positron2018

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1 陽電子陽電子 (positron) は 1930 年 Dirac によって理論的予言され 1933 年に Anderson によって発見された電子の反粒子である その性質としては電子の静止質量と同質量 m 同じスピン 反対符号の正電荷を持つため 電子と極性を反対にみることでほぼ同じ扱いをとることができる 陽電子を放出する白色陽電子線源としては主に 22 Na(T 1/2 =2.6years), 58 Co(T 1/2 =71days), 64 Cu(T 1/2 =12hour) 68 Ge(T 1/2 =288days) 等が存在し ( 表 1) これらのβ + 崩壊する放射性同位元素は同時に MeV 程度の最大エネルギーを持つ陽電子を放出する また 陽電子は物質中に入射すると物質中の電子やイオンコアとの非弾性散乱を繰り返しながら急速にエネルギーを熱エネルギー程度まで失い ( 熱化過程 : thermalization) その後 μm の深さまで拡散し 周囲の電子と対消滅する 熱化過程に要する時間はわずかに数 psec であるが熱化した陽電子の寿命は消滅位置に依存し それぞれの位置でおよそ数 100psec から数 nsec もの長い時間を過ごした後で消滅する ( 図 ) このように陽電子は 電子同様本来安定な粒子なので 消滅する際の環境によってその寿命が大きく左右される また 消滅する際には必ず周りの物質の構成要素である電子との対消滅を起こし エネルギー保存の法則から次のような反応によりγ 線を放出する E total = 2mc 2 + E e + + E e ここで Ee+ Ee-はそれぞれ対消滅前の陽電子と電子の運動エネルギー c は光速である このときの2mc 2 がそれぞれ mc 2 ( 0.511MeV) のエネルギーを持つ2 本のγ 線となって消滅前の運動量を保存したままでπ-θ(θ 0 ) 方向に放出される ( 図 ) 表 1 陽電子を放出する色々な放射性同位元素

2 陽電子はその特徴を有効に用いることで結晶中の ( 特に格子欠陥の ) 情報を引き出すためのプローブとして用いることが可能である 陽電子をプローブとして用いた実験方法には 寿命測定 (Positron annihilation lifetime measurement) ドップ 陽電子寿命ドップラー拡がり γ γ 角相関 ラー広がり (Doppler broadning) γ -γ 角相関 (γ-γ Anguler correlation of annihilation radiation) 等がある 陽電子寿命測定法では欠陥の種類及びサイズ またはそれらの欠陥濃度等の情報を得ることが可能である 一方角相関及びドップラー広がり実験に於いては 陽電子消滅の際放出される2 本のγ 線の放出方向のずれθとエネルギー変化からそれぞれ消滅相手の電子の γ 線に対する接線方向 垂直方向の運動量分布が得られる このことから結晶のフェルミ分布などを調べることが可能である また寿命測定同様格子欠陥の情報も得ることができる このように陽電子を用いた実験で対象となる欠陥のサイズは図にあるように 1 原子程度の大きさから検出可能であるのでミクロな格子欠陥の情報を得る方法としては最高の感度を持つ e+ 陽電子消滅陽電子対消滅寿命は消滅する際の周囲の電子状態に強く依存している 陽電子は電子の反粒子であるためその記述は反対符号になる 完全結晶中での電子のポテンシャルを Hartree-Fock-Slater 近似を基に考えると電子の波動関数 ψ-は

