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血液悪性腫瘍における治療と外来診療 1. 急性白血病 2. 慢性骨髄性白血病 3. 悪性リンパ腫 4. 多発性骨髄腫 * 血液がん治療の特徴 : 抗がん剤治療が中心 九州ガンセンター血液内科 : 安部康信 1. 治癒 抗がん剤治療の目標 ( 標準治療が可能な場合 ) 2. 病変を可能なかぎり縮小し 寛解期間を延長する 1 を目指すか 2 を目指すかは 悪性腫瘍の種類によって異なります 抗がん剤のみで 治癒を目指せる腫瘍は 白血病や悪性リンパ腫などの一部のみ 抗癌剤の選択 1. 多剤併用療法が基本 : 単剤では有効率低く 耐性が出現しやすい 白血病 2. 多くの腫瘍で標準療法が存在する 例えば 悪性リンパ腫 :R-CHOP 療法 急性骨髄性白血病 :AraC / IDA 療法など 但し今後新しい抗癌剤にとってかわられる可能性もある ー常に update な知識が必要とされる

急性白血病 骨髄性 リンパ性 慢性白血病 骨髄性 リンパ性 白血病の種類 造血とは 骨髄 : 血液をつくる工場 < 血液の 3 大成分 > 白血球 : 細菌から体を守る 赤血球 : 酸素を運搬する 血小板 : 出血を止める * 病態を理解するためには造血に関する知識が必要 造血のモトとなる造血幹細胞 は骨髄中に存在 造血幹細胞から白血球 赤血球 血小板がつくられる * 未熟な細胞が成熟していき 白血球としてしっかり働く 急性 正常急性白血病 白血病細胞が骨髄を占拠するため 貧血 血小板減少 成熟白血球の低下をきたす 成熟できなくなった未熟な細胞が増殖

多くの腫瘍量 急性白血病の治療理念 -total cell kill therapy- 白血病細胞 抗癌剤 抗癌剤 輸血 抗生物質 寛解導入療法 地固め療法 大部分の急性骨髄性白血病は 寛解導入療法 + 地固め療法 3コースで終了 地固め以降の維持療法は種類によって施行する場合あり 寛解導入療法 :induction therapy 急性骨髄性白血病 day 1 2 3 4 5 6 7 急性骨髄性白血病の予後因子 1 染色体が寛解率や OS を予測するのに最も重要 25-y OS: good, intermediate, poor 各々 55%, 24%, 5% A IDA 12mg/m 2 div Ara-C 100mg/m 2 civ. B DNR 90mg/m 2 div Ara-C 100mg/m 2 civ. CR 率は 60-70% この AraC+ アントラサイクリンを骨子とするレジメンは過去 25 年間ほとんど変化なし 染色体検査が重要!

再発移植 移植 急性前骨髄球性白血病 急性白血病の特殊型 分化誘導療法成熟をやめて増殖ばかりする細胞を 再び成熟させ 増殖機能を失わせる治療法 急性前骨髄球性白血病 ( 急性骨髄性白血病の 5-8% をしめる ) 17 番染色体の RAR( ビタミン A の受容体遺伝子 ) が 15 番染色体のPMLと結合することにより ビタミン A の働きが十分できなくなる

チノイン診断時 分化誘導療法 急性前骨髄性白血病 ここから分化成熟するにはビタミンAが必要 その働きがうまくいかないと 成熟をやめガン化増殖をはじめる 大量のレチノイン酸 ( 活性化ビタミンA) 分化誘導による形態変化レビタミン A+ 抗がん剤 診断時 ( 未熟 ) 治療中 ( 成熟酸診断時 ) 寛解率 : 92% 3 年無病生存率 :92%

