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1 2009 年 4 月 23 日発行 国外所得免除方式をどう考えるか ~ 新たな国際課税制度と今後の着目点 ~

2 本誌に関するお問い合わせはみずほ総合研究所株式会社調査本部電話 (03) まで 当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり 商品の勧誘を目的としたものではありません 本資料は 当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが その正確性 確実性を保証するものではありません また 本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります

3 国外所得免除方式をどう考えるか ~ 新たな国際課税制度と今後の着目点 ~ [ 要旨 ] 年度の税制改正で国外所得免除方式の導入が決まった 国外所得免除方式は 外国と自国における 二重課税 を国外所得に対する課税免税により回避する方法である 現行の外国税額控除方式から国外所得免除方式に移行することの利点は 国外所得の国内還流が進み それによる国内投資の活発化が期待されること等である 現行税制では 外国子会社からの配当は国内に送金されるまで課税が繰り延べされるため 所得を海外に滞留させるインセンティブが生じる 2. 日本の国外所得免除方式の導入は 国際課税改革の第一歩が踏み出されたものとして評価される しかし 次のような点で今後に課題を残した 第 1 に 外国子会社からの配当に対してのみ適用され 外国支店については適用されないことである 第 2 に キャピタルゲインが同制度の適用除外とされたことである 第 3 に 国外所得を得るために用いられた国内親会社の費用が国外所得の 5% に固定的に見積もられ 益金不算入割合が 95% とされる簡便的な方法が用いられることである 3. 国外所得免除方式が導入されていない米国でも同方式を巡る議論が盛んであるが 米国の改革案は少なくとも次の 2 点で日本のそれとは異なる 第 1 に 国外所得免除方式の適用対象に外国支店の所得やキャピタルゲインが含まれる 第 2 に 国外所得を得るために用いられた国内親会社の費用は 企業ごとに見積もられ 国外所得にも配賦される 但し 費用の配賦方法については必ずしも議論が収斂していない 米国の国外所得免除方式案は 執行面から疑問符が付けられる部分もあるが 今後日本の国外所得免除方式の見直しが検討される際には貴重な判断材料を提供するものと思われる 4. また 米国等では国外所得免除方式では克服できない国際的な租税競争や所得移転の問題への対処として 国外所得免除方式とは全く異なる課税方法 ( 居住地主義の強化 仕向地主義の課税 ) も提案されている 日本でも 幅広い国際課税改革オプションのなかで国外所得免除方式を捉え その利点と欠点を十分に認識しておくことが長期的な国際課税改革を考える上では大切であろう 政策調査部主任研究員鈴木将覚 Tel: masaaki.suzuki@mizuho-ri.co.jp

4 [ 目次 ] 1. はじめに 1 2. 国際課税の基本的な考え方 3 (1) 国際課税主義の分類 3 (2) 国際課税の効率性基準 4 a. 資本輸出中立性 (CEN) と資本輸入中立性 (CIN) 4 b. 国家中立性 (NN) とは何か 7 c. 資本所有中立性 (CON) とは何か 7 (3) 開放経済下の法人税が直面する問題 9 3. 国外所得免除方式に対する賛否 11 (1) 国外所得免除方式に対する賛成意見 11 (2) 国外所得免除方式に対する批判 日本の国外所得免除方式の特徴 14 (1) 外国税額控除方式 14 a. 基本的な仕組み 14 b. 限度額方式 15 c. 費用配賦 17 (2) 国外所得免除方式 18 a. 日本の国外所得免除方式 ( 益金不算入制度 ) 18 b. 米国の国外所得免除方式案 その他の国際課税改革オプション 23 (1) 居住地主義課税の徹底 23 (2) 仕向地主義の法人税 おわりに 28

5 1. はじめに 2009 年度税制改正で 外国子会社からの配当に対して国外所得免除方式 ( 益金不算入制度 ) が導入されることになった 国外所得免除方式とは 外国と自国における 二重課税 を国外所得に対する課税免除によって回避する方法である 日本では 伝統的に外国税額控除による 二重課税 の調整が行われてきたが 今回の改正ではその一部が廃止され 国外所得免除方式に転換された 国外所得免除方式は欧州諸国を中心に採用されている国際課税方式であるが 近年米国を中心とする国外所得免除方式の非採用国においてその導入の是非が議論されてきた 各国は 経済のグローバル化が進展するなかで 自国企業の競争力を阻害せず自国資本の海外流出を招かない国際課税制度を目指しており 日本の国外所得免除方式導入もそうした流れに沿ったものと捉えられる 日本では 昨年 経済産業省 経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会 の下に国際租税小委員会が設置され 国外所得免除方式に関する議論が行われた 同小委員会は 昨年 8 月に 中間論点整理 1 を提出し 日本の国外所得免除方式の制度設計に関する具体的な議論が進展した そして 国外所得免除方式はその親委員会の報告書を経て 与党の 09 年度税制改正大綱 (08 年 12 月 12 日公表 ) に盛り込まれた 中間論点整理 では 国外所得免除方式への移行の理由として 中長期的に海外の市場の伸びが大きくなると見込まれる中で わが国が持続的な成長を実現するためには 世界経済の成長の果実を国内の豊かさに結びつける好循環の確立が重要 であり 国際展開する我が国企業が 税制に左右されずに 外国子会社の利益を必要な時期に必要な金額を国内に戻すことが可能となるよう 外国子会社利益の国内還流に際しての税制上の障害を取り除く国際租税改革が必要 であるとされた しかし 今回導入された国外所得免除方式は 海外資金の国内還流や自国企業の競争力向上という利点がある一方で 我々が直面する国際課税の問題を全て解決する万能薬とまでは至らない 第 1 に 今回の改正では 国外所得免除方式の適用対象や費用配賦の方法など いくつかの点が今後の検討課題として残されたことである 第 2 に 国外所得免除方式は 国際的な租税競争や多国籍企業による所得移転のような開放経済下の法人税が直面する問題に対応することができないことである 米国等では 経済のグローバル化に対応する国際課税制度として 居住地主義の強化や仕向地主義の法人税が提案されている 日本でも 将来的には国外所得免除方式とは異なるアプローチも視野に入れて国際課税改革を検討することが必要になるかもしれない 以上の問題意識から 本稿では日本の国外所得免除方式の特徴を明らかにするとともに より幅広い視点から国外所得免除方式を捉え 長期的な国際課税改革における国外所得免 1 国際租税小委員会 我が国企業の海外利益の資金還流について~ 外国子会社からの配当についての益金不算入制度導入に向けて~ 1

6 除方式の位置づけを考えてみたい 以下では まず次節で国際課税の基本的な考え方として 国際課税主義の基本と効率性基準を整理する 第 3 節では 国外所得免除方式に対する賛否を整理し 第 4 節では日本の国外所得免除方式の特徴を米国の国外所得免除方式案との比較を通じて明らかにする 最後に第 5 節では 国外所得免除方式以外の国際課税改革オプションとして 居住地主義の徹底案 ( 完全合算方式 ) と仕向地主義の法人税の 2 つを紹介する 2

7 2. 国際課税の基本的な考え方 まず 国際課税の基本的な考え方から整理しよう (1) 国際課税主義の分類法人税の伝統的な国際課税主義としては 居住地主義 (Residence Principle) と源泉地主義 (Source Principle) の 2 つがある 純粋な居住地主義とは 居住者の全世界所得に対して課税する方法である ( 全世界所得課税方式 ) 海外に事業展開している自国企業は その所得が国内で発生したにせよ 海外で発生したにせよ 全て国内政府によって課税される 一方で 純粋な源泉地主義は 企業の国籍にかかわらず 所得の源泉地での課税を行うものである 海外に事業展開している自国企業は その国内源泉所得のみが課税され 国外源泉所得は課税されない ( テリトリアル方式 ( 領土内課税方式 )) 一般に 各国が居住地主義課税と源泉地主義課税を任意に選択すれば 課税権の競合が生じる 例えば A 国と B 国の 2 国が存在し 両国が居住地主義課税を採用する場合には 両国ともに自国企業のみに課税するため 課税権の競合は生じない 両国ともに源泉地主義課税を採用する場合にも A 国は A 国源泉所得のみに課税し B 国は B 国源泉所得のみに課税するので 課税権の競合は生じない これに対して A 国が居住地主義課税 B 国が源泉地主義を採用している場合は A 国企業の B 国源泉所得は A 国政府と B 国政府の双方から課税され 課税権の競合が生じる また 両国が居住地主義課税を採用している場合でも 現実には外国企業の国内源泉所得に対する課税権が国際法上認められているため A 国 (B 国 ) 企業の B 国 (A 国 ) 源泉所得には両国政府による課税が行われ 課税権の競合が生じる ( 図表 1) こうした自国と外国の 二重課税 を防ぐために 国際課税では通常税額控除 (credit) か課税免除 (exemption) のどちらかによる調整が行われる 外国税額控除方式 (oreign Tax Credit Method) は 自国企業が外国で納付した外国税額について自国の法人税額からの税額控除を認めるものであり 国外所得免除方式 (Exemption Method) は自国企業の国外所得に対して課税しないものである 外国税額控除方式は居住地主義 ( 全世界所得課税方式 ) と 国外所得免除方式は源泉地主義 ( テリトリアル方式 ) とそれぞれ関係が深い 05 年時点で OECD30 カ国のなかで外国税額控除方式を採用している国は米国 英国 日本 韓国 アイルランド チェコ ポーランド ニュージーランド メキシコの 9 カ国で 国外所得免除方式を採用している国はドイツ フランス イタリア オランダ スペイン カナダ オーストラリア スウェーデン ノルウェー等の欧州を中心とした 21 カ国であった その後 チェコとポーランドが国外所得免除方式に移行し 09 年には日本と英国がそれに続く予定であり ニュージーランドも国外所得免除方式を検討している その結果 国外所得免除方式を採用していない OECD 加盟国は 米国を含む 4 カ国に減少する見込みである 3

