Awake ECMO 慈恵医大臨床工学部池田潤平火曜勉強会 2017/6/13
awake ECMO 近年 人工呼吸器による肺傷害のような機械的換気の有害な影響を避けるために 急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) の早い段階で ECMO が開始されることが多い Alabama newscenter より しかしながら 当院 ICU での試みは無く 来るその時に備え いくつかの疑問を考え 吟味していきたいと思う
Clinical Questions 自発呼吸は肺を壊す? V-V ECMO 中に抜管してはいけないのか? V-V ECMO 中にどこまで離床できるのか?
Clinical Questions 自発呼吸は肺を壊す? V-V ECMO 中に抜管してはいけないのか? V-V ECMO 中にどこまで離床できるのか?
Transpulmonary Pressure( 経肺圧 ) Ptp( 経肺圧 )=Palv( 肺胞内圧 ) ー Ppl( 胸空内圧 ) 2014 年 2 月 25 日 ICU 勉強会改変
自発呼吸は肺障害を悪化させる? CCM. 2013; 41:536 45 施設 : 動物研究所被験者 :28 匹のうさぎ目的 : 重症度の違う肺における自発呼吸と調節呼吸の影響 方法 : ウサギを軽度肺障害群と重度肺障害群に無作為に割付し それぞれ自発呼吸と調節呼吸にて 4 時間換気をおこなった TV:5-7mL/Kg plateau pressure :30cmH 2 O 以下
軽度肺障害 調節呼吸 軽度肺障害 自発呼吸 重度肺障害 調節呼吸 重度肺障害 自発呼吸 重度の肺傷害におけるSBは より多くの硝子膜形成および 肺胞出血をもたらし 肺胞および間質へのより重度の好中 球浸潤があり 正常な肺胞構造は残っていなかった
重症肺障害 + 自発呼吸にて経肺圧が上昇
ΔP 重症な肺障害では 自発呼吸を温存することにより 高い経肺圧と駆動圧を招き肺障害を悪化させる
呼吸数や一回換気量による影響? 施設 : 動物研究所被験者 : 8 12 週齢のマウス目的 : 正常な肺における人工呼吸器関連性肺傷害の発生に対する 1 回換気量 呼吸数 (RR) の影響を評価 方法 : マウスを 13 匹ずつ RR120VT10ml/kg RR80VT12ml/kg RR160VT8ml/kg RR160VT10ml/kg 群に無作為に割付し 2 時間換気を行った CCM. 2008; 36:1277 83.
RR120/VT10ml/kg RR160/VT 8ml/kg RR80/VT12ml/kg RR160VT10ml/kg VILI RR120VT10 および RR160VT10 群のサンプルでは RR80VT12 および RR160VT8 群と比較して 局所白血球浸潤 肺胞壁の肥厚および肺胞鬱血がより顕著であり 出血も見られた また 組織学的傷害スコアでも RR120VT10 および RR160VT10 群で高い値となった low tidal volume or low rate 組織学的障害スコア better
努力性呼吸 二酸化炭素産生 低酸素血症
ただ単に自発呼吸を温存するのは ダメかも?
Clinical Questions 自発呼吸は肺を壊す? V-V ECMO 中に抜管してはいけないのか? V-V ECMO 中にどこまで離床できるのか?
Pmus =V E +.V R 呼吸筋によって加えられる圧力 ガス体積弾性ガス流量抵抗 制御された機械的換気の間 人工呼吸器 (Pvent) によって生成された圧力は Pmus に取って代わるので 式の左側に作用し vv-ecmo は式の右辺に作用する 肺のガス交換機能 (CO2 除去および血液酸素化 ) を置き換えることによって 息の必要性を低下させる 理論的には解るが
実際どのように抜管するのか
抜管することでの利点 人工呼吸器関連肺炎など 人工呼吸器に関連する危険事象の減少 自己 事故抜管の減少 鎮痛鎮静の必要性の減少 快適性の向上 経口栄養の増加 吸入薬の送達の改善 リハビリの促進 患者とのコミュニケーションの円滑化
抜管することでの欠点 ガス交換能の低下 増加した呼吸によるエネルギー消費 呼吸障害 吸引効率および分泌物クリアランスの低下
抜管前の評価 患者の臨床状態は 重度のショックまたは多臓器不全がなく 呼吸サポートレベルを低下させる試みに適している 患者は少なくとも気道確保のために目が覚めており カニューレまたは他の重要なカテーテルまたはデバイスの脱落がな いように十分に協力して 高容量または頻繁な鎮痛を必要としない 挿管なしで分泌物の管理が可能である 抜管前には分泌物の状態 を気管支鏡にて評価をする
ガス評価 患者は最小限の人工呼吸器設定 ( 例えば FIO2 0.4 PEEP 5) で許容さ れる動脈血ガスを有するべきである Goal PaO2 >80 on FIO 2 of 0.4 and FDO 2 1.0 Goal ph >7.35 with minute ventilation <10 L/min while receiving a sweep gas flow <6 L/min 鬱血性心不全や病的肥満の場合など ガス交換の妥当性が PEEP に依存する可能性がある場合は さらに考慮すべきである
ガイドライン施行手順 1) 患者が抜管の準備とガス交換の基準を満たしていることを確認する 2) 患者の主な代理人に計画を知らせることを推奨する 3) 患者は抜管の前に絶食していなければならない 4) 抜管の前に胸部の理学療法と吸引を行う
ガイドライン施行手順 5) 補助酸素を準備する 抜管後 高流量マスクまたは HFNC にすることを検討 また 潜在的に PEEP 依存する場合には NPPV にすることを検討 6) 抜管不全の場合のエアウェイキットの準備 7) 抜管 8) 必要に応じて分泌物排出をさらに促すために胸部理学療法後の抜管を行う 9) スイープガス流量設定変更の必要性を評価するために 抜管後 の動脈血ガスをチェックする 10) 痰詰まりまたは肺虚脱を評価するための胸部 X 線写真を検討
Clinical Questions 自発呼吸は肺を壊す? V-V ECMO 中に抜管してはいけないのか? V-V ECMO 中にどこまで離床できるのか?