維持療法 急性骨髄性白血病では一般的には施行されないが 急性前骨髄球性白血病では維持療法 ( 地固め療法ののちに さらに寛解維持を目指して施行する治療 内服治療が中心 ) が施行されることが多い 下記のビタミンA 製剤 1あるいは2を3か月に2 週間 約 2 年投与する ( 間歇投与が中心 ) 1ベサノイド : 寛解導入療法など 初回から使用 2アムノレイク : ベサノイドに比べ強力な分化誘導能皮膚に分布するレチノイン酸受容体 γ に親和性がないことから皮膚障害等の副作用がベサノイドに比べて軽いことが想定 併用禁忌 : ビタミンA 製剤 ( チョコラA) を投与中の患者 慢性骨髄性白血病 分子標的治療による 慢性白血病特異的蛋白質の阻害 内服薬中心の治療 : 外来が主 * 副作用 : 口や唇の乾燥 肌荒れ 発熱 頭痛 中性脂肪の上昇 肝機能値の異常など 慢性白血病 成熟するが 各成熟段階の細胞がどんどん増加 正常 急性白血病 慢性白血病

フィラデルフィア染色体とBCR- ABL 慢性白血病 フィラデルフィア染色体 9 番染色体の一部と 22 番染色体の一部が 相互に入れ替わることにより 本来はとおく離れている22 番染色体上のBCRという遺伝子と 9 番染色体の ABL 蛋白が融合して全く新しい蛋白質をつくり この蛋白が細胞のつよい増殖に関与する 慢性骨髄性白血病の経過 ハイドレア 移行期 慢性期 急性期 インターフェロン 平均 3-5 年で必ず急性白血病に移行 急性白血病に移行すると治療抵抗性 悪性細胞 ( 異常遺伝子をもつ細胞 ) 悪性細胞 ( 異常遺伝子をもつ細胞 ) 正常細胞

グリベック : 慢性白血病特異的な蛋白である BCR/ABL 蛋白の重要な部分に はまりこむように設計されており そのため蛋白が機能できなくなり 悪性細胞を死滅させる 2000 年代 : グリベックの登場 化学療法 ( ハイドレア ) IFN グリベック血液学的完全寛解 : 血算 (CHR complete hematological response) 血球数の正常化 ほぼ 100% 悪性細胞 ( 異常遺伝子をもつ細胞 ) 正常細胞 骨髄中の異常細胞の割合 1% 以下 細胞遺伝学的効果 : 染色体 PCR(partial cytogenetic response): Ph 染色体陽性率 1-35% への減少 CCR(complete cytogenetic response): Ph 染色体の完全消失 *MCR (major cytogenetic response):ccr+pcr 分子遺伝学的効果 : 遺伝子 PCR MMR(major molecular response) >3-log reduction (0.1%) of BCR-ABL mrna *CMR: PCR 法によるBCR-ABL mrnaの消失

*MMR:major molecular response グリベックの治療目標 standard baseline からの bcr/abl mrna 量の 3log(0.1%) 減少 * CMR: complete molecular response 分子遺伝学的完全寛解 bcr/abl mrna の 4.5log 以上の低下,0.0032% or less 8 年間のグリベック治療で約 40% の患者が到達 グリベック開始後 8 年のデータ 初回から使用することにより約 90% の患者さんは病気の進行なく生活が可能 グリベックで更に悪性細胞が減少 (0.0032% 以下 ) した患者での グリベック中止の可能性 観察期間は短いが 約 40% の患者さんで再発を認めていない 早期の病気の進行を抑え MMR により高率に到達するために 第 2 世代 TKI Nilotinib( タシグナ ): 高い阻害活性と選択性 (ABL) Imatinibの抑制 PDGF>KIT>ABL Nilotinibの抑制 ABL>PDGF>KIT Lancet Oncol. 2010:1029-35. 再発しない患者 Dasatinib( スプリセル ): 高い阻害活性とマルチターゲット ABL, PDGF, KIT のみならず SRC や LYN も抑える

