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資料 1 長柱座屈防止のための耐震設計ガイドライン ( 案 )

資料 1-1 長柱座屈防止のための耐震設計ガイドライン ( 案 )

目次 1. 総則 1 1.1 目的 1 1.2 適用範囲 1 1.3 用語の定義 2 2. 耐震設計の基本的考え方 4 3. 耐震設計の手順 5 4. 長柱座屈防止のための標準耐震設計 6 5. 長柱座屈防止のための詳細耐震設計 9 5.1 ガス導管の材料特性 9 5.1.1 降伏応力 9 5.1.2 引張特性 9 5.2 設計地震動 9 5.3 表層地盤変位および地盤ひずみ 9 5.4 浅層不整形地盤 1 5.5 地盤拘束力 1 5.6 長柱座屈開始ひずみ 1 5.7 長柱座屈開始判定 11 5.7.1 長柱座屈開始判定 11 5.7.2 局部座屈開始判定 11 5.8 座屈防止のための直線長 12 資料集目次 資料 1 鋼管の材料特性資料 2 浅層不整形地盤の影響資料 3 管軸直角方向の地盤拘束力資料 4 全体解析モデルと部分解析モデル資料 5 実験による部分解析モデルの検証資料 6 長柱座屈開始判定資料 7 局部座屈開始判定資料 8 長柱座屈および局部座屈が開始しない直線長資料 9 直線長の簡易計算式

1. 総則 1.1 目的本ガイドラインは 高 中圧ガス導管に長柱座屈による被害を容易に発生させないことを目的とする 解説 (1) 平成 19 年 7 月 16 日に発生した新潟県中越沖地震において 1A 以下の溶接接合された高 中圧ガス導管に長柱座屈による被害が 15 箇所発生した その後 新潟県中越沖地震における都市ガス事業 施設に関する検討会 ( 座長片山恒雄東京電機大学教授 ) が開催され 今後のガス設備対策のあり方として 小口径で長い直線状配管 の長柱座屈メカニズムの解明と対応策の調査研究が提言された 本ガイドラインは 国の委託を受け ( 社 ) 日本ガス協会が 平成 2 年 ~22 年度に実施した 地震対策技術調査 の内容をとりまとめたものである 1.2 適用範囲 本ガイドラインは 新たに埋設される 1A 以下の供給上重要な溶接接合された高 中圧 ガス導管の耐震設計に適用する 解説 (1) 新潟県中越沖地震により 高圧ガス導管では 1A で2 箇所 中圧ガス導管では 1A で3 箇所 8A で5 箇所 5A で5 箇所の長柱座屈による被害が発生した なお 被害が発生した管は 全て溶接接合された鋼管であった 一方 兵庫県南部地震 新潟県中越地震等の過去の地震においては 長柱座屈による被害そのものが確認されていない 新潟県中越沖地震においても被害を受けた 1A 以下のガス導管と同様の埋設条件の 15A 以上のガス導管も存在したが 1A 以下にのみ被害が確認されている また 地震対策技術調査 の結果 口径が小さくなるほど長柱座屈が開始しやすいことも明らかとなっている よって 本ガイドラインではこれまでに被害を受けたことのある 1A 以下の溶接接合された高 中圧ガス導管を適用範囲とした (2) 新潟県中越沖地震における都市ガス事業 施設に関する検討会 では 長柱座屈の被害防止を供給上重要な高 中圧ガス導管に講ずるよう提言されている 供給上重要な高 中圧ガス導管は 各ガス事業者の供給ネットワークの状況により異なるため 一律に基準を設定するのではなく各ガス事業者が個別にネットワークの状況を判断して設定することとなる 供給上重要な高 中圧ガス導管の一例としては 地震復旧時に主要な供給源となるライン 災害対策拠点への供給ライン 常用防災兼用ガス専焼発電設備への供給ライン等が考えられる - 1 -

1.3 用語の定義 本ガイドラインで使用する主な用語の定義は次による なお 本ガイドラインに定めのな い用語については 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) を参照する (1) 長柱座屈地震動により管に生じる軸ひずみが 長柱座屈開始ひずみ 局部座屈開始ひずみをともに超えて管に大変形が生じ 漏えい限界ひずみに達し その後の地震動による繰返し負荷を受けることにより 管に貫通亀裂が発生する状態 (2) 長柱座屈開始ひずみ管に生じる軸圧縮応力が最大に達し 軸直角方向の曲げ変形が生じ始める軸ひずみ (3) 局部座屈開始ひずみ長柱座屈変形が進行し 長柱座屈部に生じる曲げモーメントが最大となる軸ひずみ (4) 直線長曲げ角度 22.5 度以上の曲管に挟まれた区間の溶接線間の距離 本ガイドラインでは T 字管の主管部は直管とみなし 分岐管部は 9 度の曲管とみなす 解説 (1) 長柱座屈の変形過程を図 1 解 -1 に示す 長柱座屈領域 長柱座屈開始点 局部座屈領域 軸圧縮応力 長柱座屈開始ひずみ 局部座屈開始点 貫通亀裂を伴う変形領域 繰返しによる貫通亀裂の発生点 ( 漏えいの発生 ) 局部座屈開始ひずみ漏えい限界ひずみ ひずみ 図 1 解 1 長柱座屈の変形過程 - 2 -

(2) 直線長の考え方の例を図 1 解 -2 に示す 直線長 直線長 溶接線 11.25 度曲管 例 1: 角度の大きい曲管を含む場合 例 2: 角度の小さい曲管を含む場合 直線長 例 3: 伏せ越しを含む場合 直線長 直線長 例 4:T 字管を含む場合 図 1 解 2 直線長の考え方 - 3 -

2. 耐震設計の基本的な考え方 (1) 耐震設計で想定する地震動は 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) のレベル2 地震動とする (2) 導管の耐震性能を 変形は生じるが 漏えいは生じない とする (3) 許容ひずみを3% とする (4) 想定する地震動により長柱座屈が開始し その後の変形により管に発生するひずみが許容ひずみを超える可能性がある場合には ガス導管の直線長に上限を設けることを基本として 耐震性能を満足する設計を行う (5) 本ガイドラインに定めのない事項に関しては 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) による 解説 (1) 耐震設計で想定する地震動および対応する導管の耐震性能は 高圧ガス導管耐震設 計指針 ( JGA 指 -26-3) のレベル 2 地震動と同じとした (2) 実管での長柱座屈実験によれば 管に軸圧縮力を加えると軸圧縮力が最大となる点で軸直角方向の曲げ変形が生じ始める ( 長柱座屈開始 ) その後 長柱座屈変形が進行し 長柱座屈部に生じる曲げモーメントが最大となる点で局部座屈が開始する ( 局部座屈開始 ) 実験では 局部座屈開始ひずみを十分に超える状態まで管を変形させても 管に貫通亀裂は確認されなかったことから 圧縮のみの一方向変位に対しては管の限界状態は局部座屈開始点を超えた先の領域にあることが確認されている ( 平成 21 年度地震対策技術調査 経済産業省 ) なお 実管実験の結果については 部分解析モデルで精度よく再現することができている ( 資料 5 参照 ) 部分解析モデルを用いた圧縮のみの一方向変位の数値解析結果によれば 局部座屈開始点における軸ひずみは 2D 平均圧縮ひずみ *1 で6~9% の範囲にある しかし 地震波による繰返し負荷を考慮した場合には 局部座屈開始点以降の管の限界状態を判定することは困難なため 安全側に評価して 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) のレベル2 地震動に対する耐震設計と同様 許容ひずみを3% とした これにより 従来の高圧ガス導管耐震設計指針と同様の耐震性能が確保されている * 1 長柱座屈部を中心とした長さ 2D( 外径の 2 倍 ) の区間における 圧縮側 ( 曲がっ た管の曲率中心側 ) の軸方向圧縮ひずみの平均値 (3) ガス導管は 一般的に直管と曲管により配管されるが 直管のみによる直線部が長い場合には地震波により発生する軸圧縮力が大きくなり 長柱座屈が開始しやすくなる 逆に 直線長が短くなれば長柱座屈が開始しにくくなるため 管に発生するひずみが許容ひずみを超える可能性がある場合には 直線長に上限を設けることを長柱座屈防止のための耐震設計の基本とした - 4 -

3. 耐震設計の手順第 4 章 長柱座屈防止のための標準耐震設計 により設計する なお 設計条件に関して詳細評価を実施する場合には 第 5 章 長柱座屈防止のための詳細耐震設計 並びに本ガイドラインの資料集の必要箇所を参照して設計してもよい 解説 (1) 本ガイドラインにおける耐震設計の手順を図 3 解 -1 に示す Start 第 4 章長柱座屈防止のための標準耐震設計 No 項目 内容 材料特性の設定 引張特性 降伏棚型 ( 終点 2%) *1 降伏応力 規格最小降伏点 浅層不整形の影響 地盤ひずみ.3% No の上乗せで考慮 座屈防止基準の選択 長柱座屈が開始しない直線長 Yes 詳細耐震設計 No 材料特性の設定 ( 資料 1 参照 ) 第 5 章参照 浅層不整形の影響 ( 資料 2 参照 ) 第 5 章第 4 節 ~ 第 5 章第 8 節参照 座屈防止基準の選択 ( 資料 8 参照 ) 第 5 章第 8 節参照 End 図 3 解 -1 長柱座屈防止のための耐震設計の手順 * 1 明確な降伏棚を持ち 降伏棚の終点が 2% の引張特性 - 5 -

4. 長柱座屈防止のための標準耐震設計 埋設する地盤の固有周期に応じて次の耐震設計を行う (1) 地盤の固有周期が 表 4-1に示す範囲の地盤に埋設する場合には 直線長が表 4-2の値以下となるように設計する (2) 地盤の固有周期が 表 4-1に示す範囲以外の地盤に埋設する場合には 直線長に 制限はない (3) 地盤の固有周期が不明な場合には 直線長が表 4-2の値以下となるように設計す る 表 4-1 耐震設計が必要な地盤の固有周期 管種 呼び径 地盤の固有周期一様地盤 (s) 浅層不整形地盤 (s) 5A.7~1.8.7 以上 SGP 8A.8~1.1.8~2. 1A.8~.9.8~1.4 STPG37 1A.9~1..9~1.8 管種 呼び径 表 4-2 直線長の上限値直線端部の曲管の曲げ角度 9 45 22.5 22.5 未満 5A 82m 63m 3m 直管とみなし SGP 8A 92m 71m 34m 続く直線区間 1A 99m 77m 37m と合計して評 STPG37 1A 162m 125m 6m 価する 備考端部の角度が両側で異なる場合は 両者の平均とする 解説 (1) 標準耐震設計の手順を図 4 解 -1 に示す Start 地盤固有周期が既知 No Yes 表 4-1の地盤固有周期に該当する Yes 表 4-2の上限値以下で設計する No End 図 4 解 1 標準耐震設計の手順 - 6 -

(2) 一様地盤とは 表層地盤の厚さがほぼ一定の地盤を指す 浅層不整形地盤とは 地震基盤面が傾斜しており 表層地盤の厚さが変化している地盤を指す 地震時に地盤に発生するひずみは 浅層不整形地盤の方が大きくなるため 耐震設計が必要な地盤の固有周期の範囲が浅層不整形地盤の方が広くなっている (3) 地盤の固有周期が表 4-1に示す範囲の地盤に埋設される直線長の長い 1A 以下のガス導管に 表 4 解 -1の前提条件のもとで 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) のレベル2 地震動で想定する地震外力を作用させると 長柱座屈が開始し その後の変形による発生ひずみが許容ひずみの3% を超える結果となった ( 資料 7 参照 ) そこで 表 4-1に該当する場合には 直線長に上限を設けることにより耐震設計を行う 表 4 解 1 標準耐震設計の前提条件 項目 内容 備考 管種 SGP STPG37sch4 引張特性 降伏棚型 ( 終点 2%) 資料 1 参照 降伏応力 規格最小降伏点 SGP は 引張り強さの 3/5 土被り 1.5m 長柱座屈開始ひずみ 部分解析モデルで計算資料 6 参照 設計地震動 設計地震動 Ⅰ 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 参照 管軸直角方向の地盤拘束力 双曲線近似 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 参照 (4) 表 4-1では 直線長を無限大として管ひずみを計算しているが 直線長を徐々に短くすると 長柱座屈開始後の変形による発生ひずみが許容ひずみである3% に等しくなる この直線長を超えなければ 局部座屈は開始しない 更に直線長を短くしていくと 発生ひずみが長柱座屈開始ひずみと等しくなり ちょうど長柱座屈が開始する直線長となる この直線長に達しなければ 長柱座屈は開始しない 局部座屈が開始しない直線長と長柱座屈が開始しない直線長のそれぞれの上限値にはほとんど差がないため 安全側である長柱座屈が開始しない直線長の上限値を採用した ( 資料 8 参照 ) なお 表 4-2では小数点以下を切り捨てた値を直線長の上限値としているため 当該数値以下の直線長として耐震設計する ( 資料 8 9 参照 ) ここで直線長とは 曲げ角度 22.5 度以上の曲管に挟まれた区間の溶接線間の距離とする 本ガイドラインでは T 字管の主管部は直管とみなし 分岐管部は 9 度の曲管とみなす (5) 直線区間の端部に曲管が 1 個の場合と伏せ越しが接続した場合の直線長の上限値を 比較したところ曲管が 1 個の場合の方が若干短い直線長となるため 表 4-2 では安 全側の評価として前者における直線長の上限値を採用した ( 資料 8 参照 ) - 7 -

(6) 一様地盤の場合と浅層不整形地盤の場合の直線長の上限値を比較したところ 浅層 不整形地盤の場合の方が若干短い直線長となるため 表 4-2 では安全側の評価とし て後者における直線長の上限値を採用した ( 資料 8 参照 ) ( 7 ) 曲げ角度 22.5 度未満の曲管については 直線長の上限値に与える影響が小さいため 直管とみなして続く直線区間と合計して評価する (8) 地盤の固有周期は 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) 5.2.1 表層地 盤の固有周期 により算出する (9) 表 4-1 および表 4-2 を算出するための前提条件である表 4 解 -1 は 安全側の 設定となっている より詳細な設計を行う場合には 第 5 章長柱座屈防止のため の詳細耐震設計 に基づき設計してもよい (1) 管周りを適切に締め固めることは 長柱座屈開始ひずみに大きな影響を与える管軸 直角方向の地盤拘束力の初期勾配を確保できることから長柱座屈防止に有効である ( 資料 3 参照 ) - 8 -

