や黒人の保守化さらに変容する黒人への二台政党の取り組みを考察した研究も出ているまた宗教という観点からは 1970 年代後半から台頭するようになった宗教右派に関する研究はこの 30 年ほどの間に多くなされてきたしかし他方で宗教左派に対しては注意がほとんど払われず十分な研究がなされ

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りさこそめや
5 years ago
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1 今日における黒人の政治的傾向について宗教的観点を中心にしながら公共政策大学院国際公共政策コース 2 年脇田智史序章はじめに 2008 年の大統領選挙において民主党のオバマ候補と密接な関係にある黒人牧師の発言が問題になったのは記憶に新しいところであるこの背景にあると考えられるのは非常に信心深いと言われるアメリカの黒人の存在である 1 本稿の出発点は牧師という宗教的色彩が強い職業に就く人がなぜ民主党の候補者を応援しているのかまた宗教という要素と黒人という要素はどのように整理することができるのかという点に関し筆者が疑問に感じたことである黒人の政治参加を促進させるという面において黒人教会が重要な役割を果たしてきたという点に関してはすでに多くの研究がなされておりまた過去においても公民権運動や 80 年代のジェシージャクソンによる選挙活動において黒人教会が重要な役割を担ってきたことは明らかにされている (Tate 1991) だが他方で日々の生活における教会への参加や信仰心の厚い人の支持が共和党に大きく傾いているという事実は各種の世論調査も示しているように明白である本稿においては最初に先行研究を紹介し黒人の宗教や政治活動についてどのような研究がなされてきたのかを明らかにした上で宗教色の強い人 = 共和党支持という構図と民主党を支持する黒人の教会という2つの要素をどのように整理すればいのかまた昨今どのような変化が黒人の中で生じているのかという点に関し分析したいそのために今回の大統領選挙におけるオバマ候補や黒人教会の動きを参考にすることにする先行研究の検討今日まで多くのアフリカンアメリカン ( 以下本稿では黒人と呼ぶことにする ) の研究がなされてきた多くの研究は 1950 年代中ごろからの公民権運動を対象とするかもしくは奴隷としての黒人まで遡って検証を行っているが昨今では黒人の政治への関わり方 1 アメリカの白人は 67% だけが教会のメンバーであるのに対し黒人の場合は 82% がメンバーである同様に宗教が生活において非常に重要だと答える人の割合が白人 55% に対し黒人は 82% 宗教が今日の多くの問題を解決すると信じる人の割合は白人 60% に対し黒人は 86% である 1

2 や黒人の保守化さらに変容する黒人への二台政党の取り組みを考察した研究も出ているまた宗教という観点からは 1970 年代後半から台頭するようになった宗教右派に関する研究はこの 30 年ほどの間に多くなされてきたしかし他方で宗教左派に対しては注意がほとんど払われず十分な研究がなされたとは言えない宗教左派による政治への取り組みの研究の蓄積はまだ浅いと言えるでは具体的に昨今の黒人の政治への取り組みに関してどのような研究がなされているのか簡単に紹介したいスミスは黒人の政治思想には大きなイデオロギー的対立が存在し黒人の伝統を重視するナショナリスト派白人社会との宥和を説くインテグレーショナリスト派マルクス主義の影響を受けたラディカリスト派の3つが存在すると指摘する松岡は著書の中で 70 年代以降の黒人政治の保守化について歴史的な流れに沿って検証しているここでは黒人政治における宗教と政治の分離が生じてきていることまた階級分化と共に黒人の政治運動が分裂していることを示し 2 大政党はこのような黒人の動きに敏感に反応していることを著書の中で明らかにしている渡辺はアメリカ選挙におけるアウトリーチ戦略について考察を加え黒人が民主党支持になった歴史的背景に加え今日の民主党が宗教にどのように取り組んでいるのか検証している渡辺は昨今では黒人票に変容が生じていることを示し黒人の中で新しい実利重視傾向が生まれていると指摘する渡辺は 2008 年大統領選挙に関しオバマが民主党の大統領候補として選ばれたことに言及しつつ脱人種系統の政治家であるオバマに民主党が党内分裂を修復することを期待していると表現している次に黒人の政治活動を宗教という観点からはどのような研究がなされてきたのだろうか黒人のコミュニティーにおける宗教はすでに多く研究されており黒人教会が政治的動員に重要な役割を果たしていることが指摘されている (Harris 1994) また黒人と宗教右派との結び付きの可能性について検証した研究も多くは存在しないものの最近では見られるようになったロビンソンは黒人は白人よりも社会的に保守であり黒人が中絶や同性婚に関する宗教保守に同調する可能性は高いが宗教的に保守の黒人が主眼に置いていることは経済的側面でありキリスト教右派が黒人から支持を得ることは難しいであろうと結論付けているまた同様に都市問題が黒人の政治参加に重大な影響を与えていると指摘する研究も存在する 2 これらの先行研究を踏まえて言えることは以下の通りであるすなわち現在の黒人による政治活動は保守化に走る黒人が存在するなど分裂し一枚岩とは言えないことまた 2 Alex-Assensoh Yvette and Assensoh A. B , Inner-City Contexts, Church Attendance, and African-American Political Participation, The Journal of Politics 63(3):

