目次 1. ベクトルに関する基本事項 ベクトルとスカラー 座標系とベクトルの成分表示 ベクトルの内積 ベクトルの外積 ベクトルの三重積 場の考え方と流束の概念 スカラー場とベクトル場 流束と流束密度

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1 ダウンロード先 : 第 I 編ベクトル解析 電磁気学の学習には ベクトル解析の知識と場の考え方の理解が必須となる 以下 本編では 電磁気学を学ぶ前に ベクトルに関する基本事項を復習する また スカラー場 ベクトル場の考え方に慣れる 本編をまとめるにあたって 以下の文献を参考にした 参考文献 宮島龍興訳 ファインマン物理学 III 電磁気学岩波書店 (1969). 砂川重信 電磁気学岩波書店 (1977). 砂川重信 理論電磁気学 ( 第 3 版 ) 紀伊国屋書店 (1999). 小出昭一郎編電磁気学演習裳華房 (1981). 今井功 電磁気学を考えるサイエンス社 (1990). Harry Lass Vector and Tensor Analysis, McGraw-Hill, (1950). 安達忠次 ベクトルとテンソル倍風館 (1957). 犬井鉄郎偏微分方程式とその応用コロナ社 (1957). 小出昭一郎 物理と微積分共立出版 (1981). 中村純 物理とテンソル共立出版 (1993). i

2 目次 1. ベクトルに関する基本事項 ベクトルとスカラー 座標系とベクトルの成分表示 ベクトルの内積 ベクトルの外積 ベクトルの三重積 場の考え方と流束の概念 スカラー場とベクトル場 流束と流束密度 場の微分 スカラー場の勾配 ベクトル演算子 ベクトルの発散 ベクトルの回転 勾配ベクトルの発散 回転によって定義されるベクトルの発散 まとめの Quiz ベクトルの積分 線積分 面積分 ガウスの定理 ベクトル場の循環 ストークスの定理 渦なし場と湧き口無し場 まとめの Quiz 162 ii

3 1. ベクトルに関する基本事項 1.1 ベクトルとスカラー単に大きさのみが意味を持つ物理量をスカラー量と呼ぶ これに対して 大きさだけではなく向きを持っている物理量をベクトル量と呼ぶ ベクトル量とスカラー量とを区別するために ベクトル量に対しては A, A (1.1.1) などの表記を用いる また 以下 ベクトルの大きさを A = A (1.1.2) で表すことにする 問これまで学んできた物理量の中から スカラー量及びベクトル量の例をできる限り多く挙げよ 1.2 座標系とベクトルの成分表示ここでは 主として 3 次元直交座標系におけるベクトルを考える まず 図 1.2.1に示した簡単な直角座標系を用いて ベクトルに関する基本事項 ベクトル解析を学ぶ上で重要となる概念や言葉の定義を行う (a) (b) 図 次元ユークリッド空間における直角座標系 1

4 右手座標系図 1.2.1に示すような座標系を右手座標系あるいは単に右手系と呼ぶ 右手系では 図 1.2.1に示したように x 軸を y 軸の方に回転するとき 右ねじの進む方向を z 軸の正の方向にとる 基本単位ベクトル 図 1.2.1に示した x 軸 y 軸 z 軸の正の方向に向かう大きさが1である三つのベクトル i, j, k を基本単位ベクトルと呼ぶ ベクトルの成分表示上に定義した基本単位ベクトルを用いて 3 次元空間における任意のベクトル量は A=A x i+a y j+a z k (1.2.1) と表される このとき A x A y A z を 各々 ベクトルの x 成分 y 成分 z 成分と呼ぶ このときベクトル A の大きさは A A = A + A + A (1.2.2) x y z 図 ベクトルの成分表示 問ベクトル A を その大きさ A 割ることによって得られる の意味を考えよ A A 2

5 位置ベクトル空間の点 P を考え 座標原点 O から点 P に向かうベクトル r= OP (1.2.3) を位置ベクトルと呼ぶ 点 P の座標を (x, y,z) とするとき 位置ベクトルは r=xi+yj+zk (1.2.4) と表すことができる 図 位置ベクトル 問 1 3 次元空間に点 P ( x, yz, ) が与えられたとき 点 P の位置ベクトルr の方向を向く単位ベクトルは r r ただし r = = x + y + z r (1.2.5) で与えられることを確かめよ 問 2 3 次元空間に点 P( x, yz, ) が与えられたとき 原点 O と点 P を結ぶ直線の方向を向き 大きさが A のベクトルは 次式で表現できることを確かめよ r A = A( ) r 問 3 3 次元空間の点 P( x, yz, ) において ベクトル A が与えられている その方向は 点 P の位置ベクトルの向き その大きさは 原点から点 P までの距離 r 2 の2 乗に逆比例 ( A = K / r, K = const. ) するとき ベクトル A を r,r 及び K を用いて表現せよ 3

6 問 4 空間の点 P ( x 1, y 1, z 1 ) 及び点 Q ( x 2, y 2, z 2 ) の位置ベクトルを 各々 r1 = OP = x1i+ y1j + z1k (1.2.6) r = OQ = x i+ y j+ z k とするとき 次の問に答よ (1) 点 P から点 Q へ向かうベクトルは 次式で与えられることを確かめよ PQ = r r 2 1 (1.2.7) (2)2 点間の距離は 次式で与えられることを確かめよ PQ = r r = ( x x ) + ( y y ) + ( z z ) (1.2.8) (3) 点 Q において ベクトル A が与えられている その方向は ベクトル PQ と同じ向き 大きさは 2 点間の距離の2 乗に逆比例する 比例定数を K とするとき ベクトル A は 次式で与えられることを確かめよ K ( r r) ( x x ) i+ ( y y ) j+ ( z z ) k A = = K r x x y y z z /2 2 r r2 r1 [( 1 2 1) + ( 2 1) + ( 2 1) ] (1.2.9) 4

7 1.3. ベクトルの内積 内積の定義 ベクトルの内積 ( スカラー積 ) は 以下の式で定義される AB = AB cosθ (1.3.1) ここで A B は 各々 ベクトル A 及び B の大きさ θ はベクトル A と B とのなす角である 図 ベクトルの内積 交換法則 分配法則ベクトルの内積については 以下の交換法則及び結合法則が成り立つ AB = BA( 交換法則 ) (1.3.2) A ( B+ C) = A B+ A C( 分配法則 ) (1.3.3) 次節で定義するベクトルの外積については 交換法則は成立しない 5

8 内積に関する重要な性質 内積の定義から 2 2 A A= A = A (1.3.4) A B A B =0 (1.3.5) 基本単位ベクトルについての内積 i i = j j= k k =1 (1.3.6) i j= j k = k i =0 (1.3.7) ベクトルの成分による内積の表現 A= A i+ A j+ Ak (1.3.8) x y z B= B i+ B j+ B k (1.3.9) x y z AB = A B + A B + A B (1.3.10) x x y y z z AB = ( A i+ A j+ Ak) ( B i+ B j+ B k ) x y z x y z = AB( i i) + AB( i j) + AB( ik ) x x x y x z + AB( j i) + AB( jj ) + AB( jk ) y x y y y z + AB( k i) + AB ( k j) + AB( k k ) z x z y z z 問 1 次の二つベクトルについて その内積を求めよ (1) A= 3 i+ ( 1) j+ 2 kb, = ( 2) i+ ( 5) j+ 6k (2) A= 2i+ 1 j+ ( 3) kb, = 5i+ j+ 2k 問 2 次の二つベクトルについて そのなす角 θ の余弦 (cosine) を求めよ (1) A= i+ j, B= i (2) A= i+ j+ kb, = i+ j+ ( 1) k 問 3 次の二つのベクトルは 互いに直交することを示せ A= 4 i+ ( 2) j+ kb, = 3i+ 3 j+ ( 6) k 問 4 ベクトルの成分表示を用いて 内積について交換法則 式 (1.3.2) 分配法則 式 (1.3.3) が成り立つことを確かめよ 問 5 質点が力 F= Fxi+ Fyj + Fzk の作用のもとで r = xi+ yj + zk だけ変位した このとき この力がした仕事 W をベクトルの内積を用いて表せ 6

9 内積と有効成分の概念 ベクトル A の x 方向の成分は A と x 方向の単位ベクトル i との内積を用いて A x = Ai と表すことができる 二つのベクトル AB, がある 図 1.3.2に示すように ベクトル A をベクトル B の方向の成分と B に垂直な方向の成分の二つ分けて考える このとき A の B 方向の成分は 図 ベクトルの投影 ( ベクトル A の B 方向成分 )= A cosθ = Acosθ となる これを ベクトル A のベクトル B への投影 (projection) と呼ぶ これは A と B との内積を用いて簡単に AB B あるいは AB B と表現することができる さらに B/ であるから B は ベクトル B の方向の単位ベクトル ( ベクトル A の B 方向成分 )= Ae B e B B B :B の方向の単位ベクトル と表すことができる 上で定義したベクトルの投影は ベクトル A が B の方向に対してどれだけの大きさを持ち得るかと言う意味を持つ したがって ベクトル A の B 方向への有効成分という言い方をすることもある 有効成分の概念は 非常に重要であり 今後 しばしば用いる 7

10 問 6 次の二つベクトルについて ベクトル A の B に対する投影を求めよ (1) A= i+ j+ 2 kb, = i+ j (2) A= 2i+ j 2 kb, = 2k 問 7 ベクトル A と B がある このとき A の B に垂直な方向の成分を表すベクトルは 次式で表されることを説明せよ A ( A eb) e B ただし e B = B B 問 8 質点が図に示すような軌道を運動する 点 P において質点に働く力を F とし 接線方向の単位ベクトルを t で表す (1) 力 F の接線方向の成分 Ft をベクトルの内積を用いて表せ (2) 接線に垂直な方向の成分を表すベクトル F n を求めよ 問 9 質点が図に示すような軌道を運動する 点 P において質点に働く力を F= F i+ F j+ Fk とし 点 P の位置ベクトルをr = xi+ yj+ zk とする このとき x y z この力 F に関して その位置ベクトルの方向の成分が F ( x/ r) + F ( y/ r) + F ( z/ r) ただし r = x + y + z x y z で与えられることを示せ

11 問 10 屋根に置かれた太陽光パネルに 図 (a) に示すように太陽光が入射している 図に示すように 太陽光線の方向を向き その大きさが光の強度に比例するようなベクトルをh とする このとき 図 (b) に示すようにベクトルh を屋根に垂直な成分 hn と平行な成分 ht に分けて考える 屋根の面に垂直な方向の単位ベクトルをn で表すとき h n をh とn の内積を用いて表せ (a) (b) 9

12 1.4 ベクトルの外積 式 (1.3.1) で定義したベクトル A と B との 内積 ( スカラー積 ) を表現した これに対して ベクトルの外積は AB と C A B (1.4.1) と表現する ベクトル A と B との内積 ( スカラー積 ) AB の結果として得られる量は スカラー量であった 外積 A B によって得られる量 C は 以下 定義するように 方向と大きさを持つベクトル量である 外積の定義図 1.4.1に示した2つのベクトル A B を考える この2つのベクトルの外積から得られる新らたなベクトル量 C の大きさ及び方向は 以下 i) ii) のように定義される 図 i) C の方向 C の方向は 図 1.4.1に示したように 2つのベクトル A B がつくる平面に垂直な方向で かつ ベクトル A をベクトル B に向かって回転するとき 右ねじの進む方向とする ただし 回転角 θは 180 (πラジアン ) より小さい方をとる 10

13 ii)c の大きさ C の大きさは 図 1.4.1に示したベクトル A B によってつくられる平行四辺形の面積で定義する 図 1.4.2に示すように ベクトル A B によってつくられる平行四辺形の高さ h は A と B とのなす角をθとすると h = B sinθ である 一方 底辺の長さ L は ベクトルの大きさ L = A に等しい したがって A B によってつくられる平行四辺形の面積 S は S = Lh= ABsinθ で与えれる これからベクトル C の大きさは で与えられる C A B sinθ 図 外積によって得られるベクトル C の大きさ このようにして定義されるベクトル C を A と B との外積 ( あるいは ベクトル積 ) と呼ぶ 外積は 上で述べたように A Bと表す 定義 i) ii) からベクトルの外積は ベクトル A B の大きさ A B 及び A と B とのなす角 θを用いて C= A B= A B sinθi (1.4.2) と表すこともできる ただし 上の式で I は ベクトル A B の両方に垂直な向きの単位ベクトル ( I = 1) である 11

14 分配法則 ベクトルの外積については 次の分配法則が成り立つ A ( B+ C)= A B+ A C (1.4.3) 基本単位ベクトルについての外積 i i = j j= k k = 0 (1.4.4) i j = k j k = i k i = j (1.4.5) ベクトルの成分による外積の表現 A= A i+ A j+ Ak x y z B= B i+ B j+ B k x y z A B= ( AB AB) i+ ( AB AB) j+ ( AB AB) k (1.4.6) y z z y z x x z x y y x A B= ( A i+ A j+ Ak) ( B i+ B j+ B k ) x y z x y z = AB( i i) + AB( i j) + AB( i k) ABk+ AB( j ) x x x y x z x y x z + AB( j i) + AB( j j) + AB( j k) AB( k) + AB( i ) y x y y y z y x y z + AB( k i) + AB ( k j) + AB( k k) AB( j) + AB ( i ) z x z y z z z x z y = ( AB AB ) i + ( AB AB) j+ ( AB AB) k y z z y z x x z x y y x 外積の計算は 以下のように行列式を用いると 簡単に計算することができる i j k A B = A A A (1.4.7) x y z B B B x y z = ABi + ABj+ ABk ABi ABj ABk y z z x x y z y x z y x = ( AB AB ) i + ( AB AB) j+ ( AB AB) k y z z y z x x z x y y x 12

15 外積に関する重要な性質 外積の定義から A// B A B= 0 (1.4.8) A A= 0 (1.4.9) A B= B A (1.4.10) 内積については 交換法則が成り立つが 外積については交換法則は成立しない ベクトル B Aの大きさは ベクトルの A Bの大きさと等しいが 方向は逆向きになる 問 1 次の二つベクトルについて その外積を求めよ (1) A= 3 i+ ( 1) j+ 2 kb, = ( 2) i+ ( 5) j+ 6k (2) A= 2i+ 1 j+ ( 3) kb, = 5i+ j+ 2k 問 2 次の二つベクトルについて そのなす角 θ の正弦 (sine) を求めよ (1) A= i+ j, B= k (2) A= i+ j+ kb, = i+ j+ ( 1) k 問 3 次の二つのベクトルの両方に垂直な方向の単位ベクトルを求めよ A= 3 i+ ( 1) j+ 2 kb, = ( 2) i+ ( 5) j+ 6k 問 4 屋根に設置された太陽光パネルについて 図の各辺のベクトルが A= i+ 2 k, B= 3j で与えられえるとき 次の問いに答よ (1) 太陽光パネルの面積を求めよ (2) この太陽光パネルの面に垂直で かつ 屋内を向く単位ベクトルを求めよ z x y 13

16 問 5 図のように粒子が円運動している このとき 図の点 P における円の接線方向のベクトル ( 図のθ が増える向きを向く ) を この点の位置ベクトルr と z 方向の単位ベクトルk を用いて表せ 問 6 等速円運動する粒子の速度ベクトル v の方向は 円軌道上の各点で 円の接線方向を向く ここで 角速度ベクトルω を次のように定義する 方向 : 粒子の回転方向にねじを回すとき 右ねじが進む方向 大きさ : 単位時間あたりの回転角 ω( = dθ / dt) ( 例えば 回転方向が問 5のような場合 ω = ωk となる 回転の速さは同じで 向きが 問 5とは反対であれば ω = ω( k) となる ) この円軌道上の点 P( x, yz, ) における粒子の速度ベクトルは v = ω r となることを確かめよ ただし r は点 P の位置ベクトルである 問 7 問 6では 円運動の速度ベクトルが角速度ベクトルと位置ベクトルの外積によって表現できることを示した 今まで 学んできた物理学や工学の中で 他にベクトルの外積を用いて表現することのできる物理量をできるだけたくさ ん挙げてみよ 問 8 A = ( Ax, Ay, Az) B = ( Bx, By, Bz) = ( Cx, Cy, Cz) C とする このとき 外 積について 式 (1.4.3) の分配法則が成り立つことを 式の右辺 左辺を 各々 計算し 比較することにより確かめよ 14

