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きのこいのら
5 years ago
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1 漢方推進プロジェクト事業により H26 年 7 月末 GCMS,LCMS/MS 導入研究課題ヤマトトウキのブランド化のための成分調査北海トウキ等との成分の比較調査文献検索ヤマトトウキと北海トウキのリグスチリド等の比較については, かなり以前から研究されており, ヤマトトウキの優位性は認められない. 局方解説書にもトウキに含有される成分がリグスチリドを含め十数種記載がある. 十数種の成分すべて測定する. ( これでいいか?) 問題点 1 試験方法を設定するのに時間がかかる. GCMS,LCMS/MS は, 魔法の機器ではなく, 通常の GC,HPLC 同様分離や前処理の検討が必要. 標準品がないものはどうするか.( 分取, 精製, 確認できる?) 1

2 十数種の成分すべて測定する. ( これでいいか?) 問題点 2 結果が出るのか. 個体差もあるなかで, ヤマトトウキと北海トウキ等で差が出るのか? 時間がかかる上に望む結果がでなさそう. 視点を変えてヤマトトウキと北海トウキの差におい味形状においや味に関わる成分を調べてはどうか.( 湯揉みにより糖類, アルキルピラジン類が増えるという報告 1),2) あり ) 報告は検体数が少なく, 試験操作が煩雑で有機溶媒を大量に使うなど, 多量の試料の試験は難しい方法試験法の開発と多くの検体数を試験することによって, ヤマトトウキと北海トウキ等を分ける基準が作れる可能性がある! これでよいか?( 他の成分はどうなん?) ACQUITY UPLC I-Class( フロント部 ) Xevo TQD(MS) ACQUITY UPLC フォトダイオードアレイ (PDA)eλ 検出器 ( 直列で接続 ) 2

3 タンデム四重極型仕様ではレセルピン１ｐｇオンカラムでＳＮ比が１００００１高感度一般的に四重極型は他の方式に比べ定量性がよい質量分解能は整数桁定量に用いる一方飛行時間型ＴＯＦは定量性は劣るが質量分解能が小数点以下３桁定性に用いるシングルMS NISTライブラリー２４万種の化合物のマススペクトル情報 GCMSｰQP2010 Ultra ヘッドスペース用試料注入装置検出器ＦＩＤＥＣＤＦＴＤＮＰＤＬＣＭＳＭＳでは一つ目の四重極ではフラグメントイオンは発生しないコリジョンセルでフラグメントイオンを発生させるが定量のため物質特異なイオンが発生できるよう電圧を調整できる物質ごとに電圧を調整する必要があるＬＣの差で保持時間も変わり電圧の条件が異なるためライブラリーは存在せず自身で標準品で作成 3

4 GCMS では最初のイオン化で, 分子イオンとフラグメントイオンになる. 電圧は 70eV で使用 ( どのメーカーでも ) どのメーカの GCMS でも同じ分子は同じマススペクトルになるライブラリーが充実! NIST ライブラリー (24 万種の化合物のマススペクトル情報 ) 標準品がなくてもある程度同定はできる.( カラムで分離できない場合等, 誤同定される可能性あり ) ( 試験した結果, 有用なデーターを得た成分のみ標準品と比較して最終的に同定すればよい ) GCMSで実験しよう! 奈良和歌山両県境で生産されるトウキは大和当帰 ( 大深当帰 ) として流通しており他と比較し高価で品質がよいといわれている奈良県では漢方のメッカ推進プロジェクトにおいて大和当帰のブランド認証を検討しているトウキの判別や等級分けについては熟練した技術をもつ職人が生薬の形状や匂い及び味等五感による判定を行っている認証には科学的な評価指標及び評価基準の設定が求められている 4

