 として も 利 用 されます デジタル 化 システムの 購 入 を 検 討 しているなら 有 効 ビットは 同 様 に 重 要 な 評 価 ツールです 場 合 によっては システムや 計 測 器 の 仕 様 の 一 部 としてすでに 明 記 されて いることもあります 波 形 のデジタル 化 機 器 では この ところそれが 一 般 化 しています 明 記 されていない 場 合 は 比 較 用 に 有 効 ビットの 評 価 を 行 う 必 要 があります 11.00 8 ビットデジタイザ( 高 分 解 能 ) 8 ビットデジタイザ 10 ビットデジタイザ 10.00 9.00 有 効 ビット 8.00 7.00 6.00 5.00 4.00 10 20 400 500 1000 2000 周 波 数 (MHz) 図 1-1. デジタル 化 性 能 を 比 較 する 際 は 全 周 波 数 範 囲 でテストすることが 重 要 です 4

第 1 章 有 効 ビット 数 システムに 機 器 を 統 合 する 場 合 は 有 効 ビットの 評 価 に よって システム 全 体 の 動 的 デジタル 化 システム 性 能 の 性 能 指 数 がわかります 基 本 的 に 有 効 ビットによって 特 定 できるのは デジ タル 化 デバイスや 計 測 器 が 様 々な 周 波 数 の 信 号 を 表 現 する 能 力 です この 基 本 概 念 を 図 1-1 の 有 効 ビット 対 周 波 数 のプロットに 示 します ここで rms signal はデジタル 化 された 信 号 の 二 乗 平 均 平 方 根 値 rms error はノイズ 誤 差 の 二 乗 平 均 平 方 根 値 です 有 効 ビット(EB)との 関 係 性 は 以 下 のよう になります このプロットは 周 波 数 に 対 する 2 つのデジタイザの 有 効 ビット 数 (ENOB)を 表 しています ゲイン 帯 域 幅 またはボードプロットと 同 様 ENOB は 必 ずではない ものの 通 常 は 周 波 数 に 伴 って 低 下 します 主 な 違 いは ENOB プロットの 場 合 アナログゲイン(または 減 衰 ) 精 度 ではなくデジタル 化 精 度 つまりデジタルビット 精 度 を 比 較 しているという 点 です ここで A はデジタル 化 された 信 号 のピーク 間 入 力 振 幅 FS はデジタイザの 入 力 のピーク 間 フルスケール 範 囲 です その 他 によく 使 用 される 式 には 以 下 のような ものがあります このプロットで デジタル 化 された 信 号 の 周 波 数 が 上 がるにつれ 有 効 なデジタル 化 精 度 は 低 下 することが わかります 言 い 換 えると 8 ビットデジタイザが 8 有 効 ビットの 精 度 を 提 供 するのは DC および 低 周 波 数 または 緩 やかな 信 号 スロープのみということです デジタル 化 する 信 号 の 周 波 数 または 速 度 が 上 がると デジタル 化 性 能 は 有 効 ビットのさらに 低 い 値 にまで 低 下 します このようなデジタル 化 性 能 の 低 下 は デジタル 化 された 信 号 におけるノイズレベルの 上 昇 という 形 で 現 れ ます ここで ノイズ とは 入 力 信 号 とデジタル 化 された 出 力 信 号 の 間 のあらゆるランダムまたは 擬 似 ラン ダム 誤 差 のことをいいます デジタル 化 された 信 号 のこのようなノイズは S/N 比 (SNR)で 次 のように 表 すことができます ここで N はデジタイザの 公 称 ( 静 的 ) 分 解 能 です これらの 式 は 全 てデジタル 化 プロセスで 生 じるノイズ ( 誤 差 )レベルに 基 づいている 点 にご 注 意 ください 方 程 式 3 の 場 合 ideal quantization error( 理 想 的 な 量 子 化 誤 差 ) の 項 は 入 力 信 号 の 理 想 的 な N ビットデジ タル 化 における RMS 誤 差 を 示 します 方 程 式 2 と 3 は IEEE Standard for Digitizing Waveform Recorders (IEEE Std. 1057) に 同 様 の 定 義 があります 方 程 式 4 は 方 程 式 3 の 代 替 形 式 です 理 想 的 な 量 子 化 誤 差 が 1 つ の 最 下 位 ビット(LSB)のピーク 間 にわたって 均 等 に 分 散 されていると 仮 定 して 導 き 出 されています その ように 仮 定 することで 理 想 的 な 量 子 化 誤 差 の 項 は FS/ (2n) となります ここで FS はデジタイザのフルスケー ル 入 力 範 囲 です デジタル 符 号 出 力 ±½ LSB 誤 差 デジタル 化 レベル または 量 子 化 アナログ 入 力 図 1-2. 量 子 化 誤 差 アナログ 波 形 サンプルポイント また これらの 方 程 式 はフルスケール 信 号 (FS)に 基 づいている 点 にもご 注 意 ください 実 際 のテスト では フルスケール 未 満 のテスト 信 号 (50 パーセントや 90 パーセントなど)が 使 用 されます そのため 有 効 ビッ トは 向 上 する 可 能 性 があります したがって 有 効 ビット 仕 様 の 比 較 やテストでは 周 波 数 のほか 信 号 の 振 幅 も 考 慮 する 必 要 があります 5

表 1-1. デジタイザでは1/2 LSBの 誤 差 が 生 じます 分 解 能 または 有 効 ビット(N) 量 子 化 レベル SNR (6.08N+1.8dB) 4 16 26.12 6 64 38.28 8 256 50.44 10 1,024 62.60 12 4,096 74.76 14 16,384 86.92 16 65,536 99.08 周 波 数 領 域 では 小 さな 信 号 の 特 定 に 極 力 多 くの ダイナミックレンジが 必 要 となることが 多 いため これは 特 に 重 要 です また 時 間 領 域 でも 垂 直 分 解 能 を 犠 牲 にはできないためやはり 重 要 です 理 論 上 の 最 低 ノイズフロアは 熱 ノイズの 関 数 と なります 周 波 数 全 域 で 密 度 が 一 定 になる 傾 向 が あり 温 度 に 依 存 しています 25 で 熱 ノイズ フロアのパワースペクトル 密 度 は173.9 dbm/hz です 平 均 ノイズ 密 度 は 特 定 の 帯 域 幅 における ノイズパワーを 表 します アナログフロントエンド 開 発 周 波 数 応 答 フラットネスの 比 較 大 規 模 な 物 理 実 験 における 高 精 度 科 学 計 測 から 高 スループット 製 造 テスト 環 境 さらにはレーダーの ような 広 帯 域 航 空 宇 宙 アプリケーションまで 広 範 囲 の 計 測 アプリケーションに 対 応 できるアナログフロント エンドを 開 発 するには 多 くの 設 計 要 件 を 満 たさなくて はなりません 1. フロントエンドは 実 信 号 に 対 してエイリアスを 発 生 させる 高 周 波 数 成 分 を 除 去 する 必 要 があり ます 実 信 号 に 対 してエイリアスを 発 生 させる 信 号 を 周 波 数 領 域 で 特 定 することはできますが 時 間 領 域 では 実 信 号 と 区 別 がつきません 最 高 帯 域 幅 のデジタイザでは エイリアスを 防 ぐ ため 特 定 の 帯 域 幅 で 急 激 にロールオフする フィルタを 採 用 しています ロールオフが 速 い フィルタでは ステップ 応 答 でリンギングが 見 ら れます( 下 記 の 項 目 3を 参 照 ) 高 性 能 のフロント エンドを 設 計 する 際 には そのような 条 件 を 慎 重 に 考 慮 する 必 要 があります 2. DCから 最 大 帯 域 幅 までの 周 波 数 応 答 は 極 力 フ ラットである 必 要 があります できるかぎり 平 坦 な 周 波 数 応 答 を 実 現 することにより フロント エンドによるゲインやアッテネーションの 発 生 を あらゆる 周 波 数 において 防 ぐことができます 3. ステップ 応 答 に 対 するオーバーシュートとリンギ ングは 最 小 に 抑 える 必 要 があります 4. ノイズフロアは 極 力 低 くする 必 要 があります デジタイザの 周 波 数 応 答 フラットネス 情 報 を 特 定 する ことは 簡 単 ではありませんが 特 定 することができれば 詳 しく 調 べる 価 値 はあります 例 えば 他 社 のデジタイ ザ(デジタイザ B)の 周 波 数 応 答 フラットネスについて 考 えてみます 表 1-2 は デジタイザ B の 主 な 仕 様 を 示 しています 表 1-2. デジタイザBの 主 な 仕 様 仕 様 項 目 デジタイザ B アナログ 帯 域 幅 1.5 GHz サンプルレート 4 GS/ 秒 垂 直 分 解 能 10ビットADC サンプリングジッタ 1.2 ps RMS RMSノイズ 0.5% フルスケール ENOB 410 MHzより 上 は 指 定 なし フォームファクタ 3U PXI-H デジタイザ B のメーカーは 製 品 の 周 波 数 応 答 フラッ トネスを 示 す 仕 様 を 提 供 していません 図 1-3 に 示 す データは デジタイザ B の 代 表 サンプルから 得 られた ものです デジタイザ B は 1.5 HGz で -3 db の 帯 域 幅 の 仕 様 ですが 図 1-3 に 示 すデジタイザ B はこの 帯 域 幅 仕 様 を 満 たしています 仕 様 で 示 された 帯 域 幅 以 下 での 周 波 数 応 答 は 比 較 的 平 坦 なのがわかりますが 約 700 MHz から 1 GHz にかけて 1 db ほど 低 下 してきています この 辺 りでデジタイザの 帯 域 幅 を 拡 張 するために 何 らかの 方 法 で 特 性 を 持 ち 上 げています 700 MHz から 1.25 GHz の 間 の 周 波 数 応 答 には 2 db の 差 があり 6

第 1 章 有 効 ビット 数 2.0E+0 1.0E+0 0.0E+0-1.0E+0-2.0E+0 正 規 化 振 幅 (db) - 3.0E+0-4.0E+0-5.0E+0-6.0E+0-7.0E+0-8.0E+0-9.0E+0-10.0E+0-11.0E+0 0 150 M 410 M 660 M 860 M 1.1 G 1.3 G 1.6 G 1.8 G 2.0 G 2.2 G 2.4 G 2.7 G 2.9 G 周 波 数 (Hz) 図 1-3. 1.5 GHzのデジタイザB 周 波 数 応 答 フラットネスプロファイル ます 1.25 GHz 付 近 で 応 答 はロールオフを 始 め 1.5 GHz で -3 db の 地 点 に 到 達 します を 見 てみます 図 1-4 に 示 す 周 波 数 応 答 グラフは デジ タイザの 仕 様 書 にも 掲 載 されています 1.5 GHz を 超 えると 別 の 問 題 が 浮 上 します 周 波 数 応 答 は 2.25 GHz までほぼ 平 坦 ですが 2.5 GHz 付 近 で 再 度 ピークを 迎 え 2.8 GHz で -10 db に 達 します 2 GHz を 超 える 信 号 成 分 は -3 db から -10 db の 間 では ありますが 考 慮 すべき 値 です 4 GS/ 秒 の ADC でデジ タル 化 すると 信 号 に 再 びエイリアスが 生 じます 比 較 をしやすくするとともに Tektronix 社 のフロント エンド ASIC の 使 用 によって 実 現 した 性 能 を 示 すため NI PXIe-5186 5 GHz デジタイザの 周 波 数 応 答 の 計 測 値 NI PXIe-5186 に 使 用 されているフロントエンド ASIC は 最 高 で 5 GHz の 帯 域 幅 まで 1 db 以 内 にとどまる フラットな 周 波 数 応 答 を 示 します フロントエンドフィ ルタを 選 んだのは 12.5 GS/ 秒 でサンプリングする 際 にアンチエイリアス 機 能 が 優 れているからです 図 1-4 は フロントエンドフィルタが 短 時 間 でロール オ フ し て 6.25 GHz で -10 db に 到 達 し そ の 地 点 を 過 ぎると 急 激 にロールオフすることを 示 しています 振 幅 (50 khz に 対 して db) 1 0-1 - 2-3 - 4-5 - 6-7 - 8-9 - 10 0 500 M 1 G 1.5 G 2 G 2.5 G 3 G 3.5 G 4 G 4.5 G 5 G 5.5 G 6 G 6.5 G 周 波 数 (Hz) 図 1-4. NI PXIe-5186の 周 波 数 応 答 フラットネスプロファイル 7

