ii はじめに近代の臨床検査室では 血液を主とする体液の電解質濃度を測定するとき イオン選択電極法によることが多い 一般に普及している ph メーターは 溶液中の水素イオン濃度を測定するための装置であるが 水素イオンに特異的であるという点からいえば イオン選択電極法の装置の一つには違いがない また

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1 i イオン選択電極 Ion Selective Electrode (ISE) を理解する ph を測定する Na や K などのイオン濃度を測定する 神戸大学医学部保健学科 非常勤講師中恵一 ( J 版 )

2 ii はじめに近代の臨床検査室では 血液を主とする体液の電解質濃度を測定するとき イオン選択電極法によることが多い 一般に普及している ph メーターは 溶液中の水素イオン濃度を測定するための装置であるが 水素イオンに特異的であるという点からいえば イオン選択電極法の装置の一つには違いがない また 応用されている基本理論は全く同じである これまで 臨床検査を志すものに対して ph メーターの初歩的な講義がなされるとき ネルンスト Nernst の式によれば と いきなり 水素イオン濃度から電極電圧を導き出す数式が出てくることが多く そのことの意味や 水素イオン濃度とそれによる起電力の関係が分かりやすく説明されることが少なかった 逆に 電気化学 と題する講義では 数式が黒板やテキストのページに氾濫し なぜそのような数式がイオン濃度を測定することの理解に必要なのか 説明に納得できないものが多かった 今日 電解質濃度の測定に炎光光度法や原子吸光光度法などの機器分析に代わって イオン選択電極法が好まれるのは ひとえにそれが静かで安全だからというのではなく 装置に複雑な構造もなく 保守もブロックになった消耗品を交換するだけで 日常の装置管理が楽だからであろう しかし 日常の作業がそのように手も汚れず簡単で高度な技術は必要ではないといっても そこにどのような基本原理が応用されているかを学ばないでは 担当する検査技師が毎回正しく測定されているとする保証を与えることは難しい どのようなときに妨害を受けやすいかを理解しないで日常作業をするのは 生命に関わる医療の場で働く専門家として楽天的すぎる そこで 少し基本の知識から 金属イオンの濃度と測定する電力との間に架かっている橋を学べるように テキストを作成した 金属イオンが電池と関わっていること ph メーターを測定するための試料容器は ph 電極がそれに浸けられたとき全体が電池を構成すること 測定されるのはイオン濃度ではなく起電力であることなどについて 順を追って説明した 電解質測定のためのイオン選択電極法について 一人でも多くの初心者が このテキストを自習用として使い学ばれることを願っている また テキストの記述に関して多くの批評をお待ちしたい

3 iii 目次電気エネルギー... 1 金属のイオン化... 1 電池... 4 水素の反応... 9 燃料電池 化学反応と電気エネルギー エネルギーと熱力学 エネルギー保存則 エンタルピー エントロピー ギブス自由エネルギー 電池における化学反応のギブス自由エネルギー 理想気体の状態方程式 理想溶液のギブス自由エネルギー 膜電位 水素イオン濃度測定 化学反応の一般的な式 ph の定義とその目盛り ph 標準液 銀 塩化銀参照電極 実用的な ph 測定 ガラス電極 電極の校正 金属イオンに対応するイオン選択電極 補遺 状態関数 エンタルピー エントロピー ギブス自由エネルギー... 70

4 1 K-Ca-Na-Mg-Al-Zn-Fe-Ni-Sn-Pb- (H 2 ) -Cu-Hg-Ag-Pt-Au Ionization energy IE Ionization potential IP 4.34 ev418.8kj/mol

5 2 が 5.14 ev であるのに対して数値が小さいので カリウムの方がナトリウムよりプラスイ オンにされやすいことを示している また水素のイオン化エネルギーは eV であって 数値ではこれらの元素よりはるかにプラスイオン化されにくいことを示している ところ がイオン化列で水素より右にある つまりイオン化傾向がより低い銀の第一イオン化エネ ルギーは 7.58eV で それはイオン化列でナトリウムのすぐ隣にあるマグネシウムの値に極 めて近い マグネシウムの第一イオン化エネルギーは 7.65eV である 金属電極がイオン化する際の議論では 電極反応の主体が電極 溶液界面での電荷移動で あって さらに静電場を考慮する必要がある 電荷を持つものが金属表面から 10 4 cm 程度 の距離にあるとき 鏡像にあたる誘起引力が生じる これは鏡像力の効果 (image force) とよばれ 無視できない Guggenheim EA は 電気化学ポテンシャル を提唱した これ によれば金属内部から鏡像力の効果がおよぶ点までは 金属の化学結合に関わる電子の持 つ化学ポテンシャル μ e M と 金属表面の電荷分布に由来する表面電位 χ M の引力が関わり 電子を引き離すのに要する仕事量は [μ e M Fχ M ] が必要となる さらに鏡像力の効果が 無視できない点からその力がおよばない溶液中の無限遠に引き離すのに要する仕事量は 金属の外部電位をΨ M として [ FΨ M ] で表される したがって 電極として溶液につけ られた金属原子の電子に関する電気化学ポテンシャル μ M e は μ M e = μ M e F ψ M + χ M ( )= μ e M Fφ M で表される φ M は電極金属の内部電位という イオン化傾向は 溶液との関係において電極反応の電位として理解できる 金属が塩溶液につけられたときにとけ出そうとする現象は 化学反応の1つとしてとらえることができる 金属が電子を放出して プラスイオンとなる過程は化学反応式を使って 次のように表すことができる 亜鉛を例として取り上げれば その化学記号には Zn が使われるので 金属固体を表す添え記号を (s) とすることにして Zn(s) Zn e - (1) 反応式 (1) は 金属の亜鉛片が溶液につけられると 亜鉛は溶液にとけだして 2 価のプラスイオンになることを意味する このとき 電子が2つ遊離する 化学反応では このように電子を放出する反応を 酸化反応 という したがって (1) の反応が進めば 亜鉛は酸化される 自身が酸化されるも

6 3 K Ca CuSO 4 Zn(s) Zn 2+ 2e - Cu e - Cu(s) Zn(s) + Cu 2+ Zn 2+ + Cu(s)

7 4 H 2 O 2e - H 2 2OH - OH - CuSO 4 ZnSO 4 CuSO 4

8 5 Zn(s) Zn 2+ 2e - Cu e - Cu(s)

9 6

10 7 KCl

11 8 図 3: 亜鉛と銅を電解質溶液に入れ しきり板にセラミックを使う このように電子の流れを発生させて利用しようとする装置を 電池 とよぶ 電池には2つの極がある 陽極 (+) と陰極 (-) である 陽極 (+) は 正極ともよばれ 電極に伝ってきた電子が水溶液に移動し 還元反応が起きる側をいう これに対して陰極 (-) は負極ともよばれ 電極金属がイオン化し酸化反応が起きて 電子が電極から取り出される側をいう 今の例では 亜鉛板が陰極 (-) 銅板が陽極(+) とよばれる 有名な ダニエル電池 は このように考案された 電池を電球などにつなぎ電気回路を形成すれば 亜鉛電極内の電子が導線へ流れ出て電球を明るくし 亜鉛はつぎつぎ溶液に溶け出す 回路を切れば 再び電極に電子がたまり 平衡状態に達して 亜鉛イオンの溶出は止まる ここで電池の表記についての取り決めを記しておこう

12 9 CuSO 4 (aq) Cu(s) (+) (aq) (-) Zn(s) ZnSO 4 (aq) (-) Zn(s) ZnSO 4 (aq) CuSO 4 (aq) Cu(s) (+) H 2 2H + 2e -

13 10 1/2 O 2 2e - O H 2 1/2 O 2 H 2 O 6 Nafion; Du Pont 2050 SO 3- H

14 11 H 2 2H + 2e - 1/2 O 2 2e - O 2- O 2-2H + H 2 O

15 12 H 2 1/2 O 2 H 2 O (Stabilized Zirconia :ZrO 2 /CaO) ++

16 13 () O 2 O 2-1/2 O 2 2e - O 2-6 O 2- () H 2 H 2 O H 2 O 2- H 2 O 2e -

17 14 Zn(s) Zn 2+ 2e coulomb 96,485 = x 10 4 C/mol F = x 10 4 C/mol q q = 2F

18 15 電力 = 電圧 電気量 (13) ここで 電気量 q は 式 (10) で表しているので 電力 = 電圧 q= 電圧 2F (14) と書くことができる 電圧を 記号 Vで表すことにし 電力をWにすれば式 (14) は W = 2FV (15) として表しておくことができる 電圧の単位系は 仕事量が電力 Wであるので (13) から V= W / q (16) 仕事量をジュール :J( ジュール ) で表せば 電圧は J / C ( ジュール / クーロン ) で その単位を表現することができる 式 (15) の表すところは 亜鉛を化学反応の材料として得られる電力という仕事量が その電力すなわち電極電位で決定されることを意味している 一般に 化学反応で1 分子の材料を消費し n 個の電子が流れることを その半反応で知ることができるとき 式 (15) を一般化して 次のように得られる電気エネルギーを表すことができる W = n FV (17) 化学反応によって生じる電子を取り出し 回路に導けば ここに電流が生じる その起電力 (V) は 陽極 陰極のそれぞれの電位を E + E - と記号で表して 次式で書くことができる V= E + -E - (18)