8 図表 1: 二重課税 の発生 居住地 A 国企業 B 国企業 源泉地 A 国源泉所得 A 国による居住地主義課税 A 国による源泉地主義課税 B 国による居住地主義課税 B 国源泉所得 B 国による源泉地主義課税 A 国による居住地主義課税 B 国による居住地主義課税 ( 資料 ) 川上編 (2008) より みずほ総合研究所作成 (2) 国際課税の効率性基準では 外国税額控除方式と国外所得免除方式のどちらが望ましいと考えられるであろうか a. 資本輸出中立性 (CEN) と資本輸入中立性 (CIN) 国際課税方法の評価は 効率性の観点から行われるのが普通である 2 効率性の基準としては 伝統的に資本輸出中立性 (Capital Export Neutrality CEN) と資本輸入中立性 (Capital Import Neutrality CIN) がある CEN は 資本がその投資場所にかかわらず同じ税率で課税されるという原則であり CEN が確保されるとき 企業の投資場所は税制の影響を受けない CEN が成り立つ状況では 税引き後の収益最大化を目指す企業はまるで税引き前の収益を最大化するかのような行動をとる 純粋な居住地主義では 自国企業が世界のどこで収益を上げても原則としてその全世界所得が課税されるため CEN が成り立つ また 国外所得が現地で課税される課税権の競合が生じる状況でも 無制限の外国税額控除が認められるときには外国税額が全て控除されるため CEN が確保される 一方で CIN は企業の居住国にかかわらず 収益率が同じ税率で課税されるという原則である 国外所得免除方式では CIN が確保される こうした状況を自国 ( 国 ) と外国 ( 国 ) の 2 国が存在する世界を例にとって考えてみよう ( 図表 2) 自国の収益率を r 自国の税率を t 外国の収益率を r 外国の税率を t とし 完全な資本移動を想定する 企業収益最大化の条件は 自国での税引き後収益率 = 外国での税引き後収益率 である このとき 無制限の外国税額控除が適用されれば 企業収益最大化の条件より ( 1 t ) r = (1 t ) r t r + t r = (1 t ) r 自国での税引き後収益率 外国での税引き後収益率 2 公平性の観点からは 水平的な平等及び累進性の点で 全世界課税 (+ 外国税額控除 ) が望ましいとさ れる 4

9 となる 結局 r = r が成り立つから 無制限の外国税額控除が認められる状況では 企業 が税引き前収益率を最大化するような行動をとることになる これに対して 国外所得免除方式の場合は 同じように 自国での税引き後収益率 = 外国での税引き後収益率 という条件より ( 1 t ) r = (1 t ) r が得られる これは 自国と外国の税率が等しくない限り r r であることを意味する つまり 国外所得免除方式では税制が投資場所に影響を及ぼし CEN は確保されない 一方で 外国での収益に対しては外国で課税されるのみで自国では課税されないから ある国おいて外国企業と自国企業の収益に対する課税上の差別はない このため 国外所得免除方式の下では CIN が成立する 図表 2: 二重課税 の回避措置と効率性基準 (a) 無制限の税額控除が適用される場合 (Credit) 自国での税引後収益率 = 外国での税引後収益率 より ( 1 t ) r = (1 t ) r t r + t = ( 1 t ) r 資本輸出中立性 (CEN) が確保される (b) 国外所得が非課税にされる場合 (Exemption) 自国での税引後収益率 = 外国での税引後収益率 より ( 1 t ) r = (1 t ) r 資本輸入中立性 (CIN) が確保される (c) 所得控除が適用される場合 (Deduction) 自国での税引後収益率 = 外国での税引後収益率 より ( 1 t ) r = (1 t ) r t (1 t ) r = ( 1 t )(1 t ) r 国家中立性 (NN) が確保される ( 注 ) 自国 (): 収益率 r 税率 t 外国 (): 収益率 r 税率 t ( 資料 ) みずほ総合研究所作成 r 国際課税主義の基準として これまで CIN よりも CEN が優先される傾向があり 米国を中心に伝統的には 居住地主義 + 外国税額控除 が望ましいとの見方が採用されてきた これは CEN は自国のみの政策で実現することができるのに対して CIN が確保されるには自国のみならず世界各国が同じ政策をとることが必要になるからである しかし 近年 5

10 は国外所得免除方式の採用国が増えるなかで このままでは外国税額控除方式の採用国の企業が競争の不利を蒙るとの問題意識から CIN が追求されるようになってきた ところで 日本や米国における現実の制度は 次のような理由から理想的な 居住地主義 + 外国税額控除 の形にはなっていないことには注意が必要である 第 1 に 外国税額控除が無制限に認められていない CEN が確保されるためには外国税額控除が無制限に認められなければならないが 外国税額控除が無制限に認められると外国政府が自国企業に対して重税を課すインセンティブが生じるという別の問題が発生する 自国で無制限の外国税額控除が認められると 自国企業にとって外国での課税は問題にならなくなり 外国政府は自国企業の投資インセンティブに悪影響を与えることなく自国企業に重税を課すことができる これは 自国政府から外国政府に対して税収が移転することを意味する このため 外国税額控除は 自国であれば課されたであろう税額 が限度とされるのが普通である 第 2 に 自国企業の国外所得は国内に還流した時点でのみ課税されることである 国外所得が自国に還流されるまでは 課税が繰り延べされる このため 対外投資の実効税率が低くなり 国内から海外への資本流出インセンティブが生じる こうした資本流出インセンティブを抑制する方法の 1 つとして 各国ではタックスヘイブン税制が適用されている タックスヘイブン税制は 基本的に軽課税国にある特定の所得に対して 国内送金時ではなく発生時に課税を行うものである タックスヘイブン税制の先駆けとなった米国のサブパート ルール (62 年導入 ) では 被支配外国法人 3(Controlled oreign Corporation, CC) の持株比率 10% 以上の株主は 特定の所得 ( サブパート 所得 4) に関して 配当の国内送金の有無にかかわらず所得の発生時に課税される 日本の外国子会社合算税制 (78 年導入 ) では 持株比率が 50% を超える外国法人 ( 外国関係会社 ) のうち その税負担が 25% 以下である法人 ( 特定外国子会社 ) についてはその留保所得が居住地国の所得に合算されて即時に課税される しかし こうした課税繰り延べ対応策が講じられているとはいえ 全ての海外所得が即時に課税されるわけではない 一般に タックスヘイブン税制は 租税回避を目的とした所得に対する即時的な課税を意図するものであって 海外での実体のある経済活動を妨げるものではない 例えば 日本の外国子会社合算税制では特定の基準に従って 外国子会社が独立企業としての実体を備え 外国で事業活動を行うことに十分な経済合理性があると認められる場合には適用除外となる 5 このため タックスヘイブン税制が存在しても 海 3 議決権のある株式の 50% 超を米国株主が保有している外国子会社を指す 4 保険所得 国外ベースカンパニー所得 ( 販売所得 配当 利子 ロイヤリティ等の持株会社所得 石油関連所得等 ) 外国における贈賄等の違法支払等 5 1 事業基準 ( 主たる事業が株式の保有等 一定の事業でないこと ) 2 実体基準 ( 本店所在地国に主たる事業に必要な事務所等を有すること ) 3 管理支配基準 ( 本店所在地国において主たる事業の管理 支配及び運営を自ら行っていること ) 等を全て満たすことが条件となっている 6

11 外所得全体としては課税が繰り延べされる余地があり 海外での資金滞留インセンティブが生じていると考えられる b. 国家中立性 (NN) とは何か CEN はグローバルな観点からみた場合に 資源が効率的に配分される基準である これに対して グローバルな観点ではなく 国家的な観点から効率性を捉える基準も提唱されている (Richman, 1963) ここでの 国家 とは 企業と政府の合計を意味する 国家 にとっての追加的な海外所得は 外国で課税された後の所得に等しいと考えられる このため 国家 の所得を最大化する条件は 自国での税引き前収益率が外国での税引き後収益率に等しくなることである こうした条件が成り立てば 国家中立性 (National Neutrality, NN) が満たされる 国家的な観点からみると 二重課税 の回避手段として税額控除 (credit) と課税免除 (exemption) のいずれも適切とは言えない 国家的な観点からみた中立性は 外国税額の所得控除 (deduction) が認められるときに実現する 所得控除が認められるとき 企業収益最大化の条件 自国での税引き後収益率 = 外国での税引き後収益率 より ( 1 t ) r = (1 t ) r t (1 t ) r = ( 1 t )(1 t ) r が得られる つまり 自国の税引き前の収益率が外国の税引き後の収益率に等しくなる 所得控除による 二重課税 の調整は 税額控除による調整と比べて海外投資が不利になるため 資本が国内に維持され その分だけ税収が確保される NN の観点からすれば CEN を満たす外国税額控除方式は海外への資本流出によって国内税収を減少させるものと捉えられる 現実には いずれの主要国でも所得控除方式が採用されていない この理由としては次のようなものが挙げられる (JCT, 2006) 第 1 に 自国の厚生改善させる試みによって相手も同様の措置で対抗してくる可能性があることである このとき グローバルな意味で厚生が低下する 第 2 に 対外投資を抑制する政策は対外投資が国内投資減少の犠牲の下で行われるときにのみ 国家の厚生を高めることである 対外投資が国内投資を減少させないのであれば 対外投資を抑制する政策は国内雇用には影響を及ぼさない 過去の経験では 対外投資は輸入の増加だけではなく 輸出の増加につながる可能性があり こうした場合に対外投資を抑制すれば国内雇用にとってマイナスの影響が生じる c. 資本所有中立性 (CON) とは何か以上の伝統的な効率性基準に対して 近年では資本所有中立性 (Capital Ownership Neutrality, CON) という概念が提唱されるようになった (Desai and ines, 2003) CON 7