17 1.5 ベクトルの三重積 スカラー三重積 ベクトル A とベクトル B Cとの内積 A ( B C ) (1.5.1) を考える 式 (1.5.1) の演算の結果得られる量は スカラー量であり 式 (1.5.1) をスカラー三重積と呼ぶことがある スカラー三重積は 幾何学的には図 1.5.1に示すように ベクトル A B 及び C によって囲まれる平行六面体の体積に等しい 図 このことは 以下のようにして確かめることができる 外積の定義から S B C= B C sinθi = SI S S = B C sinθ (1.5.2) 先に外積の定義の項で述べたように ベクトル S の大きさ S は B C のつくる平行四辺形の面積 また I は この平行四辺形がつくる面に垂直な方向の単位ベクトルである これと 内積の定義から 15

18 AS = AS cosα = Sh h = A cosα (1.5.3) ただし αは A と S とのなす角であり 従って 図 1.5.1からわかるように A cosα は 平行六面体の高さに等しい 以上から スカラー三重積は 図 5.1の平行六面体の体積 V に等しく A ( B C ) = Sh = V (1.5.4) であることがわかる 上の幾何学的説明から明らかなように スカラー三重積について A ( B C) = ( A B) C = V (1.5.5) が成立することが容易にわかる 問 1 次の三つのベクトルに対して次の問に答よ A= i+ 5, j B= 5 i+ j, C= i+ 2j+ 5k (1) 三つのベクトルで囲まれる平行六面体を図示せよ (2) ベクトル A B がつくる平行四辺形の面積を求めよ (3)(2) の平行四辺形を底面とし さらに ベクトル C が囲む平行六面体の高さを求めよ (4)(2) (3) の結果からこの平行六面体の体積を求めよ (5) ( A B) Cを計算し (4) の結果と比較せよ ベクトル三重積 以下の式 (1.5.6) で定義されるベクトルの三重積 A ( B C ) (1.5.6) は応用上重要であり 電磁気学でもしばしば現れる 式 (1.5.6) で定義される三重積は ベクトル量であり 上のスカラー三重積と区別して ベクトル三重積と呼ばれる ベクトル三重積は 次のように変形することができる A ( B C) = ( A C) B ( A B) C (1.5.7) 16

19 外積の順序を入れ替えた次のベクトル三重積 ( A B) Cの値は ( A B) C= ( A C) B ( B C) A (1.5.8) となり A ( B C) ( A B) C (1.5.9) であることに注意する必要がある 問 1 式 (1.5.7) が成立することを次の手順で確かめよ A= Axi+ Ayj + Azk = Bx + By + Bz B i j k C= Cxi+ Cyj+ Czk とする (1) P = B Cを求めよ (2)Q=A Pを求めよ (3)Q に ( ABC x x x ABC x x x) i + ( ABC y y y ABC y y y) j+ ( ABC z z z ABC z z z) k = 0を加え αi + βj+ γk の形にまとめよ (4)(3) より Q= ( A C) B ( A B) Cを導け ( 各成分ごとに計算するとよい ) 問 2 三つのベクトル EBv,, の間に 次の関係が成立するとき E+ v B= 0, ただし v B 0 は 零ベクトル ベクトル三重積の公式を用いて 次式が成立することを確かめよ v = E B 2 B ヒント : E+ v B= 0 の両辺に B を外積する このとき B 0= 0 から B ( E v B) = 0となる 17

20 2. 場の考え方と流束の概念 2.1 スカラー場とベクトル場 例えば 今 我々がいる部屋の温度 T を考える 部屋の温度は 一般に場所によって異なる 冬であればストーブの近くでは暖かく 離れたところでは寒い 部屋の温度は 空間の各点 ( x, yz, ) によって異なり 分布 T( x, y, z ) を持っている このように 物理量が空間の各点ごとに決まり 空間分布を持っているものを場と呼ぶ 温度は方向を持たないスカラー量であり 温度場はスカラー場の典型的な例である より一般に 考えているスカラー量をϕ で表すことにする ϕ が 空間位置ごとに定まり 空間分布している場合をスカラー場と呼ぶ すなわち スカラー場は 空間の座標の関数として ϕ ( x, yz, ) と表すことができる 物理量がベクトルの場合でも 同様に 空間の各点ごとにベクトルが A ( x, yz, ) のように定まり 空間にベクトルが分布しているような場合 ベクトル場と呼ぶ 定常場と非定常場上の例では スカラー量 ベクトル量が時間に依存しない場合を考えた このような時間に依存しない場のことを 定常場と呼ぶ 先ほどの部屋の温度場の例では ストーブをつけた後 十分時間がたてば 温度分布は時間に依存せず定常的な分布となる しかし ストーブをつけた直後では 部屋の温度分布は時々刻々変化していく このように 物理量が空間座標だけではなく 時刻 t にも依存し ϕ ( x, yzt,, ) A ( x, yzt,, ) と表されるような場合を 非定常場と呼ぶことがある 問 1 スカラー場の例をできる限りたくさん挙げよ 問 2 ベクトル場の例をできる限りたくさん挙げよ 18

21 ベクトル場の例電磁場この授業の本題である電場 磁場も 方向と大きさを持つベクトル量であり ベクトル場の典型的な例である 流れ場もっとも身近なベクトル場の例として 流れ場が考えられる 例えば TV の天気予報で見られる風速 v( x, yz, ) は 日本各地の空気の流速を表すベクトル場である 天候が時事刻々変化する場合 風速の場は場所のみではなく時間にも依存する非定常場 v( x, yzt,, ) と考えることができる さらに 海流なども大きなスケールでの流れ場の例である (a) (b) 図 流れ場の例 (a) 日本各地における風速の場 (b) 太平洋の海流の場 19

22 ミクロなスケールで考えると 血管中の血流速度もベクトル場の例である 血管の断面で考えると 血管壁の近傍では流速は遅く 中心付近に向かって流速は 速くなる 図 血管中の血流 我々が今まで 力学で扱った質点の運動では 質点の位置 ( x, yz, ) は時間の従属変数であり 質点の位置は 時間の関数として ( x( t), y( t), z( t)) で与えられた すなわち 質点の運動では 位置 ( x, yz, ) は特定の軌道を表していた 上の流れ場の例でわかるように 流れの速度を 場 としてみるとき 位置 ( x, yz, ) と時間 t は独立変数である すなわち 位置 ( x, yz, ) はあくまでも時間 t とは独立に空間の点を指定するもので 質点の運動の場合のように 特定の軌道上の点を意味するものではない 場の考え方では 空間全体にわたって速度 場 が与えられており 時刻 t とは独立に位置 ( x, yz, ) を指定でき そして その位置で速度 v がどうなっているかを問題にする 日常的な言い方をすると 流れの速度を 空間全体にわたるパターンとして認識する考え方と理解できる 場の可視化スカラー場の可視化スカラー場を直感的にわかり易く表現するために 2 次元の場では考えている物理量が等しい値をとる点を結んでできる いわゆる等高線図がよく用いられる 上の温度場の例では 等温線図ということになる また 天気図の等圧線なども 身近な例である 空間 3 次元の場合には 等高 面 となる 例えば 点光源から等方的に発せられる光の強度分布は 点光源を中心とする球面になることが直感的に推測される 20

23 ベクトル場の可視化一方 ベクトル場の場合には すでに図 及び2.1.2に示したように空間の各点でのベクトルの方向と大きさを矢印を用いて表すことが多い この場合 矢印の長さをベクトルの大きさに対応させる このような矢印による方法以外に 例えば 流れの場の例では 図 のように流線と呼ばれる線を用いて表すこともある 流線上の各点において その接線の方向は速度ベクトルの向きを向く 非定常場では 各点における速度ベクトルは 時々刻々と変化するから 流線のパターンも時々刻々と変化する 流線による方法では 各点におけるベクトルの大きさを示すことは なかなか容易ではない しかし 流れの全体の様子を把握するには極めて有効である このような流れ場に対する流線とのアナロジーから 電磁気学では 電場 磁場の様子を直感的に表すのに 後で述べるような電気力線 磁力線などがしばしば用いられる 力線の本数によって ベクトルの大きさを表すような工夫もなされている 図 流線によるベクトル場の可視化 スカラー場やベクトル場の様子を理解するためには 式だけではなく 等高線図や矢印図などを自分自身で描いてみることが きわめて大切である 21

24 問 3 2 次元のスカラー場 2 2 ϕ ( x, yz, ) = 16 ( x + y) が与えられている このとき ϕ ( x, y, z) = C = const. は 空間中の曲線 ( 等高線 ) の式を与える ϕ = 0, ϕ = 7, ϕ = 12 の三つ場 合について 上のスカラー場の等高線を描け 問 43 次元のスカラー場 ϕ ( x, yz, ) = exp[ ( x + y + z)] について z = 0 の平面上で 等高線の概略を図示せよ 問 52 次元のベクトル場 A( x, y) = A ( x, y) i+ A ( x, y) j について 以下の二つの場合を考える x y (1) A ( xy, ) = x, A( xy, ) = y x (2) A ( x, y) = y, A ( x, y) = x x y y 各々の場合について ベクトル場の様子を ( x, y ) 平面上で直感的にわかり易く 示せ * 次の各点で 矢印を用いてベクトルの様子を表すこと ( xy=, ) (1,0),(, ),(0,1),(, ), ( 1,0),(, ),(0, 1),(, ) ( xy=, ) (2,0),(, ),(0,2),(, ), ( 2,0),(, ),(0, 2),(, )

25 2.2 流束と流束密度ベクトル場に関連して重要な概念として 流束 (flux) 及び流束密度 (flux density) がある 図 2.2.1のように 流体 例えば水の流れの場を考え 仮想的な領域を考える この領域中に水の湧き出しや吸い込みがなければ この領域中の水量は この領域の表面を通して流入する水量と 表面を通して流出する水量との差によって決まる このようにある領域中に含まれる水量を評価するためには 考える領域の表面を通しての水の流入 流出を計算する必要がある 後で具体的な例で詳しく説明するが 簡単にいってしまうと 考えている物理量に対して 流束は この表面 全体 を通過する物理量の値であり 流束密度は 単位面積あたり に通過する物理量の値である 上の例のように 考えている物理量が表面を通過する水量の場合には もちろん 考える時間の長さによっても異なってくる このような場合 単位時間あたり に考えている面を通過する水量で 流束及び流束密度を定義する 図 流れ場における流束の概念と流体の質量の保存 流束及び流束密度の概念は もともと水のような流体の流れ場について考えられてきた しかし 一般のベクトル場 例えば エネルギーの流れ 電場 磁場などについても 同じような考え方が適用できる 23

26 上で述べた流束の概念は 物理量の保存則を考える上で極めて重要な概念であり 第 3 章のベクトル場の発散 或いは 第 4 章のベクトル場の面積分やガウスの法則と密接な関係がある 24

27 2.2.1 太陽からのエネルギー流 身近な例として 太陽から地面に向かう エネルギーの流れ の例を用い 流束及び流束密度の概念を説明する エネルギー流束図 2.2.2に示すように 地面におかれた太陽光パネルを考える このパネルの面全体に単位時間あたりに入射するエネルギーを 太陽光の エネルギー の流束と呼ぶ これを W で表すことにすると W の単位は J/s すなわち ワット W である f f 図 地面におかれた太陽光パネル エネルギー流束 Wf は 太陽からのエネルギーの流れの方向によって違ってくる 図 2.2.3(a) のように エネルギーの流れ ( 入射光 ) の方向が パネルの面に垂直な場合にエネルギー流束は最も大きい 図 2.2.3(b) のように傾きを持つ場合には 面を通過するエネルギー流束は 明らかに小さくなる (a) (b) 図 エネルギー流の方向とエネルギー流束の大きさ 25

28 このことは 次のように理解することができる 今 このパネルの面積が S であるとする 図 2.2.3(b) の場合に 点線で示すように入射光の方向に垂直な仮想的な面を考える この入射光に垂直な面を通過する光のみが パネルに到達する 点線で示したエネルギー流に垂直な面の面積 すなわち 実効的な受光面積 S は パネルの実際の面積 S よりも小さく S = Scosθ (2.2.1) となる ここで θ は面に立てた法線ベクトルn とエネルギー流の方向とのなす角である 式 (2.2.1) から エネルギー流の方向に対して パネルの面が傾いている場合には パネルの受光面積が cosθ の分だけ実効的に減少したと考えることができ る 結果として この場合のエネルギーの流束 W は 垂直な場合の流束 W に対 して cosθ の分だけ減少し f f W = W cosθ (2.2.2) f f で与えられる エネルギー流束密度 ( 空間的に一様な場合 ) エネルギーの流れの方向に垂直な面を 単位時間 単位面積あたり通過するエネルギーの大きさを エネルギー の流束密度という 上の例のように 流 れが一様の場合には 流束密度 h は流束 W を面積 S で割って f W f h = (2.2.3) S で与えられる 単位は W/m 2 である 逆に 流束密度 h が与えられれば 流束は Wf = hs (2.2.4) から計算できる 26

29 ( 分布がある場合 ) 一般には 空間の各点 各点でエネルギーの流れの向きと大きさは 同じとは限らない そこで 空間のある点において この点を囲み 流れの方向に垂直な微小面積を考える その面積 S は十分小さく 面上でエネルギーの流れは ほぼ 一様とみなすことできるものとする 図 流れのベクトル場と空間の各点における微小面積要素 S このとき この面に対する流束を して W f とすると 流束密度は式 (2.2.3) と同様に W h = f (2.2.5) S で与えることができる また 逆に h が与えられば W f は式 (2.2.4) と同様にして W = h S (2.2.6) f から計算できる 図 微小面積要素 S が流れと垂直ではない場合 27

30 さらに 式 (2.2.1) (2.2.2) で議論したように 流れの方向が面の法線ベクトルに対して θ だけ傾いている場合に面を横切る流束 W f は W = W cosθ = h Scosθ (2.2.7) f f となる エネルギー流束密度ベクトルここで エネルギーの流束密度 ベクトル を次式で定義する W = S f h e h (2.2.8) S : 面積 W f : 面積 S を単位時間あたり通過するエネルギー e h : 流れの方向の単位ベクトル すなわち エネルギー流束密度ベクトルは 方向 : 流れの方向大きさ : 流れの方向に垂直な面を単位時間 単位面積あたり通過する エネルギー で定義されるベクトル量と理解することができる 流束の内積による表現 (1) 流束密度に流れの向きe h を持たせ ベクトルh を定義すると 考えている面を通過する流束は 面が流れに垂直か否かを区別する必要はない h と面の法線ベクトルn の内積を用いて 次のように簡単に表現することができる W = hn S (2.2.9) f = hcosθ S 28

31 面に対する有効成分の概念先に 面が流れの方向に対して垂直でない場合の流束の減少は エネルギー流を受ける実効的な面積の減少として理解した ここで 別の見方をしてみる 図 に示すように ベクトルh を 面に垂直な成分と平行な成分に分けて考える 面に平行な流れの成分は面を通過することはできない 第 1 章の内積とベクトルの有効成分の項で考えたように 面に垂直な成分のみが流束に寄与する 式 (2.2.9) の内積 hn (2.2.10) は このことを数学的に表現していると考えることができる 図 面の法線ベクトルに対する有効成分 面積ベクトル 式 (2.2.9) で n S をひとかたまりと考え 面積ベクトルと呼ぶ すなわち 空間のある点のまわりの面積要素 S に その法線ベクトルn の方向を持たせ 新たにベクトル量 S を定義する これを面積ベクトルと呼ぶ すなわち S= Sn (2.2.11) 大きさ : 考える面の面積 S 方向 : その面に対する法線ベクトル n の方向 29

32 図 面積ベクトル 流束の内積による表現 (2) エネルギー流束密度ベクトル h 及び面積ベクトル S を 各々 式 (2.2.8) (2.2.11) のように定義すると 面を横切るエネルギー流束は この二つの内積として W f = h S (2.2.12) のように簡単に表現できる 法線ベクトルの選び方これまで面に対する法線ベクトルの向きを あいまいに扱ってきた ここで 法線ベクトルの向きの選び方を整理しておく ( 閉曲面の場合 ) 選択肢は二つある 1) 閉曲面の 内側 から 外側 に向かうように選ぶ ( 外向き法線 ) 2) 閉曲面の 外側 から 内側 に向かうように選ぶ ( 内向き法線 ) 一般には 上の1) すなわち 図 2.2.8のように閉曲面の内側から外側に向かう向きに 法線ベクトルの向きを選ぶ 外向き法線ベクトルをn 内向き法線ベクトルを n とする 両者は単位ベクトルであり 大きさは変わらず 向きが逆なだけである ( n = n) 従って 内向きに法線ベクトルを選んだとしても ベクトルh との内積は hn = h ( n) = hn (2.2.13) となり 内積の値 ( 絶対値 ) は 変わらず その符号が変わるだけである 30