Design: 後ろ向きコホート研究 Setting: コロンビア大学病院 ニューヨークプレストン病院の MICU Patients: 2009 年 4 月から MICU の難治性呼吸器または心不全のために ECMO で管理された 100 人のうち 理学療法が行われた 35 人を対象 ECMO 患者に対する活発な理学療法の可能性および影響についての研究
out come 移植または 退院までの生存 生存者の転帰 理学療法中に起きたイベント血行力学的不安定性 SPO 2 85% 未満の desaturasion 心停止不整脈カテーテル部位での出血四肢虚血非 ECMO カテーテル抜去酸素供給装置の故障ポンプの故障カニューレの抜去チューブの破裂 ECMO 血流の中断 bridge to recovery (BTR) bridge to transplantation (BTT) BTT 患者では 重症度が高い患者は移植に向かないとされ ECMO 適応から除外される可能性がある BTT 患者は移植待ちのため ECMO にて長期管理される可能性がある BTR と BTT 患者を別々に分析
Mobilization scale ECMO を受けている患者が達成した最高レベルの授動を記録するために使用
Statistical analysis 標準偏差 中央値および範囲 または比率を用いてデータを要約した カイ二乗検定を用いて カテゴリー変数間の統計的差異を決定した すべての統計解析は Microsoft Excel バージョン 14.3.2 で行われました
理学療法と早期離床への総合的アプローチ
適応評価 臨床的に有意な出血 不安定な不整脈 重度の血小板減少症 高用量の昇圧薬を必要とする血行力学的不安定性 酸素補給にもかかわらず重度の低酸素血症 患者の積極的な参加を妨げる鎮静 および神経筋ブロックの使用 すべての ECMO 患者は 理学療法士や作業療法士 看護師 特定看護師ナースプラクティショナー 呼吸療法士 集中治療医によるり 理学療法および作業療法への参加の適性について 月曜日から土曜日まで毎日評価されます
理学療法と早期離床への総合的アプローチ 熱可塑性のスプリント材料からなる安定化装置を使用し ECMO 装置は患者と移動できるようカートに搭載 参加する医療従事者の最少人数は 3 人 遠心ポンプ 人工肺 コンソールおよびチュービングのみの単純化された ECMO 回路を使用する 血行力学的不安定性 低酸素血症 めまい 衰弱 胸痛または呼吸困難を含む変化について 参加した臨床医の判断に基づいて 理学療法セッションを中断させる
Baseline demographics ECMO で管理された 100 人の患者の中で 26 人の患者が BTT のため ECMO を使用し 74 人の患者が BTR として ECMO を使用した 100 人の患者のうちの 35 人が ECMO 支援を受けながら 理学療法に参加した
Result F I O 2 : 1.0 理学療法の開始から終了まで 3 人の患者が従来の換気補助の量を全体的に減少させ 3 人の患者はより多くの換気補助を必要とし 残りの 29 人の患者は必要な換気補助の量を変更しなかった
Result 13 人の患者が ECMO での時間経過に伴って理学療法スコアを改善し 19 人の患者が同じレベルの活動を維持し 3 人の患者が理学療法スコアの低下を示した 患者のいずれかの理学療法治療セッションの結果 患者関連または回路関連の合併症はなかった 歩行を達成した 18 人の患者のうち 歩いた距離の中央値は 175 フィート (IQR 37.5 285) 1ft = 0.3048m
Discussion 大動脈カニューレ挿入は歩行に対する絶対禁忌ではないが 最適ではないことが示唆される 身体動揺時のカニューレの合併症を避けるために 上体構成を推奨します ECMO の開始前に最も重篤な生理学的障害を表すデータが欠落しているため 転院患者における疾患の重症度を過小評価する可能性がある 理学療法セッションおよび歩行は BTT 群においてより頻繁であったが これは ECMO のより長い期間 (18.7 対 9.1 日 ) APACHE II の平均スコアが低い (20.4 対 28.8) 低酸素症の呼吸不全患者の割合が低い (58% 対 75%) BTR 群より重症度の低い低酸素血症 (PaO2:FIO2 が 62 対 55) が影響している 予想されたように BTT 患者は BTR 患者よりも病気スコアの重症度が低い その理由の 1 つは 重篤すぎる人は移植に適さない可能性があり したがって BTT として ECMO の候補者とはみなされないからである
Discussion ECMO によるサポートにもかかわらず 深く鎮静され 神経筋ブロックを受けるか または重度の低酸素状態患者は プロトコールには不適当であり 積極的な理学療法に参加しなかった大多数の患者を占めている ECMO 患者における理学療法と離床の障害をより明確に定義し これらの介入が機能的アウトカムに及ぼす影響を証明するには より大きな前向き研究が必要である 作業療法の統計はこの研究では示されていないが 今後の研究では作業療法の ECMO 患者への影響を調べることが有益であろう
私見 動物実験レベルの報告が多かったが ただ自発呼吸を温存するのはは避けるべき? 理論上 ECMO 施行中の抜管は可能であるが 大切なのはプロセスであると感じた 早期離床でもやはりダブルルーメンカテーテルがいい awake ECMO を成功させるには OT を含めたチーム編成が必要! 当院ではやはり V-V ECMO の経験が浅い