3 宗教的側面という観点からは黒人は宗教的色彩が強いことを再認識できた反面で宗教右派とは重視する政策に違いが見られるために宗教という面でも黒人と宗教右派を同一視することは建設的な議論には発展しないであろうということである本稿にてさらなる考察を行うにあたり参考にしたい研究はウィルコックスによる宗教団体の政治への取り組み方を考察した論文である彼は著書の中でアメリカの歴史においてはアメリカの宗教は政治への動員と撤退の長い歴史を有しており動員に関するサイクルの存在を指摘している 3 本稿では彼の理論が黒人と宗教という枠組みの中でどのようにあてはめることができるのか検証し昨今とりわけこの数年における黒人宗教の政治への取り組みを考察しその上でオリジナリティーとして今回 2008 年の大統領選挙を通じてオバマと黒人宗教との距離を見ていきたいと考えている以下の章では以上の先行研究を踏まえつつ過去の黒人による政治参加から現在に至る過程を見た上で 2008 年の大統領選挙について黒人宗教の観点から見ていくことにする第一章これまでの黒人による政治参加の動向黒人層は民主党の強い支持基盤であると言えるが必ずしも黒人 = 民主党支持であるとは言えないここでは黒人の中での 3 つの大きな傾向を指摘することにする 1つ目としてジェシージャクソンの独立派戦略である具体的な彼らの主張はいかなるものであろうかジャクソンによる独立派戦略とは黒人の利害を政策に反映させるため二大政党のどちらかに固執するのではなく黒人票の持つ重要性を認識させるために状況に応じて支持政党や支持する候補者を変えることであるジャクソンに関して認識していなければならない点としてジャクソンの活動は黒人という少数民族の権利を強調し 60 年代の公民権運動の延長とみることができようまたジャクソンの活動がもっぱら黒人教会の中で行われ選挙運動が南部中心に進められたことは南部における黒人の新たな政治参加を促したと考えられている (Tate 1991) 次にファラカンに代表されるネイションオブイスラムなど黒人が盲目的に民主党を支持することに異を唱える人々の存在を指摘するネイションオブイスラムは黒人至上主義を唱える団体であり経済的自立の重要性や黒人の中でのそれまでの福祉依存の意識改革を主張したファラカンの政治的主張は宗教の重要性同性婚の禁止家庭の重要性死刑の支持など民主党のイデオロギーとは相いれないものであり民主党の掲げるイデオロギーとは一線を画していることは明白であるジェシージャクソンやネイ 3 ウィルコックスは利益団体である宗教団体が撤退という選択肢も取る背景として宗教団体にとって政治的動員が主要な目的ではないからだと言う 3