高 サンプルレートの ADC 設 計 NI PXIe-5185/5186 デ ジ タ イ ザ に 使 用 さ れ て い る ADC は 現 在 Tektronix 社 のデジタイザ 用 ADC として 採 用 されています これは IBM 7HP(High Performance) SiGeプロセスノードに 組 み 込 まれています クワッドインターリーブのパイプライン 型 8 ビット A/D コンバータで クロック 入 力 1 つと 最 大 サンプル レート 12.5 GS/ 秒 の 独 自 の 逐 次 近 似 アーキテクチャを 導 入 しています この ASIC を 使 用 すると 1 または 2 チャンネルの 入 力 があり 12.5 GS/ 秒 (1 ch)または 6.25 GS/ 秒 (2 ch)のサンプルレート 両 チャンネルで 5 GHz のアナログ 帯 域 幅 を 持 つデジタイザが 作 成 でき ますので I/Q 復 調 アプリケーションで 2 つ 目 のナイキ ストサンプリングが 可 能 となります Tektronix 社 の ADC の 性 能 は 高 速 ADC 技 術 の 業 界 標 準 の 性 能 指 数 である 有 効 ビット 数 (ENOB) を 使 用 し て 市 販 の ADC と 比 較 することが できます 図 1-5 の 比 較 に は The Aerospace Corporation の Bob Walden 氏 が 実 施 した ADC 技 術 に 関 する 最 近 の 調 査 からのデータを 用 いています また Aperture Ambiguity Boundary( 緑 の 破 線 で 表 示 ) が 150 GHz を 超 える 唯 一 の 量 産 ADC でもあります 採 用 されているトランジスタの 性 能 とハイブリッド ADC アーキテクチャにより 6 GHz の 入 力 シングルトーン 信 号 帯 域 幅 において 6 ビットを 超 える ENOB を 実 現 して います Tektronix 社 の ADC ASIC をデジタイザの 設 計 に 組 み 込 む 際 には まず ADC の 低 ノイズ 性 能 を 維 持 すると いう 難 題 があります フロントエンド ASIC なら この タスクに 対 処 できます フロントエンド ASIC は 低 信 号 周 波 数 でのノイズ 性 能 を 克 服 するため デジタイザの 最 高 条 件 の ENOB を 実 現 できます NI PXIe-5185/5186 デジタイザは 10 MHz 未 満 の 低 周 波 入 力 信 号 に 対 して 実 に 6.5 ビットもの 分 解 能 を 実 現 します これは ADC ASIC の 最 大 ENOB に 近 い 数 値 です 2 つ 目 の 課 題 は 特 に 重 要 で サンプリングジッタの 多 い 高 周 波 入 力 信 号 においてデジタイザのノイズを 最 小 限 にすることです このサンプリングジッタは 位 相 ノイズとも 呼 ばれ AD 変 換 プロセスにおけるタイミング 偏 差 を 特 性 付 けるものです タイミング 偏 差 の 原 因 には ADC 内 部 の 誤 差 クロックジッタ システム 設 計 の 問 題 などが 考 えられます 図 1-5. ギガヘルツレベルのアナログ 入 力 周 波 数 で より 高 いビット 分 解 能 を 謳 っている 他 社 のADC 製 品 に 比 べ Tektronix 社 の8ビットADCアーキテクチャの 方 が 分 解 能 が 優 れていることがわかります サンプリングジッタの 影 響 は Bob Walden 氏 が 行 っ た ADC 調 査 ( 図 1-5)で 確 認 することがで きます 例 として 1.5 GHz の 帯 域 幅 と 10 ビットの 垂 直 分 解 能 と いう 仕 様 を 持 つデジタイザ A に ついて 考 えてみます これだけを 見 ると 極 めて 優 れ た 仕 様 のようですが ジッタに よって 起 こるノイズ 劣 化 が 考 慮 されていません デジタイザの サンプリングジッタが 1.2 ps RMS であることを 考 慮 すると デジタ イザ B の 本 当 の 性 能 をより 詳 し く 調 べることができます デジタイザ A のサンプリング 8

第 1 章 有 効 ビット 数 ジッタは 1200 fs (1.2ps) ですが 便 宜 上 サンプリン グジッタが 1 ps だとして 説 明 します 破 線 で 示 された 1 ps のジッタラインが 10 ビットラインと 交 差 している のが 100 MHz であることから ENOB が 10 ビットと いう 仕 様 は 100 MHz までしか 実 現 できないことがわか ります そこから 赤 の 破 線 を 下 および 右 方 向 にたどると 1.5 GHz でのデジタイザの 実 際 の ENOB 性 能 は 1.2 ps の サンプリングジッタにより 最 大 で 約 6 ビットに 低 下 することがわかります つまり 広 帯 域 ノイズを 考 慮 する と 10 ビット ADC を 使 用 するデジタイザが 持 つ 実 際 の ENOB は 1.5 GHz で 5 ビットまで 低 下 してしまうと いうことです デジタイザの 極 めて 低 いサンプリングジッタのおかげ で Tektronix 社 の ADC ASIC の 優 れ た ENOB は NI PXIe-5185/5186 の 設 計 でも 維 持 されています デジ タイザは 統 合 ジッタが 500 fs RMS と 非 常 に 低 いため 5 GHz で ENOB が 5.5 ビットという 優 れた 結 果 になって います 表 1-3. NI PXIe-5186デジタイザと 他 社 デジタイザBの ノイズ ジッタ ENOB 性 能 の 比 較 NI PXIe-5186 デジタイザB アナログ 帯 域 幅 5 GHz 1.5 GHz サンプルレート 12.5 GS/ 秒 4 GS/ 秒 垂 直 分 解 能 8ビットADC 10ビットADC サンプリングジッタ 500 fs RMS 1.2 ps RMS RMSノイズ 0.35% フルスケール 0.5% フルスケール ENOB 2.5 GHzで6ビット 5 GHzで5.5ビット 410 MHzより 上 は 指 定 なし フォームファクタ 3U PXI Express 3U PXI-H 9

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 計 測 の 基 礎 知 識 前 セクションでは ENOB のメリットと 信 号 整 合 性 の 指 標 としての ENOB 値 の 解 釈 方 法 について 解 説 しま した 本 章 では 計 測 する 信 号 について 理 解 することの 重 要 性 と 十 分 な 帯 域 幅 サンプルレート レコード 長 で 信 号 を 正 しく 計 測 して 誤 差 を 極 力 少 なくする 方 法 に ついて 重 点 的 に 説 明 します 帯 域 幅 に 関 する 注 意 事 項 高 速 データレートや 立 ち 上 がり 時 間 の 短 い 信 号 で 設 計 のトラブルシューティングを 行 う 際 は デジタイザの 帯 域 幅 が 重 大 な 意 味 を 持 ちます デジタル 信 号 のエッジ 速 度 ( 立 ち 上 がり 時 間 )は その 反 復 率 が 示 すより はるかに 高 い 周 波 数 成 分 を 含 んでいることがあります 高 周 波 成 分 を 捉 え その 結 果 信 号 遷 移 を 正 確 に 表 示 する には 十 分 なデジタイザ 帯 域 幅 が 必 要 です 全 てのデジタイザは 高 周 波 におけるロールオフが 見 られるローパス 周 波 数 応 答 を 示 します 従 来 デジタイ ザの 帯 域 幅 は 正 弦 入 力 信 号 が 真 の 信 号 振 幅 の 70.7% に 減 衰 される 周 波 数 として 指 定 されてきました これは 対 数 スケールに 基 づく 用 語 で -3 db ポイント と 呼 ばれるものです デジタイザの 定 格 帯 域 幅 で 計 測 した 正 弦 波 は 実 に 30% 近 い -3 db の 振 幅 誤 差 が 生 じる ことを 意 味 します 図 2-1 は 1 GHz デジタイザの 典 型 的 な 周 波 数 応 答 を プロットしたものです 特 徴 的 なロールオフと -3 db ポイントが 表 示 されています 帯 域 幅 が 十 分 でないと デジタイザは 高 周 波 での 変 化 に 対 応 することができ ません 振 幅 は 歪 み エッジは 消 滅 して 細 部 が 失 われ ます 特 定 のアプリケーションの 信 号 振 幅 を 正 確 に 特 性 評 価 するのに 必 要 なデジタイザ 帯 域 幅 を 特 定 するには 5 倍 の 法 則 が 役 立 ちます デジタイザ 帯 域 幅 最 速 の 周 波 数 要 素 5 5 倍 の 法 則 を 使 って 選 定 したデジタイザは 計 測 誤 差 が± 2% を 下 回 ります 一 般 に 高 帯 域 幅 の 方 が 対 象 信 号 をより 正 確 に 再 現 することができます 最 新 の 高 速 シリアルバスをデバッグする 場 合 データ レートが 速 いため 5 倍 の 法 則 を 守 るのは 容 易 なことで はありません 設 計 のデバッグには DUT の 最 速 デジ タルクロックレートより 3 倍 高 速 のデジタイザ 帯 域 幅 を 選 ぶのが 一 般 的 です( 従 ってクロックレートの 3 次 高 調 波 を 捉 えることが 可 能 ) 高 速 バスの 特 性 評 価 と コンプライアンステストには デジタイザが 5 次 高 調 波 を 捉 えることが 必 要 な 場 合 もあり そのためには DUT の クロックレートの 5 倍 の 帯 域 幅 が 必 要 となります 100 振 幅 誤 差 (%) 85-3 db 70.7 0.1 0.5 1.0 周 波 数 (GHz) 図 2-1. 1 GHzデジタイザの 典 型 的 な 周 波 数 応 答 プロット 表 2-1 は 一 般 的 なシリアルバスのデータレートと その 場 合 に 3 次 および 5 次 高 調 波 を 捉 えるためのデジタ イザ 帯 域 幅 を 示 しています 最 新 の 高 速 バスにはかなり のデジタイザ 帯 域 幅 が 必 要 なことがわかります 10

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 表 2-1. 一 般 的 なシリアルバスのデータレートと 3 次 および5 次 高 調 波 を 捉 えるのに 必 要 なデジタイザ 帯 域 幅 シリアルバス クロック 周 波 数 3 次 高 調 波 5 次 高 調 波 特 定 の 信 号 タイプに 必 要 となるデジタイザの 立 ち 上 がり 時 間 の 計 算 には 以 下 の 式 が 役 立 ちます 3.0 Gb/ 秒 (SATA II) 4.25 Gb/ 秒 (ファイバーチャンネル) 1.5 GHz 4.5 GHz 7.5 GHz 2.125 GHz 6.375 GHz 10.625 GHz デジタイザの 立 ち 上 がり 時 間 信 号 の 最 速 立 ち 上 がり 時 間 4.8 Gb/ 秒 (FBD) 5.0 Gb/ 秒 (USB 3.0) 5.0 Gb/ 秒 (PCI-Express II) 6.0 Gb/ 秒 (SATA III) 6.25 Gb/ 秒 (2x XAUI) 8.0 Gb/ 秒 (PCI-Express III) 8.5 Gb/ 秒 (ファイバーチャンネル) 10.0 Gb/ 秒 (XFI) 2.4 GHz 7.2 GHz 12.0 GHz 2.5 GHz 7.5 GHz 12.5 GHz 2.5 GHz 7.5 GHz 12.5 GHz 3.0 GHz 9.0 GHz 15.0 GHz 3.125 GHz 9.375 GHz 15.625 GHz 4.0 GHz 12.0 GHz 20.0 GHz 4.25 GHz 12.75 GHz 21.25 GHz 5.0 GHz 15.0 GHz 25.0 GHz デジタイザの 立 ち 上 がり 時 間 選 定 の 基 本 は 帯 域 幅 の 場 合 とほぼ 同 じです 一 般 に 立 ち 上 がり 時 間 の 短 いデジ タイザの 方 が 高 速 遷 移 の 細 部 も 逃 さず 正 確 に 捉 える ことができます 帯 域 幅 と 同 様 昨 今 の 超 高 速 シリアルバスに 対 応 する 場 合 この 法 則 通 りにはなかなかいきません デジタイ ザで 測 定 する 立 ち 上 がり 時 間 は 実 際 の 信 号 の 立 ち 上 が り 時 間 とデジタイザの 立 ち 上 がり 時 間 の 両 方 によって 決 まります 計 測 した 立 ち 上 がり 時 間 デジタイザの 立 ち 上 がり 時 間 信 号 立 ち 上 がり 時 間 立 ち 上 がり 時 間 デジタルの 世 界 では 立 ち 上 がり 時 間 の 計 測 は 極 めて 重 要 です パルスやステップなどのデジタル 信 号 を 計 測 するためにデジタイザを 選 ぶ 際 には 考 慮 すべき 選 定 要 件 として 帯 域 幅 よりも 重 要 かもしれません 半 導 体 デバ イス 技 術 の 進 歩 によってあらゆるロジックファミリで エッジ 性 能 が 高 速 化 したこともあり より 低 速 のクロッ クレートで 設 計 された 多 くのデジタルシステムでも 高 速 エッジを 示 すことがあることを 覚 えておく 必 要 が あります 表 2-2. ロジックファミリによっては 他 と 比 べて 立 ち 上 がり 時 間 が 速 い 特 性 を 持 つものがあります ロジックファミリ TTL CMOS GTL LVDS ECL GaAs 典 型 的 な 信 号 立 ち 上 がり 時 間 2 ns 1.5 ns 1 ns 400 ps 100 ps 40 ps デジタイザの 立 ち 上 がり 時 間 が 短 いほど 計 測 した 立 ち 上 がり 時 間 の 精 度 も 高 くなります 立 ち 上 がり 時 間 の 計 測 値 を 求 める 一 般 的 な 式 は 以 下 のようになります デジタイザの 立 ち 上 がり 時 間 がわからない 場 合 は 以 下 の 式 を 使 用 して 帯 域 幅 の 仕 様 から 計 算 することが できます 帯 域 幅 立 ち 上 がり 時 間 ここで k は 0.35 ~ 0.45 の 値 です 値 はデジタイザ の 周 波 数 応 答 曲 線 の 形 状 とパルスの 立 ち 上 がり 時 間 応 答 によって 決 まります 帯 域 幅 仕 様 が 1 GHz に 満 たないデジタイザのほとんど は ガウス 応 答 のように 周 波 数 応 答 がゆっくりとロール オフし k 値 を 0.35 として 設 計 することが 可 能 です より 高 帯 域 のデジタイザは 通 常 最 大 限 にフラットな 周 波 数 応 答 で ロールオフが 鋭 くブリックウォールフィ ルタ(Brick Wall Filter)に 近 い 形 状 で k 値 を 0.42 と して 設 計 できます 11