12 とは 税制が企業の所有形態に歪みを与えない状態を指す CEN や CIN が資本の動きに着目した効率性基準であるのに対して CON は資本そのものの動きではなく 資本の所有に着目した効率性基準である R&D やマーケティング等を通じて発展した多国籍企業の資産は 高度に特殊なものであり それら資産の生産性は誰が会社を経営するかに大きく依存している こうした状況では 税制が資本の所有形態に影響を及ぼさないことが世界的な厚生の観点からみて重要である 各国が保有する物理的な資本ストックの総量が国際租税ルールに影響を受けないという極端なケースを考えよう この状況では 直接投資は単に国内と海外の投資家の割合を変化させるだけであり 最も生産性の高い経営者がそれぞれの資産を保有するような税制が構築できれば 生産が最も効率的になる CON は 1 全ての国が無制限の外国税額控除付きの全世界所得課税方式を採用するか または2 全ての国が国外所得免除方式を採用するかのいずれかの方法で達成される 前者の場合は同時に CEN が成り立ち 後者の場合は同時に CIN が成り立つ 全ての国が無制限の外国税額控除付きの全世界所得課税方式を採用する場合には 各国企業は税引き後収益率のみならず 税引き前収益率を最大にするような資産を購入することになるため 資産を最も効率的に活用できる企業が資産を保有することになる 一方で 全ての国が国外所得免除方式を採用する場合には 企業は各国において同じ実効税率に直面するため 各国に投資された資産は最も高い税引き前収益を生み出す企業によって保有される 他国が無制限の外国税額控除付きの全世界所得課税方式を採用するなかで 自国のみ国外所得免除方式に移行する場合はどうであろうか A 国が無制限の外国税額控除付きの全世界所得課税方式 B 国が国外所得免除方式を採用しているとしよう 両国の企業がともに法人税率 20% の第三国に子会社を設立し ともに 100 の利益を上げるものとする このとき A 国企業は第三国に 20 だけ税金を納め A 国の法人税率が 35% である場合には A 国企業は本国に 15 の税金を納める 一方で 国外所得免除方式の B 国では B 国企業が本国に追加的に税を納める必要がないため 最終税額は第三国に収めた 20 のままである このため B 国企業は A 国企業よりも税制上有利である 6 これを所有中立性の観点からみると B 国が国外所得免除方式を採用することは B 国企業が第三国で資産を購入するために許容できる価格 (reservation prices) が A 国企業よりも高くなるものと解釈される 第三国において たとえ A 国企業の方がより生産性が高くても 税制上の理由で B 国企業が A 国企業の資産を買収することができるかもしれない こうした状況は グローバルな観点からすれば望ましいとは言えないが B 国にとっては 国家 の観点から正当化される このため 国外所得免除方式は国家所有中立性 (National Ownership Neutrality, NON) を満たすと言われる もっとも 現実には 税制は資本の所有形態だけでなく資本の投下量や投下場所も決めるので 税制の世界厚生への影響はそれらの効果全体に依存する このため 工場や設備等 6 A 国が国外所得免除方式に移行すれば CIN が成り立つ 8

13 が税率の差異に応じて国際的に移動する場合には CON の含意はそれほど明確ではなくなる 特に 国外所得免除方式が対外 DI 投資を増やして国内投資を抑制し その結果国内税収が減少する可能性がある この場合には NON は成立しない しかし この点について Desai and ines は対外 DI の増加が追加的な対内 DI で相殺されると楽観的にみている DI の多くは M&A の形態をとるため 多くの場合 対外 DI はある国から他の国への貯蓄の移転というよりも 世界的な資本の所有形態のリシャッフルを意味する このため 対外 DI の増加は対内 M&A によって相殺されると Desai and ines は考えている 国内税収が変化しないのであれば 税収と自国企業の税引き後収益の最大化を目指す国は国外所得免除方式を採用する そして 各国が NON の観点から国外所得免除方式に移行し 最終的に全ての国が国外所得免除方式を採用すればグローバルな観点から資本所有の中立性 (CON) が成立する (3) 開放経済下の法人税が直面する問題国際課税を考える際には 開放経済下の法人税が直面する 2 つの問題も考慮に入れなければならない 第 1 に 国際的な租税競争である これは 各国が法人税率の引き下げ競争を行うことである 法人税が源泉地主義で賦課される場合 ホスト国の法人税率は企業の立地選択に影響を及ぼす このため 各国政府が自国企業の国内引き止めや外国企業の国内誘致を目的として法人税率の引き下げ競争を行い 最終的にいずれの国も十分な税収を上げることができなくなる恐れがある (race to the bottom) 国際的な租税競争が目立つのは 現在のところ途上国である 途上国では外資に対する税制優遇措置など 様々な方法を用いた国際的な租税競争が繰り広げられた結果 90 年代初頭から 2000 年代初頭にかけて法人税収の対 GDP 比が低下した (Keen and Simone, 2004) 先進国では各国の連動した税率引き下げがみられるものの 法人税収の対 GDP 比の低下はみられていない しかし 日本でも近年アジア諸国や欧州先進国における法人税率引き下げに対抗すべきとの声が多く聞かれるようになり 国際的な租税競争に対する懸念は高まっている 第 2 に 多国籍企業による所得移転である 政府が望ましいと考えられる国際課税ベースと税率を設定しても 多国籍企業による所得操作が可能であれば 実際にはそうした課税を実現することはできない 多国籍企業による所得移転の代表例は 企業グループ内で行われる取引価格 ( 移転価格 ) の操作である 例えば 親会社に対する税率が高く 外国子会社に対する税率が低い場合には 親会社から外国子会社への部品供給等において 取引価格を低く設定することによって外国子会社の所得を増やし 企業グループ全体として税額を減らすことができる こうした移転価格操作の対抗措置として 各国では移転価格税制が導入されている ( 日本では 86 年に導入 ) 移転価格税制では 企業グループ内取引に用いられる価格が独立企業間価格 (arm s length prices) と乖離する場合に 取引が独立企業間価格で行われたものと 9

14 して課税所得が計算される 日本でも OECD の移転価格ガイドライン 7 に基づいて 伝統的な取引基準法 ( 独立価格比準法 再販売価格基準法 原価基準法 ) とその他の方法 ( 利益分割法 取引単位営業利益法 ) のいずれかが用いられることになっている しかし 独立企業間価格の算定は 比較可能な独立企業間取引が存在する場合は容易であるが 無形資産など取引の対象が希少である場合には技術的に難しい 例えば 特許権の場合 同一の技術等が存在しないことがそもそも特許の成立条件となっており そこから発生する使用料に関して他の比較可能な取引を利用することは基本的には不可能である 国際的な租税競争と多国籍企業の所得移転という 2 つの問題は ともに現行の国際課税が源泉地主義の要素を含んでいることから生じるものである 純粋な居住地主義に基づく全世界所得課税が行われていれば 企業は世界のどこで活動しようとも 所得の全てが課税されるため これら 2 つの問題は回避される 日本はこれまで居住地主義に基づく全世界所得課税を行ってきたが 国外所得の課税繰り延べが認められていること等により その国際課税方式は実質的に居住地主義と源泉地主義のハイブリッドな性質を持っていた 国外所得免除方式への移行は 現状のハイブリッドな税制から源泉地主義に向かう国際課税改革であるため 国際的な租税競争と多国籍企業の所得移転という 2 つの問題を解決することはできない 国外所得免除方式は むしろそうした問題を悪化させると考えられる 7 各国の課税権を適切に配分し 二重課税を回避することを目的に作成されたもの 10