5. 長柱座屈防止のための詳細耐震設計 5.1 ガス導管の材料特性 5.1.1 降伏応力降伏応力は 規格最小降伏点を用いる 解説 (1)SGP のように規格最小降伏点の定めがない材料に関しては 降伏応力をガス事業法告 示別表第 4 に定める考え方を用いて日本工業規格に定められた引張強さの 3/5 とする (2) 使用する材料の降伏応力が既知の場合は その降伏応力を使用することができる 5.1.2 引張特性 引張特性は 使用する材料に応じて適切に設定する 解説 (1) 引張特性は 長柱座屈開始ひずみに大きな影響を与える 一般的に降伏棚型 ( 終点 2%) の引張特性の材料は長柱座屈開始ひずみが小さく ラウンドハウス型の引張特性の材料は 長柱座屈開始ひずみが大きくなる傾向にある 引張特性は 規格に定められていないため個別に引張試験を実施しなければ不明である よって 引張特性が不明な場合については 安全側の評価として降伏棚型 ( 終点 2%) の引張特性の材料と仮定して設計を行うこととする なお ラウンドハウス型の引張特性の材料では 長柱座屈開始ひずみが十分に大きいため レベル2 地震動により発生する管ひずみが長柱座屈開始ひずみに達することはない ( 資料 6 参照 ) ( 2 ) 使用する材料の引張特性が既知の場合は その引張特性を使用することができる 5.2 設計地震動 設計地震動は 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) 5.1 設計地震動 に 基づき設定する 5.3 表層地盤変位および地盤ひずみ 表層地盤変位および地盤ひずみは 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) 5.2 表層地盤変位および地盤ひずみ に基づき求める - 9 -

5.4 浅層不整形地盤浅層不整形地盤においては 一様地盤中よりも大きなひずみが発生する場合があるので 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) 5.3 浅層不整形地盤 に基づき 耐震設計を行う 解説 (1) 浅層不整形地盤に発生する地盤ひずみを地盤変位分布に換算する方法には 地震波長を固定し最大地盤変位を増加させる方法と地震波長を減少させ最大地盤変位を固定する方法が考えられる 両者を比較した場合に ガス導管に発生する管ひずみは前者の方が大きくなるため 地震波長を固定し最大地盤変位を増加させる方法を用い安全側の評価を行なう ( 資料 2 参照 ) ( 2 ) せん断波を用いた 2 次元地震応答解析により浅層不整形地盤に発生する地盤ひずみ を詳細評価してもよい 5.5 地盤拘束力管軸方向の地盤拘束力は 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) 4.4.1 管軸方向の地盤拘束力 に記載の値を用いる 管軸直角方向の地盤拘束力は 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) 4.4.2 管軸直角方向の地盤拘束力 に記載の ( 式 4.4-2) を用いる 解説 (1) 長柱座屈開始ひずみは 管軸直角方向の地盤拘束力の初期勾配の大きさに影響を受け 初期勾配が大きいほど長柱座屈開始ひずみが大きくなる よって 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) 4.4.2 管軸直角方向の地盤拘束力 のバイリニアで近似された管軸直角方向の地盤拘束力では 長柱座屈開始ひずみを過小に評価してしまうため 本ガイドラインでは双曲線で近似する ( 資料 3 参照 ) なお 別途実測等により求めてもよい 5.6 長柱座屈開始ひずみ 長柱座屈開始ひずみは 部分解析モデルを用いて求める 解説 (1) 地震波 1 波長の中央部 15m をモデル化した部分解析モデルに変位制御による入力を与え 長柱座屈開始ひずみを求める 部分解析モデルを用いた解析結果は 実管実験の結果と良好な一致を示していることが確認されている なお 地震波 1 波長の範囲をモデル化し解析を行う全体解析モデルでは 長柱座屈開始後の高速の変形に追随できず計算が収束しない場合が多い ( 資料 4 5 6 参照 ) ( 2 ) 全体解析モデルで計算が収束する場合には 全体解析モデルを用いて長柱座屈開始 ひずみを求めてもよい - 1 -

5.7 座屈開始判定 5.7.1 長柱座屈開始判定 高圧ガス導管耐震設計指針 ( JGA 指 -26-3) 5.5 直管の耐震設計 で求められる管ひずみと 5.6 長柱座屈開始ひずみ で求められる長柱座屈開始ひずみを比較する (1) 管ひずみが長柱座屈開始ひずみ以上の場合には 長柱座屈が開始すると判定する (2) 管ひずみが長柱座屈開始ひずみに達しない場合には 以降の検討は不要となる 解説 (1) 無限長の直線状の導管に発生する管ひずみと長柱座屈開始ひずみを比較することに より長柱座屈の開始判定を行う ( 資料 6 参照 ) 5.7.2 局部座屈開始判定 5.7.1 長柱座屈開始判定 により長柱座屈が開始すると判定された場合には 座屈部に発生する管ひずみと許容ひずみ (3%) を比較する (1) 管ひずみが許容ひずみよりも大きい場合には 局部座屈が開始すると判定する (2) 管ひずみが許容ひずみを超えない場合には 以降の検討は不要となる 解説 (1) 長柱座屈開始後 無限長の直線状の導管の座屈部に発生する管ひずみと許容ひずみ (3%) を比較することにより局部座屈開始判定を行う ( 資料 7 参照 ) ( 2 ) 長柱座屈が開始した部分を線形バネ要素に置き換え バネ係数を変化させた解析を行い 繰返し計算により座屈区間の収縮量と地盤変位による外力入力がバランスする条件を求めることで 長柱座屈開始後の座屈部の管に発生するひずみを求める ( 資料 7 参照 ) ( 3 ) 長柱座屈が開始した部分を部分解析モデル等で得られた軸圧縮力と変位の関係に置き換え 座屈区間の収縮量と地盤変位による外力入力がバランスする条件を求めることで 長柱座屈開始後の座屈部の管に発生するひずみを求める方法を採用してもよい ただし この方法は 条件によっては計算が収束しない場合も多い 5.8 座屈防止のための直線長 5.7.2 局部座屈開始判定 により 局部座屈が開始すると判定された場合には 直線部の両端に曲管等を配置して直線長を減少させることにより発生する管ひずみが許容ひずみ (3%) 以下となる直線長の上限を求め 直線長がその長さ以下となるよう耐震設計を行う 解説 (1) 長柱座屈が開始した部分を線形バネ要素に置き換え ひずみ3% となるバネ係数に設定した上で直線長を変化させた解析を行い 座屈区間の収縮量と地盤変位による外力入力がバランスする直線長を求める ( 資料 8 参照 ) - 11 -

(2) 直線区間の端部における曲管の接続条件については 曲管の数 角度等実態に合わ せて適切に設定する ( 資料 8 参照 ) (3) 長柱座屈が開始した部分を部分解析モデル等で得られた軸圧縮力と変位の関係に置き換え 直線長を変化させた解析を行い 座屈部に発生する管のひずみが許容ひずみ (3%) となる直線長を求める方法を採用してもよい ただし この方法は 条件によっては計算が収束しない場合も多い (4) 局部座屈防止よりも安全側の評価として 発生する管ひずみが長柱座屈開始ひずみ となる直線長を求め 直線長がその長さに達しないよう耐震設計を行ってもよい (5) 長柱座屈が開始しない直線長の上限値については 基準長さに対して低減係数を乗 じて求めてもよい ( 資料 9 参照 ) - 12 -

資料 1-2 長柱座屈防止のための耐震設計ガイドライン ( 案 ) 資料集 資料 1 鋼管の材料特性資料 2 浅層不整形地盤の影響資料 3 管軸直角方向の地盤拘束力資料 4 全体解析モデルと部分解析モデル資料 5 実験による部分解析モデルの検証資料 6 長柱座屈開始判定資料 7 局部座屈開始判定資料 8 長柱座屈および局部座屈が開始しない直線長資料 9 直線長の簡易計算式

資料 -1 鋼管の材料特性 1. 概要 本ガイドラインの作成に用いた鋼管の寸法 強度 引張特性について示す 2. 鋼管の管種と口径本ガイドラインでは新潟県中越沖地震で長柱座屈被害を受けた実績のある 1A 以下の小口径管を耐震設計の対象とした 管種については小口径のガス導管で一般的に使用される SGP( 配管用炭素鋼鋼管 JIS B 3452) 及び STPG37( 圧力配管用炭素鋼鋼管 JIS B 3454) を検討対象とした なお STPG37 の管厚はスケジュール 4 を用いた 各管種 口径の公称寸法を表 1.1 に示す 表 1.1 鋼管の公称寸法 管種 呼び径 外径 (mm) 管厚 (mm) 5A 6.5 3.8 SGP 8A 89.1 4.2 1A 114.3 4.5 STPG37 1A 114.3 6. 3. 降伏応力及び引張強さ鋼管の降伏応力 引張強さは日本工業規格に示されている規格最小値を用いた ただし SGP の降伏点は規格で規定されていないため ガス工作物の技術上の基準の細目を定める告示 第 13 条 ( つり支持具等の間隔 ) の別表第 4における 降伏点又は耐力が日本工業規格に定められていないものにあっては同規格に定められた引張強さの3/5 の記述を参考に 引張強さの3/5となる値を用いた 表 1.2 に各管種の降伏応力及び引張強さを示す 表 1.2 鋼管の降伏応力と引張強さ 管種 降伏応力 (MPa) 引張強さ (MPa) SGP 174 29 STPG37 215 37 4. 引張特性 鋼管の引張特性 ( 応力ひずみ関係又は SS カーブ ) を 明確な降伏棚を有する降伏棚型と降伏棚を持たないラウンドハウス型に分類した 4.1 降伏棚型の引張特性降伏棚型 ( 以下 LE 型 (Luders Elongation)) の引張特性は 図 1.1 に示すように実際の試験片引張試験結果の引張特性を元に 降伏応力を表 1.2 の値に調整した材料モデルを設定した 降伏棚の終点はひずみ 2% とした また ひずみ 2% 以降のひずみ硬化係数は 中低圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -29-3) 2.5 基準ひずみ及び基準変位 を参考に 鋼の弾性係数の 7/1 倍とした 1-1

応力 σ (MPa) 5 4 3 2 σy 試験片の引張試験結果 解析の材料モデル 7/1 E 1 E 1 2 3 4 5 ひずみ ε (%) 図 1.1 LE 型材料の引張特性 (SGP) 4.2 ラウンドハウス型の引張特性ラウンドハウス型 ( 以下 RH 型 ( Round House)) の引張特性は 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 資料-15 導管の圧縮座屈開始ひずみの算定式と安全率 で示されている下記の関係式を用いた 図 1.2 に本ガイドラインで使用する RH 型の引張特性を示す ε ε y.11 = σ σ y (1.1) ここで εy: 降伏ひずみ (=σy/e+.2) σy: 降伏応力 (MPa)=.2% オフセット耐力 5 4 応力 σ (MPa) 3 2 σy 1 εy 1 2 3 4 5.2% ひずみ ε (%) 図 1.2 RH 型材料の引張特性 (SGP) 5. まとめ 本ガイドラインでは鋼管の寸法は公称寸法 降伏応力と引張強さは規格最小値を用い 引張特性は LE 型と RH 型に分類してその特性を示した 1-2

資料 -2 浅層不整形地盤の影響 1. 概要 本ガイドラインにおいて浅層不整形地盤が長柱座屈に与える影響を解析するにあたり 浅層不整形地盤ひずみを実際の解析に使用する地盤変位分布に換算する方法を示す 2. 浅層不整形地盤ひずみ 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 5.3 浅層不整形地盤 に示されている浅層不整形地盤ひずみを用いた 浅層不整形地盤ひずみは 一様地盤ひずみに地震基盤面が傾斜していることによって生じる地盤ひずみを重ね合わせることにより求められ 下式で表される G2 2 G1 2 G3 ε = ε + ε (2.1) ここで εg1: 浅層不整形地盤の各地点での表層厚さにおける一様地盤ひずみ εg2: 浅層不整形地盤に発生する地盤ひずみ εg3: 地震基盤面が傾斜していることによって生じる地盤ひずみ (=.3%) 1. 浅層不整形地盤ひずみ ε G2 地盤ひずみ ε G (%).1 一様地盤ひずみ ε G1.1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 図 2.1 レベル 2 地震動による浅層不整形地盤ひずみ 3. 浅層不整形地盤での地震波形解析においては地震波による地盤変位分布を設定する必要がある 最大地盤ひずみが前項に示す浅層不整形地盤ひずみと等しくなるような地震波形としては 以下の 2 通りが考えられる 1 地震波長を固定し 変位振幅を増やす 2 変位振幅を固定し 地震波長を減らす 3.1 地震波長を固定する場合図 2.2 のように地震波長 Lw は一様地盤と同じとし 変位振幅を Uh から Uh に増加させることで 地 2-1

震波の節に生じる最大地盤ひずみを浅層不整形地盤ひずみと等しくした 地盤変位 U h ( 浅層不整形地盤 ) U h ( 一様地盤 ) 地震波長 L w ( 一様地盤 ) 図 2.2 浅層不整形地盤における地震波形 ( 地震波長固定 ) 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) より一様地盤での地盤ひずみεG1 は 式 (2.2) で表される 2π U h ε G1 = (2.2) L w ここで Uh: 表層地盤変位 (cm) Lw: 地震動の見かけの波長 (cm) また 浅層不整形地盤における地盤ひずみ εg2 は 式 (2.1) を用いて式 (2.3) のように表される 2π U 2π U 2 h h 2 ε G 2 = = +. 3 (2.3) L w L w ここで Uh : 浅層不整形地盤での表層地盤変位 (cm) この式 (2.3) を Uh について解くと 式 (2.4) が得られる U 2 2 L w.3 h = U h + (2.4) 2π 3.2 変位振幅を固定する場合図 2.3 のように変位振幅 Uh は一様地盤と同じとし 地震波長を減少させることで 地震波の節に生じる最大地盤ひずみを浅層不整形地盤ひずみと等しくした 地盤変位 U h 地震波長 L w ( 浅層不整形地盤 ) 地震波長 L w ( 一様地盤 ) 図 2.3 浅層不整形地盤における地震波形 ( 変位振幅固定 ) 2-2