サンプルレート サンプルレート(S/ 秒 : サンプル 数 / 秒 で 指 定 )とは デジタイザが 信 号 のサンプル つまり 視 覚 的 なスナップ ショットをとる 頻 度 です サンプルレートが 速 いと 分 解 能 が 高 くなり 波 形 の 細 部 を 捉 えることができます ので 重 要 な 情 報 や 突 発 的 な 事 象 をとり 逃 す 可 能 性 が 少 なくなります エイリアスを 回 避 して 信 号 を 正 確 に 再 現 するため ナイキスト 定 理 では 最 高 周 波 成 分 の 少 なくとも 2 倍 の 速 度 でサンプルする 必 要 があるとしています ただしこの 定 理 では 無 限 のレコード 長 と 連 続 信 号 を 想 定 しています 無 限 のレコード 長 に 対 応 できるデジタ イザは 当 然 のことながらないので 最 高 周 波 数 成 分 の わずか 2 倍 のレートでのサンプリングでは 通 常 不 十 分 です 現 実 においては 信 号 の 正 確 な 再 現 は サンプルレート とサンプル 間 のスペースを 埋 めるための 補 間 方 法 に 左 右 されます 一 部 のデジタイザは 正 弦 信 号 の 計 測 用 に sin(x)/x 補 間 方 形 波 パルス その 他 の 信 号 タイプ 用 には 線 形 補 間 を 用 意 しています デジタイザのサンプルレート > 信 号 の 最 高 周 波 成 分 の 2.5 倍 (sin(x)/x 補 間 ) ド 長 で 十 分 です ただし 複 雑 なデジタルデータストリームを 解 析 して タイミングの 変 則 性 の 原 因 を 見 つける 場 合 必 要 な レコード 長 は 数 百 万 ポイントを 超 えることがあります レコード 長 が 長 ければ 長 時 間 の 集 録 が 可 能 となります デジタイザのプロービングソリューション デジタイザプローブは 信 号 整 合 性 解 析 で 重 要 な 要 素 となるものです 基 本 的 に プローブはテストポイント に 対 しシステムのフル 帯 域 幅 とステップ 応 答 性 能 を 保 障 する 必 要 があります また 耐 久 性 も 求 められるほか 密 集 した 回 路 基 板 をプローブするには 小 さくなければ なりません 信 号 整 合 性 問 題 のトラブルシューティング 時 には 通 常 1 つのプローブをエラーが 発 生 したテストポイント に 固 定 し もう 1 つのプローブで 信 号 経 路 を 追 跡 して 問 題 の 原 因 を 特 定 することが 必 要 です 高 速 で 作 業 する 場 合 重 要 となるプローブの 2 つの 特 性 がキャパシタンスとインダクタンスです どのプロー ブにも 抵 抗 インダクタンス そしてキャパシタンス 要 素 があります キャパシタンスとインダクタンスは 周 波 数 の 上 昇 とともに 効 果 が 大 きくなります 2 つの 効 果 が 合 わさることで 信 号 と 計 測 結 果 が 変 わる 可 能 性 もあります デジタイザのサンプルレート > 信 号 の 最 高 周 波 成 分 の 10 倍 ( 線 形 補 間 ) レコード 長 レコード 長 とは デジタイザが 1 回 の 集 録 でデジタ ル 化 して 保 存 できるサンプル 数 です デジタイザが 保 存 できるサンプル 数 には 限 りがあるため 波 形 の 持 続 時 間 ( 集 録 した 時 間 )はデジタイザのサンプルレートと 反 比 例 します 集 録 時 間 レコード 長 サンプルレート 図 2-2. プローブ 負 荷 による 高 速 信 号 への 影 響 最 新 のデジタイザでは ユーザが 集 録 のレコード 長 を 選 択 できるので アプリケーションに 最 適 な 細 部 レベル に 設 定 することができます 極 めて 安 定 性 の 高 い 正 弦 波 の 信 号 を 解 析 している 場 合 は 500 ポイントのレコー 12

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 図 2-2 は 一 般 的 な 高 速 信 号 におけるプローブ 負 荷 の 影 響 を 示 したものです(200 ps の 立 ち 上 がり 時 間 で 接 地 基 準 250 mv ステップ) この 画 面 では 負 荷 と 非 負 荷 の 同 じ 信 号 を 4 GHz のデジタイザ 上 に 示 して います プローブの 追 加 により 元 の 信 号 ( 白 いライン) に 負 荷 がかけられ( 緑 のライン) ステップのフロント コーナーがやや 緩 やかになっています 簡 単 に 言 うと キャパシタンスとインダクタンスが 増 えるにつれ 信 号 の 負 荷 も 増 えるということです 同 様 に リード 線 のインダクタンスも 計 測 信 号 に 顕 著 な 歪 みをもたらすことがあります プローブ 入 力 特 性 と リード 線 インダクタンスは 実 際 に 信 号 整 合 性 問 題 の 原 因 となります 信 号 整 合 性 と 高 速 計 測 の 問 題 の 解 決 策 となるのが 新 世 代 の 超 低 キャパシタンスのデジタイザプローブ です プローブチップにおける 高 帯 域 幅 と 極 めて 短 い プローブチップのリード 線 超 低 入 力 キャパシタンスと いった 特 長 を 備 え デジタイザの 入 力 ポートに 送 られる 信 号 をより 良 い 状 態 で 維 持 します このプローブなら 収 差 などあらゆるものを 含 む 信 号 を 集 録 システムに 正 確 に 取 り 込 むことができます プローブの 性 能 がこれほど 重 要 なのは 計 測 サブシス テムのチェーンの 中 で 信 号 を 極 力 正 確 に 保 持 キャ プチャ 表 示 する 必 要 のある 最 初 のリンクだからです プローブチップとグランド 線 長 が 短 い 高 帯 域 低 キャパ シタンスのプローブを 使 用 すれば デジタイザの 帯 域 幅 が 無 駄 にならずにすみます プローブチップから 始 まる 高 精 度 計 測 プローブは デジタイザ 計 測 に 不 可 欠 なコンポー ネントです 当 たり 前 のことですが プローブ 接 続 なし ではデジタイザでの 計 測 はできないはずです 計 測 する 信 号 とデジタイザの 入 力 チャンネルの 間 には 何 らかの 電 気 的 接 続 つまりプローブが 必 要 となります 影 響 を 最 小 限 にし 望 ましい 計 測 を 行 うのに 十 分 な 信 号 整 合 性 を 維 持 することが 重 要 です プローブが 信 号 整 合 性 を 保 持 しなかったり 信 号 に 何 らかの 変 化 をもた らしたり 回 路 の 動 作 を 変 化 させたりすると デジタイザ における 信 号 は 実 際 の 信 号 が 歪 んだものとなります その 結 果 誤 った 計 測 が 導 き 出 されます つまり プローブはデジタイザ 計 測 プロセスの 中 で 最 初 のステップなのです そして 計 測 プロセスの 精 度 は デジタイザと 同 様 にプローブにも 大 きくかかって います その 最 初 のステップで 不 適 切 なプローブや プロービング 方 法 が 使 用 されると 計 測 プロセス 全 体 に 悪 影 響 を 及 ぼします 本 セクション 以 降 では プローブ の 利 点 と 弱 点 に 影 響 するものについて 説 明 するほか お 客 様 のアプリケーションに 適 したプローブの 選 び 方 に ついても 解 説 します また プローブの 正 しい 使 い 方 に 関 する 重 要 なヒントも 紹 介 します プローブの 基 本 最 初 のステップとして プローブとは 何 かについて 解 説 します プローブとは 基 本 的 にテストポイント または 信 号 源 とデジタイザの 間 の 物 理 的 電 気 的 接 続 を 行 うデバイスです お 客 様 の 計 測 ニーズ 次 第 で この 接 続 は 1 本 の ワイヤといったシンプルなものからアクティブ 差 動 プローブのような 高 度 なものまで 様 々です この 時 点 で 言 えるのは プローブとは 信 号 源 をデジタ イザの 入 力 に 接 続 する 何 らかのデバイスまたはネット ワークであるということです それを 図 2-3 に 示 し ます この 図 でプローブは 計 測 図 における 未 定 義 の ボックスとして 描 かれています テスト 対 象 回 路 デジタイザ 計 測 に 不 可 欠 なだけでなく 計 測 品 質 の 維 持 にも 重 要 な 役 割 を 果 たします プローブを 回 路 に 接 続 すると 回 路 の 動 作 に 影 響 がありますが デジタイザ はプローブがデジタイザ 入 力 に 供 給 する 信 号 を 計 測 し 表 示 するのみです プローブ テストポイント デジタイザ (オシロスコープ) 図 2-3. プローブとは 物 理 的 電 気 的 接 続 を 行 うデバイスです そのため プローブがもたらすプローブ 対 象 回 路 への 13

プローブが 現 実 にどのようなものであっても 信 号 源 とデジタイザ 入 力 の 間 である 程 度 の 品 質 と 利 便 性 を 持 った 接 続 を 提 供 するものという 定 義 は 変 わりませ ん 接 続 の 適 性 を 決 める 主 要 要 素 として 物 理 的 設 置 回 路 の 動 作 への 影 響 信 号 伝 達 の 3 つがあります デジタイザ 計 測 を 行 うには まずテストポイントに プローブを 物 理 的 に 連 結 させる 必 要 があります それを 可 能 にするため ほとんどのプローブには 少 なくとも 1 ~ 2 メートルのケーブルが 付 属 してい ます( 図 2-4 参 照 ) このプローブケーブルがあれば デジタイザをカートやベンチトップの 決 まった 位 置 に 置 いたままで プローブをテスト 対 象 回 路 のテスト ポイント 間 で 移 動 させることができます ただしこの 便 利 さにはマイナス 面 もあります プローブケーブルに よってプローブの 帯 域 幅 が 減 少 します ケーブルが 長 い ほど 減 少 も 大 きくなります 十 分 な 忠 実 度 で 伝 送 されなければなりません 物 理 的 設 置 回 路 動 作 への 影 響 の 低 減 十 分 な 信 号 忠 実 度 という 3 つの 問 題 を 考 えることで 適 切 なプロー ブの 選 定 要 件 がほぼ 満 たされます プローブの 効 果 と 信 号 忠 実 度 は 複 雑 なトピックなので この 技 術 資 料 では その 2 つに 重 点 を 置 いて 解 説 します ただし 物 理 的 接 続 の 問 題 を 無 視 することはできません プローブを テストポイントに 接 続 する 際 に 困 難 を 伴 う 場 合 信 号 忠 実 度 の 低 下 につながる 恐 れがあります ケーブルの 長 さだけでなく ほとんどのプローブには プローブチップを 備 えたプローブヘッド つまりハンド ルがあります プローブヘッドは プローブチップを テストポイントに 接 続 する 際 にプローブを 手 で 持 つため のものです このプローブチップは 多 くの 場 合 プロー ブをテストポイントに 実 際 に 設 置 できるばね 式 フックの 形 状 をしています プローブ 補 償 ボックス デジタイザ (オシロスコープ) テスト 対 象 回 路 プローブ ヘッド プローブケーブル テストポイント 図 2-4. ほとんどのプローブは プローブヘッド プローブケーブル 補 償 ボックスその 他 の 信 号 調 節 ネットワークで 構 成 されます プローブをテストポイントに 物 理 的 に 接 続 すること で プローブチップとデジタイザ 入 力 との 間 で 電 気 的 接 続 が 確 立 されます 利 用 価 値 のある 計 測 結 果 を 得 るには プローブを 回 路 に 設 置 することによる 回 路 の 動 作 への 影 響 を 最 小 限 に 抑 え プローブチップからの 信 号 が プローブヘッドとケーブルを 通 ってデジタイザの 入 力 へ 14