15 3. 国外所得免除方式に対する賛否 次に 国外所得免除方式に対する賛否の意見を整理しよう (1) 国外所得免除方式に対する賛成意見一般に 国外所得免除方式に関する議論をみると 同方式が望ましいとする理由には次のような点が挙げられている 第 1 に 外国税額控除方式では 自国企業が海外市場において競争上の不利を蒙るとの見方である この見方は米国で多い 米国が国外所得免除方式を採用すれば CIN が成立し 第三国における米国とその他の国外所得免除方式の採用国の競争力は同じになる このため 外国税額控除方式から国外所得控除方式への移行は 一般的に CEN から CIN への移行であると言われる また NON の観点からみれば 前述のように国外所得免除方式が望ましい 第 2 に 国外所得免除方式が海外収益の国内送金を増やし 国内の投資増加につながるとの見方である 日本では これが国外所得免除方式導入の主な理由とされている 経済産業省資料によれば 日本の外国子会社の内部留保残高は約 17 兆円に達し 近年は年間 2~3 兆円の資金が海外の内部留保として積み上がる傾向がある このため 海外で増加する日本企業の資金を国内に還流させて国内経済の活性化に用いるべきだとの主張がなされるようになった 米国では 2004 年に雇用創出法 (American Jobs Creation Act, AJCA) が制定され 2005 年の 1 年間に限って国内送金される配当に対する税率が通常の 35% から 5.25% に引き下げられた これによって 米国への国内送金は 2004 年の 500 億ドルから 2005 年には 2440 億ドルに増加した (Mullins, 2006) 米雇用創出法における国内送金税の減免は 1 年限りの措置であるため その経験だけで国外所得免除方式の下での資金の国内還流のインパクトを測ることはできないが 国外所得免除方式の国内還流効果を示す証拠の 1 つとしてしばしば利用される 第 3 に 現行税制で国外所得が実質的に課税されていないので 国外所得を課税免除しても税収は減少せず 国外所得免除方式導入の弊害は少ないとする現状追認的な見方である 国外所得が実質的に課税されていないのであれば 国外所得に課税する仕組みによって海外から国内への資金還流を妨げるよりも 国外所得への課税を諦めて国内へ資金が還流する仕組みを整えた方が良いと考えるのは自然である しかし 日本では国外所得に対する実効税率や 国外所得免除方式を導入した場合の税収変化に関する試算がないため その影響については不透明な部分が多い この点に関して 米国では海外所得に対する法人税率が 2.7% に過ぎないとの報告がなされている (Grubert and Mutti, 1995) 後述するように 米国の国外所得免除方式案では 国外所得に対する課税を単に諦めるのではなく 使用料収入に対する完全課税を実現する 11

16 こと等により 全体として国外所得に対する課税の強化が図られる このため 現行税制から国外所得免除方式への移行は CEN から CIN への動きではなく より完全な CEN に向かう動きであると指摘されている (Grubert and Mutti, 2001) 第 4 に 国際課税制度の簡素化である 現行制度では 企業は外国子会社全てに関する情報を収集し それに基づいて複雑な外国税額控除の限度額の計算を行わなければならない 国外所得免除方式では こうした情報収集 書類作成等の事務作業から解放されるという利点がある また 国外所得免除方式は後述する外国税額控除の 彼此流用 への対応策にもなる 図表 3: 国外所得免除方式に対する賛否 1 賛成する理由 第三国における自国企業の競争上の不利が解消される 国内送金が増加し 国内投資が増加する 現行税制で国外所得に対する課税がほとんどなされておらず 国外所得に対する課税を免除しても税収への影響は少ない 国際課税の簡素化 彼此流用 問題への対応 2 反対する理由 現行税制で自国企業が受けている競争上の不利の程度が必ずしも明らかではない 自国資本の海外流出を促進し かつ多国籍企業の所得移転を激化させる可能性がある 成熟子会社にとっては 国内送金税はその行動に影響を及ぼさない ( 国際課税の new view) ( 資料 ) みずほ総合研究所作成 (2) 国外所得免除方式に対する批判一方で 国外所得免除方式への移行に対して批判的な意見として 次のようなものがある 第 1 に 現行税制において 自国企業が受けている競争上の不利の程度が必ずしも明らかでないことである (Mullins, 2006) 企業の対外投資の決定要因には税制のほか 政治情勢 インフラ整備 労働者の質 言語 市場の大きさなど様々な要因がある 第 2 に 前述のように 全世界所得課税方式から国外所得免除方式への移行は 基本的には居住地主義から源泉地主義への移行を意味するため 資本の海外流出や多国籍企業による所得移転を促す恐れがあることである 源泉地主義的な国外所得免除方式への移行が 自国企業の対外投資を増加させるインパクトについては確かなことはわかっていない 国外所得免除方式は 自国企業の国内か海外かの選択ではなく 自国企業が海外投資を決めた後の立地先の選択に影響を及ぼすとの見方もあり その場合は国外所得免除方式への移行は自国よりも投資先国への影響が大きい (Mullins, 2006) 12

17 また 所得移転については 国外所得免除方式では所得の発生場所が税額の決定的な要素になるため 多国籍企業が所得操作によって所得の発生場所を変えるインセンティブが大きい このため 国外所得免除方式では現行方式よりも関連会社間の取引が独立企業間価格 (arm s length prices) で行われることの重要性が高まり 移転価格税制を強化するためにより多くの資源を投入しなければならなくなる 第 3 に 成熟子会社にとっては 配当の国内送金に対する課税が国内送金に影響を及ぼさないとの見方がある artman (1985) は投資資金を内部留保によって賄うことが可能な成熟子会社にとっては 国内送金税は中立的であることを指摘した このような国際的な配当課税に関する新しい見方 (new view) 8 が成り立つのは 投資資金が現地の収益で賄われる成熟子会社にとって考えるべき問題が どの地域に投資すれば最も高い収益を得ることができるかに集約されるからである 国内送金に対する増税は 親企業にとって将来生まれる外国子会社の収益の価値を低下させるものの 外国の成熟子会社の意思決定には影響を及ぼさない こうした配当課税に対する new view が正しければ 現状の全世界課税制度の下で徴収される国内送金税は本質的に一括税となり 効率性を損なうことなく税収を確保できる 国内から海外に対して送金が必要な未成熟な外国子会社の場合のみ 国内税制がその投資に影響を与えると考えられる もっとも 国内投資家は外国子会社の活動や投資機会をモニタリングすることが難しいため 収益性のシグナルや経営者の行動の制約を目的に 外国子会社からの国内親会社への分配を好む非税制関連の選好があるかもしれない この場合には 国内送金増税は多国籍企業の投資や分配政策に影響を及ぼす 9 ( 古い見方 old view) 8 配当課税に関して 配当課税が資本コストに影響を及ぼすとの見方 (old view) と企業の投資は内部留保によって賄われるため 配当課税は資本コストに影響を及ぼさないとの見方 (new view) がある 9 Desai, oley, and ines (2001) は 82~97 年の米国のデータを用いて 送金税率の 1% の低下が外国子会社からの配当を1% 高めると推計しており 国内送金税に対する old view を支持している 13

18 4. 日本の国外所得免除方式の特徴 では 日本の国外所得免除方式の特徴をこれまでの外国税額控除方式及び米国の国外所得免除方式案との比較により明らかにしよう (1) 外国税額控除方式 a. 基本的な仕組み日本の外国税額控除は 米国の外国税額控除 ( 間接税額控除 一括限度額方式 ) を参考に 62 年に改正されて ほぼ現在の形になった 外国税額控除は 直接外国税額控除と間接外国税額控除の 2 つに分けられる 直接外国税額控除は 法人税の場合 内国法人が自ら負担した外国税額 ( 法人税 源泉所得税 ) を国内税額から控除するものである 例えば 内国法人の全世界所得を 100( 国内所得 60 外国所得 40) 国内と外国の法人税率をともに 30% とする ( 図表 4) このとき 外国支店の場合は 外国税額 12 を仮の法人税額 30 から控除して 最終的な国内法人税額が 18 になる 図表 4: 外国税額控除 外国支店国内本店国内親会社外国子会社 課税所得 国内所得 国内所得 支店所得 海外源泉 子会社所得 海外所得 配当所得 うち法人税 グロスアップ うち法人税 国内税額 = 全世界所得 (100) 国内税率 (30%)- 外国税額控除 (12)= 18 ( 注 ) 税率は 国内 海外ともに 30% とする ( 資料 ) 財務省資料より みずほ総合研究所が加筆 修正 一方で 間接外国税額控除は 内国法人の外国子会社が負担した外国税額を その内国法人が納付した外国税額とみなして日本の税額から控除するものである 間接外国税額控除は 海外での事業活動が必ずしも海外支店の形態をとることができるとは限らないことを考慮して 支店と子会社の税制上イコールフッティングに扱うために設けられた措置であ 14

19 る 国内親会社が一定の要件 10を満たす外国子会社 ( または孫会社 ) から配当等を受け取った場合に 国内で課税される国外所得は送金された配当額に外国税額を加えた額 ( グロスアップされた額 ) として計算され そこから計算される法人税額から外国税額を控除することができる 図表 4 の例では 外国税額控除の外国子会社の場合は 国内親会社の全世界所得は表面的には 88 であるが 間接外国税額控除ではグロスアップされた全世界所得 100 が用いられる 一方で 外国子会社が納めた外国税額 12 があたかも国内親会社が支払ったかのように扱われ 仮の法人税額 30 から控除される この結果 最終国内税額は直接外国税額控除の場合と同じ 18 になる b. 限度額方式外国税額控除制度では その限度額が 国外所得が全て国内で課税されていたならば生じたであろう税額 に定められる ( 外国税額控除限度額 = 国外所得 国内税率 ) この控除限度額の決め方は 大きく分けて国別限度額方式 所得項目別限度額方式 一括限度額方式の 3 つがある 国別限度額方式は 国単位で国外所得の控除限度額を計算し 各国ごとに外国税額控除を適用する方式である ( フランス ドイツで採用 ) 所得項目別限度額方式は 所得項目ごとに外国税額控除を適用する方式で 例えば利子所得の外国税額控除は利子所得に関してのみ適用される ( 英国で採用 ) 一括限度額方式は 全ての国外所得を合算して控除限度額を計算する方法であり 日本や米国ではこの方式が採用されている 一括限度額方式の最大の利点は 手続きが簡便であることである 国別限度額方式は数多くの国で活動する企業にとって事務負担が大きい 一方で 一括限度額方式の欠点としては 彼此流用 (cross-crediting) の問題を指摘できる 彼此流用 とは ある所得に関する外国税額控除の超過額 ( 外国税額控除 > 控除限度額として 外国税額 - 控除限度額 ) が ( 外国税額控除の余裕額 ( 控除限度額 > 外国税額控除として 控除限度額 - 外国税額 ) がある ) 別の所得に対して利用されることを指す 例えば 外国 A 外国 B でそれぞれ 100 の所得が発生するものとして A 国の税率を 40% B 国の税率を 20% 自国の税率を 30% とする このとき 国別限度額方式では A 国の所得に関する控除限度額は 30 B 国の所得に関する控除限度額は 20 になり 控除限度額の合計は 50 となる 一方で 一括限度額方式では控除限度額は 60( ) と計算される これは A 国で発生する所得に対する外国税額控除の超過額 10(40-30) が B 国で発生する所得に対する外国税額控除の余裕額 10(30-20) で相殺されることに等しい 彼此流用 の問題点は 二重課税 を回避するという外国税額控除の本来の目的を超えて 税額控除が認められてしまうことである 日本よりも税率が高い国で発生する所得については日本の課税を超える分は本来課税されてしかるべきであるが 彼此流用 が認められると低税率国について発生する外国 10 持株比率が 25% 以上で その保有期間が 6 ヶ月以上 ( 子会社の場合 ) 15