3 [ 2 + V( r) ]y ( r) = E y ( r) (1) から求まる 同様に陽電子の波動関数 ψ+ は次のように書き表せる [ 2 + V( r) ]y + ( r) = E + y + ( r) (2) また 2 光子消滅時の光子対 ( 運動量 p 1, p 2 ) の波動関数をそれぞれ " y p1 ( r) = exp ir p 1$ # % y p2 " ( r) = exp ir p 2 $ # % (3) とした場合 これらの電子 陽電子及び光子対の波動関数の重ね合せ積分により陽電 子の消滅確率が容易に示される (h はプランク定数 ) { ( ) } Γ( p)d 3 p d 3 ry ( r)y + ( r)exp ir p 1 + p 2 このことから 陽電子の消滅には周囲の電子状態が大きく関わっていることが明らか である そのため陽電子は結晶中の電子状態を調べるのに非常に有効なプローブであ り 欠陥や不純物による電子状態の変化を敏感に感知するはずである しかし 陽電 子の寿命計算の分野に於いては M.J.Puska らの局所密度近似 (LDA) による純金属中の 原子空孔の寿命に始まり 現在では半導体や超伝導体の計算が盛んであるが LDA は合金の寿命計算は炭化物などごく一部である これは 半導体等ではバンド計算が 可能で多くのポテンシャルが様々な計算において発展しているためであり 非対称の 不純物や欠陥を遷移金属に導入するとバンド計算が極めて困難になるが 最近では計 算機の性能向上と第一原理計算手法により 様々な系での計算も可能になりつつある 陽電子が結晶中で局在したことによる原子および電子の変位を考えずに 代わりに エンハンスメント効果により表現すると 結晶中での陽電子が感じるポテンシャルは クーロンポテンシャル (Vc : Coulomb part) と 電子と陽電子の引力によるパイルアップ 2 d 3 p に寄与している相関ポテンシャル (Vcorr : correlation part) との和で表わされる V r ( ) = V c ( r) + V corr n ( r) (4) [ ] (5) 第一項のクーロン相互作用は原子核 内核電子 d 電子と陽電子とのクーロンポテン シャルで表わされる V c ( r) = i $ 2Z 2 r i r ( t)dt 2 r i r 0 i % & r i r ( t) ' dt t ( ) ここで Z は原子番号 ri は i 番目の原子からの距離 t は原子の中心からの距離 ( 半径 (6)

4 t の球 ) で その位置 t での微小幅 dt の殻内の電子数を r(t) とする 一方 第二項は相 関ポテンシャルと呼ばれる 続いて陽電子の波動関数である 陽電子の波動関数は (2) に示される Schrödinger 方程 式から数値緩和法によって解くことができる (Kimball and Shortley method) 式 (6) の ポテンシャルを式 (5) に代入し 変分法により n 回目の陽電子の波動関数を試行関数で 表わすと期待されるエネルギー固有値は e ( n) = i ( 1 n y h 2 + )* ( ) ( n) ( ) y + ( ) r i # % ( n) & r k 6y + ( r i ) $ ' + V r n ( i)y + k i ( ) 2 ( n) y + r i このエネルギーを用いて n+1 回目の試行関数が得られる ( n +1) y + r i ( ) = k 6 + h 2 V r i ( ) ( ) 2 r i +,- (7) ( n) y + ( r k ) ( ( ) e ( n) ) (8) この波動関数を用いて寿命が求まる 陽電子の消滅速度 λ は消滅位置での電子及び陽 電子の密度分布を重ね合せ これに消滅断面積 σ を掛ける事によって得られる l = s drn + [ ( ( )) + n c ( r)γ c + n d ( r)γ d ] (9) ( r) n v ( r)γ v n v r ここで消滅断面積 σ は 光速を c r 0 を古典電子半径とし 静止している電子との消 滅を考えると s = pr o 2 c (10) Rh atom Fe atom [110] [001 ] である また陽電子を結晶中に置いた場合 電子との 相互作用により電子状態が変化する そのとき原子の持つ価電子密度 nv 内核電子密

