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四国大学紀要! B B Bull. Shikoku Univ.! 健常高齢者の入浴前指標を用いた入浴中循環変動の予測 奥 田 泰 子 棚"由紀子 Prediction of Circular Dynamic during Bathing by Using the Indicators before the Bathing of the Healthy Elderly. Yasuko OKUDA, Yukiko TANASAKI ABSTRACT The impact on circulation by bathing may cause an accident for the elderly with the function of physical and mental health is failing. The nurse assesses whether to bathe or not to bathe by measuring their vital signs. But its change has not been proved yet. The aim of this study is to predict circular dynamic in bathing of using the indicators before bathing. The subjects were 30 healthy elderly men and women the average age is 73.4±5.0 I conducted a multiple regression analysis forced entry method by using their age, BMI, the walking time for 10 m, SBP, HR and PRP in quiet time as explanatory variables, and the highest SBP, the lowest SBP, the highest HR and the highest PRP SBP HR as criteria variables. The result Proves that a multiple regression equation R2=.61.71 predicts circular dynamic in bathing. These results suggested the possibility of prediction the circular dynamic in bathing by using this multiple regression equation. KEYWORDS : elderly, bathing, vital signs, circular dynamic, multiple regression analysis! 著 のと考えられている 言 入浴事故は転倒 転落によるものもあるが 循環 入浴は 身体を清潔にすることで皮膚の機能を高 器あるいは脳血管への影響による意識消失により溺 めたり浴槽に浸かって身体を温めることで疲労回復 死 溺水として発見される そのため 入浴事 やリラクゼーションの効果がある その半面 湯に 故死としての数値は明確にされていないが 平成 浸かることによって受ける温熱刺激や静水圧により 歳以上高 年度死因別死亡数 を年齢別にみると 身体への負荷もある 入浴による温熱刺激では 居 齢者の不慮の事故中 溺死 溺水は約 人であり 間や脱衣室と浴室の温度や湯温との差により血圧が 転倒その他疾患 に よ る 死 亡 数 等 を 考 え る と 年 間 急激に変動するヒートショックがみられる また 人以上の死亡数が推測され 交通事故死より 静水圧作用では 浴槽の湯に浸かることで静脈環流 も多い このことを考えると高齢者の入浴による事 量を増加させ心臓への負荷が加わる このように 故は日常生活上の大きな問題である 入浴直後には温熱刺激と静水圧作用によって一過性 看護 介護者は 高齢者の安全な入浴を考えて入 に血圧が上昇するが 入浴中には暖められ拡張した 浴前には必ずバイタルサインを測定している しか 末梢血管に血流 が 流 入 す る こ と で 血 圧 が 低 下 す し 入浴中の循環変動による事故に遭遇することも 加齢により身体機能の低下した高齢者に ある 看護 介護の教育で 入浴介助についての援 とってその変動によって受ける身体的負荷は若年者 助方法として入浴前にバイタルサインを測定するこ に比べて大きく 特に日本人の好む入浴方法である とは示されているが 測定した値をもとにどのよう 高温の湯に肩までつかることは温熱刺激や静水圧の に評価し入浴可否を判断するかは明確にされていな 負荷が大きく 加齢に伴い血管の伸展性の低下や圧 い 看護 介護教育のみならず医学教育においても 受容器の感受性が低下する高齢者は 循環変動に対 患者から入浴の相談を受けた医師は入浴によって受 する自律神経反応の遅延も伴って入浴事故に至るも ける生体への影響について明らかでないため 指導 る 13