浅層不整形地盤における地盤ひずみ εg2 は 式 (2.1) を用いて式 (2.5) のように表される 2π U 2π U G +. 3 2 h h 2 ε 2 = = (2.5) L w L w ここで Lw : 浅層不整形地盤での地震動の見かけの波長 (cm) この式 (2.5) を Lw について解くと 式 (2.6) が得られる 1 L w = (2.6) 2 2 1.3 L + w 2 U π h 3.3 浅層不整形地盤における管ひずみ浅層不整形地盤における地震波モデルが地震波長固定及び変位振幅固定の場合について SGP 1A を例として 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 5.5.1 直管の地震時ひずみ にしたがって管に生じるひずみを求めた結果を図 2.4 に示す これより 地震波長固定の地震波モデルの方が管に生じるひずみが大きくなることが分かった したがって本ガイドラインにおける浅層不整形地盤の地震波モデルには 3.1 に示す一様地盤と同じ地震波長を用い 変位振幅を増やした地盤変位分布を用いた 1. SGP1A 管ひずみ ε p (%).1 地震波長固定 変位振幅固定.1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 図 2.4 浅層不整形地盤の地震波モデルによる管ひずみの比較 4. まとめ本ガイドラインにおける浅層不整形地盤での地震波は 地震波長を一様地盤と同じとし 高圧ガス導管耐震設計指針 の浅層不整形地盤ひずみが得られるように表層地盤変位を増幅させた地盤変位分布を用いた 2-3

資料 -3 管軸直角方向の地盤拘束力 1. 概要本ガイドラインでは 管の長柱座屈開始ひずみおよび局部座屈開始ひずみを求める上で 管軸直角方向の地盤拘束力として双曲線近似された地盤拘束力を用いた 管の長柱座屈開始を判定する長柱座屈開始ひずみは 管軸直角方向の地盤拘束力の初期勾配の影響を受けるため ここではその影響を確認した 2. 管軸直角方向の地盤拘束力 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 4.4 地盤拘束力 の解説に示されている双曲線近似の式を用いた σ σ δ δ = δ δ cr.17 +. 83 (δ δ) (3.1) σ = σ cr (δ>δ) (3.2) ここで σ: 地盤拘束力 (N/cm 2 ) δ: 地盤変位 (cm) σcr: 最大地盤拘束力 (N/cm 2 ) δ: 最大地盤拘束力を与える地盤変位 (=.3 Hp cm) Hp: 導管中心までの深さ (=Hp+D/2 cm) Hp: 土被り (=15 cm) D: 管の外径 (cm) 5 地盤拘束力 σ (N/cm 2 ) 4 3 2 1 σcr δ 1 2 3 4 5 6 相対変位 δ (cm) 図 3.1 管軸直角方向の地盤拘束力 (SGP1A) 3-1

3. 地盤拘束力の初期勾配 地盤拘束力の初期勾配は 下式で定義した kini=σini/δini (3.3) ここで kini: 地盤拘束力の初期勾配 (N/cm 3 ) σini: 相対変位 δini 時の地盤拘束力 (N/cm 2 ) δini: 初期勾配を設定する相対変位 (=.1 cm) 部分解析モデルによる長柱座屈解析 ( 資料 -6) において 表 3.1 のように管軸直角方向地盤ばねの相対変位が長柱座屈開始時では概ね.1cm であったことから 初期勾配を設定する相対変位として.1cm を用いた SGP1A を例に初期勾配を求めると図 3.2 のように双曲線近似では 5.N/cm 3 となった なお 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) のバイリニア近似の地盤拘束力では地盤ばね係数 k2 は 図 3.3 のように 2.N/cm 3 である 表 3.1 長柱座屈開始時の管軸直角方向地盤ばねの相対変位 ( 長柱座屈解析 ) 管種 呼び径 長柱座屈開始時の管軸直角方向地盤ばねの相対変位 (cm) SGP 5A.7 SGP 8A.8 SGP 1A.9 STPG37 1A.14 5 5 地盤拘束力 σ (N/cm 2 ) 4 3 2 1 σini σcr kini=5. N/cm 3.1cm δ 1 2 3 4 5 6 相対変位 δ (cm) 地盤拘束力 σ (N/cm 2 ) 4 3 2 1 σcr k2=2.n/cm 3.46δ δ 1 2 3 4 5 6 相対変位 δ (cm) 図 3.2 管軸直角方向の地盤拘束力 ( 双曲線近似 :SGP1A) 図 3.3 管軸直角方向の地盤拘束力 ( バイリニア近似 :SGP1A) 3-2

4. 管軸直角方向地盤拘束力の初期勾配の影響 SGP1A について 前項に示した管軸直角方向地盤拘束力の初期勾配を変化させた場合に 長柱座屈開始ひずみがどの程度変動するかを確認した 4.1 解析モデル解析モデルは部分解析モデル ( 資料 -4) を用いた 4.2 管の材料特性管種 呼び径は SGP 1A とし 引張特性は LE 型とした 詳細は 資料 -1 に示す 4.3 地盤拘束力特性双曲線近似された地盤拘束力の初期勾配は表 3.2 に示す 3 通りとした それぞれのケースにおける管軸直角方向の地盤拘束力を図 3.4 に示す 表 3.2 解析ケース ( 初期勾配 ) ケース 管種 呼び径 初期勾配 備考 kini (N/cm 3 ) 1 SGP 1A 5. 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 2 SGP 1A 37.5 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) の.75 倍 3 SGP 1A 25. 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) の.5 倍 地盤拘束力 σ (N/cm 2 ) 5 4 3 2 1 kini=5. N/cm 3 kini=37.5 N/cm 3 kini=25. N/cm 3 2 4 6 8 1 相対変位 δ (cm) 図 3.4 解析における管軸直角方向の地盤拘束力 3-3

4.4 解析結果図 3.5 に初期勾配を変化させた解析の公称応力と公称ひずみの関係を示す 長柱座屈開始点 ( 応力が最大となる点 ) は 地盤拘束力の初期勾配が小さくなるほど低ひずみ側に移り 表 3.3 のように長柱座屈開始ひずみが小さくなることが確認された 4 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 長柱座屈開始点 kini=5.n/cm 3 kini=37.5 N/cm 3 kini=25. N/cm 3 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) 図 3.5 長柱座屈開始点に与える地盤拘束力の初期勾配の影響 表 3.3 地盤拘束力の初期勾配と長柱座屈開始ひずみ ケース 初期勾配 k ini (N/cm 3 ) 長柱座屈開始ひずみ ε cr1 (%) 1 5..31 2 37.5.29 3 25..23 4.5 長柱座屈開始判定への影響長柱座屈開始判定 ( ガイドライン 5.7.1 参照 ) では レベル2 地震動で発生する管ひずみと部分解析モデルで得られる長柱座屈開始ひずみを比較し 管ひずみが長柱座屈開始ひずみ以上の場合は長柱座屈が開始すると判定する 図 3.6 に 表 3.2 のケース1およびケース3における長柱座屈開始判定図を示す また 表 3.4 に各ケースの長柱座屈開始判定結果を示す 地盤拘束力の初期勾配が小さくなるとそれに応じて長柱座屈開始ひずみが小さくなり 長柱座屈が開始する地盤固有周期の範囲が長周期側に広くなることが確認された 3-4

1. 長柱座屈開始ひずみ 管ひずみ (k ini =5. N/cm 3 ) 長柱座屈開始ひずみ (k ini =5. N/cm 3 ) 地盤ひずみ ε G (%).1 地盤ひずみ SGP 1A 管ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 管ひずみ (k ini =25. N/cm 3 ) 長柱座屈開始ひずみ (k ini =25. N/cm 3 ).1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 図 3.6 長柱座屈開始判定に与える地盤拘束力の初期勾配の影響 表 3.4 地盤拘束力の初期勾配と長柱座屈開始判定結果 (SGP 1A) ケース 初期勾配 k ini (N/cm 3 ) 長柱座屈開始ひずみ ε cr1 (%) 長柱座屈が開始する可能性のある地盤固有周期の範囲 (sec) 1 5..31.6 ~ 1. 2 37.5.29.6 ~ 1.1 3 25..23.6 ~ 1.5 5. まとめ管軸直角方向地盤拘束力の初期勾配が小さくなるにつれて長柱座屈開始ひずみも小さくなり その結果 長周期側の地盤固有周期を有する地盤において長柱座屈が開始し易くなることが確認された 管周りを適切に締め固めることは 管軸直角方向の地盤拘束力の初期勾配を確保できることから長柱座屈防止に有効である 3-5

資料 -4 全体解析モデルと部分解析モデル 1. 概要鋼管の長柱座屈特性を求める解析を行う上で 地震波の1 波長の区間を扱う全体解析モデルと 長柱座屈が開始する地震波の節の部分を取り出して解析する部分解析モデルを示し 長柱座屈特性を求めるためには部分解析モデルでの解析が適していることを述べる 2. 全体解析モデル長柱座屈解析における鋼管の全体解析モデルを図 4.1 に示す 全体解析モデルでは 地震波の1 波長の区間を解析対象とし 長柱座屈による塑性変形が生じる地震波の節近傍を 3 次元シェル要素 それ以外の鋼管をビーム要素でモデル化した 鋼管は管軸方向及び管軸直角方向を地盤ばねで支持した 連続する地震波を考慮するため解析モデルの両端は対称条件とした この全体解析モデルは 鋼管の応力 ひずみ 変形を計算することには適しているが 長柱座屈のような不安定現象の解析には適していない つまり 地盤の変位とともに鋼管の軸応力 軸ひずみが徐々に増加する変形過程の解析は可能であり 長柱座屈が開始する直前の最大軸圧縮応力あるいは最大軸圧縮ひずみが発生する段階までの解析は可能である しかし 長柱座屈が開始すると鋼管の軸方向変位が増加し それに伴って長柱座屈部以外の軸応力や軸ひずみが急速に低減する すなわち 圧縮軸応力 圧縮軸ひずみが急速に除荷されることになる この除荷段階において 鋼管は蓄積された圧縮ひずみエネルギーを急速に解放して長柱座屈波形を成長させる この軸変形は高速であるため 有限要素解析でこのような軸変形に追従することは難しい したがって 全体解析モデルは長柱座屈解析における座屈後の変形解析には適さない 鋼管 地震波の 1 波長 地震波 地震波 管軸直角方向地盤ばね 管軸方向地盤ばね ビーム要素 ビーム要素 3 次元シェル要素 ( 長柱座屈部 ) 地震波の 1 波長 図 4.1 全体解析モデル 4-1

3. 部分解析モデル部分解析モデルとは 図 4.2 のように全体解析モデルのうち最大圧縮荷重が生じる地震波の節を中心とした 15m 区間を取り出したモデルである 鋼管の長柱座屈を解析するための部分解析モデルを図 4.3 に示す 15m のうち中央の 11m を 3 次元シェル要素 両端のそれぞれ 2m をビーム要素でモデル化した 部分解析モデルでは 管軸直角方向を地盤ばねで支持し 鋼管の両端を自由支持条件として強制変位を入力した この強制変位を与えた両端に反力として発生する軸圧縮力は 地震波 1 波長に対して節の部分に発生する最大軸圧縮力と対応している 部分解析モデルでは変位制御で入力条件を与えるため 鋼管の一部分が長柱座屈して軸力が急速に低下した場合でも 安定した変形計算が実行できる 有限要素解析において真っ直ぐな鋼管に軸圧縮力を作用させても 圧縮変形が進行するのみで長柱座屈が開始しないため 解析モデルの中央 5m に三角関数で山形の初期形状をもたせた 地震波 部分解析モデルの範囲 P P P P 長柱座屈部 地震波 図 4.2 全体解析モデルと部分解析モデルの関係 2 初期形状 1 1cm 1 2 3 4 5 5m 管軸直角方向地盤ばね 強制変位 ビーム要素 11m 3 次元シェル要素 15m ビーム要素 強制変位 図 4.3 部分解析モデル 4. まとめ 鋼管の長柱座屈変形特性を求めるためには 全体解析モデルでは長柱座屈開始後の変形に追従できないため 部分解析モデルを用いた有限要素解析の方が適している 4-2

資料 -5 実験による部分解析モデルの検証 1. 概要埋設された実管に軸圧縮力を加え長柱座屈させる実管実験 ( 土槽実験及びフィールド実験 ) を行い 得られた実験結果と部分解析モデルで得られる長柱座屈変形特性を比較することで 部分解析モデルが良好な精度で実際の長柱座屈現象を模擬できることを確認した 2. 屋内土槽長柱座屈実験 ( 土槽実験 ) 2.1 実験方法図 5.1 に示す土槽及び機器で構成される実験装置をテストベッド上に組み 図 5.2 に示す SGP の試験体を土槽内に埋設し 油圧シリンダにより試験体に軸圧縮力を加えて長柱座屈させる屋内土槽長柱座屈実験 ( 以下 土槽実験 ) を実施した 実験の詳細については平成 21 年度 地震対策技術調査 ( 小口径管の長柱座屈に関するメカニズムの解明等 ) ( 経済産業省 ) を参照のこと 反力受け 土槽 ( 長さ8m 幅 2.5m 深さ2m) 載荷土被り1.2m 埋設土載荷試験体 反力受け 油圧シリンダ 油圧シリンダ 図 5.1 土槽実験の装置構成 STPG37 Sch8 SGP SGP STPG37 Sch8 図 5.2 土槽実験の試験体 図 5.3 土槽実験装置 5-1

2.2 土槽実験結果と部分解析モデルとの比較土槽実験の代表例として表 5.1 の実験条件の結果を以下に示す 図 5.4 に試験体の長柱座屈変形状況を示す 試験体は土槽のほぼ中央部で鉛直上向きの長柱座屈変形を生じ 曲げの生じている部分では局部座屈が発生した 図 5.5 に本実験結果と 同条件の部分解析モデルにより得られた公称応力と公称ひずみの関係を示す 部分解析モデルは実験結果と良好な一致を示した 表 5.1 土槽実験条件 管種 呼び径 引張特性 埋め戻し条件 ( 地盤拘束力設定 ) 備考 SGP 1A LE 型 高圧ガス導管耐震設計指針 相当 解析では実測の引張特性 地盤拘束力特性を用いた 図 5.4 土槽実験での長柱座屈変形状況 公称応力 σn (MPa) 5 4 3 2 1 長柱座屈開始点 局部座屈開始点 部分解析モデル 実験..5 1. 1.5 2. 公称ひずみ ε n (%) 公称ひずみ (%) 長柱座屈開始点 局部座屈開始点 土槽実験.25.46 部分解析モデル.25.41 図 5.5 土槽実験結果と部分解析モデルの長柱座屈変形特性 5-2

