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- れんか あると
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1 一般口演
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3 1-O1-1 般口演脳動脈瘤成長因子の CFD を用いた解析 東京理科大学大学院工学研究科機械工学専攻 東京慈恵会医科大学脳神経外科 東京理科大学工学部機械工学科 門倉翔 Kadokura Sho 高尾洋之 藤村宗一郎鈴木倫明 山本誠村山雄一 鈴木貴士 渡邉充祥 篠原孔一 神林幸直 高山翔 石橋敏寛 目的 脳動脈瘤の約 10 % は成長し, 脳動脈瘤は成長するほど破裂率が高いと言われている. 成長のメカニズムは未だ明らかになっておらず予測することができないのが現状である. 我々は, 経過観察中の症例から, 成長症例, 成長が認められない症例を無作為に選択して数値流体力学 (CFD) を行い, 流体力学的パラメータの違いを検討する事で, 脳動脈瘤の成長因子を明らかにして予測することを目的とした. 方法 内頸動脈(IC), 中大脳動脈 (MC), 前交通動脈 (Acom) に発生した成長した動脈瘤 53 症例, 成長が認められない動脈瘤 67 症例, 計 120 症例における脳動脈瘤内の拍動条件における CFD 解析を行った. 成長症例は成長前の状態を解析対象とし, 成長の認められない症例は初期診察の状態を解析対象とした. 流体力学的パラメータとして圧力と Wall Shear Stress (WSS) を用いた. 成長症例では成長領域での最大圧力および最小 WSS, 成長が認められない症例では瘤壁の最大圧力 ( 頸部を含まず ) および最大圧力点での WSS の値を用い, 症例ごとに比較検討ができるよう母血管壁の平均値によって無次元化をした. これらの値について統計学的に差があるか検討を行った. 結果 無次元化した圧力平均値は, 成長症例において となった. 成長が認められない症例では となった. 統計学的に有意差があり (p= 0.002, 成長症例の方が大きい値をとる傾向が示された. WSS については, 統計学的に有意差は認められなかった. 結論 成長症例は, 成長が認められない症例よりも成長領域で高い圧力分布を示す傾向があった. 圧力は脳動脈瘤の成長因子として考えられ, 高圧力がかかる場所が成長しやすく, 成長を予測できる可能性がある. 1-O1-2 脳動脈瘤の数値流体力学における定常解析の役割 三重中央医療センター脳神経外科 三重大学大学院医学系研究科脳神経外科 紀南病院脳神経外科 芝真人石田藤麿種村浩辻正範梅田靖之 Shiba Masato 霜坂辰一鈴木秀謙 目的 数値流体力学(Computational Fluid Dynamics,CFD) 解析による脳動脈瘤治療の臨床応用がされているが, 術前評価に関する報告は少ない. 最も大きな要因は, 非定常解析では解析に数時間必要とするためと考えられる. そこで, 急性期の定常解析は適切な評価としてよいか, 非定常解析との関連を検討した. 方法 脳動脈瘤 120 例で,3 D-CTA から患者固有形状モデルを作成した. 血流は非圧縮性で層流のニュートン流体とし, ナビエストークス方程式と連続の式に従い, 離散化は有限体積法を用いた. 入口には健常成人内頚動脈の mass flow waveform を minimum-cost 仮説に基づき, 血管内径に応じた血流量で設定し,ANSYS CFX 15.0 で非定常解析を行った. 一方, 定常解析の入口には, 非定常解析に使用した血流量の初期値を症例毎に設定した.Wall shear stress(wss), Normalized WSS,Low shear area ratio に加え, 動脈瘤頚部の Inflow area,outflow area とそれぞれの Flow velocity,invariant Q さらに Neck pressure loss(npl),npl coefficient,neck energy loss を非定常解析において計算した. これらのパラメータを定常解析においても計算し, 解析間相関係数を比較検討した. 結果 全てのパラメータで相関係数は高く(r= ). 非定常解析と定常解析では有意差は認めなかった. また相関係数は破裂状態で評価しても有意差を認めなかった. 結論 非定常解析における速度と圧力に基づく hemodynamic variables は定常解析においても適切に評価でき,Streamlines の構造的評価でも同様であった.1 心拍内のベクトル変化を観察しなければ, 脳動脈瘤術前評価として定常解析は必要十分であることが示唆された. 一1-O1-3 フローダイバーターステント留置前後の脳動脈瘤モデル内の血流評価システムの開発 東京理科大学大学院工学研究科機械工学専攻 東京理科大学工学部第一部機械工学科 東京慈恵会医科大学脳神経外科 朝倉翔太 Asakura Shota 元祐昌廣 亀谷雄樹 1, 高尾洋之 村山雄一 目的 数値計算力学 (CFD) は広範な分野で利用され, 医療分野においても拡大の一途を辿っている. しかし,CFD で得られた結果の信頼性を評価 保証するのは極めて難しく, シミュレーションが発達した今でも, 実験的アプローチから流動解析を行い, その結果と比較 照合することは不可欠である. しかし, 脳動脈瘤の血流解析において, 実験データが不足しているのが現状である. そこで本研究では, 瘤内の流動特性を実験的に解析するための計測システムの構築を目的とする. 方法 計測モデルとして, シリコーン製実血管形状モデルを用いる. 流れを正確に把握するため,3 次元速度計測が可能なスキャニングステレオ PIV(SSPIV) を用いた.2 台の CCD カメラをステレオ角でシャインフラグ配置し, モデルをスキャンしながら撮影を行った. 光の屈折で生じる撮影画像の歪みを除去するため, モデルを同じ屈折率にした液体に浸し, 作動流体の屈折率も揃え, 拍動ポンプで循環させ, 正確な計測を可能にした. 結果 SSPIV を用いた計測システムにより脳動脈瘤内の流動構造が得られたと共に, 速度場から WSS の算出を行なった. ほとんどの症例では, 瘤内で旋回流が発生し, 一部の破裂症例において瘤先端に再循環領域が見られた.WSS において, 破裂モデル固有の傾向は確認できなかったが,OSI に関しては破裂モデルで高い値を示した. また, モデル中にフローダイバータステントを留置し, 留置前後の流動特性の変化について評価した. 結論 脳動脈瘤モデル内流れの計測システムを構築し, 速度場,WSS の評価を行なった. ステントのような医療デバイス設置後の計測も可能である. 1-O1-4 脳動脈瘤コイル塞栓術における術後予測のための CFD 解析 ; 瘤内流入比が再開通に寄与している可能性 医療法人社団 KNI 北原国際病院脳神経外科早稲田大学先端生命医科学センター TWIns イービーエム株式会社 林祥史 Hayashi Yoshifumi 祖母井龍 西谷和敏 2, 八木高伸 中村真 梅津光生 戸部泰貴 平光宏行 杉浦拓磨 村吉大阿 吉田浩貴 岡田義文 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術において残存部がある状態で終了した症例に対して, 残存部増大の因子として術前の血行動態が寄与するか CFD 解析にて評価した. 方法 2011 年 11 月から 2014 年 3 月までに当院で脳動脈瘤コイル塞栓術を施行し, 術直後評価が neck remnant または dome filling であった 33 例のうち,1 年以内に血管撮影にて再評価を行った 14 例を対象とした. 再評価時に増大していた 4 例と非増大の 10 例 ( 消失 8, 縮小 1, 不変 の 2 群に分け, 増大因子として患者背景, 治療内容及び CFD 解析結果を比較した.CFD 解析は術前の血管撮影画像を用いて拍動モデルにて行い, 動脈瘤内の流入量を親血管の流量で除した瘤内流入比 (inflow coefficient;ic) の値及び inflow zone の部位を同定して検証した. 結果 動脈瘤部位は増大群で terminal type(acom, Basilar tip) の比率が side wall type(ica) に比して大きく (50 % vs 10 %), 平均サイズは増大群の方が大きい傾向にあった (7.6 mm vs 4.8 mm). 治療内容では, 使用したコイル種類に傾向は認めなかった. ステントアシスト後に残存を認めた 3 症例ではすべて消失が得られた.CFD 解析では, 増大群では IC が有意に多かった (48.8 % vs 21.6 %;P= 0.0.inflow zone が抑えられた 4 例のうち増大例は 1 例あり, 有意な割合ではなかった. 考察 術直後に残存がある症例のうち増大するのは, 大きい瘤,terminal type の瘤であると報告されている. 本研究でもその傾向を呈しており, また今回 CFD にて IC として定量的に評価し, 有意差を持って示す事ができた. 術前に再開通しやすい動脈瘤であることが IC によって示せれば, より塞栓率を上げて治療するなど治療戦略に貢献できる可能性が示唆された. JNET Vol.8 No.6 December
4 1-O1-5 頸動脈狭窄症における血行力学的動態とプラークイメージングの関連性 東京慈恵会医科大学脳神経外科 東京理科大学工学部第一部機械工学科 東京理科大学大学院工学研究科機械工学専攻 神林幸直 Kambayashi Yukinao 高山翔 山本誠 高尾洋之 藤村宗一郎 村山雄一 篠原孔一 鈴木倫明 鈴木貴士 渡邊充祥 門倉翔 石橋敏寛 背景と目的 頸動脈プラークは虚血性脳血管障害の原因に一つであり, プラークの増大や破裂には血行力学的要素が関連しているといわれており, 数値流体力学 (CFD) による解析が行われているが, プラークのメカニズムは十分には解明されていない. 今回, 我々はプラークの組織学的構成を反映し虚血性脳血管障害の予測因子となりうると注目されている Plaque Magnetic Resonance Imaging (MRI) と CFD により解析された血行力学的パラメータを比較検討した. 方法 当院にて頸動脈狭窄症患者に対して撮影し Threedimensional Digital Subtraction Angiography(DSA) のデータを元に頸動脈を抽出し, 計算格子を作成した.CFD による非定常解析を行い,Wall Shear Stress(WSS),Pressure,Energy Loss (EL),Pressure Loss Coefficient(PLC) といった血行力学的パラメータを計算した. また, 同患者群に対して施行された Magnetization Prepared Rapid Acquisition Gradient Echo (MPRAGE) をもとに頸動脈プラークの signal intensity が近接する胸鎖乳突筋の 2 倍であるものを高信号群として定義し, 血行力学パラメータと比較検討した. 結果 MPRAGE 高信号群は 8 例, 高信号でない群は 12 例であった. 高信号群において WSS は有意に低かった (63.0 Pa vs 99.9 Pa:P= また,EL や PLC では明らかな統計学的有意差を認めなかった. 結論 頸動脈狭窄症患者において狭窄部位の WSS が低値となるプラークは MPRAGE で高信号を示しており, プラーク内の炎症や出血といった不安定性と関連していることが示唆された. 今後さらなる数値流体力学的解析がより正確な頸動脈狭窄症による虚血性血管障害の予測につながると考える. 1-O1-6 Porous media を用いた脳動脈瘤仮想コイル塞栓術モデルの CFD 解析と再発予測 三重大学大学院医学系研究科脳神経外科 三重中央医療センター脳神経外科 紀南病院脳神経外科 梅田靖之 Umeda Yasuyuki 当麻直樹 石田藤麿 阪井田博司 辻正範 霜坂辰一 古川和博 鈴木秀謙 佐野貴則 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術の再発に関わる因子として形態的特徴との関連は報告されているが, 血行力学的特徴についての報告は少ない. 今回我々は数値流体力学 (computationalfluid dynamics, CFD) 解析における porous media( 多孔質 ) モデルを用いて仮想コイル塞栓術の脳動脈瘤 CFD 解析を行い, 血行力学的パラメータとコイル塞栓術後再発との関連を検討した. 方法 ステントを併用していないコイル塞栓術を施行した未破裂脳動脈瘤 20 症例を対象とした. 術前 3D-RA から患者固有形状モデルを作成し, ANSYS CFX 15.0 を用いて定常解析を行った. また porous media は各症例の VER(volume embolization rate) を再現した.Wall shear stress(wss) および瘤内血流速度に加え, 脳動脈瘤頚部における inflow area,outflow area を同定し, それぞれの面積, 平均血流速度を計算した. また porous media による仮想コイル塞栓モデルの解析にて 2.0 cm/sec 以上の瘤内残存血流体積 (residual flow volume,rfv) を算出した. 結果 6 12 ヶ月後のアンギオ所見にて瘤内血流残存群 (NR,RF) は 9 例, 完全閉塞群 (CO) は 11 例であった. 形態的パラメータでは頚部径が再発群で有意に大きかった (P= 0.0. また仮想コイル塞栓術 CFD 解析においては RFV が再発群で有意に大きく (P=0.0,ROC 曲線にて AUC 0.808, 閾値 7.69 mm 3 で感度 0.778, 特異度 であった. 結語 Porous media を用いた仮想コイル塞栓術 CFD 解析は塞栓術後の血行力学的変化を術前に予測することが可能であり,RFV による再発予測の可能性が示唆された. 1-O2-1 動脈瘤治療後の, 頭蓋内血流変化の検討 flow-assessment application による DSA の検討 旭川医科大学脳神経外科 和田始 Wada Hajime 齊藤仁十 三井宣幸 鎌田恭輔 目的 脳動脈瘤の形状から computer flow dynamics を用い生因検討が盛んである. 当教室では独自の flow-assessment application を脳血管撮影に応用し, 内頚動脈瘤のコイル塞栓術後のその末梢の造影剤の血流変化を比較し, 検討した. 対象 方法 2012 年 10 月以降コイル塞栓術を行った,13 例,14 治療 ( 平均 60.2 ± 13.1 歳, 内頚動脈瘤 9 例, その他の部位 5 例, 男性 3 例女性 10 例 ) で検討した. 全身麻酔下にコイル塞栓術を行い, 瘤の部位, 大きさと治療前後の頭蓋内中大脳動脈分枝部と, その還流脳組織の application により算出した造影剤の到達時間, 平均通過時間および造影剤の積算量 ( 血流量 ) を平均通過時間で除した ( 血流 ) 変化率を評価した. 結果 造影剤の peak 時間, 造影剤の積算量 (: 血流量 ) を平均通過時間で除したいわゆる血流変化率では有意な差を認めなかったが, 造影剤の到達時間と平均通過時間 (MTT) は末梢血管内, 組織内ともに有意に短縮した. 血管内の平均通過時間は R= 0.47 で瘤の体積の 3 乗根に相関を示す傾向を認めた. ステントアシストの有無には左右されなかった. 結論 DSA による flow-assessment 評価は, 動脈瘤治療による頭蓋内の造影剤変化に一定の結果を示した. 現時点で, 本来 3 D である頭蓋内血管床を 2 D で投影する脳血管撮影を用いた評価が何をどれだけ指し示すのかは検討が必要である. 更に検討を加え, 脳動脈瘤の治療評価につなげたい. 1-O2-2 構造解析を用いた次世代頸動脈ステントの開発 静岡県立総合病院脳神経外科株式会社 Medfrontier 藤本基秋正林康宏 Fujimoto Motoaki 目的 様々な遠位塞栓防止デバイスを使い分けることによって, 頸動脈ステント留置術中の虚血性合併症を減少させることが可能となった. ただ, 術後長期にわたる虚血性合併症を減少させるには, 過度の応力集中や血管壁への接着不良を回避するステント留置が必要である. 一般的にクローズドセルデザインと比較して, オープンセルタイプのステントは蛇行血管への血管密着性が優れるものの, ストラットによるプラーク破裂や留置後のプラーク突出などの課題が指摘されている. 今回我々は新たなステントデザインを作成し, 応力集中を回避したオープンセルタイプのステントを開発したので報告する. 方法 屈曲したシリンダーモデルを用い, ステント留置に伴う血管壁への応力や血管構造の変化を構造解析により想定し, 既に認可されているオープンセルタイプの頸動脈ステントと比較した. 更にそのステントの prototype を作成し, ブタの蛇行血管留置時の挙動を評価した. 結果 開発したオープンセルデザインのステントは, ストラットの突出などによる血管壁への応力集中を軽減し, 蛇行血管への柔軟性に優れていることを確認した. 結語 構造解析は, ステント留置によって引き起こされるステントと血管壁との相互作用を予見することができ, ステント開発に大きな役割を担う. 我々が作成した新たなステントデザインは, 応力集中を軽減したオープンセルタイプであり, 留置後の虚血性合併症を減少させる可能性がある. 198 JNET Vol.8 No.6 December 2014
5 1-O2-3 般口演動脈瘤コイル塞栓術での最適コイル挿入速度の検討 西湘病院脳神経外科 小西善史 Konishi Yoshifumi 竹内昌孝 目的 コイルはサイズ 形状 素線径 材質が異なり, 最適なコイル塞栓術を施行には, コイルの形状記憶特性を理解する事が必要である. 本実験はカテーテル位置を固定し一定速度下でコイルの動態を観察し臨床時における最適な挿入速度を検討した. 実験方法 瘤モデル 5.5 X 4.5 mm,neck 3.5 mm マイクロカテーテルを留置リニアアクチュエーターでコイルを一定速度下で瘤内にコイル挿入し動きを観察. コイル動態を観察. 挿入速 ,2.0,5.0 mm/ sec. 夫挿入速度領域を低度, 中速, 高速とし各コイルの動きを観察した. 低度 :0.5 mm/sec V. 中速度.0 mm/sec V 0.6, 高速 ;V > 1.0(mm/sec). コイル ;GDC 360 Standard Soft, Matrix 360,Target 360 Soft,EDCInfiniSoft,10 Soft,-Spiral, Presidio,Galaxyfill,Compass,Cosmos.Hydro 10,VFC, Axium 3 D 考察結果 1,Complex のコイルは形状保持力が様々. 3 D コイルは異なるループコイルを巻く際, カテーテル先端部を大きく動かす.2,2 D タイプ Complex コイル先端, ループ本管部へ突出し易いサイズと固定位置観察.3, 低速度 : 各ループを動脈瘤壁に密着して巻く.4, 中 高速 ; 一定速度よりもランダムな速度で巻く.5, ワイドネック動脈瘤 ;2 D コイルは最適な速度を考慮して巻く. 結論 動脈瘤内にコイルを巻く為にはカテーテル位置, ワイヤーキックバック以外の要因として各コイルにより最適な速度領域を考慮して挿入する必要がある. 1-O2-4 脳動脈瘤コイル塞栓術後の再開通におけるMagnetic Resonance Fluid Dynamics 解析による検討 三重大学大学院医学系研究科脳神経外科学独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター脳神経外科 鈴鹿回生病院脳神経外科 紀南病院脳神経外科 佐野貴則石田藤麿梅田靖之辻正範古川和博 Sano Takanori 三浦洋一当麻直樹阪井田博司鈴木秀謙 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術の問題として術後再開通が挙げられるが, 脳動脈瘤の血行力学的特徴からみた検討報告は未だ少ない. Phase Contrast(PC) 法を用いた Magnetic Resonance Fluid Dynamics(MRFD) 解析をコイル塞栓術後に行い脳動脈瘤の血行力学的因子が再発予測因子になりうるか検討した. 方法 当院での未破裂脳動脈瘤コイル塞栓治療例を対象とし患者同意を取得した. 術前後に 4 D-PC 法による MRFD 解析を行った. 以後前向きに半年以上経過を観察し脳血管撮影にて再開通の有無を独立した脳神経血管内治療専門医 2 名が判定した. 解析項目は脳動脈瘤頚部横断面の Inflow および Outflow に関連した面積, 血流量, 速度 parameter, コイル塞栓術前後の母血管に対する各流出路の最高血流速度比 (VmaxR) および VER(volume embolization rate) とした.MRI 撮影は Philips 社 3 T MRI を使用し, 解析ソフトは Flova(R Tech,Hamamatsu,Japan) を使用した. 結果 9 例 ( 平均動脈瘤最大径 9.27 mm,ica paraclinoid 2 例,ICA Bifurcation 2 例,Acom 2 例,Basilar Bifurcation 3 例 ) のコイル塞栓術を行い半年以降の脳血管撮影で 3 例に再開通を認めた. 統計学的には Inflow volume(p= 0.048, 再開通群 2311 vs 非再開通群 514 mm 3 / sec),inflow velocity(p= 0.048,647 vs 317 mm/sec),vmaxr (P= 0.024,1.40 vs 1.0,VER(P= 0.048,19.3 vs 28.6%) に有意差を認めた. 考察 MRFD 解析により脳動脈瘤コイル塞栓術の再開通危険因子を術前予測できる可能性が示唆された.Inflow への血流が大きな脳動脈瘤で再発しやすいと考えられ, 術前に再開通危険と予測した場合,VER をより高める塞栓術やステント併用など再発を減らす治療戦略を立てる必要がある. 一1-O2-5 3 D プリンターを応用した脳動脈瘤コイル塞栓術のためのマイクロカテーテル形成 自治医科大学血管内治療センター脳血管内治療部 自治医科大学脳神経外科東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科血管内治療学分野 難波克成 Namba Katsunari 檜垣鮎帆 金子直樹 益子敏弘 根本繁 渡辺英寿 目的 完全な脳動脈瘤コイル塞栓を行う上で, 安定したマイクロカテーテル形状は重要である. 安定したマイクロカテーテル形状は,3 D プリンターで作成した 3 次元脳動脈瘤モデルを用い, 術前に計画できる可能性がある. 我々は, 患者の脳血管 3 D 情報より作成した 3 次元脳動脈瘤モデルに基づき, 術前に計画したマイクロカテーテルを用いた脳動脈瘤コイル塞栓を行ったので, 報告する. 方法 3 次元回転脳血管撮影のデータを使用し, 樹脂製 3 次元脳動脈瘤モデルを作成した. 一方, 樹脂製モデルを鋳型に中腔 3 次元脳動脈瘤モデルを作成した. 中腔モデルは実際の脳血管, 動脈瘤と同一の内腔を有する 3 次元血管モデルである. 樹脂製モデルを用い, 親血管と動脈瘤の長軸に一致した 3 次元的カーブをマイクロカテーテルシェーピングマンドレルに形成した. このマンドレルを用い, テスト用マイクロカテーテルをスチーム形成し, 中腔モデルでカテーテル形状の正確性を検証した. 検証されたマンドレルは後に脳動脈瘤コイル塞栓術の際, カテーテル形状形成に使用した. この方法を用い 10 例の脳動脈瘤コイル塞栓術を施行した. 結果 術前に計画されたマイクロカテーテルは全て親動脈の 3 次元的走行と動脈瘤の解剖に一致した. このため 7 例ではマイクロガイドワイヤー誘導を要さず動脈瘤内に留置可能であった. マイクロカテーテルは全て動脈瘤の長軸に沿って留置され, 大型瘤の 1 例を除き, コイル塞栓に際して安定したサポートが得られた. 結論 3 D プリンターで作成した 3 次元脳動脈瘤モデルを用い, 術前にマイクロカテーテル形状の決定が可能である. 形状は安定性を有し, テーラーメイドのマイクロカテーテルである. 1-O2-6 Penumbra アスピレーションポンプの高低差による吸引力の検討 石心会川崎幸病院 CE 科石心会川崎幸病院脳血管センター 山田剛士 Yamada Takeshi 土屋剛史 八馬豊 長澤洋一 津村貢太朗 はじめに メディコスヒラタ社製 Penumbra アスピレーションポンプ ( 以下吸引装置 ) が大型であるため, 診台とは別の高さ 80 cm ほどのワゴンに載せて治療を行っている. そのため診台が上下してしまうと吸引装置の高さが変化することから吸引圧に落差圧が加わり設定とは異なる吸引圧が生じているのではないかと疑問に思い検討を行った. 目的 吸引装置の高さを変化させ, 吸引量 (ml/ min), 吸引圧 (kpa) が変化するか実験的検討を行ったので報告する. 対象 実験に用いた再灌流カテーテル 3 MAX,4 MAX, 5 MAX の 3 種類を対象とした. 方法 再灌流カテーテルの先端に対し吸引装置の高低差を 0 cm,- 40 cm,- 80 cm と変化させ, 吸引圧を添付文書に記載されている kpa(- 20 inhg) に固定した状態で, それぞれの吸引量 (ml/min) を測定した. また, 吸引圧の変化を測定するため, 閉塞型実験回路を用い,- 40 kpa に設定した時の再灌流カテーテル先端圧をそれぞれ測定した. 結果 3MAX では高低差 0cm,-40cm,-80cm の時に 55ml,58ml, 61 ml であった.4 MAX では 123 ml,128 ml,130 ml であり 5 MAX では 174 ml,182 ml,188 ml であった. また再灌流カテーテル先端圧の測定では高低差 0 cm,- 40 cm,- 80 cm において kpa, kpa, kpa と 3 種類のカテーテル全てでほぼ同じ値を示した. 考察 内径が大きいカテーテルほど落差による吸引量の変化が増加し, また同様に落差が大きくなるにつれて吸引圧が増大した. しかしながら治療中では診台の上下により動く範囲は数 cm であるため大きな問題になることはないと考えられる. 結論 吸引装置とカテーテル先端の高低差が実際の設定値を変化させることがある. JNET Vol.8 No.6 December
6 1-O3-1 福岡大学病院における Balloon Occlusion Test(BOT) の現状 福岡大学医学部脳神経外科 湧田尚樹 Wakuta Naoki 福田健治 大川将和 岩朝光利 東登志夫 井上亨 はじめに 主幹動脈の永久遮断の可否を検討するにあたり Balloon Occlusion Test(BOT) は有用な手法の一つである. 臨床症候以外の評価法として, これまでの SPECT に加え最近では脳血管撮影装置を用いた PBV による報告もなされている. 今回, 当施設における BOT の現状を報告する. 対象 方法 対象は 2009 年以降, 当施設で BOT を施行した 66 例.5 Fr バルーン付きカテーテルを用いて目的血管を 20 分間遮断し, その間に 4 Fr 診断用カテーテルを用いて側副血行路を評価した. 異常神経症状が出現すれば直ちにバルーンを解除し, 症状出現なければ, 症例に応じて ECD SPECT や,Siemens 脳血管撮影装置を用いた Neuro PBV での脳血流評価が行われた. 結果 BOT の対象疾患は, 動脈瘤 44 例, 脳腫瘍 19 例で, 目的遮断血管は内頚動脈 47 例, 椎骨動脈 19 例であった. 手技による合併症は認めなかった.PBV と SPECT の両方が行われた 12 例では,11 例が同一の結果で,1 例で SPECT での軽度低値と PBV での軽度上昇を認めた. 標的血管を永久遮断する際は原則として低流量バイパスを行い,BOT で症候性あるいは脳血流評価で高度の低下を認める場合に, 症例に応じて高流量バイパスを行っている. 結論 BOT に伴う合併症はなく, 安全に施行可能であった. また PBV と SPECT は一定の相関を認め,BOT における PBV の有用性が示唆された. 今後 Neuro PBV を用いた多症例での検討が求められる. 1-O3-2 頚動脈浸潤が疑われる頭頸部腫瘍の術前評価としてのバルーン閉塞試験 大阪大学医学部附属病院脳神経外科 浅井克則 Asai Katsunori 木谷知樹 藤中俊之 村上知義 中村元 吉峰俊樹 重松朋芳 尾崎友彦 はじめに 頚動脈浸潤を伴う頭頚部腫瘍においては頚動脈の合併切除や術中一時遮断を時に要する. 当院では遮断後の血行動態を意識して, 腫瘍の種類や部位により閉塞部位を変えたバルーン閉塞試験 (BOT) を術前に行っており, その有用性について報告する. 方法 2010 年 2 月から 2014 年 7 月までに当院で頭頸部腫瘍の術前に BOT を行った連続 19 症例. 閉塞で神経症状を呈した (intolerant/ 単純な一時遮断は不能 ), 神経症状はないが Stump 圧が体血圧の 50 % 以下 (subtolerant/ 一時遮断は可能 ), それ以外 (tolerant/ 永久遮断が可能 ) と判定し, 摘出術の周術期脳血管イベントおよび転帰を後方視的に検討した. 結果 原疾患は甲状腺癌 8 例, 頚動脈小体腫瘍 5 例, 食道癌 3 例, 神経鞘腫 1 例, 舌癌 1 例, 甲状腺癌と頚動脈小体腫瘍の合併 1 例であった.BOT では 2 例で総頚動脈を 3 例で内頚動脈を 14 例で総頚動脈および内頚動脈または外頚動脈を閉塞させた. 判定は intolerant 1 例 subtolerant 8 例 tolerant 10 例であった.18 例で摘出術を行い,14 例で頚動脈と腫瘍の剥離は可能であり,1 例で外頸動脈のみ合併切除,2 例で頚動脈分岐部の合併切除 ( うち 1 例で人工血管を用いて再建 ),1 例で術中の内頚動脈損傷に対して血管縫合を行った.1 例で術中塞栓による軽症脳梗塞を認めたが, 残りの 17 例で周術期脳血管イベントを認めなかった. 平均観察期間 727 日で遅発性脳血管イベントは認めず,2 例が原疾患により死亡した. 考察 結語 頚動脈浸潤が疑われる頭頚部腫瘍でも頚動脈の温存が可能な症例は多いが術中に合併切除や一時遮断が必要となる症例は存在する. 遮断部位を考慮した BOT を行うことで, 周術期脳血管イベントを抑制できる可能性がある. 1-O3-3 偽陰性を防ぐために, 複数基準で評価する BOT 昭和大学脳神経外科 昭和大学藤が丘病院 藪崎肇 Yabuzaki Hajime 中條敬人 奥村浩隆 水谷徹 松本浩明 はじめに BOT はデバイスの進歩により以前と比較し検査の精度に格段の進歩が見られている. 虚血耐性評価基準として多くのものが報告されているが, 依然として偽陰性を認める可能性があるとされる. 対象と方法 2012 年 12 月 2014 年 7 月までに当院で内頚動脈の BOT を施行した症例について, 血管の閉塞部位,Stump pressure/arterial pressure ratio, 神経症状, 閉塞時間などの項目を後方視的に検討した.BOT 後の治療内容, 長期経過も追跡した. 結果 症例は内頚動脈瘤 8 例, 腫瘍 1 例の計 9 例であった. 遮断平均 26 分で 8 例は脳虚血症状認めず ( 陰性 ),1 例は閉塞開始直後に虚血症状を呈した. 陰性症例の中に,Stump pressure/arterial pressure ratio が 0.35 と低く母血管閉塞 + STA-MCA bypass を施行した症例, 母血管閉塞 +coiling 術後に虚血症状を呈し緊急 bypass を施行した症例 ( 偽陰性 ), 母血管閉塞術後 1 年で脳血流の低下を認め,STA-MCA bypass を施行した症例がそれぞれ 1 例ずつみられた. 閉塞部位と Stump pressure の値に相関関係はなかった. 考察 当院では神経症状,Stump pressure/arterial pressure ratio(0.70 以上 ), 静脈相遅延 (2 秒以上 ) など, 複数項目により虚血耐性を評価している. 複数項目を用いた評価により, 神経症状を呈していない症例にも, より適切な治療方針を検討することが可能となる.DSA 装置として Philips Allura Crarity を使用しており, 今後は 2 D perfusion を活用した虚血耐性評価も期待できる. 結論 現時点ではいくつかの parameter を用いることで総合的に虚血耐性を評価することが必要である. さらに device の進歩に伴い, 新たな parameter とこれまでの評価基準との融合も必要である. 1-O3-4 当院における後方循環のバルーン閉塞試験の検討 筑波大学医学医療系脳神経外科 平田浩二 Hirata Koji 鶴田和太郎 渡部大輔 伊藤嘉朗 池田剛 松村明 はじめに 後方循環のバルーン閉塞試験について普遍的な方法は確立しておらず, 閉塞部位, 評価法も様々である. 後方循環のバルーン閉塞試験の安全性と有用性を明らかにするため, 自験例の後方視的検討を行った. 対象 方法 対象は 年に当院で施行した後方循環の閉塞試験 9 例. バルーン閉塞試験の方法, 正診率, 合併症率について検討を行った. 結果 年齢 歳, 男女比 7:2, 原疾患は腫瘍 3 例, 椎骨動脈解離 4 例, 椎骨動脈瘤 2 例. 全例全身ヘパリン化されていた. 評価は,6 例は神経症状のみ,3 例は神経症状 + stump pressure 計測が行われた. 閉塞試験の部位は V 2:5 例,V 3:1 例,V 4:3 例. 閉塞試験の結果は全例で耐性ありと判断した.1 例で閉塞試験中, バルーンによる脊髄枝の閉塞によると思われる脊髄症状を認めた. 閉塞試験による合併症は認めなかった.8 例に母血管閉塞が施行され, 閉塞試験と同部位での閉塞は 2 例, 遠位側が 6 例であった. 母血管閉塞 8 例に頭蓋内虚血性合併症はなかったが 2 例に脊髄梗塞を発症した. 脊髄梗塞は椎骨動脈からの脊髄枝の閉塞が原因と考えられた. 結論 閉塞試験においては, 後方循環血流量のみでなく母血管閉塞部位でおこる脊髄枝, 穿通枝の閉塞による脊髄, 脳幹虚血にも注意が必要である. 術前予測のためには, 実際の閉塞部位と同部位で閉塞試験を行うべきである. 200 JNET Vol.8 No.6 December 2014
7 1-O4-1 般口演脳梗塞急性期における arterial spin labeling の有用性 脳血管造影との対比 長崎大学脳神経外科長崎大学脳卒中センター 長崎大学放射線科 諸藤陽一 Morofuji Yoichi 出雲剛 立石洋平 林健太郎 森川実 永田泉 井手口玲子 堀江信貴 背景と目的 虚血性脳血管障害の治療を考える上で, 側副血行の評価は非常に重要である. 我々は脳梗塞急性期の arterial spin labeling(asl) にて, 閉塞の近位部及び灌流低下領域内の遠位血管に高信号を認めることに着目し, 脳血管造影との対比を行うことによりその意義を検討した. 方法 発症 24 時間以内の主幹動脈閉塞症例で ASL が撮像され, かつ引き続き血管内治療もしくは脳血管造影が行われた 16 例を対象とした.ASL 血管内高信号 (intraarterial high signal:ias) の出現頻度を閉塞近位部血管 (proximal IAS) と閉塞遠位部血管 (distal IAS) に分けて検討した. 結果 平均年齢 72 歳, 男性 7 例, 女性 9 例であった. 入院時の NIHSS スコアの中央値は 17 であった. 閉塞血管は中大脳動脈 10 例, 内頸動脈 4 例, 後方循環 2 例であった.Proximal IAS は 15 例 (93%), distal IAS は 11 例 (69%) に認めた.MRA 及び血管造影所見との対比により,proximal IAS は閉塞近位部動脈内に distal IAS は collateral blood flow に一致して認められた. 結論 ASL における IAS は閉塞血管の同定及び collateral blood flow の存在を検出することができ, 脳梗塞急性期における画像診断として有用であると考えられた. 1-O4-2 急性期脳梗塞における Optimal ASL-CBF threshold による Mismatch の予測 宮崎大学臨床神経科学講座脳神経外科 都城市郡医師会病院脳神経外科 都城市郡医師会病院放射線科 新甫武也大田元米永和真生嶋一朗宮田史朗 Niibo Takeya 竹島秀雄 The aim of this study was to investigate whether pseudocontinuous arterial spin-labeling (ASL)in combination with an appropriate CBF threshold can reliably detect mismatch in acute stroke. The retrospective study included 50 patients with acute stroke in the MCA territory who underwent PW-MRI within 24 hr of symptom onset and again in the subacute phase. After image co-registration the core and mismatch were segmented on ASL maps. ROC curve analysis was performed to calculate the optimal ASL-CBF threshold. Volumes on PW-MRI were recorded based on their ASL-CBF threshold ( sec). Then the correlation between the penumbral salvage area and infarct growth, defined as the size difference between the lesion on baseline PWI and the baseline DWI, and the final infarct volume were determined. ROC analysis showed that the optimal threshold was 21.2 ml/ 100 g/min (AUC 0.88). The correlation between infarct growth and the penumbra salvage volume was significantly better for PWI lesions defined by ASL 21 ml/ 100 g/min (r= ; p < In 9 patients without recanalization on MRI obtained in the subacute phase, the ASL 21 ml/ 100 g/ min threshold more closely predicted the final infarct volume (r= 0.82 ; p= 0.006). PWI (ASL 21 ml/ 100 g/min)volumes may provide an approximation of the volume of tissue at-risk for infarction in patients with acute stroke in the MCA territory. 一1-O4-3 Multiple flip angle fast spin echo(iso-fse) 法による頚動脈プラーク組織別カラーマッピング 東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科 横浜総合病院脳神経外科 東邦大学医療センター大橋病院放射線部 東邦大学医療センター大橋病院放射線科 林盛人 Hayashi Morito 佐藤健一郎 木村仁 齋藤紀彦 五味達哉 岩渕聡 石井匡 中山晴雄 横内哲也 伊藤圭介 青木和哉 服部尚史 目的 MRI による頚動脈プラーク性状評価は, 頚動脈ステント留置術 (CAS) の術前評価として重要である. 現在 MR プラークイメージには様々な撮像法が用いられているが, 当院では組織コントラストの高い, 非心電図同期 spin echo 法 (RADER 法 ) で撮像し, その画像を元に組織別カラーマップを作成している. しかし, 同法は 3 D 撮影ではなく, 撮像枚数も限られるため, プラーク全体の正確な評価が困難である. そこで我々は RADER 法と同様に組織コントラストが良好で, かつ 3 D 撮影可能な multiple flip angle fast spin echo(iso-fse) 法を用いて組織別カラーマップを作成し, RADER 法でのカラーマップとの比較を行った. 対象, 方法 対象は 2013 年 5 月から 2014 年 7 月まで頚動脈ステント留置術 (CAS) が施行された頚動脈高度狭窄症患者連続 17 例. 日立製 1.5 T MRI を用いて,RADER 法と iso-fse 法で T 1 WI を撮像し, 専用のアプリケーションで, それぞれの組織別カラーマッピングを作成, 組織別面積の比較を行なった. 結果 17 病変,71 slice で RADER 法と iso-fse 法の比較を行なった. 頚動脈プラーク全体における不安定プラーク ( 出血成分 + 脂肪 / 壊死成分 ) の割合は, RADER 法 ( 平均 8.4 %),iso-fse 法 ( 平均 8.7 %) であった. 両群間を比較したところ統計学的に有意差を認めなかった (Wilcoxon s single rank test,p= 0.45). 結論 RADER 法による組織別カラーマッピングの妥当性は既に報告されているが, 本結果から iso-fse 法も RADER 法同様にカラーマッピングによる不安定プラークの描出が可能であることが示唆された. 今後,3 D 撮影である iso- FSE 法の特性を活かし, 従来の撮像法より正確な不安定プラークの体積評価が可能であると考えられる. 1-O4-4 2 D perfusion color mapping を用いた脳循環動態評価の試み 関西電力病院脳神経外科 山上敬太郎 Yamagami Keitaro 山田圭一 岩城克馬 藤本康裕 高崎盛生 羽柴哲夫 宮原永治 緒言 2 D perfusion color mapping(2 DP) とは通常の DSA における造影剤の経時的な血管内移動を可視化した画像のことであり, 近年脳血管撮影装置を用いて容易にこれを作成することが可能となった. 今回我々は 2 DP を用いた脳循環動態評価を SPECT と比較検証することで試みた. 対象と方法 対象は 2013 年 7 月から 2014 年 3 月までの期間に当院で脳血管撮影検査と安静時及びアセタゾラミド負荷 123 -IMP SPECT を施行した 7 例 ( 頸部内頸動脈狭窄症 2 例, 頭蓋内内頸動脈狭窄症 1 例, 内頸動脈閉塞症 1 例, 中大脳動脈閉塞症 1 例, もやもや病 2 例 ) のうち, 内頸動脈閉塞症を除いた 6 例とした.2 DP は頸動脈撮影側面像から Syngo iflow を用いて作成し, 内頸動脈眼動脈分岐部, 前大脳動脈及び中大脳動脈還流域にまたがる円形の region of interest(roi) で囲んだ領域, の 2 カ所での造影剤濃度が最高値に達するまでの時間である Time to Peak(TTP) の差を測定した. さらに同一患者において 2 領域での TTP の差の左右比 (TTP 比 ) を求め, これと SPECT を用いた脳循環動態評価の結果とを比較検証することで 2 DP の脳循環動態評価における有用性について検討した. 結果 TTP 比が 1.5 以上であったものは 3 例で, その内訳は SPECT による評価で Powers 分類 stage 1 が 1 例,stage 2 が 2 例であった.TTP 比が 1.5 未満であった残りの 3 症例はいずれも Powers 分類 stage 1 であり,SPECT による評価で安静時脳血流量が 90 % を上回っていた. 結論 2 DP から求めた TTP 比は SPECT による脳循環動態評価と相関する傾向を認めたが, 対側への側副血行が発達している症例では SPECT による評価との結果の乖離を認めた. 今後症例の蓄積による更なる検討を要すると考える. JNET Vol.8 No.6 December
8 1-O4-5 急性期脳梗塞患者での頭蓋内血流動態画像を用いた側副血行路の灌流時間の検討 東京医科歯科大学血管内治療学 東京医科歯科大学脳神経病態学 三木一徳 Miki Kazunori 藤田恭平 吉野義一 石橋哲 唐鎌淳 根本繁 目的 中大脳動脈(MCA) や内頚動脈 (ICA) 閉塞等の脳主幹動脈閉塞による脳梗塞では,Willis 動脈輪及び前 後大脳動脈からの脳軟膜動脈 (LMA) を介した側副血行路により血流を維持する機序が働き,MRI の FLAIR 像では Hyperintense Vessel sign(hv sign) が認められ, 側副血行路の遅い血流を反映した画像所見と類推されている. 今回は, 前方循環系主幹動脈閉塞による脳梗塞に対して血管内治療を行った症例での側副血行路の評価を行った. 方法 2 年間で ICA または MCA 閉塞で当院に入院して治療的血管内治療を施行した急性期脳梗塞 9 例 ( 平均 67 歳 I CA 8 例, MCA 1 例 ) を対象とした. また, 血管造影を基に頭蓋内血流動態画像 (syngo iflow:siemens 社 ) を用いて,M 2 / 3 移行部に到達するまでの側副血行路灌流時間を定量した. 結果 FLAIR 像の HV sign は閉塞側 M 2 / 3 移行部周辺に全例で認められた.LMA を介した逆行性側副血行路を 7 例で認め,LMA を認めない 2 症例は, 前交通動脈を介した順行性側副血行路を認めた.M 2 / 3 移行部までの平均到達時間は健側が平均 4.47 ± 0.55 秒に対し, 患側は平均 6.9 ± 1.52 秒と有意に延長 (p= 0.008) し, 順行性 逆行性側副血行路のどちらも到達時間が延長していた.ASPECTS-DWI で評価した最終梗塞病変分布は, 順行性 2.5 ± 0.71 vs. 逆行性 3.2 ± 1.1 で有意な差は無かったが,NIHSS は順行性群で低下を認めた. 結論 血管造影データを syngo iflow で解析することにより側副血行路を介した虚血病巣までの経路や到達時間が測定でき, FLAIR 像の HV sign は, 側副血行路の slow flow を反映するものであることことが示唆された. 側副血行の速度については, 予後予測因子として活用できる可能性がある. 1-O4-6 くも膜下出血急性期における脳循環時間 (cerebral circulation time),iflow による計測方法 東京慈恵会医科大学附属柏病院脳神経外科 東京慈恵会医科大学脳神経外科 入江是明 Iriei Koreaki 山本洋平 柳澤毅 栃木悟 勅使川原明彦 田中俊英 佐藤邦智 長谷川譲 丸山史晃 村山雄一 緒言 脳循環評価のひとつに脳循環時間 (cerebral circulation time:cct) があり, その有用性は示されているが, 計測方法は統一されておらず煩雑で臨床応用の機会に乏しい. 脳血管内手術においては有用な生理学的指標であり, 機器の進歩により CCT の計測が簡便になったため報告する. 対象と方法 2014 年 1 月から 2014 年 6 月まで脳血管撮影検査および脳血管内手術をおこなった 74 例 ( 男性 21 例, 女性 53 例で, 平均年齢は 57.4 ± 13.5 歳 ) を対象とした. 撮影装置はシーメンス社製 Artis Zee BA Twin を用い, 内頚動脈起始部より造影剤を注入速度 2.8 ml/ 秒, 注入時間 2.0 秒で注入,4 フレーム / 秒で撮影した.syngo iflow を用いて動静脈の定点 ( 内頚動脈眼動脈部, 中心溝静脈 ) をクリックし time to peak を表示し, その差分を CCT として算出した. 結果 正常大脳半球 40 側での CCT は 4.17 ± 0.66 秒で, 年齢との関係は 60 歳未満 (23 側 ) で 4.16 ± 0.70 秒,60 歳以上 (17 側 ) で 4.20 ± 0.63 秒であった. 左右差は右 (20 側 ) で 4.07 ± 0.53 秒, 左 (20 側 ) で 4.27 ± 0.77 秒であった. くも膜下出血急性期の大脳半球 11 側での CCT は 6.29 ± 2.40 秒であった. 考察 正常大脳半球で CCT は年齢差や左右差がなくほぼ安定した値であった. くも膜下出血急性期では CCT の有意な遅延が認められた.CCT が脳循環を反映する指標であることを示唆する結果であった. 結語 iflow により CCT は簡便に計測でき,40 側の正常大脳半球をもとにした CCT 基準値 ( 平均値 ± 2 SD) は 秒であり, 頭蓋内圧亢進状態であるくも膜下出血急性期では CCT 遅延が確認された. 標本数を増やし信頼度の高い基準値を求めることでさらに有効な脳循環評価の生理学的指標となると考えられる. 1-O4-7 脳血管内治療領域における経静脈性 Flat Panel Detector CT Angiography の有用性 関西ろうさい病院脳神経外科 豊田真吾 Toyota Shingo 森鑑二 熊谷哲也 瀧琢有 菅野皓文 山本祥太 千葉泰良 はじめに アンギオシステムを用いた高速撮影技術の進歩により, 脳血管外科領域において経静脈性 3 D DSA が臨床応用されており, 我々は既にその有用性を報告した (AJNR 2008). 近年の Flat Panel Detector の導入により, その方法は経静脈性 Flat Panel Detector CT Angiography へと発展している. 今回我々は, 経静脈性 Flat Panel Detector CT Angiography を試み, 脳血管内治療領域における有用性を検討した. 方法 頸部 頭蓋内動脈に狭窄または動脈瘤が疑われる 10 例を対象として, 経静脈性 Flat Panel Detector CT Angiography を行った. オムニパーク 300 を 5-7 ml/ 秒で 10 秒間静脈内注入した上で回転撮影を行い,dualvolume technique を用いてデータを再構成した. 結果 本法により, 頸部 頭蓋内動脈の明瞭な血管撮影像を得ることができた. また, 動脈と留置金属や頸椎 頭蓋骨との位置関係を良好に描出することができた. 考察 本法は, 頸椎 頭蓋骨に囲まれた動脈狭窄 動脈瘤の評価や, クリップ コイル ステントなどの留置金属に接した血管評価において有用性が高いと考えられた. 結論 頸部 頭蓋内動脈の評価法としては, 経動脈性脳血管撮影,CTA,MRA が既に確立されているため本法の有用性は限定的であるが, 脳血管内治療後の非侵襲的フォローアップを含め, 様々な役割が期待されると考えられた. 1-O4-8 内頸動脈起始部 50 %,60 %, および 70 % 以上狭窄に対応する収縮期最高血流速度の検討 国立循環器病研究センター脳血管内科 国立循環器病研究センター脳卒中集中治療科 国立循環器病研究センター脳神経内科 徳永敬介 Tokunaga Keisuke 長束一行 古賀政利 豊田一則 有廣昇司 鈴木理恵子 吉村壮平 背景 目的 頸部血管超音波検査は頸動脈狭窄のスクリーニングに広く用いられており, 狭窄率と収縮期最高血流速度 (PSV) はよく相関することが知られている. 狭窄率 50 % 以上の症候性頸動脈中等度狭窄と 60 % 以上の無症候性頸動脈高度狭窄では外科的治療が推奨されるが, それぞれに対応する PSV についての十分なエビデンスはない. 本研究の目的は 50 % および 60 % 以上の内頸動脈 (ICA) 起始部狭窄に対応する PSV を明らかにすることである. 方法 2011 年 1 月から 2014 年 7 月までの間に当科に入院し, 頸部血管超音波検査と脳血管撮影を入院中に施行された症例を対象とした. 頸部血管超音波検査で ICA 起始部の PSV を測定し, 脳血管撮影で NASCET 法を用いて ICA 起始部の狭窄率を測定した. ICA 閉塞および偽閉塞,NASCET 法で狭窄率 0 % 未満となる血管は除外した. 受信者操作特性 (ROC) 曲線を用いて 50 %,60 %, および 70 % 以上の ICA 起始部狭窄を予測する PSV のカットオフ値を算出した. 結果 79 例 ( 男性 67 例, 年齢中央値 72 歳 ),100 血管を解析した. 脳血管撮影での狭窄率と PSV は強い正の相関を示した (r= 0.87).50 %,60 %, および 70 % 以上の狭窄を予測する PSV のカットオフ値はそれぞれ 131 cm/s( 感度 95.5 %, 特異度 92.9 %, 陽性的中率 91.3 %, 陰性的中率 96.3 %,AUC 0.985), 170 cm/s( 感度 96.4 %, 特異度 97.0 %, 陽性的中率 94.1 %, 陰性的中率 98.5 %,AUC 0.99, および 207 cm/s( 感度 96.4 %, 特異度 98.6 %, 陽性的中率 96.4 %, 陰性的中率 98.6 %,AUC 0.997) であった. 結論 ICA 起始部の狭窄率と PSV は強く相関していた. 50 %,60 %, および 70 % 以上の ICA 起始部狭窄に対応する PSV はそれぞれ 131 cm/s, 170 cm/s, および 207 cm/s であった. 202 JNET Vol.8 No.6 December 2014
9 1-O4-9 般口演脳血管造影検査 血管内治療におけるエコーガイド下大腿動脈穿刺の有用性 北海道大学医学研究科脳神経外科 栗栖宏多 Kurisu Kota 中山若樹 長内俊也 七戸秀夫 下田祐介 穂刈正昭 鐙谷武雄 牛越聡 数又研 宝金清博 背景 脳血管造影検査 血管内治療時の大腿動脈穿刺に際しては, 身体所見 X 線透視による解剖学的メルクマールを確認し拍動を触知しながら動脈穿刺を行うのが一般的である. しかしある一定の頻度で仮性動脈瘤, 後腹膜血腫等を合併し, 時に致死的となりうる. 目的 従来の大腿動脈穿刺法にエコーを併用することで, 確実で安全な動脈穿刺と穿刺後合併症の出現回避に有用かどうかを, 前向き観察研究で評価することとした. 対象と方法 2014 年 5 月以降, 当院では脳血管内治療 脳血管造影検査の全例でエコーガイド下に動脈穿刺を行っており,34 症例 ( 男性 10 例, 女性 24 例,45.2 ± 22.3 歳 ),37 穿刺を本研究の対象とした. 穿刺直前にエコーで動脈の分枝を確認した後に穿刺部位を決定し, エコーガイド下に動脈穿刺しシースを留置した. 穿刺に際しては可能な限り前壁穿刺となるように努めた. シース留置までの穿刺回数, 穿刺状態 ( 前壁穿刺 / 後壁穿刺 ) と, 穿刺部合併症の有無について検討した. 結果 エコーにて全例血管の描出は良好で分枝の確認が可能であった. 穿刺回数は 1.6 ± 0.9 回で,36 穿刺 (97.3 %) で前壁穿刺可能であった. 3 例 (8.1 %) で少 中等量の皮下血腫を認め,1 例 (2.7 %) で皮下血腫と仮性動脈瘤を認め外科的介入を要した. 結語 エコーガイド下大腿動脈穿刺は, 穿刺前に動脈の分枝を確認可能であった. またエコーガイド下穿刺によって若干煩雑になるが, 穿刺回数や穿刺状態は従来法と比較しても遜色なく, より安全に動脈穿刺を行うためには有用であると考えられた. 合併症の回避に関しては, 今後更なる症例の蓄積とデータの解析が望まれる. 1-O5-1 Stent 導入後の治療困難な未破裂脳動脈瘤に対する adjunctive technique の検討 獨協医科大学越谷病院脳神経外科 さいたま市民医療センター脳神経外科 清水信行鈴木謙介藤井淑子井上佑樹河村洋介 Shimizu Nobuyuki 鈴木亮太郎高野一成内田貴範永石雅也田中喜展 滝川知司兵頭明夫 目的 Stent 導入後において当院で施行した未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術のうち, 治療困難と判断された動脈瘤に対して選択した adjunctive technique の特徴とその治療結果を後方視的に評価 検討する. 対象 結果 ステントが使用可能となった 2010 年 7 月から現在にかけて当院で治療した未破裂脳動脈瘤 262 例のなかで, 術前の評価で治療困難と判断した動脈瘤は,85 例 (32.4 %) であった. その臨床的特徴は, 大きさ 8.85 ± 4.45 mm,d/n 比 1.37 ± 0.45 で, その他の群 ( 大きさ 7.04 ± 2.51 mm,dn 比 1.76 ± 0.50) と比較して, 大きく,DN 比が小さい傾向にあった. 部位は AcomA/ACA 12 例,ICA 42 例,BA tip 20 例,BA-SCA 2 例, VA/VA-PICA 8 例,PCA 1 例であった. 選択した adjunctive technique のうち,Stent 使用例は 78 例であり, うち Stent+Balloon 65 例,Stent+Balloon+double catheter 10 例,multi Stent 3 例であった. また Stent 非使用例のうち Double balloon を選択したのは 7 例であった. 全例とも治療は完遂し, 平均体積塞栓率は 31.5 ± %,R a y m o n d 分類で,C O 4 4 例 (5 0.6 %),N R 2 6 例 (29.9 %),BF 15 例 (17.2 %) であった. 術後の頭部 MRI 拡散強調像の陽性率は, 無症候性を含む 60 % であり, その他の群 ( 同 28.1 %) と比較して有意に高かったが, 虚血症状を呈した 3 例は症状改善した. 合併症は 6 例 (7.0 %) で認めた ( コイル塊圧迫に伴う脳神経症状 2 例, 穿刺部血腫 3 例, 消化管出血 1 例 ) が, 従来群 (2.9 %) と比較して有意差はなかった. 結語 治療困難な未破裂脳動脈瘤に対して選択される adjunctive technique はより複雑化する傾向にあり, 治療適応の拡大に寄与するとともに虚血症状や全身合併症に注意を要する. 一1-O5-2 脳動脈瘤コイル塞栓術における working angle の工夫 術前シミュレーションによる head position へのこだわり 岸和田徳洲会病院脳神経外科 武本英樹 Takemoto Hideki 廣鰭洋子 西山弘一 鐵尾佳章 松本博之 緒言 脳動脈瘤のコイル塞栓術に際しては良好な working angle (WA) をとることが手技成功の第一条件となるが, 部位やアンギオ装置によっては必ずしも最適な角度をとれない場合がある. 当科では術前の 3 D-DSA や 3 D-CTA を元に WA を検討しておりその際の工夫について報告する. 対象 当科で 2013 年 4 月から 2014 年 7 月までに瘤内塞栓術を行った 47 手技 47 動脈瘤 ( 多発 5 例, 再治療 2 例 ). 方法 未破裂例では術前の脳血管撮影時に 3 D-DSA を撮影し, 破裂例では来院時に 3 D-CTA を撮影する. それら 3 D 画像を元にワークステーションで WA を検討し, 実際のアンギオ装置でパネル同士が干渉しないか, 実施可能な角度であるかシミュレーションを行う. 当科では全身麻酔下に塞栓術を行っているため患者の頭位変換の自由度が高く, 麻酔導入後に術前に検討していた WA を元に前後屈 回旋 側屈を組み合わせ様々な頭位で固定を行っている. それにより一見不可能と思われるような WA をアームの干渉なく得ることが可能となる. 結果 手技 47 件中 32 件であらかじめ頭位を調整することで無理なく WA をとることができ, 術中に WA や頭位を変更することなく手技を完遂できた. うち 7 件では頭位を調節しなければ WA をとれなかった. 考察 コイル塞栓術時には 3 D 画像を元に WA を検討し, アンギオ装置のアームを稼働させるが, 可動範囲にも制限はあり理想的な WA をとれない場合もある. その際, 発想を転換し頭位を変更することで良好な WA をとれることがある. 事前に十分なシミュレーションをしておくことでスムーズに手技を進めることができ, 透視時間の短縮や造影剤の減量にもつながり, より低侵襲に手術を行うことができると考えられた. 1-O5-3 複数の adjunctive technique を用いた脳動脈瘤塞栓術の治療成績 和歌山県立医科大学脳神経外科 増尾修 Masuo Osamu 井澤大輔 川口匠 八子理恵 平山勝久 中尾直之 目的 難易度の高い動脈瘤の塞栓術では,balloon assisted technique(bat),double catheter technique(dct),stent assisted technique(sat) などの adjunctive technique が応用されてきた. さらに難易度の高い動脈瘤に対しては, これら technique を複合的に使用 (combined adjunctive technique, CAT) するが, その治療成績を報告する. 方法 2011 年 1 月より 2014 年 7 月まで動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した 179 例 ( 破裂動脈瘤 81 例, 未破裂動脈瘤 98 例 ) のうち,CAT を併用した 12 例 ( 破裂動脈瘤 1 例, 未破裂動脈瘤 11 例 : 平均動脈瘤サイズ ; 15 mm(8 mm- 30 mm) である. これらに対して術直後の閉塞状態および合併症について検証した. 結果 使用した adjunctive technique の内訳は,double balloon technique(dbt)1 例, BAT+DCT 4 例,BAT+SAT 3 例,DCT+SAT 4 例であった. 未破裂動脈瘤では術前より抗血小板剤 2 剤服用を行った. 塞栓結果は,complete occlusion 4 例 (33 %),neck remnant 4 例 (33 %), body filling 4 例 (33 %) であった. 周術期合併症は破裂脳底動脈先端部動脈瘤に対して,DBT を用いた症例で穿通枝梗塞を来たし症候性脳梗塞となった 1 例であった. 術後 DWI では 5 例 (63%) で spot な高吸収域を認めたが, 前述した 1 例のみ症候性であった. 術中破裂はなかった.6ヶ月以上経過した 8 例中 1 例で再発再治療を行った. 結語 難易度の高い動脈瘤に対する CAT は, 今後長期成績の評価が必要であるものの, 周術期合併症も通常の塞栓術とほぼ同等であり, その有効性が示唆された. ただし, 破裂急性期病変に対しては抗血小板剤の投与も躊躇され, 通常のコイル塞栓術と同様虚血性合併症に留意する必要がある. JNET Vol.8 No.6 December
10 1-O5-4 脳動脈瘤コイル塞栓術に対するダブルカテーテルテクニックの治療成績 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター脳神経外科 筑波大学医学医療系脳神経外科 山崎友郷 Yamazaki Tomosato 安田貢 加藤徳之 園部眞 細尾久幸 松村明 藤原雄介 松村英明 目的 現在本邦において, 脳動脈瘤コイル塞栓術に際して様々な adjuvant technique が使用可能となっている. 今回当院で施行された脳動脈瘤コイル塞栓術の中で, ダブルカテーテルテクニックの役割と問題点について検討する. 対象と方法 2011 年 1 月から 2013 年 12 月の 3 年間に脳動脈瘤に対するコイル塞栓術を施行した 210 動脈瘤の内, ダブルカテーテルテクニックを用いて塞栓を行った 30 動脈瘤が対象. 内頚動脈瘤 :5 例, 前交通動脈瘤 :10 例, 中大脳動脈瘤 :10 例, 椎骨動脈瘤 :2 例, 脳底動脈瘤 :3 例であった. 動脈瘤のサイズは 5 mm 未満 :5 動脈瘤,5 mm 以上 10 mm 未満 : 17 動脈瘤,10 mm 以上 :8 動脈瘤であった. 全例, 全身麻酔下にコイル塞栓術を施行した. 塞栓術中, コイル追加のエンドポイントは 1 本のカテーテルを抜去し,simple catheter の状態にしてから判断している. 結果 ダブルカテーテルを用いて治療した 30 動脈瘤中, 全例でコイル塞栓が可能であった. 直後の塞栓状態は complete obliteration(co):17 動脈瘤,neck remnant(nr):7 動脈瘤,body filling(bf):6 動脈瘤であった. 平均の volume embolization ratio(ver) は 25.4%( %) であった. コイル塞栓術に伴う症候性合併症を認めなかった. 術後の follow-up 期間中 (6 か月以上追跡可能症例 ),3 例 (10%) で追加塞栓術を必要とした. 考察 様々な adjuvant technique が使用できる時代となったが, 広頚の動脈瘤に対して, 重要分枝を温存しケージを作成しやすいなどの利点があり, 現在でも使用頻度の高い手技である. 再発をきたしやすいなどの懸念もあるが, 安全で有用なテクニックと考えられる. 1-O5-5 脳動脈瘤塞栓術時の動脈瘤破裂例についての検討 市立四日市病院脳神経外科脳神経血管内治療科 中林規容 Nakabayashi Kiyo 市原薫 相見有理 吉田光宏 浅田玲緒尚 伊藤八峯 目的 脳動脈瘤塞栓術が施行されるようになって 20 年以上が経つが, 塞栓術時の脳動脈瘤破裂は重篤な合併症の一つである. 近年の塞栓術時の脳動脈瘤破裂例について検討した. 対象及び方法 2008 年 1 月から 2014 年 7 月までに施行された 235 回の脳動脈瘤塞栓術につき検討した. 未破裂瘤 (Ur-AN)107, 破裂動脈瘤 (R-AN) 128 あきらかに造影剤の漏出を認めたものにつき検討した. 結果 Ur-AN 2,R-AN 8 で血管撮影であきらかな造影剤の漏出を認めた. 動脈瘤部位 Ur-AN Acom 1,IC-oph 1,R-AN ICPC 4, Acom 2,ACA distal 1,BA-SCA 1,PICA distal 1 出血原因となった操作コイルの挿入 8, マイクロカテーテルによる穿孔 2, 処置内容, 全例で抗凝固のリバース, 局所麻酔から全身麻酔に移行したもの 3, バルーンを併用 5, 全例でコイルの追加により止血を得た. 髄液ドレナージを 5 で施行した. 治療結果は Ur-AN GR 2,R-AN GR 6,MD 1(Acom),SD 1(Ac distal) であった. 症状悪化例は塞栓症, 母血管閉塞, 術前神経症状全身状態の悪いものであった. 考察 脳動脈瘤塞栓術時の脳動脈瘤破裂は重篤な合併症となるためおこさぬような慎重なガイドワイヤー, カテーテル, コイル挿入操作が重要であるが, それだけでは予防できない. 近年のマイクロバルーンが進歩を考慮すると, 常に準備あるいは母血管留置しておくことが可能となっている. 今後前大脳動脈瘤にも積極的に使用すべきと考えられた. 1-O6-1 過去 10 年間における未破裂脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術の治療成績の変遷 金沢大学脳神経外科 毛利正直 Mohri Masanao 内山尚之 見崎孝一 林裕 目的 未破裂脳動脈瘤に対して過去 10 年間に瘤内塞栓術を行った症例の治療成績を前期と後期に分けて検討した. 対象 2005 年 5 月から 2014 年 7 月の間に未破裂脳動脈瘤に対して瘤内塞栓術を行った 89 例 ( 男性 22 例, 女性 67 例, 平均年齢 57.5 歳 ),94 動脈瘤を対象とした. 前期 (2010 年 3 月までの 38 動脈瘤 ) と後期 (2010 年 4 月以降の 54 動脈瘤 ) に分けて, 治療成績を塞栓結果と合併症の出現について検討した. 合併症の出現は退院時の神経症状で評価した. 結果 全未破裂脳動脈瘤の治療に占める瘤内塞栓術の割合 ( 前期 38 / 119(32 %), 後期 54 / 129(42 %)), 最大径平均 ( 前期 8.6 mm, 後期 7.9 mm), ネック径平均 ( 前期 4.7 mm, 後期 4.8 mm), ワイドネック瘤 ( 前期 20(53 %), 後期 36(67 %)) であった. 手技内容はシンプル法 ( 前期 12(32 %), 後期 16(28 %)), ダブルカテーテル法 ( 前期 16(42 %), 後期 21(39 %)), バルーンアシスト法 ( 前期 11(29 %), 後期 10(19 %)), ステントアシスト法 ( 前期 0, 後期 10(19 %)) であった. 術直後の塞栓結果は前期 (CO 15 (41 %),NR 19(51 %),BF 3(8 %),VER 23.2 %), 後期 (CO 16 (30 %),NR 22(42 %),BF 15(28 %),VER 23.5 %) であった. 症候性合併症の出現は前期 2 例 (5.6 %), 後期 2 例 (3.7 %) であった. 結論 後期は未破裂脳動脈瘤治療に対する瘤内塞栓術の割合が増加し, ワイドネック瘤の割合も増加していた. 後期にはステントアシスト法が使用できるようになりより複雑な動脈瘤に対する治療適応が拡大していたが, 塞栓結果と合併症は前期と同様であった. 1-O6-2 局所麻酔による未破裂脳動脈瘤塞栓術の治療成績 京都大学大学院医学研究科脳神経外科 菊池隆幸 Kikuchi Takayuki 新井大輔 宮本享 石井暁 池田宏之 武信洋平 長谷川仁 安藤充重 吉田和道 千原英夫 高木康志 目的 方法 未破裂脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術は, 手技の繊細さや合併症発症時の対応の容易さから全身麻酔で行われることが多くなっている. 当施設では主に局所麻酔で治療を行っており, アクセスルートやワーキングアングル確保困難, 虚血耐性が無い場合に全身麻酔治療としている. 局所麻酔下での塞栓術における塞栓状態, 有害事象率を明らかにし, 全身麻酔によりこれらが変化する可能性について,2007 年 10 月から 2014 年 7 月まで当施設で未破裂脳動脈瘤に対して瘤内塞栓術を行った 136 症例 153 手技に対して後方視的検討を行った. 結果 132 手技が局所麻酔で, 平均 59 歳, 女性 99 例, 平均瘤径 8.15 mm だった.21 手技で全身麻酔を選択した理由は不動化が 12, ワーキングアングル確保が 5, 虚血耐性無しが 3,PTSD 既往が 1 であった. 局所麻酔下での動脈瘤完全閉塞率は 59.9 % だった. 手技中の方針変更, 治療断念, 及び穿孔 血栓塞栓症等手技中の頭蓋内有害事象を含めた複合エンドポイントは, 局所麻酔での 132 手技中 26(19.7 %), うち有害事象は 12(9.1 %) で認められ, 永続的症状をきたしたのは 2 例であった. 体動により局所麻酔治療を断念した 3 手技 ( 後に全身麻酔で治療を完遂, 上記全身麻酔症例に含む ) 以外で全身麻酔への変更で解決できると考えられた事例はなかった. 全身麻酔で治療を行った 21 例中手技中の有害事象が認められたのは 4 例で, うち 1 例は前大脳動脈の一時遮断による一過性の下肢単麻痺だった. 結語 局所麻酔による未破裂脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術は安全であり, 有害事象発生時の対処も充分に行うことが可能であるが, 麻酔法選択には虚血耐性や不動化の必要性, 病態などに応じて決定する必要がある. 204 JNET Vol.8 No.6 December 2014
11 1-O6-3 般口演未破裂脳動脈瘤の治療選択 : コイル塞栓術の治療成績 札幌白石記念病院 米増保之 Yonemasu Yasuyuki 大坊雅彦 恩田敏之 野中雅 橋本裕治 本田修 高橋明 ( はじめに ) 未破裂脳動脈瘤の手術治療は, 血管内手術によるコイル塞栓術の割合が増加してきている. 当院ではコイル塞栓術を第一選択としているが, 最終的には術前カンファレンスを行って治療法を選択してきた. 過去 3 年間の未破裂脳動脈瘤手術例について, 治療選択と成績などについて検討した.( 対象 方法 )2011 年 1 月より 2013 年 12 月までの 3 年間で手術治療を行った未破裂脳動脈瘤 269 例である. 開頭クリップ手術は 94 例 (35%), コイル塞栓術は 175 例 (65%) で, それぞれ内頚動脈 29 例 (31%),96 例 (55%), 前大脳動脈 24 例 (26%),37 例 (21%), 中大脳動脈 39 例 (41%), 14 例 (8%), 椎骨 - 脳底動脈 2 例 (2%),28 例 (16%) であった. ( 結果 ) 塞栓術では CO:62 例 (34%),NR:102 例 (57%),BF: 17 例 (9%), コイル塞栓できなかった症例が 3 例 (2%), 再開通 14 例 (8 %), 再治療 3 例 (2%), 破裂死亡 2 例 (1%), 合併症 18 例 (10%), 永続的症状 3 例 (2%) であった. クリップ手術ではクリップできなかった症例が 1 例 (1%), 再開通はなく, 合併症 9 例 (10%), 永続的症状 3 例 (3%) であった. コイル塞栓術を選択しなかった要因は Wide Neck,Small Size が多く, ドームから血管が分岐している例も多かった. 塞栓術を試みたが施行できずにクリップ手術に変更した症例が 2 例あった.( 考察 結語 ) 過半数を超える (65%) の症例が血管内手術で治療可能であった. 今後も新しい治療機器の導入によりさらに血管内手術で治療可能な脳動脈瘤は増加すると予想される. しかし, 血管内治療ができない症例や不向きな症例は少なからずあり, 個々の症例に対して適正な治療方法を選択することが重要である. 1-O6-4 小径破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 2 mm 以下の 1 st Coil で塞栓術を行った破裂脳動脈瘤治療の検討 JCHO 東京新宿メディカルセンター 飯島明武澤秀理日高幸宏 Iijima Akira 目的 2 mm 以下の 1 st Coil で血管内治療を行った破裂脳動脈瘤治療を検討する. 検討の対象 2011 年 4 月より当院で血管内治療を行ったクモ膜下出血は 18 症例であった.2 mm 以下の 1 st Coil を使用した治療は 6 症例であり, このうち椎骨動脈解離 後下小脳動脈解離によるクモ膜下出血それぞれ 1 症例を除いた 4 症例を検討の対象とした. 結果 男性 1 人女性 3 人平均年齢 42 歳. 破裂脳動脈瘤部位は前交通動脈 2 例, 脳底動脈先端部 1 例, 脳底動脈 - 上小脳動脈分岐部 1 例であった.H&K Grade 1 が 1 例,Grade 2 が 2 例,Grade 4 が 1 例.Day 0-6 に治療を行い, 使用した 1 st Coil 径は2mmが2 例 1.5mmが1 例,1mmが1 例であった.1 症例で標的血管支配領域と異なる部位に症候性虚血性合併症の出現をみた. 発症 3ヶ月経過時点の m-rs 0 が 1 例,m-RS 1 が 2 例,m-RS 2 が 1 例であった. 考察 1.5 mm 径 1.0 mm 径のプラチナコイルが出現したことにより, これまで治療が困難であった小径破裂脳動脈瘤の治療適応が拡大し, 我々の後方視的解析による治療成績検討では全例が ADL 自立, 良好な成績を示した.1 st Coil に 2 mm 径以下のプラチナコイルを用いなければならない小さな破裂脳動脈瘤の治療に Remodeling Technique や頭蓋内ステント等 Adjunctive Technique の適応は困難であり Simple Technique が第一選択となった. 動脈瘤内部に誘導留置したマイクロカテーテル先端の安定を第一に考えることが治療を完結する上で重要であった. 奥行きのない動脈瘤に対するコイル塞栓術では, マイクロカテーテル先端が独特の挙動を示すことがあり, 重要な Pitfall となる. マイクロカテーテル先端形状形成の Tips とあわせて供覧する. 一1-O6-5 微小脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 医療法人清仁会シミズ病院脳神経外科 黒岩輝壮 Kuroiwa Terumasa 山下太郎 平松亮 清水史記 はじめに デバイスの進歩に伴い, 脳動脈瘤塞栓術の適応が拡大してきたが, 最大径 3 mm 以下の微小脳動脈瘤に対するコイル塞栓術については, 合併症の可能性は低くなく, その対策は明らかではない. 最大径 4 mm 3 mm の小動脈瘤 ( 以下 small ) と 3 mm 未満の微小動脈瘤 ( 以下 tiny ) の自験例を調査し, 微小脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の安全性について検討したので報告する. 対象 / 方法 2008 年 1 月 2014 年 8 月まで当施設, 関連施設で行った脳動脈瘤コイル塞栓術 402 件中, small 42 例および tiny 16 例. 全麻下に, 基本的に 3 D RA で手術を施行. 基本的に simple technique で,manual shape したマイクロカテーテルを瘤内に誘導し,3 D coil で framing を行い,tight packing を施行. 手術記録, DSA 所見を調査検討した. 結果 年齢, 性別, 部位は両群間で有意差を認めなかったが, 破裂例は small 16/42(38.1%), tiny 11 / 14(68.8 %) で, tiny の方が破裂の割合が高かった (p= 0.035).simple technique は, small 32 / 42(76.2 %), tiny 14 / 16(87.5 %) で, 術後 Raymond scale は, small 38 / 42(90.5 %), tiny 15 / 16(93.7 %) であった. 手術合併症は, small 1 例 ( 未破裂例 ) で filling 中の coil による穿孔を認め (mrs 0), tiny 1 例 ( 破裂例 ) で術後血栓症による脳梗塞を認めた. 結論 微小脳動脈瘤に対するコイル塞栓術は,3 D data を元に, 適切に manual shape を行ったマイクロカテーテルで,simple technique で行えば, 比較的安全に塞栓する事が可能である. 1-O6-6 平均径 4-5 mm の脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術の検討 広島市立広島市民病院脳神経外科 廣常信之 Hirotsune Nobuyuki 田邉智之 冨田陽介 村岡賢一郎 桑原研 寺田欣矢 高橋悠 目黒俊成 大熊佑 西野繁樹 目的 当院にての脳動脈瘤塞栓術における coil 選択は,device の特徴を熟知し, 各々の動脈瘤に最適と思われる coil を選択するようにしている. 今回我々は, 動脈瘤の平均径が,4-5 mm の動脈瘤を最近の治療症例から抽出し, 治療の実態と成績を分析したので報告する. 方法 2013 年 9 月から 2014 年 8 月までの 1 年間に瘤内塞栓術を行った症例の中で, 動脈瘤の平均径が 4-5 mm であったものを抽出し, その治療成績を検討した. 結果 治療を行った 44 症例 46 動脈瘤の中で, 瘤の平均径が 4-5 mm である瘤は,21 症例, 23 動脈瘤 (50 %) であった. 男女比は,8:13. 破裂瘤 9, 未破裂瘤 14( 破裂動脈瘤に合併した未破裂瘤 4 を含む ) であった. 瘤の最大径は, m m. 部位は,A c o m / A C A:1 1,I C:8, MCA:1,BA 系 3 であった. 塞栓の成績は, 完全閉塞 :18,neck remnant:4,body filling:1 であり, 術中の extravasation:1, 術後一過性動眼神経麻痺 :1 を認めた.Framing に 4.5 mm 径の coil を使用した症例が 10 例あった. 考察 本治療においての coil 選択は, 瘤の size, 形状,neck の広さ,dome/neck の比, 枝の位置, adjunctive technique の可否, 破裂瘤か未破裂瘤か,microcatheter の安定性, 術者の慣れ等の要素で検討すると共に, 使用する coil の特徴をよく吟味して決定している.2013 年 11 月より,4.5 mm 径の coil が line up に加わり, この size の動脈瘤塞栓における size variation が広がった. 当院においては, 予測よりもこの size の動脈瘤の治療数が多く,4.5 mm 径の coil を framing で使用した症例が多くみられた. 結論 Coil variation が増え, 多彩な選択肢がある中で適切な coil 選択を行うことにより, より精度の高い塞栓術が可能となると思われた. JNET Vol.8 No.6 December
12 1-O6-7 9 mm 以下未破裂嚢状脳動脈瘤の安全かつ完全な coil 塞栓術達成因子 京都第二赤十字病院脳神経外科 天神博志 Tenjin Hiroshi 萬代綾子 山本紘之 南都昌孝 後藤雄大 中原功策 谷川成佑 高道美智子 目的 未破裂脳動脈瘤は予防的治療であり合併症, 術後の侵襲的検査や投薬を最小とした治療を心がけるべきである. ここでは満足に治療できなかった症例 (Insufficient results(is)) は神経学的症状の発生と経過中に完全閉塞を得られなかった症例と定義し, どの要因が IS に関与するか検討した. 症例, 方法 対象は瘤内 coil 塞栓術を施行した 9 mm 以下の嚢状未破裂脳動脈瘤 71 例 (stent 使用例は省く ). 術前 1 週間は抗血小板薬 2 剤使用, 術中はヘパリンを使用, 術後は全ての薬剤を中止した. 術後 6 カ月以降に DSA あるいは MRA を撮像しえた症例を分析した. 平均経過観察期間 40 ± 23 月. 検討項目は下記因子と転帰の関係 :dome/neck ratio(d/ N),height/neck ratio(h/n),regularity,balloon neck plasty (NP). 転帰は経過観察中の complete occlusion, 投薬の有無, 新たな神経症状発生の有無で判断した. 結果 D/N は 1.5 以上では sufficient results(s):26 例,IS:4 例,1.4 以下では S:25 例, IS:16 例 (P < 0.05),H/N は 1.5 以上では S:27 例,IS:3 例,1.4 以下では S:24 例,IS:17 例 (P < 0.0,regularity は round では S:49 例,IS:16 例,irregular では S:2 例,IS:4 例 (NS), NP に関しては NP では S:28 例,IS:13 例,simple technique では S:13 例,IS:7 例 (NS),20 例の round,d/n 1.5 以上,H/N 1.5 以上の症例は全て sufficient であった.D/N 1.1 以下,H/N 1.1 以下の 10 例中 8 例では insufficient であった 結論 9 mm 以下未破裂脳動脈瘤の coil 塞栓では D/N 1.5 以上,H/N 1.5 以上,round のものでは安全かつ完全な治療ができる可能性が高い. 一方 D/N 1.1 以下,H/N 1.1 以下では満足のいく治療にならない場合も多い. Balloon neck plasty は注意深く使用すれば有効な手法である. 1-O7-1 コイル塞栓術後再発脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療成績 岡山大学大学院脳神経外科 岡山市立総合医療センター岡山市立市民病院脳神経外科 菱川朋人 Hishikawa Tomohito 高杉祐二 杉生憲志 新治有径 平松匡文 西廣真吾 春間純 徳永浩司 清水智久 伊達勲 目的 当科におけるコイル塞栓術後再発脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療成績を検討した. 方法 2008 年 1 月から 2014 年 4 月までに当科における瘤内コイル塞栓術後に再発を来した 24 症例, 25 動脈瘤に対する 29 回の塞栓術による再治療を対象とした. 治療テクニック, 周術期合併症, 予後の検討を行った. 結果 部位は内頚動脈 8 個, 脳底動脈 9 個, 椎骨動脈 6 個, その他 2 個であった. 初回治療時の瘤の平均最大径は 17 ± 5 mm, 平均 neck 径は 7 ± 3 mm であった. 前回の治療を行ってから再治療を行うまでの期間中央値は 24 ヶ月であった. 前回の治療時および再治療時にステント留置を行ったのはそれぞれ 9 病変と 6 病変,2 種類以上の複合テクニックを要したのはそれぞれ 6 病変と 5 病変であった. 前回の治療時に留置したデバイスに関連した再治療時のデバイストラブル ( ステント内バルーン通過困難等 ) は 6 病変, 関連しないデバイストラブルは 4 病変で生じた ( 計 34 %). 再治療時に完全閉塞が得られたのは 13 病変 (45 %) であった. 周術期の永続的神経学的合併症は 5 病変 (17 %) に生じ ( 出血 2, 虚血 2, 浮腫, その内 2 病変 (6.9 %) は死亡した. フォローアップ期間中央値は 15 ヶ月であり, 再治療後の再発は 8 病変 (28 %), 再出血は 3 病変 (10 %) に生じた. 結論 コイル塞栓術後再発脳動脈瘤は大型で, 初回治療の時点で治療難易度が高い. 再治療時の難易度はさらに高くなっており, 合併症をきたしやすい. 術前の周到な治療計画および慎重な手技, 術後長期の経過観察が必要であると考えられた. 1-O7-2 脳動脈瘤瘤内塞栓術における術中破裂後の長期予後 横浜市立大学附属市民総合医療センター脳神経外科 竪月順也 坂田勝巳 Tatezuki Junya 間中浩 浮城一司 宮崎良平 川崎隆 目的 脳動脈瘤の瘤内塞栓術において, 術中破裂をきたした症例の長期予後について検討する. 方法 2003 年 1 月 1 日から 2014 年 6 月 30 日に, 当院で嚢状動脈瘤に対し瘤内塞栓術を施行した症例において, 造影剤の血管外漏出を認めたもの, 透視下に器材が明らかに瘤外に逸脱したものを術中破裂と定義し, その後の転帰を後向きに調査した. 結果 上記期間に 298 例 ( 未破裂 171 例, 破裂 127 例 ),318 病変 ( 未破裂 190 病変, 破裂 128 病変 ) の瘤内塞栓術を施行した.11 例 (3.46 %) で術中破裂を認めた. 内訳は未破裂瘤 2 例 (1.05 %), 破裂瘤 9 例 (7.03 %) であった.11 例中 9 例では瘤内塞栓を継続可能であったが,1 例はクリッピング術に移行し,1 例は破裂後に no filling となり断念した. 塞栓術後の状態は, 完全塞栓 5 例, ネック残存 4 例であった. 急性期死亡は 2 例で,1 例は SAH の initial damage によるもの,1 例は破裂後に no filling となったもので, 関連死と診断した. 急性期に死亡した 2 例, クリッピング術に移行した 1 例,follow-up 不能となった 2 例を除く,6 例 ( 未破裂 2 例, 破裂 4 例 ) で 7 ヶ月 - 7 年 ( 平均 35.5 ヶ月, 中央値 25.5 ヶ月 ) の follow-up を行った.mRS 0 が 4 例,mRS 1-2 が 2 例で, いずれも再破裂なく, コンパクションによる再治療を要するものはなかった. 結論 術中破裂を認めても, 適切な瘤内塞栓で止血が可能であれば, 良好な長期予後が期待できる. 1-O7-3 分枝血管のある動脈瘤に対する塞栓術 鳥取大学医学部附属病院脳神経外科 野島病院病院脳神経外科 坂本誠 Sakamoto Makoto 竹内啓九 宇野哲史 黒崎雅道 渡辺高志 目的 脳動脈瘤の dome から分枝血管のある動脈瘤は完全閉塞困難であることから血管内手術のあまり良い適応ではないと考えられる. しかし近年 hyper compliant balloon を herniate して, もしくは, 複数のマイクロカテーテルを用いるなどの塞栓術のテクニックを用いて分枝を温存しつつ可及的に密な塞栓が行われている. 我々の施設で塞栓術をおこなった分枝を含む動脈瘤に対する塞栓術の治療成績をまとめ文献的考察を行った. 方法 2005 年 5 月から 2014 年 7 月までの間に鳥取大学医学部附属病院で塞栓術を施行した 248 動脈瘤のうち動脈瘤から分枝血管が存在した 60 動脈瘤を対象とした. 男性 11 例, 女性 49 例, 平均年齢は 65.1 歳であった. 破裂瘤 28, 未破裂瘤 32, 動脈瘤の部位は IC-PC 21,IC-anterior choroidal 10,M 1 8,SCA 9,VA-PICA 6,distal ACA 2,IC-oph 2,MCA 2 であった. 成績 塞栓術に用いたテクニックは simple 11 例, triple coaxial 15 例,double catheter 20 例,balloon assist 9 例, stent 2 例,balloon+double catheter 3 例であった. フレーミングコイルに Presidio(Micrusphere) あるいは Cosmos といったいわゆる内向きコイルが有効であった. 治療に伴う合併症は分枝血管と関係の無い血栓塞栓性合併症 1 例, 分枝血管と関連した血栓塞栓性合併症 1 例 ( 視力障害 ) を認めた. フォローアップ期間中に再治療を要した症例は現在のところ認めていない. 結論 分枝を温存するために種々のテクニックが必要であった. 完全閉塞にはなり得ないが, 合併症, 再治療リスクとも分枝の存在しない症例と比較し劣っている印象はなかった. 再開通の点で長期フォローが必須と考えられた. 206 JNET Vol.8 No.6 December 2014
13 1-O7-4 般口演80 歳以上高齢者破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 (coiling) の成績 立川綜合病院循環器 脳血管センター脳神経外科 立川綜合病院循環器 脳血管センター神経内科 阿部博史 Abe Hiroshi 神保康志 高橋陽彦 高野弘基 目的 高齢化社会に伴い増加する高齢者破裂脳動脈瘤に対して coiling を選択する施設が増加している. 当施設では破裂脳動脈瘤に対して一貫してコイル塞栓術を優先適応してきた. 高齢になるほど個体差が大きいが,80 歳以上 (A 群 ) の治療成績をやや若い高齢者の 歳 (B 群 ),70-74 歳 (C 群 ) と比較検討した. 対象と方法 対象は 年に急性期に coiling を行った破裂嚢状脳動脈瘤 237 例中 70 歳以上の113 例 (41%) で,A 群 35 例,B 群 33 例,C 群 45 例. 平均年齢はA 群 84 歳,B 群 77 歳,C 群 72 歳.H&K Grade(I:II:III:IV:V 例 ) は A 群 (0:7:15:9: 2 例 ),B 群 (0:12:13:7:1 例 ),C 群 (3:14:15:10:3 例 ). 基本的に手術は通常の年齢例と同様で, 全麻下に必要に応じアシストテクニックを適応し,spasm 予防に術後腰椎ドレナージを留置し UK を 1 2 週間髄注した. 結果 退院時 mrs 0-2 良好例の A,B,C 群における全比率及び各 Grade 群比率 (I:II:III:IV:V) は,A 群 2 9 %(-:7 1 %:2 0 %:2 2 %:0 %),B 群 4 5 %(-: 67 %:38 %:29 %:0 %),C 群 51 %(100 %:86 %:56 %:20 %: 0 %) で,Grade II は各群とも良好な成績であった. 一方 Grade IV,V は各群とも差が無く不良な結果であった.Grade III では各群間の差が大きく良好例は A 群 20 %,B 群 38 %,C 群 56 % で, 更にmRS 5-6の比率はA 群 60%,B 群 8%,C 群 7% と良好例の差以上に A 群では不良例の比率が高かった. 原因は術中合併症及び広範な spasm が多くを占めた. 結論 80 歳以上の破裂脳動脈瘤に対しても Grade II 以下であれば coiling による治療で良好な結果が期待出来る.Grade III では術中合併症の軽減や spasm 対策など予後改善の余地がまだあるが,Grade IV 以上における治療適応は極めて限られる. 1-O7-5 Clipping high volume center における coil embolization の特徴と治療成績 東京女子医科大学脳神経外科 東京労災病院 石川達也比嘉隆山口浩司佐藤慎祐乙供大樹 Ishikawa Tatsuya 阿南英典川俣貴一岡田芳和 目的 当施設では脳動脈瘤に対する clipping 術を数多く施行しているが, 一方で coil embolization(coil) が必要となる症例も経験する. そこで, 今回それらの症例の特徴や治療成績を検証した. 方法 2012 年 1 月から 2014 年 6 月の期間, 当施設で coil を施行した連続 70 症例 (71 瘤 ) を対象とし,coil 施行の要因, 塞栓性合併症, 治療経過を検討した. 結果 同期間の clipping 術は 524 例であった.Coil 症例の平均年齢は 59.6(42-88) 歳, 男性 24 例 (34.3 %), 未破裂動脈瘤 54 例 (76.1 %), 部位は ICA 28 例,MCA 0 例,Acom 10 例,ACA-distal 1 例,BA 19 例,VA 10 例,PCA 3 例であった.Coil 選択の理由は,BA/VA 系瘤 29 例 (41.4 %), IC-paraclinoid 瘤 21 例 (30 %), 患者希望 13 例 (18.6 %),clipping ハイリスク ( 重症 SAH や麻酔リスク )7 例 (10 %) であった. 脳底動脈先端部瘤の治療は,coil 比率が 2012 年以降 28.8 %,64.7 %, 100% と偏移した.IC-paraclinoid 瘤 21 例中 2 例は,clip 後の残存瘤であった. 合併症は無症候性の術後梗塞 5 例 (7.1 %), 症候性梗塞 1 例 (1.4 %,SAH 例 ), 穿刺部出血 1 例 (1.4 %) であった. 同期間で明らかな瘤の再発は認めなかった. 結論 Clipping first の当施設においても, 一部の動脈瘤では coil が選択される傾向にあった. 脳動脈瘤の治療に対するより適切な方法選択の重要性が再認識された. 一1-O7-6 動眼神経麻痺で発症した内頚動脈瘤 術式と術後の神経症状改善について 大崎市民病院脳神経外科 吉田昌弘 Yoshida Masahiro 三野正樹 森田隆弘 はじめに 突然の動眼神経麻痺 (ONP) で発症した内頚動脈瘤は inpending rupture と考え破裂瘤と同様に治療している. 破裂例も含め, 術前の ONP の改善に関する因子を特に術式に注目して検討した. 対象と方法 2003 年以降当院で経験した ONP を伴った内頚動脈瘤の手術例 17 例 ( 女性 16 例男性 1 例, 平均年齢 66.7 才 ) を対象とした. 治療方針は 2010 年まで ( 前期 ) はクリップファースト,2010 年以降 ( 後期 ) はコイルファーストの方針で同一術者が治療にあたった. 術前に認められた ONP の機能予後について, 完全寛解 (CR) 群と部分改善 (PR) 群とで検討を行った. 結果 全 17 例中破裂急性期が 3 例, 未破裂瘤が 14 例であった. 予後は全例 mrs 0 ないし 1 である. 前期はクリッピング 7 例でコイリング 2 例, 後期はクリッピング 2 例でコイリング 6 例であった. 前期のコイル選択理由は高齢と重症, 後期のクリッピング選択理由は広頚動脈瘤, 小さすぎるもの, 多発動脈瘤などであった. 以上を合計するとクリッピング群 9 例, コイリング群 8 例となる.CR はコイリング群で 8 例中 5 例 (62.5%), クリッピング群で 9 例中 7 例 (77.8 %) で有意差なし. 寛解までの期間はコイリング群で平均 2.9 ヶ月, クリッピング群で平均 1.9 ヶ月であった ( 有意差なし ). PR 群では複視, 眼瞼下垂, 瞳孔不同のいずれかががみられているが日常生活に問題ありと訴える症例はない. 予後予測因子としては術前の動眼神経麻痺の程度が関係していたが, 破裂の有無, 年齢, 罹病期間および術式は無関係であった. 結語 内頚動脈瘤による ONP はコイリングとクリッピングが同等の治療成績であることから, 治療法選択をする際に動眼神経麻痺の有無は重要ではないと考える. 1-O7-7 脳動脈瘤コイル塞栓術 715 例における 1 st coil と VER の検討 埼玉医科大学国際医療センター脳血管内治療科 根木宏明 Neki Hiroaki 溝上康治 山根文孝 神山信也 新美淳 石原正一郎 掛樋善明 上宮奈穂子 はじめに 脳動脈瘤におけるコイル塞栓術において, 良好な結果を得るためには, 高い塞栓率 (Volume embolization rate:ver) が必要であり, コイル選択は重要な意味合いを持つ. われわれは高い VER を得るために, どのように 1 st coil を選択したら良いかを検討し報告する. 対象 方法 2007 年 4 月から 2014 年 3 月までの 6 年間に初回コイル塞栓術を施行した嚢状動脈瘤 715 例を対象とした.1 st coil primary diameter において inch coil を small coil, それ以外の広径 coil を large coil とした.1 st coil 体積 / 動脈瘤体積を 1 st coil VER とし, 最終的な VER を total VER と定義した. 動脈瘤破裂の有無, 動脈瘤部位, 動脈瘤サイズ,1 st coil primary diameter,1 st coil VER,total VER を検討項目とした. 結果 当院での total VER 平均は 33.0 % であり,1 st coil に large coil を用いた症例は 428 例であった (59.9 %). 動脈瘤破裂の有無や動脈瘤部位による VER への影響は認めなかった.small coil 群, large coil 群間で 1 st coil VER 及び total VER に有意差が見られた. 動脈瘤サイズと 1 st coil VER 間に負の相関関係を認めた.1 st coil VER と total VER 間には,1 st coil VER:15 % までは相関関係を認めたが,15 % 以上は total VER に差が認められなかった. 考察 1 st coil に広径コイルを用いる事で 1 st coil VER,total VER 共に高い値を得られる可能性が示唆された.1 st coil VER: 15 % 以上を求める必要は無いと考えられた. まとめ 1 st coil は広径コイルを用い,VER:15 % を目標としたコイル長を選択する事が高い total VER, すなわち良好な塞栓につながると考えられた. JNET Vol.8 No.6 December
14 1-O7-8 脳動脈瘤コイル塞栓術が不成功に終わった症例の検討 君津中央病院脳神経外科 田島洋佑 Tajima Yosuke 岡陽一 早坂典洋 須田純夫 高躍 海老原幸一 村山浩通 背景 目的 脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の件数は増加傾向にあり, 当院でも第一選択としているが, 時折治療が完遂できない症例を経験する. 自験例でコイル塞栓術が不成功に終わった症例を検討する. 対象 2008 年 1 月から当院でコイル塞栓術を試みた脳動脈瘤の内, 再発例, 意図的に親動脈塞栓術を行った症例を除外した 111 動脈瘤 (105 例, 男性 39 例, 女性 66 例, 破裂 75 例, 未破裂 36 例, 平均 63.7 歳 ) を対象とした. 結果 コイル塞栓術が不成功に終わった症例は 7 例 (6.5 %)( 破裂 5 例, 未破裂 2 例 ) であった. 原因の内訳は,broad neck でありコイルが逸脱し留置できなかった症例 2 例, マイクロカテーテル誘導不可能もしくは不安定であった症例が 4 例, ガイディングカテーテル誘導後に major な遠位塞栓を起こした症例が 1 例であった. また 7 例の内, ガイドワイヤーによる血管穿孔を 4 例に認めた. その後の対応として,5 例はクリッピングを施行し,1 例は親動脈塞栓術, 遠位塞栓術を発症した 1 例に対しては血栓吸引術を施行したものの再開通せず, 治療は行えなかった. 転帰は退院時 Glasgow Coma Scale で MD 2 例,SD 4 例,D 1 例であった. 考察 コイル塞栓術が不成功に終わる原因の大半はマイクロカテーテルが誘導できないことによるものであった. 更に術中ガイドワイヤーによる血管損傷が多いことも特徴的であった. 結果として転帰不良例も多かった. 術前に十分な検討を行えば避けられる可能性もあり, 慎重に治療方針を判断すべきだと思われる. 各症例を提示し, その問題点 注意点を考察する. 1-O8-2 椎骨解離性動脈瘤に対する脳血管内治療 :Anterior spinal artery と合併症の関係 済生会宇都宮病院脳神経外科 中務正志 Nakatsukasa Masashi 錦見満暁 北村洋平 真柳圭太 目的 解離性椎骨動脈瘤 (VADA) に対する血管内治療の有効性を調べるため過去の自験例を検討した. 対象と方法 当施設にて過去に脳血管内治療を行った椎骨解離性動脈瘤 19 例 ( 破裂 16 例, 未破裂 3 例 ) を対象とし, 血管解剖 [PICA と前脊髄動脈 (ASA) の位置 ], 塞栓方法, 合併症等について調べた. 結果 PICA の位置関係で分けると PICA distal type が 11 例,PICA involved type が 4 例,PICA proximal type が 2 例 (1 例は PICA end),pica absent type が 2 例で治療法は internal trapping を 16 例 ( 内 2 例は OA-PICA 吻合術併用 ),proximal occlusion を 3 例で選択した. ASA は両側の anterior spinal branch(asb) から灌流されたもの 5 例 ( 術前に診断されたもの 3 例, 術後に確認できたもの 2 例 ), 同側の椎骨動脈 (VA) から出ていたもの 7 例, 対側の VA から出ていたもの 4 例, 遠位側が対側の VA から近位側が V 3 から灌流されたもの 1 例, 確認できなかったもの 2 例であった. 同側の VA から出ていた症例のうち 5 例では慢性期まで温存でき,1 例では治療により閉塞したが ASA 領域の梗塞の出現はなく,1 例では慢性期には VA 遠位の閉塞により起始部は消失していたが側副血行路から描出されていた. 両側 VA から灌流されていた 1 例で治療中の V 3 の血管攣縮により術後 ASA 領域に梗塞を生じた. 結論 VADA の血管内治療で ASA は温存することが困難な場合もあるが最終的に温存できなくても今回の症例では梗塞は生じなかった. 原因としては治療中に確認できなかった対側の ASB が ASA の runoff となり頚髄の神経根脊髄動脈からの逆行性に灌流された可能性や ASA が長軸方向の連続性が強く吻合も多いため周囲から灌流された可能性などが考えられた. 1-O8-1 脳底動脈先端部動脈瘤に対する血管内治療 再発と合併症に関する連続 80 例の解析 群馬大学医学部附属病院脳神経外科 老年病研究所附属病院脳神経外科 前橋赤十字病院脳神経外科 清水立矢 Shimizu Tatsuya 朝倉健 内藤功 好本裕平 藍原正憲 宮本直子 木幡一磨 目的 脳底動脈先端部動脈瘤 (BA tip AN) に対する血管内治療の治療成績を検討し問題点を明らかにする. 対象 2004 年 4 月から 2014 年 3 月の 10 年間に上記 3 病院で血管内治療により加療された連続 80 例を後方視的に解析した. 平均年齢 66 歳, 男 : 女 = 15: 65, 破裂 38 例, 未破裂 42 例 (mass effect 発症 3 例を含む ). 平均最大瘤径は 7.8 mm(15 mm 以上 11 例 ) であった. 結果 再発に伴う再治療は 10 / 80 例 (13 %) で行われた. 再発に関連する因子としては, 大型瘤, 初期塞栓結果 が単変量解析で有意であったが, 多変量解析では前者のみが有意であった ( オッズ比 16.0, 95 % 信頼区間 ,p= 再発は次の 3 パターンであった.1.neck 脇からの de novo 瘤様再発 :2 例 ( 追加塞栓で安定 ),2.coil compaction を伴い瘤全体が増大し再発 :5 例 ( 巨大瘤となった 2 例で破裂し死亡,1 例で最終塞栓後 2 年間安定, 直近の 2 例は再治療の際にステントを使用して塞栓後 follow-up 中 ),3. 初発時より巨大血栓化瘤 :3 例 ( 瘤内および椎骨動脈閉塞による加療を行うも平均 2 年の経過で破裂し死亡 ). 合併症は 92 回の治療中,35 回 (38 %) で発生. 梗塞 15 例, 術中破裂 11 例であったが, 永続性合併症は 11 / 92(12 %) であった. 良好な予後 (mrs は, 破裂例の 22 / 38(59 %) で得られ, 術前 WFNS grade と関連していた. 未破裂例では 35 / 42(83 %) が予後良好であった. 予後不良の要因は, 術中破裂および前述の再発であった. 考察 大型瘤は再発率が高いがそのパターンを認識して加療を行う必要がある.Coil compaction を伴う瘤の増大再発は巨大瘤に至る前のステントを用いた塞栓に期待がもたれる. 巨大血栓化瘤の治療法は確立していない. 1-O8-3 解離性椎骨脳底動脈瘤の外科的治療群の臨床経過 当院での 10 年間の prospective database から 東京慈恵会医科大学附属病院脳神経外科 西神戸医療センター脳神経外科 渡邊充祥 Watanabe Mitsuyoshi 小林紀方 郭樟吾森良介 村山雄一 石橋敏寛 菅一成 結城一郎 西村健吾 高尾洋之 鈴木倫明 目的 椎骨脳底動脈部の解離性脳動脈瘤 (VADA) は脳卒中発症のリスクがあり広く治療されているが, その臨床経過は明らかでない. 今回我々は当院の prospective database を用い, 外科的治療を行った VADA 患者の臨床経過を解析したので報告する. 方法 2003 年 10 月から 2014 年 4 月の 10 年間で当施設の外来を受診した 161 人の VADA の患者うち, 外科的治療を行った 31 人 (19 %)33 瘤の患者を前向きに経過観察した. 評価基準として破裂群 (R) は最終受診日の mrs,mortality and morbidity(mm:mrs, 再出血, 再手術を, 非破裂群 ( 脳梗塞発症群 :I, 増大群 :G, 無症候群 :A) は mrs,mm, 術後破裂 脳梗塞の有無とした. 結果 動脈瘤の内訳は R 群 17 瘤 (52 %),I 群 2 瘤 (6 %: 全て増大あり ), G 群 6 瘤 (18 %),A 群 9 瘤 (27 %) であった. これらを術後平均 3.0 年追跡したところ,R 群は全て PAO を施行し, 再出血は 0 % であったが 3 %(1 瘤 ) に再開通を認め, 再手術を行った. 平均 mrs 1.4,MM 46% であった.I/G/A 群でも術後破裂は 0 % であったが, 脳梗塞はそれぞれ 0 / 33 / 44 %(0 / 2 / 4 瘤 ) に生じた. このうち,G 群と A 群で各 1 例ずつ術後出血性梗塞を発症,G 群の例では外減圧が必要となった. 平均 mrs 0.9,MM 21% であった. 治療内容としては非破裂例での PAO 群の平均 mrs は 0.7, stent+coil 群では 0.8 と大きな違いを認めなかった. また両側 VADA 例で 3 瘤に PAO を施行したが, 対側の VADA が増大して治療に至った例は無かった. 結語 Prospective に観察することで VADA の治療後臨床経過が明らかになった. 今後症例数を更に増やすことで信頼性の高いデータにすることが期待され, 自然歴との比較を含めて検討したい. 208 JNET Vol.8 No.6 December 2014