19 16 ここで 問題になるのは陽極 陰極のそれぞれの電位 E + とE - で 上に議論したように回路を形成しなければ それぞれの電位は決定できない ここでいま 片方の電位をゼロとすれば式 (18) は たとえばE - = 0 で V= E + として 陽極の電位が決まる そこで 申し合わせにより 水素の半反応による電位をゼロとすることになった その半反応の式は 水素の還元反応として 次のように表せた 2H + + 2e - H 2 標準には Max Julius Louis Le Blanc ( ) が発明した水素電極を用いる これを標準水素電極 (Standard Hydrogen Electrode: SHE) とよび この電極電位をいつも 0 volt( ゼロボルト ) と取り決めている 図 6に示した水素電極は 1atm の水素ガスとそれに平衡状態にある水素イオンが存在し 次の半反応が平衡状態にある H 2 (g: 1 atm) 2H + (aq: 1 M)+ 2e - (5) g は気体を示すこの反応において 平衡状態にある電極電位を 0 volt と定義する 電極に白金を用いるのは 電極材料自体が溶解しないものであること すなわち イオン化傾向の低いものであること また 水素イオンの還元に対してなるべく活性の高いものであることが条件として求められるが 白金はこの2つの性質を兼ね備えていて 陽極の電極材料に適している 気体の標準状態は 1atm を標準としている この分圧を維持し 溶液中の水素イオン活量を1にする 水蒸気の分圧が変化すると平衡電位は変化する

20 17 1atm atm atm kpa mol/l Zn(s) Zn 2+ 2e -

21 18 標準水素電極側では 還元反応の半反応が起きる 2H + + 2e - H 2 図 7: 亜鉛電極と水素電極をつないで電池とする 25 の基準状態における亜鉛電極の半反応 (1) に対する平衡電位はすでに知られている E = volt また 銅板側の電極電位も 同じようにして測定することができる 起きる半反応は すでに上述したが再度記しておこう Cu e - Cu(s) (3) 25 の基準状態におけるこの電極電位は E = volt と 知られて

22 19 いる ここで 亜鉛電極と銅電極の組み合わせでできる電池の最大電圧を これらの 平衡状態における観測値から計算することができる 式 (18) を使って V= E + -E - (18) V= (-0.763) = volt つまりダニエル電池で得られる最大電圧は 1.1volt と計算できる 実際には イオンの濃度が変化すれば 反応の平衡が変化するので得られる電圧も変化する ここで ダニエル電池で亜鉛 1モルが反応するとき 式 (17) を使って 得られる仕事量としての電力を計算できる W = n FV (17) すなわち ダニエル電池における電極反応は Zn(s) Zn e - (2) Cu e - Cu(s) (3) であったから 反応が進んで移動する電子は n = 2 である 1F = x 10 4 C/mol を適応すると W = 2 x x 1.1 x 10 4 = x 10 5 J/mol = KJ/mol (K = 10 3 : キロ ) すなわち亜鉛 1モルの化学反応によって KJ/mol の電気エネルギーが得られる 水素ガスを使う燃料電池の起電力は 電極の半反応から O 2 + 4H + + 4e - 2H 2 O (19) 25 の基準状態におけるこの電極電位は E = volt が得られている

23 20 したがって 燃料電池で1モルの水素が反応すれば W = 2 x x x 10 4 = KJ/mol すなわち KJ/mol の電気エネルギーが基準状態で取り出せる最大電力と計算される 現在作られている燃料電池の電力は 実際上 0.8 volt ほどである したがって 現実的に取り出せる電気エネルギーは KJ/mol の仕事量と計算される 仕事量 という言葉については 電気でモーターを回し なにがしかの 仕事 をするなど思い浮かべれば 実感できるだろう エネルギーと熱力学これまで述べてきたように電池は 化学反応から直接電気エネルギーを取り出す仕掛けである ダニエル電池では 亜鉛と銅が酸化還元反応を起こす過程で電子を放出するのを利用する また水素ガスによる燃料電池は 気体水素と酸素を原料とし 水が生成される この過程が1atm の気体原料を25 ( K) で1モル反応させて 生成物も1atm の液体の水を得るなら 次の全反応によってすでに計算したとおり KJ/mol の電気エネルギーが取り出せる H 2 + 1/2 O 2 H 2 O 圧力と温度がともに反応の過程を通じて一定の場合に その過程から取り出せる仕事量は 熱力学的に考えることもできる それは ギブス自由エネルギーとして議論される 電池で取り出した電気エネルギー すなわち電力はこのギブス自由エネルギーに相当する 次に 化学反応をこの熱力学の面から考えてみよう エネルギー保存則水素ガスを使う燃料電池のように 独立した一つの仕掛けを考え これを 系 と呼ぶことにする 系を考えるとき 電池のように具体的なものを持って考えるのが容易いのでそうすることが多い 熱力学では自然界全体をあつかうので しばしば概念的になり 非現実的な記述が行われるが 系の大きさや系を構成する分子の大きさについて特定する必要はない 系におけるエネルギーを 内部エネルギー 熱エネルギー 力学的エネルギーの3つの要素からなると考える これらのエネルギーを考えるとき 系の熱力

24 21 学的なパラメーター ( 変数 ) が必要となる 熱力学的な状態は これらのパラメーターのうちのいくつかを指定すれば決定される 熱力学的なパラメーターは 2つに分類される 示量パラメーター( 示量性変数 ): 系の大きさや 構成する物質の量を示す 体積や質量 示強パラメーター( 示強性変数 ): 系の大きさに依存しない 系における1つの点で決まった値で与えられる 圧力や温度 密度などいくつかのパラメーターで完全に決定できる状態を関数で表現することができる場合がある そのような関数を熱力学的な状態関数 ( 補遺 p60) と呼ぶ 関数で状態の変化を表すことができれば 数学的に取り扱うことができ いろいろの面で便利である 一つの系について その状態を知ろうとするとき 系が熱力学的な平衡状態にあると議論する上で都合がよい 熱力学的な平衡状態とは 系を外部と独立させ 長時間放置した後に達成される状態をいう このとき 系の状態をその外部のパラメーターで表現できる たとえば 電池を独立した系と考えるとき 平衡状態に達した電極電圧を外部においた電圧計で測定することができる ある系を考えるとき 前提としてその系はエネルギーを保有していると考える 系が独立してそこに存在するということで持っているエネルギーである これを内部エネルギーと呼ぶ 系がある過程を経て状態を変えるとき 系から系の外部へ力学的な仕事をする場合には 力学的エネルギーの出入りがあると考える また 系に熱が出入りする場合が考えられ それを熱エネルギーの出入りと考えることにしよう まず 力学的エネルギーについて考えることにする いま 系が状態を変えその体積が増えれば 系の 壁 がその系に接している 外部 へ力学的な仕事をすることになる このように系が膨張し 壁が外部に向かって押し出されると考えたとき 膨張する過程における圧力を一定でpとし 系が膨張した体積をΔV( 膨張した分だけの体積増加量 ) とするなら 系の仕事量 ΔWは両者の積で表される Δは変化量を表すときにつける記号と決めておこう

25 22 W = pv W = pv A U A B U B U = U A U B A B U =W A B U A B A B A

26 23 B U B U B = Q A B U U =W U =(U A U B ) U A U B =W U A

27 24 ΔU A = Q-ΔW (25) この式 (25) は エネルギー保存則 あるいは 熱力学の第一法則 を数学的に表現したものである すなわち 独立した系を考え その状態が変化するとき 系の内部エネルギーの変化量は その系に入る熱量と系が外部にした仕事との差である 式 (25) には また重要な主張がある つまり エネルギー保存則にしたがうとき 熱量は力学的エネルギーに また力学的エネルギーは熱量に変換しうることを意味している 熱量を表す単位は カロリー (cal) を用いる 1cal は 1 cal = J と換算される ジュールは 1J = 1Nm ( ニュートン メートル ) で仕事量を表現する単位系で表される エンタルピー 式 (25) から 定圧過程で式 (20 ) を利用して次の式 (26) が誘導される Q =ΔU A +p ΔV (26) ここで Qは熱量を表していたので この関係式 (26) から 熱関数として新しい関数を定義する 新しい関数は エンタルピー (enthalpy)( 補遺 p63) と呼ばれ 次の関数式 Hで表される H = U+P V (27) エンタルピーの微少変化量を 記号 Δ を使って 表現してみよう