3. 屋外長柱座屈実験 ( フィールド実験 ) 3.1 実験方法図 5.6 のように実際の原地盤に構築した実験装置に 図 5.7 に示す SGP の試験体を埋設し 油圧シリンダにより試験体に軸圧縮力を加えて長柱座屈させる屋外長柱座屈実験 ( 以下 フィールド実験 ) を実施した 実験の詳細については平成 21 年度 地震対策技術調査 ( 小口径管の長柱座屈に関するメカニズムの解明等 ) ( 経済産業省 ) を参照のこと 油圧シリンダ 隔壁 ( 鋼板 ) 隔壁 ( 鋼板 ) 油圧シリンダ 土被り 1.2m 試験体 載荷フレーム 載荷ピット 埋設区間 2m 図 5.6 フィールド実験の装置構成 載荷ピット STPG37 Sch8 SGP SGP SGP STPG37 Sch8 図 5.7 フィールド実験の試験体 図 5.8 フィールド実験装置 3.2 フィールド実験結果と部分解析モデルとの比較フィールド実験の代表例として表 5.2 の実験条件の結果を以下に示す 図 5.9 に試験体の長柱座屈変形状況を示す 試験体は全長の中央近傍で鉛直方向に長柱座屈変形を生じ 曲げの生じている部分では局部座屈が発生した 図 5.1 に本実験結果と 同条件の部分解析モデルにより得られた公称応力と公称ひずみの関係を示す 局部座屈開始点を超えた後は実験に比べ解析結果の方が応力の低下が大きめとなるが 局部座屈開始点までは部分解析モデルと実験結果は良好な一致を示しており 本ガイドラインで取り扱う長柱座屈変形の範囲 ( 局部座屈開始点まで ) においては十分な解析精度を有している 5-3

表 5.2 フィールド実験条件 管種 呼び径 引張特性 埋め戻し条件 ( 地盤拘束力設定 ) 備考 SGP 1A LE 型 高圧ガス導管耐震設計指針 相当 解析では実測の引張特性 地盤拘束力特性を用いた 図 5.9 フィールド実験での長柱座屈変形状況 公称応力 σ n (MPa) 5 4 3 2 1 長柱座屈開始点 局部座屈開始点 部分解析モデル 実験..5 1. 1.5 2. 公称ひずみ ε n (%) フィールド実験部分解析モデル 図 5.1 フィールド実験結果と部分解析モデルの長柱座屈変形特性 公称ひずみ (%) 長柱座屈開始点局部座屈開始点.27.46.24.5 4. まとめ実管による長柱座屈実験を実施し 小口径管の長柱座屈変形特性を把握した 部分解析モデルによる解析結果は実管実験の結果と良好な一致を示しており 本ガイドラインにおいて各管種 口径別の長柱座屈開始ひずみ及び局部座屈開始ひずみを求める上で 部分解析モデルを適用することができることを確認した 5-4

資料 -6 長柱座屈開始判定 1. 概要部分解析モデルを用いた有限要素解析を実施し 各管種 口径における長柱座屈開始ひずみ及び局部座屈開始ひずみを求めた また レベル2 地震動で生じる管ひずみと長柱座屈開始ひずみを比較することにより 長柱座屈の開始判定を行った 2. 長柱座屈解析方法 2.1 解析モデル図 6.1 に示す部分解析モデルを用いた 部分解析モデルにおける解析条件を表 6.1 に示す 2 初期形状 1 1cm 1 2 3 4 5 5m 管軸直角方向地盤ばね 強制変位 ビーム要素 11m ビーム要素 強制変位 3 次元シェル要素 ( 分割要素 : 軸 周 =1cm 1cm 程度 ) 15m 図 6.1 部分解析モデル 表 6.1 部分解析モデルの解析条件 項目 解析条件 備考 要素モデル 中央部 :4 節点シェル要素両端部 : ビーム要素地盤ばね : トラス要素 管材料特性 弾塑性多直線モデル (2.2 参照 ) 地盤拘束力特性 双曲線モデル 管軸直角方向に適用 (2.3 参照 ) 外力 軸圧縮強制変位 強制変位点の反力が軸圧縮荷重 初期形状 5m で最大 1cm 正弦波形 6-1

2.2 管の材料特性詳細は 資料 -1 に示す 2.2.1 降伏応力及び引張強さ表 6.2 に各管種の降伏応力及び引張強さを示す 表 6.2 各管種の降伏応力と引張強さ 管種 降伏応力 (MPa) 引張強さ (MPa) SGP 174 29 STPG37 215 37 2.2.2 降伏棚型の引張特性 SGP 及び STPG37 について 降伏棚型 ( 以下 LE 型 ) の引張特性を図 6.2 に示す 4 応力 σ (MPa) 3 2 174 215 降伏棚終点 STPG37 SGP 1 1 2 3 4 5 ひずみ ε (%) 図 6.2 LE 型材料の引張特性 2.2.3 ラウンドハウス型の引張特性 SGP 及び STPG37 について ラウンドハウス型 ( 以下 RH 型 ) の引張特性を図 6.3 に示す 4 応力 σ (MPa) 3 2 174 1 215 STPG37 SGP.2 1 2 3 4 5 ひずみ ε (%) 図 6.3 RH 型材料の引張特性 6-2

2.3 地盤拘束力特性部分解析モデルでは 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 4.4 地盤拘束力 の解説に示されている双曲線近似式を用いた図 6.4 の管軸直角方向地盤拘束力を用いた σ σ δ δ = δ δ cr.17 +. 83 (δ δ) (6.1) σ = σ cr (δ>δ) (6.2) ここで σ: 地盤拘束力 (N/cm 2 ) δ: 地盤変位 (cm) σcr: 最大地盤拘束力 (N/cm 2 ) δ: 最大地盤拘束力を与える地盤変位 (=.3 Hp cm) Hp: 導管中心までの深さ (=Hp+D/2 cm) Hp: 土被り (=15 cm) D: 管の外径 (cm) 地盤拘束力 σ (N/cm 2 ) 5 σcr 4 3 2 1 δ 1 2 3 4 5 6 相対変位 δ (cm) 図 6.4 管軸直角方向の地盤拘束力 (SGP1A) 6-3

2.4 解析ケース部分解析モデルによる長柱座屈解析のケースを表 6.3 に示す 表 6.3 長柱座屈解析のケース ケース 管種 呼び径 外径管厚降伏応力引張強さ引張特性 (mm) (mm) (MPa) (MPa) 1 SGP 5A 6.5 3.8 RH 型 174 29 2 SGP 8A 89.1 4.2 RH 型 174 29 3 SGP 1A 114.3 4.5 RH 型 174 29 4 STPG37 1A 114.3 6. RH 型 215 37 5 SGP 5A 6.5 3.8 LE 型 174 29 6 SGP 8A 89.1 4.2 LE 型 174 29 7 SGP 1A 114.3 4.5 LE 型 174 29 8 STPG37 1A 114.3 6. LE 型 215 37 3. 解析結果 3.1 解析結果の処理部分解析モデルによる解析結果について 以下の定義にしたがってデータを整理した (1) 軸圧縮荷重軸圧縮荷重は 部分解析モデルの強制変位点における反力を用いた (2) 公称応力公称応力は 軸圧縮荷重を管の公称断面積で除した値とした (3) 公称ひずみ長柱座屈部を中心とした 5m の区間における平均軸ひずみを公称ひずみとみなし 5m 区間の収縮変位をゲージ長 5m で除した値を用いた (4)2D 平均圧縮ひずみ図 6.5 のように長柱座屈部を中心とした長さ 2D( 外径の 2 倍 ) の区間における 圧縮側 ( 曲がった管の曲率中心側 ) の軸方向圧縮ひずみの平均値を 2D 平均圧縮ひずみε2DC とした 1D 1D ε 2DC 図 6.5 2D 平均圧縮ひずみ 6-4

(5) 曲げモーメント曲げモーメントは 図 6.6 に示す長柱座屈部の断面 S において 軸方向応力によるモーメントを積分して求めた 2π M = σ( θ) z( θ) r( θ) tdθ (6.3) ここで M : 断面 S の曲げモーメント θ : 断面 S 内の角度 σ(θ): 角度 θ の位置での軸方向応力 z(θ): 角度 θ の位置での中立軸からの z 方向距離 r(θ): 角度 θ の位置での半径 ( 管厚中心 ) t : 管厚 z σl(>) z r 微小面積 r(θ) t dθ θ y M y M σl(<) 断面 S 図 6.6 曲げモーメントの計算 断面 S (6) 長柱座屈開始点 局部座屈開始点及び長柱座屈開始ひずみ図 6.7 に示す公称応力と公称ひずみの関係及び曲げモーメントと公称ひずみの関係から 公称応力が最大となる点を長柱座屈開始点 曲げモーメントが最大となる点を局部座屈開始点とした また 長柱座屈開始点における公称ひずみを長柱座屈開始ひずみεcr1 とした σ n, M 長柱座屈開始点局部座屈開始点 長柱座屈開始ひずみ ε cr1 図 6.7 長柱座屈開始点 局部座屈開始点及び長柱座屈開始ひずみ σ n M ε n 6-5

(7) 局部座屈開始ひずみ図 6.8 に示す公称応力と 2D 平均圧縮ひずみの関係及び曲げモーメントと 2D 平均圧縮ひずみの関係から 曲げモーメントが最大となる局部座屈開始点における 2D 平均圧縮ひずみを 局部座屈開始ひずみ εcr2 とした σ n, M 長柱座屈開始点局部座屈開始点 σ n M ε 2DC 局部座屈開始ひずみ ε cr2 図 6.8 局部座屈開始ひずみ 6-6

3.2 解析結果図 6.9 に RH 型材料に対する公称応力と公称ひずみ及び公称応力と2D 平均圧縮ひずみの関係を 図 6.1 に LE 型材料に対する公称応力と公称ひずみ及び公称応力と2D 平均圧縮ひずみの関係を示す また 表 6.4 に解析結果から得られる長柱座屈開始ひずみと局部座屈開始ひずみを示す 表 6.4 長柱座屈解析結果 ケース管種呼び径 外径 (mm) 管厚 (mm) 引張特性 長柱座屈開始ひずみ εcr1 (%) 局部座屈開始ひずみ εcr2 (%) 1 SGP 5A 6.5 3.8 RH 型.64 8.85 2 SGP 8A 89.1 4.2 RH 型 1.29 6.99 3 SGP 1A 114.3 4.5 RH 型 2.29 7.4 4 STPG37 1A 114.3 6. RH 型.96 7.63 5 SGP 5A 6.5 3.8 LE 型.19 8.75 6 SGP 8A 89.1 4.2 LE 型.28 7.54 7 SGP 1A 114.3 4.5 LE 型.31 6.48 8 STPG37 1A 114.3 6. LE 型.31 8.48 6-7

4 SGP 5A(RH 型 ) 4 SGP 5A(RH 型 ) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.64, 19) (1.13, 141) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (1.28, 19) (8.85, 141) 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 4 SGP 8A(RH 型 ) 4 SGP 8A(RH 型 ) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (1.29, 28) (1.65, 19) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (2.23, 28) (6.99, 19) 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 4 SGP 1A(RH 型 ) 4 SGP 1A(RH 型 ) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (2.29, 227) (2.6, 216) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (3.53, 227) (7.4, 216) 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 4 STPG37 1A(RH 型 ) 4 STPG37 1A(RH 型 ) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.96, 245) (1.54, 24) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (1.85, 245) (7.63, 24) 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) 図 6.9 公称応力と公称ひずみ 公称応力と 2D 平均圧縮ひずみの関係 ( ケース1~4:RH 型材料 ) 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 6-8

4 SGP 5A(LE 型 ) 4 SGP 5A(LE 型 ) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.19, 171) (1.1, 114) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.52, 171) (8.75, 114) 4 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) SGP 8A(LE 型 ) 4 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) SGP 8A(LE 型 ) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.28, 174) (1.15, 151) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.44, 174) (7.54, 151) 4 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) SGP 1A(LE 型 ) 4 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) SGP 1A(LE 型 ) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.31, 174) (1.48, 167) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.42, 174) (6.48, 167) 4 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) STPG37 1A(LE 型 ) 4 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) STPG37 1A(LE 型 ) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.31, 215) (1.42, 159) 公称応力 σn (MPa) 3 2 1 (.54, 215) (8.48, 159) 1 2 3 4 5 公称ひずみ ε n (%) 図 6.1 公称応力と公称ひずみ 公称応力と 2D 平均圧縮ひずみの関係 ( ケース5~8:LE 型材料 ) 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 6-9

4. 長柱座屈開始判定 4.1 判定方法部分解析モデルによる長柱座屈解析において 長柱座屈の開始前 すなわち長柱座屈開始点以前での管の変形は単純軸圧縮変形であり 解析で得られる公称ひずみは 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) で求められる管ひずみと同一とみなすことができる 長柱座屈開始判定では 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) のレベル2 地震動で生じる管ひずみが部分解析モデルにより求めた長柱座屈開始ひずみ以上の場合には 長柱座屈が開始するものと判定した 図 6.11 に一様地盤における SGP5A(LE 型 ) の例を示す 地盤固有周期.55sec~2.sec では管ひずみが長柱座屈開始ひずみ以上となるので 長柱座屈が開始すると判定される 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) では管が降伏した場合 管ひずみは地盤ひずみと等しくなり 地盤ひずみを超えることはない したがって 長柱座屈開始ひずみが地盤ひずみの最大値を上回っている場合には 管ひずみが長柱座屈開始ひずみに達することは無く レベル2 地震動では長柱座屈が開始しない 1. 長柱座屈開始ひずみ 管ひずみ 地盤ひずみ 地盤ひずみ ε G (%).1 長柱座屈開始ひずみ.1 管ひずみ (SGP 5A) 長柱座屈が開始する地盤固有周期の範囲.1.55s 2.s 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 図 6.11 一様地盤における SGP 5A(LE 型 ) の長柱座屈判定例 6-1

4.2 長柱座屈開始判定結果 ( 一様地盤 ) 一様地盤における各管種 口径について 長柱座屈開始判定を行った結果を表 6.5 に示す また 各ケースの長柱座屈開始判定図を図 6.12 図 6.13 に示す RH 型の引張特性では いずれの地盤固有周期でも長柱座屈が開始しないことが確認された 表 6.5 長柱座屈開始判定結果 ( 一様地盤 ) 外径管厚ケース管種呼び径引張特性 (mm) (mm) 長柱座屈 長柱座屈が開始する 開始ひずみ 地盤固有周期の範囲 εcr1 (%) TG (sec) 1 SGP 5A 6.5 3.8 RH 型.64 開始しない 2 SGP 8A 89.1 4.2 RH 型 1.29 開始しない 3 SGP 1A 114.3 4.5 RH 型 2.29 開始しない 4 STPG37 1A 114.3 6. RH 型.96 開始しない 5 SGP 5A 6.5 3.8 LE 型.19.55 ~ 2. 6 SGP 8A 89.1 4.2 LE 型.28.59 ~ 1.2 7 SGP 1A 114.3 4.5 LE 型.31.61 ~ 1. 8 STPG37 1A 114.3 6. LE 型.31.81 ~ 1. 4.3 長柱座屈開始判定結果 ( 浅層不整形地盤 ) 浅層不整形地盤における各管種 口径について 長柱座屈開始判定を行った結果を表 6.6 に示す また 各ケースの長柱座屈開始判定図を図 6.14 図 6.15 に示す RH 型の引張特性では いずれの地盤固有周期でも長柱座屈が開始しないことが確認された 表 6.6 長柱座屈判定結果 ( 浅層不整形地盤 ) 外径管厚ケース管種呼び径引張特性 (mm) (mm) 長柱座屈 長柱座屈が開始する 開始ひずみ 地盤固有周期の範囲 εcr1 (%) TG (sec) 1 SGP 5A 6.5 3.8 RH 型.64 開始しない 2 SGP 8A 89.1 4.2 RH 型 1.29 開始しない 3 SGP 1A 114.3 4.5 RH 型 2.29 開始しない 4 STPG37 1A 114.3 6. RH 型.96 開始しない 5 SGP 5A 6.5 3.8 LE 型.19.55 以上 6 SGP 8A 89.1 4.2 LE 型.28.59 以上 7 SGP 1A 114.3 4.5 LE 型.31.61 以上 8 STPG37 1A 114.3 6. LE 型.31.81 以上 6-11