33 図 外向き法線 ( 実線 ) と内向き法線 ( 破線 ) 図 の外向き法線ベクトル n を 法線ベクトルとして選ぶと ベクトルh の方向が 図 (a) のように閉曲面の内側から外側に向かう場合 すなわち h の方向が閉曲面に対して 流出 する方向であれば 内積 hn は正 ( hn > 0) (2.2.14) 一方 図 (b) のようにベクトルh の方向が閉曲面の外側から内側に向かう場合 すなわち h の方向が閉曲面に対して 流入 する方向であれば 内積 hn は負 ( hn < 0 ) (2.2.15) 31

34 (a) (b) 図 外向き法線と流入 流出の場合の内積の符号 一般には外向きに法線ベクトルを選ぶが もし 内向き法線ベクトルを選んだ場合でも 上で述べたように 内積の絶対値は同じで その符号が外向き法線の場合と逆転するだけである 要は 1) を選ぶか 2) を選ぶかの問題は 流出の場合に対して流束の値 ( すなわち 内積 hn の値 ) を正にとるか 流入の場合に流束の値を正に選ぶかの問題である 外向き法線 : 面を横切る流束が 正 W = hn S > 0 流出 内向き法線 : 面を横切る流束が 正 W = hn S > 0 流入 f f ただし 後の問 3,4でみるように 領域内のエネルギーの増減を考える場合には 流出か流入かは 重要な問題になる 32

35 ( 開曲面の場合 ) 開いた曲面の場合 閉曲面の場合のように内向き 外向きの区別をつけることはできない 一般に 図 (a) に示すように ベクトルh の向きと法線ベクトルn のなす角が鋭角になるように選ぶのが一般的である このように選べば hn > 0となる (a) (b) 図 開曲面に対する法線ベクトル 注 ) 後のストークスの定理のように 閉曲線で囲む曲面 ( 図 ) の向きを考える場合には 閉曲線の向きに沿って巡回するときに 右ねじの進む方向に法線ベクトルを選ぶ 図 閉曲線が囲む曲面に対する法線ベクトル 33

36 2 問 1 受光面積 S = 5m の太陽光パネルを考える 次の問に答よ 2 (1) エネルギー流束密度 h = 10W/m のとき エネルギー流束を求めよ ただし 光は面に対して垂直に入射しているものとする (2) エネルギー流束 W f = 100W のとき エネルギー流束密度を求めよ 問 2 次の図に示す各場合について 面積ベクトルを求めよ ( 括弧を埋めよ ) (1) = S S n S = ( ) = ( ) + ( ) + ( ) n i j k (2) = S S n S = ( ) = ( ) + ( ) + ( ) n i j k 34

37 問 3 流束の概念は 物理量の保存を考える場合に重要な概念であることを この章のはじめに述べた 空間に図のような直方体がある (1) 各々の面 S1, S2,, S6 に対する面積ベクトルを求めよ 例 ) S 1 = x yk (2) この直方体の各面を通して エネルギーが流入 流出している 時刻 t において 各々の面に対するエネルギー流束密度ベクトルは 各面上では 一様で次のように与えられる ( 単位 :W/m 2 ) h = 2 k, h = 5 k, h = 10( j), h = 10( j), h = 10 i, h = 20i このとき 各面に対する流束 W = h S, W = h S,, W = h S f 1 1 f 2 2 f 6 6 を求めよ ただし x= y = z = 1m とする (3)(2) の場合について この直方体の表面全体にわたる流束を求めよ W = W + W + W + W + W + W f f f f f f f 35

38 (4)(2) の場合について この直方体の中に含まれるエネルギーは 増えるか? 減るか? それとも変化しないか? ただし この直方体の領域内部におけるエネルギーの発生や消滅はなく 表面からのエネルギーの流入 流出のみによって内部のエネルギーの量は決まるものとする ヒント : 領域内に エネルギーの発生源 及び 吸収源が無ければ 領域内のエネルギーの総量は 表面からのエネルギーの流入と流出のバランスによって決まる (3) で求めた W f は 単位時間あたりに表面からこの領域から正味流出するエネルギーの量である ( 外向き法線を選択した場合 W f > 0 なら流出 W f < 0 なら流入であることを思い出す ) 領域内のエネルギーをQ (J) とする t 時間あたり表面を通して この領域に 流入 するエネルギー Q は Q= Wf t 従って 単位時間あたりの Q の変化は 次式で与えられる Q = W t f ただし W f の前の負号は 流束 Wf の符号の定義を流出を正に選んでいるためで 流出すると領域内のエネルギーは減少する ( Q < 0 ) このため 負号をつけておく必要がある 36

39 問 4 ( 領域内に発生 消滅がある場合 ) 図のような円筒形をしたガラス容器の中に 光吸収セルを置く このセルが単位時間あたりに吸収する光エネルギーの大きさを Q t cell で表すことにする ただし セルに吸収された光のエネルギーは セルにおける化学反応に使われ 全て消費されてしまう また ガラス表面における光の反射 光の吸収はない 次の問に答よ (1) このガラス容器表面全体にわたる正味の流束 Wf で表す このとき この円筒形の容器内に含まれる光のエネルギーの時間変化 Q t を W f 及び ( Q/ t) cell を用いて表せ (2) 今 ガラス容器の上面における光のエネルギー流束密度が次のように 2 ht = ht( k ), ht = 10W/m 与えられる 容器を通過する光は 光吸収セルの部分については セルによって全て吸収される 一方 セル以外の部分は そのまま透過する また 側面からの光エネルギーの流入 流出はない TOP BOTTOM このとき 上面及び底面における流束 Wf, Wf を求めよ ただし 容器及びセルの半径を 各々 a 1 = 0.1m, a 2 = 0.05m とする (3)(2) の条件のもとで ガラス容器内部のエネルギーの総量の時間変化はなくなり 定常に落ち着いている すなわち Q = 0 t このとき ( Q/ t) cell を求めよ 37

40 問 5 地面に対してα の角度を持つ屋根に設置した太陽電池のパネルを考える 座標軸を図のように選ぶ このとき次の問いに答えよ (1) パネルの面の法線ベクトルを 基本単位ベクトル i,, j k 及びα で表せ ヒント : 第 1 章 1.4 問 4のように各辺をベクトルで表現し 外積を用いると簡単に求まる (2) 太陽からのエネルギー密度が h= h i+ h ( k ) x z で与えられるとき 太陽電池の出力パワーを hx, hz, S, α, η で表せ ただし η は光のエネルギーから電気への変換効率を表す (3) 太陽からのエネルギー流束密度ベクトルが h= h ( k ) 2 0 h 0 = 5W / m で与えられるとき パネル面上でのエネルギー流束を求めよ このとき 太陽電池の出力は何ワットになるか ただし パネルの面積 2 を S = 10m 電気への変換効率 η を20% ( η = 0.2) とし α = 30 とする 38

41 問 6 ( 点源からの放射 ) 図に示すように 座標軸の原点にある点光源から 等方的かつ一様に 単位時間あたり W ワットの光のエネルギーが放射されている 次の問いに答よ f (1) 原点から半径 r の球面上での光のエネルギー流束密度 h を Wf, rを用いて 表せ * 等方的かつ一様に放射されているから 面上でエネルギー流束密度は同じと考える (2)(1) の球面上の点 ( x, yz, ) におけるエネルギー流束密度ベクトルh を この点の位置ベクトルr 及び Wf, rを用いて表せ ( ヒント : この点で球面に垂直な方向の単位ベクトル すなわち 面の法線ベクトルは r / r と表せる ) 39

42 2.2.2 流体の例 流体 例えば 水の流れを考え 流束及び流束密度ベクトルに対する理解をさらに確かなものとする 流束今 図 に示すような定常的な流れ場の中に仮想的な面を考える 上の太陽光の例では 考えている面に単位時間あたりに入る エネルギーの量 を問題にし これを エネルギーの流束 と呼んだ この例では 面を単位時間に通過する 流体の量 ( 質量 ) を問題にし これを 質量流束 或いは 単に 流束 と呼ぶ ここでは ( 質量 ) 流束を 記 号 M を用いて表すことにする M の単位は kg / s である f f 図 流体と質量流束 流束密度ベクトル先のエネルギーに関する流束密度ベクトルは 式 (2.2.8) のように与えられた 流体の流れ場における流束密度も 同様な考え方で定義できる すなわち 空間の各点における流束密度ベクトルは 流体の流れに垂直な面を 単位時間 単位面積あたり横切る流体の質量として 以下のように表すことができる M = S f f e v (2.2.16) M f : 速度ベクトル v に垂直な微小面積 S を通過する流束 e v : 考えている点における流れの方向の単位ベクトル 40

43 この場合には e v は流れの速度ベクトル v の方向と考えることができる また 2 流束密度ベクトルf の単位は kg/(m s) である 実は 後に詳しく述べるように 式 (2.2.16) で定義した質量流束密度ベクトルf は 空間中の各点での流体の密度 ρ 及び速度 v を用いて f = ρv (2.2.17) ρ : 流体の密度 v : 流速ベクトル と表される f は 空間の各位置での密度 ρ ( x, yz, ) 及び速度 v( x, yz, ) に依存するベクトル場 f ( x, yz, ) と考えることができる 面と速度ベクトルが垂直な場合の流束 M 式 (2.2.17) の関係は 式 (2.1.16) の分母の M f すなわち 速度ベクトル vと垂直な面を単位時間に横切る流体の質量について さらに詳しく考察することによって導くことができる そこで 空間のある位置に 図 に示すように 速度ベクトル vに垂直な微小面積 S を考えることにする ただし 前と同様 面積 S は十分小さく 考えている点の近傍及びこの面上で流れの速度 v は一様であるとする f 図 速度ベクトルと垂直な面を横切る流束 M f 41

44 流体の速さは v[m/s] であるから 微小時間 t の間に 流体は v t[ m] だけ移動する 従って 図 2.2.9に示した底面積 S [m 2 ] 高さ v t[ m] の円柱の領域 ( 体積 V = ( S)( v t) = v S t [m 3 ]) に含まれる流体は この面を通過すること 3 ができる ここで 流体の単位体積あたりの質量 すなわち 密度を ρ[ kg / m ] とすると この面を t 時間当たり 横切る流体の質量 M は 密度に体積をかけて kg 3 M [ kg] = ρ [ ] V [ m ] = ρv S t [ kg] (2.2.18) 3 m となる 従って この面を単位時間に通過する流体の質量 すなわち この面を通過 する流束 M [kg/s] は 式 (2.2.18) の両辺を時間 t で割って f M M kg ρv S t s f = = (2.2.19) となることがわかる これから この面を通過する単位面積 単位時間あたりの流体の質量は を面積 S で割って M f M f S = ρv (2.2.20) となる 式 (2.2.17) で与えられる流束密度ベクトルf とがわかる = ρvの大きさと一致するこ 面 A と速度ベクトルとが垂直でない場合の流束エネルギー流束の例 式 (2.2.9) でみたように 空間の各点で流束密度ベクトル f = ρvが与えられば 面が速度ベクトルに対して傾きを持つ場合の流束は M = ( f n ) S = f cosθ S (2.2.21) f M = ρvcosθ S (2.2.22) f 42

45 から計算することができる 式 (2.2.21) は 次の直感的な考え方からも理解できる 速度ベクトル v が面に対して傾きを持つ場合には 図 (a) に示したように 側線の長さ v tの斜めに傾いた円柱に含まれる流体が t 時間当たりこの面を通過する 図 (b) に示すような等積変形の考え方を用いると この斜めの円柱の体積は 底面積が同じ S で 高さ v tcosθ の直円柱の体積 V = ( S) ( v tcos θ ) = vcosθ S t (2.2.23) に等しいことがわかる (a) (b) 図 流体が面を斜めに横切る場合 従って t 時間当たりこの面を通過する流体の質量 M は M = ρ V = ρvcosθ S t (2.2.24) になる 単位時間あたりにこの面を通過する流体の質量 すなわち 流束 M = M / tは 上の式を t で割ることにより この場合 f M M f = = ρv Scosθ t (2.2.25) で与えられる θ = π /2の場合 すなわち 流れが面と垂直な場合には M = ρv Sとなり 式 (2.2.19) に一致する f 43

46 流束の内積による表現 エネルギー流束の場合と同様 質量流束についても 流束密度ベクトルf と面積ベクトル S の内積を用いて 次のように表すことができる M = f S = ρv S (2.2.26) f 問 7 密度が ρ 流れ場が v= v x i+ v y j+ v z k で与えられるとき x 軸に垂直で 面積 S = y zの長方形 ( ただし y, zは 各々 y 方向及び z 方向の辺の長さ ) の面を横切る流束が ρv y z x で与えられることを示せ ただし 流体の密度を ρ とする 問 8 前節問 3のエネルギー流束の例を参考に 水の流れの中に置かれた仮想的な直方体に含まれる水の質量の時間変化 M t を 各々の面における流束密度ベクトル ρ 1 v 1, ρ 2 v 2,, ρ 6 v 6 と面積ベクトル S, S,, S い込みはないものとする を用いて表せ ただし 領域の中には 水の湧き出し 水の吸 問 9 問 8で考えている領域中に水の湧き出しがあり 単位時間当たりの湧き出し量を M t source で表すとき 領域内の水量の時間変化 M t はどうなるか? 前節問 4のエネルギー流束の例を参考に考えよ 44

47 問 10 ( 線源からの湧き出しと流束 ) 密度 ρ ( = const.) の流体について 点 ( x, yz, ) における速度場が v( x, yz, ) = v( xyz,, ) i+ v( xyz,, ) j+ v( xyz,, ) k v x y z = K x R, (,, ) ( / 2 ) x x y z v x y z = K y R, v ( x, y, z ) = 0 2 y (,, ) ( / ) 2 2 R = x + y で与えられるとき 次の問いに答えよ (1)z 軸に垂直な平面上で速度場の概略を ベクトル図として図示せよ この速度場は z 軸上に一様に分布する湧き出し ( 線源 ) から ( x, y ) 平面上で放射状に流れ出る速度場であることを確かめよ (2) 点 ( x, yz, ) における流速の大きさ v = v は z 軸から考えている点までの距 2 2 離 R = x + y にのみ依存し かつ R に反比例して減少する v= v = K / R, K = const. ことを示せ (3)(1)2) から点 ( x, yz, ) における速度が z K R v ( xyz,, ) = R R で与えられることを示せ ただし ベクトル R は z 軸から z 軸のまわりを囲む半径 R の円筒面までの距離を大きさとし 円筒面に垂直な方向を向く 次のベクトルを示す R = xi+ yj (3)z 軸のまわりを囲む半径 R 高さ L の円筒の表面を 単位時間あたり通過する水量 ( 流束 ) は R によらず一定であることを示せ (4)(3) から z 軸上の水の湧き出し ( 単位長さ当たり ) から 単位時間当た りに湧き出している水の量 M を求めよ ( M を ρ, K を用いて表せ ) f f 45

48 問 11 ( 点源からの湧き出しと流束 ) 密度 ρ ( = const.) の流体について 速度場が K r v( x, yz, ) =, = x+ y+ z 2 r i j k r r で与えられるとき 次の問いに答えよ (1) 速度場の概略を図示し この速度場は原点にある湧き出し ( 点源 ) から 等方的に流れ出る速度場であることを確かめよ (2) 流速の大きさ v = v は 原点から考えている点 ( x, yz, ) までの距離 r = x + y + z にのみ依存し かつ r 2 に反比例して減少する 2 v= v = K / r K = const. ことを示せ (3) 原点を囲む半径 r 球の表面を 単位時間あたり通過する水量 ( 流束 ) は r によらず一定であることを示せ (4)(3) から原点にある水の湧き出しについて 単位時間に湧き出している水量 M を求めよ ( M を ρ, K を用いて表せ ) f f 一般のベクトル場の場合 これまで エネルギー及び流体の質量の流れを表すベクトル場 h ( x, yz, ) f ( x, yz, ) に対して 空間中の考える面を横切る流束が ベクトルh 或いは f と面積ベクトル S の内積によって表されることを学んだきた また 2.2.1の問 の問 などの具体例でみたように 流束の概念は物理量の保存と密接な関係があり 流束から領域内部の発生 消滅量を知ることもできる ( 2.2.1の問 4 6 また 2.2.2の問 など参照 ) このような流束や流束密度の概念は h や f に限らず一般のベクトル場にも対して考えることができる すなわち ベクトル場 A ( x, yz, ) が与えられたとき 空間中にある面 ( 面積 S ) についてベクトル A の 流束 46