20 税額控除の余裕額によってこれが相殺されてしまう 11 彼此流用 に対する取組みとして 日本では 88 年に外国税額控除の改正が行われ 1 非課税国外所得の 2 分の 1( 現行税制では 3 分の 2) を除外 2 国外所得に対するシーリング (90%) の設定 350% 超の高率外国税額部分の除外の 3 つの項目が導入された 非課税国外所得に対する課税を強化すると同時に ( 当時の ) 日本の実効税率である 50% を超える高率部分については 二重課税 の調整の必要がないことから 限度額計算における外国税額から外された 12 米国では 彼此流用 への対応として 一括限度額方式の下でバスケット方式が導入された 米国では 現在 (AJCA 以降 ) 一般所得 (general category income) と受動所得 (passive category income) の 2 つの所得バスケットが設けられている 13 バスケット方式では 外国税額控除の 彼此流用 は同じ所得バスケット内のみで認められ 異なる所得バスケット間では認められない このため 低税率国で可動性の高い受動所得を計上し それに対する外国税額控除の余裕額を高税率国での能動所得に対する外国税額控除の超過額と相殺することができないという利点がある しかし 所得バスケットは所得項目別限度額方式と比べると幅広く設定されているため 実際には相当程度の 彼此流用 が認められている Grubert (2004) によれば 配当で生じた外国税額控除の超過分が使用料に対する課税の相殺に用いられ その結果米国では利子 使用料所得の 72% は課税されていないという 米国における 彼此流用 の例を示そう (U.S. Department of the Treasury, 2007, 図表 5) A 企業が税率 10% の国へ B 企業が税率 40% の国へ投資するものとし 米国の税率を 35% とする 両企業ともに 100 ドルの外国所得を得て 全額を米国に送金するものとする このとき 基本ケースでは企業 A は外国税額を除いた 25 ドル (35-10) を米国で納める 企業 B は外国税額が 40 ドルであるため 外国税額控除によって国内税額はゼロになり 5 ドルの外国税額控除の超過額を持つ これに対して 100 ドルの外国所得のうち 親会社が 10 ドルを配当ではなく 外国で控除可能な使用料として受け取る場合は まず課税外国所得が 90 ドルに減少する 企業 A の場合は 外国税額が 10 ドルから 9 ドルに減少するものの 国内税額が 25 ドルから 26 ドルに上昇するため 国内外合計の税負担は 35 のまま変わらない 一方で 企業 B の場合は外国税額が 40 ドルから 36 ドルに減少するものの 外国税額控除の限度額は 35 ドルのまま変わらないから 企業 B の国内税額は依然としてゼロである 企業 B のように十分な外国税額控除の超過額を持つ企業については 使用料は外国では所得控除され 米国でも課税さ 11 もっとも CEN の観点からは全世界所得課税の下で無制限の外国税額控除が認められることが望ましく 彼此流用 はむしろ肯定される 彼此流用 は税収確保の観点から問題とされるものであり 彼此流用 それ自体の是非については議論がある 12 日本の法人実効税率が 40% に引き下げられた今となっては 高率部分の基準を 50% から 40% に引き下げることが必要との指摘は多い 13 AJCA 以前は 9 つの所得バスケットが設定され 主に非金融能動所得 金融サービス業の所得 受動所得の 3 つのバスケットに分かれていた 2 つの所得バスケットへの集約は 2007 年 1 月以降の実施 16

21 れない 図表 5: 米国の外国税額控除の計算例 1 外国所得 2(-) 使用料 3 課税外国所得 4 外国税額 5 外国所得に配賦される負債利子 6 外国税額の上限 7 外国税額控除 (4と6の小さい方) 8 最終の国内税額 (35-7) 9 国内外の合計税額 (4+8) 10 外国税額控除の超過額 (4-7) 税率 : 低税率国 (A 企業の投資先 ) 10% 高税率国 (B 企業の投資先 ) 40% 米国 35% A 企業 B 企業 A 企業 B 企業 A 企業 B 企業 基本ケース 使用料あり 利子配賦あり ( 資料 )U.S. Department of the Treasury (2007) より みずほ総合研究所が加筆 修正 c. 費用配賦最後に 外国税額控除の限度額を決める際の論点の 1 つとして 費用配賦の問題に触れたい 外国税額控除の限度額を決める際の国外所得は 外国での所得を発生させるために必要とされる費用を除いた国外所得である 国外所得を得るための国内親会社の費用としては 負債利子 R&D 経費 その他の一般経費が挙げられる 外国税額控除の計算でこれら費用の全額を国内親会社の費用とみなせば 国外所得と外国税額控除の限度額がその分だけ過大に評価される 具体的な数値例として 負債利子が国外所得に配賦される状況を考えよう ( 図表 5) 企業 A 企業 B ともに課税外国所得は 100 外国税額は 10 のままである 一方で 負債利子が国外所得に 10 配賦されるため 外国税額控除の上限は 31.5 ドル (=90 ドル 0.35) に低下する 企業 A の場合 外国税額が控除限度額に達しないため 国内外での納税額はともに基本ケースと何ら変わらない 企業 B は 外国税額控除の上限が 31.5 ドルに低下することから 国内税額が 0 ドルから 3.5 ドルに増加する つまり 国外所得に対する費用配賦は 外国税額控除の余裕額を持つ企業にとっては意味を持たないものの 外国税額控除の超過額を持つ企業にとっては国内税額を変化させる可能性がある 17

22 (2) 国外所得免除方式 a. 日本の国外所得免除方式 ( 益金不算入制度 ) では 09 年度税制改正で実現した日本の国外所得免除方式 ( 益金不算入制度 ) の内容をみてみよう ( 図表 6) 着目点としては 次の 3 点が挙げられる 第 1 に 国外所得免除方式の適用対象として何が含まれたかという点である 日本の国外所得免除方式ではいくつかの理由により適用対象が限定的なものになった 外国子会社のみが国外所得免除方式の対象とされ 外国支店はその対象外とされた ここで 外国子会社とは 内国法人 ( 国内親会社 ) の持分が 25% 以上で その保有期間が 6 ヶ月以上の外国法人である この基準は これまで間接外国税額控除に用いられてきた適用基準と同じである 国外所得免除方式が外国支店に適用されないため 直接外国税額控除は現状のまま存続し 外国子会社に適用される間接外国税額控除のみが廃止される 14 国外所得免除方式の適用が外国子会社に限定されたことに関して 同様の提案をした経済産業省国際租税小委員会 (2008) は 外国支店は 現行制度上 国内法人自体の国外源泉所得として発生時に課税対象とされているため 海外蓄積利益の資金還流促進につながらないこと また 支店利益算定の困難性や PE 帰属利益の扱いに関する OECD の議論が一致をみていない ことを理由に挙げている 外国支店と外国子会社を税制上イコールフッティングに扱うことの必要性は間接外国税額控除導入の経緯から明らかであるが 今回は国外所得免除方式導入の目的として海外資金の国内還流が重視されたことから そうした効果が期待できない外国支店所得への課税免除が見送られたものと思われる 第 2 に 国外所得免除方式が対象とする所得は配当のみで 利子や使用料 キャピタルゲインは適用除外とされた 利子と使用料は 外国の税制で損金算入される所得であるため 国内でも課税しなければ課税の空白ができるとの理由により 国外所得免除方式の適用外とされた この点は 課税の論理からみて説得的であり 後述する米国の国外所得免除方式案とも一致する 一方で キャピタルゲインについては 一義的には配当と同一という性質を有するが キャピタルロスとの関係 租税回避等の懸念や所得算定の困難性を含めた実務面での煩雑さ 株式を売却するまでは課税が繰り延べされること等を鑑み ( 経済産業省国際租税小委員会 (2008)) て 今回は国外所得免除方式の対象外とされた 第 3 に 費用の配賦に関しては 費用を国外所得の 5% に固定的に見積もり 益金不算入割合を 95% に設定する簡便的な方法が採用された この手法は フランス ドイツ イタリア等でみられるものであり 今回はこれら事例を参考にしたものと思われる しかし 経済産業省国際租税小委員会 (2008) は 1 受取配当額の一定割合 2 受取配当額から当該配当を受け取るために生じた費用を除いた額 のいずれが適当であるか 今後我が国企業の実態 ( 費用 (ex. 負債利子 ) が受取配当額のうちどれくらいの額となるか等 ) や実額計 14 配当に対する源泉税については これまで直接外国税額控除の対象とされてきたが 国外所得免除方式では配当に対する課税が源泉地国によるものに限られ 二重課税 の調整が必要なくなることから 直接外国税額控除の対象から外される 18