1. 1. SGP 5A(RH 型 ) SGP 8A(RH 型 ) 地盤ひずみ ε G (%) 1..1 地盤ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 地盤ひずみ ε G (%) 1..1 地盤ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 管ひずみ 管ひずみ.1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec).1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 1. 1. SGP 1A(RH 型 ) STPG37 1A(RH 型 ) 長柱座屈開始ひずみ 地盤ひずみ ε G (%) 1..1 地盤ひずみ 地盤ひずみ ε G (%) 1..1 地盤ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 管ひずみ 管ひずみ.1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec).1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 図 6.12 長柱座屈開始判定図 ( 一様地盤 RH 型 ) 6-12

1. 1. SGP 5A(LE 型 ) SGP 8A(LE 型 ) 地盤ひずみ ε G (%).1 地盤ひずみ 管ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 地盤ひずみ ε G (%).1 地盤ひずみ 管ひずみ 長柱座屈開始ひずみ.1.1.55s 2.s.59s 1.2s.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec).1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 1. 1. SGP 1A(LE 型 ) STPG37 1A(LE 型 ) 長柱座屈開始ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 地盤ひずみ ε G (%).1 地盤ひずみ 地盤ひずみ ε G (%).1 地盤ひずみ 管ひずみ 管ひずみ.1.1.61s 1.s.81s 1.s.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec).1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 図 6.13 長柱座屈開始判定図 ( 一様地盤 LE 型 ) 6-13

1. 1. SGP 5A(RH 型 ) SGP 8A(RH 型 ) 地盤ひずみ ε G (%) 1..1 地盤ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 地盤ひずみ ε G (%) 1..1 地盤ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 管ひずみ 管ひずみ.1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec).1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 1. 1. SGP 1A(RH 型 ) STPG37 1A(RH 型 ) 長柱座屈開始ひずみ 地盤ひずみ ε G (%) 1..1 地盤ひずみ 地盤ひずみ ε G (%) 1..1 地盤ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 管ひずみ 管ひずみ.1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec).1.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 図 6.14 長柱座屈開始判定図 ( 浅層不整形地盤 RH 型 ) 6-14

1. 1. SGP 5A(LE 型 ) SGP 8A(LE 型 ) 地盤ひずみ 地盤ひずみ 地盤ひずみ ε G (%).1 管ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 地盤ひずみ ε G (%).1 管ひずみ 長柱座屈開始ひずみ.1.1.55s.59s.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec).1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 1. 地盤ひずみ 1. SGP 1A(LE 型 ) STPG37 1A(LE 型 ) 地盤ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 長柱座屈開始ひずみ 地盤ひずみ ε G (%).1 地盤ひずみ ε G (%).1 管ひずみ 管ひずみ.1.1.61s.81s.1 1 1 地盤固有周期 T G (sec).1 1 1 地盤固有周期 T G (sec) 図 6.15 長柱座屈開始判定図 ( 浅層不整形地盤 LE 型 ) 6-15

5. まとめ部分解析モデルを用いた有限要素解析を行い 小口径管の長柱座屈開始ひずみ及び局部座屈開始ひずみを求めた RH 型の引張特性を有する管は いずれのケースも長柱座屈開始ひずみが 高圧ガス導管耐震設計指針 のレベル2 地震動で生じる管ひずみの最大値よりも大きく 長柱座屈は開始しない LE 型の引張特性を有する管は いずれのケースも長柱座屈開始ひずみが 高圧ガス導管耐震設計指針 のレベル2 地震動で生じる管ひずみの最大値よりも小さく 地盤条件により長柱座屈が開始する可能性がある 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) で求められるレベル2 地震動で生じる管ひずみと 長柱座屈開始ひずみを比較することで長柱座屈開始判定を行い 長柱座屈が開始する可能性のある地盤固有周期の範囲を示した 6-16

資料 -7 局部座屈開始判定 1. 概要長柱座屈開始後の変形状態を求める非線形解法として 長柱座屈部の変形特性を線形とした解析モデルで繰返し計算を行う方法を示し 得られた結果から管が長柱座屈開始後に局部座屈開始に到るか否かを判定した 2. 解析方法長柱座屈開始後 長柱座屈部は軸直角方向への曲げ変形の増加に従って 長柱座屈部の軸力に対する強度が低下し より変形しやすくなる この時 周辺の管に蓄積された圧縮ひずみエネルギーが 強度の低下した長柱座屈部へと解放され その結果 長柱座屈部の変形が急激に進行する しかし ある程度変形が進めば周辺の管に蓄積された圧縮ひずみエネルギーが解放され 変形は停止する このような変形停止状態を求める上で 例えば 資料 -6 の部分解析モデルで得られた長柱座屈部の変形特性(P -δ 特性 ) を有する要素 ( 以下 長柱座屈要素 ) を 図 7.1 のように地震波 1 波長の中央に配置したモデルでは 資料 -4 の全体解析モデルと同様に長柱座屈要素がピーク荷重を超えた後 計算が収束せず解が得られないことがほとんどである 地震波 長柱座屈部 P P P P 部分解析モデル 地震波 P 長柱座屈開始 δ 長柱座屈部のP-δ 特性 地震波 長柱座屈要素 (P-δ 特性 ) 図 7.1 長柱座屈部の変形特性と 長柱座屈要素を用いた全体解析モデル 7-1

そこで図 7.2 のように長柱座屈要素の特性を 負の勾配を有する非線形 P-δ 特性の代わりに線形で置き換えた解析モデルを用いて 長柱座屈要素 ( 線形 ) の弾性係数をパラメータとした係数低減法を実施することで 変形状態 ( 長柱座屈要素の軸圧縮荷重と収縮量 ) が本来のP-δ 特性と一致する条件を探索する方法を用いた 地震波 長柱座屈要素 ( 線形 ) 図 7.2 長柱座屈要素を線形特性としたモデル 図 7.3 に示すように 長柱座屈要素 ( 線形 ) の弾性係数として長柱座屈開始点である1の割線係数を用いて解析した結果が 部分解析モデルのP-δ 特性の内側に入る場合には長柱座屈は開始しない 1 でP-δ 特性の外側となる場合には長柱座屈が開始するので 長柱座屈要素 ( 線形 ) の弾性係数として より変形が進行した状態 ( 例えば2) の割線係数を与えて解析を行い P-δ 特性と交わるかを確認する このように 弾性係数を調整しながらP-δ 特性との交点を求める このP-δ 特性との交点が長柱座屈変形の停止点となる 局部座屈開始判定では この変形停止点での管ひずみ (2D 平均圧縮ひずみ ) が許容ひずみの 3% を超えるか否かを判定した 1 2 3 4 P-δ 特性との交点で 変形が停止 荷重 P 係数低減法による解析結果の軌跡 部分解析モデル P-δ 特性 長柱座屈要素の収縮量 δ 図 7.3 長柱座屈開始後の変形停止点の探索 7-2

3. 解析条件 3.1 解析モデル解析モデルを図 7.4 に示す 長柱座屈が開始する地震波 1 波長の鋼管の中央に 5m の長柱座屈要素 ( 線形 ) を配置した 鋼管の管軸方向及び管軸直角方向を地盤ばねで支持し その端部に地震波の地盤変位を作用させた 長柱座屈要素 ( 線形 )5m 地震波 地震波の 1 波長 地盤変位 図 7.4 解析モデル 表 7.1 局部座屈開始判定の解析条件 項目 解析条件 備考 要素モデル 直管部 ( 長柱座屈要素含む ): パイプ要素地盤ばね : トラス要素 管材料特性 長柱座屈要素 : 線形弾性モデルそれ以外の直管 : 弾塑性多直線モデル 地盤拘束力特性 弾塑性バイリニアモデル 管軸方向 管軸直角方向に適用 外力 強制変位 ( 地盤変位 ) 地盤ばね端部に負荷 3.2 管の材料特性詳細は 資料 -1 に示す 3.2.1 降伏応力及び引張強さ表 7.2 に各管種の降伏応力及び引張強さを示す 表 7.2 各管種の降伏応力と引張強さ 管種 降伏応力 (MPa) 引張強さ (MPa) SGP 174 29 STPG37 215 37 7-3

3.2.2 引張特性 (1) 鋼管 ( 長柱座屈要素を除く ) RH 型材料では長柱座屈が開始しないことから 引張特性は図 7.5 に示す LE 型のみを用いた 4 応力 σ (MPa) 3 2 174 215 降伏棚終点 STPG37 1 1 2 3 4 5 ひずみ ε (%) 図 7.5 LE 型材料の引張特性 (2) 長柱座屈要素弾性材料モデルを用いた 使用する弾性係数は 部分解析モデルで得られた P-δ 特性の割線係数で与え 解析結果が P-δ 特性と交差するように逐次調整した E =σcr1/εcr1 E =σcr2/εcr2 荷重 P SGP 部分解析モデル P-δ 特性長柱座屈要素の収縮量 δ 図 7.6 割線係数 7-4

3.3 地盤拘束力特性 (1) 管軸方向の地盤拘束力特性管軸方向の地盤拘束力特性は 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) に示されている管軸方向の地盤拘束力を用いた 図 7.7 に管軸方向の地盤拘束力特性を示す τcr 地盤拘束力 τ 1 k1 相対変位 δ τcr: 限界せん断応力 (=1.5 (Hpo/1.8)N/cm 2 ) Hpo: 土被り (=1.5 m) k1: 地盤ばね係数 (=6. N/cm 3 ) 図 7.7 管軸方向の地盤拘束力特性 (2) 管軸直角方向の地盤拘束力特性管軸直角方向の地盤拘束力特性は 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) に示されている管軸直角方向の地盤拘束力 ( バイリニア近似 ) を用いた 管軸直角方向の地盤拘束力特性を図 7.8 に示す 地盤拘束力 σ σcr k2 1 δcr 相対変位 δ σcr: 最大地盤拘束力 (N/cm 2 ) δcr: 降伏変位 (=.3 Hp.46 cm) Hp: 導管中心までの深さ (=15+D/2 cm) D: 導管の外径 (cm) 図 7.8 管軸直角方向の地盤拘束力特性 7-5

4. 解析ケース 局部座屈開始判定の解析ケースを表 7.3 表 7.4 に示す 表 7.3 解析ケース ( 一様地盤 ) 部分解析モデルによる解析結果 ケース 管種 呼び径 外径管厚長柱座屈長柱座屈が開始する引張特性 (mm) (mm) 開始ひずみ地盤固有周期の範囲 εcr1 (%) 1 SGP 5A 6.5 3.8 LE 型.19.55 ~ 2. 2 SGP 8A 89.1 4.2 LE 型.28.59 ~ 1.2 3 SGP 1A 114.3 4.5 LE 型.31.61 ~ 1. 4 STPG37 1A 114.3 6. LE 型.31.81 ~ 1. (sec) 表 7.4 解析ケース ( 浅層不整形地盤 ) 部分解析モデルによる解析結果 ケース 管種 呼び径 外径管厚長柱座屈長柱座屈が開始する引張特性 (mm) (mm) 開始ひずみ地盤固有周期の範囲 εcr1 (%) 5 SGP 5A 6.5 3.8 LE 型.19.55 以上 6 SGP 8A 89.1 4.2 LE 型.28.59 以上 7 SGP 1A 114.3 4.5 LE 型.31.61 以上 8 STPG37 1A 114.3 6. LE 型.31.81 以上 (sec) 7-6

5. 局部座屈開始判定手順 局部座屈開始判定の基本フローを図 7.9 に示す 開始 初期値の設定地盤固有周期 TG= 長柱座屈が開始する地盤固有周期 ( 表 7.3 表 7.4) の下限値 1 条件設定長柱座屈要素の弾性係数 E = 長柱座屈開始点の割線係数 (1 回目 ) (*1) レベル 2 地震動波長 Lw 最大地盤変位 Uh の計算 解析モデルの作成 解析実行 長柱座屈要素の公称応力を計算 σn 1 回目 2 回目以降 σcr1= 長柱座屈開始点の公称応力 σp=e が割線係数となる座屈部の公称応力 σn σcr1 N σn =σp N Y E を局部座屈開始点の割線係数に設定し (*2) 2 回目実行 この TG では 局部座屈は開始しない Y 変形停止点 管ひずみ ε2dc の計算 (*4) E を変更して再解析 (*3) σn >σp E を減少 σn <σp E を増加 局部座屈開始判定 (εcr2: 局部座屈開始ひずみ ) ε2dc 3% : 管ひずみは許容ひずみ以下 3%<ε2DC<εcr2 : 管ひずみは許容ひずみを超過 εcr2 ε2dc : 局部座屈が開始 TG を増加 (+.1sec) TG が長柱座屈開始範囲内 N Y 局部座屈開始判定図の作成 (*5) 1 終了 図 7.9 局部座屈開始判定の基本フロー 7-7