5 そこで今回はGCMSを用いて水溶性成分を測定し多変量解析を行うことにより植物種間産地間及び修治加工の有無の比較に有用な成分を探索した大深当帰 (6 産地 47 個体 ) 北海当帰 (2 産地 12 個体 ) 修治加工の行われていない大深当帰 (1 産地 12 個体 ) を個体別に粉砕し試料として用いたサンプル番号植物種産地湯揉みの有無採取年月日栽培指導規格入手検体数試験検体数 YTU2013NS 奈良県宇陀市 2013 年秋農研小 3 検体 3 検体 YTH2013HB 有 2013 年秋福田商店大 10 検体 6 検体 YTH2013HS 2013 年秋福田商店小 10 検体 6 検体 YTH2013HBN 富貴地方 2013 年秋福田商店大 10 検体 6 検体無 YTH2013HSN 2013 年秋福田商店小 10 検体 6 検体 YTH2013MB 2013 年秋前忠大 10 検体 6 検体大深当帰 YTT2013MS 奈良県十津川村 2013 年秋前忠小 10 検体 6 検体 YTG2013MS 奈良県五條市 2013 年秋前忠小 10 検体 6 検体 YTI2013MB 有 2013 年秋前忠大 10 検体 6 検体茨城県 YTI2013MS 2013 年秋前忠小 10 検体 6 検体 YTCS2013A 2013 年秋前忠刻み 1 検体 1 検体中国四川省 YTCS2013B 2013 年秋前忠刻み 1 検体 1 検体 HTT2013MMN 北海道十勝芽室 2013 年秋前忠中 10 検体 6 検体北海当帰無 HTM2013MSN 北海道女満別 2013 年秋前忠小 10 検体 6 検体表 1 検体リスト 1 農研 : 奈良県農業研究開発センター福田商店 :( 奈良県桜井市生薬卸 ) 前忠 ( 奈良県吉野郡下市町, 生薬卸 ) 2 入手先が見た目の大きさのみで判定したもの概ねの重量は小 :30g 前後中 :50g 前後大 :100g 前後大きいものが等級が高いと判定される試料は図 1 前処理方法により前処理 (TMS 誘導体化 ) を行い図 2 試験条件により GC-MSを用いて測定した GC-MSから得られたデータについて試験条件 1では小林ら 3) の方法を参考にしピークアライメントを metalign により化合物同定を AIoutput2 により行った試験条件 2ではピークアライメント及び化合物同定を GCMSsolution 及び GC/MS 代謝成分データベースVer.2 により行った試験条件 1で得た化合物の内標準物質に対するピーク面積比について SIMCA13 により多変量解析を行ったまた試験条件 2では標準物質を用いて定量を行った 5

6 試験条件 1 では糖類アミノ酸類及び有機酸類等について 141 成分試験条件 2 では 227 成分のデータを得た 1 図 1 前処理方法図 2 試験条件 1 試験条件 1 試験条件 2 ともライブラリー (MS スペクトルと保持指標 ) との比較による成分の同定であり標準物質との比較による同定は行っていない試料のグループ分けを行いそれぞれの成分のピーク面積比について OPLS-DA 法により解析し S-Plot で寄与成分を選抜したトータルイオンクロマトグラム ( 試験条件 1) 6

大深当帰 59 個体及び北海当帰 12 個体大深当帰 59 個体及び北海当帰 12 個体 Var ID M2.p[1] M2.p(corr) (Primary) [1] 4-Aminobutyric -0.442447-0.

502964 修治加工あり ( 国産大深当帰 )45 個体及び修治加工なし ( 国産大深当帰 )12 個体修治加工あり ( 国産大深当帰 )45 個体及び修治加工なし ( 国産大深当帰 )12 個体 Var ID

7 大深当帰 59 個体及び北海当帰 12 個体大深当帰 59 個体及び北海当帰 12 個体 Var ID M2.p[1] M2.p(corr) (Primary) [1] 4-Aminobutyric acid Leucine 修治加工あり ( 国産大深当帰 )45 個体及び修治加工なし ( 国産大深当帰 )12 個体修治加工あり ( 国産大深当帰 )45 個体及び修治加工なし ( 国産大深当帰 )12 個体 Var ID (Primary) M4.p[1] M4.p(corr )[1] 4-Aminobutyric acid Fructose Leucine Sorbose(or Fructose) Tagatose(or Psicose)

大深当帰と北海当帰 ** 修治加工ありと修治加工なし ** **:P<0.01 100gあたりのGABA 含有量 (mg) 平均値 ±S.E **:P<0.