Targets of Imatinib, Nilotinib and Dasatinib 1st line としての 2nd TKI (1) N Engl J Med 2010;362:2251-9. Imatinib Nilotinib Dasatinib ABL ARG BCR-ABL KIT PDGFR DDR1 NQO2 ABL ARG BCR-ABL KIT PDGFR DDR1 NQO2 ABL ARG BCR-ABL KIT PDGFR SRC YES FYN LYN HCK LCK FGR BLK FRK CSK BTK TEC BMX TXK DDR1 DDR2 ACK ACTR2B ACVR2 BRAF EGFR/ERBB1 EPHA2 EPHA3 EPHA4 EPHA5 EPHA8 EPHB1 EPHB2 EPHB4 EPHB6 ERBB2 ERBB4 FAK GAK GCK HH498/TNNI3K ILK LIMK1 LIMK2 MAP2K5 MAP3K1 MAP3K2 MAP3K3 MAP3K4 MAP4K1 MAP4K5/KHS1 MAPK11/p38 beta MAPK14/p38 alpha MYT1 NLK PTK6/Brk QIK QSK RAF1 RET RIPK2 SLK STK36/ULK SYK TAO3 TESK2 TYK2 ZAK Nilotinib ( タシグナ ) vs Imatinib( グリベック ) 新規患者の MMR 到達率を検証 Hantsschel O et al. Leuk & Lymph 49: 615, 2008 1st line としての 2nd TKI (2) Dasatinib ( スプリセル ) vs Imatinib ( グリベック ) 新規患者の MMR 到達率を検証 N Engl J Med 2010;362:2260-70. スプリセル (Dasatinib) 1. 食事の影響は受けないが 毎日一定の時間にきちんと服用 (1 日 1 回 ) 2. CYP3A4で主に代謝 CYP3A4 阻害剤 ( イトリコナゾール フルコナゾール エリスロマイシン グレープフルーツジュース ) 併用時は代謝阻害によるdasatinibの血中濃度上昇 有害事象の発現に注意 CYP3A4 誘導剤 ( デカドロン リファンピシン フェノバルビタール ) 3. セイヨウオトギリソウ ( セント ジョーンズ ワート ) 含有食品 ) 併用時はdasatinib の血中濃度低下 治療効果減弱の可能性あり 原則併用しない 4. 胃内 ph 上昇によりdasatinibの吸収が低下する 制酸剤 ( 水酸化アルミニウム 水酸化マグネシウムなど ):dasatinib 服用前後 2 時間は服用しない 服用時間をずらす H2 拮抗剤 PPI 基本的に併用は避ける 持続的な酸分泌抑制により吸収が抑制される可能性あり 5. QT 間隔延長 : 抗不整脈剤との併用でQT 延長作用増強の可能性あり 6. 胸水貯留といった特有の副作用が発現することあり 咳などの呼吸器症状に注意が必要

タシグナ (Nilotinib) 1. 服用 : 食事の影響うける 食事の後に服用する場合 : 食後 2 時間以降に服用 また 服用後 1 時間は食事が摂れない 食事の前に服用する場合 : 食事の1 時間以上前に服用 服用の間隔は 間隔は 12 時間毎を目安に空ける 2. QT 延長に注意が必要 : 電解質異常 ( 低カリウム / 低マグネシウム ) が ある場合は補正が必要 外来時の患者指導 1 下痢や嘔吐があった時は 来院して心電図検査うけること 血清カリウムが低下し QT 間隔が延長することあり 2 新たに薬を服用する時は主治医に連絡すること 併用でQT 間隔が延長することあり 3. 本剤は主にCYP3A4および一部 CYP2CAで代謝される 慢性骨髄性白血病治癒のために グリベックより深く悪性細胞数を減少させ かつ速やかに達成できる 第 2 世代の薬剤であるスプリセルやタシグナが2011 年より初回から使用可能となった 急性白血病へ移行する予後 4-5 年の病気 薬を飲んでいれば安定する慢性疾患 薬の中止可能な治癒する病気? ( 但し臨床試験による検証が必要 ) 急性リンパ性白血病 Acute lymphoblastic leukemia (ALL) 22 成人 ALL は小児に比べて予後が悪い