49 を この面の法線ベクトル n に対するベクトルの有効成分を考え An S 或いは A S (2.2.27) と定義する もともと 流束や流束密度の概念は流体力学において用いられてきた概念である この授業の本題である電磁気学における電束密度や磁束密度の概念も 本章で取り上げたエネルギーの流れや流体の流れとのアナロジー ( 類似性 ) を考えていくと 理解しやすいことが多い 繰り返しになるが 第 3 章のベクトル場の発散や第 4 章の面積分 さらには ガウスの法則の意味を考えていく上で 本章で説明した流束の概念は大切な概念である 47

50 3. 場の微分 3.1 スカラー場の勾配 スカラー場に関連する重要な概念として勾配 (gradient) の概念がある 2 次元の温度場の例勾配の概念を 図 3.1.1に示す2 次元の温度場 T( x, y) の例を用いて説明する 図 3.1.1で点 P( x, y) と点 P から少しだけ離れた点 Q( x + dx, y + dy) の位置ベクトルを 各々 rr, とする r = xi+ yj (3.1.1) r = ( x + dx) i+ ( y + dy) j (3.1.2) 図 次元温度分布と温度勾配 今 点 P から点 Q まで移動するときの温度差 dt は 点 P の温度 T( x, y) と点 Q の温度 T( x+ dx, y+ dy) から dt = T ( x + dx, y + dy) T ( x, y) (3.1.3) 48

51 で与えられる ここで T( x+ dx, y+ dy) を Taylor 展開すると T T T ( x + dx, y + dy) = T ( x, y) + dx + dy x y (3.1.4) となる これを 式 (3.1.3) に代入して温度差 dt は T T dt = dx + dy x y (3.1.5) で与えられる この式の右辺は 二つのベクトルの内積として T T dt = ( i + j) ( dxi + dyj ) (3.1.6) x y と考えることができる すなわち 点 P と点 Q の温度差は 次の式で定義される勾配ベクトル T T T i + j (3.1.7) x y と点 P から点 Q への変位ベクトル ( d r = r r) dr = dxi+ dyj (3.1.8) の内積として dt = T dr (3.1.9) と表すことができる 勾配 ( ベクトル ) は ベクトル量であり 方向と大きさを持つ 49

52 勾配ベクトルの大きさ式 (3.1.7) から点 P( x, y) における勾配ベクトルの大きさは T T T = + x y 2 2 (3.1.10) から計算できる 勾配ベクトルの方向式 (3.1.9) から勾配ベクトルの方向を考える 勾配ベクトルと変位ベクトルとのなす角をθ とすると 式 (3.1.9) は dt = T dr cosθ (3.1.11) と表される 同じ距離 dr だけ変位しても 変位の方向によって 当然 温度差は異なる 式 (3.1.11) からθ = 0 のとき すなわち 変位を勾配ベクトルの方向 ( T // dr ) に選ぶと温度差 dt は最大となる このことから 点 P の位置でまわりを見渡したとき 最も温度勾配が急な方向が勾配ベクトルの方向 ということがわかる 勾配ベクトルの向きと等高線図 に示すように 変位ベクトル dr を点 P から等高線に沿って選ぶ すなわち dr を等高線の接線方向にとる 等高線上では 温度はすべて等しく 温度差はゼロである 従って このとき式 (3.1.9) から 0 = T dr (3.1.12) となる すなわち この場合 温度勾配 T と変位ベクトル dr の内積はゼロで 50

53 あり 両者は直交する T dr dr : 等高線に沿った変位 (3.1.13) 言い換えれば 等高線上の各点で 勾配ベクトルの向きは 等高線に垂直な方向 であることがわかる 図 温度の等高線と勾配ベクトルの方向 51

54 3 次元空間における勾配ベクトル上では 簡単な2 次元の場合を考え 勾配ベクトルを定義した 空間 3 次元の場合には 点 P( x, yz, ) と点 Q( x + dx, y + dy, z + dz) との温度差 dt は T T T dt = dx + dy + dz x y z = T dr (3.1.14) と表される 従って この場合も同様な考え方から 勾配ベクトル T を次式で定義することができる T T T T i + j+ k (3.1.15) x y z また 変位 dr は次式で与えられる dr = dxi+ dyj + dzk (3.1.16) 3 次元空間でも 勾配ベクトルの方向 : 考えている点のまわりで最も物理量の変化が大きい方向であり 等高面に垂直な方向 勾配ベクトルの大きさ : T T T T = + + x y z (3.1.17) で与えられる 52

55 問 1 次の2 次元スカラー場について 点 ( x, y) における勾配ベクトル及びその大きさを求めよ また 与えられた点 ( x, y) = ( x0, y0) において 勾配ベクトルの方向の単位ベクトルを求めよ 例 2 2 ( xy, ) x y, ( xy, ) (1,0) ϕ = + = ϕ ϕ 勾配ベクトル ϕ( x, y) = i + j = 2xi + 2yj x y 点 ( x, y) における勾配ベクトルの大きさは ϕ = (2 x) + (2 y) = 4x + 4y 勾配ベクトルの方向の単位ベクトルは 勾配ベクトルをその大きさで 割って e ϕ ϕ 2xi + 2yj = = ϕ 4x + 4y 2 2 従って 点 ( xy=, ) (1,0) において 勾配ベクトルの方向の単位ベクトルは 上の式に x= 1, y = 0 を代入して e ϕ ϕ = = i ϕ このスカラー場の等高線は ϕ = + = 2 2 ( x, y) x y const. すなわち 原点を中心とする円となる その半径は 上の const. の値による 例えば ϕ ( xy, ) = 1の等高線は 原点を中心とする半径 1の円である この等高線は 点 ( xy=, ) (1,0) をとおる 上で求めた勾配ベクトルの方向 は 確かに点 ( xy=, ) (1,0) における等高線の接線に垂直な方向であること がわかる 2 (1) ϕ ( xy, ) = x y, ( xy, ) = (0,0) 2 2 (2) (, ) x y ϕ x y =, ( x, y) ( a,0) 2 + = 2 a b 2 2 (3) ϕ ( xy, ) = x y, ( xy, ) = (1,0) 53

56 問 2 2 次元の温度場 T( x, y) = T [1 ( r/ a) ], r = x + y ( ただし x 2 + y 2 a 2 ) 0 が与えられたとき 次の問いに答えよ (1) 点 P( xy, ) = ( a/2,0) における温度を求めよ (2) 点 P( xy, ) = ( a/2,0) を起点として 同じ距離 ( L= a/2) だけ変位するとする 点 Q( x, y) = ( a,0) に変位する場合と点 R( xy, ) = ( a/2, a/2) に変位する場合とで どちらが どれだけ大きな温度差を感じるか (3) 点 P( xy, ) = ( a/2, a/2) から変位するとき 温度勾配が最も大きい方向の単位ベクトルをe T とする e T を求めよ 問 3 ( 熱流に関するフーリエの法則 ) 経験的に熱エネルギーの流れ場は 温度勾配の方向を向き また その大きさは 勾配の大きさに比例する このことを勾配ベクトルを用いて数学的に表現すると, h = κ T 2 h : 熱 ( エネルギーの ) 流束密度ベクトル ( 単位 : W/m ) o κ : 熱伝導度 [ 単位 : W/(m C) ] 半径 a の円板上の銅の温度場が 前問 2のように与えられたとき 次の各点での熱流束密度ベクトルの大きさと向きを答よ (1) ( xy, ) = ( a/2,0) (2) ( xy, ) = ( a/2, a/2) 2 ただし 半径を1mとし 銅の熱伝導度をκ = W /( m C) 中心での温度を100 C とする また これらの点における熱流の大きさは 100W の点光源から1m 離れた点での光のエネルギー流束密度に比較して何分の1か? 或いは 何倍か?( 問 6 参照 ) 問 4 空間 2 次元の場合について 次のスカラー場を考える 2 2 ( x, yz, ) 10 ( x y) ϕ = + (1) ϕ = ϕ0 = const. ϕ0 = 8の等高線を描け (2) 点 P( x, y) における勾配ベクトル ϕ を求めよ (3)(2) の結果を用いて 次の各点 ( xy=, ) ( 2,0) (1,1) (0, 2) ( 1,1) 54

57 ( 2,0) ( 1, 1) (0, 2) (1, 1) での勾配ベクトルの方向と大きさを求めよ (4)(1) で描いた等高線図に (3) で計算した各点における勾配ベクトルを矢印を用いて図示せよ 問 5 3 変数に関する Taylor 展開 T T T T ( x + dx, y + dy, z + dz) T ( x, y, z) + dx + dy + dz x y z を用いて 式 (3.1.15) を確かめよ 問 6 次のスカラー場 ϕ = x y z 2xy に対して 点 P( x, yz, ) における勾配ベクトルを求めよ また ( xyz,, ) = (1,1,1) の点における勾配ベクトルの大きさを計算せよ 問 7 3 次元空間における曲面 x y z x = 1 を考える この曲面上の点 ( xyz,, ) = (1,1,1) において この曲面に垂直な単位ベクトルを求めよ 問 8 3 次元空間において 原点を中心とする半径 r の球面を考える 球面を表す式は x + y + z = r = const. 或いは r x y z x y z const (,, ) = + + =. で与えられる このとき 球面上の点 P( x, yz, ) において r = r r となることを示せ ただし r は点 P( x, yz, ) の位置ベクトル r = xi+ yj+ zk を表す このことから 球面上の各点で r は位置ベクトルに平行で 球面に垂直な単位ベクトルであることがわかる 55

58 問 9 問 7と同様 r を原点から点 P までの距離 r を位置ベクトルとする このとき 以下の式が成り立つことを確かめよ 1 1 r = 2 r r r 問 10 勾配ベクトルは スカラー場から導かれるベクトル場と考えることができる このようなベクトル場の例として 力学で学んだ保存力場の例がある 図のような重力場のポテンシャルエネルギーは スカラー場であり U = mgz これから導かれる力の場は F = U である このとき力は U F= k = mgk z と計算できる 第 II 編で学ぶように 静電場の場合 原点に置かれた点電荷の静電ポテンシ ャルは 原点から距離 r = x + y + z に反比例し K φ ( xyz,, ) = K : 比例定数 r で与えられる このとき 点 ( x, yz, ) における電場は E = φ で与えられる 次の問に答よ (1) F = U の符号が 負であることの意味を説明せよ (2) 電場の方向は ( r / r) と平行であることを示せ (3) 電場の大きさを求めよ 56

59 3.2 ベクトル演算子 (Vector Operator) 定義 = i + j + k (3.2.1) x y z ベクトル演算子 は デルあるいはナブラと呼ぶことがある 演算子は 単独では意味を持たず スカラー或いはベクトルに演算子を作用させることによってはじめて意味をもつ ベクトル演算子をスカラーに作用させた場合例えば この演算子をスカラー ϕ に演算すると ϕ = ( i + j + k ) ϕ x y z ϕ ϕ ϕ = i + j+ k (3.2.2) x y z となり 前節で説明した勾配ベクトルが得られる この例からわかるように ベクトル演算子をスカラーに作用すると ベクトルが得られる 二つのスカラー ψ とφ との積 ψφ も 当然スカラーである これに演算子 を作用させると ( ψφ) = ( i + j + k )( ψφ) x y z = ( i + j + k ) x y z ψφ = i ( ψφ) + j ( ψφ) + k ( ψφ) x y z ψ ψ ψ φ φ φ = ( i + j + k ) φ + ψ( i + j + k ) x y z x y z ( ψφ) = φ ψ + ψ φ (3.2.3) となる これもベクトルである 57

60 問 1 位置ベクトルr = xi+ yj+ zk とベクトルa= axi+ ayj+ azk との内積 ϕ = ar = ax x + ay y + az z はスカラーである ベクトルが位置に依存せず一定の場合 このスカラー ϕ に ベクトル演算子 を作用させた結果は ベクトルであり ϕ = a となることを示せ 問 2 図のように z 軸上の2 点 A 1 (0,0, d / 2) から A 2 (0,0, + d / 2) に向かうベクトルをa = AA 1 2 点 P ( x, yz, ) の位置ベクトルを r とするとき 次の問に答よ (1) ベクトルa の大きさと方向を求めよ (2) ( ar ) を求めよ (3) 次のスカラー場について その ϕ を求めよ a r ϕ( xyz,, ) = K r 2 r 58

61 3.3. ベクトルの発散 定義ベクトル演算子 とベクトル A( x, yz, ) = A( xyz,, ) i+ A( xyz,, ) j+ A( xyz,, ) k (3.3.1) x y z との内積をとる A= ( i + j + k ) ( Axi+ Ayj + Azk ) (3.3.2) x y z 結果は A A A = + + x y z x y z A (3.3.3a) となる これをベクトルの発散 (divergence) と呼び A A x y Az diva = + + (3.3.3b) x y z と表すこともある スカラーにベクトル演算子を作用させた結果はベクトルであった これに対して 上で定義した ベクトルの発散は スカラー である 発散の意味 ベクトル場の発散は 実は前章で考えた面を通過する流束と密接な関係がある 図 3.3.1に示すような空間の点 P( x, yz, ) を囲む微小体積を考える その大きさを V = x y zとする この微小体積が十分小さいとき 微小体積の表面を横切るベクトル A の全流束 = ( A ) V (3.3.4) の関係が成り立つ 59

62 図 空間中の微小体積に関するベクトル場の 流束 と 発散 60

63 ここで ベクトル場 A として 具体的に前章 2 で考えた流束密度ベクトル h やf を考える このとき 問 3で考えたこの微小体積の 表面全体を横切るエネルギーの流束 W f と h の発散 h との間には 次の関係が成り立つ h h x y hz Wf = ( h ) V = ( + + ) V (3.3.5a) x y z 同様に 問 7 の 表面を横切る質量の流束 f との間には 次の関係が成り立つ M と f の発散 f f f x y f z M f = ( f ) V = ( + + ) V (3.3.5b) x y z このような関係が成り立つことを エネルギー流束密度 h の例で考えてみよう 図 の微小体積の表面 S1, S2,, S6における h( x, yz, ) を 各々 h 1, h 2,, h 6 また 各面の面積ベクトルを 各々 S 1, S 2,, S 6 とする このとき 各面に対する流束は 式 (2.2.12) の流束の内積による表現を用いて W = h S, 1 f 2 f 6 f 1 1 W = h S 2 2 W = h S 6 6,, (3.3.6) となる また この微小体積の全表面に対する流束は 六つの面についての和として f f f f hi Si i= 1 W = W + W + + W = (3.3.7) となる そこで まず 図 の面 S 1 と S 2 における流束を具体的に求めてみる 61

64 (1) 面 S 1 面 S 1 は点 P ( x, yz, ) から z /2だけ 上方に位置している また 面 S 1 の面積 x y は十分小さく 面 S 1 上では 流束密度はで一様であるとする そこでh 1 は面 S 1 上の点 P 1 ( xyz,, + z/2) における流束密度の値で評価する すなわち z h1 = h ( xyz,, + ) (3.3.8) 2 面積ベクトル S 1 の大きさは x y であり 面の法線はz 軸方向を向く S1 = x yk (3.3.9) 従って 内積 h1 S1において h 1 の z 成分 hz のみが寄与する 故に 面 S 1 を通過する流束は 1 z Wf = h1 S 1 = hz( x, y, z+ ) x y (3.3.10) 2 となる (2) 面 S 2 面は 点 P ( x, yz, ) から z /2だけ 下方に位置している 従って h 2 については点 P 2 ( xyz,, z/2) における流束密度 h の値を用いる z h2 = h ( xyz,, ) (3.3.11) 2 面積ベクトルは 微小体積で囲まれた領域の内側から外側に向かう向きにとる 従って 面 S 2 に対する面積ベクトルは S2 = x y( k ) (3.3.12) 故に 面 S 1 を通過する流束は 62

65 2 z Wf = h2 S 2 = hz( x, y, z ) x y (3.3.13) 2 となる (3)(1)(2) から まず 面 S 1 と面 S 2 のペアについての流束の和をとると 1 2 z z Wf + Wf = hz x, y, z+ hz x, y, z x y 2 2 (3.3.14) ここで z が小さいとして 次の Taylor 展開 z hz z hz xyz,, + hz( xyz,, ) + 2 z 2 z hz z hz xyz,, hz( xyz,, ) 2 z 2 を用いると 1 2 hz Wf + Wf = x y z z (3.3.15a) (3.3.15b) 1 2 hz Wf + Wf = V z (3.3.16) を得る (4) 同様に x 軸に垂直な面 S 3 と面 S 4 のペアについて 流束の和を考えると 1 2 x x Wf + Wf = hx x+, y, z hx x, y, z y z 2 2 (3.3.17) となる 従って 63