15 1-O8-5 般口演1-O8-4 非出血性症候性椎骨動脈解離の検討 城山病院脳血管内治療科 盛岡潤 Morioka Jun 村尾健一 三輪博志 朴陽太 目的 出血発症以外の症候性椎骨動脈解離に対し当院では血圧管理を行って慎重に経過観察し解離腔が増大すれば血管内治療を行っている. 解離増大例の特徴, 治療成績について検討した. 対象, 方法 2006 年 7 月 1 日 2014 年 7 月 1 日までに入院した頭蓋内椎骨動脈解離のうち初診時に出血を伴わず後頭部痛, 神経症状 ( 脳梗塞の有無を問わず ) を呈した 37 例. 男性 26 例 (70%), 平均年齢 49 ± 9 歳. 基礎疾患, 喫煙歴, 画像所見, 治療成績について検討した. 結果 発症形式 : 頭痛のみが 18 例, 残り 19 例は神経症状あり. 基礎疾患 : 高血圧 24 例, 高脂血症 13 例, 糖尿病 4 例, 喫煙 17 例. 画像所見 :pearl & string sign 16 例,fusiform dilatation 11 例, 狭窄 / 閉塞 9 例, 嚢状瘤様拡大 1 例. 右側 16 例, 左側 21 例. 椎骨動脈に明らかな laterality があった 16 例中 dominant side の解離は 2 例.PICA との位置関係では PICA 分岐より distal にあったものが最多で 18 例 (49%). 治療 : 抗血小板剤が 18 例, スタチンが 23 例に投与された. 血管内治療は 6 例 (trapping:3 例,Stentassisted coiling:3 例 ) で行われた. 手技に関連する合併症はなし. 経過 : 形態的な悪化 ( 解離腔増大 / 真腔狭窄 ) をきたしたものは 10 例 (27%). 高脂血症と形態的悪化の間に有意な相関がみられた. 保存的加療群 ( 平均 follow up 期間 24 ヶ月 ) において治療介入後の破裂はなし. 血管内治療群 ( 同 30 ヶ月 ) においても破裂や虚血性合併症はみられなかった. 結論 高脂血症合併例では形態的に悪化しやすくより注意深い経過観察が必要と考えられた.trapping では虚血性合併症が危惧されるが Stent では解離腔の圧着, 真腔拡大が期待でき Stent の良い適応と思われる. 過去 17 年間に当院で経験した後大脳動脈に対する血管内治療 10 例のまとめ 国立病院機構水戸医療センター脳神経外科 松村英明 Matsumura Hideaki 山崎友郷 加藤徳之 藤原雄介 細尾久幸 安田貢 目的 当院で過去に血管内治療をおこなった後大脳動脈瘤症例に関してまとめ, 文献的考察とあわせて報告する. 対象 1997 年から 2013 年の間に血管内治療をおこなった後大脳動脈瘤の症例を診療録を用いて後方視的に検討した. 結果 対象期間に血管内治療をおこなった脳動脈症例はのべ 1207 例で, そのうち後大脳動脈瘤は 10 例 (0.8 %) であった. 平均年齢 52.7 ± 15.6 歳 (12-65 歳 ), 男性 2 例. くも膜下出血で発症したものが 5 例, その他脳梗塞の精査で見つかったもの 1 例, 頭痛の精査で AVM に合併して発見されたもの 1 例, 動脈瘤の mass effect で麻痺が出たもの 1 例, 頭痛の精査, 頭部打撲の精査で見つかったものそれぞれ 1 例ずつであった. 動脈瘤の大きさは 5 mm 未満が 2 例,5 mm 以上 10 mm 未満が 6 例,10 mm 以上が 2 例であった. 嚢状動脈瘤は 7 例, 紡錘状動脈瘤は 3 例であった. 紡錘状動脈瘤は 3 例とも親血管閉塞をおこない特に梗塞性合併症なかった. 嚢状動脈瘤でも部分血栓化巨大動脈瘤の 1 症例と解離性動脈瘤が疑われた 1 症例に関しては親血管閉塞をおこなったが 2 例ともに脳梗塞をきたした. この 2 例は fetal type の後大脳動脈であった. 結論 後大脳動脈瘤は紡錘状である率や巨大動脈瘤である率が他の部位にくらべると高く親血管閉塞が必要となることが多い. 親血管閉塞をおこなった症例のうち, 脳梗塞をきたした症例は fetal type の後大脳動脈であった.fetal type では発生学的に前方循環から後方循環への側副血行が乏しいため脳梗塞をきたした可能性がある. 一1-O8-6 後下小脳動脈を含む破裂解離性椎骨動脈瘤の血管内手術 横浜市立大学附属市民総合医療センター脳神経外科横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センター 間中浩 Manaka Hiroshi 笹目丈 竪月順也 川崎隆 濱田幸一 坂田勝巳 浮城一司 宮崎良平 目的 くも膜下出血 (SAH) で発症した破裂椎骨動脈解離性動脈瘤 (VA-DA) の血管内治療は, 破裂部と考えられる拡張部分を含めて, その心臓側 中枢側の血管壁に異常がないところから異常のないところまで, いわゆる "normal-to-normal" でコイルで遮断するのが基本である. 破裂部と考えられる拡張部分よりあるいは拡張部分近傍から PICA が分岐している症例において, 血管内治療により PICA 温存することを優先して治療した VA-DA の再破裂の有無について検討した. 方法 拡張部分あるいはそれに近接した部分から後下小脳動脈 (PICA) が分岐している VA-DA で,PICA を温存することを優先して塞栓し, 転帰について後ろ向き研究を行った. 結果 に血管内手術で治療した破裂 VA-DA は 17 例あり, 拡張部分あるいはそれに近接した部分から後下小脳動脈 (PICA) が分岐しているものは 10 例であった. PICA は, ちょうど拡張部分の遠位からの分岐が 2 例, 拡張部分からの分岐が 5 例, ちょうど拡張部分の近位からの分岐が 3 例であった. 拡張部分から分岐していたうちの 1 例は,PICA を含めて遮断した. 残りの 9 例は,PICA の温存を心がけ,PICA 起始部が拡張部の直近から分岐しているものは起始部ぎりぎりまでをコイルで閉塞し, 拡張部から PICA が分岐していたものは拡張部を一部残してコイルで閉塞した.follow-up では全例再出血なく経過し, 形態学的変化もきたさなかった. 結論 拡張部分あるいはそれに近接した部分から後下小脳動脈 (PICA) が分岐している VA-DA で, PICA を温存して形態学的異常部分を残した塞栓術を行っても再出血を防げる可能性がある. 1-O8-7 後方循環末梢性動脈瘤に対する母血管閉塞治療の問題点について 亀田総合病院 稲葉眞貴 Inaba Maki 帯包雄次郎 田中美千裕 坂田義則 門岡慶介 波出石弘 田邉淳 山崎文子 緒言 後方循環における末梢性動脈瘤治療については直達術が困難な例も多く, 血管内治療選択が standard となってきた. しかし治療法については直達術と同様に母血管閉塞を余儀なくされることも多く穿通枝梗塞の危険がある. 今回我々は後方循環末梢性動脈瘤の血管内治療の成績と解剖学的問題点について検討した. 対象 2007 年 1 月から 2014 年 6 月までに治療を行った後方循環末梢性動脈瘤例 11 例中, 血管内治療を施行した 8 例を対象とした. 結果 8 例の平均年齢は 65 歳で, 男性 2 名, 女性 6 名. 破裂瘤 7 例, 未破裂 1 例, くも膜下出血発症 7 例の入院時重症度は WFNS grade 2 が 5 人,grade 4 が 2 人であった. 部位は PCA(P 2 より遠位 )2 例,SCA 2 例,AICA 1 例,PICA distal 1 例であった. 塞栓物質の選択はコイル 6 例,NBCA 2 例で使用され, 全例母血管と瘤の完全閉塞を達成した. 術後 30 日時点での転帰は mrs 1 3 人,mRS 2 1 人,mRS 3 1 人,mRS 4 3 人であった. 術後 mrs 悪化症例は 2 例であった.2 例とも穿通枝梗塞に関連したものであった. 結語 上小脳動脈や後下小脳動脈の皮質領域の側副血行路は比較的豊富で, 母血管を閉塞しても皮質梗塞の危険性は低いが, バルーン閉塞試験が施行不可能な例も多く, 閉塞に先立ち血管撮影所見よりその還流領域を充分に把握しておく必要がある. また機能予後は穿通枝の温存に依存しており, 高解像度の cone beam CT 等を参考にしながら機能解剖学に基づいて穿通枝の起始部の分布パターン理解する必要がある. JNET Vol.8 No.6 December
16 1-O8-8 椎骨動脈解離性動脈瘤に対する血管内治療 (internal trapping) 後の延髄梗塞は高率に発生するのか? 岡山大学大学院脳神経外科 清水智久 Shimizu Tomohisa 高杉祐二 杉生憲志 新治有径 菱川朋人 西廣真吾 平松匡文 冨田祐介 春間純 伊達勲 背景 破裂椎骨動脈解離性動脈瘤 (VADA) に対する internal trapping(it) の合併症として, 延髄梗塞が高率に発生し, その危険因子はコイルによる長い閉塞区間と報告されている. 方法 2000 年 3 月 2014 年 5 月に当科にて破裂 VADA に対して IT を施行した 98 例のうち, 長期予後を確認できた例を対象に, 延髄梗塞の有無及び予後を検討した. 当科では一貫して IT は, 血管膨隆部を中心に行い, 正常血管には可能な限りコイル留置しない方針で施行してきた. 延髄梗塞は直近の MRI で確認し, 予後については mrs で評価し,mRS 0-2 を予後良好,mRS 3-6 を予後不良とした. 結果と考察 3 か月以上 follow できた症例は 53 例で,follow 期間は平均 43.7 か月 (3-157 か月 ) であった. 男性 35 例女性 18 例, 年齢は平均 64.8 歳 (34-73 歳 ).MRI 上 6 例で延髄梗塞を認め, 37 例ではなし, 不明 (MRI 撮影なし ) は 10 例であったが延髄梗塞を疑う神経症状は認めなかった. 予後に関しては, 良好群 41 例, 不良群 12 例であったが, 延髄梗塞症例は全例予後良好であった. 延髄梗塞は, 破裂 VADA の IT 後約半数に出現し, その存在は予後不良因子と報告されている. 今回の調査では延髄梗塞の発生率は低く, これは当科では治療の際に血管膨隆部のみ閉塞していることが理由であると考えられる. また, これに伴い良好な予後が得られたと考えられる. 一方で follow できなかった例の中には重症で早期死亡例も多く, この中に延髄梗塞例が高率に含まれている可能性もある. 結論 本調査では延髄梗塞発生率は低く, 短区間 ( 膨隆部のみ ) でのコイル塞栓術の有効性が示唆された. 1-O9-1 頭蓋内大型, 巨大内頸動脈瘤に対する治療戦略 長崎大学医学部脳神経外科 小倉記念病院 前田肇 Maeda Hajime 堀江信貴 林健太郎 出雲剛 山口将 松尾孝之 福田修志 諸藤陽一 はじめに 頭蓋内大型, 巨大内頸動脈瘤における治療は直達手術が困難である事が多く, 母血管の遮断が必要となる事がある. 当施設にて経験した大型, 巨大内頸動脈瘤の治療法について retrospective に検討した. 対象 方法 当施設で 2006 年 4 月 2013 年 12 月に外科治療を行った大型 巨大内頸動脈の 9 症例を対象とした. 男性 2 例, 女性 7 例, 平均年齢 55 歳 (27 77 歳 ) で, 瘤の最大径は mm( 平均 23.9 mm) であった. 術前にバルーン閉塞試験 (BOT:balloon occlusion test) を行い, 患者背景と合わせて,STA - MCA bypass 術あるいは EC - M 2 血行再建術の併用の有無を選択. さらに血管内あるいは直達手術での母血管遮断を選択した. 結果 STA - MCA bypass 4 例,EC - M 2 bypass 5 例に施行した. 母血管遮断方法は血管内手術が 5 例, 直達手術が 4 例であった. いずれの症例も良好な経過を得られた. 結論 大型, 巨大動脈瘤の治療は難渋する事が多く, 患者背景や神経症状の有無,BOT の結果から個々の症例において治療法を検討することが重要である. 1-O9-2 大型 巨大脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療成績 岡山大学大学院脳神経外科 高杉祐二 Takasugi Yuji 清水智久 杉生憲志 新治有径 菱川朋人 西廣真吾 平松匡文 伊達勲 春間純 目的 当院における大型 巨大脳動脈瘤 (LGAN) に対するコイル塞栓術の治療成績を検討した. 方法 2005 年 1 月から 2014 年 5 月で, 当院で治療を行った大型 (15 mm 以上 ) および巨大 (25 mm 以上 ) 脳動脈瘤 34 例,34 個, 計 43 回の治療を対象とし, 周術期合併症, 再発, 予後を検討した. 結果 男性 9 例, 女性 25 例で, 年齢は 歳 ( 平均 63.4 歳 ). 部位は前方循環 19 個, 後方循環 15 個. 大型瘤 27 個, 巨大瘤 7 個で, 症候性瘤が 20 個 (SAH 4 個, 脳幹圧迫 5 個, 神経圧迫 11 個 ), 無症候性瘤 14 個. 動脈瘤の平均最大径は 20.2 mm であった. 治療方法は, 母血管閉塞 (PAO)6 回, 瘤内塞栓 34 回 (simple technique 1 回,double catheter 2 回, balloon remodeling 11 回,stent assisted 4 回, これらを組み合わせた複合テクニック 16 回 ). 塞栓結果は complete occlusion 14 回, neck remnant 11 回,body filling 9 回.12 / 34(35.3 %) に再発を認め.9 例に再治療を行った. 周術期合併症は 6 / 43(14.0 %) に認めた ( 虚血 4 例, 出血 2 例 ). 予後は症候性動脈瘤では神経症状改善 13 / 23(56.5 %), 増悪 3 / 23(13.0 %), 不変 7 / 23(30.4 %) で, 無症候性動脈瘤では増悪 2 / 17(11.8 %), 不変 15 / 17(88.2 %) であった. 結論 LGAN に対するコイル塞栓術は比較的安全に施行できるものの, 再治療率が高く, 特に症候性の場合, 神経症状改善は約半数にとどまる. 更なる治療法の開発が期待される. 1-O9-3 症候性脳動脈瘤の血管内治療 京都大学医学部脳神経外科 新井大輔 Arai Daisuke 安藤充重 石井暁 千原英夫 菊池隆幸 池田宏之 武信洋平 宮本享 山尾幸広 目的 症候性脳動脈瘤においては, 術後の coil mass の影響を懸念し瘤内塞栓は敬遠される傾向にあり, その有効性は明らかとされていない. 当院およびその関連施設における症候性脳動脈瘤症例を後方視的に観察し, 瘤内塞栓後の症状の予後やその関連因子を検討する. 方法 2007 年以降の血管内治療症例および 2009 年 5 月以降の手術症例の中で, 術後 6 ヶ月以降の追跡が行えている症候性動脈瘤症例 31 例を抽出し, 治療ごとに術後 1 ヶ月の短期成績および 6 ヶ月以降の長期成績を算出した. 血管内治療は 21 例 ( 瘤内塞栓単独 15 例, 瘤内塞栓 + 母血管閉塞 5 例, 母血管閉塞単独 1 例 ), 手術治療は 10 例 ( クリッピング 1 例, 母血管閉塞 6 例,flow alteration 3 例 ) に行われていた. 結果 症状の消失または軽快を改善とすると, 血管内治療群においては瘤内塞栓単独で短期改善率, 長期改善率ともに 80.0 % だった. 瘤内塞栓 + 母血管閉塞では短期改善率 20.0 %, 長期改善率 60.0 % だった. 手術群では短期改善率 40.0 %, 長期改善率 70.0 % だった. 瘤内塞栓単独および瘤内塞栓 + 母血管閉塞の治療群では, 症状消失と症状発現から治療までの期間に有意な相関 (p < 0.05) を認めたが, 動脈瘤の大きさや塞栓率に相関は認めなかった. 症状悪化と動脈瘤の再発でも有意な相関 (p < 0.05) を認めた. 結語 症候性脳動脈瘤において, 瘤内塞栓単独または瘤内塞栓 + 母血管閉塞でも比較的高い症状改善が期待できると思われた. これらの治療では, 症状発現から治療までの期間が短いほど術後の症状消失が期待でき, 動脈瘤再発が症状悪化につながることから, できるだけ早期に動脈瘤根治のための適切な治療を行うことが重要と思われる. 210 JNET Vol.8 No.6 December 2014
17 1-O9-4 般口演当施設における大型 巨大内頚動脈瘤に対する母血管閉塞術の周術期治療成績と長期予後 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 先端医療センター病院脳血管内治療科 清水寛平 Shimizu Kampei 坂井千秋 森本貴昭 足立秀光 今村博敏 菊池晴彦 坂井信幸 佐藤慎祐 谷正一 有村公一 鳴海治 柴田帝式 目的 安全かつ有効な瘤内塞栓が困難と考えられる大型 巨大内頚動脈瘤に母血管閉塞術 (PAO) を施行してきた. 近年 flow diverter が開発され,PAO に代わり新たな治療選択となりうる. PAO の合併症率と長期予後を検証し, 今後の治療選択の指標を考察する. 対象 方法 術前にバルーン閉塞試験(BTO) を施行し, ( 神経脱落症状の出現,( 静脈相出現の遅延 >2 秒を intolerable と判断し今回の検討から除外した. それ以外の大型 巨大内頚動脈瘤に対して 2002 年 1 月から 2013 年 12 月に PAO を施行した 24 人 / 25 動脈瘤を検討の対象とした.(mean stump pressure < 40 mmhg の症例には STA-MCA bypass 併用下に, それ以外は PAO 単独治療を施行した. 結果 患者背景は平均年齢 63(± 13. 歳, 女性 23 人 (95.8 %), 動脈瘤の平均最大径 24(± 7.8)mm, 部位は傍鞍部 6 例 / 海綿静脈洞部 18 例 / 錐体部 1 例であった. 症候は 19 例 (76%)/ 25 脳神経に認めた.6 例 (24 %) で STA-MCA bypass 術を併用した. 周術期虚血性合併症は 9 例 (36 %) で認め, 内 1 例 (4 %) で mrs の悪化を認めた. 術後に脳神経症状を 4 例 (16 %) で認め, 内 1 例 (4 %) が後遺症として残存した.23 人 / 24 動脈瘤が追跡可能であり, 平均追跡期間 62ヶ月 (±35.9), 累積 年であった. 脳神経症状は消失 14 例 (63.6 %), 改善 3 例 (13.6 %), 残存 3 例 (13.6 %), 不明 3 例であった. 再開通は 3 例 (12.5 %) で認め, いずれも再治療で再閉塞が得られた. 術後 31 日以降の脳卒中は認めなかった. 結語 Occlusion intolerance を除く大型 巨大内頚動脈瘤に対する PAO の周術期治療成績と長期予後は比較的良好であった.BTO で tolerable と判断される症例に対して flow diverter を導入する際には PAO を上回る治療成績が求められる. 1-O9-6 両側内頚動脈海綿静脈洞部動脈瘤 : 片側内頚動脈結紮後の対側動脈瘤の増大能 新潟大学脳研究所脳神経外科 西野和彦 Nishino Kazuhiko 森田健一 長谷川仁 伊藤靖 藤井幸彦 症候性の内頚動脈海綿静脈洞部動脈瘤 (CCA) に対しては, 治療的内頚動脈結紮術 (TICAO) が有効であるが, 長期的合併症として新生動脈瘤の形成や併存動脈瘤の増大が報告されている. 前者については多くの研究がなされているが, 後者はその病態が明らかになっていない. 一方,CCA は他の部位の動脈瘤を併存することが多く, 両側性に存在することも稀ではない. ここでは,CCA に対する TICAO 後の併存動脈瘤の増大能について検討した. 対象 1993 年から 2012 年に当科では 18 例の CCA に対して TICAO を行い, このうち適切に経過観察が行われた 12 例を対象とした.11 例は症候性であり,8 例ではバイパス手術を併用した. 成績 12 例中 10 例が計 12 個の併存動脈瘤を有した. 局在は対側内頚動脈海綿静脈洞部 :6, 中大脳動脈 :2, 前交通動脈 :1, 前大脳動脈 :1, 椎骨脳底動脈 :2 で, 診断時の大きさは 2-8 mm だった. 平均 8.1 年の経過観察中に 5 個 (42 %) が増大を示したが, すべて対側内頚動脈海綿静脈洞部の動脈瘤だった. この 5 例中 4 例にはバイパス手術が施行されていた. 径 15 mm を超えるまで増大した 2 例に対してはステント支援下コイル塞栓術を行った. 考察 本研究から両側 CCA に対する片側 TICAO 後には対側の動脈瘤が高頻度に増大する事実は明らかとなったが, 比較すべき無治療例のデータがないため TICAO の関与を断定するには至らない. バイパス手術には増大を抑制する効果は認められず,TICAO 後の hemodynamics の変化以外の要素が増大に関与している可能性がある. 結論 両側 CCA に対して片側 TICAO を行う際には, 対側が増大する可能性を念頭におく必要がある. 1-O9-5 体積塞栓率から検討した大型脳動脈瘤の治療成績 東京慈恵会医科大学脳血管内治療部 東京慈恵会医科大学附属柏病院脳神経外科東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 富士市立中央病院脳神経外科 菅一成村山雄一石橋敏寛結城一郎入江是明 Kan Issei 高尾洋之郭樟吾梶原一輝森良介西村健吾 坂本広喜渡邊充祥 目的 コイル単独もしくは頭蓋内ステント( 当院導入の 2009 年 4 月以降 ) を併用した瘤内塞栓術 ( 母血管閉塞を除く ) を行った未破裂大型脳動脈瘤の治療成績を検討した. 動脈瘤塞栓率計測ソフト (Neurovision) を用いて塞栓率を測定し, ステント導入前後での塞栓率および再治療率の変化を検討した. 対象と方法 2003 年 4 月より 2013 年 8 月まで治療した嚢状未破裂大型動脈瘤 154 症例のうち 110 名 ( 男性 32 名, 女性 78 名, 平均年齢 62.3 歳 ) の動脈瘤 ( 平均最大径 13.1 mm) のデータ解析を行った.Neurovision を用いて, 動脈瘤体積, 塞栓率 (VER) を測定した. 結果 110 名のうち再治療を 26 例 (23%) に要した.VER は全症例の平均で 25.3% であり, 再治療群, 経過観察群はそれぞれ VER 24.1 %,25.8 % であった. 平均の動脈瘤体積は 877 mm 3 で, 再治療群, 経過観察群でそれぞれ 1096 mm 3,816 mm 3 で, 再治療群で大きい傾向にあった. ステント導入前後での再治療率は導入前 28%(16 例 ) に対し導入後は 18%(10 例 ) と改善を認めた.VER はステント導入前後で導入前 27% に対し, 導入後 23.7% に低下傾向を認めた. 考察および結語 ステント導入後に VER は低下傾向にあるものの, 再治療率の改善を認めた.Trans cell,jailing technique など手技に関連する因子や, 使用コイルなど材料に伴う因子などを含め考察する. 1-O9-7 症候性海綿静脈洞部内頚動脈瘤に対するコイル塞栓術と直達術の比較検討 岡山大学大学院脳神経外科 岡山市立総合医療センター岡山市民病院脳神経外科 菱川朋人 Hishikawa Tomohito 高杉祐二 杉生憲志 新治有径 平松匡文 西廣真吾 春間純 徳永浩司 清水智久 伊達勲 目的 当科における症候性海綿静脈洞部内頚動脈瘤に対するコイル塞栓術 (C 群 ) と直達術 (D 群 ) の治療成績を比較検討した. 方法 当科で加療をした症候性海綿静脈洞部内頚動脈瘤 40 例,41 側を対象とした. 男性 10 例, 女性 30 例, 年齢 歳 ( 平均 59 歳 ), サイズ 16-40mm( 平均 26mm).C 群は 6 例,6 側,D 群は 34 例,35 側でフォローアップ期間は 1-15 年 ( 平均 4.3 年 ) であった.II,III,IV,V,VI 脳神経症状の改善率, 周術期合併症, 予後について検討した. 結果 C 群ではバルン併用 1 側, ステント併用 5 側.D 群はバルン閉塞試験に基づきバイパスの種類を選択し, 内頚動脈遮断を行った. バイパスなし 8 側,low flow 19 側, high flow 8 側. 内頚動脈の遮断は近位閉塞のみ 22 側,trapping 13 側に行い, 外科的遮断を 26 側, コイルによる遮断を 9 側に施行した.II,III,IV,V,VI 脳神経症状の改善は全脳神経の改善 C 群 : 83 %,D 群 :71 %, 改善なし C 群 :17 %,D 群 :17 %. 治療介入が 3 ヶ月以内の例に限定すると全脳神経の改善 C 群 :83 %,D 群 88 %, 改善なし C 群 :17 %,D 群 :0 % であった. 周術期合併症は C 群 0 %,D 群 6 %( 脳梗塞 1 例, 網膜虚血 1 例 ) に認めた. 予後は C 群 :GR 6 例,D 群 :GR 33 例,MD 1 例,SD 1 例であった. C 群で 1 例に再発を認め追加治療を行ったが,D 群では再発は認めなかった. 結論 症候性海綿静脈洞部内頚動脈瘤に対する両者の治療成績は概ね良好である. 早期治療介入にも関わらず, コイル塞栓術では直達術と比して脳神経症状の改善を認めない例が存在する. 直達術ではコイル塞栓と比べて内頚動脈遮断に伴う虚血合併症のリスクが存在する. コイル塞栓術では再発のチェックのための十分な経過観察が必要である. 一JNET Vol.8 No.6 December
18 1-O9-8 部分血栓化脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術 動脈瘤縮小を目指した症例選択と治療戦略 京都大学大学院医学研究科脳神経外科 康生会武田病院脳神経外科 池田宏之 Ikeda Hiroyuki 千原英夫 石井暁 新井大輔 長谷川仁 宮本享 菊池隆幸 安藤充重 目的 部分血栓化脳動脈瘤の自然歴は, 大部分が増大し予後不良であり非血栓化動脈瘤とは異なる病態である. 瘤内塞栓術後には高い再開通率を認め, 確実な根治術のためには動脈瘤を含めた trapping が推奨されている. 我々は部分血栓化動脈瘤のうち根治可能と思われた症例に対して瘤内塞栓術を行ってきたので, その症例選択および治療戦略を報告する. 対象と方法 2008 年 1 月以降に当施設で部分血栓化脳動脈瘤 23 症例に対して根治術を行った. このうち 11 症例が母血管の拡張を伴わない嚢状動脈瘤であり, clipping もしくは trapping が困難と判断した 9 症例を検討の対象とした. 臨床所見, 画像所見などを考慮して, 瘤内塞栓術で根治可能と思われた症例に対して瘤内塞栓術を行った. これらの 9 症例の治療経過から, 瘤内塞栓術で根治可能な部分血栓化脳動脈瘤について検討を行った. 結果 根治術として瘤内塞栓術を 4 症例, 外科手術を 5 症例で行った. 塞栓術のうち 2 症例でバルーン,1 症例でステント,1 症例でステントとバイパスの併用を行った. 瘤内塞栓術を行った 4 症例のうち,3 症例 (75 %) で動脈瘤の縮小を認めており過去の文献と比べて極めて高い根治率であった. 一方, 外科手術群の 5 症例はすべて flow alteration を行い,3 症例 (60 %) で動脈瘤の縮小を認めた. 両群の臨床所見, 画像所見の因子を単変量解析で比較すると, 動脈瘤への血行力学的負荷のみが有意な因子であり, 瘤内塞栓術群ではすべての症例が sidewall type であった. 結語 部分血栓化脳動脈瘤に対して瘤内塞栓術で根治を得るためには, できるだけ動脈瘤への血行力学的負荷が軽減した状態で密に瘤内塞栓を行うことが重要である. 1-O10-1 頚動脈ステント留置術後の過灌流症候群に対するリスク評価に応じた周術期管理聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター 吉江智秀 Yoshie Tomohide 高石智 小野元 植田敏浩 深野崇之 高田達郎 萩原悠太 野越慎司 徳浦大樹 宮下史生 水庭宣隆 背景 目的 CAS 後過灌流症候群 (HPS) の管理には術前のリスク評価と術後のモニタリングによる早期発見が重要である. 当院ではCT perfusionで術前リスク評価を, 経頭蓋超音波検査 (TCCS), 近赤外線モニター (INVOS) で術後モニタリングを行い, その結果により術後管理の方法を決定している. 今回は当院での HPS ハイリスク症例の管理について報告し,HPS の発症率とその臨床的特徴を検討した. 対象 方法 2008 年 6 月から 2014 年 7 月までに当院で CAS を施行した 285 例 ( 男性 254 例, 平均年齢 72.5 歳 ) を対象とした. 症候性狭窄 171 病変, 平均狭窄率 71.1% であった. 画像上過灌流を認める過灌流現象 (HPP),HPP のうち症候を伴う HPS の発症率と臨床的特徴を検討した. 当院では術前 CT perfusion での MTT 延長, 術後 TCCS での 1.5 倍以上の血流速度上昇, 術後 INVOS の 10% 以上の上昇の継続のいずれかがある場合を HPS ハイリスクと評価し, 術中よりプロポフォールでの鎮静, 降圧管理, エダラボン投与を行い.CT perfusion または TCCS で血流低下が確認された後に鎮静管理を終了している. 結果 HPP は 19 例 (6.6%), このうち HPS は 12 例 (4.2%) であった. 症候性脳出血 1 例 (0.3 %), 無症候性脳出血またはクモ膜下出血 4 例 (1.4 %), 痙攣 3 例 (1.0%), 頭痛または不穏症状 4 例 (1.4 %) であった.9 例は CAS 後早期に HPS を生じ, 遅発性 HPS は 3 例であった.HPS により後遺症が残存した症例は 2 例 (0.7 %) であり,CAS 後 6 日目での症候性脳出血,15 日目での痙攣重積であった. 結語 術前リスク評価と厳重なモニタリングにより HPS による術後早期の重篤な合併症は予防可能であったが, 遅発性に生じる症候は予測困難であった. 1-O10-2 頸動脈ステント留置術周術期における NIRS の変化 術後過灌流予測パターンについて 奈良県立医科大学脳神経外科 奈良県立医科大学放射線科 朴憲秀 Park HunSoo 中川一郎 弘中康雄 新靖 和田敬 吉川公彦 中瀬健太 本山靖 横山昇平 朴永銖 西村文彦 中瀬裕之 目的 現在の頸動脈ステント留置術 (CAS) 手技においてフィルター型 embolic protection device(epd) が用いられることが多く, ごく短時間の血流遮断のみでステント留置が可能となっているが, 術後の過灌流症候群 (Hyperperfusion syndrome;hps) の問題が解決されたわけではない. 今回我々はフィルター型 EPD を用いた CAS 周術期における HPS の予測とモニターの観点から NIRS の変化とその有用性について検討を行った. 方法 2010 年 1 月から 2014 年 6 月においてフィルター型 EPD を用いて CAS を行なった 102 例 ( 男性 86 例, 女性 16 例 ) を対象とした.NIRO- 200 NX( 浜松ホトニクス社 ) を用いてステント留置前後の各パラメーター (O 2 Hb,cHb,HHb,TOI,nTHI) の変化について cross flow 良好群,cross flow 無 / 不良群に分類し, 術前脳血流低下,MRI プラークイメージ,HPS 出現等について比較検討を行った. 結果 症候性が 48 例,Acom/Pcom cross flow は 16 例で無 / 不良であった.Cross flow 無 / 不良群では術前 SPECT 脳血流の低下及び術後 HPS の発生が有意に多い結果であった.Cross flow 無 / 不良群では後拡張の際のごく短時間の血流遮断により TOI の有意な低下を認めた. また CAS 後 HPS を呈した 2 例では短時間の血流遮断時の TOI の低下とそれに続く TOI の上昇を示すパターンを呈した. 結論 CAS 術中の短時間の虚血において鋭敏に TOI が低下し, stent 留置後一転 TOI の上昇を示すパターンは術後 HPS の予測因子の一つとなりうる可能性が示唆された. 1-O10-3 頚動脈ステント留置術の周術期における近赤外スペクトロスコピーは過灌流の予測と予防に有用である 千葉大学医学部附属病院脳神経外科 千葉大学医学部附属病院看護部 千葉大学医学部附属病院放射線部 足立明彦 Adachi Akihiko 中野茂樹 中塚由紀 小林英一 多部田美樹 梅北英夫 砂岡宏和 鳥光唯 高躍 新崎ちひろ 吉田陽一 大矢根聖奈 背景と目的 CAS 後の周術期には,CEA 後同様, 過灌流が起こりうる事が知られているが, その予測因子や, 予後に影響する因子について明らかではない部分も多い. 今回我々は,devastating な結果をもたらす術後過灌流症候群 過灌流状態について調査し, 関連する術前 術中因子について検討した. 症例 当院にて, 術中 術後に NIRS モニタを行った最近の連続約 40 病変を分析対象とした. 結果と考察 40 例中,6 例が過灌流を呈し, うち 1 例が無症候性ではあったが薄い SAH を呈していた. 術前背景の違いでは, 過去文献で指摘されている様に, 過灌流症例では全 6 例が症候性狭窄で, 高血圧既往であった. 術前の画像検査での狭窄病変部性状との関連では単独で有意なものは無く, それだけで過灌流を予測するのは困難と判断された.NIRS 値として術前 Balloon Protection 中の最低値, 解除直後, 解除 3 分後を抽出し検討したところ,NIRS 絶対値自体には有意な傾向は認められなかった.Asynmetry index ( 患側 / 健側 ), および左右差 ( 患側 - 健側 ) の変化に関して検討したところ,ROC 曲線上でも充分な感度 特異度を以て過灌流のリスク予測に有用である事がわかった. 具体的には左右差 > 2 % の上昇で, 留意する必要があり ( 感度 80 %),> 5 % も上昇するようであれば非常にリスクが高いと考え得た ( 特異度 100 %). また実臨床では,NIRS 値が上昇した際の過灌流対策のみならず, 逆に上昇が無いようであれば, 過灌流は否定的で, 例えば容易に乏尿となる高齢者で血圧を下げたくない時などに, 基準を緩められ, 有用と考えられた. 結語 CAS 術中の近赤外光モニタは, 術後過灌流予測に有用で, 周術期管理の上で重要な指標となると判断された. 212 JNET Vol.8 No.6 December 2014
19 1-O10-4 般口演頸動脈ステント留置術周術期の rso 2 から過灌流現象が予測できるか 武蔵野赤十字病院脳神経外科 佐藤洋平 Sato Yohei 原祥子 戸根修 橋本聡華 原睦也 金子聡 橋本秀子 玉置正史 渡邊顕弘 頸動脈ステント留置術 (CAS) 後の過灌流症候群は転帰を悪化させる併発症であり, その予防は CAS 周術期管理の重要な課題である. 我々は原則全身麻酔で Proximal protection と Distal filter protection を併用した CAS を施行しており, 術中から術後 2 日間, INVOS により rso 2 を持続的に評価し, 過灌流対策としている. この方法による成績と課題につき報告する. 対象と方法 2010 年 6 月から 2013 年 12 月までに CAS を施行した症例を対象とした. Balloon 付き Guiding catheter を使用し, 総頚動脈閉塞前後およびステント留置し balloon 開放前後の rso 2 を比較した. ステント留置後の rso 2 上昇が遷延する例に対し, 全身麻酔を 1 日延長して血圧 脳血流管理を行った. 結果 78 症例,85 病変に対し CAS を施行した. 年齢は中央値で 75 歳. 男性が 68 症例 (87 %) で症候性が 46 病変 (54 %) であった.17 病変 (20 %) でステント留置後に balloon を開放した際 rso 2 が開放前と比較して 20 % 以上上昇した.17 例中 10 例では総頸動脈閉塞により 20 % 以上 rso 2 が低下しており過灌流ではないとみなした. 他 7 例中 3 例で総頸動脈開放後 2 分経過しても rso 2 の上昇が遷延した. このうち 1 例と, 開放後の rso 2 上昇は 20 % 未満であったが上昇が遷延した 1 例で翌日まで全身麻酔を継続した. 覚醒させた 2 例中 1 例で無症候性のくも膜下出血を発症した. 結語 術中の rso 2 変化は, 術後の過灌流現象を予測するのに有用であった.Balloon 開放後に rso 2 が 20 % 以上上昇し, 遷延する例では全身麻酔の延長により過灌流による併発症を回避できる可能性が示唆された. 1-O10-5 近赤外線分光法 (NIRS) の新たな解析法 NIRO-Pulse による頸動脈ステント留置術におけるリアルタイム脳循環代謝評価の有用性 筑波大学医学医療系脳神経外科 筑波大学医学医療系救急 集中治療部 1, 丸島愛樹小山泰明鶴田和太郎伊藤嘉朗渡部大輔 Marushima Aiki 原拓真水谷太郎松村明近赤外線分光法 (NIRS) は, 脳組織中の酸素化 脱酸素化ヘモグロビン濃度や脳組織酸素飽和度の変化を非侵襲的に測定できるため, 脳血管障害における脳循環代謝の評価として注目されている. これまで, これらのパラメータは継時的変化としてとらえられてきたが, 共同演者の小山らが開発した NIRO-Pulse モードによりヘモグロビン濃度変化を脈波としてリアルタイムにとらえることが可能となった. 目的と方法 頸動脈高度狭窄症に対する頸動脈ステント留置周術期に NIRO-Pulse を使用した 8 例に対し, 血流遮断時の脳虚血耐性, ステント拡張後の徐脈 低血圧, 術後過灌流症候群を NIRO-Pulse により予測, 評価することができるか検証した. 結果と考察 NIRO-Pulse は, 全例において頸動脈ステント術中の総頸動脈及び内頚動脈遮断時のヘモグロビン濃度と脳組織酸素飽和度の低下を反映し, 脳虚血耐性の評価に有用であった. 徐脈 低血圧出現症例には, ヘモグロビン濃度を表す脈波の振幅の低下が認められ, 徐脈 低血圧の検出に有効であった. 再灌流後には病側は対側と比べて一過性にヘモグロビン濃度が上昇し過灌流となる症例が認められ, 術後過灌流症候群の早期検出に有用であると考えられた. 結語 NIRO-Pulse はリアルタイムにヘモグロビン濃度変化と脳組織酸素飽和度を把握することができるため, 頸動脈ステント留置周術期における脳虚血耐性評価と, 徐脈 低血圧 過灌流症候群の早期検出に有用であると考えられた. 一1-O10-6 CAS 術後の過灌流症候群早期発見のための両側 rso 2 モニタリングの有用性 埼玉医科大学国際医療センター脳血管内治療科 黒沢病院 新美淳 Niimi Jun 溝上康治 塚越瑛介 石原秀章 根木宏明 神山信也 掛樋善明 山根文孝 上宮奈穂子 石原正一郎 はじめに 頚動脈狭窄症に対するステント留置術 (carotid artery stenting:cas) の周術期では, 過灌流症候群に注意を要する. CAS 周術期の局所混合血酸素飽和度 (Regional Saturation of Oxygen:rSO モニタリングの有用性の報告は散見されるが, 多くは患側のみの変化や患健側差に注目している.rSO 2 は個人差が大きく, 周術期においては酸素投与や血圧変動等により, その値は変動し易い. 我々は両側 rso 2 モニタリングによって得られた患健側比に注目し,CAS 術後の過灌流症候群早期発見におけるその有用性について検討した. 対象と方法 対象は 2012 年 1 月から 2014 年 5 月まで, 当科における CAS 連続 100 例.INVOS (COVIDIEN 社 ) を用いて両側 rso 2 を麻酔導入時から術翌日まで持続的に測定した.rSO 2 モニタリングを施行しなかった 3 例, 患側のみモニタリング施行した 1 例, 両側血管拡張術を施行した 1 例, 術後 stent 感染を合併した 1 例, データ回収不能であった 2 例の計 8 例を除外し,92 例について検討した. 結果と考察 3 例 (3.3 %) で術後過灌流症候群を認めた. 過灌流症候群例では, 手術終了時の患側 rso 2 比 ( 患側 rso 2 / 前値 ) は 1.04,1.05,1.08 であったが, 患健側比 ( 患側 rso 2 比 / 健側 rso 2 比 ) はいずれも 1.1 以上であった. 他の 7 例では, 手術終了時の患側 rso 2 比が 1.1 以上であったが, 患健側比は 1.1 未満であり, 過灌流症候群は認めなかった. 患側のみでなく両側 rso 2 をモニタリングし, その患健側比に注目する事で, より正確に CAS 術後の過灌流症候群を早期に発見し得ると考えられた. 結語 CAS 術後の過灌流症候群の早期発見に, 両側 rso 2 モニタリングによる患健側比は有用である. 1-O11-1 Syngo i-flow による CAS/carotid PTA 前後の脳循環時間の変化と術後過灌流現象の検討 岐阜大学医学部脳神経外科 兵庫医科大学病院 山内圭太 Yamauchi Keita 榎本由貴子 吉村紳一 石澤錠二 岩間亨 目的 過還流症候群は CAS/carotid PTA 後の重篤な合併症の一つである. 今回我々 DSA 画像解析アプリケーションの一つである syngo i-flow を用いて CAS 前後の脳血流動態の変化と術後過灌流との関係について検討を行った. 対象 2014 年 2 月から 2014 年 7 月までに当院で CAS/carotid PTA を行った頸動脈狭窄 12 症例 13 病変を対象とした. 方法 総頸動脈に留置した 9 Fr バルーン付きガイディングカテーテルより,injector を使用し 5 ml/sec, 6 ml の条件で術前後に脳血管撮影を行った. その画像データを syngo i-flow により解析し, 術前後の脳血流動態の変化を評価した. ROI の設定は内頸動脈錐体部 ( 動脈相 ) と横静脈洞もしくは上矢状静脈洞 ( 静脈相 ) の 2 カ所に設定し,2 つの ROI の造影剤濃度がピークに達する時間の差を循環時間とした. 過灌流は術直後に SPECT を行い過灌流群と非過還流群に分けて評価した. 結果 症例は平均年齢 68.9 歳 (51-77 歳 ), 男性 8 例 (66.7 %) であった. 術直後の SPECT で 2 例に過灌流を認めた. 術前の脳循環時間は過灌流群 : 非過灌流群 = 8.5 ± 0.4:6.7 ± 1.0(sec ± SD) と過灌流群で有意に循環時間の遅延を認めた (p= 0.035). 術後の循環時間は 5.5 ± 0.6:6.4 ± 1.2(sec ± SD) と循環時間は両群で同等であった (p= 0.29). 結語 i flow を用いた CAS/carotid PTA 前後の脳循環時間は過灌流群で術前に非過灌流群より延長を認め, 術後に非過灌流群と同等に改善を認めた.Syngo i-flow による CAS/carotid PTA 前後の脳循環時間の評価は術後過灌流の予測に有用である可能性が示唆された. JNET Vol.8 No.6 December
20 1-O11-2 頚動脈ステント留置後の過灌流発症高危険群の脳血管撮影に基づく予測因子 小倉記念病院脳神経外科 太田剛史 Ohta Tsuyoshi 坂真人 永田泉 中原一郎 宮田悠 松本省二 西秀久 石橋良太 岡田卓也 五味正憲 渡邉定克 はじめに 頚動脈ステント留置術 (CAS) における過灌流症候群は術前 SPECT での脳血行動態評価に基づく高危険群が提示されているが, その中でどのような症例が実際に発症するかは分かっていない. 対象と方法 2012 年 1 月から 2014 年 7 月まで当院で術前脳血管撮影と Diamox 負荷 SPECT を行った初回 CAS 連続 73 例 (73.4 ± 7.4 歳, 男性 = 6 を対象とした. 術前 SPECT で 中大脳動脈領域の安静時血流が対側比 80 % 未満, 脳血管予備能 20 % 未満を危険因子とした. 中大脳動脈領域安静時血流の asymmetry index が術後に術前比 1.2 倍以上を過灌流現象と定義した.SPECT とは別に過灌流現象と術前脳血管撮影所見との相関を検討した. 結果 34 例が SPECT に基づく危険因子を有し, うち 7 例が過灌流現象 (2 例でくも膜下出血,1 例で脳出血,1 例でせん妄 ) を呈しており, 非発症例と比して入院日数が有意に延長していた (16.7 ± 8.4 vs. 7.8 ± 3.6). 過灌流現象は SPECT での危険因子をもつ群にしか起こらず,, の両方の因子を持つ 3 例では全員が過灌流現象を呈していた. 術前の脳血管撮影の解析からは, 前大脳動脈もしくは後大脳動脈から皮質動脈を介した軟膜髄膜吻合がありかつ狭窄遠位内頚動脈の描出が外頚動脈よりも遅い slow flow 像をもつ 8 例のうちの 7 例で過灌流現象が起こっていた. 結語 SPECT に基づく予測の検出感度は高いが特異度は低く, 検査そのものの負荷や全身麻酔などの過剰な周術期対策を招いているかもしれない. 対して術前の脳血管撮影は病変評価と同時に実施可能であり, 皮質動脈からの軟膜髄膜吻合と遠位内頚動脈の外頚動脈比遅滞血流を評価すれば, 従来よりも簡便に過灌流現象を確実に予測できるかもしれない. 1-O11-3 Neuro PBV を用いた CAS 後過灌流の予測と評価 葛西昌医会病院脳神経外科 藤本道生 Fujimoto Michio 糸川博 森谷匡雄 岡本紀善 富田禎之 菊地奈穂子 目的 頸動脈ステント留置術(CAS) における重大な合併症の一つとして, 術後の過灌流症候群があげられる. 一般的に CEA に比較して術後早期に症候を呈することが多いとされており, 脳灌流に関する早期の評価が必要である. 我々の施設では平成 23 年より脳血液量 (CBV) 測定用アプリケーションである Neuro PBV(Neuro parenchimal blood volume) を用いて,C-arm CT で術前および術直後の CBV の測定を行っており,CAS の術後管理に活用している. 今回は CAS 前後の NeuroPBV による CBV 変化の検討と, その有用性について報告する. 対象および方法 2011 年 1 月から当院で頸動脈狭窄病変に対して CAS を施行し,NeuroPBV による評価を行った 32 症例を対象とした. 術前および術直後の血管撮影時に NeuroPBV を用いて CBV の測定を行い, 患側 / 健側比を術前後で比較検討した. 結果 2 例が術後に過灌流による脳出血を来した.3 例ともステント留置直後の CBV 測定では, 出血部位に一致して局所的な CBV の顕著な上昇が認められており, 術直後の CBV の患側 / 健側比が 1.5 以上であり, かつ術前よりも 1.5 倍以上上昇していた. 考察 NeuroPBV は C-arm CT で CBV を測定するため, 術直後に血管撮影室から移動せずに CBV を測定することが可能である. そのため CAS の直後に患側 CBV の上昇率が顕著である場合は, 過灌流症候群を予測して鎮静を継続するなどの判断がその場で可能となり, 術後管理の指標として有用であった. 1-O11-4 CAS 後の過灌流症候群発症の予測因子と予後 朝日大学歯学部附属村上記念病院脳神経外科 宮居雅文 Miyai Masafumi 山下健太郎 武井啓晃 坂井聡太郎 郭泰彦 目的 Carotid artery stenting(cas) の周術期の合併症として過灌流症候群が知られている. 今回自験例での過灌流症候群発症の予測因子につき検討した. 対象 狭窄率 (NASCET 法 ) 症候性 50 %, 無症候性 70 % 以上を治療適応とし,CAS を行った連続 147 例を対象とした.CAS 翌日の安静時脳血流 (IMP SPECT) で対側 ( 健側 ) 比 5 % 以上の血流上昇を認めた症例 11 例 (H 群 ) とそれ以外の 136 例 (nonh 群 ) を比較検討した. 手技 局所麻酔下に Distal Balloon Protection を行い, 狭窄末梢血管と同径の PTA balloon で前拡張した後にステントを留置し, 後拡張は行わない. 術後管理 術後は収縮期血圧 120 mmhg 以下の厳格な血圧管理を行い, 過灌流発症の高リスク群には, 抗癲癇薬およびエダラボンの投与を追加した. 結果 H 群 11 例のうち 1 例で一過性の神経症状 ( 癲癇 ) が出現したが, 永続的神経脱落症状をきたした例は認められなかった. 過灌流症候群の予測因子としては, 年齢 (72 歳以上 ), 女性, 術前安静時脳血流の患側 / 健側比低下 (85 % 以下 ), 術前のダイアモックス反応性低下 (20% 以下 ), があげられた. 結論 術前に過灌流症候群発症の予測を行い, ハイリスク群に対しては厳格な血圧コントロールと抗癲癇薬 エダラボンの予防的投与を行うことにより, 良好な転帰を得ることができる. 1-O11-5 TOF-MRA における signal intensity ratio は頸動脈ステント留置術後の過灌流現象を予測する 熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学分野 三浦正智 Miura Masatomo 渡邉聖樹 中島誠 安東由喜雄 背景 頸動脈ステント留置術 (carotid artery stenting;cas) 後の重要な合併症として過灌流現象 (hyperperfusion phenomenon [HPP]) があり, 特に症候性 HPP は重篤な後遺症につながる恐れがある. 広範かつ高度の脳循環予備能低下が原因とされており, その予測には acetazolamide 負荷 SPECT が用いられるが, acetazolamide の副作用の懸念もある. 近年, 頭蓋内動脈狭窄患者の TOF-MRA における狭窄部前後の signal intensity ratio(sir) が, 脳循環予備能低下のマーカーとして注目されている. 今回, 頸動脈狭窄症患者における CAS 前 SIR と術後 HPP との関連を後方視的に調査した. 方法 対象は 2007 年 4 月から 2013 年 2 月までに CAS を施行した患者. 術前の頸部 TOF-MRA にて狭窄部前後の SIR を算出した (SIR=[distal SI - background SI]/ [proximal SI - background SI]).SIR 値と術後 HPP との関連について検討した. 結果 34 例 ( 男性 88.2 %, 年齢 72.6 ± 8.2 歳 ) 中,HPP は 8 例に見られた.HPP 群では術前 SIR 値が低く (0.63 ± 0.15 vs ± 0.1 6,p < 0.0 0, 狭窄率が高かった (8 1.6 % v s %, p= 0.036).SIR 0.83 をカットオフポイントとすると, 感度 100 %, 特異度 91.6 % で HPP を予測することができた. 結語 頸部 TOF-MRA における SIR は,CAS 後 HPP 予測に有用である可能性がある. 214 JNET Vol.8 No.6 December 2014
21 1-O11-6 般口演インドシアニングリーンを用いた近赤外線酸素モニタリングによる局所脳循環代謝評価 CAS 周術期における有用性と注意点 奈良県立医科大学脳神経外科 奈良県立医科大学放射線科 中川一郎 Nakagawa Ichiro 弘中康雄 吉川公彦 朴憲秀 本山靖 中瀬裕之 中瀬健太 朴永銖 岡本愛 和田敬 横山昇平 中川裕之 目的 頸動脈狭窄症に対する血行再建術の周術期における NIRS の有用性について報告されているが, 局所脳血流量を計測するには RI 検査や還流 MRI/CT 等が必要であり, ベッドサイドで繰り返し計測することが難しい. 今回我々はインドシアニングリーン (ICG) 及び NIRS を用い, ベッドサイドにおいて経時的に局所脳循環代謝評価を行い, その有用性と注意点について検討を行なった. 方法 2012 年 1 月から 2014 年 6 月に当院にて CAS を行なった 66 例 ( 男性 56 例, 女性 10 例 ) を対象とした.NIRO- 200 NX( 浜松ホトニクス社 ) を用いてステント留置前後の NIRS の各パラメーターの変化について, さらに ICG 0.2 mg/kg を静脈内投与して得られる時間濃度曲線から計測される MMT(mean transit time),bfi(blood flow index) 等の変化について, 術前後 SPECT の変化 ( 術前 CVR, 術後 AI), 術後過還流等との関連について検討を行なった. 結果 術前 CVR の低下を認めた 10 例中 2 例で術後過灌流症候群を生じた.BFI 比と術前 CVR 及び術後 AI はそれぞれ 0.01 %, 0.1% 水準で有意な相関が認められた. また術後 HP を認めた群 (n= 8) では HP を認めなかった群 (n= 58) に比べて術前 CVR, 術後 AI 及び cross flow の有無に有意な差を認めた. さらに有意な BFI 上昇,MTT 短縮を呈した. 結論 ICG を用いた NIRS により CAS 周術期の局所脳血流量の変化を BFI 値,MTT 値の変化として捉えることができた. また BFI 値は術前 CVR, 術後 AI と有意な相関を認めた.ICG-NIRS による局所脳循環代謝評価は簡便, 非侵襲的かつ, ベッドサイドで繰り返し行うことができその有用性が示唆された. 1-O12-2 Distal balloon protection と Closed-cell stent を第一選択とした頸動脈ステント留置術の治療成績 聖マリアンナ医科大学脳神経外科 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院脳神経外科 川崎市立多摩病院 伊藤英道 Ito Hidemichi 森嶋啓之 和久井大輔 大塩恒太郎 小野寺英孝 田中雄一郎 内田将司 佐瀬泰玄 緒言 当施設では頚動脈ステント留置術に distal balloon protection(dbp) と closed-cell stent(ccs) を第一選択としており, この方法での治療成績を報告する. 方法 対象は 2011 年 4 月から 2014 年 8 月に当院および関連施設において上記の方法で治療した 80 例である. 緊急手術例は除外した. 全例局所麻酔で行い, 対側閉塞例と虚血耐性が無い例は filter protection とした. 病変の屈曲が著しい例には open-cell stent を用いた. 術後 DWI 陽性, 術中徐脈 低血圧, 術後 30 日以内の major adverse event:mae( 脳卒中, 心筋梗塞, 死亡 ) について検討した. 結果 年齢は平均 72.2 歳で男性 62 例, 女性 18 例であった. 症候性 50 例, 無症候性 30 例で, 平均狭窄率は 77.9 % だった.80 例中 79 例で技術的成功を得た. 使用した塞栓防止デバイスは Gurdwire が 58 例 (73.4 %), Filterwire EZ が 10 例 (12.7 %),Optimo+Gurdwire が 11 例 (13.9 %) である. ステントは CCS が 65 例 (82.2 %),open-cell stent が 14 例 (17.8 %) であった. 術中徐脈 低血圧は 25 例 (31.6 %), 術後無症候性 DWI 陽性は 26 例 (32.9 %) に認めた.30 日以内の MAE は 3 例 (3.8 %) で虚血性脳卒中は TIA の 1 例のみであった. 過灌流症候群は無かった. 考察 DBP と CCS を主体とした頚動脈ステント留置術の成績は良好であった. その理由として DBP の優れた遠位塞栓捕捉と CCS のプラーク突出抑制が挙げられる. 1-O12-1 Distal balloon protection を用いた CAS の治療成績 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 先端医療センター脳血管内治療科 京都大学大学院医学研究科脳神経外科 1, 峰晴陽平今村博敏坂井信幸谷正一足立秀光 Yohei Mineharu 鳴海治坂井千秋佐藤慎祐有村公一森本貴昭 柴田帝式菊池晴彦 背景と目的 Distal balloon protection を用いた頚動脈ステント (CAS) の治療成績を検討した研究は多くない. 当施設における同治療法の成績について検討した. 方法 2001 年 7 月から 2014 年 2 月の間に当施設で施行した CAS 症例 778 例のうち, 緊急症例を除外した Carotid GuardWire 使用例 463 症例を対象として,30 日以内の major adverse cardiac and cerebrovascular events(30 d MACE) に関与する因子について解析を行った. 結果 患者の平均年齢は 71.3 歳 (28-91 歳 ), 男性の割合は 87.9%, 症候性が 44.1 %,NASCET は平均 74.5 %, 低輝度または混合病変が 39.8 % であり,Open cell stent の使用が 91.4 %,Carotid GuardWire 単独が 315 例で proximal protection 併用が 119 例であった. 30 d-mace は 19 名 (4.1 %) に認められ, うち 7 例 (1.5 %) は過灌流症候群であった.30 d-mace について, 年齢と性別との相関は認めなかった ( p = 0.12,0.99). 術中の一過性の虚血症状は MACE と相関しなかった ( p = 0.96).Proximal protection device の併用も相関を認めなかったが ( p = 0.6,open cell stent の使用は MACE を低減させる傾向を示した OR= 0.32(95 %CI: ,p = 考察 Carotid GuardWire を用いた CAS の治療成績について検討した.JRNET の報告と同様に open cell stent で良好な成績を示した.30 d-mace はこれまでの報告と遜色なく, 安全で有効な治療方法と考えられた. 1-O12-3 狭窄病変の形態, プラークの性状からみた頚動脈ステント留置術へのこだわり プロテクションデバイスとステントデザインをいかに使い分けるか 岸和田徳洲会病院脳神経外科 松本博之 Matsumoto Hiroyuki 武本英樹 廣鰭洋子 鐵尾佳章 西山弘一 緒言 頸動脈ステント (CAS) は, プロテクション側からは Balloon protection(guardwire),filter protection,proximal protection(parodi 変法 ), ステント側からは PRECISE, CarotidWall,PROTEGE が選択できる. 我々はプラークの性状や狭窄病変の形態に応じて, デバイスの特徴を活かした使い分けにこだわって CAS を行っている. 対象 2013 年 4 月以降当施設で CAS を行った 42 例. 術前に CTA DSA プラークイメージにより病変部の性状を評価し, デバイスを選択. プロテクションは Filter を基本とし,soft plaque で volume が多い場合は GuardWire を, 高度狭窄 仮性閉塞には Parodi 変法を選択. ステント選択は病変の形態を重視し, 屈曲病変には PRECISE を, 直状病変には CarotidWall を選択. 病変長の長いものや屈曲病変であっても soft plaque の場合には PROTEGE を選択. 結果 各デバイスの組み合わせは Filter/PRECISE 16 例,Filter/PROTEGE 13 例,Filter/ CarotidWall 4 例,Guardwire/PRECISE 2 例,Guardwire/ PROTEGE 1 例,Parodi 変法 /PROTEGE 3 例,Parodi 変法 / CarotidWall 3 例であった. 術中の合併症は認めなかった. 考察 Spider は病変通過の際に通常のガイドワイヤーを使用するため, フィルターでありながらも高度狭窄の通過性, 追随性は極めて良好であり, フレキシブルコネクター部の可動性により, 術中のフィルターの安定性も良好であった.PROTEGE は長いサイズラインナップや tapered design による radial force の軽減など,PRECISE と CarotidWall の中間的な特徴をもつステントデザインであると位置付けできる. 結語 各々のデバイスの特徴を理解し, 病変に応じて適切に使い分けることで安全に手技を遂行できる. 一JNET Vol.8 No.6 December
22 1-O12-4 Spider FX と Protégé による経皮的頚動脈ステント留置術 相模原協同病院脳血管内治療科 相模原協同病院脳神経外科 日本大学医学部脳神経外科 1, 渋谷肇 Shibuya Tadashi 吉野篤緒 松崎粛統 片山容一 梅沢武彦 片桐彰久 須磨健 目的 distal filter protection device(dfpd) については様々な問題点が指摘されているが, 当院では,DFPD の利点を生かした CAS を主に行っている.2012 年より DFPD である Spider FX と open cell stent である Protege が使用可能となり, 本邦でも device の選択が増えた. そこで,Spider FX と Protege を用いた CAS の有用性と問題点について検討したので報告する. 方法 2012 年 11 月から 2014 年 8 月までに当院および関連施設で Spider FX を DFPD とし, 頚動脈ステントに Protege を用いた CAS を施行した 34 例を対象に手技の成功率,MRI 拡散強調画像 (DWI) 陽性率, 合併症について検討を行った. 結果 平均年齢 74.5 歳, 男性 82.4 %. 平均狭窄率 88.8 %, 症候性 50.0 %.Protege の選択として distal ICA と CCA の血管径の差が大きい 19 例にテーパー型を用い, 病変長が 40 mm を超える長い病変の 8 例 23.5 % には, ロング型を用いた. また, 石灰化を伴った短い屈曲性病変 7 例 20.6 % には, 通常型を用いた.Spider FX の留置成功率は 100 % で Protege の留置成功率も 100 % であった.DWI 陽性率は, テーパー型 :2 例 10.5 %, ロング型 :3 例 37.5 %, 通常型 :2 例 28.6 % で全体として 20.6 % であったが, 全て spotty な非症候性病変であった. 明らかな Debris を捕捉できたものは,15 例 44.1 % で,8 例で DWI 陰性であり,distal embolism 完全阻止率は 53.3 % あった. 合併症としてロング型の 1 例で血管解離を生じたが, ステント追加でリカバリーできた. 結論 Spider FX は留置が容易であり,debris の捕捉能力も高く,Protege は血管径の差がある病変にはテーパー型, 長い病変にはロング型とその特徴を生かした CAS を行うことで治療成績を向上させることが可能であった. 1-O12-5 頚動脈ステント留置術 (CAS) Filterwire EZ と Mo.Ma. Ultra の治療成績の比較検討 社会医療法人医真会八尾総合病院放射線科 脳血管内治療科 奈良医大放射線科 社会医療法人医真会八尾総合病院脳神経外科 高山勝年 Takayama Katsutoshi 黒川紳一郎 明珍薫 吉川公彦 和田敬 中川裕之 木村僚太 背景 2008 年にわが国で頚動脈ステント留置術 (CAS) 認可以降 embolic protection device として filter protection device が主であったが,2012 年から正式な proximal protection device である Mo.Ma.Ultra(MM) が認可され, さらなる CAS の治療成績が期待される. 目的 filter protection device(filterwire EZ[FW]) と proximal protection device(mm) の CAS の治療成績および虚血性病変の発生頻度を比較検討する. 対象, 方法 2010 年 5 月から 2014 年 7 月まで当院および関連病院で FW または MM を用いて CAS を施行した連続 181 例 192 病変 ( 男性 156 例, 年齢 歳 ; 平均 73.6 歳, 症候性 77 病変, 狭窄率 ; 平均 81.2 %,FW 群 130 病変,MM 群 62 病変 ) で FW 群は全例標準手技で行いバルーンガイデイングカテーテルは使用しなかった. 技術的成功, 周術期の治療側の ischemic stroke, 術後 48 時間以内に撮影された Diffusion weighted image(dwi) での治療側の新たな虚血性病変の頻度について検討した. 結果 両群とも全例 CAS に成功したが,FW 群では 1 例 (0.8 %) で Percusurge に,MM 群では 4 例 (6 %) で FW に変更して CAS を施行した. 周術期 ischemic stroke は FW 群 2.3 %(3 / 130),MM 群 3.2 %(2 / 6 で両群間に差は認められなかった.DWI 陽性率は FW 群 23.4 %(30 / 128),MM 群 41.4 %(24 / 58) で FW 群で有意に低かった (P < 0.05). 結語 FW 群と MM 群間での ischemic stroke の発生頻度に差は認められなかったが, 虚血性病変の発生頻度は FW 群で有意に低かった. 1-O12-6 Fragile plaque が疑われる頚動脈狭窄病変に対する Carotid artery stenting の Proximal flow control protection の有用性札幌医科大学医学部医学部附属フロンティア医学研究所神経 再生医療学部門白石記念病院脳血管内治療センター 白石記念病院脳神経外科 中崎公仁 Nakazaki Masahito 橋本祐治 野中雅 本田修 高橋明 佐々木祐典 米増保之 本望修 恩田敏之 大坊雅彦 目的 脆弱プラークを有する頚動脈病変に対する Carotid artery stenting(cas) において,Proximal flow control(pfc) 併用の有無と治療後の MRI(DWI) 所見との関連を調査し,PFC の有用性を検討した. 方法 2010 年 1 月から 2014 年 7 月, 動脈硬化による頚動脈狭搾が疑われ, 術前 MRI 検査により, 治療目的病変に脆弱なプラークの存在が疑われ ( 脂肪抑制併用 T 1 プラーク / 後頸筋信号比,P/M 比 1.5),Single center にて CAS を施行し, Distal protection として,Guardwire を使用し, 術後 2 日以内に DWI 検査を施行した症例を, 後ろ向きに調査した. 評価項目は, 患者背景,CAS の術前後の脳血管撮影所見, 治療で使用した protection 方法, 術後 DWI 所見, 術後症候性脳梗塞の有無につき, PFC 有り 無しの 2 群で比較し, さらにロジスティック回帰分析を用いて,PFC の有用性について検討した. 結果 88 病変,83 名が対象となった. 平均年齢は 72.7 歳, 女性 10 例 (12%) だった. P/M 比中央値は 1.90,PFC 併用症例は 74 病変だった.PFC 有り無しの 2 群間比較では,PFC 有り群において, 術後同側 DWI 陽性所見が有意に少なく (PFC 有り ;32 %, 無し ;64%,P= 0.0, 術後症候性脳梗塞も有意に少なかった (PFC 有り ;1 例, 無し ;3 例, P < 0.0. ロジスティック回帰分析においても,PFC を併用する事で, 術後同側 DWI 陽性のリスクを独立して有意に軽減していた (OR:0.11,95 %CI: ,P= 0.0. 結論 脆弱プラークを有する頚動脈狭窄病変に対する CAS において,Proximal flow control を併用した群は, 併用しなかった群と比較し, 術後 DWI 陽性率が低く, 症候性虚血性合併症も少なかった. 1-O12-7 Mo.Ma Ultra を用いた頚動脈ステント留置術 : プロテクション下で血行動態と圧格差についての検討 医真会八尾総合病院放射線科 脳血管内治療科 奈良県立医科大学放射線科 医真会八尾総合病院脳神経外科 明珍薫 Myouchin Kaoru 高山勝年 和田敬 中川裕之 吉川公彦 黒川紳一郎 目的 Mo.Ma Ultra(MU) を用いた flow arrest(fa) および flow reversal(fr) 下での血行動態および内頚動脈と総頸動脈の圧較差について検討する. 対象と方法 対象は MU を用いて頚動脈ステント (CAS) を施行した62 例中,FAおよびFR 下に digital angiography(da) と動脈圧測定を行った内頚動脈狭窄症, 連続 22 例, 男性 19 例, 年齢 56-90; 平均 76 歳, 症候性 11 例, 狭窄率 (NASCET 法 ):50-99; 平均 74 %. 外頸動脈と総頸動脈をバルーン閉塞後 (FA), 造影剤約 8 cc を注入し DA を施行した. 次にワーキングポートを開放し FR 下で DA を施行した. 圧ワイヤーを用いて総頚動脈 (CCA) および内頚動脈狭窄遠位正常部 (ICA) の圧を FA および FR 時にそれぞれ測定した. 圧格差 (mmhg)= 平均 ICA 圧 - 平均 CCA 圧と定義した. 検討項目は FA および FR 時の血行動態と圧格差で, 血行動態は DA を基に造影剤 (CM) が停滞するものを type 1,CM が順行性に wash out をするものを type 2,CM が逆行性に wash out するものを type 3 と分類定義した. 結果 FA 時,type 1 は 6 例 (27 %),type 2 は 16 例 (73 %) で,type 3 は認めなかった. 圧格差は type 1 では 1-4mmHg 平均 -1.2±0.4,type 2では4-7mmHg 平均 0.5 ± 2.5 で type 2 は CCA 圧が ICA 圧より高い傾向であった.FR 時,type 1 は 3 例 (14 %),type 3 は 19 例 (86 %) で,type 2 は認めなかった. 圧格差は type 1 では 2-3 mmhg 平均 0.3 ± 2.0, type 3 では 11-4 mmhg 平均 1.9 ± 4.9 で type 3 は CCA 圧が ICA 圧より低い傾向であった. 結語 MU 用いた CAS では FA だけではプロテクションは不十分であり,FR にする必要があると考えられた.FR 時には CCA 圧が ICA 圧より低いことが示された. 216 JNET Vol.8 No.6 December 2014
23 1-O12-8 般口演頚動脈ステントの際の血栓塞栓予防 Original Mouse Trap 法 札幌東徳洲会病院脳神経外科脳血管内治療科脊椎脊髄外科 西正吾 Nishi Shogo 米谷博志 元持雅男 野呂昇平 横山智哉 緒言 頚動脈狭窄に対する治療は CEA/CAS が行われている. 血栓塞栓予防として通常 Filter が用いられるが我々は当初から primary lesion crossing(plc) 時にも protection が可能な proximal balloon protection(mouse Trap 法 ) を行ってきた. 我々が行っている MouseTrap 法の利点, 課題を述べる. 対象と方法 2006 / 4 から大動脈上部の動脈狭窄病変に対する血管形成術は 144 例であった.101 例は頸動脈病変で, その 83 例に対して我々の Mouse Trap 法を施行,18 例で Filter を使用した. その他の部位が 43 例であった. 原則 Mouse Trap 法を用い 6 Fr(ECA 閉塞用バルーンの通路用 ) と 10 Fr(CCA 閉塞用バルーンカテーテル, 拡張デバイスの通路用 ) の 2 本のアクセスルートを確保.Mouse Trap 法にて淡々と前拡張, ステント留置, 後拡張が行え, その操作ごとに debris を含めた血液を回収, 濾過して体内に戻した. アクセスルートが2 本確保できない場合に Filter を使用した. 結果 2 ルート必要であるが PLC から protection を行う場合には Mouse Trap 法が有用である.Filter は 8 Fr の 1 ルートで処理可能であるが,PLC 時に血栓を惹起する可能性がある. 結論 CAS のすべての操作で protection が行える手技 (Mouse Trap 法 ) を first choice として行うのも1 方法である. アクセスの 2 ルートが確保できないなどの問題がある場合は Filter を選択する. 又, 緊急時にも DAPT の事前投与が必須である. 1-O13-1 頚部内頚動脈高度狭窄による stage 2 相当症例に対する段階的血管形成術 広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経外科学 JA 広島総合病院脳神経外科 坂本繁幸岐浦禎展岡崎貴仁品川勝弘一ノ瀬信彦 Sakamoto Shigeyuki 栗栖薫渋川正顕織田祥至下永皓司 目的 頚部内頚動脈高度狭窄により患側大脳半球が SPECT 上, stage 2 相当を呈した症例に対し, 術後過灌流予防のために我々がおこなっている段階的血管形成術の治療成績を報告する. 対象と方法 頚部内頚動脈高度狭窄を認め,dual table ARG 法による定量 IMP-SPECT(DTARG-QSPECT) で, 安静時脳血流 80 % 未満, かつ脳血管反応性 10 % 未満の状態を血行動態 stage 2 相当とした. 頚部内頚動脈高度狭窄により患側大脳半球が stage 2 相当を呈した症例に対して段階的血管形成術を行った 13 例 15 狭窄 30 手技 ( 男性 10 例, 一側性 11 例, 平均年齢 75.1 歳, 症候性 12 例 ) を対象とした. 全例 EPD 使用下に PTA( mm 径バルーン ) を行い, PTA 後平均 21.2 日目 (14-29 日目 ) に CAS を行った. 手技前後で血行動態の確認のため,DTARG-QSPECT を行った. 段階的血管形成術の治療成績 ( 手技成功率, 治療前後での stage 2 領域の変化,DWI 上の高信号域の有無, 症候性合併症の有無 ) を検討した. 結果 全例で PTA 後, 急性閉塞なく段階的血管形成術を行うことによって狭窄の拡張に成功した.QSPECT/DTARG 上, 段階的血管形成術後, 全例で血行動態悪化領域は著明に縮小した. 全 30 手技中 7 手技後 (23 %) で,DWI 上, 無症候性点状高信号域を認めた. 全例で過灌流症候群や虚血による症候性合併症は認めなかった. 結論 頚部内頚動脈高度狭窄による大脳半球 stage 2 相当を呈した症例に対する段階的血管形成術は安全で有効な治療法である. 一1-O13-2 脳血流予備能低下症例に対する段階的血管形成術 (staged CAS) を積極的に取り入れた当院における頚動脈治療の現況信州大学医学部附属病院脳血管内治療センター 伊那中央病院脳神経外科 信州大学医学部脳神経外科 長野市民病院脳神経外科 5) 飯田市立病院脳神経外科 6) 千葉脳外科病院 長島久 Nagashima Hisashi 草野義和 小山淳一 5) 市川陽三 堀内哲吉 6) 中村一也 村田貴弘 本郷一博 徳重一雄 目的 頚部頚動脈狭窄症に対するステント留置術 (CAS) においては, 末梢塞栓症の防止や併存する全身的な問題, 特に循環器的な合併症の防止とともに, 重篤な結果につながる過還流症候群の防止が重要である. 当院においては, プラーク診断や脳血流評価等を用いて術前評価を行うとともに,CAS 実施のための脳神経外科と循環器内科の恊働体制を整備し, 症例に応じた治療方針と体制で治療を行なって来た. 方法 2010 年 5 月より 2014 年 4 月までの 4 年間に, 当院では 111 例の頚部頚動脈狭窄症症例に対し,94 例の CAS と 17 例の内膜切除術 (CEA) を実施した. 結果 CAS を実施した 94 例 107 回の治療のうち, 一期的な CAS が 84 例, 段階的ステント留置術 (staged CAS) が 10 例であった.2 例は前拡張の結果 CAS では病変の十分な拡張が得られないと判断し CEA に変更,1 例は解剖学的理由より経皮的血管形成のみを行なったが, 後日再狭窄をきたし CAS を追加した. 大動脈弁狭窄等による循環器科的リスクが高いと予測された 18 例では,CAS 実施医資格のある循環器科医とともに CAS を実施した.107 治療のうち, 脳虚血を呈した症例は, 無症候性の 1 例のみであった. また, 脳循環予備能低下を認め staged CAS が必要と判断された 13 例のうち 10 例に staged CAS,2 例に上記の理由で PTA 後に CEA を行ない, 全例において過還流兆候を認めなかったが, 腎機能障害のために一期的な CAS を行った 1 例では, 多弁 興奮を伴う過還流症候群を呈した.CEA を行なった 17 例に合併症は認めなかった. 結論 CAS は十分なプラーク診断と治療方針の検討を行えば安全に実施可能であり, 特に, 高度頚部内頚動脈狭窄症に対する staged CAS は過還流症候群の予防に有効である. 1-O13-3 過灌流症候群の危険因子の同定と staged CAS の効果 金沢大学附属病院脳神経外科 金沢市立病院脳神経外科 内山尚之 Uchiyama Naoyuki 会田泰裕 見崎孝一 林裕 毛利正直 廣田雄一 南部育 過灌流症候群は CAS 後の重篤な合併症のひとつであり, その危険因子を同定することは重要である. 我々の施設における過灌流症候群の危険因子の抽出結果と, その因子を有する症例の対応を報告する. 危険因子の同定 Staged CAS 導入前 (2008 年 3 月 2011 年 11 月 ) に施行した CAS 42 例中 7 例に過灌流 ( 現象 6, 症候 がみられた. 後方視的に単変量解析を行ったところ, 過灌流の危険因子として,IMP-SPECT にて病側 MCA 領域の脳血管予備能が 0 % 以下,IMP-SPECT にて stage 2 領域が病側半球の 20 % 以上, の 2 つが抽出された. Staged CAS による過灌流予防 方法 : 2011 年 12 月以降, または を有する症例に対して, 原則 staged CAS を計画した. 結果 :CAS 候補 45 例中, のみを有する 2 例中 1 例, のみを有する 8 例中 2 例, 両者を有する 4 例中 3 例に staged CAS を予定した.Staged CAS 予定の 6 例中 2 例で, 初回 PTA 時に閉塞状態となりやむなく CAS を行った. 他の 4 例は 2-3 週後に CAS を施行した.Staged CAS を行えた 4 例に過灌流は生じなかった.Staged CAS 未施行の 41 例中 4 例に過灌流現象がみられた.4 例は全例 の危険因子を有しており,2 例は計画した staged CAS を遂行できなかった症例であり,2 例は複数回治療回避のために staged CAS を計画しなかった症例であった. の危険因子のみを有する症例では, 通常の CAS でも過灌流は生じなかった. 結語 過灌流は MCA 領域全体の血管予備能が 0 % 以下の場合に生じ,stage 2 領域が広くみられても必ずしも起こらない. 予備能が 0 % 以下の症例に対してのみ staged CAS を行うことにより過灌流症候群を予防できる. JNET Vol.8 No.6 December
24 1-O13-4 当院における Staged carotid artery stenting(staged- CAS) の検討 岡山大学大学院脳神経外科 春間純 Haruma Jun 高杉祐二 杉生憲志 新治有径 菱川朋人 西廣真吾 平松匡文 伊達勲 清水智久 はじめに 過還流症候群は, 高度かつ広範囲な脳循環予備能低下症例において発生されるとされ, 予防策として多くの報告がなされているが, その 1 つとして Staged-CAS が挙げられる. 方法 当科では CAS 術前に全例 SPECT による脳循環予備脳を評価し, 広範囲に脳循環予備能の低下した high risk 症例に対して Staged- CAS を施行している.Staged-CAS の方法は, まず 3 mm 径バルーンで経皮的血管形成術 (1 st stage) を行い, 約 1 ヶ月後に CAS (2 nd stage) を施行している. この際 stent や distal protection は個々の症例に応じて選択している.2008 年 4 月から 2013 年 12 月までに Staged-CAS を施行した症例は 31 例あり, これらに対して狭窄率の変化, 術前後の脳血流予備能の推移, 合併症について検討を行った. 結果 Stage-CAS を行った全 31 症例で重大な合併症は認めなかった. 平均狭窄率 (NASCET) の経時的変化は術前 92 %,1 st stage 後 67 %,2 nd stage 後 23 % であった.1 st stage から 2 nd stage 待機中に再狭窄狭窄を認めた症例は 5 例.SPECT 上では 1 st stage 直後から十分な脳血流予備能の改善を認める症例もあった. 本法を採用する以前は,158 例の CAS 中 3 例に過潅流による脳内出血を認めていたが, 本法採用後では脳内出血を認めていない. 結論 Staged-CAS は, 過灌流症候群による出血性合併症予防に有用と考えられる. 一方で二期的に手技を行うリスクや, 適応症例の選択,1 st stage 時の拡張度設定などについては, 未だ議論の余地がある. 1-O13-6 CAS 後遅発性過灌流による死亡例の経験を教訓とした過還流対策 済生会和歌山病院脳神経外科 岸和田徳洲会病院脳神経外科 昭和大学脳神経外科 山家弘雄 Yamaga Hiroo 鐵尾佳章 松本博之 奥村浩隆 武本英樹 林宣秀 廣鰭洋子 三木潤一郎 西山弘一 仲寛 目的 2009 年 2 月に CAS を施行した症例が, 術後 2 週間かけて緩徐に脳腫脹が進行し, 遅発性過灌流により死亡した. 通常の CAS 後の過灌流は術後早期にみとめると言われているが, 術 12 日後に脳出血をきたした. 術後管理の難しさを痛感させられた. 貴重な症例の治療経験とそれを教訓とした過灌流対策について報告する. 方法 < 1 > 遅発性過灌流症例の臨床経過,< 2 > 私が赴任した岸和田徳洲会病院と済生会和歌山病院における 2009 年 3 月以降の過灌流症候群の発生頻度,< 3 > 自験例での過灌流対策について述べる. 成績 < 1 > 71 歳, 男性,TIA( 失語, 右片麻痺 ) にて来院.4 枝病変 ( 両側頚部 ICA 左 VA 高度狭窄, 右 VA 閉塞 ) をみとめ, 左側に CAS を施行した. 合併症なく術直後は経過良好. 術 4 日後に頭痛と痙攣を一過性にみとめ, 術 7 日後にごく少量のくも膜下出血をみとめた. 血圧コントロールや種々の治療を行うも, 術 12 日後に脳内出血をきたし, 術 15 日後に死亡された.< 2 > 2 病院で 187 病変に CAS が施行され, 過灌流症候群は 2 例, 脳出血は 0 例であった.< 3 > 対側病変を伴う場合や SPECT 分類の stage 1 以上では, 術中からプロポフォールやエダラボンを使用し, 血圧管理に留意している.Stage 2 などで, 術後に過灌流が疑われた場合には, 積極的にバルビツレートの使用を考慮する. 重症脳虚血例の場合は全身麻酔下での CAS を検討する. 結論 遅発性過灌流症例の治療経験より, 過灌流の病態は急に血流量が増大することに起因するだけではなく, 血流を受ける側の状態の影響がより大きいと考える. 長期の慢性脳虚血症例では特に注意が必要であり, 過灌流を疑った場合は, 速やかにバルビツレート療法を行うべきである. 1-O13-5 Powers stage Ⅱ 症例に対する CAS の周術期管理と治療成績 東邦大学医学部附属大橋病院脳神経外科 横浜総合病院脳神経外科 岩渕聡 Iwabuchi Satoshi 原科純一 齋藤紀彦 林盛人 平井希 横内哲也 佐藤健一郎 平元侑 石井匡 岩間淳哉 谷真理子 中山晴雄 目的 術前脳血流評価にて Powers stage Ⅱ と診断された内頚動脈狭窄症に対する CAS 施行例の周術期管理と治療成績を後方視的に検討した. 対象 方法 2003 年 4 月 2014 年 7 月に CAS を施行した連続 180 例のうち, 脳血流 SPECT もしくは CT perfusion で Powers stage II と診断された 7 例を対象とした.7 例全て全身麻酔下で CAS を施行し, 術後も鎮静を継続し ICU にて厳重な血圧管理を行った. 術翌日に SPECT を行い, 過灌流を認めた場合は鎮静をさらに継続させた. その後 f/u SPECT で過灌流の改善を確認して鎮静を解除した. また 2008 年からは術中より INVOS を装着し, 局所酸素飽和度 (rso をモニターしている. 結果 7 例中, 術翌日の SPECT で過灌流を認めたのは 3 例で, 過灌流が改善されたのはそれぞれ, 術 3 日後,5 日後,6 日後であった. 術 5 日後に改善した例は, 患側に視床出血を来した. また, 術 6 日後まで鎮静を続けた例では全身状態が回復するまでに約 1 ヵ月を要した. INVOS を装着した例では,rSO 2 の 5 % 以上の上昇が確認された. 考察 結論 CAS 施行 180 例の 3.9 % が Powers stage II と診断され, 術後過灌流を呈したのは 1.7 % であった.1 例に視床出血が見られたが,p-com artery が fetal type で過灌流により術後数時間で発症したものと考えられた.Powers stage II 例に対する CAS は全身麻酔下で行い, 術後も鎮静を継続することが望ましいと思われるが, 鎮静だけでは術後出血を完全に予防することはできなかった. また, もともと高齢者, 基礎疾患を有する例が多いため, 鎮静が長引くとそれによる合併症も大きな問題となる. 従って staged CAS のような段階的な手法により過灌流を生じさせないようにする工夫も必要と考えられた. 1-O13-7 頸動脈ステント留置術の術後過灌流の当施設における特徴 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター脳神経 脳卒中科 東京新宿メディカルセンター脳神経血管内治療科 国立循環器病研究センター病院脳血管内科 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター救急科 濱中正嗣 Hamanaka Masashi 山本敦史 竹上徹郎 今井啓輔 猪奥徹也 池田栄人 山田丈弘 中村拓真 山崎英一 武澤秀理 傳和眞 徳田直輝 目的 頸動脈ステント留置術 (CAS) 後の過灌流症候群 (HPS) の無症候性のものも含めた術後過灌流 (HPP) について当施設での特徴を明らかにする 方法 2004 年 4 月から 2014 年 7 月に施行した待機的 CAS 連続 137 例中,HPP と診断した例を対象.SPECT は術後翌日に実施し患側脳血流 (CBF) の健側比 10 % 以上増加を HPP と定義した. 対象にて背景因子, 術前評価, 手技, 周術期管理, 成績を比較した 結果 HPP は 12 例 (8.8 %) で HPS はなかった. 男性 8 例, 年齢中央値 76 歳, 高血圧症 11 例, 糖尿病 3 例, 脂質異常症 5 例, 症候性病変 7 例であった. 術前狭窄率 ( 中央値 ) 92.4 %, 血流遅延 8 例, 対側血管閉塞 0 例であり, 側副血行は Willis 動脈輪経由 7 例, 脳軟膜動脈吻合経由 6 例であった. 術前安静時 SPECT で CBF 低下 ( 対側比較 ) が 6 例. 術前 24 時間血圧測定 (24 ABPM) で non-dipper type が全例にみられた. 使用手技として,protection 法は distal balloon 1 例,distal filter 5 例,flow reversal 6 例. 使用ステントは Precise 3 例,Carotid wallstent 9 例であった. 周術期管理について, エダラボンは全例, 抗血小板薬は 3 剤併用 8 例,2 剤併用 4 例で使用されていた. 術後血圧管理 (140 mmhg 以下 ) として, 降圧剤 4 例, 昇圧剤 6 例の使用があった. 手技は全例で成功し, 術後狭窄率 ( 中央値 ) は 16.7% であった. 術後 CT での脳内出血や SAH はなかった. 一過性失語症状の 1 例では MRI-DWI 多発高信号がみられていた 結語 当施設の HPP の特徴として, 高血圧症, 高度狭窄, 術前 SPECT での CBF 低下など従来の報告と同様なもの以外に,24 ABPM での non-dipper type が含まれており, 周術期には降圧薬よりも昇圧薬の使用が多かった.HPP 発症には血圧調節機構自体の障害の関与が示唆された. 218 JNET Vol.8 No.6 December 2014
25 1-O13-8 般口演CAS に於ける過灌流症候群について 一宮西病院脳神経外科血管内治療センター 名古屋共立病院脳神経外科 根來眞 Negoro Makoto 入江恵子 宮嵜章弘 中本守人 芝本和則 滝英明 目的 頚動脈ステント(CAS) 周術期の合併症についてはその対策が確立しつつあるが, 術後の過灌流症候群については完全解決とは言い難い. 今回自験例を中心に過灌流症候群の成因, 対策について検討したので報告する. 対象 症例は 2002 年 1 月から 2014 年 6 月迄に経験された内頸動脈狭窄症に対する CAS 238 例である. 術式の原則として distal protection を行い, 自己拡張型ステントを用いて, ステント留置前後に必要に応じバルーン拡張術を施行した. 抗凝固剤は術中から術後 24 時間以内に抗血小板剤に移行した. 術前評価として Diamox 負荷による SPECT を用いた. また 2013 年 10 月からは Siemens 社 Artis zee BA twin 血管撮影装置による iflow を用いた術中計測も行った. 結果 CAS は全例で成功し, 虚血性合併症は ( 一過性を含む )18 例, 出血性合併症は頭蓋内 4 例, 頭蓋外 2 例 ( 後腹膜下腔, 頚部 ) である. 頭蓋外 2 例はいずれも軽快したが, 頭蓋内については死亡 1 例, 恒久的神経脱落症状を有する例 3 例と予後不良であった, 頭蓋内出血のいずれも過灌流に関連すると考えられた. 考察 過灌流症候群の成因について議論は分かれるが, 今回経験した例からは先行する脳虚血とそれに伴う血液脳関門障害, また内頸動脈狭窄度の程度に関連すると考えられ, IFlow による術中計測もそれを示唆する所見であった. 術前の脳虚血対策と術中, 術後の血流管理が重要と考えられるが, これらについて詳述する. 1-O14-1 CAS 術前における冠動脈スクリーニングの重要性について 横浜新都市脳神経外科病院脳神経外科 森本将史服部伊太郎尾崎聡佐々木亮根本哲宏 Masafumi Morimoto 疋田ちよ恵岩崎充宏佐藤純子福田慎也 目的 頸動脈狭窄症例に冠動脈疾患例が合併することは従来より報告されており, 報告によって % と幅広いが, 主に % と決して頻度は低くない. そのため, 当施設では, 頸動脈狭窄疾患に対する血行再建術前の冠動脈スクリーニングをルーチン化している. 今回, この術前検査における冠動脈疾患合併の割合について解析したので, 実際の危険症例の紹介と共に報告する. 対象, 方法 2008 年 1 月から 2013 年 1 月までの5 年間で, 頸動脈狭窄病変に対してステント留置術を行い, その術前に冠動脈 CT を施行した 147 例を対象とした (3 例は対側にも CEA を施行した ). 検査結果で冠動脈狭窄が疑われ, 心臓カテーテル検査を追加検査したのが 66 例 (44.9 %) であった. 結果 心臓カテーテル検査で実際に冠動脈狭窄が見つかった症例が,CAS 単独施行群で,54 / 144 例 (37.5 %),CAS,CEA 施行群で,3 / 3 例 (100 %), 両群合わせて 57 / 147(38.8 %) であった. 狭窄病変数の内訳は,CAS 単独施行群 (144 例 ) で,1 枝病変 :13 例,2 枝病変 :27 例,3 枝病変 :14 例, CAS,CEA 施行群 (3 例 ) で,1 枝病変 :0 例,2 枝病変 :1 例,3 枝病変 :2 例であった. 考察 CAS 施行の際には, 頚動脈洞反射によって血圧低下が遷延し, 無症候性の冠動脈狭窄においても, 術後 AMI のリスクが存在する. 当施設の CAS 施行例に対する冠動脈スクリーニングにおいても冠動脈狭窄が % の割合で見つかっており,CAS 施行の際には冠動脈スクリーニングを必ず行い, 循環器内科と密接な協力体制を築いておくことが,CAS を安全に行う上で重要と考える. 一1-O14-2 女性における頚動脈狭窄症の認知機能と血行再建術後の変化 富山大学医学部脳神経外科 高正圭 Koh Masaki 高岩亜輝子 桑山直也 秋岡直樹 柏崎大奈 黒田敏 目的 女性の頚動脈狭窄症では血行再建術の効果が男性に比して乏しいと言われている. 今回は認知機能の側面から治療前と治療後を検討した. 対象 頚動脈高度狭窄症と診断され血行再建を行なった女性 20 例 (CEA 5 例,CAS 15 例 ) で, 症候性 9 例, 無症候性 11 例, 平均年齢 71.3 ± 9.5 歳, 教育年数 9.8 ± 2.1 年であった. 対照群は男性 127 例 (CEA 41 例,CAS 86 例 ), 症候性 49 例, 無症候性 78 例, 平均年齢 70.5 ± 6.8 歳, 教育年数 10.9 ± 2.7 年であった. 方法 認知機能の評価方法は Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status (RBANS: 即時記憶, 視空間構成, 言語, 注意, 遅延記憶, 総指標 ) を用いた. 評価時期は治療前と治療後 3 カ月に行なった. 治療前の成績は健常平均 100 と比較した. 男女の違いと治療前後の比較は 2 要因分散分析を行なった. 治療前後の変化の割合は 95 % 信頼区間を超えたものを向上, 下回ったものを低下と判定し, 男女の変化率の比較はカイ二乗検定で行なった. 結果 術前における女性の認知機能は RBANS の即時記憶, 言語, 注意, 遅延記憶, 総指標で有意な低下を認めた. 分散分析の結果, 治療前後の経過では RBANS の即時記憶, 視空間構成, 言語, 注意, 遅延記憶, 総指標のそれぞれの領域において治療前に比して治療後は有意な向上を認めた. 男女の違いを比較した結果ではすべての領域で有意差はなかった. 治療後の変化の割合では男女の間に差は認められなかった. 結論 女性においても治療前に認知機能が低下し, 血行再建術後は男性と同程度に認知機能の改善が期待できる. 1-O14-3 頚動脈ステント留置術において脳保護方法の違いが認知機能に与える影響 富山大学医学部脳神経外科 高岩亜輝子 Takaiwa Akiko 桑山直也 秋岡直樹 柏崎大奈 黒田敏 目的 CAS 治療において, 脳保護デバイスが認知機能に与える影響をデバイスの時代ごとに分けて検討した. 対象 頚動脈狭窄症と診断され CAS を施行した 94 例で, 第一期 (2004 年 2007 年 : CAS 認可前の balloon protection 時代 )36 例, 第二期 (2007 年 2010 年 :Angioguard 時代 )34 例, 第三期 (2010 年 2013 年 : リスクに応じたデバイス選択をした multi-protection 時代 )24 例であった. 方法 認知機能の評価方法は治療前, 治療後 1 週間,3 カ月に Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status( 以下 RBANS: 即時記憶, 視空間構成, 言語, 注意, 遅延記憶, 総指標 ) を用いて行なった. 検討 1 では差の平均を分散分析で解析した. 検討 2 では 95 % 信頼区間を用いて治療後の成績が 95 % 信頼区間を上回ったものを改善, 下回ったものを低下と分類し,χ 2 検定を行なった. 結果 検討 1; 分散分析の結果, 経過においてすべての領域で治療後に向上が見られ,3 群間に違いはなかった. 検討 2;χ 2 検定の結果, 治療後 1 週間において第一期と第三期は第二期に比して RBANS 総指標において多くの症例で改善を認めた. また, 第二期は第一期と第三期に比して RBANS 注意において多くの症例で低下を認めた. 治療後 3 カ月ではすべての領域において 3 群は同程度の変化を認めた. まとめ すべての群で治療後 3 カ月は同じ程度に認知機能の改善を認めたが, 治療後 1 週間は Angiogurad 群で認知機能の低下や改善の遅れが認められた. 治療後早期ではデバイスによる認知機能への影響が存在した. JNET Vol.8 No.6 December
26 1-O14-4 頸動脈狭窄症患者における耐糖能異常 (IGT) 合併に関する検討 富山県済生会富山病院脳卒中センター脳神経外科 富山大学医学部脳神経外科 岡本宗司 Okamoto Soushi 堀江幸男 久保道也 桑山直也 堀恵美子 黒田敏 柴田孝 梅村公子 はじめに これまで頸動脈狭窄症における糖尿病の合併率は % と報告されてきた. しかし, 大血管症 ( 心血管や脳血管等 ) における動脈硬化性病変の発症 進行は, 糖尿病の前段階とも言える耐糖能異常 (impaired glucose tolerance:igt) の時期から生じることが明らかになった. そこでわれわれは, 頸動脈狭窄症患者に対して糖負荷試験 (75 gogtt) を行い,IGT を含めた糖代謝異常の合併に関して検討した. 対象 方法 対象は最近 5 年間に頸動脈狭窄症の精査加療のために入院した 125 例 ( 男 106, 女 19: 平均 73.8 歳 ) で, 平均狭窄率は 71.2 %(NASCET 計測 ) であった. 結果 入院時に糖尿病の合併が確認されたのは 39 例 (31.2 %) であり, 残りの 86 例中の 11 例については,FBS および HbA 1 C の値より新たに糖尿病と診断した. それ以外の 75 例中 29 例に対して 75 gogtt を行なった. その結果, 糖尿病型 (200 mg/dl 以上 )8 例,IGT( mg/dl)10 例を新たに糖代謝異常と診断した (62 %). 結果として, 今回のシリーズにおける糖代謝異常は 31.2 % 54.4 % へと大きく上昇した. まとめ 糖尿病非合併例の頸動脈狭窄症の 62 % が IGT を合併していた.75 gogtt による耐糖能異常の評価を加えることにより, 頸動脈狭窄症における糖代謝異常の合併率は 54.4 % となり既報告よりも高率になった. 大血管症の発症や進行が IGT の段階からすでに始まることを考慮すると, 糖負荷試験による耐糖能評価は重要であり, 早期介入によって頸動脈病変の進行や治療後再発の予防に寄与するものと考えられた. 1-O14-5 頸動脈ステント留置術後の早期再狭窄と, 術前の代謝性リスク因子 天理よろづ相談所病院神経内科 天理よろづ相談所病院脳神経外科 田中寛大 Tanaka Kanta 松本敦仁 島淳 山名則和 松井雄哉 時女知生 取越貞治 秋山義典 設楽智史 背景 頸動脈ステント留置術 (CAS) では, 術後 1-2 週間で生じる早期再狭窄が時に問題となる. 本研究の目的は, 早期再狭窄の予測因子を特定することであり, 特に術前の代謝性因子に注目した. 方法 2009 年 年に内頸動脈狭窄症に対し CAS を施行した 70 名から, 放射線誘発頸動脈狭窄 4 名と頸動脈解離 2 名を除いた 64 名 [ 男性 54 名 (84 %), 年齢中央値 74 歳 (59-84 歳 ), 狭窄率中央値 70 %(50-99 %)] を対象とした. 症候性は 19 名 (30 %), 発症 -CAS 期間中央値は 38 日 (1-206 日 ) であった. 頸動脈内膜剥離術 (CEA) 後再狭窄は 3 名 (5 %) であった. 早期再狭窄は, 術後 1 週間に回転 DSA でステント内に 1 mm 以上の造影欠損を認めること, と定義した. 術前リスク因子として,BMI, 喫煙, 高血圧, 高 LDL コレステロール血症, 低 HDL コレステロール血症, 高トリグリセライド血症, スタチン, 糖尿病, 慢性腎臓病, MRI プラーク性状を調査した. 結果 早期再狭窄は 13 名 (20 %) で認めた [ 再狭窄率 50 %,1 名 (1.5 %)]. 年齢, 性別, 狭窄率, 症候性か否か, 発症 -CAS 期間,CEA 後再狭窄は, 早期再狭窄と有意に関連していなかった. 術前リスク因子のうち, 単変量解析で早期再狭窄との関連を示したのは, 高 LDL コレステロール血症 ( p = 0.025) と MRI 不安定プラーク ( p = 0.02 であった ( フィッシャーの正確確率検定 ). 多変量ロジスティック回帰分析後も, 高 LDL コレステロール血症 ( オッズ比 11.2,95 % 信頼区間 ) は,MRI 不安定プラーク ( オッズ比 8.6,95 % 信頼区間 と独立して, 早期再狭窄と関連していた. 結論 術前の高 LDL コレステロール血症は,CAS 後早期再狭窄と関連している可能性があり,CAS 施行前の脂質管理の重要性が示唆される. 1-O14-6 頸動脈ステント留置術における周術期低血圧 名古屋第二赤十字病院脳神経外科 村岡真輔 Muraoka Shinsuke 金森史哲 小島隆生 山口純矢 波多野範和 関行雄 渡邉督 川端哲平 背景 頚動脈ステント留置術 (CAS) においてしばしば発生する周術期低血圧は,CAS 術後脳梗塞など周術期合併症の重要なリスク因子の一つである. このため, 周術期低血圧の予測を事前に評価し防ぐことが重要である. これまでに頚動脈分岐部周辺の高度石灰化, 頚動脈分岐部から最狭窄部までの距離が 10 mm 以下などが周術期低血圧の遷延と相関することが報告されている. 目的 CAS 周術期低血圧の発生を予測するためのリスク因子を評価した. 対象 方法 2008 年 4 月から 2014 年 5 月までに頚部内頚動脈狭窄症に対して CAS を施行した連続 73 症例 83 病変において, 周術期低血圧が遷延するリスク因子を評価した. 年齢は 歳 ( 平均 71.4 歳 ) で男性 62 人, 女性 11 人であった. 症候性が 49 例, 無症候性が 34 例であった. 平均術前 NASCET は 80.3 % であった. 結果 頸動脈ステント留置に成功したのは 96.5 % で, 症候性の虚血合併症は認めなかった. 平均術後 NASCET は 16.7 % であった. 女性 (P= 0.00, 喫煙歴 (P= 0.037), 頚動脈分岐部から最狭窄部までの距離が 5 mm 以下 (P= 0.005) が, 周術期に遷延する低血圧を起こすリスク因子であった. 高血圧, 脂質異常症, 糖尿病, 心疾患の有無, 末梢血管障害の有無, 頚動脈の石灰化の有無 は, いずれも周術期に遷延する低血圧との関連は認められなかった. 低血圧の遷延によって症候性の脳梗塞をきたした症例はなかったが, 術後より完全房室ブロックを認め, ペースメーカー留置が必要となった症例が 1 例あった. 結論 本研究は, リスク因子を有する患者を事前に把握し,CAS 後の周術期低血圧の遷延による周術期合併症を予防するための一助となり得ると考えられた. 1-O14-7 頸動脈ステント留置後のステントの自己拡張とフォローの脳血管撮影に差異のある症例の検討 大阪府立急性期総合医療センター脳神経外科 藤本憲太 Fujimoto Kenta 堀内薫 橋本宏之 尾本幸治 西口充久 松岡龍太 乾登史孝 八重垣貴英 谷直樹 目的 頸動脈ステント (CAS) 後, ステントが自己拡張することはよく観察されるが, 必ずしも血管の内腔が拡張している訳ではない. 今回,follow の単純撮影と脳血管撮影の血管径に差異を認めた症例を検討した. 対象 当院で CAS を行い術後 6 ヶ月以上経過して脳血管撮影を評価できた 112 例のうち脳血管撮影での拡張と単純撮影での拡張との差が 10 % 以上ある症例は 29 例であった. このうちステントと内腔の間に 1 mm 以上の gap があった 13 例を retrospective に検討した. 全例男性で, 年齢は 歳 ( 平均 73 歳 ) で狭窄度は 50% 100%( 平均 77%) であった. ステントは Open-cell を 5 例,closed-cell を 8 例使用していた. 術前 MRA plaque image を 11 / 12 例で評価した. 脳血管撮影所見から, ステント内に長く薄く膜様に gap が存在する群 ( 膜様群 ), プラークにステントが埋没した群 ( 埋没群 ), 新たにプラークがついた群 ( プラーク群 ) の 3 群に分類した. 結果 膜様群は 7 例で, 全例 closed-cell stent を使用していた. プラーク評価は 5 / 7 例で soft plaque であった. 埋没群は 4 例で, 全例 open-cell stent を用いており, プラーク評価は 3 / 3 例で soft plaque であった. プラーク群は 2 例としたが, うち 1 例はすべての群の要素をもっていた. 結論 ステント留置後, ステントは自己拡張するが, かならずしも内腔を押し広げているわけではなく, 特に柔らかいプラークに opencell stent は沈み込んでしまうことがある. 220 JNET Vol.8 No.6 December 2014
27 1-O14-8 般口演内頸動脈起始部高度狭窄症に対する血管形成術 : 適正な拡張径は決定できるか? 埼玉医科大学国際医療センター脳血管内治療科 山根文孝 Yamane Fumitaka 上宮奈穂子 日下部聡美 石原正一郎 掛樋善明 飯田優 神山信也 新美淳 石原秀章 塚越瑛介 溝上康治 宮沢彩花 目的 High risk 症例に対して段階的ステント留置術を施行する場合には経皮的血管形成術 (percutaneus transluminal angioplasty: 以下 PTA) をまず施行する. しかし, その場合適切な拡張径についてコンセンサスはない. 対象と方法 2011 年 1 月より 2012 年 12 月で Staged stenting を予定し PTA を施行した 23 症例 25 病変. 女性 2 例, 平均 74.2 歳. 術前頸動脈超音波検査, 脳血管造影, MRI(BB 法 T 1 強調画像 ), 術後 72 時間以内超音波,MRI 拡散強調画像 (MRI-DWI) 施行. 検討項目は最狭窄径,PTA 前後拡張率, 狭窄長 ( 血管造影より ), 狭窄部血流速度, 流速低下率,plaque score( 頚部血管エコーより ). 術後 MRI-DWI 陽性所見の程度を調べた. 結果 データ平均値: 病変長 19.7 mm, 最狭窄径 1.0 mm, 拡張率 %, 前流速 cm/s, 流速低下率 17.5 %. 多変量による相関では流速低下率が Plaque score と病変長で負の相関で有意 (p < 0.0 で, また術後 MRI-DWI 所見とも正の相関 (P < 0.05) を有した. 考察 結語 PTA の適切な拡張径についてはこれらの数値は非常にばらつきが大きく拡張率 %, 流速低下率 17.5 % は参考にすぎない. それは狭窄部の病変長,plaque score, 流速, 脳血流の変動も加味する必要があり術前より一律に決定することはできないと考えられた. 1-O14-9 CAS 後再狭窄に関わる因子の検討 東京大学医学部脳神経外科 小泉聡庄島正明根城尭英野村征司 Koizumi Satoshi 伊藤明博 中冨浩文斉藤延人 背景 頸動脈ステント留置術(CAS) の発展とともに周術期合併症の発生率は低くなり, 充分安全かつ有効な治療法として確立している. しかし慢性期の再狭窄に関わる因子についての報告は少ない. 方法 2006 年 11 月から 2013 年 12 月までの期間当院で頸動脈狭窄症に対し初回の CAS を行い, その後 6ヶ月以上フォローしえた 61 患者 63 病変を対象とし後方視的な検討を行った. 結果 上記 63 病変につき中央値 28ヶ月 (6-80ヶ月 ) のフォローが行われていた. 再狭窄は 63 例中 9 例 (14.7 %) に認められ,CAS から再狭窄までの期間は中央値 12ヶ月 (4-23ヶ月 ) であった. 再狭窄群 9 例と非再狭窄群 54 例を分け再狭窄のリスクとなる因子を検索したところ, 再狭窄群では非再狭窄群に比し CAS 術後の抗血小板剤 2 剤併用の期間が有意に短かった ( 中央値 2ヶ月対 4ヶ月, p= 0.0. この他喫煙歴 (77.8 % vs 61.1 %,p= 0.47), 糖尿病既往 (55.6 % vs 35.1 %,p= 0.28),closed cell stent の使用 (55.6 % vs 25.9 %,p= 0.1 などが再狭窄群に多い傾向があったものの, 統計学的有意差は見られなかった. 再狭窄 9 例のうち,open cell stent 使用群 4 例の再狭窄までの期間は中央値 19ヶ月 (12-23ヶ月 ) であったのに対し,closed cell stent 使用群 5 例では中央値 7ヶ月 (4-14ヶ月 ) であり, 有意に短かった (p= 0.0. 考察 CAS 後再狭窄には合併疾患やプラーク性状と言った内因性因子と使用デバイスや術後抗血小板療法などの外因性因子の両方が関わっていると考えられる. 結語 CAS 後に抗血小板薬 2 剤を長期間併用することで再狭窄を減らせる可能性がある. 今後は再狭窄予防にも注目した CAS リスクの評価や手技の選択が必要になってくると思われる. 一1-O15-1 ステント支援下脳動脈瘤コイル塞栓術の治療成績 福井赤十字病院脳神経外科 北原孝宏 Kitahara Takahiro 宮腰明典 早瀬睦 多喜純也 中村威彦 波多野武人 背景 動脈瘤治療用頭蓋内ステントが認可され, 治療困難であった wide neck, 大型脳動脈瘤に対してコイル塞栓術が可能となった. 今回, 我々の施設におけるステントを併用した瘤内塞栓術の初期および中期成績について報告する. 対象 / 方法 2012 年 3 月以降に当院でステント併用コイル塞栓術を施行した脳動脈瘤 34 例を検討した. 結果 年齢は平均 65.7 歳 (36 84 歳 ), 男性 9 例 女性 25 例, 動脈瘤の局在は内頸動脈 15 例, 脳底動脈 9 例, 椎骨動脈 3 例, 前交通動脈 2 例, 中大脳動脈 3 例, 前大脳動脈 2 例で, うち 3 例が再発例であった. 動脈瘤の最大径は 10.1 ± 5.7 mm, ネック径は 6.5 ± 2.8 mm であった. 巨大内頸動脈瘤の 1 例でステントが留置できず塞栓術を断念した. 使用したステントは, EnterpriseVRD 29 例,NeuroformEZ 5 例であった.Jail technique のみでの治療が 13 例, その他の方法 (transcell,semi-jail, balloon,double catheter など ) を用いた症例が 21 例であった. 塞栓結果は Complete occlusion が 27 例,Neck remnant が 2 例, Body filling が 5 例であった. 症候性虚血性合併症は 5 例 ( 一過性 3, 永続性 に認めた. 術後 MRI 拡散強調画像の陽性率は 56 % であった. 平均追跡期間は,11.7ヶ月で, その間 2 例にcoil compaction を認め再治療を行った. Discussion ステントを用いることで wide neck や大型脳動脈瘤に対する有効な治療が可能となった. ステントの選択肢も増え, 今後は適切なステント選択や手技の選択が, 治療成績の向上に重要と考えられる. 虚血性合併発生率は低くないため, 術前術後の抗血小板剤投与, 術中術後の抗凝固療法の厳重な管理が必須である. 1-O15-2 ステント支援下脳動脈瘤塞栓術の中期成績 名古屋大学脳神経外科 大阪医科大学脳神経外科 今井資 Imai Tasuku 伊藤真史 泉孝嗣 西堀正洋 松原功明 宮地茂 太田圭祐 若林俊彦 新帯一憲 目的 本邦において頭蓋内ステントが使用可能となり 4 年以上が経過した. 当院での未破裂脳動脈瘤に対するステント支援下脳動脈瘤塞栓術の中期成績につき報告する. 対象及び方法 ステント支援下脳動脈瘤塞栓術施行後,3 年以上経過した 55 症例 57 動脈瘤のうち, 初回治療後 3 年以降に脳血管撮影または MRI/MRA を実施した 42 症例 45 動脈瘤について, 動脈瘤の画像上の塞栓状態, 初回治療後 1 ヶ月以降 ( 慢性期 ) の合併症, 抗血小板薬の内服状況につき検討を行った. 結果 平均年齢 60.4 歳, 男性 11 症例, 女性 31 症例, 部位は硬膜内内頸動脈が 18 個, 硬膜外内頸動脈が 12 個, 椎骨動脈が 11 個, 脳底動脈が 4 個であった. 最終評価時の塞栓状態は完全閉塞 (CO)42 %, ネック残存 (NR)46 %, 動脈瘤残存 (BF) 12 % と術直後 (CO 18 %,NR 44 %,BF 38 %) よりも改善傾向にあった. 再治療は 4 例 9 %( 血管内再治療 2 例, 直達術 2 例 ) で施行され, うち 3 症例は症候性大型動脈瘤であった. 慢性期の合併症は mass effect 増強による神経症状 7 %, 脳室拡大 5% であった. 最終受診時の抗血小板薬の内服状況は 2 剤継続 2 %,1 剤継続 46%, 内服中止 52% であった. 初回治療から内服中止までの平均期間はは 26.1 ヶ月であり, 内服中止後の虚血性合併症例は認めなかった. 結論 ステント支援下脳動脈瘤塞栓術の中期成績は良好であったが, 症候性大型瘤では再治療を要する例が多く慎重に適応を判断すべきと考えられた.2 年の経過で抗血小板薬を安全に中止出来る可能性が示唆されたが, 判断には症例数の蓄積が必要である. JNET Vol.8 No.6 December