28 25 ΔH = ΔU +Δ(P V) =ΔU +ΔP V+ P ΔV (28) 独立した系で 圧力が一定の下に起きる過程を考えるなら ΔP = 0 ( 圧力の 変化はゼロ ) であるから 式 (28) は 次のようになる ΔH =ΔU + P ΔV (29) 化学反応の過程を考えるとき 系に容積の変化がなく 過程の前後で一定であるなら さらにΔV = 0 であるので エンタルピーの変化量は ΔH =ΔU (30) また 系の仕事を体積の変化としてみる式 (20) から ΔW = p ΔV= 0 であるので これを 式 (25) へ適応すると ΔU= Q ΔW = Q ΔW= 0 だから 結果的に系の圧力と体積が変化の過程で一定である場合には その系のエンタルピーの変化を表す式 (29) (30) は次のように簡単な式になって 熱関数と呼ばれる意味が理解しやすいだろう ΔH = Q (31) 独立した系に 等圧等積で起きる過程を見る場合には エンタルピーは系が外部と交換する熱量の直接的な尺度となる H>0 なら 反応に熱を使うので吸熱反応 H<0 なら 発熱反応 電池のように系に起きる化学反応で生じる電子の流れを取り出す装置を考える場合 エンタルピーの変化を電気エネルギーとして取りだしている点に留意

29 26 しなければならない 式 (31) のように エンタルピー変化が交換される熱量に直接表現できるといっても 必ずしも熱として取り出すとは限らないことを注意しよう ところで エンタルピーは 内部エネルギーと同じ次元にある状態量で 定圧変化の熱量がエンタルピー変化であるから ある一点を標準として定めれば すべての物質について任意の点のエンタルピーを変化量として定めることができる すなわち 化学反応の過程で発熱あるいは吸熱する熱量は 反応材料と生成物の間の状態変化に対応するエンタルピーに対応する そこで 一つの元素に対して もっとも安定な状態にある物質を標準物質として定め K(25 ) 1atm を標準状態として その標準物質からある化合物を合成するときの反応熱 ( 発熱あるいは吸熱 ) をその化合物の 標準生成エンタルピー として定義できる 多くの元素に対して標準生成エンタルピーは 現在 表としてまとめられている 水素や酸素はその気体状態が標準物質であり それらの標準生成エンタルピーが ゼロと定義される エントロピーもう一つ新しい状態関数として エントロピー (entropy)( 補遺 p64) を定義する エントロピーを表す記号は通常 S を用い その定義は次の式 (32) による S Q T (32) エントロピーは系の2つの状態が決まると 状態量として決まる このとき Q は2つの状態の間を可逆的に変化したとき 系が受け取る熱量 T は系が熱量 Q を受け取ったときの温度 ( K) である 熱力学の第二法則 は エントロピーに関するものである 図 9 では 2 つの系が接しており それぞれの温度を T high T low とする T high >T low (33)

30 27 今 温度の高い系から温度の低い系に直接熱量 Q が移動したとすれば 温度 の高い系のエントロピーの変化量 ΔS は 熱量が失われるので負の値になる 図 9: 熱の移動 そこで 温度の高い系のエントロピーの変化量 ΔS を 式で表すことにすると 次式のようになる S high Q T high (34) 一方 低い系のエントロピー変化量 ΔS は 熱量が与えられるため S low Q T low (35) 両方の系を合わせたエントロピーの変化量 ΔS は S S high S low Q T high Q T low 1 Q T high 1 T low T Q T high high T T low low (36) 式 (36) の最終項で (33) を前提 すなわち最初に温度の高い系は高いと決めたのだ とするなら エントロピーの変化量 ΔS は必ず次のようになる

31 28 ΔS >0 (37) すなわち 独立した系があり それより温度の低い別の系 あるいは温度の低い外界が接した場合 熱量は高い方から低い方へ移動するという自然の成り行きを説明するものである 自然界に置いて エントロピーは ΔS 0 の値を取り ΔS=0のときは 可逆的過程である 今の例でいうなら 熱は温度の高い系から低い系へ移動し その逆は起きない 常にΔS >0の方向に過程が進行する また 2つの系が同じ温度であるとき 両者は平衡状態にあって熱量の移動は見かけ上なく ΔS=0と表現される 熱力学の第二法則 はエントロピーによって表現されるもので 系の変化が可逆的であるかどうかを判定する指標であり 現実の世界で起きる不可逆過程が 正の値を取る方向へ進むことを示す あるいは 系の変化が起きるとき 外界を含めて考えれば 総エントロピーが増大する方向に変化が起きることを意味するというようにも表現される ギブス自由エネルギー熱力学の第一法則によって エネルギーの取りうる形である 仕事 と 熱 は互いに変換されうることを理解した このことの数量的な意味は 1cal=4.18J で示される さらに 仕事は100% 熱に変換可能であるが 一方の熱はうまくやっても100% を仕事に換えることができないことを熱力学の第二法則で説明しようとした そのために エントロピーという概念が導入された ここで 電池のような独立した一つの系を見るとき 系の内部エネルギーの減少を仕事として取り出しうるなら それは化学反応を一つの例としてどれほどの仕事量が取り出せるのかは どうしたら与えられるだろうか 化学反応を電気エネルギーに換える電池では 先に正負それぞれの電極における半反応の平衡電位の値を利用してその起電力に対する最大値を計算した この化学反応から取り出しうる最大仕事量を与えるものとして 新しくギブス自由エネルギー ( 補遺 p70) と名付け 記号 G を使って それを次のように定義する

32 29 G = H-TS (38) H は エンタルピーである 第 2 項にある S はエントロピーを表す ギブス自由エネルギーは 化学反応のような 独立した系の定温定圧過程に適応されるので 変化量 ΔG を式 (38) から得ておこう ΔG =ΔH-Δ(T S) =ΔH-(S ΔT+T ΔS) 温度を一定と考えているので ΔT=0 であるから ΔG =ΔH-T ΔS (39) この式 (39) を書き換える ΔH=ΔG + T ΔS (39 ) ここで 定圧過程では エンタルピーを次のように式 (29) で定義できた ΔH =ΔU + P ΔV (29) 式 (29) の意味するところを復習すれば 系のエンタルピー変化 ΔH は 内部エネルギーの変化量と 系が外部にした仕事量の和として表されるこれは 定圧過程で系が得るエネルギー量から 仕事量を除いたものと 言い換えることができる エンタルピー変化量は 化学反応などの過程で 始めと終わりの2つの状態の差であるから それが正の値を示す (>0) なら系のエンタルピーは増加することを意味し その過程が進行するためには 系の外部からエネルギーが供給されなければならない 一方 式 (39 ) の右辺第 2 項 T ΔS は エントロピーの定義 (32) より T ΔS = Q (40) であるので これは可逆過程で系に供給される熱量を意味する

33 30 もし エンタルピー変化量が負の値を示す (<0) ならば 系のエンタルピーは減少し その過程が進行することによってエネルギーが取り出せる すなわち 式 (39) (40) から次のようにこれら3つの状態量を改めて説明することができる ある化学反応が 定圧で可逆的に進行するとき それから取り出せるエネルギーのうち ΔG を仕事として放出し 熱量 Q を放出する標準状態 K(25 ) 1atm で 標準物質からある化合物を合成するときの反応熱 ( 発熱あるいは吸熱 ) を その化合物の 標準生成エンタルピー として定義した 同様に ある物質に対する 標準生成ギブス自由エネルギー は この標準状態で標準物質からその化合物を化学反応で生成するとき 式 (3 9) によって与えられる変化量をいう 電池における化学反応のギブス自由エネルギー先に ダニエル電池の亜鉛板側に対する電極反応を検討したとき 電極反応が仕事として放出するエネルギーを表現する重要な式があった 次の式 (17) である W = n FV (17) ギブス自由エネルギーを用いて 今これは次のように書くことができるようになった W = n FV=-ΔG (41) この式が表していることを実際に 水素の燃料とする燃料電池の反応過程で見てみよう 燃料電池の図を再掲する 図中右にある陰極では水素の酸化反応が起きる H 2 2H + + 2e - (5) 一方 図では左にある陽極において 次の還元反応が起きる 1/2 O 2 + 2e - O 2- (6) O H + H 2 O (8) 全体の反応は すでに示したように次の反応式 (7) で示される H 2 +1/2 O 2 H 2 O (7)