66 3 4 hx Wf + Wf = x y z x 3 4 hx Wf + Wf = V x (3.3.18) を得る (5) さらに y 軸に垂直な面 S 5 と面 S 6 のペアについて 流束の和を考えると 5 6 y y Wf + Wf = hy x, y+, z hz x, y, z x z 2 2 (3.3.20) となる 従って h 5 6 y Wf + Wf = x y z y h 5 6 y Wf + Wf = V y (3.3.21) を得る (6) 以上 (3)(4)(5) から この微小体積の表面をとおる全流束は hz h hy x Wf = Wf + Wf + + Wf = + + V z x y h h h x y z x y z Wf = + + V (3.3.21a) W = ( h ) V (3.3.21b) f 64

67 となることがわかる 再度確認すると り 式 (3.3.21b) は W f は表面をとおるの流束であ 6 hi Si = ( h ) V (3.3.21c) i= 1 ともかける 以上の導出過程からも明らかなように 式 (3.3.21) の関係は 微小体積が十分小さい場合 つまり 点 P ( x, yz, ) のごく近傍において成立する すなわち 点 P ( x, yz, ) における発散は より厳密には微小体積を無限に小さくした極限として 6 h S i i lim i= 1 ( ) V V h (3.3.22) を意味している 流れ場における発散と保存則 ( 領域内にエネルギーの発生源及び吸収源がない場合 ) 式 (3.3.21) で求めた W f は 単位時間あたりにこの微小体積を囲む表面から正味 流出するエネルギーの量ある ( 外向き法線を選択した場合 W f > 0 なら流出 < 0なら流入であることを思い出す ) W f 先に 問 3(4) で考えたように この微小体積内にエネルギーの発生源 及び 吸収源が無ければ 領域内のエネルギーの総量は 表面からのエネルギーの流入と流出のバランスによって決まる 両者がバランスすれば この領域内のエネルギーの量は変化せず 保存される 上でみたように 微小体積の表面を通過する流束は 発散と密接な関連を持っており 従って 流れ場における発散は 保存則と密接に関係している 65

68 微小体積内のエネルギーをQ (J) とすると 問 3(4) で考えたように 単位時間あたりのQ の変化は Q = W t f (3.3.23a) ただし W f の前の負号は 流束 Wf の符号の定義を流出を正に選んでいるためで 流出すると領域内にエネルギーは減少する ( Q < 0 ) このため 負号をつけておく必要がある これと 式 (3.3.22) とより Q = ( h ) V (3.3.23b) t ずなわち この微小体積内のエネルギーの時間変化は エネルギー流束密度ベクトルh の発散 によって表すことができることを意味している さらに 単位体積当たりのエネルギーの量を q とすると Q= q V であるから 単位体積あたりのエネルギーの時間変化の大きさは q = h (3.3.24) t と表される ここで, 時間の微分について編微分 / t で表した意味は 空間の点 P を指定したとき その位置での時間変化を明確に表すためである 式 (3.3.24) から h の発散の意味をさらに明確に理解することができる すなわち h の発散はこの点での単位体積あたりのエネルギー ( エネルギー密度 ) の時間変化を表していることがわかる この領域内のエネルギーが時間的に変化しない場合には q = 0 h = 0 (3.3.25) t となり h の発散はゼロとなる これは この微小体積の表面を通して正味のエネルギーの流入 / 流出がバランスしていることを意味する 66

69 ( 領域内にエネルギーの発生源及び吸収源がある場合 ) 問 4で考えたように この微小体積中に エネルギーの発生或いは 吸収源があるとき 式 (3.3.23a) は Q t Q = Wf + t source/ sink (3.3.26a) 従って Q Q = ( h ) V + (3.3.26b) t t source/ sink となる 式 (3.3.26) で右辺の第 2 項は この微小体積内での単位時間あたりのエネルギーの発生 (source) 或いは 吸収 (sink) を表し Q 発生の場合 : > 0 t source Q 吸収の場合 : < 0 t sink である この微小体積内のエネルギーの時間変化は 表面を通しての流入 流出に加えて この点でのエネルギーの発生 / 吸収量によって支配される 上と同様にして 単位体積当たりのエネルギー量 ( エネルギー密度 ) で考えると q q = h + (3.3.27) t t source/ sink この場合 この微小体積内のエネルギーの時間変化が無ければ q q = 0 h = (3.3.28) t t source/ sink となる 従って この場合 h の発散は考えている点におけるエネルギーの発生量 / 吸収量に等しくなることがわかる 67

70 問 1 ベクトル場 A( x, yz, ) が 以下のように与えられるとき A の発散を求めよ また 指定された点 ( x, yz, ) に置ける発散の値を求めよ (1) A( x, yz, ) = xi+ yj+ zk, ( xyz,, ) = (1,1,1) (2) A( x, y, z) = ω yi ωxj ( ω = const.), ( x, y, z) = (1,0,0) 2 (3) A( x, y, z) = a exp( xz / λ) i+ b exp( xy / λ) j cz k ( a, b, c, λ = const.), ( xyz,, ) = (0,0,0) 問 2 r が点 P( x, yz, ) の位置ベクトル r = xi+ yj+ zk を表すとき r =3 となることを示せ 問 3 今 r が点 P( x, yz, ) の位置ベクトルを表すとする 次の問に答よ (1) ベクトル場が r K r A = K =, r 3 r 2 K = const. r のような形で与えられるような例を できるだけたくさん挙げよ 例 : 問 6の点光源からの光の放射の場 (2) 原点以外 ( r 0 ) の点で r = r 3 0 となることを示せ 68

71 問 4 原点に置かれた点電荷が空間の点 ( x, yz, ) つくる電場 E は 2 Er () = ( K / r )( r / r) ( K const. = ) の形になる 原点以外の点で E を求めよ 問 6 図 3.3.1の微小体積について (1) 面 S 3 と面 S 4 についての流束の和が式 (3.3.17) になることを示せ また 面 S 5 と面 S 6 についての流束の和が式 (3.3.19) になることを示せ (2)Taylor 展開を用いて 面 S 3 と面 S 4 についての流束の和が 近似的に式 (3.3.18) になることを示せ 同様に 面 S 5 と面 S 6 についての流束の和が 近似的に式 (3.3.20) になることを示せ (3) 式 (3.3.16) 及び上の (1) (2) から この微小体積の表面をとおる正味の流束が式 (3.3.21) で与えられることを確かめよ 問 7 定常的なエネルギーの流れの場 ( q/ t = 0) を考える 空間中のある点で h 0 となった このことは 何を意味するか? その物理的意味を説明せよ 問 8( 密度連続の式 ) 流体の速度場が空間の各点で v( x, yzt,, ) = v( xyzt,,, ) i+ v( xyzt,,, ) j+ v( xyzt,,, ) k x y z のように与えられる また 空間の各点における流体の密度を ρ( x, yzt,, ) とする このとき 図 3.3.1と同様に空間の点 P( x, yz, ) を囲む微小体積を考える 次の問に答よ (1) 点 P( x, yz, ) における質量流束密度ベクトルf を ρ( x, yzt,, ) と v( x, yz, ) とを用いて表わせ (2) エネルギー流束密度の発散 h と同様の考え方を用いて 6 fi Si = ( f ) V i= 1 が成り立つことを示せ 69

72 (3) 式 (3.3.23b) を導いたのと同様の考え方で f の発散がこの微小体積内の全質量 M の時間変化と次の関係にあることを説明せよ M t = ( f ) V (4) 流体の密度 ρ と微小体積の大きさ V とを用いて 流体の質量 M を表せ ただし 体積は十分小さく この微小体積内で密度は一様とみなせるとする (5) 上の (1)(2)(3)(4) からこの微小体積内に 流体の湧き出し ( 発生 ) も吸い込み ( 消滅 ) もないとすると 次の 密度連続の式 が成立することを示せ ρ + ( ρv ) = 0 t (6) この微小体積における単位時間 単位体積あたりの流体の湧き出し量 ( 或いは 吸い込み量 ) を S M ( 湧き出し : S M > 0 吸い込み: S M < 0 ) で表すとき 上で導いた密度連続の式はどうなるか? 問 9 定常な流れ場を考える 空間の各点で ( ρv) = 0のとき この空間には流体の湧き出しも, 吸い込みもないことを説明せよ 問 10 ϕ をスカラー v をベクトルとするとき 次の式が成立することを確かめよ ( ϕv) = ϕ( v) + ( ϕ) v 70

73 問 11 ( ラプラス演算子 / ラプラシアン :Laplacian) ϕ をスカラーとするとき ( ϕ) ϕ 2 = ( div(grad ϕ) ϕ 2 = ) 2 となることを確かめよ ここで 記号 は x y z = を表す これをラプラス演算子 (Laplacian) と呼ぶ 2 を を用いて表すこともある ϕ ϕ ϕ ϕ ϕ x y z = = 問 12 2 r を計算せよ ただし 2 2 r = x + y + z 2 ( 0) とする 問 13( 熱伝導方程式 ) 前節 問 3で説明した熱流に関するフーリエの法則 (Fourier s Law) h = κ T が成立するとき 次の問に答よ (1) 空間中でエネルギーの発生や消滅がないとき 次の方程式が成り立つことを示せ q = κ T, t = + + x y z (Laplacian) ただし 熱伝導度は空間的に変化しないとする (2) 物体の密度を ρ (kg/m 3 ) 比熱をC (J/kgK) 温度をT (K) とするとき この物体の単位体積あたりに持つ熱エネルギー q (J/m 3 ) を C ρ T で 71

74 表せ (3)(2) から (1) は 次の温度に関する熱伝導方程式 T = κ T t となることを示せ ただし κ = κ / Cρ は熱拡散率を表す 問 14( 円柱座標系における発散 ) 次頁の図 (a) のような円柱座標系 ( R, θ, z) において ベクトルh が h( R, θ, z) = h ( R, θ, z) e + h ( R, θ, z) e + h ( R, θ, z) e R R θ θ z z で与えられている ただし e, e, e は 各々 R 方向 θ 方向 z 方向の単位 R θ z ベクトルで R e =, e = k, eθ = e e R R z z R = + = ( R xi yj, R x y ) で与えられる ここで 空間の点 P を囲む図 (b) のような微小体積を考える 次の手順で h の発散が円柱座標系では 1 1 hθ hz h = ( RhR ) + + R R R θ z と表されることを確かめよ (1) 面 S 1 面 S 2 の面積ベクトルが 各々 次の式で与えられることを示せ S = R θ Re, S = R θ R( e ) 1 z 2 z (2) 面 S 1 面 S 2 を横切る流束は 各々 次の式で与えられることを示せ 1 z Wf = hz( R, θ, z+ ) R R θ, 2, 2 z Wf = hz( R, θ, z ) R R θ, 2 72

75 (b) (a) 73

76 (3) 面 S 1 面 S 2 を横切る流束の和は 次式で表されることを示せ 1 2 z z Wf + Wf = hz( R, θ, z+ ) hz( R, θ, z ) R R θ, 2 2 (4)(3) は 近似的に次のようにとなることを確かめよ 1 2 hz Wf + Wf R R θ, z (5) 面 S 3 面 S 4 の面積ベクトルは 各々 次のようなることを確かめよ R R S3 = R θ z( e r ), S4 = R + θ ze 2 2 r (6)(5) より 3 R R Wf = h3 S 3 = hr( R, θ, z) R θ z 2 2 hr R R hr ( R, θ, z) R θ z R R R Wf = h4 S 4 = hr( R+, θ, z) R+ θ z 2 2 hr R R hr ( R, θ, z) + R+ θ z R 2 2 となることを示せ 2 (7) さらに ( R) 以上の高次の項を無視すると 3 hr R R Wf hr( R, θ, z) R R hr( R, θ, z) θ z R hr R R Wf hr( R, θ, z) R+ R+ hr( R, θ, z) θ z R

77 これから 3 4 hr Wf + Wf R+ hr( R, θ, z) R θ z, R 3 4 Wf + Wf ( hrr) R θ z R となることを確かめよ (8) 面 S 5 面 S 6 の面積ベクトルは 次のように与えられることを確かめよ S e 5 = R z, θ+ θ /2 S6 = R z( e ) θ θ /2 ただし e θ+ θ /2, 及び e は 各々 θ θ θ + θ /2 及び θ θ /2における単位 /2 ベクトル ( 両者は 大きさは1で等しいが 向きがことなることに注意 ) (9)(8) より 5 θ Wf = h5 S 5 = hθ ( R, θ +, z) R z 2 hθ θ hθ ( R, θ, z) + R z θ 2 6 θ Wf = h6 S 6 = hr( R, θ, z) R z 2 hθ θ hθ ( R, θ, z) R z θ hθ Wf + Wf R θ z θ となることを確かめよ (10)(4)(7) 及び (9) の結果より この微小体積の表面全体を横切る流束は hz 1 1 hθ Wf = Wf + Wf + + Wf + ( hrr) + R R θ z, z R R R θ となることを確かめよ 75

78 (11) この微小体積の大きさは V = R R θ zであたえられる これから 1 1 hθ hz Wf = ( hrr) + + V, R R R θ z となることを確かめよ したがって 1 1 hθ hz h = ( hr R ) + + R R R θ z となることを確かめよ 76

79 3.4 ベクトルの回転 定義ベクトル演算子 とベクトル A( x, yz, ) = A( xyz,, ) i+ A( xyz,, ) j+ A( xyz,, ) k (3.4.1) x y z との外積をとる A= ( i + j + k ) ( Axi+ Ayj + Azk ) (3.4.2) x y z 結果は A A A A A A = + y z + z x x y z y x z y x A i j k (3.4.3a) となる これをベクトルの回転 (rotation 或いは curl) と呼び A A z y A A x Az y A x rota= i+ + y z z x j k (3.4.3b) x y 或いは A A z y A A x Az y A x curla= i+ + y z z x j k (3.4.3c) x y と表すこともある ベクトルの回転によって得られる量は ベクトル量であり 大きさと方向をもつ ベクトルの回転は 普通のベクトルの外積と同様 次の行列式を計算することによっても計算できる ( 問 1) 77

80 i j k A = (3.4.4) x y z A A A x y z 実際に ベクトルの回転を計算する場合 式 (3.4.3) の右辺を全部暗記する必要はない 演算子の成分を普通のベクトルの成分と同じと考え 行列式 (3.4.4) を用いるのが簡単である 回転の意味 図 3.4.1に示す剛体の回転の例で 式 (3.4.3) で定義されるベクトルの回転の意味を考えてみる 図 剛体の各点の速度ベクトル v と角速度ベクトル ω 剛体の回転の角速度ベクトルを ω とすると ω = ωk ω = dθ / dt (3.4.5) で表される すなわち 角速度ベクトルの大きさω は 単位時間あたりの回転角 dθ / dtであり その向きを z 方向にとる このとき 剛体上の点 ( xyz=,, 0) の 78

81 速度ベクトルは v = ω r (3.4.6) と表すことができる ただし r は点 ( xyz=,, 0) の位置ベクトル r = xi+ yj (3.4.7) である 角速度ベクトルを式 (3.4.5) のように選ぶと 確かに剛体の速度の大きさは v= rω となり また 速度の方向は 位置ベクトルと角速度ベクトルの両方に垂直な方向 すなわち この点をとおる円の接線方向 (θ 方向 ) になる ここで 式 (3.4.6) の右辺は i j k ω r = ωk ( xi+ yj ) = 0 0 ω x y 0 ω r = yωi+ xω j (3.4.8) 従って 剛体上の速度場は v( x, y) = v i+ v j, v = yω, v = xω (3.4.9) x y x y で与えられる そこで 速度ベクトルの回転を計算すると i j k v= = ( xω) ( yω) x y z x y k yω xω 0 v= 2ωk = 2ω (3.4.10) となり 回転の角速度ベクトルに比例する量であることがわかる この例からわかるように vはベクトル量の回転と深くかかわっている 79