E OPLS-DA 法により解析した結果 1 植物種の比較 2 修治加工の比較において各グループの判別が可能であった 1 植物種の比較で大深当帰と判別される寄与成分及び 2

8 大深当帰と北海当帰 ** 修治加工ありと修治加工なし ** **:P< gあたりのGABA 含有量 (mg) 平均値 ±S.E **:P< gあたりのGABA 含有量 (mg) 平均値 ±S.E OPLS-DA 法により解析した結果 1 植物種の比較 2 修治加工の比較において各グループの判別が可能であった 1 植物種の比較で大深当帰と判別される寄与成分及び 2 修治加工の比較で修治加工ありと判別されるのに寄与する成分として 4-AminoButyric acid(gaba) および Leucine が選抜された北海当帰と大深当帰及び修治加工の有無を判別する成分として同じ物質が選抜された北海当帰と大深当帰は修治加工の方法が異なることから植物種による差ではなく修治加工の差による可能性がある 8

4-AminoButyric acid(gaba) の定量を行ったところ大深当帰の平均含有量は 192.0(mg/100g) 北海当帰の平均含量は 99.3(mg/100g) であり t 検定の結果 1% の水準で有意差が認められた修治加工ありの大深当帰の平均含有量は 212.9(mg/100g) 修治加工なしの大深当帰の平均含量は 110.

9 4-AminoButyric acid(gaba) の定量を行ったところ大深当帰の平均含有量は 192.0(mg/100g) 北海当帰の平均含量は 99.3(mg/100g) であり t 検定の結果 1% の水準で有意差が認められた修治加工ありの大深当帰の平均含有量は 212.9(mg/100g) 修治加工なしの大深当帰の平均含量は 110.1(mg/100g) であり t 検定の結果 1% の水準で有意差が認められたこれらのことは多変量解析結果と一致した今回の結果により GABA を指標成分の一つとして評価基準を作成することが可能と考えられた水溶性成分については, 測定方法が一般化されており測定のためのデータベースが充実していることからまず水溶性成分で検討を行い指標成分の検討を行った植物の含有成分については個体差等も大きく精度よく判定するためには複数の指標成分の組み合わせをする必要がある 9

10 トウキに含有されている特徴的な成分はリグスチリド等の揮発性物質である揮発性成分については植物により大きく異なるため一般化された測定方法がなくデータベースがないさらなる指標成分の探索のため測定法を構築しデータベースを作成し, 試験を行った (3 月の薬学会で発表予定 ) 評価指標及び評価基準の設定について多変量解析で選抜された成分の定量法の確立及び定量さらに検体数を追加し定量その他修治加工の各段階のアミノ酸糖類等の含有量の変化の調査 1. 浅尾浩史小村啓調製過程の違いがヤマトトウキの機能性と品質に及ぼす影響. 奈良県農総セ研報.43: 小村啓浅尾浩史当帰の等級指標となりうる揮発性成分の探索. 奈良県農総セ研報.42: 小林志寿馬場健史福崎英一郎山本豊姜東孝当帰の GC/MS プロファイリングによる種と産地の判別マーカー探索. 日本生薬学会第 58 年会要旨集.356 多種類のトウキの入手にご協力いただいた福田商店福田浩三氏株式会社前忠前忠吾氏に深く感謝します 10

目的トウキは代表的な婦人薬としてまた漢方薬の原料としても用いられており日本薬局方においてトウキの基原はトウキ (Angelica acutiloba Kitagawa) 又はホッカイトウキ (Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino

目的トウキは代表的な婦人薬としてまた漢方薬の原料としても用いられており日本薬局方においてトウキの基原はトウキ (Angelica acutiloba Kitagawa) 又はホッカイトウキ (Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino 目的トウキは代表的な婦人薬としてまた漢方薬の原料としても用いられており日本薬局方においてトウキの基原はトウキ (Angelica acutiloba Kitagawa) 又はホッカイトウキ (Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino(Umbelliferae)) とされている奈良県では漢方のメッカ推進プロジェクトにおいて大和当帰のブランド認証を検討しているが