基本フローの補足説明 (*1) 1 回目の計算では長柱座屈要素の弾性係数 E を 長柱座屈開始点での割線係数とする 図 7.1 のように長柱座屈開始点での割線係数 E は 長柱座屈開始点の公称応力と公称ひずみより E =σcr1/εcr1 で求められる (*2) 2 回目の計算では長柱座屈要素の弾性係数 E を 局部座屈開始点での割線係数とする 図 7.11 のように局部座屈開始点での割線係数 E は 局部座屈開始点の公称応力と公称ひずみより E =σcr2/εcr2 で求められる (*3) 3 回目以降の計算では長柱座屈要素の弾性係数 E を 公称応力と公称ひずみの関係における任意の点 (σp, εp) での割線係数とする 図 7.12 のように割線係数 E は E =σp/εp で求められる (*4) 局部座屈開始判定に用いる 2D 平均圧縮ひずみε2DC の値は 図 7.13 のように部分解析モデルの解析結果 ( 資料 -6) で得られる公称応力と 2D 平均圧縮ひずみの関係から求める 4 4 E =σcr1/εcr1 公称応力 σn (MPa) 3 2 σ cr1 1 長柱座屈開始点 局部座屈開始点 公称応力 σn (MPa) 3 2 σ cr2 1 長柱座屈開始点 E =σcr2/εcr2 局部座屈開始点 ε cr1 1 2 3 公称ひずみ ε n (%) 図 7.1 長柱座屈開始点の割線係数 E 図 7.11 局部座屈開始点の割線係数 E ε cr2 1 2 3 公称ひずみ ε n (%) 4 4 公称応力 σn (MPa) 3 2 σ p 1 長柱座屈開始点 E =σp/εp 局部座屈開始点 公称応力 σn (MPa) 3 2 σ p 1 長柱座屈開始点 局部座屈開始点 ε p 1 2 3 公称ひずみ ε n (%) ε 2DC 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 図 7.12 任意の点での割線係数 E 図 7.13 ε2dc 値の計算 7-8

(*5) 局部座屈開始判定図図 7.14 のように縦軸に座屈部の管ひずみ (2D 平均圧縮ひずみ ) 横軸に地盤固有周期をとり 図 7.9 のフローにしたがって計算を行った結果をプロットする 座屈部の管ひずみが局部座屈開始ひずみに達していなくても 許容ひずみの 3% を超える場合は局部座屈開始と安全側に判定し 局部座屈開始と判定される地盤固有周期の範囲を求める 座屈部の管ひずみ ε2dc εcr2 3% 局部座屈開始範囲 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 地盤固有周期 TG 図 7.14 局部座屈開始判定図 ( 座屈部の管ひずみと地盤固有周期の関係 ) 7-9

6. 局部座屈開始判定結果 6.1 一様地盤の場合一様地盤における局部座屈開始判定の結果を表 7.5 に示す また 図 7.15 に局部座屈開始判定図を示す 座屈部の管ひずみが局部座屈開始ひずみに達していなくても 許容ひずみの 3% を超える場合は局部座屈開始と安全側に判定した 表 7.5 局部座屈開始判定結果 ( 一様地盤 ) ケース 管種 呼び径 長柱座屈開始後の管ひずみε2DC 外径管厚許容ひずみ引張特性が許容ひずみを超える (mm) (mm) (%) 地盤固有周期 (sec) 1 SGP 5A 6.5 3.8 LE 型 3..7 ~ 1.8 2 SGP 8A 89.1 4.2 LE 型 3..8 ~ 1.1 3 SGP 1A 114.3 4.5 LE 型 3..8 ~.9 4 STPG37 1A 114.3 6. LE 型 3..9 ~ 1. 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 1 8 6 4 2 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 3%.7s~1.8s 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 1 8 6 4 2.8s ~1.1s 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 3%.5 1. 1.5 2. 地盤固有周期 T G (sec) SGP 5A.5 1. 1.5 2. 地盤固有周期 T G (sec) SGP 8A 1 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 8 6 4 2.8s ~.9s 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 3% 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 8 6 4 2.9s ~1.s 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 3%.5 1. 1.5 2. 地盤固有周期 T G (sec) SGP 1A.5 1. 1.5 2. 地盤固有周期 T G (sec) STPG37 1A 図 7.15 局部座屈開始判定図 ( 一様地盤 ) 7-1

6.2 浅層不整形地盤の場合浅層不整形地盤における局部座屈開始判定の結果を表 7.6 に示す また 図 7.16 に局部座屈開始判定図を示す 座屈部の管ひずみが局部座屈開始ひずみに達していなくても 許容ひずみの 3% を超える場合は局部座屈開始と安全側に判定した 表 7.6 局部座屈開始判定結果 ( 浅層不整形地盤 ) ケース 管種 呼び径 長柱座屈開始後の管ひずみε2DC 外径管厚許容ひずみ引張特性が許容ひずみを超える (mm) (mm) (%) 地盤固有周期 (sec) 5 SGP 5A 6.5 3.8 LE 型 3..7 以上 6 SGP 8A 89.1 4.2 LE 型 3..8 ~ 2. 7 SGP 1A 114.3 4.5 LE 型 3..8 ~ 1.4 8 STPG37 1A 114.3 6. LE 型 3..9 ~ 1.8 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 1 8 6 4 2.7s ~ 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 3% 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 1 8 6 4 2 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 3%.8s~2.s.5 1. 1.5 2. 地盤固有周期 T G (sec) SGP 5A.5 1. 1.5 2. 2.5 地盤固有周期 T G (sec) SGP 8A 1 1 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 8 6 4 2.8s~1.4s 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 3% 2D 平均圧縮ひずみ ε 2DC (%) 8 6 4 2 局部座屈開始ひずみ 許容ひずみ 3%.9s~1.8s.5 1. 1.5 2. 地盤固有周期 T G (sec) SGP 1A.5 1. 1.5 2. 地盤固有周期 T G (sec) STPG37 1A 図 7.16 局部座屈開始判定図 ( 浅層不整形地盤 ) 7-11

7. 長柱座屈及び局部座屈判定結果の整理 LE 型の引張特性を対象に 資料 -6 の長柱座屈判定の結果及び前項の局部座屈判定の結果を 一様地盤と浅層不整形地盤それぞれについて整理し 表 7.7 及び表 7.8 に示す 管種 表 7.7 長柱座屈及び局部座屈の判定結果 (LE 型引張特性 一様地盤 ) 外径管厚地盤固有周期 TG (sec) 呼び径 (mm) (mm).5.6.7.8.9 1. 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2. 2.1 2.2 5A 6.5 3.8 SGP 8A 89.1 4.2 1A 114.3 4.5 STPG37 1A 114.3 6..55.7 1.8 2..59.61.8.9 1..81.8 1.1.9 1. 1.2 管種 表 7.8 長柱座屈及び局部座屈の判定結果 (LE 型引張特性 浅層不整形地盤 ) 外径管厚地盤固有周期 TG (sec) 呼び径 (mm) (mm).5.6.7.8.9 1. 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2. 2.1 2.2 5A 6.5 3.8 SGP 8A 89.1 4.2 1A 114.3 4.5 STPG37 1A 114.3 6..55.7.59.61.8.8 2..81.9 1.8 1.4 凡例 長柱座屈は開始しない 長柱座屈は開始するが 座屈部の管ひずみは許容ひずみの 3% 以下となる 長柱座屈の開始後 座屈部の管ひずみが許容ひずみの 3% を超える 8. まとめ長柱座屈開始後の座屈部の変形状態を 長柱座屈部の変形特性を線形とした解析モデルで繰返し計算を行って求める解析方法を示した この解析方法で得られた変形状態での管ひずみと許容ひずみを比較することで局部座屈開始判定を行い 管ひずみが許容ひずみを超える地盤固有周期の範囲を示した 7-12

資料 -8 長柱座屈及び局部座屈が開始しない直線長 1. 概要 直線区間が短い場合は長柱座屈又は局部座屈が開始しないと考えられることから 長柱座屈及び局部座屈が開始しない直線長の上限値を求める方法を示す 2. 座屈防止のための直線長 2.1 長柱座屈が開始しない直線長地震波により管に軸圧縮力が生じて その力が限界値を超えると長柱座屈が開始するが この軸圧縮力は主に直線区間における管と地盤間の摩擦力によるものである したがって 直線長が短い場合は管に発生する軸圧縮力が小さくなり 長柱座屈が開始しないと考えられる 直線区間が地震波の1 波長よりも長い場合は 図 8.1 のように地盤変位 =となる地震波の節の点で検討範囲を区切ることができ ガイドライン 5.7.1 に示す長柱座屈開始判定が行われる すなわち 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) で求められる管ひずみが 長柱座屈開始ひずみεcr1 以上の場合には長柱座屈が開始すると判定する 鋼管 地震波の 1 波長 地震波 地震波 管軸直角方向地盤ばね 管軸方向地盤ばね 最大軸圧縮ひずみ 地震波の 1 波長 図 8.1 直線区間が無限長の場合 8-1

図 8.2 のように直線区間が地震波長よりも短い場合 最大軸圧縮力が発生する位置での管ひずみは 直線長だけでなく直線区間の端部形状の影響を受ける 通常 直線区間の端部には曲管等があり その先に別の直線区間がつながっている この曲管等から先の直線区間に作用する荷重の一部が 検討対象の直線区間の管ひずみに影響を及ぼす したがって 直線長の上限値を求めるには 直線長に加えて端部の配管要素も考慮する必要がある 長柱座屈が開始しない直線長は 図 8.3 のように管の最大軸圧縮ひずみと直線長の関係を示した時 管の最大軸圧縮ひずみが長柱座屈開始ひずみεcr1 と等しくなる直線長となる 直線区間が管に降伏ひずみが発生する直線長よりも長い場合は 管が降伏し最大軸圧縮ひずみはレベル2 地震動の地盤ひずみと等しくなる 長柱座屈が開始するケースでは ほとんどの場合この時に管ひずみが長柱座屈開始ひずみを超えるため 長柱座屈が開始しない直線長 Lbcr は管の最大軸圧縮ひずみが降伏ひずみと等しくなる直線長となる 地震波 最大軸圧縮ひずみ 地盤変位 直線区間 図 8.2 直線区間が短い場合 (9 曲管の例 ) 最大軸圧縮ひずみ εcr1 εy Lbcr 直線長 地震波長 レベル 2 地震動の地盤ひずみ 無限長 図 8.3 管の最大軸圧縮ひずみと直線長の関係 8-2

2.2 局部座屈が開始しない直線長長柱座屈が開始した場合 その後の長柱座屈変形の程度は 周辺の管に蓄積された圧縮ひずみエネルギーの大小によって異なる 同じ管 同じ地盤であれば直線長が短いほど圧縮ひずみエネルギーの蓄積は少なく 局部座屈開始に到る可能性は低くなる 局部座屈が開始しない直線長は 長柱座屈開始後の管ひずみが許容ひずみの 3% を超える場合と 3% 以下で変形が停止する場合の境界となる直線長と定める 図 8.4 のように地震波長よりも短い直線区間について局部座屈開始判定 ( 資料 -7) で用いた長柱座屈要素 ( 線形 ) を地震波の節に配置した解析モデルを用いて 直線長をパラメータとした繰返し計算を行い 座屈部の管ひずみが許容ひずみの 3% と等しい状態で変形が停止する直線長を求め これを局部座屈が開始しない直線長 Llcr とした なお 長柱座屈が開始しない直線長と同様 直線区間端部の配管形状は長柱座屈部の変形量に影響を及ぼすため 端部の配管要素を考慮した 地震波 長柱座屈要素 ( 線形 ) 地盤変位 直線区間 図 8.4 直線区間が短い場合 (9 曲管の例 ) 局部座屈が開始しない直線長より長い 長柱座屈要素の引張特性 管ひずみ ε2dc=3% で変形停止 ( この時の直線長を局部座屈が開始しない直線長 Llcr とする ) 荷重 P 局部座屈が開始しない直線長より短い 部分解析モデル P-δ 特性 長柱座屈要素の収縮量 δ 図 8.5 局部座屈が開始しない直線長の探索 8-3

3. 解析条件 3.1 解析モデル (1) 端部が 9 度曲管の場合解析モデルは図 8.6 に示す直線区間に 曲管とその先の直線配管を組み合わせたモデルとした 管は管軸方向及び管軸直角方向の地盤ばねで支持した 曲管から先の直線配管の長さは 地盤変位による変形が十分減衰する長さとし 目安としては曲げモーメントがとなる長さπ/β(β=(kD/4EI) 1/4 ) 以上とした なお 局部座屈が開始しない直線長を求める際には 地震波の節を中心とした 5m 区間を線形の長柱座屈要素に置き換えたモデルを用いた 地盤変位 地震波 最大軸圧縮ひずみ 直線区間 地震波長 図 8.6 解析モデル (9 曲管 ) (2)9 度以浅の曲管 伏せ越し配管の場合解析モデルは図 8.7 に示す直線区間に 曲管又は伏せ越し配管とその先の直線配管を組み合わせたモデルとした 曲管又は伏せ越し配管から先の直線配管は 地盤変位 =となる長さまでモデル化し その端部の境界条件は座屈部に対して安全側となるよう管軸方向のみフリーとした 管は管軸方向及び管軸直角方向の地盤ばねで支持した なお 局部座屈が開始しない直線長を求める際には 地震波の節を中心とした 5m 区間を線形の長柱座屈要素に置き換えたモデルを用いた 地盤変位 地震波 最大軸圧縮ひずみ 直線区間 地震波長 図 8.7 解析モデル (9 以浅の曲管 ) 8-4

表 8.1 座屈防止のための直線長を求める解析モデルの解析条件 項目 解析条件 備考 要素モデル 直管部 ( 長柱座屈要素含む ): パイプ要素地盤ばね : トラス要素 管材料特性 長柱座屈要素 : 線形弾性モデルその他の直管 : 弾塑性多直線モデル 地盤拘束力特性 弾塑性バイリニアモデル 管軸方向 管軸直角方向に適用 外力 強制変位 ( 地盤変位 ) 地盤ばね端部に負荷 3.2 管の材料特性詳細は 資料 -1 に示す 3.2.1 降伏応力及び引張強さ表 8.2 に各管種の降伏応力及び引張強さを示す 表 8.2 各管種の降伏応力と引張強さ 管種 降伏応力 (MPa) 引張強さ (MPa) SGP 174 29 STPG37 215 37 3.2.2 引張特性 (1) 鋼管 ( 長柱座屈要素を除く ) RH 型材料では長柱座屈が開始しないことから 引張特性は図 8.8 に示す LE 型のみを用いた 4 応力 σ (MPa) 3 2 174 215 降伏棚終点 STPG37 SGP 1 1 2 3 4 5 ひずみ ε (%) 図 8.8 LE 型材料の引張特性 8-5