23 算を行うための事務コスト 費用把握の困難性等を十分に精査し 決定していくことが適当 と指摘し 企業ごとに費用を積み上げる方法を今後の課題として挙げた 図表 6: 日本の国外所得免除制度 配当に対する課税 利子 使用料 キャピタルゲインに対する課税 費用の配賦 2009 年度税制改正国際租税小委員会 (2008) の考え方 外国子会社から受ける配当等の額について その 95% を益金の額に算入しない 外国子会社は 持株比率 25% 以上 6 ヶ月以上保有 間接外国税額控除制度は廃止 海外支店については これまで通り直接外国税額控除が適用される 利子 使用料は 益金不算入制度の対象外 キャピタルゲインは 益金不算入制度の対象外 益金に算入しない額は配当額の 95%( 費用を 5% と固定的に見積もる ) 外国支店は 現行制度上 国内法人自体の国外源泉所得として発生時に課税対象とされているため 海外蓄積利益の資金還流促進につながらない 利子 使用料は 海外で損金算入されるため 国内でも課税しないという理屈は立たない キャピタルロスとの関係 租税回避等の懸念等から益金不算入制度の対象にすることは難しい 益金不算入割合は 1 受取配当額の一定割合 2 受取配当額から当該配当を受け取るために生じた費用を除いた額 のいずれが適当であるか 今後我が国企業の実態 ( 費用 (ex. 負債利子 ) が受取配当額のうちどれくらいの額となるか等 ) や実額計算を行うための事務コスト 費用把握の困難性等を十分に精査し 決定していくことが適当 ( 資料 ) 自由民主党 平成 21 年度税制改正大綱 経済産業省国際租税小委員会 (2008) 等より みずほ総合研究所作成 b. 米国の国外所得免除方式案以上の日本の国外所得免除方式の内容は 既に同方式が導入されている欧州諸国の制度を参考に 実務面も考慮に入れて決定されたものであろう そうした判断自体には違和感はないが 国外所得免除方式の議論が活発な米国では制度設計に関してそれとは異なる考え方が提示されており 比較対象として興味深い 米国では 特に 2000 年以降 米国企業の競争力を向上させる国際課税の検討が進められ 国外所得免除方式導入の議論もその一環として行われた 米大統領税制改革諮問委員会 (2005) や両院税制委員会 (Joint Committee on Taxation, JCT) (2005) によって具体的な国外所得免除方式案が提案されるなど 国外所得免除方式に関する議論は多い ここでは 米大統領税制改革諮問委員会 (2005) と JCT (2005) 案を用いて 米国の国外所得免除方式の特徴をまとめてみよう この他の提案及び議論としては Grubert and Mutti (2001) Graetz and Oosterhuis (2001) 等が挙げられる また JCT (2008) は JCT (2005) の改革案を中心に 大統領税制諮問委員会案との違いにも言及しつつ 米国の国外所得免除方式案を説明している 19

24 米国の国外所得免除方式案の第 1 の特徴は 日本の国外所得免除方式よりもその適用対象が広いことである ( 図表 7) 米大統領税制諮問委員会 (2005) 案では 国外所得免除方式の適用対象が外国関連会社 (foreign affiliates) すなわち支店(branches) と被支配外国子会社 (controlled foreign subsidiaries) の能動所得とされている JCT (2005) 案では 免税所得は持株比率 10% 以上の CC の能動所得とされているが 外国支店の所得についてもそれがまるで CC で発生したかのように扱われ 課税が免除される つまり 米国の国外所得免除方式案では いずれの案でも外国子会社と外国支店が税制上イコールフッティングに扱われる 受動所得については 両案ともにこれまで通り 外国税額控除が適用される ( バスケット方式は廃止 ) 図表 7: 米国の国外所得免除方式案 配当に対する課税 利子 使用料 キャピタルゲインに対する課税 費用の配賦 大統領税制改革諮問委員会 (2005) JCT (2005) 外国関連会社 ( 支店 子会社 ) の能動所得から支払われる配当は 米国では課税されない 利子 使用料など外国で損金算入される収益については 米国で課税される キャピタルゲインは課税免除の対象とされる ( 課税免除の割合については検討の余地がある ) 負債利子 その他の一般経費については 免税対象となる国外能動所得を生み出すために用いられた米国内の費用は 損金として認められない ( 現行法の費用配分ルールを保持 ) 研究開発費は 全て国内所得に配賦される CC( 被支配外国法人 ) の株式の 10% 以上を保有する内国法人株主に関して 当該 CC の能動所得から支払われる配当は 米国では課税されない 外国支店の所得は それがまるで CC で発生したかのように扱われる 利子 使用料など外国で損金算入される収益については 米国で課税される キャピタルゲインは 未分配の免税所得に対応する分だけ 課税免除される それを超えた部分については課税される 負債利子 その他の一般経費については 免税対象となる国外能動所得を生み出すために用いられた米国内の費用は 損金として認められない ( 現行法の費用配分ルールを保持 ) 研究開発費についても 国内所得のみならず国外免税所得にも配賦される ( 使用料ではなく配当で受け取るインセンティブを抑制するため ) ( 資料 )JCT (2005) 大統領税制改革諮問委員会 (2005) 等より みずほ総合研究所作成 第 2 に 利子 使用料のように外国で損金算入されるものについては 日本の国外所得免除方式と同様に 国内で完全に課税される これによって 外国税額控除の超過額が利子 使用料への課税を防ぐ 彼此流用 の問題が解消される 一方で キャピタルゲインは免税所得に含まれる キャピタルゲインの取り扱いについては 米大統領税制諮問委員会 (2005) 案と JCT (2005) 案は認識がやや異なる 米大統領税制諮問委員会 (2005) 案では 原則として国外免除方式の適用対象とされ 課税免除される割 20

25 合については検討の余地があるとされている JCT (2005) 案では キャピタルゲインは未分配の免税所得に対応する部分については課税免除され それを超える部分については課税とされる 但し JCT (2005) は キャピタルゲインを免税所得の獲得のための資産と非免税所得の獲得のための資産に分割することが現実的に難しいことを認めており 現実にどのような運用がなされるかは不明である しかし 基本的にキャピタルゲインを国外所得免除方式の適用対象に含めるという点については両案ともに共通しており この点は日本の国外所得免除方式とは異なる 第 3 に 国外所得を得るために用いられた国内外の共通費用 ( 負債利子 研究開発費 その他一般経費 ) については 企業ごとに費用が積み上げられる 費用配賦の方法については様々な議論が行われており 未だに意見が収斂していない 米大統領税制諮問委員会 (2005) 案 JCT (2005) 案ともに 基本的には資産等の規模に応じて費用を配賦する現行制度の継続を主張している つまり 課税免除とされる国外所得を生み出すために用いられた米国内の費用は 米国内の損金としては認められない しかし 研究開発費の配賦については 両案で意見が分かれている 米大統領税制諮問委員会 (2005) 案では 研究開発費は全額国内所得に配賦されるものとされ JCT (2005) 案では国内所得と国外所得の双方に配賦されるものとされている 研究開発費が全額国内所得に配賦されるべきとの考え方の背景には 研究開発費用が全て国内親会社の受け取る使用料に反映されるとの見方がある 米大統領税制諮問委員会 (2005) 案では 使用料は完全に課税されるため 研究開発費は全て国内親会社に配賦してもよいとされる これに対して JCT (2005) は使用料が現在でも過小申告されている可能性があり 国外所得免除方式によって使用料が完全に課税される一方で配当が課税免除されれば 国内親会社が使用料ではなく配当で収益を受け取るインセンティブがさらに高まると指摘する こうした歪みを縮小させるために 研究開発費を国外免税所得にも配賦する方法が望ましいとされる このように費用配賦について意見が分かれるなかで 最近 ines (2008) は国内所得と国外所得を生み出すための国内費用は全て国内所得に配賦すべきであるとの議論を展開した 彼の主張は 次のように説明される 国内所得と国外所得を生み出すための国内費用 R 国内生産を Q (R) 海外生産を Q * ( R ) とし 費用は当年の生産に用いられるものとする 国内税率をτ 外国税率を τ * 国内の損金算入割合 16をα 税引き後収益をπ とすれば * * π = Q( R)(1 τ ) + Q ( R)(1 τ ) + ταr R (1) となり 税引き後収益を最大化する企業は 次の式を満たすように行動する (1 階の条件 ) 16 ines (2008) は このほか費用の外国における損金算入割合 (γ ) を考慮に入れているが これは現実的にはゼロなので無視した 21