5 度 nc d 電子密度 nd に因子 Γ(enhancement factor) をそれぞれ掛ける必要がある さら に 陽電子の密度分布は (8) 式で得られた波動関数によって決定される n + ( r) = y + ( r) 2 (11) 近年の第一原理計算では式 (1),(2) を相関交換エネルギーを最小にするように電子と 陽電子の波動関数を厳密に解き 原子および電子変位を含んだ計算が行われる 一方 消滅までの過程を厳密に考えると 先に述べたように陽電子は物質中に入射 されると電子と非弾性散乱を繰り返し 急速にエネルギーを失う この熱化過程で熱 エネルギー程度 ( 室温で 0.025eV) に減速されるまでにかかる時間はおよそ 秒であ る 熱化の原因はプラズモン励起とイオン化であるが イオン化ポテンシャル以下の エネルギーまで減速されると電子 正孔対生成やフォノン励起が原因となる 熱化し た陽電子 ( 熱化陽電子 ) は 秒程度の間に電子と対消滅する 対消滅と同時に エネルギー保存則と運動量保存則に従って光子が放出される 図に 1 光子 2 光子 3 光子消滅に対するファインマンダイアグラムを示した 今 それぞれの消滅過程の断 面積 ( 消滅断面積 ) を σ (1) σ (2) σ (3) とすると 非束縛状態の陽電子は次のような関 係になる s ( 2) > s ( 3) > s ( 1) (12) s ( 3) s ( 2) = 4( p 2 9) a 3p =1/372 (13) ここで a = e 2 /! 2 c =1/137は微細構造因子である (12) (13) 式より 対消滅で放出される光子は確率的に 2 光子の場合がほとんどであると言える 静止している電子との 2 光子消滅の断面積は 陽電子が十分熱化されている場合 古 典電子半径を r B 陽電子の速度を v 光速を c とすると

6 s ( 2) = pr 2 Bc v (14) となり 消滅断面積は陽電子の速度に反比例することがわかる 今 陽電子が静止し ていると考えると 消滅相手の電子の速度はこれらの相対速度 -v となり 単位時間 単位断面積あたりの電子の流束 φ は n e を対消滅サイトの電子密度とすると f = vn e (15) となる 単位時間あたりに対消滅が起こる確率が消滅速度 λ に相当するので (14) (15) を用いて l = s ( 2) f (16) l = pr B 2 cn e (17) となり 結晶中での理論的な消滅率が単純にその位置での電子密度に比例しているこ とがわかる これは前述の厳密な消滅率を電子密度を単純化して記述したにすぎない ( 同じ意味の式である ) ここで陽電子の消滅率の逆数から 陽電子対消滅寿命は t = 1 l 500 (18) で与えられる このように陽電子寿命 τはλの逆数で表され 本手法によって結晶中の空孔型欠陥での陽電子寿命は一意的に求められる これを実験的に測定して欠陥のサイズや種類を同定する方法が陽電子消滅寿命測定法である Positron lifetime (ps) Fe Mo Al Ni 陽電子実験の解析陽電子対消滅寿命を解析により求めるためにはトラッピングモデルに従って寿命成分を求める そこでまず Two State Trapping Model を仮定し これを一般化する このモデルは 物質中に陽電子が捕獲されるポテンシャルの穴が2つ ( 特に ここでは一つは空孔型欠陥 v ひとつは捕獲されない陽電子の電子との自由消滅 f を仮定する ) 一般に陽電子は放射性同位元素の崩壊と同じように時間 の関数で指数関数的に減少していく t n f ( ) = n 0 exp( l t) (19) Number of vacancies

7 ここで nf は時間 t 後の陽電子の数 n 0 は全陽電子数 λ は陽電子の消滅確率である この陽電子を一種類の欠陥のみ存在する結晶に n 個 /sec の割合で結晶中に導入する このときの陽電子の存在確率を反応速度論に基づいて方程式を立てると dn f dt = l f n f k v n f +k v n v (20) dn v dt = l vn v +k v n f k v n v (21) ここで nf nv はそれぞれ自由な陽電子の数と空孔に捕獲されている陽電子の数 λf λv はそれぞれの位置での陽電子の消滅確率 κv は空孔への捕獲速度 ( 確率 ) κv は空孔からの再放出速度 ( 確率 ) を示す この (20) (21) 式を一般化し i 種類の欠陥 が存在している場合について考えると 自由な陽電子数 Nf と i 種類の欠陥に捕獲され ている陽電子数 Ni により式 (20) (21) はそれぞれ次のよう書き表せる dn f dt dn i dt N = l f N f k i N f + k i N i N i =1 N i=1 = l i N i + k i N f k i N i i =1 N i =1 これらの両式のうち第一項は自由な陽電子の消滅 第二項は欠陥に捕獲された陽電子 の消滅 第三項は欠陥に捕獲された後再びデトラップされ完全結晶中で消滅した陽電 子を表わしている そこで第三項を 0 Ni(0)=0 Nf(0)=N0 の初期条件ををこれらの 式に代入することにより Nf, Ni が求まる N f = N 0 exp( l 0 t) k i N i = N 0 l 0 l i [ exp( l i t) exp( l 0 t) ] (22) (23) ( l 0 = l f + k i ) (24) 陽電子の寿命スペクトル T(t) はマトリクス中での消滅陽電子数と欠陥に捕獲され消滅 した陽電子数の和で表わすことができる (25)

