プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「抗菌薬①」(2016年4月27日)

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「薬剤耐性菌判定基準」 改定内容

浜松地区における耐性菌調査の報告

スライド タイトルなし

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スライド 1

公開情報 2016 年 1 月 ~12 月年報 ( 全集計対象医療機関 ) 院内感染対策サーベイランス検査部門 Citrobacter koseri Proteus mirabilis Proteus vulgaris Serratia marcescens Pseudomonas aerugino


2006 年 3 月 3 日放送 抗菌薬の適正使用 市立堺病院薬剤科科長 阿南節子 薬剤師は 抗菌薬投与計画の作成のためにパラメータを熟知すべき 最初の抗菌薬であるペニシリンが 実質的に広く使用されるようになったのは第二次世界大戦後のことです それまで致死的な状況であった黄色ブドウ球菌による感染症に

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第10回 感染制御部勉強会 「症例から考える感染症診療」

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プライマリケアのためのワンポイントレクチャー「症例から考える感染症診療」(2016/5/25)

抗菌薬の適正使用

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

日本化学療法学会雑誌第61巻第6号

検査実施料新設のお知らせ

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

割合が10% 前後となっています 新生児期以降は 4-5ヶ月頃から頻度が増加します ( 図 1) 原因菌に関しては 本邦ではインフルエンザ菌が原因となる頻度がもっとも高く 50% 以上を占めています 次いで肺炎球菌が20~30% と多く インフルエンザ菌と肺炎球菌で 原因菌の80% 近くを占めていま

Ⅲ. 検査検査は軽症 (0 項目 ) と中等症 (1 2 項目 ) では肺炎球菌尿中抗原 必要によりレジオネラ尿中抗原とインフルエンザ抗原 中等症 (1,2 項目 ) と重症 (3 項目 ) ではさらに喀痰グラム染色 喀痰培養を追加 超重症 (4,5 項目 ) ではさらに血液培養 血清検査とストック

スライド 1

みんなで備える! 日常診療に潜む感染症の脅威

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腸内細菌科細菌 Enterobacteriaceae Escherichia coli (大腸菌) Klebsiella sp. (K. pneumoniae 肺炎桿菌など) Enterobacter sp. (E. cloacaeなど) Serratia marcescens Citrobacte

公開情報 2016 年 1 月 ~12 月年報 院内感染対策サーベイランス集中治療室部門 3. 感染症発生率感染症発生件数の合計は 981 件であった 人工呼吸器関連肺炎の発生率が 1.5 件 / 1,000 患者 日 (499 件 ) と最も多く 次いでカテーテル関連血流感染症が 0.8 件 /

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

抗菌薬の適正使用

第11回感染制御部勉強会 『症例から考える抗MRSA治療薬の使い方』

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グリコペプチド系 >50( 常用量 ) 10~50 <10 血液透析 (HD) 塩酸バンコマイシン散 0.5g バンコマイシン 1 日 0.5~2g MEEK 1 日 4 回 オキサゾリジノン系 ザイボックス錠 600mg リネゾリド 1 日 1200mg テトラサイクリン系 血小板減少の場合は投与

Staphylococcus aureus (MSSA) 薬剤感受性情報 2017 年 05 月 1 薬剤感受性結果 系統 薬剤記号 商品名 株数 S( 感性 ) % I( 中間 ) R( 耐性 ) CEZ セファメシ ン CTM ハ ンスホ リン セフェ

抗菌薬マニュアル

日本化学療法学会雑誌第64巻第4号

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目 次 1. はじめに 1 2. 組成および性状 2 3. 効能 効果 2 4. 特徴 2 5. 使用方法 2 6. 即時効果 持続効果および累積効果 3 7. 抗菌スペクトル 5 サラヤ株式会社スクラビイン S4% 液製品情報 2/ PDF

平成 28 年度 ( 第 29 回 ) 和歌山県臨床検査技師会臨床検査精度管理調査 微生物検査速報結果

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抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

公開情報 7 年 月 ~ 月年報 ( 集計対象医療機関 床未満 ) 院内感染対策サーベイランス全入院患者部門 解説. データ提出医療機関数病床規模が 床未満の 7 年年報 (7 年 月 ~ 月 ) 集計対象医療機関数は 7 医療機関であり 前年より 7 医療機関増加した これは国内 5,79 医療機

公開情報 年 月 ~ 月年報 ( 集計対象医療機関 床以上 ) 院内感染対策サーベイランス全入院患者部門 解説. データ提出医療機関数病床規模が 床以上の 年年報 ( 年 月 ~ 月 ) 集計対象医療機関数は 646 医療機関であった これは国内,649 医療機関の 4.4% を占めていた. 新規感