グリベックにより予後は改善したが 依然として再発が問題 フィラデルフィア染色体陽性 ALL は成人 ALL の約 25% を占める スプリセル等の新規薬剤への期待 維持療法 急性リンパ性白血病 (ALL) では維持療法が 寛解導入後から約 2 年施行されることが多い 1フィラデルフィア染色体陽性 ALLでは グリベックあるいはスプリセルが使用される ( タシグナは保険適応外 ) 2フィラデルフィア染色体陰性 ALLでは 内服薬として6-MPや MTXプレドニンが使用される ( 使用法はプロトコールで異なる ) *6MP: 高尿酸血症治療薬との相互作用に注意! フェブキソスタット ( フェブリク ) は 本剤の代謝酵素であるキサンチンオキシダーゼの阻害作用を有するため 併用により本剤 ( ロイケリン ) の血中濃度が上昇し 骨髄抑制等の副作用を増強する可能性があることから 禁忌 アロプリノールは 注意 だが 6MP 量を1/3-1/4に減じる必要あり 白血病では腫瘍崩壊に伴う高尿酸血症予防のため フェブリクなどが投与されていることが多く注意が必要 6MP 使用頻度少ないが注意が必要! 公知申請による効能追加 [ 製品名 ] ハイドレアカプセル500 mg [ 効能 効果 ] 慢性骨髄性白血病, 本態性血小板血症, 真性多血症 [ 用法 用量 ] 通常成人 1 日 500mg~2,000mgを 1~3 回に分けて経口投与する 副作用は 頻度は稀ながら特異なものとして 皮膚潰瘍 ( 下肢に好発する ) の報告があります 皮膚のただれや発赤等認めた場合は 速やかに連絡してください 添付文書には2 次性の白血病に注意との記載があります 但し 治療経過中に白血病を発症する頻度は高くないことと 真性多血症や本態性血小板血症の数 % は自然経過でも白血病に移行するため 本当にハイドレアが 2 次性白血病をひきおこすかどうかに関しては賛否両論あり 結論はでていません

悪性リンパ腫 = リンパ節のがん 悪性リンパ腫と他の固形がんとの違い 悪性リンパ腫固形がん 抗がん剤治療の位置づけ : 抗がん剤治療の位置づけ : 初回から使用 多くのリン手術前後 あるいは手術不パ腫では 抗がん剤治療で能の進行例に使用 抗が治癒を目指す ん剤のみでは治癒しない ほかの臓器のがん ( たとえば大腸がんや肺がんなど ) の治療同様 多剤併用抗がん剤治療を剤治療を 3-4 週ごとに繰り返す リンパ節以外にも生じる 組織型が複雑 ( 聞きなれない?) 原発臓器以外に生じた場合は転移 組織型 : たとえば肺がんでは 扁平上皮がん 腺癌 小細胞がん 大細胞がんなど 悪性リンパ腫の組織分類 ホジキンリンパ腫 Hodgkin s Lymphoma[HL] 悪性リンパ腫 Malignant lymphoma[ml] 非ホジキンリンパ腫 Non-Hodgkin lymphoma[nhl] B 細胞性リンパ腫 T 細胞性リンパ腫その他のリンパ腫 CHOP 療法 : 非ホジキンリンパ腫の標準治療 シクロフォスファミド 750mg/m 2 1 日目 ドキソルビシン 50mg/m 2 1 日目 ビンクリスチン 1.4mg/m 2 1 日目 プレドニゾロン 100mg/m 2 1-5 日 ABVD 療法 : ホジキンリンパ腫の標準治療 ドキソルビシン 25mg/m 2 1 日目 15 日目 ブレオマイシン10mg/m 2 1 日目 15 日目 ビンブラスチン 6mg/m 2 1 日目 15 日目 ダカルバジン375mg/m 2 1 日目 15 日目 * 外来での点滴治療が基本

悪性リンパ腫の組織分類 悪性リンパ腫 Malignant lymphoma[ml] ホジキンリンパ腫 Hodgkin s Lymphoma[HL] 非ホジキンリンパ腫 Non-Hodgkin lymphoma[nhl] 抗がん剤治療の繰り返しで病変の縮小 消失目指す B 細胞性リンパ腫 T 細胞性リンパ腫その他のリンパ腫 * 全体の80% 前後を占める最も多いリンパ腫 B 細胞リンパ腫 : CD20 抗原の染色 リツキシマブ ( リツキサン ) CD20 抗原を認識するヒトマウスキメラ抗体 マウス由来 : ヒトの CD20 抗原を認識 ほとんどのB 細胞性リンパ腫ではCD20 抗原が発現しており しかも B 細胞以外の細胞には発現していないため 抗がん剤のターゲットとして最適 ヒト由来 : ヒト抗体に近ヒト由来 : ヒト抗体に近づけることにより モノクローナル抗体に対する抗体をできにくくし 反復投与を可能にする