26 * * ( R)(1 τ ) + Q ( R)(1 τ ) = 1 τα Q (2) ここで ines (2008) は 国外所得免除方式では政府が国内税引き後所得 1 ドルと外国税引き後所得 1 ドルを等しく評価することに着目する 国外所得免除方式が所有中立性 (Ownership Neutrality) を目指す政府によって導入されたのであれば 国内所得と国外所得に関するこのような相対評価は妥当であると考えられる このとき 政府は (3) 式を最大化するような税制を選択する * * Q ( R)(1 τ ) Q( R) + R 1 τ (3) (3) 式における第 2 項の分母 ( 1 τ ) は 国内税引き後所得と外国税引き後所得が等しく評価されることを反映している 1 階の条件は (4) 式になる * * ( R)(1 τ ) + Q ( R)(1 τ ) = 1 τ Q (4) (2) 式と (4) 式よりα = 1 が得られる つまり 国内親会社における費用の全額控除が認められるときに経済厚生が最大になる ines (2008) は 国内外の所得を生み出すために用いられた費用を全て国内で損金算入する仕組みが望ましいとの論理は 国外所得免除方式を所有中立性の観点から導入する論理と同じであると考えている 彼は 現在国外所得免除方式を採用している多くの国で益金算入割合が 100% に設定されていることはこうした理由により正当化されると主張する ines (2008) の考え方は 米大統領税制諮問委員会 (2005) 案や JCT (2005) 案のそれとは異なるものであり また日本の国外所得免除方式における益金算入割合のあり方にも示唆を与えるものであるため 今後の議論の進展が注目される このように 米国の国外所得免除方式案をみると 1 外国支店と外国子会社が税制上イコールフッティングに扱われること 2 課税免除となる国外所得のなかにキャピタルゲインが含まれること 3 国外所得獲得のための費用が企業ごとに積み上げられることの少なくとも 3 点において 日本の国外所得免除方式と異なる 米国の国外所得免除方式案には 執行面からみた有効性について疑問符が付けられる部分もあり そして何よりも現実に適用されていない改革案に過ぎない しかし 米国の国外所得免除方式を巡る議論は幅が広く 今後日本の国外所得免除方式の見直しが検討される際には貴重な判断材料を提供するのではないかと思われる 22

27 5. その他の国際課税改革オプション 以上が 日本の国外所得免除方式の特徴と今後の着目点である 最後に 国外所得免除方式以外の国際課税改革案を検討しよう 国外所得免除方式は 主に自国企業の競争力向上の観点から支持されるものであるが 国際的な租税競争や多国籍企業による所得移転のような開放経済下の法人税の問題には対応できない このため 米国等では経済のグローバル化に対応した国際課税として 国外所得免除方式とは全く別のアプローチによる国際課税改革案が提案されている そうした例として 居住地主義課税の徹底案 ( 完全合算方式 ) と仕向地主義の法人税を検討しよう 17 (1) 居住地主義課税の徹底まず 純粋な居住地主義が概念的にはグローバル化に対応できる優れた国際課税であることを確認しよう 前述のように 開放経済で法人に対する課税が難しいのは 現実の法人税が源泉地主義的な性質を持つことに起因する 多くの国では形式的には居住地主義の全世界所得課税方式が採用されているものの 実際には国外所得への課税が繰り延べされ 国外所得が国内所得よりも軽課されている これに対して 全世界所得に対して即時に課税する純粋な居住地主義課税が行われる場合には 企業の課税ベースが収益の発生場所に依存しないため 国際的な租税競争や多国籍企業グループの所得移転の問題を回避することができる 18 このため 米国では開放経済下の法人税が直面する問題への対応策として居住地主義の徹底が提唱されており その具体案は完全合算方式 (full inclusion system) として知られている 完全合算方式の改革案の内容には必ずしも定まったものがあるわけではないが JCT (2008) によれば 次の 2 つの特徴がある 第 1 に ( 持分が一定基準以上の ) 外国法人の米国株主が持分に応じて即時に課税されることである これによって 国外所得の課税繰り延べが防止される 第 2 に 外国税額控除は国外所得に対する 二重課税 を緩和するために何らかの形で残ることである 完全合算方式では 外国子会社の所得が即時に課税されるものの 二重課税 については何らかの方法で調整されなければならず その際外国税額控除が用いられる JCT (2008) では 完全合算方式の具体案として1パススルー課税制度 2 全世界連結課税制度 3 拡張サブパート 制度の 3 つが挙げられている ( 図表 8) 3 つの完全合算方式 17 その他の課税方法として 域内共通の統合法人課税ベース (common consolidated corporate tax base, CCCTB) を設定して それを賃金や売上等を説明変数とする定式によって各国に配分する方法 (formulary apportionment, A) がある EU では こうした国際課税方法 (CCCTB+A) の検討が続けられている 18 但し 企業が居住国を変えるインセンティブは排除されない これを排除するには 法人収益が個人株主に帰属するものとして 企業段階ではなく 個人段階で居住地に基づく株主課税を行うことが必要である 23

28 案は いずれも国内親会社の持分に応じて外国子会社の所得に対して即時に課税するものであるが 異なる制度を国際課税の文脈に拡張したものであるため 課税スタイルは異なる 図表 8 完全合算方式案 1. 完全合算方式の特徴 ( 持分が一定基準以上の ) 外国法人の米国株主が持分に応じて即時に課税される 国外所得に対する二重課税を緩和するために 何らかの形で外国税額控除が残存する 2. 完全合算方式案 1 パススルー課税制度 現在パートナー制度に適用されている方法 ( サブチャプター K) を利用 米国の株主は 外国法人の所得 キャピタルゲイン 控除 損失について持分が決められ それに応じて即座に課税される 2 全世界連結制度 米国の関連グループを外国法人と連結させる制度 課税の帰結は パススルー課税制度と似ている 3 拡張サブパート 制度 CC の収益が 持分に応じてみなし配当として米国株主の所得に含められる 現行制度におけるサブパート 所得と非サブパート 所得の区別がなくなる CC の損失は 米国株主にフロースルーしない CC の基準は 米国株主の持分 50% から 25% へ引き下げられる サブパート ルールの拡張方式の適用基準については 持分 10% が維持される ( 資料 )JCT (2008) 増井 (2008) より みずほ総合研究所作成 まず パススルー課税制度は現行のパートナー制度を外国法人に適用したものである 米国株主は 外国法人の所得 キャピタルゲイン 控除 損失について持分が決められ それに応じて即時に課税される 外国法人の損失は 株式の基準価格等の範囲内で米国株主にフロースルーされる 外国税額控除は維持されるが 米国株主が持分に応じて直接課税される形になるため 間接外国税額控除は廃止される 持分を決定する方法は 1 現在パートナー制度に適用されている方法 ( 実質的経済効果ルールを含むサブチャプター Kの適用 ) 2 外国法人に対する株主の経済的利益 ( 議決権 収益参加権 残余財産分配権 ) に基づくプロラタ方式が提案されている 持分が 10% 未満の株主については 必要な財務情報が得られないため別途ルールが設けられる 全世界連結制度は 米国の関連グループを外国法人と連結させることで外国法人の収益に対して即時に課税するものである 課税の帰結は パススルー課税制度と似ているが 1 外国法人の損失が親会社に何ら制限なしでフロースルーすること 2 法人株主のみに適用されること等の点でパススルー課税制度とは異なる 全世界連結制度を適用する持分の基準としては 80% 50% 10% などが候補として挙げられているが 同制度の適用範囲が広がればその分だけ制度は複雑化する 拡張サブパート 制度は 課税繰り延べを制限するサブパート ルールの拡張である 24

29 外国法人の収益に対する持分に応じて外国法人の収益がみなし配当と捉えられ 米国株主の所得に含められる 能動所得を含めた全ての所得に対する即時課税を目的とすることから 現行制度におけるサブパート 所得と非サブパート 所得の区別がなくなる CC の損失については パススルー課税制度や全世界連結制度と異なり 米国株主にフロースルーしない 間接外国税額控除制度は残存し CC の持分の 10% 以上を保有する親会社は CC が支払う外国税額に対して間接外国税額控除を要求することができる CC と認定される基準は 米国株主の持分 50% から 25% に引き下げられ サブパート ルールの拡張方式の適用基準については持分 10% が維持される CC の持分が 10% 未満及び非 CC の株主は 現行制度と同じく配当の送金時点まで課税が繰り延べされる 完全合算方式の論点は 主に 2 つある 第 1 に 完全合算方式は国外所得免除方式のように国外所得への課税を免除するのではなく 逆に国外所得に対する課税を強化するものであるため そのままでは増税になることである このため 自国企業の競争力低下を回避する観点から税率の引き下げが必要になる Grubert and Altshuler (2008) によれば 完全合算方式を採用する際に税収を一定に保つために必要とされる税率は 28% である 第 2 に 完全合算方式では外国税額控除が維持されることから それに伴う税制上の歪みは残ることである 外国税額控除の超過額を持つ企業は 超過額を低税率国からの所得と 彼此流用 するインセンティブを持つ この問題に対して 外国税額控除の基準を緩め 外国税額控除を縮小させることで 彼此流用 を抑制するように修正するべきだとの意見がある (Grubert and Altshuler, 2008) 彼らは 米国の親会社による一般経費( 負債利子を含む ) の国外所得への配賦をゼロにして 控除限度額を大きくすることで外国税額控除の超過額 ( 外国税額 - 控除限度額 ) を縮小させることを提案している こうした措置は正しい所得の計測ルールに反すると考えられるものの 彼らは外国税額控除の超過分を最小する措置として望ましいと考えている しかし こうした措置については批判もあり 完全合算方式の下での外国税額控除の限度額の算定方法については明確な結論は出ていない (2) 仕向地主義の法人税法人税を仕向地主義 (Destination Principle) で賦課する方法も考えられる 具体的な提案としては 米大統領税制改革諮問委員会 (2005) の投資 成長税案等が挙げられる 仕向地主義は 通常は VAT のような間接税に適用されるもので 製品の原産地ではなく最終消費地を基準に課税する方法である 19 日本を含む多くの国では仕向地主義の VAT が採用されており 輸出は課税されず 輸入は課税される 全ての国が仕向地主義の法人税を採用すれば 国内外の二重課税の問題は発生せず また国際的な租税競争や所得移転の問題も解消される 19 原産地を基準にした課税は 原産地主義 (Origin Principle) 課税と呼ばれる 25