28 1-O15-3 エンタープライズ VRD を用いた脳動脈瘤塞栓術検討 東京医科歯科大学血管内治療科 東京医科歯科大学脳神経外科 秀和綜合病院脳神経外科 1, 唐鎌淳 Karakama Jun 吉野義一 三木一徳 2, 山田健嗣 中期成績の 前原健寿 根本繁 目的 エンタープライズ VRD( 以後 VRD) が導入されて約 3 年が経過したが長期治療成績は明らかでない. 当院での VRD の初期治療結果を検討し報告する. 方法 過去 4 年間に当科で VRD を用いて治療した 35 症例 40 手術を対象とした. 未破裂脳動脈瘤 31 例, くも膜下出血例 5 例であった. 平均年齢 58 歳, 男性 8 例, 女性 27 例. 瘤の大きさは7 30mm( 平均 1 で,IC22 例 (cavernous 7 例,C 2 12 例,supraclinoid 3 例 ),BA 5 例,VA 11 例, その他 3 例であった. 瘤内血栓を伴うものが 3 例, 塞栓術後再発例が 5 例であった. 結果 全例 VRD の留置は成功した. 塞栓術は Jail 18 例,Trans cell 1 例, 留置のみ 6 例,Jack up 2 例であった.1 例で double barrel を用いた.6 例で複数のステントをオーバーラップさせた.10 例で術直後の CT で局所的な皮質の造影剤漏出と DWI 高信号を認めた.1 例で治療後に動眼神経麻痺が悪化した.20 例で治療後 6ヶ月以上の AG を行い,5 例で瘤の再開通を認め,3 例で再治療を行った. 周術期は SAH の 1 例を除き全例で 2 剤の抗血小板治療を行い, 観察中 20 例は 1 剤に変更し 8 例は抗血小板剤を中止した. 血小板機能モニターは 2 例でアスピリン抵抗性を示し,4 例でクロピドグレル低反応性を示した.1 例で虚血性合併症生じた.VRD の留置により親血管が偏位したものが 8 例あり CFD 解析で治療前後で stream line, 瘤ネック部壁圧, 壁面ずり応力の変化が示唆された. 結論 VRD 導入により治療困難な動脈瘤を安全確実に治療できるようになった. 血小板機能モニターは抗血小板剤の適正使用に有用である.VRD 留置による血管偏位や血流入角度の変化が治療結果に影響している可能性がある. 1-O15-4 ステント支援下脳動脈瘤塞栓術の中期治療成績 杏林大学医学部脳神経外科 佐々総合病院脳神経外科 水戸ブレインハートセンター脳神経外科 小山記念病院脳神経外科 5) 西湘病院脳神経外科 佐藤栄志 Sato Eishi 脊山英徳 小松原弘一郎 清水淑恵 笹森寛生 5) 小西善史 島田篤 塩川芳昭 林基高 はじめに ステント支援下脳動脈瘤塞栓術の中期治療成績について報告する. 対象と方法 2011 年 7 月から 2014 年 8 月までにステント支援下脳動脈瘤塞栓術を施行した脳動脈瘤 61 個 (60 例 [ 男性 9 例, 女性 51 例, 平均年齢 65.0 歳 ]) を検討対象とした.Stent は Enterprise VRD:34 個 ( 未破裂瘤 :26, 破裂瘤 :8), Neuroform EZ:27 個 ( 未破裂瘤 :25, 破裂瘤 :. 塞栓術は原則 jailing 法. 抗血栓療法は未破裂瘤では治療 7 日前から抗血小板剤 2 剤服用し, 最低 6 ヶ月持続, その後 1 剤を継続 ( 中止時期は未定 ), 術中全身 heparin 化の後,argatroban を 48 時間持続. 破裂例急性期治療では, 術直前または中 後から抗血小板剤 1 2 剤投与と術中全身 heparin 化,argatroban にて対応した. 結果 動脈瘤部位は IC-paraclinoid= 36,IC-cavernous= 8,IC-Pc= 6,BA tip= 5, VA= 5(fusiform/DA=,P 1-2 = 1 で, 大きさは small:52 large:9,giant:0. 動脈瘤再治療時使用 :4 例. 全例ステント留置成功した. 手技は,jailing 法 = 46,jailing 法 trans-cell 法 = 11,trans-cell 法 = 2,rescue= 2. 未破裂例では術中破裂はなく, 破裂 1 例で stent 留置後の coiling 中に破裂を来たした. 未破裂瘤 8 例に術後 MRI-DWI で無症候性脳梗塞, 急性期治療を行なった破裂瘤例 ( いずれも BA tip) で治療後亜急性期に虚血を生じた. 治療後の再発 再開通 5 例中,4 例に対し再治療を追加,3 例成功,1 例不成功.1 例は治療計画待機中に破裂し死亡した. 結論 ステント支援下脳動脈瘤塞栓術の中期治療成績は概ね良好な結果と考えられた. しかし術中 術後の血栓症発生, 特に破裂例での使用は術前から抗血小板剤投与, 術中 後の抗血栓療法の管理が重要である. 1-O15-5 Stent assisted coiling の成績および stent の登場前後での大型瘤の治療成績の変化 藤田保健衛生大学医学部脳神経外科 定藤章代 Sadato Akiyo 早川基治 安達一英 前田晋吾 加藤庸子 廣瀬雄一 目的 脳動脈瘤の血管内手術において stent の併用は再開通の率を低下させることが報告されている. 一般に再開通のリスクは大型の動脈瘤ほど高いので, 全体の成績とともに大型瘤に関して stent が使用可能になる以前と以降で成績が変化したかを調べた. 対象 stent assisted coiling(sac) は全体で 68 例 70 件でに行った. stent が使用可能になった 2010 年 10 月以降に血管内手術を行った大型瘤 (10 24 mm) は 49 例 (stent era 群 ) で内 20 例に stent を併用した.2006 年から 2010 年 9 月の間に治療した大型瘤は 49 例 (pre-stent era 群 ) であった. これらにつて塞栓結果, 合併症, 再開通を比較した. 結果 SAC 70 件全体の塞栓結果は CO+NR が 55 件 (78.6%), 合併症は症状持続したものが2 例 (2.9%), mortality 0 %,6 か月後以降の画像検査上 (56 例 ) で再開通を認めたものは 11 例 (19.6%), うち再治療は 6 例 (10.7 %) であった. 大型瘤については,stent era 群の塞栓結果は CO+NR が 72.7 %, pre-stent era 群では 68.1 % で同等であった. 症状が持続する合併症については両群とも各 2 例 (4.1 %) であった. 再開通は初回の瘤内塞栓の 6 か月後以降の検査を行えた 25 例 (stent era 群 ),29 例 (pre-stent era 群 ) 中, 前者では Simple compaction 7 例 (28.0%), 増大を伴う再開通 2 例 (8.0%), 後者ではSimple compaction 8 例 (27.6%), 増大を伴う再開通 9 例 (31.0%) と stent era 群で増大を伴う再開通が少なかった. 結語 大型瘤では増大を伴う再開通がしばしば生じるが stent 併用が可能になった以降は減少した. 直後の塞栓結果や合併症の頻度は同等であった. 1-O15-6 当院における脳動脈瘤 VRD 併用塞栓術 他のneck remodeling technique との使い分け 富山大学医学部脳神経外科 秋岡直樹 Akioka Naoki 桑山直也 柏崎大奈 黒田敏 目的 当院での VRD(Vascular Reconstruction Device) 併用脳動脈瘤塞栓術の成績を報告する. 対象と方法 VRD 導入時の適応は, 明らかに他の neck remodeling technique では治療困難な動脈瘤もしくは再発瘤に限定し, 抗血小板療法は全例 3 剤併用で行った.VRD 留置の技術が向上し,VRD の選択肢が増えたこともあり, 最近の 1 年では VRD 使用が有利と判断される場合は積極的に用いている. また血小板凝集能測定の結果によって抗血小板療法は 2 剤併用で行うことも多い. 動脈瘤の neck や dome から重要な分枝が起始する動脈瘤においては, 他の remodeling technique を用いることが多かった.2010 年 9 月以降,31 例の VRD 併用コイル塞栓術を経験した. 平均年齢は 63 歳 (30-84 歳 ),Enterprise を 22 例,Neuroform を 9 例に用いた. 発生部位は内頚動脈が 18 例, 中大脳動脈が 2 例, 椎骨動脈が 4 例, 脳底動脈が 7 例であった. 動脈瘤最大径は平均 11.6 mm( mm),dome/neck 比は平均 1.42( であった. 結果 1 例で VRD が瘤内に落ち込み不完全塞栓に終わった. それ以外の 30 例ではほぼ目標とする位置に VRD を留置できた. 症候性の虚血性合併症やステント内血栓症を呈した症例はなかった. 術後 MRI 拡散強調画像陽性は 11 例 (35 %) に認めたが, いずれも無症候性であった. 無症候性の頭蓋内出血が 1 例, 後腹膜下血腫を 2 例に生じた. 平均 follow up 期間は 20 ヶ月であり, 不完全塞栓に終わった 1 例において術後 1 年での破裂を認めた. 再治療を要した症例は 1 例であった. 結語 抗血小板薬による出血性合併症が課題であるものの, 我々の成績は概ね良好であった. 広頚脳動脈瘤でありながら, 分枝温存の点から VRD を用いずに治療した症例を含め報告する. 222 JNET Vol.8 No.6 December 2014
29 1-O15-7 般口演脳動脈瘤に対するステント併用コイル塞栓術 : Neuroform, Enterprise をどう使い分けるか? 昭和大学藤が丘病院脳神経外科 和歌山労災病院脳外科病院 新潟脳外科病院脳神経外科 石岡循環器科脳外科病院脳神経外科 寺田友昭 Terada Tomoaki 岡田秀雄 田中優子 戸村九月 松崎丞 新谷亜紀 梅嵜有砂 藤本剛士 河野健一 大島幸亮 目的 2010 年 7 月から 2014 年 7 月までに96 症例,97 個の動脈瘤に対してステント併用コイル塞栓術を行った. 自験例から Neuroform,Enterprise をどのように使い分けるのが適切かを検討した. 方法 97 個の動脈瘤の内 15 例は Neuroform を,84 例には Enterprise を使用,2 例は両方のステントを併用した. Neuroform を用いたのは, 内頚動脈瘤 10 例, 脳底動脈先端部動脈瘤 2 例, 椎骨動脈瘤 1 例, 中大脳動脈瘤 1 例, 前交通動脈瘤 1 例であったのに対し,Enterprise を用いたのは内頚動脈瘤 25 例, 椎骨動脈瘤 41 例, 脳底動脈瘤 15 例, 前交通動脈瘤 1 例, 中大脳動脈瘤 1 例であった. 複数枚のステント (2-6 枚 ) を用いた症例は 11 例であり, 内 9 例は Enterprise のみを用いた. ステントの第一選択は Enterprise としたが,NF を選択する症例は, 屈曲病変の内側向きの動脈瘤, 母血管径が 4.5 mm 以上動脈瘤, ステントのかかる部分を最小限に抑えたい場合, 瘤内にステントストラットを herniate させ分枝を温存した場合であった. 逆に Enterprise を選択する症例は, 血管の直線化による瘤内への流れを変えたい場合, ステントを重ね置きしたい場合, Semi-jail technique を使いたい場合,Y-stent を行う場合 (?) であった. 成績 1 例にステント閉塞,1 例にステント内高度狭窄,1 例にステント導入時の動脈解離 ( ステント追加で修復 ),4 例に minor stroke を認め,3 例に再治療を行ったが,ADL の低下につながる合併症, 瘤の破裂は生じていない. 結論 ステントの構造を理解した上での適切なステント選択は, 治療範囲を広げるとともに良好な成績をもたらす. 1-O16-2 ステント支援による脳動脈瘤塞栓術不完全閉塞例の, 経過中に自然閉塞する因子の検討札幌医科大学医学部医学部附属フロンティア医学研究所神経再 生医療学部門白石記念病院脳血管内治療センター 白石記念病院脳神経外科 中崎公仁 Nakazaki Masahito 橋本祐治 野中雅 本田修 高橋明 佐々木祐典 米増保之 本望修 恩田敏之 大坊雅彦 目的 Stent assist coiling(sac) における不完全閉塞例において, 経過観察中に自然閉塞する症例が存在する. 本研究は,SAC 不完全閉塞例において, 経過中に自然閉塞する因子について検討した. 方法 対象は,2010 年 7 月から 2013 年 12 月の間,single center にてワイドネック瘤に対して SAC を施行,Neck remnant(nr), または Dome filling(df) にて手技終了, 治療後 6 ヶ月以降に脳血管造影検査にてフォローアップしている症例を後方的に調査した. 調査内容は, 患者背景, 脳動脈瘤の形状, 術中所見, 経過フォロー時の脳血管造影検査所見とした. 以上の項目について, 自然閉塞群と非自然閉塞群との 2 群間比較し,ROC Curve 解析, ロジスティック回帰分析を用いて, 経過観察中に自然閉塞を来す因子について検討した. 結果 25 例 26 病変 (NR 21 病変,DF 5 病変 ) が対象となった. 平均年齢は 65 歳, 女性 23 例だった. 動脈瘤の最大径は平均 9.24 ± 3.63 mm, ネック径は平均 6.3 ± 3.1 mm だった. 脳血管造影検査で, 経過観察中に自然閉塞した症例は 11 病変 (NR CO; 10 病変,DF CO;1 病変 ) だった. 自然閉塞例群と非自然閉塞例群の比較では,neck 径のみが有意な差があり ( 中央値閉塞群 5 mm, 非閉塞群 6 mm),neck 径の自然閉塞に対する ROC curve 解析では,Neck 径 5 mm 以下が最適な cut-off 値だった ( 感度 91%, 特異度 60%,AUC= 0.78,P < 0.0. ロジスティック回帰分析より, 自然閉塞に対する Neck 径 5 mm 以下 の Odds ratio は,17.3(95 %CI: ,P < 0.0 だった. 結論 ステント支援による脳動脈瘤塞栓術不完全閉塞例において, ネック径が 5 mm 以下であると, 経過中に自然閉塞する可能性が高いと考えられる. 1-O16-1 ステント併用コイル塞栓術後の major recanalization の臨床的特徴 筑波大学医学医療系脳神経外科 筑波メディカルセンター病院脳神経外科 1, 伊藤嘉朗鶴田和太郎池田剛丸島愛樹中居康展 Ito Yoshiro 山本哲哉松村明 はじめに ステント併用コイル塞栓術は動脈瘤治療の幅を広げた. フローダイバーターステントも使用可能となるが, その適応を考えるうえで, 現在のステント併用コイル塞栓術で治療困難な症例を検討する必要がある. 対象 方法 当院で脳動脈瘤に対してステント併用コイル塞栓術を施行した 29 例を対象とした. 当院では 2010 年 9 月より,Enterprise が使用可能となり,2013 年 4 月より Neuroform も使用可能となった. 当院でステント併用コイル塞栓術を施行した症例のうち major recanalization をきたした症例に関してその臨床上の特徴を検討した. 結果 対象は 29 例, 平均 64.1 歳.Enterprise は 25 例,Neuroform は 4 例であった. 動脈瘤の大きさは平均 10.2 mm, ネック平均 7.0 mm.acoma 2 例,ICA 18 例,VA-BA 10 例であった. 塞栓方法としては Jailing 法が 17 例 (59 %),Jack up 法が 12 例 (41 %) であった. 平均 VER は 29.7 % で, 塞栓方法による差は見られなかった.major recanalization は 6 例 (21 %) に認めた. 動脈瘤の大きさ (11.4 mm,9.9 mm), ネック (7.9 mm,6.7 mm),ver(31.7 %,29.1 %) で差は認めなかった. ICA の動脈瘤で major recanalization が高い傾向にあった (5 例, 1 例 ). 考察 ICA 動脈瘤で recanalization が多い要因としては血管の走行が関与しているのではないかと考えられる. ステントはその特性から血管の走行を変化させる性質があるが,ICA は近位部が頭蓋骨で固定されていることと, 比較的太くかつ動脈硬化をきたしていることを考えると血管の走行は変化しづらいものと思われる.BA 動脈瘤では血管の走行変化がみられており, その変化が major recanalization しにくくさせたと思われる. 1-O16-3 大型脳動脈瘤治療はステント併用コイル塞栓術で解決されたか? Enterprise VRDを用いた動脈瘤コイル塞栓術の angiographic follow-up の検討 新潟大学脳研究所脳神経外科 京都大学医学部脳神経外科 森田健一 Morita Ken-ichi 伊藤靖 西野和彦 佐藤圭輔 長谷川仁 藤井幸彦 目的 2010 年 7 月から脳動脈瘤塞栓術支援ステント Enterprise VRD が使用可能となり治療適応が拡大されたが, 長期 follow up が大切である. 今回, 大型未破裂脳動脈瘤のステント併用コイル塞栓術の治療成績と angiographic follow up を検討した. 対象 方法 対象は 2010 年 7 月から 2014 年 6 月までに当院で Enterprise VRD を用いたコイル塞栓術を行った連続 30 症例 33 病変のうち, 最大径 10 mm 以上の大型脳動脈瘤 15 病変. 平均年齢 64.1 歳 (33-76 歳 ), 女性 12 例, 動脈瘤最大径平均 13.5 mm(10-22 mm), ネック径 7.06 mm(4-11 mm). 病変部位は内頚動脈 10 例, 脳底動脈 4 例, 椎骨動脈 1 例, 前交通動脈 1 例, 中大脳動脈 1 例で, 再発瘤が 9 例であった.Follow-up Angiography は術後 6ヶ月後,1 年後,2 年後,5 年後の予定とした. 結果 全例でステント留置, 動脈瘤塞栓が施行でき,complete occlusion(co):7 例 (46.6 %),neck remnant(nr):4 例 (26.7 %),body filling(bf):4 例 (26.7 %) であった. 合併症は, 術中出血 1 例, 無症候性の眼動脈閉塞 1 例, shower embolism 1 例であったが, 永続的な後遺症はみられなかった. 術後 follow-up angiography は 12 例に行われ,CO 7 症例のうち 4 例が CO のままであり,2 例 NR,1 例 BF,NR 4 症例は全例 NR,BF 1 例は BF がやや増大の状態であった. 術後出血例, 再治療例は現在みられていない. 考察 結語 今後も慎重な経過観察を要するが, 現段階では大型脳動脈瘤に対するステント併用コイル塞栓術は dense packing が行え, 有効な治療であると考えられる. 一JNET Vol.8 No.6 December
30 1-O16-4 ステント併用脳動脈瘤コイル塞栓術後の neck remnant に関する経時的変化の検討 福岡大学筑紫病院脳神経外科 新居浩平 Nii Kouhei 坂本王哉 相川博 光武尚史 堤正則 江藤歩 中井完治 花田迅貫 伊香稔 風川清 目的 脳動脈瘤に対する stent-assisted coil embolization(sace) の術直後とフォローアップの画像を比較して動脈瘤の neck remnant(nr) の変化や再発を調査し, ステントの種類や動脈瘤のサイズ 形態などによる治療効果の違いを検討した. 対象および方法 2010 年 9 月 2013 年 12 月,88 例の嚢状動脈瘤に対して SACE を施行した. ステントの内訳は,Enterprise VRD を 63 例, Neuroform を 25 例に使用した. フォローアップでは術中と同様のワーキングアングルで血管造影を行い,NR の変化を比較した. 結果 平均 5.3 ヶ月で施行したフォローアップ検査では,40 例 (45.5%) に術前画像と変化がなく,28 例 (31.8%) に NR の減少 消失を認めた.15 例 (17%) は軽度の NR の増大を認め,5 例 (5.7%) の dome filling に追加塞栓術を施行した. ステント群間や動脈瘤の形態 N/D 比に明らかな有意差は認めなかったが, サイズの大きい動脈瘤は NR の増大する原因であった.Enterprise 群では bifurcation type に NR の増大を多く認めたが,sidewall type の動脈瘤ではステントの種類に関係なく, 親血管の長軸のカーブで外側に位置する動脈瘤の NR が増大する傾向があった. 結論 SACE のフォローアップではステントの種類による治療効果の有意差はなく, いずれも良好な経過であったが, サイズの大きい動脈瘤や sidewall type の外側向き動脈瘤の NR に関しては厳重なフォローアップが必要と考えられた. 1-O16-5 脳動脈瘤コイル塞栓術支援用ステント TCD ( 欧州での販売名 :LVIS) の国内臨床試験中期成績 先端医療センター脳血管内治療科 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 大阪医科大学脳神経外科 名古屋大学脳神経外科 坂井千秋 Sakai Chiaki 1, 坂井信幸 3, 宮地茂 泉孝嗣 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術支援用に開発された TCD ( 欧州での販売名 :LVIS テルモ /Microvention) の国内臨床試験 ( 以下 LVIS 国内試験 ) の中期成績を検討し発表する. 対象と方法 先端医療センターおよび名古屋大学で行った LVIS 国内試験に登録された 33 例を対象とし,6 ヶ月の経過観察は LVIS 国内試験 ( 全例 ) データに基づき,6 カ月以降は医師主導研究で 1 年 ( 全例 ) および 18 カ月 ( 一部 ) の経過を観察した. これらの臨床転帰, 脳動脈瘤の塞栓状態, 抗血栓療法, イベント等を検討した. 結果 2012 年から治験を開始し, 未破裂無症候性脳動脈瘤 33 例を登録した. デリバリーカテーテルを配置できず,LVIS 留置に至らなかった 1 例 (Acomm, 男性 ) を除く 32 例 : 男 3 女 29,35-75( 平均 57.5) 歳,ICA 28,VA 1,BA 2,PCA 1, 最大径 ( , 平均 7.mm, に対し,LVIS 支援コイル塞栓術を実施した. 瘤閉塞率は, 初期 CO 2,NR 13,BF 17,6 ヶ月後 (Core Labo)CO 16, NR 11,BF 5 であり,6 ヶ月までで改善 26, 不変 5, 悪化 1 と塞栓状態は著しく改善した. 治療に伴う重篤な有害事象は 2 件 ( 嘔吐 : 因果関係なし, 一過性黒内障 : 因果関係否定できず ) であった. 主要評価項目 ( 略 ) は全例達成した. 結語 LVIS を用いるステント支援塞栓術は, 国内試験において安全に実施でき, 塞栓状態は 1 年後も 1 例を除き国内試験直後より改善または不変であった. 1-O17-1 頭蓋内主幹動脈アテローム血栓性閉塞性病変に対する急性期経皮的血管形成術の有用性 北里大学病院脳神経外科 北里大学病院神経内科 近藤竜史 Kondo Ryushi 黒田晃義 中原邦晶 檀充 佐藤公俊 隈部俊宏 小泉寛之 井島大輔 山本大輔 西山和利 背景 SAMMPRIS 試験におけるステント留置後脳卒中の原因として最多のものは, 穿通枝障害 ( 脳梗塞 24 例中 15 例 ) と再灌流障害 ( 脳出血 13 例中 7 例 ) と報告されている. 上記合併症の予防策として, 穿通枝起始部へのステント留置回避, および, 脳梗塞急性期のステント留置回避, が考えられる. 経皮的血管形成術 (percutaneous transluminal angioplasty:pta) は, ステントと比較して, 拡張部位の微調整による穿通枝温存, および, 術後抗血小板薬減量による脳出血予防, を達成し得る可能性がある. 目的 頭蓋内主幹動脈アテローム血栓性閉塞性病変に対する急性期 PTA の有効性と安全性を検証する 方法 対象は,2014 年 1 月から 8 月に, 最終虚血発作から 7 日以内に PTA を施行された, 症候性頭蓋内主幹動脈アテローム血栓性閉塞性病変連続 3 例である. 画像転帰および臨床転帰を後方視的に検討した. 成績 病変部位および脳梗塞発症機序は, 中大脳動脈水平部狭窄 ( 血行力学性 )1 例, 海綿静脈洞部内頚動脈狭窄 ( 塞栓性 )1 例, 脳底動脈閉塞 ( 血栓性 ) 1 例である.PTA 施行理由は, 内科治療抵抗性の虚血発作再発 2 例,t-PA 静注禁忌 ( 発症後 4.5 時間以上 ) の重症脳梗塞 1 例である. 全例で Gateway を用いた PTA により良好な拡張が得られた. 術後の梗塞巣増加, 頭蓋内出血, および過灌流症候群は認められなかった. 最終転帰は modified Rankin Scale(mRS)0 が 1 例, mrs 1 が 2 例であった. 結論 内科治療無効の症候性頭蓋内主幹動脈アテローム血栓性閉塞性病変に対する急性期治療として, PTA が有効かつ安全である可能性が示唆された. 長期転帰は確認されておらず, さらなる症例集積と経過観察が必要である. 1-O17-2 症候性動脈硬化性頭蓋内主幹動脈狭窄に対する血管内治療 福井赤十字病院脳神経外科 波多野武人 Hatano Taketo 北原孝宏 宮腰明典 多喜純也 早瀬睦 中村威彦 目的 症候性頭蓋内主幹動脈狭窄病変を有する症例の脳梗塞再発率は高い. しかし,SAMMPRIS study では, 自己拡張型ステント留置術の有効性は否定された. 今回, 症候性動脈硬化性頭蓋内主幹動脈狭窄に対する我々の血管内治療の成績について検討し報告する. 対象/ 方法 1998 年以降に血管内治療を行った症候性動脈硬化性頭蓋内主幹動脈狭窄症 133 症例について retrospective に検討した. 血管内治療適応は, 抗血小板剤投与にも関わらず症候を呈する 60 % 以上の狭窄病変とした.Balloon angioplasty を第一選択とし,balloon angioplasty で十分な拡張が得られないか動脈解離が起きた病変に対して balloon-expandable stent を最近の症例では selfexpandable stent 留置した. 結果 平均年齢:68.6 歳 (46-83 歳 ), 性別 : 男性 114, 女性 19 例. 内頸動脈系 ;89 例, 椎骨脳底動脈系 ; 43 例.Balloon angioplasty のみ施行した症例が 56 例,stent 留置例が 77 例であった. 治療成功率 ( 狭窄率 < 30 %) は 97 % で, 狭窄率は術前平均 83 % から術後 14 % に改善した. 術後 30 日以内の症候性脳卒中は 2.2 % で, 死亡例はなかった.6ヶ月以内の再狭窄を,18 例 (13.5 %) に認めた. 平均追跡期間は 42ヶ月で,7 例 (TIA 3,stroke に虚血性イベントの再発を認めた. 結論 症候性動脈硬化性頭蓋内主幹動脈狭窄症に対する血管内治療は, 有効な治療手段と考えられる. 再狭窄が治療後の脳梗塞再発の重要な要因であり, 治療後の厳重な長期 follow-up と追加治療が予後改善には重要と考える. 224 JNET Vol.8 No.6 December 2014
31 1-O17-3 般口演硬膜内脳血管に対する経皮的脳血管形成術の初期及び中長期成績愛知厚生連海南病院脳卒中センター 小林望 Kobayashi Nozomu 目的 症候性頭蓋内動脈狭窄症は予後が悪いことが知られ血管形成術 (PTA) に期待がもたれるが, 合併症率が高く効果の証明がないため中 長期的な成績の報告は少ない. 演者が経験した硬膜内脳血管の経皮的脳血管形成術 ( 硬膜内 PTA) の初期ならびに中 長期成績について報告する. 方法 演者が (102ヶ月 ) に所属施設にて施行した硬膜内 PTA 39 例 ( 中大脳動脈 16, 内頚動脈 2, 脳底動脈 13, 椎骨動脈 8).Balloon-PTA(POBA) を目指したもの (intention to POBA/i-POBA) が 31 例, 最初から stenting を目指したもの (primary stent/p-stent) が 8 例であったが i-poba 群 31 例中 3 例は術中解離のため rescue stenting を要した. フォローアップ期間は 1 107ヶ月 ( 平均 23.0ヶ月 ) であった. 結果 狭窄率は平均術前 77.7% 術後 29.2% であった. 合併症 ( 神経症候の悪化 ) は i-poba 群 3.2% に対し p-stent 群 37.5 % であった (P < 0.0.POBA のみで終了した 28 例中再狭窄を来たしたものは 7 例 (25.0%) と高率であったが,8 例 (28.6%) では逆に改善が認められた. ステントを留置した 11 例の再狭窄は 1 例 (11.1%) であった (N.S.) 結論 硬膜内 PTA の合併症率は高いと言わざるを得ないが, 最初からステントを用いたケースに有意に合併症率が高い.POBA の再狭窄率は高いが中長期的に改善するケースもあり硬膜内 PTA におけるステントの使用は限定的であるべきと考えられた. 1-O17-4 脳主幹動脈狭窄症に対する冠動脈ステントを用いた急性血行再建療法 名古屋市立東部医療センター神経内科 名古屋市立東部医療センター脳神経外科 山田健太郎大村眞弘大野貴之出村光一朗 Yamada Kentaro 松尾州佐久北村拓海池田知雅紙本薫金井秀樹 橋本信和 背景 頭蓋内動脈狭窄性病変に対する血管内治療は頭蓋内動脈狭窄拡張を目的として経皮的血管形成術 ( 以下 PTA) が行われ, ステントの利用は PTA 後の血管解離, 急性閉塞または切迫閉塞などの対応 (rescue stenting) として利用価値が高いとされ, これまでは冠動脈ステントなどが緊急に頭蓋内狭窄性病変に対して使用されてきた. 目的 Wingspan system の導入前の冠動脈ステントによる頭蓋内血管形成術後の rescue stenting の成績をまとめることを目的とした. 方法 2009 年 4 月以降 2014 年 5 月までに行われた脳血管内治療データベースより, 症候性頭蓋内動脈狭窄に対する血管形成術が行われ, かつステント留置術を試みられたか実施された例を検討した. 結果 12 例 13 回の治療が行われた. 年齢は 74.0 ± 7.6 歳 (58 89 歳 ), 女性 4 例, 対象血管は内頸動脈 9 例 10 回, 中大脳動脈 2 例, 脳底動脈 1 例. 内科治療抵抗性の進行性脳梗塞が 7 例, その他症候性狭窄が 4 例, 症候性狭窄の PTA 後の再狭窄が 2 例であった. 初回成功は 10 例で,3 例では stent を病変部に誘導できなかったが, そのうち 1 例で再治療で成功し全体の初期成功は 12 例中 10 例 (83 %) であった. 合併症は症候性脳梗塞が 1 例, TIA 1 例, 無症候性の脳梗塞と SAH が 1 例ずつ, 軽度腎機能障害が 1 例であった.1ヶ月後の転帰良好(mRS 2 以下 ) は 7 例 58 % であった. 死亡例を除く 11 例のうち再狭窄は 1 例で,2 年目に確認され再治療が行われた. 結論 冠動脈ステントを用いた症候性頭蓋内動脈狭窄性病変に対する血管形成術 ステント留置術は, 症例を選択して行った結果, 現実的な選択肢となっていたと考えられた. 今後, 頭蓋内ステントの成績と比較していく必要があると考えられた. 一1-O17-5 動脈硬化性頭蓋内動脈狭窄症に対するバルーン拡張型ステント留置術の長期成績神戸市立医療センター中央市民病院総合脳卒中センター 先端医療センター脳血管内治療科 足立秀光 Adachi Hidemitsu 坂井千秋 藤堂謙一 坂井信幸 佐藤慎祐 菊池晴彦 今村博敏 有村公一 谷正一 河野智之 鳴海治 星拓 序文 動脈硬化性頭蓋内動脈血管狭窄症 (ICAD) に対する脳血管内治療は SAMMPRIS study の結果, 適応は慎重に考えるべきであるが, 治療の長期予後はよくわかっていない. そこで当施設で行った ICAD に対するバルーン拡張型ステント留置術の長期成績について後方視的に検討し報告する. 対象 2001 年 8 月 年 8 月までに当施設で ICAD に対して, ステントを用いて血行再建を行った 35 症例 38 血管 ( 症候性 28 血管, 無症候性 10 血管 ) を検討の対象とし, 治療後の全脳卒中 死亡, 治療血管領域の脳卒中, 再治療を必要とした症例 血管とその関連因子を検討した. 結果 ステント留置部位は内頚動脈 26 血管, 椎骨 脳底動脈 10 血管, 中大脳動脈 2 血管であった. 平均観察 2137 日 ( 日 :71 ヵ月 ) で全脳卒中 死亡は 16 症例 18 血管, うち死亡例は 11 症例 13 血管 ( 平均 1564 日 :52 ヶ月で 31.4 % が死亡 ) 何れも脳卒中と無関係であった. 全脳卒中は 8 症例 8 血管, 治療血管領域の脳卒中は 4 症例 4 血管で何れも minor stroke であった. 治療血管領域の脳卒中は平均 672 日 (22 ヶ月 ) で, うち 2 例は抗血小板剤の減量に関与していた. イベントなしの血管は平均観察 2505 日 (84 ヶ月 ) であった. 再治療は 6 症例 6 血管で何れも治療後 1 年以内であった. 結語 ICAD に対するバルーン拡張型ステント留置術の治療血管領域の脳卒中や再治療は治療後早い時期に生じた. 長期成績を向上させるためには, 治療早期のイベントを減少させる必要があると考えられた. 1-O17-6 症候性動脈硬化性頭蓋内動脈狭窄に対する冠動脈ステントを用いたステント留置術の短 長期成績の検討 小倉記念病院脳神経外科 岡田卓也 Okata Takuya 五味正憲 高下純平 中原一郎 坂真人 永田泉 太田剛史 宮田悠 松本省二 西秀久 石橋良太 園田和隆 背景 / 目的 本邦では過去に薬事承認された頭蓋内動脈ステントはなく頭蓋内主幹動脈狭窄症を有する症例に対し off label ながら冠動脈ステント (BMCS) を用いたステント留置術が施行されてきた. 自験例の短 長期治療成績を検討し, 市場導入予定の Wingspan Stent を含む他種ステントを用いた既報研究との比較を行った. 方法 対象は 2009 年 2014 年に症候性頭蓋内動脈狭窄症に対して BMCS を用いたステント留置術を行った 20 例 ( 急性期再開通併用例を含まない ). 周術期 / 遠隔期症候性脳卒中 死亡 治療関連合併症 遠隔期ステント開存状態を後ろ向きに検証した. 結果 対象症例は年齢 70 ± 8 歳, 女性 3 例. 対象血管は前方循環 12 例 ( 内頚動脈 11 例, 中大脳動脈 1 例 ), 後方循環 9 例であった. 治療は脳梗塞急性期治療終了後に行い, フォローアップ期間は中央値 928 日 (IQR: 日 ). 周術期脳卒中 2 例 ( 脳梗塞 1 例 ), 遠隔期脳卒中 2 例 ( 脳梗塞 1 例 ) で, 死亡例はなかった. 治療関連合併症は 2 例 ( 海綿動静脈瘻 1 例, 造影剤血管外漏出 1 例 ; いずれも無症候 ), 急性期ステント閉塞 1 例, 治療不成功は 2 例で, ステントの長期開存は 17 例で得られた. 結語 BMCS を用いたステント留置術の短期治療成績は SAMMPRIS,SSYLVIA 等の既報研究と同等であったが, 治療時期 ( 急性期脳梗塞治療終了後 ) や中大脳動脈症例が少ないことが関与している可能性がある. ステント長期開存は既報研究より良好であり, 十分な初期治療結果が得られれば本治療の長期成績は良好である.Wingspan 導入にあたっては, 治療適応と初期治療における合併症回避が求められる. JNET Vol.8 No.6 December
32 1-O17-7 頭蓋内動脈硬化性病変を有する急性期脳梗塞に対する血管内治療 冠動脈ステントから Wingspan stent へ移行するのか? 国立病院機構九州医療センター脳血管内治療科 国立病院機構九州医療センター脳血管 神経内科 津本智幸 Tsumoto Tomoyuki 徳永聡 三本木良紀 鶴崎雄一郎 矢坂正弘 岡田靖 はじめに 2014 年 7 月に頭蓋内血管専用ステントである Wingspan stent(ws) が保険収載され, 使用可能となった. 今回, WS 解禁前後に行った頭蓋内動脈硬化性病変を有する急性期脳梗塞に対する血管内治療を振り返り, デバイスの選択 問題点などについて検討する. 対象 2012 年 1 月から 2014 年 7 月までに急性期血管内治療を必要とした頭蓋内閉塞性病変 12 例, 高度狭窄病変 3 例を対象とした. 病変部は中大脳動脈 10 例, 脳底動脈 4 例, 内頚動脈 1 例であった. 治療方針としてはバルーン拡張術 (PTA) を基本とし, 拡張不十分な場合, ステントを留置した. 結果 8 例は PTA で,5 例はステントで治療し, 良好な再開通が得られた. ステントは 4 例で冠動脈ステント,1 例で WS を用いた. 使用したバルーン径は平均 1.81 mm, 冠動脈ステント径は平均 2.38 mm であった. 中大脳動脈閉塞症 1 例で PTA 翌日に再閉塞し, 冠動脈ステントを留置したが, 神経症状の悪化はなかった. 脳底動脈高度狭窄症 1 例では WS 3.5 mm 径を留置後 1 週目にステント閉塞を来した. 幸い PTA で再開通は得たものの, 神経症状は悪化した. 本例では後拡張は行っておらず, ステント内最小径も 1.9 mm と細く, 密着不良 残存狭窄などが閉塞の原因ではないかと思われた. 結語 中大脳 脳底動脈病変は正常血管径 3 mm 程度であり, 必然的に使用デバイスは 2.5 mm 径程度までであった. 細径病変にステントを留置する場合, 従来の冠動脈ステントの方が, 後拡張なしに目標径まで拡張でき, 病変への密着度が高いと考えた. 以上から, 細径の病変に対しては WS にこだわらず, 臨機応変にデバイスを選択する必要があると考えた. 1-O17-9 頭蓋内 ICA の経皮的脳血管形成術における protection 手技の実用性 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター脳神経 脳卒中科 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター救急科 国立循環器病研究センター病院脳血管内科独立行政法人地域医療機能推進機構東京新宿メディカルセンター 脳神経血管内治療科 山本敦史 Yamamoto Atsushi 今井啓輔 濱中正嗣 傳和眞 猪奥徹也 中村拓真 徳田直輝 武澤秀理 山田丈弘 竹上徹郎 山崎英一 池田栄人 目的 頭蓋内内頸動脈 (ICA) の経皮的脳血管形成術 (PTCBA) における遠位塞栓予防としての protection 手技の実用性を明らかにする. 方法 2006 年 8 月から 2014 年 7 月に当施設で実施した頭蓋内 ICA の IC-PTA 連続 46 例中, 再手術の 4 例を除いた 42 例を対象とした. 対象を protection 使用群 (P 群 ) と非使用群 (NP 群 ) の二群に分け, 両群で背景因子と手術成績を比較した.P 群では具体的な方法も調べた. 成績 P 群は 16 例,NP 群は 26 例であった. 背景因子は P 群 /NP 群において, 男性 12(75 %)/ 18 (69 %) 例, 年齢中央値 68(49-86)/ 72(49-90) 歳, 緊急手術 7 (44 %)/ 7(27 %) 例, 術前狭窄率の中央値 99(80-100)/ 90(60-100)%, 完全閉塞 7(44 %)/3(12 %) 例であった. 一方, 手術成績は P 群 /NP 群において, 手技成功 13(81 %)/ 25(96 %) 例, 術直後狭窄率中央値 21(0-100)/ 30(0-100)%, ステント留置 13(82 %)/ 10(39 %) 例, 症候性合併症 0 / 5( 遠位塞栓 2 例 ; 動脈解離 1 例 ; 造影剤漏出 2 例 ) であった.Protection 手技の内訳は 16 例とも proximal flow control であり (1 例のみ intolerance), ICA での balloon-guide catheter(bgc) 拡張が 15 例, 総頸動脈での BGC 拡張が 1 例であった. 前者 15 例中 9 例では BGC とは別の血管 ( 外頸動脈 6 例 ; 総頸動脈 1 例 ; 対側内頸動脈 1 例 ; 同側椎骨動脈 1 例 ) に留置したカテーテルから BGC までの逆行性造影を利用し術中の病変診断をしていた. 結論 頭蓋内 ICA の IC-PTA での protection 手技は,42 例中 16 例 (38 %) で実施されていた. 同手技は完全閉塞例を含めた高度窄率例やステント留置例で多く使用されたが, 術後合併症を来さなかったため, 症例を選択すれば実用性が高い. 1-O17-8 頭蓋内 internal carotid artery(ica) の狭窄病変に対する血管内治療. 血流逆転 /Flow reverse(fr) による遠位塞栓防止 立川綜合病院循環器 脳血管センター神経内科 立川綜合病院循環器 脳血管センター脳神経外科 高野弘基 Takano Hiroki 神保康志 高橋陽彦 阿部博史 目的 頭蓋内主幹動脈の狭窄は虚血性脳卒中の高リスク病変で, 経皮経管血管形成術 (PTA) が施行される場合もある. 周術期の遠位塞栓は PTA の主要な合併症の一つであるが, 頭蓋内 ICA 狭窄に対する PTA では,Parodi 法に準拠した FR により, 遠位塞栓防止が可能と考えられる. 本研究では, 頭蓋内 ICA 狭窄に対する FR 併用 PTA の有用性について検証した. 方法 2010 年 1 月から 2014 年 7 月に頭蓋内 ICA 狭窄に PTA を試みた例を対象とした.PTA 手順の原則は以下のように定めていた. 全身麻酔で, 側頭ウインドウから insonation が可能であれば中大脳動脈 (MCA) 血流を transcranial doppler(tcd) でモニターする. 頸部 ICA に設置したバルーン付ガイデイングカテーテルで近位血流の停止と遠位血液の吸引を行い FR 状態とし,0.014 inch ガイドワイヤーで病変を通過し, 前拡張し, 冠動脈用ステントを展開する. 結果 連続 17 病変 (16 人, 平均年齢は 70.2 歳 ) で試みた. 平均狭窄度は 76.7% で, 症候性は 17 病変中 7 例 (7/17), 左側が 6/17,Mori 分類 C タイプが 4 / 17 で, 錐体部 6 / 17, 破裂孔部 4 / 17, 海綿静脈洞部 7 / 17 であった. 全身麻酔は 15 / 17,TCD モニター可能は 9 / 17 であった.FR での MCA 流速の著明低下 (20 % 以下 ) は 9 例中 2 例 (2 / 9), 中等度低下 (70-20 %) は 5 / 9, ほぼ変化無しが 2 / 9 であった. ステント展開は 14 / 17 病変で成功した.1 回の FR 時間は, 麻酔法や TCD モニターの状態, 操作の難易度に影響され,35 秒 - 11 分 30 秒の範囲で平均 4 分 15 秒であった. 翌日の MRI は 16 / 17 例で評価し (1 例は MRI 非対応ペースメーカー装着 ), 新規 DWI 病変は 3/16 例で検出され (PTA と同側は 2 / 16),30 日以内の症候性合併症は 0 / 17 例であった. 結論 FR は遠位塞栓防止に有用と考えられた. 1-O18-1 脳動脈瘤コイル塞栓術における 3 D プリンターの有用性 東京医科歯科大学血管内治療学分野 自治医科大学脳神経外科 根本繁 Nemoto Shigeru 三木一徳 金子直樹 唐鎌淳 益子敏明 渡辺英寿 吉野義一 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術ではマイクロカテーテルの shaping が重要な決め手となっている.3 D 画像を見ても, 親動脈の屈曲蛇行により動脈瘤への誘導が困難な症例も少なくない.3 D プリンターで作成した脳動脈瘤モデルがカテーテル shaping に有用であるか検証した. 対象と方法 :2014 年 1 月から 8 月までの未破裂ないし慢性期破裂動脈瘤 26 例に実施した.ACA 5 例,ICA 14 例, BA 7 例であった.3 D 撮影の dicom スライスデータを 3 D 画像処理ソフトで再構成した後 STL ファイルに変換し,3 D プリンターを用いて ABS 樹脂で実物大の脳動脈瘤血管モデルを作成. 血管モデルと比較しながらカテーテルを曲げ,hot air-gun で shaping を行った.shaping 後は通常のコイル塞栓術を実施した. 結果 全例で動脈瘤への誘導は円滑に行われ, カテーテルを re-shape する必要がなかった. コイル挿入時にカテーテルは安定しており, 先端部が kick back されても容易に動脈瘤内へ戻った. 今までのカテーテル shaping の問題点としては,1. 傍鞍部では,C 2-4 の屈曲蛇行が著明な場合, 先端部の re-shaping が必要なことがあり,2. Acom では A 1 通過後, 瘤内へ誘導困難で同側 A 2, 反対側 A 1 へ進んでしまうことがあり,3.BA では動脈瘤が前向きや後ろ向きではカテーテル shaping が困難な場合があった. このシリーズでは以上の問題点は全くなかった.3 D 画像は work-station では 3 D であっても, モニター上では 2 D 画像として見ており, 錯覚を起こすことがある.3 D 血管モデルは実物大で両眼視可能で真の 3 D 画像として捉えることができるので,shaping に有用であると考えられる. 結論 3 D プリンターで作成した血管モデルは脳動脈瘤コイル塞栓術に有用であると言える. 226 JNET Vol.8 No.6 December 2014
33 1-O18-2 般口演脳動脈瘤コイル塞栓時のマイクロカテーテルキックバックを可視化する 高精度 force gauge を用いた検討 千葉大学医学部附属病院脳神経外科 千葉中央メディカルセンター脳神経外科 小林英一 Kobayashi Eiichi 足立明彦 荷堂謙 吉田陽一 佐伯直勝 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術における最終段階でのマイクロカテーテル (MC) キックバック (KB) は, 良好な塞栓を阻害する大きな要因である. 今回我々は, 高精度 force gauge を用いた脳動脈瘤モデル実験により KB に関して興味ある知見が得られたので報告する. 方法 アクリルモデルに径 3 mm の side-wall 型動脈瘤を作製し, 先端 90 の MC を瘤中央に留置した.MC を瘤外に垂直に押し出す力を, 瘤近傍の force gauge Model FGP- 0.2( 日本電算シンポ ) にて計測した. コイルは, アクチュエータにより一定速度で挿入するか, マニュアルで挿入した. コイルの挿入速度 (0.5 mm/ sから4mm/sまで4 段階 ),4 種類の3x60mmコイル (Axium, Galaxy fill,target Ultra,ED coil ES), 手技 ( 自動挿入, 目視しながら時々挿入を止める, 引きを入れてループを形成し直す ) により KB を比較した. 結果 挿入速度の違いにより KB の変化はみられなかった. コイルの種類では,Axium と Galaxy にて挿入とともに KB が増加する傾向を示した反面,Target と ED coil では, 一巻きごとに基準線に戻る傾向を認めた. 特に ED coil は, 塞栓後半でも KB は軽微であった. 挿入方法では, マニュアルでループをこまめに巻き直すことで, 反発力の最大値が大幅に低減した. 結論 予想に反し, 挿入速度の違いによる KB の著変は認められなかったが,MC の動きや緊張を観察しながら, マニュアルで慎重にループを巻き直すことで,KB を低減できる可能性が示唆された. コイルの種類により特徴的な KB パターンを呈し,ED coil ES で最も KB が少なかった. 状況に応じ, スペースを見つけやすいコイルと押し入れやすいコイルの使い分けが可能と考えられた. 1-O18-3 破裂脳動脈瘤のコイル塞栓術において, 加齢によるガイディングカテーテルのアクセスの悪さは術中破裂率と相関する 倉敷中央病院脳神経外科 福田仁半田明小柳正臣吉田和道林晃佑 Fukuda Hitoshi 定政信猛黒崎義隆紀之定昌則下大輔高山直樹 沈正樹山形専 目的 コイル塞栓術は低侵襲であり高齢者の破裂脳動脈瘤に対して良い適応であるが, 血管蛇行により動脈瘤へのアクセスが困難な場合は術中の合併症につながる可能性がある. 本研究では破裂脳動脈瘤のコイル塞栓術において, ガイディングカテーテルのアクセスが悪い場合術中破裂率が増加するかどうか検討を行った. 方法 最近 7 年間に, 破裂脳動脈瘤に対してコイル塞栓術を行った 82 例を対象とした. ガイディングカテーテルの先端位置が頚椎椎体レベルで内頚動脈では C 2 以下, 椎骨動脈では C 3 以下を poor access と分類した. 続いて動脈瘤の位置も加味し, 動脈瘤 ガイディングカテーテル先端間の距離が術中破裂率と相関するかどうか単変量および多変量解析を行った. 成績 加齢は, ガイディングカテーテルのアクセス悪化と有意に相関した.(p < 0.001,Mann-Whitney U test) 術中の動脈瘤破裂は 11 例 (13.4 %) に認めた. 動脈瘤とガイディングカテーテル先端の距離を long,intermediate,short の3 群に分類し解析を行った. 動脈瘤 ガイディングカテーテル距離が長くなるほど術中破裂率は有意に上昇した.(OR 5.49{95 % CI },p= 0.01,multivariable logistic regression) 結論 加齢によりガイディングカテーテルの到達性は悪化し, 動脈瘤 - ガイディングカテーテル距離は術中破裂率と有意に相関した. 特に遠位部動脈瘤では, ガイディングカテーテルのアクセスが悪い場合に術中破裂率が高いことを念頭に置いて治療法を選択すべきと考えられた. 一1-O18-4 脳動脈コイル塞栓術におけるガイディングシステムの検討 名古屋大学脳神経外科 大阪医科大学脳神経外科 松原功明 Noriaki Matsubara 西堀正洋 泉孝嗣 今井資 太田圭祐 伊藤真史 新帯一憲 宮地茂 田島隼人 若林俊彦 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術において, ステントはじめとする様々なアシストテクニックが用いられている. 複数のカテーテルを使用するためには口径が広いガイディングカテーテル (GC) が望ましいが, 一方で穿刺部や留置血管に対する侵襲性においてはより細径のものが望まれる. さらに近年は頭蓋内まで到達可能な distal access catheter (DAC) が導入されている. 脳動脈瘤コイル塞栓術で使用されたガイディングシステムについて後方視的に検討した. 方法 2010 年 1 月 年 12 月の 4 年間に当施設にて施行された合計 354 件の脳動脈コイル塞栓術のうち,trapping を除く瘤内塞栓術 338 件を対象とした. 結果 使用されたガイディングシステムは,5 Fr GC:3 件,6 Fr GC:266 件,7 Fr GC:13 件, 8 Fr GC:1 件,GS:55 件であった.Balloon assist technique と double catheter technique では基本的には 6 Fr GC が使用され, 大動脈分岐や頸部血管が tortuous な場合に支持性を高めるために 7 Fr 以上の広径 GC か GS が使用されていた. 広径 GC/GS+DAC の組み合わせは,simple technique における遠位部瘤 (AcomA, ACA distal,mca) に対するバックアップを高めるために使用されていた.Stent assist technique では,7 Fr GC は stent/balloon combination において複数のマイクロカテーテルを使用する塞栓術に使用され,GS はステントの展開時におけるマイクロカテーテル操作のバックアップ目的に使用された. 結論 当施設では, 広径 GC は主に支持性を期待して使用されており, 複数のマイクロカテーテルを使用するための広径 GC の選択例は限られていたが症例に応じて使用されていた. 1-O18-5 Neck remodeling における occlusion balloon の違いによる検討 香川大学医学部脳神経外科 おさか脳神経外科病院 川西正彦 Kawanishi Masahiko 河井信行 岡内正信 田宮隆 林直樹 新堂敦 河北賢哉 目的 Wide-neck 動脈瘤や大型動脈瘤では瘤内塞栓の際にステントが使用可能になったとはいえ, 未だ balloon を用いて行われることも多い. 最近まで HyperForm-Glide しか使用できなかったが, 新たなバルーンが使用可能となり, その初期使用経験と特徴をモデルでの実験を加えて報告する. 対象と方法 2013 年に塞栓術を行った 47 例のうちバルーンを使用した 21 例を対象とした. 目的部位への誘導性, 安定性, 視認性, 拡張収縮時の早さ, 過拡張時の herniation の程度を検討した. シリコン血管モデルでは 50% 濃度の造影剤を使用した拡張実験も追加した. 結果 年齢は平均 63 歳, 男性 3 例女性 18 例, 破裂 13 例未破裂 8 例で, 内頚動脈が 11 例, 前大脳動脈が 5 例, 脳底動脈が 5 例であった. 使用したバルーンは,HyperForm-Glide が 12 例,Scepter が 7 例,SHOURYU が 3 例であった. 脳底動脈瘤の 1 例で HyperGlide では目的部位へ誘導に難渋した. 安定性については,HyperForm の 2 例と Scepter XC の 1 例にて拡張時の jumping を認めた.Herniation はいずれも目的部位まで拡張可能であった. モデル実験では, 拡張時バルーンの視認性はいずれも遜色ないが Scepter XC では収縮時間が長く, HyperGlide において短時間で収縮することができた. 結語 新規バルーンが使用できるようになり選択の幅が広がってきた. HyperForm-Glide と SHOURYU はシングルルーメン,Scepter はダブルルーメンの違いがある.Scepter では 014 inch 径のガイドワイヤーを使用でき, さらに先端に 5 mm のカテーテルチップがあるため, 操作誘導性は優れている印象であった. 今後症例を積み重ね, 瘤の部位や母血管径や屈曲率による使いわけができるようになる可能性がある. JNET Vol.8 No.6 December
34 1-O18-6 脳動脈瘤塞栓術における guiding system の選択 信楽園病院脳神経外科新潟大学脳研究所脳神経外科京都大学附属病院脳神経外科 新潟労災病院脳神経外科 北澤圭子 Kitazawa Keiko 藤井幸彦 伊藤靖 長谷川仁 源甲斐信行 西野和彦 目的 症例に応じ適切な guiding system を選択することは, 血管内手術を遂行する上で重要である. この選択が不適切なために, 各種 device を自由に操作できず不十分な治療に終わる場合もある. Device のより良い操作性を得るためには,guiding catheter(gc) を十分遠位に到達させ, 十分なバックアップを得ることが必要で, 複数の device を用いる場合には GC の内腔に十分な広さが必要である.GC の選択方法を考察するため, 実際の血管内治療で使用された GC を後方視的に検討した. 対象 2013 年 5 月 1 日から 2014 年 4 月 30 日までの 1 年間, 当院及び関連施設で行われた血管内治療 170 例中, 脳動脈瘤コイル塞栓術 84 例を対象とし, 使用された GC と治療部位, 使用された technique を調査した. 結果 脳動脈瘤コイル塞栓術 84 例中, 使用された GC のサイズは,6 Fr 22 例 (26 %),7 Fr 30 例 (36 %),8 Fr 32 例 (38 %) であった.triple coaxial system(tcs) で治療したものは 6 Fr で 1 例,7 Fr で 0 例, 8 Fr で 32 例全例であった.MCA,Acom,ACA distal の動脈瘤では 8 Fr GC による TCS が多く使用され,IC では 7 Fr GC,VA, BA 等後方循環では 6 Fr GC の使用が多かった.8 Fr GC による TCS では simple technique が多く使用された. 考察 遠位の動脈瘤では 8 Fr GC TCS 下に simple technique を使用することが多かった. 遠位の動脈瘤治療では複雑な technique を使用するより, 6 Fr intermediate catheter をより遠位に進めることで microcatheter の操作性を高めることを重要視した結果と思われた. 結語 動脈瘤の部位, 用いる technique 等により, 最適な guiding system の選択することが, 脳動脈瘤塞栓術の安全性, 有効性を高める事に寄与すると考える. 1-O18-7 脳動脈瘤に対するハイドルゲルプラチナコイルの中期治療成績 自治医科大学脳神経外科東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科血管内治療学分野 自治医科大学血管内治療センター脳血管内治療部 檜垣鮎帆 Higaki Ayuho 根本繁 難波克成 目的 ハイドロゲルプラチナコイル (HydroFrame,HydroSoft) を用いた脳動脈瘤コイル塞栓術の中期治療成績について報告する. 方法 ハイドロゲルプラチナコイルを使用した脳動脈瘤コイル塞栓術症例のうち, 治療 6 ヶ月 - 1 年後の脳血管撮影を施行した 23 例につき, 臨床成績と放射線学的成績を検討した. 結果 2012 年 11 月 年 7 月の間に 40 例の嚢状脳動脈瘤コイル塞栓術を施行した. このうちハイドロゲルプラチナコイルを使用した症例は 29 例で, 治療後 6 ヶ月 - 1 年後のフォローアップ脳血管撮影評価が得られたのは 23 例であった.23 例のうち, 未破裂動脈瘤は 15 例 (65 %), 破裂は 8 例 (35 %) であった. 動脈瘤サイズは,10 mm 未満の small が 20 例 (87 %),10-25 mm の large が 3 例 (13 %), 25 mm 以上の giant は 0 % であった. 使用コイル長に占めるハイドロゲルプラチナコイル長は, 平均で 69.5 %(range 18.9 %- 100 %) であった. 治療直後の complete occlusion(co) は 5 例 (21.7 %),residual neck(rn) は 7 例 (30.4 %),residual aneurysm(ra) は 11 例 (47.8 %) であった. フォローアップ脳血管撮影で,CO は 6 例 (26.1 %),RN は 9 例 (39.1 %),RA は 8 例 (34.8 %) であった. 治療直後の RA,RN からフォローアップでの動脈瘤血栓化進展は 7 例に認められた. 臨床成績は, 海綿静脈洞部内頚動脈の大型動脈瘤での永続的不全外眼筋麻痺を 1 例に認めた. 一過性神経学的脱落所見として, 傍前床突起内頚動脈動脈瘤ステント併用コイル塞栓で網膜血栓による視力低下を 1 例, 脳血栓による片麻痺を 2 例認めた. 結語 ハイドロゲルプラチナコイルは動脈瘤コイル塞栓術に対して安全に使用できると考えられる. 放射線学的中期成績では瘤内の良好な血栓化を促進させている可能性がある. 1-O18-8 当院での Hydrogel coil を用いた連続 40 症例の治療経験 東京警察病院脳血管内治療部 東京警察病院脳神経外科 金中直輔 Kanenaka Naosuke 長谷川洋敬 佐藤博明 鳥橋孝一 阿部肇 楚良繁雄 平岡史大 井上瑞穂 目的 Hydrogel Coil はベアプラチナコイルに特殊な Hydrogel が加工され, 塞栓率を高める目的で開発された次世代型コイルである.2011 年に掲載された HELPS においてもベアプラチナコイル群と比して再発率を 8.6 % 低減している. その後 Hydro coil の使用上の難点を改良したものが HydroFrame 及び Hydrosoft として開発された. これらのコイルを用いた脳動脈瘤塞栓術の有用性と課題を検討する. 方法 当院における脳動脈瘤の血管内治療において Hydrogel coil グループである Hydro coil,hydro Flame,Hydro soft を用いて塞栓術を行った連続 40 症例に対し治療上の特性および Outcome など retrospective な検討を行った. 対象 当院にて 2011 年 4 月 2014 年 6 月までに行った破裂および未破裂脳動脈瘤の全 84 症例の中で Hydrogel coil を用いてコイル塞栓術を行った 40 症例を検討した. 破裂脳動脈瘤が 3 例, 未破裂脳動脈瘤が 37 例であった.1 年後の脳血管撮影検査でのフォローが終了しているのは約半数である. 脳血管撮影検査が終了していない症例は MRI による評価とした. 結果 Hydrogel coil を用いた動脈瘤で 1 年以内に再開通を認めたのは破裂例で 1 症例のみであった. ベアプラチナコイルのみで塞栓術を行った動脈瘤のうち破裂例で 1 症例, 未破裂例で 3 症例に認め, いずれも再塞栓を行った. 追加治療には hydrogel coil を使用した. 小さく, かつワイドネックの動脈瘤において 75 % 径となるファーストループを納める事に工夫を要する事が多かった. 考察 Hydrogel coil における一定の有効性はあると思われた. 一方でベアプラチナコイルと比較してデリバリーが硬く, また, ファーストループの扱いが難しい場面が多いと思われた. 1-O19-1 破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療成績 医療法人清仁会シミズ病院脳神経外科 山下太郎 Yamashita Taro 吉田享司 黒岩輝壮 今高清晴 清水史記 清水幸夫 平松亮 岡田崇志 目的 当院では破裂脳動脈瘤に対する治療方針として, 血管内治療可能であるものは積極的にコイル塞栓を行っている. これまでの治療成績を検討し文献的考察を加え報告する. 方法 2011 年 1 月から 2014 年 8 月までに破裂脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行した 99 例を対象とした. 男性 41 例, 女性 58 例, 平均年齢 61.7 歳, 発症から治療まで平均 0.32 日であった. 成績 WFNS grade 1: 28,2:23,3:13,4:16,5:19 例,Fisher group 1:1,2:20,3: 42,4:36 例,Acom:34,ICPC:20,VA dissection:12,distal ACA:7,MCA:5,IC Ach:5,VA PICA:4, その他 :10 例. Raymond 分類は complete obliteration:61 例,neck remnant:26 例,dome filling:12 例. 術中破裂 穿孔は 5 例, 塞栓性合併症は 3 例に認められ, このうち予後に影響を及ぼしたものは 2 例であり, 前脈絡叢領域の梗塞例と左大脳半球への散在性梗塞を認めた症例であった. 術後血腫増大は 8 例 (Acom:7,MCA:1 例, 術中出血 4 例 ) に認められ 1 例に血腫除去を行った. 症候性脳血管攣縮は 8 例, 水頭症は 27 例に認められ,VP シャントは 14 例に行い, 外減圧は 2 例に行った. 退院時 mrs は 0:42,1:14,2:11,3:9,4: 5,5:6,6:12 例であった.mRS 6 の 12 例のうち WFNS grade 5 は 10 例であった.6 ヶ月後に DSA を行った 56 例では unchanged: 39,aggravate:8,improve:9 例であったが再治療を要した症例はなかった. 結論 コイル塞栓術は術後症候性脳血管攣縮の発生が 8%, 再破裂は経過観察中 0 例であり, 開頭クリッピング術と比較して大きな advantage であると思われた. 一方で Acom 治療時の術中破裂 穿孔は最も頻度が高く注意を要する. 228 JNET Vol.8 No.6 December 2014
35 1-O19-2 般口演破裂脳動脈瘤に対する局所麻酔および鎮静下での血管内治療 福岡大学医学部脳神経外科 東登志夫 Higashi Toshio 井上亨 福田健治 大川将和 岩朝光利 湧田尚樹 目的 未破裂脳動脈瘤に対する, 局所麻酔および鎮静下でのコイル塞栓術の成績を報告し安全性を検討する. 対象と方法 最近 4 年間で行われた未破裂脳動脈瘤に対する血管内治療症例 245 手技 250 動脈瘤. 男性 61 例女性 184 例, 平均年令 61.0 歳. 症例ごとに病変の特徴を考慮した上で, 術前診断の脳血管撮影時の経験をふまえたインフォームドコンセントを行い, 麻酔手技を選択した. 結果 102 手技を局所麻酔および鎮静下 (LA) で行った.2009, 2010,2011,2012,2013 年での全手技数に対する LA の割合は各々 8.3 %,12.8 %,22.2 %,50.0 %,72.9 % であった. 動脈瘤の部位別の LA の割合は,VA 71.4 %,IC-anterior choroidal 54.5 %,ICparaclinoid 48.4 %,MCA 20.0 %,BA 15.4 % であった. 手技別での LA の割合は,balloon assist 25.0 %,stent assist 48.0 %,simple technique 54.5 %,trapping and PAO 88.9 % であった. 周術期の虚血性イベントは,LA 群で 2.9 %(3 / 10, 全身麻酔 (GA) 群で 3.5 %(5 / 14 に認めた.6ヶ月時点での morbidity は LA 群で 1.0 %(1 / 10,GA 群で 1.4 %(2 / 14 であり, いずれも mrs 1 であった. 結論 十分な経験の蓄積により, 局所麻酔および鎮静下でのコイル塞栓術は安全に行うことができる. 安全な治療のためには, 適切な症例の選択が大切である. 1-O19-3 破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後の再治療に関する検討 千葉県救急医療センター神経内科 千葉県救急医療センター脳神経外科 古口徳雄山内利宏鈴木浩二松浦威一郎相川光広 koguchi Yorio 伊東大祐木島裕介宮田昭宏小林繁樹 目的 2012 年本学会で破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後の再治療率が低下してきていることを報告した. 今回は, 症例を加え再治療例個々について検討を加えた. 対象 方法 1997 年 3 月から 2013 年 12 月の間, 当院で急性期破裂脳動脈瘤治療としてコイル塞栓術を行った 270 例を前期 (1997 年 2006 年 )135 例と後期 (2007 年 2013 年 )135 例に分け, 再治療の時期, 動脈瘤サイズ, 再治療に至った理由などを個々の症例に関して比較検討した. 結果 再治療率は前期 : 後期は 17 例 (12.6 %):5 例 (3.7 %) と優位に後期で少なかった.Framing Coil 径が 7 mm 以上の動脈瘤は 6(35 %):1 (20 %),A-com および BA-top 動脈瘤 8(47 %):3(60 %),3 ヶ月以内の再治療 5(29 %):0(0 %),3 年以上経過した再治療 3(18 %): 1(20 %), 初回治療時に完全閉塞できなかった動脈瘤 9(52 %): 4(80 %),regrowth が疑われる動脈瘤 7(42 %):3(60 %) であった. 再出血は 3(18 %):1(20 %) で全例長期経過し regrowth 例であり, うち 3 例は再治療を前提に経過観察中であった. 考察 結語 後期は新規 Device や技術を積極的に応用しており, それが再治療率低下に大きく寄与したと考えられる. 前期および後期の比較では大きな動脈瘤の再治療例が減少し, 初回治療後早期の再治療例が減少していた.Terminal Type の動脈瘤の初回治療時の Dome Filling や意図しない Neck Remnant 症例における残存部分の regrowth が後期の再治療の主たる理由であり, このような症例ではきめ細かく, 長期の経過観察が必要と考えられる. 一1-O19-4 破裂脳動脈瘤治療戦略変更後 2 年の治療成績 東京都立多摩総合医療センター脳神経外科 国家公務員共済組合連合会虎の門病院脳神経血管内治療科 太田貴裕 Ota Takahiro 佐藤允之 天野達雄 堀川弘吏 松丸祐司 筆頭演者が施設長になって以降, 破裂脳動脈瘤に対しては clip first から coil first へ治療方針の変更を行ったため初期 2 年の成績を報告する. 対象 )2012 年 5 月から 2014 年 5 月までに治療した破裂脳動脈瘤による SAH 94 症例を対象とした.Ⅰ 期 :coil 塞栓を導入した初めの 13 か月で clip 43 例 ( 男性 20 例, 平均 58.7 歳 ),coil 4 例 ( 男性 3, 平均 54 歳 ), Ⅱ 期 :coil first の方針をとった 2013 年 5 月からの 12 か月で clip 37 例 ( 男性 9 例, 平均 64.6 歳 ),coil 10 例 ( 男性 5 例, 平均 58.0 歳 ).MCA,distal ACA,hematoma つき, large or giant,bypass が必要,broad neck などコイル塞栓に不向きなものは clipping を選択した.Coil から clip に回した治療法選択理由, 治療成績について検討した. 結果 ) 来院時のグレード 4-5 は Ⅰ 期 :clip 17(39.5 %),coil 2(50.0 %).Ⅱ 期 :clip 17(47.21 %), coil 4(44.4 %). 動脈瘤の部位は clip で MCA,Acom,ICPC の順に多く,coil では VA,Acom,ICPC が多かった. 症候性血管攣縮は clip 10(12.5 %),coil 1(7.1 %), シャントを行ったのは Clip 19 (23.8 %),coil 1 例 (7.1 %) と差がでた.3 か月後の mrs:0-2 の予後良好例は I 期 :clip 26(60.4 %),coil 3(75.0 %).Ⅱ 期では clip 20(54.0),coil 8(80.0 %) であった. 考察 )clip 群で予後が悪いのは poor grade や hematoma つきの症例が多いためと考えられた. どちらの治療が確実かつ安全かは症例ごとに異なり,coil を含めた tailor made 治療が SAH の治療成績全体を改善させることができると考えている.Coil から clip に回した治療法選択理由, 治療成績について検討し, 当施設での望ましい clip,coil の割合を考察する. 1-O19-5 血管内治療科を併設する施設におけるくも膜下出血の治療成績. 東京医科歯科大学血管内治療科 東京医科歯科大学脳神経外科 吉野義一 Yoshino Yoshikazu 田中洋次 根本繁 前原健寿 三木一徳 1, 唐鎌淳 稲次基希 目的 当施設では,2010 年 6 月に血管内治療科を開設して以降, くも膜下出血 (SAH) の治療を脳神経外科, 血管内治療科の独立した診療科が協力して行っている. 本診療体制における SAH 治療法の選択と治療成績について検討した. 方法 2010 年 6 月 2014 年 4 月までに当施設で治療を行った SAH 症例 106 例を対象とした. 後向きに臨床経過を解析し, 治療法, 退院時及び 3 ヶ月後の転帰 (mrs) に影響する因子について統計学的に検討した. 結果 動脈瘤の治療法は開頭術 79 例, 血管内治療 27 例であった. 両治療群間で年齢, 性別, 発症から手術までの時間, 髄液外誘導設置期間に差はなかった.WFNS グレードの平均値は開頭術 2.7, 血管内 3.8 で血管内治療群に重症が多かった. 治療後 3 ヶ月の死亡率は開頭 1.3%, 血管内 25% で開頭術で低かった. 治療法は後方循環,poor grade, 脳室内出血 (IVH), 運動麻痺を呈する例で有意に血管内治療が選択されていた. 血腫型 SAH では開頭術が選択される傾向がみられた.Poor WFNS グレード及び IHV を呈したもので有意に VP シャントを要したが, 治療群間に差はなかった. 症候性血管攣縮と脳梗塞の発生には治療群間で差がなかった. 多変量解析による転帰を悪化させる因子は, 高齢,poor WFNS グレード, 血腫型 SAH で有意であった. 動脈瘤の局在, 治療法の選択, 術前の再破裂, 水頭症, 症候性血管攣縮は転帰に影響しなかった. 結語 重症患者, 後方循環動脈瘤では血管内治療を選択している. 治療法は脳血管攣縮の発生頻度,VP シャントの要否, 臨床転帰に影響しない. 独立した専門治療チーム間で治療法を検討することで良好な成績が期待できる. JNET Vol.8 No.6 December
36 1-O19-6 安全性と永続性を目指した破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 国立循環器病研究センター脳神経外科 新潟大学脳研究所脳神経外科 石井大造 Ishii Daizo 林正孝 佐藤徹 濱野栄佳 森田健一 片岡大治 菅田真生 高橋淳 丸山大輔 背景 目的 当施設では破裂脳動脈瘤に対する治療方針として, clipping の alternative treatment として安全かつ十分な塞栓が可能と考えられる症例をコイル塞栓術の対象としてきた. 本治療方針でのコイル塞栓術の成績について後方視的に検討した. 対象 方法 対象は 2005 年 4 月から 2013 年 12 月の全破裂脳動脈瘤 455 例のうちコイル塞栓術で加療した破裂脳動脈瘤 104 例 (22.9 %). 全破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の割合は前方循環で 71 例 (17.8 %), 後方循環で 33 例 (60.0 %) であった. 平均年齢は 66.3 ± 15.1 歳, 女性が 69 例 (66.3 %),poor WFNS grade(4,5) が 50 例 (48.1 %) で, 平均 follow up 期間は 22.7 ± 25.1 ヶ月であった. 結果 治療直後の評価は complete obliteration が 38 例 (36.5 %),neck remnant が 64 例 (61.5 %),body filling が 2 例 (1.9 %) であり,3 ヶ月後の評価はそれぞれ 25 例 (24.0 %),55 例 (52.9 %),2 例 (1.9 %) であった.Coil compaction は 14 例 (13.5 %) で認めたが再破裂は 2 例 (1.9 %) であり, 再治療は 6 例 (5.8 %) で行った. 平均塞栓率は再治療群, 非再治療群でそれぞれ %,26.13 % であり, 再治療群で有意に低かった. 術中破裂は 11 例 (10.6 %), 術中の血栓形成は 11 例 (10.6 %) で認めたが, 予後に影響したのはそれぞれ 1 例のみであった.3 ヶ月後の予後良好例 (mrs 0 - は 53 例 (51.0 %) であった. 考察 結語 予後良好例及び治療後の再破裂率に関しては過去の大規模研究と遜色なく, 再治療率に関しては有意に低い結果であった. 厳密な症例選択, 可能な限りの tight packing, 術中合併症への適切な対処により, 良好な予後と低い再破裂率, 再治療率が達成出来るものと考えた. 1-O19-7 小型破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 成績および治療戦略 千葉県救急医療センター脳神経外科 千葉県救急医療センター神経内科 松浦威一郎 Matsuura Iichiro 木島裕介 古口徳雄 伊東大祐 山内利宏 宮田昭宏 鈴木浩二 小林繁樹 相川光広 目的 小型破裂脳動脈瘤の急性期塞栓術について, 治療上の問題点, 治療戦略の要点を明らかにする目的で自験例を検討した. 方法 対象は 2001 年から現在までに発症 72 時間以内に瘤内塞栓術を行った最大径 3 mm 以下の小型瘤 19 例で, 年齢, 性別, 重症度, 発生部位, 体積塞栓率 (VER), 手術合併症, 再発率, 退院時転帰 (GOS) 等について, 同期間の非小型瘤 (> 3 mm)209 例と比較検討した. また, 特に柔軟で小径のコイルが使用可能となった 2007 年前後での変化についても検討した. 結果 発症年齢 ( 平均 66 才 ), 性別 ( 男性 26 %). 重症度については小型瘤で非小型瘤に比して重症例 (H&K が多い傾向が見られた. 発生部位は後方循環 47 %, 前交通動脈 26 %, 内頸動脈 16%, その他 11 % であった.VER は小型瘤で平均 48.4 % と非小型瘤に比し高い傾向があり, 特に,2007 年以降の後期症例では 56.2 % と前期に比し有意に高値であった. 手術合併症は 3 例に認めたが ( 出血 2 例, 虚血 1 例 ), カテーテル誘導時の穿通はなかった. 平均 38.5 ヶ月の観察期間中, 再発が 2 例ありこのうち 1 例に追加治療を行ったがいずれも前期症例であった. 退院時転帰 (GOS) は, 概ね重症度と相関していたが, 良好例 (GR/MD) は 13 例 (68 %) で非小型瘤と同様の分布を示した. 結論 小型破裂脳動脈瘤の急性期塞栓術では, 小径コイル 1 本で終了せざるを得ない等, 一般的手技と異なる面があるが, マイクロカテーテルのシェイピングや誘導に充分に留意すれば比較的安全に施行可能で, 非小型瘤と同様の転帰を得ることが可能であった. また, 柔軟で小径のコイルを使用することにより治療の安全性 安定性は向上するが, 術中出血は必ずしも減少しておらず, 充分な注意を要する. 1-O20-1 頚動脈超音波検査により塞栓性中大脳動脈 M 1 閉塞に対する経静脈的血栓溶解療法直後の再開通を予測できる 国立循環器病研究センター脳血管内科 国立循環器病研究センター脳神経内科 早川幹人 Hayakawa Mikito 古賀政利 吉村壮平 山上宏 鈴木理恵子 長束一行 齋藤こずえ 峰松一夫 有廣昇司 豊田一則 目的 経静脈的血栓溶解療法 (IVT) 直前の頚動脈超音波検査 (CUS) 所見が, 塞栓性中大脳動脈 (MCA)M 1 閉塞に対する IVT 直後の再開通を予測できるかを明らかにする. 方法 当院で 2011 年 1 月 2014 年 3 月に IVT を施行した急性期脳梗塞 226 例のうち, 治療前 MRA で M 1 閉塞が確認され, 治療前 CUS および治療後 (1 時間以内 )MRA が施行された塞栓性脳梗塞例を対象とした. 治療後 MRA における modified Mori grade 2,3 を再開通 (immediate reperfusion:ir) とした. 両側総頚 (CCA)/ 内頚 (ICA) 動脈の収縮期最高 (PSV)/ 拡張末期 (EDV)/ 平均 (MFV) 血流速度および各血流速度の患側 / 健側比と IR の関連を後方視的に検討した. 結果 30 例 ( 女性 13 例,72 ± 13 歳,NIHSS 中央値 16) を対象とした.IR は 13 例 (43 %) で生じた.IR 例は非 IR 例に比し患側 ICA-PSV が高く (48 ± 12 vs 37 ± 17 cm/s, p = 0.0 4,I C A - M F V 比は低かった (1.2 ± 0.3 v s 1.6 ± 0.6, p= 多変量解析にて患側 ICA-PSV(OR/ 四分位 68.0, p= 0.02,ICA-MFV 比 (OR/ 四分位 0.22,p= 0.017) は IR と有意に関連した.ROC 解析にて, 患側 ICA-PSV が IR を予測する cut off 値は 38 cm/s( 感度 85 %, 特異度 69 %),ICA-MFV が非 IR を予測する cut off 値は 1.34( 感度 75 %, 特異度 85 %) であった. 結論 患側 ICA-PSV と ICA-MFV により塞栓性 M 1 閉塞における IVT 直後の再開通が予測できる. 1-O20-2 急性期脳底動脈閉塞に対する脳血管内治療症例における DWI スコアの検討 手稲渓仁会病院脳神経外科 内田和希 Uchida Kazuki 板本孝治 新保大輔 浅岡克行 小林聡 杉山拓 横山由佳 はじめに 急性期脳底動脈閉塞による脳梗塞患者の予後は極めて不良である. 早期再開通が得られても予後不良であることが多い. 初診時の MRI 所見から脳血管内治療による予後を予知でき得るか検討する. 方法 脳底動脈閉塞の DWI score として DWI brain stem score(dwi-bss),pc-aspects などが提唱されている. DWI-BSS は両側の延髄 橋 中脳での高信号を 0 から 2 点で評価し ( 半分以下 1 点, 半分以上 2 点 ),12 点満点で評価する.pc- ASPECTS は橋 中脳 小脳 後頭葉 視床に高信号があれば 1 点減点とし,10 点満点で評価する. これらを用いて, 当院にて脳血管内治療を行った 2003 年から 2014 年までの急性期脳底動脈閉塞患者 20 症例を後向きに検証した. 結果 手技は ia Urokinase(UK) が 4 例,ia UK+PTA が 4 例,ia UK+PTA+stenting が 2 例,PTA のみが 5 例,PTA+stenting が 2 例,Merci が 1 例,Penumbra が 2 例であった.tPA 静注を併用した症例は 2 例であった. 再開通率は TICI3 が 8 例,TICI2B が 6 例,TICI2A が 3 例,TICI0-1 が 3 例であり,TICI 2 A 以上が 85% と良好な結果であった. 一方, 退院時 mrs は,mRS0-2 が 2 例,mRS3-4 が 5 例,mRS5-6 が 13 例であり,mRS 5-6 の予後不良例が 65% であった. 退院時予後不良 (mrs 5-6) 症例において, 初診時の DWI-BSS は有意に高く, pc-aspects は有意に低かった.DWI-BSS が 3 点以上の場合, 全症例で予後不良であったが,2 点以下でも予後不良が 5 例あった. pc-aspects が 7 点以下では有意に予後不良であった (OR 30, 95 %CI ,p < 0.05). 考察 初診時の DWI 所見を用いた pc-aspects は, 予後不良を予測する因子の一つとなり得ると考えられた. 230 JNET Vol.8 No.6 December 2014
37 1-O20-3 般口演機械的血栓除去療法の術前評価としてComputed Tomography Perfusion の有用性について 馬場記念病院 亀田勝治 Kameda Katsuharu 伊飼美明 宇野淳二 魏秀復 雨宮健生 長岡慎太郎 上坂十四夫 背景 脳梗塞は動脈の閉塞から梗塞に陥るまでの限られた time window での治療が鍵となる. しかし CTP における ischemic core と penumbra の見極めに必要な criteria は依然明確ではない. 目的 機械的血栓除去により梗塞を回避できる領域を CTP で予測できるかを調べるために, 機械的血栓除去を行った患者の術前 CTP と術後の脳梗塞の有無について検討を行った. 方法 当施設で 2013 年 4 月 1 日から 2014 年 3 月 31 日までに機械的血栓除去術を行った連続 43 例のうち,TICI 2 B,TICI 3 を得た 37 例を対象とし, このうち両側病変となった BA 閉塞 5 例, データのない 2 例, 対側に陳旧性脳梗塞のある 2 例を除外した.ACA 領域 1ヶ所, MCA 領域 3ヶ所,PCA 領域 1ヶ所, 基底核領域 2ヶ所の計 7ヶ所にROI 設定を行った.28 症例,196ヶ所を解析し, 術前の Cerebral Blood Volume の健側比 (CBV 比 ) と治療後の梗塞の有無の関係性について評価した. 結果 t-pa 静注療法を併用した症例は 22 例あった. 手技時間は平均 50 分. 発症から再開通までの時間は平均 268 分であった. 責任血管領域は 138ヶ所で術前 CBV 比 0.8 以上の領域は 104ヶ所あり, このうち 84.6 % で脳梗塞には陥らなかった. 一方,CBV 比 0.8 未満の領域は 34 か所あり, このうち 88.2 % が脳梗塞に陥った. 考察 CTP は解析できる領域が限られるが, 実測値を血管支配領域で評価することにより高い精度と信頼性をもって術前評価を行うことが可能であった. 結論 CTP は機械的血栓除去療法の術前の評価として有用である. 1-O20-4 急性期脳梗塞治療における 3 T-ASL の有用性 意外に多い再開通後過灌流 国立病院機構北海道医療センター脳神経外科 宮本倫行伊師雪友安喰稔安田宏牛越聡 Miyamoto Michiyuki 目的 Arterial spin labeling(asl) は近年の 3 T-MRI の普及により signal to noise ratio が改善され臨床応用が期待されている. 今回, 我々は脳塞栓症の症例に関して, 再開通後に ASL で過灌流が指摘されることに注目したので, 文献的考察を加味して報告する. 対象 当院にて急性期に 3 T-ASL 評価をしえた脳塞栓症の患者 23 例を対象とした. うち 5 例には tpa が投与され,4 例には血管内治療による血行再建術が施された ( 全例 TICI 2 B 以上の再開通 ). また, 性別, 年齢, 皮質梗塞の有無, 閉塞血管 ( 前方循環 or 後方循環 ), 抗凝固の内服の有無, 再開通療法の有無 (tpa あるいは IVR) の各項目に対して単変量解析による統計評価を施行した. 結果 ASL で左右を比較した際に明らかに血流が上昇している部位を過灌流と定義し,23 例中 10 例 (43.5 %) に過灌流を認めた. 特に tpa を含む再開通療法を行った症例は 1 例を除き全て過灌流を認めていた. 単変量解析では皮質梗塞の有無 (p= 0.0, 再開通療法の有無 (p < 0.0 が有意な因子として挙げられた. 結語 脳塞栓症における急性期脳梗塞治療において, 再開通後の過灌流は決して稀ではないことが ASL により判明した. 個々の症例を紐解くと, 過灌流による症状悪化を疑わせる症例を認め,ASL で灌流の安定が確認できることに症状が改善するような症例も散見された. 主幹動脈閉塞に対して血管内治療を含む再開通療法を施行し, 術後に皮質梗塞を伴うような症例は, 過灌流が生じている可能性が高く, 時には頚動脈治療後の過灌流に準じて血圧コントロールや抗痙攣薬の投与が必要である可能性が示差された. 一1-O20-5 急性期脳梗塞に対する治療前の CT Perfusion(CTP) からの Theraputic Time window(ttw) の検討 藤田保健衛生大学医学部脳神経外科 藤田保健衛生大学医学部放射線科 藤田保健衛生大学医学部先端画像診断科 早川基治 Hayakawa Motoharu 石原興平 前田晋吾 村山和宏 安達一英 片田和広 定藤章代 廣瀬雄一 森谷茂太 目的 急性期脳梗塞に対して再開通療法前に行った CTP の結果と閉塞した動脈の再開通後の結果から閉塞血管領域の TTW を検討した. 方法 2002 年 7 月から 2014 年 3 月までに当院へ搬送された急性期脳梗塞患者で再開通療法をおこなった 133 例中, 治療前に CTP が施行された anterior circulation area の脳梗塞で再開通療法の結果 TICI 2 a 以上が得られた 51 例であった. この内 3 例は発症時間が不明確であった.CTP にて得られた CBF,CBV,MTT, TTP をそれぞれ健側に対する患側の比率 (%) で求め, 再開通までの時間とその予後を検討した. 結果 発症時間の明確な 48 症例 150 Region of interest(roi) の判別分析では, 時間は CTP 開始時間から再開通までの時間 (P= 0.016) が発症から再開通までの時間 (P= ) より良好に判別できた.CTP の結果では %CBF (P= ,%CBV(P= 0.009),%MTT(P= ),%TTP (P= で,%CBV が良好に判別できた. 全 51 症例, 159 ROI の判別関数は Z= Time( 分 )-%CBV , 判別正解率 = % であった.70 歳以上の 28 症例,92 ROI の判別関数は Z= Time(minutes)-%CBV , 判別正解率 = % であった.70 歳以上の高齢者では %CBV が同じでも TTW は全体に比べ約 50 分程度短かった. 結語 急性期脳梗塞患者において,CTP の結果から %CBV が CTP 開始時間を起点とした TTW を示した. 脳梗塞発症時間が不明な例にも応用可能であり,70 歳以上の高齢者では TTW は短くなる. 1-O20-6 内頸 中大脳動脈閉塞重症患者の MR perfusion の CBF grade を用いた長期臨床転帰予測 湘南鎌倉総合病院脳卒中センター脳卒中診療科 森貴久 Mori Takahisa 岩田智則 丹野雄平 笠倉至言 青柳慶憲 吉岡和博 背景 緊急 MRA で内頸動脈閉塞であっても再開通治療が必須とは限らない. 従来治療での転帰予測がすぐにできれば再開通治療の必要度 目的を決める上で有用である. 目的 MR perfusion に基づく単純 CBF grade で内頸 - 中大脳動脈閉塞重症患者の生存率や臨床転帰を予測すること. 対象 方法 2005 年 1 月から 2014 年 5 月. 発症 24 時間に搬送され, 来院時 NIHSS(NIH adm):5 点以上, 緊急 MRA で頸動脈 (ICA) 中大脳動脈(MCA) 閉塞と診断し, MR perfusion(mrp) 検査を受けた症例. 再開通治療を受けた症例は除外した. 患者基本情報, 入院時 NIHSS(NIH adm) と 7 日目 NIHSS(NIH 7 th),dwi-aspects(dwi),cbf grade,120 日以内の死亡,90 日時点での mrs を調査した.CBF grade は MRP で得られる Time-intensity Curve(TIC) を用いた.MCA 領域の左右対称部位に ROI を置き time to peak(tp) と peak signal (PS) を病側 (a) と反対側 (c) とで計測し, 病側 CBFa を PSa/ TPa, 健側 CBFc を PSc/TPc とし,CBF% を CBFa/CBFc と定義した.CBF grade 1:CBF% < 0.2,grade 2:0.2 =< CBF% < 0.5, grade 3:0.5 =< CBF% と定義した. 結果 対象は 63 例.CBF grade 1:25 人,grade 2:25 人,grade 3:13 人.35 人 (55.6 %) が 120 日以内に死亡した.120 日以内死亡は grade 1,2,3 別に 20,12,3 人で 120 日生存率は 20 %,50.4 %,76.2 %(Kaplan-Meier 法,p<0.00 だった.90 日時点のmRSを0-2,3-4,5-6に区別すると,grade 1 は 0,1,24 人,grade 2 は 0,7,18 人, grade 3 は 1,8,4 人だった (p < 結論 MRP に基づく単純 CBF grade が長期臨床転帰を予測でき,grade 1 は救命治療が必要,grade 2 や 3 は ADL 改善を目的にした治療も必要だと急性期に判断できる. JNET Vol.8 No.6 December
38 1-O21-1 急性期脳主幹動脈閉塞における閉塞血管部位と回収血栓の組織性状の関連 国立循環器病研究センター脳血管内科 国立循環器病研究センター脳神経内科 国立循環器病研究センター脳神経外科 国立循環器病研究センター病理部 橋本哲也 Hashimoto Tetsuya 高橋淳 早川幹人 長束一行 船津奈保子 植田初江 山上宏 豊田一則 佐藤徹 諸言 塞栓性脳主幹動脈閉塞における血栓の組織性状は一様ではない. 急性期再開通療法の適応判断の上で閉塞血管部位は重要である. 今回, 我々は血管内治療により回収した血栓の組織性状と閉塞血管部位との関連を検討した. 方法 当院にて 2010 年 10 月から 2014 年 4 月までに急性期脳主幹動脈閉塞に対し血管内治療による再開通療法を行った連続 86 例のうち, 回収血栓の病理所見が得られた症例を対象とした. 血栓性状は光学顕微鏡を用い, 粥腫成分, 器質化の有無, 赤血球成分 フィブリン / 血小板成分の割合, 白血球数を評価した. 血栓回収施行部位により近位閉塞 (P 群 : 頭蓋内内頚動脈, 中大脳動脈 M 1 近位部 ) と遠位閉塞 (D 群 :M 1 遠位部, 脳底動脈 ) に分け, 血栓性状の差異を検討した. 結果 41 例 ( 女性 15 例,73.7 ± 10.2 歳,P 群 27 例,D 群 14 例 ) を対象とした. 病型は心原性 32 例, アテローム性 3 例, 解離 1 例, 不明 5 例であった.P 群は D 群より女性が多く (48.2 vs %,p= 0.0, 年齢 病型 危険因子 病前抗血栓療法 rt-pa 静注療法の有無 発症から回収までの時間に差はなかった. 血栓性状は, 粥腫成分 (11.1 vs %,p= 0.39), 器質化 (18.5 vs %,p= 0.27) の陽性率に差はなかったが,P 群は D 群より赤血球成分 (57.7 ± 21.7 vs ± 26.0 %,p= 0.0 と白血球数 (242 ± 133 / 0.25 vs. 148 ± 129 / 0.25 mm 2,p= 0.0 が多く, フィブリン / 血小板成分が少なかった (37.5 ± 20.8 vs ± 25.0 %,p= 0.0. 結論 P 群では赤血球成分,D 群ではフィブリン / 血小板成分が多く, 閉塞血管部位により血栓の組織性状は異なっていた. 再開通手技の選択に閉塞血管部位による血栓性状の差異も考慮すべきと考えられる. 1-O21-2 急性期脳主幹動脈閉塞における術前画像所見と回収血栓病理所見の関連についての検討 国立循環器病研究センター脳血管内科 国立循環器病研究センター脳神経内科 国立循環器病研究センター脳神経外科 国立循環器病研究センター病理部 船津奈保子 Funatsu Naoko 高橋淳 早川幹人 長束一行 橋本哲也 植田初江 山上宏 豊田一則 佐藤徹 目的 急性期脳主幹動脈閉塞例における, 術前画像所見と閉塞血栓の性状の関連を明らかにする. 方法 2010 年 10 月 2014 年 4 月に当院で急性期脳主幹動脈閉塞に対し血管内治療による再開通療法を行った連続 86 例のうち, 術前 CT/MRI の撮像範囲に閉塞部が含まれ, 回収血栓の病理所見が得られた症例を対象とし,CT の hyperdense vessel sign(hvs) または MRI T 2 * 強調画像の susceptibility vessel sign(svs) の有無と血栓性状 ( 赤血球 フィブリン 血小板成分の割合, 白血球数 ) の関連について検討した. 結果 CT 26 例 ( 女性 8 例, 年齢 73.5 ± 11.1 歳, 心原性脳塞栓症 18 例,HVS 陽性 12 例 ) では,HVS の有無で年齢, 性別, 病型, 閉塞部位, 重症度,IV t-pa 先行率, 発症 - 再開通時間に差はなかったが, 陽性群は陰性群に比し赤血球が多く (63.8 ± 21.0 vs ± 29.3 %,p= 0.0, フィブリンが少なかった (14.4 ± 8.43 vs ± 26.2 %,p= 0.0.T 2 * 24 例 ( 女性 10 例, 年齢 74.0 ± 8.1 歳, 心原性脳塞栓症 19 例,SVS 陽性 17 例 ) では, 陽性群で陰性群よりも重症度が高く (NIHSS 中央値 18 vs 13,p= 0.0, 血栓性状では赤血球が多い傾向 (55.9 ± 20.1 vs ± 33.5 %,p= 0.1 にあった.HVS や SVS の有無で, 器質化, 白血球数には差を認めなかった. 結論 HVS や SVS の有無と血栓性状との関連が示唆された. 画像所見による血栓性状の予測と, 治療の選択やその有効性との関連について, 更なる検討を要する. 1-O21-3 T 2 * 強調画像での M 1 Susceptibility Vessel sign は M 1 閉塞に対する急性期血管内治療の成績に影響するか? 脳神経センター大田記念病院脳神経外科 NTT 東日本関東病院脳神経外科 大分赤十字病院神経内科 兵庫医科大学脳神経外科 関原嘉信 Sekihara Yoshinobu 石井則宏 兼松龍 和田裕美 姫野隆洋 佐藤倫由 田中康恵 大田慎三 前田一史 背景 M 1 閉塞における T 2 * 強調画像での血管内腔の低信号 (M 1 Susceptibility Vessel sign, 以下 M 1 SVS と略す ) を有する症例は,iv-tPA での早期再開通率は低いことが知られている. しかし, 急性期血管内治療の再開通率および予後への影響を検討した報告は少ない. 対象と方法 2010 年 4 月から 2014 年 8 月, 当院を受診した急性期脳梗塞症例は 3823 例, 急性期に血管内治療による再開通療法を行った症例は 155 例, その内, 術前に T 2 * 強調画像を撮影している M 1 急性閉塞 59 例が対象である.M 1 SVS の有無により, 病型を含む患者背景, 再開通率,3 ヶ月後の mrs などを retrospective に検討した. 結果 59 例中 27 例 (45.8%) に M 1 SVS を認めた.M 1 SVS の有無により性差はなかったが,M 1 SVS 陽性群の年齢は陰性群に比し有意に高齢であった (SVS 陽性 歳 vs 陰性 歳 p= 病型では,M 1 SVS 陽性群で心原性塞栓症が有意に多かった ( アテローム性 5 例 8.5% vs 心原性 22 例 81.5%,p= 先行して iv-tpa を行ったのは 19 例, M 1 SVS の有無で差はなかった (SVS 陽性 11 例 40.7 %, 陰性 8 例 25 %).TICI 2 b 以上の再開通は全体で 71.2%,M 1 SVS 陽性群 16 例 (59.3 %), 陰性群 26 例 (81.2 %) であり有意差はないが陽性群の方が悪い傾向にあった (p= 発症前の m RS が 3 以上および発症から 3 ヶ月未満の症例を除いた 49 例の 3 ヶ月後の mrs を比較すると, 予後良好例である mrs 0-2 の症例は,M 1 SVS 陽性群 6 例 (27.3 %) に比し, 陰性群は 15 例 (55.6 %) と有意に多かった (P= 0.047). 結語 M 1 SVS を認めた症例の再開通率は低い傾向にあり, かつ 3 ヶ月後の予後は不良であった.M 1 SVS は血管内治療例においても予後不良因子といえる. 1-O21-4 中大脳動脈閉塞に対する急性期血行再建術の手技選択 : 新世代急性期血行再建術における susceptibility vessel sign の意義 小倉記念病院脳神経外科 高下純平 Koge Junpei 五味正憲 渡邉定克 中原一郎 坂真人 永田泉 太田剛史 岡田卓也 松本省二 宮田悠 石橋良太 園田和隆 背景 目的 急性脳主幹動脈閉塞における頭部 MRI T 2 * における susceptibility vessel sign(svs) は心原性脳塞栓症で高率に陽性であり, 機械的血栓除去術が奏功しやすいことが知られている. 一方,SVS 陰性例は心原性脳塞栓症以外の病型を含み, 急性期再開通療法への不応は潜在する atherosclerotic stenosis(as) が関与している可能性がある.SVS の有無やその大きさと, 急性期再開通療法の有効性や AS 合併の有無との関連を検討した. 方法 2008 年 8 月から 2014 年 8 月に当院にて急性期再開通療法を施行した中大脳動脈 (MCA)M 1 閉塞の連続症例中, 術前に MRI T 2 * 撮像し得た 49 例 ( 年齢 :74 ± 11 歳, 女性 :12 例 ) を対象とした. 術前 MRI での SVS 陽性と陰性の 2 群間で, 背景因子, 病型, 再開通率,AS の有無を後方視的に比較し, さらに SVS 陽性群において,AS の有無と SVS の径との関係を検討した. 結果 術前の平均 NIHSS は 15.8±5.9 であった.SVS を 35/49 例 (71.4%) に認めた. 背景因子には差がなかった. 心原性脳塞栓症は SVS 陽性群の 28/35 例 (80%) であり,SVS 陰性群 7/14 例 (50%) と比較して有意に多かった (p= 0.04 が, 再開通率には差がなかった (66 % vs 64 %,p= 0.588).AS の合併は,SVS 陽性群と比較して SVS 陰性群で有意に多かった (16 % vs 50 %,p= 0.028).SVS 陽性群において,AS を合併した症例は, しない症例と比較し,SVS が有意に小径であった ( 対側 MCA 血管径比, 中央値 :1.26 vs 2.12, p= 結論 SVS 陰性例,SVS 陽性であっても小径の例は, AS を合併しやすく,stent retriever を控え吸引療法主体にするなど,SVS が急性血行再建術における治療デバイス選択の指標となる可能性がある. 232 JNET Vol.8 No.6 December 2014
39 1-O21-5 般口演急性期脳主幹動脈閉塞症における術前病態把握の検討 動脈硬化性か心原性か 長崎大学医学部脳神経外科長崎大学病院脳卒中センター 長崎大学病院放射線科 堀江信貴 Horie Nobutaka 福田修志 永田泉 立石洋平 諸藤陽一 森川実 出雲剛 前田肇 林健太郎 山口将 辻野彰 はじめに 急性期脳主幹動脈閉塞症に対する血管内治療を検討する上で, 閉塞部が動脈硬化性変化によるものか, あるいは心原性塞栓に起因するものかの判断は治療の strategy を決める上で重要な因子である. しかしながら, 術前評価としての鑑別法は確立されておらず, その鑑別は容易ではない. 方法 当大学で過去 4 年間に加療を行った急性期虚血性脳卒中 1053 例を後方視的に検討した. 脳主幹動脈閉塞 (ICA,M 1 / 2,BA) 例で, 主に血管内治療の所見から心原性脳塞栓による閉塞と判断した症例, また発症前の画像所見やエコー所見から明らかに動脈硬化性病変による閉塞と判断した症例を対象とし, 臨床所見, 術前画像所見において比較検討した. 結果 十分な術前評価が可能であった動脈硬化性狭窄による閉塞は 32 例, 心原性脳塞栓による閉塞は 42 例であった. 動脈硬化群と心原性塞栓群では年齢, 性別に有意差なし. 高血圧, 高脂血症, 糖尿病, 喫煙, 飲酒は前者に有意に多くみられた.NIHSS の推移は有意に後者が重症であった (P < 0.0.MRI 所見としては発症時の ASPECT score,dwi volume,asl volume は有意差を認めなかった.FLAIR intraarterial sign は有意に後者に多く見られた (1.92 vs. 2.38,P < 0.05). 興味深いことに T 2 star susceptibility vessel sign(svs) においては前者 6 例 (18.8 %), 後者 34 例 (80.1 %) であり, 有意に心原性塞栓群に多く見られた (P < 0.0. 考察 結語 これまで急性期脳主幹動脈閉塞症における動脈硬化と心原性塞栓の鑑別につき検討した報告はない. 我々は術前の画像診断が両者の鑑別の一助になることを示し, 特に intraarterial sign,svs は鑑別に有用であることを明らかにした. 1-O22-1 CAS 第一選択の施設における治療成績と CAS の危険因子についての考察 名古屋大学医学部脳神経外科 大阪医科大学脳神経外科 新帯一憲 Shintai Kazunori 今井資 泉孝嗣 西堀正洋 松原功明 宮地茂 太田圭祐 若林俊彦 伊藤真史 背景 CAS が普及する中で,CAS 特有の危険因子も指摘されている. そこで CAS を第一選択としている当院の成績を元に危険因子が治療結果に与える影響について検討した. 方法 当院で各種デバイスが症例に応じて使い分けられるようになった 2010 年 2 月から 2013 年末までに施行した CAS 125 例の治療成績について後方視的に検討した. 全例術前に抗血小板薬 2 剤と術中ヘパリン化を行った.MRI 及び CT に基づくプラーク診断, 大動脈弓部の形態, 全身性合併症の中で CAS の危険因子とされる所見について, 術後 MRI DWI での最大径 5 mm 以上の高信号域の出現及び症候性脳梗塞の発生の 2 項目との相関を調べた.MRI 禁忌例は除外した. 結果 患者の平均年齢は 71 歳,83 % が男性であった. 全 125 例中 35 例 (28 %) で術後 MRI で高信号域が出現していた. 検討項目別にみると, 全周性石灰化プラーク, 人工透析, 症候性病変を有する症例では出現頻度が低い傾向にある一方で, 血栓付き病変, 大動脈弓の type が 2,3 もしくは bovine である症例,MRI TOF 画像で高信号を呈すプラークでは出現頻度が高い傾向にあった. プラーク長及び虚血性心疾患の既往については全体の発生頻度とほぼ同等であった. これらの内, 大動脈弓部の形状のみが多変量解析で有意な相関を認めた. 治療に伴う症候性梗塞を 3 例 (2.4 %) 認めたが, いずれの因子とも有意な相関は認めなかった. 結論 CAS の危険因子を有する症例に対しても適切なデバイス選択, 抗血栓療法を行うことで良好な治療成績が得られていた. アクセス困難な大動脈弓部の形態, 血栓の付着した病変については術後虚血性変化の出現頻度が高く, より慎重な操作や治療選択が必要と考えられる結果であった. 1-O21-6 脳底動脈閉塞症例における画像評価と予後の検討多摩総合医療センター 島田大輔野村昌志寺西裕堂福翔吾齊藤徹 Shimada Daisuke 広川大輔串原義啓堀川弘吏太田貴裕 背景 Basilar artery occulison(bao) は予後不良の疾患で, 保存的治療では % が死に至る. 新しい技術や器具の発達にて死亡率や予後は改善してきている. 現在, 前方循環の DWI- ASPECT のように術前の画像評価をする指標が, 後方循環では一定していない. 既知である Image Analysis and Scoring Systems として Renard 分類,Cho 分類,Bern DWI score がある. この分類が予後とどのように相関するか検討した. 方法, 対象 単一施設の2012 年 1 月 2014 年 7 月までのBAO 連続 14 例.( 男性 10 人, 女性 4 人, 平均年齢 74 歳 ) 結果 病態は心原性塞栓症 9 例, アテローム血栓症 2 例,AtoA 塞栓症 1 例.13 例血管撮影施行. 閉塞部位は distal が4 例,mid BA が 3 例,caudal BA は 3 例.tPA 施行症例は 5 例 ( 再開通は1 例 ). 血管内治療 7 例 (TICI 3 は 2 例, 部分再開通は 2 例.Urokinase 3 例,Penumbra 2 例,trevo 2 例, solitire 1 例 ). 術後出血は 5 例 (36%), 追跡期間は平均 13.2ヶ月 (2-30ヶ月) であり, 予後はmRS0-2が3 例,mRS3-4が4 例,mRS 5-6 が7 例であった. 考察 増悪因子としては高齢, 高血圧であった. どの指標も相関を認めたものの, 術前画像と予後がよく相関したのは錐体路障害の有無を考慮した Bern DWI score (R= 0.67) であった. 今後の治療の一助になりうると考えた. 1-O22-2 頸動脈狭窄に対し血管内治療を第一選択とする施設のステント留置術の適応と治療成績の検討 島根大学医学部脳神経外科 秋山恭彦 Akiyama Yasuhiko 宮嵜健史 神原瑞樹 吉金努 大洲光裕 永井秀政 目的 CAS 治療成績に影響する因子として, 手技因子と患者因子があげられる. 頸動脈狭窄病変に対して CAS を第一選択として施行し良好な結果を得るため各要因に対し留意すべき点について自施設症例をもとに検討した. 方法 2003 年 1 月 2014 年 7 月までの 337 病変 ( 男性 296 例, 女性 41 例, 平均年齢 74.1 歳 ) について解析し, 治療成績に負の影響を与えた因子 (EPD, 患者年齢, 解剖学的要因, プラーク性状, 術者経験数など ) について検討した. 結果 治療成績は,TIA/minor stroke:2.8 %,major stroke:0.6 %, hyperperfusion syndrome:0.6 %,MI:0 %,death:0 % であった. 初期 ( 経験数 100 例以下 ) の治療成績は, 手技中の虚血イベント 3 %, 遅発性虚血イベント 3 % であった. 初期以降それぞれのイベントは 0 %,2.2 % であった. 手技の変遷として初期の EPD はフィルター単体, 初期以降はフィルターと近位バルンが併用された. 遅発性血栓症は石灰化成分の多いプラークに起こりやすい傾向を認め,3 例の全周性石灰化プラークでは十分な拡張が得られなかった. ステント内プラーク突出は 13 例 (4.0 %) に認め, プラークボリュームの大きな症候性病変に大径の PRECISE を留置した際に多く生じた. 周術期の問題として, 高齢者の上部消化管出血と高齢者低アルブミン血症患者の在院日数の長期化が認められた. 結論 EPD 法の選択により手技中の虚血合併症はコントロール可能である. 術前のプラーク評価はソフトプラークと同様に石灰化成分についても検討が重要である. 高齢者においても CAS は安全であるが, 周術期管理に注意が必要である. 解剖学的ハイリスク例は手技難度が高く, 術前評価を行い各自の技量に応じて適応の検討が必要である. 一JNET Vol.8 No.6 December