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 理 想 的 なプローブ す 理 想 的 なプローブとは 以 下 のような 特 性 を 持 つもので ほんのいくつか 見 ただけでも アプリケーションに よって 最 適 なプローブのサイズや 構 成 は 異 なることが わかります そのため あらゆるアプリケーションの 物 理 接 続 要 件 を 満 たすよう 様 々なサイズや 構 成 の プローブが 販 売 されています 接 続 が 簡 便 絶 対 的 な 信 号 忠 実 度 信 号 源 負 荷 がゼロ 完 全 なノイズイミュニティ 接 続 が 簡 便 テストポイントへの 物 理 接 続 は プローブ 操 作 のキー となる 要 件 の 1 つとして 既 に 紹 介 済 みです 理 想 的 な プローブを 使 用 すると 物 理 接 続 が 簡 単 かつ 便 利 になり ます 高 密 度 表 面 実 装 技 術 (SMT)などの 小 型 回 路 の 場 合 SMT デバイス 向 けに 開 発 された 超 小 型 プローブ ヘッドや 様 々なプローブチップアダプタにより 接 続 の 簡 便 さはさらに 高 まっています そのようなプロービン グシステムを 図 2-5 に 示 します 図 2-6. 高 電 圧 プローブ 図 2-7. クランプオン 電 流 プローブ 絶 対 的 な 信 号 忠 実 度 図 2-5. SMTデバイスのプロービング ただしそのようなプローブは 高 電 圧 や 太 いゲージ ワイヤがよく 使 われる 工 業 用 電 源 回 路 などのアプリケー ションで 使 用 するには 小 さすぎて 実 用 的 ではあり ません 電 源 アプリケーションには 安 全 マージンの 広 い 物 理 的 に 大 きなプローブが 必 要 です 図 2-6 および 2-7 は そのようなプローブの 例 を 示 しています 図 2-6 は 高 電 圧 プローブ 図 2-7 はクラ ンプオン 電 流 プローブです このように 物 理 接 続 の 例 を 理 想 的 なプローブとは いかなる 信 号 もプローブ チップからデジタイザ 入 力 へ 絶 対 的 な 信 号 忠 実 度 で 伝 達 するものです 言 い 換 えると プローブチップで 発 生 した 信 号 は デジタイザ 入 力 でそのまま 忠 実 に 再 現 され るということです 絶 対 的 な 忠 実 度 を 実 現 するには プローブ 回 路 でチップからデジタイザ 入 力 まで 減 衰 が 一 切 なく 無 限 の 帯 域 幅 で 全 周 波 数 にわたって 線 形 位 相 でなくてはなりません そのような 理 想 的 な 要 件 は 現 実 には 実 現 不 可 能 です 例 えば オーディオ 周 波 数 信 号 を 扱 う 際 に 無 限 帯 域 幅 のプローブやデジタイザ などは 必 要 ありません 500 MHz でほとんどの 高 速 デジタル TV その 他 一 般 的 なデジタイザアプリケー ションに 対 応 できますので やはり 無 限 帯 域 幅 は 不 要 です 15

それでも 特 定 の 動 作 帯 域 幅 内 での 絶 対 的 な 信 号 忠 実 度 の 実 現 は 理 想 的 です 信 号 源 負 荷 がゼロ テストポイントの 後 ろにある 回 路 は 信 号 源 と 考 える ことができます テストポイントに 取 り 付 けられる プローブなどのあらゆる 外 部 デバイスは テスト ポイントの 裏 側 の 信 号 源 にとっては 追 加 された 負 荷 と みなされることもあります 外 部 デバイスは 回 路 ( 信 号 源 )から 信 号 電 流 を 引 き 込 む 際 に 負 荷 として みなされます この 負 荷 は 信 号 電 流 引 き 込 みと 呼 ば れるもので テストポイントの 後 ろにある 回 路 の 動 作 を 変 えるため テストポイントで 見 られる 信 号 も 変 化 します 現 実 には シールドを 使 用 することで ほとんどの 一 般 的 な 信 号 レベルでは 高 レベルのノイズ 耐 性 を 実 現 することができます ただし 一 部 の 低 レベル 信 号 では やはりノイズは 問 題 となります 特 に 差 動 計 測 では コモンモードノイズが 問 題 の 原 因 となることがあり ます これについては 後 ほど 説 明 します 理 想 的 なプローブでは 信 号 源 負 荷 はゼロになります 言 い 換 えると 信 号 源 からは 一 切 の 信 号 電 流 を 引 き 込 まないということです つまり 電 流 引 き 込 みがゼロの 場 合 プローブのインピーダンスは 有 限 であるはず なので 原 則 としてテストポイントに 開 回 路 を 提 供 します 現 実 には 信 号 源 負 荷 がゼロのプローブは 実 現 不 可 能 です それは デジタイザ 入 力 で 信 号 電 圧 を 発 生 させ るためには プローブは 少 量 の 信 号 電 流 を 引 き 込 む 必 要 があるためです したがってプローブを 使 用 する 際 には 何 らかの 信 号 源 負 荷 の 生 成 が 予 測 されます ただし 目 的 としているのは 常 に 適 切 なプローブ 選 定 を 通 して 負 荷 の 量 を 最 小 に 抑 えることです 完 全 なノイズイミュニティ 我 々が 生 活 する 環 境 の 中 には 多 くの 電 気 的 ノイズ 源 が ありますが 蛍 光 灯 やファンモータはその 例 です その ようなノイズ 源 は 近 くにある 電 気 ケーブルや 回 路 に ノイズを 誘 発 し 信 号 ノイズの 原 因 となる 可 能 性 があり ます 誘 発 ノイズの 危 険 性 が 高 いため 1 本 のワイヤ ではデジタイザプローブとして 最 適 な 選 択 ではありま せん 理 想 的 なデジタイザプローブは あらゆるノイズ 源 に 対 し 完 全 な 耐 性 を 備 えています その 場 合 デジ タイザに 送 られる 信 号 は テストポイントにおける 信 号 に 比 べノイズが 増 えることはありません 16

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 プローブの 現 実 ここまで 話 してきた 理 想 的 なプローブでは 現 実 の プローブが 理 想 に 到 達 するのを 妨 げるいくつかの 現 実 に ついて 解 説 しました デジタイザ 計 測 にどのような 影 響 があるかについては 現 実 のプローブについてさらに 詳 しく 説 明 する 必 要 があります まず 単 なる 1 本 の ワイヤであっても プローブは 本 来 非 常 に 複 雑 な 回 路 だということを 念 頭 に 置 いておくことが 重 要 です DC 信 号 (0 Hz 周 波 数 )の 場 合 プローブは 直 列 抵 抗 と 終 端 抵 抗 を 持 つシンプルな 導 線 ペアのように 見 えます ( 図 2-8) しかし AC 信 号 では 信 号 の 周 波 数 が 上 がる につれ 劇 的 な 変 化 が 見 られます( 図 2-9) 忠 実 度 減 衰 ソース 負 荷 を 供 給 できるよう プローブ の R L および C 素 子 を 可 変 にすることができます ただし 優 れた 設 計 であっても その 回 路 の 性 質 により プローブにも 限 界 があります プローブを 選 ぶ 際 や 使 用 する 際 は そのような 限 界 や 効 果 を 知 っておくことが 重 要 です 帯 域 幅 と 立 ち 上 がり 時 間 の 制 約 帯 域 幅 とは デジタイザまたはプローブが 対 応 する よう 開 発 されている 周 波 数 範 囲 です 例 えば 100 MHz の プローブ / デジタイザは 100 MHz までの 全 周 波 数 で 仕 様 に 準 じた 計 測 が 行 えるよう 設 計 されています 指 定 帯 域 幅 を 超 えた 信 号 周 波 数 では 望 ましくない 結 果 や 予 期 せぬ 結 果 が 出 ることがあります( 図 2-10) 3 dbの 減 衰 プローブ R R R R R R グランド 線 R R デジタイザ (オシロスコープ) 振 幅 有 効 な 周 波 数 帯 域 無 効 な 周 波 数 帯 域 図 2-8. DC(0 Hz) 信 号 の 分 散 R 帯 域 幅 R L プローブ 図 2-10. プローブ 帯 域 幅 の-3 dbポイント C R C L グランド 線 図 2-9. AC 信 号 の 分 散 R L C デジタイザ (オシロスコープ) AC 信 号 でこのように 変 化 するのは 1 本 のワイヤに は 分 散 インダクタンス(L) ワイヤペアには 分 散 キャ パシタンス(C)が 存 在 するためです 分 散 インダクタ ンスは AC 信 号 に 応 答 する 際 信 号 の 周 波 数 が 上 昇 する につれ AC 電 流 を 徐 々に 妨 げるようになります 分 散 キャ パシタンスは 信 号 の 周 波 数 が 上 昇 するにつれ AC 電 流 のインピーダンスを 低 下 させることで AC 信 号 に 応 答 します そのようなリアクタンス 素 子 (L と C)のやり 取 りや 抵 抗 素 子 (R)によって 信 号 周 波 数 とともに 変 動 する 全 プローブインピーダンスが 生 成 されます 優 れた 設 計 のプローブなら 特 定 の 周 波 数 範 囲 で 望 ましい 信 号 一 般 的 な 法 則 として 高 精 度 の 振 幅 計 測 を 行 うには デジタイザの 帯 域 幅 が 計 測 対 象 波 形 の 周 波 数 の 5 倍 以 上 でなければならないとされています この 5 倍 の 法 則 により 方 形 波 などの 非 正 弦 波 形 の 高 周 波 成 分 で 十 分 な 帯 域 幅 が 確 保 できます 同 様 にデジタイザも 計 測 対 象 の 波 形 に 対 し 十 分 な 立 ち 上 がり 時 間 が 必 要 です デジタイザまたはプローブ の 立 ち 上 がり 時 間 は 理 想 の 瞬 時 立 ち 上 がりパルスが 印 加 された 場 合 に 計 測 される 立 ち 上 がり 時 間 として 定 義 されます パルスの 立 ち 上 がり / 立 ち 下 がり 時 間 を 適 度 な 精 度 で 計 測 するには プローブとデジタイザの 立 ち 上 がり 時 間 がどちらも 計 測 対 象 のパルスの 立 ち 上 がり 時 間 の 3 ~ 5 倍 であることが 必 要 です( 図 2-11) 17

ブを 使 用 している 場 合 は 正 確 でない 計 測 結 果 が 出 る リスクがあります 40 計 測 誤 差 (%) 30 25 20 15 10 9 8 7 6 5 4 3 2.5 2 1.5 1 1:1 1.5:1 2:1 3:1 5:1 7:1 立 ち 上 がり 時 間 の 比 率 図 2-11. 立 ち 上 がり 時 間 の 計 測 誤 差 チャート 立 ち 上 がり 時 間 が 特 定 されていない 場 合 は 以 下 の 式 を 使 って 帯 域 幅 (BW) 仕 様 から 立 ち 上 がり 時 間 (Tr) を 求 めることができます ダイナミックレンジの 制 約 全 てのプローブには 超 えてはならない 高 電 圧 安 全 リミット 値 があります パッシブプローブの 場 合 この リミットは 数 百 V のものもあれば 数 千 V のものもあり ます ただしアクティブプローブの 場 合 は 安 全 電 圧 の リミット 値 は 多 くの 場 合 数 十 V のレベルです 人 体 へ の 損 傷 のほかプローブ 自 体 の 損 害 も 防 ぐため 計 測 信 号 の 電 圧 と 使 用 しているプローブの 電 圧 リミットに 注 意 しておくことが 重 要 です 安 全 性 以 外 にも 計 測 のダイナミックレンジについて 現 実 的 な 考 慮 が 必 要 です デジタイザには 振 幅 感 度 範 囲 があります 例 としては 1 分 割 あたり 1 mv ~ 10 V が 一 般 的 な 感 度 範 囲 です 8 分 割 表 示 の 場 合 ピーク 間 4 mv からピーク 間 40 V の 範 囲 の 信 号 なら 通 常 ある 程 度 の 高 精 度 計 測 が 可 能 であることを 意 味 し ます これは 少 なくとも 信 号 の 4 分 割 振 幅 表 示 で 適 切 な 計 測 分 解 能 が 実 現 できると 仮 定 するものです 1 倍 プローブを 使 用 すると 計 測 のダイナミックレンジは デジタイザと 同 じになります 上 述 の 例 の 場 合 信 号 計 測 範 囲 は 4 mv ~ 40 V になります しかしながら 40 V 範 囲 を 超 える 信 号 の 計 測 が 必 要 全 てのデジタイザでは 帯 域 幅 と 立 ち 上 がり 時 間 の リミットが 定 義 されています 同 様 に プローブにも 独 自 の 帯 域 幅 と 立 ち 上 がり 時 間 のリミットがあります そしてプローブをデジタイザに 取 り 付 けると 新 たな システム 帯 域 幅 と 立 ち 上 がり 時 間 のリミットが 得 られ ます な 場 合 もあります デジタイザのダイナミックレンジを より 高 い 電 圧 に 対 応 させるには 減 衰 プローブを 使 用 します 例 えば 10 倍 プローブは ダイナミックレンジを 40 mv ~ 400 V に 高 めます 入 力 信 号 を 10 分 の 1 に 減 衰 しているためで それによってデジタイザのスケー リングが 10 倍 になっています ただしシステム 帯 域 幅 と 個 々のデジタイザ / プローブ 帯 域 幅 の 関 係 は 単 純 ではありません 立 ち 上 がり 時 間 に ついても 同 様 です それに 対 処 するため デジタイザ メーカーでは デジタイザを 特 定 のプローブ 機 種 ととも に 使 用 した 場 合 の 帯 域 幅 と 立 ち 上 がり 時 間 を 特 定 して います デジタイザとプローブの 組 み 合 わせによって 計 測 システムが 形 成 されており 計 測 性 能 を 決 めるのは システムの 帯 域 幅 と 立 ち 上 がり 時 間 であるため これは 重 要 な 情 報 です デジタイザの 推 奨 リスト 以 外 のプロー ほとんどの 一 般 的 な 用 途 には 10 倍 がよく 使 用 され ます それは 優 れた 電 圧 範 囲 に 対 応 していることと 信 号 源 負 荷 が 起 こりにくいという 2 つの 理 由 からです ただし 極 めて 広 範 囲 の 電 圧 レベルを 計 測 するなら 切 り 替 え 可 能 な 1 倍 /10 倍 プローブが 必 要 かもしれ ません そのプローブなら ダイナミックレンジが 4 mv ~ 400 V になりますが 1 倍 モードでは 信 号 源 負 荷 に 関 してより 注 意 を 払 う 必 要 があります 18