奥田泰子 棚!由紀子 ができていないという課題がある 漬した その後 浴槽から出てシャワーチェアー 以上のことを勘案すると 入浴により生体機能に に座って湯をかけた 分間 その場 及ぼす影響を明らかにすることは重要である さら で研究者が全身の水分をバスタオルで拭きとっ に 入浴前に測定可能な指標をもとに入浴中の循環 た後 被験者はもとの場所まで自力で移動 変動を予測することが可能であれば安全な入浴の可 m して 分間座位を保った その後の 分間 否判断ができ 高齢者の入浴事故の減少に寄与する は臥床して過ごした この間 断続的に血圧と ものと考える 脈拍を測定した 実験は 女性高齢者は 年 月に実施! 研究目的 し 男性高齢者は 年月にいずれも大学の 看護学実習室の浴室を使用した 本研究の目的は 安全な入浴条件 湯温 に 分間の浸漬 において 入浴前に測定可能な指標を 測定指標 用いて 入浴中に変動する循環 血圧 心拍 心筋 " m 歩行時間 被験者の活動力の指標とし 酸素摂取量 を予測することである て m 歩行に要する時間を測定した " 研究方法 水着着用前に 通常の歩行速度での歩行時間 を測定し指標とした 被験者 # BMI 身長と体重を測定して BMI を算出し 以下の条件をすべて満たす在宅で生活している 指標とした 歳以上の高齢者 医師より入浴が禁止されていない者で 通常 $ 血圧と脈拍 左手関節部にデジタル血圧計 自宅の浴槽を利用して自力入浴をしていること オムロンデジタル血圧計 HEM を用 認知機能の障害がなく コミュニケーション い 入浴前 分 入浴直前 洗体動作終了後 が可能であること 浴槽内分 浴槽内分 出浴後分 出浴後 高度の心疾患 糖尿病 高血圧に罹患してい 分 出浴後 分 出浴後 分 出浴後 分に ないこと 測定し 入浴前 分と入浴直前の値の平均値を 実験方法 安静時データとした 手続き % 心筋酸素消費量 Pressure-Rate Product;PRP 被験者は排泄を済ませた後 女性はワンピー 収縮期血圧と脈拍都の積から算出し指標とした ス型の 男性は半パンツ型の水着に着替え 左 手関節に血圧計を装着した 入浴前 分間を座 位で安静を保ったあと 浴室まで移動 移動距 分析 離m し シャワーチェアーに座り 座位の 性別による違いの有無を検討するために 年齢 状態で全身にシャワーの湯をかけた BMI m 歩行時間については t 検定を 血圧 心 秒間 次に 一定に決められた洗体動作を研 拍 PRP については繰り返しのある二元配置分散 究者の動作に合わせて行った後再び全身に湯を 分析により検討した かけた 分間 立ち上がって浴槽に 分析の結果 性差による有意な差を認めなかった 自力で入り 水位を両腋窩を結ぶ水平面に保ち そのうえで 男女 名のデータをもとに 入浴に 臀部を底につけた長座位で の湯に分間浸 よる循環変動を繰り返しのある一元配置分散分析で 14

健常高齢者の入浴前指標を用いた入浴中循環変動の予測 検討した めなかった 入 浴 で の 収 縮 期 血 圧 systolic blood pressure ; SBP の最高値および最低値 心拍 Heart Rate ; HR 実験環境 の最高値 PRP の最高値を基準変数とし 年齢 BMI m 歩行時間に加えてそれぞれの安静時 SBP 安 湯温 ± 室温 ± 湿度 ± の実験環境であった 静時 HR 安静時 PRP を説明変数として重回帰分 析 強制投入法 をおこなった 分析には統計解析 入浴による循環変動 入浴による SBP および HR の変動を図に示した ソフト SPSSVer を用いた 入浴による SBP は時間の主効果があり p 倫理的配慮 安静時を基準にして洗体動作終了時に最高値となり 被験者へは 研究の目的や方法を口頭および書面 有意に上昇した p SBP 最高値は ± mmhg であった 最低値は入浴中分の で説明して実験への協力を依頼した 実験への協力は自由であり 断っても何ら害を被 ることはないこと また 協力を同意した後であっ ± mmhg であったが 安静時を基準にした有 意な低下ではなかった 入浴による HR は時間の主効果があり p ても同意を撤回できることや 実験の途中であって も中止することが可能であることも付け加え 同意 安静時を基準にして洗体動作終了時に有意に低下し 書への署名をもって協力を得た 研究結果は暗号化 p 入浴中の最高値は入浴中分の して個人が特定できないように個人情報の秘匿性を ± 回 分であったが安静時を基準にして有意な 保障し 結果は本研究の目的以外で使用しないこと 差はなかった 入浴中の PRP の変動を図に示した 入浴によ も約束した 医師の協力を得て実験中の不測の事態 る時間の主効果を認めた p 最高値は入 に備えた mmhg/min であったが 安静時 浴中分の! 