8 T = l 0 N f + N i = 2 l i N i # = N 0 l 0 exp l 0 t $ % ( ) + N i =2 l i k i & { exp( l l 0 l i t) exp( l 0 t )} i ' ( (26) このときの λ 及び κ を用いて 陽電子寿命及びその相対強度を各々 t 1 =1 l f + I i = ( k i ) t n =1 l n (27) k i l 0 l i I 1 = 1 N i= 2 " $ k i % ' # l 0 l i & とおく このとき陽電子の平均寿命 τ は t = n i =1 t i I i (28) (29) で求まる さらに二成分解析により分解されなかった中間成分を評価するために 実験によって得られる長寿命成分のパラメータを用いて逆に計算からマトリクスの寿命を予測する このとき計算されたτ1 と解析によるτ1 が一致していれば実際に長寿命成分のみが存在するが 一致しない場合には長寿命成分以外の中間成分への陽電子のトラップが起こっていることになる そこで (28) 式を二成分の式にもどすと k v I 2 = 1 t 1 1 t 2 (30) また自由な陽電子の式 (24) から予想されるマトリクスの寿命をとすると t 1 cal ( ) ( ) (31) =1 l = 1 l f +k v = t f 1 +t f k v 式 (30), (31) から κv を消去して実験によるパラメータのみでが決まる t 1 cal = 1 I 2 1 t f I 2 t 2 (32) ここでは αfe の場合に τf=110psec を用いる また二成分解析に於ける陽電子の捕獲 速度は (4.12) 式から k v = I 2 ( 1 t f 1 t 2 ) I 1 = m v c v (33) として求められ 欠陥濃度が評価される ここで μ は単位濃度当りの陽電子捕獲速度

9 C は欠陥濃度である このときの (26) 式を理想的な寿命スペクトルとして実験により得られたスペクトルを最小二乗法により近似する一般的な陽電子寿命の解析方法である ところが実際にこの解析方法では寿命成分の数すなわち (26) 式に於ける i=3 が限界である そのためこのプログラムの欠点としては 結晶中に2 成分以上の欠陥が存在する場合 それらの欠陥を計算により平均化してしまいそれ以上分解不可能であること 解析が装置の時間分解能に依存するため分解能が悪い場合には寿命の成分解析が非常に難しいこと 欠陥の値が不明な場合に入力する初期値によって計算結果が多少ずれてしまうことである そこで最近これらの問題点を解決された陽電子寿命解析プログラム CONTIN-PALS-II が Gregory によって開発され 特にポジトロニウム化学の分野で多く用いられるようになってきている そこで 次に陽電子寿命の多成分解析について述べる この方法では基本的にはラプラス逆変換により寿命の分布関数を表す その方法は単純には (4.8) 式の和の形を装置の分解能及び規格化定数を含まない単純な n 成分のスペクトルと考えるとき n ( ) T( t) = I i l i exp l i t i=1 となり I を寿命成分 λの連続分布関数と考え この式を積分表記に置き換えると次のように書き表せる (34) T( t) = I( l )l exp( l t) dl 0 (35) この式からラプラス逆変換により関数 I(λ) を求めるのである しかし実際には (35) は 実験装置の時間分解能 F(t) を含んでいるため 本来の寿命スペクトルは S(t)=F(t)*T(t) の形で観測されている 本解析法では参照スペクトル ( 完全結晶など ) と実測スペク トルの 2 つのスペクトルを用いてこの時間分解能を消去してしまうのである まずそ れぞれの参照スペクトル及び欠陥を含むスペクトルをそれぞれ Sr(t), S(t) とし 全カウ ント数 N 時間分解能 F(t) 及びスペクトル成分 T(t) を用いて表わすと S r ( t) = N r F( t) *T r ( t) S( t) = N F( t)* T( t) (36) と書くことができ それぞれの時間分解能は等しい そこで (4.18) の両式を畳み込む ことによって S( t)* T r t ( ) = NN r 1 T t ( )* S r t ( ) (37) のように時間分解能を消去した形にすることが可能である さらにこの式をラプラス