82 問 1 次の二つの方法により 式 (3.4.3) が成り立つことを確かめよ (1) 式 (3.4.2) をそのまま展開する方法 この場合 i i = 0, i j = k, などの関係を用いる (2) 次の行列式 (3.4.4) を計算する方法 問 2 次のベクトル場の回転 A を求めよ また 指定された点に置ける A の大きさと A の方向の単位ベクトルを求めよ (1) A( xyz,, ) = yzi+ zxj+ xyk, ( xyz,, ) = (1,1,1) (2) A( xyz,, ) = ayi+ bxj+ czk, ( xyz,, ) = (1,1,1) 問 3 r を点 ( x, yz, ) を表す位置ベクトルとするとき r =0 となることを示せ 問 4 次の二つの速度場を比較する (a) 剛体の回転を表す速度場 : 式 (3.4.9) v( x, y) = v i+ v j, v = yω, v = xω x y x y (b) 点源から湧き出しを表す流れの速度場 :2.2.2 問 9 参照 次の問に答よ v( x, y) = v i+ v j, v = x/ R, v = y/ R, R= x + y x y x y (1)(a) (b) の流れ場の概略の様子を ( x, y ) 平面上で流線図として図示せよ (2)(a) (b) の流れ場について v を計算せよ (1) で描いた流れ場の特徴と vの計算結果を比較して 気が付く点を挙げよ 80

83 問 5 上では 回転の軸を z 軸にとり ( x, y ) 平面内での回転を考えた 図のように回転の面が ( x, y ) 平面内にない 場合 r = xi+ yj + zk ω = ω i + ω j+ ω k v = ω r x y z についても式 (3.4.10) が成り立つことを 以下の手順で示せ (1) v = v= aω になることを説明せよ ただし a は回転の半径 ω は角速度ベクトルの大きさである ( ヒント : 位置ベクトルと角速度ベクトルのなす角をα とすると a = r sinα ) (2) v( x, y) = vxi+ vyj+ vzk の各成分 vx, vy, vzを v = ω r の右辺を計算することにより求めよ (3)(2) を用いて vを計算せよ (4) v = 2ω が成立することを確かめよ 問 6 二つのベクトル A( x, yz, ) = A( xyz,, ) i+ A( xyz,, ) j+ A( xyz,, ) k x y z B( x, yz, ) = Bx( xyz,, ) i+ By( xyz,, ) j+ Bz( xyz,, ) k が与えられるとき ( A+ B) = A+ B が成り立つことを示せ 問 7 ベクトル A( x, yz, ) = A( xyz,, ) i+ A( xyz,, ) j+ A( xyz,, ) k x y z とスカラー ϕ( x, yz, ) の積 ϕa の回転を計算し 次式が成り立つことを示せ ( ϕa) = ( ϕ) A+ ϕ( A ) 81

84 問 8 r を 点 ( x, yz, ) を表す位置ベクトルとするとき 次の計算をせよ (1) ( rr ) r (2) r K r (3) 2 r r 問 9 ( x, yz, ) 座標系において 2 A A A ( ) = ( ) が成り立つことを次の二つの方法で確かめよ (1) ベクトルについての三重積の公式 式 (1.5.7) を用いる方法 (2) 直接 右辺と左辺を計算し 両辺を比較する方法 この公式は 電磁気学では 電磁波を扱うときに用いる重要な公式である * 2 は 3.4 問 11で定義したラプラシアンを表す 上の関係式は 曲線座標系 例えば 円柱座標系や 球座標系に対しては成立しないことに注意 直角座標系では その基本ベクトル i,, j k は位置に依存しない これに対して曲線座標系では基本ベクトルが空間の場所 場所で変化する 微分演算を行うときには この点に注意しなければならない 問 10 ベクトル AB, に対して 次式が成り立つことを確かめよ ( A B) = ( B ) A ( A ) B+ A( B) B ( A) 82

85 3.5 勾配ベクトルの回転 ( ( ϕ) 0) 今 ベクトル A が スカラー ϕ の勾配から導かれる場合 A = ϕ (3.5.1) を考える このとき スカラー ϕ をベクトルのスカラーポテンシャルと呼ぶことがある このように ベクトル A が スカラー ϕ の勾配から導かれる場合には ベクトル A の回転は 恒等的に A = ( ϕ) 0 (3.5.2) となる これは 以下のようにして示すことができる i j k ϕ = x y z ϕ ϕ ϕ x y z ϕ ϕ ϕ ϕ ϕ ϕ = i + y z z y + z x x z j k x y y x ϕ ϕ ϕ ϕ ϕ ϕ = i + j+ k yz zy zx xz xy yx 0 すなわち 任意のスカラー ϕ( x, yz, ) の勾配によって導かれるベクトルに対して ( ϕ) 0 (3.5.3) が恒等的に成り立つ 83

86 問 1 3.1を復習し スカラーから導かれるベクトル場の例をできる限り上げよ 例 : 後で詳しく学ぶように電磁気学では 静電場があてはまる 静電場における電場と静電ポテンシャルの間には E = ϕ の関係がある 静電場では 電場の回転はゼロとなる ( E = 0 ) 静電場の重要な性質である 問 2 次のスカラー場について その勾配 ϕ 及び勾配ベクトルの回転 ( ϕ) を計算し 式 (3.5.3) が成り立つことを確かめよ 2 2 (1) ϕ ( x, y) = ax + by (2) ϕ ( x, yz, ) = a/ r, r= 2 2 x + y (3) ϕ ( x, yz, ) = a/ r, r= x + y + z ただし ab, は定数である 84

87 3.6 回転によって定義されるベクトルの発散今 ベクトル B が ベクトル A の回転によって B= A (3.6.1) と与えられる場合を考える このとき ベクトルの発散は 恒等的に B= ( A ) 0 (3.6.2) となる これは 以下のようにして示すことができる A A A A A A y z z x x y z y x z y x A= i+ j+ k B B x y Bz B = + + x y z より B= ( A ) A A A A A A x x y z y z x z x y z y x z y = A A z y A A x A z y A x = + + x y x z y z y x z x z y Az A A z Ax A x y A y = + + x y y x y z z y z x x z 0 以上のように 任意のベクトル A の回転によって得られるベクトル A について その発散 ( ) A は 恒等的にゼロになる ( A ) 0 (3.6.3) 85

88 問 1 次のベクトル場について その回転 A 及びその発散 ( A) を計算し 式 (3.6.3) が成り立つことを確かめよ A( x, yz, ) = A( xyz,, ) i+ A( xyz,, ) j+ A( xyz,, ) k x y z (1) A( xyz,, ) = ay, A( xyz,, ) = ay, A( xyz,, ) = 0 x y z x(,, ) = /, x(,, ) = /, z(,, ) = 0, = + + (2) A xyz ay r A xyz ax r A xyz r x y z 問 2 式 (3.6.1) のように ベクトル場がベクトルの回転によって B= Aと与えられるとき A を B のベクトルポテンシャルと呼ぶ 電磁気学で磁束密度を表すベクトル B は B = 0 を満たす 従って 磁束密度はベクトルポテンシャル A を用いて B= Aのように数学的に表現できる ( 詳しくは 第 Ⅳ 編で議論する ) 次の問に答よ (1) = Ax + Ay + Az A i j k とする A の各成分を書き下せ (2) 今 B= Bxi+ Byj+ Bzk が空間的に一様で その大きさが B 0 方向は z 方向とする ( Bx = By = 0) このとき (1) から次の関係が成り立つことを確かめよ Ay Ax B0 = x y 1 1 (3) Ax = B0y, Ay = B0x, Az = 0 は (2) を満たすことを確かめよ 2 2 (4) ベクトル A の概略の様子をベクトル図として図示せよ 86

89 3.7 まとめの Quiz ベクトル演算子 = スカラーの勾配 1. スカラー場 ϕ( x, yz, ) の勾配 ϕ( x, yz, ) = 2. 勾配の方向と大きさ 勾配の方向は であり 常に ϕ の等高線と な方向を向く 勾配の大きさは 次式で与えられえる 3. 原点からの距離に関する勾配 r = 1 = r ただし r = xi+ yj+ zk 87

90 ベクトルの発散 1. ベクトル場 A( x, yz, ) の発散 A = ベクトルの発散は である 2. ベクトル場の流束と発散 空間の点における発散 h と この点を囲む微小体積の表面全体を通過する流束 6 i=1 S i との間には ( h ) V = の関係が成り立つ また この微小体積内のエネルギー Q の時間変化と発散との間には Q = t の関係が成り立つ 従って が一定に保たれるとき 微小体積内でエネルギーの発生 消滅がなければ 発散はゼロである これは 表面を通してのエネルギーのととがしている 88

91 ことを意味する 4. 密度連続の式 流体の空間中の密度及び速度を ρ ( x, yzt,, ) v( x, yzt,, ) とする 空間の点 ( x, yz, ) におる密度の時間変化は 次の密度連続の式によって記述される ただし S M は空間の点における単位時間 単位体積あたりの流体の湧き出し ( 吸い込み ) 量である 5. ベクトル A( x, yz, ) とスカラー ϕ( x, yz, ) との積 ϕa の発散 ( ϕa ) = 6. 位置ベクトル r に関係する量の発散 r = r = r r = 3 r ラプラシアン 2 = 89

92 ベクトルの回転 1. ベクトル場 A( x, yz, ) の回転 A = ベクトルの回転は である 2. 回転の行列式による表現 i j k A = x y z A A A x y z 3. 剛体の回転 回転速度ベクトルは 角速度ベクトル ω と位置ベクトル r とを用いて v = ( x, y ) 平面内の回転を考える 角速度ベクトルの方向を z 軸に選ぶ ( ω = ωk ) と 速度ベクトルの各成分は v( x, y) = v i+ v j, v = yω, v = xω x y x y 90

93 速度ベクトルの回転は v = 従って v の方向は v の方向にで 大きさは となる 4. ベクトル A( x, yz, ) とスカラー ϕ( x, yz, ) との積 ϕa の回転 ( ϕa ) = 5. 位置ベクトルに関連する量の回転 r = ( rr ) = r = r 1 r = 2 r r 91

94 スカラーポテンシャルと勾配ベクトルの回転 1. スカラーポテンシャル ベクトル A が スカラー ϕ の勾配から導かれる場合 A = このとき スカラー ϕ をベクトル A の という 2. 勾配ベクトルの回転に関する恒等式 ( ϕ) 3. スカラーポテンシャルの例 力 F と位置エネルギー U の間には の関係がある 電場 E と静電ポテンシャル ϕ の間には の関係がある ベクトルポテンシャルと回転により定義されるベクトルの発散 1. ベクトルポテンシャル ベクトル B が ベクトル A の回転から導かれる場合 B = 92

95 このとき ベクトル A をベクトル B の という 2. 回転ベクトルによって定義される量の発散に関する恒等式 ( A ) 3. ベクトルポテンシャルの例 磁束密度ベクトル B の発散は 常にであるから 磁束密度 B は ベクトル A のとして B = のように表すことがで きる 93

96 4. ベクトルの積分 4.1 線積分温度勾配ベクトルの例第 3 章 3.1 で考えた温度勾配ベクトルに関する線積分を考える 第 3 章の 2 次元温度場の例で 点 P ( x, y) と点 P から少しだけ離れた点 Q( x + xy, + y) の温度差は 温度勾配ベクトル T と点 P から点 Q への変位ベクトル r とを用いて T = T r (4.1.1) で与えられる 図 温度場における温度勾配ベクトルの線積分 今 図 に示すような経路に沿って点 P 0 から点 P N まで移動する 点 P 0 と点 P N との温度差を 式 (4.1.1) を利用して求める そこで この経路を N 分割し その分割した点を 各々 P( x, y ), P( x, y ), P( x, y ), P( x, y ), P ( x, y ) i i i N N N とする ただし ( x, y ) は各点の座標である さらに これら各点での勾配ベク i i 94

97 トル T( x, y ), T( x, y ), T( x, y ), T( x, y ), T( x, y ) を 簡単に i i N 1 N 1 ( T), ( T), ( T) ( T), ( T) i N 1 と表す このとき 点 P i と点 P i+1 との間の温度差 Ti + i 1は Ti + i 1 = ( T) i r i (4.1.2) となる ここで r は点 P i から点 P i+1 への変位ベクトルを表す 点 P i と点 P i+1 i の位置ベクトルを 各々 ri, ri+ 1 とすると r i は = = + =, = (4.1.3) ri ri+ 1 ri xii yij, xi xi+ 1 xi yi yi+ 1 yi で与えられる 式 (4.1.2) から 各分割点間の温度差は 順次 次のように表わすことができる T = ( T) r T = ( T) r Ti + i 1 = ( T) i r i T = ( T) r N 1 N N 1 N 1 従って 求める温度差は これらの和になる T + T + + T + + T i i+ 1 N 1 N = ( T) r + ( T) r + + ( T) r + + ( T) r i i N N 1 1 N 1 = ( T ) i r i (4.1.4) i= 0 この和について 曲線上の分割数を無限にとった極限として 上の曲線に沿った勾配ベクトルの線積分は 95

98 P 0 N 1 N T dr = lim ( T) i r i (4.1.5) P N i = 0 と定義される この積分は 実際には T T T T T dr = i+ j ( dxi+ dyj ) = dx + dy = dt x y x y から P P N P N T dr = dt = T( P ) T( P) (4.1.6) P 0 0 N 0 となり 積分の始点と終点での温度の値 T( P) = T( x, y ), T( P ) = T( x, y ) N N N にのみ依存することがわかる 実際 温度場が与えられたとき 点 P から点 Q に どのような経路を通って至ったとしても その温度差は変わらない 直観と一致する 温度勾配ベクトルに限らず もし ベクトル場がスカラー場の勾配から導かれるならば 式 (4.1.5) で定義される線積分の値は 経路 ( 曲線 ) の選び方にかかわらず積分の始点と終点におけるスカラーの値によって決まる 96

99 接線ベクトル 図 4.1.2に示すように 曲線上の分割点の数を十分に大きくとると 隣り合う分割点を結んだ変位ベクトルは 曲線上の各点における接線の方向とみなすことができる 式 (4.1.5) で r drとしたのはこのことを意味する 隣り合う2 点間の距離を で表すと は s i s i s = r = ( x ) + ( y ) 2 2 i i i i 図 接線ベクトル ここで ベクトル dr ds r lim i N s i (4.1.7) を考えると その向きは dr と同じであり 曲線上の各点でその接線方向を向く また その大きさは dr 1 ds = (4.1.8) となる単位ベクトルである このような曲線上の各点で接線方向の単位ベクトルを接線ベクトルと呼び d t r (4.1.9) ds 97

100 で表すことにする 接線ベクトルを用いると 式 (4.1.5) の線積分は dr T dr = T ( ) ds= T t ds (4.1.10) ds P P P N N N P P P と表すこともできる 線素ベクトルと面積ベクトル 線素ベクトル 面積 ( 面素 ) ベクトル dr = t ds ds= n ds t : 接線ベクトル ds : 線素の長さ n: 法線ベクトル ds : 面積の大きさ 一般的な場合の線積分上の温度勾配ベクトルの例では ベクトルがスカラー場の勾配として与えられる特別な例を考え 空間の2 点間を結ぶ曲線に対して 勾配ベクトルの線積分を式 (4.1.5) のように定義した ベクトルがスカラー場の勾配として与えられる特別な場合に限らず 一般に ベクトル場 A ( x, yz, ) が与えられるとき 3 次元空間における空間の曲線 C に沿っての線積分を式 (4.1.5) と同様にして次式で定義する C Q P N 1 A dr = A dr = lim A( x, y, z ) r (4.1.11) N i = 0 i i i i ここで P Q は積分の始点 P 及び終点 Q を表し また A( xi, yi, zi) は曲線上の点 ( xi, yi, zi) におけるベクトルの値を表す さらに 式 (4.1.3) と同様にして 98

101 r = x i+ y j+ zk, x = x x, y = y y, z = z z (4.1.12) i i i i i i+ 1 i i i+ 1 i i i+ 1 i である A ( x, yz, ) 及び dr を成分で書くと 線積分は Q Q A d r = ( A i ) ( ) P x + A j y + A k z dx i + dy j + dz k P Q Q A dr = ( A ) P P xdx + Aydy + Azdz (4.1.13) と表される 逆向きの積分路図 4.1.3に示すように 曲線 C の始点 P と終点 Q とを入れ替えた逆向きの経路に沿う積分路を C で表すことにする このとき C A dr = A dr (4.1.14) C 成分表示 式 (4.1.13) で変位を逆向きにとると 図 積分路の向きと線積分 99