34 31 標準状態における可逆的仕事は 式 (41) であらわせ n FV=-ΔG (41 ) このΔG は 式 (39) であらわせた ΔG =ΔH-T ΔS (39) すなわち 標準状態 K(25 ) 1atmにおいて ある化合物を標準物質から合成するときの標準生成ギブス自由エネルギー変化 ΔG は 標準生成エンタルピー変化 ΔH と その温度におけるエントロピー変化 T ΔSの差で求まる これらは 燃料電池の全反応を表す式 (7) で与えられる 標準生成エンタルピー ΔH 変化と エントロピー変化は すでに一般的な元素やその化合物に対して表が作成されている 液体の水に対する標準生成エンタルピー ΔH (H 2 O) は ΔH (H 2 O)= KJ/mol また 水素ガスと酸素ガスは それぞれの元素の標準物質であるので 生成エンタルピー変化はゼロである

35 32 そこで 式 (7) での水を1モル化学合成するときの標準生成エンタルピー Δ H は 水素 ( ガス :1モル) と酸素 ( ガス :1/2 モル ) の2つの材料と水 ( 液体 :25 ;1atm) の両状態における状態量の差として表される ΔH =ΔH (H 2 O)-ΔH (H 2 ) -1/2 ΔH (O 2 ) (42) 式 (42) の右辺第 2 項と第 3 項がゼロであるので ΔH =ΔH (H 2 O) = KJ/mol (43) 標準状態 K(25 ) 1atm における水素 ( ガス ) と酸素 ( ガス ) および水 ( 液体 ) のエントロピーは それぞれ ΔS(H 2 O)=69.91 J/K mol ΔS(H 2 ) = J/K mol ΔS(O 2 ) = J/K mol と計算されているので 単位で分母の K はケルビン温度の意味 ΔS=ΔS(H 2 O)-ΔS (H 2 ) -1/2 ΔS(O 2 ) (44) = / = J/K mol したがって T ΔS= ( )= = KJ/mol (45) そこで 標準生成ギブス自由エネルギー ΔG は式 (39) から -ΔG =-(ΔH -T ΔS) (39) =-{ (-48.70)} = KJ/mol

36 33 すなわち このエネルギーを電気エネルギーとして取り出すことができる そ の起電力は 式 (41 ) から n FV=-ΔG (41 ) V= -ΔG/(n F) 各数値を当てはめれば V=237,130/(2 96,485) =1.229 volt 先に 化学反応と電気エネルギー のところで記したとおり 25 の基準状態におけるこの電極電位は E = volt が得られている すなわち こうして標準生成ギブス自由エネルギーから計算することでも 同じ値を得ることができた 水素を単純に酸素と化合させる 燃焼では 式 (43) で示されるエンタルピーが 発生する熱量を示している 水素 1モルあたり KJである 電池にすれば 水素 1モルあたり KJの仕事量が電気エネルギーとして取り出すことができる その差は 電池の場合 熱が発生して利用できない 化学反応の過程を利用して化学エネルギーから直接電気エネルギーに変換するのが 電池という装置であるが 化学エネルギーは 100% 電気エネルギーに換えることはできない このようにエネルギーの一部は 電池の熱として発散してしまう 理想気体の状態方程式ギブス自由エネルギー ΔG を定義した式 (39) と エンタルピー ΔH の定義式 (28) から ΔG =ΔH-T ΔS (39) ΔH =ΔU +V ΔP+ P ΔV (28) そこで 次式が得られる

37 34 G =UVP PVTS Q =UPV U=QPV G = QPVVP PVTS G = QTSVP QTS G = VP Boyle-Charles PV=nRT PVT R R= JmolK

38 35 状態方程式から 式 (49) の右辺を導くことを考えてみよう 式 (50) は 1モルの気体について V に対し 次のように変形することができる V 1 RT (50 ) P 両辺に圧力の微小変化量 P をかけると RT V P P (52) P これを微分方程式として圧力 p0 から p1 まで (p0 p1) 積分するなら p1 dp dp RT p0 p1 RT p1 1 V dp (53) p0 P p0 P 関数 f(x)=1/x を積分したときの関数は F(x)=ln(x) であるので (ln は e を底とする自然対数 :log e ) p1 右辺 = RT ln( p1) RT ln( p0) RT ln (54) p0 ギブス自由エネルギーを表す式 (49) は次のようであったから ΔG = V ΔP (49) 式 (52) から得た式 (54) を当てはめると 状態 G 0 (p0,t) からG 1 (p1,t) へ変化する過程で 圧力が p0 から p1 まで変化するものとして, G 1 G 0 dg G( p1, T) G(p0,T) RT ln p1 p0 (55) あるいは これを書き直して

39 36 G(p1, T) = G( p0,t) + RT ln p1 p0 (56) 特別に G 0 (p0,t) を 標準状態 T=298.15K(25 ) p0=1atmに指定するなら 標準生成ギブス自由エネルギーを記号 G として G(p1, T) = G o + RT ln p1 (56 ) と 表すことができる 式 (56 ) の意味するところは 標準状態から圧力の変化を伴う過程で 理想気体のギブス自由エネルギーは 圧力の対数に比例して上昇することである このことは さらに新しい着想を生む すなわち 水素を燃料とする上の燃料電池で1atm 標準状態の水素ガスの圧力を2atm に上げれば 式 (56 ) から RT ln2 余分にギブス自由エネルギーが取り出せることになる 燃料電池において 起電力を生むエネルギーは隔壁を水素イオン もしくは酸素イオンが浸透しようとする力であるので 1atm の水素ガスと2atm のそれでは浸透しようとする圧力が異なり ここに起電力が生じる 式 (56) の第二項が圧力の差による仕事であるから これをΔG とすれば W=-ΔG の仕事量が電気エネルギーとして取り出せるはずである W = ΔG = RT ln p1 p0 (57) 起電力に換算するために式 (41) を使うと W = n FV= ΔG (41) から RT p1 V V = ln (58) nf p 0 この式 (58) は 一般にネルンスト (Nernst) の式と呼ばれる

40 37 理想溶液のギブス自由エネルギー理想気体を想定したように 無限に希釈された混合溶液に対して理想溶液を仮定する 系 の圧力温度を一定に保つならば 体積 内部エネルギー エンタルピー ギブス自由エネルギーなどの示量数は 混合溶液を構成する物質のモル数 mに比例する たとえば 標準状態にある物質の1モルの体積をVとすれば mモルの体積はそのm 倍 mvである そうすると 溶液中のi 番目の成分がm i モル 系 から 外界 に仕事をするとき その成分 iの持つ自由エネルギーの m i 倍の仕事が 外界 になされると考えればよい この溶液成分のモル数と化学的仕事を結びつける示強因子がギブスによって 化学ポテンシャルと名付けられ 一般に記号 μが用いられる 化学ポテンシャルは これまで見たようにギブス自由エネルギーで表される また 電位がψ( プサイ ) にある系から -Δeの電荷が放出されるときには -ψ Δeの電気的仕事が得られる そこで 記号 μに両者を合わせた意味を持たせて 電気化学ポテンシャル と呼ぶ 概念の上で 物質は電気化学ポテンシャルの高い方から低い方へ 勾配にしたがって移動する 理想気体の標準状態が気体分圧を T=298.15K(25 ) で 1atm としたのに対し 溶液成分の標準状態は その分圧に相当するモル数 m を用いる すなわち 標準状態にある成分 i の電気化学ポテンシャルμ 0 i は 成分の持つ電荷 (H + なら 1) を n として μ 0 i = G i +nfψ i (59) ギブス自由エネルギーは式 (56 ) を借り 理想溶液中の成分に対しては 気体圧力をその成分のモル濃度 Cに書き換えればよい そこで G(C,T) G RT ln C (60) と 表すことができる したがって 一般的な成分 i の電気化学ポテンシャルμ i を表す式は 標準状態からの自由エネルギーの変化を考え 式 (59) と合わせて 次のようになる

41 38 0 G nfψ i 式 (60) から よって G G( C i i, T ) G 0 RT ln Ci 0 RT ln Ci nfψ i i (61) 実際的なことを考えると 成分濃度はその有効イオン濃度とする必要があり 活量係数 γを導入して 次式で表されるイオン活量 aを用いる a i = γc i (62) 一般的には γ=1と近似して モル濃度 Cを使っている このテキストでも 必要ではない限り イオン活量を用いることを省略して 簡単に記述したい 膜電位燃料電池に使われたナフィオンのような 一つのイオンを通す膜を介して 膜の両側に C 0 とC 1 のイオン濃度差がある溶液が接するときの電気化学ポテンシャルを考えよう ある容器の底に ナフィオン膜を取り付け 容器の中と外のイオン濃度をC 0 とC 1 とし それぞれの電気化学ポテンシャルをそれぞれ μ in と μ out とする 式 (61) を使って 容器の中の電気化学ポテンシャル : in 0 RT ln C0 in nfψ (63) 容器の外の電気化学ポテンシャル : out 0 out RT ln C nfψ 1 (64) イオン浸透性の膜を介して 濃度変化が無視できるほどの移動があると考え その電気化学ポテンシャルの差を式 (63)(64) から求めれば