リツキシマブの作用機序 CDC (complement-dependent cytotoxicity) ADCC (antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity) FcγRⅢa エフェクター細胞 (NK 細胞 マクロファージなど ) C1q 結合 補体活性化 MAC 細胞傷害 CD20 抗原 R-CHOP 療法 : びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫の標準治療 リツキシマブ 375mg/m 2 1 日目 シクロフォスファミド 750mg/m 2 2 日目 ドキソルビシン 50mg/m 2 2 日目 ビンクリスチン 1.4mg/m 2 2 日目 プレドニゾロン 100mg/m 2 2-6 日 直接あるいは自分の免疫細胞 (NK 細胞等 ) や補体システムを介してCD20 抗原を発現するB 細胞を攻撃 直接的細胞傷害 *3 週間ごとに6-8 回繰り返すプレドニゾロンは内服だが 他は注射 九州リンパ腫研究会での 1057 例の解析 (Int J Hematol. 2010;91:258-66) リツキサン (Rituximab) を 抗がん剤と併用することで 治療成績は改善! 化学療法を受けられる患者様へ 1 2 3 4 5 6 リツキサン 点滴 オンコビン 点滴 アドリアシン 点滴 エンドキサン 点滴 プレドニン内服 1 日目リツキサン 1 過敏症状 ( アレルギー様の症状 ) の予防 ロキソニン錠 1 錠 ポララミン錠 1 錠 10:30 頃 眠気を催すことがあります 外来時に持参 2リツキサンを点滴します ( 抗がん剤 ) 11:00 頃 ~ 4~8 時間 ( またはそれ以上 ) 点滴します 点滴速度はゆっくり開始し 副作用がないことを確認して点滴速度を上げます 点滴中 ~ 点滴後 24 時間の注意 リツキサンの過敏症状 ( アレルギーの様な症状 ) が知られています 主な症状 発熱 悪寒 ( 震え ) 頭痛 痒み 発疹 ほてり むくみ 咳 呼吸困難 血圧の変化 頻脈など 気になる症状はすぐに医療スタッフへお知らせ下さい 症状に応じて対処します リツキサンによる症状は 1 回目に特に注意を要します 2 回目以降は 症状の頻度 程度ともに軽くなります 2 日目 ~ CHOP( チョップ ) 療法 1 グラニセトロンバッグを点滴しますグを点滴します吐き気を抑えます 2 オンコビンを数分で点滴します ( 抗がん剤 ) 3 4 5 生理食塩液を数分で点滴します アドリアシンを数分で点滴します ( 抗がん剤 ) 生理食塩液を数分で点滴します 6 エンドキサンを 2 時間で点滴します ( 抗がん剤 ) 7 生理食塩液を数分で点滴します 8 メチコバールを注射します しびれを予防軽減します 2 日目 ~6 日目に内服 プレドニン錠 ( ステロイドホルモン剤 ) 1 日 2 回 朝食後 錠 昼食後 錠 5 日間内服