40 1-O22-3 頚動脈狭窄症に対する血行再建術 (CEA/CAS) の中長期成績 神戸大学大学院医学研究科脳神経外科学分野 今堀太一郎 Imahori Taichiro 甲田将章 細田弘吉 鵜山淳 藤田敦史 甲村英二 山本祐輔 木村英仁 目的 同一施設における CEA および CAS 両手技による血行再建術の長期成績の報告は少ない. 当施設では CEA と CAS を相補的な治療手技と考えており, その結果比較的バランスよく両手技を用いている. 当施設での中長期予後を調査し, 治療の現状と課題を検討した. 対象と方法 過去 8 年間に当施設で施行した頚動脈狭窄症に対する血行再建術 230 例のうち, 治療後 1 年以上経過した症例を対象とした. 両側病変, 再治療は初回治療を起点とし, 周術期を含む中長期予後を調査し生存分析を行った. 結果 全 172 症例 (CEA 104 /CAS 68) であり, 追跡期間中央値は 41 ヶ月であった. 30 日以内の周術期成績は,Stroke/death/MI rate が 4.1 %(CEA 2.9 %/CAS 5.9 %,P= 0.4 であった. 周術期以後の中長期成績は, 脳卒中 6 例 ( 出血 1 例, 梗塞 5 例, 同側脳卒中 3 例 ), 死亡 14 例, 心筋梗塞 6 例であった. 死因は, 悪性腫瘍, 肺炎, 外傷などであり, 卒中や心筋梗塞による死亡は認めなかった. 周術期の卒中 死亡 心筋梗塞および周術期以後の同側脳卒中の推定 4 年イベント発生率は 6.7 %(CEA 2.9 %/CAS 7.5 %,P= 0.08) であり,CREST の結果 (CEA 6.8 %/CAS 7.2 %) と遜色ない成績であった. 年齢, 治療手技, 冠動脈疾患の既往, 症候の有無の 4 つの因子を用いて多変量解析を行うと, 年齢のみが有意な予後予測因子であった. 結論 今回われわれの成績では CEA または CAS による血行再建術後の優れた卒中予防効果が示された. 中長期成績において有意な予後予測因子は年齢であった. 多種多様な患者背景を持つ症例が集積する施設においても,CEA または CAS を相補的な治療として患者背景に適した治療法を選択することで RCT の結果に遜色ない好成績が期待できる. 1-O22-4 頚動脈ステント留置術の長期成績 術後 5 年以上経過した症例に関する検討 名古屋第二赤十字病院脳神経外科 名古屋第二赤十字病院神経内科 小島隆生 Kojima Takao 遠藤邦幸 波多野範和 金森史哲 渡邉督 山口純矢 川端哲平 永谷哲也 村岡真輔 関行雄 頚動脈ステント留置術 (CAS) から 5 年以上経過した症例について検討を行った. 対象は 2006 年 9 月から 2009 年 8 月の間に CAS を施行した連続 28 症例 34 病変 36 手技で急性期症例は除外した. 平均年齢は 73 歳, 男性 25 例 (89 %), 症候性 26 病変 (72 %), 平均狭窄度は NASCET 77 % であった.CAS は 34 手技 (94 %) で成功し,2 手技は解剖学的理由で手技を断念した. 遠位塞栓防止は distal protection 32 手技 (balloon 32,filter,proximal protection 2 手技であった. ステントは closed cell 13 病変,open cell 21 病変に使用した. 平均狭窄度は NASECT 10 % に改善した. 手術合併症はなく, 術後低血圧の遷延を 6 例に生じた. 術後 MRI- DWI で新規高信号を 12 手技 (33 %) で生じたが, すべて無症候性であった. 長期成績の検討はフォローできた 25 症例を対象とした. 経過観察中の死亡は 9 例 (36 %) で, 内訳は悪性腫瘍 5 例, 脳出血, 虚血性心疾患, 慢性腎不全, 肺炎が各 1 例であった.Disable stroke は 2 ヶ月後に脳出血を生じた 1 例で, 右片麻痺及び失語が残存した.Minor stroke は脳梗塞 3 例で, いずれも症状を増悪することはなかった. 再狭窄のため治療を要した 2 例は, いずれも無症候性で CAS を行った.CAS から 5 年以上経過した現在,14 例 (56 %) は神経症状の悪化なく,disable stroke を生じた 1 例は介護サポートを受け自宅で生活を送っている. 経過中に認知症を発症した 1 例は介護施設に入所している. 頚動脈内膜剥離術高リスク患者が多くを占める時期の治療成績として受諾できると考える. 1-O22-5 内頚動脈狭窄に対するステント留置術治療成績の検討 ( 合併症症例を中心に ) 市立四日市病院脳神経外科脳神経血管内治療科 中林規容 Nakabayashi Kiyo 市原薫 相見有理 吉田光宏 浅田玲緒尚 伊藤八峯 目的 内頚動脈狭窄に対するステント留置術(CAS) の治療成績, 合併症について検討した. 対象及び方法 1998 年 4 月より当院にて CAS 治療が行われた内頚動脈狭窄症例 186 症例 ( 男性 159, 女性 27, 平均 64 歳 ), 症候性 111, 無症候性 93,206 回の治療 ( 急性期 3, 慢性期 20 について検討した 結果 全例でステント留置可能であった. 合併症として minor stroke 2, 心筋梗塞 1(1.5 %) を認めた. 過潅流症候群は認めなかった. 合併症として穿刺部仮性動脈瘤 3, コレステリン塞栓症 1, 心不全 1, クロピドグレル内服による白血球減少症をみとめた. 仮性動脈瘤については外科的修復術, コレステリン塞栓症については下肢足趾の切断, その後腹部大動脈瘤の手術が行われた. 心不全例では内科的管理後弁膜症手術を受けた. 白血球減少については抗血小板剤の変更, グランの使用にて回復した. その他プロテクションシステム, 留置ステント, 抗血小板剤, 治療後 DWI の検討につき詳細をのべる. 再狭窄 6 症例で再治療が行われている. 結語 当院における CAS の治療成績は stroke, 心筋梗塞の合併については良好な成績と考えられた. 術前神経症状, 穿刺部トラブル, 全身合併症が入院期間の延長と関連しており, 内科的管理の重要性, 穿刺時のエコーの活用, 止血デバイスの適切な選択, ステントシステムの細径化が合併症回避に有用な可能性がある. 1-O22-6 症候性内頚動脈狭窄症に対する急性期 CAS 名古屋市立大学脳神経外科学 間瀬光人 Mase Mitsuhito 西川祐介 相原徳孝 片野広之 山田和雄 背景 目的 内頚動脈狭窄症は TIA および minor stroke 後の脳卒中早期再発の危険因子とされ,AHA Guideline 2011 では発症後 2 週間以内の CEA が推奨されているが,CAS についての evidence はない. 当院で行われた症候性頸動脈狭窄症に対する急性期血行再建術について retrospective に検討した. 方法 対象は 2013 年 1 月以降, 最終発作より 2 週間以内に血行再建術が行われた頸動脈狭窄症 14 例である. 不安定症状 (crescendo TIA,progressing or fluctuating stroke) に対してはできる限り早期 (48 時間以内 : urgent) の血行再建を行った. 結果 治療法 (CAS or CEA) の選択に優先順位を決めていたわけではないが,14 例中 CAS 12 例, CEA 2 例と CAS 症例が圧倒的に多かった. その主な理由は使用薬剤 ( 抗血小板剤, 抗凝固剤 ) が CEA に不向き, 局所麻酔が適当と判断されたからであった. 平均狭窄率は NASCET 85 %, 全例 Wallstent,protection は Parodi 法 ( 変法含む ) が多かった (12 例中 11 例 ).CEA を選択した 2 例はプラークの高度石灰化により CAS 困難と判断された.Urgent 治療例は CAS 3 例,CEA 2 例であった. 周術期合併症は CAS で一過性過潅流症候群を 2 例に認めたが, 退院時 mrs が悪化した症例はなかった. 結論 急性期の不安定プラークに対しても protection などに十分配慮し,CAS high risk( 特に高度石灰化 ) を適切に判断することができれば急性期 CAS も安全に施行できる可能性が示唆された. 234 JNET Vol.8 No.6 December 2014
41 1-O22-7 般口演急性期脳梗塞に施行した緊急頸動脈ステント留置術 (Emergency CAS) の治療経験 横浜新都市脳神経外科病院脳神経外科 佐々木亮 Sasaki Makoto 佐藤純子 服部伊太郎 岩崎充宏 尾崎聡 福田慎也 根本哲宏 森本将史 疋田ちよ恵 はじめに 脳梗塞急性期における CAS は十分なエビデンスがないものの, 内科的治療抵抗性の進行性脳梗塞に対して選択肢の一つになりうる. 今回当院にて脳梗塞急性期に緊急 CAS を施行した症例について検討を行った. 方法 2012 年 4 月から2014 年 3 月までに CAS を施行した 119 症例のうち, 発症後 48 時間以内に CAS を施行したのは 10 症例で, 内科的治療抵抗性で症状増悪 変動した進行性脳梗塞が 7 例,iv tpa 後もしくは発症 8 時間以内に緊急血行再建術として施行した CAS が 3 例であった. デバイスに関しては 9 例で Carotid Guardwire,1 例で Filterwire を使用,8 例で Carotidwall,2 例で Precise を使用, うち proximal protection を 2 例で行った. 結果 術前頸動脈 MRI BB にてプラークは全例において high intensity であり, 不安定プラークが示唆された. 術後に関してステント内急性閉塞, 過還流症候群も認めず, 術翌日の頭部 MRI にて脳梗塞の拡大を認めた症例が 1 例, 他 9 例に関しては術前の MRI と比較し虚血合併症は認めなかった. 転機良好群 (30 日後の mrs 0 は 4 例, 転機不良 (mrs 5 6) は 2 例であったが, 急性腎不全となった症例以外, いずれの症例においても術後 NIHSS の増悪は認めず,7 例において症状の改善を認めた. 考察 結語 脳梗塞もしくは TIA 発症後 2 週間以内の CAS に十分なエビデンスはないが, 内頚動脈狭窄症に起因する進行性脳梗塞の自然歴の予後は悪く, 死亡率が 14 % から 18 %, 後遺症が 31 % から 71 % と報告されている. 基本的にはプラークの安定化が得られてからの CAS が周術期合併症の観点から望ましいものの, 今回の結果より, 症状が急速に増悪する進行性脳梗塞において, 緊急 CAS は有用な治療になりうる可能性がある. 1-O22-8 急性期脳卒中における頚動脈ステントの治療成績 伊勢赤十字病院脳神経外科 伊勢赤十字病院血管内治療科 伊勢赤十字病院神経内科 佐藤裕柴田益成西口大和北野祥太郎西川拓史 Sato Yu 山崎正禎清水重利内藤寛宮史卓 目的 豊富な CAS のエビデンスが構築されつつある現在でも, 急性期脳虚血を有する頚動脈病変のエビデンスレベルは低く, 有効性は確立されていない. しかし, 進行性増悪を呈する, または内科的治療抵抗性の脳卒中に対して, 急性期 CAS の有効性はしばしば経験することであり, 当院でのCAS 急性期施行例に対し retrospective 検証した. 方法 2011 年より 2014 年 5 月まで施行した頚動脈病変 175 例 (CAS 106 例 CEA 69 例 ) の内, 発症 2 週間以内の CAS 44 例を対象とした.Percusurge および Filter wire による distal protection, 更に balloon 付き guiding system による proximal flow control を併用し,Parodi 変法を基本とした. 結果 発症 1 日以内 13 例, 発症 7 日以内 24 例, 発症 14 日位以内 8 例共に mobility,mototality 0 % となり, 良好な治療成績を示した. 考察 症状に進行性, 動揺性を有した stroke in evolution 症例 (crescendotia,progressing storoke) において, 周術期合併症が 16 % を超える報告もあり, 適応については慎重にならざるを得ないが, 我々の9 割以上が NIHSS,mRS 改善または不変となり, 悪化例を認めていない. しかし,30 % に echolucent plaque,mri plaque image にて不安定性を示し, 治療リスクは高いと思われる. protection devise, および周術期管理に関しても細心の注意を払えば, 十分な治療効果が得られたことが示された. 一1-O23-1 頸動脈ステント留置術における全身麻酔と局所麻酔の比較検討 佐賀大学医学部脳神経外科 唐津赤十字病院脳神経外科 緒方敦之 Ogata Atsushi 高松裕一郎 井上浩平 鈴山堅志 江橋諒 河島雅到 高瀬幸徳 古川隆 田島裕 伊藤寛 岡本浩昌 高口素史 目的 頸動脈ステント留置術 (CAS) は局所麻酔で施行可能であるが, 過潅流症候群高危険例や血流遮断下の虚血耐性が低いと予想される例では全身麻酔を選択することがある. 当院では 2011 年 4 月から原則として全身麻酔下に, 関連施設では麻酔科医のマンパワーの問題から原則として局所麻酔下に CAS を行っている. 全身麻酔下および局所麻酔下 CAS の治療成績を比較検討した. 対象と方法 2011 年 4 月から 2014 年 7 月までに当院および関連施設で CAS を施行した 38 症例を対象とした. 徐脈は脈拍 50 回 / 分未満, 低血圧は収縮期血圧 90mmHg 未満, 術後高血圧は収縮期 160 mmhg 以上が 10 分以上持続と定義した. 徐脈または低血圧を HD とした. 結果 局所麻酔 (LA) 群は 18 例で年齢 歳, 男性 16 例, 症候性 15 例 (83%), 狭窄率 NASCET %( 平均 74%), シロスタゾール (CSZ) 投与 15 例 (83%)Carotid Wallstent(CWS) 使用 16 例 (76%) であった. 全身麻酔 (GA) 群は 20 例で年齢 歳, 男性 18 例, 症候性 16 例 (80%), 狭窄率 %( 平均 80%),CSZ 投与は 16 例 (80%),CWS 使用は 16 例 (80%) であった. 両群間でこれらの背景因子に有意差はなかった. 治療成績については,LA 群で TIA が 2 例あった以外は両群ともに脳卒中, 心筋梗塞はなかった. 術中 HD が LA 群に多い傾向であった.(50% vs 20% P= 0.08) 術後遷延した HD が LA 群に多い傾向であった.(17% vs 0% P= 0.09) 術後高血圧は,LA 群 ;22% GA 群 ;5 % であった.(P= 0.16) 術後 DWI 高信号は両群で差はなかった. 結論 全身麻酔下 CAS では, 周術期に安定した血行動態が得られる可能性がある.CAS 後過潅流症候群の発生を低下させるかどうかについてはさらなる検討が必要である. 1-O23-2 頚動脈内膜剥離術後の再狭窄病変に対する頚動脈ステント留置術の治療成績 東京女子医科大学脳神経外科 石黒太一 Ishiguro Taichi 川俣貴一 石川達也 岡田芳和 佐藤慎祐 阿南英典 山口浩司 目的 Carotid endarterectomy(cea) 後の再狭窄例に対しての Carotid artery stenting(cas) は, 術後脳梗塞や循環器合併症のリスクが低いとの報告が散見される. 今回我々は CEA 後の再狭窄に対して CAS を行った症例について検討, 報告する. 方法 2008 年 1 月 2014 年 7 月の期間に CEA 後の再狭窄に対して CAS を行った連続 27 症例に関して retrospective に調査した.Protection device は Angioguard Xp 8 例,FileterWire EZ 11 例,GuardWire PS 8 例であった. 選択した Stent は Presice 16 例,Wallstent 10 例,Protege 1 例であった.CAS 後の神経脱落症状, 徐脈, 低血圧等の合併症, 過灌流症候群, その他全身合併症の有無を調べた. また, 術後 3 日以内に頭部 MRI を撮影し梗塞巣の出現頻度を調べた. 退院後は定期的に頚動脈エコーを行い, 再狭窄の有無を調べた. 結果 27 例全ての症例で, 術後神経脱落症状は認めなかった. 3 / 27 例で術後低血圧と徐脈を認めたが,3 日以内に改善した. 全ての症例で過灌流症候群は認めなった.2 / 27 例 ( どちらも FileterWire EZ 使用例 ) で術後 MRI 上微細な (3 mm 以下 )DWI 高信号域を認めたが, いずれも無症候であった. また, 術後長期観察期間 ( 平均 37 ヶ月 ) において,1 / 27 例で消化管出血による内視鏡的処置が必要となったが, 脳梗塞や心疾患等の合併症は認めなかった. 全例で 50 %(area) を超える再狭窄は認めなかった. 結論 CEA 後の再狭窄に対して CAS を行った症例について検討した. いずれの症例も周術期に症候性脳梗塞や重篤な全身合併症は認めず, 長期成績も良好であった. 再狭窄例に対しての CAS は, 通常の CAS と比較し低リスクで行えると考えられた. 今後症例を重ね, さらなる研究が必要である. JNET Vol.8 No.6 December
42 1-O23-3 内頸動脈 near occlusion 症例に対する頸動脈ステント留置術の有用性 公益財団法人田附興風会北野病院脳神経外科 後藤正憲 Goto Masanori 池田直廉 箸方宏州 西田南海子 永井靖識 戸田弘紀 寺田行範 岩崎孝一 吉本修也 目的 内頸動脈狭窄のうち,near occlusion(no) に対する治療については, 適応や治療法など議論がある. 今回我々は, 頸動脈ステント留置術 (CAS) を施行した症例において,NO 症例 (NO 群 ) と同時期の NO 以外の症例 ( 対照群 ) を比較検討し, 文献的考察を加えて報告する. 対象 対象は 2007 年 3 月から 2014 年 4 月までに CAS を行った連続 45 例,46 病変.NO 群は 9 例で全例症候性, 対照群は 37 例 ( 症候性 20 例 ). 平均年齢は NO 群 70.8 歳 (54-86 歳 ), 対照群 67.4 歳 (47-80 歳 ) で, 平均観察期間は NO 群 20.4 ヶ月 (3-42 ヶ月 ), 対照群 33.7 ヶ月 (3-79 ヶ月 ) である. 結果 全例において, ステント留置が可能で,NO 群全例で頭蓋内血管の描出遅延が解消された. 平均手技時間は全身麻酔例を除き,NO 群 168 分, 対照群 123 分であった. 周術期の徐脈低血圧については, NO 群 5 例 (56 %), 対照群 15 例 (41 %) であった. その他の周術期合併症は NO 群 3 例 (33 %: 血栓塞栓症 1 例,SAH 1 例, ステント閉塞 1 例 ), 対照群 6 例 (16 %: 血栓塞栓症 1 例,TIA 4 例, SAH 1 例 ) であった. 血栓塞栓症による modified Rankin Scale の低下はなく,SAH およびステント閉塞はいずれも無症候性であった. 術後 MRI 拡散強調画像の陽性所見は NO 群 2 例 (22 %), 対照群 8 例 (21 %) に認めた. 経過観察中の同側虚血イベントは対照群の 1 例のみ,50 % 以上の再狭窄は各群 2 例ずつ見られたが, 再治療を要した症例はなかった. 検討項目のうち,NO 群と対照群で統計学的に有意差を認めたものは, 平均手技時間のみであった. 結語 手術手技を含め注意を要する点はあるが, 通常の CAS 症例と同等の治療成績が得られており,NO 症例に対する CAS は有用であると考えられる. 1-O23-4 高齢者頸動脈狭窄症に対する CAS の安全性および有用性の検討 過去 11 年間を振り返って 獨協医科大学脳神経外科 わたまクリニック脳神経外科 1, 玉谷真一 Tamatani Shinichi 金谷英明 安部欣博 金彪 はじめに 高齢者頸動脈狭窄症に対するステント留置術 (CAS) は, 現在その有効性および安全性は確立していない. 一方高齢者の増加に伴い治療が必要な高齢者頸動脈狭窄症例が年々増加している. 我々は治療が必要と判断された症例には高齢者でも積極的に治療を行ってきた. 今回自験例を分析し高齢者に対する CAS の妥当性を検討したので報告する. 対象 方法 2003 年 3 月から 2014 年 3 月までに頸動脈狭窄症に対して CAS を行った連続 253 病変を対象とした. これらを年齢別に 80 歳以上 (Ⅰ 群 ),75-79 歳 (Ⅱ 群 ),70-74 歳 (Ⅲ 群 ),69 歳以下 (Ⅳ 群 ) に分け治療成績を比較検討した. また術後 DWI-MRI を行い虚血性変化の出現率を検討した. 結果 4 群の内訳は Ⅰ:29 病変,Ⅱ:60 病変,Ⅲ:59 病変,Ⅳ: 105 病変. 手技は Ⅰ 群の 2 例 (access 不能 ) を除き全例成功した. 30 日以内の Mortality は全ての群で 0% だった.30 日以内の Major Adverse Event は 7 例認めた (Ⅰ:1(3.4 %),Ⅱ:2(3.3 %),Ⅲ: 3(5.1 %),Ⅳ:3(3.8 %) 各群間に有意差なし ). 穿刺部合併症は各群で 1 例ずつ計 4 例認めた. 術後 DWI-MRI 陽性率は,2006 年 1 月以降の 185 例で比較すると,Ⅰ:12 / 24(50 %),Ⅱ:15 / 45 (33 %),Ⅲ:11 / 41(27 %),Ⅳ:14 / 75(19 %) で高齢者群ほど高かった. 術後過還流症候群は一過性も含めて 5 例に認めたが, 各群間に違いはなかった (Ⅰ:1 例,Ⅱ:2 例,Ⅲ:1 例,Ⅳ:1 例 ). 結語 CAS の治療成績は高齢者でも充分満足のいく結果といえる. しかし術後 DWI-MRI 陽性率は高齢になるほど高く, 潜在的虚血性合併症の危険性は高いと考えられる. 高齢者頸動脈狭窄症に対する CAS は有効かつ安全な治療方法の 1 つとなり得るが, その適応はより慎重に行うことが重要と考えられる. 1-O23-5 全例 CAS の治療成績 立川綜合病院循環器 脳血管センター脳神経外科 立川綜合病院循環器 脳血管センター神経内科 阿部博史 Abe Hiroshi 神保康志 高野弘基 高橋陽彦 目的 当院では頸動脈狭窄に対して CAS が薬事承認された 以降一貫して CAS を優先しアクセス出来なかった 2 病変を除く全 200 病変に対して CAS を施行した. その治療成績を, embolic protection device(epd) の変遷により前期 ( ,AngioGuard 単独から GuradWire との hybrid) と後期 ( ,filter+proximal protection+ 血液吸引 ) とで比較検討した. 対象 前期 81 病変 76 例, 後期 119 病変 110 例で, 症候性 : 無症候性, 平均年齢, 平均狭窄率は, それぞれ前期 40 側 : 41 側,73.4 歳,84 %, 後期 58 側 :61 側,72.5 歳,84 % と大差なかった. 方法 全例術前に心機能,SPECT による脳血流, プラーク性状, 頸動脈形状を評価しそれを基に EPD と stent を選択し, 全身麻酔, 術中 TCD モニター,IVUS 使用下に CAS を行った. 後期は distal filter(fw-ez または Spider) に各手技毎の proximal balloon+ 血液吸引 + 輸血用 filter 経由での返血を基本手技とした. 結果 前期と後期における平均改善狭窄率, 虚血性合併症 (TIA: RIND:minor stroke:major stroke), 頭蓋内出血, 過灌流症候群, MRI DWI 多発 HIS 陽性率, 再狭窄は, それぞれ前期 4 %,9 側 (3: 3:1:,0 側,2 側,14 側 (17 %),1 側, 後期 4 %,3 側 (1:2: 0:0),1 側 ( 無症候 ),2 側,9 側 (8 %),2 側で, 後期においては特に虚血性合併症が減少し永続的合併症は認めなかった. 結論 術前に全身, 病変の十分な評価を行い, 全身麻酔,TCD 等の各種モニター下に, 症例毎に適切に distal+proximal protection を適応することで殆どの症例で安全確実な CAS が可能である. 施設により CAS と CEA 適応スタンスは異なるが, 成績向上にはある程度のこだわりと手技を極める絶え間ない努力は必要である. 1-O23-6 血液透析患者に対する待機的頸動脈ステント留置術の長期成績 湘南鎌倉総合病院脳卒中センター脳卒中診療科 岩田智則 Iwata Tomonori 森貴久 青柳慶憲 丹野雄平 笠倉至言 吉岡和博 背景 目的 血液透析患者に対する待機的頸動脈ステント留置術 (CAS) は周術期合併症が高く, 待機的 CAS の長期成績は不良であるとの報告がある. 当院における血液透析患者に対する待機的 CAS の長期成績について, 後ろ向きに調べた. 方法 解析対象は 2003 年 1 月から 2013 年 5 月の期間に, 当院で待機的 CAS を施行した血液維持透析患者. 患者背景, 周術期合併症,CAS 後 30 日時点での morbidity と mortality, 観察期間,CAS 後の脳卒中発症, 総死亡,50 % 生存期間を調べた. 結果 調査期間中に 500 人 555 病変の待機的 CAS(TIA/ 脳梗塞発症から1 月以上経過後あるいは無症候 ) を施行し, その中で 16 人 17 病変が血液透析患者であった. 平均年齢は 70.9 歳であった. 周術期合併症として一過性麻痺と一過性意識障害が各々 1 例ずつ起きたがすぐ回復し,CAS 後 30 日時点での morbidity と mortality はそれぞれ 0 % であった. その後の観察期間 ( 平均 2.9 年 ) 内に脳梗塞は起きなかった. 脳出血が 1 例に生じたが, 永続的な神経脱落症状はなかった. また観察期間内に 6 人が死亡していた. 死亡原因は心疾患 3 名, 悪性腫瘍 2 人, 肺炎 1 人だった.50% 生存期間は 4.79 年だった. 結論 血液透析患者に対する待機的 CAS に関して,CAS 後 30 日時点での morbidity and mortality はそれぞれ 0 % で, 長期的にも重症脳卒中は起きなかった. 手技は安全に施行でき脳梗塞予防も期待できるが, 他疾患で死亡することが多く,50% 生存期間が約 5 年だった. 236 JNET Vol.8 No.6 December 2014
43 1-O23-7 般口演Free-Floating Thrombus を伴う頸動脈狭窄症に対する頸動脈ステント留置術の治療成績 昭和大学藤が丘病院 WASCOT CAS スタディグループ 梅嵜有砂 Umesaki Arisa 岡田秀雄 津浦光晴 寺田友昭 大島幸亮 松崎丞 山家弘雄 田中優子 増尾修 吉村良 松本博之 背景 Free-Floating Thrombus(FFT) を伴う頸動脈狭窄症は, 70 % 未満で 1.1 %,70 % 以上で 4.3 % 認めるとされている.FFT 症例では症候性となる可能性が高く, 積極的な治療が必要と考える. しかし,FT を伴う内頚動脈狭窄症に対する CEA は high risk であるとの報告もあり,CEA か CAS かどちらが良いか, 治療のタイミングなど, 不明な点も多い.FFFT を伴う内頚動脈狭窄症に対して CAS を行った 10 症例について検討した. 対象 2012 年 6 月から 2013 年 7 月までに 13 施設で施行された CAS 連続 274 症例のうち,FFT を伴う頸動脈狭窄症は 10 症例 (3.6 %) であった. 結果 平均年齢 74.5 歳 (59-82 歳 ), 男性 9 例. 背景因子は高血圧 8 例, 糖尿病 3 例, 高脂血症 5 例, 喫煙 3 例であった. 頸動脈狭窄病変は, 平均狭窄率 75.3 %(67-95 %),MRI Black-Blood 法を施行した 7 例中 7 例とも T 1 high, 全て症候性病変であった.1 例は急性期の治療にて CAS 時には血栓が消失していた. 治療は, 発症 1 週間以内 3 例,2 4 週間以内 4 例,1 3 か月以内 2 例であった. 治療は,Parodi 法または Parodi 変法 5 例,Carotid Gurdwire 3 例, FilterWire EZ 2 例で,Carotid Wall stent 8 例,Precise stent 2 例であった. 合併症は穿刺部血腫 1 例のみで, 虚血性合併症は認めなかった. 結論 今回の結果からは,FFT を伴う頸動脈狭窄症に対する急性期 CAS は安全と考えられ, 治療の選択肢となりえると考えられたが, 今後, さらなる症例の積み重ねが必要と考える. 1-O23-8 進行性増悪を呈する急性期脳梗塞に対して緊急 CAS を施行した8 例 国立病院機構九州医療センター脳血管センター脳血管内治療科 国立病院機構九州医療センター脳血管センター脳血管 神経内科 徳永聡三本木良紀津本智幸鶴崎雄一郎矢坂正弘 Tokunaga So 岡田靖 はじめに 脳卒中ガイドライン 2009 では, 脳梗塞急性期に頚動脈血行再建術 ( 血管形成術 ステント留置術 ) を行うことについて十分な科学的根拠はないとされている. 頚部内頚動脈狭窄症を有し進行する意識障害, 神経脱落症状の増悪を認めた急性期脳梗塞に対し, 発症 24 時間以内に緊急 CAS を施行した 8 例について報告する. 対象と方法 2012 年 1 月から 2014 年 4 月までの 2 年 4ヶ月間に CAS を施行した 83 例のうち緊急 CAS を施行した 8 症例を対象とした. それぞれの症例に対して術前評価, 合併症の有無 ( 脳梗塞, 過灌流症候群 ),90 日後 mrs 等について検討した. 結果 発症から平均 7.25 日で CAS を施行した. 術前 SPECT を施行した 5 例中 3 例に健側 80 % 以下の灌流低下を認めた. 術前 plaque image を施行した 4 例中 3 例で PM 比 > 1.5 を認めた. 術後,1 例に過灌流症候群 ( 脳出血 ),2 例に TCD,SPECT で過灌流現象,2 例に無症候性脳梗塞を認めた.90 日後 mrs:0-2が5 例,mRS:3が2 例, mrs:5 が 1 例であった.1 例で術後 1 年で再狭窄に対する再治療が必要であった. 考察 進行性増悪を呈する急性期脳梗塞に対する緊急 CAS は, 有用な治療法である可能性が示唆されるが, 過灌流症候群に対する対応に難渋する場合があった. また, 緊急 CAS は長期的には再狭窄を来しやすいことが予想され, 厳重な経過観察が必要と考えた. 一1-O24-1 血栓性合併症に対する治療選択とそのタイミングについて 滋賀県立成人病センター脳神経外科 宗光俊博 Munemitsu Toshihiro 上羽佑亮 森田康平 北条雅人 目的 多くの血管内治療の手技には血栓症のリスクが伴い, 周術期の薬剤管理は重要である. それでも生じる血栓症に対し,PTA や薬剤動注, 内科的加療の追加など, 多くの成書に対応策が記載されている. しかし, 実際に血栓症が生じた場合, どの治療方法をどのタイミングで行うべきか, その判断に悩むことは多い. 今回当院で周術期血栓症を認めた症例の治療選択とそのタイミングが適切であったか考察した. 方法 2012 年 4 月から施行した 106 例のうち 4 例 (3.7 %) で周術期血栓症を発症した.2 例は予定症例の CAS で, 破裂動脈瘤が 1 例, 急性期頭蓋内ステント留置術が 1 例であった. 予定症例は抗血小板薬を 2 剤, 急性期症例は aspirin 300 mg を術前投与し, 全例術中ヘパリン化した. 急性期 2 例は術中に血栓症を確認し,PTA や薬剤動注で追加治療を行った.CAS の 1 例は帰室後にステント内血栓を認め, 抗凝固薬 抗血小板薬の追加のみで対応した. もう 1 例は CAS 後 1 か月にステント内血栓が出現, 内科的加療に抵抗性であったため,stent の追加留置を行ったが, 血栓症の増悪を招く結果となった. 結論 術中に生じた血栓症については,PTA や血栓回収デバイスの使用, 血栓溶解剤の動注など, 即座に有効な治療を行えることが多い.CAS の 2 例は plaque protrusion が背景にあると考えられたが, 抗血小板薬の不応性や不十分な抗凝固などの問題点を改善するとともに, 追加治療に抵抗性である場合には再治療に踏み切るべきではないかと考えた.stent 追加により血栓症を増悪させた経験からも, 異物を使用しない追加治療が望ましいと考えられた. 1-O24-2 ガイディングカテーテルによる機械的血管攣縮を惹起する因子の検討 国立循環器病研究センター脳神経外科 金丸英樹 Kanamaru Hideki 林正孝 佐藤徹 濱野栄佳 菅田真生 井手口稔 石井大造 片岡大治 丸山大輔 高橋淳 背景 目的 近年脳血管内治療は普及の一途をとげているが, 病変へのアクセス時に, ガイディングカテーテル (GC) を母血管に干渉せず留置できるかどうかは治療の成否に関与する重要な因子の一つである. そこで,GC を留置する際に機械的血管攣縮 (mvs) を惹起する因子について検討した. 方法 対象は 2012 年 8 月 1 日より 2014 年 7 月 31 日までの 2 年間に未破裂脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行した連続 64 例とし後方視的に検討した.mVS の定義として,GC を留置した母血管径が 25 % 以上狭小化するものとした. 結果 年齢は平均 59 歳 (34-77 歳 ), うち女性 43 名 (67 %) であった.GC 留置部位は内頚動脈 41 例, 椎骨動脈 23 例で,GC のサイズは 4.2 Fr 1 例,5 Fr 1 例,6 Fr 49 例,7 Fr 13 例で,13 例が triple coaxial system で病変にアクセスした.mVS は 24 例 (38 %) に認め, そのうち GC のサイズ変更を要したものは 5 例, その他の症例では先端位置を変えることで攣縮所見は全例軽快した.mVS と関連する因子として,50 歳以下 (p= 0.008), 女性 (p= 0.028), 高血圧でないもの (p= 0.035) を認めた.Body Mass Index,Adjunctive technique の有無, 治療後の DWI 高信号域の有無, 治療時間, 部位 (ICA/VA), 抗血小板療法 (Single/Dual) は関連を認めなかった.VA に GC を留置し,Adjunctive technique を用いた症例は 16 例 (Balloon 10 例,Stent 6 例 ) あったが,mVS との関連は有意ではなかった. 結論 より年齢の若い症例, 女性, 動脈硬化の少ない症例では機械的血管攣縮を引き起こしやすいと考えられる. これらの症例では, より gentle なカテーテル操作が必要である. JNET Vol.8 No.6 December
44 1-O24-3 ガイディングカテーテル留置血管における血管攣縮の検討 埼玉医科大学日高国際医療センター脳卒中センター 治療科 圏央所沢病院脳神経外科 石原秀章 Ishihara Hideaki 上宮奈穂子 石原正一郎 神山信也 新美淳 山根文孝 根木宏明 加藤裕 脳血管内 掛樋善明 ( はじめに ) 脳血管内治療において, ガイディングカテーテル留置時に血管攣縮が起こり, しばしば高位に留置不可能である. デバイスの支持力が欠如した状態では精密な手技が困難であるし, また血管攣縮による脳血流低下から血栓合併症を起こす可能性がある. 今回, ガイディングカテーテル留置血管における血管攣縮の危険因子やその対策を検討したので報告する ( 方法 ) 対象は 2012 年から 2013 年の急性期を除く脳血管内治療において, 内頸動脈にガイディングカテーテルを留置した連続した 150 例である. 血管攣縮は親血管径比で 30% 未満を軽度,30% 以上 70% 未満を中等度,70 % 以上を重度と判定した. 血管攣縮の危険因子として, 既往, 不安評価 (STATE-TRAIT ANXIETY INVENTORY) といった患者側要因, ガイディングカテーテルの径, 術者, 筋弛緩剤の量といった手技的要因, 頸動脈の屈曲といった解剖学的要因を検討した.1 群はコントロールであり, 生じた攣縮に温湿布, 薬物動注 (nicaldipine, lidocaine) で対処した. 不安の強い患者に攣縮を来たす傾向が認められたため,2 群では前投薬 ( 精神安定剤, 眠剤 ) を投与した.3 群では, 前投薬に加え, 薬物動注の前処置を行い, 攣縮の予防効果を検討した.( 結果, 考察 ) 中等度以上の血管攣縮を全体の 40% に認めたが, 予防処置を追加することで重度の攣縮の発生が有意に減少した. 血管攣縮の危険因子として, 診断時攣縮有り [OR= 10.63; P= 0.01], 血管の屈曲数 [OR= 4.21;P= 0.01], 不安の強い患者 [OR= 1.84;P= 0.01] が有意であった. 温湿布, 薬物動注は有効であり, また前処置により攣縮発生が予防可能であった. 1-O24-4 脳血管内治療トレーニングモデルの開発 東京医科歯科大学血管内治療学分野 自治医科大学脳神経外科 根本繁 Nemoto Shigeru 吉野義一 難波克成 三木一徳 金子直樹 唐鎌淳 益子敏明 渡辺英寿 目的 脳血管内治療は低侵襲の治療として脚光を浴びているが, 技術習得のためには訓練が必要であり, トレーニングシステムが問題となっている. トレーニング用として動物モデル開発に着手し, その後 dry labo でのシステム開発の実績を報告する. 方法 1. 血管モデルは 3 D 画像の dicom ファイルから 3 D プリンターを用いて ABS 樹脂で作成し, それにシリコンを塗布して血管モデルを作成する. 全身血管は大動脈から大腿動脈, 総頸動脈を一体化. 頚部血管は総頸動脈 内頸動脈を一体化. 頭蓋内は錐体部から内頸動脈 前大脳動脈, 中大脳動脈を一体化. 動脈瘤は, 前交通動脈瘤, 内頸動脈瘤, 脳底動脈瘤を作成.2. アクリル樹脂の本体に血管モデルを組み込み結合. 循環回路は, 拍動ポンプで注入し, 流出路を介して貯留槽へ排出. 実際の訓練法として, 血栓回収モデルでは, 新たに開発した人工血栓 (Nemoclot ) を中大脳動脈に注入し, ステントリトリーバーを用いて回収. 脳動脈瘤モデルでは瘤内にコイル留置を行う. 新しいデバイスが導入された時に血管モデルで試用して機材の使用法に慣れる. 結果 血栓回収モデルでは, 血栓回収過程を透視下だけでなく, 直視下で観察可能であり, ステントリトリーバー使用法に習熟することができる. 動脈瘤塞栓術では実際に治療した症例モデルを使用し, 臨場感に富んだ実体験が可能となる. これは従来品では実現できない画期的な方法である. 結論 開発した人工血管トレーニングモデルは既製品と比べて費用対効果に優れ, 実際の臨床例の実体験が可能となり, 脳血管内治療の訓練には非常に有用と考えられる. 1-O24-5 血管内手技の教育 学習における新しいビデオ記録システムの導入 東京大学医学部脳神経外科 根城尭英 Nejo Takahide 中冨浩文 庄島正明 斉藤延人 小泉聡 野村征司 伊藤明博 背景 ビデオ記録映像を用いた microsurgery の学習法の有用性は広く認識されている. 一方従来の血管内治療の記録映像は単調で, 教育 学習資料として魅力に欠けていた. 今回当院で新たに hybrid OR システムを設置するに当たり, 教育と学習に配慮してライブデモンストレーションを模擬したビデオ録画システムを構築した. 対象と方法 2014 年 5 月より hybrid OR システム (Philips Allura Xper FD 20 Clarity) の運用を開始した.56 インチの大画面モニタ (Philips Flexvision XL) を複数に分割し,(live 透視画像,(roadmap 画像,( 生体監視モニタ,(3 D 画像,(5) 天井設置型ハイビジョンカメラから撮影した術者の手元映像等の多チャンネル映像ソースを表示し, 手術室内の音声と同時にハイビジョン記録可能とした.8 月までの 4 ヶ月間で治療を行った計 10 症例の記録映像についてメリット デメリットを検討した. 結果 症例の内訳は未破裂脳動脈瘤 8 例, 未破裂脳動静脈奇形 2 例であった. 術後に記録動画を見返した際, 従来の透視映像ではわかりづらかった術野の状況, 判断過程, 手元の操作とカテーテルの動きが, リアルタイムの音声や画像が加わることで格段に把握しやすくなった. また使用したデバイスの種類やカテーテル先端形状の shaping の状態も動画記録に残るため, 学習手段として優れていると考えられた. さらに従来の透視映像と比べ本システムの記録映像では, 視聴者が眠気を感じる頻度が減り, 学習の効率性の向上に寄与すると示唆された. 結論 従来単調であった記録映像が, 複数の視点からの映像と音声情報を加えることで, 効率的かつ魅力的な予習 復習の学習素材となり得る. 1-O24-6 脳血管内治療患者における VerifyNow を用いた血小板凝集能測定とシロスタゾール追加投与の有用性聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター 深野崇之 Fukano Takayuki 吉江智秀 植田敏浩 高田達郎 宮下史生 高石智 野越慎司 徳浦大樹 水庭宣隆 萩原悠太 小野元 背景 目的 抗血小板薬不応症 (NR) と脳血管内治療の血栓塞栓性合併症との関連が指摘されている. 我々は待機的脳血管内治療症例に verify now による血小板凝集能の測定を行い,NR に対してはシロスタゾール (CLZ) を加えた 3 剤併用 (TAPT) としている. TAPT の有用性を検証した. 方法 対象は 2012 年 2 月から 2014 年 6 月までに待機的脳血管内治療を施行し,Verify now を用いて Aspirin assay(aru),p 2 Y 12 assay(pru) を測定した 91 症例 (CAS 56 例, 頭蓋内脳血管形成術 8 例, 未破裂脳動脈瘤塞栓術 25 例, 椎骨, 鎖骨下動脈に対する血管形成術 2 例 ). アスピリン (ASA), クロピドグレル (CLP) の併用 (DAPT 群 )67 例, TAPT 群 12 例 ( 血小板凝集能測定前より 3 剤内服していた検査前 TAPT 群 5 例, 測定後 CLZ を加えて TPAT とした検査後 TAPT 群 7 例 ) における術後 DWI 陽性率, 周術期イベントを比較した. 結果 検査前 TAPT 群は DAPT 群に比較し PRU が有意に低かった (97.8 vs p= 0.035). 検査後 TAPT 群は DAPT 群より ARU(528.2 vs p= 0.180),PRU(222.7 vs p= 0.060) が高かった. 術後 DWI 陽性率は DAPT 群 25 例 37.3 %,TAPT 群 3 例 25 % であった. 周術期塞栓性イベントは TAPT 群では認めず, DAPT 群では 4 例 5.9 % であった. 出血性イベントは DAPT 群 11 例 16.4%,TAPT 群 3 例 25% であった. 結語 検査後 TAPT 群は ARU,PRU ともに高い傾向を認めたが, 塞栓性イベントの出現率上昇はなかった. 術前の Verify now にて ARU,PRU が高値である場合に,CLZ の追加投与が塞栓性イベントの予防として有用な可能性がある. 238 JNET Vol.8 No.6 December 2014
45 1-O24-7 般口演血小板機能測定に基づいた脳血管内治療 済生会長崎病院脳神経外科 済生会長崎病院薬剤部 北川直毅 Kitagawa Naoki 原口渉 本間三絵 目的 脳血管内治療では複数の抗血小板剤を通常使用するが, 抗血小板機能を測定する方法に明確な基準はないため抗血小板剤の併用は経験的に行われている. 当院では VerifyNow System を用いて血小板機能を測定しているので報告する. 方法 過去 3 年間に当院に受診した脳血管内治療予定の患者および抗血小板薬服用中の脳卒中患者で血小板機能 (ARU:Aspirin Reaction Unit,PRU: P 2 Y 12 Reaction Unit) を測定した 140 例を対象とした. 待機的な脳血管内治療前の 52 例 ( 脳動脈瘤塞栓術 19 例, 頸動脈ステント留置術 33 例 ) を含み, これらの症例では検査の結果で治療前に抗血小板剤の増減を行った. 結果 アスピリン100mgは ARU ± 64.79(cut off 値 550), クロピドグレル 75 mg は PRU ± 54.53(cut off 値 230) であった. このうち cut off 値を上回った症例がアスピリン 100 mg で 14.4%, クロピドグレル 75 mg で 27.5% 存在した. シロスタゾール 200 mg 単独では ARU, PRU ともに有意な変化はみられなかったが, クロピドグレル 75 mg +シロスタゾール 200 mg 併用では PRU ± とクロピドグレル 75 mg 単独, シロスタゾール 200 mg 単独と比べて有意な低下を認めた (p < 脳血管内治療を行ったものでは全例血栓性の合併症を認めなかったが, 抗血小板剤 3 剤を内服した動脈瘤塞栓術症例で術前日の ARU 372,PRU 0 と低下した症例では, 術後に後腹膜血腫を生じ輸血が必要となり入院が延長した. 考察 抗血小板剤に対する耐性は存在し, 治療前に複数の抗血小板剤を内服する必要が示唆された. 効果が強すぎる場合には治療を中止する必要もあるものと考えられた. 1-O24-8 Verify Now による術前抗血小板機能評価 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター脳神経外科 筑波大学医学医療系脳神経外科 加藤徳之山崎友郷細尾久幸藤原雄介松村英明 Kato Noriyuki 安田貢松村明 はじめに 瘤内コイル塞栓術やステント留置術に先行してアスピリン (ASA) とクロピドグレル (CLP) の2 剤併用内服 (DAPT) は普及している. 近年我々は Verify Now を導入し DAPT 施行症例の術直前に抗血小板機能を測定するようになった. 連続 61 症例での経験を報告する. 症例 2013 年 5 月から2014 年 3 月までに未破裂脳動脈瘤患者 38 例, 頸動脈狭窄性病変や頭蓋内狭窄病変に対する血管形成, ステントを行う 23 症例から血液検体を採取した. Cut off 値は ASA に関しては 550 ARU(Aspirin Reaction Unit) とし CLP では PRU(Pravix reaction unit) を至適とした. 結果 ASA 反応性は約 80% で normal(550 ARU 未満 ), 一方 CLP では約 50 % が normal,11.4% で hyper responder,34.4% で poor responder であった. 動脈瘤群, 血管形成群のグループ別にも検討を加えた. 動脈瘤群は DAPT 投薬が 5 日以内のものが 40 % 存在しそれらの約 50% は poor responder であった. 無症候性の DWI 陽性を 11 例 (17.7 %) に認め内訳は ASA poor 4 例,CLP poor 4 例, 両者 poor が 2 例, 両者 normal 1 例であった. 脳梗塞による一過性の神経学的欠落を 2 例 (3.2 %) に, 永続的欠落を 3 例 (4.8 %) に認めた. 一過性のものは ASA poor, 永続的な 3 例は 3 例とも ASA,CLP 共に poor な症例であった. 出血性合併症は認めなかった. 結語 動脈瘤群で内服期間が短く CLP poor が多い傾向であった.CLP の反応性にばらつきがある現状では ASA と CLP の DAPT は必須な印象を持った. 今後の flow diverter stent 使用などに際しては更に必須の検査なのではないかと考えている. 一1-O25-1 脳表静脈導出を伴う硬膜動静脈瘻の選択的導出静脈塞栓についての検討 山梨大学医学部脳神経外科 橋本幸治 Hashimoto Koji 村山裕明 金丸和也 風間宙文 佐藤浩企 木内博之 八木貴 吉岡秀幸 はじめに 硬膜動静脈瘻の経静脈的塞栓術において, 完全閉塞を得るためには, 脳表静脈への逆流の確実な閉塞が重要であり, 可能な限り選択的に塞栓することとしているが, 困難な症例も少なからず存在する. そこで, このような選択的塞栓を阻害する因子について検討したので報告する. 対象と方法 2007 年以降, 経静脈的塞栓術を行った, 脳表静脈導出を有する横 S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻の 24 例を対象とした. 塞栓術においては, まず導出静脈へのマイクロカテーテル誘導の可否を確認し, 誘導可能な場合には, 導出静脈存在部の sinus packing を行う前に選択的塞栓を施行したが, 誘導困難な場合には, その部位の sinus packing を可及的密になるように施行した. 結果 24 例のうち 7 例 (29%) で導出静脈への誘導ができず, その原因として, 脳表静脈導出部の屈曲と狭窄, 静脈洞内の隔壁形成,isolated sinus による複雑な形状, およびカテーテルの操作性不良が挙げられた.7 例のうち 4 例は sinus packing により脳表静脈への導出が消失したが,3 例では残存し, 追加治療を要した. 結論 経静脈的塞栓術においては, 導出静脈近傍の血管構築も詳細に観察し, 選択的塞栓の可否も考慮した治療計画を立てることが肝要である. 1-O25-2 硬膜動静脈瘻発生と髄膜腫の関連性についての検討 筑波大学医学医療系脳神経外科 渡部大輔 Watanabe Daisuke 山本哲哉 鶴田和太郎 松村明 池田剛 伊藤嘉朗 丸島愛樹 目的 髄膜腫の硬膜動静脈瘻発生への関与について検討を行う. 対象 方法 年に当院で血管撮影により硬膜動静脈瘻と診断された 32 例. 頭蓋内病変の合併について後方視的に検討した. 結果 合併頭蓋内病変として髄膜腫が 3 例, 脳動脈瘤が 5 例, 松果体腫瘍が 1 例でみられた. 考察 髄膜腫と硬膜動静脈瘻を合併した 3 例のメカニズムとして,1 例目は髄膜腫と硬膜動静脈瘻は上矢静洞部に一致しており, 髄膜腫による静脈洞の閉塞から起こった静脈洞圧上昇が関与した可能性が考えられた.2 例目は錐体部髄膜腫に小脳テント部の硬膜動静脈瘻を合併していた例で位置は離れており, 腫瘍による静脈還流への影響や腫瘍関連血管増殖因子の関与の可能性が考えられた.3 例目は前頭葉髄膜腫の摘出 2 年後に横静脈洞硬膜動静脈瘻を発症しており, 手術時の頭部固定ピンの影響も疑われたが明らかではない. 結論 髄膜腫は硬膜動静脈瘻発生の一因となっている可能性があるが, 本検討は症例数が少なく, 今後さらに症例を重ねて検討を進める必要がある. JNET Vol.8 No.6 December
46 1-O25-3 深部静脈還流障害における静脈側副血行 : 急性閉塞と慢性機能的閉塞における違い 硬膜動静脈瘻 / 静脈洞血栓症例の検討 富山県済生会富山病院脳卒中センター脳神経外科 富山大学医学部脳神経外科 久保道也 Kubo Michiya 梅村公子 桑山直也 堀江幸男 岡本宗司 黒田敏 堀恵美子 柴田孝 はじめに 硬膜動静脈瘻 (DAVF) や静脈洞血栓症 (VST) における深部静脈還流障害は患者の予後に重大な影響を及ぼす. 深部静脈系は,cisternal venous group の静脈還流を主に受ける脳底静脈 (BVR) と ventricular venous group のそれを受ける内大脳静脈 (ICV) の 2 つに分かれる. われわれは, 静脈洞交会 (Conf) 直静脈洞 ガレン静脈 (VOG) における閉塞時に生じる静脈側副血行に関して, 急性閉塞と慢性機能的閉塞に分けて検討した. 対象 方法 対象は最近 9 年間余に治療した DAVF 89 例 + 静脈洞血栓症 5 例のうち, 深部静脈の静脈還流障害を認めた 14 例 (14.9 %) で,DAVF の部位は横 S 状静脈洞部 (TS)8,TS + 上矢状静脈洞 +Conf 3, 海綿静脈洞部 2 であった.VST の 1 例は TSS Conf に血栓性閉塞をきたした 1 例であった.3 D-RA による MPVR/ STS-MIP を用いて ICV 系,BVR 系それぞれについて静脈側副血行を評価した. 結果 静脈側副血行のパターンは 3 つに分かれた. (ICV VOG BVR に還流し BVR の吻合 (uncal V 等 ) から流出するもの,(ICV 系は transcerebral venous system(tcvs) から流出し,BVR 系は上記吻合から流出するもの,(ICV 系は ICV-BVR 両系の側脳室内の subependymal V の吻合から BVR 系に流出し上記吻合から流出するもの.( の 4 例はいずれも VST または DAVF に血栓化を合併した急性閉塞例であり,( の 6 例はいずれも慢性機能的閉塞例であった.( の 4 例は静脈還流障害が比較的弱い症例であった. まとめ 深部静脈の静脈側副血行評価は重要であり, 急性閉塞例では ICV-BVR 両系の側脳室内の subependymal V の吻合, 慢性機能的閉塞例では TCVS がそれぞれ主経路であった. これらの評価は治療の緊急度の指標になると考えられた. 1-O25-5 罹患 sinus 効果的塞栓を目的にした sinus 内 guiding catheter 挿入の有用性 名古屋市立大学医学部脳神経外科 西川祐介 Nishikawa Yusuke 間瀬光人 田中健太郎 山田紘史 相原徳孝 山田和雄 目的 Transverse-sigmoid dural arteriovenous fistula (TSSDAVF) の罹患 sinus を packing する際は Penumbra coil (PC) を使用した方が本数も少なく治療時間も短くすることができるが, その coil 特性から皮質静脈を短い距離で tight packing することは難しい. これまでの bare platinum coil(bc) は PC とは相対的に逆の特性となる. 両者を組み合わせることでより安全で効率的な sinus packing ができると考え, 罹患 sinus 内に 4.2 Fr. Fubuki を留置して両者を併用した経静脈的塞栓術 (TVE) を報告する. 対象および方法 2013 年 8 月から2014 年 7 月までの1 年間で当院で治療した Lalwani grade 3 もしくは 4 の TSSDAVF 連続 4 例で 6 Fr. Guiding sheath 80 cm+ 6 Fr. Guiding 100 cm+ 4.2 Fr Fubuki 125 cm の system で 4.2 Fr Fubuki を罹患 sinus まで誘導して PC 必要に応じ BC を併用して sinus packing を行った. 結果および考察 4 例とも罹患 sinus 内に 4.2 Fr Fubuki を誘導することに成功し,3 例は PC 及び BC を併用して sinus packing を行った.sinus 内まで 4.2 Fr. を誘導できたのは support 力の強い guiding system の選択と,Fubuki の追従性の良さによると思われた. 脳表静脈を塞栓する際は BC を sinus packing の際は PC を使用し,sinus 内に guiding がいるため microcatheter(mc) の交換も問題なく行えた. 結語 罹患 sinus 内に 4.2 Fr. Fubuki を留置する TVE は MC の交換が容易でより有効な coil 選択を可能にし, 効果的な塞栓術を可能にしていると思われた. 1-O25-4 頭蓋内出血で発症した硬膜動静脈瘻の臨床的特徴 久留米大学医学部脳神経外科 済生会八幡総合病院脳神経外科 済生会福岡総合病院脳神経外科 大牟田市立総合病院脳神経外科 中村普彦 Nakamura Yukihiko 折戸公彦 廣畑優 森岡基浩 藤村直子 竹内靖治 山下伸 目的 頭蓋内出血で発症した硬膜動静脈瘻 (davf) の臨床的特徴について自験例より検討した. 方法 年に当科で経験した davf 139 例中, 頭蓋内出血で発症した 23 例 (M:F= 13: 10,Age:45-85 mean 66.4 歳 ) を対象とした.dAVF の部位は Transverse-Sigmoid(TS):8,Cervico-medullary Junction(CM): 4,Convexity(C):4,Cavernous Sinus(CS):3,Tentorial(T): 2,Fronatal base(fb):2 例であり, いわゆる non sinus type が過半数 (12 例 ) を占めた. 出血のタイプは CM,T,C の 8 例はくも膜下出血 (SAH) を, その他の部位の 15 例では脳内出血 (ICH) であった. なお同時期に治療を行った davf 139 例の部位は CS: 68,TS:48,T:8 C:6,CM:5,FB:4 であった. 術前 Cognard 分類は Ⅱa+b:6,Ⅲ または Ⅳ:13,Ⅴ:4 例であった. 成績 治療は Trans arterial embolization(tae):8(nbca 7:coil:, TAE 後に trans venous shunt packing (TVE):5,TVE のみ :4, TAE 後の op:4( 開頭 3,γ kinfe を行った.TVE を行った 9 例と TAE 後の op 4 例では全例 shunt の消失を認めたが,TAE のみの 8 症中 2 例は shunt の残存を認めた. 治療合併症は nbca による TAE の 1 例で nbca の migration による小脳梗塞を認めた. 退院に再出血をきたした症例は認めていない. 結論 CM,T,TS 部で Cognard Type III 以上の症例で出血例が多かった.TVE は非常に根治術が高いが TVE 不可能例であっても TAE と手術の組み合わせで再出血の予防効果はあると考える. 1-O25-6 海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻に対する経浅側頭静脈アプローチの検討 東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科 東邦大学医療センター大橋病院放射線科 石井匡 Ishii Masashi 原科純一 飯塚有応 林盛人 齋藤紀彦 岩渕聡 佐藤健一郎 木村仁 平井希 伊藤圭介 中山晴雄 青木和哉 はじめに 海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻 (CS-dAVF) に対する治療は一般的に下錐体静脈 (IPS) 経由の経静脈的塞栓術 (TVE) が行われ, 我々の施設でも第一選択としている. 今回我々は IPS 経由での治療が困難であった CS-dAVF 症例に対し, 浅側頭静脈 (STV) 経由に TVE を試みた 3 例について報告する. 症例 Case 1:82 歳女性. 左上眼静脈 (SOV) は拡張し,STV を介し外頚静脈へ流出していた.IPS 経由では shunt point の塞栓が困難であり STV 経由に変更した.STV - SOV 経由に CS 内に到達し,target embolization を行い完全閉塞が得られた.Case 2:67 歳女性. 右 SOV が流出路として拡張し, 両側皮質静脈への逆流を認めた. STV - SOV 経由に CS 内に到達し,dangerous drainage route, shunt point の順に塞栓を行い, 完全閉塞が得られた.Case 3:77 歳女性. 左 SOV に逆流を認めるも SOV は眼窩内で閉塞し, 主に SPS に流出していた.STV 経由に眼窩上縁まで microcatheter を誘導出来たが, 血栓化した SOV の通過は困難であった. 治療は経動脈的塞栓術を行った. 考察 IPS 経由で治療困難な CS-dAVF 症例に対し,STV 経由に TVE を行い 3 例中 2 例において完全閉塞が得られた. 残る 1 例は SOV の血栓化により CS 内への到達が困難であったが,STV - SOV が拡張していない症例でも SOV への到達が可能であった.STV が外頸静脈に灌流している場合, 外頸静脈に誘導した 6 Fr の guiding catheter の中に 4 Fr の coaxial catheter を用いることで容易に STV への誘導が可能で, また屈曲蛇行した STV を用手的に伸展すると microcatheter を眼窩上まで誘導することが可能である.IPS からのアプローチが困難な症例では STV は有用なアクセスルートの一つとなり得ると考えられた. 240 JNET Vol.8 No.6 December 2014
47 1-O26-1 般口演当院における Anterior condylar confluent dural AVF 5 例に対する経静脈的塞栓術の検討 獨協医科大学越谷病院脳神経外科 清水信行 Shimizu Nobuyuki 鈴木亮太郎 鈴木謙介 永石雅也 藤井淑子 滝川知司 井上佑樹 田中喜展 河村洋介 兵頭明夫 目的 比較的稀とされる Anterior condylar confluent dural AVF (ACC DAVF) に対して当院で治療経験した症例群のその臨床的特徴, 治療方法, 転帰をまとめる. 方法 結果 2011 年 4 月から 2014 年 8 月に至るまで, 当院で治療した ACC DAVF は 5 例 6 病変 ( 同期間で治療した DAVF のうち 11%) で, 平均年齢 65.6 ± 8.9 歳, 全例男性で, 病変側は, 左 2 例, 右 2 例, 両側 1 例であった. いずれも耳鳴を主訴に発見された. 流入動脈は, 上行咽頭動脈 5 例, 後頭動脈 2 例, 椎骨動脈 4 例であった.4 例でシャント部に venous pouch の形成が確認でき, その大きさは平均 9.8 ± 2.5 mm であった. 全例で Cortical reflux を有し, うち下錐体静脈洞が 5 例,S 状静脈洞が 3 例であった. 全例で, 経静脈的に target embolization を施行したが, うち 3 例で micro balloon を併用した. その結果, 使用したコイルは平均 10.4 ± 2.87 個, コイル長は平均 100 ± 37.6 cm であった. 全例で脳血管撮影上, シャントの消失を確認でき, 耳鳴は消失した. 術後, 舌下神経麻痺など重篤な合併症を呈した症例は皆無であった. 術後の観察期間は平均 9.5 ± 11.1ヶ月で, うち venous pouch を形成していなかった 1 例で術後 13 か月に再発を認めた. 考察 ACC DAVF は, 近年, 経静脈的コイル塞栓術が有効であるとの報告が散見されるが, 今回特に,venous pouch を標的とした target embolization を施行する際に,micro balloon を併用が有用であった. 1-O26-2 Tentorial dural AVF における PCA および SCA からの feeder についての検討 老年病研究所附属病院脳神経外科 宮本直子高玉真岩井丈幸内藤功 Miyamoto Naoko はじめに dural AVF は基本的には硬膜血管より血液供給を受ける. しかし,Tentorial davf は多彩な feeder を持ち,PCA および SCA から feeding されることも珍しくない. 対象と方法 これまでに治療を行った Tentorial davf 10 例を対象とした.Shunt 部位より,Medial type と Lateral type に分類し, 各々の feeder を調査し,PCA および SCA からの feeder について考察した. 結果 Shunt 部位は,Medial type 7 例,Lateral type 3 例であった. Medial type では,PCA からの feeder が 2 例 (4 本 ),SCA からの feeder が 2 例 (2 本 ) で認められた.Lateral type では,PCA からの feeder を 1 例 (1 本 ) で認めた. 考察 Medial type:pca の feeder には,Dural branch(ads:artery of Davidoff and Shechter) と Pial artery(quadrigeminal arterty) からの dural supply が知られている. 両者の鑑別は, 走行ルートであり,ADS はテント内を走行するため, 直線状の走行となり, 後者はクモ膜下腔を走行するので蛇行する. 本シリーズで認められた 2 例,4 本の feeder は, 全て pial artery からの dural supply であった. この pial artery は, シャント部位と近接しており sump effect により feeder になったと考えられる. しかし, 他の部位の davf では, 近接していても pial supply は見かけることは少ない. この部位に特異的に pial-dural anastomosis が稀でなく存在するのは興味深い. この場合, 近位では脳組織を栄養しているため,NBCA の逆流には十分に注意する必要がある.SCA の feeder は,tentorial branch of SCA として知られ,SCA の近位部より分岐し ADS と同様にテント切痕からテント内に入る.Lateral type における PCA feeder は, 珍しい. 一1-O26-3 Onyx で経動脈的塞栓術を施行した蝶形骨内動静脈瘻の 2 例 聖路加国際病院神経血管内治療科 聖路加国際病院脳神経外科 茂木陽介 Moteki Yosuke 新見康成 上村昭博 藤井本晴 島彰吾 佐々木康輔 背景 蝶形骨内動静脈瘻(AVF) は稀な疾患であり, 病変の位置からしばしば海綿静脈洞部硬膜 AVF と混同される. 本疾患は蝶形骨周囲の動脈 静脈洞が複雑なネットワークを形成するため, 治療に難渋することが多い. 今回,2 例の蝶形骨内 AVF に対して Onyx による経動脈塞栓術を施行し, 良好な結果を得たため, 若干の文献的考察を加え, 報告する. 症例 (67 歳, 女性. 出生時より左顔面動静脈奇形があり, 他院で放射線治療, 塞栓術を施行. 66 歳より左眼視力障害, 耳鳴りを自覚したため, 追加治療目的で当院入院. 血管撮影上, 蝶形骨大翼のシャントへ顎動脈から複数の分枝が流入し, 海綿静脈洞を介するなどして複数の流入路が見られたが, 皮質動脈への逆流は認めなかった.Ethanol,NBCA による閉塞を試みたが, 困難であったため, 顎動脈遠位部分枝より Onyx を投与することにより, 大部分のシャントを閉塞することができた.(10 歳, 男性. 他院で左下顎部動静脈奇形に対して切除 再建術. その後, 左蝶形骨内 AVF が明らかになったため, 塞栓術目的で当院入院. 血管撮影上, 顎動脈に加え, 浅側頭動脈の分枝も蝶形骨大翼のシャントへ流入し, 大部分の血流は pterigoid plexus を介して流出していた. 浅側頭動脈からの分枝を NBCA で閉塞し, 顎動脈からの分枝から Onyx を投与することにより, 血管撮影上, シャントは消失した. 結語 従来の報告でも散見されるように, Onyx による塞栓術は蝶形骨内 AVF に対して非常に有効である. しかし, 病変周囲に存在する複数の dangerous anastomosis に注意する必要がある. 1-O26-4 硬膜動静脈瘻に対する経動脈塞栓術と経静脈塞栓術の staged treatment 長崎大学医学部脳神経外科 長崎大学医学部放射線科 林健太郎 Hayashi Kentaro 諸藤陽一 堀江信貴 出雲剛 森川実 山口将 福田修志 目的 硬膜動静脈瘻は脳出血などで急激に症状が増悪することがある. 我々は先ず transarterial embolization(tae) でシャント量を低減させ, 一定期間後に transvenous embolization(tve) を施行し根治的に治療している.TAE と TVE の staged treatment の有用性について報告する. 方法 2005 年から 2014 年にかけて硬膜動静脈瘻 84 例 ( 海綿静脈洞部 33 例, 横 -S 状洞部 25 例, 脊髄 8 例, 上矢状洞部 5 例, テント部 3 例, その他 10 例 ) を治療した. 内訳は TAE を 64 例,TVE 42 例,surgery 13 例,(TAE と TVE の staged treatment 28 例,TAE かつ surgery 5 例 ) であった. TAE は局所麻酔下に施行し,TVE は全身麻酔下に 4 段カテーテルでサポートを良くして施行した. 基本的に TAE の 1 週間後に TVE を施行した. 成績 シャントの閉塞は total occlusion 51 例 (60 %),subtotal 15 例,partial 18 例であった. 症状は 78 例 (92 %) で軽快し,6 例で変化がなかった.Staged treatment では total occlusion 21 例 (75 %) で, 症状は 28 例 (100 %) で改善した. 1 例で TAE 後の部分閉塞が TVE 施行時に完全閉塞となっていた. TAE は簡便に施行でき, シャント量を低減させる応急処置に適している.TVE は治療戦略が重要であり, 十分に検討した上で施行する必要がある. 結論 硬膜動静脈瘻に対する TAE と TVE の staged treatment は有効である. JNET Vol.8 No.6 December
48 1-O26-5 横 S 状静脈洞の硬膜動静脈瘻に対する経動脈的塞栓術 東海大学医学部脳神経外科 長田貴洋 キッティポンスィーワッタナクン Osada Takahiro 重松秀明 松前光紀 平山晃大 井上剛 青木吏絵 林直一 反町隆俊 はじめに 横 S 状静脈洞の硬膜動静脈瘻 (TS-dAVF) の治療は基本的には静脈洞の経静脈的塞栓術 (TVE) であるが,isolated sinus や on the wall type などアクセスルートの問題で TVE が困難となることがある. 今回我々は TS-dAVF に対し NBCA を用いた経動脈的塞栓術 (TAE) で良好な結果を得ており, 報告する. 症例 対象は 2012 年 1 月から 2013 年 12 月までに治療を行った TS-dAVF の 7 名 ( 男性 4 名, 女性 3 名 ) で, 年齢は 47 歳から 87 歳 ( 平均 70.3 歳 ).Borden type 2 は 2 例,type 3 は 5 例 (isolated sinus 1 名,on the wall type 4 名 ). 結果 Borden type 2 の 1 例は TAE+TVE で治療を行ったが, 他の 6 例は TAE のみで治療を行った.5 例で塞栓後すぐにシャントの消失を得たが,2 例で大脳動脈からのシャントがわずかに残った. しかし数カ月後の再検査でシャントは消失しており, 最終的に全例でシャントの消失が確認できた. 結論 micro catheter(mc) をなるべくシャント付近に誘導できる血管を選択し,NBCA を静脈側に十分に浸透できれば, TAE のみでも完治が可能だと思われる. また triple coaxial system を用いて intermediate catheter をなるべく遠位まで留置することが MC をシャント付近まで誘導するのに有用であった. 1-O26-6 自験例における横 S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻の治療成績 聖マリアンナ医科大学脳神経外科 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院脳神経外科 石岡循環器科脳神経外科病院脳神経外科 川崎市立多摩病院脳神経外科 和久井大輔 Wakui Daisuke 森嶋啓之 伊藤英道 大塩恒太郎 佐瀬泰玄 田中雄一郎 小野寺英孝 大島幸亮 はじめに 横 -S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻 (T-S davf) の治療は血管内治療を中心に行われている. 自験例での T-S davf の治療成績を検討した. 対象 2007 年 4 月より 2014 年 7 月に治療を行った硬膜動静脈瘻 30 例のうち T-S davf 16 例を後方視的に発症形式, 血管撮影所見, 術式, 合併症, 転帰について検討した. 結果 平均年齢は 63.5 歳で男性 11 名, 女性 5 名である. 発症形式は脳出血 4 例, 耳鳴 4 例, 水頭症 3 例, けいれん 1 例で他は無症候であった.Borden 分類 Ⅰ が 4 例,Ⅱ が 11 例,Ⅲ が 1 例であった. 治療は全例に血管内治療が行われ経静脈的塞栓術や経動脈的塞栓術の他, 静脈洞の直接穿刺も 1 例に行った. 周術期合併症はなく 15 例に血管撮影上の完全消失を認め,1 例は lateral tentorial sinus にわずかに逆流が残存した. 平均 3.5 年の経過観察期間で再発は 1 例であり, 再塞栓術を要した. 静脈洞離断術や放射線治療の施行はなかった. 考察 自験例における T-S davf では aggressive type が 13 例を占め早期の治療を必要とした. 血管構築が複雑なため治療手技も多岐にわたり, 直接穿刺や sinus plasty を要するものもあった. 結論 自験例の T-S davf における治療成績について報告した. 各症例の血行動態に合わせた治療法が必要であり血管内治療医は適切な術式選択とそれぞれの手技に習熟すべきである. 1-O27-1 当院におけるエコーガイド下無造影頸動脈ステント留置術 (CAS) の技師による治療支援の方法 医療法人社団 KNI 北原国際病院検査放射線科 山内未知 Yamauchi Michi 平光宏行 林祥史 平口心 吉田浩貴 中務幸一 祖母井龍 植野史朱華 中村真 荻原瞳 はじめに 通常造影下で行われている頸動脈ステント留置術であるが, 中等度以上の腎機能低下がある造影剤リスク患者に対して, 当院では超音波ガイド下で無造影頸動脈ステント留置術を実施している. その際の技師による治療支援の方法について述べる. 方法 超音波装置にて術前にステントを留置する部位の PSV を計測する. 術中に超音波で見やすい様に, 準備の際は予め頭部は斜め 45 に傾けて固定する. 術前に撮像した頚部 MRA データから, 椎体と頚動脈を同時表示した画像を参照してワイヤーを進め, 狭窄部を通過後, 内頚動脈へ入っているか超音波にて確認する. プロテクションデバイスがオクルージョンバルーンであれば, この時に超音波を用いてパルスドプラ パワードプラにて閉塞を確認する. 血管内超音波 (IVUS) にて最狭窄部を確認しステントを留置する.POST 拡張後,IVUS にて血管内からステントの血管への密着とプラークの有無を確認し, 経皮的にも超音波で確認する. プロテクションデバイスがフィルターの場合はここで flow を確認し,stop flow の有無を確認する. 術後 PSV を計測して, 術前と比較し低下していることを確認する. 結果 2013 年 1 月 2014 年 3 月までに当院で行った 61 例の CAS 症例のうち,10 例に対して超音波ガイド下無造影 CAS を施行した.1 例はプロテクションデバイスを内頚動脈分岐部に通過させることができず, 術中に造影剤を使用した.9 例は造影剤を使わずに完遂した. 術後合併症として穿刺部出血 2 例認めたものの, 頭蓋内合併症は認めなかった. 結論 無造影治療を目的としたエコーガイド下 CAS は, 技師による様々な支援で安全に施行可能であった. 1-O27-2 頚部頚動脈狭窄症患者に対する頚動脈エコーで分岐部より視認可能な距離の検討 済生会和歌山病院臨床検査科 済生会和歌山病院脳神経外科 和歌山県立医科大学付属病院臨床検査科 樋上やよい Higami Yayoi 三木潤一郎 山家弘雄 仲寛 大谷美紀 榊原友美子 杉本直紀 林宣秀 目的 頚動脈狭窄症では内頚動脈にプラーク形成を認めることが多い. 頚動脈エコー検査では, より内頚動脈の評価が重要となる. 内頚動脈の観察は総頚動脈と比べて難しく, 体型により観察しにくいこともある. 今回, われわれは検査前に体型や頚部の形状を評価し, リニアプローブを用いたエコー検査で視認可能な内頚動脈の距離との比較検討を行った. 方法 対象は内頚動脈狭窄症でエコー検査を行った 34 名 ( 男性 27 名, 女性 7 名, 平均年齢は 72 歳 ). 超音波検査技師は 3 名が検査を施行した. 検査前に身長, 体重, 頚部周囲径, 頚部長を計測. エコー検査時にリニアプローブにて, 分岐部から視認可能な内頚動脈の距離を計測した. 成績 対象症例の平均身長 161 cm, 平均体重 62.7 Kg, 平均最大頚部周囲径 38.2 cm, 平均頚部長 ( 耳朶下縁 鎖骨中央部 )13.2 cm であった. 検査で観察可能な内頚動脈は分岐部から直線距離で平均 27.7 mm, 湾曲距離で平均 28.7 mm であった. 頚部周囲径 39 cm 以上や頚部長 11 cm 以下や BMI 25 以上の症例では, 遠位部の観察が不良であった. 検査技師の経験度でも視認可能な範囲に差をみとめた. 結論 リニアプローブを用いた内頚動脈の観察範囲は BMI 高値や首が太い症例では遠位部まで観察しにくい傾向を認めた. これはプローブが入る部位が制限されるためと, 血管までの距離が深くなることや皮下脂肪が富むことによる超音波の減衰の影響と考えた. 頚部エコー検査では分岐部から内頚動脈を 3 cm 以上は観察できるように心がけている. 242 JNET Vol.8 No.6 December 2014
49 1-O27-3 般口演総頸動脈左右拡張末期血流速度比 (ED ratio) 定量解析 医療法人辰星会枡記念病院臨床検査科 医療法人辰星会枡記念病院脳神経外科 野内恒男 Nouchi Tsuneo 遠藤勝洋 太田守 岡嶋麗子 佐藤直樹 松崎麻美 遠藤雄司 佐藤由美 石川敏仁 大槻歩美 頚動脈エコーで総頚動脈左右拡張末期血流速度比 ( 以下,ED ratio) を計測する事は, 内頚動脈遠位部狭窄 閉塞を示唆する重要な手段である. 今回我々は, 再現性の低いエコーの特性を考慮し, サンプル数を増やして ED ratio を計測し統計をとった. その結果,ED ratio が高値になると内頚動脈遠位部病変の割合も高くなり, 高値になるほど主幹動脈に病変がみられる割合も高くなっている事がわかった. また,ED ratio を数値ごとに群別しそれぞれの病変部位を定量的に解析したところ, 各群で病変部位の規則性がわかった. 即ち,ED ratio を正確に測定する事により, 内頚動脈遠位部の病変の有無と部位も推測できる可能性が示唆された. 1-O27-4 脳血管内治療における低体温予防への取り組み 石心会川崎幸病院 CE 科石心会川崎幸病院脳血管センター 八馬豊長澤建一郎山田剛士長澤洋一 Hachiuma Yutaka 津村貢太朗 目的 体温低下予防に 3 M 社製ベアーハガーを用い, 患者体温管理を行ったので報告する. 対象 2012 年 6 月から2014 年 5 月までの 2 年間に全身麻酔下に脳血管内塞栓術を行った症例のうちベアーハガーを使用した34 症例と不使用であった11 症例を retrospective に調査した. ベアーハガー使用群の対象は男女比 8: 26, 年齢 56 ± 12( 才 ),BSA 1.60 ± 0.15(m 2 ) であり, 不使用群では, 男女比 1:10, 年齢 65 ± 16( 才 ),BSA 1.43 ± 0.19(m 2 ) であった. 方法 ベアーハガー使用群では患者入室前より 3 M 社製アンダーボディタイプの MODEL 635 ブランケットを寝台装置に準備し設定温度を 38 固定とした. 体温測定は尿管バルーンカテーテルの温度センサーを用い, 麻酔導入時, 手技終了時の膀胱温を測定した. また検定には Unpaired t-test 等を用いて統計を行った. 結果 年齢, 性別に有意差は生じなかったが,BSA では有意差 (p < 0.05) が生じた. ベアーハガー使用群では導入時体温 ( ) 36.4 ± 0.6 が手技終了時 36.2 ± 0.5 となったのに対し, ベアーハガーを使用しなかった群では導入時体温 ( )36.7 ± 0.9, 手技終了時 35.7 ± 0.9 と有意 (p < 0.05) に体温が低下した. 考察 今回使用したアンダーボディタイプのブランケットは清潔野を保ちつつ, 術野を邪魔することなく使用することができるため有効と考えられた. また清潔ドレープに覆われる事で, より効果的な加温ができたのではないかと考えられた. しかしながら他施設では接続はずれによる熱傷なども報告されているため取り扱いには細心の注意が必要と考える. 結論 脳血管内治療において体温管理装置は低体温予防に有効であると考えられた. 一1-O27-5 当院の脳血管内治療デバイス関連業務における臨床工学技士の業務への取り組みと展望 榮昌会吉田病院臨床工学室 榮昌会吉田病院看護部 榮昌会吉田病院脳神経外科 大仁美千雄 Daini Michio 松本洋明 楠本直也 南浩昭 藤原義史 山浦生也 三木貴徳 吉田泰久 垣田寛人 脳血管内治療においては様々な種類のデバイスを組み合わせて行うが, その組み合わせは多種多様で複雑でありそれらデバイスを熟知することは手技をスムーズに進めるうえでも非常に重要な部分と認識している. 当院では臨床工学技士が治療に参加することでデバイスの組み合わせによる過去のトラブルを把握し, それら組み合わせ時に注意喚起し同様のトラブルが無いよう対応している. またどの物品を使用したかを Filemaker の自作データベースと ipad を使用し術中リアルタイムに登録することにより, 術前に過去どのような治療でどのような物品をどのオペーレータの医師で使用したか容易に検索できる. オペーレータの医師の多い当院でも検索により使用する物品の予想があらかじめ付きやすい. さらに医療法の改正や 2008 年 4 月からの 立会に関する基準 の実施もあり臨床工学技士の適切な対応も求められている. このような現在の環境下において, 脳血管内治療時のデバイス関連業務について当院の臨床工学技士が行っている業務を事例をまじえて紹介する 1-O28-1 脳静脈洞が関与する疾患に対する脳血管内治療の有用性 近畿大学医学部脳神経外科 布川知史 Fukawa Norihito 中川修宏 辻潔 久保田尚 加藤天美 目的 脳静脈洞での血栓症, 狭窄性病変や硬膜動静脈瘻 (dural AVF) の存在により, 脳静脈潅流障害を来した場合は, 脳血管内治療 (IVR) が行われる.Dural AVF に対しては TAE,TVE が行われ, 短絡消失により脳静脈潅流障害が解除される. 血栓症や狭窄性病変に対しては血行再建術が行われる. その方法も新しい device の出現により有効性が高くなっている. 当施設にて行った脳静脈洞が関与した疾患に対する IVR ついて検討を行ったので報告する. 対象 脳静脈洞血栓症 3 例, 横静脈洞狭窄 1 例, 横静脈洞部硬膜動静脈瘻 (TSdAVF)1 例の 5 例でいずれも脳静脈潅流障害を呈していた. 血栓症には,2 例に局所線溶療法を施行し,1 例は血栓吸引が不成功で,balloon による脳静脈洞形成術を施行した. 特発性頭蓋内亢進症を呈した横静脈洞狭窄では, 洞圧測定を行って,stent による脳静脈洞形成術を施行した.TSdAVF では, 横静脈洞狭窄を合併していたため,TAE により flow reduction をして, 狭窄部位に対して stent による脳静脈洞形成術を施行した. 結果 血栓症にて局所線溶療法を施行した 2 例では静脈潅流障害は改善したが,PTA 施行例では一時的改善で後に閉塞した.stent による脳静脈洞形成術では静脈潅流障害は直ちに改善をした. 考察 血栓症に対しては原因である血栓除去が必要であり, 近年使用可能となった血栓吸引カテーテルを応用することで早期血行再建の期待ができる. 血栓でない狭窄性病変については,stent 留置術が有効であり, 血管拡張前の洞圧測定はその判断の決め手となる. 今後新しい device に習熟することにより脳静脈洞が関与した静脈潅流障害に対する治療に期待ができる. JNET Vol.8 No.6 December
50 1-O28-2 鎖骨下動脈および無名動脈の狭窄病変 40 症例に対する治療成績 福井赤十字病院脳神経外科 宮腰明典 Miyakoshi Akinori 波多野武人 北原孝宏 多喜純也 早瀬睦 中村威彦 目的 鎖骨下動脈, 無名動脈の狭窄性病変に対する外科的治療として, 以前はバイパス術が施行されてきたが, 近年は血管内治療が第一選択とされるようになっている. これらの病変に対する我々の治療成績を検討する. 方法 1999 年 2014 年の間に我々が血管内治療を行った計 40 症例について, 後方視的に解析を行った. 成績 計 40 症例の内訳は,26 例が鎖骨下動脈高度狭窄,12 例が鎖骨下動脈閉塞,2 例が無名動脈狭窄であった. 鎖骨下動脈閉塞症例の 12 例中 2 例 (17 %) で閉塞部を貫通することができず手技を断念し, 手技的成功率は 95 % であった. 合併症は, 初期の 2 例で穿刺部仮性動脈瘤をみとめ外科的治療を要したが, 治療後 30 日以内の脳卒中および死亡はみとめなかった. 当初は留置の容易さから balloon expandable stent を積極的に使用していたが, 近年は self expanding stent の長期的な radial force に期待し, 優先的に使用するようにしている. フォローアップが可能であった 26 症例において,balloon expandable stent では 19 例中 3 例 (16 %) で 50 % 以上の再狭窄を来したが,self expanding stent では 14 例中 0 例 (0 %) であった. 結論 自験例における鎖骨下動脈および無名動脈の狭窄性病変に対する経皮的血行再建術の治療成績は良好であった.self expanding stent は balloon expandable stent と比較して再狭窄予防の点で優れている傾向 (p= 0.1 があった. 1-O28-3 難治性慢性硬膜下血腫に対する MMA 塞栓術の有用性 奈良県立医科大学医学部脳神経外科 奈良県立医科大学医学部放射線科 横山昇平 Yokoyama Shohei 中川一郎 新靖史 本山靖 吉川公彦 中瀬裕之 朴憲秀 朴永銖 西村文彦 和田敬 弘中康雄 中川裕之 目的 一般的に慢性硬膜下血腫の再発率は 10% 程度とされているが穿頭洗浄術のみでは再発を繰り返し難治性となる場合があり, オンマイヤーリザーバー留置や硬膜下腹腔シャント及び開頭もしくは内視鏡的皮膜除去術, 中硬膜動脈塞栓術等の治療法が知られている. 今回我々は 3 回以上の再発を繰り返した難治性慢性硬膜下血腫に対して中硬膜動脈塞栓術を行い, その成績,CT-like image の所見, さらに治療上の注意点について検討を行った. 方法 2009 年 1 月より 2014 年 7 月までに当院にて慢性硬膜下血腫の診断にて穿頭洗浄術を施行した 232 例を対象とした.3 回以上の再々発例は 9 例 10 側 ( 男性 6 例, 女性 3 例, 平均年齢 81 歳 ) であり, 再々発時の治療は穿頭洗浄術に加えて中硬膜動脈塞栓術を行った. 塞栓術はマイクロカテーテルを中硬膜動脈に誘導し,CT-like image にて血腫皮膜の造影を確認後 NBCA を用いて塞栓を行った.recurrent meningeal artery 発達例では失明のリスクを回避するため同分枝のコイル塞栓術を予め行った. 結果 中硬膜動脈塞栓術により全例で難治性慢性硬膜下血腫は治癒したが, 再々発時に中硬膜動脈塞栓術に先行して穿頭洗浄術を行った 1 例では塞栓術後に開頭皮膜除去術の追加を要し pitfall と考えられた. また CT-like image において全例で血腫皮膜の造影を確認できた. 結論 難治性硬膜下血腫に対する中硬膜動脈塞栓術は合併症のリスクを十分認識した上で行えば, 有効な治療法であると考えられた. 1-O28-4 硬膜外病変に対する脳血管内治療の現状と治療成績 亀田総合病院脳神経外科 門岡慶介 Kadooka Keisuke 山崎文子 田中美千裕 帯包雄次郎 稲葉眞貴 坂田義則 田邉淳 波出石弘 前川秀継 はじめに 頭蓋内病変や頚動脈病変と比較して, 頭頚部を中心とした硬膜外病変に対する塞栓術は頻度が低いものの, 我々脳血管内治療医が果たす役割りは大きい. 今回当院で治療された頭頚部の硬膜外病変に対する塞栓術症例について調査し治療成績を検証した. 方法 当院で 2004 年 6 月から 2014 年 5 月までに行なわれた硬膜外病変に対する塞栓術症例 16 例,25 回の塞栓術について検討した. 頭蓋外動脈瘤と頚動脈疾患は除外した. 結果 男性 13 例 (21 回 ), 女性 3 例 (4 回 ) の塞栓術を行った. 平均年齢は 48.9 歳 (17 82 歳, 中間値 56.0 歳 ) であった. 疾患の内訳としては, 多いものから facial AVM,juvenile type of angiofibroma, 副鼻腔等の squamous cell carcinoma,paraganglioma,renal cell carcinoma の転移等であった. コイルや NBCA( 液体塞栓物資 ),PVA による塞栓術 19 回, 抗がん剤動注を併用した塞栓術が 6 回であった.angiofibroma や転移癌の症例では腫瘍サイズの著明な縮小効果も得られていた. 治療の前後で modified Rankin Scale が悪化した症例は経験しなかった. 考察 頭頚部腫瘍性病変や血管腫に対する塞栓術は mrs の悪化なく安全に治療できた. 標的病変の性質により, 根治を狙うべきもの, その後の摘出術の補助的役割, 症状緩和など種々の目的と役割がある. 症例に応じて適切な治療のゴールを設定し, 頭頚部の機能解剖学の充分な理解があれば, 頭頚部の塞栓術は安全に行えることが示唆された. 1-O28-5 重度の腎機能障害患者に対する当科での血管内治療の検討 名古屋大学医学部脳神経外科 名古屋医療センター脳神経外科 大阪医科大学 太田圭祐 Ota Keisuke 伊藤真史 若林俊彦 泉孝嗣 今井資 松原功明 西堀正洋 新帯一憲 浅井琢美 田島隼人 宮地茂 目的 腎機能障害患者に造影剤の使用は腎症を起こすリスクがあるが, 必要に応じて周術期管理に注意を払い施行している. 当科における重度腎機能障害患者に対する治療成績等を提示する. 対象及び方法 2010 年 9 月から 2013 年 12 月で血管内治療施行例で egfr 40 ml/min/ 1.73 m 2 の腎機能障害を有した 16 症 (RF 群 ) と透析療法施行 7 例 (D 群 ) の計 23 例 ( 平均年齢 70 歳, 男 : 女 / 18:5) を対象とし, 神経合併症及び腎機能障害の発生を調査した. 結果 RF 群は術前から輸液負荷とメイロンを使用し,D 群は手技前日と翌日に透析を施行していた. 治療手技は頚動脈ステント留置術が 18 例, 未破裂動脈瘤塞栓術が 3 例, 鎖骨下動脈及び椎骨動脈ステント留置術が 2 例に行われていた. 全例で 2 種類以上の抗血小板剤を使用していた. 造影剤は 17 例でビジパーク 270,5 例にイオパミロン 300,1 例にオムニパーク 300 を使用し, 平均使用量は ml(rf 群 ml D 群 ml) であった. 神経学的合併症として虚血性合併症を 3 例 (13 %)(RF 群 2 例 D 群 1 例 ) に, 造影剤脳症を 1 例 (4 %) に認めた. これらの内 mrs 2 以上の低下を生じたのは 1 例 (4 %) のみであった.RF 群では術後に Cr 値が平均 0.16 mg/dl 上昇していた.eGFR 30 群で 0.37 mg/dl,30 < GFR 35 群で 0.14 mg/dl,35 < egfr 40 群で 0.04 mg/dl の上昇を認め術前の egfr が低値な程, 術後 Cr が上昇する傾向にあった. また RF 群 4 例 (24 %) に造影剤腎症が生じたが全例一過性であった. 結論 重度の腎機能障害患者の血管内治療では, 虚血性合併症が比較的多く発生していた. また造影剤腎症, 造影剤脳症といった特有の合併症も生じたが, 術後管理にて改善を得ていた. 244 JNET Vol.8 No.6 December 2014
51 1-O28-6 般口演脳神経血管内治療における Angioseal と Exoseal の使用成績 医療法人豊田会刈谷豊田総合病院脳神経外科 田島隼人 Tajima Hayato 西澤俊久 大島共貴 加藤恭三 山本太樹 後藤峻作 島戸真司 目的 穿刺部における止血デバイスは用手圧迫より短時間で止血を得ることができ有用である. しかし, それに伴う合併症も報告されている. 我々は Angioseal と Exoseal の使用成績について検討した. 方法 2008 年 1 月 1 日から2014 年 7 月 31 日まで当院で脳神経血管内治療を施行した全 486 症例中, 大腿動脈穿刺を行い止血直前に ACT を測定し, 止血に Angioseal もしくは Exoseal を使用した 447 症例を対象とした.Angioseal 使用例は 299 例,Exoseal 使用例は 148 例であった. 患者背景, 止血直前の ACT, 手技的成功, 周術期における穿刺部合併症について検討した. 結果 手技的成功は Angioseal 群 288 例 (96.3 %),Exoseal 群 147 例 (99.3 %), 周術期における穿刺部合併症はAngioseal 群 18 例 (6.0%), Exoseal 群 12 例 (8.1 %) であった. 止血直前の ACT は周術期における穿刺部合併症群と合併症のなかった群を比較すると Angioseal 群では ± 67.1 秒 vs ± 77.4 秒 ( p < 0.05), Exoseal 群では ± 48.8 秒 vs ± 56.8 秒 ( p < 0.05) と周術期における穿刺部合併症群で有意に高かった. 結論 Angioseal および Exoseal はいずれも高い手技的成功をおさめ有用である. しかし, 周術期における穿刺部合併症はいずれにおいても止血直前の ACT が高いため注意が必要である. 1-O28-7 止血デバイス Angioseal と Exoseal の比較検討 岡山大学大学院 冨田祐介杉生憲志菱川朋人西廣真吾新治有径 Tomita Yusuke 高杉祐二清水智久春間純平松匡文伊達勲 背景と目的 脳血管内治療後には止血デバイスが頻用され, 有用であるものの穿刺部合併症も報告されている. 当院では,2013 年 8 月までは Angioseal を,2013 年 9 月以降は Exoseal を使用している. 今回これらを比較検討した. 方法 当院での脳動脈瘤コイル塞栓術, 経皮的血管形成術, 頸動脈ステント留置術施行症例を対象とした.2012 年 11 月 2013 年 8 月の症例を Angioseal 群 (A 群 ), 2013 年 9 月 2014 年 6 月の症例を Exoseal 群 (E 群 ) とし, デバイス使用率及び合併症について検討を行った. 結果 A 群 54 例 ( 男性 25 人, 女性 29 人 ),E 群 51 例 ( 男性 26 人, 女性 25 人 ) で, 平均年齢は A 群 63.5 歳,E 群 62.2 歳であった. 抗血小板薬は全例で使用されており,2 剤併用例は A 群で 80 %,E 群で 70 % であった. デバイス使用率はA 群 42/54 例 (78%),E 群 50/51 例 (98 %) で,E 群において有意に高率であった (p= デバイスが使用できなかった理由は,A 群では分岐部穿刺 (11 例 ), 大腿動脈狭窄 (1 例 ) であり E 群では大腿動脈石灰化 (1 例 ) であった. デバイス使用による合併症は A 群 4 / 54 例 (7.4 %),E 群 3 / 51 例 (5.8 %) で, 有意差を認めなかった (p > 0.999). 合併症の内訳は A 群において止血不十分 2 例, 再出血 1 例, 血管狭窄 1 例であったのに対し,E 群において止血不十分 2 例, 再出血 1 例であり, いずれも有意差を認めなかった (p > 0.999). 結論 Exoseal は分岐部穿刺を行った場合でも使用可能であるため, 適応症例が多かった. 今回の検討では Angioseal と同等に安全に用いる事ができ, Exoseal は安全かつ確実な止血デバイスと考えられる. 一1-O28-8 外傷性 Direct CCF(Carotid-Cavernous Fistula) に対する新たな治療方法 獨協医科大学越谷病院 河村洋介 Kawamura Yosuke 永石雅也 鈴木謙介 滝川知司 井上佑樹 田中喜展 鈴木亮太郎 兵頭明夫 清水信行 緒言 2009 年 1 月から 2014 年 7 月の間, 当院当科で治療した外傷性 direct CCF(Barrow type A) の 4 症例について検討, 新たな治療方法を報告する. 対象 症例 1 は 42 歳男性,TVE にて治療したが shunt が残存し,Parent artery occlusion(pao) +NBCA にて shunt は消失した. 症例 2 は 30 歳男性,TVE を試みたが困難にて PAO+NBCA にて shunt は消失した. 以上 2 例は coil のみで PAO ができず,NBCA を追加した. 症例 3 は 22 歳男性,fistula の遠位部に balloon を留置,Pcom を温存し,fistula を覆うように stent を展開した. ステント内にコイル塞栓 (PAO) を行い,shunt は消失した. 症例 4 は 59 歳女性,TAE+TAV にてコイル塞栓を行い,fistula 部に trans-arterial,trans-venous に balloon を留置し,double balloon assisted coil embolization を行い, 内頸動脈を温存し,shunt は消失した. 考察 direct CCF は high flow shunt であり,PAO で治療可能な場合が多い.PAO の場合,fistula を確実に閉塞する必要があり, 末梢側の確保と確実な閉塞がポイントとなる. 我々は TVE 後に残存した shunt に対し, NBCA による PAO が必要であったことから,coil in stent 法による内頚動脈のみのコンパクトで確実な閉塞を試みて成功した. さらに 1 例ではバルーンアシストにて内頚動脈を温存し,fistula のみの target embolization が可能であった. この方法は解剖学的に特殊な症例にのみ可能ではあるが, 内頚動脈や海綿静脈洞内にコイルを充填せずに完治可能であったことは特筆すべきである. 結語 我々の経験した direct CCF の症例を提示し, 新たな治療法として double balloon assisted target fistula embolization 及び,coil in stent for PAO について解説を加える. 1-O29-1 破裂脳動脈瘤に対する急性期意図的部分塞栓の治療成績 国立病院機構水戸医療センター脳神経外科 筑波大学附属病院脳神経外科 細尾久幸 Hosoo Hisayuki 園部眞 加藤徳之 松村明 松村英明 藤原雄介 山崎友郷 はじめに 破裂脳動脈瘤に対して, 一期的に治療が困難で, 出血点を抑えるのみの意図的部分塞栓を行った症例があり, その治療成績を報告する. 対象と方法 2012 年 1 月 年 8 月の期間に, 当院で破裂動脈瘤に対し, 初回治療としてコイル塞栓術を施行した症例は 77 症例であった. そのうち, 意図的に Bleb を中心とした意図的部分塞栓で初回治療を終了したものは 10 例 (13 %) であった. 臨床経過, 治療成績を後方視的に検討した. 結果 平均年齢は 74 歳,10 例中女性は 7 例であった. 動脈瘤の部位は,IC 系 3 例, Acom ACA 4 例,MCA 2 例,BAVA 系 1 例. 治療に伴う合併症は, 血栓塞栓症を 1 例, ヘパリンに伴う血腫の増大を 1 例に認めた. 術中破裂はなかった. 平均 Follow up 期間は 12.5 ヶ月 (1-32 ヶ月 ) で, 急性期を含め, 再破裂した症例はない.10 例中 3 例で慢性期に追加塞栓術を施行し, その他の症例は経過観察としている. 考察 Bleb を中心とした意図的部分塞栓でも, 急性期を含め, 治療後再破裂をきたした症例はなく, 一定の止血効果はあるものと考えられる. 特に高齢者, 重症例に対する治療, あらかじめ追加治療を念頭に置く場合には, 意図的部分塞栓は選択肢の一つと考えられる. JNET Vol.8 No.6 December
52 1-O29-2 当院での coil 塞栓術で治療した破裂脳動脈瘤患者の検討 昭和大学藤が丘病院脳神経外科 昭和大学病院脳神経外科 松本浩明 Matsumoto Hiroaki 今泉陽一 小林裕介 水谷徹 桑島淳氏 樫村洋次郎 河面倫有 はじめに 破裂脳動脈瘤に対する脳血管内治療 ( 以後 IVR) では術中 術後の管理に一定の見解はなく, 施設ごとに特徴的な周術期管理を行っている. 今回, 我々は当施設および関連施設にて IVR で治療した破裂脳動脈瘤の患者,82 症例について周術期管理と予後について検討した. 方法 2007 年 1 月から 2014 年 4 月に経験した 82 症例で検討した.21 例は解離性脳動脈瘤であった. 年齢は 16 歳から 93 歳で平均 58 歳, 男性が 33 例, 女性が 49 例であった. 全例治療開始前に脊髄ドレナージか脳室ドレナージを行い, 術後 10 日間は留置して髄液排出を行った. 術中は全身ヘパリン化とアスピリンの内服を行い, 術後は 1 ヶ月以上アスピリンの内服を継続した. 追跡期間は 3 ヶ月から 84 ヶ月で平均は 45 ヶ月であった. 結果 WFNS grade 1 は 10,2 は 34,3 は 12,4 は 5,5 は 21 であった. 術中再破裂例は 5 例であったが, 全例コントロールできた. 周術期に再破裂した例はなかった. 脳血管攣縮は症候性が 2 例, 無症候が 6 例であった.V-P shunt を施行した例は 5 例 (6.09%) であった.1 ヶ月後の mrs は 0 2 が 55 例で 3 6 が 26 例であった.1 年以上追跡できた患者 59 人の mrs は 0 2 が 42 例,3 6 が 17 例であった. 考察 術前から髄液ドレナージを置くことは術中破裂の脳圧上昇の管理に有用で,spasm 管理にも重要であると考える. また, ドレナージが決して水頭症を誘発するものではないと考えられた. 結語 }IVR 治療にドレナージを併用することは有用であることが示唆された. 1-O29-3 破裂脳動脈瘤のコイル塞栓術における術中 術後合併症の検討 東京警察病院脳血管内治療部 阿部肇 Abe Hajime 佐藤博明 平岡史大 金中直輔 はじめに コイル塞栓術を行う際の周術期合併症は様々で, その合併症に対して各種対処が必要である. 今回我々は破裂症例に焦点をあて, 術中 術後合併症等について検討を行ったので, それを報告する. 対象 2008 年 4 / 年 7 / 31 までに当院でコイル塞栓術をおこなった破裂脳動脈瘤治療症例 31 治療 ( 解離 5 例, 嚢状動脈瘤 25 例 ). 術中 術後合併症, また 3 ヶ月後の mrs などにつき評価 検討を行った. 結果 31 治療,25 嚢状動脈瘤,5 解離性脳動脈瘤. 男 13 女 17. 平均年齢 66.5 歳 (41 89 歳 ). 術中合併症は 12 件 (38%) で, コイル挿入手技に伴う extravasation が 5 件 (16%), 術中血栓症を 4 件 (13%), 親カテトラブル 2 件,No feeding 1 件経験した. 術後合併症は 10 件 (32%) で,spasm による脳梗塞や水頭症を 4 件 (13%), 再開通と再出血は 1 件ずつ発生した. 術後 3 ヶ月の mrs は,0 2 が 19 例,mRS 3 5 が 7 件, mrs 6 が 4 件であった. 考察 術中破裂は 2 4% 程度発生すると言われているが, 当院では母数が少なく発生頻度は高い. しかし 1 例を除き速やかに塞栓を続けることで良好な予後を得ることができた. また破裂症例にヘパリンを用いておらず, 血栓症のリスクのある症例には使用を検討すべきと思われた. なお現在では各種血行再建デバイスがあるので, これらの有効利用も必要と考えられた. 治療後再出血は約 3% 程度と言われており, これは当院でも同様であった. 破裂脳動脈瘤は適切な治療 合併症への対処を行うことで発症時グレードが悪くても mrs が改善する症例もあるので, 各種治療手技 合併症への対処方法の習熟が重要と思われた. 結語 当院におけるコイル塞栓術の術中 術後合併症について報告した. 1-O29-4 破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術後, 再治療を要した症例に関する検討 大牟田市立病院脳神経外科 久留米大学医学部脳神経外科 唐津赤十字病院脳神経外科 永田整形外科病院脳神経外科 1, 山下伸 Yamashita Shin 田島裕 1, 音琴哲也 1, 倉本晃一 三好淳子 廣畑優 坂本六大 森岡基浩 1, 馬場裕子 中山顕児 はじめに 破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術は, クリッピング術に比し転帰への好影響が報告される一方で, 再発や追加治療に関しては未解決の問題が多い. 当院で急性期にコイル塞栓術を施行した破裂脳動脈瘤症例のうち再治療を要した症例の問題点につき検討した. 対象 2010 年から 2014 年 2 月までに当院へ入院したくも膜下出血患者 120 症例のうち, 破裂脳動脈瘤 ( 解離を除く ) にたいしてコイル塞栓術を施行した 29 例を対象とした. 結果 29 例中再治療を要する再発は 6 例 (20.7%) に認めた. 再治療例の初回治療終了時の塞栓状態は,CO 1 例,NR 4 例,BF 1 例であった. 部位別では AcomA 4 例,BASCA 1 例,ICA 1 例で初回治療前の瘤の計測平均値は, 最大径 9.7 mm,dome/neck 比 1.4,neck/depth 比 0.7 であり再治療を要さなかった群に比し, 比較的大きく wide neck なものが多い傾向にあった. 再発確認までの平均期間は 139 日で, 瘤そのものの増大は 2 例,compaction は 5 例に認め,1 例に再破裂を認めた.4 例に再塞栓術,2 例にクリッピング術を施行し, 追加治療後の転帰は mrs 0 が 2 例,1 が 1 例,4 が 2 例,3 が 1 例, 再破裂例は転帰が悪化した. 考察 再治療が必要になる共通の要因は,AcomA,wide neck, 初回治療時の不十分な塞栓状態, 比較的大型など従来報告される再発リスクとほぼ一致する結果であったが, 各々の症例ごとの問題点についても考察する. 1-O29-5 脳動脈瘤コイル塞栓術後に再発 再治療を要した症例の臨床的特徴 昭和大学藤が丘病院脳神経外科 和歌山ろうさい病院脳神経外科 松崎丞 Matsuzaki Joe 新谷亜紀 戸村長月 寺田友昭 田中優子 河野健一 岡田秀雄 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術後, 再治療を行った症例の背景因子, 臨床的特徴について検討を行った. 患者背景 2006 年 4 月 2014 年 8 月, コイル塞栓術後に再開通 再治療を要した連続 15 例 15 個の脳動脈瘤. 平均 67.2 歳 (49 84 歳 ), 男性 5 例 (33%), 破裂 7 例 (47%), 未破裂 8 例 (53%) であった. 未破裂 8 例中 6 例は無症候性, 1 例は動眼神経麻痺,1 例は脳幹症状を認めた. 動脈瘤の部位は, 内頚動脈瘤 6 例 (40 %), 中大脳動脈瘤 1 例 (6.7 %), 脳底動脈瘤 5 例 (33.3 %), 椎骨動脈瘤 3 例 (20 %) であった. 結果 初回治療の方法は,simple technique が 8 例 (53.3 %),adjunctive technique を用いたのは 7 例 (46.7 %) で, そのうち double catheter technique 1 例, balloon assist technique(bat)2 例,stent assist coiling(sac)4 例であった. 初回治療を SAC で行った 4 例は全て wide-neck, Aspect 比の小さい瘤であり, 再発時の治療は全例で SAC を行った. 初回治療を SAC 以外で行った 11 例のうち, 再治療時に SAC を行った例では, 観察期間中, 全例でそれ以降の再発は認めていない. 初回治療から再治療 (2 回目 ) までの期間は平均 19 か月,3 回以上の治療を要したのは 3 例であった. 結論 脳動脈瘤コイル塞栓術後に再治療を要した症例に関して, その背景因子を検討したので, 文献的考察を交えて報告する. 246 JNET Vol.8 No.6 December 2014