42 39 out in C1 out in RT ln nf( ψ ψ ) (65) C 0 この系において 今注目しているイオンが膜を介した両側で 平衡状態にあるとき 式 (65) はΔμ=0と考えることができる すなわち C1 out in RT ln nf( ψ ψ ) 0 C 0 膜内外の電位差を Δψ=ψ out ψ in とすれば RT C1 RT C ψ ln ln nf C nf C 0 (66) 0 1 式 (66) は 理想気体に対するネルンストの式 (58) と同様 溶液中のイオンに対する ネルンスト (Nernst) の式として与えられる 細胞の膜においても その生体膜の内外で たとえばカリウムイオンのように 非対称に分布して平衡に達している場合には 式 (66) で与えられる膜内外で電位差が生じる これは一般に膜電位と呼ばれる 膜電位は 平衡電位とも呼ばれる たとえば 膜内外に1 価のカリウムイオンに10 倍の濃度差があるとすると 通常カリウムイオンは細胞内の濃度が高いので C 0 = 10 C 1 であるから これを式 (66) に当てはめて ln(10)=2.303 を用い log への変換をすれば Δψ=2.303 (RT/F) log(10) である これに R= J/mol K F=96485 C/mol T= K(25 ) の各数値を当てはめると Δψ= /96485 J/C = volt すなわち 膜の内外で約 +60ミリボルトの膜電位が生じることになる この分だけ細胞の外側の電気化学ポテンシャルが高く 膜の内側の膜電位が負である そして 膜にあるカリウムチャネルがこの電位を示すとき 受動的なカリ

43 40 ウムの膜内外の移動は平衡に達することになる 水素イオン濃度測定 標準水素電極 は1モル塩酸溶液につけた白金電極に 1atm の水素ガスを吹き込んで平衡状態に達したときの電位を基準としてゼロボルトと規定した そこで ある溶液について その水素イオン濃度を知ろうとするとき 同じ水素電極を用いることを考えれば 標準状態にする目的で用いた1モル塩酸溶液を 濃度未知で X モルの塩酸溶液と想定すれば その水素イオン濃度を知ることができるだろうか 標準状態ではない X モルの塩酸溶液に浸けた白金電極が半電池として働くことは間違いなさそうである しかし その白金電極が持つ電極電位を測定するには いずれにしても 標準電極と組み合わせて 電池 を構成し その電池の起電力として計る必要がある 電池を作れば 起電力を知ることができ 相手の半電池の電極電位が知られていれば 濃度が未知で X モルの溶液について その水素イオン濃度を知ることができるだろう こうした目的のために いちいちゼロボルトと規定した標準水素電極を用いるのは煩雑なので しばしば後出の 銀 塩化銀電極 が参照電極として用いられる まず 予め 銀 塩化銀電極 を標準水素電極と組み合わせて電池とし 一度その起電力を測定しておけば 後はいつもそれを標準電極として利用できる 銀 塩化銀電極 の半電池は H + (1 mol/l), Cl - AgCl Ag(s) これに 標準水素電極 を組み合わせ 電池を構成すると 次のような電池になる Pt(s) H 2 (g) H + (1 mol/l), Cl - AgCl Ag(s) この 電池の起電力を知れば 銀 塩化銀電極 の半電池としての電極電位を知ることができ 参照電極として未知の半電池と組み合わせて 起電力を測定して 相手の電極電位を計算できる

44 41 濃度 X モルの塩酸溶液を未知の溶液と想定すれば その電極電位を知るために組み立てる電池は 次のようになる 図 10にその電池の図を示した Pt(s) H 2 (g) H + (x mol/l), Cl - AgCl Ag(s) この電池の全反応は 次の反応式で表される AgCl(s) 1 2 H 2(g) H Cl Ag(s) (67) 図 10: 未知溶液の水素イオン濃度を測定しようとするための電池 化学反応の一般的な式ここで 電池に利用される化学反応から 得られるエネルギーをギブス自由エネルギーに換算し 起電力を具体的に知る手だてとすることは 上ですでに学

45 42 んだが より一般的な式を 再度ここに書きだしておこう 化学反応が 紙面で左から右に進む反応として 次のような一般式で与えられ るとき aa + bb cc + dd (68) ギブス自由エネルギー変化量は 標準状態 ΔG からの変化量を加える形で式 (60) と同様 次の式によって表される G G RT(ln a c C a d D ln a a A a b B ) G RT ln a c d C a D a a b (69) A a B a A は 成分 A のイオン活量である その他の成分も同じ 得られたエネルギーを 電気エネルギーに換えるなら 式 (41) に習って 次式で表せば ΔG=-n FV V=-ΔG/(nF) (70) このときの起電力は 標準状態における電位 E からの変化量として次式で与えられる E E RT nf ln a c d C a D a a b (71) A a B 標準状態における起電力 E は 反応が平衡状態にあるときで 反応平衡定数を K とするなら K a c d C a D a a b (72) A a B で表される そこで E は次のように書き改めることができる

46 43 E RT ln K (73) nf そこで 式 (67) で表される図 10 の電池 水素 銀 塩化銀 電池 に 対する起電力をギブス自由エネルギーから求めてみよう 反応から 式 (71) に当てはめれば E E RT F ln a 1 a 1 1 H Cl a Ag a AgCl1 a H2 1 2 (74) 熱力学の慣例にしたがって 固体の純物質の活量は1として扱い 水素ガスを理想気体として見なして 活量を1atm とするなら 式 (74) は 次のように簡略化される E E RT F ln a a H (75) Cl ところで 理想溶液として近似的に取り扱うときの希薄溶液で たとえば水素イオン濃度は イオン活量として a H+ の記号を使うとき すでに 理想溶液のギブス自由エネルギー の章で述べたように これを有効イオン濃度とする必要があり イオン活量 a は 活量係数 γを導入して 次式で表した a H+= γ H+ C H+ (62) この 活量係数を導入して詳細に検討するなら 式 ( 75) で誘導される起電力を計ることによって 経験的に試料溶液中の水素イオン濃度を求めることは困難である 式 (75) にあるイオン活量の項は モル濃度 C と活量係数 γを用いて次式で書き改められる ln a H a Cl ln C H C Cl ln H Cl (76) つまり 式 (76) 右辺の第二項において 互いに相手が知られなければ自分を決めることができず 結果的に起電力を知っても (75) の値から水素イオン濃度を導けない ここに工夫が必要になる

47 44 ph の定義とその目盛り現在 ph の定義は 溶液中の水素イオン濃度を直接意味するものではなく 上で述べたように それが簡便に測定できるものではないため 次のように定義されている 水素イオン濃度を定義するとき 測定されるのは 1リットルの溶媒に存在する水素イオン活量であるため 定義式としては 活量係数をγ H+ として次式で与えられる ph = -log a H+ = -log(γ H+ C H+ ) (77) 実際に試料溶液の ph を決定する際は ph 標準液を用いる その要領は次のようである 上に図示した水素電極の容器内に溶液を入れ 試料溶液 X と ph 標準液 S を それぞれ半電池 (I) と (II) に入れる 半電池 (I): Pt H 2 (1 atm) 試料溶液 X 半電池 (II): Pt H 2 (1 atm) 試料溶液 S 参照電極として 上図のごとく銀 塩化銀電極を接続し電池を作成し その起電力を測定する 半電池 (I) のときの起電力を E(X) 半電池(II) のそれを E(S) とする このとき試料溶液 Xの ph は 次式で計算される E(S) E(X) ph(x) ph(s) (78) RT ln(10) ln(10) は 自然対数を常用対数に戻すための定数で を用いる ph 標準液上述した ph 標準液 S は ph 第一次標準液 第二次標準液と呼ばれるべきものであり 絶対的測定法である起電力の測定によって値をつける 標準液は 安定で純粋な結晶が得られる試薬を調整してこれを測定する 測定は上と同様に 水素電極を用いこれに緩衝液を入れる 参照電極として 銀 塩化銀電極を接続して電池の起電力を測定する たとえば 0.05 mol/l フタル酸水素カリウム溶液は 25 で ph を示す第一次標準 (Primary Standard: PS) の一つである 半電池 (III) として 水素

48 45 電極を次のように準備する 半電池 (III): Pt H 2 (1 atm) PS 溶液参照電極として 銀 塩化銀電極を接続して電池を形成したとき得られる起電力は 式 (75) から E E Ag / AgCl RT F ln a H a Cl (79) イオン活量を濃度と活量係数の積 (a H+= γ H+ C H+ ) にし 自然対数を常用対数 にすれば E E Ag / AgCl RT ln(10) F log( H +C H + Cl -C Cl - ) (80) E は 水素標準電極 ( 水素ガス分圧を 1atm 電極を浸ける溶液に 0.01 mol/l HCl を用いる ) で得た起電力である 式 (80) から RT ln(10) log( F H C H Cl ) (E E Ag / AgCl ) さらに RT ln(10) log C F Cl (81) log( H C H Cl ) F RT ln(10) (E E Ag / AgCl ) log C Cl (82) ところで 式 (77) から ph = -log a H+ = -log(γ H+ C H+ ) (77) であるが 右の式をさらに変形すると -log a H+ =-loga H+-log(γ Cl -) +log(γ Cl -) =-log(a H+γ Cl -) +log(γ Cl -) (83) 式 (83) の一番右の式で 第一項は