公開情報 27 年 月 ~2 月年報 ( 全集計対象医療機関 ) 院内感染対策サーベイランス全入院患者部門 解説. データ提出医療機関数 27 年年報 (27 年 月 ~2 月 ) の集計対象医療機関数は 863 医療機関であり 前年より 医療機関増加した これは国内 8,2 医療機関の.2% を占

プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「血液培養」(2017年4月19日開催)

2012 年 7 月 18 日放送 嫌気性菌感染症 愛知医科大学大学院感染制御学教授 三鴨廣繁 嫌気性菌とは嫌気性菌とは 酸素分子のない環境で生活をしている細菌です 偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌があります 偏性嫌気性菌とは 酸素分子 20% を含む環境 すなわち大気中では全く発育しない細菌のことで 通

(案の2)

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新しい敗血症診断用検査薬を用いた遺伝子関連検査Verigene®の実施指針

グリコペプチド系 >50( 常用量 ) 10~50 <10 血液透析 (HD) 塩酸バンコマイシン散 0.5g MEEK バンコマイシン 1 日 0.5~2g 1 日 4 回 オキサゾリジノン系 ザイボックス錠 600mg リネゾリド 1 日 1200mg テトラサイクリン系 血小板減少の場合は投与

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2 経験から科学する老年医療 上記 12 カ月間に検出された病原細菌総計 56 株中 Escherichia coli は 24 株 うち ESBL 産生菌 14 株 それ以外のレボフロキサシン (LVFX) 耐性菌 2 株であった E. coli 以外の合計は 32 株で 内訳は Enteroco

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3. 細菌と他の生物との相違 および 細菌の種類による構造の相違を説明できる 細菌は 単細胞の微生物で 原核生物 (prokaryote) の一つ 英語では bacteria と呼ばれる 真正細菌 (eubacteria) と古細菌 (archaea) に分類されるが 一般的には 真正細菌を指す 真

2.7.3(5 群 ) 呼吸器感染症臨床的有効性グレースビット 錠 細粒 表 (5 群 )-3 疾患別陰性化率 疾患名 陰性化被験者数 / 陰性化率 (%) (95%CI)(%) a) 肺炎 全体 91/ (89.0, 98.6) 細菌性肺炎 73/ (86

第39回セミナー 講演および症例提示に関するQ&A

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2 2 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 69 1 Feb Neisseria gonorrhoeae ceftriaxone CTRX % 2010 CTRX 20 FQ staphylococci, E. faecium, N.

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

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抗菌薬適正使用マニュアル

グラム染色と培養のハナシ

無顆粒球症

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抗菌薬を処方したことがない医師はおそらくいない. それほど, 抗菌薬は日常臨床に欠かすことのできない薬剤である. しかし, どれほど深く抗菌薬が理解されているであろうか. ペニシリンから始まった抗菌薬は, 想像をはるかに超える恩恵を人類にもたらした. これまで人類を苦しめてきた数々の感染症を治癒し,

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第 88 回日本感染症学会学術講演会第 62 回日本化学療法学会総会合同学会採択演題一覧 ( 一般演題ポスター ) 登録番号 発表形式 セッション名 日にち 時間 部屋名 NO. 発表順 一般演題 ( ポスター ) 尿路 骨盤 性器感染症 1 6 月 18 日 14:10-14:50 ア

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抗菌薬と細菌について。

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糖尿病性壊疽による四肢切断症例での患部検出菌と抗菌薬の感受性

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感染制御ベーシックレクチャーQ&A 薬剤耐性菌

2015 年 9 月 30 日放送 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) はなぜ問題なのか 長崎大学大学院感染免疫学臨床感染症学分野教授泉川公一 CRE とはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 以下 CRE 感染症は 広域抗菌薬であるカルバペネム系薬に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの いわゆる

地方衛生研究所におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌検査の現状 薬剤耐性研究センター 第 1 室 鈴木里和

抗菌薬の適正使用

Staphylococcus epidermidis Streptococcus pneumoniae Staphylococcus epidermidis Streptococcus pneumontae S. epidermidis Table 1. Summary of the organis

当院での研修医への感染症教育 研修医カンファレンス : 1 回 / 週 60 分感染症ミニレクチャー : 1 回 / 週 30 分 (10 月から 3 月まで半年間 ) 特定抗菌薬使用許可制による主治医と ICD との対話 : 随時随時の感染症コンサルテーション : 10 件前後 / 日 ICT 回

図3. 主要菌種分離率(分離件数/総検体数)、総検体数=41,387

302 Mod-Hodge Test および CarbaNP 法によるカルバペネマーゼ産生腸内細菌検出に関する検討 中村竜也 1) 大沼健一郎 1) 小林沙織 1) 小林泰菜 1) 楠木まり 1) 矢野美由紀 1) 中村正邦 1) 林伸英 1) 国立大学法人神戸大学医学部附属病院 1) 目的 カルバ