4 ションオブイスラムに共通することは保守に傾いているわけではないが民主党に依存しているわけではない点である 3つ目は黒人の間にも保守を自任する人々がいることまたレーガン政権以降の共和党がミドルクラスの黒人層に働きかけ彼らの保守的意識の掘り返しに成功していることを指摘できる興味深い数字として 1992 年に行われた世論調査では黒人の回答者の3 分の1が自らを保守派とみなし黒人の中での保守的な意識とともに 80 年代後半から黒人政治家が台頭するようになる最高裁判事のクラレンストーマスは ( 黒人は ) アファーマティブアクションに反対し福祉にも反対しなければならない ( リベラルによる ) プログラムや保護は我々のものではなく黒人の利益ではないと主張している 4 黒人社会における保守化の背景にあるのは黒人の権利を強調せず保守的な政策を打ち出すことで白人中産階級と同じ理念を掲げることが可能になってきたことであるここでは黒人の利益を代弁する指導者がキング牧師やジャクソンといった宗教的なバックグラウンドを持つ人々から政治的な舞台で活躍する人々に変わっていることも興味深い変化と言えよう議会選挙においては黒人の中での保守的な意識とともに 80 年代後半から黒人政治家が台頭しており 92 年の選挙以来にも黒人議員が大幅に増加しているこの背景として考えられる理由として2 点指摘することができるまず黒人の権利を強調せず保守的な政策を打ち出すことで白人中産階級と同じ理念を掲げることが可能になってきたことであるそしてマイノリティ多数派選挙区の創設により黒人が議員数という面において優遇されることが政策として打ち出されたことである第二章今日の黒人による政治参加について今日では黒人はどのような投票行動をしているのだろうかニューズウィークによる統計によれば 2004 年の大統領選挙では 11% の黒人がブッシュに投票したのに対し 89% の黒人がケリーに投票している年の中間選挙でも 10% の黒人が共和党を支持したのに対し 89% の黒人が民主党に投票した 6 今日のアメリカ政治において宗教の果たす役割は依然として大きいウィルコックスとジェレンはアメリカの歴史を通じて宗教団体は政治へと動員されており奴隷制やベトナム戦争など重要な政策転換をもたらしてきたと論じているつい最近 Gallup から発表されたレポートでは今回 2008 年の大統領選挙に関して白人の有権者の中での投票行動には宗教が依然として重要な要素であると指摘されており同時に 2004 年の大統領選 4 Clarence Thomas, Why Black Americans Should Look to Conservative Policies, The Heritage Foundation, 1 August ニューズウィーク日本版 2004 年 11 月 17 日 p24 6 ニューズウィーク日本版 2006 年 11 月 22 日 p20 4

5 挙における白人の候補者支持の構図に非常に似ていると言及がなされている 7 他方で注意しなくてはならない点はアメリカの宗教を論じる際にアメリカ宗教とひとくくりに表現することはできない点である具体的には宗派や教会によって主義主張が大きく異なりまたそれらが時代や世代指導者の移り変わりとともに推移し同時に政治にも少なからず影響を与えている昨今では宗教右派だけではなく宗教左派と呼ばれる信仰を土台にした政治活動は認めつつも主張は人工妊娠中絶などを除きリベラル派に似通っている人々の存在も指摘されている同時に本稿にて着目している黒人の投票行動は参加する教会によって大きく左右されることはすでに先行研究にて明らかにされているそれでは世論調査はさておき今日の現実の政治と宗教はどのように関連しているのだろうか黒人教会を概観した上で政党による宗教への働きかけを紹介しアメリカにおける議会選挙と大統領選挙に考察を加えてみることにする黒人教会には主として8つの教会が存在しこれらだけで 2000 万人のメンバーを有する具体例をあげると African Methodist Episcopal African Methodist Episcopal Zion Christian Methodist Episcopal Church of God in Christ National Baptist Convention of America National Baptist Convention USA National Missionary Baptist Convention Progressive National Baptist Convention であるこれらの教会の共通点として考えられるのは多くの教会が世紀から続きモラルマジョリティーやクリスチャンコアリションのように最近できたばかりの団体ではないこととまた 2008 年大統領選挙に関するコメントや政治的な声明を発しておらず現代政治とは一線を画した活動を行っている点である 8 黒人教会は主たる 8 つの教会以外にも多くの教会が存在し彼らは都市問題を始め日々の生活に密着した問題に取り組んでいる宗教保守のように中絶や同性婚などモラル面に着目するのみならず経済的向上を宗教的立場から向上させようとしている点が彼ら黒人教会の一番の特徴であるといえるだろう次に 2 大政党による宗教への働きかけを確認する共和党は宗教保守の助けもあり価値観や宗教という言葉をうまく利用することに成功しグローバーノーキストを中心にイスラム教徒を共和党に取り込むことに成功しているまた昨今ではブッシュ政権は共感する黒人牧師に触手を伸ばしている 9 これは国政において白人福音主義者の影響力の拡大を阻止したい黒人牧師たちと共和党を支持してくれる黒人の数の拡大を図る共和党の党略が一致しているために起きているが黒人牧師たちも中絶や同性婚に関心を抱いておりリベラルなイデオロギーから彼らを説明することは難しそうである同時に本 7 Frank Newport, Religion Remains Major Dividing Factor Among White Voters, The Gallup, 5 September Neela Banerjee, Black Church Struggle Over Their Role in Politics, The New York Times, 6 March