30 仕向地主義の法人税では 輸出が課税されず輸入が課税されるが これを単純に実施しようとすると ( 輸入として ) 外国企業の所得にも課税しなければならない しかし 自国政府の課税権は外国にまで及ばない そこで 仕向地主義の法人税の課税ベースが VAT に似ていることに着目して VAT と同様の手続きによる課税方法が提案されている これは VAT 型仕向地主義キャッシュフロー法人税 (VAT-type destination-based cash flow tax) と呼ばれている 20 キャッシュフー法人税とは 通常の法人税において設備投資の即時償却を認めたものである VAT でも資本財購入は全て控除されているため キャッシュフロー法人税と VAT の課税ベースの違いは 課税ベースのなかに賃金が入るか否かの違いしかない この点を 図表 9 で確認しよう まず 所得面 = 支出面 の恒等式から (5) 式が成り立つ (5) 式は 消費が賃金 ( 労働所得 ) と ( 資本財購入を除く ) 企業収益 ( 資本所得 ) の合計から純輸出を除いたものに等しいことを示している VAT では ( 資本財購入を除く ) 企業の付加価値 ( W + R I ) が課税される また 輸出は課税されず 輸入は課税される ( X + M ) すなわち VAT では (5) 式の右辺に課税し それが左辺の消費に転嫁されることが想定されている 図表 9 仕向地主義のキャッシュフロー法人税の課税ベース 消費をC 賃金( 労働所得 ) をW 企業収益( 資本所得 ) を R 投資を I 輸出を X 輸入を M とすれば 所得面 = 支出面 の恒等式 すなわちY W + R 及び Y C + I + X M から (5) 式が成り立つ C = W + R I ) X + M ( (5) 海外からの純収益を R f 海外への純投資を 立つ I f とすれば 国際収支の恒等式から (6) 式が成り f f ( M + R ) + ( I ) = 0 X (6) (5) 式と (6) 式より (7) 式が成り立つ f f C = W + ( R I) + ( R I ) (7) f f 仕向地主義のキャッシュフロー法人税は (7) 式の右辺 ( R I) ( R I ) に課税する ものである 同課税ベースは VAT の課税ベース (C ) から賃金 (W ) を除いたものに等し い + ( 資料 ) みずほ総合研究所作成 20 詳しくは Devereux and Sorensen (2005) Auerbach et al. (2007) 等を参照されたい 26

31 次に 国際収支の恒等式から (6) 式が成り立ち (5) 式と (6) 式から (7) 式が成り立つ (7) 式は 消費が賃金と国内資本から得られる純所得 ( 投資分を除く ) と海外の国内所有資本から得られる純所得 ( 同 ) の合計に等しいことを示している 仕向地主義のキャッシュフロ f f ー法人税は (7) 式の右辺の ( R I) + ( R I ) に課税するものである 国内資本から得られる純所得 ( 投資分を除く ) と海外にある国内所有資本から得られる純所得 ( 同 ) が国内で消費される限り 課税される (5) 式及び (7) 式から明らかなように 仕向地主義のキャッシュフロー法人税の課税ベースは VAT の課税ベースから賃金を除いたものに等しい このため 仕向地主義の VAT の課税方法を利用することができる 具体的には 課税ベースから控除されるのは国内中間財のみで 輸入中間財は控除されない 一方で 輸出から得られる収益は課税免除となる 仕向地主義の VAT と同じように輸出の際に国内中間財に支払った VAT が還付され また労働コストも還付される 仕向地主義の法人税の利点は その生産場所がどこであれ 国内市場での売上から生じる収益に対して課税するため 国際的な企業立地に影響を及ぼさないことである また 仕向地主義の法人税では 輸入が一切控除されず かつ海外売上から得られる所得が課税ベースに含まれないため 地域別の所得額を操作するインセンティブが生じない このため 移転価格問題が解消される 逆に 仕向地主義の法人税の問題としては 少なくとも次のような点が挙げられる 第 1 に 企業収益から輸出分が控除されるため 製品が本当に輸出されるか否かを監視する必要がある 同様に 輸入による中間財調達は控除されず 国内からの中間財調達のみ控除されることから 中間財が本当に輸入ではなく国内から調達されたものかを監視する必要がある 第 2 に 国内で超過収益が発生した場合に それが外国人消費者に帰属する場合は課税されないことである このため 立地の特殊性から超過収益が発生し その製品の多くが輸出される場合 税務当局は大きな税収源を失う可能性がある 第 3 に 輸出に対して税制上の優遇措置を与える課税方法が GATT/WTO 協定において輸出補助金と認定される可能性が高いことである こうした問題は 国際的な枠組みのなかで解決する必要がある 仕向地主義の法人税は 多くの問題を抱えているものの 経済のグローバル化に対応する改革案として概念的な魅力は大きい 将来 資本移動が今よりも激しくなれば 国外所得免除方式のような源泉地主義への動きではなく 居住地主義や仕向地主義の国際課税が求められるようになるかもしれない このため 長期の国際課税改革を考える上では国外所得控除方式をより幅広い国際課税改革オプションのなかで捉え その利点と欠点を十分に認識しておくことが大切であろう 27

32 6. おわりに 国外所得免除方式は激しい資本移動には対応できないという欠点があり また今回の国外所得免除方式の導入では若干の制度上の課題も残された しかし 国外所得免除方式の導入は当面考えられる国際課税改革としては望ましい方向と考えられ 経済のグローバル化に対応するための国際課税改革の第一歩が踏み出されたものとして評価される 日本の国外所得免除方式導入の背景には 海外に滞留している資金を国内に還流させて国内投資を活発化させるとの大きな期待がある 国外所得免除方式導入による国内資金還流の大きさ 日本企業の競争力や立地選択 税収への影響等については不確実性が高いものの 今回の税制改正によって国外所得免除方式下の企業行動や税収への影響が明らかになれば その後の国際課税改革にとっても大きな収穫となろう 28

33 [ 参考文献 ] 青山慶二 (2008) わが国企業の海外利益の資金還流について 外国子会社からの配当についての益金不参入制度 ( 日本租税研究協会 租税研究 12 月 ) 浅妻章如 (2006) 国外所得免除( 又は仕向地主義課税 ) 移行論についてのアメリカの議論の紹介と考察 ( 財務省財務総合研究所 フィナンシャルレビュー 7 月 ) 川上尚貴編 (2008) 図説日本の税制 ( 平成 20 年版 ) 財経詳報社経済産業省国際租税小委員会 (2008) 我が国企業の海外利益の資金還流について~ 海外子会社からの配当についての益金不算入制度導入に向けて~ 8 月鈴木将覚 (2008) 抜本的な税制改革の議論 ~ 消費課税への移行と資本課税改革 ~ ( みずほ総合研究所 みずほ総研論集 1 号 ) 増井良啓 (2008) 米国両議院税制委員会の対外直接投資報告書を読む ( 日本租税研究協会 租税研究 10 月 ) 中尾武彦 (1992) 外国税額控除と租税条約 ( 日本税務研究センター 日税研論集 3 月 ) 水野忠恒 (1995) 外国税額控除 ( 日本税務研究センター 日税研論集 9 月 ) 望月文夫 (2008) 図解国際税務 ( 平成 20 年版 ) 大蔵財務協会 American Bar Association (2006), Report of the Task orce on International Tax Reform, Tax Lawyer, 59(3), Auerbach, A., M. Devereux, and. Simpson (2007), Taxing Corporate Income, Paper Prepared for The Mirrlees Review, Reforming the Tax System for the 21 st Century, July Desai, M., C. oley, and J. ines (2001), Repatriation taxes and dividend distortions, National Tax Journal, 54(4), pp and J. ines (2003), Evaluating International Tax Reform, National Tax Journal, 56(3), pp Devereux, M. and P. Sorensen (2005), The Corporate Income Tax: International Trends and Options for undamental Reform, Paper Prepared for the Working Party No.2 of the Committee on iscal Affairs of the OECD leming C. and R. Peroni (2006), Exploring the Contours of Proposed U.S. Exemption (Territorial Tax System), Tax Notes International, January 16, pp Graetz, M. and P. Oosterhuis (2001), Structuring an Exemption System for oreign Income of U.S. Corporations, National Tax Journal, 54(4), pp Griffith, R., J. ines and P. Sorensen (2008), International Capital Taxation, forthcoming in The Mirrlees Review, Reforming the Tax System for the 21 st 29

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35 U.S. President s Advisory Panel on ederal Tax Reform (2005), Simple, air, & Pro-Growth: Proposals to ix America s Tax System, Washington DC( 米大統領税制改革諮問委員会 ) 31

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井) 007 年 月 6 日 ( 木曜 限 )/5. 法人所得課税. 法人税 ( 法人所得課税 ) の意義 法人擬制説 法人は株主の集合体 法人税は株主に対する所得税の前取り ( 源泉徴収 ) 法人税と配当課税の存在は二重課税 ( 統合の必要性 ) 配当控除制度法人実在説 法人は個人から独立した存在 法人税は法人自体が有する担税力を前提にした租税. 法人所得と経常利益 < 経常利益 ( 企業会計 )> 目的

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