2014 年 10 月 29 日放送 MRSA 腸炎はあるのか? 神戸大学病院感染症内科教授岩田健太郎 MRSA 腸炎の歴史きょうはこのMRSA 腸炎は本当にあるのかという 多少刺激的なタイトルでお話ししようと思います MRSA 腸炎は抗菌薬関連下痢症の一つで 抗菌薬治療をおこなっている患者さんが下


Streptococcus pneumoniae,streptococcus pyogenes,streptococcus agalactiae,neisseria gonorrhoeae,h.influenzae,moraxella subgenus Branhamella catarrharis

Lecture Notes on Pediatrics

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Microsoft Word - 【Q&A→自治体】セファゾリン事務連絡

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

Transcription:

プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー @ 東京医科大学病院 2016 年 4 月 27 日 ( 水 ) 抗菌薬 1 東京医科大学病院感染制御部 感染症科佐藤昭裕

感染症診療の原則 感染臓器 微生物 抗菌薬

細菌の分け方

グラム染色で染まる細菌の分け方 グラム 陽性球菌 グラム 陽性桿菌 グラム 陰性球菌 グラム 陰性桿菌

グラム陽性球菌 GPC Staphylococcus aureus 黄色ブドウ球菌 + コアグラーゼ試験 MRSA MSSA - CNS Streptococcus レンサ球菌 MRCNS MSCNS Enterococcus 腸球菌

グラム陰性桿菌 GNR 腸内細菌 E.coli Klebsiella Proteus 大腸菌クレブシエラプロテウス 市中 Serratia Citrobacter Enterobacter セラチアシトロバクタ エンテロバクター 耐性強い ブドウ糖非発酵菌 Pseudomonus aeruginosa 緑膿菌 Acinetobacter アシネトバクター院内

微生物の分け方 MRSA GPC GNR 腸球菌 Strep MSSA E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 E.coli, Klebsiella, Proteus, Serratia, Citrobacter, Enterobacter Pseudomonaus aeruginosa, Acinetobacter baumannii

MIC( 最少発育阻止濃度 ) の読み方 菌名 MIC: 最小発育阻止濃度 菌ごとに抗菌薬別に決まっている (GPC,GNR,GNFR) S, I, R で判定 1 管差は 誤差 とする

例えば AMK( アミカシン ) >32 32 16 8 4 2 1 R I S MIC 8 = S >32 32 16 8 4 2 1 MIC 16 = S >32 32 16 8 4 2 1 32 だったら I

感染症診療の原則 感染臓器 微生物 抗菌薬

充分な投与量で S,I,R が担保される 抗菌薬投与量は 充分な量を投与する

医者は抗菌薬を 2 回選ぶ必要がある 1 回目 2 回目 Empiric therapy Definitive therapy 感染部位 微生物を予測する ある程度広域抗菌薬を選択 感受性結果を考慮して選択 Narrow is beautiful

De-escalation

抗菌薬 De-escalation Empiric therapy では Broad spectrum を使用し 菌確定 / 感受性確定後に narrow spectrum な抗菌薬に変更すること. Empiric Definitive 広域抗菌薬 狭域抗菌薬

抗菌薬 なぜ De-escalation を行うか 広域抗菌薬が必ずしも, 各菌に対して強いわけでは無い. ex) 黄色ブドウ球菌に対しては第 1セフェム>カルバペネム Narrow 代表 Broad 代表 第一選択薬はだいたい決まっている

今日から話す内容は 1 回目の選択 (Empiric therapy) 時 GPC GNR MRSA 腸球菌 Strep MSSA E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 PCG 2 回目の選択は感受性を見て, 決定する

Enterococcus faecalis による感染性心内膜炎 Q. どの抗菌薬を選びますか? 抗菌薬 MIC 感受性 ABPC ビクシリン 2 S IPM チエナム 1 S VCM バンコマイシン 1 S TEIC タゴシット 0.5 S LVFX クラビット 2 S

MIC の立て読みはダメ!!! Answer E.faecalis に対する効果は ABPC が最も強い 原則として Broad より Narrow な程, 効果が強い narrow is beautiful

抗菌薬の大原則 No culture, No antibiotics Narrow is beautiful 十分な投与量と投与期間

抗菌薬各論

β ラクタム系 ニューキノロン系 アミノグリコシド系 テトラサイクリン系 マクロライド系 その他

β ラクタム系 ペニシリン系 セフェム系 カルバペネム系 モノバクタム系

β ラクタム系

β ラクタム系 細胞壁がない ( マイコプラズマ クラミジア ) 細胞内寄生 ( レジオネラ )