6 来共和党支持である企業やクリスチャンコアリションといった宗教保守が黒人の教会に積極的に働きかけていることが昨今の新聞報道でなされているまたブッシュ政権や共和党も同じ価値観を持つ黒人教会に働きかけている対して現在の民主党はいかに信仰を取り戻すかという課題を模索しており宗教に関して必ずしも無策ではなく 10 また今までも宗教を切り離して選挙政治を行ってきたわけではない例えば昨今の例だと 1984 年と 88 年の大統領予備選ではジェシージャクソンは黒人の宗教組織を利用し資金集めやボランティアのリクルート演説を行っているまた共和党に信仰票を奪われないために民主党は実験的な試みを繰り返しているでは今回 2008 年の大統領選挙ではどのような政治と宗教とのつながりを見出すことができるのだろうか宗教団体の視点から今回の大統領選挙を見てみると National Baptist Convention や The Nation of Islam に関してはオバマやマケインにほとんど触れていない対して宗教保守である Christian Coalition のページではマケインが Pro-Life のペイリンアラスカ州知事を副大統領候補に指名したことを歓迎するコメントが掲載されている候補者個人に着目してみると民主党候補のオバマは宗教団体に対する対策を打ち出している 11 オバマが打ち出した対策とは教会や宗教団体を通した社会福祉を今まで以上に拡充しようというものであるオバマの打ち出した対策は社会福祉に対する宗教団体への援助は雇用において信仰を持ち込むことは認めないということをブッシュ政権との違いとして強調しているまたオバマは著書の中で政治と宗教との距離感について言及しており信心深い人々と信仰を持たない人々に共通する価値観があることに気づくことの重要性を語り信仰について真剣に考える必要があるのは単に宗教右派を阻止するためだけでなく信仰をもつ人みんなをもっと大きなアメリカ再生計画に引きこむためでもあると語っているオバマは選挙運動の中で黒人教会の中で最も古くまた大きい宗派の一つである African Methodist Episcopal にて演説を行っているこのようなオバマの活動に対し Focus on the Family の James Dobson は聖書の伝統的な理解を自らの世界観や宗教学にあてはめようと歪めていると批判する一方でオバマは共和党の支持基盤とも言えよう福音主義者から支持を得ることにも積極的でありお互いの意見を聞くようになってほしいと語っているオバマはインタビューの中で福音主義者と民主党員の間には変えなくてはいけない思考方法があると考えている選挙運動が始まる前から行っていたが選挙運動における私の仕事の一部は必ず私が姿を現し信仰心を持つ人々と接し私の信仰体験を共有することだ願わくばこの国を前進させることができるよう両者の間に橋をかけられればと考えていると語っている Jim Wallis, The Massage Thing, The New York Times, 4 August Jeff Zeleny and Michael Luo, Obama Seeks Bigger Role for Religious Groups, The New York Times, 2 July Pulliam Sarah and Olsen Ted, Q&A: Barack Obama, Christian Today, 23 January 6