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 ソース 負 荷 既 に 説 明 した 通 り デジタイザ 入 力 で 信 号 電 圧 を 発 生 させるためには プローブは 少 量 の 信 号 電 流 を 引 き 込 む 必 要 があります それによりテストポイントに 負 荷 が 印 加 され 回 路 ( 信 号 源 )がテストポイントに 供 給 する 信 号 が 変 化 する 可 能 性 があります 図 2-12b では プローブは 回 路 に 取 り 付 けられ プロー ブ 抵 抗 (R p )が RI と 並 列 になっています R p が 100 kωとすると 図 2-12b の 有 効 負 荷 抵 抗 は 半 分 の 50 kω になります E o に 対 するこの 場 合 の 負 荷 効 果 は 以 下 の ようになります ソース 負 荷 効 果 の 最 もシンプルな 例 として バッテリ 駆 動 型 の 抵 抗 ネットワークの 計 測 について 考 えて みます これを 図 2-12 に 示 します E b R i E o 100 Ω a. DC 回 路 と100 kω 負 荷 R l 100 kω 99.8 V に 対 し 99.9 V という 負 荷 効 果 はわずか 0.1% であり ほとんどの 目 的 においては 無 視 できるレベル です しかし R p が 例 えば 10 kωのように 小 さい 場 合 その 影 響 は 無 視 できなくなります そのような 抵 抗 負 荷 を 低 減 するため 1 倍 プローブは 通 常 1 MΩの 抵 抗 10 倍 プローブは 通 常 10 MΩの 抵 抗 となっています ほとんどのケースでは それらの 値 は 結 果 として 抵 抗 負 荷 が 事 実 上 ゼロになります R i E o しかし 高 抵 抗 ソースを 計 測 する 際 には ある 程 度 の 100 Ω 負 荷 は 予 期 しておく 必 要 があります 中 でも 最 も 考 慮 すべき 負 荷 は プローブチップのキャパシタンスが 原 因 E b R l 100 kω R p 100 kω となるものでしょう( 図 2-13) R i E o b. 上 記 の 回 路 にプローブ 負 荷 が 並 列 に 加 わった 場 合 100 Ω 図 2-12. 抵 抗 負 荷 の 例 E b R l 100 kω C p 100 pf R p 1 MΩ 図 2-12a で プローブを 取 り 付 ける 前 バッテリの DC 電 圧 はバッテリの 内 部 抵 抗 (R i )とバッテリが 分 割 する 負 荷 抵 抗 (R l ) 全 体 に 分 割 されています 図 に 示 す 数 値 の 場 合 出 力 電 圧 は 以 下 のようになります 図 2-13. プローブチップキャパシタンス(C p )のAC 負 荷 低 周 波 数 では このキャパシタンスには 非 常 に 高 いリ アクタンスがありますが 影 響 はほとんどありません しかし 周 波 数 が 上 がるにつれ 容 量 性 リアクタンスは 減 少 します その 結 果 高 周 波 で 負 荷 が 増 加 します この 容 量 性 負 荷 は 計 測 システムの 帯 域 幅 および 立 ち 上 がり 時 間 特 性 に 影 響 をもたらしますので 帯 域 幅 が 低 下 し 立 ち 上 がり 時 間 が 長 くなります 容 量 性 負 荷 は キャパシタンス 値 が 低 いプローブを 選 ぶことで 低 減 する ことができます 一 部 のプローブの 通 常 のキャパシタン ス 値 を 下 記 表 に 示 します 19

表 2-3. プローブ 抵 抗 とキャパシタンス プローブ 減 衰 抵 抗 キャパシタンス P6101B 1 倍 1 MΩ 100 pf P6109B 10 倍 10 MΩ 13 pf P6139A 10 倍 10 MΩ 8 pf P6243 10 倍 1 MΩ 1 pf ただし 電 圧 信 号 以 外 の 事 象 を 感 知 することのできる プローブもあります 例 えば 電 流 プローブは ワイヤ 上 を 流 れる 電 流 を 感 知 することを 目 的 としたものです プローブは 感 知 した 電 流 を 対 応 する 電 圧 信 号 に 変 換 し それをデジタイザの 入 力 に 伝 達 します 同 様 に 光 プロー ブは 光 パワーを 感 知 し デジタイザが 計 測 できるよう 相 当 する 電 圧 信 号 に 変 換 します グランド 線 はワイヤなので いくらかの 分 散 インダク タンスは 存 在 します( 図 2-14) このインダクタンスは プローブのキャパシタンスと 相 互 作 用 することで L 値 と C 値 によって 決 まる 特 定 の 周 波 数 でリンギングを 発 生 させます このリンギングは 避 けることができないもので パルスに 印 加 された 振 幅 が 減 衰 する 正 弦 曲 線 とみなすこ ともできます プローブ / デジタイザシステムの 帯 域 幅 リミット 外 でリンギング 周 波 数 が 発 生 するようプローブ のグランドを 設 計 することで リンギングの 影 響 を 軽 減 することができます R i E o リンギング さらにデジタイザ 電 圧 プローブは 他 の 様 々なセンサ やトランスデューサとともに 使 用 すれば あらゆる 事 象 を 計 測 することが 可 能 です 例 えば 振 動 トランスデューサを 使 用 すると 機 械 振 動 特 性 をデジタイザの 画 面 に 表 示 することができます 市 場 に 出 ているトランスデューサの 種 類 と 同 様 の 多 彩 な 可 能 性 がプローブにはあります ただし 通 常 は トランスデューサ プローブ デジ タイザを 組 み 合 わせたものが 計 測 システムとみなされ ます さらにここまで 説 明 してきたプローブに 関 する 事 実 は トランスデューサにも 当 てはまります トランス デューサにも 帯 域 幅 リミットがあり 負 荷 効 果 をもたら すことがあります 100 Ω E b R l 100 kω C p 100 pf R p 1 MΩ L g グランド 線 のインダクタンス 図 2-14. プローブのグランド 線 でインダクタンスを 追 加 グランドの 問 題 を 防 ぐには プローブに 付 属 のグラン ド 線 の 中 で 最 も 短 いものを 常 に 使 用 するようにしてくだ さい 他 の 接 地 方 法 に 代 えると 計 測 パルスでリンギン グが 発 生 する 可 能 性 があります プローブ = センサ デジタイザプローブについて 解 説 する 中 で 忘 れては ならないのがプローブはセンサであるということです ほとんどのデジタイザプローブは 電 圧 センサです つま り プローブは 電 圧 信 号 を 感 知 または 探 査 し その 電 圧 信 号 をデジタイザ 入 力 に 伝 達 するものです 20

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 プローブ 操 作 のヒント 必 要 な 計 測 を 実 施 するには お 客 様 のデジタイザと アプリケーションのニーズに 合 ったプローブを 選 ぶこと が 重 要 です 実 際 に 計 測 を 行 って 有 用 な 結 果 を 得 るには ツールをどのように 使 うかも 関 わってきます 計 測 で よく 見 られる 盲 点 に 陥 らないために プローブ 操 作 の ヒントを 以 下 に 紹 介 します 図 2-15.プローブ 補 償 調 整 プローブの 補 償 多 くのプローブは 特 定 のデジタイザモジュールの 入 力 と 合 うよう 設 計 されています ただしデジタイザに よってわずかな 違 いがあり さらには 同 じデジタイザで も 入 力 チャンネルによって 異 なることがあります 必 要 に 応 じその 違 いに 対 処 するため 多 くのプローブ 特 に 減 衰 プローブ(10 倍 および 100 倍 プローブ)は 補 償 ネットワーク 機 能 を 搭 載 しています 補 償 機 能 付 の プローブをお 持 ちの 場 合 は 使 用 するデジタイザチャン ネル 向 けにプローブを 補 償 するよう 調 整 する 必 要 があり ます それには 以 下 の 手 順 に 従 ってください a. 補 償 過 剰 b. 補 償 不 足 1. プローブをデジタイザに 取 り 付 けます 2. デジタイザのフロントパネルでプローブチップを プローブチップ 補 償 テストポイントに 取 り 付 け ます( 図 2-15) 3. プローブに 付 属 の 調 整 ツールか 他 の 非 磁 性 調 整 ツールを 使 用 して 補 償 ネットワークを 調 整 し オーバーシュートや 丸 めのないフラットトップの 校 正 波 形 を 表 示 させます( 図 2-16) 4. デジタイザに 校 正 ルーチンが 内 蔵 されている 場 合 は 精 度 を 高 めるためこのルーチンを 実 行 します c. 適 正 補 償 図 2-16. 方 形 波 へのプローブ 補 償 効 果 の 例 可 能 な 限 り 適 切 なプローブチップアダプタを 使 用 する 計 測 している 回 路 に 適 したプローブチップアダプタ を 使 用 すると プローブの 接 続 がすばやく 簡 単 にでき 電 気 的 に 再 現 性 と 安 定 性 のある 接 続 が 可 能 となります 残 念 なことに プローブチップアダプタの 代 わりとして 短 いワイヤが 回 路 ポイントにはんだ 付 けされているのを 見 かけることも 少 なくありません 5. プローブが 補 償 されていないと 特 にパルスの 立 ち 上 がり/ 立 ち 下 がり 時 間 を 計 測 する 際 には 様 々な 計 測 誤 差 が 生 じる 場 合 があります その ような 誤 差 を 防 ぐには デジタイザに 接 続 後 直 ちにプローブを 補 償 するとともに 頻 繁 に 補 償 をチェックするようにしてください ここで 問 題 なのは わずか 1 ~ 2 インチのワイヤ でも 高 周 波 ではインピーダンスに 顕 著 な 変 化 をもたら すことがあるという 点 です その 影 響 を 図 2-17 に 示 し ます プローブチップとの 直 接 的 接 触 によって 回 路 を 計 測 し 次 に 回 路 とプローブチップの 間 に 短 いワイヤを 設 置 して 計 測 したものを 示 しています 21