49 46 -log(a H+γ Cl -)=-log(γ H+ C H+ γ Cl -) (84) であって これは式 (82) の左辺である したがって 式 (82) の右辺で示されるように 電池の起電力を測定すればよい ただし 塩素イオン濃度の項があって 実際には 溶液の塩素イオン濃度をゼロにしたときの値が必要である 実測する際には 塩素イオン濃度をゼロにできないので 塩化ナトリウム NaCl 等を濃度を変えて添加し その時々の緩衝液で起電力を求め 外挿する 勧告では NaCl で mol/l の3つの濃度を例示している すなわち 塩素イオン濃度ゼロのときの値は 各塩素イオン濃度に対して起電力の値をそれぞれプロットし グラフから塩素イオンがゼロのときの起電力の値を 3 点に対する回帰直線の延長で外挿して求める この点を次のように書く log( C H H Cl C Cl 0 これによって ph を意味する式 (83) は 次式 (85) で与えられる pa log( C log( ) (85) H H H Cl C Cl 0 Cl p(a H γ Cl ) は RG Bates によって Acidity Function と呼ばれている さらに 式 (85) 最終項の log(γ Cl -) を補正しなければならない この項は 塩素イオンの活動係数で与えられる補正項である 無限希釈溶液中のイオンの活動係数は 理論的に Dubye-Huckel の式を用い 近似的に求めることが可能である これはJIS( 日本工業規格 ) によっても採用されていて Bates-Guggenheim の規約と呼ばれる (Bates RG, Guggenheim. Pure Appl Chem 1: , 1960) Dubye-Huckel の式は 次のように与えられる log i A I 1 i B I (86)

50 47 I はイオン強度で イオンiについて そのモル濃度計算される m i と電荷 z i から次式で I 1 m 2 i z i (87) また (86) 式の Bは温度と溶媒の性質による定数であり イオンの大 きさに関するパラメータで 水和イオンの大きさとほぼ一致した値をとる 標準法の勧告では塩素イオンに対し イオンの大きさを 4.6A と決めて i Bを 1.5 にしている そこで 式 (84) は次のようになる i は A I log (88) I Cl イオン強度 I は 塩素イオン濃度を含まない計算となる 以上の方法によって 実用的な ph 測定に用いられる第一次 第二次標準液の ph の値が得られる 参考 : 現在は 実験的に求めた値と 理論値の組み合わせで 絶対値としての水素イオン濃度を求める方法を規定している この起電力から水素イオン濃度を知るための測定方法は ph の絶対測定法 ( 第一次標準測定法 ) とされている ( Buck RP, Rondinini S, Covington AK, Baucke FGK, Brett CMA Camoes MF, Milton MJT, Mussini T, Naumann R, Pratt Kw, Spitzer P, Wilson GS: Measurement of ph definition, standards, and procedures. Pure Appl Chem 74(11): , 2002:Kristensen HB, Salomon A, Kokholm G:International ph scales and certification of ph. Anal Chem 63(18) 885A-891A, 1991) 銀 塩化銀参照電極銀 塩化銀参照電極は 分極現象を防ぐために 棒状の銀を塩酸で処理し 表面に塩化銀を生成させたものを飽和塩化カリウム溶液につけてある 電極の構成は Cl - (aq) AgCl(s) Ag(s)

51 48 この半反応は 次のようになる AgCl(s) + e - Ag(s) + Cl - (89) この反応は 次の2つの反応に分けて考えることができる AgCl(s) Ag + + Cl - (90) Ag + + e - Ag(s) (91) 図 11: 銀 塩化銀参照電極 式 (90) における銀イオン Ag + の溶解性は 共存する塩素イオンによって左右されることが推測される そこで カッコ [ ] を それによって囲まれるイオンの濃度を表すことにして 塩化銀の乖離定数 Kを考えると

52 49 K = [Ag + ] [Cl - ] (92) これから [Ag + ]= K/[Cl - ] (93) 塩化カリウム溶液に漬けた銀 塩化銀電極の電位 E は 水素標準電極に対する電位を E として 次式で与えられる E E RT [ Ag ] ln( ) nf [Ag(s)] (94) 熱力学の慣例にしたがって 純物質個体 Ag(s) のイオン活量は常に1とする ここで半反応の電極電位を求めるために 式 (75) を利用することにすれば E E RT F ln a H a (75) Cl これに銀イオンの濃度として 式 (93) を当てはめる この反応で移動する電子は 式 (89) の半反応をみると 銀イオン1つの反 応で電子 1つが移動するので n=1 とする R= J/mol K 1F = C/mol T=298.15K(25 ) ln(10)=2.303 などの定数を当てはめれば RT/F = であるから (94) 式は次のように表現できる log[cl ]) E E (log K (95) したがって 標準水素電極に対する銀 塩化銀参照電極の標準状態における電位 E は 半反応 (89) に対して E = である 塩化銀の乖離定数 K は であるので その対数を取れば である そこで 式 (95) は E = log[cl - ]

53 50 = log[cl - ] = log[cl - ] (96) こうして求めた 塩化カリウム溶液の濃度と電極電位の関係について 実測値と計算上の値は次のようである KCl mol/l vs SHE volt/25 計算値 volt/ 飽和 実用的な ph 測定実際の現場で 水素イオン濃度を測定する目的の測定法で 上のような2つの電極が同じ溶液に浸かっていたのでは 試料溶液を交換するにも便利ではない そこで 水素電極側の容器に入れる未知試料溶液と銀 塩化銀電極を隔離する目的で 二つの電極容器をつなぐ液絡部を グラスフィルターやセラミック板 飽和塩化カリウムで作成したゼラチンなどの塩橋によって隔離 遮断する これを液絡部とよぶ 電池として機能するために必要な溶液イオンの交換は この液絡部で行う 組み立てる電池は 電池式で 次のように表される Pt(s) H 2 試料 (H + x mol/l) 飽和 KCl AgCl Ag(s) 右の標準電極と銀 塩化銀電極とは区切られていて 溶液の直接の接触がないことを意味するために 電池式ではタテ二重線を用いる 銀 塩化銀参照電極の容器には飽和塩化カリウム溶液が入れられる

54 51 図 12: 液絡部のある ph 測定のための電池 この液絡部のある電池では 塩橋を記号 で表して次のように記す 試料 (H + x mol/l) 飽和 KCl ここでは 試料溶液と 飽和塩化カリウム溶液の異なる2 液が接している このような界面では 膜電力が生じるのと同様 液間電位差 が生じることが知られている したがって 上の電池で測定される起電力 E は E = E[ 銀 塩化銀電極電位 ]+E[ 液間電位 ]+E[ 水素電極電位 ] で与えられることになって E[ 液間電位 ] のために 図 12の電池の起電力は 銀 塩化銀参照電極の値を知っていても 水素電極容器内に入れた未知溶液の水素イオン濃度を正しく知ることができない

55 52 そこで実用的な測定法として この E[ 液間電位 ] を膜電位として積極的に利 用する方法が工夫された すなわち 水素イオンに感応するガラス薄膜を用いるガラス電極法である

56 53 ガラス電極ガラスは ケイ素原子と酸素原子からなる SiO 4 の結晶構造を持ち 酸素で囲まれた空隙があって 水素イオンがそれを埋めることができる この性質によって ガラス膜表面は水溶液中の水素イオンに応じて 膜電位を変化させるので これを水素イオン濃度測定用の電極として利用することが考えられる これが 通常用いられるガラス電極である ガラス電極は標準電極と組み合わせれば 電池を構成することができ この電池の起電力を知って ガラス薄膜の内外にできたイオン濃度勾配を知ろうとするものである 薄いガラス膜 (0.1mm 程度 ) をはさんで 接する2つの溶液のH + イオン濃度が異なると その差に応じてガラス膜の両側に電位差 (E g ) が現れる ネルンストの式で ガラス電極の内部に入れた既知の濃度のH + ([H + ] in ) に対し 試料中の水素イオン濃度が [H + ] sample のとき 次の電位を生じる E g RT [ H ] in [ H ] in ln( ) log( ) (97) F [ H ] [ H ] sample sample 図 13: ガラス電極電極を構成するのは 銀 塩化銀電極と同じ電極で 用いる塩溶液は 一般的