7 終章つい最近ピューリサーチセンターから興味深い発表が公開され教会は政治から距離を置くべきだと考える保守派の割合が 4 年前には 30% だったのに比べ今日では 50% が同意見を示しまた政治家が宗教的な発言をすることに不快感を示す人の割合が 40% から 46% に増えていると指摘されている同時に共和党において宗教保守の影響力が大きすぎると感じる人の割合も 2007 年の 43% から 48% に増えているこの背景にあると考えられるのは 2004 年の大統領選挙でありここでは value election と表現されるほど人々の関心はモラルに向けられまたキリスト教保守による働きかけも顕著であった 13 何が政治の争点となるかは宗教と政治との関わりを語る上で重要な要素であり政治の争点は時代と共に移り変わる宗教団体による政治的動員において今日重視されている争点は中絶や同性婚などの性に関わる問題と幹細胞やクローンに関する reproduction の問題であるウィルコックスとロビンソンによれば最近の宗教的な動員において欠けているのは貧困や社会正義といった経済政策に関する争点であるこれはまさに上に指摘した黒人教会が日々活動を行っている対象であり宗教団体による政治的動員というインセンティブは今日の状況下では現在の黒人教会には働きにくいことが考えられる興味深い点として最後に指摘したいのがマクダニエルの研究であり彼は著書の中で黒人がどの教会に行く際に決定要素となるのは自宅からの距離や宗派もしくは誰か知人がその教会に通っているなどによる親近感であり個人は政治的理由によって教会を選択しているわけではないと明らかにしているこれは今までの議論と矛盾するように見えるが黒人教会のメンバーは教会の活動に熱心に従事し教会手動の政治活動の源泉となることがあることを考えると教会に入る前後において黒人教会に求める政治活動が変化していることが考えられる本稿ではこの点について検証することができなかったが今後検討する必要があると考えられる本稿では黒人の宗教という観点から特に昨今の黒人の動きを追った以上に指摘したように黒人の宗教は現在のアメリカ政治を揺るがしている宗教保守とは主義主張の面で一線を画していることが明らかになったしかしながら今回の大統領選挙におけるオバマ候補の宗教的側面を見てみると上に記したように必ずしも共和党支持の宗教保守と距離を置くのではなく同じ価値観信仰心を共有しようとする言説が多く見受けられ Gallup.com によると 2004 年の大統領選挙においてブッシュ候補に投票した有権者の 25% が投票理由として Morals, Values, Religious beliefs を指摘しこれは他の理由 (Terrorism や Iraq など ) を上回る 7

8 る一方でオバマの行動はジェシージャクソンなどこれまでの黒人宗教指導者による影響を必ずしも強く受けているわけではない点も指摘する必要があろうこの背景には世代間による違いが考えられ選挙活動における宗教問題担当が 25 歳の Joshua Dubois だったことや福音主義者や白人を敵視しないオバマの宗教的観点は公民権運動後の世代としてオバマ世代が台頭しつつありジェシージャクソンなど選挙活動において黒人教会を動員し黒人の権利を強調する世代とは異なると言え新鮮な黒人宗教の考え方とらえ方が出芽してきたと見ることができるのではないだろうか本稿ではアメリカの宗教と政治との関係を黒人宗教という観点から考察するという点を大きな視点として考えていた黒人教会という視点からの検証は限られたものではあったがこれまでの黒人教会による政治的動員の歴史的な背景や理論を明らかにした上で今回の大統領選挙を考察したことは公民権運動から半世紀近くが経とうとする現在有意義なものであったのではと考えている本稿作成時点ではまだネオコンや宗教保守との強い結び付きが指摘されていたブッシュ大統領が職を離れてからわずかな時間しか経過しておらず新たな政権の展望を予想することは難しいしかしながらオバマが望むような宗教保守と民主党や黒人教会の間における宗教的観点からの橋は4 年後の大統領選挙にどのような形を構築しもしくは構築されていないのか冒頭に記したように宗教保守と黒人宗教の重視する政策は必ずしも一致していないこのような不一致に対しどのような橋がかかるのか具体的な経済政策や外交政策に目が向いてしまいがちだがこのような視点から4 年後の大統領選挙を楽しみにしたい参考文献松岡泰アメリカ政治とマイノリティ公民権運動以降の黒人問題の変容ミネルヴァ書房 2006 年渡辺将人現代アメリカ選挙の集票過程アウトリーチ戦略と政治意識の変容日本評論社 2008 年クリストファーディッキーオバマに揺れる南部のこころニューズウィーク日本版 2008 年 9 月 10 日 ) バラクオバマ著合衆国再生棚橋志行訳ダイヤモンド社 2007 年 Banerjee Neela, Liberal Christians Mobilize to React the Religious Right, The New York Times, 16 October Banerjee Neela, Black Churches Struggle Over Their Role in Politics, The New York Times, 6 March Banerjee Neela, Religious Left Struggle To Find Unifying Message, The New York Times, 19 May

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