ニーズによってプローブを 使 い 分 け a. 回 路 にプローブチップを 直 接 接 触 b. 回 路 とプローブチップの 間 に 2インチのワイヤを 設 置 図 2-17. テストポイントにワイヤを 設 置 すると 信 号 忠 実 度 が 低 下 します グランド 線 はできる 限 り 短 く 直 接 的 に 接 続 大 規 模 なボードやシステムで 性 能 チェックやトラブル シューティングを 行 う 際 は プローブのグランド 線 を 伸 ばしたくなるかもしれません 長 いグランド 線 を 使 用 すれば 1 回 グランドを 接 続 しただけで あとはシス テム 内 でプローブを 自 由 に 動 かして 様 々なテスト ポイントをチェックすることができます しかしグラ ンド 線 を 伸 ばすことでインダクタンスが 増 加 し 高 速 遷 移 波 形 ではリンギングが 発 生 する 可 能 性 があります これを 図 2-18 に 示 します 標 準 のプローブグランド 線 と 長 いグランド 線 を 使 用 して 計 測 した 波 形 を 示 して います a. 6.5インチのプローブグランド 線 を 使 用 まとめ b. 28インチのグランド 線 を 使 用 図 2-18. グランド 線 の 長 さが 信 号 忠 実 度 に 影 響 このセクションでは 適 切 なプローブを 選 定 し 正 しく 使 用 するために 必 要 な 基 本 情 報 を 提 供 しました 以 降 の セクションでは 追 加 情 報 のほか プローブとプロービ ングテクニックに 関 するさらに 高 度 な 詳 細 情 報 について 解 説 します 市 場 では 数 百 あるいは 数 千 もの 多 彩 なデジタイザ プローブが 販 売 されています そのような 多 くの 種 類 のプローブが 本 当 に 必 要 なので しょうか 答 えはイエスです このセクションではその 理 由 を 説 明 します その 理 由 を 理 解 することで ご 使 用 のデジタイザや 実 行 する 計 測 のタイプに 適 したプローブを 選 ぶことが できます 適 切 なプローブを 選 定 することにより 優 れた 計 測 機 能 を 引 き 出 しより 正 確 な 結 果 を 得 ることができ ます 多 彩 なプローブが 存 在 する 理 由 それほど 多 くのプローブが 存 在 する 理 由 の 1 つと して デジタイザの 機 種 や 機 能 が 非 常 に 豊 富 なことが 挙 げられます 異 なるデジタイザには 異 なるプローブ が 必 要 です 400 MHz のデジタイザには 400 MHz 帯 域 幅 をサポートするプローブが 必 要 ということです ただしその 同 じプローブが 100 MHz のデジタイザに 対 しては 機 能 とコストの 両 面 で 過 剰 となりますので その 場 合 は 100 MHz 帯 域 幅 をサポートするよう 設 計 された 別 のプローブを 選 択 すべきです 一 般 的 な 法 則 として プローブは 常 にデジタイザの 帯 域 幅 に 合 わせて 選 ぶ 必 要 があります それができない 場 合 は デジタイザの 帯 域 幅 を 上 回 るものを 選 ぶべき です ただし 帯 域 幅 だけではありません デジタイザは 入 力 コネクタのタイプや 入 力 インピーダンスの 異 なる ものが 多 彩 に 用 意 されています 例 えば ほとんどの スコープではシンプルな BNC タイプの 入 力 コネクタを 採 用 しています また SMA コネクタのものもあります さらに 図 2-19 に 示 すように 読 み 出 し トレース ID プローブ 電 源 といった 機 能 をサポートする 特 別 設 計 の コネクタもあります そのためプローブの 選 定 には コネクタが 使 用 する デジタイザと 対 応 していることも 重 要 です コネクタの 直 接 接 続 による 互 換 性 はもちろん 適 切 なアダプタを 22

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 使 用 して 接 続 できる 機 能 などです そのため デジタイザメーカーが 推 奨 するプローブでは なく 汎 用 プローブを 使 用 する 場 合 は 特 に 注 意 が 必 要 です 帯 域 幅 とコネクタの 違 いの 他 にも 各 スコープは 入 力 抵 抗 やキャパシタンス 値 が 異 なります 一 般 に デジタイザの 入 力 抵 抗 は 50 Ωか 1 MΩの いずれかです ただしデジタイザの 帯 域 幅 仕 様 やその 他 の 設 計 要 因 によっては 入 力 キャパシタンスも 大 きく 異 なることがあります 忠 実 度 の 高 い 信 号 を 正 しく 転 送 するには プローブの R と C がともに 使 用 するデジタイザの R と C に 適 合 して いる 必 要 があります 例 えば 50 Ωのプローブは 50 Ω のデジタイザ 入 力 とともに 使 用 します 同 様 に 1 MΩ のプローブは 1 MΩの 入 力 抵 抗 のスコープで 使 用 し ます このような 1 対 1 での 抵 抗 のマッチングには 例 外 も あります 減 衰 プローブを 使 用 した 場 合 です 例 えば 50 Ωの 環 境 で 10 倍 プローブを 使 用 すると 500 Ωの 入 力 抵 抗 になり 1 MΩの 環 境 で 10 倍 プローブを 使 用 すると 10 MΩの 入 力 抵 抗 になります (10 倍 プローブ などの 減 衰 プローブは デバイダプローブや 乗 算 器 プローブとも 呼 ばれます これらのプローブは デジタ イザの 計 測 範 囲 を 乗 算 するものです それには デジタ イザに 印 加 された 入 力 信 号 を 減 衰 または 分 割 します ) 図 2-19. プローブからデジタイザへの 一 般 的 な 接 続 読 み 出 しサポートは プローブとデジタイザのコネク タ 互 換 性 においてとりわけ 重 要 な 項 目 です デジタイザ 上 で 1 倍 プローブと 10 倍 プローブを 交 換 すると 1 倍 から 10 倍 への 変 化 がデジタイザの 垂 直 スケールの 読 み 出 し 値 に 反 映 されます 抵 抗 のほかに プローブのキャパシタンスもデジタイ ザの 公 称 入 力 キャパシタンスと 適 合 させる 必 要 があり ます このキャパシタンスの 適 合 は プローブの 補 償 機 能 を 調 整 することで 可 能 です ただしそれができるのは デジタイザの 公 称 入 力 キャ パシタンスがプローブの 補 償 範 囲 内 である 場 合 のみ です そのため 様 々なデジタイザ 入 力 要 件 に 合 うよう 多 様 な 補 償 範 囲 のプローブが 提 供 されています 例 えば 1 倍 プローブが 取 り 付 けられている 際 の デジタイザの 垂 直 スケール 読 み 出 し 値 が 1 V/div( 分 割 あたり 1 ボルト)の 場 合 プローブを 10 倍 に 代 えると 垂 直 読 み 出 し 値 は 10 倍 になり 10 V/div となります この 1 倍 から 10 倍 への 変 化 がデジタイザの 読 み 出 し 値 に 反 映 されない 場 合 10 倍 プローブで 行 った 振 幅 計 測 は 本 来 の 計 測 値 の 10 分 の 1 となっています 一 部 の 汎 用 プローブや 市 販 プローブでは 全 スコープ で 読 み 出 し 機 能 をサポートしていないものがあります プローブとデジタイザの 適 合 は デジタイザメーカー によって 大 幅 に 簡 素 化 されてきました デジタイザ メーカーでは プローブとデジタイザを 1 つのシス テムとして 注 意 深 く 設 計 しています そのため デジ タイザメーカーが 推 奨 する 標 準 プローブを 使 用 すれば 最 適 なプローブとデジタイザの 組 み 合 わせが 実 現 でき ます メーカー 推 奨 でないプローブを 使 用 すると 計 測 性 能 が 低 下 する 恐 れがあります プローブとデジタイザの 適 合 という 要 件 だけでも 市 場 に 出 回 るプローブの 多 彩 さの 大 きな 要 因 となって 23

います そこにさらに 様 々な 計 測 ニーズに 求 められる 各 種 プローブが 加 えられることになります 最 も 基 本 的 な 違 いは 計 測 する 電 圧 の 範 囲 です ミリボルト ボルト およびキロボルト 計 測 では 通 常 減 衰 係 数 (1 倍 10 倍 100 倍 )の 異 なるプローブが 必 要 です また 信 号 電 圧 が 差 動 のケースもよくあります つま り 信 号 が 2 つのポイントまたは 2 つのワイヤにわたっ て 存 在 し いずれもグランドまたはコモン 電 位 ではない 場 合 です( 図 2-20 参 照 ) そのような 差 動 信 号 は 電 話 音 声 回 路 コンピュータディスク 読 み 取 りチャン ネル 多 相 電 源 回 路 などでよく 見 られます そのような 信 号 を 計 測 するには 差 動 プローブという さらに 別 の 種 類 のプローブを 使 用 する 必 要 があり ます また 多 くのアプリケーション 特 に 電 源 アプリケー ションでは 電 圧 より 電 流 の 方 が 重 要 度 が 高 いものも あります そのようなアプリケーションには 電 圧 では なく 電 流 を 感 知 するタイプのプローブが 最 適 です 電 流 プローブと 差 動 プローブは 販 売 されている 多 くの プローブのうちの 2 種 類 でしかありません 本 章 の 以 降 のセクションでは 一 般 的 なタイプのプローブの いくつかを 紹 介 し そのメリットについて 解 説 します シングルエンド 信 号 a. 様 々なプローブのタイプとメリット 様 々な 一 般 的 プローブタイプについて 説 明 する 前 に プローブのタイプには 互 いに 重 複 があることを 知 って おく 必 要 があります たしかに 電 圧 プローブは 電 圧 のみ を 感 知 しますが 電 圧 プローブはパッシブプローブとし てもアクティブプローブとしても 使 用 できます 同 様 に 差 動 プローブは 特 殊 なタイプの 電 圧 プローブで やはり パッシブプローブとしてもアクティブプローブとしても 使 用 できます 重 複 する 部 分 については 必 要 に 応 じ 説 明 します パッシブ 電 圧 プローブ パッシブプローブはワイヤとコネクタで 構 築 されて おり 補 償 や 減 衰 に 必 要 な 場 合 は 抵 抗 やキャパシタンス も 搭 載 されています プローブにはトランジスタやア ンプといったアクティブコンポーネントがないため プローブに 電 源 を 供 給 する 必 要 はありません 比 較 的 シンプルな 構 造 のため パッシブプローブは プローブの 中 でも 堅 牢 性 が 高 く 経 済 性 にも 優 れてい ます 使 いやすく 最 も 広 く 使 用 されているプローブで もあります パッシブ 電 圧 プローブは 様 々な 電 圧 範 囲 に 対 応 するよう 1 倍 10 倍 100 倍 など 各 種 減 衰 係 数 のものが 販 売 されています その 中 でも 10 倍 パッ シブ 電 圧 プローブが 最 もよく 使 用 されているプローブ で デジタイザの 標 準 アクセサリとして 一 般 に 提 供 され るのもこのタイプです b. 差 動 信 号 図 2-20. シングルエンド 信 号 はグランド(a)を 基 準 とし 差 動 信 号 は2 つの 信 号 ラインまたはテストポイント(b) 間 の 差 です 信 号 振 幅 がピーク 間 で 1 V 以 下 のアプリケーション には 1 倍 プローブが 適 しているでしょう 低 振 幅 と 中 振 幅 の 信 号 ( 数 十 mv から 数 十 V)が 混 在 している 場 合 は 1 倍 と 10 倍 の 切 り 替 えが 可 能 なプローブが 便 利 です ただし 切 り 替 え 可 能 な 1 倍 /10 倍 プローブは 基 本 的 に 2 つのプローブを 1 つにしたものである 点 に ご 注 意 ください 減 衰 係 数 が 異 なるだけでなく 帯 域 幅 立 ち 上 がり 時 間 およびインピーダンス 特 性 (R と C)も 異 なります その 結 果 プローブはデジタイザの 入 力 に 完 全 に 適 合 せず 標 準 の 10 倍 プローブなら 実 現 できる 最 大 性 能 が 得 られないということになります ほとんどのパッシブプローブは 汎 用 デジタイザとの 使 用 24