βラクタマーゼ -ase( 酵素 ) β ラクタム環を分解する 酵素 抗菌薬を分解する

ペニシリン系 点滴 内服 略語一般名商品名 ( 院内採用 ) PCG ペニシリン G ペニシリン G ABPC アンピシリンビクシリン AMPC アモキシシリン ( サワシリン ) PIPC ピペラシリンペントシリン ABPC/SBT アンピシリン / スルバクタムユナシン AMPC/CVA アモキシシリン / クラブラン酸 ( オーグメンチン ) PIPC/TAZ ピペラシリン / タゾバクタムゾシン

ペニシリン系 略語 一般名 商品名 ( 院内採用 ) PCG ペニシリンG ペニシリンG ABPC アンピシリン ビクシリン PIPC ピペラシリン ペントシリン ABPC/SBT アンピシリン / スルバクタム ユナシン PIPC/TAZ ピペラシリン / タゾバクタム ゾシン ペニシリンから離れていくと GPC に対する活性,GNR MRSA 非定型はダメ

ペニシリン系原則 GPC GNR MRSA 腸球菌 Strep MSSA E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 PCG ABPC PIPC ABPC/SB T PIPC/TAZ

ペニシリン系 ペニシリン G 人類初の抗菌薬ブドウ球菌を培養していてたまたま見つかったアオカビ (Penicillium) グラム陽性菌用特にStreptococcus spp. 横隔膜より上の嫌気性菌もOK 憎きβラクタマーゼ ブドウ球菌に効かなくなってしまった

スペクトラム GPC GNR MRSA 腸球菌 Strep MSSA E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 PCG

ペニシリン系 アミノペニシリン系 ( 合成ペニシリン ) 点滴 ;ABPC ( アンピシリン, ビクシリン ) 内服 ;AMPC ( アモキシシリン, サワシリン ) ペニシリン+アミノ基 腸球菌,GNR 少しいける 1 st 腸球菌 (E.faecalis), リステリア

スペクトラム GPC GNR MRSA 腸球菌 Strep MSSA E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 PCG ABPC

ペニシリン系 抗緑膿菌作用のある ペニシリン 点滴 ;PIPC( ピペラシリン, ペントシリン ) 緑膿菌に効く 院内感染で問題となる菌にも効く (SPACE) 投与量注意 (2g 2 回 / 日 4g 4 回 / 日 )

スペクトラム GPC GNR MRSA 腸球菌 Strep MSSA E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 PCG ABPC PIPC

ブドウ球菌はまだダメ β ラクタマーゼ産生 GPC MRSA 腸球菌 Strep MSSA GNR E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 PCG ABPC PIPC

ペニシリン系 β ラクタマーゼ阻害剤配合 ペニシリン (ABPC ベース ) 点滴 ABPC/SBT ( アンピシリン / スルバクタム ; ユナシン, スルバクシン ) 内服 AMPC/CVA ( アモキシシリン / クラブラン酸 ; オーグメンチン ) MSSAいける嫌気性菌もいける SBTがA.baumanniiもカバーできる

スペクトラム GPC GNR MRSA 腸球菌 Strep MSSA E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 PCG ABPC PIPC ABPC/SBT

ペニシリン系 β ラクタマーゼ阻害剤配合 ペニシリン (PIPC ベース ) PIPC/TAZ ( ピペラシリン / タゾバクタム ; ゾシン ) 緑膿菌いける SPACE もいける 嫌気性菌もいける 広域スペクトラム代表 ( カルバペネムと 2top)

SPACE organism 院内のグラム陰性桿菌は耐性度が高い菌 治療上注意すべきで広域抗菌薬が必要 Serratia marcescens ( 腸内細菌科 ) Pseudomonas aeruginosa ( ブ 非発酵 ) Acinetobacter baumanii ( ブ 非発酵 ) Citrobacter sp. ( 腸内細菌科 ) Enterobacter sp. ( 腸内細菌科 )

ペニシリン系完成版 GPC GNR MRSA 腸球菌 Strep MSSA E K P S C E 緑膿菌 (GNFR) 嫌気 非定型 PCG ABPC PIPC ABPC/SBT PIPC/TAZ

β ラクタマーゼ阻害薬 ブドウ球菌 (MSSA) がいけるようになる 嫌気性菌がいけるようになる β ラクタマーゼ阻害薬だけでも抗菌活性はあり クラブラン酸 (CVA) は肝代謝

1.Narrow is beautiful 2. ペニシリン系は GPC 用 GNR へスペクトラム拡大 3. ペニシリン系で MRSA と非定型はカバーできない

終 質問 疑問は まで 佐藤昭裕 PHS:63646 E-mail:a-sato@tokyo-med.ac.jp 次回はセフェム系 カルバペネム系.