10 変換の積の形に変形し Tr(t) を求めておく S( s)t r ( s) = NN 1 r T( s)s r s T r ( t) = I( l )exp( st) exp( l r t )dt 0 ( ) (37) = l r l r + s (38) これらの結果を用いて S(t) について解く ((37) 式に (38) を代入し 両辺をラプラス逆 変換する ) と S( t) = NN 1 r l 1 1 r I r l I l 0 { ( )S t r( ) * exp ( l t )}dl (39) ( ) 1+ l r l 一般的なラプラス変換を行う場合の変換演算子を持つ式で陽電子寿命スペクトルを 表わすと ( ) = P( l ) K l,t 0 s t N L ( )dl + b i L i t i =1 ( ) この式と比較すると 陽電子寿命の関数で相対強度を書き表せていることが解る P l (40) ( ) = l I( l ) (41) すなわち 図に示すような (41) の関数グラフとしての解析が可能である この解析方 法は時間分解能を含まず多成分解析が可能なため 今後の陽電子寿命解析において非 常に有用な解析方法である では陽電子寿命測定はどのように測定するのか次に述べ る 実験手法としては右下図に示す様に β + 崩壊する RI から飛び出した陽電子を直接 試料に注入し その後陽電子が消滅する までの時間を測定するという単純な物で ある しかしその時間スケールはおよそ (x10) Neutron Irradiation(KUR) Fe0.22%Cu Alloy at 100K γ-ray e ē + Ge-detector scintilator e + start signal γ-ray 1.275MeV 22 Na β + Intensity (%) scintilator γ-ray 0.511MeV sample 22 Ne Positron Annihilation rate l (/nsec) stop signal

11 百億分の一秒という非常に短いものであることから シンチレータに入ったγ 線を光子に換え 光電子増倍管でこれを電気のパルス信号変換し 時間差をさらに出力パルスの電圧でコンピュータに取り込むという時計測回路が必要である ( 図 ) これにより式 (19) のような時定数で減衰するスペクトルが得られる START SIGNAL Constant Fraction Discriminator High Voltaged Photomultiplier Preamplifier Amplifier Timing SCA BaF2 Identified Specimens High Voltaged BaF2 γ (1.28MeV) γ (0.511MeV) Photomultiplier 22Na (positron source) Preamplifier Amplifier FAST COINCIDENCE Timing SCA BIASED TIME TO PULSE HIGHT CONVERTER Multi Channel Analyzer STOP SIGNAL Constant Fraction Discriminator DELAY ドップラー拡がり測定法陽電子消滅時の2 本のγ 線のエネルギーを測定することにより 消滅した際の周囲の電子密度分布の情報を得る手法である 格子欠陥の研究法としては 原子レベルでの元素分析が可能である 静止している陽電子と静止している電子と消滅する際にはどちらの運動量も 0 なので 2 光子消滅で 0.511MeV の消滅 γ 線を同時に2 本正反対方向に放出する しかし 実際の結晶中において陽電子は室温程度のエネルギーまで熱化され (1/kT 0.025eV) ほとんど静止しているのに対し 電子はさまざまな運動量を持って存在している そこで静止陽電子と静止している電子との消滅の場合と ある運動量 p L を持った電子との消滅の場合の消滅 γ 線のエネルギーについて述べる (i) 静止している電子と消滅する場合 2 本の消滅 γ 線 g 1, g 2 のエネルギーを E 1, E 2 陽電子, 電子の静止質量をそれぞれ m e +, m e ( m e + = m e ) とし 光速を cとすると E 1, E 2 はそれぞれアインシュタインの相対論的エネルギー保存則より ( ) = 2mc 2 (42) 2E g = E 1 + E 2 運動量は保存されるので E 1 = E 2 (43)