57 Ag(s) AgCl(s) HCl (0.1 M) H + (x mol/l) E g

58 55 E 1 : ガラス電極の内側電位 : Ag(s) AgCl(s) HCl (0.1 M) E g : ガラス薄膜の内外に生じる膜電位 HCl (0.1 M) ガラス薄膜 試料溶液 H + (x mol/l) E 2 : 液間電位 ( 膜電位 ): 銀 塩化銀標準電極のセラミックを介した試料溶液と銀 塩化銀標準電極の内部液 ( 飽和 KCl 溶液 ) の間に発生する電位試料溶液 H + (x mol/l) セラミック KCl( 飽和 ) E 3 : 銀 塩化銀標準電極 KCl( 飽和 ) AgCl(s) Ag(s) ph メーター用のガラス電極に使われるガラス薄膜は 水素イオンに感応して膜電位 (E g ) を生じる これは 膜電位 の章で記したように 薄膜が ある一つのイオンのみを通過させる特性を持っている場合に イオンが膜を介した両側で平衡状態に達したとして 電気化学ポテンシャルを膜の両側で等しいと考えて そのイオンが濃厚な側から希薄な側にその差によって圧力を生じるとするものである 一方 同じ試料溶液が 銀 塩化銀標準電極のセラミック液絡部を介して生じるだろう液間電位 ( 膜電位 :E 2 ) は いま関心がある水素イオンに対して特異的に感応するのではないので 試料溶液の水素イオン濃度に関係なく一定と見なすことができる すなわち ph メーターを構成する電池の起電力 E は E = E 1 +E g +E 2 +E 3 (98) このうち E g 以外は一定と見なせるので E 1 +E 2 +E 3 = E* として式 (98) を書き直すと [ H ] in E E * E g E * log( ) (99) [ H ] sample E* は 標準液によって校正されるべき標準電極電位である

59 56 E H = E * +β logc H E L = E * +β log C L ΔE = E H E L = β(log C H log C L ) = βlog C H C L β = ΔE log C H C L ph

60 57 15-crown-5 15-crown ph Bis[(benzo-15-crown-5) Bis[(benzo-15-crown-5)-4-methyl]pimelate Bis[(12-crown-4) Dibenzyl-bis[(12-crown-4)

61 58

62 59 Xia Z, Badr IHA, Plummer SL, Cullen L, Bachas LG: Synthesis and evaluation of a bis(crown ether) ionophore with a conformationally constained bridge in ione- selective electrodes. Anal Sci 14(2): , 1998; Oh K-C, Kang EC, Cho YL, Jeong K-S, Y oo E-A, Paeng K-J: Potassium-selective PVC membrane electrodes based on newly synthesized cis- and trans-bis(crown ether)s. ibid 14(10): , 1998; Dojindo WEB site:

63 < 補遺 > 60 補遺 状態関数 ( 本文 p21, 10 行目参照 ) 一つの平衡状態にある系 A と これに接する系 A にとって外部である系 B について 系 B から系 A に熱を与え これによって系 A が他の平衡状態に移ったとき 系 A はその結果とし て膨張し系 B に対し仕事をする このときの微少な熱量の移動を記号 d Q また なされた微少な仕事を d W とすると 系 A の内部エネルギーに関する微少な変化 d UA は両者の和として表される d U A = d Q d W (a-1) この式 a-1 と本文中の式 25との関係について Δ = Q ΔW 本文(25) U A

64 < 補遺 > 61 式 a-1 と式 25 の記号の違いは 変化の起きる前の平衡状態 S1 から 変化後の平衡状態 S2 に状態変化があったとするなら 式 a-1 を積分することで 式 25 が得られるものと考えて区 別している S 2 S1 d U A = ΔU A (a-2) このことは重要である すなわち 内部エネルギー U は変化の起きる前後の状態を指定することによって 値が定まることを意味する このように積分によって値を定めることが出来るので d U は完全微分であるという 内部エネルギーのように 系の状態だけで値の定まる量を 状態関数として扱う 一方 式 a-1 の d Q d W についても同様に微少の変化量を表しているが 平衡状態 S1 から S2 への経路を指定しなければ積分の値は定まらない 本文中の記号にしたがって 仕事量 ΔW を次のように表すことにする ΔW = pδ V 本文(20)

65 < 補遺 > 62 体積と圧力の関係を表す図を使って この仕事量が意味することを考える 圧力 p の下で体積が V1 であるときを状態 S1 として 圧力一定の下で体積を V2 まで膨張させるような変化を行った後 体積を等しく保って圧力を p にまで上げたときの状態を S2 とする このときの仕事量は膨張に伴うものであるから 図の体積 圧力線の下の面積で示すことができる 平衡状態 S1 から S2 への変化の道筋を別にたどってみよう 新しい経路では 圧力を先に p まで上げた後に膨張変化させている 図から直感的に明らかであるので数式での扱いを省略するが 2 つの経路による仕事量には差がある すなわち d W は d U と異なり 変化の初め S1 と終わり S2 の状態が与えられても積分値は定まらず 変化の経路によって違ってくる このように変化の経路を指定しなければ積分値が定まらないものを 不完全微分と呼び 扱いを区別する 本文 p21 へ戻る

66 < 補遺 > 63 エンタルピー ( 本文 p24, 20 行目参照 ) 本文中の式 20 および 25 から 一定の圧力の元で起きる状態変化において 内部エネルギー の変化量に対する式 a-3 を得る W pv U Q W U Q pv 本文 (20) 本文 (25) (a-3) 式 a-3 を Q について書き直す Q U pv (a-4) 状態の変化が 平衡状態 S1 から平衡状態 S2 に移ったものとして式 a-4 を丁寧に書き直すと 並び替えて Q Q U U p V V S 2 S1 S 2 S1 U pvv U pvv S 2 S 2 S1 S1 (a-5) (a-6) 式 a-6 を見ると 定圧過程における熱量の流入は U pvv (a-7) の形を持つ関数の差であることが分かる 一般に化学反応のような変化の過程では 大気圧の下で行われるようなものに興味がある そこで 式 a-7 で与えられる項を一つの関数として定義する これをエンタルピーと呼び 記号 H を与える 式 a-4 は エンタルピーの変化量で次のように書き改められる Q H S 2 H S1 H U p V (a-8) 圧力が一定の下で起こる状態変化について 流入する熱量は式 a-8 で示されるようにエンタ ルピーの変化量に等しい

67 < 補遺 > 64 また 式 a-8 から オートクレーブ内で起こるような体積変化のない過程では この値が内 部エネルギーの変化量で与えられることが明らかである 本文 p24 へ戻る エントロピー ( 本文 p26, 17 行目参照 ) エントロピーは次のような思考実験から発想された仮想的な状態関数である 理想気体よりなる系 A が温度 T 2 で熱平衡状態にあり 温度 T1 の外部の熱源と接していることを想定する 系 A の外部を系 B と呼ぶことにする T1 は T2 に対して無限小だけ高い温度とする 系 A が系 B に対して温度 圧力について平衡を保ちながら緩慢に系 B より熱量 Q1 を受け取る過程を考える ( このような過程を準静的過程と呼ぶ ) これによって系 A が熱量 Q1 を得て膨張するとき系 B に対して仕事をする 続いて 系 A から熱量 Q2 が系 B に戻ることを考える 想定されるこの変化が可逆的であれば 系 A と系 B を併せた全体は元の状態に戻る 蒸気機関に関するこのような研究が Nicolas Carnot によってなされたのは 1824 年のことであった ここに想定されたサイクルに対する Carnot の効率 e は 移動した熱量と なされた仕事によって定義され 次の式で表される W e Q 1 (b-1)

68 < 補遺 > 65 理想気体では 内部エネルギー U の変化 ΔU はゼロと考える したがって 熱力学の第一法 則を表す式 ( 本文中の式 25) から次の関係が示される ΔU = Q ΔW = 0 Q = ΔW (b-2) これによって Carnot Cycle の効率 e は Q2<0 として次のように書き改めることが出来る e Q + Q Q 1 2 = (b-3) 1 ところで 気体の状態方程式から 1 モルの気体について 次のような関係が示される P V = RT 1 P = RT V (b-4) 式 b-4 の両辺に体積の微少変化量 ΔV をかけて 1 PΔ V = RT Δ V (b-5) V これを体積 Vについて その変化をV1からV2までとして積分するならば 次式が得られる V 2 V 2 V 1 1 V1 1 2 PdVV = RT V = RT ln 2 V 1 dvv V 1 (b-6) Q1 の熱量によって起こる膨張が V1 より V2 までとし 圧力 P 温度 T 1 の下でなされるその仕事 量を W1 とするなら それは式 b-6 の右辺によって示される すなわち V 2 1 RT1 ln V 1 W = (b-7)