102 Q P ( A i + A j+ Ak) [( dx) i+ ( dy) j+ ( dz) k] P Q Q = ( A i+ A j+ Ak) ( dxi+ dyj+ dzk) P x y z x y z = ( A i+ A j+ Ak) ( dxi+ dyj+ dzk) x y z P Q A dr = ( A ) Q P xdx + Aydy + Azdz (4.1.15) 積分路の分割図 4.1.4に示すように積分路 C の途中に点 R を考える 点 P から点 R までの積分路を C 1 点 R から点 P までの積分路を C 2 とすると A dr = A dr+ A dr (4.1.16) C C1 C2 或いは Q R Q A dr = A dr+ A dr (4.1.17) P P R 図 積分路の分割 100

103 問 1 ベクトル場 A( x, yz, ) = Ai+ Aj+ Ak x y z A = x, A = y, A = z x y z について 図に示すような積分路に関する線積分を考える (1) 積分路 C 1 ( 直線 y = 0) についてのベクトル A の線積分を求めよ ただし C 1 の始点 O 終点 P の座標を始点 O ( xy=, ) (0,0) 終点 P ( xy=, ) (1,0) とする ヒント :C 1 上の変位は dy = 0, dz = 0 従って dr = dxi A dr = xdx A dr = C xdx (2) 積分路 C 2 ( 直線 x = 1) についてのベクトル A の線積分を求めよ ただし C 2 の始点 P 終点 Q の座標を 点 P ( xy, ) = (1, 0) 点 Q( xy=, ) (1,2) とする ヒント :C 2 上の変位は dx = 0, dz = 0 従って dr = dyj (3) 原点 O から始点とし 積分路 C 1 C 2 を経て 点 Q にいたる経路を積分路 C とする このとき ベクトル A の積分路 C についての線積分 A dr = A dr+ A dr C C1 C2 を求めよ 101

104 問 2 ベクトル場 A が次の式で与えられている A( x, yz, ) = Ai+ Aj+ Ak x y z A = y A = x A = xy 2 x, y, z 前問 (1) (2) と同じ積分路についての A の線積分を求めよ ヒント : 積分路 C 1 上で y = const. = 0 積分路 C 2 上で x = const. = 1 問 3 ベクトル場 A( x, yz, ) = Ai+ Aj+ Ak x y z A = x, A = y A = z x y z について 曲線 C y = x 2 に沿っての線積分を考える 積分の始点 O と終点 P の座標を 始点 O: ( xy=, ) (0,0) 終点 P: ( xy=, ) (1,1) とする ( 手順 ) (1) 曲線に沿っての変位ベクトルは ( x, y ) 平面内の変位であるから 2 dr = dxi+ dyj 曲線上を変位するとき y と x とは独立ではなく y = x の関係にある x 方向の変位と y 変位を独立にとることはできない 各点における変位ベクトルは 曲線の接線の方向をむく 接線の傾きは dy / dx = 2x であり x 方向に dx 変位するとき y 方向の変位は これから dy = 2xdx ( x :0 1, y :0 1) dr = dxi+ dyj = dxi + 2xdxj 102

105 (2) 内積 A dr (3) 積分 A dr = A dx + A dy = xdx + y xdx = xdx + x xdx x Q (1,1) P x y (0,0) ( A dx + A dy) = ( xdx + ydy) y 2 (2 ) ( )(2 ) 1 2 [ xdx x (2 xdx)] 0 = + = = x + x 以下 ベクトル場 (A) (B) (C) の概略を図示し 例にならって 上の曲線 C についての線積分の値を求めよ (A) A = ω y, A = ω x( 3.4 問 4 参照 ) x x 2 2 (B) A = ϕ, ϕ( x, y) = x + y ( 3.1 問 1 参照 ) 1 1 (C) B= A Ax = By 0, Ay = Bx 0 ( 3.6 問 2 参照 ) 2 2 問 4 問 3 の例で 積分路を逆向きにとったとき ベクトル A の線積分は P ( Axdx + Aydy) O となることを説明せよ 問 5 ベクトルがスカラーの勾配から導かれるとき 線積分の値は始点 P と終点 Q におけるスカラーの値 ϕ (P) 及び ϕ(q) の差にのみ依存し Q ϕ dr = ϕ(q) ϕ(p) P となることを学んだ 次の問に答よ 103

106 (1) 下図の二つの積分路 積分路 1 C+C 1 2 ( 点 P 1 点 P 2 点 P 3 ) 2 積分路 2 C 3 ( 問 3 曲線 C と同じ y = x : 点 P 1 点 P 3 ) について ベクトル A = ϕ, ϕ( x, y) = x + y 2 2 の線積分の値を 実際に計算せよ (2)(1) の結果を比較し 線積分の値は積分路によらず同じであることを確かめよ 2 2 (3) ϕ ( x, y) = x + y の等高線の概略を図示せよ ( 3.1 問 1 参照 ) また ϕ( P) ϕ( P) = ϕ(1,1) ϕ(0,0) の値を求め (1) (2) と比較せよ

107 問 6 ( 円環についての線積分 ) 図に示すような半径 a の円環の積分路についての線積分を考える この場合 図に示したような円柱座標系 ( R, θ, z) を用いるのが便利である x= Rcosθ y = Rsinθ z = z, 2 2 R = x + y 円柱座標系と直角座標系における基本単位ベクトルの関係 er = cosθi+ sinθ j eθ = sinθi+ cosθ j e k z = いままで 何度か円柱座標表示を用いてきているが ここで円柱座標系の基本単位ベクトルについて整理してみよう 105

108 < 準備 : 円柱座標系と直角座標系の基本単位ベクトルの関係 > (1) R = xi+ yj とするとき R 方向の単位ベクトルが e R = R R R xi+ yj = R R e = R cos θi + sin θ j で与えられることを確かめよ (2)z 方向の単位ベクトルk を e z kと書くと 点 ( R, θ, z) におけるθ 方向の単位ベクトルは 次のように表されることを説明せよ e e e = θ z R (3) 次の外積 ( x + y ) eθ = ez er = k i j R を計算し eθ = sinθi+ cosθ j となることを確かめよ また 上図から幾何学的に上の関係が成り立つことを説明せよ (4) 次の関係が成り立つことを確かめよ e e = 1, e e = 1, e e = 1 R R θ θ z z e e = e, e e = e, e e = e R θ z θ z R z R θ 106

109 < 線積分 > (5) 円環 C に沿っての微小変位が dr = adθe θ となることを確かめよ また 始点 ( R, θ ) = ( a,0) から円環に沿って一周するとき 終点の座標をどうとるか (6) ベクトル A が次式で表されるとき A( x, yz, ) = A( xyz,, ) i+ A( xyz,, ) j+ A( xyz,, ) k (,, ) x A, x x y z K R x y z y A ( x, y, z) = K, Az ( x, y, z ) = 0 R = 2 y 2 2 R = x + y 2, K = const. ベクトル A が K A( R) = e R R となることを確かめよ ( 2.2 問 10 参照 ) (6) 円環上では R = a であるから K A( R) = e R a この円環 C 上 ( R = a ) の次の各点 θ = nπ /4 ( n= 1,2,,8) でベクトルの様子の概略をベクトル図として示し 円環上の変位とベクトル A とが直交することを示せ (7) 円環 C を一周するベクトル A( R) の線積分の値はゼロ すなわち 107

110 C 2π K 2π A dr = ( ) ( ) 0 0 er adθeθ = Kdθ e 0 R eθ = a となることを確かめよ 問 7 ベクトル B が B( x, yz, ) = B( xyz,, ) i+ B( xyz,, ) j+ B( xyz,, ) k (,, ) y B, x x y z B R x y z x B ( x, y, z) = B, Bz ( x, y, z ) = 0 R = 0 2 y R = x + y B0 = const,. で与えられるとき 円環についての線積分考える 次の問に答よ (1)B の 大きさ B = B は θ によらず R のみに依存することを示せ (2)B の 方向 はθ 方向を向き 従って (1) とから B は次のように表されることを示せ B0 B( R, θ, z) = e R θ (3) 前問と同様 円環を一周するときの線積分の値を求めよ ただし 円環の半径は a とする (4) 円環を半周するときの線積分の値を求めよ 問 8 前問 (2) と同じ半径 a の円環を一周する積分路について 次のベクトルの線積分を求めよ (1) B (,, ) ( / ), x xyz = B0 y R By ( xyz,, ) = + B0 ( x/ R), Bz ( x, y, z ) = 0 (2) B (,, ) ( / ), x xyz =+ B0 y R By ( xyz,, ) = B0 ( x/ R), Bz ( x, y, z ) = ただし 前問と同様 R = x + y, B = const. とする 0 108

111 問 9 ベクトルがスカラーの勾配から導かれるとき 線積分の値は始点 P と終点 Q におけるスカラーの値 ϕ (P) 及び ϕ(q) の差にのみ依存し Q ϕ dr = ϕ(q) ϕ(p) P となることを 問 5 の例で確かめた ここでは スカラー場が K ϕ ( x, yz, ) =, r = xi+ yj+ zk r で与えられる場合を考える 次の問に答よ (1) 上のスカラー場の勾配から導かれるベクトル A( A = ϕ ) を求めよ ( 3.1 問 9 10 参照 ) (2) 図のような ( x, y ) 平面の3つの積分路 C 1 C 2 C 3 について A の線積分を行い その値を比較せよ ただし 点 P 1 P 2 P 3 P 4 P 5 の座標は 109

112 P( xyz,, )=( R,0,0), 1 1 P( xyz,, )=( R/ 2, R/ 2,0), P ( xyz,, )=(2 R/ 2,2 R/ 2,0), P( xyz,, )=(0, R,0) 4 1 P( xyz,, )=(0,2 R,0) 5 1 で与えられている 問 10 勾配ベクトルは スカラー場から導かれるベクトル場と考えることができる このようなベクトル場の例として 力学で学んだ保存力場の例がある 保存力場では 位置エネルギーをU とすると 力は F = U と表される (1) 力の作用のもとで 質点が点 P から点 Q まで変位したとき 力のする仕事は W Q = F d r P で表される 力が保存力場であるとき 仕事を求めよ (2) 第 II 編で学ぶように 静電場の場合 原点に置かれた点電荷 q の静電ポテ ンシャルは 原点から距離 r = x + y + z に反比例し K φ ( xyz,, ) = K : 比例定数 r で与えられる このとき 点 ( x, yz, ) における電場 及び 電場による力は 各々 次の式で与えられる E= φ, F= qe 点電荷が点 P( r = r P ) から点 Q( r = r Q ) まで変位したとき 電場のする仕事を求めよ 110

113 問 11 ( もう一つの線積分 ) この節では 空間に指定された曲線 C に沿って 変位ベクトル dr とベクトル A との内積 A dr をとり 曲線 C についてのベクトル A の線積分を A d r C として定義した 結果はスカラーであった これに対して ベクトル A と dr との外積をとり A dr 曲線 C について 次の線積分 A d r C を考えることができる 外積はベクトルであるから 積分の結果もベクトル量である 電磁気学では ビオ サバールの法則を用いて 線状の電流がつくる磁場を計算するときなどに このような形の線積分がでてくる ここでは 以下の簡単な例を考える (1) 問 6の例ですでにみたように 図のような ( x, y ) 平面にある半径 a の円環に沿っての微小変位は 以下のようになることを再度確認せよ dr = adθe θ 111

114 (2) ベクトル A として 位置ベクトルrを考える ( A= r ) 円環が z = 0 の平面内にあるとき 円環上の点を表す位置ベクトルは円柱座標系で r = xi+ yj+ zk = ae R と表されることを示せ (3)(2) の場合についてベクトル A drを求めよ (4) この円環を一周するときの線積分を計算し 結果として得られるベクトルを求めよ 112

115 4.2 面積分 ベクトルに関する面積分の例を 第 2 章で考えた太陽光パネルの例で説明する パネル全体に単位時間あたり入射するエネルギーの量 すなわち エネルギー流束を求めることを考える パネル入射する太陽光のエネルギーが面上で一様でない場合 第 2 章で説明したように パネルの面をいくつかの微小面積要素 に 分けて考える必要がある 図 4.2.1で 点 ( xi, yi, zi) に位置する i 番目の面積 要素 Si に入射するエネルギー流束 i W f は 式 (2.2.12) から Si = h S (4.2.1) i W f i i で与えられる ただし h i は第 2 章の式 (2.2.8) で定義したエネルギー流束密度ベクトル h( xi, yi, zi) を表す すなわち h( xi, yi, zi) は点 ( xi, yi, zi) において エネルギーの流れに垂直な面を単位面積 単位時間あたり通過するエネルギーの量である また S i は 式 (2.2.11) で定義した面積ベクトルであり その大きさは S i 方向は考えている点で 面の法線方向を向く 図 面の微小面積要素への分割 パネル全体に入射するエネルギー流束は 各面積要素へのエネルギー流 束の和をとり 113

116 W = W + W + + W + W 1 2 i N f f f f f = h S + h S + + h S + + h S i i N N N W = h S (4.2.2) f i i i= 1 となる ここで 分割数 N を無限に大きくした極限 ( N ) として エネルギー流束密度ベクトル h( x, yz, ) に対して この面に関する面積分を N h d S = lim h i S (4.2.3) i s N i = 1 で定義する ただし 積分記号の添え字 S は面全体に渡る積分を表す 面上の各点で 面に対する法線ベクトルn とすると ds= ndsであるから 式 (4.2.3) は h ds= h n ds = h ds (4.2.4) s s s n と表すこともできる すなわち 式 (4.2.4) の面積分は ベクトルh の面に対する法線成分 h n = hn と微小面積 ds との積を 面全体に渡って積分することを意味する 面積分の結果求まる物理量は この場合 太陽光パネル全体に入射する単位時間当たりのエネルギー すなわち エネルギー 流束 を表している エネルギー流束密度ベクトルに限らず 一般に ベクトル場 A( x, yz, ) に対して 空間の曲面上で 同様の積分 A ds= A n ds (4.2.5) s s 114

117 を考えることができる 第 2 章の流れ場の例で考えた流束密度ベクトル 式 (2.2.17) f ( xyz,, ) = ρv について 空間のある面について面積分 f ds= ρv ds= ρv n ds (4.2.6) s s s を計算すると 結果得られる物理量は この面を単位時間あたり通過する流体の質量 すなわち 質量 流束 となる 115

118 問 1 図に示すような太陽光パネル全体に入射するエネルギー流束の値を求める 面上でのエネルギー流束密度ベクトルは 次式で与えられる h xy = h x a k 2 (, ) 0[1 ( / ) ]( ) すなわち 太陽光は パネルに垂直に入射しており y 方向には一様であるが x 方向に分布を持つ このとき 次の問いに答よ (1) この場合 パネル面上の各点で 面に対する法線ベクトルは n= kであり 従って ds= dxdy( k) と考えることができる このとき 式 (4.2.3) の面積分は 次のように与えられることを確かめよ (2)(1) の積分を行い ΦW f W f s a Φ h ds = h x a dxdy b 0 0 を求めよ 2 0[1 ( / ) ] 2 (3) h 0 = 60W/m a = 1m b = 2m のとき この太陽光パネル全体に入るエネルギー流束は 何ワットになるか (4) h( x, y) が場所によらず一定 h( xy, ) = h( k) の場合 Φ W f = hab となることを確かめよ 116

119 問 2 問 1 で 面上でのエネルギー流束密度ベクトルが 次式で与えらるとき 次の問いに答よ h( xy, ) = hxi+ hyj+ hz( k) h = h exp( x/ a), h = h, h = h exp( y/ b) x 0 y 0 z 0 (1) パネル全体のエネルギー流束 Wf を h 0, a, bを用いて表せ 2 (2) h 0 = 100W/m a = 1m b = 2m のとき この太陽光パネル全体に入るエネルギー流束は 何ワットになるか 問 3 次頁の図 (a) に示すようなパイプ中の流体の流れを考える 質量流束密度が f( xyz,, ) = ρv ただし ρ = const. v = v ( x, y, z) k z v x y z = v R a 2 z (,, ) 0[1 ( / ) ], v0 = const., R = x + y で与えられるとき このパイプの断面を単位時間に通過する流体の質量 ΦM f を求めよ (1) パイプ断面で 図 (b) に示すような円柱座標系を考える ( x= Rcos θ, y = Rsinθ ) と 微小面積要素 ds は, 次式で与えられることを確かめよ ds = RdRdθ (2) この断面の法線ベクトルを答よ (3)(1)(2) から ΦM f は次式で与えられることを確かめよ a 2π Φ = f ds = ρ v RdRd θ M f (4)(3) の積分を計算せよ S 0 0 (5) ρ vz = 1 = const. のとき (3) の積分はパイプの断面積に等しくなることを示せ z 117