12 となる ゆえに E 1 = mc 2 = 0.511MeV (44) E 2 = mc 2 = 0.511MeV (45) (ii) ある運動量 p L を持った電子と消滅する場合 2 本の消滅 γ 線の運動量をそれぞれ p 1, p 2 とする 消滅前後でエネルギーは保存されるので 2mc 2 = cp 1 + cp 2 (46) また 運動量も保存されるから p 1 p 2 = p L (47) という式が成り立つ 式 (46),(47) を解くと E 1 = cp 1 = mc 2 + cp L 2 = 0.511MeV + cp L 2 E 2 = cp 2 = mc 2 cp L 2 = 0.511MeV cp L 2 (48) (49) となる つまり 陽電子がある運動量 p L を持った電子と消滅する場合にはドップラー効果によって γ 線のエネルギーが 0.511MeV から ±cp L /2 だけずれることになる 図のように陽電子が消滅する位置によって 511keV からのドップラーシフトは大きく異なるので これを精密に測定することによって消滅位置の周囲の電子状態を直接的に測定する手法である γ-γ 角相関測定法 本手法は放出される 2 本の γ 線の放出方向を同時に検出し 180 度からのズレを測 定する ドップラーシフトと同様に運動量保存則により 2 本の γ 線のベクトルはフェ

13 ルミ球を考えると 図のように p y 面でこの球を輪切りにして積分した値に比例した値が計数される I(θ)=π(p F2 -(mc* θ) 2 ) θ p T /m 0 c (50) これは ドップラー広がりと異なる方向での運動量のズレを測定しており 本質的には同じ物理量に相当する 角相関は数 m rad という微小角を測定するため 線源から検出器までの距離は数 m にもなり使用する陽電子源も強力なものを用いることからあまり一般的な測定手法ではない しかし その精度はドップラー測定に比べ非常に高いことからフェルミ面の形状を精度良く観察する手法としては他に無い γ γ 角相関 ドップラー拡がり その他陽電子は単純に原子空孔を検出するのみでなく 異種原子の集合体についても検出が可能である これには陽電子と個々の元素との親和力が深く関係しており その値は異種原子間における界面のエネルギーギャップにより ( 化学ポテンシャルの差 ) 計算されている Positron Affinity A+ (ev) 0.00 Positron Affinity Li Na Al K Sc V Mn Co Cu Ge Sr Zr Mo Ru Pd Cd Cs Lu Ta Re Ir Au Elements 不純物を含む結晶の場合 陽電は陽電子親和力に基づき 選択的に不純物に捕獲される場合がある 図に様々な元素に対する陽電子親和力の計算値を示す 今 図のように 2 種の金属 (A,B) を接合すると 両者のフェルミレベルが等しくなるように電気双極子が界面に出現する その大きさを AB とすると

14 Δ AB = m A B m (51) である ここで m A m B はそれぞれ A B の電子の化学ポテンシャルである 陽電子も同様に陽電子の化学ポテンシャル m A + m B + を用いて Δ + AB = m A B + m + (52) となる よって A B における陽電子のエネルギーレベルの差 ΔE A,B + は (51) (52) より ΔE A,B + = Δ + AB Δ AB (53) = m A A + m + ( ) m B B ( + m + ) となる ここで陽電子親和力 A + を A + = m + + m (54) と定義すると A B における陽電子親和力の差は ΔE A,B + = A A B + A + (55) と表わすことができる 陽電子は正に帯電しているので そのクーロン相互作用を考えることにより ΔE A,B + >0 ならば 陽電子捕獲サイトは B ΔE A,B + <0 ならば 陽電子捕獲サイトは A となる このように (a) 空孔単体もしくは (b) 空孔 - 不純物対だけでなく陽電子親和力によっては (c) 不純物集合体など陽電子捕獲サイト周囲の元素等をも知ることができる 追記 この他にも 陽電子は電子密度が希薄な場では電子と一対一で結合し ポジトロニ ウムという水素様原子を形成するになり ここまで述べた陽電子消滅寿命に比べ さ

15 らに 1 2 桁程度も長生きしてから消滅する現象がある この物理現象についてはここでは触れないが ポジトロニウムの消滅でも同様に空隙のサイズ評価が可能である また 陽電子源としてのビーム科学 ( 低速陽電子を利用した陽電子顕微鏡開発も 2000 年代に入ってから盛んになってきており 新しい物質科学への応用が期待される

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