53 1-O30-1 般口演当院でのステント支援下コイル塞栓術 38 症例の中 長期成績 シミズ病院脳神経外科 大阪医科大学脳神経外科 平松亮 Hiramatsu Ryo 黒岩輝壮 山下太郎 黒岩敏彦 清水史記 吉田孝司 清水幸夫 背景 本邦では 2010 年 7 月より脳動脈瘤塞栓術支援ステントが健康保険償還治療となり, 従来の balloon remodeling technique では十分な塞栓率が得られなかった症例や治療自体が困難であったワイドネック瘤に対する瘤内塞栓術が試みられるようになってきた. 患者登録 目的 対象は 2010 年 11 月 2014 年 6 月までに当院で施行した脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 279 症例の内, 本報告ではステント支援下コイル塞栓術を行った 38 症例に関して中 長期成績を報告し, いくつかの症例も提示する. 画像評価 当院では治療後 3ヶ月目に頭部レントゲン 2 方向と頭部 MRI/MRA を, 治療後 6ヶ月目に DSA を行い, それ以降治療後最低 2 年間まで画像評価を行っている. 結果 症例は, 男性 = 7 症例 女性 = 31 症例で治療時平均年齢は 60.7 歳 (28-81 歳 ) であった.ANs 部位は前方循環が 29 症例, 後方循環が 9 症例であった. ステント使用は Enterprise VRD= 26 症例 Neuroform EZ= 12 症例で 1 症例のみに Enterprise を 2 枚留置している. フォローアップ平均期間は 20.2ヶ月 (1-44ヶ月 ) で 12ヶ月以上のフォローアップができている症例は 25 症例であった. またフォローアップの DSA をされている症例は30 症例 (79%) で, 治療直後はCO=39.4%, NR=39.4%,DF=21.1% であり, フォローアップDSAでは CO= 53.3 %,NR= 30.0 %,DF= 13.3 % であった. 再発のため再治療が必要となったのは 1 症例 (3 %) のみであった. 考察 結語 症例数に制限があり, またフォローアップ期間が短い症例も存在するため傾向を述べることとなるが, 従来の simple technique, balloon remodeling technique によるコイル塞栓術よりも高い瘤内血栓化の進行を認める傾向を示した. 1-O30-3 Stent 使用に慎重を期した広頚脳動脈瘤の治療成績春秋会城山病院脳 脊髄 神経センター 三輪博志 Miwa Hiroshi 安田宗一郎 盛岡潤 島野裕史 村尾健一 近藤明悳 朴陽太 井上洋人 目的 EnterpriseVRD や Neuroform の臨床使用が可能になったことで今までは塞栓術が困難と考えられた広頚動脈瘤に対しても治療適応が広がった. しかし虚血性合併症や抗血小板剤服用に関連する出血性合併症の問題があるため, 我々は Stent の使用に慎重を期している. この方針の下,Stent の適応基準に該当していた未破裂広頚動脈瘤の治療成績を後ろ向きに検討した. 対象 2006 年 7 月から 2014 年 3 月までにコイル塞栓術を施行した未破裂脳動脈瘤 129 例中, 最大径約 7 mm 以上かつ広頚 (4 mm 以上ないし Dome/Neck 比 2 未満 ) の瘤 48 例 45 名を対象とした. 結果 EnterpriseVRD が保険償還された 2010 年 7 月以前の症例が 22 例, 以降が 17 例であった. この 17 例中 Stent を用いたのは 4 例 (24 %) であった. Stent 以外の adjunctive technique の内訳は balloon-assist 単独が 21 例 (54 %),double catheter technique 単独が 1 例 (2.6 %), 両者の併用が 10 例 (26%)( この内 2 例は最初に double catheter technique を行って一方のカテーテルを抜き balloon-assist にきりかえ ) であった.2 例は母血管閉塞を行った. 治療 1 ヵ月後の mrs が 1 以上悪化した合併症は 1 例 ( 症候性脳梗塞 ) のみであった. 平均 follow up 期間は 2 年 7 ヶ月で最終 follow up 画像にて CO:30 (81 %),NR:7(19 %),DF:0 であった. 結語 Stent の適応基準を満たす広頚瘤であっても多くは従来の方法のみで良好な結果が得られた.Stent の安易な使用には慎むべきと考えられる. 1-O30-2 ステントを用いた脳動脈瘤コイル塞栓術独立行政法人労働者健康福祉機構東京労災病院脳神経外科 済生会栗橋病院脳神経外科 大久保病院脳神経外科 東埼玉総合病院脳神経外科 比嘉隆門山茂中川将徳加藤宏一武田直人 Higa Takashi 宮尾暁反田茜竹林研人齋藤太一氏家弘 寺本明 目的 2010 年 7 月に脳動脈瘤用ステントが導入され, 塞栓術が困難な wide neck な動脈瘤の治療適応が拡大した. ステント併用コイル塞栓術を行った症例について検討した. 対象 当院および関連施設において血管内治療を行った動脈瘤のうち, ステントを留置した 32 個の動脈瘤 (28 症例 ). 男女比は 7:21, 平均年齢は 59.2 歳 (34-77 歳 ). 未破裂瘤は 24 個で, 全例一週間前から 2 種類の抗血小板剤を経口投与した. 破裂瘤は 8 個で全例急性期に治療を行った. 未破裂瘤の最大径は平均 7.5 mm( mm), ネック径は平均 4.5 mm( mm), 破裂瘤の最大径は平均 5.0 mm ( mm), ネック径は平均 3.4 mm( mm) であった. 動脈瘤の部位は内頚動脈が 24 個, 脳底動脈が 4 個, 椎骨動脈が 3 個, 前大脳動脈が 1 個であった. 使用したステントは Enterprise が 15 個,Neuroform が 17 個であった. ステント留置の他に 3 例で balloon assist technique,4 例で double catheter technique を併用した. 結果 治療終了時の血管撮影では Raymond 分類の完全閉塞が 20 個, ネック残存が 3 個, 動脈瘤残存が 9 個 ( 動脈瘤の orifice をカバーしたのみの 3 個を含む ) であった. 周術期合併症は 4 例にみられ, その内訳は coil unravel による塞栓症が 1 例, 血栓塞栓症に伴う一過性の麻痺が 1 例, 抗凝固療法に伴う脳内出血が 1 例, 術中破裂 ( 破裂瘤 ) が 1 例であった. 穿通枝梗塞やステント閉塞はみられなかった. 動脈瘤残存の 1 例は 1 年後に追加の塞栓術を行った. 結語 ステントの併用により従来では困難であった動脈瘤の治療が可能となった. 1-O30-4 Adjunctive device を用いて塞栓した動脈瘤 78 例の検討 森山記念病院脳血管内治療科 森山記念病院脳神経外科 朝来野佳三 Asakuno Keizoh 新村核 白水秀樹 根本暁央 善本晴子 堀智勝 石田敦士 森山貴 湯澤美季 ワイドネック動脈瘤に対する血管内治療において Balloon-assisted coiling(bac) と Stent-assisted coiling(sac) の二つがある. 今回我々は, 当院で行った BAC と SAC を用いた塞栓術 78 例を比較検討した. 対象は,2010 年 10 月より 2014 年 7 月までに adjunctive device を用いて治療した 78 例.BAC 12 例 ( 未破裂 6 例, 破裂 6 例 ),SAC 67 例 ( 未破裂 56 例, 破裂 10 例 ). バルーンは, Hyperglide R または Hyperform R を用い, ステントは,Enterprise R 51 例,Neuroform EZ R 14 例,Enterprise VRD R と Neuroform EZ R を用いた Y-configuration が 1 例.BAC を行った例と SAC を行った例の形態学的特徴, 合併症などの相違を比較検討し, 当院での治療の現状を報告する. 一JNET Vol.8 No.6 December
54 1-O30-5 ステント併用脳動脈瘤塞栓術後 3 年次経過の造影 MRA での検討 小倉記念病院脳神経外科 坂真人 Saka Makoto 五味正憲 渡邉定克 中原一郎 岡田卓也 永田泉 太田剛史 宮田悠 松本省二 園田和隆 石橋良太 高下純平 目的 当施設における Enterprise VRD( 以下 VRD) 併用脳動脈瘤塞栓術 (stent assist coiling; 以下 SAC) の 3 年後の経過について検討する. 対象 方法 2010 年 7 月から 2010 年 12 月の間に, VRD にて SAC 施行した脳動脈瘤 19 例 [ 男性 6 例, 女性 13 例, 平均年齢 60.8 歳 (21-80)] を対象とした. 当施設では SAC 後 3 6 ヶ月 1 年 2 年で DSA を行い, 瘤塞栓状態とステントを評価し経過良好と判断されれば 3 年目以降は造影 MRA のみで評価を行っている.SAC 後 3 ヶ月間は DAPT を継続するが, 画像評価後に可能であれば SAPT へ減じ継続している. 検討項目は,SAC 3 年後の造影 MRA での塞栓の程度 (Raymond 分類 ), ステント内血栓の有無 50 % 以上のステント狭窄の有無, 観察期間の脳卒中, mrs とした. 結果 動脈瘤の部位は内頚動脈瘤 9 例 ( 傍鞍部 7 例, 後交通動脈分岐部 2 例, 内頚動脈先端部 1 例 ), 前交通動脈瘤 2 例, 椎骨動脈 5 例, 脳底動脈上小脳動脈分岐部瘤 2 例で,7 mm 以上の広頚瘤 16 例,7 mm 未満の広頚瘤 2 例, 解離性脳動脈瘤 1 例であった. 全例で VRD 留置とコイル塞栓術に成功した. 周術期に major stroke を生じたものは無かった.SAC 3 年後の MR 画像まで経過観察できたのは 19 例中 14 例であった.3 年後の瘤塞栓の程度は CO12 例 (86%) NR2 例 (14%) BF0 例, 術後 CO で 3 年後に NR と判断された瘤は無く,2 例は術後 NR で 3 年後に CO と判断された. ステント血栓症 狭窄は経過中も 3 年後造影 MRA でも認めなかった. 観察期間に脳卒中を生じた症例は無かった. 塞栓と関連不明の水頭症にて 1 例のみ mrs が 0 から 2 へ低下した. 結論 SAC 3 年後の経過は良好である.2 年後評価で可能と判断されれば以降は造影 MRA 評価でもよいと考えられる. 今後も長期の経過観察を継続する必要がある. 2-O31-2 硬膜動静脈瘻に対する NBCA を用いた prolonged injection 法の有用性 城山病院脳 脊髄 神経センター脳血管内治療科 大西脳神経外科病院 村尾健一 Murao Kenichi 盛岡潤 三輪博志 朴陽太 大西宏之 これまでシャント疾患に対し, 低濃度 NBCA の prolonged injection による経動脈的塞栓 (TAE) を行い, 安全で良好な結果を得てきた. 上矢状洞 (SSS) や横静脈洞 -S 状静脈洞 (TS-SS) 部硬膜動静脈瘻 (davf) ではシャントがびまん性に存在することが多く, コイルによる経静脈的塞栓 (TVE) での根治に難渋することがある. このような疾患に対し, 低濃度 NBCA を用いた TAE あるいは TVE を追加することにより, 新たな皮質静脈への逆流残存や長期での再発を防ぐことが可能と考えられる.NBCA の使用法により以下の代表症例を呈示する.1:TAE のみによる根治的塞栓,2: コイルによる TVE 後の再発に対する TAE,3: コイルによる TVE に対する追加 TAE,4: コイルによる TVE に対する追加 TVE.dangerous anastomosis や脳神経への血流支配を熟知していることが前提となるが, 本法では NBCA をゆっくりと時間をかけて塞栓できるため, 初心者でも比較的安全に行える治療法と考えられた. 2-O31-1 硬膜動静脈瘻に対する低濃度 NBCA を用いた経動脈的塞栓術 大阪医科大学脳神経外科 春秋会城山病院脳血管内治療科 英明会大西脳神経外科病院脳神経外科 大西宏之 Ohnishi Hiroyuki 村尾健一 宮地茂 大西英之 黒岩敏彦 液体塞栓物質を用いた経動脈的塞栓術は, 脳動静脈奇形, 硬膜動静脈瘻 (d-avf), 腫瘍性病変などに対し非常に有用な治療法である. 硬膜動静脈瘻において特に経静脈的なアクセスが困難な症例では, 経動脈的に低濃度 NBCA を用いることで浸潤性に富んだ塞栓によりシャント部を確実に閉塞させることが可能となっている. 当科では低濃度の NBCA の注入する際は flow control が重要と考えており,plug and push 法を用い良好な塞栓を得ている. また静脈側への distal migration の危険がある際には静脈側からのアプローチが可能な限り distal migration を予防する工夫を行っている. 今回, d-avf(bordern の代表症例を呈示し当科の工夫について報告する. 症例 1:52 歳, 男性. 左頭頂葉の皮質下出血で発症した SSS d-avf.oa に Marathon cathter を挿入し,NBCA 13 % の注入を約 7 分間行った.Shunt point まで到達し,1 回の塞栓で shunt は消失した. 症例 2:65 歳, 女性.TS d-avf に対し sinus packing を施行したが, 術後 1 年の経過で新たに脳表静脈への direct shunt が出現したため経動脈的塞栓術を行った. 静脈側からのアクセスが可能であったためまず drainer 側にコイルを留置した後,OA から NBCA 13 % の注入を約 8 分間行うと shunt point を越え静脈側まで到達し完全に direct shunt は消失した. 症例 3:60 歳, 男性. 痙攣発作で発症した SSS d-avf. 複数本 feeder が存在していたため, まず main feeder を残し feeder occlusion を行った. その後 main の MMA から NBCA 13 % の注入を約 5 分間行ったが,flow control は良好で shunt point まで到達し shunt が完全に消失した. 2-O31-3 硬膜動静脈瘻における低濃度 NBCA による経動脈的塞栓術 福岡大学医学部脳神経外科 福岡赤十字病院脳神経外科独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター脳神経血管センター 東登志夫 Higashi Toshio 吉岡努 福田健治 保田宗紀 大川将和 井上亨 岩朝光利 湧田尚樹 目的 硬膜動静脈瘻 (DAVF) に対する低濃度 NBCA による経動脈的塞栓術 (TAE) について報告する. 対象と方法 最近 4 年間で行われた DAVF に対する血管内治療 40 セッションのうち 13 セッションで液体塞栓物質による TAE を単独あるいは他の治療と併用で行った. 結果 5 セッションで低濃度 NBCA(12.5 % %) を使用した. 低濃度 NBCA による TAE のみで根治した 3 症例 3 セッションについて提示する. 症例 1:70 歳男性, 無症候 T-S DAVF.6 回の TAE を行い,6 回目 (2 min 57 sec,3 push) の TAE でシャントを閉塞した. 症例 2:61 歳女性, 無症候性 SSS DAVF.3 回の TAE を行い,2 回目の TAE(1 min 37 sec, 3 push) で流出静脈側まで NBCA が到達し,3 回目の TAE でシャントを閉塞した. 症例 3:84 歳男性, 歩行障害で発症した spinal perimedullary drinage を伴う硬膜外動静脈シャント.1 回の TAE (2 min 32 sec,5 push) でシャントを閉塞した. いずれも手技による合併症は認めていない. 結論 DAVF,AVM, 腫瘍の塞栓に低濃度 NBCA を用いており, 病変への浸透度が高く有効と考えている. 非接着性液体塞栓物質の様に plug and push like な塞栓が可能であるが,lipiodol との混合液を十分に加温すること,intermediate guiding catheter を用いることが本手技の要点である. 安全な治療のためには, 適切な症例の選択と,dangerous anastomosis への配慮が大切である. 248 JNET Vol.8 No.6 December 2014
55 2-O31-4 般口演頭蓋内硬膜動静脈瘻に対する n-butyl cyanoacrylate を用いた塞栓術 日本医科大学千葉北総病院脳神経外科 日本医科大学脳神経外科 鈴木雅規 Suzuki Masanori 小南修史 小林士郎 森田明夫 目的 頭蓋内硬膜動静脈瘻に対する標準的治療はコイルを用いた経静脈的塞栓術であるが, 時として液体塞栓物質を用いた塞栓術が有効である. 塞栓状況として,(shunt flow を落とすための姑息的経動脈的塞栓,(shunt 部まで塞栓物質を進める積極的経動脈的塞栓, ( コイルのみでは完遂しなかった経静脈的塞栓術における salvage therapy としての経静脈的塞栓, が挙げられる. 今回, 我々は過去の液体塞栓物質を用いた塞栓術の内容, 治療結果を検討し, 報告する. 方法 対象は 1999 年から 2013 年までに治療した 35 症例,38 手技を対象とした. 液体塞栓物質は全例 n-butyl cyanoacrylate(nbca) を用いた. 部位は横静脈洞 S 状静脈洞 18 例, テント部 6 例, 海綿静脈洞部 5 例,Anterior condylar confluence 2 例, 上矢状洞部 2 例, 前頭蓋底部 1 例, その他 1 例であった. 成績 基本方針として姑息的経動脈的塞栓は行っておらず, 塞栓手技の内訳は積極的経動脈的塞栓 32 手技, 経静脈的塞栓 6 手技であった. 術直後に完全閉塞が得られた症例は 17 症例であり, フォローアップの撮影で完全閉塞を確認した症例は 2 症例であった. 複数手技を要した症例は 3 症例であった. 塞栓に関連する合併症は虚血性合併症 3 例, 出血性合併症 1 症例, 神経障害 1 症例であった. 結論 頭蓋内硬膜動静脈瘻に対する NBCA を用いた塞栓は, 病態や状況により有効な一手となる. 経動脈的塞栓手技の成功の為には適切な血管選択とカテーテルの位置決めが, 一方経静脈的塞栓の成功の為には粘性 重合スピードを考慮した注入手技が重要である. 外頚動脈系を主とした血管解剖の知識を基にした十分な病態把握や microcatheter の誘導も含めた手技の習熟が必要である. 2-O31-5 経動脈的塞栓術で治療した硬膜動静脈瘻症例の検討 朝日大学歯学部付属村上記念病院脳神経外科 武井啓晃宮居雅文山下健太郎坂井聡太郎 Takei Hiroaki 郭泰彦 硬膜動静脈瘻 (davf) に対する経動脈的塞栓術 (TAE) は, 以前は補助的あるいは姑息的治療という位置づけであったが, 最近では根治的治療として認識されるようになってきた. 最近 4 年間に TAE にて根治的治療を行った davf の症例を後方視的に検討し, TAE にて完全閉塞が得られた症例の特徴を検討した. 対象 方法 2010 年 2014 年までの 4 年間に根治目的で液体塞栓物質 (NBCA) を用いて TAE を行った davf 8 例 ( 男女比 7:1, 平均年齢 58 歳 (38-76 歳 )) を対象とした. 病変部位は, 小脳テント部 2 例, 上矢状洞 1 例, 静脈洞交会 - 横静脈洞 1 例, 横 -S 状静脈洞 2 例であった. 海綿静脈洞部 d AVF の症例は除外した. 結果 8 例中 5 例 (62.5 %) では治療直後に完全閉塞が得られた.3 例では軽度のシャント血流が残存したが, うち 2 例ではその後のフォローアップで 1 年以内にシャント血流の消失が確認された ( 治癒率 87.5%). 直後とフォローアップ時に病変が完全閉塞していた 7 例では,Shunted pouch と呼ばれる構造まで NBCA が到達していたが,Shunted pouch 全体が NBCA で完全に閉塞されてはいなかった. 合併症としては,1 例に遠隔部の脳梗塞に伴う一過性神経症状を認めたが, 永続的神経脱落症状をきたした症例は認められなかった. 結論 根治を目的とした TAE により比較的安全に高い治癒率を得ることが可能である.dAVF の完全閉塞を得るためには, 液体塞栓物質が shunted pouch に到達している必要はあるが, 必ずしも shunted pouch 全体が閉塞される必要はないと考えられた. 一2-O31-6 硬膜動静脈瘻の治療成績 TAE の適応は? 獨協医科大学越谷病院脳神経外科 鈴木謙介 Suzuki Kensuke 杉浦嘉樹 兵頭明夫 清水信行 河村洋介 鈴木亮太郎 永石雅也 藤井淑子 滝川知司 井上佑樹 田中喜展 目的 硬膜動静脈瘻 (DAVF) の治療成績を後方視的に解析し, 治療法について考察を加える. 対象 過去 5 年間に DAVF と診断された 44 例を対象とした. 内訳は前頭蓋底硬膜動静脈瘻 (anterior fossa AVF)2 例, 内頚動脈 海綿静脈洞瘻 (CCF)18 例, 横静脈洞 S 状静脈洞瘻 (T-S AVF)13 例,anterior condylar confluent の AVF(ACC AVF)5 例, テント硬膜動静脈瘻 (Tentorial AVF)3 例, 脊髄硬膜動静脈瘻 (spinal AVF)4 例であった. このうち脳血管内治療を施行したのは 31 例であった. 成績 多くは経静脈的塞栓術 (TVE) で治療されており, 経動脈的塞栓術 (TAE) を施行したのは 8 例であった. うち 4 例は TVE にてシャントが消失しなかった例に対し追加治療として施行されたが,spinal AVF では 4 例すべてで TAE が第一選択とされた.TVE に引き続き TAE を追加施行した 4 例のうち,3 例が T-S AVF であり,CCF は 1 例のみであった. また T-S AVF のうち 2 例に手術治療が追加された.CCF では Target embolization が可能であったものは 5 例のみであったが, 海綿静脈洞を packing した症例でも動眼神経麻痺が継続したのは 1 例のみであり, ほとんどの症例で経過は順調であった.ACC AVF では全例が TVE で完治した. また Tentorial AVF の 1 例は状態が悪く治療適応とならず, 残りの 2 例は症状が軽微であり経過観察となった.Anterior fossa AVF の 2 例はいずれも手術による根治術が選択された. 結論 多くの DAVF に対する治療の第一選択は TVE であるが,Spinal AVF,Tentorial AVF は基本的に TVE が不可能である. さらに T-S AVF の中には TVE のみでは完治できない症例があり,TAE や手術治療を念頭においた治療戦略が必要と思われる. 2-O31-7 頭蓋内硬膜動静脈瘻に対する経動脈的塞栓術の役割と治療戦略 京都府立医科大学大学院医学研究科脳神経機能再生外科学 独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センター脳神経外科 大和田敬 Owada Kei 川邊拓也 井上靖夫 立澤和典 後藤幸大 笹島浩泰 会田和泰 峯浦一喜 古野優一 目的 経動脈的塞栓術 (Transarterial embolization:tae) を施行した頭蓋内硬膜動静脈瘻の臨床像と治療成績を解析し, 役割に応じた TAE の治療戦略について検討した. 対象 方法 対象は外科治療を施行した頭蓋内硬膜動静脈瘻 33 例中,TAE を行った 18 例である. 男性 11 例, 女性 7 例で, 平均年齢は 64.8 歳 (22-81 歳 ) であった. 病変部位は横 S 状静脈洞部 10 例, 海綿静脈洞部 3 例, 穹窿部 2 例で, 上矢状洞部, 天幕部, 舌下神経管近傍が各々 1 例であった. 経静脈的塞栓術 (Transvenous embolization:tve) の前処置として TAE を施行した前処置群は 4 例,TAE 単独ないしは TVE 後の追加処置として施行した治療群は 16 例であった. 前処置群では固体塞栓物質ないしは高濃度 NBCA を使用し, 治療群は主に低濃度 NBCA を用いた. 結果 全例で症状は寛解し周術期合併症は生じなかった. 前処置群では短絡量減少によって症状が軽減し, 血管構築の把握が容易になった. 治療群では全例で早期に症状が軽快したが, 終了時に 9 例で短絡が残存した. このうち 3 例は後に自然消失し,6 例は定位放射線治療を追加して完全閉塞を得た. 平均 65.7 カ月の追跡期間中に治療群の 1 例で再発したが,TAE と定位放射線治療の追加治療で消失した. 考察 結語 前処置としての TAE は, 超選択的撮影と短絡量減少によって複雑な血管構築を明瞭化して症状の軽減を図ることが目的であり, 短絡部への到達が必須ではないため固体塞栓物質や高濃度 NBCA を用いる. 治癒目的の TAE では低濃度 NBCA を用いて短絡部の閉塞を目指すが, 症状寛解は得られるものの血管撮影上の根治は得られにくい. しかし定位放射線治療を組み合わせることによって高い根治率が期待できる. JNET Vol.8 No.6 December
56 2-O32-1 破裂嚢状脳動脈瘤に対するステントを用いた瘤内塞栓術 老年病研究所附属病院脳神経外科 太田記念病院脳神経外科 伊勢崎市民病院脳神経外科 藤岡総合病院脳神経外科 5) 北信総合病院脳神経外科 宮本直子 Miyamoto Naoko 富澤真一郎 高玉真 山口玲 岩井丈幸 5) 塚田晃裕 内藤功 長野拓郎 はじめに 破裂脳動脈瘤に対するステントの使用は認められていないが, 使用せざるを得ない症例に遭遇することもある. 目的 破裂嚢状脳動脈瘤に対するステントを用いた瘤内塞栓術の安全性と有効性を検証する. 対象と方法 2011 年 6 月以降, ステントを用いた瘤内塞栓術を行った 9 例. 動脈瘤の部位は,BA top 2 例,ICcavernous,IC-paraclinoid,IC-Pcom,Acom,VA,VA-PICA, PCA 各 1 例であった. 動脈瘤の最大径は 4-20mm( 平均 10.1 mm), ネックは 3-10 mm( 平均 6.4 mm),d/n 比は ( 平均 1.5) であった.WFNS grade は,1 が 3 例,2 が 2 例,3 が 1 例,4 が 3 例であった. 手術時期は day 0-9( 平均 3.. 術前抗血小板剤の投与は,2 剤 3 例,1 剤 6 例であった. 使用したステントは,Enterprise 8 例,Neuroform 1 例であった. 結果 塞栓結果は,CO 4 例,NR 1 例,DF 4 例であった. 術中合併症は, 術中破裂が 1 例 (PCA AN) あったが予後に影響しなかった. この症例で術後 PCA 閉塞による脳梗塞を生じ同名半盲を残した. 術後, 再破裂を生じた症例はなかった. 転帰は,mRS 0 が 3 例,1 が 2 例, 2 が 1 例,4 が 2 例,5 が 1 例であった. 考察 破裂脳動脈瘤に対するステントを用いた塞栓術の問題点は, 抗血小板剤の使用法である. 術後, 母血管が閉塞した PCA AN の症例は, 術前から DAPT を行い, 術後 24 時間アルガトロバンも使用した. 母血管閉塞の原因は, 母血管の太さに起因するものと考えられる. 初期の 3 例は DAPT を行ったが, 最近の 6 例は 1 剤投与にしているが, 血栓性合併症はない. 結語 破裂脳動脈瘤に対するステントを用いた塞栓術は安全で有効な手段となり得る. 抗血小板剤の使用法については症例の蓄積が必要である. 2-O32-2 急性期破裂脳動脈瘤に対するステント支援瘤内塞栓の安全性 弘前大学医学部脳神経外科 嶋村則人 Shimamura Norihito 奈良岡征都 角田聖英 松田尚也 小山香名江 大熊洋揮 目的 脳動脈瘤塞栓術においてステント使用は未破裂瘤のみに適応を得ているが, 破裂瘤塞栓術において緊急避難的にステントが使用されることがある. 破裂瘤に対するステント支援塞栓術の成績について, 未破裂瘤と比較し報告する. 方法 2012 年 3 月から 2014 年 5 月の間に行ったステント支援脳動脈瘤コイル塞栓術 21 例 ( 未破裂 15 例, 破裂 6 例 ) を対象とした.MRI を未破裂例は術翌日, 破裂例は術後 7 日以内に撮影した.DWI high spot 数, 周術期合併症, 治療転帰について検討した. 破裂瘤の術後 30 日目 m-rs も評価した. 成績 破裂群は男女比が 2 対 4, 年齢は 66.5 ± 15.6 歳, 瘤部位は IC-PC 2 例,A.com 2 例,A 1 1 例,VA 解離 1 例であった. 瘤体積は 261 ± 319 mm 3. 全例抗血小板剤 3 種をローディングした ( クロピドグレル mg, アスピリン mg, シロスタゾール 200 mg). 使用ステントは Enterprise 5 例, Neuroform 1 例. 周術期合併症はステント誘導に伴う遠位血管損傷 1 例のみであった.DWI high spot は 2.2 ± 1.5ヶを認めたが, 症候性例は無かった. 発症 30 日後 m-rsは0が4 例,1が1 例,5が1 例であった. 未破裂群では DWI high spot は 7.3 ± 7.8ヶであり, 網膜分岐閉塞 1 例, 第 3 6 脳神経障害 1 例を生じた. 男女比, 年齢, 瘤部位, ステント種類は差異を認めなかった. 結論 破裂脳動脈瘤塞栓術におけるステント支援は, 適応外使用ではあるが, 抗血小板剤ローディングなどの慎重な準備および術操作により, 未破裂瘤と同様の治療成績を得ることができる 2-O32-3 ステントの得失を意識した脳動脈瘤の塞栓術 :Less is more. 東京大学医学部脳神経外科 庄島正明 Shojima Masaaki 中冨浩文 小泉聡 斉藤延人 根城尭英 野村征司 伊藤明博 背景 ステントが使用出来るようになり, それまでは有効な治療が行えなえなかった動脈瘤を治すことが出来るようになった. 一方で, 抗血小板薬の長期間投与に伴う副作用や, 休薬に伴う脳梗塞というリスクを患者に背負わせることにもなった. ステント併用コイリングの適用が過剰でないだろうか. 対象と方法 2010 年 7 月から現在に至るまでおこなわれた 125 例に対する脳動脈瘤コイル塞栓術を対象として後方視的に解析を行った. ステントが留置された症例は 8 例であった. ステント併用コイリングの Merit を評価するため,( 大型動脈瘤に対するコイル充填率,( 塞栓術後の再開通を調査した. また, 一部の症例では ( ステントが留置前後の血管形状と血流動態の変化を調査した.Potential drawback の評価として ( 塞栓術後に抗血小板薬の休薬が必要とされた症例数, ( 無症候性脳梗塞巣が出現した症例数を調査した. 結果 ステントを併用すると, 高いコイル充填率が達成された. ただ, 血流動態に関しては, 変化がないかわずかに悪化するような症例も見られた. ステント併用は再開通を減らす傾向がみられたが, 無症候性ながらステント留置部の穿通枝領域に脳梗塞が出現する症例も見られた. マルチカテーテル バルーンアシストを行った症例ではステント併用と同等の高い充填率が達成された. 結論 ステント併用コイリングでは, 高いコイル充填率を達成できるが, 同等の充填率はカテーテル シェイピング, マルチカテーテル, バルーンアシストなどの手法を組み合わせることでも達成できる. 手技を工夫することでステント留置の頻度は減らせると思われた. 2-O32-4 ワイドネック脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 どのような動脈瘤にステントが必要か 国立循環器病研究センター脳神経外科 植松幸大 Uematsu Kodai 濱野栄佳 高橋淳 佐藤徹 林正孝 森田健一 井手口稔 石井大造 金丸英樹 丸山大輔 片岡大治 背景 動脈瘤塞栓術支援ステントが承認され stent-assisted coiling (SAC) は増加しているが, 周術期血栓症や抗血小板療法の長期継続の問題もあり, 当施設では SAC をできるだけ行わない方針としている. 当施設での SAC 症例の特徴及びその有効性, 安全性につき検討した. 方法 対象は 2010 年 7 月から 2014 年 5 月までの未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術 126 例中, ネック径が 4 mm 以上の動脈瘤 61 例. それぞれ,SAC 適用の有無, 動脈瘤の形態, 体積塞栓率 (VER), 術後拡散強調画像 (DWI) 陽性率, 症候性合併症, 再発に関して検討した. 抗血小板療法は,SAC 群では dual antiplatelet therapy(dapt) を半年, 以後は 1 剤を継続. 非 SAC 群では DAPT を 1 ヵ月, その後 2 ヵ月 1 剤投与で終了とした. 結果 平均観察期間は 25.8 ヵ月 (1-46 ヵ月 ). 動脈瘤は side wall 型が 41 例, terminal 型が 20 例.SAC を適用した 17 例中,side wall 型は 16 例,terminal 型は 1 例であり (p= 0.005), 特に side wall 型かつネック径 5 mm 以上の動脈瘤に対して SAC が施行されていた (16 例中 15 例 p < 0.00.SAC 群と非 SAC 群間では VER(29.5 ± 9.7 % vs 28.4 ± 5.9 %), 術後 DWI 陽性率 (37.0 % vs 31.3 %), 症候性合併症 (23.5 % vs 9.1 %), 再発 (5.8 % vs 11.4 %) の全てで有意差を認めなかった. 再治療を要したものも両群ともに認めなかった. SAC 群の合併症としては治療 2 年後の外科手術時の抗血小板剤休薬による血栓症を 1 例, 術中動脈瘤破裂による死亡を 1 例認めた. 結語 治療関連合併症と抗血栓療法の観点からは SAC 適用には慎重な判断が必要である. さらに長期の検討を要するものの, 本結果で SAC 群と非 SAC 群の治療成績に差を認めなかったことから, 当施設での SAC の適応は妥当であると考えられた. 250 JNET Vol.8 No.6 December 2014
57 2-O32-5 般口演瘤壁の分枝を温存したステント併用脳動脈瘤塞栓術 武蔵野赤十字病院脳神経外科 戸根修 Tone Osamu 原祥子 原睦也 金子聡 佐藤洋平 橋本聡華 橋本秀子 玉置正史 渡邊顕弘 瘤壁から重要血管が分岐する脳動脈瘤は, 瘤内塞栓術が困難な脳動脈瘤の一つである. 分枝の起始部を温存して塞栓すると再開通が生じやすくなるが, 親血管への脳血管用ステント留置を併用することで, 再開通を防止できる可能性がある. 今回このような方法で塞栓術を行い, その有用性と問題点につき検討した. 対象は瘤壁から重要血管が分岐する脳動脈瘤症例で, ステントを併用して分岐部を温存する塞栓を試みた 34 例で, 破裂 19 例, 未破裂 15 例だった. 破裂瘤のうち 2 例は急性期に,17 例は慢性期の再開通時に行った. 平均 63 才, 女性 26 例,10mm 以上の大型 12 例,10mm 未満が 18 例だった. 温存を企図した動脈は, 後交通動脈が 18 例, 前脈絡叢動脈 3 例, 眼動脈と前大脳動脈 (A がそれぞれ 2 例, その他 9 例だった. 脳血管用ステントは Enterprise VRD を使用した. ステント長は28mmが4 例,22mmが25 例,14mmが5 例だった. このうち 32 例で目的通り VRD と coil の留置に成功した.1 例は VRDのみの留置に終わり,1 例ではVRDの先端が瘤内に migration したため waffle corn 法で塞栓した. 抗血小板薬は術 1 週間前から術後 3 ヶ月まで 2 剤を投与し, その後 1 剤を計 1 年間以上投与した. 破裂急性期では抗血小板薬を loading した. 術中出血が 2 例で生じたが神経症状は生じなかった. 症状が残存した脳梗塞は血栓化大型動脈瘤破裂急性期の 1 例で生じた.1 年後の再開通は内頚動脈瘤の 2 例で認めた. ステント併用塞栓術で瘤壁からの分枝を温存し, 再開通を防止する本法は有用な方法と考えられる. ステントにより microcatheter の動きが制限されること, 破裂急性期は脳梗塞のリスクが高いこと, 抗血小板療法の厳重な管理が必要であることなどが問題点である. 2-O32-6 治療困難な紡錘状脳動脈瘤に対するステント支援下コイル塞栓術 相模原協同病院脳血管内治療科 相模原協同病院脳神経外科 日本大学医学部脳神経外科 1, 1, 渋谷肇松崎粛統梅沢武彦片桐彰久須磨健 Shibuya Tadashi 吉野篤緒片山容一 目的 紡錘状脳動脈瘤の治療は, 母血管の血流温存を必要とする場合に治療困難となる. そこで紡錘状脳動脈瘤に対して母血管の血流を温存した脳血管内治療の工夫と治療成績ついて検討したので報告する. 方法 2008 年 1 月から 2014 年 5 月までに当院および関連施設でステント支援下コイル塞栓術を施行した脳動脈瘤 55 例中, 8 例 (14.5%) が紡錘状動脈瘤であった. これらを対象に adjunctive technique, 術後の MRI 拡散強調画像 (DWI) 陽性率, 合併症, 予後について検討を行った. 結果および考察 平均年齢 56.2 歳, 全て男性. 全て未破裂 非症候性病変で瘤の最大径は平均は,11.0 mm, 部位は, 椎骨動脈 7 例, 前大脳動脈 1 例であった.in-stent balloon assist technique を 7 例 (87.5 %) で併用し, 2 例で double catheter technique も併用して十分な塞栓状況が得られ, 安全に手技を施行するためには,in-stent balloon assist technique が有効であった. 全例で抗血小板薬 2 剤を術前から投与していたが,DWI 陽性率は,5 例 (62.5 %) と高率にみられた. しかし, 全て無症候性病変であり, 予後には影響しなかった.5) 重篤な合併症はなく, 経過観察でステントの開存状況は良好であり, 瘤の再発もみられず,7 例で予後良好であったが,1 例で術後 6 日目に血管解離が原因と考えられるくも膜下出血で死亡した. 結論 紡錘状脳動脈瘤は, ステント支援コイル塞栓術で良好な治療成績が期待できるが,DWI 陽性率が高率であり, 潜在的な虚血性合併症の危険性があり, 解離性動脈瘤では早期の出血にも注意が必要であった. 一2-O33-1 ステント併用コイル塞栓術導入前後における周術期虚血性および出血性合併症の変遷 富山大学医学部脳神経外科 柏崎大奈 Kashiwazaki Daina 桑山直也 秋岡直樹 黒田敏 はじめに VRD の登場により, 抗血小板薬を 2 剤以上内服する機会が増加している. 当科においても,VRD を用いる可能性がある症例には術前から抗血小板薬を 2 剤以上の内服を行っている. この内服プロトコールの変化前後での虚血および出血性合併症の変化を考察したので報告する. 対象と方法 2009 年 1 月以降で未破裂動脈瘤をコイル塞栓した 89 例を対象とした. 抗血小板薬を単剤のみ内服していた群と多剤群の 2 群に分けて虚血性と出血性の合併症を比較した. 単剤は, プラビックス 75 mg を基本として,2 剤の場合はアスピリン 100 mg もしくは, プレタール 200 mg を追加した. 虚血性合併症は術後の MRI-DWI の陽性と神経学的所見の出現とし, 出血性合併症は Hb の低下, 血圧の低下や医療行為が必要であった症例と定義した. また VerifyNow による凝集能測定を行った症例では PRU 値の検討を行った. 結果 単剤群は 31 例でそのうち 24 例が 2009 年から 2010 年に集中していた. また,2 剤以上は 58 例で 49 例が 2011 年以降の症例であり実際に VRD を用いた症例は 31 例であった. 出血性合併所は 15 症例あり, そのうち単剤群が 2 例, 多剤群が 13 症例であった (P= 0.047). また, 虚血性イベントは 21 例で単剤群が 8 例, 多剤群が 13 例であった (P= 0.225). また PRU 値は, 出血性合併症例で有意に低かった (P = 結語 未破裂動脈瘤コイル塞栓術は VRD 登場により抗血小板薬を多剤併用することが多くなった. その効果として虚血性イベントは抑制できているものの, 出血性合併症は増加しており注意が必要である. 2-O33-2 未破裂脳動脈瘤塞栓術における術中血栓形成の成因と対処 国立循環器病研究センター脳神経外科 菅田真生 Sugata Sei 濱野栄佳 佐藤徹 井手口稔 石井大造 金丸英樹 丸山大輔 片岡大治 林正孝 高橋淳 目的 脳動脈瘤塞栓術中血栓の成因や対処については定まった見解が乏しい. 本研究では, 未破裂頭蓋内脳動脈瘤 (UIA) 塞栓術中の血栓形成に関与する因子と対処法につき考察した. 対象 方法 2005 年 4 月より 2014 年 6 月の間に UIA に対し瘤内塞栓術を行った 243 例 ( 平均 61.3 歳, 女性 168 例 ) を対象とし, これらを前期群 ( 2009 年 6 月 )88 例と, 頚部径 4 mm 以上の広頚例では抗血小板薬 2 剤投与とした 2009 年 7 月以降の後期群 155 例の 2 群に分けた. 血栓形成は, 血流障害の有無に関わらず血管撮影上認められた全ての造影欠損と定義した. 両群での血栓形成に関与する因子の比較, 及び血栓形成時の追加治療 ( 抗血栓療法の強化, 局所線溶 破砕手技 ) による血栓消退の頻度, 及び神経予後を評価した. 結果 血栓形成は 22 例 (9.9 %) で認められ, 前期群では 13 例 (14.7 %), 後期群 11 例 (7.1 %) であった. うち 13 例は局所の血栓形成のみであり,7 例で血流障害,4 例で血管閉塞を伴った. 前期群では広頚 (1 8.4 %,P = 0.2 8), 抗血小板薬単剤 (2 5.9 %, P= 0.049) で血栓形成の頻度が高い傾向を認めたが, 後期群では広頚 9.3 %, 単剤 6.7 % とその傾向は減弱した. 治療は抗血栓療法の強化 ( ヘパリン追加投与 18 例, 抗血小板薬追加 22 例 ) を第一選択とし, 局所線溶 破砕手技を要したのは 5 例 (20.8 %) であった. 22 例 (91.7 %) で血栓消退が得られ, 恒久的な脱落症状を呈したのは 1 例のみ ( 視力障害 ) であった. 結論 考察 術中血栓についてはその形成を早期に認識することにより, 早期の抗血栓療法の強化のみで消退が得られる可能性が高い. また, 広頚動脈瘤に対しては抗血小板薬 2 剤投与が血栓形成抑制に寄与した可能性が考えられた. JNET Vol.8 No.6 December
58 2-O33-3 VerifyNow による血小板凝集能の評価と脳動脈瘤塞栓術における周術期虚血性合併症の検討 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科先端医療センター 阿河祐二 Agawa Yuji 今村博敏 坂井信幸 鳴海治 坂井千秋 佐藤慎祐 森本貴昭 菊池晴彦 谷正一 有村公一 足立秀光 柴田帝式 目的 脳血管内治療では抗血小板療法の導入により虚血性合併症の頻度は減少したが, 近年, 抗血小板薬不応症の存在が明らかとなり, 血栓塞栓症のリスクとして報告されている. 脳動脈瘤塞栓術を施行した症例に VerifyNow を用いて血小板凝集能を評価し, 虚血性合併症との関連を検討した. 対象 2010 年 5 月から 2014 年 3 月までに VerifyNow を用いて血小板凝集能を測定し脳動脈瘤塞栓術を施行した全 401 例について,Aspirin Reaction Unit(ARU), P 2 Y 12 Reaction Unit(PRU) と周術期虚血性合併症の関係を検討した.ARU PRU のカットオフ値をそれぞれ とし, それ以上を不応症, 未満を反応例と定義した. 結果 全 401 動脈瘤 ( ステント併用コイル塞栓 :249 例, 母血管閉塞 :13 例 ) で術前からバイアスピリン (ASA) クロピドグレル (CLP) の内服を行い, 不応症は ASA 49 例 (12.2%),CLP 198 例 (49.4 %) で認めた. 症候性脳梗塞は ASA 不応症 4 例 (8.1%) 反応例 26 例 (7.4%), CLP 不応症 13 例 (6.6%) 反応例 16 例 (7.9%) に出現し, いずれも統計学的有意差は認めなかった. 無症候性脳梗塞の頻度についても ASA CLP ともに不応症と反応例の比較で統計学的有意差を認めなかった. 結語 脳血管内治療における虚血性合併症のリスク因子は多岐にわたり, 抗血小板薬不応症, 特にクロピドグレル不応症もリスク因子として報告されている. 今回の検討の結果では抗血小板薬不応症と周術期虚血性合併症の関連は認めなかったが, 脳血管内治療における ARU PRU の適正なカットオフ値は明らかになっておらず更なる検討が必要である. 2-O33-4 未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術における VerifyNow 使用の有用性 岡山大学大学院脳神経外科 新治有径 Shinji Yukei 清水智久 杉生憲志 高杉祐二 菱川朋人 西廣真吾 平松匡文 伊達勲 春間純 目的 未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術では, 虚血性合併症予防のため確実な抗血小板療法が重要である. 当科では術前に VerifyNow (VN) で血小板凝集能を評価しており, その有用性を検討した. 方法 対象は VN 未使用の 2010 年 1 月から 2011 年 12 月までの 79 例 (VN 未使用群 :VN - 群 ) と,VN を使用した 2012 年 1 月から 2013 年 12 月までの 102 例 (VN 使用群 :VN + 群 ). 術 1 週間前よりアスピリン 100 mg, クロピドグレル 75 mg を投与し, 術前々日に VN 測定を行った. 血小板凝集能が抑制不良の場合, 前述した薬剤の増量やシロスタゾールの追加を行い治療に臨んだ. 全症例および stent assisted technique(sat) を用いた症例のそれぞれで 術後 DWI 陽性率 周術期虚血性合併症率 を,VN - 群, VN + 群の間で比較した. 結果 術後 MRI を施行したのは, 全症例で VN- 群 34 例,VN+ 群 96 例,SAT を用いた症例で VN- 群の 9 例中 7 例,VN + 群の 20 例全例であった. 全症例において, 術後 DWI 陽性率は,VN - 群で 34 例中 23 例 (67.6%),VN + 群で 96 例中 55 例 (57.3%)(p= 0.29). 周術期虚血性合併症率は, VN - 群で 79 例中 4 例 (5.1%),VN + 群で 102 例中 4 例 (3.9%) であった (p= 0.7. また,SAT を用いた症例では, 術後 DWI 陽性率は,VN- 群で 7 例中 7 例 (100%),VN+ 群で 20 例中 14 例 (70%)(p= 0.1. 周術期虚血性合併症率は VN - 群で 9 例中 1 例 (11.1%),VN + 群で 20 例中 1 例 (5%)(p= 0.55) であった. 結語 全症例および SAT 使用例において,VN + 群で 術後 DWI 陽性率 周術期虚血性合併症率 ともに低値となる傾向があった. VN による術前血小板凝集能評価はコイル塞栓術の虚血性合併症低減に有用である可能性がある. 2-O33-5 脳動脈瘤コイル塞栓術における VerifyNow を用いた抗血栓療法 ステント併用塞栓術に着目して 札幌医科大学附属病院脳神経外科 飯星智史 Iihoshi Satoshi 宮田圭 小松克也 杉野寿哉 鰐渕昌彦 三國信啓 目的 ステント併用脳動脈瘤コイル塞栓術は通常のコイル塞栓術に加えてステントという異物を親血管に留置する手技であるため, 虚血性イベント低減のため強力な抗血小板療法を長期間必要とされる. 今回当院で施行したステント併用群とステント非併用群における脳動脈瘤塞栓術の成績, 周術期イベントの有無などをふまえ, 同時に VerifyNow を用いて血小板凝集能を評価しイベントに影響を及ぼすか検証した. 対象 2011 年 11 月から 2014 年 8 月の期間のうちステント併用コイル塞栓術を施行し,VerifyNow を用いて血小板凝集能を測定できた患者 30 例と同時期にステント非併用脳動脈瘤コイル塞栓術 30 例を比較検討した. 脳動脈瘤塞栓術施行予定患者は術前抗血小板薬 2 剤を 5 日以上内服しており, 全例術直前に VerifyNow を用いて血小板凝集能を測定した. 結果 全例ともに手技は完遂し, 技術的トラブルはなかった. 術前内服した 2 剤の抗血小板剤はバイアスピリン (ASA)100 mg とプラビックス (CLP) 75 mg が多く, 術後の DWI-HIA の数は PRU 値が低値であるほど少ない傾向であった (p < 0.05). また破裂急性期ステント併用塞栓術は合併症率が高かった (9.1 %). 考察 脳動脈瘤コイル塞栓術における虚血性, 出血性合併症に関与する要因として, 抗血小板剤の不応症, または効き過ぎによる出血, ステント併用による血栓症, 遅発性ステント内狭窄,incomplete stent apposition, など多岐にわたる. より安全な脳動脈瘤コイル塞栓術のためには, 技術的なことだけでなく, 抗血小板療法を患者ごとに評価し, 薬剤の調整をする必要があると考える. 2-O33-6 未破裂脳動脈瘤塞栓術後の抗血小板剤の長期内服の要因 福岡和白病院脳神経外科 福岡新水巻病院脳神経外科 新武雄病院脳神経外科 原田啓 Harada Kei 福山幸三 角本孝介 押方章吾 梶原真仁 一ノ瀬誠 目的 未破裂脳動脈瘤塞栓後の抗血小板剤長期内服の割合と要因を後方視的に調べた. 方法 2010 年 1 月から 2013 年 6 月に関連病院で未破裂脳動脈瘤の塞栓術を施行した 169 患者 175 病変を対象とした. 破裂瘤に伴う未破裂, 再治療, 血管解離病変は除外した. 女性 71 %, 平均 60.2 歳, 平均最大径 7.3 mm. 部位は ICA 64 %, Acom 6 %,ACA 3 %,MCA 5 %,VA 5 %,BA 16 %,PCA 1 %. 瘤内塞栓 98 %, トラッピング 2 %. 方法はシンプル 27 %, バルーンアシスト 50 %, ダブルカテーテル 14 %, ステントアシスト 9 %. 成績 手技成功 98 %, 術中破裂 1.1 %. 虚血による一過性の症状 2.3 %, 虚血による永続症状 2.3%.93 % で MRA/DSA フォロー ( 平均 1.7 年 ), 再発 8 %( 再治療 3 %) であった. 術前の抗血小板剤 1 剤 13 %,2 剤 86 %,3 剤 1.1 %. 抗血小板剤の 3 ヶ月以内の中止 72 %(125),3-6 ヶ月で中止 11%(19 例 ; コイルの親動脈逸脱 2, トラッピング,6 ヶ月以上内服して中止 1 %(2 例 ; ともにコイルの逸脱疑い ).12 ヶ月以上継続 17%, そのうち動脈瘤素因 11 % (20 例 ; ステント使用 16, トラッピング 1, 術後の梗塞 1, 術中のコイル迷入 1, コイルの親動脈逸脱, 患者素因 8 %(9 例 ; 冠動脈疾患 5, 脳虚血疾患 であった. 術後 6 ヶ月以上の 2 剤内服は 3 %(6 例 ; ステント使用 2, 術後の梗塞 1, 術中のコイル迷入 1, 冠動脈ステント留置状態 であった. 結論 全体の 11 % で塞栓術の要因で抗血小板剤 12 ヶ月以上の内服が必要でステント使用, 術後の分枝狭窄, コイル逸脱が原因であった. ステント使用後の抗血小板剤管理は未解決な課題であり, 大型ワイドネックで再発しやすい瘤に適用し, ステントを使用せず治療可能な病変には用いるべきではない. 252 JNET Vol.8 No.6 December 2014
59 2-O34-1 般口演脳血管外科二刀流を取り巻く諸問題 : 存在意義と育成カリキュラム 関西ろうさい病院脳神経外科 豊田真吾 Toyota Shingo 森鑑二 熊谷哲也 瀧琢有 菅野皓文 山本祥太 千葉泰良 脳血管外科診療においては, 直達手術と血管内治療の双方を症例に応じて活用できる体制が望ましいことは論を待たない. 安全性 有効性に優れた治療手段を選択するために直達手術術者と血管内治療術者が協議する体制はスタッフの多い施設では理想的であるが, スタッフの少ない施設では非現実的であり, 同一術者が直達手術と血管内治療の双方にたずさわる 脳血管外科二刀流 のメリットは大きい. しかしながら, この二つの治療手段の習得については専門医制度やラーニングカーブが異なるため, 効率的に二刀流術者を育成するカリキュラムは未だ確立しておらず, 脳神経外科医のキャリアパスの中で, 直達手術にこだわりながら, 血管内治療の症例を積み重ねる, という一見相反する努力が必要とされるのが現状である. また, 二つの治療手段を習得するにしても, 双方がスタンダードに達していなければ 二刀流 は 二流 に過ぎず, その存在意義は薄れてしまう. 従って, 常にそれぞれの治療手段のスタンダードを見据え, 限られた手術症例数の中で合併症を防ぎ, 治療成績を向上させる努力が求められるが, 両立は必ずしも容易ではない. 今回, 著者の経験に基づき, 脳血管外科二刀流を取り巻く諸問題について述べる. 2-O34-3 hybrid neurovascular surgeon の育成 独立行政法人国立病院機構災害医療センター脳神経外科 重田恵吾 Shigeta Keigo 住吉京子 八ツ繁寛 百瀬俊也 高里良男 榎本真也 正岡博幸 佐藤慎 早川隆宣 川並麗奈 概要 脳神経外科医不足の現代,hybrid neurovascular surgeon の育成が求められる. 当院における育成の実態について検証した. 方法 2011 年 2013 年の各年度で当院の非専門医が行った手術に関して調査した. 結果 平均 426 手術中, 血管障害に関する手術は 132 件 (open surgery[os]69 件,endovascular treatment [EVT]63 件 ) あった. この内, 非専門医が術者となったのは 26 件 (OS 26 件 [clipping 10 件など ],EVT 13 件 [coiling 7 件など ]) だった.OS は ( 穿頭 外傷手術などで基礎的手技の獲得,( 脳内血腫除去術で顕微鏡下の吸引 止血技術 Sylvius 裂開放の手技習得,(Clipping の前立から段階的に Clipping まで習得,( Bypass 手術は卓上顕微鏡下練習から段階的に bypass を担当などしていた.EVT は ( 脳血管撮影で基本的手技の習得 ( 独自の採点表を使用 ),( マイクロカテーテルなどの準備,( 外頸動脈系の塞栓術でマイクロカテーテルの操作を習得,( 動注療法, Micro-balloon の誘導などで内頚動脈系での操作を習得,(5) 動脈瘤 末梢血管への誘導技術を習得,(6) 中型 大型動脈瘤の filling でコイル挿入技術を習得した. 考察 当院は年間 件の手術を行う研修基幹病院であり,5 名の専門医と 2-3 名の非専門医がいる. 年間 件の脳血管内手術を行いながら,OS の技術習得にもそれなりの症例があり, 脳神経外科専門医取得後, 脳血管内治療専門医の取得をして hybrid neurovascular surgeon になることを目指している. 結語 非専門医が担当した症例の具体的内容を把握し Hybrid neurovascular surgeon の育成のための研修プログラムを新たに策定する予定である. 2-O34-2 当施設における脳神経外科医が目指す血管内専門医取得のキャリアパス 東京慈恵会医科大学脳神経外科 富士市立中央病院脳神経外科東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 東京慈恵会医科大学付属柏病院 西村健吾石橋敏寛渡邊充祥坂本広喜菅一成 Nishimura Kengo 森良介梶原一輝高尾洋之郭樟吾入江是明 結城一郎村山雄一当施設における自験例を中心とした脳血管内治療専門医を取得するまでの過程と, 取得後の症例経験を振り返り脳血管内治療専門医取得の利点および問題点について言及する. 自らの経験では, 医師 7 年目まで開頭手術中心の施設で研鑽を積み,8 年目以降の 2 年弱のトレーニング期間の末に脳血管内治療専門医を取得. その後は開頭手術と脳血管内治療を使い分けながら診療にあたっている. 当院のみで, 専門医取得までに 133 例の脳血管撮影と 173 例の脳血管内治療を経験した. トレーニング開始後,6 ヶ月目に初めて術者として内頚動脈瘤塞栓術を経験し, 現在までの 41ヶ月間に脳血管撮影 234 件と脳血管内治療 294 件を経験した. 現在では術者として頭蓋内ステント,double catheter technique,balloon assist technique を用い様々な動脈瘤に治療対応可能となった. 当施設での他医師のキャリアパスとして, 同じように脳神経外科専門医取得前後よりトレーニングを開始して取得, もしくは, 他分野の専門性を有した後に一定期間集中的なトレーニングを施行し取得を目指す傾向があった. 専門医取得のキャリアパスにおいて, 早期から脳血管内治療に触れ, その必要性を認識し, 各々のタイミングに応じて集中的にトレーニングすることが肝要である. また取得後の継続も重要である. 解決すべき問題点として, 今後, 脳血管治療専門医取得を希望する脳神経外科医及び神経内科医の増加が予想されるが, 施設の症例数に依存するところが多く, 皆がこのようなキャリアパスにのれないという点である. 今後の課題として, 施設としての症例数と, 個人として手技レベル維持のために継続して治療経験を積むということである. 2-O34-4 海外留学が契機となった脳血管内治療医としての成熟と変化 JA 北海道厚生連帯広厚生病院脳神経外科 金相年 Kin Sounen 大瀧雅文 津田宏重 木村友亮 脳血管内治療の発展と普及が, 脳卒中の治療に変化をもたらす中で, 急性期治療にあたる関わる施設, そして一般社会に於いて, 脳血管内治療医に求められる知識や技術は, より高度な水準が求められるようになった. 脳血管内治療の治療戦略が一般的になったことは, 脳卒中の診療に当たるすべての医師に影響を与え, その重要性は増加する一方である. 少なからず筆者も, 時間の経過や, 周囲の状況の変化によって, 自らの思い描いていた将来と現実, 思考が変化してきているが, 自己の変化を鑑みた場合,1 年半の海外留学時代に培った知識や意識の改変が, 自らのキャリアパスにおける大きな分岐点となっている.JSNET 専門医試験は, 留学中の受験となったが, ハンディ等を全く感じることなく受験することが可能であった. 筆者は, 医師 11 年目の時に, 研修 先を海外に求めた. 1 年半の短い時間の中でも, 多くのことを学び, 教育していただいた 研修 であったが, やはり医師となった後の 10 年間, 脳神経外科医として脳疾患を学び, 治療に携わったことで体得した経験が比較対象となり, より脳血管内治療医としての成長に繋がったと考えている. 留学先における, 脳血管内治療チーム全体での症例は, 診断脳血管撮影が約 1,400 件, 治療が 500 件余りであったが, 術者としても 800 件超の診断撮影を行い, 治療は 80 件 ( 内訳として, 脳動脈瘤 45 件 ( うちステント使用 39 件 ), 血栓回収 10 件, 腫瘍 ( 脊椎含む )14 件, 硬膜動静脈瘻と CAS が各 4 件等 ) を担わさせて頂ける幸運に恵まれた. 海外留学に至った経緯, 経過や留学中に得ることができた経験が, 臨床医としての現状にいかなる影響を与えているか等を紹介する. 一JNET Vol.8 No.6 December
60 2-O34-5 神経内科医における脳血管内治療専門医取得のキャリアパス 聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター脳卒中科 高田達郎 Takada Tatsuro 植田敏浩 超急性期虚血性脳血管障害に対する血栓回収療法や頸動脈ステント留置術など, 脳血管内治療は脳卒中診療に携わる神経内科医にとっても避けて通ることのできない治療法のひとつとなった. しかし, その技術の習得や専門医取得の手段は, 一定期間のみ脳神経外科に所属する方法や脳神経外科での治療のみ参加する方法など, 限られているのが現状である. 一方, 超音波検査や脳卒中に対する内科的な管理などの脳卒中内科医としての素養を身につけることも必要であり, 脳血管内治療に費やす時間は限られている. 聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センターでは, 神経内科医が脳卒中内科医の素養を身につけながら, 脳血管内治療専門医も取得できる施設を目指した. 当センターは脳卒中科 9 名 ( うち 8 名が神経内科医 ), 脳神経外科 2 名で構成され, 脳血管内治療は主に脳卒中科が担当している. そのため, 神経内科医は虚血性脳血管障害以外にも脳血管内治療が適応となる未破裂および破裂脳動脈瘤や硬膜動静脈瘻なども主治医として担当することになる. 予定脳血管内治療症例の場合, 主治医は脳神経外科を含めた術前カンファレンスで治療適応や治療戦略をプレゼンテーションしている. この過程を経ることにより, 脳血管内治療の基礎知識を身につけることができる. また, 急性期, 慢性期ともに主治医として周術期管理も担当するため, 脳卒中内科や脳神経外科の知識も必要となる. 現在まで,5 名の神経内科医が脳血管内治療専門医を取得した. 当センターの現状を検証し, 神経内科医が脳血管内治療専門医を取得する上での問題点を考察する. 2-O34-6 九州大学神経内教室内での新入局者における脳卒中診療の志向変化 小倉記念病院脳卒中センター脳神経外科 松本省二 Matsumoto Shoji H 8 から H 25 年の間に九州大学神経内科の新規入局者の中での脳卒中診療, 脳血管内治療志向者の動向を調査した.18 年間に計 113 人中の新入局者があった. その中で入局時, 神経内科学の領域の中で将来, 脳血管障害を専門領域にしたいと希望した者は 14 人 / 113 人 (12%) であった. その中で脳血管内治療の研修まで希望した者は 11 人 (9%) であった. しかし, 昨年度 (H 25 年度 ) の新入局者は 7 人中 4 人が, 専門領域として脳血管障害を希望に挙げており, また現時点で, その 4 人全員が脳血管内治療の研修も希望している. 近年目覚ましい脳卒中医療の進歩が, 若い神経内科医の志向に影響を及ぼしているのかもしれない. 日本では人口に高齢化に伴い今後, 脳卒中患者数は確実に増加していく. さらに, 市民啓蒙や救急体制の整備が進めば, 急性期の脳血管内治療適応者数も増加すると思われる. 現時点でも脳血管内治療を行える医師数が全国的に少なく, 脳血管障害という common disease に 24 時間体制で戦うには不十分と思われる. 今後は多くの神経内科医の積極的な参加も必要と考える. しかし, そのためには, 脳卒中 脳血管内治療専門医として成長していけるようなシステムが, 全国の大学や脳卒中基幹病院に整備されていくことが必要と考える. 現時点で九州大学神経内科所属の日本脳神経血管内治療学会の専門医は 4 名となった. 全員神経学を学んだ後, 国立循環器研究センター脳血管内科や小倉記念病院脳神経外科や湘南鎌倉病院脳卒中診療科等の多くの先生方のご協力の元育てていただいた. 感謝の気持ちを忘れずに, 若い神経内科医の教育を通して明日の脳卒中患者さんのためのシステムを作りあげていきたい. 2-O34-7 育児中に脳血管内治療専門医を目指す女性医師のキャリアパス 筑波メディカルセンター病院脳神経外科 筑波メディカルセンター病院放射線科 筑波大学医学医療系脳神経外科 大橋麻耶 Oohashi Maya 上村和也 中居康展 椎貝真成 中村和弘 2, 鶴田和太郎 高橋利英 松村明 中尾隼三 目的 女性医師にとって出産と育児は人生の大きなイベントであり, 多忙な脳卒中診療の中でその両立は容易なことではない. 育児中に脳血管内治療専門医を目指すキャリアパスの現状について報告する. 病院の状況 当院は約 400 床の急性期病院で, 脳神経外科専門医 4 名, 専修医 2 名, 脳卒中内科医 1 名で, 脳卒中診療を行っている. 脳神経外科手術は年間約 400 例, そのうち脳血管内治療は約 50 例, 脳血管造影は約 200 例のペースで施行されており, 脳血管内治療指導医の赴任により脳血管内治療の症例は増加傾向にある. 脳神経外科医としてのキャリアパス 専門医取得前 (5 年目 ) に結婚, 翌年出産し, 育児休暇 (3 か月 ) を経て 8 年目で脳神経外科専門医を取得した. 現在短時間 (8 時 30 分 17 時 30 分 ), 週 4 日間の勤務形態となっている. 勤務上夜間, 休日の緊急手術や長時間の手術に入ることはできず, 育児期間中に多数の外科手術経験を積むことは難しいと考えられる. 脳血管内治療医としてのキャリアパス 現在は外来業務及び脳血管造影 脳血管内治療を主体とした勤務を行っているが, これらは比較的時間の調整が容易で治療手技のトレーニングも十分に可能である. チームのサポートにより育児期間中の限られた勤務時間であっても, 脳血管内治療専門医を取得可能な症例を経験できる環境である. 更にその実践に当たっては, 家族の理解と協力も極めて重要である. 考察と結語 近年若手女性医師は急増しており, 出産 育児期間中におけるキャリアの維持と活用は医療界全体の問題として解決すべき課題である. 脳血管内治療専門医取得にあたっても, 育児期間中にトレーニング可能な施設と勤務環境の整備が望まれる. 2-O35-1 不安定プラークに対する CAS 安全性を求めて 青森市民病院脳神経外科弘前脳卒中センター 竹村篤人 Takemura Atsuhito 飛嶋華 田畑英史 斉藤新 白戸弘志 はじめに 不安定プラークを伴う頚動脈狭窄は CAS のハイリスクの一つであるが総合的に CAS が有利な場合がある. そこで不安定プラークに対する安全性の高い CAS の方法について検討した. 対象と方法 2008 年 7 月 2014 年 7 月までに 86 例に対して CAS を施行し, そのうち術前プラーク評価で不安定プラークが確認された 40 例を対象とした.Protection 法は Filter 系 9 例,GuardWire (GW)31 例である. そのうち Parodi 法は高度狭窄病変の 14 例に選択している ( 平均 91.7%,p < 0.05). ステント留置法では 1 本単独が 29 例,2 本以上が 11 例で, そのうち stent in stent(sis) が 9 例であった.Protection 法, ステント留置法について術後 DWI 陽性所見をもとに比較検討した. 結果 術後に major stroke はないが肺炎等で 2 例が状態悪化した.DWI では 14 例に陽性所見を確認している.Protection 法別では filter 系 :5 / 9 例 (56 %), GW:9 / 31 例 (29 %) で陽性 (p = 0.1.Parodi 法でも 14 例中 4 例 (29 %) にとどまった. ステント留置法別でも 1 本とそれ以上で各々 10 / 29 例 (34 %),4 / 11 例 (36 %) に陽性を示し有意差はなかった.SIS でも同様であった.Parodi 法 + SIS 例では 6 例中 3 例 (50 %) に DWI 陽性であった. 考察 Parodi 法や SIS は手技が煩雑になるため同時に行うことで DWI 陽性率が高くなる. しかしステント内プラークを残存させないためには選択し得る手技と考えられる. 結論 Major stroke がなく mobidity rate 5 % は CAS の成績としては許容範囲内と考えられる. 状況に応じて Parodi 法や stent in stent を選択することで不安定プラークに対する CAS のリスク軽減が可能と考えられる 254 JNET Vol.8 No.6 December 2014
61 2-O35-2 般口演Tailored CAS 導入前後における周術期および中長期の治療成績 大阪脳神経外科病院脳神経外科 水橋里弥 Mizuhashi Satomi 木下喬弘 梶川隆一郎 井筒伸之 藤本康倫 久村英嗣 芳村憲泰 若山暁 森康輔 目的 頸動脈ステント留置術(CAS) において, 本邦でも複数のデバイスが使用可能となり, 欧州の RCT に比し本邦の周術期成績は良好である. 当施設でも症例に応じてデバイスを使い分けた CAS を施行しており, 周術期のみではなく中長期の治療成績を tailored CAS 導入前後で比較検討した. 対象と方法 2008 年 4 月から 2014 年 6 月の間に当院で施行された 130 CAS 施行例を対象とした. なお緊急症例は除外した. また,2008 年 4 月 年 3 月をフィルターデバイス群 (F 群 ),2010 年 4 月以降を症例毎に術前プラーク評価に基づき最適なデバイスを組み合わせたマルチデバイス群 (M 群 ) として解析を行った. 周術期治療成績は術後 30 日までの MAE( 脳卒中, 心筋梗塞, 死亡 ), 術後 48 時間以内の DWI- MRI 陽性率, 過灌流症候群 (HPS), 再狭窄の有無を, 中長期治療成績は MAE, 再狭窄の有無を比較検討した. 結果 F 群 46 例 ( 平均 73 歳 ),M 群 84 例 ( 平均 74 歳 ) であり, 塞栓保護デバイスは F 群 :M 群 Filter 80:71 %,Balloon 20:29 %,Proximal 43: 68 %, ステントは Precise 98:20 %,Wall 2:80 % と両群に使用の差異がみられた. 周術期治療成績は F 群 :M 群術後 30 日までの MAE 17:5 %, 術後 48 時間以内の DWI-MRI 陽性率 33:17 %, HPS 0:1 %, 再狭窄 4:0 %, 中長期治療成績は MAE 26:6 %, 再治療を要した再狭窄 4:4 % であった. 結語 プラーク診断および狭窄度などに基づいた Tailored CAS における周術期 Major adverse event が減少傾向にあり, 症例ごとにデバイスを使い分けることが有用であることが示唆された. 再狭窄は今後の課題ではあるが, 中長期成績も比較的良好で現時点での治療方針は妥当であると考えられた. 2-O35-3 当院における不安定プラークに対する tailored CAS の治療成績 宇部興産株式会社中央病院脳神経外科 池田典生坂倉孝紀中野茂樹藤井奈津美西崎隆文 Ikeda Norio 目的 頸動脈超音波検査と MRI プラークイメージングによる術前プラーク診断にて不安定プラークと診断し, 術前薬物療法, プロテクションデバイス及びステントを選択して施行した tailored CAS の治療成績を報告する. 対象 方法 対象は 2011 年 1 月から 2014 年 5 月まで tailored CAS を行った 103 例中の不安定プラーク例 34 例で, 男性 30 例, 女性 4 例, 年齢は 歳, 症候性 30 例, 無症候性 4 例であった. 術前薬物療法として抗血小板薬はアスピリン + クロピドグレル + シロスタゾールの 3 剤で, エイコサペンタエン酸 1 日 1800 mg とアトルバスタチン 1 日 20 mg を投与し, 投与期間は 30 日以上とした.CAS 手技は狭窄率 50% 以上 80% 未満では Carotid Guardwire PS による distal protection 下に行い, 虚血耐性が無い例は FilterWire EZ または Spider FX を使用した. 狭窄率 80% 以上では Parodi 変法による proximal protection 下にガイドワイヤーの病変通過あるいは前拡張を行い, その後を Carotid Guardwire PS による distal protection に変更し, 虚血耐性がない例は FilterWire EZ または Spider FX を追加した. ステントは原則 Carotid Wallstent で, 高度屈曲や石灰化病変は Protege RX を使用した. 結果 全例技術的成功が得られ, 術翌日に施行した DWI 陽性率は 6 / 34 例 (17.6%) で, 術後 30 日以内の虚血性事象は一過性が 2 / 34 例 (5.9%), 永続性が 0 / 34 例 (0%) であった. 結論 シロスタゾール, エイコサペンタエン酸, アトルバスタチンなどプラーク安定化作用がある薬物投与を術前に行い, 症例に応じてプロテクションデバイスとステントを選択する tailored CAS を行う事で不安定プラーク例での塞栓性合併症を減少させられる可能性がある. 一2-O35-4 Tailored CAS 導入前後の当院での治療成績 東京医科大学茨城医療センター脳神経外科 東京医科大学脳神経外科 大橋智生 Ohashi Tomoo 原岡怜 加藤大地 堤将輝 青柳滋 大賀優 渡辺大介 斉田晃彦 橋本孝朗 頚動脈ステント留置術が保険収載されて 6 年になるが, 近年ではステントやプロテクションデバイス等が複数の中から選ぶことが出来るようになった. 平成 22 年 3 月以降我々の施設では, 症例に応じた機材および手技の選択をする Tailored CAS を取り入れているが,Tailored CAS 導入前後における治療成績を比較し, 検討を行う. 平成 15 年 8 月から平成 26 年 7 月までに当院で施行された頚動脈ステント留置術 79 例を, 導入前 :47 例 ( 平成 15 年 8 月 平成 22 年 2 月 主としてバルーンあるいはフィルター型のプロテクションデバイスを使用 ) および導入後 :32 例 ( 平成 22 年 3 月 平成 26 年 7 月 デバイスおよび手技は症例に応じて選択 ) に分類し, それぞれの時期の周術期虚血合併症,DWI 陽性率, 遅発性脳梗塞 ( 術後 1 年以内 ) の発生率について検討した. 周術期虚血合併症は導入前 47 例中 3 例 (6.4%), 導入後は 32 例中 0 例 (0%),DWI 陽性率に関しては導入前 47 例中 8 例 (17.0%), 導入後は 32 例中 3 例 (9.4%) であった. なお遅発性脳梗塞は導入前が 2 例 (4.3%) で導入後が 1 例 (3.1%) となっていた.Tailored CAS の導入により周術期の虚血性合併症は明らかに改善が見られており, ほぼ満足な結果が得られている. ただし必ずしも想定していた投薬を行えなかったり, 術中に手技を変更せざるを得ないケースも見受けられる. また遅発性脳梗塞の発生率は改善出来ておらず, 今後の治療成績の更なる向上が望まれる. 今回我々は,Tailored CAS 導入後の問題点につき考察を加え報告したい. 2-O35-5 頸動脈 stent 治療における, 遠位 balloon protection と吸引血輸血の併用 徳島赤十字病院血管内治療科 徳島赤十字病院脳神経外科 徳島赤十字病院神経内科 佐藤浩一 Satoh Koichi 三宅一 花岡真実 仁木均 田村哲也 木内智也 新野清人 目的 術中の遠位塞栓予防が, 頸動脈ステント留置術の安全性を規定する重要な因子である. 現在, 頸動脈ステント留置術を安全に施行するため, 遠位 balloon protection を併用し, 吸引血液を cell strainer で濾過, 肉眼的に血栓が消失するまで継続している. 貧血を予防するため, 吸引血液を分離採取し, 自己輸血している. 対象 2007 年 11 月 2014 年 7 月までに, 頸部内頸動脈狭窄症で 233 病変を頸動脈ステント留置術で治療した ( 同時期の CEA は 45 件 ). この時期の当施設での CAS 症例を, 主に使用した protection 法により 4 期に分類し, 塞栓性合併症の頻度を比較, 現在施行している遠位 balloon protection と吸引血自己輸血の有効性を検討した. 結果 Angioguard 期 (2007 年 11 月 年 5 月 )85 病変では, TIA:4 病変,DWI 陽性率 64% であった.Filter Wire 期 (2010 年 6 月 2011 年 11 月 )51 病変では, 虚血性合併症 :4 病変,DWI 陽性率 :20.4% であった.Carotid Guardwire 期 (2011 年 12 月 年 9 月 )33 病変で虚血性合併症 1 病変,DWI 陽性率 :47.8% であった. 自己輸血期 (2012 年 10 月 年 7 月 ), 塞栓性合併症なし, DWI 陽性率 18.5% である. 貧血を心配せず血液吸引できるようになり,60 例塞栓性合併症を認めていない. 結語 遠位 balloon protection CAS を吸引血自己輸血併用で施行することにより, 塞栓性合併症を可能な限り減少させ, より安全な頸動脈狭窄治療が可能である. JNET Vol.8 No.6 December
62 2-O35-6 MOMA Ultra を用いた頚動脈ステント留置術の初期経験 香川大学医学部脳神経外科 おさか脳神経外科病院脳神経外科 1, 林直樹 Hayashi Naoki 河井信行 川西正彦 田宮隆 新堂敦 岡内正信 苧坂直博 頚動脈ステント留置術 ( 以降 CAS) 認可以降, 遠位塞栓防止器材 ( 以降 EPD) として各種 distal filter protection device と distal balloon protection device が順次選択可能となった. 昨年に CAS 用の proximal protection device として初めて MOMA Ultra( 以降 MOMA) が使用可能となり, 今回我々は MOMA を用いた CAS の初期経験について報告する. 対象 2013 年 1 月から 2014 年 6 月末で当院及び関連施設で行われた CAS 44 症例中,EPD として MOMA を使用した 9 例 (20.5 %), その他 distal filter を使用した症例が 24 例 (54.5 %),distal balloon が 11 例 (25 %) であった. 各々の器材の違いによる周術期合併症等を検討した. 結果 CAS 全 44 症例背景は, 平均年齢 70.0 歳, 男性 39 例 (88.6 %), 症候性 36 例 (81.8 %) で, 手技成功 44 例 (100 %), 術中有害事象出現 3 例 (6.8 %), 術後症候性脳梗塞 5 例 (11.4 %, 内 3 例が進行性脳梗塞であり手技に伴う症候性脳梗塞は 2 例 4.5 % のみ ) であった. MOMA 使用 9 例中 3 例で術後脳梗塞を来したが, 手技に伴う脳梗塞合併は 1 例であった. 考察 MOMA の使用は,Soft plaque や plaque 量が多いと予想される症例, 虚血耐性が保たれている症例, nearly occlusion や解離など遠位部に balloon を留置しにくい症例, 総頚動脈分岐角度の緩やかな症例等を考慮して選択した. 比較的硬いデバイスではあるが幸い 9 例全て目的位置に誘導でき, 留置が成功すれば安定した proximal protection が完成し手技継続の安心感が得られた. 結語 MOMA を用いた CAS を 9 例経験した. 全例手技は成功し,protection device として症例を選択すれば有効であると思われた. まだ症例は少ないが, 使用結果および使用時に気付いた問題点や工夫など含めて発表する. 2-O36-1 ProtegeRX の特徴と Tips & Tricks 国立病院機構豊橋医療センター脳神経外科 酒井秀樹 Sakai Hideki 石黒光紀 水谷大佑 西村康明 はじめに ProtegeRX stent は Precise よりも radial force が弱いが deploy しやすく,tapered と long-type のラインナップがあるのが特徴である. 今回は, この Protege の有用性, 問題点とその解決策について自験例から報告する. デバイスの選択 stent は Protege を第一選択としたが,Protege の初期経験から, 屈曲や石灰化の強い病変は Precise を選択した.IC と CC の血管径差が大きく short lesion の場合には tapered stent を使用した.long lesion の場合には, 直線的な vulnerable plaque では Wallstent を使い, それ以外は long Protege を使用した. なお, 当科の CAS は undersized balloon による控えめな PTA で行っている. 対象と結果 2012 年 11 月以降の CAS 連続症例 50 例を対象とした. 使用された stent は Protege:24,Precise:21,Wall:5,EPD は Spider:26, Guardwire:23,FilterWire:1 であり,18 例で Optimo,4 例で Mo.Ma を併用した. 使用した Protege は,tapered-type:13, straight-type 40 mm:2,60 mm:9 であった. 考察 taperedtype は血管の形状によく適合し良好な仕上がりであるが taperedshape であることの客観的な利点ははっきりしなかった. しかし, tapered-type の IC 側 cell の面積は CC 側より細い構造になっており,radial force が強すぎない事とあわせて soft plaque にも適していると思われた. 反面,straight-type では cell が大きいため, 控えめな PTA で行う CAS の場合には吸引カテなどのデバイスが stent 内で引っかかる場合があり注意が必要である.Protege stent の cell 構造と各種吸引カテの干渉に関する実験的考察とその対応策もあわせて報告する. 2-O36-2 後拡張を行わない頸動脈ステント留置術 (CAS) 施行 3 ヶ月後のステント外径の変化の検討 湘南鎌倉総合病院脳卒中センター脳卒中診療科 丹野雄平 Tanno Yuhei 森貴久 岩田智則 青柳慶憲 笠倉至言 吉岡和博 目的 Carotid artery stenting(cas) 施行時に後拡張を行わなくても自己拡張的にステント外径が拡大しうるのかを後見的に明らかにする. 対象 方法 対象は,2012 年 1 月 2014 年 3 月の間に後拡張を行わずに待機的 CAS を受け, 術後 3 ヶ月の血管造影を受けた患者. 患者基本情報,CAS 直後と CAS 3 ヶ月後 (CAS 3 M) の側面像でのステント最小外径を計測し, ステント外径の変化とステントの種類の関連について解析した. 結果 対象は 59 例 (62 病変 )( 平均年齢 74.9 才, 女性 10 例 ). 使用したステントは Closed 型 44 病変 (Carotid Wallstent 44 病変 ),Open 型 18 病変 (PRECISE 15 病変,PROTEGE 3 病変 ), ステント最小外径の中央値は CAS 直後で 3.27 mm( : 四分位範囲 (IQR)), CAS 3 M は 3.99 mm( :IQR) と有意に拡張していた (p < CAS 直後のステント外径 ( 中央値 ) は Open 型 : 3.59 mm,closed 型 :3.22 mm(p < 0.05),CAS 3 M のステント外径 ( 中央値 ) は Open 型 :4.05 mm,closed 型 :3.85 mm(p < 0.05) とどちらの時期も Open 型ステントの方が外径は大きかったが, 3 ヶ月後の拡張の程度 ( 中央値の差 ) はOpen 型 :0.46mm, Closed 型 :0.63 mm と Closed 型の方が大きい傾向にあった. 結論 CAS 施行時に後拡張を行わなくても 3 ヶ月後に約 0.55 mm 拡張する. 拡張の程度にステントによる違いはなかったが,Closed 型の方が大きい傾向があった.3 ヶ月時のステント外径は Open 型の方が大きかった. 2-O36-3 Distal balloon protection 下での CAS で回収された stump 内血液の解析 朝日大学歯学部付属村上記念病院脳神経外科 山下健太郎 Yamashita Kentaro 武井啓晃 宮居雅文 坂井聡太郎 郭泰彦 目的 当院ではプラーク性状に関わらず, 全例で Distal balloon protection 法で CAS をおこなっており良好な成績を得ている. この手技中に protection balloon 近位部の stump 内から採取された血液に種々の解析を行った. 対象 2013 年 8 月以降に CAS を行った男性 17 例, 女性 4 例の連続 21 症例 22 病変を対象とした. 方法 局所麻酔下に PercuSurge GuardWire を使用して Distal Balloon Protection を行い, 狭窄末梢血管と同径の PTA balloon で前拡張した後にステントを留置した. 後拡張は行わず吸引カテーテルで Protection balloon の直下より 10 ml の血液サンプルを回収し, その後 ml の血液を吸引して distal balloon protection を解除した. 回収した血液において血算, 生化学, その他分子生物学的マーカーを測定した. 結果 全 22 病変中, 術後 DWI 陽性病変 (DWI+ 群 ) は 14 病変, 陰性病変 (DWI- 群 ) は 8 病変であった. DWI+ 群と DWI- 群の間では狭窄度, 症候性病変率,MR black blood(bb) 法による T 1 high 率に有意差はなく, 回収した血液の解析データにも有意差は認めなかった. 一方,BB T 1 high 病変 (BB high 群 ) は 9 病変,T 1 iso または low 病変 (BB non-high 群 ) は 13 病変であった.BB high 群と BB non-high 群の間では high 群で回収した血液中の HDL 値が有意に低く,L/H 比,D-dimer, TNF- α 値が高い傾向にあった. 結論 今回 DWI+ 群における回収血液での特異的所見は見いだせなかったが,BB high 群の結果から HDL 値や L/H 比,D-dimer,TNF- α などが有意差を見出し得る候補と考えられたため, 今後も症例数を増やして検討したい. 256 JNET Vol.8 No.6 December 2014
63 2-O36-4 般口演頚動脈ステント留置術周術期の抗血小板活性の変動 VeryfyNow を用いた検討 土浦協同病院脳神経外科 芳村雅隆 Yoshimura Masataka 冨士井睦 廣田晋 山本信二 寺門利継 伊藤なつみ 武井孝麿 目的 頚部内頚動脈狭窄症に対する頚動脈ステント留置術(CAS) には適切な抗血小板療法が不可欠であるが,CAS 周術期の血小板活性の変動は明らかにされていない. 今回, 簡易に血小板活性を評価できる VerifyNow を使用して CAS 周術期の血小板活性の変動を調査した. 対象と方法 2013 年 3 月から 2014 年 7 月までの間に, 当院で待機的に CAS を施行し,VerifyNow による経時的血小板活性評価を行なえた 15 例を対象とした.Aspirin reaction unit (ARU) および P 2 Y 12 reaction nunit(pru) を CAS 施行前 (day 0), 翌日 (day,cas 施行後 3 日目 (day,7 日目 (day 7) に測定した. 結果 15 例の平均年齢は 74.4 ± 7.4 歳で, 全例男性だった. 症候性例は 10 例 (66.7 %) だった. 全例 1 週間以上 aspirin と clopidogrel の 2 剤を併用していた. 周術期に永続性の症候性虚血性脳卒中をきたした症例はなかった.ARU は day 0 で平均 ± 33.5,day 1 で平均 ± 49.6,day 3 で平均 ± 42.0,day 7 で平均 ± 39.6 だった.PRU は day 0 で平均 ± 66.1,day 1 で平均 ± 66.7,day 3 で平均 ± 90.5, day 7 で平均 ± だった. いずれも Friedman 検定で有意差のある変動を示し, 多重検定では day 1 でのみ有意に数値が上昇していた. 考察 CAS による塞栓症は手技中だけでなく, 手技後の急性期にも出現する事が報告されている.CAS に伴う血管内皮損傷や, 異物挿入によって血小板活性が亢進する事も一因と考えられるが, 今回, 我々の結果から CAS 翌日に血小板活性が上昇しても 3 日目には前値に復する事が明らかとなった.CAS の虚血性合併症をさらに低減させるには,CAS 直後に重点をおいた抗血栓療法の工夫が必要であると考えた. 2-O36-6 頸動脈ステント留置術における新たな血小板凝集能測定の試み 名古屋共立病院脳神経外科名古屋大学未来社会創造機構 入江恵子 Irie Keiko 乙供大樹 佐々木富男 目的 脳血管内治療において血栓塞栓性合併症の頻度は % といわれる. 術後の MRI 拡散強調画像では, 半数以上に虚血巣が認められたとの報告もある. 従って, 脳血管内治療において, 虚血性合併症の予防のために抗血小板療法が必要であり, 特にステント留置では強力な周術期の抗血小板療法が必要であり, 複数の抗血小板薬が用いられる. 十分な治療効果を得るためには, 患者個々の薬剤反応性を考慮する必要がある. 我々は, 新たな血小板凝集能測定機器であるセルダイン 4000(Abbot 社製 ) を用いて術前後の経時な血小板凝集塊および凝集能の変化を測定した. 対象および方法 頸動脈ステント留置症例の術前後に採血 (EDTA, クエン酸 ) し, 全血に対して ADP, コラーゲン ( それぞれ 0.1,0.2,0.5,1.0 μ モル ) を注入して凝集を惹起しセルダイン 400 を用いたレーザー分析法で凝集塊および凝集能を測定した. 周術期の抗血小板剤投与は通常のレジメンに従い行った. 結果 術前にクロピドグレル内服で低濃度 ADP 凝集能が明らかに抑制されていない例では術後の頭部 MRI 拡散強調画像で虚血病巣が多い傾向を認め, さらに術前に比較して凝集塊の増加および凝集能の亢進を認めた. 結論 頸動脈ステント留置例において, 術前後の注意深い血小板凝集塊および凝能の測定は合併症回避の上で有用な指標になり得る. 2-O36-5 全自動血液分析装置を用いた頚動脈ステント留置部における血小板凝集の検討 横浜市立脳血管医療センター脳神経血管内治療科 横浜市立脳血管医療センター神経内科 相模原協同病院脳血管内治療科 甘利和光天野悠工藤洋祐桔梗英幸今関良子 城倉健山本正博渋谷肇 Amari Kazumitsu はじめに 頚動脈ステント留置術(CAS) 後の予後良好例を増加させるためには術中 術後の脳梗塞の予防が重要である. この予防のために抗血小板剤 2 剤投与や遠位塞栓防止デバイスなどが用いられているが, 完全に脳塞栓症を防止することは困難である. 我々は, 脳塞栓の発生にステント留置部の血小板の状態が重要と考え, 全自動総合血液分析装置を用いてステント内の血小板自然凝集について検討したので報告する. 対象と方法 2014 年 3 月から6 月までの CAS 8 例が対象である.CAS は guard wire による塞栓防止デバイスを用い, ステントは主に Protege を用い石灰化が強い例は Precise を選択した. 手技では後拡張を行っている. 抗血小板剤はアスピリンとクロピドグレルが 7 例,1 例はクロピドグレルとシロスタゾールであった. 採血は, ステント内 ステント留置遠位 近位と対象として橈骨動脈からの採血を行った. これを EDTA 採血管とクエン酸管に分注し血小板凝集について分析した. 血小板集塊と術後拡散強調像,block blood 法によるプラーク性状, 使用ステントとの関係を検討した. 結果 A line からの採血ではごくわずかに白血球 - 血小板凝集を認めるのみであった.8 例中,2 例で血小板自然凝集塊を認め, ともに Precise の使用症例であった.6 例で様々な程度に白血球 - 血小板凝集が認められ, 主に Protege 使用例であった.BB 法によるプラーク性状と血小板凝集には関係を認めなった. 術後の拡散強調画像で新たな梗塞を認めた症例はなかった. 結論 抗血小板剤による効果は十分であっても, ステントの拡張力が強くなるとステント留置部周辺では血小板が凝集する可能性が示唆された. 2-O37-1 頚動脈プラーク性状の性別における違い 岸和田徳洲会病院脳神経外科 和歌山ろうさい病院脳神経外科 和歌山県立医科大学脳神経外科日本赤十字社和歌山医療センター脳神経外科 廣鰭洋子 岡田秀雄 Hirohata Yoko 松本博之 増尾修 鐵尾佳章 津浦光晴 西山弘一 寺田友昭 武本英樹 目的 外科治療の対象となる頸動脈狭窄症に占める女性の頻度は有意に低いが, 治療予後は男性に比較して良くないという報告がある. 自験例より, プラーク性状と周術期虚血性合併症に差が存在するかどうかを検討した. 対象 13 施設における頸動脈ステント留置術連続症例のデータベースを後ろ向きに検討. リスク因子および病変性状に性差が存在するかどうかを検討し, 周術期虚血性合併症の発生頻度についても検討した. 結果 登録された 274 症例のうち女性は 40 例 (14.6 %) と男性に比較して有意に少なかった. 症候性病変は男性 60.3%, 女性 57.5% であり有意差はなかった. 年齢および高血圧, 高脂血症, 糖尿病などの血管危険因子, 虚血性心疾患, 閉塞性動脈硬化症, 慢性腎臓病の合併率に男女間での有意差はなく, 喫煙率は男性 49.2%, 女性 6.2% と女性に有意に少なかった. MRI Black Blood 法での病変部高信号は男性 71.5% 女性 54.1%, MRI Time of Flight 法高信号は男性 37.1% 女性 21.1% でいずれも有意差はないが女性に低頻度の傾向があり, 頸動脈エコーでの低輝度プラーク出現頻度は男性 50.7% 女性 23.1% と女性に有意に少なかった. 周術期虚血性合併症は男性 4.7 %, 女性 2.5 % と有意差はないが女性に少ない傾向にあった. 結論 今回の検討では喫煙以外の血管危険因子および動脈硬化性病変の合併率に性差はなく, ソフトプラークおよび周術期虚血性合併症の頻度はむしろ女性に少ない傾向にあった. 全体での治療成績や長期成績についてはさらに検討する必要がある. 一JNET Vol.8 No.6 December
64 2-O37-2 頚動脈ステント留置術における血小板凝集能評価とプラークイメージングの有用性 国立循環器病研究センター脳神経外科 九州大学大学院医学研究院脳神経外科 丸山大輔 Maruyama Daisuke 石井大造 高橋淳 金丸英樹 菅田真生 井手口稔 佐藤徹 濱野栄佳 片岡大治 林正孝 飯原弘二 目的 クロピドグレルを含む抗血小板剤 2 剤を併用した頚動脈ステント留置術 (CAS) の周術期に, 血小板凝集能ならびに 3 T MRI を用いたプラーク評価をおこない, 術後の塞栓性合併症との関係について検討した. 対象と方法 対象は 2011 年 2 月以降に当科で CAS を施行した 45 例. 術前日に VerifyNow system を用いて Aspirin assay(aru) と P 2 Y 12 assay(pru) を測定した. プラーク評価は Magnetization prepared rapid acquisition with gradient echo(mprage) 法にて最狭窄部と distal ICA における external cross sectional vessel area の比 (Carotid remodeling index:cri) およびプラークと胸鎖乳突筋との intensity の比 (Relative signal intensity:rsi) を算出し,CRI 1.8 及び rsi 2.5 を cut-off としてプラークを 4 群に分類した. 術後の頭部 MRI-DWI にて同側の新規病変の有無を調査した. 結果 男性 42 例, 平均年齢 71.1(54-8 歳, 症候性病変が 20 例 (44.4 %) で術前狭窄度の平均は NASCET 79.3(± 8.%. 術後 DWI 陽性は 13 例 (28.9 %) であった. 単変量解析では狭窄度 (p= 0.008),PRU(p= 0.0, および CRI 1.8 かつ rsi 2.5(p=0.006) が術後 DWI 陽性の危険因子であった.PRU の optimal cut-off 値は 254(area under the curve:0.77;95 % confidence interval: ) であった. 結語 プラークイメージングならびに血小板凝集能を評価することで,CAS の塞栓性合併症のハイリスク群を同定できる可能性が示唆された. 2-O37-3 頸動脈ステント留置術において大量 Debris が発生した症例に関する検討 プラーク診断とプロテクションデバイスの重要性 千葉大学医学部脳神経外科 吉田陽一 Yoshida Yoichi 本島卓幸 小林英一 瀬戸口大毅 足立明彦 河内大輔 岡原陽二 砂岡宏和 中野茂樹 佐伯直勝 目的 頸動脈ステント留置術 (CAS) での最大の課題は塞栓症である. この原因となる debris への対策として, 確実な診断と有効なプロテクションが重要である. 最近ではプラーク MRI を用いた術前診断は必須と考えられている.CAS 施行中に大量 debris が回収された群に関して, その特徴と予知因子を分析し, 対策について検討した. 対象 方法 当院にて 2001 年 2014 年 7 月までに CAS を施行した 399 病変のうち, 大量 Debris を発生した 50 病変について術前評価, 治療方法および治療成績について対照群と比較検討した. 結果 平均狭窄率は 90.3%( 対照群は 86.3%) であり Near occlusion 症例 28 例 (56.0%) と高率 ( 対照群は 28.0%) であった. 術前評価としては,Black-blood 法によるプラーク MRI において,T 1 WI 高信号,T 2 WI 低信号を示し, 不均一に造影される所見が特徴的であった. 同一シークエンスによる比較では胸鎖乳突筋比にて T 1 WI 1.84( 1.6,T 2 WI 1.24( 1.4 と対照群より T 1 WI 高信号,T 2 WI 低信号の傾向であった. さらに治療方法では, 後拡張を施行した割合に有意差はないものの, 術中の IVUS にて plaque protrusion を生じ二重ステントとした症例が Debris 群にのみ 4 例に認めた. 治療成績に関しては, ステント内狭窄を来たした症例はなく, 対照群と比較して有意な差は認めなかった. 考察 CAS における大量 Debris 発生には術前のプラーク診断が重要であり, プラーク MRI にてプラーク内出血を呈する症例には注意が必要であると考えられた. ただし, 複数のプロテクションデバイスを組み合わせ, 適切な Debris 回収とステント留置直後の評価を行うことで比較的良好な治療成績を維持することが可能であった. 2-O37-4 CAS における TOF-MRA と BB-MRI の有用性 倉敷中央病院脳神経外科 紀之定昌則 Kinosada Masanori 山本優 沈正樹 福田仁 林晃佑 山形専 上里弥波 黒崎義隆 高山直樹 定政信猛 下大輔 半田明 背景 頚動脈ステント留置術 (CAS) において, 脳塞栓症のリスクが高いと言われる脆弱な plaque を識別する有用な方法として, time-of -flight(tof)mra や Black-Blood(BB)MRI が報告されている. 今回, 我々は CAS 術前に TOF-MRA,BB-MRI を共に撮影し, 術後 DWI 陽性との関連を後方視的に検討した. 方法 対象は 2006 年 4 月から 2013 年 12 月までに当院で施行した CAS 77 症例.TOF-MRA 陽性は肉眼的に評価し,BB-MRI は先行論文を参考に胸鎖乳突筋との信号比が (relative overall signal intensity;rosi)1.25 より大きい soft plaque を陽性とし, 術後の DWI 陽性との関連を検討した. 次に,BB-MRI 値を変化させて ROC 曲線を描き,DWI 陽性を最も鋭敏に感知するカットオフ値を算出した. 結果 TOF-MRA は有意に DWI 陽性と相関したが (chi-square test,p <( 全角 )0.00,roSI= 1.25 をカットオフ値とした BB-MRI は DWI 陽性と相関しなかった.(p= 0.12.BB- MRI の最適カットオフ値は 1.5 となり,DWI 陽性と有意に相関した (p <( 全角 )0.00. この値は, 先行論文での組織学的検討における intraplaque hemorrhage の検出値 rosi= と近似していた. 結論 DWI 陽性リスクを識別する術前検査として,TOF- MRA,BB-MRI( カットオフ 1.5) はともに有用であった. また, CAS 術後の DWI 陽性の予測にはプラークの硬軟よりも intraplaque hemorrhage の有無が関連していることが示唆された. 2-O37-5 VasoCT で術中プラーク評価は可能か? 頚動脈ステント留置術における後方視的検討 亀田総合病院脳神経外科亀田総合病院画像診断センター 田邉淳 Tanabe Jun 帯包雄次郎 松本梓 田中美千裕 坂田義則 門岡慶介 波出石弘 稲葉眞貴 佐藤和彦 山崎文子 池谷尚人 背景 近年高解像度な cone beam CT(CBCT) の発展により頚動脈壁や vasa vasorum(vv) の描出が可能となってきた. 今回我々は頚動脈ステント留置術 (CAS) における vasa vasorum の検出率とプラークの安定度について相関があるか検討した. 対象および方法 2014 年 1 月 8 月に施行された CAS 16 症例, 症候性 13 例, 無症候性 3 例 ; 年齢 61 歳 83 歳, 平均 72.3 歳. 全例全身麻酔下で, 遠位塞栓防止に Carotid Guard Wire を用い,open cell stent が使用された. ステント留置前に CBCT で狭窄部の撮影を行い, 得られたデータをワークステーションで再構成し,MIP 画像で評価し, 狭窄部の外膜が造影される症例を vasa vasorum(vv) 陽性群, 造影されない症例を VV 陰性群とした. その群間で術後 DWI 陽性率, 術前 MRI によるプラーク解析の相関について検討した. 結果 VV 陽性群は 9 例 (56.3%) で,VV 陰性群は 7 例 (43.7%) で DWI 陽性であった.2 群間で臨床背景に差は無かった. VV 陽性群では,VV 陰性群に比較して術後の DWI 陽性率が高い傾向があった (7 / 9 症例,77.8% VS 3 / 7 症例,42.9%;P = 0.18). また,16 症例中 12 例で術前 MRI プラーク評価を行っており,VV 陽性群では,VV 陰性群と比較して不安定プラークの割合が有意に高かった (9 / 9 症例,100% VS 1 / 3 症例,33.3%;P < 0.05). 結論 不安定プラークの外膜では vasa vasorum のレベルで血管新生が関与していることが示唆された. 高解像度 CBCT は vasa vasorum やプラーク内容を描出でき, 術中プラーク評価に有用であった. 258 JNET Vol.8 No.6 December 2014
65 2-O37-6 般口演頸動脈ステント留置術後の CTangiography における low density area についての検討 国立循環器病研究センター脳神経外科 九州大学大学院医学研究院脳神経外科 新潟大学脳研究所脳神経外科学教室 井手口稔 Ideguchi Minoru 石井大造 高橋淳 丸山大輔 菅田真生 佐藤徹 森田健一 林正孝 片岡大治 濱野栄佳 飯原弘二 背景 頸動脈ステント留置術(CAS) 後の評価に CT angiography (CTA) が汎用されているが, 術後早期に認められる in-stent lesion に関しての背景因子や予後との関連は明らかでない. 目的 CAS 術後早期の CTA における in-stent low density area(islda) に関して, 術前因子 ( 患者背景,MPRAGE でのプラーク性状, 抗血小板療法の内容 ) 術中因子( ステントの種類, サイズ, プロテクション法, 後拡張の有無 ) および予後との関連について検討した. 対象 方法 対象は 2011 年 2 月から 2014 年 4 月までに待機的に CAS を施行した連続 63 例中,CTA での術後評価を施行した 58 症例.CTA には TOSHIBA Aquillion One(320 -detector row) を用いた. 術後 4 7 日に実施した CTA 矢状断像において,stent strut と in-stent lumen との間に観察される低吸収域を IsLDA と定義した. 結果 Is LDA は 18 例 (31 %) に出現した. うち 16 例 (89 %) は無症候性に経過したが,2 例 (11 %) においては虚血性合併症 (TIA 1 例, 脳梗塞 1 例 ) を認めた. 検討因子の中では病変部の MPRAGE high(p= 0.01 と Open cell stent 留置例における術前の collagen 凝集能 (p= 0.015) が有意な相関を示した. 抗血栓療法継続により 5 例 (28 %) は 5 か月以内に完全に消失し,6 例 (33 %) は縮小傾向を認めた. 術後 1 年以内の同側梗塞および再狭窄との間に有意な相関は認められなかった. 考察 IsLDA については予後良好との報告が多いが, 本検討では進行性脳梗塞を呈した症例も認められ, 依然として病態には不明な点が多い. 今回の結果からは, IsLDA には plaque の不安定性とステント内血栓の双方の因子が関与していると考えられ, 抗血栓療法を中心とした注意深い経過観察が必要であると考えられた. 2-O38-1 急性脳主幹動脈閉塞症における各種デバイスの使い分け 医療法人財団報徳会西湘病院脳神経外科 竹内昌孝 Takeuchi Masataka 吉山道貫 後藤忠輝 富永二郎 小西善史 緒言 脳主幹動脈閉塞症における再開通療法は再開通に至る時間, 再開通率が予後に大きく関わる因子であることは明確である. 特に閉塞血管別での再開通率には差があり, 各種血栓回収デバイスの特性を十分に理解し, 迅速に再開通を得る技術が求められる. 今回我々は閉塞血管別での再開通に至る時間, および再開通率に着目し有効的デバイス選択に検討した. 方法 2010 年 10 月から 2014 年 7 月までに当施設に搬送され再開通療法を施行した急性脳主幹動脈閉塞症 112 例中,Penumbra system(max シリーズ )68 例, ステント型デバイス (Trevo Solitire)12 例の合計 80 例を閉塞血管部位に分類し,IC(cervical siphon terminal),mca(m 1 M, BA,PCA における再開通率, 手技時間をデバイス選択により検討した. 結果 両デバイスにおける TICI2b-3 は IC 67.2%, MCA 92.1 %,BA 88.1 %,PCA 85.1 % であった. デバイスによる両群差は顕著ではなかったものの,IC 閉塞とりわけ siphon, cervical では両群差があり, 吸引型 Penumbra system による double aspiration が有効であった. 結語 脳主幹動脈閉塞症における再開通療法は各種デバイスの特性を十分に理解することにより再開通率の向上と予後改善に寄与すると確信する. 2-O37-7 中等度以下の頸動脈狭窄病変の特徴大阪府立急性期総合医療センター 乾登史孝橋本宏之藤本憲太西口充久 Inui Toshitaka 谷直樹 堀内薫尾本幸治松岡龍太八重垣貴英 はじめに 現在までに発表された大規模臨床試験において, 頸動脈狭窄病変に対する外科治療適応決定因子は, 狭窄率と症候の有無である. 今のところ,50 % 未満の症候性狭窄病変に対する治療適応は確立していないが, 日常臨床でまれにそのような病変に遭遇する. 今回我々は,MRI プラークイメージを用いて, 低 中等度狭窄病変のプラークの特徴について検討したので報告する. 方法および結果 対象は, 月から 月において,MRI プラークイメージを CAS の術前診断として使用した 130 例とし,A) 50 % 未満症候性,B)70 % 未満症候性,C)80 % 以上無症候性,D) 80 % 以上症候性のグループに分けて検討した. 狭窄率,MRI プラークイメージにて relative signal intensity,remodeling ratio (RR) などを計測した.RR は A 群 1.47±0.16,B 群で 1.42±0.12, C 群で 1.08±0.11,D 群で 1.27±0.19 となり, 中等度以下の症候性狭窄病変において, 症候性高度狭窄病変と比較し RR が高い傾向を認めた. また, 無症候性高度狭窄病変が最も RR が低い傾向となった. 結語 症候性病変において, 低 中等度狭窄病変は, 高度狭窄病変に比して RR が高い傾向にあった.RR 高値が症候化の一因となっている可能性が示唆された. 2-O38-2 機械的血栓除去術における使用手技の特徴 局所血栓吸引術と血栓捕捉回収術 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター脳神経 脳卒中科 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター救急科 東京新宿メディカルセンター脳神経血管内治療科 国立循環器病センター病院脳血管内科 脳神経内科 山崎英一 Yamazaki Hidekazu 山本敦史 武澤秀理 今井啓輔 中村拓真 徳田直輝 濱中正嗣 猪奥徹也 1, 山田丈弘 竹上徹郎 傳和眞 池田栄人 目的 機械的血栓除去術では使用デバイスだけでなく使用手技の選択が重要である. 今回我々は使用手技毎の特徴を明らかにし手技毎に適する血栓を推測する 方法 Merci 導入後の 2010 年 10 月から 2014 年 8 月までに当施設で緊急脳血管内血行再建術を施行した 128 例中, 血栓除去デバイス (Merci,Penumbra:PS,Stentretriever:SR) を用いた主幹動脈閉塞連続 95 例を対象.PS のポンプ吸引 (48 例 ) での局所血栓吸引術 (localized clot aspiration technique) 群 (LA 群 ),Merci(13 例 ),PS での ADAPT/RAT(26 例 ),SR(8 例 ) による血栓捕捉回収術 (clot catch and retrieve technique) 群 (CR 群 ) に分類し, 両群で背景因子と成績を比較した. 複数手技使用時は血栓除去に最も寄与した手技に基づき分類した 成績 LA 群 (48 例 )/CR 群 (47 例 ) にて, 年齢中央値 76 / 76 歳, 術前 NIHSS 中央値 18(7-30)/ 21(2-37) 点,onset to door time 中央値 146 / 100 分,door to puncture time 中央値 138 / 108 分, 閉塞部位 (ICA-pM 1 -dm 1 -M 2 -VB) / であった.LA/CR 群にて, 完全再開通率 (TICI 2 B- 77 / 83 %, 硬い大きな血栓回収率 0 / 45 %,procedure time 中央値 93 / 91 分, 複数デバイス使用率 34 / 44 %,ENT 合併率 0 / 6 %, 症候性頭蓋内出血率 0 / 4 % であった.LA/CR 群にて,24 時間後 NIHSS 改善例 (4 点以上改善 )65 / 53 %,3 か月後予後良好 (mrs 44 / 40 % であった 結論 LA は pm 1 閉塞に多く使用され, 単独デバイス手技時の所要時間が長いが比較的安全であった. 一方,CR は ICA 閉塞に多く使用され, 合併症がやや多いが, 単独デバイス手技時の所要時間が短く, 硬い大きな血栓の回収もできた. これらより LA は軟らかい小さな血栓に,CR は硬い大きな血栓に適していると推測される. 一JNET Vol.8 No.6 December