白血球数主な副作用と対策 白血球減少 ( 白血球 : 細菌やウィルスから体を守る役割 ) ムカムカする 吐く 食欲がなくなる 点滴して約 1 週間後頃から一時的に白血球 ( 好中球 ) が減少し 抵抗力が弱くなります 感染や口内炎を予防するために 手洗い うがい (1 日 5 回以上を目安 ) をして清潔に努めましょう 必要に応じて白血球 ( 好中球 ) を増やす注射や抗菌薬を使用することがあります 吐き気予防の点滴と内服をします それでも吐き気が出たときは 他のお薬もありますので我慢せずお知らせ下さい 治治療お通じを調節しましょう 便秘 (~ 腸管麻痺 ) 下剤 ( マグラックス センノサイドなど ) で早めに 治療のお休み期間 水分をしっかりと摂ることも大切です かりと摂ることも大切です療7~10 日 減少までの期間 減少している期間 回復への期間 ヘモグロビン減少 ( 貧血 ) 血小板減少( 出血しやすくなる ) 必要に応じて輸血をします しびれメコバラミン ( ビタミンB12) で予防 軽減します 出血性膀胱炎予防のため点滴当日は水分を多くとり 尿をしっかり出しましょう プレドニン錠による副作用胃部不快感 食欲 気分変調 寝つきが悪くなる 血圧 血糖値の変化 免疫力の低下 しゃっくりなどプレドニン錠を5 日間内服終了後 一時的に (1~2 日程度 ) 体のだるさ 食欲低下 まれに発熱などが現れることがあります T 細胞性リンパ腫 特に九州に多い成人 T 細胞性リンパ腫 (ATL) に対する国産の抗体療法が期待されている その他脱毛 口内炎 下痢 腎障害 肝障害 だるさ 心毒性など九州がんセンター モガムリズマブ ( ポテリジオ ): 抗 CCR4 抗体 CC ケモカインレセプター 4(CCR4) を標的としたヒト化抗体 CCR4は成人 T 細胞白血病リンパ腫瘍 (ATL) の90% に陽性 (cells/μl) 10000 8000 治験例 : 再発患者 1.0mg/kg KW-0761 血液学的完全寛解 6000 好中球 4000 投与後速やかに 血液中の ATL 細胞 2000 リンパ球が激減! 0 ATL 細胞 0 14 28 42 56 70 Time (days) 悪性リンパ腫の内服抗がん剤療法 経口薬を含む標準治療はほとんどない 下記のような抗がん剤が再発難治例に使用されることあり 1ソブゾキサン ( ペラゾリン細粒 ) : トポイソメラーゼ阻害薬悪性リンパ腫と成人 T 細胞白血病リンパ腫に適応あり 九州がんセンターではラステットと併用し 下記処方でよく使用ラステッと25mg+ペラゾリン400mg 隔日 3-5 日投与で28 日ごと 2フルダラビン静脈内投与製剤もある 内服の適応は 再発または難治性の低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫 マントル細胞リンパ腫 通常 40mg/m2( 体表面積 ) を1 日 1 回 5 日間連日経口服用し 23 日間休薬する これを 1クールとし 服用を繰り返す しばしばリツキサンと併用されるが 重篤な感染症に対して注意が必要であり 感染症予防のためにスルファメトキサゾール トリメトプリム (ST) 合剤とアシクロビルの投与が推奨される ( リンパ腫は免疫低下例が多い )

骨髄腫 = 形質細胞 (plasma cell) の悪性腫瘍 * 形質細胞 : 免疫グロブリン (IgG, IgA, IgM など ) を産生する B リンパ球の一種 * 増殖の場所形質細胞は造血の場である骨髄に存在 骨髄で増殖することで 骨を脆くし 貧血をおこす アンバランスな免疫蛋白の過剰産生 (M 蛋白 ) 骨髄腫治療の変遷 ( 日本 ) 1960 年代 :MP( メルファラン+ プレドニン ) 療法の登場 その後 約 30 年間 生存期間でMP 療法を凌駕する治療法なし 1990 年代 : 大量メルファラン + 自家造血幹細胞移植の登場 2000 年代 : 新規薬剤の承認 日本では 2006 年 : ボルテゾミブ ( ベルケイド ) 再発難治例に対して 2008 年 : サリドマイド ( サレド ) 再発難治例に対して 2010 年 : レナリドミド ( レブラミド ) 再発難治例に対して 2011 年 : ボルテゾミブ ( ベルケイド ) 初発例に対して現在 初発例に使用可能な新薬はベルケイドのみ ベルケイド サレド レナリドミドこれら新薬の登場により 予後は著明に改善 新規骨髄腫患者の予後の変遷 (Mayo Clinic) 初期からの新規薬剤導入により完全寛解率が上昇 経口メルファラン (1962) 自家移植 (1996) 新規薬剤 (1999~) 移植非適応患者での初期治療.(NEJM.2008.359:906-917) VISTA study プ新 : ベルケイド + メルファラン + プレドニン (VMP) 旧 : メルファラン + プレドニン (MP) VMP:CR=30% ORR=71% VMP:CR=30% ORR=71% MP:CR=4% ORR=35% VISTA 生存曲線 2000 年以降で生存率の改善が顕著であり 自家移植が可能な65 歳以下の年齢で目立つ ( 中央値 60ヶ月 vs33ヶ月 ) 高齢者では32ヶ月 vs26ヶ月 Blood 2008;111:2516