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 を 目 的 として 設 計 されています そのため 帯 域 幅 は 通 常 100 MHz 未 満 から 500 MHz 以 上 の 範 囲 になって います しかしはるかに 高 い 帯 域 幅 に 対 応 する 特 別 な カテゴリのパッシブプローブもあります 50 Ωプローブ Z o プローブ 電 圧 デバイダプローブなど 呼 び 方 は 様 々 です そのようなプローブは 50 Ωの 環 境 で 使 用 する ことを 目 的 としたもので 一 般 に 高 速 デバイス 特 性 評 価 マイクロ 波 通 信 時 間 領 域 反 射 率 測 定 (TDR)などの アプリケーションがあります 通 常 の 50 Ωプローブを そのようなアプリケーションに 使 用 すると 帯 域 幅 は 数 GHz 立 ち 上 がり 時 間 は 100ps 以 上 となります アクティブ FET プローブはパッシブプローブの ような 電 圧 範 囲 を 持 たないというのが 答 えです アク ティブプローブの 線 形 ダイナミックレンジは 一 般 に ±0.6 V~±10 V 程 度 です また 対 応 可 能 な 最 大 電 圧 は ± 40 V(DC +ピーク AC)ほどでしかありません わかりやすく 言 うと パッシブプローブのように 数 mv から 数 十 V のような 範 囲 を 計 測 することができ ません しかも 誤 って 高 電 圧 をプロービングしてしま うと アクティブプローブは 損 傷 する 恐 れがあります また 静 電 放 電 で 損 傷 を 被 る 可 能 性 もあります アクティブ 電 圧 プローブ アクティブプローブには トランジスタなどプローブ 操 作 用 のアクティブコンポーネントが 搭 載 されてい ます ほとんどの 場 合 アクティブデバイスは 電 界 効 果 トランジスタ(FET)です FET 入 力 には 通 常 1 pf から 数 pf など 入 力 キャパシタンスが 極 め て 低 いというメリットがあります そのような 超 低 キャ パシタンスには いくつかの 望 ましい 効 果 があります まず キャパシタンス C の 値 が 低 いと 容 量 性 リア クタンス X c の 値 は 高 くなることを 思 い 出 してください このことは 以 下 の X c 式 からもわかります それでも FET プローブの 高 帯 域 幅 は 魅 力 的 であり 線 形 の 電 圧 範 囲 は 多 くの 一 般 的 な 半 導 体 電 圧 に 対 応 する ことができます したがって アクティブ FET プロー ブは ECL や GaAs をはじめとする 高 速 論 理 ファミリなど の 低 信 号 レベルアプリケーションによく 使 用 されてい ます 差 動 プローブ 差 動 信 号 とは グランドではなく 互 いを 基 準 として いる 信 号 のことです 図 2-21 はそのような 信 号 のいくつ かの 例 を 示 しています コレクタ 負 荷 抵 抗 や ディスク ドライブの 読 み 取 りチャンネル 信 号 多 相 電 源 システム その 他 信 号 が 基 本 的 にグランド 上 を 浮 動 している ような 多 くの 状 況 で 発 生 した 信 号 などが 含 まれます 容 量 性 リアクタンスはプローブの 主 要 な 入 力 インピー ダンス 要 素 なので C が 低 いと 周 波 数 の 広 い 帯 域 に わたって 入 力 インピーダンスが 高 くなります その 結 果 アクティブ FET プローブの 通 常 の 指 定 帯 域 幅 は 500 MHz から 数 GHz となります ディスク 読 み 取 り ヘッド プリアンプ 高 帯 域 に 加 え アクティブ FET プローブの 高 入 力 インピーダンスにより インピーダンスが 不 明 なテスト ポイントを 計 測 する 際 にも 負 荷 効 果 のリスクが 大 幅 に 減 少 します また キャパシタンスが 低 ければグランド 線 の 影 響 も 低 減 できるため 長 いグランド 線 を 使 用 することができます ただし 最 も 重 要 なのは FET プロー ブは 負 荷 が 低 く パッシブプローブによって 深 刻 な 負 荷 を 受 ける 高 インピーダンス 回 路 にも 使 用 することが 可 能 ということです このようにメリットが 多 く DC から 数 GHz という 帯 域 幅 を 持 つなら なぜパッシブプロー ブを 使 うのか という 疑 問 も 出 てくるでしょう 3 相 図 2-21. 差 動 信 号 の 例 差 動 信 号 のプロービングと 計 測 には 2 通 りの 基 本 的 な 方 法 があります その 2 つの 方 法 を 図 2-22 に 示 し ます 25

CH1 - CH2 コモンモードノイズは 差 動 信 号 から 差 し 引 かれる 傾 向 が あります これがうまく 行 ったものが コモンモード 除 去 比 (CMRR)と 呼 ばれます a. b. 差 動 プローブ 図 2-22. 差 動 信 号 は デュアルチャンネルデジタイザの 反 転 加 算 機 能 を 使 用 する(a)か 差 動 プローブを 使 用 して(b) 計 測 することができます( 推 奨 ) 図 2-22a に 示 すように 2 つのプローブを 使 用 して 2 つのシングルエンド 計 測 を 行 う 方 法 はよく 行 われて います しかしこれは 差 動 計 測 では 通 常 最 も 推 奨 され ない 方 法 です にもかかわらずこの 方 法 がよく 行 われる のは 2 つのプローブを 備 えたデュアルチャンネルデジ タイザが 提 供 されているためです グランドに 対 し 両 信 号 を 計 測 (シングルエンド)し デジタイザの 数 式 処 理 関 数 を 用 いて 一 方 からもう 一 方 を 減 算 する 方 法 は 差 動 信 号 を 求 めるのに 適 したソリュー ションと 思 われます また 信 号 が 低 周 波 数 で ノイズが 気 にならないレベルの 振 幅 の 場 合 もあります 2 つのシングルエンド 計 測 を 組 み 合 わせる 方 法 では いくつかの 問 題 が 起 こる 可 能 性 があります まず 各 プローブから 各 デジタイザチャンネルまで 長 い 信 号 経 路 が 別 々に 2 つあるという 点 です その 経 路 に 少 し でも 遅 延 の 差 があると 2 つの 信 号 間 で 時 間 スキューが 発 生 します 高 速 信 号 の 場 合 このスキューは 計 算 された 差 動 信 号 において 顕 著 な 振 幅 / タイミング 誤 差 となって 現 れます これを 軽 減 するには 適 合 したプローブを 使 用 する 必 要 があります シングルエンド 計 測 に 伴 うもう 1 つの 問 題 は コモン モードノイズ 除 去 性 能 が 十 分 でないという 点 です ディ スク 読 み 取 りチャンネルの 信 号 など 多 くのローレベル 信 号 は コモンモードノイズ 除 去 のメリットを 生 かす ため 異 なる 方 法 で 伝 達 処 理 されています コモンモードノイズとは 近 くにあるクロックラインや 蛍 光 灯 などの 外 部 ソースのノイズから 両 信 号 ラインに 印 加 されるノイズのことです 差 動 システムでは この チャンネル 差 のため シングルエンド 計 測 の CMRR 性 能 は 周 波 数 の 上 昇 に 伴 って 深 刻 なレベルにまで 急 激 に 低 下 します その 結 果 ソースのコモンモード 除 去 が 保 たれていた 場 合 の 実 際 の 信 号 よりノイズが 多 くなった ように 見 えます 一 方 差 動 プローブは 差 動 アンプを 使 用 して 2 つの 信 号 を 差 し 引 くためのプローブで その 結 果 デジタイザの 1 チャンネルで 計 測 できる 1 つの 差 動 信 号 となります( 図 2-22a) これによって より 広 い 周 波 数 範 囲 で CMRR 性 能 が 大 幅 に 向 上 します さらに 回 路 の 小 型 化 により 差 動 アンプが 実 際 のプローブヘッドの 中 に 格 納 できるように なりました 最 新 の 差 動 プローブの 場 合 CMRR 性 能 は 1 MHz で 60 db(1000:1)から 1 GHz で 30 db(32:1) の 範 囲 となり 1 GHz の 帯 域 幅 の 実 現 も 可 能 になります ディスクドライブの 読 み 取 り / 書 き 込 みデータレートが 100 MHz に 到 達 し さらに 超 えるような 状 況 で この ような 帯 域 幅 /CMRR 性 能 の 必 要 性 は 増 しています 高 電 圧 プローブ 高 電 圧 という 用 語 は 相 対 的 なものです 半 導 体 業 界 で 高 電 圧 と 考 えられる 電 圧 も 電 力 業 界 では 全 く 高 電 圧 ではありません しかしプローブの 視 点 から 見 る と 一 般 的 な 汎 用 の 10 倍 パッシブプローブで 安 全 に 処 理 できる 電 圧 を 超 えるものは 全 て 高 電 圧 です 通 常 汎 用 パッシブプローブの 最 大 電 圧 は 400 ~ 500 V(DC +ピー ク AC)です 一 方 高 電 圧 プローブの 最 大 定 格 は 20,000 V にも なります そのようなプローブの 例 を 図 2-23 に 示 し ます 安 全 性 を 考 慮 することは 高 電 圧 のプローブを 扱 う 際 や 計 測 を 行 う 際 には 特 に 重 要 です その 対 策 と して 多 くの 高 電 圧 プローブには 通 常 より 長 いケーブ ルが 付 属 しています 一 般 的 なケーブルは 10 フィート ( 約 3 m)です 安 全 ケージの 外 や 安 全 幕 の 後 ろにある デジタイザに 設 置 するには 通 常 これで 十 分 です 高 電 圧 ソースからさらにデジタイザを 離 す 必 要 がある 場 合 の ために 25 フィート( 約 7.6 m)のオプションも 用 意 されています 26

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 は デジタイザ 上 で 電 流 スケールの 電 圧 として 表 示 され ます AC 電 流 プローブの 帯 域 幅 は プローブのコイル の 設 計 やその 他 の 要 因 によって 異 なります 数 GHz に もなる 帯 域 幅 も 可 能 ですが 100 MHz にも 満 たない 帯 域 幅 の 方 が 一 般 的 です 図 2-23. 高 電 圧 プローブは75 MHzの 帯 域 幅 で 最 大 20 kvの DC 電 圧 と 最 大 40 kvのパルスを 計 測 できます 電 流 プローブ 導 体 上 を 流 れる 電 流 は 導 体 の 周 囲 に 電 磁 場 を 形 成 します 電 流 プローブは この 電 磁 場 の 強 さを 感 知 し デジタイザで 計 測 できるよう 対 応 する 電 圧 に 変 換 し ます それにより デジタイザで 電 流 波 形 を 表 示 し 解 析 することが 可 能 になります デジタイザの 電 圧 計 測 機 能 と 合 わせて 使 用 することで 多 彩 な 電 源 計 測 が 行 える ようになります デジタイザに 搭 載 されている 波 形 数 式 処 理 機 能 により 瞬 時 電 力 真 の 電 力 皮 相 電 力 位 相 などの 計 測 が 行 えます デジタイザ 用 の 電 流 プローブには 基 本 的 に 2 つの タイプがあります 1 つは AC 電 流 プローブで 通 常 パッ シブプローブ もう 1 つは AC/DC 電 流 プローブで 一 般 にアクティブプローブです どちらのタイプも 導 体 内 の 交 流 (AC)を 感 知 するため 変 換 器 動 作 には 同 じ 原 理 を 採 用 しています 全 てのケースで AC 電 流 プローブの 帯 域 幅 には 低 周 波 数 カットオフもあります それには 直 流 (DC)が 含 まれます 直 流 は 電 磁 場 の 変 化 をもたらさないため 変 換 器 動 作 も 発 生 しないからです また DC に 極 めて 近 い 周 波 数 ( 例 えば 0.01 Hz など)では 電 磁 場 には 適 切 に 変 換 器 動 作 を 起 こすほどの 変 化 が 生 じない 場 合 も あります ただし 最 終 的 に 十 分 な 変 換 器 動 作 によって 計 測 可 能 な 出 力 がプローブの 帯 域 幅 内 に 生 成 された 時 低 周 波 数 に 到 達 します ここでも プローブのコイルの 設 計 により 帯 域 幅 の 低 周 波 側 は 0.5 Hz から 1.2 khz まで 様 々です DC 付 近 からの 帯 域 幅 を 持 つプローブについては ホール 効 果 デバイスをプローブの 設 計 に 加 えることで DC を 検 出 することができます そうしてできるのが DC から 始 まって 指 定 された 高 周 波 の 3 db ポイントまで 伸 びる 帯 域 幅 を 持 つ AC/DC プローブです このタイプの プローブには 最 低 でも DC 検 出 に 使 用 されるホール 効 果 デバイスにバイアスをかけるための 電 源 が 必 要 です プローブの 設 計 によっては AC レベルと DC レベルを 結 合 させスケールして デジタイザに 表 示 する 出 力 波 形 を 1 つにするために 電 流 プローブアンプが 必 要 になることもあります 電 磁 界 変 換 器 動 作 にはまず 交 流 が 導 体 を 流 れなくてはなり ません 交 流 により 電 流 の 振 幅 と 方 向 に 従 って 電 磁 場 が 形 成 されたり 崩 れたりします 図 2-24 に 示 すように この 電 磁 場 にコイルを 配 置 すると 電 磁 場 の 変 化 によっ て シンプルな 変 換 器 動 作 でコイル 全 体 に 電 圧 が 誘 発 されます この 変 換 器 動 作 は AC 電 流 プローブの 基 本 となるもの です AC 電 流 プローブヘッドは 実 際 には 正 確 な 仕 様 で 磁 心 に 巻 き 付 けられたコイルです このプローブヘッ ドが AC 電 流 が 流 れる 導 体 に 対 し 指 定 の 向 きと 距 離 で 保 持 されている 時 プローブ 出 力 は 導 体 内 の 電 流 に 対 し 既 知 の 比 率 の 線 形 電 圧 となります 電 流 に 関 連 する 電 圧 AC 電 流 導 線 誘 起 電 圧 図 2-24. 交 流 (AC)が 流 れる 導 体 の 周 囲 の 変 化 する 電 磁 場 に 設 置 された 任 意 のコイル 上 に 電 圧 が 誘 発 されます ここで 覚 えておきたいのは 電 流 プローブは 基 本 的 に 密 結 合 された 変 換 器 として 動 作 することです この 概 念 を 基 本 の 変 換 器 方 程 式 とともに 図 2-25 に 示 します 27