66 2-O38-3 前橋赤十字病院における機械的血栓除去デバイスを用いた急性期血行再建の治療成績 前橋赤十字病院脳神経外科 公立藤岡総合病院脳神経外科 佐藤晃之 Sato Koji 朝倉健 吉澤将士 宮崎瑞穂 川島隆弘 若林和樹 山口玲 藤巻広也 目的 Merci retriever から Stent retriever への機械的血栓回収デバイスの進化を経て, 当科の急性期血行再建における再開通の程度や転帰の変化を検証し, 今後治療成績を改善するための方策を考察する. 対象 2012 年 5 月から 2014 年 7 月までに当科で急性期血行再建を施行した 21 例 22 病変を対象とした. 平均年齢 75.1 歳 (63 88 歳 ), 男 : 女 = 17:4. 閉塞部位は頚部内頚動脈 4 人, 内頚動脈 7 人, 中大脳動脈 11 人, 脳底動脈 2 人であった. 結果 考察 tpa 静注を 9 人 (43%) で施行. 急性期血行再建で使用したデバイスは,Merci 5 人 (24%),Penumbra 10 人 (48%),Stent 1 人 (5%),PTA 2 人 (10%),UK 動注 7 人 (33%),CAS 3 人 (14%). Merci は, 再開通率低く (TICI 2 B 以上 :0%), 頭蓋内出血率高く (60%), 退院時転帰不良 (mrs 5 6) であった.Penumbra 全体では, 再開通率 56%, 頭蓋内出血率 44% と Merci との比較では成績改善されたが, 満足いく結果ではなかった. しかし,ADAPT 法に限ると再開通率 71%, 頭蓋内出血率 29% と改善を認めた. また最新の症例で Trevo Provue を用いたが TICI 3, 後出血を認めなかった. 昨年の NEJM で急性期血行再建により再開通率上昇しても, 退院時転帰改善につながらないと報告されたが, 本報告でも同様に ADAPT 法で再開通率上昇しても退院時転帰は改善しなかった. 今後は発症から再開通までの時間短縮を目標に院内教育 プロトコール作りを行う必要があると考えられる. 2-O38-5 multi device 時代の急性期血行再建戦略 Penumbra forced suction 1 st での治療成績 横浜栄共済病院脳卒中診療科 脳神経外科 横浜栄共済病院脳卒中診療科 神経内科 藤沢市民病院神経内科 森健太郎 Mori Kentaro 北村佳久 関俊輔 川端雄一 上出智也 仲野達 玉瀬玲 横山睦美 野村素弘 背景 目的 Stent retriever(sr) の登場により, 急性血行再建療法に於いて再開通率の向上が期待されるが, 一方で Penumbra (P) も MAX series と forced suction technique(fst),adapt technique(adapt) の登場以降, 有用性が向上している. 当院での各時期での治療成績を報告するとともに,multi device 時代での治療戦略につき考察する. 対象 方法 当施設で 年に急性血行再建療法を行った脳梗塞 41 症例を対象とした. 治療戦略変更前後で, 第 1 期 (Merci + P 前期,22 症例 ), 第 2 期 (P 後期, 16 症例 ), 第 3 期 (Multi device 期,3 例 ) の 3 群に分け検討した. 第 3 期では, 基本的にまず P での FST を試み, 再開通困難な症例に対し P と SR を併用するという治療方針を取った. ただし状況に応じて最適と思われる device を優先する. 結果 第 1 期と第 2 期の比較では, 手技時間は 分 vs 82.8 分,TICI 2 b- 3 の再開通率は 52.9 % vs 80.0 %,3 ヶ月後 mrs 0-2 の予後良好例は 18.8 % vs 30.0 %, 出血性合併症率は 31.3 % vs 10.0 % といずれも第 2 期で良好な結果であった. 第 3 期では現在まで全例で TICI 2 b- 3, 出血例はない. 考察 当科では P での FST を 1 st line とした治療戦略で急性血行再建療法を行っており, その再開通率, 出血率とも良好である.P 1 st の利点として, 良好な再開通率と安全性が挙げられる.FST,ADAPT での再開通率は SR に劣らない成績が報告されており, 安全性に於いても P は SR より低い出血率が報告されている.SR 併用時にも血管直線化に伴う穿通枝損傷の軽減, 遠位塞栓や新領域への塞栓の低減効果も見込まれる. 更に閉塞部にアテローム性病変が潜んでいる場合,SR に比し内皮損傷の軽減も期待される. 2-O38-4 機械的血栓除去術における Penumbra MAX の有用性の検討 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター脳神経 脳卒中科 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター救急科 東京新宿メディカルセンター脳神経血管内治療科 国立循環器病研究センター病院脳血管内科 傳和眞 Tsuto Kazuma 山本敦史 武澤秀理 今井啓輔 猪奥徹也 徳田直輝 濱中正嗣 中村拓真 山田丈弘 竹上徹郎 山崎英一 池田栄人 目的 急性期脳梗塞に対する Penumbra MAX の有用性を, 従来の Penumbra system における治療成績と比較し明らかにする. 方法 2006 年 5 月から 2014 年 5 月までの当施設での ENER 連続 217 例中,Penumbra System を用いて血栓除去を施行した例を対象とした. 対象において Penumbra MAX を用いた血栓除去術群 (M 群 ) と従来の Penumbra System による血栓除去術群 (P 群 ) の二群に分け, 背景因子, 手技内容, 成績について検討した. 結果 M 群 32 例,P 群 42 例であった. 背景因子について M 群 /P 群で, 年齢中央値は 77.5(36-89)/ 75(31-88) 歳, 術前 NIHSS 中央値は 24(7-36)/ 18(7-30) 点,ASPECT score 中央値は 6.5 (3-10)/ 7(4-10) 点, 閉塞部位 (ICA-MCA-ACA-VB) は / 例,onset to picture time 中央値は 177.5(64-66/ 170( 分,picture to puncture time 中央値は 67 (42-157)/ 75(36-219) 分であった. 手技内容について M 群 /P 群で,tPA 静注先行例は 8(25 %)/ 12(29 %) 例, 複数手技使用は 11(34 %)/ 27(64 %) 例,RAT 併用は 19(59 %)/ 7(17 %) 例であった. 手術成績について M 群 /P 群で, 完全再開通 (CR; TICI 2 b- は 28(88 %)/ 30(71 %) 例, 平均手術時間は 67 / 117 分, 無症候性のクモ膜下出血は 4(13%)/ 5(12%) 例, 症候性頭蓋内出血は 0 / 1 例であった. 臨床経過について M 群 /P 群で, 術後 24 時間での NIHSS 4 点以上の改善は 19(59 %)/ 26 (62%) 例でみられ ( 術後 24 時間の NIHSS 中央値 14.5 / 12.5 点 ), 予後良好例 (3 か月後の mrs は 13(41 %)/ 18(43 %) 例であった. 結論 Penumbra MAX 導入により手術時間が短縮し, 単独手技率が増えた点で有用であった. 重症例に実施することが多くなったものの予後の悪化はみられなかった. 2-O38-6 急性再開通治療における ADAPT (A Direct Aspiration first Pass Technique for stroke thrombectomy) と Penumbra system 従来法の比較 中村記念病院脳神経外科 遠藤英樹 Endo Hideki 片岡丈人 荻野達也 高平一樹 中村博彦 目的 ADAPT(A Direct Aspiration first Pass Technique for stroke thrombectomy) による急性再開通療法の治療成績を Penumbra System 従来法 (Separator) と比較 検討したので報告する. 対象と方法 2011 年 10 月から 2014 年 7 月まで, 当院で Penumbra System を用いて急性再開通治療を施行した 34 例を対象とし,ADAPT 13 例と従来法 21 例の治療成績を後方視的に比較 検討した. 検討項目は患者背景,TICI 2 b 以上の再開通率, 完全再開通率,Guiding catheter 誘導から TICI 2 b 以上の再開通までの時間, 術後 30 日の転帰などとした. 結果 ADAPT 13 例は平均年齢 75.8 歳, 男性 9 例 (69 %), 平均 NIHSS 20.1,rt-PA 静注療法 6 例 (46 %), 閉塞血管 : 頭蓋内内頚動脈 1 例, 中大脳動脈 9 例, 脳底動脈 3 例であった.2 例で Separator 使用を追加したが, そのうち 1 例は再開通が得られなかった. 従来法 21 例は平均年齢 75.4 歳, 男性 15 例 (71 %), 平均 NIHSS 20.1,rt-PA 静注療法 15 例 (71 %), 閉塞血管 : 中大脳動脈 16 例, 脳底動脈 4 例, 後大脳動脈 1 例であった.1 例で PTA を追加し, 完全再開通を得た. TICI 2 b 以上の再開通は ADAPT 11 例 (85 %), 従来法 15 例 (71 %) であった.TICI 3 は ADAPT 8 例 (62 %), 従来法 3 例 (14 %) であり, 完全再開通率は ADAPT が従来法より有意に高かった (p < 0.0.Guiding catheter 誘導から TICI 2 b 以上の再開通までの平均時間は ADAPT 20.6 分, 従来法 43.4 分であり, ADAPT が従来法より有意に短かった (p < 0.0. 術後 30 日 mrs 0-2 は ADAPT 8 例 (62 %), 従来法 7 例 (33 %) であった. 両群とも手技に伴う合併症はなく, 死亡例もなかった. 結語 ADAPT は Penumbra System 従来法より短時間で有効再開通が得られ, 完全再開通率が高かった. 260 JNET Vol.8 No.6 December 2014
67 2-O39-1 般口演急性期脳主幹動脈閉塞に対する stent retriever の有効性の検討 社会医療法人ペガサス馬場記念病院 雨宮健生 Amemiya Takeo 伊飼美明 宇野淳二 魏秀復 長岡慎太郎 亀田勝治 上坂十四夫 目的 急性期脳主幹動脈閉塞に対する機械的血栓回収療法として 2011 年から Penumbra system が使用可能となり, 近年 ADAPT technique(psa) が導入され有効性が示唆されている.2014 年 7 月から stent retriever(sr) が使用可能となり, 当院では現在 SR first による機械的血栓回収療法を行っている. 治療成績と問題点について検討した. 方法 PSA を用いるようになった 2013 年 10 月から 2014 年 7 月までの機械的血栓回収療法の対象となった患者 44 人に対し,PSA first で加療を行った群 (PSA 群 ),SR first で加療を行った群 (S 群 ) に分類し, 再開通率, 再開通に要した手技時間, 出血性合併症, 退院時 mrs について検討した. 結果 PSA 群は 34 例で, 閉塞血管は ICA 11 例,M 1 9 例,M 2 7 例, PCA 3 例,BA 3 例,VA 1 例であり, 手技時間は平均 43 分, TICI 2 B 以上の再開通率は 85.3% であった. 退院時 mrs 0-2 の割合は50% であった. 一方 S 群は10 例で,ICA 1 例,M1 6 例, M 2 1 例,PCoA 1 例,BA 1 例であり, 手技時間は平均 54 分, TICI 2 B 以上の再開通率を得た症例は 100 % であり, 退院時 mrs 0-2 は 40 % であった. 両群とも PH 2 は 0% であった. 結論 PA 群での再開通率は高く, それに伴い良好な転帰 (mrs 0 - をたどる患者が 50 % だった. 一方, 症例数は少ないものの S 群では PA 群と比較し TICI 2 B 以上の再開通症例は増加した.SR の有効性が示唆されたが,SR 単独で治療を行った症例が 5 例, その他, 救済治療を加えたものが 5 例であり, 今後, 更なる検討が必要である. 2-O39-2 当施設での stent-retriever の初期使用成績 その有用性と課題 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター脳神経 脳卒中科 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター救急科 東京新宿メディカルセンター脳神経血管内治療科 国立循環器病研究センター病院脳血管内科 傳和眞今井啓輔濱中正嗣山田丈弘山崎英一 Tsuto Kazuma 山本敦史猪奥徹也竹上徹郎池田栄人中村拓真 目的 急性主幹動脈閉塞に対する stent-retriever の初期使用成績より有用性と課題を明らかにする 方法 2014 年 5 月から 2014 年 8 月までに stent-retriever を用いて機械的血栓除去術を実施した 9 例を対象. 対象において背景因子, 手技内容, 成績について検討した 結果 男性 4 例, 平均年齢 64 歳, 術前 NIHSS 中央値 20 点, ASPECTscore 中央値 6.5 点, 閉塞部位 (ICA-MCA-ACA-VB) 例,onset to picture time 中央値 360 分,picture to puncture time 中央値 67 分であった.tPA 静注先行 2 例, 複数手技使用 6 例であった. 使用 stent-retriever は Solitaire 8 例,Trevo 1 例, guiding catheter はバルーン付 6 例,microcatheter は Marksman 6 例,PX SLIM 3 例であった.Support catheter として Penumbra 4 MAX を 3 例で使用していた.Stent-retriever は 9 例に対して合計 11 回 ( 平均 1.2 pass) 展開した. 完全再開通 (TICI 2 b- 8 例 (89 %), うち TICI 3 3 例 (33 %),Procedure time 平均値 104 分. 術後の無症候性くも膜下出血は 4 例で, 全例が 70 歳以上かつ屈曲の強い M 1 遠位部 /M 2 の stent 展開例であった. 症候性頭蓋内出血は 1 例で発症した ( 術後 10 日目 ). 合計 11 回の stent 展開中 10 回に immediate flow restoration(ifr) がみられた. 待機中の IFR 消失の 2 例では stent の struts 内側に軟らかい血栓が捕捉されていた. 一方,IFR 消失なしの 4 例では stent struts 外側に硬い血栓が捕捉されていた. 術後 24 時間の改善 (NIHSS 4 点以上 ) は 7 例 (78 %) でみられた 結論 Stent-retriever では完全再開通が高いが, くも膜下出血合併率も高い.M 1 遠位部から M 2 に使用時は,support catheter 使用とともに,stent struts 外側での血栓捕捉も念頭においた stent 展開位置の決定が重要である. 一2-O39-3 ステント型血栓回収デバイスを用いた急性期血行再建術の初期成績聖マリアンナ医大東横病院脳卒中センター 植田敏浩 Ueda Toshihiro 深野崇之 小野元 高田達郎 高石智 野越慎司 萩原悠太 宮下史生 徳浦大樹 吉江智秀 水庭宜隆 目的 本年 7 月にステント型血栓回収デバイスが認可された. 今回は当院における本デバイスを用いた急性期血行再建術の現状と問題点について報告する. 特に当院における各種デバイスの選択方法や組み合わせについて報告する. また従来の血栓回収デバイスとの比較を行った. 方法 2014 年 5 月以降, ステント型血栓回収デバイスを用いて急性期血行再建術を施行した 9 例を対象とした. 平均年齢は 80 歳, 男性 5 例で,CEI 7 例, 来院時平均 NIHSS 20 であった. 閉塞部位は ICA 3 例,MCA 4 例,BA 1 例,PCA 1 例であった. tpa 静注は 4 例に施行した. 治療適応の選択には MRI と CT perfusion を用いた. これらの治療成績をまとめると共に, 従来の血栓回収デバイスを使用した 70 例との比較検討を行った. 成績 TICI2B 以上の再開通は 8 例, 穿刺から再開通までの時間は 60 分以内が 4 例であった. 単独デバイス使用は 6 例 (Trevo5, Solitaire, 両者使用 1 例,Penumbra 併用 2 例であった. 単独デバイス使用例では 1-2 パスでほぼ完全開通が得られた.M 2 や PCA 等の末梢血管には Trevo を用いた.Penumbra 併用例はバルーン付きガイディングが留置困難な症例とした. デバイス使用に伴う合併症はなく, 症候性頭蓋内出血もなかった. 結論 ステント型血栓回収デバイスを用いた血栓回収療法は, 従来のデバイスと比べて再開通率は向上し, 再開通までの時間も短縮され, 手技に伴う合併症も少なかった. 今後さらなる治療成績の向上のためには, 来院から再開通までの時間をできる限り短縮すること, 画像診断による厳密な治療適応の選択が重要となる. 2-O39-4 Solitaire FR を用いた急性期脳梗塞治療の初期成績 :M 2 lesion に対する有用性と驚異的な治療時間の短縮 昭和大学医学部脳神経外科 国家公務員共済組合連合会虎の門病院脳神経血管内治療科昭和大学江東豊洲病院脳血管センター 昭和大学医学部内科学講座神経内科学部門 奥村浩隆 Okumura Hirotaka 松丸祐司 栗城綾子 水間啓太 河村満 水谷徹 中條敬人 久保美奈子 藪崎肇 川内雄太 神谷雄己 加藤大貴 はじめに 2014 年 7 月より Solitaire FR が保険承認された. 当院では Solitaire FR を導入後, 急性期再開通療法の第一選択としている.M 2 病変においても良好な再開通を得られ, 治療時間も著明に短縮したため報告する. 方法 2013 年 5 月より 2014 年 7 月までに治療を行った急性期再開通療法 30 例において Penumbra 使用 20 例 (P 群 ) と Solitaire 使用 6 例 (S 群 ) で, 治療成績を比較検討した. 比較項目は, 再開通率 (TICI 2 b 以上および, 治療時間 ( 穿刺から 2 b 以上の再開通まで, もしくは, 治療終了まで ), 手技に起因する症候性頭蓋内出血 (sich) とした. また,M 2 領域の治療成績についても検討した. 結果 P 群および S 群で, それぞれ再開通率は,2 b 以上が 90% と 100%,3 が 20 % と 50 %, 治療時間は 分 ( 中央値 101 分, 平均 100 分 ) と 分 ( 中央値 22 分, 平均 50 分 ),sich は 5% と 0% であった. また M2 閉塞において,P 群 4 例における Penumbra 単独での再開通率 (2 b 以上 ) が 25 % であったのに対して,S 群 4 例では Solitaire 単独で 100 % であった. これら M 2 病変に使用した Solitaire はすべて 4*20mm で,1 例を除き 1pass にて再開通出来た. 考察 Solitaire を使用することによって治療時間を著明に短縮することが出来た. 全体の再開通率だけでなく M 2 病変では明らかな差を認めた.M 2 病変に使用する Solitaire のサイズについて議論されることが多いが, 当院では 4 mm にて全例再開通しており, 現在の所, 6 mm の必要性を感じていない. 結果 Solitaire を使用することによって Penumbra に比べて治療時間が著明に短縮できる可能性がある. また,M 2 の再開通率も改善できると考えられる. JNET Vol.8 No.6 December
68 2-O39-5 急性期血行再建術における ADAPT, stent retriever 導入後の治療成績の変化 小倉記念病院脳神経外科 西秀久 Nishi Hidehisa 五味正憲 渡邉定克 中原一郎 坂真人 永田泉 太田剛史 岡田卓也 松本省二 園田和隆 石橋良太 高下純平 目的 脳主幹動脈閉塞における急性期血行再建術において,2014 年 2 月以降, 当施設では ADAPT あるいは stent retriever を第一選択とした治療戦略に変更した. 治療戦略変更前後での治療成績の変化を比較検討した. 方法 当院で 2006 年 5 月から 2014 年 8 月までに急性期血行再建術を施行した 111 例を対象とした. これらを ADAPT,stent retriever 導入前の 99 例と導入後の 11 例 (ADAPT 7 例,Solitaire 3 例,Trevo 2 例 ) の 2 群に分け, 患者背景因子 ( 年齢, 性別, 併存疾患 ), 術前因子 ( 閉塞血管,IV tpa 使用の有無, 発症 - 病院到着時間, 病院到着 - 穿刺時間 ), 治療成績 ( 退院時予後良好 :mrs 0-2, 再開通率 (TICI 2 b 以上 ), 頭蓋内出血 (SITS- MOST 分類 ), 手技時間 : 穿刺 - 再開通時間 )) を比較した. 結果 導入前 vs 導入後で, 年齢 :72 歳 vs 71 歳 (p= 0.78), 女性 :34 % vs 41 %(p= 0.6,tPA 使用 :36 % vs 58 %(p= 0.1, 発症 - 病院到着時間 :106 分 vs 151 分 (p= 0.3, 病院到着 - 穿刺時間 :137 分 vs 96 分 (p= 0.19) であった. 治療成績は, 退院時予後良好 : 22 % vs 45 %(p= 0.10), 再開通率 :55 % vs 75 %(p= 0.19), TICI 3 症例 :27 % vs 66 %(p= 0.007), 手技時間 :103 分 vs 74 分 (p= 0.10), 頭蓋内出血 :22 % vs 16 %(p= 0.65) であった. 結論 ADAPT 及び stent retriever の導入後に治療成績 ( 退院時予後, 再開通率, 手技時間 ) が改善する傾向が見られた. 特に TICI 3 達成率の大幅な上昇が予後に寄与する可能性が考えられた. しかし, tpa 施行率の上昇や病院到着 - 穿刺時間の短縮なども認められ, 当院での脳卒中急性期診療体制の改善やこれに伴う Ⅳ tpa 適応の拡大が影響している可能性も考慮された. 2-O39-6 出血性合併症の原因究明に向けて : ステント型血栓除去デバイスの動態構造解析 静岡県立総合病院脳神経外科株式会社 Medfrontier 藤本基秋 Fujimoto Motoaki 正林康宏 目的 ステント型血栓除去デバイスが認可され, その高い再開通率から急性期脳梗塞における血管内治療の役割に期待が高まっている. ただ, 治療後にくも膜下出血や血管解離を引き起こすことが報告されており, デバイス回収時の血管構造の変化や, 血管壁に対する過度の応力集中が原因として考えられる. 今回我々は屈曲血管に留置した血栓除去デバイスの回収に関して動態構造解析を行い, ステント型デバイスが血管壁に与える影響を分析した. 方法 屈曲したブタの Ascending pharyngeal artery の実形状モデルを使用し, 拡張したステント型デバイス (Solitaire FR) の回収について構造解析を行った. 経時的な血管構造の変化と, 半径方向応力など各種応力パラメーターを定量的に評価した. 結果 血栓除去デバイスが血管屈曲部を通過する際には血管の直線化が見られ, 特に屈曲部小弯側では半径方向応力に加え, 長軸方向応力が高値を示した. 結語 我々の方法を用いることで, 血栓除去デバイス回収時におけるステントデバイスと血管壁との相互作用を想定することができた. 屈曲血管におけるステントの挙動や血管壁における応力分布の変化を予見することは, 血栓回収療法の最適化を進めるだけでなく, 新規デバイスの開発に役立つと考えられる. 2-O40-1 出血源に重点をおいた部分的脳動静脈奇形塞栓術の有用性 長崎大学医学部脳神経外科 長崎大学医学部放射線科 林健太郎 Hayashi Kentaro 諸藤陽一 堀江信貴 出雲剛 森川実 山口将 福田修志 目的 近年,AVM の塞栓術は液体塞栓物質の承認に伴い, ナイダスを積極的に塞栓する方法が広まりつつある. 一方で術後 AVM からの出血の危険性があり, 手術のタイミングや全身麻酔の継続といった課題がある. われわれはナイダスへの塞栓物質の流入は術後出血の危険性が高いと判断し, 流入動脈, 流入動脈瘤やナイダス内瘤など出血源に重点をおいた部分的塞栓術を施行しており, その有用性について報告する. 方法 2006 年から 2014 年までに診療した脳脊髄 AVM 78 例ついて検討した.26 例に対して塞栓術 (31 治療 ) を施行した. 男性 19 例, 女性 7 例で, 平均年齢は 43.1 歳であった. 塞栓術は局所麻酔または全身麻酔下に離脱式コイルおよび NBCA で塞栓した.NBCA を使用する際にはコイルを併用したり, バルーンガイディングカテーテルを用いて flow control し, 極力 NBCA がナイダスや導出静脈に流れ込まないようにした. 塞栓術後に 16 例で開頭術,3 にラジオサージェリーを施行し, 塞栓術単独は 7 例であった. 成績 塞栓術後の脳内出血はみられなかった. 塞栓術の合併症は 1 例で脳梗塞による記憶障害が遷延した. 手術摘出例においては術中の出血は少なく, 摘出は比較的容易であった. 摘出術後に 1 例で高次脳機能障害の悪化がみられた. 部分塞栓単独例の経過 ( 平均 3.8 年 ) も良好で,1 例でシャント術後に頭蓋内圧亢進症状が改善した. 結論 AVM は根治術が困難な場合もままある.AVM の自然歴は必ずしも悪くない.AVM 出血部位の診断が重要であり, 治療の合併症を極力減らした治療戦略が重要である. 出血源に重点をおいた部分的 AVM 塞栓術は有用である. 2-O40-2 AVM に対する Scepter balloon catheter を用いた balloonassisted Onyx embolization の有効性 昭和大学医学部脳神経外科 国家公務員共済組合連合会虎の門病院脳神経血管内治療科 奥村浩隆 Okumura Hirotaka 川内雄太 松丸祐司 杉山達也 中條敬人 水谷徹 藪崎肇 久保美奈子 目的 2013 年 9 月より当院では AVM 塞栓術の際に Scepter を用いた balloon-assisted Onyx embolization を第一選択としている. 従来のカテーテルに比べて遥かに大量の Onyx を安全に注入でき, 良好な塞栓が得られたので報告する. 対象, 結果 2013 年 4 月より 2014 年 7 月までに AVM 11 例に対し 16 回の術前塞栓術を行い, そのうち 4 例に対し Scepter を用いた balloon-assisted Onyx embolization を行った. 女性 1 例, 年齢 歳 ( 平均 33.5 歳 ). 発症様式は出血 1 例, 頭痛 2 例, 無症候 1 例. 病変の長径は mm( 平均 40.8 mm).scepter の使用回数は 1 回が 3 例,2 回が 1 例であった.2 例では high flow feeder から塞栓した. 動脈 1 本あたりの注入量は, ml( 平均 4.64 ml) となった. 一方, Marathon では ml( 平均 0.53 ml) であった. 全例 Scepter にて nidus の大部分を塞栓出来た. バルーン拡張後は, 容易に plug & push 様の注入が行えた. 終盤には側副血行路を介した逆流や, バルーンカテーテルの押し戻しにて注入を終了することがあった. カテーテル抜去の難渋は 3 回認められたが,Fubuki 4.2 Fr の併用で全例出血無しに抜去できた. 一方,Scepter はバルーン周囲が固く, 屈曲部や末梢への誘導は困難であった. 合併症として,1 例で microguidewire による解離と無症候性 SAH を生じた.3 例に追加塞栓を行った. 考察 Scepter にて大量の Onyx を注入することができた.Onyx が不向きな High flow feeder に対しても有用であった. カテーテル到達性は Marathon の方が優れており, 遠位部や蛇行が強い枝には従来法が良いと考えられた. 結論 Scepter を用いた AVM 塞栓術は非常に有効で, 従来の常識を覆す様な大量の Onyx を注入することが出来た. 262 JNET Vol.8 No.6 December 2014
69 2-O40-3 般口演液体塞栓物質を用いた TAE の脳動静脈奇形の治療戦略に果たす役割 和歌山ろうさい病院脳神経外科 和歌山県立医科大学附属病院脳神経外科 石岡循環器科脳神経外科病院脳神経外科 岸和田徳洲会病院脳神経外科 5) 新潟脳外科病院 戸村九月 Tomura Nagatsuki 岡田秀雄 松本博之 松崎丞 新谷亜紀 5) 藤本剛士 田中優子 寺田友昭 河野健一 大島幸亮 吉村良 増尾修 緒言 2008 年に Onyx が本邦に導入後, 脳動静脈奇形 (AVM) に対する塞栓術は集学的治療の 1 つとして地位を確立しつつある. 今回, 当院とその関連施設における AVM の治療戦略を検討した. 対象 2008 年からこれまでに当院およびその関連施設で血管内塞栓術を施行した AVM 38 症例について検討した. そのうち主に NBCA で塞栓されたものは 14 例, 主に Onyx で塞栓されたものは 24 例であり, それぞれ 27 本,65 本の血管が塞栓された.Onyx は原則 plug and push 法を試み, その他 simple push 法や Scepter balloon catheter を併用した塞栓術も行った.high flow shunt に対する flow control は主に coil を使用した. 結果 NBCA 群 3 / 14 例,Onyx 群 2 / 24 例で完全閉塞が得られ, それらは全例 Grade 3 までの小さな AVM であった. 大きな Grade 3 の AVM は最大 4 回の embolization が施行されており,Grade 4,5 の症例には, 全例で Staged embolization を施行していた. 塞栓術後の治療として 16 例で開頭摘出術,9 例でガンマナイフを選択している. ガンマナイフ例は, 患者の希望が強いものや eloquent area かつ深部病変であるもの, 術後残存症例であり,staged embolization 症例では経過観察となっている症例が見られた.Scepter balloon catheter を用いた症例では,plug の作成が容易であり, カテーテルの引き抜きに際しても比較的安全であった. 結語 plug and push を用いた Onyx の塞栓術は有効であるが, 完全閉塞の得られる症例は low grade に限られる.high grade AVM では,Staged embolization と開頭術やガンマナイフを含めた治療を行っている. 2-O40-4 Onyx を第 1 選択とした効果的な AVM 塞栓術 京都大学医学部脳神経外科新潟大学脳研究所脳神経外科 長谷川仁 Hasegawa Hitoshi 伊藤靖 西野和彦 藤井幸彦 はじめに Onyx を第 1 選択とした効果的な AVM 塞栓術の方法を自験例から検討 提示する. 対象 2010 / / 11 の間, AVM 31 例に対し外科摘出術前提の Onyx 塞栓術を計 43 回施行した.S-M grade 1-2:21 例,S-M grade 3-5:10 例. 結果 1 回の治療で塞栓した feeder は 1 3 本で合計 80 本.feeder には最長 69 分, 最大 8.1 ml の onyx を注入し,1 回で最大 11.9 ml 使用した. 可能なかぎり plug and push 法で行った.Drainer migration や feeder への reflux 時は 30 秒 3 分の waiting を行い,penetration の方向が変わることを期待して治療を継続した. 最大 3 分 waiting を行っても drainer migration や feeder reflux が起きる場合手技を終了した. カテーテルは全例抜去可能であったが snare を3 回使用した. 手技関連合併症は, カテーテル抜去後の無症候性出血を2 例に, 塞栓術 4 時間後の遅発性出血を1 例に, 術後脳梗塞を1 例に認めた.24 例 (80.6 %) で塞栓術後外科的に摘出した. 考察 結語 Onyx による AVM 塞栓術の最大の利点は, 高い nidus 塞栓率により外科摘出術が容易になる事である. そのためには, 中等度の太さで, 屈曲が少なく, 正常血管分岐が近傍にない,fistulous ではない feeder を選択する. 最大の合併症である遅発性出血を避けるには, drainer への migration に最大限留意する必要があり, 適宜 waiting や血管撮影での確認による drainer occlusion の回避が必須である. 一2-O40-5 脳動静脈奇形治療における液体塞栓物質の使い分け Onyx or NBCA 小倉記念病院脳神経外科 五味正憲 Gomi Masanori 中原一郎 坂真人 岡田卓也 渡邉定克 永田泉 太田剛史 宮田悠 松本省二 西秀久 石橋良太 高下純平 目的 脳動静脈奇形 (AVM) の治療は, 直達手術 (DSE), 血管内治療 (EVT), 定位放射線治療 (SRS) を単一もしくは複数の modality を組み合わせて行われる. 近年,EVT は新世代のデバイスや塞栓物質の導入によりその役割が多様になっている.AVM に対する治療方針, 治療成績について自験例をもとに EVT の役割を主に検討する. 対象 1996 年から 2014 年までに当科で治療を行った 72 例. 男性 38 名, 女性 34 名, 平均年齢 40.0 歳 (11 69 歳 ) で, 発症形式は出血 33 例, けいれん 14 例, 頭痛 9 例, 虚血 6 例, 無症候 10 例である.72 例中 61 例に外科的治療介入を行った. 結果 DSE を主とした治療により 57 例 (93 %) で angiographic cure が得られ, 残りの 4 例は SRS に供した. 永続的新規神経症状は 7 例 (11 %) で認め, 視野障害 4 例, 麻痺 2 例 (1 例は一過性 ), 顔面知覚異常 1 例であった.EVT は 44 例 (71 %) で使用された.DSE 前では近年 Onyx を使用し,DSE の手術アプローチや破裂部位の塞栓を念頭におき,nidus embolization の達成に固執せず合併症低減を心がけている. カテーテルが nidus 近傍まで到達できない際に NBCA が使用されていたが, 最近では distal access catheter の使用や microguide wire の進歩のため使用機会は減少している.SRS 前では NBCA での塞栓が基本であるが,high-flow shunt 部位だけでなく nidus penetration が望まれる場合には Onyx を使用することが多くなっている. 結論 AVM の治療戦略の構築にあたり, 近年の新世代 EVT は重要かつ多様な役割を担うと確信する. 2-O40-6 Onyx 導入前後における脳動静脈奇形治療の変移 筑波大学医学医療系脳神経外科 筑波メディカルセンター病院脳神経外科 筑波メディカルセンター病院放射線科 池田剛 Ikeda Go 中居康展 鶴田和太郎 松村明 伊藤嘉朗 丸島愛樹 椎貝真成 目的 Onyx の認可に伴い, 脳動静脈奇形塞栓術の位置づけや脳動静脈奇形摘出術の適応が見直されている. 当院における Onyx 導入前後の脳動静脈奇形治療について塞栓術を中心に検討して報告する. 方法 2008 年 1 月から 2014 年 7 月の間に脳動静脈奇形塞栓術を施行した 25 症例 37 治療を対象として後方視的に検討した. 結果 対象症例の年齢は 歳 ( 平均 34.2 歳 ) で男性 10 例と女性 15 例. 症状は出血発症が最も多く (68 %), 他の症状としては痙攣 flow-related aneurysm による脳幹圧迫を認めた. Spetzler-Martin 分類は Grade 1 が 6 例 (24 %),Grade 2 が 6 例 (24 %),Grade 3 が 7 例 (28 %),Grade 4 が 5 例 (20 %),Grade 5 が 1 例 (4 %) であった. 治療に用いた塞栓物質は,Eudragid が 5 治療 (14 %),NBCA が 23 治療 (62 %),Onyx が 11 治療 (30 %) であった.2 治療においてコイルによる feeder の塞栓が行われていた.Onyx 導入前後の比較では,2 群間 ( 導入前 13 症例, 導入後 12 症例 ) において Spetzler-Martin 分類に有意な差は認めないものの, 最終的に脳動静脈奇形摘出術まで施行した症例が Onyx 導入後の群で有意に多かった (P= 0.0.Onyx 導入後の 17 治療における液体塞栓物質の内訳は,Onyx 単独が 9 治療 (53 %),NBCA 単独が 5 治療 (29%),Onyx と NBCA の併用が 2 治療 (12%) であった. 導入後の症例には, 摘出術が困難であるとして過去に塞栓術や放射線治療を複数回施行していた症例が 3 例含まれていたが, そのうち 2 例は Onyx による塞栓術を併用して摘出術を成し得た. 結論 Onyx の導入により塞栓術の幅が広がり, 従来治療困難とされていた脳動静脈奇形への治療適応が拡大しているものと考えられた. JNET Vol.8 No.6 December
70 2-O40-7 脳動静脈奇形に対する NBCA を用いた摘出術前流入動脈塞栓術 大西脳神経外科病院脳神経外科城山病院脳 脊髄 神経センター 大阪医科大学脳神経外科 高橋賢吉 Takahashi Kenkichi 岡本薫学 久我純弘 大西宏之 村尾健一 大西英之 目的 脳動静脈奇形(AVM) に対する塞栓術は摘出術前の前処置として施行されることが多く手術リスク軽減に寄与している. 当院では AVM の摘出術前処置として NBCA を用いた流入動脈塞栓を行っているが, 安全性や有効性に関し自験例をもとに retrospective な検討を行った. 方法 当院にて2011 年 1 月から2014 年 5 月まで AVM の摘出術前に NBCA による流入動脈塞栓術を行った 12 症例 ( 治療回数 22 回 ) を retrospective に解析し, それぞれの症例の特徴, 塞栓術に伴う合併症や治療効果に関して検討を行った. 成績 年齢は 歳 ( 平均 46 歳 ),1 症例に対する塞栓術の回数は 1 3 回 ( 平均 1.8 回 ), 破裂例は 7 例 (58 %),Spetzler-Martin grade はⅡ 8 例,Ⅳ 2 例,Ⅴ 2 例であった. 塞栓した流入血管に関して皮質動脈は 10 例であり, 穿通枝塞栓を行ったのは脳室内の deep seated AVM の 2 例であった. 塞栓術後の morbidity は 22 治療中,splenial AVM に対して穿通枝塞栓を行った 1 例のみであった. その他 1 例にくも膜下出血 ( 頭痛のみ ),4 例に nidus 周囲の無症候性の脳梗塞,1 例に一過性の片麻痺を伴う基底核梗塞が生じたがいずれも神経症状の後遺は認めなかった. 結論 NBCA を用いた流入動脈塞栓は確実に feeder occlusion にとどめることができるため,drainer side への glue migration を来すことが少なく安全性が高い. しかし deep seated AVM に対しては穿通枝が feeder となることが多く, 塞栓術により症候性の脳梗塞を生じる可能性があり注意が必要である. 摘出術前の流入動脈塞栓により術中出血がコントロールされ摘出に伴う時間や出血量が低減され, 良好な治療成績につながると考えられる. 2-O41-2 脳動脈瘤内コイル塞栓術後の画像 follow の検討 大分大学医学部脳神経外科 河野脳神経外科病院 大分大学医学部放射線科 久保毅杉田憲司武田裕川崎ゆかり Kubo Takeshi 札場博貴 清末一路 肥川誉慎 田上秀一 藤木稔 河野義久 大西晃平 久光慶紀 序論 脳動脈瘤内コイル塞栓術後の治療効果を評価するための画像 follow-up として, 従来 1 年後などに脳血管撮影を行うことが多かったが, 少ないながらも合併症があることや医療経済問題からも適切な画像経過観察なのかは, 疑問である. 治療後の画像 followup をどうすべきを自験例で検討してみた. 対象 2007 年 1 月から 2012 年 7 月までの初回治療から 2 年以上経過している症例で, 瘤内塞栓のみで解離性で母血管閉塞した例や stent を併用したものは除いた 80 例. 結果 脳血管撮影を行ったものは 52 例 (65 %), 2007 年と 2008 年に施行した症例 (19 例 ) に関しては, 全例約 1 年後には脳血管撮影を行っている.2009 年以降では 61 例中 33 例 (54 %) であり, 施設により異なり,A 施設では 45 例中 30 例 (67 %),B 施設では 16 例中 4 例 (25 %) に脳血管撮影を行った. B 施設では,MRI の MPR 画像による瘤内への血流存在の変化と頭部 X 線写真によるコイル形状の変化にて, 脳血管撮影の必要性を判断した. その結果, 再治療を行ったものは, 総数では 5 例 (6 %) であり,A 施設で 4 例,B 施設で 1 例であった. 瘤の Terminal type,side-hole type, 塞栓率, 瘤の大きさにはなども検討したが, 症例数が少なくばらつきがあるためか, はっきりした傾向は見られなかった. 結論 MRA の MPR 画像と頭部単純 X 線写真での coil 形状の変化から経過を見ていくことで, 脳血管撮影を行わなくても良い症例が多いことが判った. 2-O41-1 脳動脈瘤コイル塞栓術後の再発評価における頭部単純 X 線検査の有用性 岡山大学大学院脳神経外科 冨田祐介 Tomita Yusuke 高杉祐二 杉生憲志 清水智久 菱川朋人 春間純 西廣真吾 平松匡文 新治有径 伊達勲 目的 当科ではコイル塞栓術後の follow up を XP と MRA で行っている. 今回コイル塞栓術後再発評価における,XP によるスクリーニングの有用性を検討した. 対象 脳動脈瘤コイル塞栓術後 2 年以上 follow up している患者を対象とし, コイル塞栓術直後の XP 画像または治療時の DSA と, 直近の XP 画像及び MRA で動脈瘤再発の有無を評価した.XP では正面像及び側面像の 2 方向でコイル形態の変化を評価して,coil compaction を起こしているものやコイル形態の大きな崩れを来しているものを再発と定義した. MRA は元画像を使用して瘤内血流を認めるものを再発と定義した. 本検討では MRA を動脈瘤の再発を確定診断する検査として利用し, これに対する XP の診断能を検討した. 結果 2005 年 1 月 2012 年 6 月に計 162 症例 ( 男性 40 人, 女性 121 人, 平均 59.5 歳 ) に対してコイル塞栓術及びその後のフォローアップ ( 平均 3.9 年 ) を行った.XP 上再発なしと考えられた症例は 128 例で, そのうち MRA で再発を認めたもの ( 偽陰性 ) は 9 例,MRI 上も再発を認めなかったものは 119 例であった. また,XP 上再発が疑われた症例は 34 例で,MRA では 26 例に再発を認めた.XP で再発が疑われたが,MRA では再発を認めなかったもの ( 偽陽性 ) は 8 例あった. XP による動脈瘤再発検出については感度 74.3 %, 特異度 93.7 %, 陽性的中率 76.5 %, 陰性的中率 93.0 % であった. 結語 脳動脈瘤コイル塞栓術後の再発評価に, 頭部単純 X 線検査の有用性が示唆された. 2-O41-3 未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後における white collar sign の検討 福岡大学医学部脳神経外科 福田健治 Fukuda Kenji 東登志夫 大川将和 岩朝光利 吉岡努 井上亨 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術における動脈瘤頚部の新生内膜増生を意味する white collar sign(wcs) が知られている. これは動脈瘤コイル塞栓による動脈瘤の治癒を意味する可能性のある所見である. 今回我々は, 未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術における WCS の出現に関する予測因子および短, 中期予後を検討した. 対象と方法 2011 年 3 月からコイル塞栓術時に neck が適切に分離できた未破裂脳動脈瘤 90 例. 男性 20 例, 女性 70 例, 平均年齢 58.4 歳. 平均 neck 径 4.2 mm, 平均最大径 6.2 mm.bioactive coil は 41 例で使用され, 平均 VER 22.1 % であった. 主にコイル塞栓術後 6 ヶ月目の脳血管撮影での WCS の出現および MRI での短, 中期予後を調査した. 結果 WCS は 21 例 (23.3 %) に認めた.WCS 陽性群は WCS 陰性群に比較して有意に neck 径 (3.6 vs 4.5 mm,p < 0.05) および最大径 (5.2 vs 6.5 mm,p < 0.05) が小さかった. Bioactive coil の使用や VER, その他高血圧等の危険因子との相関は認めなかった.WCS を認めたものはその後の MRI でのフォローでも塞栓状態は良好であった. 結論 WCS は小型で neck 径の小さなものに出現しやすく, その後の良好な塞栓状態の維持にも役立つ可能性が示唆された. 264 JNET Vol.8 No.6 December 2014
71 2-O41-4 般口演ステント支援下脳動脈瘤塞栓術における XperCT を用いた頭蓋内ステントの評価 和歌山ろうさい病院脳神経外科 新谷亜紀 Shintani Aki 河野健一 大西麻紀子 岡田秀雄 松崎丞 寺田友昭 戸村九月 田中優子 はじめに ステント支援下脳動脈瘤塞栓術において closed-cell type の Enterprise と open-cell type の Neuroform の 2 種類の自己拡張型ステントの選択が可能となったが, それぞれの展開状況の特徴を考慮して選択する必要がある. ステントの評価には, 術中施行できる cone-beam CT(Xper CT) が有用であるが, ステント周囲にコイルなどの金属がある場合の評価は困難であった. 今回我々は当院でのステント支援下脳動脈瘤塞栓例における Xper CT で, ステント展開時の壁へ密着状況の評価, 金属の影響に対する Metal Artifact Correction(MAC) の効果について検討した. 対象 ステント留置後の Xper CT 施行例で, 各ステントの血管壁への密着状況を評価し, 金属が存在する場合は MAC を用いて再構成した画像について検討した. 結果 Closed-cell type の Enterprise では屈曲の強い血管では壁に密着していない部分があることが確認できた. また, ステント端が血管を横切る状態で留置されていることを確認できた例もあった. 一方,open-cell type の Neuroform では血管壁への密着は改善しているものの瘤内へのステントの陥入を認めた例もあった.MAC による再構成画像では streak artifact の軽減により, コイル周辺部の描出改善を認めた. 考察 Enterprise, Neuroform と 2 種類のステントの選択が可能となったが, それぞれの展開状況には違いがあり, そのことを認識した上で選択すべきである. またステントの血管壁への密着不良は遅発性塞栓症の risk factor との報告もあり, 展開後は状態を確認しておくことが望ましいと思われる. 結論 より安全に治療を行うためにリアルタイムでステントを評価できる XperCT は有用である. 2-O41-6 コイル塞栓術後の MRI のフォローアップに造影剤は必要か 帝京大学ちば総合医療センター脳神経外科 帝京大学ちば総合医療センター放射線科 保谷克巳 Hoya Katsumi 山田創 岩上貴幸 宮本伸哉 石川久 村上峰子 西堂創 和田昭彦 鈴木康隆 大久保敏之 背景 MR angiography(mra) によるコイル塞栓術後のフォローアップは有用であり, 造影剤の使用が描出の感度を上げることが報告されている. 追加治療の観点で動脈瘤の残存 再発部を評価する際, 造影 MRA が必要かどうかを検討した. 方法 対象は,2007 年から 2013 年までに当院でコイル塞栓術を受けた後, 造影 MRA を施行した患者である. 使用した MRI 装置は 1.5 T(2012 年より 3 T を併用 ). 通常の単純 MRA とその元画像から作成した MPR 画像, 造影 MRA とその元画像から作成した MPR 画像を比較検討した. 結果 対象は,36 症例,43 動脈瘤. 単純 + 造影 MRA は 1 つの動脈瘤に対して 1-8 回施行され, のべ 146 の動脈瘤が対象となった. 単純 MRA にて残存 再発ありと診断されたのは, のべ 43 の動脈瘤でそのうち造影 MRA で同様に診断されたのは 42 であった. 単純 MRA にて残存 再発なしと診断されたのべ 103 動脈瘤のうち, 造影 MRA で動脈瘤ありと診断されたのは,13 動脈瘤であった. また, 造影 MRA で再発ありと診断されたのべ 55 動脈瘤において, 単純 MRA の元画像を使用した MPR 画像で再発が確認できたのは 53 であった. コイル塞栓術後に破裂した 2 動脈瘤では, 単純 MRA, 造影 MRA, 単純 MPR 画像で明らかな再発が認められている. 追加塞栓を施行あるいは検討した 3 例においても同様であった. 考察 コイル塞栓術後の MRA フォローアップに造影剤が必要か否かは, 文献的には完全な意見の一致を見ていない. 当院の study では, 単純 MRA の残存動脈瘤の描出は造影 MRA に比べ若干劣っている印象であったが,MPR 画像と併せて検討すると, 造影剤使用時とほぼ同等の診断能力があり, 少なくとも再治療を要するような症例では十分であるように思われた. 2-O41-5 Enterprise stent を用いた脳動脈瘤コイル塞栓術後フォローアップ :3 D time-of-flight magnetic resonance angiography (MRA) および造影 MRA の診断能奈良医大放射線科 IVR センター 医真会八尾総合病院放射線科 脳血管内治療科 医真会八尾総合病院脳神経外科 奈良医大脳神経外科 和田敬高山勝年明珍薫宮坂俊輝田岡俊昭 Wada Takeshi 中川裕之吉川公彦黒川紳一郎中川一郎中瀬裕之 目的 Enterprise stent(es) を用いた脳動脈瘤コイル塞栓術後 follow-up における 3 D time-of-flight magnetic resonance angiography(tof MRA) および contrast-enhanced MRA(CE- MRA) の診断能について血管造影 (DSA) と比較し検討する. 対象と方法 対象は 2010 年 7 月から 2014 年 6 月までに ES を用いてコイル塞栓術を施行した未破裂脳動脈瘤中, 術後 DSA,TOF MRA および CE-MRA で follow-up が得られた 32 患者 ( 男性 7 例, 女性 25 例, 年齢 歳, 平均 63.8 歳 ),37 動脈瘤.Follow-up の時期は 3 25ヵ月, 平均 7.8ヵ月,DSA と MRA の撮影間隔は 3 週間以内で,TOF MRA と CE-MRA は同日, 同機種で撮影した. MR の撮像は 1.5 T の機種を用いた.DSA を gold standard して TOF MRA および CE-MRA で動脈瘤の閉塞状態とステント内の描出能について 4 段階 (1,not visible;2,poor;3,good;4, excellent) のスコアで評価し, 残存動脈瘤およびステント内狭窄の描出能について感度および特異度を評価した. 結果 描出能の平均スコアは TOF MRA で ± 0.599,CE-MRA で ± であり CE-MRA で有意に高かった (P < 0.00.CE-MRA でも親血管径が細い (2.6 mm 以下 ) 例では平均スコアは ± と低かった. 残存動脈瘤の感度, 特異度は,3 D TOF-MRA では 25.0%,62.1 %,CE-MRA では 87.5 %,89.7 %, ステント内狭窄の感度, 特異度は TOF-MRA では 20.0%,9.4 %,CE-MRA では 60.0 %,90.6 % であった. 結語 ES を用いた脳動脈瘤コイル塞栓術後 follow-up は 3 D TOF MRA では評価困難であり CE-MRA が有用であったが,CE-MRA でも母血管径が 2.6 mm 以下の細い例では評価困難な場合がある. 2-O41-7 クモ膜下出血に対するコイル塞栓術の術中血液喪失 倉敷中央病院脳神経外科 定政信猛 Sadamasa Nobutake 半田明 沈正樹 山形専 目的 クモ膜下出血の根治的治療としては直達手術と血管内治療があるが, 一般に血管内治療の方が低侵襲であると言われている. 術中の血液喪失量について, 血管内治療の場合は血液喪失量が多くの場合不明であり, 術後に貧血が発覚し輸血にいたる例が少なからず存在する. 今回我々は, クモ膜下出血術中の血液喪失について, 直達手術との違いも含めて検討したので報告する. 対象と方法 2010 年 1 月から 2013 年 2 月までに当院に緊急入院した急性クモ膜下出血患者連続 203 例を後方視的に検討した. 出血源に対する根治的治療を行い得たのは 152 例 ( 直達 98, 血管内治療 5 であった. これらの症例について, 年齢, 性, 発症時の WFNS グレード, 出血源, 手術前後の赤血球 (RBC) 数, ヘマトクリット (Ht), ヘモグロビン値 (Hb), 血液尿素窒素 (BUN), クレアチニン (Cre), 輸血の有無, 予後などを比較検討した. 結果 血管内治療群で有意に年齢が高く, 出血源は後方循環の動脈瘤が有意に多かった. 発症時の WFNS グレード,Fisher 分類には差がなく, 術後の脳血管攣縮についても差を認めなかった. 術前の Ht,Hb は血管内治療群で有意に低かったが, 術前術後の変化については直達手術群と有意な差を認めなかった. 一方,BUN の変化については直達手術群で有意に下がっており ( 平均 3.59 vs 1.26,P= 0.00, 逆に Cre は血管内治療群で有意に上昇していた (P= 0.0. 輸血は血管内治療群 54 例中 13 例 (24.1%) に施行されていた. 退院時 mrs は血管内治療群で高い傾向にあった. 結論 クモ膜下出血後の血管内治療において, 術中血液喪失は直達手術と同等かそれ以上に至る可能性が示唆された. 一JNET Vol.8 No.6 December
72 2-O41-8 ステント併用コイル塞栓術後の可逆性大脳白質病変 ニッケルアレルギーの可能性 京都大学医学部脳神経外科康生会武田病院脳卒中センター 先端医療センター病院脳血管内治療科 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 千原英夫 Chihara Hideo 安藤充重 坂井信幸 石井暁 武信洋平 宮本享 堀川恭平 菊池隆幸 新井大輔 荻野英治 池田宏之 坂井千秋 脳動脈瘤コイル塞栓術支援用ステントデバイスとして Enterprise VRD(Codman 社 ) と Neuroform EZ(Stryker 社 ) が市販され, 脳動脈瘤への治療適応が大きく拡大した. しかし, 金属異物を親血管に留置する手技であるため, 周術期および遅発性の虚血性合併症等の増加が報告されている. 我々は脳動脈瘤に対するステント併用コイル塞栓術後, ステント留置血管の灌流領域に一致した大脳白質に亜急性期梗塞巣に類似した, 浮腫性変化を呈する症例群を確認した. これらの症例では,MRI の FLAIR 画像において病変が完全に消失すること, ステロイドへの反応性を有することが特徴的であり, 脳梗塞とは明らかに異なる病態である. また, 病変の分布や発現時期から従来報告のある,PRES や造影剤脳症とも異なる. 我々 4 施設においてステント併用コイル塞栓術を施行した 406 例のうち, 術後半年以内に MRI を撮影されている 170 例を対象とした.4 例 (2.3 %) に可逆性白質病変を認めた.2 例は EnterpriseVRD,2 例は NeuroformEZ を使用した症例であった. いずれの症例も術後, 亜急性期にステント留置血管の灌流域に血管性浮腫が出現した. 副腎皮質ステロイドの反応は良好であった. 他の症例でも, 病変は症状と伴に緩徐に消退し, 術後 8-12 ヶ月の経過で消失した. 両ステントの主成分は nitinol であり, 他の nitinol 製医療機器同様, ニッケルアレルギーによる可逆性白質病変が疑われた. しかし, 皮膚パッチテストを 2 例に施行したが, ニッケルに対する強反応はなく, 血液検査では軽度の赤血球沈降速度上昇を認めるのみであり, ニッケルに対する明らかな即時アレルギー反応はなかった. この症例群に対して病理学的検討を加え報告する. 3-O42-1 Door to puncture 短縮への取り組み : いかに早く再灌流させるか 弘前大学医学部脳神経外科 嶋村則人 Shimamura Norihito 奈良岡征都 松田尚也 大熊洋揮 片山耕輔 小笠原ゆかり 目的 血栓回収療法において早期再灌流が重要である. 少人数の施設における, 搬入から再灌流までの時間短縮についての取り組みと成果について報告する. 方法 2010 年 10 月から 2013 年 11 月の間に血栓回収療法を行った急性頭蓋内動脈閉塞 18 例を対象とした. 発症または当科搬入から治療までに要した時間の変遷について分散分析を行った. また, 臨床成績について検討した. 成績 発症から搬入までが 4.1 ± 1.7 時間で, 検討期間で有意な変化は無かった. 搬入から治療開始までは, 初期 3 例が平均 81 分に対して直近 3 例は平均 30 分であった. 全体では 43.9 ± 29.2 分で, 症例毎に時間短縮が図られ有意に短縮した.90 日死亡は 27.8%,m-RS 2 以下の転帰良好は 16.8% であり, 徐々に改善する傾向がみられた. 現在のプロトコルは,1. 患者紹介直後に血管内治療医, 放射線技師,IVR 看護師へ連絡し, 予想搬入時間には治療開始できるようにする.2. 搬入直後は家族への説明, 診察, 治療室準備の三箇所に分かれ同時進行するとしている. 臨床成績は, 男性 14 例, 女性 4 例で, 年齢は 67.2 ± 13.7 歳. 術前 NIHSS は 13.7 ± 7.33 で, 術前 ASPECT 7 点以下が 44.4% であった. 患側は右 10 例, 左 6 例で, 閉塞血管は内頸動脈 28%,T 閉塞 28%, 中大脳動脈 33%, 後方循環 11% であった. 術前 TICI grade は全例 0 で,TICI 2 A 以上の再開通は 89%. 症候性脳内出血 27.8% であった. 結論 搬入前の院内連携と搬入後の医師配置変更により Door to puncture は著明に短縮した. 転帰改善のためには発症から治療までの時間短縮が必須であり, 一般市民および初療医への啓発活動が必要である. 2-O41-9 後大脳動脈と脳底動脈本幹を巻き込む脳底動脈先端部動脈瘤の臨床的特徴と血流解析 東京医科歯科大学血管内治療科 秀和綜合病院 濱谷陸太 Hamaya Rikuta 山田健詞 吉野義一 唐鎌淳 三木一徳 根本繁 背景 動脈瘤の基部が大きく広がり, 後大脳動脈 (PCA) と脳底動脈 (BA) 本幹部を巻き込む脳底動脈先端部動脈瘤は, ネックが広くコイル塞栓術が容易でない. このような動脈瘤の成因に血行力学的な要因が注目されている. 本研究では, 脳底動脈先端部動脈瘤の形態的特徴を分類し, 臨床的, 血行力学的特徴を解析した. 方法 過去 7 年間に当院で血管造影検査を施行した脳底動脈先端部動脈瘤の症例を対象とした.BA 本幹を巻き込まないものを type 1, BA 本幹を巻き込むものの内 PCA の巻き込みが片側のみのものを type 2, 両側のものを type 3, と分類した.3 次元血管ボリュームデータが存在する例に対し, コンピュータによる数値流体解析 (CFD) を行い, 壁面せん断応力 (WSS), 壁圧, 血流衝突, stream line の特徴を検討した. 結果 脳底動脈先端部動脈瘤 21 例 (63.1±2.1 歳, 男 : 女 =11:10) の内,type 1 が 16 例 (63.8 ± 2.4 歳 ),type 2 が 2 例 (62.5 ± 0.4 歳 ),type 3 が 3 例 (60.3 ± 9.4 歳 ) であった. このうち 2 例で血流解析を施行した.49 歳女性の破裂動脈瘤の例において, 瘤の近位部に狭窄が認められた.58 歳男性の未破裂動脈瘤の例においては, 脳底動脈本幹に蛇行と狭窄が認められた.CFD 解析において, これら形態的特徴が瘤の壁圧やずり応力に影響している可能性が示唆され, このような脳動脈瘤が形成される要因になりうると考えられた. 結語 BA 本幹を巻き込み, 広い基部を有する脳底動脈先端部動脈瘤を分類した. この発生に, 近位部狭窄が関与する可能性が示唆された. 3-O42-2 tpa 静注療法, 緊急血行再建術における治療タイムライン multimodality での術前評価は過剰か 九州医療センター脳血管センター脳血管内治療科 九州医療センター脳血管センター脳血管 神経内科 徳永聡 Tokunaga So 三本木良紀 津本智幸 鶴崎雄一郎 矢坂正弘 岡田靖 はじめに 虚血性脳卒中急性期における tpa 静注療法の有効性は, 治療開始までの時間が短いほど高いとされ,Door-to-Picure Time(D 2 Pic) は 25 分以内,Door-to-Needle Time(D 2 N) は 60 分以内,Door-to-Puncutre Time(D 2 P) は 120 分以内などがガイドラインで目標時間として設定されている. 今回, 当院で行った tpa 静注療法, 緊急血行再建術における治療タイムラインを検討したので報告する. 対象と方法 2012 年 1 月から2014 年 7 月までに tpa 静注療法を施行した連続 68 症例を対象とした. 治療前に CT,MRI 等による multimodality での評価を行った. 各症例に対して, 発症から来院, 画像検査,tPA 投与, 穿刺, 再開通までの時間, 再開通率, 出血性合併症および 90 日後 mrs 等を評価した. 結果 68 例中 58 例 (85.3 %) に multimodality での評価を行った.DWI-ASPECTS(median:7,IQR:1-10) は CT-ASPECTS (median:9,iqr:2-10) と比較して有意に低かった.D 2 Pic 25 分は65 例中 48 例 (73.8%),D2N 60 分は67 例中 32 例 (47.8 %) で遵守されていた.68 例中 16 例 (23.5 %) で血管内治療を追加し,D 2 P は平均 115 分 ( 分 ) で D 2 P 120 分を達成したのは,16 例中 10 例 (62.5 %) であった.puncture to recanalization time(tici 2 b) は平均 92.3 分 ( 分 ) であり,90 日後 mrs:0-2 は 64 例中 32 例 (50.0 %) であった. 考察 約 5 割で D 2 N,D 2 P 目標時間を達成しており, 機能予後も良好であった. さらなる再開通時間短縮を図るには,CT,CTA, CTP に集約した monomodality へのプロトコール変更が考慮されるが,CT のみでの評価では過小評価する恐れがあり, 体制が整えば,multimodality での術前評価も妥当ではないかと考えた. 266 JNET Vol.8 No.6 December 2014
73 3-O42-3 般口演急性期血行再建術施行例における治療時間の評価 聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター 宮下史生 Miyashita Fumio 徳浦大樹 高石智野越慎司 植田敏浩 深野崇之 高田達郎 萩原悠太 水庭宜隆 吉江智秀 小野元 背景と目的 IMS 3 のサブ解析の結果から急性期血行再建術における時間短縮の重要性が示された. 当院における急性期血行再建術の治療時間の現状を明らかにすることを目的とした. 方法 対象は,2010 年 8 月から 2014 年 8 月にデバイスを使用して急性期血行再建術を施行した症例. 発症から来院 (O to D), 来院から画像検査 (D to P), 画像検査から動脈穿刺 (P to P), 動脈穿刺から再開通 (P to R) までの時間について調べた. また来院から動脈穿刺までの時間 < 120 分の症例 (E 群 ) とそれ以外の症例 (D 群 ) について, 臨床背景, 治療成績を比較した. 結果 対象は,77 例 ( 女性 34 例, 平均 75 歳 ). 心原性が 58 例 (75 %), 閉塞血管は, 内頸動脈 27 例, 中大脳動脈 42 例, 脳底動脈 8 例であった. 入院時 NIHSS は, 中央値 17(IQR 14-2 であり,t-PA 静注療法を 40 例 (52 %) に施行していた.O to D は中央値 84 分 (IQR ),D to P は 26 分 (22-35),P to P は 73 分 (56-89),P to R は 82 分 (55-116) であった.D 群 (20 例 ) は,E 群 (57 例 ) と比較し, 女性が多く (65 % vs. 37 %,p= 0.038), 高齢な傾向であり (79 歳 vs. 74 歳,p= 0.076), 平日日中来院例が少なかった (15 % vs. 46 %,p= 0.017). 入院時 NIHSS や閉塞血管,t-PA 静注療法に差はなかったが,D 群では,P to R が長く [105( ) vs. 75( ),p= 0.031],TICI 2 b 以上の再開通が低く (55 % vs. 77 %,p= 0.08, 退院時転帰が不良であった [mrs 4(4-5)vs. 3(1-5),p= 0.037]. 結論 急性期再開通治療において治療までの時間の延長が, 治療成績の悪化と関係している可能性が示された. 時間短縮に向けた啓発活動や院内体制の整備の必要性があると思われた. 3-O42-5 脳梗塞急性期再開通療法における Door to revascularization time 短縮への取り組み 筑波メディカルセンター病院脳神経外科 筑波大学医学医療系脳神経外科 筑波メディカルセンター病院放射線科 中居康展 Nakai Yasunobu 高橋利英 中村和弘 中尾準三 伊藤嘉郎 上村和也 椎貝真成 鶴田和太郎 大橋麻耶 松村明 目的 脳梗塞急性期再開通療法において, 発症から再開通に至るまでの時間が短いほど転帰が改善できることが報告されている. そのうち我々が短縮可能な部分は, 来院から再開通までの時間 (Door to revascularization time:dtrt) である. 当院における DTRT の現状について検討したので報告する. 対象と方法 当院で脳梗塞急性期再開通療法が開始された 2012 年 6 月 2014 年 7 月の間に治療を行なった 41 例. 男性 22 例, 女性 19 例, 平均年齢 :73.9 歳, 来院時の平均 NIHSS:20 点, 閉塞部位は,ICA:22 例,MCA: 16 例,VA-BA:3 例であった.rt-PA 静注療法の併用は 22 例であった. 再開通療法に用いた手技は,UK 動注 :1 例,Merci:15 例, Merci+UK 動注 :2 例,Merci+PTA:1 例,Penumbra:7 例, Merci+Penumbra:9 例,Merci+Penumbra+UK 動注 :2 例, Stent retriever:1 例,Stent retriever+penumbra:3 例であった. 結果 DTRT は平均 分であった. そのうち画像診断に要した時間は平均 33.6 分, 穿刺までに要した時間は平均 分, 穿刺から再開通までに要した時間は 分で,TICI 2 b 以上の再開通は 53.7% に得られた. 考察と結論 DTRT の短縮には, 救急外来, 放射線診断部, 脳血管内治療医との緊密な連携, 更に血管内治療手技の洗練が必要である. 今後 Stent retriever を第一選択として用いることで, 再開通率の向上と DTRT の更なる短縮が期待される. 3-O42-4 新設病院における急性脳動脈閉塞に対する迅速な再開通への取り組み 昭和大学江東豊洲病院脳神経内科 昭和大学江東豊洲病院脳神経外科 昭和大学医学部内科学講座神経内科学部門 神谷雄己水間啓太栗城綾子藤田和久大中洋平 Kamiya Yuki 山岸慶子渡辺大士廣瀬瑛介鷲見賢司池田尚人 河村満 目的 近年, 脳動脈閉塞の急性再開通療法において再開通までの時間に注目が集まるようになり, 治療時間の短縮のみならず, 診療過程全体を通して病院に合わせた診療体制を構築し, 迅速な再開通を目指すことが求められている. 今回, 新設病院の脳血管センターにおける迅速な治療への取り組みがもたらす効果を検討した. 方法 血管内治療医 1 人, 脳神経系医師 1 人当直という人員編成を考慮して,1. 搬送依頼を受けた時点でチーム全員にメールで通知,2. 来院から画像検査までの診療過程を撮影し, 後にチームで検証,3. MRI 終了直後に血管造影室でⅣ tpa が投与可能な院内体制の整備,4. 全症例の来院から再開通までの過程を後にディスカッション, という取り組みを行った.2014 年 3 月の開院から 8 月までの再開通療法を考慮した連続 8 症例を対象とし, 来院から画像検査, IV tpa, 穿刺までの時間や治療時間 ( 穿刺から再開通 ), 臨床転帰について検討した. 結果 対象( 平均年齢 73.1 歳,NIHSS 中央値 2 のうち 3 例にⅣ tpa,6 例に血管内治療を行った. 何らかの治療を行った 7 例全例で TICI 2 b 以上の再開通が得られた. 来院から画像検査,IV tpa, 穿刺までの時間 ( 中央値 ) は各々 24 分,47 分,82 分, 治療時間は平均 44 分, 中央値 39 分であった. 治療を行った 7 例のうち 6 例が予後良好 (m RS 2 もしくは病前に復帰 ) となった. 結論 病院の診療体制を考慮した診療過程の構築が, 迅速な再開通, 良好な転帰に寄与した. また, チーム全体の時間に対する意識が高まり, 症例検証により診療方法, 検査体制の問題が速やかに抽出され, 即座に過程の改善に反映することができた. この取り組みを継続し, 更に迅速な再開通を目指す. 3-O42-6 Drip-and-Ship 転送施設における経験 : 時間短縮のポイント 敬誠会合志病院脳神経外科 兵庫医科大学脳神経外科 三田市民病院 愛仁会千船病院 桧山永得 Hiyama Nagayasu 内田和孝 松本強 進藤誠悟 沖良春 阪本大輔 吉村紳一 立林洸太郎 白川学 徳田良 はじめに 急性期脳梗塞に対して Drip-and-Ship 搬送を行う場合, 転送元の施設 (Acute Stroke-Ready Hospitals:ASRH) における診療は極めて重要である. 当施設では関連 3 施設より t-pa 静注後に医師が同乗して血管内治療施行可能なセンター (Comprehensive Stoke Center:CSC) へ搬送し,t-PA 無効例に対して機械的血行再建術を行っている. この搬送システムにおける発症から再灌流までの時間 (Onset to Reperfusion time:o 2 R) と予後との関係を検討し,ASRH での検査や初期治療,Informed Consent にかかる時間の短縮について検討した. 対象と方法 2013 年 9 月から 2014 年 7 月までに Drip-and-Ship 搬送を行った急性期脳梗塞患者 29 例を対象とした.O 2 R と退院時 modified Rankin scale(mrs) の関係を Onset to t-pa time, 発症時 NIHSS,DWI-ASPECTS,TICI グレードを含めて解析した. また ASRH 滞在時間を短縮する方法について検討した. 結果 29 例中 16 例において t-pa 施行後に機械的血行再建術を施行された.O 2 R は最短で 170 分, 最長で 409 分, 平均は 289 分であり,CSC までの距離が遠いほど長かった (P 値 予後良好患者 (mrs:0 - が 5 例,mRS 3-5 が 10 例, 死亡が 1 例であった.O 2 R の短縮は患者の予後良好につながる可能性が示唆された.ASRH 滞在時間は平均 74.5 分であり, 搬入直後に採血等の t-pa 禁忌事項の確認を行うこと, 検査と平行して Informed Consent を得ること, 画像検査後すぐに CSC へ連絡することが滞在時間短縮に有用と考えられた. 考察 Drip-and-Ship 搬送において ASRH 滞在時間短縮が O 2 R を短縮し, 患者の予後を改善することが示唆された. 一JNET Vol.8 No.6 December
74 3-O42-7 Drip & ship の安全性, 有効性と問題点 山口大学医学部脳神経外科済生会下関総合病院脳神経外科 山口労災病院脳神経外科 石原秀行 Ishihara Hideyuki 山根亜希子 米田浩 奥高行 小泉博靖 鈴木倫保 岡史朗 杉本至健 貞廣浩和 井本浩哉 吉野弘子 杉山修一 当施設は, 山口県の脳卒中診療体系の中で包括的脳卒中センターの役割を担っている. 今回,Drip-ship された症例をまとめ, 安全性, 有用性と問題点について報告する. 対象 2009 年以降, 一次脳卒中センターで rt-pa 静注療法を開始後当院へ救急搬送された 30 例を対象とした. 安全性評価として, 搬送中, 搬入時の血圧, 脈拍, 神経所見の変化, 制吐剤や降圧剤の使用について検討した. また, 3 ヶ月後の治療転帰とそれに関連する因子として, 連携のタイミング, 搬送方法, 搬送時間, 再灌流時間を検討した. 結果 搬送方法は, 救急車 21 例, ドクターヘリ 9 例であった. 発症から当院搬送までの平均は 213 分であった. 搬送時間の平均は, 救急車で 29 分, ドクターヘリは 21 分であった. 搬送時 2 例で嘔吐があり制吐剤を使用しているが, 神経所見の増悪は認められなかった. 血圧の変動は救急車搬送に比べドクターヘリ搬送で小さかった. 搬送直前 NIHSS は平均 17.5 で,3 ヶ月後 mrs 0-2;17 例,3-4;7 例, 5-6;6 例であった.tPA 著効を 10 例 (37 %) で認め, 予後良好であった症例は, アテローム血栓性閉塞,rt-PA 静注療法著効例に多かった. 脳血管内治療の追加が 13 例に行われ,3 ヶ月後 mrs 0-2;6 例,3-4;5 例,5;2 例の結果であった. 結論 Drip-ship は安全性に問題ないものと考えられた. 全体として脳梗塞の重症度に比べ機能予後は比較的良好な結果が得られている. ドクターヘリの導入により, 搬送時間が短縮されていること, 重症脳梗塞の集中管理が影響しているものと考えられる.Telemedicine を活用した一次脳卒中センターとの連携による Drip-ship は脳梗塞超急性期治療に有用であると考えられる. 3-O43-1 近位脳主幹動脈閉塞における血管内治療後の症候性頭蓋内出血に関連する因子 RESCUE-Japan Registry 国立循環器病研究センター脳神経内科 国立循環器病研究センター脳血管内科 岐阜大学脳神経外科 RESCUE-Japan 運営委員 5) 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 6) 兵庫医科大学脳神経外科 杉浦由理 Sugiura Yuri 山上宏 早川幹人 岡田靖 北川一夫 木村和美 5) 坂井信幸 6) 吉村紳一 江頭裕介 棚橋紀夫 榎本由貴子 瓢子敏夫 目的 脳主幹動脈閉塞例に対する急性期血管内治療において, 症候性頭蓋内出血の合併は転帰に強く影響する. 本研究の目的は, ICA または MCA M 1 近位部閉塞例に対する血管内治療後の症候性頭蓋内出血に関連する因子を明らかにすることである. 方法 2010 年 7 月 1 日から 2011 年 6 月 31 日までに RESCUE-Japan Registry に登録された発症 24 時間以内の主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞 1442 例のうち,ICA または MCA M 1 近位部閉塞に対して血管内治療を施行し, データが充足していた 204 例 ( 年齢 70.7 ± 12.8 歳, 男性 124 例 ) を対象とした.NIHSS 4 以上の悪化を伴う頭蓋内出血 (SICH) に関連する因子を検討した. 結果 SICH は 10 例 (4.9%) に認めた.SICH 群は非 SICH 群に比し, 来院時 NIHSS が高く ( 中央値 22 vs 17,P = 0.0, 発症前の抗血小板薬内服が多く (60.0% vs 21.7%,P < 0.0,ASPECTS + W 5 (50.0% vs 16.4%,P < 0.0, 血糖値 160 mg/dl(70.0% vs 16.5%,P < 0.0 の例が多かったが, 年齢, 病型,rt-PA 静注療法の施行には差がなかった. 多変量解析では, 来院時 NIHSS 19 (OR 7.28,95% CI ), 発症前抗血小板薬内服 (OR 7.50, 95% CI ), 血糖値 160 mg/dl(or 14.28,95% CI ) が SICH に関連していた. 結論 ICA または MCA M 1 近位部閉塞例に対する血管内治療において, 重症, 発症前抗血小板薬内服, 高血糖が SICH の発生に関連していた. これらの因子を有する症例に対する血管内治療では慎重な対応が必要である. 3-O42-8 多施設間での IT 機器を用いた遠隔診断による急性期脳梗塞症例に対する drip & ship 法の試み 阿蘇医療センター脳神経外科 熊本大学医学部附属病院脳神経外科 熊本大学医学部附属病院神経内科 杏林大学医学部附属病院脳卒中医学講座 5) 熊本大学医学部附属病院医療情報経営企画部 甲斐豊 Kai Yutaka 渡邉聖樹 倉津純一 安東由喜雄 平野照之 5) 宇宿功一郎 目的 脳卒中基幹病院と遠隔地施設間で,IT 機器を用いた遠隔診断システムを構築し, 急性期脳梗塞患者に対する Drip & ship 法 (CALDERA) による t-pa 投与を開始した. 本システムを発展させ, 多施設間で応用できる体制を構築したが, その問題点について報告する. 方法 スマートフォンを用いた遠隔医療態勢を構築した. ソフトは,TRIART 社 RDICOM を使用した.2012 年 6 月に本システムの運用を開始し,6 例に Drip & Ship 法による t-pa 治療を実施した. 年齢は 歳, 男性 2 例, 女性 4 例であった. 発症から t-pa 静注開始までの時間は, 分 ( 平均 分 ) であった.5 例に再開通が得られ,1 例は追加の血栓回収療法 ( ペナンブラ法 ) を施行した. 搬入時 NIHSS は,6-29( 平均 14.5), 退院 NIHSS は,0-9( 平均 3. と改善を認めた. 本システムの有用性が確認されたため, 多施設間 (8 関連施設 ) に導入を進めたが, 複数の問題点が指摘されている. 結果 施設間で画像アップロードの方法, 閲覧制限, 画像配信システムが異り, 各施設間での調整が必要であった. 画像配信法は,PACS サーバーから直接配信できる施設が 2 施設,CD にダウンロードし配信する施設が 6 施設であった. 導入費用は, 一施設当たり平均 10 万円前後, 年間のメインテナンス費用は 1 万円で, 低コストで導入できた. 個人情報の流失予防に対して, 画像のみ配信し, 患者氏名, 年齢など個人を特定できるデータを含めない工夫が必要であった. 結語 IT 機器を用いた遠隔診断による急性期脳梗塞症例に対する Drip & ship 法を用いた対象医療機関を拡大することが可能になった. 多施設間で運用できると,t-PA 治療における地域格差の解消が期待できる. 3-O43-2 術前 t-pa 静注療法が急性期再開通療法後出血に与える影響 RESCUE-Japan Registry より 岐阜大学医学部脳神経外科 兵庫医科大学医学部脳神経外科 国立循環器病研究センター脳血管内科 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 5) RESCUE-Japan 運営委員 高木俊範 Takagi Toshinori 坂井信幸 5) 瓢子敏夫 吉村紳一 5) 岡田靖 榎本由貴子 5) 北川一夫 江頭裕介 5) 木村和美 山上宏 5) 棚橋紀夫 目的 術前の組織プラスミノーゲンアクチベーター静注療法 (IV t-pa) が急性期再開通療法 (EVT) 後の出血に与える影響は明確ではない. 本研究では RESCUE-Japan Registry のデータを用いて, その関係を閉塞血管毎に解析した. 方法 2010 年 7 月 1 日から 2011 年 6 月 30 日までに RESCUE-Japan Registry に登録された発症 24 時間以内の脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞 1442 例のうち,EVT を施行された 410 例を解析対象とし, 血管閉塞部位別に IV t-pa が頭蓋内出血に与える影響を検討した. 閉塞血管については, 内頚動脈 (ICA), 中大脳動脈の M 1,M 2, 椎骨動脈 (VA) および脳底動脈 (BA) に分類し, 頭蓋内出血は全ての脳出血 (aich) および症候性頭蓋内出血 (sich) について検討した. 結果 全 410 例を閉塞血管別に解析したところ,ICA,M 1,VA および BA において術前 IV t-pa は aich,sich 共に増加させなかったが,M 2 においては有意に sich を増加させた (0 % vs %, p= ).M 2 閉塞例における多変量解析では,75 歳以上, NIHSS 20 点以上が sich を増加させる傾向にあり (p= ), IV t-pa の先行は独立した危険因子であった (p= 一方, M 2 閉塞例における aich に関しては,IV t-pa の先行は出血を増加させず (p= ), 多変量解析の結果では,NIHSS 20 点以上 (p= ), 手技中のヘパリンの使用 (p < 0.000, 術前の抗血小板薬の使用 (p= が独立した危険因子であった. 結論 急性期脳梗塞に対する EVT において, 術前の IV t-pa は全体では頭蓋内出血を増やさないものの,M 2 においては有意に増加させた. 末梢病変閉塞に対する EVT においては IV t-pa の先行が術後出血の危険因子となることに配慮すべきである. 268 JNET Vol.8 No.6 December 2014
75 3-O43-3 般口演緊急血行再建における THRIVE スコアと Therapeutic Time Window との関連 神戸市立医療センター中央市民病院神経内科 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 藤堂謙一 Todo Kenichi 足立秀光 坂井信幸 幸原伸夫 河野智之 星拓 今村博敏 背景 目的 緊急血行再建の転帰は,onset to rperfusion time (ORT) が短いほど良好だが, 重症例や高齢者では therapeutic time window(ttw) は短い. また Totaled Health Risks in Vascular Events(THRIVE) スコアは, 年齢 (60-79 歳 :1 点, 80 歳以上 :2 点 ),NIHSS スコア (11-20:2 点,21 以上 :4 点 ) および, 心房細動 高血圧症 糖尿病の有無 ( 有 : 各 1 点 ) をスコア化 ( 合計 9 点 ) した指標であり, 緊急血行再建術後の転帰と関連する. 今回我々は,THRIVE スコア高値の TTW は短いとの仮説をたて, 以下の検討を行った. 方法 2005 年 10 月から 2014 年 3 月までに当院に入院した脳梗塞連続例のうち,NIHSS スコア 8, 発症治療開始時間 8 時間,thrombolysis myocardial infarction score(timi) 2 の再開通例 109 症例につき,ORT,THRIVE スコア,THRIVE+ORT スコアと転帰良好 ( 3 ヶ月後 mrs との関連を検討した.THRIVE+ORT スコアは THRIVE スコアと ORT の合計値とした. 結果 転帰良好の割合は,ORT 4 時間, > 4 かつ 6 時間,> 6 かつ 8 時間,> 8 時間に対して 50.0 %, 45.8 %,37.0 %,21.4 %(p= 0.,THRIVE スコア 3,> 3 かつ 5,> 5 かつ 7,> 7 に対して 57.1 %,51.4 %,28.3 %,20.0 % (p < 0.05),THRIVE+ORT スコア 9,> 9 かつ 11,> 11 かつ 13,> 13 に対して 64.0 %,44.1 %,34.4 %,16.7 %(p < 0.05) であった.THRIVE+ORT スコア 1 点上昇に伴う転帰良好のオッズ比 (95 % 信頼区間 ) は,THRIVE スコアで補正時 0.732( ,ORT で補正時 0.659( であった. 結語 THRIVE スコア,ORT で補正後も THRIVE+ORT スコア高値例では転帰良好が少なかった.THRIVE スコア高値例では TTW が短く, より早期の再開通を要する. 3-O43-5 内頚動脈 / 中大脳動脈閉塞に伴う急性期脳梗塞に対する MR 画像診断に基づいた血管内治療の症例選択に関する研究 傾向スコアを用いた解析 国立循環器病研究センター脳血管内科 国立循環器病研究センター脳神経内科 RESCUE-Japan 研究班 宮崎雄一 Miyazaki Yuichi 北川一夫 吉村紳一 2, 山上宏 木村和美 豊田一則 棚橋紀夫 榎本由貴子 瓢子敏夫 岡田靖 坂井信幸 目的 内頚動脈 (ICA) あるいは中大脳動脈 (MCA) 閉塞に伴う急性期脳梗塞 (AIS) に対して MR 画像診断に基づいた血管内治療 (MR-based EVT) が有効性を示すための症例選択に関して検討する. 方法 対象は RESCUE-Japan Registry の登録症例のうち, 入院時に MRA にて ICA/MCA 閉塞に伴う AIS と診断され,DWI- ASPECTS が評価されているもの. 性別, 年齢, 来院時 NIHSS, 発症 - 来院時間,MRA 上の血管閉塞部位 (M 1 部を M 1 起始部から 5mm より近位遠位で M1p/M1d に分け,ICA/M1p/M1d/ M 2 以遠に 4 分割 ),DWI-ASPECTS(10 点法 ),IV-tPA の有無を共変量として算出された傾向スコア (PS) をマッチさせた EVT 群および non-evt 群を作成し,EVT と転帰良好 ( 3 ヶ月後の mrs 2 と定義 ) の関連について解析を行った. 結果 対象は 996 例で,PS マッチングにより EVT/non-EVT 各群 264 例が作成された. ロジスティック回帰分析にて EVT は転帰良好と有意な関連はなかった (OR 1.25,95 %CI ,p= 0.25). 血管閉塞部位毎の解析では,ICA/M 1 p 閉塞では有意に EVT 群で転帰良好が多く (OR 2.35,95 %CI ),M 1 d/m 2 以遠閉塞との間に有意な交互作用がみられた (p for interaction < 0.00.ICA/M 1 p 閉塞において,[NIHSS 8 29 かつ DWI-ASPECTS 4] の条件が EVT の有効性をさらに高めた (OR 3.28,95 %CI ,p for interaction= 0.066). 発症 - 来院時間に関する検討では, 最適な inclusion criteria を見出す事はできなかった. 結論 MR-based EVT は,ICA/MCA 閉塞に伴う AIS 全体に対しては有効性を示さなかったが,ICA/M 1 p 閉塞においては有効性が示された. 付加すべき inclusion criteria として NIHSS 8 29 かつ DWI-ASPECTS 4 が適していると考えられた. 3-O43-4 主幹動脈閉塞を伴う軽症脳梗塞例の転帰良好に関連する因子の検討 国立循環器病研究センター脳神経内科 国立循環器病研究センター脳血管内科 岐阜大学脳神経外科 RESCUE-Japan 運営委員 5) 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 6) 兵庫医科大学脳神経外科 東田京子山上宏早川幹人江頭裕介榎本由貴子 Higashida Kyoko 岡田靖北川一夫木村和美棚橋紀夫瓢子敏夫 5) 6) 坂井信幸吉村紳一 目的 急性主幹動脈閉塞を有するが, 来院時には軽症の脳梗塞例の転帰に影響する因子を明らかにする. 方法 2010 年 7 月から 2011 年 6 月の間に RESCUE-Japan Registry に登録された発症 24 時間以内の脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞 1442 例のうち, 入院時 NIHSS < 8 でデータが充足していた 276 例 ( 年齢 70 ± 12 歳, 男性 174 例 ) を対象とした. 血管閉塞部位は, 近位主幹動脈閉塞 (P 群 :ICA/M 1 proximal/ba) とその他の血管閉塞 (D 群 ) に分類. 90 日後転帰良好 (mrs 0 - に関連する背景因子および治療を検討した. 成績 転帰良好例 181 例 (65.6 %),P 群 90 例 ( 年齢 70 ± 12 歳, 男性 55 例 ) だった. 転帰良好例では不良例に比して若年で (67 vs 75 歳,p < 0.0,P 群が少なく (25 vs 46%,p < 0.0, 発症前スタチン内服例が多く (25 vs 13%,p= 0.0, 入院時 NIHSS( 中央値 4[2-5]vs 5[4-6],p < 0.0, 血糖値 (131 vs 154 mg/dl,p < 0.0,BUN(16.4 vs 19.1 mg/dl,p < 0.0 が低値だったが,IV rt-pa や EVT 施行と関係は認めなかった. ステップワイズ法による多変量解析で, 年齢 (OR,0.94 / 10 歳 ;95 %CI, ), 入院時 NIHSS(0.84; ),P 群 (0.35; ), 発症前スタチン内服 (2.38; , 血糖値 (0.998 /mg/dl; ) が転帰良好に関連した.P 群のみを対象とした多変量解析では,EVT が転帰良好に関連する傾向があった (OR 2.69, 95% CI ,p = 0.08). 結論 主幹動脈閉塞による軽症脳梗塞での転帰良好例は約 2 / 3 に留まり, その関連因子は年齢, 入院時 NIHSS, 近位主幹動脈閉塞, 発症前スタチン内服, 血糖値だった. 近位主幹動脈閉塞例では, 血管内治療により転帰が改善する可能性がある. 3-O43-6 急性期脳主幹動脈閉塞に対する機械的血栓回収療法 馬場記念病院脳神経外科 宇野淳二 Uno Junji 伊飼美明 雨宮健生 魏秀復 長岡慎太郎 亀田勝治 上坂十四夫 目的 急性期脳主幹動脈閉塞に対する血行再建術は Penumbra system,solitaire,trevo が導入され,device 選択の見極めが重要となっている. 機械的血栓回収療法と従来の局所的血栓溶解療法と比較した報告はない. 方法 対象は急性期脳主幹動脈閉塞 218 例である.119 例で Penumbra System(P) を用いた.19 例でステントリトリーバーを用いた. 本年 6 月よりは原則としてステントリトリーバーを第一選択とした. 従来の局所線溶療法 (F) の成績と比較することで, その有用性と問題点を検討した. 症例選択には CTA,perfusion CT を用い,CBF/CBV mismatch を適応とした. t-pa 投与の適応が有る場合には tpa 投与を併用している. 再開通率, 再開通に要した手技時間, 重篤な出血性合併症,3 か月後の mrs につき検討した. 成績 再開通率は 81.3 %(TICI grade 2 B 以上 ) であった. 再開通に要した手技時間は 49.4 分であった. 重篤な出血性合併症は 2.2 % であった.3 か月後の mrs 良好群 (0, 1, は 43 % であった. 結論 (P) は再開通率, 出血性合併症率, mrs とも (F) より優れていた. さらに (P) は M 1 近位部閉塞での治療成績が良好であった. この理由として短時間での再開通が得られること, 局所での血栓溶解剤の投与が関与する出血性合併症の回避が考えられる. 適切な患者選択と iv-tpa と並行して血管内治療を開始し, 治療に至るまでの時間を短縮させることが治療成績を向上させるために重要である.Solitaire,Trevo の経験数は未だ少ない. 大血管の血栓回収には有力であったが,M 2 閉塞の血栓回収は困難であった. より有効な device を早期に見極め,device に振り回されない確固とした治療戦略の確立と手技の習熟が必要である. 一JNET Vol.8 No.6 December
76 3-O44-1 椎骨脳底動脈系の急性閉塞に対する血管内治療の治療成績 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 先端医療センター病院脳血管内治療科 佐藤慎祐 Sato Shinsuke 今村博敏 坂井信幸 鳴海治 坂井千秋 森本貴昭 清水寛平 菊池晴彦 谷正一 柴田帝式 足立秀光 阿河祐二 目的 当院における椎骨脳底動脈系の急性閉塞に対する血管内治療の治療成績と問題点について検討した. 対象 方法 対象は, 2006 年 4 月から 2014 年 8 月までに脳血管内治療による急性期血行再建術を施行した椎骨脳底動脈系の急性閉塞症例 ( 椎骨動脈起始部単独, 後大脳動脈末梢部を除く )31 例を対象とし, 再開通率, 転帰を検討した. 結果 平均年齢 67.8±12.6 歳, 男性 23 例 (74.2 %),NIHSS 中央値 33, 塞栓性機序が心房細動 (Af), アテローム血栓性 (ATBI) はそれぞれ 12 例,13 例であった. 閉塞部位は, 椎骨動脈 / 脳底動脈閉塞 9 例, 脳底動脈単独閉塞 22 例であった. 治療方法は, 機械的破砕術 3 例, ウロキナーゼ (UK) 動注単独 1 例, 経皮的血管形成術 (PTA) 単独 9 例,PTA + UK 動注 or Stent or Penumbra+Stent 計 6 例,Merci 単独 1 例,Merci + PTA or Stent 計 3 例,Penumbra 3 例,Penumbra+PTA 1 例, Stent retriver 4 例であった. 周術期の合併症は, 症候性頭蓋内出血は 6 例であった. 再開通について TICIgrade(0:1:2 A:2 B: は, それぞれ 6:1:4:14:6 であった. 両側後交通動脈の発達が良好または, 一方の後交通動脈の発達が良好かつ対側 leptomeningeal anastomosis が良好な群 (PCAs) は 22 例認め, 塞栓性機序が Af/ATBI はそれぞれ 9 / 10 例であった. その内, TICI:2 B 以上の再開通は 7(77.8 %)/ 9(90 %) 例であった. 転帰として退院時 mrs 0-2 は全体で 4 例 (12.9 %) であったが, ATBI でかつ PCAs 群では 3 例 (30 %) であった. 結語 椎骨脳底動脈の急性閉塞に対する血管内治療は再開通率, 転帰も不良であるが, 後交通動脈や側副血行路の発達が良好なもので, 塞栓性機序がアテローム血栓性の症例は再開通率が高く, 転帰もややよい傾向にあった. 3-O44-2 椎骨脳底動脈急性閉塞に対する血行再建の成績 医誠会病院脳神経外科 松本勝美 Matsumoto Katsumi 鶴薗浩一郎 佐々木学 芝野克彦 梅垣昌士 竹中朋文 目的 椎骨脳底動脈系の急性閉塞は予後不良である一方, therapeutic time window については不明な点が多い. 我々は発症時間に関係なく Diffusion MRI で血行再建の判断を行っているが, 成績についてまとめた. 症例と方法 過去 12 年間に血行再建した急性椎骨脳底動脈閉塞 30 例について, 搬送時 NIHSS, 治療までの期間, 再開通の有無,3 ヶ月後の mrs について検討した. 治療適応は diffusion MRI で高信号の volume が 20 cc 以下かつ脳幹全体にまで拡がっていないことを条件とした. 平均年齢は 70.3 歳, 初診時 NIHSS 20.1, 平均の治療までの時間は 8.9(1.5-48) 時間であった.TPA は 5 例, 機械的血栓除去 (Merci/Solitarie) は5 例, マイクロカテーテルによる UK 動注は 18 例,UK 動注と PTA 併用は 2 例であった. 成績 TICI 2 B 以上の再開通を認めた例は 16 例 (53 %) で,mRS 0-2 は7 例 (44 %) に認めた.TICI 2 A 以下の 14 例では,mRS 0-2 は1 例で mrs 4-6 は 12 例 (86 %) であった. 機械的血栓除去では 4 例再開通,1 例部分開通で再開通例はすべて mrs 3 以下であった. 発症時間では,3 時間以内は 13 例で再開通例の予後は良好であった. 発症 3 時間以上経過した例でも当初の神経症状が軽症の例は予後良好であった. 発症 8 時間以上経過した例は 9 例で,mRS 3 以下が 3 例に認めた. 結論 急性椎骨脳底動脈閉塞は再開通は必須条件で,TPA で開通しない場合は機械的血栓除去が望まれる. 発症長時間経過した例でも予後良好な例があり, diffusion MRI で脳幹に強い高信号がないなどを条件に積極的な血行再建が望まれる. 3-O44-3 脳梗塞急性期再開通療法における術後頭蓋内出血の検討 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 先端医療センター脳血管内治療科 神戸市立医療センター中央市民病院神経内科 有村公一 Arimura Koichi 坂井千秋 河野智之 坂井信幸 藤堂謙一 菊池晴彦 谷正一 今村博敏 足立秀光 星拓 鳴海治 佐藤慎祐 目的 脳主幹動脈閉塞に対する急性期血管内再開通療法 (ER; endovascular revascularization) において, 良好な再開通を得ても術後頭蓋内出血を合併し転帰不良をたどる症例を経験することがある. そこで当院での ER 施行症例を解析し, どのような症例群に術後頭蓋内出血が多いのかを検討した. 対象 方法 Penumbra システムが本邦で保険収載された 2011 年 10 月より 2014 年 7 月までに当院で ER を施行した 104 例を対象に, 術後頭蓋内出血に関連する因子について詳細に検討した. 頭蓋内出血は術翌日に撮影した CT または MRI T 2 * を用いて判定した. 結果 無症候性を含む全ての術後頭蓋内出血 (ICH) は 42 例 (40.4 %) に認められ, そのうち症候性頭蓋内出血 (sich) は 5 例 (4.8 %) であった.ICH 群および sich 群では 90 日後 mrs が増悪する傾向が認められたため, それぞれと相関する因子を検討した.ICH 群では発症前より抗血栓薬を内服している症例が有意に多く (OR:2.78,p= 0.02, stent retriever 使用 (p= 0.065) 心原性塞栓症 (p= 0.079) で多い傾向にあった. また sich 群では発症 再開通時間が有意に長く (p= 0.03, 穿刺 再開通時間が長い傾向 (p= 0.09 にあった. 結論 脳主幹動脈閉塞に対する ER において, 発症前より抗血栓薬を内服している場合や穿刺 - 再開通時間が長くなった症例では術後頭蓋内出血が増加する可能性があり注意が必要である. また, stent retriever 使用群でもほとんど無症候性ではあるが術後頭蓋内出血が増える傾向にあり, 今後症例を蓄積しさらに解析していく必要がある. 3-O44-4 急性期脳主幹動脈閉塞に対する血行再建術の転帰不良例の検討 君津中央病院脳神経外科 海老原幸一 Ebihara Kouichi 岡陽一 早坂典洋 須田純夫 田島洋佑 高躍 村山浩通 急性期脳主幹動脈閉塞に対して機械式血栓回収術が施行されているが, 再開通が得られない場合その治療成績は非常に悪い事が知られている. その一方で再開通が得られたものの転帰が不良であった例も少なくない. 今回我々は急性期血行再建術によって再開通が得られたものの, 転帰が不良であった例について検討した. 対象 脳主幹動脈閉塞症例に対し平成 23 年 6 月から平成 26 年 8 月までに急性期血行再建術を施行された 30 例のうち再開通 (TICI 2 A 以上 ) が得られた 23 例. 方法 90 日後の mrs 3 を転帰不良と定義し年齢, 性別, 閉塞部位, 術後出血, 術前 ASPECTS, 術前 NIHSS, 発症から再開通までの時間 (ORT) 等について検討した. 結果 再開通までの時間と転帰不良とが関連していた. 結論 急性期血行再建術の治療成績改善の為には再開通率をあげる事はもとより, 発症から再開通までの時間を短縮させる必要がある. 270 JNET Vol.8 No.6 December 2014
77 3-O44-5 般口演patent MCA type の塞栓性内頸動脈閉塞における機械的血栓除去術の治療戦略 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター脳神経 脳卒中科 京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター救急科 東京新宿メディカルセンター脳神経血管内治療科 国立循環器病研究センター病院脳血管内科 1, 山田丈弘 Yamada Takehiro 山本敦史 竹上徹郎 今井啓輔 中村拓真 池田栄人 濱中正嗣 猪奥徹也 山崎英一 武澤秀理 傳和眞 徳田直輝 目的 急性頭蓋内内頸動脈 (ICA) 閉塞において, 閉塞部位が ICA に限局し同側中大脳動脈 (MCA) が開存している (patent MCA) 例では, 再開通治療により distal clot migration(dcm) を来たす危険性がある.DCM を生じると血栓除去が困難になる場合が多い. 今回,patent MCA type 塞栓性 ICA 閉塞での治療戦略を明らかにする 方法 2006 年 4 月から 2014 年 5 月までに当施設で実施した急性 ICA 閉塞の血行再建連続 71 例中, 非塞栓性機序 29 例と初診時 MRA/ 初回 DSA で同側 MCA 閉塞合併 25 例を除外した 17 例を対象. 予後良好群 (3 か月 mrs 0-2;G 群 ) と予後不良群 (P 群 ) に分類し, 背景因子, 手技内容, 成績を比較した. 成績 G 群 11 例,P 群 6 例であった. 平均年齢,NIHSS,ASPECTS は,G 群 /P 群で 73.6 / 75.8 歳,19.2 / 17.2 点,7.9 / 8.7 であった. 発症 - 穿刺平均時間は G 群 /P 群で / 分, 平均手術時間は 72.8 / 分だった. 使用デバイス (Merci-Penumbra-others) は,G 群 /P 群で /4-3-5 例であった. バルーンガイドカテでの近位血流遮断術 (proximal flow control:pfc), 血栓近位部からの血栓除去アプローチ (=Running aspiration technique: RAT), 対側 ICA 留置カテーテルからの患側 ICA 先端部 margin の診断造影 (Diagnostic angiography via AcomA:DAVA) は,G 群 /P 群で 11/2 例,11/3 例,2/3 例であった. 再開通 (TICI 2b- と合併症は,G 群 /P 群で 11/2 例と 0/2 例であった.P 群の合併症 2 例はとも DCM で PFC 未実施例であった 結論 G 群では重症かつ ASPECTS 低値例でも,PFC と RAT を用いた機械的血栓除去術にて DCM を防ぎ良好な再開通が得られていた. Patent MCA type 塞栓性 ICA 閉塞では PFC と RAT を実施すべきである. 3-O44-7 急性期脳主幹動脈塞栓症に対する t-pa 静注療法および血管再開通療法 社会医療法人医仁会中村記念病院脳神経外科 片岡丈人 Kataoka Taketo 上山憲司 荻野達也 大里俊明 遠藤英樹 中村博彦 高平一樹 御神本雅亮 はじめに 血管再開通療法 (RVT) の進歩によって, 主幹動脈脳塞栓症に対する治療方法が大きく変化した. また,t-PA 静注療法 (ⅳ t-pa) も治療可能時間が発症から 4.5 時間以内へと適応拡大された.RVT,ⅳ t-pa 両者の意義や, 課題も存在する. 主幹動脈脳塞栓症に対して ⅳ t-pa と RVT を行った結果と現状を報告する. 対象 2011 年 4 月 2014 年 3 月までに ⅳ t-pa,rvt の治療適応と判断した急性期主幹動脈塞栓症 41 例.25 例に ⅳ t-pa を脳血管造影室で実施, 再開通の得られなかった症例は直ちに RVT を実施した.RVT 単独は 16 例. 閉塞血管は中大脳動脈 25 例, 脳底動脈 13 例, 内頸動脈 3 例. 結果 発症から搬入までの平均時間は 79.4 分. 搬入時 NIHSS 平均 18.8 点. 搬入から大腿動脈穿刺までの平均時間は 90.7 分. 脳血管造影室での治療終了時 TICI grade 3,2 b は 27 例 65.9%.30 日後 mrs 0-2 は 15 例 36.6%.ⅳt-PA 単独での TICI 3,2 b は 4 例 16% に認められ,3 例は mrs 0,1 であった. 24 時間以内の出血性合併症は 3 例に認めたが, 転帰に影響し無かった. 予後良好群は不良群に比して若年, 搬入時間が短く, 再開通までの時間も短い傾向にあった.NIHSS が低い事 ( 脳底動脈 p= 0.00,TICI 3,2 b の良好な再開通の比率が高い事 ( 中大脳動脈 p= 0.037) が関係していた. 結論 NIHSS, 年齢は改善出来ない要素である. 予後を改善する為には, 再開通までの時間を短縮し, 再開通度を高め, 治療合併症を回避する事が重要である.ⅳ t-pa はエビデンスのある治療であり, 単独で予後良好な症例が存在する事から,ⅳ t-pa,rvt の適応を遵守しつつ出来るだけ短時間での再開通が得られるよう, 治療手順に習熟する事が重要である. 3-O44-6 頚動脈ステントを用いた急性期再開通治療の検討カリフォルニア大学ロサンゼルス校ロナルドレーガンメディカルセンター神経内科脳卒中センター カリフォルニア大学ロサンゼルス校ロナルドレーガンメディカル センター脳血管内治療部 尾原信行立嶋智 ダックワイラーゲーリー Ohara Nobuyuki セイバージェフリー リーベスキンドデビッド 目的 同側頚部内頚動脈閉塞または高度狭窄を伴う急性期脳主幹動脈閉塞例に対する, 頚動脈ステントを用いた急性期再開通治療の有効性と安全性を明らかにする. 方法 2005 年 1 月から 2012 年 12 月まで当センター脳血管内治療部で行われた急性期血行再建 282 例のうち, 頚動脈ステントを使用した連続 23 例を後方視的に検討した. 結果 23 例 ( 女性 8 例 ) の平均年齢 64.2 歳, 入院時 NIHSS スコア中央値 20,DWI-ASPECTS 中央値 7,ICA 起始部閉塞 17 例 (73.9 %), 頭蓋内血管 tandem 閉塞 19 例 (82.6 %) であった. 全例で頚動脈ステント留置に成功し,14 例 (60.9 %) で頭蓋内閉塞血管に対する機械的血栓除去術を行った. 頭蓋内再潅流 modified TICI 2 b は 9 例 (39.1 %) で得られ, 治療後の実質内出血を伴う出血性梗塞 (ECASS 定義による PH) を 9 例 (39.1 %), 急性期ステント内血栓を 4 例 (17.3 %) に認めた. 退院時または 3 ヵ月後の転帰良好 (mrs 0 - は 6 例 (26.1 %) であった. 多変量解析の結果, 年齢 (OR= 1.2,95 %CI= ,P= 0.0, 入院時 DWI-ASPECTS(OR= 0.25,95 %CI= ,P= 0.0 が独立して予後不良 (mrs 3-6) に関連し, 機械的血栓除去術 (OR= 2.5,P= 0.005) が有意に PH に関連した. また PH を認めた 9 例は全て入院時に大脳基底核に DWI 高信号域を認めた. 結論 頚動脈ステントを用いた急性期再開通治療は技術的に可能であるが, 術後脳出血やステント内血栓のリスクが高く, より慎重な適応選択が必要である. 3-O45-1 A 1 形状と動脈瘤発育方向をもとにした前交通動脈瘤の簡便な分類法 各型の頻度およびコイル塞栓術の治療成績 川崎医科大学脳神経外科 戸井宏行 Toi Hiroyuki 松下展久 松原俊二 宇野昌明 松村浩平 萩野寛隆 高井洋樹 目的 2013 年の本会で報告した前交通動脈瘤の分類法を modify したので報告する. 方法 2004 年 9 月から 2014 年 7 月までに当科で治療を行った前交通動脈瘤連続 85 例を対象とした. 平均年齢 63.9 歳, 男 38 女 47, 破裂 73, 未破裂 12. 血管撮影正面像をもとに A 1 の形状と動脈瘤発育方向を評価し,4 型に分類した.( 垂れ下がり型 :A 1 が上に凸で動脈瘤が下向きに垂れ下がったタイプ ( 突き上げ型 :A 1 が下に凸で動脈瘤が上向きに突き上げて発育したタイプ ( 水平型 :A 1 が水平 ( 上下 10 度以内 ) で動脈瘤が横向きに発育したタイプ ( 不一致型 :A 1 の向きと動脈瘤の発育方向が異なるタイプ各型の頻度およびコイル塞栓術における angiographic outcome を検討した. 結果 ( 垂れ下がり型 39 例 (45.9 %),( 突き上げ型 25 例 (29.4 %),( 水平型 6 例 (7.1 %),( 不一致型 15 例 (17.6 %) であった. コイル塞栓術は 39 例に施行した.Body filling が残存したのは, 垂れ下がり型 5.9 %, 突き上げ型 8.3 %, 水平型 0 %, 不一致型 50.0 % であった. 術後再出血は突き上げ型で 2 例, 虚血性合併症は不一致型で 1 例発生したが, いずれも予後には影響しなかった. 考察 結論 本分類法は血管撮影正面像のみで判定するため, 煩雑な計測を必要とせず簡便かつ直感的に分類が可能である. 実際の治療においては 3 D 画像を駆使して strategy を立てるが, 本分類法は治療戦略を検討する際の first step として有用と考えられる. また血管内治療の初心者において母血管と動脈瘤の解剖学的位置関係を理解する際の一助となる.A 1 の形状と動脈瘤発育方向との関係はカテーテルの誘導や安定性に直結するため, 不一致型で塞栓状態が悪かったと考えられる. 一JNET Vol.8 No.6 December