新薬に関する留意点 : ボルテゾミブ ( ベルケイド ) 骨髄腫に有効な新薬 ( プロテアソーム阻害 ) 2011 年から初発患者でも使用可能 MPあるいは エンドキサン +デカドロンに併用されることあり (VMP, VCD 療法 ) 骨髄腫では大量の M 蛋白が産生され その制御のためプロテアソーム活性が亢進 ベルケイド副作用 副作用として末梢神経障害がある (1) 高齢の方で発現しやすいため 通常は週 2 回だが 高齢者では週 1 回投与などが検討される (2) 皮下投与が承認された * 日常生活に支障をきたす障害 ( グレード3 以上 ) 週 2 回静注では 15% 前後 週 1 回静注 週 2 回皮下注では7% 前後 * 難治例ではリリカ ( 末梢性神経障害性疼痛の効能効果あり ) 使用も考える 帯状疱疹ウイルスの活性化おこしやすく アシクロビルの予防投与が認められている 原則として アシクロビル 内服薬 を ボルテゾミブ使用時の管理 造血幹細胞移植時の管理 造血幹細胞移植時の管理 に対して処方した場合 当該使用事例を審査上認める 新薬に関する留意点 : サリドマイド ( サレド ) 1. 骨髄腫に有効な新薬 ( 内服薬 ) 再発 難治例に有効 高齢者において病初期からの使用が検討されている (MP 療法との併用など ) 自家移植後の地固め療法 (VTD: ベルケイド ステロイドと併用 ) 血球減少おこしにくい 2. 副作用として眠気 末梢神経障害がある 強い催奇形性をもつことから 厳格な安全管理手順が求められる ( 確実な避妊 ) 血栓症 ( 足の腫れ等 ) にも注意が必要 immunomodulatory derivatives (IMIDs: 免疫調整薬 ) 骨髄腫細胞への直接的な増殖抑制作用 : 細胞死を誘導する 免疫調節作用 : 免疫細胞に働きかけ 免疫を賦活させる 血管新生阻害作用

骨髄腫細胞そのものに働くばかりでなく 周囲の免疫細胞 (NK 細胞 T 細胞 ) を活性化し骨髄腫細胞を攻撃させたり 周囲の環境に作用して骨髄腫細胞が骨髄に住みにくくする 奏効率 : プラセボ群 20% レナリドミド群 60%(25% が完全寛解 ) 再発後は より早期にレナリドミド (+ デカドロン ) で治療した方が質の高い奏功 長期生存につながる 新薬に関する留意点 : レナリドミド ( レブラミド ) 1. 骨髄腫に有効な新薬 ( 内服薬 ) 再発 難治例に有効 ( 特にステロイド : デキサメタゾンとの併用 ) 病初期からの使用が検討されている 自家移植後などの維持療法に有効とされる 2. サリドマイドの誘導体なので 催奇形性が危惧され厳格な安全管理手順が求められる ( 確実な避妊 ) 血球減少や 血栓症といった副作用に注意が必要 3. 腎臓から排出されるため 腎障害時には 量の調整が必要 高齢者での抗がん剤投与量 ( 目安 ) 精神機能 : 服薬管理が自分でできるか? 身体機能 : 自分で入浴できるか?

血液がんの外来治療 1. 入院治療に引き続く 外来ベースの維持療法が有効急性前骨髄球性白血病 : レチノイン酸急性リンパ性白血病性白 : フィラデルフィア陽性 ALL: グリベック スプリセルフィラデルフィア陰性 ALLでは 6-MPやMTX プレドニン *6MP と高尿酸血症治療薬の相互作用に注意 2. 外来内服治療慢性骨髄性白血病 : グリベック スプリセル タシグナ多血症 : ハイドレア 3. 副作用予防 治療リツキサン投与時のアレルギー予防 : ロキソニン ポララミン便秘 しびれの治療抗生剤 アシクロビル