標 準 操 作 の 場 合 感 知 された 電 流 導 体 は 1 回 転 の 巻 線 (N 1 )です この 1 回 の 巻 線 からの 電 流 が 回 転 数 の 比 率 (N 2 /N 1 )に 比 例 した 多 回 転 巻 線 (N 2 )のプローブ 出 力 電 圧 に 変 換 されます フェライトコア V out = (i in /n)r term i out i in R Term V out 1 回 巻 き n 回 巻 き N 1 N 2 トランスの 原 理 図 2-26 に 示 すように 導 体 をプローブに 複 数 回 巻 く ことで 変 換 器 の 基 本 機 能 の 活 用 によりプローブの 感 度 を 高 めることができます 2 回 巻 で 感 度 が 2 倍 に 3 回 巻 で 3 倍 になります ただし 追 加 された 巻 回 数 の 二 乗 分 挿 入 インピーダンスが 増 えます 図 2-26 には スプリットコアプローブと 呼 ばれる 特 定 のクラスのプローブも 描 かれています このタイプ のプローブは U 字 型 コアの 上 の 部 分 をフェライト スライドで 閉 じて 終 端 させたものに 巻 かれています このようなプローブのメリットは フェライトスライド を 格 納 できるため 電 流 を 計 測 する 導 体 にプローブを 留 めることができる 点 です 計 測 が 終 了 したら スラ イドを 格 納 してプローブを 他 の 導 体 に 移 動 させることが できます 電 圧, v :v 2 /v 1 = N 2 /N 1 電 流, i :i 2 /i 1 = N 1 /N 2 インピーダンス, Z : Z 1 = (N 1 /N 2 ) 2 Z 2 電 力, P : P 2 = P 1 図 2-25. AC 変 換 器 動 作 により 電 流 の 流 れる 導 体 (N 1 )を 1 回 巻 くことでACプローブのコイル(N 2 )に 電 流 が 誘 発 され プローブの 終 端 (R Term )に 電 流 に 比 例 した 電 圧 が 生 成 されます 同 時 に プローブのインピーダンスは 直 列 挿 入 イン ピーダンスとして 導 体 に 再 度 変 換 されます この 挿 入 インピーダンスは 周 波 数 に 依 存 し 1 MHz という 値 は プローブの 種 類 によって 通 常 30 ~ 500 MΩの 範 囲 に なります ほとんどの 場 合 電 流 プローブの 挿 入 インピー ダンスが 小 さければ 負 荷 は 無 視 できるレベルとなり ます また ソリッドコア 電 流 変 換 器 を 備 えたプローブも あります そうした 変 換 器 は 計 測 する 導 体 を 完 全 に 取 り 囲 んでいます そのため 設 置 するには 計 測 対 象 の 導 体 の 接 続 を 切 断 し 変 換 器 に 導 体 を 入 れ また 導 体 を 回 路 に 再 接 続 します ソリッドコアプローブの 主 な メリットとして 小 さなサイズでありながら 高 速 の 低 振 幅 電 流 パルスと AC 信 号 を 計 測 可 能 な 高 い 周 波 数 応 答 特 性 を 備 えている 点 があります スプリットコア 電 流 プローブは 圧 倒 的 に 最 も 一 般 的 なタイプのプローブです AC バージョンと AC/DC バー ジョンがあり アンペア 秒 積 によって 様 々な 電 流 範 囲 のものがあります アンペア 秒 積 は 任 意 の 電 流 プローブの 線 形 操 作 の 最 大 リミットを 定 義 します この 積 は 電 流 パルスであり 電 流 振 幅 の 平 均 にパルス 幅 を 乗 算 したものとして 定 義 されます アンペア 秒 積 を 超 過 すると プローブのコイル の 芯 材 は 飽 和 状 態 になります 飽 和 したコアは 電 流 に 誘 発 された 磁 束 をそれ 以 上 処 理 できなくなるため 電 流 入 力 と 電 圧 出 力 の 間 に 一 定 の 比 例 性 は 維 持 されません その 結 果 波 形 のピークはアンペア 秒 積 を 超 過 した 部 分 で 削 り 取 られたようになります 図 2-26. スプリットコアAC 電 流 プローブの 例 プローブに 導 体 をn 回 巻 くと 実 効 感 度 がn 倍 に 向 上 します また コアの 飽 和 は 感 知 対 象 の 導 体 からの 高 レベルの 直 流 によっても 引 き 起 こされます コアの 飽 和 を 防 いで 電 流 計 測 範 囲 を 効 果 的 に 拡 張 するため 一 部 のアクティ ブ 電 流 プローブにはバッキング 電 流 を 供 給 するものも あります バッキング 電 流 を 感 知 するには テスト 対 象 28

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 の 導 体 で 電 流 レベルを 感 知 し プローブを 通 して 同 等 の 逆 方 向 電 流 を 供 給 します 逆 方 向 電 流 は 減 算 であると いう 現 象 により コアが 飽 和 しないようにバッキング 電 流 を 調 整 することができます 浮 動 計 測 ミリアンペアからキロアンペアまで また DC から MHz まで 電 流 計 測 ニーズは 広 範 に 及 ぶため それに 応 じて 電 流 プローブの 種 類 も 多 岐 にわたります 特 定 の アプリケーション 向 けの 電 流 プローブの 選 定 は 電 圧 プローブの 選 定 と 多 くの 面 で 似 ています 主 な 選 定 基 準 には 電 流 処 理 機 能 感 度 範 囲 挿 入 インピーダンス 接 続 性 帯 域 幅 / 立 ち 上 がり 時 間 リミットなどがあり ます さらに 電 流 処 理 機 能 は 周 波 数 とともに 低 下 させる 必 要 があり プローブの 指 定 されたアンペア 秒 積 を 超 え てはなりません 光 プローブ 光 ファイバー 通 信 が 普 及 する 中 光 学 波 形 の 表 示 と 解 析 に 対 するニーズは 急 速 に 高 まっています 通 信 シス テムのトラブルシューティングや 解 析 などのニーズを 満 たすため 専 門 性 に 特 化 した 様 々な 光 学 システムアナ ライザが 開 発 されています ただし 光 学 部 品 の 開 発 と 検 証 時 の 汎 用 光 学 波 形 計 測 解 析 へのニーズも 拡 大 して います 光 プローブを 使 用 すると 光 学 信 号 をデジタイザ 上 に 表 示 できるため このニーズを 満 たすことができ ます 光 プローブは 光 を 電 気 に 変 換 するものです 光 側 では 特 定 の 光 コネクタと 計 測 するデバイスのファイ バータイプまたは 光 学 モードに 合 わせてプローブを 選 び ます 電 気 側 では 標 準 のプローブとデジタイザの 整 合 基 準 に 従 います 浮 動 計 測 とは いずれもグランド 電 位 に 接 続 されて いない 2 点 間 での 計 測 です 以 前 言 及 した 差 動 計 測 に 似 ていると 思 われるかもしれませんが その 通 りです 浮 動 計 測 とは 差 動 計 測 のことで 実 際 に 浮 動 計 測 には 差 動 プローブを 使 用 することができます ただし 一 般 には 浮 動 計 測 という 語 は 電 源 シス テム 計 測 に 用 いられています 例 としては いずれの 計 測 ポイントも 接 地 (アース 電 位 )になく 信 号 の コ モン がグランドから 数 百 ボルト 引 き 上 げられる( 浮 動 する)ことがあるスイッチング 電 源 モータドライブ 安 定 器 無 停 電 電 源 などがあります そのような 計 測 で はしばしば 低 レベル 信 号 を 評 価 するため 高 コモン モード 信 号 の 除 去 が 必 要 になります 外 部 グランド 電 流 によりディスプレイにノイズが 追 加 され 計 測 がさらに 難 しくなることがあります 一 般 的 な 浮 動 計 測 の 状 況 の 例 を 図 2-27 に 示 します このモータドライブシステムでは 3 相 AC ラインが 最 大 600 V の 浮 動 DC バスに 整 流 されます 接 地 基 準 の 制 御 回 路 は 絶 縁 ドライバ 経 由 でパルス 変 調 された ゲートドライブ 信 号 をブリッジトランジスタに 発 生 させ るため それにより 各 出 力 がパルスの 変 調 周 波 数 で 全 バス 電 圧 分 振 れます ゲート - エミッタ 電 圧 を 正 確 に 計 測 するには バス 遷 移 の 除 去 が 必 要 です さらに コンパクト 設 計 のモータドライブ 高 速 電 流 遷 移 回 転 モータの 近 さが 過 酷 な EMI 環 境 をもたらしています 3 相 モータ AC 電 源 絶 縁 ドライバ 絶 縁 ドライバ グランド 基 準 制 御 回 路 フローティング 図 2-27. この3 相 モータドライブでは 全 てのポイントが グランドの 上 にあるため 浮 動 計 測 が 必 要 になります 29

また デジタイザのプローブのグランド 線 をモータ ドライブ 回 路 の 任 意 の 場 所 に 接 続 すると 短 絡 接 地 の 原 因 となります デジタイザを 浮 動 させるのではなく プローブのアイ ソレータはプローブだけを 浮 動 させます このような プローブの 絶 縁 は 図 2-28 に 示 すように 変 換 器 または 光 結 合 メカニズムのいずれかで 行 います このケース では デジタイザは 接 地 されたままで 差 動 信 号 が 絶 縁 プローブのチップと 基 準 リード 線 に 印 加 されます アイ ソレータは 差 動 信 号 をレシーバへ 伝 送 し それによって 差 動 入 力 信 号 に 比 例 した 接 地 基 準 信 号 が 発 生 します こうすることでプローブアイソレータは 事 実 上 全 ての 図 2-29. 一 般 的 な 汎 用 電 圧 プローブとその 標 準 アクセサリ 計 測 器 と 互 換 になります 表 面 実 装 デバイスのプロービングなど 特 定 のアプリ V+ C G E トランスまたは 光 絶 縁 デジタイザ ケーション 分 野 向 けに 開 発 されたプローブには 標 準 アクセサリパッケージにさらに 他 のプローブチップが 含 まれているものもあります またプローブ 用 オプションとして 様 々な 特 定 用 途 の アクセサリも 販 売 されています 図 2-30 は 小 型 形 状 の 寄 生 キャパシタンス プローブ 向 けに 設 計 されたプローブアダプタのいくつか V - 大 地 グランド を 示 しています 図 2-28. 浮 動 計 測 のためのプローブ 絶 縁 の 例 様 々なニーズに 対 処 するため 多 彩 な 種 類 のアイソ レータが 提 供 されています その 中 に 個 別 の 基 準 リー ド 線 を 備 えた 複 数 のチャンネルを 提 供 するマルチチャン ネルアイソレータがあります また アイソレータが 計 測 器 から 物 理 的 に 遠 く 離 れた 場 所 に 設 置 される 場 合 などのために 光 ファイバーを 利 用 したアイソレータもあります 差 動 プローブの 場 合 と 同 様 アイソレータの 選 定 基 準 も 主 に 帯 域 幅 と CMRR です さらに 絶 縁 システムでは 最 大 動 作 電 圧 が 重 要 な ポイントとなります 一 般 には 600 V RMS または 850 V(DC + ピーク AC)です 図 2-30. 小 型 形 状 プローブ 用 のプローブチップアダプタの 例 プローブアクセサリ ほとんどのプローブには 標 準 アクセサリのパッケー ジが 付 属 しています その 中 によく 含 まれているものと して プローブに 取 り 付 けるためのグランド 線 クリッ プ 補 償 調 整 ツール プローブを 様 々なテストポイント に 取 り 付 けるための 各 種 プローブアクセサリなどが あります 図 2-29 は 一 般 的 な 汎 用 電 圧 プローブとその 標 準 アクセサリを 示 しています ほとんどのプローブアクセサリ 特 にプローブアダ プタは 特 定 のプローブ 機 種 向 けに 設 計 されている 点 に 注 意 が 必 要 です ただしプローブ 機 種 やプローブ メーカーによってアダプタを 交 換 するのはお 勧 めでき ません テストポイントへの 接 続 不 良 を 起 こしたり プローブまたはプローブアダプタを 損 傷 する 恐 れがある ためです 30

第 2 章 計 測 の 基 礎 知 識 プローブ 購 入 を 検 討 する 際 には プローブ 操 作 をする 回 路 の 種 類 やプローブ 操 作 の 迅 速 化 と 簡 素 化 に 役 立 つ あらゆるアダプタやアクセサリも 考 えに 入 れることが 重 要 です 多 くの 場 合 比 較 的 安 価 な 商 用 プローブでは 複 数 の アダプタオプションから 選 ぶことができません 一 方 デジタイザメーカーから 購 入 したプローブの 場 合 プローブを 特 定 のニーズに 利 用 するためのアクセサリ が 極 めて 多 彩 に 取 り 揃 えられていることが 少 なくあり ません その 例 として 図 2-31 に 特 定 のクラスのプローブに 利 用 できる 様 々なアクセサリを 示 します もちろんこれ らのアクセサリやオプションは プローブの 機 種 やクラ スによって 異 なります 図 2-31. 5 mm( 縮 小 )プローブシステムに 使 用 できる 様 々なアクセサリ の 例 他 のプローブファミリのアクセサリは そのプローブファミリが 対 象 とするアプリケーションによって 異 なります 次 の 章 では 最 高 の 計 測 を 実 現 するためのプローブと デジタイザの 組 み 合 わせ 方 法 について 解 説 します 31