78 3-O45-2 近年における破裂前交通脳動脈瘤治療法選択の動向 長崎 SAH 研究会 data base における過去 5 年間 361 例の後方視的検討 国立病院機構長崎医療センター脳神経外科 長崎大学脳神経外科 済生会長崎病院脳神経外科 十善会病院脳神経外科 5) 佐世保市立総合病院 6) 小倉記念病院 日宇健 Hiu Takeshi 北川直毅 馬場啓至 堤圭介 笠伸年 6) 永田泉 福田雄高 5) 上之郷眞木雄 出雲剛 小野智憲 林健太郎 戸田啓介 目的 近年における破裂前交通動脈瘤治療法選択 ( コイリングまたはクリッピング ) の動向とその臨床像について, 長崎 SAH 研究会 data base から後方視的に検討する. 対象 年に長崎県内の脳神経外科施設で外科的治療を行った破裂前交通動脈瘤 361 例を対象とし, コイリング (CO) 群とクリッピング (CL) 群に分けて 入院時 H & K grade, 症候性脳血管攣縮, 水頭症, 退院時 mrs,5) 在院日数,6) 同一動脈瘤に対する再治療などの状況について検討した. 結果 59 例 (16.3 %) で CO,302 例 (83.7 %) で CL が選択された. 年齢は CO 群 :32-89 歳 ( 平均 66.5 歳 ),CL 群 :27-92 歳 ( 平均 62.7 歳 ), 平均 H & K grade は CO 群 = 2.42,CL 群 = 2.39 であった. 症候性脳血管攣縮 (18.6 %, 41.9 %), 水頭症 (37.3 %,47.9 %) は CO 群で少なく, 在院日数は短かった (52.6 日,57.5 日 ). 全体としての予後良好 (mrs 0 - の比率は CO 群で少なく (40.7 %,57.3 %),H & K grade 3-5 の症例群ではほぼ同等の結果であった (16.9 %,16.2 %). 再治療は CO 群で多かった (15.3 %,5.3 %). 結語 破裂前交通動脈瘤に対する CO は近年増加傾向にあり, 特に高齢者や重症例で選択されている. 再治療率は高いが, 中等度 重症 SAH 例全体においては CL と同等の治療成績が示唆され, 症候性脳血管攣縮や水頭症の発生率は低い傾向にある. 今後 device の発達や技量向上に伴い,CO 適応症例はさらに増加していくことが予想される. 3-O45-3 前交通動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療成績 岡山大学大学院脳神経外科 西廣真吾 Nishihiro Shingo 清水智久 杉生憲志 春間純 菱川朋人 平松匡文 新治有径 伊達勲 高杉祐二 目的 当院でコイル塞栓術を施行した前交通動脈瘤 (Acom An) の治療成績について検討した. 方法 2000 年 1 月から 2014 年 3 月までに当院でコイル塞栓術を施行した Acom An の 81 名を対象とした. 瘤の大きさ 治療方法 塞栓結果 合併症 治療成績 ( 治療 90 日後の modified Rankin Scale:mRS) について検討した. 結果 男性 46 名, 女性 35 名, 平均年齢 64 歳 (34 歳 97 歳 ). 破裂動脈瘤 40 個 (Hunt & Kosnik GradeI:15 例,II:5 例,III:5 例, IV:6 例,V:9 例 ), 未破裂動脈瘤 41 個. 瘤の最大径は 5 mm 未満が 35 個,5-10 mm が 38 個,10 mm 以上が 8 個であった.81 動脈瘤に対して 82 回の治療を行い, 治療方法は simple technique 54 回,double catheter technique(dct)3 回,balloon remodeling technique 24 回,DCT/stent-assisted technique 併用 1 回であった. 治療成功率は 95%(78/82 回 ) で, 塞栓状態は complete occlusion 37 例,neck remnant 28 例,dome filling 13 例,4 例で不成功であった. 治療合併症は 4 例 (4.9 %) に虚血性合併症,7 例 (8.5 %) に出血性合併症を認め, 予後悪化に関与したのは 4 例 (4.9 %) であった.61 / 81 名 (75 %) で治療後 90 日以上の followup が可能であり, 平均 42 ヶ月間 (3 145 ヶ月間 ) の観察期間中に 8 例 (9.9 %, 未破裂 :4 例, 破裂 :4 例 ) に再発を認めた. 再治療は 3 例 (3.7 %,1 例 : コイル塞栓術,2 例 : クリッピング術 ) で, 3 例とも破裂例かつ不完全閉塞例であった. 治療 90 日後の mrs は, 破裂例で mrs 0-2:12 名,mRS 3-6:13 名であり, 未破裂例では mrs 0-2:35 名,mRS 4:1 名であった. 結語 当院における Acom An に対するコイル塞栓術の治療成績は概ね良好であった. 約 10 % の再発を認めており, 長期の経過観察が必要であると思われる. 3-O45-4 動脈瘤コイル塞栓術を行った内頸動脈 C 2 部動脈瘤の長期予後 久留米大学医学部脳神経外科 済生会八幡総合病院脳神経外科 済生会福岡総合病院脳神経外科 大牟田市立総合病院脳神経外科 折戸公彦 Orito Kimihiko 中村普彦 廣畑優 森岡基浩 藤村直子 竹内靖治 山下伸 目的 内頸動脈 (ICA)C 2 部の動脈瘤 (AN) に対して瘤内塞栓術を行った自験例の治療成績を検討した. 方法 に塞栓術を行った ICA C 2 AN 連続 238 例 ( 未破裂 175, 破裂 25, 未破裂症候性 6) を対象とした. 瘤の location は ICA とネックの位置関係より medial,posterior,anterior,ic-ophthalmic(ic-oph), lateral に分類し術式, 周術期合併症, 退院時転帰, 外来での臨床, 画像フォローの結果を検討した. 成績 性別は F:196 M:42, 平均年齢 62.6 歳,location は medial:125,posterior:47, anterior:45,ic-oph:18,lateral:3 であった. 使用した術式は Balloon neck remodeling:169,double catheter:36,stentassit: 24,Simple:9 であった. 周術期合併症は術中破裂 ;2, 塞栓症 :3 を認めた. 術後の血管撮影では complete 143,neck remnant:77, dome filling:16,fail:2 であった. 退院時転帰は破裂瘤では GR: 20,MR:1,SD:3,dead:1, 未破裂瘤は mrs 0:194,3:1, 未破裂症候性で症状は改善 :1 不変 :4 悪化 :1 であった. 死亡退院を除いた 287 例中 245 例 (85.3 %) が追跡可能であった (6-190: 平均 87.4 か月 ). 観察期間中に 19 例は他疾患で死亡したが瘤の破裂また再破裂は認めなかった. 継時的画像検査 (MRI or DSA) は 214 例 (74.6 %) で可能であった. 瘤内血流の再発は 31 例 (14.5 %) でみとめうち 15 例は再塞栓術を行った. 再治療時の合併症は認めなかった. 結論 ICA C 2 AN に対する瘤内塞栓術は低侵襲であり破裂の予防効果を有すると考える. 3-O45-5 内頚動脈 上下垂体動脈瘤 (IC-SHA 動脈瘤 ) に対する血管内治療 100 例の検討 岡山大学大学院脳神経外科 春間純 Haruma Jun 高杉祐二 杉生憲志 清水智久 菱川朋人 平松匡文 西廣真吾 伊達勲 新治有径 目的 内頚動脈 - 上下垂体動脈瘤 (IC-SHA) は, 血管内治療の適応となる事が多い. 当施設および関連施設での治療成績について検討した. 対象 2000 年 1 月から 2012 年 7 月の間に治療を行った IC-SHA 動脈瘤 100 症例 102 個を対象とした. 結果 男性 11 例, 女性 89 例で, 平均年齢は 53.6 歳であった.100 症例のうち破裂例は 10 例 (H&K Grade I が 4 例,II が 3 例,III が 2 例 ) で未破裂例が 90 例であった. 瘤の大きさは平均 6.2 mm で, 平均 neck 径は 3.7 mm であった. 治療方法は Simple technique 6 個,Balloon remodeling technique 89 個,Balloon+double catheter technique 4 個, 塞栓後に stent 留置をしたのが 3 個, 治療を断念した例が 1 個であった. 塞栓術直後の塞栓状態は complete occlusion が 45 個, neck remnant が 48 個,dome filling が 8 個であった. 合併症は術中破裂が 1 例, 虚血性合併症は 1 例であり, 穿刺部合併症を認めたのが 1 例あった. 退院時後の転帰は mrs 1 が 1 例,mRS 5 が 1 例であった.Follow up は MRA と頭部単純 Xp で行い, 治療後 12 か月以上 follow up した症例は 71 個あり, 再発が疑われたのが 10 個あったが, いずれも僅かであり, 再治療を行った症例は無かった. 結語 IC-SHA 動脈瘤は wide neck で, また siphon 部に位置し屈曲が強いためカテーテルの安定が不良なことがある. その為 adjunctive technique 併用を行う事が多い. 今回の検討では再治療も無く,IC-SHA 動脈瘤に対して血管内治療は有用である. 272 JNET Vol.8 No.6 December 2014
79 3-O45-6 般口演当施設における中大脳動脈脳動脈瘤に対する脳血管内治療の治療成績 埼玉医科大学国際医療センター脳血管内治療科 溝上康治 Mizokami Koji 根木宏明 石原正一郎 掛樋善明 山根文孝 新美淳 神山信也 塚越瑛介 上宮奈穂子 背景 中大脳動脈(MCA) 脳動脈瘤は解剖学的特徴から直達手術のが選択されることが多いが, 近年, 脳血管内治療も増加傾向にある. 目的 当施設で脳血管内治療を行った MCA 脳動脈瘤の治療成績について検討した. 方法 2007 年 4 月から2014 年 3 月までの 7 年間で MCA 脳動脈瘤に対して初回脳血管内治療を行った 68 例において, 血管撮影所見, 合併症などを分析した. 結果 平均年齢は 61.6 歳 (38 歳から 77 歳 ) で 46 例 (67.6 %) が女性だった. 18 例 (26.5 %) が破裂脳動脈瘤だった. 多くは MCA bifurcation に位置し (59 例 86.8 %),neck 径 4 mm 以上は 29 例 (42.6 %) だった. 最大径 5 mm 未満の脳動脈瘤は 22 例 (32.3 %),5 mm から 10 mm 未満は 39 例 (57.4 %),10 mm 以上は 7 例 (10.3 %) だった. balloon assist/double catheter technique は 40 例 (58.8 %) に用いられた. 治療直後の塞栓状態は complete/almost obliteration が 58 例 (85.3 %),neck remnant は 8 例 (11.8 %) で, 半年 / 1 年後の血管撮影による追跡ができた 43 例のうち,13 例 (30.2 %) に塞栓状態の変化がみられ,2 例 (4.7 %) は再治療 ( コイル塞栓術 ) を余儀なくされた. 手技に伴う合併症は 13 例 (19.1 %) あり, うち 4 例 (5.9 %) が虚血性,6 例 (8.8 %) が出血性,3 例 (4.4 %) が穿刺部合併症で, 永続性のものは 4 例 (5.9 %) だった. 考察 MCA 脳動脈瘤は母血管との位置関係, 分岐血管の走行といった解剖学的複雑さから, 脳血管内治療を行う際, 多くは balloon assist/ double catheter technique による micro catheter の誘導,neck 形成などが必要となる. 結語 MCA 脳動脈瘤の治療において脳血管内治療も選択肢の一つと成り得る. 3-O45-7 破裂血豆状動脈瘤に対する内頸動脈を温存した血管内治療の成績 名古屋大学脳神経外科 市立四日市病院脳神経外科 大阪医科大学脳神経外科 西堀正洋泉孝嗣松原功明太田圭祐新帯一憲 Nishihori Masahiro 今井資伊藤真史中林規容宮地茂若林俊彦 目的 血豆状動脈瘤(BBA) は内頸動脈前壁に多く認められ, 解離性脳動脈瘤の一つと考えられている. 形態的に瘤内コイル塞栓術が可能と判断され, 治療を行った破裂 BBA について後方視的に治療成績を検討した. 対象と方法 2000 年 1 月から2014 年 4 月までに, 名古屋大学及び関連施設にてコイル塞栓術を行った内頸動脈破裂 BBA 14 例 ( 男性 2 例, 女性 12 例 : 平均 48 歳 ) を対象とした. 1 例は瘤内塞栓が施行困難であり, 内頸動脈の internal trapping を実施したため検討対象から除外している. 結果 Hunt and Kosnik Grade は,Grade 2-3:8 例 (57 %),Grade 4-5:6 例 (43 %) であった. 急性期 ( 発症 3 日以内 ) に治療を行ったものが 2 例 (14 %), 亜急性期 (4-14 日以内 ) 及び慢性期 (15 日以降 ) に治療を行ったものがそれぞれ 6 例 (43 %) であった. 血管内治療の方法として 7 例はバルーンアシストテクニック,5 例はシンプルテクニック,2 例はステントアシストテクニックを併用して塞栓術を行った. 手技に伴う合併症は, 術中破裂が 1 例 (7 %) あったが, 虚血性合併症は認められなかった. 術後のフォローアップ中に再出血は認められない. 一方, 動脈瘤の再発は 6 例 (43 %) で認められ, 全例に再治療を行っている. 再治療までの期間の中央値は約 53 日間であった. また再々発はその内 2 例で認められ, うち 1 例は internal trapping を行った. 再治療に伴う合併症は認められず, 全例で術後再出血は認められなかった. 臨床結果は 12 例 (86 %) が予後良好,2 例 (14 %) が予後不良であった. 結語 再発を監視するために頻回かつ入念なフォローアップを必要とするが, 形態的に治療可能と判断される破裂血豆状動脈瘤に対するコイル塞栓術は治療の選択肢になり得ると考えられる. 一3-O45-8 内頚動脈前脈絡叢動脈分岐部動脈瘤に対するコイル塞栓術の治療成績 岡山大学大学院脳神経外科 西廣真吾 Nishihiro Shingo 清水智久 杉生憲志 春間純 菱川朋人 平松匡文 新治有径 伊達勲 高杉祐二 目的 当院でコイル塞栓術を施行した内頚動脈前脈絡叢動脈分岐部動脈瘤 (IC-AChA An) の治療成績について検討した. 方法 2000 年 1 月から 2014 年 3 月までに当院でコイル塞栓術を施行した IC-AChA An の 22 名,23 動脈瘤を対象とした. 瘤の形態 治療方法 塞栓結果 合併症 治療成績 ( 治療 90 日後の modified Rankin Scale:mRS) について検討した. 結果 男性 11 名, 女性 11 名, 平均年齢 60 歳 (43 歳 82 歳 ). 破裂動脈瘤 3 個, 未破裂動脈瘤 20 個, 瘤の最大径は 5mm 未満が 6 個,5-10mm が 11 個,10mm 以上が 6 個であった. 瘤 neck から AChA が分岐しているものが 7 個あった.23 動脈瘤に対して 25 回の治療を行い, 治療方法は simple technique 4 回,double catheter technique(dct)2 回, balloon remodeling technique(brt)16 回,DCT/BRT 併用 2 回, DCT/stent-assisted technique 併用 1 回であった. 治療成功率は 96 %(24 / 25 回 ) であり, 塞栓状態は complete occlusion 14 個, neck remnant 8 個,dome filling 2 個,1 個は不成功 ( コイル挿入時に AChA の描出不良となり治療断念 ) であった. 治療合併症は 2 例 (8 %) に認め, 再治療例での内包梗塞による片麻痺と, 治療不成功例で一過性の片麻痺を認めた. 全例で治療後 90 日以上の follow-up が可能であり, 平均 27 ヶ月間 (3-88 ヶ月間 ) の観察期間中に再治療となったものは 2 例 (9 %) で, 再発を認めるも増大傾向なく経過観察中のものが 2 例 (9 %) であった. 治療 90 日後の mrs 0:19 名,mRS 1:1 名 (SAH 例 ),mrs 2:2 名 (1 名は SAH 例 ) であった. 結語 当院における IC-AChA An に対するコイル塞栓術の治療成績は良好であった. 動脈瘤の形態上,neck remnant で終える症例が多く, 長期の経過観察が必要であると思われる. 3-O46-1 ステント併用コイル塞栓術の中期成績 ステントはコイル塞栓術の安全性および根治性を向上させたか? 京都大学医学部脳神経外科康生会武田病院脳卒中センター 石井暁 Ishii Akira 新井大輔 菊池隆幸 池田宏之 荻野英冶 滝和郎 安藤充重 宮本享 千原英夫 背景 動脈瘤塞栓用ステント認可後に施行したステント併用コイル塞栓術の中期成績をまとめる. 目的 Enterprise(VRD) または NeuroformEZ(EZ) を用いて治療した動脈瘤 89 例. コイル後およびクリップ後の再治療はそれぞれ 11 および 2 病変である. 急性期治療 4 病変を除く全例で 1 週間前より抗血小板薬 2 剤とプロトンポンプ阻害薬を投与し,6 ヶ月後に 1 剤に減量した. 原則として, すべての内頚動脈瘤と椎骨動脈瘤は術後 12 ヶ月で中止し, その他の動脈瘤では 2 年目以降に中止を検討した. 最大径は,7 mm 以下 15 例,7-10 mm 41 例,10 mm 以上 33 例であった. 使用ステントは VRD 73 病変 EZ 14 病変である. 結果 周術期症候性合併症は, 脳梗塞 3 例 (3.4 %) 動脈瘤破裂 1 例 (1.1 %) で認めた. 治療直後の血管撮影では完全閉塞率 51.7 % に留まったが, 追跡時 ( 中央値 13.2 ヶ月 ) では 76.7 % で完全閉塞を確認した. 再治療は 3 例 (4.1 %) で施行された. 追跡中イベントは, 圧迫効果増悪 2 例, 無症候性ステント血栓症 2 例を認めた. 抗血小板薬の減量に関するイベントは, プロトコールに反して術後 6 ヶ月以内に単剤に減量した 2 例で母血管閉塞を認め,1 例では再開通治療を施行した. 術後 12 ヶ月以降に, 抗血小板薬を完全中止したのは 25 例で, 現在まで ( 平均 17.2 ヶ月 ) 虚血性イベントを認めていない. また, 抗血小板薬の複数投与期間中の出血性合併症は全例で認めなかった. 再治療率について, 追跡可能なステント認可前の 7 mm 以上の動脈瘤 (52 例 ) と本シリーズの 7 mm 以上の瘤 (63 例 ) を比較すると, それぞれ 26.7 % と 7.9 % と有意な改善 (p < 0.0 が確認された. 結論 中期成績は良好である. 特に大型瘤に対する根治性向上は顕著である. JNET Vol.8 No.6 December
80 3-O46-2 当院におけるステント併用脳動脈瘤塞栓術 国立病院機構水戸医療センター 筑波大学医学医療系脳神経外科 加藤徳之 kato Noriyuki 安田貢 山崎友郷 松村明 細尾久幸 藤原雄介 松村英明 はじめに 瘤内コイル塞栓術治療のみでは根治が難しい動脈瘤の代表が大型広頚大型脳動脈瘤と言える.2011 年度から使用可能となった脳動脈瘤支援用ステントも使用から 3 年経過した. 臨床経過を検討し報告する. 対象ならびに方法 2011 年 4 月から 2014 年 7 月までに大型広頚脳動脈瘤の初期治療や再発瘤, コイル逸脱症例の bailout, 親血管の直線化を狙った 2 枚重ねなどの用途に Enterprise VRD を 26 例に,Neuroform EZ を 7 例に使用した. 抗血小板剤はバイアスピリン, プラビックスの 2 剤併用で, 細菌では verify now を導入し血小板凝集能の確認も行うようになった. 当初は術後 1 年間は 2 剤で以後は単剤継続であったが最近では術後 6 ヶ月で 2 剤から 1 剤への切り替えを行うことが多くなった. 結果 全例追跡中で再治療になった症例が 3 例 (9.4 %) 存在した.1 例は major recurrence で 2 例は minor reccurence であったが 1 年目のフォロー後に追加塞栓を加えた症例であった. その他の症例は major recurrence なく良好な経過であった. ステントに関連した血栓性合併症は認めなかった. 結語 再発, 再治療率の高いこれら広頚脳動脈瘤の対象に対して, 従来の再治療率と同等以下でステント留置による動脈瘤制御効果は高いものと思われた. また周術期の抗血小板剤使用法も標準化されてきた印象がある. 症例を重ねる事より動脈瘤支援ステントは抵抗なく使用できるようになった反面, 治療効果の限界も認識できるようになった. 3-O46-3 ステント支援下コイル塞栓術後の再発動脈瘤に対する治療戦略 名古屋大学医学部脳神経外科 大阪医科大学脳神経外科 泉孝嗣 Izumi Takashi 今井資 松原功明 西堀正洋 太田圭祐 宮地茂 新帯一憲 若林俊彦 伊藤真史 目的 VRD の登場により広頚の動脈瘤にも塞栓術の適応が拡大した. しかし, その後に再発した症例に対してどのように治療すべきか本邦ではまだ十分な知見が得られていない. 高度再発を来した自験例を報告し, 追加治療時の治療戦略及び注意点について考察する. 対象 VRD を用いた塞栓術を 2013 年末の時点で 122 個の動脈瘤に対して行い, それらの内, 再治療を要する高度な再発と判断した 10 例について検討した. その内 8 例が未破裂瘤であった. 瘤の最大径は平均 17.2(10-25)mm で, 部位は BA が 6 個と最も多く,ICA と VA が 2 個ずつであった. 結果 10 例中 6 例で再治療 ( 再塞栓術 4 例, 母血管閉塞 2 例 ) が行われ, 再治療までの期間は平均 13.5 ヶ月であった.BA-tip 瘤の 1 例で再塞栓術中に VRD を追加留置し Y ステントとした. 再治療時の合併症はバイパスを併用した母血管閉塞を行った血栓化 VA-PICA 瘤の 1 例で生じた. 再塞栓術後の再々発率は 50 %(2 例 ) でいずれも再々治療は行っていない. 全 10 症例中,mass effect により神経症状が悪化した症例が 5 例あった. また, 再治療を行わなかった BA-SCA 瘤の 1 例では再出血し死亡していた. 最終診察時の mrs が 0-2 であった割合は再治療群で 67 %, 未治療群で 50 % であった. 結論 再治療を要する再発は大型瘤のみで観察され, 再塞栓術は半数の症例で有効であった. 一方, 再発症例では mass effect により神経症状が悪化しており, 大型瘤ではより早い段階での治療介入が予後を改善する可能性が示唆された. 3-O46-4 未破裂脳動脈瘤に対するステント支援コイル塞栓術の功罪 国家公務員共済連合会虎の門病院脳神経血管内治療科 佐藤允之 Sato Masayuki 天野達雄 松丸祐司 目的 脳動脈瘤塞栓支援ステントの治療効果と合併症を検討する. 対象 2005 年 3 月 ~2013 年 8 月に虎の門病院で行われた 385 例の未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術のうち, 大型広頚動脈瘤 141 例 (36.6 %) の治療成績を, ステント導入前群 66 例, ステント導入後のステント使用群 55 例, 非使用群 30 例に分けて検討した. 結果 動脈瘤の最大径 / ネック径は導入前群 10.1 mm/ 5.4 mm, 使用群 9.0 mm/ 6.0 mm, 非使用群 9.2 mm/ 4.9 mm であった. ステント複数使用は 5 例 (9%) だった. 直後の塞栓状態は導入前群で CO+NR 57 %,BF 42 %, 使用群で CO+NR 24 %,BF 76 %, 非使用群で CO+NR 30 %,BF 70 % であった.1 年後の血管造影で良好な経過 (CO が CO,NR が NR,CO,BF が CO,NR, 悪化しない BF) は, 導入前群 62 %, 使用群 73 %, 非使用群 83 % であった. 再治療は導入前群 27 %( ステント使用塞栓 9, 開頭, 使用群 11 %( 追加塞栓 6) であった. 導入前群で追加ステント塞栓した 6 例のうち 5 例で 1 年後は CO+NR になった. 周術期合併症は導入前群 4.5 %, 使用群 10.9 %, 非使用群 6.7 % であった.30 日以降の合併症は導入前群 1.5 %, 使用群 27.2 %( 脳出血 2, 脳梗塞 6, TIA 4, 水頭症 1, 脳神経麻痺 1, 外傷性 SAH と有意に多かった. 脳出血を起こした 2 例はクロピドグレルの Hyper responder であった. 脳梗塞はクロピドグレル中止後に 3 例, 抗血小板剤休薬後に 1 例発症した. 使用群での死亡率 5.5 %, 永続性後遺症 7.3 % であった. 結論 ステント使用により, 治療が難しい大型広頚動脈瘤も安定した塞栓結果が得られるようになった一方, 周術期のみならず慢性期にもステント関連合併症が発生している. 大型動脈瘤の自然歴と比較して, 合併症頻度を考えるとステント使用には慎重な姿勢が必要である. 3-O46-5 ステント支援コイル塞栓術における血栓塞栓性合併症とその予測因子についての検討 三重大学大学院医学系研究科脳神経外科 三重大学大学院医学系研究科先進的脳血管内治療学 当麻直樹 Toma Naoki 阪井田博司 梅田靖之 佐野貴則 中塚慶徳 鈴木秀謙 目的 ステント支援コイル塞栓術の血栓塞栓性合併症に関する治療成績と予測因子について検討した. 方法 当施設でステント支援コイル塞栓術を施行した未破裂脳動脈瘤連続 37 例を対象とした. ステントは,33 例に Enterprise,4 例に Neuroform を使用した. 抗血小板療法は 2 剤併用で術前に血小板凝集能を計測して必要な場合は 3 剤にするなど強化した. 術後は 2 剤併用を 3 ヶ月以上,1 剤を 12ヶ月以上継続した. 血栓塞栓性合併症の予測因子を調べるため, 術後 MR 拡散強調画像における新規虚血巣の有無と, 患者背景, 血小板凝集能, 動脈瘤および親動脈の形態などの因子について検討した. 結果 血栓塞栓性合併症は 4 例 (10.8 %) であった. 周術期にはステント留置部の分枝領域の梗塞が 2 例発生した. 永続的障害は軽度の Wallenberg 症候群 1 例 (2.7 %) であった. 術後 MRI を施行した 35 例では新規虚血巣は 17 例 (48.6 %) に認められた. 遅発性にはステント血栓症 ( 親動脈閉塞 ) が 2 例発生したが, いずれも無症候であった. その他遅発性の TIA や脳梗塞は発生しておらず, 術後 6 ヶ月以降に MRI を施行した 28 例 ( 平均追跡期間 27ヶ月 ) でも新規脳梗塞の出現は認められなかった. 術後 MR 拡散強調画像における新規虚血巣には parent artery angle と定義して評価した親動脈屈曲が有意に相関していた. 結論 ステント支援コイル塞栓術における現行の抗血小板療法は血栓塞栓性合併症対策として概ね問題ないと考えられるが, 屈曲部の動脈瘤に対してはより慎重な対策が必要であることが示唆された. 274 JNET Vol.8 No.6 December 2014
81 3-O46-6 般口演脳底動脈先端部脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 10 年間の変遷 頭蓋内ステント導入後, 何が変わったのか? 京都大学医学部脳神経外科 新潟大学脳研究所脳神経外科 長谷川仁 Hasegawa Hitoshi 伊藤靖 佐藤圭輔 森田健一 西野和彦 藤井幸彦 はじめに 動脈瘤ネックブリッジ用ステントが国内導入されて約 4 年が経過した. 脳底動脈先端部脳動脈瘤の血管内治療において, ステント導入前後の治療成績を比較検討し, ステントを含めた補助テクニックの詳細やその効果と共に, 我々の治療戦略の妥当性を検証した. 対象と方法 2005 / / 3, 破裂を含む脳底動脈先端部動脈瘤に対し瘤内塞栓術を施行した連続 102 例 ( 平均 64.8 ± 10.6 歳, 女性 77 例 ),124 手技. ステント導入前後で2 群 ( 導入前 : B 群, 導入後 :A 群 ) に分類し, 患者背景, 補助テクニックの頻度と詳細, 経過中塞栓状態の変化, 再治療を要する再発率, 手技関連合併症につき比較検討した. 結果 年齢, 性差, 瘤サイズ, 補助テクニックの併用頻度 (B 群 41.9 %,A 群 48 %), 合併症 (B 群 9.5 %,A 群 8 %) には2 群間に有意差を認めなかった. 補助テクニックの詳細はバルーンアシスト (B 群 31 手技,A 群 15 手技 ), ステントアシスト (A 群 8 手技 ), またはその併用 (A 群 1 手技 ) であり, ダブルカテーテルや Y ステントは1 例もなかった. 再発については B 群 17.7 %,A 群 12.5 % でステント導入後に少ない傾向にあり, 治療直後の完全閉塞率は B 群 36.5 %,A 群 56 % でステント導入後の症例で有意に改善していた (P= 0.0. 経過中の塞栓状態改善率は,A 群で高い傾向にあった. 考察 結語 シンプルテクニックに加えてステントやバルーンアシスト, またはそれらの併用テクニックにより, 最近 10 年間全ての脳底動脈先端部動脈瘤に対処することができ, ステント導入後はより効果的な塞栓が可能であった.Y ステントなどの特殊なテクニックを使用せずとも, 現在の我々の治療方針で安全かつ効果的な塞栓術が可能と思われた. 3-O46-7 ステント適応 未破裂内頚動脈瘤に対するコイル単独塞栓症例とステント併用コイル塞栓症例の比較検討 脳神経センター大田記念病院 兵庫医科大学病院 大分赤十字病院 大田慎三関原嘉信前田一史田中康恵姫野隆洋 Ota Shizo 兼松龍石井則宏和田裕美佐藤倫由 背景および目的 当施設では, ステント適応脳動脈瘤の治療にあたり, ステント併用による虚血性イベントリスクや抗血小板療法の長期化等を念頭に, コイル単独塞栓が可能であれば, 基本的にステント併用を避ける治療方針をとってきた. 今回, 当施設におけるステント適応未破裂内頚動脈瘤症例を対象に, コイル単独治療の安全性について, ステント併用症例と比較検討したので報告する. 対象および方法 2010 年 7 月から 2014 年 8 月の間に, 初回血管内治療を施行した未破裂脳動脈瘤 216 例中, ステント適応内頚動脈瘤症例におけるコイル単独塞栓群 (C 群 ) とステント併用コイル塞栓群 (S 群 ) の, 患者背景および転帰について比較検討した. 結果 内頚動脈瘤症例 121 例において, ステント適応となる wide neck ( ネック径 4 ミリまたはドーム / ネック比 (D/N 比 ) 2, 最大径 7 ミリ ) の 27 例 (22.3%) のうち,C 群は 23 例,S 群は 4 例であった. 両群の患者背景では, 年齢 (C 群 :67.3 ± 10.8,S 群 : 50.5 ± 17.9 P= 0.04 のみ有意差を認め, 瘤最大径 (C 群 :10.0 ± 3.4,S 群 :9.3 ± 2.6), ネック径 (4.9 ± 1.4,6.0 ± 3.,D/N 比 (1.7 ± 0.5,1.4 ± 0., 塞栓率 (28.5 ± 6.7,30.3 ± 5.0) については有意差はなかった. 術後追跡期間中 ( 平均追跡期間 :20.8ヶ月),S 群において,1 例に感覚鈍麻出現, 他 1 例で対側内頚動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症したが,C 群では合併症を認めなかった. 結語 ステント適応脳動脈瘤症例においても, 大部分はコイル単独塞栓が可能であり, 転帰良好であった. 一3-O47-1 小型脳動脈瘤に対する脳動脈瘤コイル塞栓術の検討 京都第二赤十字病院脳神経外科 済生会京都府病院脳神経外科 南都昌孝 Nanto Masataka 天神博志 後藤雄大 村上陳訓 高道美智子 萬代綾子 中原功策 目的 最大径 3 mm 以下の小型脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の手術手技, 治療成績について検討する. 対象 2010 年 4 月から 2014 年 7 月までに同一術者が行った脳動脈瘤コイル塞栓術 69 症例 72 脳動脈瘤のうち最大径 3 mm 以下の小型脳動脈瘤 4 症例 4 脳動脈瘤を対象とした. 結果 女性 3 例, 男性 1 例,40 85 歳.ICPC aneurysm 1 例,distal ACA aneurysm 1 例,VA union aneurysm 2 例.4 例とも破裂脳動脈瘤であり H&K grade 2 が 2 例,3 が 1 例,4 が 1 例であった. 動脈瘤内へのマイクロカテーテルの留置の方法としては,1 例はマイクロカテーテルのたわみがとれることでカテ先がすすむ力を利用してカテ先を瘤内に留置,2 例は先端を steam shape したマイクロカテーテルを引き戻しながらカテ先を瘤内に留置,1 例はコイルループを利用してカテ先を瘤内に留置した. 3 例は balloon assist technique を用い,1 例は triple coaxial system を用いて治療を行った.4 例とも術中破裂をきたすことなく complete occlusion を得ることができ母血管 分枝血管閉塞などの周術期虚血性合併症も認めなかった. 結語 手術手技や device をうまく使いわけることで小型脳動脈瘤も安全に治療することができると考える. 3-O47-2 微小脳動脈瘤に対し ED extra soft コイル typer を用いたコイル塞栓術の有効性 東京警察病院脳血管内治療部 東京警察病院脳神経外科 金中直輔 Kanenaka Naosuke 小池司 佐藤博明 長谷川洋敬 阿部肇 鳥橋孝一 平岡史大 楚良繁雄 井上瑞穂 はじめに ED コイルは極まった柔軟性を持っており, それゆえにコイル塞栓術終盤において, コイルがオープンスペースに入り込むために高い充填率を得られる特徴がある. 微小動脈瘤におけるコイル塞栓術において非常に有用であった 4 症例 ( 最大径が 2 mm- 4 mm 程度の動脈瘤 4 症例 ) を呈示し若干の考察をふまえて報告する. 症例呈示 Framing から Finishing において全て ED コイルを用いてコイル塞栓術を行った微小動脈瘤 ( 破裂動脈瘤 3 例と未破裂動脈瘤 1 例 ) を呈示する. 破裂動脈瘤は脳底動脈 - 上小脳動脈分岐部動脈瘤, 脳底動脈穿通枝動脈瘤, 左内頚動脈 - 後交通動脈分岐部動脈瘤であり, 未破裂脳動脈瘤は内頚動脈 - 前脈絡叢動脈分岐部動脈瘤である. 考察 塞栓用コイルにおける塞栓中に起こるマイクロカテーテルのキックバックの原因は SR 構造の straitening によると言われている. 特に SR 構造が改良された Type R の ED extra soft はコイルの柔軟性が % 向上している.ED コイルと他社主要コイルとの In vitro でのキックバックを比較した実験データでは ED コイルが最もカテーテルのキックバックは少なく, 動脈瘤終盤でのコイル挿入に有用であると考えている. 特に微小動脈瘤の安全なコイル塞栓術においては症例呈示のごとく ED コイルの有用性は高いと思われた. 微小動脈瘤, 特にくも膜下出血急性期において他のコイルが使いにくい状況下でのコイル塞栓に効果を発揮するとも思われた. 結語 ED コイルの柔軟性とそれによる微小動脈瘤塞栓術での有効性について検討した. 他のコイルが使いにくい破裂微小動脈瘤への塞栓の場面で特に有効であったと思われた. JNET Vol.8 No.6 December
82 3-O47-3 感染性脳動脈瘤に対する血管内治療 大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科学 大阪大学大学院医学系研究科神経内科学 中村元 Nakamura Hajime 浅井克則 藤中俊之 木谷知樹 坂口学 村上知義 重松朋芳 吉峰俊樹 尾崎友彦 はじめに 感染性脳動脈瘤は比較的稀な疾患であり, 標準的な治療指針は存在しない. 本疾患に対する血管内治療は, 病巣に異物を留置することによる感染性合併症が危惧されるものの, その低侵襲性から有力な治療選択肢といえる. 特に補助人工心臓装着状態で抗凝固療法を中止しにくい症例では第一選択になるかもしれない. 本発表では, 当施設で行った感染性脳動脈瘤に対する血管内治療について, 実例を挙げながらその有用性について報告する. 症例 2006 年 1 月から 2014 年 7 月までの 8 年半の間に臨床症状や画像検査により感染性脳動脈瘤と診断された患者は 9 例あった. 基礎疾患の内訳は,7 例が感染性心内膜炎,2 例が心筋症を原因とした心機能低下に伴う補助人工心臓装着状態であった. 治療法に関しては, 血管内治療 ( コイルによる瘤および母血管閉塞 ) が 4 例, 直達手術 ( 動脈瘤切除術および血腫除去術 ) が 2 例, 保存的治療が 3 例であった. 血管内治療を行った 4 例では全例術中術後の出血はなく, 局所の感染性合併症も認めなかった. 保存的加療を選択した 3 例中 2 例は瘤のサイズに変化なく,1 例は徐々に縮小した. 考察 感染性脳動脈瘤は通常の嚢状動脈瘤と異なり末梢血管に発生することが多い. 血管内治療デバイスの進歩が目覚ましい昨今, 末梢動脈へのアプローチや小径コイルによる皮質枝の塞栓は技術的に可能となり, 自験例でも術中術後の出血は認めなかった. 最も危惧された局所感染性合併症も 4 例すべてにおいて認めなかった. これらの結果より, 感染性脳動脈瘤に対する血管内治療は直達手術と比較して遜色のない有力な治療法であると考えられた. 3-O47-4 脳動脈瘤塞栓術における中間カテーテルの有用性 西脇市立西脇病院脳神経外科 片山重則 Katayama Shigenori 柴田裕次 澤秀樹 井口基 木村充 目的 我々は, 最近は動脈瘤塞栓術において原則とし中間カテーテルを用いた方法を採用しており, その有効性について報告する. 方法 2013 年 4 月から 2014 年 8 月の間に, 当施設で治療を行った脳動脈瘤塞栓術 44 例のうち, 中間カテーテルを使用して動脈瘤塞栓術を行った前方循環の脳動脈瘤 23 例を対象とした. 内頸動脈起始部に 8 Fr ガイディングカテーテルを挿入した後に, 先端を J 型に形成したセルリアン DD 6 を 4 Fr セルリアンと同軸に 8 Fr ガイディングカテーテルに挿入し, 海綿静脈洞部内頸動脈 (C 5) まで誘導した. 以後, 個々の動脈瘤に対し, マイクロカテーテル バルーンカテーテル ステント誘導用マイクロカテーテルを挿入し治療を行った. 結果 動脈瘤の部位は,ICA= 10,Acom= 8, MCA=4,A1=1 で, 動脈瘤の大きさは,3mm 以下 =5, 3-5 mm= 8,5-10 mm= 10. 破裂動脈瘤 10 例, 未破裂動脈瘤 13 例であった.5 例でステントを併用し, それ以外ではバルーンカテーテルを併用して塞栓術を行った. 動脈硬化の強い 1 例で 8 Fr ガイディングカテーテルが総頸動脈近位部までしか到達せず, 中間カテーテルは内頸動脈起始部までしか届かなかった. それ以外の症例では C 5 まで到達した. 全例塞栓術が良好に遂行でき, 中間カテーテルに起因する合併症はなかった. 頸部頸動脈に高度の蛇行のある例に対しても誘導可能で, 以後の安定して操作が可能であった. 結論 中間カテーテルを使用することによりマイクロカテーテルが安定し, より微細で安定した操作が可能である. ステント留置に際してもマイクロカテーテルの不要な動きを軽減できる. バルーンカテーテルは, その構造上中間カテーテルを用いてもなからずしも安定しない. 3-O47-5 脳動脈瘤コイル塞栓術における Double guiding catheter technique の経験 東京慈恵会医科大学脳神経外科 郭樟吾 Kaku Shogo 鈴木倫明 石橋敏寛 西村健吾 渡邊充祥 結城一郎 坂本広喜 村山雄一 菅一成 目的 脳動脈瘤コイル塞栓術において balloon assist technique (BAT),stent assist technique(sat) など様々な adjunctive technique が行われているが, われわれは Double catheter technique(dct) に加え BAT やステントを留置する可能性がある動脈瘤に関して 2 本の Guiding catheter(gc) を留置し複数のデバイスを用いる Double guiding catheter technique(dgt) によるコイル塞栓術を行っている. これらの経験から本法の有用性と今後の改善点を考察する. 対象, 方法 対象となった動脈瘤は内頚動脈瘤 4 例, 前交通動脈瘤 1 例. 未破裂 :3 例, 破裂 :2 例であった. 動脈瘤のサイズは 2.3 mm 20.9 mm であった. 使用した technique は DCT&BAT で不安定なため SAT に変更した 2 例, BAT+DCT:2 例,SAT:1 例. 結果 内頚動脈瘤では同側の内頚動脈に 8 FrOptimo もしくは MerciGC に加え総頚動脈に 5 Fr 6FrEnvoy を留置した. 前交通動脈瘤では左右内頚動脈に 8 FrMerciGC および 6 FrEnvoy を留置した.2 本の GC を留置した手順は, まず Simple guiding にて開始し手技中に新たな GC を追加 誘導した例が 1 例. あらかじめ Double guiding を想定し手技を開始した症例が 4 例であった. 全症例においてコイル塞栓は可能で,complete occlusion:1 例,neck remnant:3 例,body filling:1 例であった. しかし周術期に塞栓性合併症を 2 例に認めた. 結論 治療困難な脳動脈瘤コイル塞栓術において, 複数のデバイスを用いた assist technique による塞栓術は有用なテクニックの一つとなり得ると考えられた. しかし周術期に塞栓性合併症も認められたため, この技術の適応となる動脈瘤を適切に選んだ上で, 丁寧なカテーテル操作を心がける事が重要と考えられた. 3-O47-6 破裂脳動脈瘤塞栓術前に血管撮影室で脳室ドレナージを行うことの有用性 長野市民病院脳神経外科 草野義和 Kusano Yoshikazu 内山俊哉 兒玉邦彦 竹前紀樹 目的 脳室拡大を伴うくも膜下出血では, 脳動脈瘤コイル塞栓術と共に脳脊髄液のドレナージが必要となる. われわれは 2013 年 12 月からコイル塞栓術の術前に血管撮影室で脳室ドレナージ術を行っており, その有用性と安全性について検討する. 方法 2012 年 4 月から 2014 年 8 月までに破裂脳動脈瘤に対してコイル塞栓術または母血管閉塞を施行した 28 例 ( 平均 63.2 歳,32 91 歳 ) のうち, 脳血管撮影室にてドレナージを施行した 6 例 (21%) について手術時間や合併症の有無について後方視的な検討を行った. 治療は血管撮影室にて全身麻酔下で行い, 脳室ドレナージ後に Dyna CT を撮影した. ドレナージを 20 cm 水柱で解放した状態でコイル塞栓術を行った. 結果 コイル塞栓術前に血管撮影室で施行した 6 例 ( 平均 67.4 歳,49 80 歳 ) の WFNS Grade は 4.2(4 5) と重症例が多く, 手術は発症から 0.3 日 (0-1 日 ) で行った. 脳室ドレナージに要した時間を, 治療全体 ( 平均 185 分, 分 ) からコイル塞栓 ( 平均 146 分, 分 ) を引いた時間と定義すると 39 分であった. 脳室ドレナージに伴う脳内出血や脳動脈瘤の再出血, および術後の感染症は認めなかった. 結論 破裂脳動脈瘤塞栓術の術前に血管撮影室で脳室ドレナージを行うことは, 安全で, 早期に脳圧のコントロールが得られ, 治療時間の短縮に繋がると思われる. 276 JNET Vol.8 No.6 December 2014
83 3-O48-1 般口演CAS 後の遅発性塞栓性合併症に関するステントデザインの影響多施設における Tailored CAS の成績から 和歌山ろうさい病院脳神経外科 WASCOT-CAS Study Group 岸和田徳洲会病院脳神経外科 1, 岡田秀雄 Okada Hideo 松本博之新谷亜紀 1, 松田芳和 南都昌孝寺田友昭 1, 吉村良 長久公彦 山家弘雄 藤本剛士 増尾修 大島幸亮 目的 塞栓症は CAS における最大の合併症である. 術中塞栓症はプロテクションデバイスによる対策が可能だが, 術後遅発性塞栓症を確実に予測 予防することは困難である. 多施設における Tailored CAS の成績からステントデザインが遅発性塞栓症の発生頻度に与える影響について検討した. 方法 13 施設で共通のデータベースを作成し, 平成 24 年 6 月 1 日より CAS 症例の登録を開始した. ステントおよびプロテクションデバイスは術者が最適と思うものを選択した. 虚血性合併症の頻度とその発生時期について検討し, ステント種類別に遅発性塞栓症発生頻度の差を検討した. 対象 274 例の CAS のうち緊急 CAS や完全閉塞症例など 16 例を除く 258 例を対象とした. 使用したステントは Carotid Wallstent 単独 122 例,Precise 単独 91 例,Protege 単独 26 例, 複数ステント 19 例であった. 結果 周術期虚血性合併症は一過性も含め 13 例 (5.2 %) に発生し, 術後 30 日で 7 例 (2.7 %) に神経症状が残存した.13 例中 7 例は術後遅発性塞栓症であり 2 例は遅発性にステント内血栓症を生じ再治療の対象となった. 症候性遅発性塞栓症の発生頻度は Carotid Wallstent 単独群で 3.3 %,Precise stent 単独群では 2.2 %, ステント内血栓症についてはそれぞれ 0.8 % および 1.1 % で, ステントの違いによる差は認めなかった. 術後の DSA, CTA, 頸動脈エコーで検出されたステント内プラーク突出は遅発性塞栓症の発生と有意に関連した. 結論 本研究からは Carotid Wallstent と Precise stent の遅発性血栓塞栓症発生率に差は認めなかった. ステント内プラーク突出は遅発性塞栓症の背景因子となりうる可能性があり, 今後も注目すべきである. 3-O48-2 頚動脈ステント留置術後のステント圧着不良について 小牧市民病院脳神経外科 飯塚宏大島良介西川知秀伊藤洋加藤丈典 Iizuka Hiroshi 長谷川俊典 目的 頚部内頚動脈の狭窄症に対して頚動脈ステント留置術 (CAS) を施行する症例も多くなってきているが, 特に潰瘍形成がある症例の場合は症候性のものも多く, 治療の際に血栓塞栓症などの合併症に注意を払う必要がある. 当院では潰瘍形成が顕著な症例に関しては close cell の構造をもつ Striker 社の Carotid WALL ステントを留置することにしている. それでも潰瘍部を抑えきれない症例がある. また WALL ステントはその構造の特性上, 留置時に近位部の設置部分が短くなり圧着が不十分になってしまうことがある. そこで WALL ステントを留置後, 潰瘍部分が残存したり, 圧着が不十分であると考えられた症例について, その後の血栓塞栓症や, 留置部の変化につき検討した. 対象 2006 年 8 月より 2013 年 10 月までに当院で CAS を施行し術後 1 年以上フォローできた 141 例のうち WALL ステントを留置したのは 55 例 (39 %) であった. 平均年齢 69.6 歳 ± 6.1 SD, 男性 51 例 (93 %) であった. 結果 22 例 (40 %) にステント留置後もステントの外側に造影剤の残存が確認され, また近位部の圧着が不十分と考えられるものは 7 例 (13 %) であった. しかし, 周術期の合併症,MRI での新規病変, 頚部エコー上での血栓, プラークの突出との因果関係は無かった. さらに 1 年後にまだ潰瘍部が残存している症例もあったが, それによる血栓塞栓症はなかった. 考察 冠動脈ステントでは圧着不良が血栓塞栓症やステント内再狭窄を促す可能性が指摘されている. しかし頚動脈ステントではそのようなことを示す文献はなく, 圧着不良があるからといって必ずしもステントを再留置する必要はないと考えられる. しかしながら経過を注意深く観察していく必要がある. 一3-O48-3 CAS 後 plaque protrusion, ステント圧着性と diffusion- MRI 陽性との関連 OCT での観察 和歌山県立医科大学医学部脳神経外科 岸和田徳州会病院脳神経外科 八子理恵 Yako Rie 松本博之 井澤大輔 中尾直之 川口匠 平山勝久 増尾修 背景 Optical Coherence Tomography(OCT) は近赤外線を用いた光干渉断層法で空間分解能が IVUS よりも高く, 詳細なプラーク評価や CAS 後のステント内腔の観察が可能である. 目的 CAS 後に OCT を施行し,plaque protrusion(pp) とステント圧着性を評価し,Precise stent(ps) と Carotid Wall stent(cws) との比較,diffusion-MRI(DWI) 陽性との関連について検討した. 方法 に施行した tailored CAS のうち,CAS 後に OCT を施行した 25 例を対象とした.OCT で内頸動脈の断面画像を 1 mm 間隔で観察し, ステント圧着性はストラットと血管内壁との距離を測定し, 圧着不良, 圧着良好, 内膜埋没の 3 つに分類した. また PP とステント圧着不良の面積について計測し, 使用ステント,DWI 陽性との関連について検討した. 結果 使用ステントは PS 12 例,CWS 13 例で, 術後の DWI 陽性は 12 例で全例無症候性であった. 全体で 518 スライス,10220 ストラットについて解析した. ステントについては,CWS で有意に圧着不良が多い一方で, 内膜埋没も CWS で有意に多かった. また PP,PP 面積はステント別で有意差がなかった. また術後の DWI 陽性群は,DWI 陰性群と比べ PP 面積が多い傾向にあったが, ステント圧着性とは関連を認めなかった. 結論 一般的に PP は PS で多いと言われているが, OCT の観察ではステント別に差がなかった. また術後の DWI 陽性はステント圧着性と関連がなく PP 面積に関連される傾向である. 3-O48-4 当院における頚動脈ステント留置術の周術期 plaque protrusion に関わる因子の検討 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 先端医療センター脳血管内治療科 佐藤慎祐 Sato Shinsuke 今村博敏 坂井信幸 鳴海治 坂井千秋 森本貴昭 清水寛平 菊池晴彦 谷正一 柴田帝式 足立秀光 阿河祐二 目的 CAS において後拡張を控えめに行うことで周術期の症候性脳梗塞は減少している. 頚動脈ステント留置術 (CAS) の周術期 plaque protrusion に関わる因子について検討した. 対象と方法 2010 年 8 月から 2014 年 7 月までに施行した CAS 186 例の内, 慢性完全閉塞, 急性閉塞を除き, また病変部が総頚動脈単独, 外頚動脈単独を除いた 108 例を対象とした. 評価項目は, 術前の危険因子 ( 症候性, 高血圧, 糖尿病, 脂質異常症 ), スタチン内服歴, 頚部 MRI BB(Black Blood), 頚動脈血管内超音波 (IVUS) 所見 ( 内頚動脈径 ), 頚動脈超音波所見 ( 狭窄率,plaque 性状 ), 後拡張バルーン径, 後拡張バルーン径 / 内頚動脈径比であり, 術後の評価は, 術直後は IVUS にて, 数日後は頚動脈超音波にて plaque protrusion の有無,MRI-DWI, 同側脳卒中の発症で行った. 結果 周術期に plaque protrusion を認めたもの (PP+) 群 10 例, 認めなかったもの (PP ) 群は 98 例であった.PP+/PP- 群にて, 平均年齢は 75.2 ± 4.7 / 72.5 ± 6.7 歳, 男性は 7(70 %)/ 86(88 %), 症候性病変は 3(30 %)/ 49(50 %) 例,ECST は 81 ± 5.3 / 77.1 ± 9.1 % (P= ), 頚部 BB T 1 高信号は 8(80%)/ 65(66.3%), 超音波にて低輝度単独病変は 4(40 %)/ 19(19.4%),Post balloon 径 /Distal ICA の径比 0.84 ± 0.13 / 0.85 ± 0.16,MRI-DWI 陽性率は 3 (30 %)/ 47(48%), 同側脳卒中は 2(20 %)/ 0%(P= ) であった.Open Cell の Precise 使用率が 88 % のため今回の検討からステントは除外している. 結論 CAS において後拡張は控えめに行うことで周術期の症候性脳梗塞は減少している. 周術期 plaque protrusion は高度狭窄を認めるものに多く, 術後の脳卒中につながるため, さらなる安全な手技が求められる. JNET Vol.8 No.6 December
84 3-O48-5 頚動脈ステント留置術における in-stent protrusion の臨床経過 三重大学医学部脳神経外科三重大学血管ハートセンター 三重大学先進的脳血管内治療学講座 中塚慶徳 Nakatsuka Yoshinari 梅田靖之 佐野貴則 当麻直樹 阪井田博司 鈴木秀謙 目的 頚動脈ステント留置術(CAS) においては, 遠位塞栓の予防が極めて重要であり, プラーク診断,embolic protection device の導入などにより安全性の向上が図られてきた. プラーク成分の飛散が遠位塞栓の原因であると考えられるが, これまで in-stent plaque protrusion(ispp) の経過についての報告は少ない. その臨床経過について明らかにする. 方法 術中 IVUS を導入した 2009 年 4 月から 2014 年 8 月までの連続 100 病変を対象とした. 基本的に seatbelt&airbag で protection を行った. 術中 IVUS または希釈造影剤での XperCT で ISPP の評価を行い, 術後は頚動脈エコーで評価を行った. 結果 100 例中, 虚血性合併症は TIA 2 例, minor stroke 1 例,major stroke1 例の4 例 (4 %) で術後 DWI 陽性例は 42 例であった. 術中 IVUS または XperCT で ISPP を認めた 10 例中,7 例が DWI 陽性で,1 例に TIA があった. フォローの頚動脈エコーで新たな ISPP を認めた 19 例中,major stroke と TIA が各 1 例ずつあった.IVUS で ISPP を確認したが翌日以降の頚動脈エコーで消失した5 例中,DWI 陽性は4 例あったが, 術後合併症はなかった. 結論 in-stent protrusion を生じた例において, 虚血性合併症を生じる例も一部あったが, 多くは良好な自然経過をたどった. その経過を決定する因子について, さらに検討して報告する. 3-O48-6 Stent 留置直後の plaque protrusion を血管内超音波検査で診断した 17 例 広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経外科学 岡崎貴仁 Okazaki Takahito 富永篤 岐浦禎展 杉山一彦 坂本繁幸 栗栖薫 品川勝弘 一ノ瀬信彦 背景 血管内超音波検査 (intravascular ultrasound:ivus) は血管断面を内腔から断層像として描出できる検査法であり, 血管造影 (digital subtraction angiography:dsa) では評価困難な血管壁の構造を評価することが可能である. 当院ではステント留置前後で IVUS を施行し血管径の計測, プラークや石灰化の局在診断, ステント密着状態や plaque protrusion 有無の判定に用いている. 対象と方法 2012 年 2 月以降ステント留置前後 IVUS ルーチン化した連続 160 症例 ( 症候性 91 例, 無症候性 66 例 ) を対象とした. 男性 142 例, 女性 16 例, 平均年齢 73 歳 (38 89 歳 ) であった. ステント留置後の plaque protrusion, 使用ステント, 拡散強調像陽性率, 術後症候性合併症について検討した. 結果 連続 160 症例中 17 症例 (10.6%) でステント留置後の IVUS で plaque protrusion を認めた.Closed cell stent(cs 群 ) を 104 例,open cell stent(os 群 ) を 55 例で使用した. 使用したステントによる plaque protrusion の発生率は CS 群 6.7%(7 / 10,OS 群 18.2% (10 / 55) であった (P= 0.026). 術後の拡散強調像陽性率は 21.6% (33 / 15, 症候性合併症は永続性 1.3%(2 / 160) であった. IVUS で plaque protrusion を認めた 17 症例中 16 症例で stent-instenting を施行した.17 症例いずれも永続性症候性合併症は認めなかった. 結語 頸動脈狭窄症に対するステント留置直後に IVUS でステント内 plaque protrusion を認めたため,17 症例中 16 症例で stent-in - stenting を行い良好な結果を得た.IVUS は血管撮影で診断困難な小さな病変評価が可能であり有用であった. 3-O48-7 頚動脈ステント留置術におけるイコサペント酸エチルの効果 広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経外科学 岐浦禎展 Kiura Yoshihiro 坂本繁幸 岡崎貴仁 品川勝弘 一ノ瀬信彦 栗栖薫 目的 JELIS 試験サブ解析では, イコサペント酸エチル (EPA) は脳卒中再発を抑制するとの報告がある. その理由として,EPA は NO 依存性の血管内皮機能を改善する, プラークの不安定化を抑制する, などがあげられる. 今回, 我々は頚動脈ステント留置術における EPA 製剤の効果を検証した. 方法 2014 年 2 月より7 月までの間に当院で頚部頚動脈狭窄症患者に対して頚動脈ステント留置術を施行した連続 19 例を対象とした. 術前から EPA を投与していた群 (E 群 )8 例と投与していなかった群 (C 群 )11 例に分けた. 周術期の薬物療法として全例に多剤抗血小板療法 (DAPT または TAPT),C 群の 1 例を除く 18 例にスタチンの投与を行った. 術前に血清脂質値 (T-Cho,LDL-Cho,HDL-Cho および中性脂肪 ), 脂肪酸四分画を測定した. 術前の MRA TOF にてプラーク評価を行った. ステント留置術は全例にParodi+EZ filterにて protection を行い,Carotid Wallstent を留置した. ステント留置後はステント近傍の血液を用手的に陰圧吸引し, 血液中デブリの回収を行った. 術中術後の神経症状, 術後 時間に施行した MRI 拡散強調画像 (DWI) にて新規病変を評価した. 成績 術前の TOF highをe 群例 4 例 (50%),C 群 5 例 (45%) に認めた. LDL-Cho において E 群は C 群に比し有意な低値を, 脂肪酸四分画の EPA において E 群は C 群に比し有意な高値を認めた. 術中に吸引されたデブリを E 群で 1 例 (12.5 %),C 群で 8 例 (72 %) に認めた (p 値 ). 術中術後の神経症状の悪化例は E 群 C 群とも認めなかった. 術後の DWI では E 群 C 群とも1 例ずつ新規病変を認めた. 結論 EPA 製剤は脂質異常を改善させ, 頚動脈プラークの性状に変化を与えると考える. 3-O48-8 脂質異常を伴わない頚動脈不安定プラークに対する CAS の工夫 EPA 内服の有用性 松波総合病院脳神経外科 澤田元史 Sawada Motoshi 八十川雄図 目的 LDL コレステロール (LDL-C) のコントロールは頚動脈不安定プラークの安定に重要だが,LDL-C が正常な患者にも不安定プラークを認める. そこで LDL-C が制御された頚動脈不安定プラークの危険因子と CAS の工夫について報告する. 対象 方法 2010 年から 2013 年までの頚動脈狭窄 120 例中 LDL-C が正常ないしスタチンで 100 mg/dl 未満に制御された 38 例 (31.6 %) を対象に,T 1 及び T 2 MRI で識別した不安定プラーク 30 例と安定プラーク 8 例とで脂質プロファイル,BMI,HbA 1 c,crp,egfr, EPA/AA,ABI, 年齢, 喫煙を後向きに検討した. また前向き試験として LDL-C が制御された症候性頚動脈狭窄 30 例を EPA 内服群と非内服群 15 例ずつに割付け,Precise with Angioguard で治療し合併症率と術後 DWI 陽性率を比較した. 結果 不安定プラーク 30 例と安定プラーク 8 例の背景因子で不安定プラーク群に有意に低かったのは EPA/AA(0.38 ± 0.05 vs 0.86 ± 0.15) のみで, EPA/AA < 0.4 が不安定プラークの指標となり, 不安定プラーク 30 例中 27 例で T 1 高信号の血腫優位なプラークであった. 中央値 45 日間の EPA 1800 mg/ 日内服により,T 1 高信号プラークの約 60 % の症例でプラーク信号が低下しプラーク内出血が質的に安定化した. その結果, 合併症は 1 / 15(6.7 %)vs 0 / 15,DWI 陽性率は 8 / 15(53 %)vs 2 / 15(13 %) と内服群で低かった. 結語 LDL-C が制御された頚動脈狭窄では EPA/AA < 0.4 が血腫優位な不安定プラークの指標であり,EPA 内服によりプラーク内出血が安定し CAS がより安全に施行可能となる. 278 JNET Vol.8 No.6 December 2014
85 3-O49-1 般口演当院における急性期脳動脈閉塞の再開通療法に対する取り組み JA 北海道厚生連帯広厚生病院脳神経外科 金相年 Kin Sounen 大瀧雅文 津田宏重 木村友亮 背景 当院では急性期脳動脈閉塞患者に対し, 脳神経外科と神経内科の相互協力のもと,Ⅳ-tPA の適用患者も含め, 可及的早期に脳血管造影検査を行い, 即時脳血管内治療に移行している. 急性期脳動脈閉塞の再開通療法にステントリトリーバーが導入されたことで, 我々脳血管内治療医には, いかに閉塞血管の再開通を得るか, ではなく, いかに良好な患者転帰を得るか, ということが求められる局面を迎えている. 方法 2013 年 1 月以降に脳血管内治療を施行された 28 例に対し, 後方視的に比較 検討した. 男性は 11 例で, 平均年齢は 75 歳, 搬入時に心房細動を認めた症例は 15 例であった. 閉塞部位は内頚動脈 5 例, 中大脳動脈 17 例, 椎骨および脳底動脈 6 例であった. 搬入直後の NIHSS は, 中央値 18( 平均 17.9) で,Ⅳ-tPA を 13 例 (46%) に使用していた. 結果 発症から搬入までに要した時間は平均 141 分で, 搬入から大腿動脈穿刺までに要した時間は平均 99 分であった.TICI 2 b 以上の再開通は 23 例 (82%) で得られており,3 か月後の mrs 0-2 が 13 例 (46%) で, 死亡は 3 例 (11%) であった. 無症候性の頭蓋内出血が 9 例 (32 %) にみられた. 結論 機械的血栓回収手技は, 手技の成熟度や症例の選択, スタッフの教育, デバイスの進化等が洗練されてくるに従って, その手技や治療により恩恵を受けることのできる患者が増えており, 多くの期待が寄せられている治療法である. スタッフ教育や症例検討を定期的に行い, 時間を意識した行動や記録をとることで, 発症から再開通までの時間を短縮できることが期待され, 完全再開通率の上昇および再開通に至るまでの時間短縮を図ることで, 転帰良好群の更なる改善が期待できる. 3-O49-3 東京都立多摩総合医療センターにおける急性再開通治療導入後約 2 年,30 例の治療経験 東京都立多摩総合医療センター脳神経外科 国家公務員共済組合連合会虎の門病院脳神経血管内治療科 太田貴裕 Ota Takahiro 佐藤允之 天野達雄 堀川弘吏 松丸祐司 諸言 当院では虎の門病院と連携して平成 24 年 7 月より急性期主幹動脈閉塞症に対しては積極的に血管内治療を行う方針をとり (Drip,Call,andRetrieve). 再開通治療導入 2 年での治療成績について検討を行った. 対象 対象は平成 26 年 6 月までに当院にて血管内治療を行った急性脳主幹動脈閉塞症 30 例. 年齢は 才, 男性 14 例.tPA 施行は 18 例.27 例は af 合併例.I 期 15 例 ( 平成 25 年 7 月まで ),II 期 9 例 (Penumbra MAX シリーズ導入後 : 平成 25 年 8 月 平成 26 年 3 月 ),III 期 6 例 ( ステントリトリーバー導入後 : 平成 26 年 3 月以降 ) にわけ患者背景, 閉塞血管, 使用デバイス, 各所要時間,90 日後の予後について検討を行った. 結果 初診時 NIHSS は各期で平均 15,16,21 であり, ASPECTS-DWI は 8,7,8 であった. いずれも ICA,M 1 など近位部閉塞が多かった.I 期では Merci 4 例 (26.7 %),Penumbra 12 例 (80%),II 期では Penumbra 7 例 (77.8 %),III 期では 6 例全例に SolitaireFR あるいは TrevoProveu を使用した. 来院 - 穿刺までは 分, 穿刺 - 再開通までの時間は平均 分であった. 再開通結果は TICI 2 b 以上が 10 例 (66.7 %) 5 例 (55.6 %) 5 例 (83.3 %) であり,TICI 3 については III 期で有意に多かった.3 か月後 mrs 0-2 は 3 例 (20 %) 2 例 (22 %) 3 例 (50%) と III 期で機能予後改善例も多かった. 考察 急性期脳塞栓症に対する再開通率において, 症例を重ねることで来院から再開通までの所要時間の短縮, 再開通率の増加が認められた. 特にステントリトリーバー使用例では再開通率, 特に TICI 3 の症例が多く今後の治療成績向上に役立つと考えられる. 今後は機能予後改善につながる症例の選択, 手技の習熟などが必要である. 3-O49-2 前方循環系急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の良好転帰に寄与する因子の検討 山形市立病院済生館脳卒中センター脳 血管放射線科 山形市立病院済生館脳卒中センター脳神経外科 山形大学医学部脳神経外科 長畑守雄近藤礼毛利渉山木哲森下陽平 Nagahata Morio 齋藤伸二郎嘉山孝正 はじめに 機械的血栓回収療法導入から 3 年半, 我々は全例 MRI による厳密な適応判定 (D/P mismatch の有無 ) のもとで本治療法を運用してきた. 今回, 前方循環系に対して施行された血栓回収術症例を対象に, 良好転帰と関係する因子を検討する. 対象と方法 2010 年 11 月から 2014 年 5 月の 51 症例を後方視的に検討. 病型は心原性塞栓症 44, その他塞栓症 2, アテローム血栓症が 5 例. 閉塞部位は頭蓋内 ICA が 12,M 1 が 30, 近位 M 2 が 13 であった ( 複数個所閉塞 4 例 ). 治療手技は機械的血栓回収術が 47 例, 太径カテーテルによる内頚動脈サイフォン部血栓吸引術が 4 例であった. 治療前 NIHSS, 再開通グレード (TICI), および発症から血管内治療手技終了までの所要時間を 30 日後転帰良好 (mrs 0 - と不良 (mrs 3-6) 群別に検討した. 結果 転帰良好群 16 例は治療前 NIHSS が 5-32( 中央値 :17), 所要時間が ( 中央値 : 246) 分. 転帰不良群 35 例では NIHSS:3-29( 中央値 :16), 所要時間 ( 中央値 :260) 分で, 治療前重症度や所要時間に有意差は認められなかった. 唯一 TICI 2 b 以上の有効再開通率のみが転帰良好群で有意に高かった (P< 0.0. ただし,TICI 2 a- 2 b の症例に限れば, 転帰良好群と不良群との間で発症から再開通までの所要時間に有意差 (P< 0.05) が認められた. まとめ MRI による厳密な適応判定に基づいて運用してきた当院の血栓回収療法において, 重症度や発症から再開通までの所要時間は転帰に影響せず, TICI 2 b 以上の有効再開通のみが良好転帰に関与する因子であった. ただし TICI 2 a- 2 b の症例に限ればより早期の再開通が良好転帰に関与する可能性が示唆された. 3-O49-4 急性再開通治療における転帰の改善 : 修正可能な予後因子の検討 平成紫川会小倉記念病院脳卒中センター脳神経外科 園田和隆 Sonoda Kazutaka 五味正憲 渡邉定克 中原一郎 坂真人 永田泉 太田剛史 宮田悠 松本省二 西秀久 石橋良太 高下純平 背景 / 目的 急性再開通治療の転帰改善のために, これまでの治療転帰不良因子を検討することで, 治療前背景, 並びに治療手技において介入できる改善点を明らかにする. 方法 2006 年 5 月から 2014 年 4 月までに単一施設で急性再開通治療を施行した連続 136 例中, 治療前 NIHSS 8 点以上,CT または DWI ASPECTS 6 点以上で前方循環で発症 8 時間以内, 後方循環で 24 時間以内に治療を開始できた症例を対象に,3 ヶ月後 mrs 4-6 の予測因子を検討した. 術前因子として患者背景, 脳梗塞の原因, 閉塞血管, 治療前の NIHSS, 術前画像所見, 発症からの時間経過, 術中術後因子として手技時間, 使用デバイス, 再開通の有無, 術後出血性合併症の有無について解析を行った.p < 0.05 を有意な相関とした. 結果 平均年齢 72.1 歳,67 名 (64 %) の男性を含む 105 例が対象となった. 3 ヶ月後 mrs 4-6 は 57 例 (54 %) であり, 高年齢, 高い治療前 NIHSS, 発症から病院着, シース挿入までの時間経過,Merci retriever の使用,TICI 2 a 以下の不完全再開通, 術後脳出血の合併が予後を増悪する因子であった. 多変量解析では, 年齢, 治療前 NIHSS, 不完全再開通, 術後脳出血が独立した予後不良因子であった. 結語 治療前背景として高齢と重症度, 術中術後の因子として再開通の有無, 術後脳出血の有無は予後不良に独立して相関した. 病院到着及びシース挿入から再開通までの時間は予後に影響せず, むしろ発症から病院到着及びシース挿入までの時間が予後に影響した. 病院到着時間短縮のための啓発活動を行うことや, 治療に際しては再開通率の向上を図るのみならず, 出血性合併症を減じることが転帰不良の減少に寄与する可能性がある. 一JNET Vol.8 No.6 December
86 3-O49-5 急性内頸動脈閉塞症の治療 血栓回収デバイス導入前後での比較 秋田県立脳血管研究センター脳神経外科診療部 師井淳太 Moroi Junta 小林慎弥 吉岡正太郎 佐野圭昭 石川達哉 佐野由佳 引地堅太郎 齋藤浩史 岡田健 鈴木明文 はじめに ステント型血栓回収デバイスの導入により, 急性内頸動脈閉塞の再開通率の改善が期待される. これまでの血栓回収デバイス導入前後での急性内頸動脈閉塞の治療成績を検討し, 今後の方針について考察した. 対象と方法 2008 年 3 月から 2014 年 6 月まで発症後 6 時間以内に当センターに搬入され, かつ病前の ADL が自立していた急性内頸動脈閉塞 32 例, 平均 78 歳を対象とし, 血栓回収デバイス導入前後で, 前期群 (19 例 ) と後期群 (13 例 ) に分け, 患者背景, 転帰などを比較し, 今後の方針について検討した. 結果 両群間の患者背景で, 発症から搬入までの時間が後期群で有意に長かった. 前期群では tpa 使用の 1 例でのみ 24 時間以内の再開通を認めた. 後期群で血栓回収デバイスは 4 例 (31 %) に使用され全例 Merci が使用された. このうち 3 例 (75 %) に TICI スコア IIb 以上の再開通が得られた. 発症から再開通までの時間は平均 7 時間 2 分であった.3 カ月後の予後良好 (mrs= 0 - は 0 % vs 15 %, 死亡は 16 % vs 8 % と後期群で改善した. 血栓回収デバイス使用例では予後良好が 25 % であった. 考察と結語 血栓回収デバイスの使用により内頸動脈閉塞の再開通率は上がっている. 一方で, 予後良好は少なく, 高齢, 発症から再開通までの時間が長いことが理由と考えられた. 当センターでは tpa 投与後の再開通判定や血栓回収術適応決定に perfusionct を行ってきたが, 再開通までの時間短縮のため tpa 投与中に血管撮影室に入室し,tPA 投与終了直後から連続して血管撮影による血管再開通の評価と血栓回収術を施行する等の速やかな血栓回収開始のプロトコールが必要と思われた. 3-O49-6 急性期塞栓性内頸動脈閉塞症に対する血管内治療 医療法人財団報徳会西湘病院脳神経外科 佐々総合病院 小西善史 Konishi Yoshifumi 竹内昌孝 島田篤 後藤忠輝 吉山道貫 はじめ 内頚動脈閉塞症急性期に対する治療は, 重症例が多く, 機能 生命予後不良で t-pa 静注や局所線溶療法 (LIT) の適応外になることが多い. われわれが 2007 年から行ってきた本疾患の保存的治療 37 例 A 群,tPA 静注や局所線溶療法 (LIT) 血管内手術例 32 例,B 群と tpa,merci Retriever,Penumbra,Stent 型血栓塞栓除去術 (S) の 29 例 C 群. 計 98 例につき保存治療から血管内手術の結果および文献的に考察する. 症例 A 群 37 症例 [ 男 : 女 = 21:16, 平均年齢 76.B 群 32 例 [ 男 : 女 = 16:16, 平均年齢 69]C 群 29 例 [ 男 9;20 平均年齢 72.penumbra,Stent 型は 4 例 ]. 予後は 1 ヶ月後の mrs で評価. 結果 保存的治療 : 出血性脳梗塞は 4 例.m RS 5.35 で mrs 2 以上 1 例.30 日以内の死亡例は 18 例.B 群初診時 NIHSS 20,(C:2 完全, ほぼ完全再開通 7 例 (C 群 9), 部分再開通 10 例 (C:20), 不完全再開通 15 例.(C-) 出血性脳梗塞は 9 例 (C:SAH,ICH),mRS 平均 4(C:. m RS 02 以上は 7 例 (C:1 結果考察 内頸動脈閉塞症は再開通率も悪く予後も 50% が死亡と報告されており, 高齢者比率が高く, 保存的治療は限界.tPA が 10 % 再開通率.Merci Penumbre 導入後 24 %. 我々の検討でもその傾向がある. 最近 stent 型導入により治療時間短縮, 開通率の向上, 予後がかなり改善される可能性があり, 本術式を積極的に施行により予後改善に期待出来る. 3-O49-7 急性期再開通療法 multi device 時代の課題 東京警察病院脳神経外科脳血管内治療部 佐藤博明 Sato Hiroaki 阿部肇 金中直輔 平岡史大 目的 2014 年にステント型血栓回収デバイスが本邦でも使用可能となり急性期脳主幹動脈閉塞症に対する脳血管内治療は新たな時代を迎えた. 今までよりもさらに血栓を確実に補足することにより治療成績の改善が期待されている. 今回当施設での今までの結果を分析しその有効性と今後の課題について報告する. 対象 2011 年 1 月から 2014 年 7 月の間に当院で施行された脳血管内治療を応用した機械的血栓除去術ならびに急性期脳血管再建術 28 例が対象である. 年齢は 45 歳から 93 歳. 男性 20 例, 女性 8 例.8 例は rt-pa 使用例.20 例は rt-pa 非使用例であった. 閉塞血管の内訳は内頚動脈 7 例, 中大脳動脈 M 1:13 例,M 2:3 例. 椎骨脳底動脈系 5 例. 使用デバイスは Merci が 6 例,Penumbra が 16 例, 両者の併用が 4 例,Solitaire 2 例であった.8 例に POBA や stenting を追加した. 結果 12 例に TICI 3 の再開通を,12 例に TICI 2 B 以上の再開通を得た.5 例に SAH などの出血性の合併症を生じたが血腫除去などの追加手術は必要としなかった. 治療 1 ヶ月後の mrs 2 以下の予後良好例は 13 例であった.2 例はその後の肺炎で死亡した. 手技に伴う morbidity rate は 17.8 %,mortality rate は 0 % であった. 結論 以上の結果より急性期脳主幹動脈閉塞に対する脳血管内治療を用いた血行再建術はおおむね安全に施行可能でありその成績も妥当なものであった. 今後のさらなる予後改善の為には, 適切な適応症例の選択と来院から再開通までの時間を如何に短縮させられるかが課題であると考えられた. 3-O50-1 新生児ガレン大静脈瘤の治療適応 superior vena cava flow と neonatal evaluation score の検討 東邦大学医療センター大橋病院脳卒中センター放射線科 東邦大学医療センター大橋病院脳卒中センター脳神経外科 杏林大学脳神経外科 国立成育医療研究センター放射線治療部 5) 国立成育医療研究センター新生児科 6) 国立成育医療研究センター胎児診療科 飯塚有応 Iizuka Yuo 堤義之 石井匡 小西善史 佐藤健一郎 5) 大島拓也 林盛人 5) 伊藤裕司 岩渕聡 6) 左合恒彦 目的 新生児ガレン大静脈瘤の血管内治療介入時期の決定には Neonatal Evaluation Score(NES) を参考にしてきた. 近年我々は超音波検査にて頭蓋内動静脈短絡量を反映すると考えられる上大静脈の血流速度 Superior Vena Cava flow(svc flow) を計測し, 治療介入時期の参考要因としている. 方法 自験例 84 症例中, 新生時期ガレン大静脈瘤症例で SVC を測定し治療した 14 例の臨床的特徴を診療録より後方視的に検討した. 結果 14 例中 9 例は出生前診断され, 帝王切開にて出生している. 男女比 9:5, 出生週数 38 週 1 日 ( 以下中央値 ), 出生体重 2990 g,apgar score 7 点 / 9 点 (1 分値 / 5 分値 ).SVC flow は生後 24 時間以内 549 ml/kg/min (n= 8), 退院前 201 ml/kg/min(n= 10) であった. カテーテル治療は生後早期に死亡した 1 例を除き全例生後 14 日以内に施行. 初回入院時のカテーテル治療回数は 2 回 ( 中央値 :n= 1. 初回の治療介入は Neonatal evaluation score(nes) が 8 点から 12 点であり準緊急的に治療を行ったのが 8 例. その他の 5 例は NES が 13 点以上で待機治療群の判定であったが, 心不全の悪化などが理由で初回治療を行った. 在院日数は 99 日 ( 中央値 ) であり,14 例中 12 例が生存退院. 結論 NES で待機治療群と判定された症例でも臨床的に治療を要した例も多く治療介入基準について検討が必要と思われた.SVC flow 測定は新生児室で簡易的に施行可能であり, 頭蓋内動擾脈短絡量の把握と治療介入時期決定に有用であった. 280 JNET Vol.8 No.6 December 2014
87 3-O50-2 般口演脳脊髄 AVM/AVF を合併した Capillary malformationarteriovenous malformation の臨床経験 大阪市立総合医療センター脳神経外科 大阪市立総合医療センター脳血管内治療科 大阪市立総合医療センター小児脳神経外科 寺田愛子 Terada Aiko 石黒友也 大畑裕紀 國廣誉世 松阪康弘 小宮山雅樹 目的 脳脊髄 AVM/AVF を合併した CM-AVM の臨床経験を報告する. 対象 方法 :2009 年 3 月から 2014 年 7 月の間に経験した脳脊髄 AVM/AVF を伴う CM-AVM の 6 例 ( 男児 4 例, 女児 2 例, 年齢 3 ヵ月 - 8 歳 2 ヵ月 ( 平均 3 歳 10ヵ月 ) を対象とし, 臨床所見, 家族歴, 治療, 転帰について検討を行った. 脳脊髄 AVM/AVF と特徴的な皮膚 CM を認めた症例を臨床的に CM-AVM と診断し, 同意が得られた場合は遺伝子検査を行った. 結果 6 例中 5 例で皮膚 CM の家族歴を認め, 残りの 1 例は弧発例であった. 遺伝子検査は 4 例で行い,3 例で RASA 1 遺伝子の変異が同定された. 脳脊髄 AVM/AVF の内訳は, 脳 pial AVF 3 例,vein of Galen aneurysmal malformation(vgam)1 例, 脳 AVM 1 例, 脊髄 perimedullary AVF 1 例であった.4 例が症候性であり, 発達遅延が 2 例, 右片麻痺が 1 例, 四肢麻痺が 1 例で,2 例は出血発症であった. 治療は, 脳 pial AVF に対しては経動脈的塞栓術を 1-2 回 ( 平均 1.25 回 ),VGAM は経静脈的塞栓術を 2 回行ない, いずれも動静脈シャントは消失した. 脳 AVM は外科手術の後, 残存病変に対して定位放射線治療を行った. 脊髄 perimedullary AVF に対しては経動脈的塞栓術を 1 回行い, 残存病変に対して外科手術の予定である. 全例で治療による合併症はなかった. 治療後の平均観察期間は 64ヵ月 (3-165ヵ月 ) で, 四肢麻痺で発症した脊髄 AVF の 1 例以外は神経症状の後遺なく, 発達遅延も認めていない. 結語 脳脊髄 AVM/AVF を有する症例では, 皮膚所見や家族歴にも注意を払う必要がある. 脳脊髄 AVM/AVF をもつ 6 例の CM-AVM を経験し, 合併する動静脈シャントは血管内治療を主体に治療を行った. 3-O50-4 顔面動静脈奇形に対する Ethanolamine Oleate による根治的な経静脈的硬化療法 長崎大学医学部放射線科 国立病院機構長崎医療センター放射線科 長崎大学医学部形成外科 長崎大学医学部脳神経外科 石丸英樹 Ishimaru Hideki 堀江信貴 森川実 林健太郎 峯聡美 上谷雅孝 秋田定伯 坂本一郎 目的 Ethanolamine Oleate( 以下 EO) は血管内に投与すると血管内皮細胞を破壊し, 引き続き血栓形成を促進する. これまで静脈瘤の硬化剤として使用されてきた一般的な硬化剤であるが,AVM の治療に応用した報告は少ない. 我々は顔面の AVM に対して経静脈的に EO を注入した 2 例で根治を得たので, この方法を報告する. 方法 50 歳代 ( 症例 と 30 歳代 ( 症例 の女性の顔面 AVM で整容目的の治療を繰り返していたが, 経動脈的塞栓では難治で手術も困難であった. 血管構築上は拡大した単一の venous component に多数の栄養動脈が集合する形態で, 経静脈的なコイルパッキングでも根治すると予想されたが, 顔面皮下に多数の金属コイルが遺残することがはばかられた. そこで shunt が流入する venous component の硬化療法を考えた. まず venous component から流出する静脈を塞栓し,venous component 内に造影剤で 2 倍に希釈した 10 %EO を注入し停滞させ,30 分待機した. 症例 2 では 30 分後に再度 EO を注入した. 成績 症例 1 は直後に完全閉塞, 症例 2 は直後は血流停滞を認め,8 ヶ月後に DSA で完全消失を確認した. 結論 動静脈奇形の中でも単一の venous component に多数の栄養動脈が集合するような type には EO による経静脈的硬化療法で根治を得られる可能性があり, 脳内 AVM 治療における一つの新たな方向性を示すものと考える. 3-O50-3 脳深部静脈系の側副血行路の検討 大阪市立総合医療センター脳血管内治療科 大阪市立総合医療センター脳神経外科 石黒友也小宮山雅樹寺田愛子中島英樹 Ishiguro Tomoya 目的 脳深部静脈系である内大脳静脈 ガレン大静脈系の側副血行路を検討する. 対象 方法 ガレン大静脈瘤 5 例,infantile dural arteriovenous shunt(idavs)2 例, 大脳鎌テント髄膜腫 1 例, 脳深部静脈血栓症 1 例の 9 例を対象とし, 血管撮影で検討を行った. 全例で内大脳静脈からガレン大静脈へ流出できない血管構築であった. 男性 7 例, 女性 2 例で, 年齢は生後 9 日から49 歳 ( 平均 11.9 歳 ) であった. 側副血行路は thalamic vein を介して temporobasal vein や lateral mesencephalic vein へ流出しているものを thalamic route, striate vein を介して deep middle cerebral vein へ流出しているものを striate route, 半球間裂の cortical vein を介して静脈洞へ流出しているものを direct cortical route,medullary vein を介して脳表の静脈へ流出しているものを transcerebral route とした. 結果 発生学的に内大脳静脈が形成されないガレン大静脈瘤では 5 症例 10 半球いずれも thalamic route,striate route,transcerebral route を認め, このうち thalamic route が最もよく発達していた. また direct cortical route は 4 症例 6 半球で認めた. 内大脳静脈の逆流を認める IDAVS では 2 症例 4 半球いずれも striate route が発達しており, 他に transcerebral route を 1 症例 1 半球で認めた. ガレン大静脈の閉塞を認める大脳鎌テント髄膜腫と脳深部静脈血栓症では transcerebral route を 2 症例 4 半球で,striate route を 1 症例 2 半球で,direct cortical route を 1 症例 2 半球で認めた. 結語 脳深部静脈系の側副血行路は thalamic,striate,direct cortical, transcerebral route の 4 つに分けられ, 病態に応じて様々な側副血行路をとりうる. 3-O50-5 脊髄硬膜動静脈瘻の治療時期と予後の相関 岡山大学大学院脳神経外科 新治有径 Shinji Yukei 清水智久 杉生憲志 高杉祐二 菱川朋人 西廣真吾 平松匡文 伊達勲 春間純 目的 脊髄硬膜動静脈瘻 (SpdAVF) により congestive myelopathy を呈すると, 神経症状は経時的に増悪する. 当科における SpdAVF の外科治療症例において治療時期と予後の相関について検討した. 方法 対象は 2005 年 4 月から 2014 年 3 月に当科で治療した SpdAVF 18 例. 血管内治療を第一選択とし, 血管内治療困難例や根治が得られなかった例に対して直達術を選択もしくは追加した. 発症から治療までが 3 カ月以内であった 9 例を Early (E) 群,4 カ月以降であった 9 例を Late(L) 群とし, 術前術後の神経症状 ( 運動障害, 感覚障害, 膀胱直腸障害 ) を頚髄症治療成績判定基準 JOA score で評価した. 結果 男性 14 例女性 4 例. 平均年齢 63.7 歳. 全病変が下位胸椎 腰椎レベルに存在し, 全例 congestive myelopathy で発症した. 治療までの平均期間は 8.7 カ月であった. 血管内治療単独が 10 例, 直達術単独が 2 例, 血管内治療後直達術追加が 6 例で, 各群の治療内容は E 群 : 血管内単独 5 例, 直達術単独 1 例, 追加 3 例,L 群 : 血管内単独 5 例, 直達術単独 1 例, 追加 3 例であった. 術前術後の JOA score の差で症状の改善度を評価すると,E 群 2.4 ± 1.0,L 群 0.6 ± 0.6 で, 有意に E 群の方が改善度が高かった (p= ). また症状別の改善度では, 下肢感覚障害で E 群 0.4 ± 0.3,L 群 0.2 ± 0.3(p= 0.2, 膀胱直腸障害で E 群 0.7 ± 0.7,L 群 0.1 ± 0.3(p= 0.05 と両群間に有意差を認めなかった一方で, 下肢運動障害では E 群 1.3 ± 0.5,L 群 0.3 ± 0.3(p= と有意に E 群で改善度が高かった. 結論 SpdAVF には症状改善のため早期の外科的治療が求められ, 三大症状の中では下肢運動障害が最も改善しやすい. 一JNET Vol.8 No.6 December
88 3-O50-6 出血脊髄動静脈奇形の塞栓術 東海大学医学部脳神経外科 キッティポンスィーワッタナクン Srivatanakul Kittipong 林直一重松秀明 松前光紀 平山晃大 長田貴洋 西山淳 青木吏絵 反町隆俊 はじめに 脊髄動静脈奇形の自然歴ははっきりわかっておらず, 治療法なども様々な方法で治療されているのが現状である. 方法 2012 年 1 月から 2014 年 7 月まで出血発症の脊髄動静脈奇形 4 例に対し, 塞栓術を行った症例で, その効果, 合併症などについて検討した. 結果 症例 1, 頸髄の perimedullary AVM の症例, くも膜下出血で発症. 塞栓術を行い, わずかにシャントが残存したが, フォローの血管撮影で完全消失した. 症例 2, 頸髄 perimedullary AVM および root AVM の合併例. くも膜下出血で発症. 塞栓術で完全閉塞を得た. 症例 3, 胸髄髄内脊髄 AVM. 髄内出血で発症, 塞栓術で 8 割程度のシャントの減少を得た. 症例 4, 頸髄髄内 AVM. 髄内出血, 麻痺にて発症. 出血は静脈側からと考えられ, 流入する nidus の部分を target に塞栓を行った. 術前より感覚障害が悪化した症例は 2 例あり, 運動機能の悪化を認めなかった.1 例で麻痺が術直後より改善した. 結語 脊髄 AVM の治療には様々な方法がとられるが, 正確な血管構築の把握により, 塞栓術は比較的安全かつ有効な治療になりうると考えられる. 3-O51-1 脳動静脈奇形患者の治療群, 未治療群における中期的臨床成績の比較検討 東京慈恵会医科大学付属病院脳神経外科 結城一郎 Yuki Ichiro 菅一成 鈴木倫明 西村健吾 荒川秀樹 池村絢子 石橋敏寛 神林幸直 郭樟吾 村山雄一 目的 動静脈奇形の自然歴に関する報告が次ぐ中, 治療に伴うリスク ベネフィットに関しての議論が行われている. 当院において治療を行った患者群と経過観察群との中長期的臨床成績に関して比較検討を行った. 方法 脳動静脈奇形患者 149 例を, 初期の治療方針に基づき A 群 : 治療群 89 例と B 群 : 経過観察群 69 例に分け, 初発症状,Spetzler-Martin(S-M)Grade, 経過観察中の神経症状の増悪に関して, 比較を行った. 成績 A 群 : 最も多い初発症状は, 出血 (45 %), 続いててんかん (21 %), 偶然発見例 (18 %) その他 (15%) であった. 治療の modality は 塞栓術 + 放射線治療 44 例, 塞栓術 + 摘出術 12 例, 塞栓術のみ 12 例, 放射線治療のみ 11 例,5) その他 4 例であった. 平均経過観察期間 1569 日間に完全閉塞を血管撮影上確認できた症例は 42 例 (51%) であり, 重篤な神経症状の増悪 (modified Rankin Scale (mrs)3 以上 ) を 2.4% に認めた.B 群 : 初発症状は, 偶然発見例 33%, てんかん 23%, 出血 18%, その他 26% であった. 平均経過観察期間 778 日間に 7 例 (10%) で出血をきたし, 全例で治療が施行された. 経過観察群の観察期間中出血率は 4.5 %/year であり, 重篤な神経症状の増悪 (mrs 3 以上 ) を 2.7% に認めた. 結論 経過観察中の神経学的増悪のリスクは,2 群間で近似していた. 治療群の出血リスクを考慮すると, 治療は同群での神経学的増悪を軽減させた可能性がある. しかしながら, 無治療群における出血がもたらした morbidity を考慮すると, 治療適応決定は慎重に行うべきであると考えられた. 3-O51-2 AVM 塞栓術の適応と方法 : とくに High garde AVM について 日本大学医学脳神経外科 平山晃康 Hirayama Teruyasu 須磨健 古市眞 渋谷肇 吉野篤緒 片山容一 目的 High grade AVM に対する色付き polyester thread を用いた塞栓術がどの様な点で有用なのかを検討したので報告する. 方法 過去 24 年に AVM 252 例を経験したが, 血管内手術を併用して摘出術を行なった 71 例を検討の対象とした. 塞栓物質としては, 色がついた polyester thread を用いた. 結果 塞栓術によって血流が低下し high flow AVM から low flow AVM に変化させことができた. これにより, 血行動態の急激な変化を避けることができ, 術中, 術後の hyperemic complication の出現を防止することが可能であった. 無血的な摘出術を行うことが可能で, 手術時間の短縮がはかられた.nidus に直接アブローチするようになったので, 手術時間の短縮がはかられた. 塞栓された feeder は, 塞栓に使用した糸の色が透けて見え, 容易にどの血管か同定できた. これが AVM 摘出時の位置確認の指標となった.5)passing artery との鑑別も比較的容易であった.6) 塞栓された nidus は, NBCA や Onyx で塞栓されたものに比べて柔らかく, かつ, 周囲の正常脳実質との境界が明瞭で, 剥離が容易であった.7) 液体塞栓物質に見られるマイクロカテーテルの抜去困難症例は認めなかった. 結論 high-flow large AVM の術前塞栓術としては, 現時点では,polyester thread を用いた塞栓術が, 液体塞栓物質を用いた塞栓術より理にかなっていると思われる. 3-O51-3 AVM 摘出術を最大限にアシストする塞栓術の工夫 東京大学医学部脳神経外科 庄島正明 Shojima Masaaki 中冨浩文 根城尭英 斉藤延人 小泉聡 野村征司 伊藤明博 背景 脳動静脈奇形の集学的治療において, 塞栓術は外科的切除や Radiosurgery という根治的手段を補助する役割を担う. 外科的切除の有効なアシストとして, アクセス困難もしくは深部の流入動脈を塞栓する, という意見は多くの切除術の担当者の間で一致しているが, ナイダス内まで塞栓を行うかどうかに関しては相反する意見も聞かれる. 当院での治療症例をもとに外科的切除を最大限にアシストする塞栓術に関して検討を加えた. 対象と方法 当院では 2004 年より現在に至るまで 16 症例に対して塞栓術と組み合わせた摘出術が行われているが, このうち, 現在の摘出術と塞栓術の術者コンビで治療を行う様になった 2013 年 1 月以降の 8 症例を対象として, 塞栓術の手法 塞栓術のゴール 塞栓術の効果について解析をおこなった. 結果 当初は塞栓術担当者がゴールとする塞栓術は摘出術担当者の求めるものとは必ずしも一致していなかったが, 塞栓術担当者と摘出術担当者が意思疎通を図り, 互いの手術を見学することを繰り返す内に, 両者が目標とする塞栓術が近づけることができた. 現在, 流入動脈はナイダスの外側までしっかりと閉塞させる,LSA の流入動脈は種々のテクニックを駆使してマイクロカテーテルを誘導して塞栓する, 塞栓術の効果をより客観的に共有できるように流入動脈の血流量の変化を Phase contrast MRI を用いて定量する, などの工夫を行っている. 結語 AVM の摘出術を最大限にアシストするためには, 主役である摘出術の術者と良好な意思疎通を図りつつ, 病変の特徴だけでなく術者のニュアンスを適切に感じ取りながら塞栓ストラテジーを立案するのが有効と思われた. 282 JNET Vol.8 No.6 December 2014
89 3-O51-4 般口演脳 AVM に対する塞栓術 ; 摘出術前,detachable カテーテルなしでの塞栓ストラテジー 旭川赤十字病院脳神経外科 北海道大学病院脳神経外科 浅野剛 Takeshi Asano 小林徹 櫻井寿郎 竹林誠治 瀧澤克己 嵯峨健広 斎藤久泰 背景 AVM 塞栓術において,plug and push 法での Onyx 注入により単一セッションで nidus 大部分の閉塞も考慮可能となったが, plug and push 法にはカテーテルの抜去困難のリスクがあり, また一期的な nidus 大部分の閉塞には急激な血行動態変化 術後出血の危険性を伴う.detachable カテーテル未承認である本邦での AVM 塞栓のストラテジーについて検討する. 対象 2012 年 4 月から 2014 年 7 月までに当院にて塞栓術を施行した脳 AVM 13 例中, 摘出術前塞栓術を実施した 12 例. 方法 原則として nidus 内充填 可及的容積減少を目指し, 塞栓術直後に摘出術を行った. 後半の症例では,nidus 近傍への到達に Magic カテーテルを要する feeder に対して NBCA を積極的に適用し,plug and push 法に適していると考えられた feeder からのみ Onyx を注入した. 結果 全例で NBCA を使用 ( 平均 4.5 本 ).13 例中 9 例で Onyx を追加 ( 平均 2, 7 本 ). 直後の DSA で平均 76 % の nidus 容積の減少が得られた. 塞栓術に伴う症候性の合併症は視床梗塞の 1 例のみであったが, 無症候性 SAH および待機期間中の脳室内出血がそれぞれ 2 例と 1 例で認められた.10 分以上要する抜去困難はなかった. 結論 NBCA を積極的に用い,Onyx を適用する feeder を厳選し一期的に nidus の大半を閉塞し, 直後に摘出術を行う方針は, 治療時間総計が長時間に及び, 術者 施設負担が大きくなる欠点はあるが, 待機期間中の出血やカテーテル抜去困難のリスクが少ない比較的安全かつ高い血管撮影上の閉塞率が実現可能な方法と考えられる. ただし塞栓物質の種類により, 見かけ上の閉塞率と摘出術中の止血効果に差異が存在する可能性もあるため, 今後の検討が必要である. 3-O51-5 コイルを使用した flow control 下の液体塞栓物質による塞栓術 滋賀医科大学脳神経外科 中澤拓也辻篤司横井俊浩吉村弥生辻敬一 Nakazawa Takuya 北村智章松井宏樹河野浩人齋藤実新田直樹 深見忠輝野崎和彦 目的 脳動静脈奇形や A-V shunt を伴うような血管富んだ腫瘍の摘出前塞栓術では液体塞栓物質が有効であるが, 合併症を起こさないことが最も重要となる.Onyx が使用可能となり, 脳動静脈奇形では塞栓術のみでも治癒の可能性が高くはなっているが, 本邦での使用は適応としては摘出前塞栓となっている. 我々は, 摘出術中の血管の同定も考慮し,feeder にコイルを留置し,flow control 下の塞栓術を行うことが多いが, その有効性について報告する. 対象と方法 摘出術前の塞栓症で, コイルで flow control を行い, 液体塞栓物質を使用した 13 例を対象とした. 脳動静脈奇形 9 例と血管芽腫 2 例に対し,Marathon マイクロカテーテルと ED コイルを使用し, 液体塞栓物質は脳動静脈奇形で 4 例に Onyx を, 他は NBCA を使用した. 結果 1 例を除き, 症状をきたした例はなく, 計画通りに摘出術は行われた. 軽度の小脳症状を発現した 1 例も摘出術を遅らせる必要はなかった. 摘出手術時はコイルが確認出来るので,ICG 等と組み合わせると確実な orientation が得られた. 出血量は少ない印象ではあるが, 静脈洞までの距離の短い drainer では,feeder がほとんど閉塞できていても逆流による出血の可能性は残る. 結語 コイルによる flow control 下の塞栓術は, 塞栓物質の静脈内への侵入はほぼ予防でき, 塞栓物質の注入も制御が容易となる. コイルがあった場合の液体塞栓物質の到達程度は, コイルでの塞栓率や濃度や温度にも左右されるが,NBCA はコイル近傍に留まる傾向が強く,Onyx は比較的遠位まで到達する. 一3-O51-6 脳動静脈奇形における pedicle aneurysm の発生因子の CFD 解析 東京慈恵会医科大学附属病院脳神経外科 東京理科大学工学部第一部機械工学科 東京理科大学大学院工学研究科機械工学専攻 渡邊充祥 Watanabe Mitsuyoshi 篠原孔一 2, 山本誠 高尾洋之 高山翔村山雄一 藤村宗一郎 神林幸直 鈴木貴士 鈴木倫明 門倉翔 石橋敏寛 目的 脳動静脈奇形 (AVM) の出血発症に feeder 上の pedicle aneurysm(pa) が関連すると言われている.PA は通常の脳動脈瘤とは異なり動脈分岐部ではなく側壁に発生し, シャント血流量が多いため流体力学が関与していると考えられているが, これを証明するエビデンスはこれまで無い. 今回, 我々は CFD 解析を行うことで,AVM のシャント血流量が PA 発生に寄与するかどうかを検討した. 方法 Feeder に PA をもつ AVM 症例に対し,PA 発生部位の血行動態に特徴がないかを ANSYS CFX を用いた有限体積法にて解析を行った. この際,1.PA の 3 D-DSA をそのまま解析したモデル,2.PA 発生初期を想定して小さな膨らみを作成したモデル, および 3.PA 発生前として PA を全て削除したモデルを作成して解析した. シャント血流量は明らかでないため, 血管断面積比で血流量を分配したものを基本とし, これを 2 倍,3 倍,10 倍と増加した場合の計 4 パターンで解析し比較した. またパラメーターとして Pressure,Wall Shear Stress,Energy Loss,Pressure Loss Coefficient を解析した. 結果 3. では 1 倍では大きな Pressure ではなかったものの,2 倍以上では PA の inflow 部の Pressure が他部位に比べて高かった. これに対し 2. および 1. では Pressure が瘤の inflow の他に頂部で高い. やはりこれも 1 倍でも 10 倍でも同様の傾向にあった. その増大率は 2 倍で 3 倍,3 倍で 6 倍,10 倍で 43 倍になり, 血流量によって指数関数的に増える結果であった. その他のパラメーターでは大きな変化は見られなかった. 結論 PA 発生 増大に Pressure および大きなシャント血流量が大きく関与していると考えられた. 今後症例数を重ねて更なる検討を行いたい. 3-O51-7 血管 3 D 情報に基づく脳動静脈奇形に対する partial targeted embolization 東海大学医学部脳神経外科 キッティポンスィーワッタナクン Srivatanakul Kittipong 平山晃大 重松秀明 林直一 長田貴洋 反町隆俊 青木吏絵 松前光紀 はじめに 脳動静脈奇形 (AVM) の治療に関してはコンセンサスがはっきりしているものはない. 血管内治療で完治が得られるものは少なく, その役割は他の治療の補助的なものであることが多い. しかし, 塞栓術が部分的なものであるにしてもより効果を得るには AVM の血管構築を理解する必要がある. 目的 三次元的脳血管撮影 (3 D-RA) で得られる情報よりどのように塞栓の target を有効に決定できるかを検証する. 方法 2012 年 1 月から 2014 年 7 月まで 26 症例,45 手技の脳動静脈塞栓症例を分析した. すべての症例において塞栓前に 3 D-RA(5 秒の撮影 ) を行った.( 期間中に血管内手術を行わず, 手術, 放射線治療や保存的治療などのみの治療を行った症例は 4 例ある ) 結果 3 D-RA の情報より 出血源が特定できる ( 出血点がはっきり確認できた症例は 12 症例中 4 例 ) nidus のような外見を呈するが, 実際 false nidus であり, 塞栓を行うべきではない成分の特定 治療の target へのカテーテルの誘導の助け, などが挙げられる.3 D で得られにくい情報としては high flow 成分が正確に特定困難であることが存在した. 結語 3 DRA 画像の適切な処理と分析によって, 治療の安全性と効果の向上が期待できると考えられる. JNET Vol.8 No.6 December