120 (a) (b) 118

121 問 4( 線源からの湧き出しと円筒面に関する面積分 ) 問 10 の流体の例で考えたように z 軸上に一様に分布する湧き出し ( 線源 ) から等方的に流体が湧き出すときの速度場は 円柱座標系で θ, z によらず R のみに依存し K R v ( R, θ, z) =, R R R = xi+ yj, 2 R = x + y 2, K = const. で与えられる z 軸を囲む半径 R の円筒面 ( 高さ L) に対する質量流束を以下の手順で求めよ (1) 半径 R の円筒の側面上の微小面積ベクトルが次式で与えられることを説明せよ R ds= nds, n =, ds = Rdθ dz R (2)(1) の微小面積を横切る質量流束を dφ M f とするとき dφ = f ds= ρv ds M f を計算せよ (3) 流体の密度が ρ = const. Φ = f ds = M f S のとき 円筒面全体の質量流束 Φ が z+ L z 2π 0 f( R) Rdθ dz で与えられること 及び ΦM f は R によらず一定であることを示せ また z 軸上での単位長さ当たりの湧き出し量を M f とする ΦM f と M f との間にはどのような関係が成り立つか? さらに 定数 K を M で表せ M f f (4) もし ベクトル場 A( x, yz, ) が θ 方向に分布を持ち sinθ R A ( R, θ, z) = K R R で与えられるとき 図の円筒表面に関する A の流束 を求めよ 119

122 問 5 ( 点源からの湧き出しと球面に関する面積分 ) ベクトル E( x, yz, ) が 空間の各点 ( x, yz, ) において K r E ( xyz,, ) = 2, ただし r = xi+ yj+ zk, r r r = x + y + z で与えられている ベクトル E は 問 6 点光源からの光の放射の場合 ( 右図 ) のエネルギー流束密度ベクトル h や 問 11の点源からの流体の湧き出しの場合の質量流束密度ベクトル f と同じ形をしている 図 (a) に示す半径 aの球面に関して ベクトル E の面積分を考える (a) 120

123 (1) 図 (a) に示した球座標系で 球面上の点 ( a, θ, φ) におけるベクトル E は E = K a 2 a a となることを確かめよ ただし a= asinθ cosφi+ asinθsinφj+ acosθk (2) 面上の点 ( a, θ, φ) における微小要素を表す面積ベクトルは次式で与えられることを確かめよ ( 図 (b)) a ds = ds( ) ただし ds = a 2 sinθ dθdφ a (3) 従って 求める面積分は K E S= E n = = S 2π π 2 d ds a sinθ dθdφ 4πK a S となることを確かめよ (4) E と方向は同じであるが その大きさが角度分布を持つ 次のようなベクトル場 A( x, yz, ) を考える cosθ cosφ a A ( a, θφ, ) = K 2 a a この球面に関する A の面積分 すなわち A の流束 はどうなるか? (b) 121

124 4.3 ガウスの定理 (Gauss s Theorem) 閉曲面についての面積分前節 太陽光パネルの例では 面積分を平らな面について定義した また 前節の問でいくつか例をみたように 考える面が曲面 ( 例えば 円筒の側面や球面であっても 面の分割数を十分に大きくとれば 分割した各々の微小面積をほぼ平面とみなすことができる したがって 面積分を式 (4.2.3) と同様に定義することができる 本節では 球面のような閉じた曲面 ( 閉曲面 ) の面積分でとくに重要となるガウスの定理について 以下 説明する (a) 開曲面 (b) 閉曲面 図 (a) 開曲面と (b) 閉曲面 122

125 ガウスの定理一般に 連続なベクトル場 A( x, yz, ) が与えられたとき 閉曲面 S についてのベクトル A の面積分 A d S (4.3.1) S を考える これと 3.3で定義したベクトルの発散 diva を 閉曲面 S が囲む領域 V の全体にわたって積分した diva dv (4.3.2) V との間には 次の関係が成立する S A ds= diva dv (4.3.3) V これを ガウスの発散定理 或いは 単にガウスの定理と呼ぶ 流れ場の例ここでは 具体例として流れ場の中に図 のような 閉曲面 を考え 流束密度ベクトルfについて 上のガウスの定理 S f ds= divf dv (4.3.3) V が成立することを確かめる まず 領域 V を多数 ( N 個 ) の微小領域に分割し 図 4.3.2に示すような点 ( xi, yi, zi) を囲む i 番目の微小体積 Vi を考える すでに 3.3ベクトル場の発散で考えたように 単位時間あたり V i の表面を通過して V i に正味流入 ( 或いは流出 ) する流体の質量は 6 fk Sk = (div f ) i Vi (4.3.4) k = 1 i 123

126 で与えられる [ 3.3 式 (3.3.21c) 及び問 8(2) 参照 ] ただし 右辺の 6 fk S k (4.3.5) k = 1 は 直方体 Vi の6つの表面 ( k = 1,2,,6) についての流束の和を表す f k S k は 各表面における流束密度ベクトル及び面積ベクトルを表す また ( ) i は i 番目 の微小体積 Vi このような微小体積 についての和であることを示している Vi のすべての和をとると N 6 N f S = (div f ) V (4.3.6) k k i i i= 1 k= 1 i i= 1 となる 図 流れ場中の閉曲面 S で囲まれる領域内にある微小体積要素 124

127 式 (4.3.6) の左辺は 分割数 N を十分大きくした極限 ( N ) では領域の表面に関するf についての表面積分 lim N 6 k k N i = 1 k = 1 i f S f ds (4.3.7) S となる 領域内部では 隣り合う微小体積についての表面流束が互いに打ち消し合うためである 図 隣り合う微小体積要素の共有する面における流束 このことを理解するために 図 4.3.3に示すように i-1 番目と i 番目の隣会う微小体積を考える i-1 番目と i 番目の体積要素が共有する面について f ( = f ) 及び面積 S ( = S ) は共通であるが 面の法線ベクトルの向きが互いに k k k k 逆向きであり ( nk ) i 1 = ( n k) i したがって ( Sk ) i 1 = ( Sk) iとなる これから ( ) ( ) fk Sk i 1 = fk S k i あるいは k k i 1 k k i ( f S ) + ( f S ) = 0 (4.3.8) 125

128 このため 式 (4.3.6) において 領域内部ではf k S k の i についての和は 互いにキャンセルしゼロとなる その結果 領域の表面におけるf k S k のみが全体の和に寄与することになる 次に 式 (4.3.6) の右辺は 分割数無限大 ( N ) の極限をとると領域全体にわたる体積分 N lim (div f) i Vi divf dv (4.3.9) N V = i 1 になることが容易にわかる 以上から式 (4.3.6) の両辺で N の極限をとり 式 (4.3.7) 式(4.3.9) を用いることにより ガウスの定理 式 (4.3.3) が成立することが確かめられた 126

129 発散の意味 : 再考!( 微分形のガウスの定理 ) 3.3で考えたように 定常的なエネルギーの流れ場では エネルギー流束密度ベクトルh の発散 h ( = div h ) は 式 (3.3.28) から h =S W (4.3.10) と与えられる ただし S W は S W q = t source/ sink : 空間の各点におけるエネルギーの発生量 (4.3.11) ( 単位時間 単位体積あたり ) を意味する また 定常的な流体の流れ場では 質量流束ベクトル f ( = div f ) は 3.3 問 8(5)(6) から = ρv の発散 f f =S M (4.3.10) と与えられる ただし S M は S M : 空間の各点における流体の湧き出し量 (4.3.11) ( 単位時間 単位体積あたり ) を意味する すなわち 定常的な流れ場において ベクトル場の発散 h 及び f は いずれも空間中の各点 ( x, yz, ) 考えている物理量 ( エネルギー / 質量 ) の発生 消滅 S (,, ) W x y z SM ( x, y, z ) に等しくなることがわかる 式 (4.3.10) は ガウスの定理の証明の過程でみてきたように 空間の各点 ( を囲む微小体積要素 ) においてガウスの定理を表現したものと考えることができる 従って 積分形のガウスの定理 式 (4.3.3) に対して 式 (4.3.10) を 微分形 のガウスの定理と呼ぶこともある 127

130 ガウスの定理の意味 図 に示すような閉曲面を考える 空間の各点に対して 式 (4.3.10) が成立する そこで 式 (4.3.10) に対してガウスの定理 式 (4.3.3) を適用すると h ds= h dv = S (,, ) W x y z dv S V V すなわち (4.3.12) S h ds = S (,, ) W x y z dv V この式の意味は (4.3.13) 図 ( 表面を通過するエネルギー流束 )=( 体積中におけるエネルギー発生量の合計 ) (4.3.14) 同様に 流体の質量の流れ 式 (4.3.10) にガウスの定理 式 (4.3.3) を適用すると f ds= f dv = S (,, ) M x y z dv (4.3.12) S V V すなわち S f ds = S (,, ) M x y z dv (4.3.13) V この式の意味するところは ( 表面を通過する流体の質量流束 )=( 体積中における流体湧き出し量の合計 ) (4.3.14) 128

131 ガウスの定理の応用前節からわかるように 定常的な流れ場において発生量の空間分布がわかれば 領域全体にわたってそれを積分することにより ガウスの定理からその領域の表面を通過する流束を知ることができる 逆に 表面の流束がわかれば 領域内部の発生量の合計を知ることができる すなわち ガウスの定理は考えている領域中での発生量の合計 表面での流束逆に 表面での流束 考えている領域中での発生量の合計を見積もる際に 有用となる 我々は 実はこのような考え方をすでに多数みてきている 例えば 問 6の点光源のからのエネルギーの放射の例 問 10, 問 11の流体の湧き出しと表面流束の例では 上のような考え方を用いてきた ガウスの定理 式 (4.3.3) は これを数学的に表現したものと考えることができる 決して 難しいものではなく 日常的に我々が知らず知らず使っている 保存 の考え方を 数学的なモデルとして一般化したものと考えることができる 電磁気学においても 第 II 編で詳しく学ぶように ガウスの定理は 電荷分 布 ρ ( x, yz, ) が与えられた場合に 電場 E の大きさを求める問題などに有用であ e る とくに 点光源からの光の放射 点源からの放射状の流体の湧き出しの例からわかるように 考えている系に対称性 等方性がある場合に ガウスの定理が有効となる場合が多い 点源の数学的表現 : デルタ関数 2.2 で考えた点光源の例では 光が 点 から放射されるとして扱った しかしながら 実際には光源は有限な大きさを持っている 温泉からのお湯の湧き出しも 湧き出し口は有限の大きさを持つ しかしながら お風呂が十分大きく 大きなスケールでのお湯の対流などを扱う場合には 湧き出し口を点として扱っても差し支えないことも多い 物理現象を扱う際には このような数学的な理想化を行うことがしばしばある ここでは 点源を扱うのに非常に便利な デルタ関数 について簡単に説明する 物理 工学では デルタ関数を用いて点源を表現することがしばしば行われる デルタ関数は超関数と呼ばれるもので厳密な数学的な定義については 他書 129

132 に譲る 今 図 4.3.4に示すような球状の熱源を考える ( 例えば 球状のホッカイロ ホカロンを想像する ) 球の中心は 座標の原点に位置する この球の半径を a とする この球内では 一様に単位体積あたり SW = S (W/m 3 ) 0 (4.3.15) の熱が発生しているとする この球状 の熱源が発生する全熱量 W(W) は f 4 3 Wf = S0 π a = S0 V 3 (4.3.16) 逆に S W W f = (4.3.16) V となる ここで この熱源が発生する熱量 W を 一定に保ちながら この球の体積をゼロ ( a 0: V 0) にすることを考える すなわち 熱量 W の 点 熱源を考える 式 (4.3.16) から f f 図 S W 0 r 0 () r = r = 0 (4.3.17) になる必要がある そこで 空間の各位置での熱の発生量 S () r を数学的に W S W () r = S δ () r (4.3.18) 0 130

133 と表現する ここで δ () r をデルタ関数と呼ぶ デルタ関数は次のような性質 0 r 0 δ () r = r = 0 (4.3.19) を持つ さらに 点源 ( この場合 原点 ) を囲む領域について体積積分を行うと δ () r dv = 1 (V: 原点 r = 0 を含む領域 ) (4.3.20) V でなければならない ( x, yz, ) 座標系で積分は δ ( x, y, z) dxdydz = 1 (4.3.20) V ただし 積分は 点源を含む領域 V に含まれる点 ( x, yz, ) にわたっての積分を表す もし 点源を含まない領域 V について積分すると 上のデルタ関数の性質から δ ( r ) dv = 0 或いは δ ( x, y, z) dxdydz 0 = (4.3.21) V V となる 以上のような性質を持つデルタ関数を導入すると 原点を含む領域ででは W = S () r dv = S δ () r dv = S (4.3.22) f V W 0 V 0 となる 原点を含みさえすれば V は原点を含む無限小の領域であっても構わない 一方 原点以外の場所で W = S () r dv = S δ () r dv = 0 (4.3.23) f V W 0 V 131

134 となり 点源を数学的に容易にモデル化することができる 確かに 式 (4.3.19) のようにデルタ関数は原点で無限大になるような特異性を持つが その積分は 式 (4.3.20) のように有限の値を持つ 概念的には 図 のように理解することができる すなわち 下図の長方形の面積を考える 面積 ( S = δ ( x) x) を一定として 底辺をゼロにする極限 ( x 0 ) を考えると 高さ δ ( x) は 原点以外でゼロ 原点で無限大になる 図 デルタ関数の概念的な説明原点以外の場所 r = r0( x0, y0, z0) に 点源が存在する場合には δ ( r ) 0 r r r0 = = r r 0 0 (4.3.24) δ ( r r 0) dv = 1 (V: 点 = V 0 r r を含む領域 ) (4.3.25) δ ( r r 0) dv = 0 (V: 点 = V 0 r r を含まない領域 ) (4.3.26) という性質を持つ関数として デルタ関数を考えればよい 132

135 問 1 図に示すような噴水を考える 噴水からは 単位時間あたり一定の水量が湧き出している 点線で示すような領域の表面を通過する水量を求めたところ 単位時間あたり1 kg/s であった 噴水から単位時間にどれだけの水量が湧き出しているか? ただし 途中の空間での水の蒸発などは考えない 問 2 定常的な点源からの流体の湧き出しを考える 速度場が K r v( x, yz, ) =, = x+ y+ z 2 r i j k r r で与えられている 流体の密度を一定 ρ ( = const.) とする 次の問に答よ (1) 原点を囲む半径 a の球面 S について流束 Φ M f を求めよ (2) 原点における単位時間あたりの湧き出し量を M f とする 球面 S 内の領域 V にガウスの定理を適用し (1) の結果とから 係数 K の値を決めよ (3) 流体として 水を考える M f = 4 π (kg/s) のとき 原点から r = 0.1m はなれた位置での流速の大きさを求めよ (4) 原点以外の点では ( ρv) = 0となることを確かめよ その意味を説明せよ (5) 原点を含まない任意の閉曲面について 流束 Φ M f を求めよ 133

136 問 3 ベクトル場 E を考える E の方向は位置ベクトル ( r = xi+ yj+ zk ) の方向を向き その大きさは原点から考えている点までの距離の二乗 ( r 2 ) に逆比例する すなわち E は次の形で与えられている 1 r E = K r 2 K = const. r 以下の問に答よ (1) ベクトル場が上のような形で与えられる例をできる限り挙げよ 3 (2) 原点以外の点で E= ( Kr/ r ) = 0が成り立つことを示せ (3) ベクトル場が上のような形で与えられるとき 次のページの図 (a) に示すような原点を囲む 任意の形 をした閉曲面 S について ベクトル E の流束 が E d S = 4π K S となることを示せ ヒント : 次のページの図 (b) のように 閉曲面 S と原点の間に 原点を囲む半径 a の球面 S を考える 閉曲面 S とこの球面 S とを囲む領域を V とする この領域 V にガウスの定理を適用すると EdV = E ds+ E ds V S S となる 左辺は (2) の結果からゼロになる また 面 S についての面積分で ds の法線ベクトルn の方向は 領域 V の内側から外側に向かう [ n= ( r / r) ] 134

137 135

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ベクトル公式.rtf 6 章ラプラシアン, ベクトル公式, 定理 6.1 ラプラシアン Laplacian φ はベクトル量である. そこでさらに発散をとると, φ はどういう形になるであろうか? φ = a + a + a φ a + a φ + a φ = φ + φ + φ = 2 φ + 2 φ 2 + 2 φ 2 2 φ = 2 φ 2 + 2 φ 2 + 2 φ 2 = 2 φ したがって,2 階の偏微分演算となる.

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