結 果 を基準にして有意な差はなかった 循環変動の予測 被験者概要 説明変数の結果を表に示した また 基準変数 高齢男性 名 平均年齢 ± 歳 と高齢女 性 名 平均年齢 ± 歳 であった その概 の結果を表に示した 要を表に示した 各指標の性別による有意差は認 年齢 BMI m 歩行時間とそれぞれの基準変 表 被験者概要 男性 n 女性 n t p 年齢 歳 ± ± ns BMI ± ± ns m 歩行時間 秒 ± ± ns なし あり なし あり 高血圧 糖尿病 心疾患 脳血管疾患 15

奥田泰子 棚!由紀子 図 入浴による SBP&HR の変動 SBP HR ともに時間の主効果あり p 安静時を基準にして多重比較をした結果 SBP HR とも洗体動 作終了時に有意差を認めた 表 基準変数の結果 平均±SD 入浴中最高 SBP mmhg ± 入浴中最低 SBP mmhg ± 入浴中最高 HR 回 分 ± 入浴中最高 PRP mmhg/min ± 図 入浴による PRP の変動 時間の主効果あり p 安静時を基準にした有意差はなし 表 説明変数の結果 図 SBP 最高値の実測値と予測値 入浴中 SBP 最高予測値 安静時 SBP 年齢 BMI m 歩行時間 重回帰式 平均±SD 年齢 歳 ± BMI ± m 歩行時間 秒 ± 安静時 SBP mmhg ± 数別に安静時 SBP 安静時 HR 安静時 PRP を説 安静時 HR 回 分 ± 明変数として 入浴中の循環変動を予測するために 安静時 PRP mmhg/min ± 強制投入法による重回帰分析を行い重回帰式を得た 入浴中 SBP 最高値の予測は の説明率で 次 の重回帰式を得た 図 入浴中 SBP 最高予測値 安静時 SBP 年 16

健常高齢者の入浴前指標を用いた入浴中循環変動の予測 入浴中 SBP 最低予測値 安静時 SBP 年 齢 BMI m 歩 行 時 間 重回帰式 入浴での HR 最高値の予測は説明率 で 次の 重回帰式を得た 図 入浴中 HR 最高予測値 安静時 HR 年齢 BMI m 歩 行 時 間 重回帰式 図 SBP 最低値の実測値と予測値 入浴中 SBP 最低予測値 安静時 SBP 年 齢 BMI m 歩 行 時 間 重回帰式 入浴中 PRP 最高値の予測は説明率 で 次の 重回帰式を得た 図 年 入浴中 PRP 最高予測値 安静時 PRP 齢 BMI m 歩 行 時 間 重回帰式! 考 察 高齢者の入浴事故は 加齢に伴う身体機能の退行 性変化により温熱刺激や静水圧による循環変動に対 する応答性の低下が原因と考えられる 入浴は 心 身のそう快感やリラクゼーションを得るうえで重要 図 HR 最高値の実測値と予測値 入浴中 HR 最高予測値 安静時 HR 年 齢 BMI m 歩 行 時 間 重回帰式 な日常生活行動であるが 安全性を重視すると入浴 を回避することになる その際の判断基準は明確で なく 従来の経験から入浴可否を判断しているのが 現状である 看護 介護者は入浴前のバイタルサイ ンを測定しているが 入浴による循環変動の程度が 明らかでないため可否判断に困り 時には入浴事故 に遭遇することになる 入浴前に測定可能な指標をもとに入浴中の循環変 動が予測できれば 入浴中の循環負荷による事故を 予防することが可能であり 高齢者の入浴事故を減 少させることができるのではないかと考え本研究に 取り組んだ 図 PRP 最高値の実測値と予測値 入浴中 PRP 最高予測値 安静時 PRP 年齢 BMI m歩行時 間 重回帰式 安全と推奨されている入浴条件での実験であった が 多くの研究で証明されているように血圧 脈拍 PRP ともに入浴による変動を認め 過激な条件 であれば循環系への多大な影響から事故につながる 齢 BMI m 歩 行 時 間 危険性があることが推察できた しかし 従来の研 重回帰式 究では 湯に浸かることでの影響が主であり 本研 であり 次 入浴中 SBP 最低値の予測は R の重回帰式を得た 図 究のように入浴動作を含めた際には 変動する時間 に違いがあった SBP は 洗体動作終了時が最も 17