90 3-O51-8 脳動静脈奇形に対する統合治療戦略における当院での血管内塞栓術の役割 東京女子医科大学脳神経外科 劉美憬 Ryu Bikei 堀場綾子 岡田芳和 石川達也 田村徳子 佐藤慎祐 山口浩司 阿南英典 林基弘 乙供大樹 川俣貴一 はじめに 脳動静脈奇形 (AVM) の塞栓術は外科摘出や定位放射線の補助療法として行われることが多い. 当院は開頭手術を第一選択としつつ 2013 年以降は外科手術 血管内治療 定位放射線治療 ( ガンマナイフ :GK) による集学的治療に積極的に取り組んできた. 方法 2013 年 4 月 2014 年 6 月に治療を行った 51 例を対象とした. 開頭術単独 :A 群, 開頭術 + 血管内 :B 群,GK 単独 :C 群, GK+ 血管内 :D 群, 開頭術 +GK+ 血管内 :E 群に分け検証した. 血管内を併用した全 7 例 (8 セッション ) で治療目的および周術期合併症, 術後経過を検証した. 結果 症例は A 群 13 例,B 群 4 例, C 群 31 例,D 群 2 例,E 群 1 例であった. 血管内を併用した 7 例 (B+D+E) の内, 出血発症 2 例で,S-M 分類は 2:2 例,3:2 例,4: 3 例であった.B E 群は原則術野で確保困難な深部の feeder occlusion,d 群は GK 後 Varix 増大と出血発症例に対する flow reduction を目的とした. 血管内を企図したが A 群 1 例 (provocation test 陽性 ),C 群 1 例 ( 誘導困難 ) で断念した. 塞栓術は全例局所麻酔下に標的血管の provocation test で神経所見の悪化がないことを確認した.NBCA を用い計 20 injection の流入動脈塞栓術を施行した.B E 群では開頭術野で栄養血管の同定が容易に行えた. 術後 mrs 悪化は全 2 例で認め, 開頭術後の半身麻痺と塞栓術後周術期出血であった. 塞栓術と関連した mrs 悪化は D 群 1 例のみであった. 結語 術前塞栓術は安全に施行でき, 特に開頭術では術前塞栓併用により手術の安全性が高まると考える.GK との併用は drainer 閉塞等の出血リスクが残存するため, 更なる検証が必要と考える. 統合治療戦略により, これまで治療困難とされてきたものに対しても積極的な治療が可能となっている. 3-O52-2 経動脈的塞栓術にて根治出来た頭蓋内硬膜動静脈瘻の特徴と液体塞栓物質の選択 札幌医科大学脳神経外科 飯星智史 Iihoshi Satoshi 宮田圭 小松克也 杉野寿哉 鰐渕昌彦 三國信啓 目的 頭蓋内硬膜動静脈瘻(Cranial Dural ArterioVenous Fistula:C-DAVF) の基本治療方針は経静脈的塞栓術 (TVE: Trans Venous Embolization) が主流であるが, 新しい液体塞栓物質の登場により経動脈的塞栓術 (TAE:Transe Arterial Embolization) の役割が近年重要度を増し, また根治できる症例も存在する. 静脈洞を介さない, いわゆる Cognard Type 3,4 などは良い適応と考える. 今回当院で治療を行った C-DAVF のうち TAE にて根治可能であった症例を検討し,NBCA,Onyx の適応を考察する. 代表的症例 59 歳男性, 突然の頭痛, めまい, 嘔気にて発症し小脳出血を認めたテント部硬膜動静脈瘻,Cognard Type 4 の患者. 中硬膜動脈, 副中硬膜動脈,Tentorial artery が feeder となり, 大きな varix を形成し petrosal draining group と小脳表面にドレナージしていた. 低濃度 NBCA と Onyx にてシャント部を超えて静脈側まで penetration でき,TAE のみで完全閉塞可能であった. 脳神経麻痺などの合併症もなく, 症状は速やかに改善した. 結語 C-DAVF に対する TAE には十分な解剖学的知識と的確な画像診断, 読影が必須であり, 安易な液体塞栓物質の注入は危険である. しかし病態の十分な理解とカテーテル到達度により根治できる症例も Onyx の登場により少なからず存在する. また NBCA と Onyx の利点欠点を把握し, 注入に関しても経験が必要である. 今後 Onyx の適応が広がる可能性があるが, 手技に習熟すれば有効な治療法となり得ると考える. 3-O52-1 改変 Borden 分類を用いた davf に対する pre Onyx era での TAE と TVE の使い分け 国立循環器病研究センター脳神経外科 佐藤徹 Satow Tetsu 林正孝 濱野栄佳 井手口稔 石井大造 金丸英樹 菅田真生 片岡大治 丸山大輔 高橋淳 背景 目的 硬膜動静脈瘻 (davf) に対して当施設では Borden 分類を一部改変したもの ( 以下 MBC) を用いた治療選択を行っており, その有用性及び限界について検討した. 対象 方法 対象は 2005 年 4 月から 2014 年 7 月に当科で davf に対し施行した血管内治療 80 症例 (95 回 ). 部位は横 S 状静脈洞部 (TS)30 例, 海綿静脈洞部 (CS)24 例, テント部 7 例, 上矢状静脈洞部 6 例, anterior condylar confluence 4 例, その他 9 例であった.MBC では Borden 分類のうち isolated sinus(is) 例を Type 2 i, 海綿静脈洞部 (CS) で上眼静脈 (SOV) への逆流を認めるものを Type 2 o とし,Type 2 に組み入れた.Type 1(14 例 ) では症状緩和を目的とした TAE もしくは静脈還流を温存した TVE を,Type 2(50 例 ) では脳皮質静脈逆流 (RLVD) の消失を目的とした TVE(+TAE) を,Type 3(16 例 ) では shunt の消失を目的とした NBCA での TAE を治療法として選択した. 結果 Type 1 では TAE 3 例, TVE 3 例,TAE+TVE 8 例,Type 2 では TAE 3 例,TVE 37 例, TAE+TVE 14 例.Type 3 では TAE:11 例,TVE:1 例, TAE+TVE:4 例が施行された.Type 1 の全例で症状は改善, 消失したが 7 例 (50 %) で shunt が残存した.Type 2 では TVE を含む治療を行った 47 例 (94 %) で RLVD が消失したが,Type 3 で shunt の消失を得られたのは 12 例 (75 %) であった. 再治療は 10 例 (12.5 %) で行われ, うち 6 例は TAE での不完全閉塞に起因するものであった. 考察 結語 MBC に基づいた治療選択は Type 内での治療法の統一性があり, 簡便かつ有用と考えられた. しかしながら NBCA を用いた TAE の不確実性の問題があり, 今後 Onyx を用いた TAE での完全閉塞症例の増加が期待される. 3-O52-3 JR-NET 2 解析における硬膜動静脈瘻に対する血管内治療の有害事象と短期予後 経動脈及び経静脈塞栓術の比較 岡山大学大学院脳神経外科 岡山市立市民病院脳神経外科 富山大学医学部脳神経外科 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 平松匡文 Hiramatsu Masafumi 徳永浩司 杉生憲志 桑山直也 菱川朋人 坂井信幸 春間純 伊達勲 目的 本邦における頭蓋内硬膜動静脈瘻 (DAVF) に対する血管内治療の有害事象の頻度及び関連因子と短期予後の関連因子を, 特に経動脈塞栓術 (TAE) と経静脈塞栓術 (TVE) を比較し, 明らかにする. 方法 JR-NET 2(2007 年 1 月 2009 年 12 月 ) に登録された DAVF に対する TAE 649 例及び TVE 770 例を対象とした. TAE と TVE を同日に施行した 81 例及び塞栓方法が不明な 20 例は除外した. 年齢, 性別, 術前 modified Rankin Scale (mrs), 病変の部位, 性状, 症候, 緊急治療の有無, 麻酔方法, 治療施設, 塞栓物質, 指導医の関与などの項目で, 症候性の有害事象の発生及び術 30 日後の mrs:3-6 に関連する因子を検討した. 結果 Mortality は TAE 0.8 %,TVE 0.3 %,morbidity( 死亡例を含まない症候性有害事象 ) は TAE 2.9 %,TVE 3.2 % であった. 術 30 日後 mrs:3-6 の割合は TAE10.5%,TVE5.8% であった. 多変量解析の結果, 死亡を含む症候性有害事象発生のリスクファクターは,TAE では緊急治療, 年齢 80 歳以上とコイル不使用であり, TVE では出血発症であった.mRS:3-6 のリスクファクターは, TAE では年齢 70 歳以上, 出血発症, 痙攣発症と症候性有害事象であり,TVE では年齢 70 歳以上, 出血発症, 静脈梗塞発症と症候性有害事象であった. 結語 JR-NET 2 の解析から, 有害事象のリスクファクターとして TAE では緊急治療 高齢者 塞栓物質が, TVE では出血発症が認められた. 短期予後不良のリスクファクターとしては TAE TVE 共に高齢者 発症様式 症候性有害事象が認められた. 284 JNET Vol.8 No.6 December 2014
91 3-O52-4 般口演硬膜動静脈瘻治療に対する経静脈的塞栓術 (TVE) の極意 富山大学医学部脳神経外科 済生会富山病院 桑山直也 Kuwayama Naoya 秋岡直樹 柏崎大奈 久保道也 黒田敏 はじめに 硬膜動静脈瘻では液体塞栓剤による硬膜静脈への penetration か, コイルによる硬膜静脈を含む下流の閉塞が根治療法となる.Onyx の使用できない本邦の現状では海綿静脈洞, 横 S 状静脈洞など sinus lesion の基本的治療は経静脈的塞栓術 (TVE) である. 当施設の 20 年間における TVE の様々な工夫を紹介し, 今後の可能性を評価した. 方法 アプローチルートの狭窄や閉塞病変が多いため, バックアアップの良好な 6 Fr + 4 Fr, 7 Fr + 5 Fr などの coaxial system を用いる場合が多い. またアプローチルートが長くなるため, できる限り短いYコネクターを使用する.selective あるいは micro-angiogram によりシャントの局在を見極め, できるだけ局所的な塞栓術をめざす. 進入する静脈路の同定には静脈 + 動脈カテーテルからの同時撮影がしばしば有用である. 罹患静脈洞への進入にはマイクロカテーテルとガイドワイヤー操作の工夫が大きく影響する. 閉塞路への進入にはマイクロカテーテルの回転操作がキーポイントである. また延長ガイドワイヤーによる 14 カテーテルと 10 カテーテルの交換も時に有用である. マイクロカテーテルの安定化を図るためには, 罹患静脈洞内でカテーテルを大きく迂回させ, シャント部位でカテーテルがしっかりと固定されるような位置関係を形成することが重要である. また塞栓する部位と順序を考慮して double microcatheter 法を用いることもある. 局所の限局的な塞栓には小径 (1 2 mm) で柔軟なコイルが有用であり, 逆に whole sinus packing には太いサイズのコイルやフリーファイバーコイルが有用である. このような様々な工夫により治療した症例を動画で供覧する. 3-O52-5 硬膜動静脈瘻に対する治療法の検討 東京医科大学脳神経外科 東京医科大学茨城医療センター脳神経外科 都立大塚病院脳神経外科 東京山手メディカルセンター脳神経外科 橋本孝朗大橋智生生天目浩昭渡辺大介 Hashimoto Takao 小山俊一 岡田博史田中悠二郎加藤大地河野道宏 はじめに 硬膜動静脈瘻(Dural Arteriovenous Fistula:DAVF) の治療は,Sinus Type なのか Non-Sinus Type なのかどうかで治療法が変わってくる.Sinus Type では,Shunt 部の Sinus が正常潅流に関与していない場合は経静脈的塞栓術 (Trans Venous Embolization:TVE) が第一選択となるが, それ以外は経動脈的塞栓術 (Trans Arterial Embolization:TAE) を施行する. また, 放射線治療 (Radio Surgery:RS) の追加や開頭で A-V shunt の遮断 (Direct Surgery:DS) を行う場合もある. これらの治療法の検討を行った. 方法および結果 過去 15 年間に経験した davf で治療を行った 117 例の術前血管撮影所見 治療法 治療直後血管撮影所見 中長期的な臨床症状の検討を行った. 内訳は Sinus Type では, 海綿静脈洞部 :72 例 (TAE+TVE 49,TVE 22, TAE+RS, 横 S 状静脈胴部 :29 例 (TAE 9,TAE+TVE 5, TVE 11,TAE+TVE+RS,Anterior Condylar Confluent 部 :2 例 (TVE, 上矢状静脈洞部 :1 例 (TVE, 直静脈洞部 :1 例 (TAE+RS,Non-Sinus Type では, 小脳テント部 :5 例 (TAE 4, TAE+DS, 前頭蓋底部 :4 例 (DS, 円蓋部 :3 例 (TAE, 頭蓋頚椎移行部 :1 例 (DS であった.TVE を行った約 93 % で A-V shunt が消失した一方で,TAE のみでの消失は約 4 % であり多くの症例で追加の治療をおこなった. 考察 TAE 単独で A-V shunt が消失できる可能性は低く, 多くの症例で追加治療が必要となる. しかし, 十分な flow reduction が得られれば経過観察となる場合もある. 個々の症例に合わせて治療法を選択する必要があるが, 治療法に関して RS および DS も含めて考察する. 一3-O52-6 Cognard Ⅲ Ⅳ 硬膜動静脈瘻に対する治療戦略 滋賀医科大学医学部脳神経外科 辻篤司 Tsuji Atsushi 高木健治 中澤拓也 北村智章 横井俊浩 野崎和彦 松井宏樹 新田直樹 吉村弥生 地藤純哉 齋藤実 深見忠輝 目的 静脈洞の関与がない硬膜動静脈瘻 (duralavf) である Cognard type Ⅲ および Ⅳ では, 高率に脳内出血を発症するなど神経学的予後が不良であることが知られており, 積極的治療が必要とされる. 過去の治療成績を顧み, 治療戦略を検証 考案する. 方法 2006 年 6 月から 2014 年 7 月までに当院で入院治療を行った duralavf 37 例のなかで Cognard type Ⅲ および Ⅳ を対象とし, 診療録からデータを収集した. 結果 対象となった症例は 11 例男性 6 例女性 5 例初診時平均年齢 58.6(6 78) 歳出血発症 9 例脳幹浮腫による機能障害 2 例 TAE を 8 例に対し計 10 回 ( 平均 1.25 回 ) 実施開頭による TVE を 4 例に対し計 4 回実施開頭による draining vein の離断を 4 例に対し計 4 回実施した.TAE 後に症状の悪化した 1 例でガンマナイフによる追加治療を行った. 開頭による治療を行った 8 例全例で根治が得られ, 残る 3 例において再出血は生じていないもののシャントの残存が確認された. 考察 出血発症早期に TAE を行うことで再出血を予防し, 最終的に開頭による TVE ないしは draining vein の離断という根治療法を行うことで良好な治療効果が得られた.TAE と開頭治療を計画的に連動させることで良好な治療成績が期待できる. 3-O52-7 硬膜動静脈瘻に対する経静脈的塞栓術 : 見えざるルート 経由アプローチのポイントとピットフォール 富山県済生会富山病院脳卒中センター脳神経外科 富山大学医学部脳神経外科 久保道也 Kubo Michiya 梅村公子 桑山直也 堀江幸男 岡本宗司 黒田敏 堀恵美子 柴田孝 はじめに 硬膜動静脈瘻 (DAVF) に対する経静脈的塞栓術 (TVE) の際に予定していた ( 見える ) ルートから到達困難 (isolated sinus 含む ) であった場合に, 脳血管撮影では確認できない 見えざるルート を介してアプローチして病変に到達できる場合がある. われわれは 見えざるルート 経由で TVE を行った症例を検討し, アプローチの際のポイントとピットフォールについて検討した. 対象 / 方法 対象は最近 9 年間余に治療した DAVF 89 例のうち, 見えざるルート 経由で塞栓術を行った DAVF の 14 症例 ( 男性 8, 女性 6: 平均 65.7 歳 ) で, アプローチの際の重要ポイントと問題点を中心に検討した. 結果 病変部位は海綿静脈洞部 (CS)6 例, 横 -S 状静脈洞部 (TS-SS)5 例,anterior condylar confluence(acc)3 例であった. アプローチルートは,CS:6 例全例とも脳底静脈叢 (BP),TS-SS( うち 2 例は isolated sinus): 閉塞した S 状静脈洞 4, 血栓化きたした内頸静脈 1,ACC: 血管撮影では見えていない lateral condylar vein 等の吻合 3 で, シャント病変に到達し治療を完遂することができた. 考察 CS 症例では下錐体静脈 (IPS) の未発達例が 20 % あるため, 容易に IPS からアプローチできない場合には,BP 経由に早期に変更することが重要と考えられた. また,TS-SS へのアプローチは後頭静脈洞の存在や頭蓋骨内側の sinus groove を確認の上で, 同軸 4 Fr カテーテルでバックアップを得て閉塞部位を掘り込むアプローチが有効であった. まとめ DAVF に対する TVE は 見えざるルート 経由のアプローチが有効な場合があり, そのポイントとピットフォールについて熟知することが重要と考えられた. JNET Vol.8 No.6 December
92 3-O53-1 硬膜動静脈瘻における静脈うっ血の程度と術後変化 静脈流出型に基づいた SWI venogram の定量解析 奈良県立医科大学脳神経外科 奈良県立医科大学放射線科 中川一郎 Nakagawa Ichiro 弘中康雄 吉川公彦 朴憲秀 本山靖 中瀬裕之 中瀬健太 朴永銖 岡本愛 和田敬 横山昇平 中川裕之 目的 頭蓋内静脈逆流 (RLVD) は硬膜動静脈瘻 (DAVF) において重要な危険因子であるが,RLVD に静脈うっ血が加わることで重篤な臨床症状や画像変化を来たす. 今回我々は RLVD を伴う DAVF 治療例において静脈うっ血を鋭敏に描出する SWI venogram に定量解析を加え, 静脈うっ血の程度と術後変化, 静脈流出パターンの影響について検討を行った. 方法 2008 年 1 月から 2014 年 7 月において当科において診断された頭蓋内 DAVF 51 例のうち RLVD を認め, 治療を行った 37 例 ( 男性 16 例, 女性 21 例 ) を対象とした.SWI venogram の定量解析は Image J (ver r,nih,usa) を用いて Histogram 分析を行い, 術前値に対する術後の変化比を解析した. 術前静脈うっ血の有無で 2 群に分類し, 術前の CBF および DSA による静脈流出パターンとの関連を比較検討した. 結果 術前 SWI venogram にて皮質 髄質静脈の拡張を認めたものは 20 例 (54%) であった. 静脈うっ血群では術前に venous microbleeds を含む脳内出血や局所脳血流低下例を多く認めた. 静脈うっ血定量評価において, 静脈うっ血群では術後経時的な静脈うっ血の改善が有意に認められた. また, 静脈うっ血群のなかでも静脈灌流路不良群 (n= 8) では静脈灌流路良好群 (n= 1 に比べ静脈うっ血回復に有意に時間を要した. 結論 RLVD の存在に加えシャント血及び正常静脈流出路の不十分な例において SWI venogram における静脈うっ血の程度が強く, 治療後の静脈うっ血の回復にも時間がかかることが示唆された.SWI venogram における静脈うっ血の程度及び変化は脳循環障害の状態を明確に示唆していると考えられ,DAVF の重症度の評価や循環動態の把握に有用であると考えられた. 3-O53-3 硬膜動静脈瘻における 3 T-ASL の有用性の評価 特に short time post labeling delay の併用について 国立病院機構北海道医療センター脳神経外科 宮本倫行 Miyamoto Michiyuki 伊師雪友 安喰稔 安田宏 牛越聡 目的 Arterial spin labeling(asl) は近年の 3 T-MRI の普及により signal to noise ratio が改善され臨床応用が期待されてきている.ASL の撮像条件として post labeling delay(pld) の設定が重要であり, 通常 2 秒前後に設定されることが多い. しかし, 我々は硬膜動静脈瘻患者の血流は通常の血流に比べ高速流であることを考慮し,PLD を短縮させて DAVF を評価したので文献的考察を加味して報告する. 対象 当院にて 3 T-ASL 評価をした DAVF 症例 (5 例 ) あるいは DAVF 疑い (2 例 ),DAVF 治療後 (2 例 ) の 9 例を対象とした. 結果 2 例を除き全例で血管造影がなされ, 術前に ASL にて血流上昇を疑われていた症例は全例で DAVF を認め, 上昇のない症例ではシャントの存在を指摘できなかった.Short time PLD を用いると, シャントの血流上昇がより顕著に指摘され, また, 通常の PLD との比較である程度の血流方向も推測された. これらの血流上昇は SPECT では指摘されず,ASL の有用性が期待された. 結語 DAVF などのシャント疾患は相対的に脳循環が低圧高速流に傾いており, 通常の SPECT では異常を指摘されない症例においても,ASL あるいは ASL-Short time PLD を用いれば十分に評価ができる可能性を認めた.Multi time の ASL や 4 D-MRA を併用することにより, 血管造影前より DAVF の逆流部位が想定され, 治療適応が判明するかもしれない. また, これらの知見は, 治療後の外来 follow up でも再発評価の診断として有用となる可能性を認めた. 3-O53-2 横 -S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻における静脈鬱滞の定量評価 : SWI による検討 富山大学医学部脳神経外科 富山大学医学部放射線科 秋岡直樹 Akioka Naoki 柏崎大奈 桑山直也 野口京 黒田敏 目的 SWI(susceptibility-weighted imaging) は磁化率変化を強調した MRI 撮像法であり, その最小値投影 (mip) 画像では静脈が強調して描出される. 今回われわれは, 簡便に davf における静脈鬱滞を評価する目的で, 治療前後の SWI から定量的に評価したので報告する. 対象と方法 この 3 年間に当科で血管内治療を実施した TSS davf 13 例を対象とした.1.5 -Tesla MRI にて血管内治療前後に SWI 画像を撮像して, スライス全体の濃度ヒストグラムを作成し, 静脈と脳が分離される画素値以下のピクセル数がスライス全体に占める割合 (low intensity ratio:lir) を算出して, 症例ごとに治療前後で評価した. 結果 12 例のうち 3 例が脳出血で発症し,2 例が静脈性梗塞を呈していた. 血管撮影にて, 複数葉にわたる広範な RLVD(retrograde leptomeningeal venous drainage) が 4 例に, 静脈鬱滞を示唆する PPP(pseudo-phlebitic pattern) を 5 例に認めた. 術前 LIR 値は 10.2 ± 5.6 % ( %) で, 正常コントロール (2.7 ± 1.2 %,n= 5) よりも有意に高値であった. 術前 LIR 値は広範な RLVD+PPP を有する 2 例では 20.8 %, 局所的な RLVD あるいは PPP を呈する 5 例では 8.9%,RLVD も PPP も呈さない 6 例では 7.2 % と, 脳血管撮影上の静脈鬱滞の所見と LIR 値との間には相関が認められた. 塞栓術後,LIR は平均 31 % 減少したが, その程度は症例によって様々で, 脳血管撮影上の治療効果とよく一致していた. 術後,LIR 値が増加した症例はなかった. 結語 SWI は造影剤や RI トレーサーを必要とせず, 頭蓋内 davf の静脈鬱滞を簡便かつ定量的に評価する上で有用な手法であると考えられた. 今後, 症例数を増やしながら, さらに詳細に検討する予定である. 3-O53-4 硬膜動静脈瘻に対する三次元融合画像を用いた手術支援 小倉記念病院脳卒中センター脳神経外科 石橋良太 Ishibashi Ryota 中原一郎 太田剛史 坂真人 宮田悠 西秀久 渡邉定克 永田泉 松本省二 園田和隆 五味正憲 高下純平 目的 DAVF の治療において血管構築の詳細な読影が不可欠であることは論を待たない. 従来直達手術で治療されていたアクセス困難な DAVF においても, 高浸透性を持つ液体塞栓物質の登場により血管内治療の役割が拡大しており, 詳細な術前検討はますます重要となっている. 当院では 3 DRA,CBCT,CTA/V,MRI を組み合わせた三次元融合画像を術前に作成し,TVE/TAE いずれにおいても積極的に術中支援に利用しており, その有用性について考察する. 方法 2010 年 10 月から 2014 年 8 月までに外科治療を行った DAVF 患者 48 例のうち三次元融合画像を作成した 26 例を対象とした.3 DRA/CBCT の MIP 画像を装置附属のワークステーション (PHILLIPS) で解析することに加え, 融合画像を Ziostaion 2(ZIOSOFT) によって作成し, 術中に両者を参照している. 結果と考察 部位別内訳は cavernous DAVF 5 例, transverse-sigmoid DAVF 7 例,spinal AVF 1 例, その他 13 例である.26 例に対し合計 30 回 ( うち直達手術 1 回 ) の治療が行われ, 特徴として下記が確認された. 異なる血管系から描出される多発シャントの画像化や, 正常静脈からシャントまでのアクセス経路の解析は, 単一の 3 DRA 画像では困難であり, 複数の 3 DRA や時相の異なる CTA/V の融合が有用である.TVE における選択的塞栓では融合画像と術中の first coil 離脱前の 3 DRA-MIP の比較を行う. 根治的 TAE では, 液体塞栓物質の到達範囲を注入中に把握するため, 流出静脈や正常静脈を色分けした融合画像と術中画像を対比させる. 課題としては融合画像の精度と作成時間の短縮があげられる. 286 JNET Vol.8 No.6 December 2014
93 3-O53-5 般口演CCC(Circular Color Coding): 硬膜動静脈瘻における shunt point 同定のための新手法の開発 国立循環器病研究センター脳神経外科東芝メディカルシステムズ 国立循環器病研究センター放射線部 丸山大輔 Maruyama Daisuke 石井大造 佐藤徹 片岡大治 大石悟 高橋淳 横山博典 山田雅亘 背景 目的 硬膜動静脈瘻においては血管内治療での塞栓術が多用されているが, 経動脈的塞栓術 (TAE), 経静脈的塞栓術 (TVE) のいずれにおいても治療のゴールは shunt point のすぐ下流の静脈を閉塞せしめる事である. したがって shunt point の同定が必須であるが, 通常の脳血管撮影 (AG) および三次元回転撮影 (3 -D RA) だけでは血行動態の理解に難渋することも多い. 本発表では我々が脳血管撮影画像をもとに開発した CCC(Circular Color Coding) の shunt point 描出能とその有用性について検討する. 方法 CCC 画像は AG 画像をもとに, 対象血管の任意の場所への造影剤の流入時間と造影剤の濃度に応じて色付け (color coding) を行い, これを時系列に並べて動画としたものである.2012 年 4 月以降当施設で経験した硬膜動静脈瘻 18 例において CCC 画像を作成し,AG との比較を行った. 結果 18 例中 15 例 (83.3 %) において CCC の方が AG と比較して shunt point の同定が容易と判定され, 残り 3 例でも CCC と AG の評価は同等であった. 考察 CCC という手法で AG に着色を施し動的に観察することにより, 単一色の濃淡を見分ける必要のある AG に比して血行動態をより鮮明に可視化することが可能であった. この手法を時間的情報には乏しいが血管構築の理解しやすい 3 -D RA と組み合わせることにより, 複雑な血管構築における shunt 同定が容易になることから, 治療戦略の立案はもとより教育的観点からも有用と考えられた. 代表例を呈示の上,CCC の有用性につき述べる. 3-O53-6 経静脈的アプローチにおける超音波ガイド下両側内頚静脈穿刺の有用性国立循環器病研究センター 濱野栄佳佐藤徹石井大造丸山大輔林正孝 Hamano Eika 井手口稔金丸英樹菅田真生片岡大治高橋淳 背景 目的 硬膜動静脈ろう(dAVF) や静脈洞血栓症においては静脈洞閉塞により病変部への到達困難を生じることがある. 当科では davf の経静脈的塞栓術 (TVE) や sinoplasty の際, 超音波ガイド下両側内頚静脈 (IJV) 穿刺による経静脈的アプローチを行っており, その有用性について後方視的に検討した. 対象 対象は 2007 年 12 月から 2014 年 3 月の間に経静脈的アプローチとして両側 IJV 穿刺を行った 41 例.dAVF は横静脈洞 -S 状静脈洞 (TS)19 例, 海綿静脈洞 (CS)10 例, その他 4 例で, 静脈洞血栓症は 8 例であった. 結果 davf において流出路閉塞を認めていたのは TS davf で 13 例 (63.6 %),CS davf で 5 例 (50.0%) であった.TSdAVF では 9 例で閉塞した罹患側から,4 例で対側からの病変部到達が可能であり,2 例において罹患側からの静脈洞塞栓と対側からの皮質静脈塞栓を同時に行った.CSdAVF では 2 例で閉塞した罹患側から,2 例で対側から病変部到達し, 顔面静脈経由が 1 例であった. 静脈洞血栓症においては両側 IJV からの pull-through 法による,PTA/Stenting が可能であった.IJV 穿刺に関する合併症は認めなかった. 結語 IJV 穿刺は病変への容易な到達, カテーテル操作の安定性が長所である. 両側穿刺により davf では病変部への到達経路変更と皮質静脈への到達が容易となり, 静脈洞血栓症では病変部への到達経路変更と共に, 大径のデバイスの安全かつ正確な誘導 留置という利点が非常に有用で追加できると考えられた. 一3-O54-1 髄膜腫に対する経動脈塞栓術は MIB- 1 index に影響を与えない 獨協医科大学病院脳神経外科 安部欣博 Abe Yoshihiro 宇塚岳夫 金谷英明 玉谷真一 金彪 2009 年 1 月から 2014 年 4 月までに当科で摘出手術を行った初発髄膜腫は 74 例あり, そのうち病理組織学上 WHO grade 1 が 47 例, grade 2 が 25 例,grade 3 が 1 例, 未診断が 1 例であった. 一般的発生率は,grade 2 は髄膜腫全体の % に過ぎないといわれているが, 当科では全体の 33% 以上と高率になっている. 髄膜腫に対し術前に塞栓術を施行した場合, 壊死巣の出現や MIB- 1 staining index が高値になる等の病理組織像の変化を来すことが報告されている. 今回我々は, 塞栓術と病理組織上の変化について検討した. 症例は WHO grade 2 以下であり, 女性 58 例, 男性 14 例. 年齢は 25-87( 中央値 58.5) 歳.Grade 1 47 例,Grade 2 25 例であった.23 例に対し術前に 17% NBCA を用いて塞栓術を施行した.23 例中 11 例で塞栓術直後に腫瘍への stein が残っていた. 塞栓術から手術日の期間が 1 日間は 15 例,2 5 日間は 8 例であった. 塞栓術未施行群の MIB- 1 値は ( 中央値 4.% で, 塞栓術施行群では ( 中央値 3.% であった. 塞栓術から手術日までの期間が 1 日間の群での MIB- 1 値は ( 中央値 3.0)% であり,2-5 日間の群では ( 中央値 5.7)% であった. 塞栓術施行症例において有意な MIB- 1 上昇は認められず, 塞栓術後の stein の有無でも有意な MIB- 1 の差は認められなかった. また, 塞栓術から手術日の期間が 1 日間の群では 2-5 日間の群より低値な傾向があったが, これも有意差は認められなかった. 以上より, 当科での髄膜腫 grading は少なくとも塞栓術による MIB- 1 index の上昇には影響されておらず,grade 2 が 33% であるという事実は, ほかの要因によるものと考えられた. 3-O54-2 髄膜腫に対する術前栄養血管塞栓術の治療成績 東京女子医科大学脳神経外科 阿南英典 Anami Hidenori 石川達也 山口浩司 川俣貴一 岡田芳和 目的 脳腫瘍の術前栄養血管塞栓術は術中の出血量を減らし, より安全に手術を施行できると考えられている. 当院では, 髄膜腫に対して積極的に術前栄養血管塞栓術を施行しており, その治療成績について検討した. 対象と方法 2013 年 4 月から 2014 年 7 月に経験した髄膜腫症例連続 81 例のうち, 術前に塞栓術を試みた 24 例を対象とした. 男性 11 例, 女性 13 例, 平均年齢 56.5 歳 (45-68 歳 ) だった. 塞栓物質としては全例で Polyvinyl alcohol(pva) を用いて腫瘍塞栓を行った後にコイルを用いて栄養血管塞栓術を施行した. 検討項目としては, 腫瘍の存在部位,perifocal edema の有無, 最大径, 塞栓術を施行した血管, 塞栓術周術期合併症, 術中出血量などとした. 結果 24 例中,1 例は accessory meningeal artery へのアクセスが困難で塞栓術を施行できなかったが残りの 23 例では塞栓術を施行した. 摘出術は塞栓術後平均 1.78 日 (1-6 日 ) 後に行われ, 腫瘍からの出血を抑えることができた. 術中所見で腫瘍の一部あるいは全体の腫瘍壊死を認めた. 有害事象として, 塞栓術に伴う塞栓症は認めなかった. 術中の一過性片麻痺が 1 例, コイル塞栓術の際に顔面の疼痛を認めたのが 1 例, 術中の部分痙攣発作が 1 例あった. 片麻痺の症例は周囲に強い perifocal edema を伴っており, 塞栓術に伴い, 脳浮腫が悪化したと考えられた. 結論 髄膜腫に対する術前栄養血管塞栓術は比較的安全に行うことができ, 術中の出血量の軽減にもつながると考えられた. JNET Vol.8 No.6 December
94 3-O54-3 NBCA による髄膜腫術前栄養血管塞栓術のリスク因子, 合併症の検討 群馬大学医学部脳神経外科 老年病研究所附属病院 前橋赤十字病院 藍原正憲 Aihara Masanori 宮本直子 内藤功 好本裕平 清水立矢 藤巻広也 朝倉健 はじめに 術前髄膜腫栄養血管塞栓術における塞栓物質として我々は NBCA を第一選択としている. 今回我々は塞栓術の成績, リスク, 合併症について検討したので報告する. 対象と方法 NBCA を用いて髄膜腫術前塞栓術を施行した 57 例を対象とした. 年齢, 性別, 腫瘍の大きさ, 場所, 組織型,NBCA の腫瘍内到達の有無,Pial supply の有無, 合併症の有無, 塞栓成績などを調査し検討した. 結果 平均年齢は 62 ± 14. 腫瘍中央値は 30 cm 3. 腫瘍局在は Superficial 38 例,Skull Base 19 例.Pial supply(+) 19 例,(-)38 例. 合併症 (+)9 例,( )48 例. 腫瘍陰影消失 29 例, 残存 28 例であった. 単変量解析では塞栓率良好因子は Tumor volume < 40 cm 3(P= 0.018),Superficial(P= 0.039),Pial supply( )(P= 0.009) であった. 合併症因子としては,Age 70(P= 0.015),Tumor volume > 40 cm 3(P= 0.00,Pial supply (+)(P= 0.0 であった. 合併症 9 症例の内訳は一過性の神経症状が多く出血, 梗塞の合併はなかった. 考察 PVA を用いた塞栓術の合併症は出血, 梗塞が多く,5-10 % と報告されている. 我々のシリーズでは出血, 梗塞合併症はなかったが, 一過性の痙攣や血管穿孔などを含めると 15 % に認められた. その因子としては Age 70,Tumor volume > 40 cm 3,Pial supply(+) があった. 適応症例については注意深く選択する必要があると考えられた. 3-O54-4 頭蓋底髄膜腫に対する術前腫瘍塞栓術の有用性 内頸動脈系からの塞栓術について 大阪市立大学脳神経外科 川上太一郎 Kawakami Taichiro 中条公輔 山中一浩 後藤剛夫 川嶋俊幸 大畑建治 森迫拓貴 後藤浩之 寺川雄三 宇田武弘 佐藤英俊 露口尚弘 はじめに 頭蓋底髄膜腫の摘出に際しては, 栄養血管の処理の前に, 内減圧や視野確保のための腫瘍切除が必要である. 術前塞栓は摘出を容易にする有効な手技であるが, 特に内頸動脈系からの塞栓術は, その手技が困難な場合も多い. 今回我々は, 摘出術困難な頭蓋底髄膜腫に対する術前塞栓術の有用性と工夫について報告する. 対象と方法 2013 年 3 月に脳血管撮影装置 Artis zee BA Twin 導入後に術前塞栓術を施行した頭蓋底髄膜種 10 例. 手術手順は, 栄養血管の構築を理解するために 3 DRA を撮影し, 栄養血管の内頸動脈からの分岐部が明瞭となる working angle を設定する. ワイヤーガイドでマイクロカテーテルを追随させ, 塞栓物質の注入に際し, マイクロカテーテルが注入圧により逸脱せずに安定的な留置が保てるように, すくなくともマーカー分の長さを栄養血管に挿入する. 塞栓物質は PVA 100 μ を使用して, 腫瘍内塞栓をめざした. 結果 完全塞栓に至ったのは 2 例で,8 例で部分塞栓となった. 栄誉血管は 10 例で内頸動脈系より栄養されており,10 例中 7 例 (70 %) で内頸動脈系からの塞栓術が行えた. 栄養血管の内訳は 12 枝で MHT,5 枝で ILT,8 枝で MMA,6 枝で Apha であった. 内頸動脈系 (MHT,ILT) からは 10 枝 (10 / 17,59%) でカテーテル挿入が行えた. 外頸動脈系からは 13 枝 (13 / 14,93 %) で塞栓行えた. 周術期合併症は認めなかった. 摘出術中所見として,9 例で腫瘍の白色化もしくは, 軟化を認め, 摘出手技が容易となった. 結語 摘出術中視野が限定される頭蓋底髄膜腫では術前塞栓術が有用であり, 内頸動脈系からの栄養血管も血管解剖, 血行動態を考慮すれば, 比較的安全に行えると考えられた. 3-O54-5 髄膜腫に対する術前腫瘍血管塞栓術の検討 石川県立中央病院脳神経外科 南出尚人 Minamide Hisato 宗本滋 熊橋一彦 上野恵 土屋勝裕 目的 髄膜腫に対する術前腫瘍血管塞栓術の有用性について検討した. 対象と方法 2007 年 4 月から 2014 年 3 月までに当科にて開頭腫瘍摘出術を予定した髄膜腫 43 例のうち術前腫瘍血管塞栓術を施行した 15 例を対象とした. 術前後の脳血管造影所見と神経症状, 合併症を検討し, 開頭術出血量を塞栓術なしの 28 例と比較検討した. 結果 年齢 45-82( 平均 61.6) 歳, 男性 7 例, 女性 8 例であった. 腫瘍局在は円蓋部 7 例, 傍矢状洞 5 例, 大脳鎌 2 例, 蝶形骨縁 1 例であり, 平均腫瘍径は 49.8 mm であった. 塞栓動脈は中硬膜動脈 14 例, 後頭動脈 1 例, 浅側頭動脈 2 例であり, 平均 1.8 本 / 例塞栓した. 塞栓物質は NBCA を 10 例, アビテンを 8 例に使用し, 中硬膜動脈と眼動脈との吻合が確認された 1 例はコイルで塞栓した. 脳血管造影所見では 15 例全例に術後腫瘍陰影の縮小を認めた. 神経症状の増悪は認めなかった. 合併症は 1 例に術翌日大腿穿刺部出血を認めた. 平均手術時間は 2.4 時間, 平均造影剤使用量は 108 ml, 貧血は術後に平均 Hb 0.4 g/dl の低下を認めた. 開頭術までの期間は平均 3.8 日で,CT にて腫瘍内低吸収域が出現し, 浮腫の増悪は認めなかった. 開頭術が行われた 14 例で開頭時の出血は少なく, 腫瘍は全摘出され, 平均出血量は 167 ml であった. 塞栓術なしの 28 例の平均腫瘍径は 36.9 mm, 平均出血量は 348 ml であった. 全身麻酔導入後に呼吸状態悪化し開頭術を断念した 1 例は塞栓後腫瘍縮小みられた. 結論 髄膜腫に対する術前腫瘍血管塞栓術は開頭術の出血を減少させ有用である. 術前処置のため合併症を減じ, 手術侵襲を小さくすることが重要である. 手術時間を短縮し, 使用造影剤量を減じ, 出血量減少に留意すべきであると考えられた. 3-O54-6 神経内視鏡下経鼻経上顎洞的頭蓋底アプローチにおける術前顎動脈塞栓術の有効性 東京大学医学部脳神経外科 伊藤明博 Ito Akihiro 辛正廣 庄島正明 野村征司 小泉聡 斉藤延人 目的 近年, 経鼻内視鏡下での頭蓋底手術は, 急速に普及している. 中でも, 翼突口蓋窩や側頭下窩, さらには中頭蓋窩に及ぶ頭蓋底腫瘍においては, 顎動脈 (IMA) からの出血に対する適切な処理が非常に重要となる. 今回, 我々は, 経上顎洞 (MS) 的アプローチにおける IMA の処理という観点から, 術前塞栓術の神経内視鏡下経鼻経上顎洞的頭蓋底アプローチ (ETNMS) における有用性について検討. 対象と方法 2011 年から 2014 年の間, 頭蓋底腫瘍に対する ETNMS に際し, 術前 IMA 塞栓術を施行した 9 例を対象. 診断は, 再発髄膜腫 5 例, 再発脊索腫 2 例, 腺様嚢胞癌 1 例, 頭蓋底神経鞘腫 1 例. 血管に富む腫瘍が中心で, 径が 2.9 から 7.3 cm( 平均 5.4 cm) と比較的大きかった. 術中 IMA 損傷の有無, 出血量, 腫瘍と IMA の手術的解剖学的関係,IMA 塞栓の部位, IMA 塞栓術における合併症等について評価を行い, その有効性, 安全性を検討. 結果 IMA は,MS の後壁を削除すると直下に認められ,9 例中,7 例で ETNMS の際に, 術野に露出された. この内,IMA が止血可能な状態に確保される前に損傷されたものが 5 例で, 突然, コイル,NBCA などの塞栓物質が術野に露出する結果となった. 出血量は平均 253 ml と低減されており, 安全な ETNMS による手術が施行可能であった. 術前 IMA 塞栓術の合併症としては,3 例に顔面のしびれ感,1 例に歯痛,1 例に上口蓋のしびれ感,1 例に鼻閉感を認めたが, いずれも軽微かつ一過性であった. 結語 術前 IMA 塞栓術は, 安全に施行することが可能であり, 頭蓋底腫瘍に対する ETNMS において,IMA からの大量出血を予防し, その安全性に貢献できると考えられた. 288 JNET Vol.8 No.6 December 2014
95 3-O54-7 般口演咽頭口腔内静脈奇形に対する硬化療法 東京医科歯科大学血管内治療科 東京医科歯科大学耳鼻咽喉科 吉野義一 Yoshino Yoshikazu 角田篤信 三木一徳 唐鎌淳 根本繁 緒言 成人の口腔 咽頭の静脈奇形は稀な疾患である. 周囲組織の圧迫, 血栓形成による疼痛や出血, 嗄声, 喘鳴, 呼吸障害などの機能障害を生じる. 広範に進展するものは切除が難しく, 近年では硬化療法が主要な治療になりつつある. 口腔 咽頭の静脈奇形に対して, 直接穿刺法による硬化療法を行った. 症例を提示し本法について考察する. 対象 2011 年 9 月 2014 年 8 月に当院で治療した頭頸部領域の腫瘍性病変 83 症例の内, 口腔咽頭内静脈血管奇形 4 症例を対象とした. 内訳は咽頭部 2 例, 舌部 1 例, 咽頭から頬部にいたる広範なものが1 例であった. 男性 3 例, 女性 1 例, 平均年齢 41 歳 (23 53 歳 ) で全例睡眠時無呼吸ないし呼吸障害, 嚥下障害, 咀嚼障害などの口腔 咽頭の機能障害を有していた. 結果 全例全身麻酔下に手技を行った. 耳鼻科と合同で治療を計画し, 症状の原因となっている腫瘤局所を内視鏡下に直接穿刺し, 無水エタノールを注入して腫瘤内塞栓を行った. 咽頭の腫瘤 2 例で予め気管切開をおき,1 例で硬化療法の 3 日後に気管切開をおいた.1 例で表面粘膜壊死を生じた. 全例で腫瘤は縮小し症状は改善した. 結論 直接穿刺による静脈奇形硬化療法は有効率が高い. 口腔 咽頭の硬化療法では, 腫瘤の局在や進展度, 症状の原因となっている部位など, 各症例の特徴に即した治療計画が重要である. 内視鏡を用いた直接穿刺法は, 安全かつ確実に腫瘤を治療できる. 3-O54-8 頭蓋底腫瘍に対する栄養血管塞栓術のおける合併症回避のための工夫 東京医科大学脳神経外科 田中悠二郎橋本孝朗伊澤仁之渡辺大介岡田博史 Tanaka Yujiro 小笠原大介河野道宏 目的 頭蓋底腫瘍は手術の早期に栄養血管を処理することが困難な場合も多く, 術前栄養血管塞栓術への期待は大きい. 一方で神経栄養血管への塞栓物質の迷入, 脳浮腫や腫瘍出血など, 重篤な合併症のリスクを孕んでいる. 当院での頭蓋底腫瘍に対する栄養血管塞栓術の現状と合併症回避の工夫について報告する. 方法 2013 年 9 月以降栄養血管塞栓術を行った頭蓋底腫瘍 20 例を対象とした. 塞栓リスクの高い血管に関しては塞栓前に provocative test を行い, 陰性例には小径の particle を, 陽性例には大径の particle を用いた.particle による塞栓後に同血管をコイルで閉塞した. 塞栓術から手術までは 3 日以上の待機期間をもうけ, その間の神経症状 炎症反応 画像変化を観察した. 結果 平均腫瘍径は 39 ± 14 mm. 塞栓した血管は Petrosal artery 7 本,Hypoglossal artery 5 本,Jugular artery 5 本,MHT 8 本,ILT 1 本, その他 10 本であった.provocative test は 15 本の血管で陽性を示した.10 例で腫瘍内に CT の高吸収変化や造影 MRI の低信号変化が見られた. これらの 10 例では待機期間に 37.8 ± 0.14 の発熱が見られた. このうち 8 例に腫瘍の白色化が,4 例で軟化が見られた.2 例で一過性の既存の神経症状の増悪が見られたが, 抗浮腫薬とステロイドの投与で改善した.1 例で新たな神経症状が出現した. 脳浮腫や出血は認めなかった. 結論 効果的な塞栓が得られた症例ほど待機中の神経症状が出現しやすい. この神経症状には particle の神経栄養血管への迷入によるものと, 腫瘍の急激な虚血による局所の炎症によるものがあると推測され, 前者には provocative test が, 後者には抗浮腫薬やステロイドの使用が有用な可能性がある. 一3-O54-9 Carotid body paraganglioma における栄養血管の検討 慶應義塾大学医学部脳神経外科 柴尾俊輔 Shibao Shunsuke 秋山武紀 吉田一成 背景 Paraganglioma は神経堤由来のグロムス細胞から発生し, 頸動脈分岐部, 頸静脈球部, 大動脈, 喉頭などに発生する. 手術による摘出が第一選択であるが, 血管豊富なため術前塞栓術が行われることが多い. 当院における Carotid body paraganglioma の栄養血管構築を検討した. 方法 当院において血管内塞栓術, 脳血管撮影を行った Carotid body paraganglioma 8 例 10 側. 平均年齢 40.8 歳. 男性 2 例, 女性 6 例. 右 6 側, 左 4 側. 平均最大径 36.4 mm. 結果 全ての症例において腫瘍の栄養血管として Ascending pharyngeal artery を認め, その中でも Pharyngeal branch,neuromeningeal branch を出した後にターンして下降する分枝が特徴的であり, その他 Musculospinal branch,ascending pharyngeal artery 本幹からの分枝を認めた. さらに,Superior thyroid artery,eca 本幹からも栄養血管を認めた. また, これらの症例において脳血管撮影で明らかな Dangerous anastomosis は描出されなかった. 考察 Pharyngeal branch,neuromeningeal branch を出した後にターンして下降する分枝は, 舌咽神経を栄養する Inferior tympanic artery に関連すると考えられる. また, 血管内塞栓術の標的を考える際, 摘出術中に遮断できる Superior thyroid artery や細く屈曲の強い ECA 本幹からの栄養血管よりは, 摘出時に遮断が難しい Ascending pharyngeal artery が標的となる. その際,Pharyngeal branch,neuromeningeal branch, Musculospinal branch の ICA/VA anastomosis への Glue,Particle の迷入に注意し塞栓術を行う必要がある. 結語 Carotid body paraganglioma に対する術前塞栓術では, 腫瘍の栄養血管構築を理解して望む必要がある. 3-O55-1 脳血管造影, 血管内手術における新しい患者被ばくモニター RADIREC 初期使用経験から 川崎医科大学脳神経外科 川崎医科大学附属病院放射線部 産業医科大学産業生態科学研究所放射線健康医学研究室 人見剛 Hitomi Tsuyoshi 松村浩平 盛武敬 戸井宏行 萩野寛隆 松下展久 宇野昌明 高井洋樹 大畠康 松本博樹 複数回の血管造影検査や IVR 手技により脱毛や白内障などの発生が知られているが,DSA 付属の面積線量計,Air Kerma(AK) 値では頭部皮膚線量を正確に推定することは困難である. 今回, 共同演者の盛武らが開発した, 線量計測システムである RADIREC を用いて, 患者被ばくの線量を実測したので, 検討を加え報告する. 方法 RADIREC は, ポリエステル製の帽子に蛍光ガラス線量計を 64 個装着し, 患者の頭頸部の被ばく線量と線量分布を同時に測定できる新しい線量計である. 脳血管検査前にこれを装着し, 実測する. 同時に DSA 装置 (Allura 20 / 10,Philips 社 ) の情報 ( 総透視時間,DSA 撮影条件,DSA 撮影回数, 面積線量値,AK 値 ) を同時に記録した. 線量測定は協力機関 ( 筑波大学陽子線医学利用研究センター ) で施行した. 結果 脳血管造影検査 8 例,IVR 8 例, 計 16 例で測定を行った. 平均皮膚線量は後頭部 0.44 Gy, 右側頭部 0.28 Gy, 左側頭部 0.14 Gy, 頭頂部 0.12 Gy, 水晶体 0.04 Gy, 前頭部 0.03 Gy, 頸部 0.03 Gy で, 後頭部が最も高値を示した. 最大皮膚線量は平均 0.89 ± 0.80 Gy で, 同時に記録した AK 値は平均 1.59 ± 1.47 Gy, 最大皮膚線量 /AK 比は平均 55.9% であった.AK 値と最大皮膚線量とは非常に高い正の相関関係があった (y= 1.81 x ,r= 0.98). 水晶体部位では平均 0.04 ± 0.03 Gy でしきい値線量 0.5 Gy の約 1 / 10 であった. また AK 値との相関関係は低かった (r= 0.5. 結論 AK 値から最大皮膚線量の推定は可能であるが, 水晶体線量の推定は困難であった. 後頭部は被ばく線量が他部位より高く, 特に IVR では後頭部の皮膚障害に注意すべきである. JNET Vol.8 No.6 December
96 3-O55-2 血管撮影におけるリアルタイム個人線量計の使用経験 名古屋第二赤十字病院医療技術部放射線科 名古屋第二赤十字病院脳神経外科株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 西條貴哉 Saijo Takaya 瀬口繁信 石川芳信 小島隆生 和泉勇紀 背景 目的 近年の脳血管内治療の技術は著しく進歩している. しかし, その反面, 複雑な症例などに対しては長引く透視や撮影回数の増加を伴うため, 患者はもとより術者およびコメディカルスタッフへの被ばくが懸念される. そのため, 放射線診療業務を行う際は 医療法施行規則 ( 第 30 条の 18) 放射線診療従事者等の被ばく防止 にもあるように外部被ばくによる線量当量の測定が義務付けられており, ガラスバッジにより個人被ばく線量が管理されている. しかし, ガラスバッジでは手技毎の線量をリアルタイムに測定することは困難であるため, 手技とスタッフ自らの被ばく線量との関連を把握することはできなかった. そこで, 本研究では, リアルタイムによる被ばく線量の測定やその積算線量を管理することができる PHILIPS 社製個人線量計システム DoseAware を使用する機会を得たので, その使用経験とともに基本特性を評価した. 方法 血管撮影室で従事する術者およびコメディカルスタッフの X 線防護衣の胸部ポケット ( 防護衣の外側 ) に DoseAware を装着して, 手技毎の線量を調査し, ガラスバッジとの線量比較を行った. また,DoseAware の基本特性として, 方向依存性と線量特性を評価した. 結果 結論 DoseAware を使用することにより, 個人被ばく線量をリアルタイムに把握することができた. また, 線量率を視覚的に捉えることができるため, 血管撮影室内でのスタッフの立ち位置と被ばく線量の関係が分かり易く, 被ばく低減への啓蒙となり得ると考える. 3-O55-4 脳血管内治療における術者被ばく線量と寄与する要素 順天堂大学医学部附属順天堂医院放射線部 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経外科 齊藤雅志 Saito Masashi 山本宗孝 礒邉哲 大石英則 横田卓也 須藤英世 芳士戸治義 背景および目的 IVR において, 患者被ばく線量に関しては各種測定方法が検討され, 一部の臨床現場で被ばく線量管理が行われている. また, 心臓領域の IVR において, 術者被ばく線量の管理として血管撮影装置に搭載された面積線量計を用いて推定可能という報告がある. 今回, 我々は脳血管内治療領域の IVR において面積線量計を利用した術者被ばく線量の推定が可能かどうか調査したので報告する. 方法 蛍光ガラス線量計 ( 以下 FGD) を用いて, 脳血管内治療 ( 脳動脈瘤治療 )20 症例の術者被ばくを測定した. 術者の頸部および胸部 ( 防護衣内側 ) に FGD を装着し 1 検査毎に線量測定を行い, 装置の面積線量計表示値と比較した. 結果 考察 脳血管内治療におけて, 面積線量計表示値と術者頸部の線量との相関係数は 0.38, 胸部との相関係数は 0.31 となり, 相関は弱かった. 以下の方法で相関が弱かった原因を調査した. 術者立ち位置に, 床上 150 cm にて電離箱線量計を設置し, 遮蔽板の有無, アーム角度, FOV を変化させて線量測定を行い, 面積線量計表示値との関係を比較した. 単位面積線量計表示値あたりの電離箱測定値は, 正面撮影との相対値でアームの横回転 (LAO,RAO 方向 ) で最大 1.19 倍, 縦回転 (CRA,CAU 方向 ) で最大 1.14 倍の差異があった. 遮蔽板を用いての測定では, 電離箱線量計の検出限界値以下となる角度も存在した.FOV は, 大きいほど単位面積線量計表示値あたりの電離箱測定値は増加した.FOV 16 cm に対する FOV 48 cm の相対値は 7.45 であった. これらの要素が総合的に寄与しているため, 脳血管内治療において面積線量計表示値と術者被ばく線量の相関は弱かったと考える. 3-O55-3 当院での脳血管内治療時における術者 スタッフ被曝低減の工夫と検討 亀田総合病院画像診断室 亀田総合病院脳神経外科 池谷尚人 Ikeyatsu Hisato 田中美千裕 加藤光久 佐藤和彦 松本梓 門岡慶介 目的 PHILIPS 社製 Allura Clarity に代表されるように近年の DSA は FPD や X 線発生器の改良, そしてプロセッサの処理速度 アルゴリズムの進化と共に, 被ばく線量は大幅に低減している. 一方, 脳血管内手術の高度化, 複雑化と CBCT や 3 DRA 撮像など撮像 modality の増加に伴い透視時間は増え, 撮影回数は多くなる傾向にある. 今回我々は術者 スタッフ被曝低減の工夫に対する検討を行った. 方法 1 キャリブレーション用ファントムを寝台に置き, 天井懸架型防護板なしでバイプレーンにて透視を行い, 第 1 術者の立ち位置での床から 1.5 m の高さでの線量率を測定した. その状態で天井懸架型防護板を FPD 側と, 術者側で設置して各々測定を行った.2 20 cm アクリル板を寝台に置き, 正面管球にて透視を行い, 管球から 50 cm 間隔で床から 1.5 m の高さでの線量率を測定した. その状態で, 天井懸架型防護板を術者近くに設置して同様の測定を行った.3 20 cm アクリル板を寝台に縦置き ( 寝台長軸に平行 ) にして側方向から透視を行い,2 と同様の測定を行った. 結果 1 天井懸架型防護板なしと比較して,FPD 側に設置したとき線量率は約 70% 減少した. また術者側に設置したとき線量率は約 97% 減少した.2,3 測定データを基に散乱線分布図の作成を行った. 管球を側面にした際は, 管球側の散乱線が 1000 μ Sv/h 以上と非常に高値となった. 考察 天井懸架型防護板を効果的に使用することにより術者の被曝は大幅に減少させることが可能である. また術中患者の頭部周辺で作業が必要な場合などは, 散乱線分布図を参照することで, 側面管球の反対側から近付くなどの工夫が可能となり, 血管内治療スタッフの被曝はさらに低減できると考える. 3-O56-1 海綿静脈洞部内頚動脈瘤破裂により発症した頚動脈海綿静脈洞瘻に対する血管内治療の一例 大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科学 木谷知樹 Kidani Tomoki 浅井克則 藤中俊之 村上知義 中村元 吉峰俊樹 重松朋芳 尾崎友彦 はじめに 海綿静脈洞部内頚動脈瘤破裂により発症した頚動脈海綿静脈洞瘻 (CCF) に対し, 二期的にコイル塞栓術を行い経過良好であった一例を経験したので報告する. 症例 76 歳女性. 突然の複視と右眼の拍動痛の症状にて発症. 来院時意識は清明で, 右の眼球突出と眼球結膜充血, 眼瞼下垂, 眼球運動障害を認めた. 脳血管造影で一部血栓化を伴う 20 mm 大の右海綿静脈洞部内頚動脈瘤の破裂による CCF と診断した. 同側の上眼静脈と上錐体静脈洞, 鉤静脈への逆流を認めた. バルーン閉塞試験では, 閉塞後すぐに虚血症状が出現したため母血管閉塞は困難と判断し, ステントアシスト下にコイル塞栓術を行う方針とした. まず経動脈的にステントアシストコイル塞栓を行い, 更に経静脈的に海綿静脈洞部の塞栓を追加した. 最終的に上眼静脈への逆流が残存したため, 後日, 経顔面静脈にてコイル塞栓を追加し完全閉塞を得た. 術後, 右の高度眼球運動障害, 瞳孔散大, 対光反射消失を認めたが, 症状は徐々に改善し術後 6 ヶ月で開眼可能, 外転神経麻痺を認めるのみとなった. 考察 内頚動脈瘤破裂による CCF に対し, 内頚動脈を温存しうるステントアシスト下コイル塞栓術は有効であり, 良好な治療成績が報告されている. 本例のように High-flow で完全閉塞に至らない症例に対しては, 経静脈的塞栓の併用が有用と考えられた. 問題点としては, 大量のコイル留置による神経症状の残存の点で母血管閉塞に劣る可能性があり, 今後の課題と考えられた. 290 JNET Vol.8 No.6 December 2014
97 3-O56-2 般口演外傷性頸動脈海綿静脈洞瘻に対する経動脈的塞栓術 熊本中央病院脳神経外科宮崎県立延岡病院脳神経外科熊本大学医学部脳神経外科 大森雄樹 Ohmori Yuki 戸高健臣 賀来泰之 倉津純一 背景 外傷性頸動脈海綿静脈洞瘻は比較的稀な疾患とされるが, high flow shunt の事が多く, 瘻孔部位の同定に難渋したり, 離脱式バルーンが使用出来なくなったため, 経静脈的に多数のコイルを使用した塞栓が必要なこともある. 今回我々は, バルーンカテーテルと MEP/SEP モニターを併用した経動脈的コイル塞栓により良好な結果を得たので報告する. 対象と方法 対象は 2013 年 4 月 2014 年 7 月に経験した 3 例. 全身麻酔下に MEP/SEP モニターを行いながら, バルーン併用下に経動脈的コイル塞栓術を行った. 対象患者の年齢, 症状, 罹病期間, 神経症状, 使用コイル数について検討した. 結果 年齢は 19 歳,56 歳と 82 歳. 受傷機転は交通外傷と転倒転落事故. 症状出現に要した時間は,2 週間 16 週間. 術前症状は全例眼球突出, 眼球結膜充血あり. 神経症状は,1 例で視力障害, 全例で動眼神経麻痺と外転神経麻痺を認めた. 使用したコイル数は 5 本,8 本,14 本で, 術後 MRI にて脳梗塞合併なし. 眼症状及び神経症状は術後 6 ヶ月以内に全て軽快した. 考察 バルーン併用下経動脈的塞栓は, 流出する海綿静脈洞の部分的な塞栓で治癒できる可能性があり, それにより使用するコイル数を減らす事ができる. バルーン併用による内頸動脈遮断のリスクは MEP と SEP をモニターすることで回避できる可能性が高いと考えられた. 結論 バルーンカテーテルと MEP/SEP モニターを併用した経動脈的コイル塞栓は, 使用コイル数を減らすと共に安全に治療できる可能性が高い. 3-O56-3 動脈瘤破裂に伴う CCF に対してステント併用下経動脈 経静脈的塞栓術を行った 1 例 大川原脳神経外科病院脳神経外科 豊見城中央病院 帝京大学付属病院 大川原舞孫宰賢山口裕之上田幹也前田高宏 Okawara Mai 松野彰 症例 28 歳女性, 左眼球の拍動性突出 複視 視力低下 頭痛を自覚し当院外来受診した. 顔面外傷の既往なし. 左眼球の突出, 眼球結膜充血, 瞳孔散大, 眼球運動障害あり.T 2 WI にて左上眼静脈と思われる血管の蛇行拡張と,MRA にて左海綿静脈洞部に動脈瘤が認められた. 眼科受診し左眼底に鬱血乳頭と視力低下 ( 右 0.7, 左 0. が認められた.DSA にて右内頚動脈海綿静脈洞部に mm の broad neck の動脈瘤と動脈相早期から描出される海綿静脈洞 眼静脈が認められ, 動脈瘤破裂に伴う CCF と診断した. ステント併用下に動脈瘤を塞栓し, それでシャント血流の低下が得られなければ経静脈的に眼静脈を塞栓し, それでも眼静脈への血流が低下しない場合には機会を改めてバイパスをおいた上での親動脈閉塞することとして治療を行った. 治療 全身麻酔下にて Excelsior 1018 を jail し Neuroform EZ を内頚動脈に留置し瘤内塞栓術を行った. コイルが 425 cm 挿入されたところでマイクロカテがステント外に押し戻された. この時点でコイルは動脈瘤から海綿静脈洞後方から下眼静脈にまで逸脱していたが, 上眼静脈への逆流は残存していたため, 経静脈的塞栓術に変更した.IPS 経由で上眼静脈に SL 10 を挿入し, 瘤外に逸脱したコイルとからませるようにコイルを挿入し逆流を消失させた.IPS,SPS への逆流が残存していたが, 眼症状の改善目的は達せられたと判断し, 手術を終了した. 術後経過 頭痛 眼球突出は術後速やかに改善し, 現在眼球運動障害 視力障害も緩徐に改善している. 結語 動脈瘤破裂に伴う CCF は high flow の事が多い. 本症例は若年であり親血管の温存 眼症状の改善を目的として治療を行った. 一3-O56-4 受傷当日に診断された無症候性外傷性頚動脈海綿静脈洞瘻 (CCF) と, 翌日以降に診断された症候性外傷性 CCF の臨床症状および画像所見の比較 兵庫県災害医療センター / 神戸赤十字病院脳神経外科 原淑恵 Hara Yoshie 山下晴央 林成人 田中宏知 溝脇卓 山口陽二当院で受傷直後の脳血管撮影で外傷性 CCF が見つかっていた症例と, 受傷翌日以降に症候性となり診断された症例の 2 群について, 血管撮影所見と, その後の経過を報告する. 対象 2005 年以降に, 脳血管撮影にて外傷性 CCF と診断された 9 例を対象とした. 結果 男性 3 例, 女性 6 例, 年齢 31 歳 78 歳, 平均 57.9 歳. 受傷機転は, 交通事故 7 例, 転倒 転落 2 例.5 例は受傷当日に鼻出血などに対する塞栓術を受け, その際の血管撮影で外傷性 CCF が見つかった. シャント流出路は後方に限局し上眼静脈 (SOV) へ流出していた症例はなかった.1 例のみ慢性期に後方流出が顕著となって血管内治療を行った. この症例は急性硬膜下血腫のため mrs 2 となった. 他の 4 例は外傷性 CCF に治療は行わず, 3 例は急性期に他の外傷が原因で死亡,1 例では外傷性 CCF は画像上消失.3 例では亜急性期あるいは慢性期に外傷性 CCF が症候性となった. くも膜下出血の悪化 1 例, 眼症状 1 例, 耳鳴 1 例で, いずれも症状出現後に血管内治療を行った. 転帰は mrs 0 が 2 例, mrs 1 が 1 例. 残りの 1 例は, 亜急性期に眼症状で診断, 治療待機中に流出路の変化により重傷脳内出血をきたし, 開頭減圧を要し,mRS 5. 考察 頭部外傷症例で CT で頚動脈管近傍に骨折線を認める場合には, 内頚動脈損傷や外傷性 CCF の可能性を意識すべきである. 受傷直後の血管撮影で認められる後方流出のみの無症候性外傷性 CCF は治療適応となる可能性は低い. 前方流出や脳皮質静脈へのシャント血の逆流を認める場合は, 流出路の変化により急変する可能性もあり, 厳重なフォローや早期の治療が望ましい. 3-O56-5 内頸動脈海綿静脈洞瘻に対するコイル塞栓術と治療成績 大分県厚生連鶴見病院放射線科 大分大学医学部放射線科 大分県厚生連鶴見病院脳神経外科 大分大学医学部脳神経外科 5) 永冨脳神経外科病院放射線科 6) 新別府病院放射線科 相良佳子 Sagara Yoshiko 森宣岡原美香 清末一路 松田剛 6) 田上秀一 加賀明彦 柏木淳之 久保毅 5) 堀雄三 島田隆一 緒言 内頸動脈海綿静脈洞瘻 (direct carotid cavernous fistula: dccf) に対しコイル塞栓術を行った 13 例について, 治療内容と成績, 合併症について検討を行った. 対象と方法 対象は 2013 年までに当院関連施設においてコイル塞栓術を行った 13 例 ( 男性 3 名, 女性 10 名, 平均年齢 54 歳 ) で, 外傷性が 5 例, 非外傷性が 8 例であった. 症状は眼球突出, 結膜充血, 血管雑音を主とし, 眼球運動障害を合併したものが 8 例に, 頭痛が 4 例, また 1 例では小脳失調 構音障害がみられた. 治療は瘻孔部を含めた親動脈閉塞が 1 例に, 瘻孔部を含めた動脈瘤内塞栓術が 3 例に, 経動脈的または経静脈的海綿静脈洞塞栓術が 9 例に施行された.10 例にバルーンアシストテクニックを併用した. 結果 13 例中 12 例では 1 回の治療で血管造影上の瘻孔消失が得られた.1 例では不完全閉塞となり, 計 3 回の塞栓術で瘻孔消失を得た. 全例で治療直後に血管雑音, 眼球突出, 結膜充血は消失した. 動脈瘤瘤内塞栓を行った 3 例中 2 例で外転神経麻痺の軽度残存がみられた.1 例で 2 ヶ月後に瘻孔が再開通し, 追加塞栓を施行した. また動脈瘤の瘤内塞栓を行った 2 例でコイルの compaction を認め, 再治療が行われた. 外傷性 CCF の 2 例で治療 9 年後に遅発性外転神経麻痺が出現した. 結語 dccf に対するコイル塞栓術は有効かつ安全な治療法と考えられる. 動脈瘤症例では瘤内塞栓で閉塞可能だが, 神経症状の改善は難しく,coil compaction の危険性も高い. 海綿静脈洞部は広範囲なコイル塞栓により遅発性外転神経麻痺を生じることがあり, 可能な限り瘻孔と連続する静脈洞の compartment を選択的に塞栓するよう試みる必要がある. JNET Vol.8 No.6 December
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症例報告 JNET 7:259-265, 2013 後拡張手技を行わない頚動脈ステント留置術後の過灌流状態においてくも膜下出血とステント閉塞を来した 1 例 Case of Subarachnoid Hemorrhage and In-Stent Occlusion Following Carotid rtery Stenting without Post alloon Dilatation ccompanied
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1No.30 017 1 脳神経内科 脳神経内科部長 北山 次郎 脳神経外科部長 吉岡 努 皆様へお知らせです 既にお気づきの方もおられる 高脂血症など生活習慣病を背景とした脳血管病変の 013年4月に脳血管内手術を当院に導入するために 代表的な手術として 脳動脈瘤の手術 動脈瘤コイル塞 かとは思いますが このたび016年10月より当院脳 評価や治療にあたる一方で 意識障害 けいれん 頭 赴任し 脳血管内手術の定着のために業務上の調整を
連続講座 画像再構成 : 臨床医のための解説第 4 回 : 篠原 広行 他 で連続的に照射する これにより照射された撮像面内の組織の信号は飽和して低信号 ( 黒く ) になる 一方 撮像面内に新たに流入してくる血液は連続的な励起パルスの影響を受けていないので 撮像面内の組織よりも相対的に高信号 (
連続講座 画像再構成 : 臨床医のための解説第 4 回 : 篠原広行 他 画像再構成 : 臨床医のための解説第 4 回頭部 MRA の基礎 - Time-of-flight(TOF) 法を中心に - 篠原 広行 1) 小島慎也 2) 橋本雄幸 3) 2) 上野惠子 2) 1) 首都大学東京東京女子医科大学東医療センター放射線科 3) 横浜創英大学こども教育学部 はじめにくも膜下出血や脳梗塞の原因となる病変を調べるために
盗血症候群について ~鎖骨下動脈狭窄症,閉塞症~
盗血症候群について ~ 鎖骨下動脈狭窄症, 閉塞症 ~ 平成 28 年度第 28 回救急部カンファレンス平成 29 年 2 月 10 日 ( 金 ) 第一会議室 松山赤十字病院脳神経外科岡村朗健 始めに 鎖骨下動脈狭窄 閉塞による盗血症候群 (subclavian steal syndrome) は, 両上肢の血圧差や脳循環の逆流といった特徴的所見を呈するため, 古くから有名な症候群である. Broadbent
GE ヘルスケア ジャパン 3D ASL( 非造影頭部灌流画像 ) の実践活用 IMS( イムス ) グループ医療法人社団明芳会横浜新都市脳神経外科病院画像診療部竹田幸太郎 当院のご紹介横浜新都市脳神経外科病院 ( 横浜市 青葉区 ) は 1985 年に開院し 患者さんの 満足 と 安心 を第一に考
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症例報告 JNET 5:195-201, 2012 FilterWire EZ を用いたステント留置術中に no flow を来した 1 例 : 症例報告 No flow phenomenon during carotid artery stenting with the use of FilterWire EZ: a case report Masao MORIY Hiroshi ITOKW Michio
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脳梗塞の血管内治療 N Engl J Med 2015; 372:11-20 N Engl J Med 2015; 372:1019-1030 N Engl J Med 2015; 372:1009-1018 慈恵 ICU 勉強会 2015 年 3 月 31 日 石垣昌志 急性期脳梗塞治療戦略の基本概念 閉塞している血管の再開通 ペナンブラ領域を救済 予後が改善 慈恵 ICU 火曜勉強会脳梗塞ガイドライン
虎ノ門医学セミナー
2016 年 6 月 9 日放送 脳動脈瘤への対応の考え方 虎の門病院脳神経血管内治療科部長松丸祐司 脳動脈瘤は 脳の血管にできるこぶのようなもので 脳の血管の分岐部に好発します 脳の血管は 脳の中に入ってどんどん枝分かれしながら分布していきますが 枝分かれしているところにできやすいということです 心配なことは これが破裂するとくも膜下出血という病気になってしまいます くも膜下出血は脳卒中のうちの1つで
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テクニカルノート JNET 5:202-207, 2012 遺残三叉神経動脈分岐部に生じた大径内頚動脈瘤に対する tandem balloon による balloon test occlusion 1 1 1 2 1 1 1 3 1 1 1 Tandem balloon test occlusion for a large unruptured aneurysm associated with persistent
FLONTA Vol.2 FlowGate 2 Balloon Guide Catheter technical assistant FlowGate 2 Balloon Guide Catheter を使用した臨床経験 佐世保市総合医療センター脳神経外科 林健太郎先生 FlowGate 2 Bal
FLONT Vol.2 FlowGate 2 alloon Guide Catheter technical assistant FlowGate 2 alloon Guide Catheter 佐世保市総合医療センター脳神経外科 林健太郎先生 FlowGate 2 alloon Guide Catheter 8Fr 0.084inches 5 FlowGate 2 P002164.v.1.0 Page
脳卒中の医療連携体制を担う医療機関等における実績調査 調査内容 平成 28 年度の実績 ( 調査内容は別紙様式のとおり ) 別紙 1: 急性期の医療機能を有する医療機関用別紙 2: 急性期及び回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 3: 回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 4: 維持期の医療機能
脳卒中の医療連携体制を担う医療機関 平成 28 年度実績の集計 平成 29 年 8 月 岡山県保健福祉部医療推進課 脳卒中の医療連携体制を担う医療機関等における実績調査 調査内容 平成 28 年度の実績 ( 調査内容は別紙様式のとおり ) 別紙 1: 急性期の医療機能を有する医療機関用別紙 2: 急性期及び回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 3: 回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 4: 維持期の医療機能を有する医療機関等用
脳循環代謝第20巻第2号
図 1. 真の脳血流 ( 横軸 ) と各種トレーサーの摂取量から計測された脳血流との関係初回循環摂取率が低いトレーサーほど, 脳血流量の過小評価が生じ, 同一トレーサーでも高灌流域ほどトレーサーの摂取率が低下し, 脳血流の過小評価が生ずる [ 文献 2) より引用 ]. 図 2. 蓄積型脳血流トレーサーを用いた CBF の定量法 ( コンパートメント解析 ) (a) マイクロスフェアーモデル (b)2-
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1 クリアランスギャップの理論 透析量の質的管理法 クリアランスギャップ の基礎 はじめに標準化透析量 : Kt /V は, 尿素窒素クリアランス : K(mL/min), 透析時間 : t(min),urea 分布容積 体液量 (ml) から構成される指標であり, 慢性維持透析患者の長期予後規定因子であることが広く認識されている 1-3). しかし, 一方で Kt /V はバスキュラーアクセス (VA)
FESTA Vol.3 Fast. Easy. Stable. Case Report for TransForm Occlusion Balloon Catheter TransForm Occlusion Balloon Catheter を用いた脳動脈瘤塞栓術 国立病院機構大阪医療センター脳神
Fast. Easy. Stable. Case Report for TransForm Occlusion Balloon Catheter TransForm Occlusion Balloon Catheter を用いた脳動脈瘤塞栓術 国立病院機構大阪医療センター脳神経外科 藤中俊之先生 TransForm Occlusion Balloon Catheter 0.014 0.014 3mm
心房細動1章[ ].indd
1 心房細動は, 循環器医のみならず一般臨床医も遭遇することの多い不整脈で, 明らかな基礎疾患を持たない例にも発症し, その有病率は加齢とともに増加する. 動悸などにより QOL が低下するのみならず, しばしば心機能低下, 血栓塞栓症を引き起こす原因となり, 日常診療上最も重要な不整脈のひとつである. 1 [A] 米国の一般人口における心房細動の有病率については,4 つの疫学調査をまとめた Feinberg
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原著 シースダイレーターを用いた極小カテーテルシェイピング法 - 脳動脈瘤コイル塞栓術における有用性 - 松本博之 西山弘一 鐵尾佳章 武本英樹 岸和田徳洲会病院脳神経外科 連絡著者 : 松本博之 連絡先 : 岸和田徳洲会病院脳神経外科 596-8522 岸和田市加守町 4 丁目 27-1 TEL: 072-445-9915( 代表 ) E mail: [email protected]
要旨 ( 目的 ) 微小脳動脈瘤 ( 3mm 未満 )28 個と小型脳動脈瘤 ( 3-4mm ) 73 個に対するコイル塞栓術の手術成績と合併症について検討した ( 対象 方法 ) 2008 年 1 月から 2015 年 8 月までの脳動脈瘤コイル塞 栓術 418 例 433 個の動脈瘤のうち 微小
微小脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の検討 黒岩輝壮 1 ) 清水史記 2 ) 山下太郎 2 ) 平松亮 3 ) 矢木亮吉 3 ) 木村誠吾 4 ) 山田佳孝 5 ) 山田誠 6 ) 1) 医療法人弘善会矢木脳神経外科病院脳血管内治療部 2) 医療法人清仁会シミズ病院脳神経外科 3 ) 大阪医科大学附属病院脳神経外科 4) 医療法人弘善会矢木脳神経外科病院脳神経外科 5) 西宮協立脳神経外科病院脳神経外科
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急性期脳梗塞治療における血管内治療の重要性 ~Trevo R XP ProVue Retriever の実力 ~ 急性期脳梗塞治療に対するチーム連携と挑戦 長崎大学脳神経外科堀江信貴 筆頭演者は日本脳神経外科学会への COI 自己申告を完了しております 本演題の発表において開示すべき COI はありません Jeffrey L. Saver et al. Stroke.2006;37:263-266.
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症例報告 JNET 7:266-274, 2013 破裂脳底動脈分岐部動脈瘤に対して Y ステントテクニックを用いて瘤内コイル塞栓術を施行した 2 例 1 1 1 1 1 2 2 2 Y-configured Stent-assisted Coil Embolization of Basilar Bifurcation Aneurysms: report of 2 cases Takeshi HARA
背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離 Stanford A 型は発症後の致死率が高く, それ故診断後に緊急手術を施行することが一般的であり, 方針として確立されている. 一方上行大動脈に解離を伴わない急性大動脈解離 Stanford B 型の治療方法
学位論文の要約 Mid-Term Outcomes of Acute Type B Aortic Dissection in Japan Single Center ( 急性大動脈解離 Stanford B 型の早期 遠隔期成績 ) 南智行 横浜市立大学医学研究科 外科治療学教室 ( 指導教員 : 益田宗孝 ) 背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離
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症例報告 JNET 7:317-322, 2013 右側大動脈弓を有する破裂脳動脈瘤症例に対して脳血管内治療を行った 1 例 1 2 1 1 1 2 2 1 1 case of ruptured cerebral aneurysm with a right-sided aortic arch treated by coil embolization Nobuhiko ICHINOSE 1,2) Yoshihiro
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Sanda City Hospital 1 6 月号 第 平成 25 年 6 月 173 号 編集 発行三田市民病院学術広報推進委員会 脳神経外科の紹介 副部長阪本大輔日本脳神経外科学会専門医日本脳神経血管内治療学会専門医神経内視鏡技術認定医脳を守る仕事を通じて みなさまの生活の維持 向上に努めたいと思います 医師飯田倫子脳神経外科 4 年目です 三田市 他周辺地域の市民のみなさまに少しでも貢献できたらと思っています
本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形
学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 坂本和陽 論文審査担当者 主査副査 宗田大星治 森田定雄 論文題目 An anatomic study of the structure and innervation of the pronator quadratus muscle ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 方形回内筋は浅頭と深頭に区別され, 各頭がそれぞれ固有の機能をもつと考えられている しかし,
エントリーが発生 真腔と偽腔に解離 図 2 急性大動脈解離 ( 動脈の壁が急にはがれる ) Stanford Classification Type A Type B 図 3 スタンフォード分類 (A 型,B 型 ) (Kouchoukos et al:n Engl J Med 1997) 液が血管
心臓財団虚血性心疾患セミナー 急性大動脈解離の診断と治療における集学的アプローチ 安達秀雄 ( 自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科 ) 本日は 急性大動脈解離の診断と治療における集学的アプローチ というテーマでお話しいたします. 概念まず, 急性大動脈解離という疾患の概念についてお話しいたします. 急性大動脈解離は, 急性心筋梗塞とともに, 緊急処置を要する循環器急性疾患の代表格といえます.
頭頚部がん1部[ ].indd
1 1 がん化学療法を始める前に がん化学療法を行うときは, その目的を伝え なぜ, 化学療法を行うか について患者の理解と同意を得ること ( インフォームド コンセント ) が必要である. 病理組織, 病期が決定したら治療計画を立てるが, がん化学療法を治療計画に含める場合は以下の場合である. 切除可能であるが, 何らかの理由で手術を行わない場合. これには, 導入として行う場合と放射線療法との併用で化学療法を施行する場合がある.
対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復
石川県立中央病院整形外科 堀井健志高田宗知島貫景都菅沼省吾虎谷達洋引地俊文安竹秀俊 対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復 骨折型 :Pipkin 分類 Pipkin. JBJS 39-A. 1957 Type 1 Type
第1章-めざせ血管エコー職人.indd
Chapter 1 1 1 2 総頸動脈系 1 1 CC common carotid artery 4 IC internal carotid artery EC external carotid artery O ophthalmic artery MC middle cerebral arteryc anterior cerebral artery superior thyroid artery
33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or
33 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 2015 年第 2 版 NCCN.org NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) の Lugano
10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ
(ICD10: C91 C95 ICD O M: 9740 9749, 9800 9999) 全体のデータにおける 治癒モデルの結果が不安定であるため 治癒モデルの結果を示していない 219 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 52 52 53 31 29 31 26 23 25 1993 1997 1998 01 02 06 02 06 (Period 法 ) 21 17 55 54
標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会
第 3 章保健指導対象者の選定と階層化 (1) 保健指導対象者の選定と階層化の基準 1) 基本的考え方生活習慣病の予防を期待できる内臓脂肪症候群 ( メタボリックシンドローム ) の選定及び階層化や 生活習慣病の有病者 予備群を適切に減少させることができたかを的確に評価するために 保健指導対象者の選定及び階層化の標準的な数値基準が必要となる 2) 具体的な選定 階層化の基準 1 内臓脂肪型肥満を伴う場合の選定内臓脂肪蓄積の程度を判定するため
( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー
( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 米田博 藤原眞也 副査副査 黒岩敏彦千原精志郎 副査 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パーキンソン病患者における幸福感の喪失 ) 学位論文内容の要旨 目的 パーキンソン病 (PD) において 気分障害は非運動症状の中でも重要なものであり
第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %
第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 2016 28 1,326 13.6% 2 528 40.0% 172 13.0% 2016 28 134 1.4% 9 10 1995 7 2015 27 14.8 5.5 10 25 75 2040 2015 27 1.4 9 75 PCI PCI 10 DPC 99.9% 98.6% 60 26 流出 クロス表 流出 検索条件 大分類 : 心疾患 年齢区分 :
また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を
栃木県脳卒中発症登録 5 ヵ年の状況 資料 2 1 趣旨栃木県では平成 10 年度から脳卒中発症登録事業として 県内約 30 の医療機関における脳卒中の発症状況を登録し 発症の危険因子や基礎疾患の状況 病型等の発症動向の把握に取り組んでいる 医療機関から保健環境センターに登録されるデータは年間約 4,200 件であり これまでに約 8 万件のデータが同センターに蓄積されている 今回 蓄積データのうち
: , Stanford B Carotid endoarterectomy for asymptomatic severe carotid artery stenosis accompanying with Stanford type B aort
253 723: 253-267, 2014 436 Stanford B Carotid endoarterectomy for asymptomatic severe carotid artery stenosis accompanying with Stanford type B aortic dissection : 2014 1 16 18 : 3019 : 40 : 6 : : : :
高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に
高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に関節疾患 5 位が骨折 転倒であり 4,5 位はいずれも運動器が関係している 骨粗しょう症のメカニズムの解明
7 1 2 7 1 15 1 2 (12 7 1 )15 6 42 21 17 15 21 26 16 22 20 20 16 27 14 23 8 19 4 12 6 23 86 / 230) 63 / 356 / 91 / 11.7 22 / 18.4 16 / 17 48 12 PTSD 57 9 97 23 13 20 2 25 2 12 5
terumo qxd :08 PM ページ 1 脳動脈瘤って何 脳動脈瘤とは 脳の血管にできる 血管のこぶ です こぶができただけでは 多くの場合 症状はありま けて手術で頭を開き 特殊なクリップで脳動脈瘤を せんが 破裂すると死亡率の高いクモ膜下出血や脳 はさみ
Information TERUMO LETTER 100% terumo2006 0605.qxd 06.6.23 8:08 PM ページ 1 脳動脈瘤って何 脳動脈瘤とは 脳の血管にできる 血管のこぶ です こぶができただけでは 多くの場合 症状はありま けて手術で頭を開き 特殊なクリップで脳動脈瘤を せんが 破裂すると死亡率の高いクモ膜下出血や脳 はさみます 内出血の原因となります 現在 この脳動脈瘤の治
対象と方法 本研究は 大阪医科大学倫理委員会で承認を受け 対象患者から同意を得た 対象は ASA 分類 1 もしくは 2 の下肢人工関節置換術が予定された患者で 術前に DVT の存在しない THA64 例 TKA80 例とした DVT の評価は 下肢静脈エコーを用いて 術前 術 3 日後 術 7
( 様式甲 5) 氏 名 下山雄一郎 ( ふりがな ) ( しもやまゆういちろう ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲 第 号 学位審査年月日 平成 24 年 6 月 9 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Perioperative risk factors for deep vein thrombosis 学位論文題名 after total hip arthroplasty
婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告) M
図 1 調査前年 1 年間の ART 実施周期数別施設数 図 4 ART 治療周期数別自己注射の導入施設数と導入率 図 2 自己注射の導入施設数と導入率 図 5 施設の自己注射の使用目的 図 3 導入していない理由 図 6 製剤種類別自己注射の導入施設数と施設率 図 7 リコンビナント FSH を自己注射された症例の治療成績は, 通院による注射症例と比較し, 差があるか 図 10 リコンビナント FSH
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脳血管障害 脳神経外科谷浦晴二郎 モーニングレクチャー 2018.4.19 脳梗塞 クモ膜下出血 脳出血 臨床のための神経機能解剖学 ( 後藤文男ほか中外医学社 ) より 臨床のための神経機能解剖学 ( 後藤文男ほか中外医学社 ) より 臨床のための神経機能解剖学 ( 後藤文男ほか中外医学社 ) より 脳梗塞 クモ膜下出血 脳出血 脳梗塞 心原性脳塞栓症アテローム血栓性脳梗塞ラクナ梗塞 BAD(
Ø Ø Ø
Ø Ø Ø 脳解剖について 画像 高草木薫公開資料より 小脳 水平面断での動脈支配領域 各葉の角度分類と血管支配領域 穿通動脈の血管支配 各支配動脈 尾状核 前大脳動脈 被殻 中大脳動脈 視床 後大脳動脈 大脳基底核を中心とした穿通動脈 幸田剣 頭部CTおよびMRI等の画像所見の見方.2010 Ø Ø Ø 画像所見の読み取り方 各レベル毎の 水平面断上での 所見の読み取り方と
助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた
助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 という題目で ファイザーヘ ルスリサーチ振興財団より助成をいただきました 本日はその結果を報告したいと思います
症例_新井先生.indd
症例報告 JNET 7:119-126, 2013 右頚部内頚動脈狭窄症に対する CS 後に一過性低灌流を呈した 1 例 1 2 1 1 1 1 Transient right hemisphere hypoperfusion following right carotid artery stenting: a case report Masayuki RI 1) Naoya KUWYM 2) Ken-ichiro
症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習
ABC-123 臨床試験進行または再発胃癌患者に対するプラセボを対照薬とした無作為化二重盲検比較試験症例報告書 治験実施計画書番号 P123-31-V01 被験者識別コード 割付番号 治験実施医療機関名 ご自分の医療機関 お名前を記載して下さい 症例報告書記載者名 症例報告書記載者名 治験責任医師 ( 署名又は記名 押印 ) 治験責任医師記載内容確認完了日 印 2 0 年 月 日 1 症例報告書の記入における注意点
IVR21-4本文.indb
2005 IVR 1 Carotid endarterectomy CEA Carotid stenting CAS CEA CEA Percusurge Guardwire distal protection CAS CAS CEA CEA CAS CAS CEA 50 70 60 80 1 2 70 CAS variation type B variation 1 0.1 debris dangerous
10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1
(ICD10: C81 85, C96 ICD O M: 9590 9729, 9750 9759) 治癒モデルの推定結果が不安定であったため 治癒モデルの結果を示していない 203 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 71 68 50 53 52 45 47 1993 1997 1998 2001 2002 2006 2002 2006 (Period 法 ) 43 38 41 76
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当院でのシャント管理としての ハンディエコーの使用経験 偕行会岐阜中津川共立クリニック 藤川兼一 峰野達也 緒言 シャントの観察 管理としては シャント音 スリルの確認 シャント造影などが一般的に用いられている 当院では ハンディータイプエコーである vascular access i Look 25( 以下 エコー ) を用いシャント管理に利用している 目的 当院では現在 エコーを客観的なシャントの
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参考資料 2 rt-pa( アルテプラーゼ ) 静注療法適正治療指針 第二版より抜粋 日本脳卒中学会脳卒中医療向上 社会保険委員会 rt-pa( アルテプラーゼ ) 静注療法指針改訂部会 推奨 治療薬 1. 静注用の血栓溶解薬には アルテプラーゼを用いる エビデンスレベル Ia, 推奨グレード A 2. アルテプラーゼ静注療法によって 3 ヵ月後の転帰良好例は有意に増加する 一方で症候性頭蓋内出血は約
岸和田徳洲会病院 当院では以下の研究に協力し情報を提供しております この研究は 国が定めた指針に基づき 対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得るかわりに 研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開しています 研究結果は学会等で発表されることがありますが その際も個人を特定する情報は公表し
当院では以下の研究に協力し情報を提供しております この研究は 国が定めた指針に基づき 対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得るかわりに 研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開しています 研究結果は学会等で発表されることがありますが その際も個人を特定する情報は公表しません 一般社団法人日本脳神経外科学会データベース研究事業に関する研究 (JND: Japan NeurosurgicalDatabase)
ストラクチャークラブ ジャパン COI 開示 発表者名 : 高木祐介 演題発表に関連し, 開示すべき COI 関係にある 企業などはありません.
ストラクチャークラブ ジャパンライブデモンストレーション 2017 < Others BAV > 心不全急性期における BAV 高木祐介 いわき市立総合磐城共立病院循環器内科 ストラクチャークラブ ジャパン COI 開示 発表者名 : 高木祐介 演題発表に関連し, 開示すべき COI 関係にある 企業などはありません. Q. 治療抵抗性の AS の心不全がいます. AVR も TAVI も難しく,
レイアウト 1
北海道脳神経疾患研究所医誌第 24 巻 2013.12.P23 27 当院における Door to Puncture time(d2p) 短縮についての考察 高平一樹 片岡丈人 荻野達也 遠藤英樹 中村博彦中村記念病院脳神経外科脳血管内治療センター Considerations to reduce the time from door to puncture (D2P) in our hospital
<4D F736F F D D8ACC8D6495CF82CC96E596AC8C8C90F08FC782CC8EA197C32E646F6378>
肝硬変の門脈血栓症の治療 Management of portal vein thrombosis in liver cirrhosis Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2014 ;11:435 46 要旨 門脈血栓症は, 肝硬変によく認められる合併症である. 門脈が血栓によって閉塞すると, 肝硬変患者の予後が悪化する危険性があり, 重大である. 門脈血栓症のない肝硬変患者に抗凝固療法を行うと,
日産婦誌58巻9号研修コーナー
Department of Obstetrics and Gynecology, Tokyo Medical University, Tokyo ( 表 1) Biophysicalprofilescoring(BPS) 項目 呼吸様運動 Fetalbreathingmovements (FBM) 大きい胎動 Grossbodymovements 胎児筋緊張 Fetaltone ノン ストレステスト
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四肢末梢 MR アンギオグラフィー 第 18 回 Gyro Meeting 大阪回生病院中馬義明 各モダリティーの造影画像 造影剤なしでどこまで末梢血管を描出することができる? 血管造影検査 造影 CT 血管造影 大阪回生病院中馬義明 MRI で非造影で下肢末梢血管の描出 思いつく撮像法??? TOF 法 PC 法 Dual IR 法 TRANCE 法 T1WI 系 T2WI 系 Dual IR,Dual
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1 日目 10 月 27 日 木 第 1 会場 国際会議室 開会の辞 12 15 12 20 ランチョンセミナー 1 12 20 13 10 共催 大鵬薬品工業株式会社 LS- 1 座長 齊藤 博昭 鳥取大学医学部 病態制御外科学分野 今度どうなる 胃癌の術後補助化学療法 小寺 泰弘 名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学 主題 1 高齢者進行胃癌に対する治療戦略 定型か縮小か 13 20 14
スライド 1
感染と CRP 感染と CRP メニュー 1.Sepsis 1 診断的 価値 Intensive Care Med 2002 2 重症度 3 治療効果 予後判定 判定 Crit Care 2011 Infection 2008 2.ICU Patients 3.VAP Crit Care 2006 Chest 2003 Crit Care Med 2002 Heart & Lung 2011
テクニカルノート 脳血管内治療における安全かつ多才なマイクロガイドワイヤー先端形状の工夫 :modified pigtail 法 1) 刈谷豊田総合病院脳神経外科 2) 名古屋大学大学院医学系研究科脳神経外科 佐藤雅基 1)2) 大島共貴 1) 石川晃司郎 1) 後藤俊作 1) 山本太樹 1) 泉孝
テクニカルノート 脳血管内治療における安全かつ多才なマイクロガイドワイヤー先端形状の工夫 :modified pigtail 法 1) 刈谷豊田総合病院脳神経外科 2) 名古屋大学大学院医学系研究科脳神経外科 佐藤雅基 1)2) 大島共貴 1) 石川晃司郎 1) 後藤俊作 1) 山本太樹 1) 泉孝嗣 2) 西澤俊久 1) 島戸真司 1) 加藤恭三 1) Masaki Sato, MD.,Tomotaka
当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸
当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸言 > 近年 透析患者数は毎年 1 万人ずつ増加しているといわれており 2008 年度におけるわが国の透析患者数は
スライド 1
脊椎 MRI における 各種脂肪抑制法の比較検討 公益財団法人星総合病院 放射線科渡邉美香 背景 MRI は低コントラスト分解能に優れ, 脊椎 MRI にお いては椎間板, 髄膜, 脊髄などの組織コントラストが高いことから病変の描出に最適である. 診断に有用な画像を撮像するためには脂肪抑制が欠かせない. しかし, 脊椎は磁場の不均一を生じやすい部位である. また, インプラント等の金属も磁場の不均一を生じやすく,
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[ 博士論文概要 ] 平成 25 年度 金多賢 筑波大学大学院人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻 1. 背景と目的映像メディアは, 情報伝達における効果的なメディアの一つでありながら, 容易に感情喚起が可能な媒体である. 誰でも簡単に映像を配信できるメディア社会への変化にともない, 見る人の状態が配慮されていない映像が氾濫することで見る人の不快な感情を生起させる問題が生じている. したがって,
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慢性腎臓病 (CKD) における危険因子としての食後高血糖の検討 独立行政法人国立病院機構千葉東病院臨床研究部 糖尿病研究室長関直人 はじめに 1. 研究の背景慢性腎臓病 (CKD) は 動脈硬化 腎機能低下 末期腎不全 心血管イベントなどの危険因子であることが報告されている (1) 一方で食後高血糖もまた 動脈硬化 心血管イベントの危険因子であることが報告されている (2) 食後高血糖の検出には持続血糖モニタリング
K Server 14010571 新潟県厚生農業協同組合 本文 14h 厚生連医誌 第 3巻 石川 07 07 2014.02.18 13.40.1 1号 7 7 0 1 4 症例報告 肺静脈瘤の診断と肺分画症における異常動脈の同定に 3 0列 CT によるダイナミック4DCT が有用だった症例 長岡中央綜合病院 放射線科 診療放射線技師 いし かわ 石川 背景 3 0列の面検出器を持つ Area
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日本人の年齢別推算糸球体濾過量 (egfr) の検討 ~ 協会けんぽ東京支部 76 万人の健診データから ~ 渋谷区医師会 望星新宿南口クリニック院長高橋俊雅 協会けんぽ東京支部保健グループ岡本康子 尾川朋子 目的 企画総務グループ馬場武彦 概要 推算糸球体濾過量 (egfr) は 慢性腎臓病 (CKD) の診断 治療に広く利用さ れているが 個々人の egfr を比較できる年齢別 egfr( 標準値
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NHO µ 医師が治療により回復が期待できないと判断する 終末期 であると医療チームおよび本人 家族が判断する 患者の意志表明は明確であるか? いいえ はい 意思は文書化されているか? はい 患者には判断能力があるか? 医療チームと患者家族で治療方針を相談する 患者の意思を推量できる場合には それを尊重する はい はい 患者の意思を再確認する はい 合意が得られたか? はい いいえ 倫理委員会などで議論する
64 は認められなかった 術前に施行したIVIgの効 きた 特に 小児例では血漿交換は肉体的侵襲が 果が明らかでなかったため 2月20日より単純血 大きく Blood Accessも難iしいことから1 IVIg 漿交換を施行した 第1回施行直後より 開瞼3 mmまで可能となり 眼球運動も改善 3回目終了 が推奨されてきている11 12 後より水分経口摂取開始 4回目終了後には人工 呼吸器から離脱が可能となり著明な改善効果を認
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2-P1-A-1 2日目脳動脈瘤に対するステントを用いたコイル塞栓術初期治療成績 奈良医大放射線科 医真会八尾総合病院放射線科 脳血管内治療科 医真会八尾総合病院脳神経外科 奈良医大脳神経外科 和田敬高山勝年明珍薫中川裕之吉川公彦 Wada Takeshi 黒川紳一郎 中川一郎 中瀬裕之 背景 わが国でも脳動脈瘤コイル塞栓術用のステントである Enterprise (EP) が 2010 年 7 月から,Neuroform(NF)
脳卒中エキスパート 抗血栓療法を究める
Ⅰ. 脳梗塞の病態に応じて抗血栓療法を究める アテローム血栓症の病態と抗血栓療法 Summary アテローム血栓症は, 破綻したプラークに血小板血栓が形成され, その場で血管を閉塞したり遊離して末梢の脳血管を閉塞したりする. いったん発症してからも急性期には, 血栓の増大や血小板血栓の遊離が繰り返されるため, 脳梗塞の増悪 再発のリスクが高い. したがってアテローム血栓症急性期には抗血小板薬の 2
内臓脂肪評価目的による 腹部CT法における 再構成フィルタ関数の影響
内臓脂肪評価目的による腹部 CT 法における再構成フィルタ関数の影響 水井雅人 *1 *2 溝口裕司 *1 田城孝雄 *2 1) 鈴鹿回生病院診療関連部放射線課 2) 放送大学大学院 概要 Summary 国民の健康への関心は年々高まり 内臓脂肪への関心も注目されている 内臓脂肪評価法は腹囲測定法 X 線 CT 法 超音波診断法などがある 腹囲測定法は簡便だが 内臓脂肪と皮下脂肪を分離して評価できない
それでは具体的なカテーテル感染予防対策について説明します CVC 挿入時の感染対策 (1)CVC 挿入経路まずはどこからカテーテルを挿入すべきか です 感染率を考慮した場合 鎖骨下穿刺法が推奨されています 内頚静脈穿刺や大腿静脈穿刺に比べて カテーテル感染の発生頻度が低いことが証明されています ただ
2012 年 3 月 28 日放送 中心静脈関連性血流感染の予防 川崎病院外科総括部長井上善文はじめに中心静脈カテーテルは高カロリー輸液や さまざまな輸液 薬剤の投与 中心静脈圧の測定などの目的で留置されますが その留置に関連した感染症は 名称としては血管内留置カテーテル関連血流感染症 catheter-related bloodstream infection:crbsiですが ここではカテーテル感染と呼ばせていただきます
厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)
厚生労働科学研究費補助金 ( 循環器疾患 糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 ) 分担研究報告書 健康寿命の全国推移の算定 評価に関する研究 評価方法の作成と適用の試み 研究分担者橋本修二藤田保健衛生大学医学部衛生学講座 教授 研究要旨健康寿命の推移について 平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加 ( 健康日本 21( 第二次 ) の目標 ) の達成状況の評価方法を開発 提案することを目的とした 本年度は
Part 1 症状が強すぎて所見が取れないめまいをどうするか? 頭部 CT は中枢性めまいの検査に役立つか? 1 めまい診療が難しい理由は? MRI 感度は 50% 未満, さらには診断学が使えないから 3
Part 1 画像に頼らない, 明日から使えるめまい診察伝授 1 めまい診療が難しい理由は? MRI 感度は 50% 未満, さらには診断学が使えないから 症例 1 症例 1 めまい 50 歳女性 起床時からめまいがあり, 改善しないため救急要請 搬送後にストレッチャーへ移動したとたん嘔吐 症状が続き非常に辛そうで, 問診はほとんどできない 身体所見を取ることも難しい バイタルサインは安定している
はじめに脳動脈瘤に対するクリッピング術, コイル塞栓術のいずれにおいても動脈瘤を安全かつ確実に処理するためには, 術者が動脈瘤およびその周辺血管の位置関係をイメージして手術に臨む必要がある 2). このために 3D 画像などによるオリエンテーションの確認が行われるが, それに先立っておおよその位置関
脳卒中の外科 43: 125 129,2015 原 著 A1 の向きと動脈瘤発育方向の関係をもとにした前交通動脈瘤の簡便な分類法とコイル塞栓術後の治療成績 戸井宏行, 松村浩平, 萩野寛隆, 高井洋樹岸田夏枝, 松下展久, 横須賀公彦, 松原俊二 平野一宏, 宇野 昌明 Simple Classification of Anterior Communicating Artery Aneurysm Based
ポスターセッション PX-01-1 X会場巨大内頸動脈瘤に対する瘤内塞栓術後の自然的内頸動脈閉塞について 北里大学 鈴木祥生 Suzuki Sachio 医学部 倉田彰 山田勝 北里大学医学部 岩本和久 放射線科 中原邦晶 仁木淳 ポPX-01-2 Clipping first による破裂脳動脈瘤の治療成績 :clipping と coiling の比較 山口大学附属病院健和会大手町病院 1, 原田啓加藤祥一石原秀行米田浩上杉政司岡史朗前田佳彦藤澤博亮鈴木倫保
Microsoft Word - ①【修正】B型肝炎 ワクチンにおける副反応の報告基準について
資料 1 B 型肝炎ワクチンの副反応報告基準について 予防接種法における副反応報告制度について 制度の趣旨副反応報告制度は 予防接種後に生じる種々の身体的反応や副反応が疑われる症状等について情報を収集し ワクチンの安全性について管理 検討を行うことで 広く国民に情報を提供すること及び今後の予防接種行政の推進に資することを目的としている 報告の義務 予防接種法第 12 条 1 項 ( 参考資料 1)
Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc
2 糖尿病の症状がは っきりしている人 尿糖が出ると多尿となり 身体から水分が失われ 口渇 多飲などが現れます ブドウ糖が利用されないため 自分自身の身体(筋肉や脂肪)を少しずつ使い始めるので 疲れ やすくなり 食べているのにやせてきます 3 昏睡状態で緊急入院 する人 著しい高血糖を伴う脱水症や血液が酸性になること(ケトアシドーシス)により 頭痛 吐き気 腹痛などが出現し すみやかに治療しなければ数日のうちに昏睡状態に陥ります