69 < 補遺 > 66 また Q2 の熱量の移動が圧力 P 温度 T2 の下で起き これによって系 A が可逆的に圧縮され るなら 体積変化は V2 より V 1 まで起こり その仕事量を W2 で示すと次式のように表される W V 1 2 = RT2 ln = RT2 ln V2 V2 V 1 (b-8) Q1=W1 Q2=W2 の関係から 式 b-7 および b-8 を用いて Carnot Cycle の効率 e を表す式 b-3 を書き改めると 温度のみの関係式として次のように表される e T T T 1 2 = (b-9) 1 ここでサイクルが可逆的過程であると想定するならば 式 b-3 と式 b-9 から これから e T Q + Q T T = = Q1 T (b-10) 1 1Q1 T1Q 2 = T1Q1 T2Q1 + (b-11) 整理すると Q T T Q 2 2 = 0 (b-12) この考えをさらに発展させ 系 A と系 B の間に数多くの系を挿入すること にして それらの系を同様に熱源として T1 T2 Tn と考える これによっ て熱の受け渡しが 系 A から系 B に至り 再び系 A にもどるサイクル過程に 数多 くの寄り道の過程を加えることになる 熱量の移動に関して上の場合と同じく 準静的過程で行われると考える この サイクル全過程について 初めと終わ

70 < 補遺 > 67 りが同じ状態になる可逆的な過程であるなら 式 b-12 を拡大的に考えることになって それ は次式で表される n i1 Q T i i 0 (b-13) 式 b-13 には重要な関数が現れる すなわち熱量と温度の比 Q/T である もし 一つの系が無限小だけ温度の高い (dt ) 外界から 温度 圧力など平衡を保ちながら極めて緩慢な過程 ( 準静的過程 ) で無限小の熱量 (dq ) を受け取るならば その変化は可逆的であり dt について 連続的な温度分布をする過程を考えるとき 式 b-13 をさらに発展させて 次のように積分式で示すことが出来る dq 0 T (b-14) 式 b-14 で積分記号に が付されているのは Carnot Cycle のような経路を一巡することを意味している Carnot の熱機関の効率という着想から生まれた 熱量とそれを持つ系の温度との比 Q/T に重要な意味を見出したのは Rudolph Clausius で 彼はこの比にエントロピーという名前を与えた エントロピーには記号 ΔS を一般に用いる Q S T (b-15) エントロピーは初めと終わりの状態がわかれば 過程に関わらず定まるので 状態関数である 系 A と外界のエントロピー変化を考えるとき それが可逆的過程であるならば すべてを併せた全体のエントロピー変化は 初めと終わりに変化がないという意味でゼロである すなわち 初めの状態を S(A 1 ) とし 次の状態を S(A 2 ) とするなら それぞれのエントロピーを ΔS(A 1 ) ΔS(A 2 ) として この間におけるエントロピーの変化量は次のように示される S A ) S( A ) ( 2 1 dq T (b-16)

71 < 補遺 > 68 ある一つの変化については 次のように示される dq ds T (b-17) ここで式 b-17 の S に付けられたdは微分量 すなわちごく微小の変化量を意味し 式 b-15 で定義された エントロピーに用いられる一般的な記号 Δと区別する ところで 式 b-10 の関係において もし移動した熱量のすべてが仕事に変わらなければ 効率 e を表す熱量を用いた関係式と温度で表される関係式は等号で結ぶことができない それはエネルギーのロスを意味し 初めと終わりの状態が異なってしまうことを意味する すなわち全過程が構成する一つのサイクルは可逆的でなくなる 不可逆過程での熱効率 e は 最大値を示す可逆的過程の熱効率 e より小さな値をとる e e' したがって 最大効率を与える式 b-8 と式 b-3 から T1 T2 T T Q T Q 両辺を T 1 T 2 で割ると 2 1 Q1 Q Q T Q 2 1 T Q Q T 1 1 T Q これを 式 b12 と同様に発展させれば 式 b-14 について サイクルの変化が可逆的過程の場合と不可逆的過程の場合の両方を併せ Clausius の不等式と呼ばれる次の関係が成立する dq 0 (b-18) T 式 b-18 の等号が成立するのは サイクルが可逆的な理想の場合に限られる ある孤立系で 状態 A1 から状態 A2 へは不可逆変化で進められ 状態 A2 から再び状態 A1 に戻るとき 可逆変化であるような閉じた状態変化を考える 可逆系のエントロピー変化には記号 Q を使い 不可逆変化には Q' を用いるとすると それぞれ積分式を用いて状態 A1 から状態 A2 へは

72 < 補遺 > 69 d 状態 A2 から状態 A1 に戻るときは 全体では d d = d + d (b-19) Clausius の不等式から d 0 式 (b-19) の第二項で 反応を逆に進めるときには次のように書き改めることができる d = d よって 式 (b-19) は次のように書き直すことができ Clausius の不等式とあわせると すなわち d d 0 d d 上式の右辺は式 (b-16) を用いて表せば d S この状態変化を微小変化とするならば 断熱変化の場合 dq = 0 であるから S ds0 すなわち不可逆変化を含む断熱変化ではエントロピーは必ず増大する

73 < 補遺 > 70 S 0 (b-20) ( 次の < 補遺 > ギブス自由エネルギーも参照せよ ) 本文 p26 へ戻る ギブス自由エネルギー ( 本文 p28, 27 行目参照 ) エントロピーの考えを導入することによって 不可逆的に状態変化が起きるときには エントロピーの増大を引き起こすことを知った これによって目前で起きる現象について 温度の変化があるものであれないものであれ また圧力の変化があるものであっても エントロピーの定義式によって可逆的な変化におけるエントロピーの変化量を計算することが可能である Q S T (b-15) しかしながら これから起こる変化について 我々がすでにあらかじめ知っている物理量を用いて 予測的にその状態変化が起きるかどうか知ることは必ずしも容易ではない その理由は 式 b-15 に示されたエントロピー ΔS が系とその外界をあわせた全体のエントロピーを示しているからである すなわち 関心のある系を系 A とし その外界を系 B とすると 全体のエントロピーは次のように表せる S S A S B (c-1) 関心のある系 A のエントロピー変化を知るためには 系 B のそれを知ればよいが それは いつも容易とは限らない 系 A の性質だけで 状態変化の方向を知るには別の観点が必要にな るようだ そこで もう一度状態変化が熱量 Q の移動によって起きることについて考えてみよう エン トロピーの補遺で議論したように 熱量の移動が準静的過程により行われるときには変化は可 逆的に起こると考えた このとき外界 すなわち系 B から移動する熱量を Q1 とし 系 A から

74 < 補遺 > 71 のそれを Q2 と記号を当てたので これをそのまま使うことにすれば 可逆的な過程では系 B の熱量 Q1 は すなわち系 A から戻る Q2 に他ならないので 両者には次の関係が成立するも のとしてよい したがって Q 1 Q 2 Q T Q T 1 2 S B (c-2) (c-3) と考えてよく これによって 式 c-1 を次のように書きなおすことが出来る S S A Q T 2 (c-4) 独立した系で 圧力とその体積に変化がなく一定の条件の下で状態変化が起きるとき エン タルピーの考えを使って すでにひとつの関係があることを導いている H Q 本文 (31) そこで 式 c-4 を系のエンタルピー ΔHA によって書き改めれば S S A H T A (c-5) この両辺に -T をかけて式を書き直せば次の関係式が得られる T S H T A S A (c-6) 式 c-6 を見るとき その右辺がマイナスの値ならば 左辺のΔS はプラスの値をとることが分かる すなわちエントロピーが増大すると見ることが出来る これまでの過程で 自然の現象はエントロピーが増大する方向に進むとしてきたので 関心のある状態変化について 式 c-6 の右辺で計算される値がマイナスの値ならば その変化は起きるものと考えてよいことになるだろう しかも 右辺はすべて独立した系の状態量で示されていて 我々が知りうる値で計算

75 < 補遺 > 72 可能である そこで これを熱力学ポテンシャルを表すものとして ギブス自由エネルギーと呼ぶことに する ギブス自由エネルギーは記号 G が用いられ 次のように定義される G H TS (c-7) ここで関心があるのは自由エネルギーの絶対値ではなく式 c-6 に示されたようにその変化量に興味があるので 式 c-7 から G H T S T S (c-8) 温度が一定の条件の下で状態変化が起きることを考えるなら 式 c-8 は次のように書くこと ができる G H T S (c-9) ギブス自由エネルギーは 式 c-9 の右辺がすべて状態量であるから これも状態量の一つである 定圧 定温の条件下で起きる変化では すでに議論したようにΔG<0 であれば 状態変化は自発的に起きるものと予測できる つまり 式 c-5 の第一項は系のエントロピー ΔSA そのものであり 第二項で示されるエンタルピーは 系 A の温度が一定に保たれているのであるから 発熱する熱量として外界に吸収されるものであって これは外界のエントロピーの増大につながるものとして解釈される したがって 化学反応のように一定の圧力と一定の温度の下で起きる変化について 自由エネルギー変化量は その状態変化が自発的に起きる傾向を示しているといってよい 本文 p28 へ戻る

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