(2) 長柱座屈要素局部座屈が開始しない直線長を求める際に使用する長柱座屈要素には 弾性材料モデルを用いた 弾性係数は部分解析モデルで得られた P-δ 特性の割線係数で与え 図 8.9 に示す管ひずみε2DC が許容ひずみ 3% となる点の割線係数及び参考として局部座屈開始点の割線係数を設定した 長柱座屈開始点 ε2dc=3% 点 荷重 P 局部座屈開始点 長柱座屈要素の引張特性 部分解析モデル P-δ 特性 長柱座屈要素の収縮量 δ 図 8.9 長柱座屈要素の引張特性 3.3 地盤拘束力特性 (1) 管軸方向の地盤拘束力特性管軸方向の地盤拘束力特性は 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) に示されている管軸方向の地盤拘束力を用いた 図 8.1 に管軸方向の地盤拘束力特性を示す τcr 地盤拘束力 τ k1 1 相対変位 δ τcr: 限界せん断応力 (=1.5 (Hpo/1.8)N/cm 2 ) Hpo: 土被り (=1.5 m) k1: 地盤ばね係数 (=6. N/cm 3 ) 図 8.1 管軸方向の地盤拘束力特性 8-6

(2) 管軸直角方向の地盤拘束力特性管軸直角方向の地盤拘束力特性は 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) に示されている管軸直角方向の地盤拘束力 ( バイリニア近似 ) を用いた 管軸直角方向の地盤拘束力特性を図 8.11 に示す σcr 地盤拘束力 σ 1 k2 δcr 相対変位 δ σcr: 最大地盤拘束力 (N/cm 2 ) δcr: 降伏変位 (=.3 Hp.46 cm) Hp: 導管中心までの深さ (=15+D/2 cm) D: 導管の外径 (cm) 図 8.11 管軸直角方向の地盤拘束力特性 8-7

4. 解析手順 4.1 長柱座屈が開始しない直線長の解析手順長柱座屈が開始しない直線長の基本フローを図 8.12 に示す 開始 解析条件の設定 端部配管形状の設定 地盤固有周期 TG = 長柱座屈開始範囲内の任意の地盤固有周期 レベル2 地震動波長 Lw 最大地盤変位 Uh の計算直線長 ( 初期値 )Lp= 任意 又は Lp( 基準長さ : 資料 -9を参照) 解析モデルの作成 解析実行 最大軸圧縮ひずみの計算 εmax 最大軸圧縮ひずみと直線長の関係 最大軸圧縮ひずみ εmax 長柱座屈開始ひずみ εcr1 Lbcr 直線長 Lp 長柱座屈が開始しない直線長 Lbcr が特定できる Y N εmax>εcr1 N Y Lp を減らす Lp を増やす 終了 図 8.12 長柱座屈が開始しない直線長の基本フロー 8-8

4.2 局部座屈が開始しない直線長の解析手順局部座屈が開始しない直線長の基本フローを図 8.13 に示す 開始 解析条件の設定端部配管形状の設定地盤固有周期 TG: 局部座屈開始判定 ( 資料 -7) において 2D 平均圧縮ひずみ ε2dc が最大となる TG を用いる レベル 2 地震動波長 Lw 最大地盤変位 Uh の計算直線長 ( 初期値 )Lp= 任意 又は Lp( 基準長さ : 資料 -9 を参照 ) 長柱座屈要素の弾性係数 E :ε2dc=3% 点での割線係数 解析モデルの作成 解析実行 長柱座屈要素 (5m 区間 ) の収縮量 δ 部分解析モデルでε2DC=3% となる時の 5m 区間の収縮量 δ3% δ=δ3% Y N δ>δ3% N Y Lp を減らす Lp を増やす Lp を局部座屈が開始しない直線長 Llcr とする 終了 図 8.13 局部座屈が開始しない直線長の基本フロー 8-9

5. 座屈防止のための直線長の比較表 8.3 に SGP 8A を対象として 長柱座屈が開始しない直線長と局部座屈が開始しない直線長及び参考として局部座屈開始点で変形が停止する直線長を比較したものを示す これより 長柱座屈が開始しない直線長に対して ε2dc=3% までの長柱座屈変形を許容した局部座屈が開始しない直線長は 3~4m しか増加しないことが確認された また 長柱座屈が開始しない直線長に対して 局部座屈開始点で変形停止する直線長は 6~8m しか増加しないことが確認された したがって本ガイドラインの耐震設計で用いる直線長の上限値には 安全側となる長柱座屈が開始しない直線長を用いた 表 8.3 直線長の比較 (SGP8A) 直線長の基準 直線長 (m) 端部 9 曲管端部 45 曲管 長柱座屈が開始しない 94 73 局部座屈が開始しない 97 77 局部座屈開始点で変形停止 1 81 6. まとめ長柱座屈が開始しない直線長及び局部座屈が開始しない直線長の求め方を示した 両者を比較したところ 長柱座屈が開始しない直線長に対して ε2dc=3% までの長柱座屈変形を許容した局部座屈が開始しない直線長は 3~4m しか増加しないことが確認された したがって本ガイドラインの耐震設計で用いる直線長の上限値には 安全側となる長柱座屈が開始しない直線長を用いた 8-1

資料 -9 直線長の簡易計算式 1. 概要長柱座屈が開始しない直線長に対する直線区間端部の配管要素 ( 曲管 ) の影響及び浅層不整形地盤の影響について検討を行った その結果を整理して長柱座屈が開始しない直線長を簡易に求められる計算式を作成した 2. 前提条件 簡易計算式を作成するための前提条件を表 9.1 に示す 表 9.1 前提条件 項目 条件 備考 管種 SGP STPG37sch4 資料-1 を参照 引張特性 降伏棚型 ( 終点 2%) 資料-1 を参照 降伏応力 規格最小降伏点 資料-1 を参照 土被り 1.5m 長柱座屈開始ひずみ 部分解析モデルで計算 資料-6 を参照 設計地震動 設計地震動 Ⅰ 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 地盤拘束力特性 管軸方向地盤拘束力 ( バイリニア ) 管軸直角方向地盤拘束力 ( バイリニア ) 高圧ガス導管耐震設計指針 (JGA 指 -26-3) 直線長の基準 長柱座屈が開始しない 資料-8 を参照 9-1

3. 直線区間端部の配管要素の影響 直線区間端部の配管要素が 長柱座屈が開始しない直線長に及ぼす影響について検討した 3.1 解析ケース端部配管要素に関する解析ケースを表 9.2 に示す また 解析に用いた伏せ越しの形状を図 9.1 に示す いずれの角度も伏せ越し区間 3m 振り幅.5m とした 表 9.2 端部配管要素の解析ケース ケース 管種 呼び径 端部配管要素 備考 1 SGP 1A 9 伏せ越し 2 9 曲管 3 45 伏せ越し 4 45 曲管 5 22.5 伏せ越し 6 22.5 曲管 地盤変位 地震波 最大軸圧縮ひずみ 直線区間 地震波長 3m 3m 3m 9.5m 45.5m 22.5.5m (a) 9 伏せ越しの形状 (b) 45 伏せ越しの形状 (c) 22.5 伏せ越しの形状 図 9.1 解析モデル ( 伏せ越し配管の例 ) 9-2

3.2 解析結果解析結果を表 9.3 及び図 9.2 に示す 表 9.3 解析結果 ケース 管種 呼び径 端部要素 長柱座屈が開始しない直線長 (m) 1 SGP 1A 9 伏せ越し 17 2 9 曲管 15 3 45 伏せ越し 8 4 45 曲管 78 5 22.5 伏せ越し 58 6 22.5 曲管 4.5 TG=.85s.5 TG=.85s 最大圧縮ひずみ ε max (%).4.3.2.1 長柱座屈開始ひずみ 9 曲管 9 伏せ越し 最大圧縮ひずみ ε max (%).4.3.2.1 長柱座屈開始ひずみ 45 曲管 45 伏せ越し. 5 1 15 2 直線長 L p (m). 5 1 15 2 直線長 L p (m).5 TG=.85s 最大圧縮ひずみ ε max (%).4.3.2.1 22.5 曲管 22.5 伏せ越し 長柱座屈開始ひずみ. 5 1 15 2 直線長 L p (m) 図 9.2 曲管と伏せ越しの長柱座屈が開始しない直線長 9-3

3.3 直線区間の両端で角度が異なる場合 (1) 解析ケースとモデル直線区間の両端に異なる角度の配管要素が接続されている場合について 表 9.4 に示す解析ケースで長柱座屈が開始しない直線長を求めた 解析モデルの例を図 9.3 に示す 表 9.4 解析ケース ケース 管種 呼び径 端部要素 ( 左 ) 端部要素 ( 右 ) 備考 7 SGP 1A 45 曲管 9 曲管 8 SGP 1A 22.5 曲管 9 曲管 地震波 最大圧縮ひずみ 地盤変位 直線区間 地震波長 図 9.3 両端の角度が異なる場合の解析モデル ( ケース 8 の例 ) (2) 解析結果解析結果を表 9.5 表 9.6 及び図 9.4 に示す 9 度と 45 度の組合せは 9 度同士 45 度同士の直線長の平均値となった 9 度と 22.5 度の組合せについても同様に両者の平均値となった 表 9.5 解析結果 (9 度と 45 度の組合せ ) ケース 管種 呼び径 端部要素 ( 左 ) 端部要素 ( 右 ) 長柱座屈が開始しない直線長 (m) 2 SGP 1A 9 曲管 9 曲管 15 7 45 曲管 9 曲管 92 4 45 曲管 45 曲管 78 表 9.6 解析結果 (9 度と 22.5 度の組合せ ) ケース 管種 呼び径 端部要素 ( 左 ) 端部要素 ( 右 ) 長柱座屈が開始しない直線長 (m) 2 SGP 1A 9 曲管 9 曲管 15 8 22.5 曲管 9 曲管 73 6 22.5 曲管 22.5 曲管 4 9-4

最大圧縮ひずみ ε max (%).5.4.3.2.1 45 +45 9 +45 9 +9 TG=.85s 長柱座屈開始ひずみ 最大圧縮ひずみ ε max (%).5.4.3.2.1 22.5 +22.5 9 +22.5 TG=.85s 9 +9 長柱座屈開始ひずみ. 5 1 15 2 直線長 L p (m). 5 1 15 2 直線長 L p (m) 図 9.4 両端の角度が異なる場合の長柱座屈が開始しない直線長 3.4 端部配管要素の影響のまとめ (1) 伏せ越しと単独曲管の長柱座屈が開始しない直線長曲管角度の 9 度と 45 度では 伏せ越しと単独曲管では長柱座屈が開始しない直線長にほとんど差が現れないが 22.5 度では単独曲管の方が伏せ越しより長柱座屈が開始しない直線長が短くなった 全体的に単独曲管の方が安全側の値であった (2) 角度に関する長柱座屈が開始しない直線長の比較長柱座屈が開始しない直線長は 9 度が最も長く 角度が浅くなるほど短くなった (3) 両端の角度が異なる場合の長柱座屈が開始しない直線長それぞれの角度について 両端が同じ角度とした場合に得られる長柱座屈が開始しない直線長の平均値となった 9-5

4. 浅層不整形地盤における長柱座屈が開始しない直線長 浅層不整形地盤における長柱座屈が開始しない直線長を求め 一様地盤と比較した 4.1 解析ケース解析ケースを表 9.7 に示す 解析モデルは図 9.5 に示す両端が 9 度曲管のモデルを用いた 表 9.7 解析ケース ケース 管種 呼び径 端部要素 地盤条件 1 SGP 5A 9 曲管 一様地盤 2 SGP 8A 9 曲管 3 SGP 1A 9 曲管 4 STPG37 1A 9 曲管 5 SGP 5A 9 曲管 浅層不整形地盤 6 SGP 8A 9 曲管 7 SGP 1A 9 曲管 8 STPG37 1A 9 曲管 地震波 ( 浅層不整形地盤 ) 地震波 ( 一様地盤 ) 地盤変位 直線区間 図 9.5 解析モデル ( 両端 9 曲管 ) 9-6

4.2 解析結果一様地盤と浅層不整形地盤で長柱座屈が開始しない直線長を比較した結果を表 9.8 及び図 9.6 に示す 浅層不整形地盤では一様地盤よりも長柱座屈が開始しない直線長が短いがその差は 1m であり 長柱座屈が開始しない直線長の設定では 浅層不整形地盤の値で統一することが安全側となる 表 9.8 一様地盤と浅層不整形地盤での長柱座屈が開始しない直線長の比較 ケース管種 呼び径端部要素 長柱座屈が開始しない直線長 (m) 一様地盤 浅層不整形地盤 1, 5 SGP 5A 9 曲管 85 84 2, 6 SGP 8A 9 曲管 94 93 3, 7 SGP 1A 9 曲管 15 14 4, 8 STPG37 1A 9 曲管 172 171.6.6 最大圧縮ひずみ ε max (%).5.4.3.2.1 浅層不整形地盤 一様地盤 長柱座屈開始ひずみ 最大圧縮ひずみ ε max (%).5.4.3.2.1 浅層不整形地盤 一様地盤 長柱座屈開始ひずみ. Tg=.7s. Tg=.7s 5 1 15 2 直線長 L p (m) 5 1 15 2 直線長 L p (m) SGP 5A SGP 8A.6 Tg=.85s.6 Tg=1.s 最大圧縮ひずみ ε max (%).5.4.3.2.1 長柱座屈開始ひずみ 浅層不整形地盤 一様地盤 最大圧縮ひずみ ε max (%).5.4.3.2.1 長柱座屈開始ひずみ 浅層不整形地盤 一様地盤.. 5 1 15 2 直線長 L p (m) 5 1 15 2 直線長 L p (m) SGP 1A STPG37 1A 図 9.6 一様地盤と浅層不整形地盤の長柱座屈が開始しない直線長の比較 9-7

5. 直線長の簡易計算式 5.1 簡易計算式の構成簡易計算式は 直線区間端部要素の影響を除いた仮定で求めた基準長さに 端部の角度に応じて設定した低減係数を乗じることで 長柱座屈が開始しない直線長が求められる形とした (1) 基準長さ基準長さは 図 9.7 に示す両端フリー ( 端部で縁が切れている状態 ) で埋設された仮想の直線区間の中央に降伏応力が発生する直線区間長さとし 下式により基準長さを求める 1 L p π D τmax = 1 σ y A (9.1) 2 ここで Lp: 基準長さ (m) D : 管の公称外径 (cm) τmax: 管軸方向の限界せん断応力 (N/cm 2 ) σy: 管の降伏応力 (MPa) A : 管の断面積 (cm 2 ) 左辺は 直線区間の片側半分の管表面に作用する地盤の摩擦力であり 単位面積当たりの摩擦力を一定の管軸方向限界せん断応力 τmax と仮定したものである 右辺は管の降伏荷重である これを変形すると 下式となる L p 2 σ y π D τ A = (9.2) max 地震波 限界せん断応力 τmax 圧縮力 = 降伏荷重 直線区間 =Lp 図 9.7 両端フリーの仮想直線モデルによる基準長さ 9-8

(2) 低減係数管種 口径 曲管角度別に 直管端部を単独曲管とした解析で得られた長柱座屈が開始しない直線長と前述の基準長さの比を求め 同一の曲管角度に対して管種 口径を変化させた時に最も小さい値を低減係数として用いた 解析の直線長は わずかであるが短くなる浅層不整形地盤での直線長を用いた 表 9.9 に各管種 口径の解析による長柱座屈が開始しない直線長と基準長さの比を示す この結果から曲管角度別の最小値を低減係数とし 表 9.1 に示す なお 曲管角度が 22.5 度より浅い場合については その曲管以降の直線区間に作用する軸力が ほとんどそのまま検討対象の直線区間の端部に作用すると考えられるため 22.5 度より浅い曲管を直線区間の区切りとするのは適切ではない したがって 直線区間端部の曲管が 22.5 度より浅い場合には その曲管を直線区間の端部とはせず 直管とみなしてその先に続く直線区間と組み合わせて直線長を評価する 管種 呼び径 表 9.9 解析による長柱座屈が開始しない直線長と基準長さの比 基準長さ端部の Lp (m) 曲管角度 解析による長柱座屈が開始しない直線長 ( 浅層不整形地盤 ) 基準長さとの比 (m) 9 84.85 SGP 5A 99.15 45 64.65 22.5 33.33 9 93.83 SGP 8A 111.42 45 72.65 22.5 37.33 9 14.86 SGP 1A 12.35 45 77.64 22.5 38.31 9 171.87 STPG37 195.57 45 138.71 1A 22.5 82.42 表 9.1 簡易計算式で用いる低減係数 端部の曲管角度 低減係数 9.83 45.64 22.5.31 9-9

5.2 長柱座屈が開始しない直線長の簡易計算式長柱座屈が開始しない直線長の簡易計算式を以下に示す また この式で求めた長柱座屈が開始しない直線長及びガイドラインで採用した直線長の上限値を表 9.12 に示す ガイドラインの直線長の上限値には 簡易計算式で求めた長柱座屈が開始しない直線長の小数点以下を切り捨てた値を用いた L = a (9.3) bcr L p ここで Lbcr: 長柱座屈が開始しない直線長 (m) a : 端部の曲管角度による低減係数 ( 表 9.11) 表 9.11 低減係数端部の曲管角度低減係数 9.83 45.64 22.5.31 注 ) 両側の角度が異なる場合は 双方の係数の平均値を用いる 注 )22.5 度未満の角度は直線区間の端部とみなさず その次の端部角度を用いる Lp: 次式による基準長さ (m) L p 2 σ y π D τ A = (9.4) max ここで σy: 管の降伏応力 (MPa) A : 管の断面積 (cm 2 ) D : 管の外径 (cm) τmax: 地盤の管軸方向限界せん断応力 (N/cm 2 ) 9-1

表 9.12 簡易計算式による長柱座屈が開始しない直線長とガイドラインで採用した直線長の上限値 管種 呼び径 基準長さ Lp (m) SGP 5A 99.15 SGP 8A 111.42 SGP 1A 12.35 STPG37 1A 195.57 端部の曲管角度 低減係数 a 長柱座屈が開始しない直線長 Lbcr (m) ガイドラインで採用した直線長の上限値 (m) 9.83 82.29 82 45.64 63.45 63 22.5.31 3.74 3 9.83 92.48 92 45.64 71.31 71 22.5.31 34.54 34 9.83 99.89 99 45.64 77.2 77 22.5.31 37.31 37 9.83 162.32 162 45.64 125.16 125 22.5.31 6.63 6 6. まとめ長柱座屈が開始しない直線長に対する直線区間端部の曲管の影響及び浅層不整形地盤の影響について検討を行った (1) 伏せ越しと単独曲管の比較曲管角度の 9 度と 45 度では 伏せ越しと単独曲管では長柱座屈が開始しない直線長にほとんど差が現れないが 22.5 度では単独曲管の方が伏せ越しより長柱座屈が開始しない直線長が短くなった 全体的に単独曲管の方が安全側の値であった (2) 角度に関する比較長柱座屈が開始しない直線長は 9 度が最も長く 角度が浅くなるほど短くなった (3) 両端の角度が異なる場合の長柱座屈が開始しない直線長それぞれの角度について 両端が同じ角度とした場合に得られる長柱座屈が開始しない直線長の平均値となった (4) 浅層不整形地盤の影響浅層不整形地盤では一様地盤よりも長柱座屈が開始しない直線長が短いがその差は 1m であり 長柱座屈が開始しない直線長の設定では 浅層不整形地盤の値で統一することが安全側となる 以上の結果から 直線区間端部要素の影響を除いた仮定で求めた基準長さに端部の角度に応じて設定した低減係数を乗じる 長柱座屈が開始しない直線長の簡易計算式を作成し 管種 口径 曲管角度別の直線長の上限値を求めた 9-11

資料 2 委員会での主な配布資料

資料 2-1 第 1 回委員会資料

資料 2-2 第 2 回委員会資料

資料 1 平成 22 年 1 月 6 日 ( 社 ) 日本ガス協会技術部平成 22 年度地震対策技術調査事業について 1. 事業の背景 目的新潟県中越沖地震では 小口径で長い直線状の配管で長柱座屈による被害が発生した 新潟県中越沖地震における都市ガス事業 施設に関する検討会報告書 においても 設備対策として 小口径で長い直線状配管 の長柱座屈メカニズムの解明と対応策の調査研究を行うことが提言されている この提言を受け 国は平成 2 年度より 3 カ年計画で調査研究を開始した 2. 全体事業概要 項目 (1) パイプラインの座屈 大変形に関する文献調査 (2) 小口径管の長柱座屈シミュレーション (3) 実管長柱座屈実験 (4) シミュレーションモデルの妥当性の検証 (5) 対策の検討 (6) 業界ガイドライン等への反映方法の検討 H2 年度 H21 年度 H22 年度 3. 平成 21 年度までの主な成果 (1) 数値解析モデルの構築と妥当性の検証平成 2 年度には 長柱座屈メカニズム解明のための部分解析モデルを構築し 長柱座屈現象に影響があると考えられる各種パラメーター ( 地盤ばね 材料特性 口径 直線長 ) を抽出した 平成 21 年度については 抽出されたパラメーターを変化させ 1 屋内土槽実験 (6 体 ) 2 フィールド実験 (2 体 ) 3 圧縮曲げ実験 (6 体 ) により 部分解析モデルの妥当性を検証し 実験結果をよい精度で再現できることを確認した (2) 小口径管の長柱座屈に係る発生防止策の検討長柱座屈の判定フロー ( 案 ) を考案し 1 長柱座屈開始 2 局部座屈開始の 2 段階の判定を行うことを提案した また 長柱座屈開始を防止するための対応策を複数提案し その有効性を検証した 局部座屈開始については 長柱座屈開始後の収縮量の検討方法について提案を行った 4. 平成 22 年度事業概要今年度事業実施分は 2 分野分割応募となった 日本ガス協会としては 委員会の運営等 分野を受託し 長柱座屈開始以降における小口径管の長柱座屈対応策の検討 分野については JFE エンジニアリング が受託した 分野名 受託者 受託範囲 委員会の運営等 ( 社 ) 日本ガス協会 (1) 他調査の実施者に対する助言等 (2) ガイドライン案の作成 (3) 委員会の設置 運営 長柱座屈開始以降における小口径管の長柱座屈対応策の検討 JFEエンジニアリング (1) 小口径管の長柱座屈の対応策の検討 5. 実施体制平成 22 年度地震対策技術調査事業については 下記の体制で実施する 6. 特別専門委員会スケジュールについて 委員会 時期 内容 第 1 回 1 月 6 日 1.22 年度事業実施方法について 2.22 年度実施計画の内容について 第 2 回 12 月上旬 ( 予定 ) 1. 第 1 回特別専門委員会議事録の確認 2. 長柱座屈対応策の検討中間報告 3. ガイドライン案中間報告 第 3 回 2 月上旬 ( 予定 ) 1. 第 2 回特別専門委員会議事録の確認 2. 長柱座屈対応策の審議 3. ガイドライン案審議 4. 報告書 ( 案 ) の審議 7. 平成 22 年度事業概略スケジュール 1 月 11 月 12 月 1 月 2 月 委員会の開催 長柱座屈対応策の検討ガイドライン案の作成 報告書の作成 日本ガス協会 理事会 地震対策技術調査特別専門委員会 地震対策技術調査ワーキンググループ 委員会の運営等 経済産業省原子力安全 保安院 実施体制 会長 専務理事 常務理事 技術部 地震対策技術調査プロジェクトチーム 長柱座屈開始以降における小口径管の長柱座屈対応策の検討 JFE エンジニアリング

資料 2-1 平成 22 年度地方都市ガス事業天然ガス化促進対策調査次世代保安向上技術調査 ( 地震対策技術調査 ( 長柱座屈開始以降における小口径管の長柱座屈対応策の検討 )) 平成 22 年 1 月 6 日 JFE エンジニアリング 1. 概要 平成 21 年度事業において検証された長柱座屈の数値解析手法を用いて 小口径管の長柱座屈現象に対する評価方法 および対応策を検討する 2. 長柱座屈の判定フロー 図 1 に示すように 長柱座屈の発生を判定する Step1 と 長柱座屈発生後の変形が損傷 漏洩に到るかを判定する Step2 の 2 段階評価とする 3. 許容歪 部分解析モデルを用いた長柱座屈解析結果から 管種 口径ごとの許容歪を設定する (1) 長柱座屈の許容歪解析で得られた鋼管の変形特性 ( 図 2) において 軸圧縮変形から長柱座屈変形に移行する 点を長柱座屈開始点とし 長柱座屈発生箇所を含む 5m 区間の平均軸歪を許容歪とする (2) 局部座屈の許容歪長柱座屈部の変形特性 ( 図 3) において 曲げモーメントが最大となり局部座屈が発生する 公称応力 σ n (MPa) Step1 長柱座屈の発生判定 4 3 2 1 4. 検討条件 L2 地震動での管歪 εp εp<εbcr No 長柱座屈発生 Step2 へ 長柱座屈開始点 本検討における解析条件を表 2 に示す 点を局部座屈開始点とする その時の 2D 平均圧縮歪を限界歪とし 安全側評価として許容歪 は 3.%( 高圧ガス耐震の許容歪 ) を採用する 5m Yes ( 局部座屈開始点 ) 長柱座屈開始歪 1 2 3 4 5 5m 平均軸歪 ε 5m (%) 図 2 長柱座屈開始歪 許容歪 ( 長柱座屈 ) εbcr 検討不要 公称応力 σn (MPa) 4 3 ( 長柱座屈開始点 ) 2 1 M 許容歪 2 3.% 2 4 6 8 1 2D 平均圧縮歪 ε 2DC (%) 表 2 検討条件一覧 Step2 漏洩の発生判定 図 1 長柱座屈の判定フロー 局部座屈開始点 項目検討条件備考 管種 口径 SGP STPG37 小口径で一般的に使用されている管種 口径 管の S-S カーブ降伏棚型ラウンドハウス型よりも安全側評価となるため 管の強度規格最小値相当従来の設計と同様とした 地盤ばね特性高圧ガス耐震に準拠通常の締固めを想定 (Ck=1.) 浅層不整形効果高圧ガス耐震に準拠地震波長を固定した地盤変位分布を設定 σ n 2D ε 2DC 図 3 局部座屈開始歪 1 8 6 4 長柱座屈発生 長柱座屈部の発生歪 ε2dc ε2dc<ε2dc_cr No 曲げモーメント M (kn m) 要対策 Yes 判定歪の種類許容歪 長柱座屈 局部座屈 ( 漏洩 ) 許容歪 ( 局部座屈 ) ε2dc_cr 表 1 許容歪の設定 5m 平均軸歪 2D 平均圧縮歪 漏洩に到らず 長柱座屈開始歪 3.% 5. 長柱座屈の発生判定 <Step1> 長柱座屈判定では地震動入力により長柱座屈が発生するまで の変形を取り扱う 高圧ガス耐震のレベル 2 地震動に対する管 発生歪を用いて 長柱座屈開始歪より大きな歪が発生する場合 は長柱座屈が生じるものと判定する ( 図 4) 判定表では管種 口径に対して 長柱座屈が発生する可能性のある地盤固有周期 の範囲を示す 6. 漏洩の発生判定 <Step2> 漏洩の発生判定では長柱座屈発生後の座屈部の変形に着目し その変形が局部座屈発生に到る場合に損傷 ( 漏洩 ) とみなす 長柱座屈が生じた部分を線形ばね要素に置き換え ばね係数を変化させた解析 ( 図 5) を行い 座屈区間 の収縮量と地盤変位による外力入力がバランスする条件を探索することで 長柱座屈発生後の座屈部の変形状態を求 める その変形状態が局部座屈の許容値を超える場合は 局部座屈が生じ損傷に到るものと判定する ( 図 6) 判定表では 局部座屈が発生する地盤固有周期の範囲を示す 7. 対策案の検討 ( 限界直線長の設定 ) 直線区間長が地震波長よりも短い場合 長柱座屈発生に必要な外力が生じない可能性 あるいは長柱座屈が発生し ても局部座屈に到らない可能性がある 被害が生じない直線長の上限 ( 限界直線長 ) を設定し 伏せ越し等を配置す ることにより 要対策導管の直線区間長を限界直線長以下に区切る対策方法を検討する 8. 長柱座屈判定表 導管の条件 ( 管種 口径等 ) と地盤の条件 ( 地盤固有周期 ) による判定結果を 表 3 の形で整理する 管種 SGP 地震波 管 地震波 管 地震波長 図 5 座屈部線形ばねモデル 地震波長 直線区間長 長柱座屈発生 ばね要素に置換 ( ばね係数をパラメータ ) 図 7 座屈部線形ばねモデル ( 有限長の導管 ) 図 4 長柱座屈判定 地盤固有周期 Tg 口径 限界直線長 地盤固有周期 Tg (sec).5.6.7.8.9 1. 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2. 2.5~ 5A m 8A m 1A m ε (%) 2D 平均圧縮歪 ε 2DC 1..1.1 2D 平均圧縮歪 ε2dc 表 3 長柱座屈判定表 ( イメージ ) 要対策 地盤歪 管歪.1 1 1 地盤固有周期 (sec) 局部座屈発生範囲 図 6 局部座屈判定 直線長減 長柱座屈発生範囲 地盤固有周期 Tg 局部座屈開始歪 許容歪 ( 局部座屈 ) 許容歪 ( 局部座屈 ) 図 8 局部座屈判定 ( 限界直線長時 ) 漏洩なし ( 長柱座屈は発生 ) 管歪 > 長柱座屈開始歪 長柱座屈開始歪 無限長限界直線長